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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】止水板付きシャッター
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20230413BHJP
   E06B 9/17 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E06B9/17 U
E06B9/17 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019075895
(22)【出願日】2019-04-11
(65)【公開番号】P2020172810
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】及川 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】砂川 雅彦
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-048524(JP,A)
【文献】実開昭51-064544(JP,U)
【文献】実開昭62-180191(JP,U)
【文献】特開2020-020122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00
E06B 9/00-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に移動可能なシャッターカーテンと、
前記シャッターカーテンより下に位置され、当該シャッターカーテンと連動して上下方向に移動可能であり、建物開口の設置面上に接した閉状態において前記建物開口からの浸水を抑制する止水板と、
前記閉状態において前記シャッターカーテンの下端と前記設置面との距離が所定距離以下である状態で前記シャッターカーテンと前記止水板との間に介在し、前記シャッターカーテンからの荷重を前記止水板に伝達する伝達部位を有する伝達部材と、
前記シャッターカーテンに接続された第一部位と、前記止水板に接続された第二部位と、を有し、前記止水板が前記設置面から離間した開状態では前記シャッターカーテンが前記第一部位および前記第二部位を介して前記止水板を吊り下げた吊下状態となり、前記閉状態では前記シャッターカーテンによる前記第一部位および前記第二部位を介した前記止水板の吊り下げが解除された解除状態となる、吊下機構と、
を備え、
前記伝達部位は、前記シャッターカーテンからの荷重によって上下方向と交差する方向に凸または凹となる形状に弾性的に曲がる、止水板付きシャッター。
【請求項2】
前記第一部位は、吊下部を有し、
前記第二部位は、前記開状態にあっては前記吊下部上に接し前記閉状態にあっては前記吊下部から上方に離間する被吊下部を有した、請求項1に記載の止水板付きシャッター。
【請求項3】
前記第一部位および前記第二部位のうちの一方の部位が、前記伝達部材に設けられた、請求項1または2に記載の止水板付きシャッター。
【請求項4】
前記伝達部位は、上下方向に延びる板状の形状を有した延部を含む、請求項1または3に記載の止水板付きシャッター。
【請求項5】
前記伝達部材は、それぞれ屈曲部を有し互いに厚さ方向に重ねられた複数の板状部材を有した、請求項に記載の止水板付きシャッター。
【請求項6】
前記伝達部材は、
前記建物開口の幅方向に並んだ複数の第一板状部材と、
それぞれ前記第一板状部材の屋内側に重ねられ前記幅方向に並んだ複数の第二板状部材と、
を有し、前記第一板状部材と前記第二板状部材とは、幅方向に互いにずれて重なった、請求項に記載の止水板付きシャッター。
【請求項7】
前記シャッターカーテンと前記止水板との所定距離以上の相対的な近接を制限するストッパ機構を備える請求項1に記載の止水板付きシャッター。
【請求項8】
前記ストッパ機構は、前記第一部位の下方の端部と、前記止水板の上方の端部と、で構成される請求項7に記載の止水板付きシャッター。
【請求項9】
前記第二部位は、天壁と、該天壁の端部から下方に延びる立壁と、該立壁に貫通形成され上下方向に延びる長穴と、を備える請求項1に記載の止水板付きシャッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、止水板付きシャッターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャッターの下に止水板が設けられた止水板付きシャッターが、知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-217993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の止水板付きシャッターでは、例えば、シャッターカーテンの下端が止水板に固定されている場合、閉時において、止水板上に載ったシャッターカーテンが座屈したような状態で撓む場合がある。
