(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】フォトマスク、フォトマスクの製造方法及び表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 1/32 20120101AFI20230413BHJP
G03F 1/58 20120101ALI20230413BHJP
【FI】
G03F1/32
G03F1/58
(21)【出願番号】P 2019167130
(22)【出願日】2019-09-13
【審査請求日】2022-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100161034
【氏名又は名称】奥山 知洋
(74)【代理人】
【識別番号】100187632
【氏名又は名称】橘高 英郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 昇
【審査官】牧 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-109672(JP,A)
【文献】特開2013-250478(JP,A)
【文献】特開2014-081409(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0104540(US,A1)
【文献】特開2015-102608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/00 ー 1/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板上に、透光部、遮光部、及び半透光部を含む転写用パターンを備えたフォトマスクであって、
前記転写用パターンは、前記透明基板上に形成された、位相制御膜、及び透過制御膜がそれぞれパターニングされることによって形成され、
前記位相制御膜は、前記フォトマスクの露光光に含まれる代表波長の光に対して、透過率Tp(%)(但しTp≧2)、及び略180度の位相シフト量を有し、
前記透過制御膜は、前記代表波長の光に対し、透過率Th(%)(但し、Th≧20)、及び、位相シフト量φh(度)(但しφh<90)を有し、
前記透光部は、前記透明基板が露出してなり、
前記半透光部は、前記透明基板上に前記透過制御膜が形成されてなり、
前記遮光部は、
前記透光部と隣接するエッジに沿って所定幅D1(μm)(但し0.5≦D1)で配置され、前記透明基板上に前記位相制御膜が形成されてなるエッジ部、及び、
前記エッジ部以外の領域に配置され、前記透明基板上に前記位相制御膜と前記透過制御膜が積層する、積層部、
を有
し、
前記積層部は、前記透明基板上に前記位相制御膜及び前記透過制御膜が、この順に、直接又は間接に積層されている、
フォトマスク。
【請求項2】
前記半透光部は、前記遮光部と隣接する部分を有し、かつ、前記半透光部と前記遮光部の前記代表波長の光に対する位相差φpが、略180度である、請求項1に記載のフォトマスク。
【請求項3】
前記位相制御膜と前記透過制御膜は、互いにエッチング選択性を有する材料からなる、請求項
1又は2に記載のフォトマスク。
【請求項4】
前記積層部は、前記位相制御膜と前記透過制御膜に加え、遮光膜が積層する領域を含み、
前記遮光膜は、光学濃度ODが3以上である、請求項1~
3のいずれか1項に記載のフォトマスク。
【請求項5】
前記積層部は、前記透明基板上に、前記位相制御膜、前記遮光膜、及び前記透過制御膜が、この順に積層された領域を含む、請求項
4に記載のフォトマスク。
【請求項6】
前記遮光部は、前記積層部と前記エッジ部の間に挟まれて配置され、所定幅M(μm)(但し0<M≦0.8)で形成されたマージン部を更に有し、
前記マージン部は、前記遮光膜の表面が露出するとともに、該遮光膜の表面から膜厚の一部が失われたものである、請求項
5に記載のフォトマスク。
【請求項7】
透明基板上に、透光部、遮光部、及び半透光部を含む転写用パターンを備えたフォトマスクの製造方法であって、
前記透光部は、前記透明基板が露出してなり、
前記半透光部は、前記透明基板上に透過制御膜が形成されてなり、
前記遮光部は、
前記透光部と隣接するエッジに沿って所定幅D1(μm)(但し0.5≦D1)で配置され、前記透明基板上に位相制御膜が形成されてなるエッジ部、及び、
前記エッジ部以外の領域に配置され、前記透明基板上に前記位相制御膜と前記透過制御膜が積層されてなる積層部、
を有するフォトマスクの製造方法において、
