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特許7261657ミリ波レーダー部材用熱可塑性樹脂組成物、成形体並びに樹脂組成物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】ミリ波レーダー部材用熱可塑性樹脂組成物、成形体並びに樹脂組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/02 20060101AFI20230413BHJP
   C08L 51/04 20060101ALI20230413BHJP
   C08L 25/08 20060101ALI20230413BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20230413BHJP
   C08K 7/14 20060101ALI20230413BHJP
   C08J 5/00 20060101ALI20230413BHJP
   C08J 3/20 20060101ALI20230413BHJP
   G01S 7/03 20060101ALI20230413BHJP
   H01Q 1/42 20060101ALN20230413BHJP
   G01S 13/93 20200101ALN20230413BHJP
【FI】
C08L67/02
C08L51/04
C08L25/08
C08L63/00 A
C08K7/14
C08J5/00 CFD
C08J3/20 Z
G01S7/03 246
H01Q1/42
G01S13/93
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019094719
(22)【出願日】2019-05-20
(65)【公開番号】P2020189898
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】594137579
【氏名又は名称】三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】庄司 英和
【審査官】吉田 早希
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-189584(JP,A)
【文献】特開2019-044066(JP,A)
【文献】特開2011-127062(JP,A)
【文献】特開2012-119929(JP,A)
【文献】特開2003-224414(JP,A)
【文献】特開2016-121334(JP,A)
【文献】特開2018-159003(JP,A)
【文献】特開2013-131576(JP,A)
【文献】特開2004-312696(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0161468(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/00 - 59/72
C08K 3/00 - 13/08
C08L 1/00 - 101/14
C08J 3/00 - 3/28
G01S 7/00 - 7/42
G01S 13/00 - 13/95
H01Q 1/00 - 1/10
H01Q 1/27 - 1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、(B)ゴム強化ポリスチレン系樹脂15~65質量部、(C)スチレン-無水マレイン酸共重合体10~60質量部、(D)エポキシ化合物0.1~3質量部、(E)ガラス繊維30~150質量部を含有することを特徴とするミリ波レーダー部材用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
(E)ガラス繊維の収束剤または表面処理剤が、ノボラック型エポキシである請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体。
【請求項4】
成形体の比誘電率が3.50以下である請求項3に記載の成形体。
【請求項5】
少なくとも10個以上の成形体における比誘電率の最大値と最小値の差が0.07以下である請求項3または4に記載の成形体。
【請求項6】
成形体がミリ波レーダー部材である請求項3~5のいずれかに記載の成形体。
【請求項7】
請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物を二軸混練押出機により製造する方法であって、少なくとも前記(A)~(C)成分は二軸混練押出機の根元に供給し、(E)ガラス繊維はサイドフィードし且つスクリュー混練温度200℃以下の条件で混練されることを特徴とするミリ波レーダー部材用熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミリ波レーダー部材用熱可塑性樹脂組成物、成形体並びに樹脂組成物の製造方法に関し、詳しくは、比誘電率が低く、得られた成形体の比誘電率のバラツキが小さく、低反り性と外観性に優れ、且つ強度と剛性にも優れたミリ波レーダー部材用熱可塑性樹脂組成物及びそれからなる成形体、並びに樹脂組成物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ミリ波レーダーは、ミリ波帯の電波を発信し、発信されたミリ波が障害物に衝突して戻ってくる反射波を受信して障害物の存在を検知するものであり、障害物を検知する他の方法(光学系のレーザーレーダーやカメラなど)に比べて、雨、霧、逆光などの影響を受けにくいことから、視界の効かない夜間や悪天候時に強いという特徴があり、自動車の衝突防止用センサー、運転支援システム、自動運転システム、或いは道路情報提供システムなどへ応用されている。
【0003】
ミリ波レーダーは、内部にアンテナユニットが組み込まれ、送受信アンテナの前面には、アンテナ面を保護するためにミリ波レーダー用カバーが取り付けられている。ミリ波レーダー用カバーは、ミリ波透過性が十分でないと、送受信アンテナからの発信ミリ波及び反射波が低減することにより、障害物等を精度良く検知することができず、ミリ波レーダーとしての要求性能を満たし得なくなる。ミリ波透過性を低くするためには、比誘電率が低いことが求められる。
【0004】
特許文献1には、ポリブチレンテレフタレート樹脂とガラス転移温度が100℃以上である環状オレフィン樹脂からなるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物が、ミリ波用レドームとして好適であることを記載されている。しかしながら、このような環状オレフィン樹脂を配合したポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、近年のミリ波レーダー部材用の材料としては更なる改良が必要である。
【0005】
特に最近では、ミリ波レーダー部材用の樹脂材料には極めて高いレベルの性能が求められており、比誘電率が低い等の誘電性能が優れるだけではなく、低反り性と外観性に優れること、強度と剛性にも優れることが要求されている。また、成形して得られた成形体の性能にバラツキがないことが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-43942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的(課題)は、比誘電率が低く、得られた成形体の比誘電率のバラツキが小さく、低反り性と外観性に優れ、且つ強度と剛性にも優れたミリ波レーダー部材用熱可塑性樹脂組成物及びそれからなる成形体、並びにミリ波レーダー部材用熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記した課題を解決するため鋭意検討した結果、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ゴム強化ポリスチレン系樹脂、スチレン-無水マレイン酸共重合体、エポキシ化合物及びガラス繊維をそれぞれ特定の量で組み合わせて含有する熱可塑性樹脂組成物が、上記課題を解決することを見出し、本発明に到達した。