【0005】
そこで、本開示の課題の一つは、例えば、閉時に止水板の上に位置するシャッターカーテンの撓みをより減らすことができるような、より不都合が少なくなるよう改善された新規な構成の止水板付きシャッターを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の止水板付きシャッターは、例えば、上下方向に移動可能なシャッターカーテンと、上記シャッターカーテンより下に位置され、当該シャッターカーテンと連動して上下方向に移動可能であり、建物開口の設置面上に接した閉状態において上記建物開口からの浸水を抑制する止水板と、上記閉状態において上記シャッターカーテンの下端と上記設置面との距離が所定距離以下である状態で上記シャッターカーテンと上記止水板との間に介在し、上記シャッターカーテンからの荷重を上記止水板に伝達する伝達部位を有する伝達部材と、上記シャッターカーテンに接続された第一部位と、上記止水板に接続された第二部位と、を有し、上記止水板が上記設置面から離間した開状態では上記シャッターカーテンが上記第一部位および上記第二部位を介して上記止水板を吊り下げた吊下状態となり、上記閉状態では上記シャッターカーテンによる上記第一部位および上記第二部位を介した上記止水板の吊り下げが解除された解除状態となる、吊下機構と、を備える。このような構成によれば、例えば、閉状態では、吊下機構において、シャッターカーテンによる第一部位および第二部位を介した止水板の吊下状態が解除されるので、閉状態においてシャッターカーテンが止水板の上に載ることにより撓むのを抑制することができる。また、上記伝達部位は、上記シャッターカーテンからの荷重によって上下方向と交差する方向に凸または凹となる形状に弾性的に曲がることで、伝達部位の弾性的な撓みによって、シャッターカーテンの撓みを抑制することができる。また、シャッターカーテンの自重のようなシャッターカーテンからの荷重を、伝達部材を介して止水板に伝達することができ、これにより、例えば、止水板と設置面との間におけるシール性をより高めることができる。
なお、止水板付きシャッターは、例えば、上記シャッターカーテンと上記止水板との所定距離以上の相対的な近接を制限するストッパ機構を備える、より具体的には、上記第一部位の下方の端部と、上記止水板の上方の端部と、で構成されるストッパ機構を備えることで、上記シャッターカーテンの例えば下方変位を制限できる。
また、止水板付きシャッターは、例えば、上記第二部位は、天壁と、該天壁の端部から下方に延びる立壁と、該立壁に貫通形成され上下方向に延びる長穴と、を備える。
【0007】
また、上記止水板付きシャッターでは、例えば、上記第一部位は、吊下部を有し、上記第二部位は、上記開状態にあっては上記吊下部上に接し上記閉状態にあっては上記吊下部から上方に離間する被吊下部を有する。このような構成によれば、例えば、吊下機構を、比較的簡単な構成によって実現することができる。
【0009】
また、上記止水板付きシャッターでは、例えば、上記第一部位および上記第二部位のうちの一方の部位が、上記伝達部位を含む。このような構成によれば、例えば、第一部位または第二部位と伝達部位とをそれぞれ別個に備えた構成に比べて、構成をより簡素化したり、より小型化したりすることができる。
【0011】
また、上記止水板付きシャッターでは、例えば、上記伝達部材は、上下方向に延びる板状の形状を有した延部を含む。このような構成によれば、例えば、延部をシャッターカーテンから受けた荷重によって弾性的に撓む伝達部位とすることができ、伝達部材を比較的簡素な構成によって実現することができる。
【0012】
また、上記止水板付きシャッターでは、例えば、上記伝達部材は、それぞれ屈曲部を有し互いに厚さ方向に重ねられた複数の板状部材を有する。このような構成によれば、例えば、屈曲部において、より厚い一枚の板状部材が曲げられた構成に比べて、当該屈曲部の曲率半径をより小さくすることができ、伝達部材ひいては止水板付きシャッターを、より小型化することができる。
【0013】
また、上記止水板付きシャッターは、例えば、上記伝達部材は、上記建物開口の幅方向に並んだ複数の第一板状部材と、それぞれ上記第一板状部材の屋内側に重ねられ上記幅方向に並んだ複数の第二板状部材と、を有し、上記第一板状部材と上記第二板状部材とは、幅方向に互いにずれて重なっている。このような構成によれば、例えば、互いに幅方向に隣接する二つの第一板状部材の境界、および互いに幅方向に隣接する二つの第二板状部材の境界から、光が漏れるのを、抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、より不都合が少なくなるよう改善された新規な構成の止水板付きシャッターを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態の止水装置の例示的かつ模式的な正面図であって、シャッターが閉位置に位置された状態の図である。