前記透明基板上に、前記位相制御膜が形成されたフォトマスクブランクを用意する工程と、
前記位相制御膜をパターニングし、位相制御膜パターンを形成する第1パターニング工程と、
前記位相制御膜パターン上及び前記透明基板上に形成された前記透過制御膜上にレジスト膜を形成し、該レジスト膜に描画、現像を施すことによって形成されたレジストパターンを用いて、前記透過制御膜をパターニングする、第2パターニング工程と、を有し、
前記第2パターニング工程において、
前記レジストパターンは、前記透光部に対応する領域の寸法に対して、隣接する前記遮光部側に、片側あたりD1分拡張した開口を有し、該レジストパターンをマスクとして前記透過制御膜をパターニングすることにより、前記エッジ部が形成される、
フォトマスクの製造方法。
【請求項8】
前記位相制御膜は、前記フォトマスクの露光光に含まれる代表波長の光に対して、透過率Tp(%)(但しTp≧2)、及び略180度の位相シフト量を有し、
前記透過制御膜は、前記代表波長の光に対し、透過率Th(%)(但し、Th≧20)、及び、位相シフト量φh(度)(但しφh<90)を有する、
請求項
7に記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項9】
前記位相制御膜と前記透過制御膜は、互いにエッチング選択性のある材料からなる、請求項
7又は8に記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項10】
透明基板上に、透光部、遮光部、及び半透光部を含む転写用パターンを備えたフォトマスクの製造方法であって、
前記透光部は、前記透明基板が露出してなり、
前記半透光部は、前記透明基板上に透過制御膜が形成されてなり、
前記遮光部は、
前記透光部と隣接するエッジに沿って所定幅D1(μm)(但し0.5≦D1)で配置され、前記透明基板上に前記位相制御膜が形成されてなるエッジ部、
前記エッジ部以外の領域に配置され、前記透明基板上に前記位相制御膜及び前記透過制御膜が直接又は間接に積層されたなる積層部、及び、
前記エッジ部と前記積層部に挟まれて配置された所定幅M(μm)(但し0<M≦0.8)のマージン部、
を有するフォトマスクの製造方法において、
前記透明基板上に、前記位相制御膜、遮光膜、及び第1レジスト膜がこの順に形成されたフォトマスクブランクを用意する工程と、
前記第1レジスト膜に描画、及び現像を施して、第1レジストパターンを形成する工程と、
前記第1レジストパターンを用い、前記遮光膜をパターニングし、次いで前記位相制御膜をパターニングして、位相制御膜パターンを形成する第1パターニング工程と、
前記第1レジストパターンを用いて、前記遮光膜をサイドエッチングして、遮光膜パターンを形成するサイドエッチング工程と、
前記位相制御膜パターン上、前記遮光膜パターン上及び前記透明基板上に形成された前記透過制御膜上に、第2レジスト膜を形成し、該第2レジスト膜に描画、現像を施して形成された第2レジストパターンを用いて、前記透過制御膜をパターニングする、第2パターニング工程と、を有し、
前記第2パターニング工程において、
前記第2レジストパターンは、前記透光部に対応する領域の寸法に対して、隣接する前記遮光部側に、片側あたり(D1+M)分拡張した開口を有し、該第2レジストパターンをマスクとして前記透過制御膜をパターニングすることにより、前記エッジ部及び前記マージン部が形成される、
フォトマスクの製造方法。
【請求項11】
前記位相制御膜と前記透過制御膜は、互いにエッチング選択性のある材料からなる、請求項
10に記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項12】
前記遮光膜と前記透過制御膜は、互いに共通のエッチング剤によってエッチング可能な材料からなる、請求項
10又は11に記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項13】
前記位相制御膜は、前記フォトマスクの露光光に含まれる代表波長の光に対して、透過率Tp(%)(但しTp≧2)、及び略180度の位相シフト量を有し、
前記透過制御膜は、前記代表波長の光に対し、透過率Th(%)(但し、Th≧20)、及び、位相シフト量φh(度)(但しφh<90)を有する、
請求項
10に記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項14】
前記マージン部は、前記透過制御膜上に積層する前記遮光膜の表面が露出するとともに、該遮光膜の表面から膜厚の一部が失われたものである、請求項
10~