本発明は、以下のミリ波レーダー部材用熱可塑性樹脂組成物、それからなる成形体および熱可塑性樹脂組成物の製造方法に関する。
【0009】
[1](A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、(B)ゴム強化ポリスチレン系樹脂15~65質量部、(C)スチレン-無水マレイン酸共重合体10~60質量部、(D)エポキシ化合物0.1~3質量部、(E)ガラス繊維30~150質量部を含有することを特徴とするミリ波レーダー部材用熱可塑性樹脂組成物。
[2](E)ガラス繊維の収束剤または表面処理剤が、ノボラック型エポキシである上記[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3]上記[1]または[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体。
[4]成形体の比誘電率が3.50以下である上記[3]に記載の成形体。
[5]少なくとも10個以上の成形体における比誘電率の最大値と最小値の差が0.07以下である上記[3]または[4]に記載の成形体。
[6]成形体がミリ波レーダー部材である上記[3]~[5]のいずれかに記載の成形体。
[7]上記[1]または[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物を二軸混練押出機により製造する方法であって、少なくとも前記(A)~(C)成分は二軸混練押出機の根元に供給し、(E)ガラス繊維はサイドフィードし且つスクリュー混練温度200℃以下の条件で混練されることを特徴とするミリ波レーダー部材用熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明のミリ波レーダー部材用熱可塑性樹脂組成物は、比誘電率が低く、得られた成形体の比誘電率のバラツキが小さく、低反り性と外観性に優れ、且つ強度と剛性にも優れるので、ミリ波レーダー用の部材として、好適に使用できる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法によれば、比誘電率が低く、得られた成形体の比誘電率のバラツキが小さく、低反り性と外観性に優れ、且つ強度と剛性にも優れるミリ波レーダー部材用熱可塑性樹脂組成物を容易に安定して製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。以下に記載する説明は実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定して解釈されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いてその前後を数値又は物性値等で挟んで範囲を示す場合、その前後の値を含む範囲を意味する。
【0012】
本発明のミリ波レーダー部材用熱可塑性樹脂組成物は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、(B)ゴム強化ポリスチレン系樹脂15~65質量部、(C)スチレン-無水マレイン酸共重合体10~60質量部、(D)エポキシ化合物0.1~3質量部、(E)ガラス繊維30~150質量部を含有することを特徴とする。
【0013】
[(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂を含有する。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸単位及び1,4-ブタンジオール単位がエステル結合した構造を有するポリエステル樹脂であって、ポリブチレンテレフタレート樹脂(ホモポリマー)の他に、テレフタル酸単位及び1,4-ブタンジオール単位以外の、他の共重合成分を含むポリブチレンテレフタレート共重合体や、ホモポリマーと当該共重合体との混合物を含む。
【0014】
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸以外のジカルボン酸単位を含んでいてもよく、他のジカルボン酸の具体例としては、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ビフェニル-2,2’-ジカルボン酸、ビフェニル-3,3’-ジカルボン酸、ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸、ビス(4,4’-カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類、1,4-シクロへキサンジカルボン酸、4,4’-ジシクロヘキシルジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸類、および、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸類等が挙げられる。
【0015】
ジオール単位としては、1,4-ブタンジオールの外に他のジオール単位を含んでいてもよく、他のジオール単位の具体例としては、炭素原子数2~20の脂肪族又は脂環族ジオール類、ビスフェノール誘導体類等が挙げられる。具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノ一ル、4,4’-ジシクロヘキシルヒドロキシメタン、4,4’-ジシクロヘキシルヒドロキシプロパン、ビスフェノ一ルAのエチレンオキシド付加ジオール等が挙げられる。また、上記のような二官能性モノマー以外に、分岐構造を導入するためトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の三官能性モノマーや分子量調節のため脂肪酸等の単官能性化合物を少量併用することもできる。
【0016】
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、上記した通り、テレフタル酸と1,4-ブタンジオールとを重縮合させたポリブチレンテレフタレート単独重合体が好ましいが、また、カルボン酸単位として、前記のテレフタル酸以外のジカルボン酸1種以上及び/又はジオール単位として、前記1,4-ブタンジオール以外のジオール1種以上を含むポリブチレンテレフタレート共重合体であってもよく、ポリブチレンテレフタレート樹脂が、共重合により変性したポリブチレンテレフタレート樹脂である場合、その具体的な好ましい共重合体としては、ポリアルキレングリコール類、特にはポリテトラメチレングリコールを共重合したポリエステルエーテル樹脂や、ダイマー酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂、イソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂が挙げられる。中でも、ポリテトラメチレングリコールを共重合したポリエステルエーテル樹脂を用いることが好ましい。
なお、これらの共重合体は、共重合量が、ポリブチレンテレフタレート樹脂全セグメント中の1モル%以上、50モル%未満のものをいう。中でも、共重合量が好ましくは2モル%以上50モル%未満、より好ましくは3~40モル%、特に好ましくは5~20モル%である。このような共重合割合とすることにより、流動性、靱性、耐トラッキング性が向上しやすい傾向にあり、好ましい。
【0017】