図2図2は、実施形態の止水装置の例示的かつ模式的な側面図であって、シャッターが閉位置に位置された状態の図である。
図3図3は、実施形態の止水装置の例示的かつ模式的な側面図であって、シャッターが開位置に位置された状態の図である。
図4図4は、実施形態の止水板付きシャッターの一部の例示的かつ模式的な断面図であって、止水板が設置面に接していない開状態を示す図である。
図5図5は、実施形態の止水板付きシャッターの一部の例示的かつ模式的な断面図であって、止水板が設置面に接した閉状態および伝達部材がシャッターカーテンと止水板との間に介在していない状態を示す図である。
図6図6は、実施形態の止水板付きシャッターの一部の例示的かつ模式的な断面図であって、止水板が設置面に接した閉状態、および伝達部材がシャッターカーテンと止水板との間に介在した伝達状態(伝達開始状態)を示す図である。
図7図7は、実施形態の止水板付きシャッターの一部の例示的かつ模式的な断面図であって、止水板が設置面に接した閉状態、伝達部材がシャッターカーテンと止水板との間に介在した伝達状態、および伝達部材が撓んだ状態を示す図である。
図8図8は、実施形態の止水板付きシャッターの接続機構に含まれる第二部材の屋内方向に見た例示的かつ模式的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0017】
また、本明細書において、序数は、部品や部位等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではない。
【0018】
また、各図中、建物開口1の幅方向をDw、上方をDu、下方をDlと記す。また、幅方向Dwおよび上方Duと直交し屋内側に向かう方向を屋内方向と称してDiと記し、幅方向Dwおよび上方Duと直交し屋外側に向かう方向を屋外方向と称してDoと記す。また、以下では、特に断らない限り、建物開口1の幅方向を、単に幅方向と称する。また、以下では、単に、便宜上、屋内側を前、屋外側を後と称している。
【0019】
[実施形態]
図1は、止水装置10の正面図であって、シャッター100が閉位置Pcに位置された状態を示す。図2は、止水装置10の側面図(一部断面図)であって、シャッター100が閉位置Pcに位置された状態を示す。図3は、止水装置10の側面図(一部断面図)であって、シャッター100が開位置Poに位置された状態を示す。
【0020】
図1~3に示されるように、止水装置10は、上下方向に移動して建物開口1を開閉するシャッター100を備えている。シャッター100は、上下開閉式シャッターとも称されうる。建物は、例えば、車庫や、工場、倉庫、ビル、店舗、住宅等の建築構造物であり、自動車等の車両や人間等が建物開口1を介して建物に出入りしうる。
【0021】
止水装置10は、建物に設置されている設備として、ガイドレール210および巻取装置220を備えている。
【0022】
ガイドレール210は、シャッター100の幅方向両端を上下方向に移動可能に支持している。ガイドレール210によって上下移動可能に支持されるシャッター100は、図1,2に示される閉位置Pcと、図3に示される開位置Poとの間で移動することができる。シャッター100は、可動部材とも称されうる。
【0023】
また、ガイドレール210は、閉位置Pcに位置されたシャッター100の幅方向両端を支持する支持部材として機能する。ガイドレール210は、閉位置Pcに位置された状態で、洪水等によってシャッター100に屋外側から水圧が作用した場合、当該シャッター100をその幅方向の両端で支持する。なお、ガイドレール210とは別の部材によって、止水板120を支持してもよい。
【0024】
巻取装置220は、建物開口1の上方に隣接して設けられている。巻取装置220は、モータおよび巻取軸(不図示)を有している。制御装置(不図示)によって制御されたモータのシャフトの回転に応じて、巻取軸におけるシャッター100の巻取状態と繰出状態とが切り替わる。巻取状態は、収納状態とも称され、繰出状態は、送出状態とも称されうる。シャッター100は、巻取軸に巻き取られることにより、建物開口1を開く。また、シャッター100は、巻取軸から繰り出されることにより、建物開口1を閉じる。
【0025】