13のいずれか1項に記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項15】
請求項1~
6のいずれか1項に記載のフォトマスクを用意する工程と、
露光装置を用いて、前記フォトマスクを露光する工程と、
を有する、表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスを製造するためのフォトマスクであって、特に表示装置製造用に好適なフォトマスク、その製造方法、及び、それを用いた表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
露光光を遮光する遮光部と、露光光を透過する透光部と、露光光の一部を透過する半透光部とを持つ転写パターンを備えることにより、露光光の光強度を領域により異ならせるフォトマスク(以下、多階調フォトマスクともいう)が知られている。この多階調フォトマスクを用いて露光・現像を行うことにより、被転写体上に少なくとも3種類の残膜厚み(ゼロの場合を含む)を持つレジストパターンを形成することができる。このため、液晶表示装置や有機EL表示装置などの表示装置を含む電子デバイスの製造にあたり、使用するフォトマスクの枚数を減少させ、生産効率の向上が可能となるので有用である。
【0003】
特許文献1には、急峻なプロファイルをもつレジストパターンを得ることができる、多階調フォトマスクが記載されている。
具体的には、透明基板上に、それぞれ所定の光透過率を持つ第1半透光膜及び第2半透光膜をそれぞれ形成し、それぞれ所定のパターニングを施すことにより、透光部、第1半透光部、及び前記第1半透光部と隣接する部分を持つ第2半透光部を含む転写パターンを形成してなる多階調フォトマスクが記載されている。そして、i線~g線の範囲内の光の代表波長に対して、前記第2半透光部と透光部との間の位相差が90度未満であり、前記代表波長に対して、前記第1半透光部と第2半透光部との間の位相差が90度を越えており、前記代表波長に対して、前記第1半透光部の透過率が10%未満であり、前記第2半透光部の透過率が20%以上であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1によると、従来の多階調フォトマスクを用いて、転写パターンを被転写体上のレジスト膜に転写すると、半透光部と遮光部の境界などのパターン境界において、露光光の回折が生じるため、透過光の強度分布がなだらかな曲線になる。すなわち、光強度分布曲線の立上り、立下りが急峻でなくなる。このような多階調フォトマスクを用いてレジストパターン転写を行うと、被転写体上のレジスト膜に形成される、レジストパターンのプロファイルがなだらかになり、パターンの側面がテーパー形状となる。その結果、該レジストパターンをマスクとして、薄膜の加工を行う際に、加工線幅の制御が困難になり、パネルなどの製造プロセスにおいて、加工条件のマージンが狭くなり、量産上の不都合をもたらすとしている。
【0006】
そこで、特許文献1に記載の発明では、上記のとおり、2つの半透光部をもつ多階調フォトマスクを提案している。すなわち、特許文献1に記載の多階調フォトマスクは、露光光の代表波長に対して、第2半透光部と透光部との間の位相差が90度未満であり、第1半透光部と第2半透光部との間の位相差が90度を越えており、前記代表波長に対して、前記第1半透光部の透過率が10%未満であり、前記第2半透光部の透過率が20%以上である。
【0007】
このようにすることで、第1半透光部と第2半透光部の境界で、露光光強度が相殺し、コントラスト強調され、さらに、透光部と第2半透光膜との間でコントラスト強調されない。このため、この多階調フォトマスクは、第2半透光部との透光部との間の境界部分で暗線が現れることを防止しつつ、第1、第2半透光部の境界によって、被転写体上に形成されるレジストパターンの側壁に急峻なプロファイルを持つ形状を得ることができる、としている。
【0008】
図1(a)には、特許文献1に記載の多階調フォトマスク(特許文献1の
図1(a)参照)を示す。この多階調フォトマスクは、透光部11と第2半透光部13との間の露光光に対する位相差が90度未満、好ましくは60度未満であり、かつ、第1半透光部12と第2半透光部13との間の位相差が90度を越え、好ましくは180±30度である。この設定により、第1半透光部12と第2半透光部13との境界では反転位相の光が互いに干渉し、その光強度を相殺する、いわゆる位相シフト効果が得られ、透光部と第2半透光部の間では、該位相シフト効果による光強度の相殺が実質的に生じない。このため、第2半透光部と透光部の間の境界部分に対応する被転写上の位置に、暗線が現れることを防止しつつ、第1半透光部と第2半透光部の境界部分に対応する被転写体上の位置においては、光強度の変化が急峻になる。このため、エッジに急峻なプロファイルを持つレジストパターンを得られると考えられる。