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、末端カルボキシル基量は、適宜選択して決定すればよいが、通常、60eq/ton以下であり、50eq/ton以下であることが好ましく、30eq/ton以下であることがさらに好ましい。50eq/tonを超えると、耐アルカリ性及び耐加水分解性が低下し、また樹脂組成物の溶融成形時にガスが発生しやすくなる。末端カルボキシル基量の下限値は特に定めるものではないが、ポリブチレンテレフタレート樹脂の製造の生産性を考慮し、通常、10eq/tonである。
【0018】
なお、ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基量は、ベンジルアルコール25mLにポリアルキレンテレフタレート樹脂0.5gを溶解し、水酸化ナトリウムの0.01モル/lベンジルアルコール溶液を用いて滴定により測定する値である。末端カルボキシル基量を調整する方法としては、重合時の原料仕込み比、重合温度、減圧方法などの重合条件を調整する方法や、末端封鎖剤を反応させる方法等、従来公知の任意の方法により行えばよい。
【0019】
ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、0.5~2dl/gであるのが好ましい。成形性及び機械的特性の点からして、0.6~1.5dl/gの範囲の固有粘度を有するものがより好ましい。固有粘度が0.5dl/gより低いものを用いると、得られる樹脂組成物が機械強度の低いものとなりやすい。また2dl/gより高いものでは、樹脂組成物の流動性が悪くなり成形性が悪化する場合がある。
なお、ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、テトラクロロエタンとフェノールとの1:1(質量比)の混合溶媒中、30℃で測定する値である。
【0020】
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分又はこれらのエステル誘導体と、1,4-ブタンジオールを主成分とするジオール成分を、回分式又は連続式で溶融重合させて製造することができる。また、溶融重合で低分子量のポリブチレンテレクタレート樹脂を製造した後、さらに窒素気流下又は減圧下固相重合させることにより、重合度(又は分子量)を所望の値まで高めることもできる。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と1,4-ブタンジオールを主成分とするジオール成分とを、連続式で溶融重縮合する製造法で得られたものが好ましい。
【0021】
エステル化反応を遂行する際に使用される触媒は、従来から知られているものであってよく、例えば、チタン化合物、錫化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等を挙げることができる。これらの中で特に好適なものは、チタン化合物である。エステル化触媒としてのチタン化合物の具体例としては、例えば、テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタンアルコラート、テトラフェニルチタネート等のチタンフェノラート等を挙げることができる。
【0022】
[(B)ゴム強化ポリスチレン系樹脂]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(B)ゴム強化ポリスチレン系樹脂を含有する。
ゴム強化ポリスチレン系樹脂は、ゴム質重合体をポリスチレン中に混合したものである。混合方法としては、(1)両者を機械的にブレンドする方法、(2)ゴム質重合体の存在下にスチレン系単量体などをグラフト共重合させる、いわゆるグラフト共重合方法、(3)上記(2)のグラフト共重合体に別方法によって製造した一般用ポリスチレンを混合する、いわゆるグラフト-ブレンド方法、などが挙げられる。ポリスチレンとゴム質重合体との相溶性、親和性の観点からは、(2)の方法によって得られたグラフト共重合体あるいは、(3)の方法によって得られたグラフト-ブレンド物が好適である。
【0023】
ゴム強化ポリスチレン系樹脂をグラフト共重合方法によって製造する方法としては、ゴムの存在下、スチレン系単量体などを乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法などでグラフト重合する方法が挙げられる。このような、ゴム変性ポリスチレン樹脂は、一般にハイインパクトポリスチレン(HIPS)と呼ばれている。
【0024】
ゴム強化ポリスチレン系樹脂中に含まれるゴム質重合体としては、具体的には、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエン共重合体、水素添加スチレン-ブタジエンブロック共重合体などの共役ジエン系ゴム、エチレン-プロピレン系共重合体などの非共役ジエン系ゴムが挙げられる。これらの中では、ポリプタジェンが好ましい。
【0025】
ゴム強化ポリスチレン系樹脂を構成するスチレン系単量体としては、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ブロモスチレンなどが挙げられる。これらの中でもスチレンおよび/またはα-メチルスチレンが最適である。スチレン系以外の単量体としては、アクリロニトリル、メチルメタクリレートなどのビニル系単量体が挙げられる。
【0026】
ゴム強化ポリスチレン系樹脂中のゴム質重合体成分の含有率は、1~50質量%の範囲が好ましく、より好ましくは2~40質量%、さらに好ましくは3~30質量%である。また、スチレン系単量体以外の単量体成分を含む場合、ゴム強化ポリスチレン系樹脂中のゴム質重合体成分およびスチレン系単量体成分含有率の和は、90質量%以上とするのが望ましく、さらに好ましくは95質量%以上である。
【0027】
ゴム強化ポリスチレン系樹脂の分子量を反映するMFRとしては、温度200℃、荷重5kgの条件下での測定値が、0.5~15g/10分の範囲が好ましく、さらに好ましくは1.0~10g/10分の範囲である。MFRが上記範囲外にあると、ポリブチレンテレフタレート樹脂との溶融混練の際、十分に相溶せず、生成物の物性が低下する場合がある。
【0028】
(B)ゴム強化ポリスチレン系樹脂の含有量は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、15~65質量部であり、好ましくは20質量部以上、より好ましくは30質量部以上、さらに好ましくは40質量部以上であり、また、好ましくは60質量部以下、より好ましくは55質量部以下である。このような量で、所定量の(C)スチレン-無水マレイン酸共重合体、(D)エポキシ化合物および(E)ガラス繊維と、共に配合することにより、誘電特性に優れ、また、低反り性、外観性、強度と剛性にも優れた樹脂組成物とすることができる。
【0029】
[(C)スチレン-無水マレイン酸共重合体]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は(C)スチレン-無水マレイン酸共重合体を含有する。
スチレン-無水マレイン酸共重合体は、スチレン単量体と無水マレイン酸単量体の共重合体であり、製造方法として乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法、ラジカル重合などの既知の重合方法が可能である。
【0030】
スチレン-無水マレイン酸共重合体の分子量等は特に制限されるものではないが、重量平均分子量Mwとしては、好ましくは10000~500000、より好ましくは40000~400000、さらに好ましくは80000~350000である。
ここで、重量平均分子量Mwは、溶媒としてテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の質量平均分子量である。
