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  • 特許-蔀戸 図1
  • 特許-蔀戸 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】蔀戸
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/04 20060101AFI20230413BHJP
   E04F 10/00 20060101ALI20230413BHJP
   E06B 3/48 20060101ALI20230413BHJP
   E06B 3/50 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
E06B9/04 E
E06B9/04 H
E04F10/00
E06B3/48
E06B3/50
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019046488
(22)【出願日】2019-02-25
(65)【公開番号】P2020133386
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】504070088
【氏名又は名称】森川 洋
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森川 洋
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-036534(JP,U)
【文献】実開昭50-069437(JP,U)
【文献】特開平06-323065(JP,A)
【文献】実開平02-112893(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/04
E06B 3/48
E05D 15/48
E04F 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建屋開口部に取り付けるフレームと、
前記フレームに取り付けられる複数の扉と、
複数の前記扉を接続するための継手部と
軸と該軸に偏心して設けられる偏心軸とを有する横猿と
を備え
前記フレームは、上部水平部材と、左右の垂直部材と、下部水平部材とを備え、該上部水平部材、該垂直部材及び該下部水平部材の内縁に前記複数のの方立の機能をもつ額縁リブが設けられており、
複数の前記扉は、前記上部水平部材に吊り下げられる第1扉と、前記継手部によって前記第1扉に接続及び分離可能に構成される第2扉とを含み、複数の前記扉が連結されて一枚になった状態と、複数の前記扉が前記継手部において折れ曲がった状態と、複数の前記扉が二枚以上に分離した状態との三つの形式で使用可能に構成されており、
前記横猿は、前記第2扉に取り付けられており、前記横猿の前記偏心軸を回転させて、前記額縁リブを前記横猿の前記偏心軸と前記第2扉の間に挟むことにより、前記フレームの縦方向の任意の位置に前記第2扉を留めることができるように構成されている
蔀戸
【請求項2】
前記横猿は、前記第2扉の下端部に取り付けられている
請求項1に記載の蔀戸
【請求項3】
前記第2扉の最下端が前記下部水平部の前記額縁リブと重なったとき、前記横猿で前記第2扉を前記下部水平部の前記額縁リブに押し付けるよう構成されている
請求項1又は2に記載の蔀戸
【請求項4】
前記横猿は、前記横猿の前記軸に取り付けられるハンドルを有する
請求項1~3のいずれか1項に記載の蔀戸
【請求項5】
前記横猿は、軸受けを有し、
前記横猿の前記軸は、前記軸受けを介して前記第2扉に取り付けられている
請求項1~4のいずれか1項に記載の蔀戸
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家屋および物置等で、屋内・外を仕切る建具として使用されている、扉、引き戸、シャッター等に関連するものである。
【背景技術】
【0002】
家屋の建設の簡易化、合理化のため、庇、軒などの日除け、雨除けそして日脚の長さの調整という開口部の補助機能が、削除されているものが多くなっている。そのため、建具の外側に、別途日除け、雨除け等を目的として、テント、すだれ等をべつに設け、家屋の失った機能の一部を肩代りさせているのが現状である。