図1~3に示されるように、シャッター100は、シャッターカーテン110、止水板120、および接続機構300を有している。止水板120は、シャッターカーテン110の長手方向、すなわち繰出方向の先端に接続されており、図1,2に示されるようなシャッター100が閉位置Pcに位置されている状態では、止水板120は、シャッターカーテン110の下方に隣接している。すなわち、止水板120は、シャッター100の長手方向の端部を構成している。シャッター100は、止水板付きシャッターの一例である。
【0026】
図1に示されるように、シャッターカーテン110は、複数のスラット111を有している。各スラット111は、帯状かつ板状の形状を有し、シャッター100の長手方向に一定の幅を有し、シャッター100の幅方向に延びている。複数のスラット111が当該スラット111の幅方向、すなわちシャッター100の長手方向に並べられ、互いに隣接したスラット111の幅方向端部同士が回動可能に接続され、これにより、シャッターカーテン110が構成されている。シャッターカーテン110は、例えば鉄系材料やアルミ二ウム合金のような金属材料によって作られる。
【0027】
止水板120は、シャッターカーテン110の長手方向の端部、言い換えるとシャッターカーテン110の繰出方向の端部に、接続されており、長方形状かつ板状の形状、言い換えると扁平な直方体状の形状を有している。止水板120は、シャッター100の長手方向に短く、シャッター100の幅方向に長く、かつシャッター100の厚さ方向に薄い。図1,2に示されるように、閉位置Pcでは、止水板120の幅方向は上下方向に沿い、止水板120の長手方向は建物開口1の幅方向に沿い、止水板120の厚さ方向は屋内方向(屋外方向)に沿っている。
【0028】
図2に示されるように、止水板120の前面120aは、止水板120の屋内方向の端部に位置され、長方形状の形状を有し、屋内方向を向き、上下方向かつ幅方向に延びている。言い換えると、前面120aは、上下方向に一定の幅で、幅方向に延びている。
【0029】
止水板120の後面120bは、止水板120の屋外方向の端部に位置され、長方形状の形状を有し、屋外方向を向き、上下方向かつ幅方向に延びている。言い換えると、後面120bは、上下方向に一定の幅で、幅方向に延びている。
【0030】
止水板120の底面120cは、止水板120の下方の端部に位置され、長方形状の形状を有し、下方を向き、屋内方向(屋外方向)および幅方向に延びている。言い換えると、底面120cは、屋内方向(屋外方向)に一定の幅で、幅方向に延びている。
【0031】
止水板120の側面120dは、止水板120の幅方向の端部に位置され、長方形状の形状を有し、幅方向を向き、屋内方向(屋外方向)および上下方向に延びている。言い換えると、側面120dは、屋内方向(屋外方向)に一定の幅で、上下方向に延びている。側面120dは、端面の一例である。
【0032】
また、止水板120は、中空板121と、不図示のシール部材とを有している。
【0033】
中空板121は、前壁121a、後壁121b、底壁121c、二つの側壁121d、および天壁121eを有し、その内部には、これら前壁121a、後壁121b、底壁121c、二つの側壁121d、および天壁121eで囲まれた内室(中空部)が設けられている。また、図示しないが、中空板121の内部には、前壁121aと後壁121bとの間で渡る隔壁が設けられている。中空板121は、例えば、鉄系材料やアルミ二ウム合金のような金属材料で作られる。
【0034】
前壁121aは、止水板120の屋内方向の端部に位置され、長方形状かつ板状の形状を有し、上下方向かつ幅方向に延びている。前壁121aは、屋内側の前面120aを有している。
【0035】
後壁121bは、止水板120の屋外方向の端部に位置され、長方形状かつ板状の形状を有し、上下方向かつ幅方向に延びている。後壁121bは、屋外側の後面120bを有している。
【0036】
底壁121cは、止水板120の下方の端部に位置され、長方形状かつ板状の形状を有し、屋内方向(屋外方向)および幅方向に延びている。底壁121cは、下側の底面120cを有している。
【0037】
二つの側壁121dは、止水板120の幅方向の端部に位置され、長方形状かつ板状の形状を有し、屋内方向(屋外方向)および上下方向に延びている。
【0038】
また、天壁121eは、止水板120の上方の端部に位置され、長方形状かつ板状の形状を有し、屋内方向(屋外方向)および幅方向に延びている。
【0039】
シール部材は、止水板120の底面120c上および前面120a上に設けられ、底面120cと設置面1aとの間、および前面120aと支持面210aとの間をシールする。
【0040】
図4~6は、シャッターカーテン110、接続機構300、および止水板120の幅方向に見た場合の断面図であって、図4は、止水板120の底面120cが設置面1aに接していない開状態、図5は、底面120cが設置面1aと接した閉状態であってシャッターカーテン110の下端110aが設置面1aから離れた状態、図6は、閉状態であってシャッターカーテン110の下端110aが図5よりも設置面1aに近付き、シャッターカーテン110と止水板120との間に第二部材320が介在した状態を示す図である。