また、スチレン-無水マレイン酸共重合体のガラス転移温度Tgは、100~165℃の範囲にあることが好ましい。
【0031】
スチレン-無水マレイン酸共重合体中の無水マレイン酸の含有率は、1~20質量%の範囲で選ぶのが好ましい。無水マレイン酸の量が20質量%を超えると、ポリブチレンテレフタレート樹脂と過度に反応し、架橋により粘度を増加させることがある。
【0032】
スチレン-無水マレイン酸共重合体には、本発明の特性を損なわない範囲で他の単量体成分を共重合可能であり、具体例としてα-メチルスチレンなどの芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体、メタクリル酸メチルやアクリル酸メチルなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体などが挙げられ、これらは1種または2種以上を用いることができる。
【0033】
(C)スチレン-無水マレイン酸共重合体としては、SMA樹脂とも呼ばれるスチレン-無水マレイン酸共重合体が好ましい。
【0034】
(C)スチレン-無水マレイン酸共重合体の含有量は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、10~60質量部であり、好ましくは13質量部以上、より好ましくは15質量部以上であり、また、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下である。このような量で、所定量の(B)ゴム強化ポリスチレン系樹脂、(D)エポキシ化合物および(E)ガラス繊維と、共に配合することにより、誘電特性に優れ、また、低反り性、外観性、強度と剛性にも優れた樹脂組成物とすることができる。
【0035】
[(D)エポキシ化合物]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は(D)エポキシ化合物を含有する。
エポキシ化合物としては、1分子中に1個以上のエポキシ基を有するものであればよく、通常はアルコール、フェノール類又はカルボン酸等とエピクロロヒドリンとの反応物であるグリシジル化合物や、オレフィン性二重結合をエポキシ化した化合物を用いればよい。
エポキシ化合物としては、例えば、ノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、グリシジルエーテル類、グリシジルエステル類、エポキシ化ブタジエン重合体、レゾルシン型エポキシ化合物等が挙げられる。
【0036】
ノボラック型エポキシ化合物としては、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物等を例示できる。
ビスフェノールA型エポキシ化合物としては、ビスフェノールA-ジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA-ジグリシジルエーテル等が挙げられ、ビスフェノールF型エポキシ化合物としては、ビスフェノールF-ジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールF-ジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0037】
脂環式エポキシ化合物の例としては、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンオキシド、3,4-エポキシシクロヘキシル-3,4-シクロヘキシルカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、3,4-エポキシシクロヘキシルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0038】
グリシジルエーテル類の具体例としては、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のモノグリシジルエーテル;ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のジグリシジルエーテル類が挙げられる。
【0039】
グリシジルエステル類としては、安息香酸グリシジルエステル、ソルビン酸グリシジルエステル等のモノグリシジルエステル類;アジピン酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、オルトフタル酸ジグリシジルエステル等のジグリシジルエステル類等が挙げられる。
【0040】
エポキシ化ブタジエン重合体としては、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン-ブタジエン系共重合体、エポキシ化水素化スチレン-ブタジエン系共重合体等を例示できる。
レゾルシン型エポキシ化合物としてはレゾルシンジグリシジルエーテル等が例示できる。
【0041】
また、エポキシ化合物は、グリシジル基含有化合物を一方の成分とする共重合体であってもよい。例えばα,β-不飽和酸のグリシジルエステルと、α-オレフィン、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステルからなる群より選ばれる一種または二種以上のモノマーとの共重合体が挙げられる。
【0042】
エポキシ化合物としては、エポキシ当量50~10000g/eq、重量平均分子量8000以下のエポキシ化合物が好ましい。エポキシ当量が50g/eq未満のものは、エポキシ基の量が多すぎるため樹脂組成物の粘度が高くなり、逆にエポキシ当量が10000g/eqを超えるものは、エポキシ基の量が少なくなるため、熱可塑性樹脂組成物の耐アルカリ性、耐加水分解性を向上させる効果が十分に発現しにくい傾向にある。エポキシ当量は、より好ましくは100~7000g/eqであり、さらに好ましくは100~5000g/eqであり、最も好ましくは100~3000g/eqである。
また、重量平均分子量が8000を超えるものは、ポリブチレンテレフタレート樹脂との相溶性が低下し、成形体の機械的強度が低下する傾向にある。重量平均分子量は、より好ましくは7000以下であり、さらに好ましくは6000以下である。
【0043】
エポキシ化合物としては、ビスフェノールAやノボラックとエピクロロヒドリンとの反応から得られる、ビスフェノールA型エポキシ化合物やノボラック型エポキシ化合物が、耐アルカリ性が向上しやく、また、耐加水分解性、成形体の表面外観の点から特に好ましい。
【0044】
(C)エポキシ化合物の含有量は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、0.1~3質量部であり、0.2質量部以上が好ましく、より好ましく0.3質量部以上、さらには0.35質量部以上が好ましい。また、2.5質量部以下が好ましく、2質量部以下がより好ましく、さらには1.5質量部以下、特に1質量部以下が好ましい。エポキシ化合物をこのような量で含有することで、ポリブチレンテレフタレート樹脂の加水分解による分子量低下と機械的強度等の低下することができ、所定量の(B)ゴム強化ポリスチレン系樹脂、(C)スチレン-無水マレイン酸共重合体および(E)ガラス繊維と、共に配合することにより、誘電特性に優れ、また、低反り性、外観性、強度と剛性にも優れた樹脂組成物とすることができる。エポキシ化合物の含有量が0.1質量部未満では、耐アルカリ性の低下や耐加水分解性の低下が発生しやすく、3質量部より多いと架橋化が進行し成形時の流動性が悪くなりやすい。
【0045】