【0003】
建屋の間仕切りとしては、古くは寝殿作りに採用されていた蔀戸(参考文献参照)があるがこれは、現在の一般な家屋の建具としては、あまり発達していない。間仕切りの建具としては、シャッター、引き戸が発達し、その欠点である、晴天・雨天時の使いにくさは、小さな不便としてしか認識されてこなかったのが原因とおもわれる。
建具を使う形式として、蔀戸は建物の開口部を一枚の建具で覆うものと、開いたとき一枚のながさの半分くらいの位置で建具が折れ下がるものとの二種にわけられ、さらに折り曲げた移置の近傍で上下二つに分け、下の部分を開口部の下部に固定するものとの3種類の形式に分けることがでる。最後のものは、とくに半蔀とよばれ窓用に使われていた。(いか、建具の三つの使用形式をあらわすときは、代表して蔀戸とよぶ。また、建具をあらわすときは扉という)これらは軒・庇の機能を持っているが重く、開閉には手間と時間がかかり、扱いにくかったようである。このため、寺社、武家家屋が発達し、広い開口部が、手早く必要になってくると、簡便に開閉のできる引き込み戸が仕切りとして使われるようになったようである。
【0004】
大戦後、一般の木造家屋には長い間引き込み戸が、雨戸として使われてきた。また強固な仕切り機能をもったシャッターは製造・販売の初期のころは、金属製で重く扱いにくく、高価であった。そのため、倉庫、商店の表の間仕切りとして使われることが多く、雨戸して使われることはそれほどなかったようである。
【0005】
近来の建屋、特に一般の木造家屋では、家屋の主要部材は、現場経費の削減のため、工場でそのほとんどが加工され、現場に搬入組み立てられている。そのために一部の家屋においては手間のかかる現場合わせや、小物の加工技術が必要な軒や庇を作るのを省略、あるいは小型化することが多くみられるようである。本来、軒や庇は、建築場所の風土に合わせてつくられるものであり、人が建物に出入りするとき、建屋の外でついた汚れを落たり、着崩れを直たり、雨天時には雨具の脱着や、開閉をする用をたす土間の延長の機能をも持つものである。また、内側にある部屋または廊下の使用目的によって寸法が決められるものである。現在はそのような、考慮はほとんどなされておらず、耐火性おも含めて、強固に、建屋の内外を仕切るだけが目的となっている。また、水かさの低い出水にたいしては、考慮されていない。べつの止水機構としては考えられているが、同じ建具を使用して建屋の内側を防水しようする考えは、きわめてすくないようである。
【先行技術文献】
【0006】
【非特許文献】
【文献】本願寺御影堂平成大修理推進事務所だより(79)『宗報』2006(平成18)7月号(本願寺出版社発行)掲載
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本来、日本家屋の軒、庇がもっていた生活に由来する戸口、窓等の開口部の機能を回復させ、併せて嵩のすくない出水にたいし、建屋内部を止水防御しようとするものである。開口部の間仕切りとしては、寝殿造りや寺社仏閣に使われていた、蔀戸の形式を用い、その使い勝手の改良と建屋に対しての設置のしやすさを、またより一層の機能の改善改良を目指そうとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は建屋にとりつけ、蔀戸を支える建具(以下フレームという)と蔀戸の扉から構成され、その機能は相互に関連している。蔀戸は、二つ折りの形式を基本として説明するが、必要に応じて、折り込み数を増やすことができる。
フレームは長押に相当する上部水平部材、柱となる左右の垂直部材および下部水平部材からなる。そしてかく部材はその全長にわたって方立(以下額縁リブと言う)が付けられている
二つ折りの蔀戸は回転ヒンジでつながっており、このヒンジの回転軸は簡単に抜き差し出来るラッチ構造になっており、扉の接続部は必要に応じて分離できる。半蔀として使用するときは、下の扉は動かさない。接続部には、また上下に渡って差し込み桟をもうけ、折り込みを不可とし,必要におうじて一枚扉の蔀戸を構成して使用する。
フレームの開口部の幅・高さと蔀戸のそれとは異なり扉のほうが大きくなっており、両者は額縁リブで重なり合っている。