【0009】
但し、益々高精細な表示性能が求められる表示装置の分野では、特許文献1に記載の多階調フォトマスクによっても、十分とはいえず、更に表示装置等のデバイス生産の寸法精度や歩留を向上させる余地があることが、本発明者によって見出された。
【0010】
図1(a)に示すフォトマスクにおいて、第1半透光部12と第2半透光部13の境界においては、両者を透過する露光光の位相差が180度に近いものであると考えられるため、相互に透過光の干渉が生じ、いわゆる位相シフト作用が得られるとみられる。これは、被転写体上の光強度分布カーブの傾きを急峻にする作用をもち、有利な効果が得られることがある程度期待できる。また、第1半透光部12と透光部11の境界においても、両者を透過する光がもつ位相差は180度に近いものとなり、相互の透過光の干渉が生じ、ここでも、位相シフト作用がある程度得られると思われる。
【0011】
一方、第1半透光部12の領域のうち、エッジから遠い部分(領域の中心付近)は、上記位相シフト作用のメリットは実質的に得られず、また、露光光を所定の透過率(10%以下)で透過してしまうため、この部分の光強度分布のボトムが十分に下がらない(十分な遮光性が得られない)という点で、従来の多階調フォトマスク(特許文献1では
図10として開示)では生じなかった不都合が生じてしまう懸念がある。
【0012】
また、第1半透光部12は、第2半透光膜と第1半透光膜を積層して構成し、第2半透光部13は第2半透光膜の単膜で構成すると、各半透光部12,13の位相シフト量を所望値に設定することが容易でない。各領域のエッジにおける位相差を、正確に180度に制御する事が困難になる。例えば、第1半透光部(積層からなる)12と透光部11の相互の位相差を180度とすれば、第1半透光部12と第2半透光部13の相互の位相差は、それより小さい値(第2半透光膜が有する位相シフト量分を減じた値)となる。従って、上記それぞれの境界において、位相シフト作用を効果的に生じさせることができない。
【0013】
また、第1半透光部12と第2半透光部13を、それぞれ、第1半透光膜、第2半透光膜の単膜で構成する場合には、両者の隣接部分において、パターニングの際のアライメントずれが発生するリスクがあり、両者の間に隙間が生じたり、逆に重複による暗線が生じたりする危険性がある。
【0014】
特許文献1に記載の他のフォトマスクを、
図1(b)に示す。このフォトマスクは、上記
図1(a)の第1半透光部12であった部分の一部に遮光膜が形成され、遮光部14が形成されている。
【0015】
このフォトマスクは、上記した問題のうち、十分な遮光性が得られないという点に対し、改善をもたらすものとみられる。しかしながら、この場合には、該遮光部14と透光部11との間の位相シフト作用は生じないため、被転写体上に形成されるレジストパターンのプロファイルを向上する効果が低減してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(第1の態様)
本発明の第1の態様は、
透明基板上に、透光部、遮光部、及び半透光部を含む転写用パターンを備えたフォトマスクであって、
前記転写用パターンは、前記透明基板上に形成された、位相制御膜、及び透過制御膜がそれぞれパターニングされることによって形成され、
前記位相制御膜は、前記フォトマスクの露光光に含まれる代表波長の光に対して、透過率Tp(%)(但しTp≧2)、及び略180度の位相シフト量を有し、
前記透過制御膜は、前記代表波長の光に対し、透過率Th(%)(但し、Th≧20)、及び、位相シフト量φh(度)(但しφh<90)を有し、
前記透光部は、前記透明基板が露出してなり、
前記半透光部は、前記透明基板上に前記透過制御膜が形成されてなり、
前記遮光部は、
前記透光部と隣接するエッジに沿って所定幅D1(μm)(但し0.5≦D1)で配置され、前記透明基板上に前記位相制御膜が形成されてなるエッジ部、及び、
前記エッジ部以外の領域に配置され、前記透明基板上に前記位相制御膜と前記透過制御膜が積層されてなる積層部、
を有する、フォトマスクである。
【0017】
(第2の態様)
本発明の第2の態様は、
前記半透光部は、前記遮光部と隣接する部分を有し、かつ、前記半透光部と前記遮光部の前記代表波長の光に対する位相差φpが、略180度である、上記第1の態様に記載のフォトマスクである。