さらに、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端COOH基に対する(D)エポキシ化合物のエポキシ基の当量比(エポキシ基/COOH基)は、0.2~2.7の範囲にあることが好ましい。当量比が0.2を下回ると耐加水分解性が悪くなりやすく、2.7を上回ると成形性が不安定となりやすい。エポキシ基/COOH基は、より好ましくは0.3以上であり、2.5以下である。
【0046】
[(E)ガラス繊維]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、(E)ガラス繊維を含有する。
ガラス繊維としては、通常熱可塑性ポリエステル樹脂に使用されているものであれば、Aガラス、Eガラス、ジルコニア成分含有の耐アルカリガラス組成のもの等が使用できるが、樹脂組成物の熱安定性を向上させる目的から無アルカリガラス(Eガラス)が好ましい。
また、チョツプドストランド、ロービングガラス、熱可塑性樹脂とガラス繊維のマスターバッチ等の配合時のガラス繊維の形態を問わず、公知のいかなるガラス繊維も使用可能であるが、通常はこれらの繊維を多数本集束したものを、所定の長さに切断したチョップドストランドガラス繊維(チョップドガラス繊維)として用いることが好ましい。
【0047】
ガラス繊維の平均繊維径は3~20μmであることが好ましく、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは7μm以上であり、より好ましくは18μm以下であり、15μm以下であることがさらに好ましい。また、繊維長は好ましくは0.3~10mm、より好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは1mm以上であり、より好ましくは8mm以下、さらに好ましくは5mm以下である。
【0048】
ガラス繊維は、集束剤や表面処理剤により処理がなされていてもよい。また、本発明の樹脂組成物製造時に、未処理のガラス繊維とは別に、集束剤や表面処理剤を添加し、表面処理してもよい。
【0049】
集束剤あるいは表面処理剤としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂などの樹脂エマルジョン等が挙げられる。
また、例えば、ノボラック型等のエポキシ樹脂、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂等のエポキシ系化合物、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン系化合物、ビニルトリクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン等のクロロシラン系化合物、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン系化合物、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン系化合物、アクリル系化合物、イソシアネート系化合物、チタネート系化合物などが挙げられる。
集束剤または表面処理剤としては、上記の中でも、ノボラック型のエポキシ樹脂、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂が好ましく、中でもノボラック型エポキシ樹脂が特に好ましい。
【0050】
これらの集束剤や表面処理剤は2種以上を併用してもよく、その使用量(付着量)は、ガラス繊維の質量に対し、通常10質量%以下、好ましくは0.05~5質量%である。付着量を10質量%以下とすることにより、必要十分な効果が得られ、経済的である。
【0051】
ガラス繊維は、要求される特性に応じて2種以上を併用してもよい。
【0052】
(E)ガラス繊維の含有量は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、30~150質量部、好ましくは40質量部以上、より好ましくは50質量部以上であり、また、好ましくは120質量部以下、より好ましくは100質量部以下である。このような範囲で含有することにより得られた成形体の強度や耐熱性の向上、収縮率の低減効果を高めることができ、含有量が150質量部を超えると、耐衝撃性や流動性が不十分となり、成形体の表面外観が低下しやすく、また安定した生産が難しくなる。30質量部未満では強度や剛性等の向上効果が少なくなる。
【0053】
[他の無機充填材]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記したガラス繊維以外に、板状、粒状又は無定形の他の無機充填材を含有することも好ましい。板状無機充填材は、異方性及びソリを低減させる機能を発揮するものであり、タルク、ガラスフレーク、マイカ、雲母、カオリン、金属箔等が挙げられる。板状無機充填材の中で好ましいのは、ガラスフレークである。
粒状又は無定形の他の無機充填材としては、セラミックビーズ、クレー、ゼオライト、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫化亜鉛等が挙げられる。
他の無機充填材としては、特にタルク、酸化チタン、硫化亜鉛が好ましい。
【0054】
他の無機充填材を含有する場合の含有量は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、好ましくは、0.1~30質量部であり、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上であり、より好ましくは20質量部以下である。
【0055】
[安定剤]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、安定剤を含有することが、熱安定性改良や、機械的強度、透明性や色相の悪化を防止する効果を有するという点で好ましい。安定剤としては、リン系安定剤、イオウ系安定剤およびフェノール系安定剤が好ましい。
【0056】
リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜リン酸エステル(ホスファイト)、3価のリン酸エステル(ホスホナイト)、5価のリン酸エステル(ホスフェート)等が挙げられ、中でもホスファイト、ホスホナイト、ホスフェートが好ましい。
【0057】
有機ホスフェート化合物としては、好ましくは、下記一般式:
(RO)3-nP(=O)OH
(式中、Rは、アルキル基またはアリール基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。nは0~2の整数を示す。)
で表される化合物である。より好ましくは、Rが炭素原子数8~30の長鎖アルキルアシッドホスフェート化合物が挙げられる。炭素原子数8~30のアルキル基の具体例としては、オクチル基、2-エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、トリアコンチル基等が挙げられる。
【0058】
長鎖アルキルアシッドホスフェートとしては、例えば、オクチルアシッドホスフェート、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、デシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、オクタデシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、ベヘニルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、ノニルフェニルアシッドホスフェート、シクロヘキシルアシッドホスフェート、フェノキシエチルアシッドホスフェート、アルコキシポリエチレングリコールアシッドホスフェート、ビスフェノールAアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスフェート、ジエチルアシッドホスフェート、ジプロピルアシッドホスフェート、ジイソプロピルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジ-2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジラウリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート、ジフェニルアシッドホスフェート、ビスノニルフェニルアシッドホスフェート等が挙げられる。これらの中でも、オクタデシルアシッドホスフェートが好ましく、このものはADEKA社の商品名「アデカスタブ AX-71」として、市販されている。