【0041】
接続機構300は、シャッターカーテン110と止水板120との間に設けられている。接続機構300は、第一部材310と、第二部材320とを有している。第一部材310は、シャッターカーテン110の最下部のスラット111に取り付けられ、第二部材320は、止水板120の上端の立壁121fに取り付けられている。
【0042】
第一部材310は、天壁310a、立壁310b、後壁310c、前壁310d、端部310e,310f、およびシャフト314を有している。第一部材310は、例えば鉄系材料やアルミ二ウム合金のような金属材料によって作られる。天壁310a、立壁310b、後壁310c、前壁310d、および端部310e,310fは、幅方向に略一定の幅を有している。第一部材310は、例えば、プレス成形や折曲成形によって作られる。
【0043】
天壁310aは、四角形状かつ板状の形状を有し、上下方向と交差しかつ直交している。天壁310aは、屋内方向(屋外方向)に略一定の幅で、幅方向に延びている。
【0044】
立壁310bは、天壁310aの屋内方向(屋外方向)の中央部から、幅方向に一定の幅で上方に延びている。立壁310bは、四角形状かつ板状の形状を有し、屋内方向(屋外方向)と交差しかつ直交している。
【0045】
後壁310cは、天壁310aの屋外方向の端部から、幅方向に一定の幅で下方に延びている。後壁310cは、四角形状かつ板状の形状を有し、屋内方向(屋外方向)と交差しかつ直交している。
【0046】
前壁310dは、天壁310aの屋内方向の端部から、幅方向に一定の幅で下方に延びている。前壁310dは、四角形状かつ板状の形状を有し、屋内方向(屋外方向)と交差しかつ直交している。
【0047】
端部310e,310fは、後壁310cおよび前壁310dの下端から、それぞれ略U字状に屈曲している。端部310eの先端は、後壁310cから屋内方向に離間するとともに、上方に延びている。端部310fの先端は、前壁310dから屋内方向に離間するとともに、上方に延びている。
【0048】
なお、本実施形態では、これら天壁310a、立壁310b、後壁310c、および前壁310dは、アウタプレート311、インナプレート312、およびサポートプレート313が重なりあって構成され、各壁において二枚のプレートが重なっているが、これには限定されない。
【0049】
シャフト314は、天壁310aから下方に離間した位置で、屋内方向(屋外方向)に延びており、後壁310cと前壁310dとの間で架け渡されている。
【0050】
立壁310bは、シャッターカーテン110の最下部のスラット111に、例えばボルトのような結合具によって、取り付けられている。
【0051】
第二部材320は、天壁320a、立壁320b、および底壁320cを有している。第二部材320は、例えば鉄系材料やアルミ二ウム合金のような金属材料によって作られる。天壁320a、立壁320b、および底壁320cは、幅方向に略一定の幅を有している。図4に示される開状態において、第二部材320は、第一部材310に吊り下げられている(引っ掛かっている)。第一部材310は、第一部位の一例であり、第二部材320は、第二部位の一例である。
【0052】
天壁320aは、四角形状かつ板状の形状を有し、上下方向と交差しかつ直交している。天壁320aは、屋内方向(屋外方向)に略一定の幅で、幅方向に延びている。
【0053】
立壁320bは、天壁320aの屋外方向の端部から、幅方向に一定の幅で下方に延びている。立壁320bは、四角形状かつ板状の形状を有し、屋内方向(屋外方向)と交差しかつ直交している。
【0054】
底壁320cは、立壁320bの下端から、幅方向に一定の幅で屋内方向に延びている。底壁320cは、四角形状かつ板状の形状を有し、上下方向と交差しかつ直交している。
【0055】
図4~6に示されるように第二部材320は、幅方向に見た場合にZ字状の形状を有している。天壁320aと立壁320bとの間、および立壁320bと底壁320cとの間には、それぞれ屈曲部320dが設けられている。第二部材320は、例えば、プレス成形や折曲成形によって作られる。
【0056】
底壁320cが天面120eに当接しかつ天面120eに沿う姿勢で、立壁320bが、止水板120の天壁121eから突出した立壁121fに、例えばボルトのような結合具によって、取り付けられている。
【0057】
立壁320bの幅方向の中央には、当該立壁320bを屋内方向(屋外方向)に貫通し上下方向に延びる長穴320eが設けられており、第一部材310のシャフト314が、当該長穴320eを貫通している。
【0058】