【0018】
(第3の態様)
本発明の第3の態様は、
前記積層部は、前記透明基板上に前記位相制御膜及び前記透過制御膜が、この順に、直接又は間接に積層されている、上記第1又は第2の態様に記載のフォトマスクである。
【0019】
(第4の態様)
本発明の第4の態様は、
前記位相制御膜と前記透過制御膜は、互いにエッチング選択性を有する材料からなる、上記第1~第3のいずれか1態様に記載のフォトマスクである。
【0020】
(第5の態様)
本発明の第5の態様は、
前記積層部は、前記位相制御膜と前記透過制御膜に加え、遮光膜が積層する領域を含み、
前記遮光膜は、光学濃度ODが3以上である、上記第1~第4のいずれか1態様に記載のフォトマスクである。
【0021】
(第6の態様)
本発明の第6の態様は、
前記積層部は、前記透明基板上に、前記位相制御膜、前記遮光膜、及び前記透過制御膜が、この順に積層された領域を含む、上記第5の態様に記載のフォトマスクである。
【0022】
(第7の態様)
本発明の第7の態様は、
前記遮光部は、前記積層部と前記エッジ部の間に挟まれて配置され、所定幅M(μm)(但し0<M≦0.8)で形成されたマージン部を更に有し、
前記マージン部は、前記遮光膜の表面が露出するとともに、該遮光膜の表面から膜厚の一部が失われたものである、上記第6の態様に記載のフォトマスクである。
【0023】
(第8の態様)
本発明の第8の態様は、
透明基板上に、透光部、遮光部、及び半透光部を含む転写用パターンを備えたフォトマスクの製造方法であって、
前記透光部は、前記透明基板が露出してなり、
前記半透光部は、前記透明基板上に透過制御膜が形成されてなり、
前記遮光部は、
前記透光部と隣接するエッジに沿って所定幅D1(μm)(但し0.5≦D1)で配置され、前記透明基板上に位相制御膜が形成されてなるエッジ部、及び、
前記エッジ部以外の領域に配置され、前記透明基板上に前記位相制御膜と前記透過制御膜が積層されてなる積層部、
を有するフォトマスクの製造方法において、
前記透明基板上に、前記位相制御膜が形成されたフォトマスクブランクを用意する工程と、
前記位相制御膜をパターニングし、位相制御膜パターンを形成する第1パターニング工程と、
前記位相制御膜パターンの形成された前記透明基板上に、前記透過制御膜を形成する工程と、
前記透過制御膜上にレジスト膜を形成し、該レジスト膜に描画、現像を施すことによって形成されたレジストパターンを用いて、前記透過制御膜をパターニングする、第2パターニング工程と、を有し、
前記第2パターニング工程において、
前記レジストパターンは、前記透光部に対応する領域の寸法に対して、隣接する前記遮光部側に、片側あたりD1分拡張した開口を有し、該レジストパターンをマスクとして前記透過制御膜をパターニングすることにより、前記エッジ部が形成される、
フォトマスクの製造方法である。
【0024】
(第9の態様)
本発明の第9の態様は、
前記位相制御膜は、前記フォトマスクの露光光に含まれる代表波長の光に対して、透過率Tp(%)(但しTp≧2)、及び略180度の位相シフト量を有し、
前記透過制御膜は、前記代表波長の光に対し、透過率Th(%)(但し、Th≧20)、及び、位相シフト量φh(度)(但しφh<90)を有する、
上記第8の態様に記載のフォトマスクの製造方法である。
【0025】
(第10の態様)
本発明の第10の態様は、
前記位相制御膜と前記透過制御膜は、互いにエッチング選択性のある材料からなる、上記第8又は第9の態様に記載のフォトマスクの製造方法である。
【0026】
(第11の態様)
本発明の第11の態様は、
透明基板上に、透光部、遮光部、及び半透光部を含む転写用パターンを備えたフォトマスクの製造方法であって、
前記透光部は、前記透明基板が露出してなり、
前記半透光部は、前記透明基板上に透過制御膜が形成されてなり、
前記遮光部は、
前記透光部と隣接するエッジに沿って所定幅D1(μm)(但し0.5≦D1)で配置され、前記透明基板上に前記位相制御膜が形成されてなるエッジ部、
前記エッジ部以外の領域に配置され、前記透明基板上に前記位相制御膜及び前記透過制御膜が直接又は間接に積層されたなる積層部、及び、
前記エッジ部と前記積層部に挟まれて配置された所定幅M(μm)(但しM≦0.8)のマージン部、
を有するフォトマスクの製造方法において、
前記透明基板上に、前記位相制御膜、遮光膜、及び第1レジスト膜がこの順に形成されたフォトマスクブランクを用意する工程と、
前記第1レジスト膜に描画、及び現像を施して、第1レジストパターンを形成する工程と、