【0059】
有機ホスファイト化合物としては、好ましくは、下記一般式:
O-P(OR)(OR
(式中、R、R及びRは、それぞれ水素原子、炭素原子数1~30のアルキル基または炭素原子数6~30のアリール基であり、R、R及びRのうちの少なくとも1つは炭素原子数6~30のアリール基である。)
で表される化合物が挙げられる。
【0060】
有機ホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジラウリルハイドロジェンホスファイト、トリエチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(2-エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、モノフェニルジデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、水添ビスフェノールAフェノールホスファイトポリマー、ジフェニルハイドロジェンホスファイト、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェニルジ(トリデシル)ホスファイト)、テトラ(トリデシル)4,4’-イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジラウリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(4-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、水添ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイトポリマー、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。これらの中でも、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましい。
【0061】
有機ホスホナイト化合物としては、好ましくは、下記一般式:
-P(OR)(OR
(式中、R、R及びRは、それぞれ水素原子、炭素原子数1~30のアルキル基又は炭素原子数6~30のアリール基であり、R、R及びRのうちの少なくとも1つは炭素原子数6~30のアリール基である。)
で表される化合物が挙げられる。
【0062】
有機ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4-ジ-iso-プロピルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-n-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-iso-プロピルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-n-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、およびテトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト等が挙げられる。
【0063】
イオウ系安定剤としては、従来公知の任意のイオウ原子含有化合物を用いることが出来、中でもチオエーテル類が好ましい。具体的には例えば、ジドデシルチオジプロピオネート、ジテトラデシルチオジプロピオネート、ジオクタデシルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-ドデシルチオプロピオネート)、チオビス(N-フェニル-β-ナフチルアミン)、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、テトラメチルチウラムモノサルファイド、テトラメチルチウラムジサルファイド、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルイソプロピルキサンテート、トリラウリルトリチオホスファイトが挙げられる。これらの中でも、ペンタエリスリトールテトラキス(3-ドデシルチオプロピオネート)が好ましい。
【0064】
フェノール系安定剤としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-ネオペンチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)等が挙げられる。これらの中でも、ペンタエリスリト-ルテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。
【0065】
安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
【0066】
安定剤の含有量は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、好ましくは0.001~2質量部である。安定剤の含有量が0.001質量部未満であると、樹脂組成物の熱安定性や相溶性の改良が期待しにくく、成形時の分子量の低下や色相悪化が起こりやすく、2質量部を超えると、過剰量となりシルバーの発生や、色相悪化が更に起こりやすくなる傾向がある。安定剤の含有量は、より好ましくは0.01~1.5質量部であり、更に好ましくは、0.1~1質量部である。
【0067】
[離型剤]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、離型剤を含有することが好ましい。離型剤としては、ポリエステル樹脂に通常使用される既知の離型剤が利用可能であるが、中でも、耐アルカリ性が良好な点で、ポリオレフィン系化合物、脂肪酸エステル系化合物が好ましい。
【0068】
ポリオレフィン系化合物としては、パラフィンワックス及びポリエチレンワックスから選ばれる化合物が挙げられ、中でも、重量平均分子量が、700~10000、更には900~8000のものが好ましい。
【0069】
脂肪酸エステル系化合物としては、飽和又は不飽和の1価又は2価の脂肪族カルボン酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類等の脂肪酸エステル類やその部分鹸化物等が挙げられる。中でも、炭素数11~28、好ましくは炭素数17~21の脂肪酸とアルコールで構成されるモノ又はジ脂肪酸エステルが好ましい。
【0070】
脂肪酸としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸等が挙げられる。また、脂肪酸は、脂環式であってもよい。
アルコールとしては、飽和又は不飽和の1価又は多価アルコールを挙げることができる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の1価又は多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族飽和1価アルコール又は多価アルコールが更に好ましい。ここで脂肪族とは、脂環式化合物も含有する。