なお、本実施形態では、これら天壁320a、立壁320b、および底壁320cは、アウタプレート321およびインナプレート322が重なりあって構成され、各壁において二枚のプレートが重なっている。
【0059】
ここで、図4~7を参照して、接続機構300の作動について説明する。図4に示される開状態において、シャッターカーテン110は、接続機構300を介して止水板120を吊り下げている(吊下状態)。接続機構300において、第二部材320の天壁320aが、第一部材310のシャフト314上に接している。よって、接続機構300は、吊下機構の一例であり、シャフト314が、吊下部の一例であり、天壁320aが、被吊下部の一例である。
【0060】
図5に示される閉状態において、止水板120が設置面1aと接した分、図4の開状態と比較して、シャッターカーテン110の下端110aと止水板120の天面120eとが上下方向に近付き、これに伴い、接続機構300において、第二部材320の天壁320aは、第一部材310のシャフト314上から離間している。この場合、シャッターカーテン110による接続機構300を介した止水板120の吊下状態が解除される(解除状態)。
【0061】
図6に示される閉状態では、シャッターカーテン110が図5よりも下方へ移動し、シャッターカーテン110の下端110aと設置面1aとの距離が、図5の場合の距離よりも短くなっている。これに伴い、第二部材320の天壁320aは、第一部材310の天壁310aの下に接している。この場合、シャッターカーテン110からの荷重が、第二部材320を介して止水板120に伝達される。よって、第二部材320は、伝達部材の一例である。また、この場合、シャッターカーテン110からの荷重は、天壁320a、立壁320b、および底壁320cを介して、止水板120に伝達される。よって、天壁320a、立壁320b、および底壁320cは、伝達部位の一例である。図6に示される接続機構300の状態は、伝達状態や、加重状態、伝達開始状態、加重開始状態等と称される。
【0062】
図6に示されるような、第一部材310の天壁310aと第二部材320の天壁320aとの当接は、止水板120が閉位置Pcにある状態でのシャッターカーテン110の下降に伴って、図5に示される上下方向の隙間Gが無くなった時点で、生じる。したがって、第二部材320は、シャッターカーテン110の下端110aと設置面1a(図6には不図示)との距離が、図6の状態での距離Lth以下である場合に、伝達部材として機能する。距離Lthは、所定距離の一例であり、閾値とも称される。
【0063】
また、図6よりもさらにシャッターカーテン110が下降した図7に示される状態では、第二部材320の立壁320bは、シャッターカーテン110からの下方への荷重と、止水板120からの上方への反力を受けて撓み、屋内方向または屋外方向に凸または凹となる状態に屈曲している、言い換えると座屈している。また、シャッター100には、この場合の立壁320bの変形は、塑性変形とならず、弾性変形となるよう、シャッターカーテン110と止水板120との所定距離以上の相対的な近接を制限するストッパ機構400が設けられている。具体的には、例えば、第一部材310の下方の端部310fと、止水板120の立壁121fの先端とが、上下方向に重なっており、端部310fと立壁121fとの干渉によって、シャッターカーテン110の下方変位が制限されるよう、構成されている。よって、端部310fおよび立壁121fは、シャッターカーテン110の下方変位を制限するストッパ機構400の一例であり、端部310fは、シャッターカーテン110に設けられた第一ストッパの一例であり、立壁121fは、止水板120に設けられた第二ストッパの一例である。また、第二部材320の立壁320bは、延部の一例である。図7に示される接続機構300の状態は、伝達状態や、撓み状態等と称される。
【0064】
また、図8は、第二部材320の正面図である。図7に示されるように、第二部材320は、幅方向に並んだ複数のアウタプレート321と幅方向に並んだ複数のインナプレート322と、を有している。図7から明らかとなるように、アウタプレート321とインナプレート322とは、幅方向に互いにずれて重なっている。これにより、互いに隣接するアウタプレート321間の境界B1は、インナプレート322によって覆われるとともに、互いに隣接するインナプレート322間の境界B2は、アウタプレート321によって覆われている。アウタプレート321は、第一板状部材の一例であり、インナプレート322は、第二板状部材の一例である。
【0065】