前記第1レジストパターンを用い、前記遮光膜をパターニングし、次いで前記位相制御膜をパターニングして、位相制御膜パターンを形成する第1パターニング工程と、
前記第1レジストパターンを用いて、前記遮光膜をサイドエッチングして、遮光膜パターンを形成するサイドエッチング工程と、
前記位相制御膜パターン及び前記遮光膜パターンが形成された前記透明基板上に、前記透過制御膜を形成する工程と、
前記透過制御膜上に、第2レジスト膜を形成し、該第2レジスト膜に描画、現像を施して形成された第2レジストパターンを用いて、前記透過制御膜をパターニングする、第2パターニング工程と、を有し、
前記第2パターニング工程において、
前記第2レジストパターンは、前記透光部に対応する領域の寸法に対して、隣接する前記遮光部側に、片側あたり(D1+M)分拡張した開口を有し、該第2レジストパターンをマスクとして前記透過制御膜をパターニングすることにより、前記エッジ部及び前記マージン部が形成される、
フォトマスクの製造方法である。
【0027】
(第12の態様)
本発明の第12の態様は、
前記位相制御膜と前記透過制御膜は、互いにエッチング選択性のある材料からなる、上記第11の態様に記載のフォトマスクの製造方法である。
【0028】
(第13の態様)
本発明の第13の態様は、
前記遮光膜と前記透過制御膜は、互いに共通のエッチング剤によってエッチング可能な材料からなる、上記第11又は第12の態様に記載のフォトマスクの製造方法である。
【0029】
(第14の態様)
本発明の第14の態様は、
前記位相制御膜は、前記フォトマスクの露光光に含まれる代表波長の光に対して、透過率Tp(%)(但しTp≧2)、及び略180度の位相シフト量を有し、
前記透過制御膜は、前記代表波長の光に対し、透過率Th(%)(但し、Th≧20)、及び、位相シフト量φh(度)(但しφh<90)を有する、
上記第11の態様に記載のフォトマスクの製造方法である。
【0030】
(第15の態様)
本発明の第15の態様は、
前記マージン部は、前記透過制御膜上に積層する前記遮光膜の表面が露出するとともに、該遮光膜の表面から膜厚の一部が失われたものである、上記第11~第14のいずれか1態様に記載のフォトマスクの製造方法である。
【0031】
(第16の態様)
本発明の第16の態様は、
上記第1~第8のいずれか1態様に記載のフォトマスクを用意する工程と、
露光装置を用いて、前記フォトマスクを露光する工程と、
を有する、表示装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、透光部、遮光部、及び半透光部を有する多階調フォトマスクとして有用なフォトマスクであって、転写によって被転写体上に優れたプロファイルを有するレジストパターンを形成することができるフォトマスクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】従来の多階調フォトマスクの要部を例示する説明図であり、(a)は一構成例を示す図、(b)は他の構成例を示す図である。
【
図2】シミュレーションに用いたフォトマスクの転写用パターン(参考例1)を示す説明図であり、(a)は平面視した図、(b)はその断面図、(c)は他の構成の断面図である。
【
図3】シミュレーションに用いた、他の形態のフォトマスクの転写用パターン(参考例2)を示す説明図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態に係るフォトマスクを例示する説明図であり、(a)は平面視した図、(b)は(a)中の一点鎖線部分の断面を示す図である。
【
図5】光学シミュレーションによって求めた被転写体上に得られる光強度分布を例示する説明図であり、(a)は参考例1の場合の光強度分布を示す図、(b)は参考例2の場合の光強度分布を示す図、(c)は第1の実施の形態に係るフォトマスクの場合の光強度分布を示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施の形態に係るフォトマスクの製造方法例を示す説明図であり、(a)~(h)は該製造方法例における各工程でのマスク断面を示す図である。
【
図7】本発明の第2の実施の形態に係るフォトマスクを例示する説明図であり、(a)は平面視した図、(b)は(a)中の一点鎖線部分の断面を示す図である。
【
図8】本発明の第2の実施の形態に係るフォトマスクの製造方法例を示す説明図(その1)であり、(a)~(e)は該製造方法例における各工程でのマスク断面を示す図である。
【
図9】本発明の第2の実施の形態に係るフォトマスクの製造方法例を示す説明図(その2)であり、(f)~(j)は該製造方法例における各工程でのマスク断面を示す図である。