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2-ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
なお、上記のエステル化合物は、不純物として脂肪族カルボン酸及び/又はアルコールを含有していてもよく、複数の化合物の混合物であってもよい。
【0071】
脂肪酸エステル系化合物の具体例としては、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンジベヘネート、グリセリン-12-ヒドロキシモノステアレート、ソルビタンモノベヘネート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリストールジステアレート、ステアリルステアレート、エチレングリコールモンタン酸エステル等が挙げられる。
【0072】
離型剤の含有量は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1~3質量部であるが、0.2~2.5質量部であることがより好ましく、更に好ましくは0.3~2質量部である。0.1質量部未満であると、溶融成形時の離型不良により表面性が低下しやすく、一方、3質量部を超えると、樹脂組成物の練り込み作業性が低下しやすく、また成形体表面に曇りが生じやすい。
【0073】
[カーボンブラック]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、カーボンブラックを含有することが好ましい。
カーボンブラックは、その種類、原料種、製造方法に制限はなく、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のいずれをも使用することができる。その数平均粒径には特に制限はないが、5~60nm程度であることが好ましい。
【0074】
カーボンブラックは、熱可塑性樹脂、好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂、特にはポリブチレンテレフタレート樹脂と予め混合したマスターバッチとして配合されることが好ましい。
【0075】
カーボンブラックの含有量は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、好ましくは0.1~4質量部、より好ましくは0.2~3質量部である。0.1質量部未満では、所望の色が得られなかったり、耐候性改良効果が十分でない場合があり、4質量部を超えると、機械的物性が低下する場合がある。
【0076】
[その他含有成分]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記した(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂、(B)ゴム強化ポリスチレン系樹脂、及び(C)スチレン-無水マレイン酸共重合体以外の他の熱可塑性樹脂を、本発明の効果を損わない範囲で含有することができる。その他の熱可塑性樹脂としては、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
ただし、その他の樹脂を含有する場合の含有量は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、20質量部以下とすることが好ましく、10質量部以下がより好ましく、さらには5質量部以下、特には3質量部以下とすることが好ましい。
【0077】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前記した以外の種々の添加剤を含有していてもよく、このような添加剤としては、難燃剤、難燃助剤、滴下防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤、カーボンブラック以外の着色剤又は染顔料等が挙げられる。
【0078】
[熱可塑性樹脂組成物の製造]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前記した(A)~(E)成分、及び必要に応じて用いられる他の成分を押出機に供給し、溶融混練して混練物を押し出すことで製造する。混練物を押し出して、ペレット状の樹脂組成物とすることが好ましい。
【0079】
本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造する特に好ましい方法としては、以下の方法が挙げられる。
すなわち、押出機として二軸混練押出機を使用し、少なくとも(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂、(B)ゴム強化ポリスチレン系樹脂、(C)スチレン-無水マレイン酸共重合体は二軸混練押出機の根元(メインフィード口)に供給し、(E)ガラス繊維はサイドフィードし且つスクリュー混練温度200℃以下の条件で混練して製造する方法である。
【0080】
二軸混練押出機は、シリンダーと、シリンダー内に2本のスクリューを有し、シリンダーは、メインフィード口と、このメインフィード口よりも押出方向下流側にサイドフィード口が設けられたものを使用する。シリンダーには1箇所以上にベント部が設けられたものが好ましい。
そして(A)~(C)の樹脂成分は押出機の根元にあるメインフィード口から供給し、(E)ガラス繊維は、押出機のサイドフィード口から供給する。(D)エポキシ化合物はメインフィード口から供給してもよく、ガラス繊維を供給するサイドフィード口、あるいはこれとは別に設けたサイドフィード口から供給してもよい。
メインフィード口から供給された樹脂成分は第一の混練部で可塑化され、可塑化された樹脂成分には(E)ガラス繊維がスクリュー混練されるが、このスクリュー混練の際の温度は200℃以下という、通常適用される条件よりも低い温度とする。ガラス繊維をスクリュー混練する際の温度を200℃以下とすることにより、融点(あるいはTg)が低い(B)成分及び(C)成分の溶融粘度を通常より高く維持して、ガラス繊維を開繊するためのせん断力を上げることができ、ガラス繊維の開繊が十分となり樹脂組成物中に均質に分散させることができる。ガラス繊維の開繊が不十分で結集したままの未開繊物は比誘電率が高く、それが残って均一な分散ができていない状態では成形体における比誘電率のバラツキが大きくなり、また成形体の剛性も不十分となりやすく、ミリ波レーダー部材として要求性能を安定して達成できないことになる。
【0081】
ガラス繊維をスクリュー混練する際の温度は、好ましくは280℃以下、より好ましくは195℃以下、更に好ましくは190℃以下であり、好ましくは170℃以上、より好ましくは175℃以上、更に好ましくは180℃以上である。
【0082】
[成形体]
得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて成形体を製造する方法は、特に限定されず、熱可塑性樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法等が挙げられる。中でも、生産性と、得られる成形体の表面性が良好となるなど、本発明の効果が顕著であることから、射出成形法が好ましい。
【0083】