以上、説明したように、本実施形態では、接続機構300(吊下機構)は、第一部材310(第一部位)と第二部材320(第二部位)とを有し、止水板120が設置面1aから離間した開状態(図4)ではシャッターカーテン110が第一部材310および第二部材320を介して止水板120を吊り下げた吊下状態となり、止水板120が設置面1aに接した閉状態(図5~7)ではシャッターカーテン110による第一部材310および第二部材320を介した止水板120の吊り下げが解除された解除状態となる。このような構成によれば、例えば、閉状態では、接続機構300において、シャッターカーテン110による第一部材310および第二部材320を介した止水板120の吊下状態が解除されるので、閉状態においてシャッターカーテン110が止水板120の上に載ることにより撓むのを抑制することができる。
【0066】
また、本実施形態では、例えば、第一部材310は、シャフト314(吊下部)を有し、第二部材320は、開状態にあってはシャフト314上に接し閉状態にあってはシャフト314から上方に離間する天壁320a(被吊下部)を有する。このような構成によれば、例えば、吊下機構を、比較的簡単な構成によって実現することができる。なお、吊下部および被吊下部の構成は、これには限定されない。
【0067】
また、本実施形態では、例えば、第二部材320(伝達部材)は、閉状態においてシャッターカーテン110の下端110aと設置面1aとの距離が距離Lth(所定距離、図6参照)以下である状態(図6,7)において、シャッターカーテン110と止水板120との間に介在し、シャッターカーテン110からの荷重を止水板120に伝達する。このような構成によれば、例えば、シャッターカーテン110の自重のようなシャッターカーテン110からの荷重を、第二部材320を介して止水板120に伝達することができ、これにより、例えば、止水板120と設置面1aとの間のシール部材の面圧が高まり、当該シール部材によるシール性をより高めることができる。
【0068】
また、本実施形態では、例えば、第二部材320(一方の部位)が、天壁320a、立壁320b、および底壁320c(伝達部位)を含む。このような構成によれば、例えば、第一部材310および第二部材320と伝達部位とをそれぞれ別個に備えた構成に比べて、構成をより簡素化したり、より小型化したりすることができる。
【0069】
また、本実施形態では、例えば、立壁310b(伝達部位の少なくとも一部)は、シャッターカーテン110からの荷重によって上下方向と交差する方向に凸または凹となる状態に弾性的に曲がる。このような構成によれば、例えば、立壁310bの弾性的な撓みによって、シャッターカーテン110の撓みを抑制することができる。
【0070】
また、本実施形態では、例えば、第二部材320は、上下方向に延びる板状の形状を有した立壁320b(延部)を含む。このような構成によれば、例えば、立壁320bを、シャッターカーテン110から受けた荷重によって弾性的に撓む伝達部位とすることができ、伝達部材を比較的簡素な構成によって実現することができる。
【0071】
また、本実施形態では、例えば、第二部材320は、それぞれ屈曲部320dを有し互いに厚さ方向に重ねられたアウタプレート321(第一板状部材、複数の板状部材のうちの一つ)およびインナプレート322(第二板状部材、複数の板状部材のうちの一つ)を有する。このような構成によれば、例えば、屈曲部320dにおいて、より厚い一枚の板状部材が曲げられた構成に比べて、当該屈曲部320dの曲率半径をより小さくすることができ、第二部材320ひいてはシャッター100(止水板付きシャッター)を、より小型化することができる。また、第一部材310あるいは第二部材320を板状部材のプレス成形や折曲成形によって作ることにより、製造のコストや手間が減りやすい。
【0072】
また、本実施形態では、例えば、アウタプレート321およびインナプレート322が、互いに幅方向にずれた状態で厚さ方向(屋内方向または屋外方向)に重なっている。このような構成によれば、例えば、互いに幅方向に隣接する二つのアウタプレート321の境界B1、および互いに幅方向に隣接する二つのインナプレート322の境界B2の双方から、光が漏れるのを、抑制することができる。
【0073】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【0074】
例えば、伝達部材は、第一部材に設けられてもよい。また、第一部位を構成する部材や第二部位を構成する部材は、一つの部材によって構成されてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1…建物開口、1a…設置面、100 シャッター(止水板付きシャッター)、110 シャッターカーテン、110a…下端、120…止水板、300…接続機構(吊下機構、伝達機構)、310…第一部材(第一部位)、314…シャフト(吊下部)、320…第二部材(第二部位、伝達部材)、320a…天壁(被吊下部、伝達部位)、320b…立壁(伝達部位、延部)、320c…底壁(伝達部位)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8