蔀戸は上部水平部材に回転ヒンジあるいは回転ピンで吊り下げられる。また、二つ折りの蔀戸の下部の扉の下端には、回転軸を偏心させたカムシャフトのある新しく開発した横猿をとりつける。横猿は方立の機能を持つ縦フレームの額縁リブを挟むようにとりつける。また、必要に応じて最下段の扉には、縦方向に横猿をとりつけることもできる。さらに、扉の幅が広いときは下段の水平フレームの額縁リブと、扉の下部に三日月錠(クレセント錠)をつけ両者のゆるみを防ぐこともできる。
【発明の効果】
【0009】
蔀戸の接続・分離および折り曲げ部の差し込み桟による不動化により、本発明においては、一枚ものまたは、二つ折りの蔀戸、および半蔀と形式を変化させ、扉を気候・天候および使用目的によって使い分けることができる。
晴天時、屋外にあっては日陰の提供であり、屋内にあっては、採光量および、日脚の調節である。シャッターあるいは引き戸に代表される建具においては窓、あるいは出入り口の面積を変化させて、おこなっていたものである。また、雨天時においては、ぬれずに済む場所、延長された通路の確保、その下において雨水を室内に持ち込まぬための、コートとうの脱着、雨具を所定の位置におくためのさまざまな所作、洗濯物を干す等の生活上の小さな作業場所の提供である。
額縁リブを扉と図1の8横猿の偏心軸のあいだにくるように配置し、軸を回転させて扉と額縁リブを密着させる。扉の下端を額縁リブの任意の位置に固定することができる。また、扉が額縁リブの最下端にあるときは、内外に気密性をつくり防水機能をもたせることができる。
閉められた状態では、外部からの力に対し、大きな耐力を持つように設計できる。
広い開口部がえられる。
引き戸あるいはシャッターでは必要とされる、格納場所をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】は、本発明の実施形態のうちの一つである二つ折りの蔀戸の開閉中の状態をしめす射影図である。
図2】は、偏心軸をもつ、改良した横猿をしめす射影図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき、順をおって説明する。まず、構造と動きについて述べる。 図1は二つ折りの形式時における開閉中の蔀戸を示す。扉5は上辺で1セット以上の回転ヒンジによりA-A断面の額縁リブに止められている。二枚目の扉6との接続は1セット以上のヒンジを用いて回転できる。また、接続部にはヒンジが回転しないように差込桟を設けていて、一枚の蔀戸にするすることもできる。図1のときは、桟を引っ込めてヒンジが自由に回転できる。ヒンジの軸は、軸方向に移動するラッチ構造になっている。扉5・6を分離できるので、半蔀として使うときは、別々に動かすることができるようになっている。扉6は5に接続しているとき旧来の形式では、折れ曲がり下に垂れているが、本発明では異なりその下端部は垂直フレームの額縁リブと横猿により挟まれ任意の位置に止められ、さらに開口部の最下端に移行したときは、額縁リブと扉を圧迫密着し、気密性を持たせ、防水することができる。扉の幅が広いときは中間に三日月錠を使用してもよい。
破線で表している円弧線は、想像線で示している扉5・6の代表てきな可動方向を示している。扉の接続・分離とその組み合わせにより、ここに表す以上のさまざまな可働円弧破線が考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0012】
居住性の向上。 :日除け雨除け、室内への日射量の制御。水嵩の低い出水の防御。
商店店頭の構築。 :商品の保護、客の品定め、買いやすさ。通行のしやすさ。
店内商品の水嵩の低い出水に対する保護。
幅広の開口部の確保 :扉を跳ね上げるので、人、物の移動の自由度が高い。
高い耐外圧性 :蔀戸の閉鎖時には、外部からの力に対して強い耐力を持たせるこ とが出来る。強風、土砂降り、雪崩れや土石流、さらにはデモ時 の投石にも壁と同じような耐力をもたせる設計が可能。
物置、ロッカー :屋外に設置される物置、ロッカーでは雨水時の荷物の出し入れが 楽になる。
コンテナー :扉の閉鎖装置を開口部の内側周辺に取り付けることができるので コンテナーの長さが短くなる。防水および防害虫効果。
【符号の説明】
【0013】
1 上部水平フレーム
2 垂直フレーム
3 下部水平フレーム
4 額縁リブ
5 建具 扉
6 建具 扉
7 建具金物 横猿
8 建具金物 偏心軸をもつ横猿
9 軸
10 偏心軸
11 ハンドル
12 軸受
図1
図2