本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形体の比誘電率は好ましくは3.50以下であり、より好ましくは3.45以下、さらに好ましくは3.40以下、特に好ましくは3.35以下である。また、成形体の誘電正接は0.013以下が好ましい。比誘電率および誘電正接はいずれも70~90GHzにおける数値である。ここで成形体は、その厚みが1~5mmであることが好ましく、この厚み範囲において比誘電率および/又は誘電正接が上記の値を示すことが好ましい。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物はこれを成形した成形体の比誘電率のバラツキが少なく、少なくとも10個以上の成形体における比誘電率の最大値と最小値の差が、好ましくは0.07以下、特に好ましくは0.05以下である。
本発明では、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂、(B)ゴム強化ポリスチレン系樹脂、(C)スチレン-無水マレイン酸共重合体、(D)エポキシ化合物、及び、(E)ガラス繊維を含有する樹脂組成物から得られた成形体であって、当該成形体の70~90GHzにおける比誘電率は3.50以下が好ましく、特に3.45以下が好ましい。また、上記成形体の70~90GHzにおける誘電正接は0.013以下が好ましく、特に0.012以下が好ましい。
【0084】
得られた成形体は、比誘電率が低く、得られた成形体ごとの比誘電率のバラツキが小さく、低反り性と外観性に優れ、且つ強度と剛性にも優れるので、ミリ波レーダー部材として好適に使用される。ミリ波レーダー用部材としては、ミリ波を送信もしくは受信するアンテナモジュールを格納または保護するハウジング、アンテナカバー(レドーム)、さらにはそれらを含むミリ波レーダーモジュールとミリ波によりセンシングする対象物との経路に設置される部材(自動車のセンサーに適用する場合には、ミリ波レーダーモジュールから送受信されるミリ波の経路上に設置される、カバー、自動車外装部材、エンブレムなど)を全て含む。
【0085】
ミリ波レーダーとしては、具体的に、ブレーキ自動制御装置、車間距離制御装置、歩行者事故低減ステアリング装置、誤発信抑制制御装置、ペダル踏み間違い時加速抑制装置、接近車両注意喚起装置、車線維持支援装置、被追突防止警報装置、駐車支援装置、車両周辺障害物注意喚起装置などに用いられる車載用ミリ波レーダー;ホーム監視/踏切障害物検知装置、電車内コンテンツ伝送装置、路面電車/鉄道衝突防止装置、滑走路内異物検知装置などに用いられる鉄道・航空用ミリ波レーダー;交差点監視装置、エレベータ監視装置などの交通インフラ向けミリ波レーダー;各種セキュリティ装置向けミリ波レーダー;子供、高齢者見守りシステムなどの医療・介護用ミリ波レーダー;各種情報コンテンツ伝送用ミリ波レーダー;等を好適に挙げることができる。
【実施例
【0086】
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
以下の実施例及び比較例において、使用した成分は、以下の表1の通りである。
【0087】
【表1】
【0088】
(実施例1~3、比較例1)
上記表1に示した各成分のうち、ガラス繊維を除いた各成分を、後記表2に示す割合(全て質量部)にて、タンブラーミキサーで均一に混合した後、二軸混練押出機(日本製鋼所社製「TEX30α」、L/D=42)のメインフィード口から供給し、第一混練部のバレル温度を270℃に設定して可塑化し、ガラス繊維は表2に示す割合でサイドフィーダーより供給し、ガラス繊維添加以降のバレル温度を270℃に設定し、吐出量40kg/h、スクリュー回転数200rpmの条件で溶融混練し、混練物を押し出し、水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。実施例2を除き上記条件で混練し、スクリュー混練温度は278℃となった。
実施例2に於いてはガラス繊維添加以降のバレル温度を180℃に設定し、その他は実施例1と同様の条件で混練し、混練温度は186℃となった。
【0089】
[引張破断強度及び引張弾性率]
上記で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、日本製鋼所社製射出成形機(型締め力85T)を用いて、シリンダー温度250℃、金型温度80℃の条件で、ISO多目的試験片(4mm厚)を射出成形した。
ISO527に準拠して、上記ISO多目的試験片(4mm厚)を用いて、引張破断強度(単位:MPa)及び引張弾性率(単位:MPa)を測定した。
【0090】
[耐加水分解性:処理100時間後の引張強度保持率]
得られたペレットを、熱風乾燥機を使用して120℃で5時間乾燥した後、射出成形機(日精樹脂工業社製「NEX80」)にて、シリンダー温度250℃、金型温度80℃の条件でISO多目的試験片(4mm厚)を射出成形した。
ISO多目的試験片を用い、ISO527に準拠し、引張速度5mm/分の条件で、引張強度(処理前)を測定した(単位:MPa)。
また、ISO多目的試験片を、プレッシャークッカー(PCT)試験機(平山製作所社製)を用いて、温度121℃、相対湿度100%、圧力2atmの条件で、100時間処理し、同様に引張強度を測定し、処理前に対する処理後の強度保持率(単位:%)を算出し、耐加水分解性を評価した。
【0091】
[反り量と低反り性判定]
射出成形機(日精樹脂工業社製「NEX80-9E」)にて、シリンダー温度260℃、金型温度80℃の条件で、直径100mm、厚み1.6mmの円板をサイドゲート金型により成形し、円板の反り量(単位:mm)を求めた。
以下の基準により、低反り性の評価判定を行った。
○:反り量が1mm未満
△:反り量が1mm以上3mm未満
×:反り量が3mm以上
【0092】
[表面外観評価]
日精樹脂工業社製射出成形機「NEX80-9E」を使用し、シリンダー温度250℃、金型温度80℃にて、縦100mm×横100mm×厚み3mmの平板を成形し、表面外観を目視で観察し、下記の通り、振り分けた。
○:良好
△:少し悪い
×:著しく悪い
【0093】
[比誘電率、誘電正接]
上述の方法で得られたペレットを、120℃で5時間乾燥させた後、日精樹脂工業社製射出成形機「NEX80-9E」を使用し、シリンダー温度250℃、金型温度80℃にて、縦100mm×横100mm×厚みが約2mmの平板状成形体を10枚得た。
このようにして得られた成形体を、Φ80mm径の試料台に設置し、Virginia Diodes社製WR10-VNAX型ミリ波モジュールと、KEYSIGHT社製N5227A型ネットワークアナライザー、及びキーコム社製誘電体レンズ付き透過減衰測定治具を備えたキーコム社製DPS10型ミリ波・マイクロ波測定装置システムを用いて、フリースペース周波数変化法にて、25℃、測定周波数70~90GHzの測定条件で、透過減衰量と位相変化量を測定した。また、シンワ社製デジタルマイクロメーターにて成形体の正確な厚みを測定し、上述の透過減衰量と位相変化量、及び厚み測定結果をもとに、比誘電率及び誘電正接を求めた。
成形体10枚についての比誘電率から、その最大値と最小値の差を求めた。
【0094】
[総合評価]
上記の結果から、以下の1~3の基準で総合評価の判定を行った。
1:引張強度が120MPa以上、耐加水分解性60%以上、円板反り、外観が○評価であり、比誘電率が3.40以下、かつ比誘電率の最大値と最小値の差が0.07以下である
2:引張強度が120MPa以上、耐加水分解性50~60%、円板反り、外観が△以上の評価であり、比誘電率が3.40以下であり、且つ10枚測定した比誘電率の最大値と最小値の差が0.05以下である。
3:引張強度が120MPa以上、耐加水分解性50%以上60%未満、円板反り、外観が△以上、比誘電率が3.40以下の何れかが該当しない場合。
以上の結果を、以下の表2に示す。
【0095】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、比誘電率が低く、得られた成形体ごとの比誘電率のバラツキが小さく、低反り性と外観性に優れ、且つ強度と剛性にも優れるので、ミリ波レーダー部材用として特に好適に利用できる。