【
図10】本発明の第2の実施の形態に係るフォトマスクの製造方法の変形例を示す説明図であり、(i’)及び(j’)は該製造方法例における各工程でのマスク断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明に係るフォトマスク、フォトマスクの製造方法及び表示装置の製造方法の実施の形態について説明する。
【0035】
本発明者は、上記の特許文献1に記載の多階調フォトマスクにおける課題を考察し、以下の転写シミュレーションを実施した。転写シミュレーションは、本発明の第1の実施の形態に係るフォトマスク(以下、フォトマスク1ともいう)と、第2の実施の形態に係るフォトマスク(以下、フォトマスク2ともいう)とに加えて、参考例1及び参考例2に係るフォトマスクについても実施した。
【0036】
<参考例1のフォトマスク>
図2には、シミュレーションに用いたフォトマスクの転写用パターン(参考例1)を示す。
図2(a)は平面視した図、
図2(b)はその断面である。該転写用パターンは、透光部101、遮光部102、及び半透光部103を有し、透明基板104上において、位相制御膜105、及び透過制御膜106がそれぞれパターニングされて形成されたものである。
【0037】
透光部101は、透明基板104が露出してなり、遮光部102は、透明基板104上に、少なくとも位相制御膜105が形成されてなる。また、半透光部103は、透明基板104上に透過制御膜106が形成されてなる。本願発明のフォトマスクを表示装置製造用として用いる場合には、主表面が300mm以上(例えば、300~2000mm)の四角形の基板が適用できる。
【0038】
この転写用パターンは、例えば、表示装置を製造するための、TFTトランジスタ製造用フォトマスクに適用することができる。ここでは、半透光部103に隣接し、両側から挟む遮光部102が配置されている。
【0039】
ここで、フォトマスクを露光する際に、i線~g線を含む波長域を持つ光源を用いることとし、この範囲内の代表波長(例えばh線)に対して、透過制御膜106の透過率Tr1が40%(透明基板104の透過率を100%とする)であり、位相シフト量φ1が10度である。また、位相制御膜105は、上記代表波長に対して、透過率Tr2が5%、位相シフト量φ2が180度であるとする。
【0040】
尚、
図2(a)に示すフォトマスクは、
図2(b)に示す断面構造のほか、位相制御膜105と透過制御膜106の成膜順序とパターニング工程を変更することにより、
図2(c)に示すように構成することもできる。
【0041】
上記
図2(a)のフォトマスクを上記光源により露光したときに、被転写体上に得られる光強度分布を、光学シミュレーションによって求めた。
図2(a)中の破線L1に対応する位置の光強度分布を、
図5(a)に示す。遮光部102に対応する位置の光強度分布のボトム(
図5に示す(A)の部分)が浮き上がっており、遮光部102のエッジから離れた位置における遮光性が不十分であることがわかる。
【0042】
<参考例2のフォトマスク>
図3には、シミュレーションに用いた、他の形態のフォトマスクの転写用パターン(参考例2)を示す。断面図は、
図2(b)、又は
図2(c)と同様にすることができる。但し、ここでは、位相制御膜105のかわりに、露光光に対してOD(光学密度)3以上をもつ遮光膜107を使用している。
【0043】
図3に示すフォトマスクを、上記
図2(a)のフォトマスクに対して行なったと同様に露光したとき、被転写体上に形成される光強度分布を
図5(b)に示す。ここでも、
図3に示す破線L2の位置に対応する被転写体上の光強度分布を示す。
【0044】
図5(b)では、遮光部102のもつ遮光性は十分であり、ボトム部分の浮き上がりは見られない。但し、ボトム両サイドの傾斜が、
図5(a)の場合に比べると、緩慢である(傾斜角をそれぞれθ1、θ2とするとθ1>θ2)。これでは、フォトマスクを用いて被転写体上に形成したレジスト膜に露光し、現像したときに形成されるレジストパターンの断面形状がより傾斜傾向となり、該レジストパターンをエッチングマスクとして行なう、後続のエッチングプロセスにおいて、CD(パターン幅)制御の精度が不十分になりやすい。
【0045】
<第1の実施の形態に係るフォトマスク1>
図4(a)に、本発明の第1の実施の形態に係るフォトマスク1を例示する。
図4(b)は、
図4(a)の一点鎖線部分の断面を示す。
【0046】
このフォマスクは、透明基板3上において、位相制御膜4と透過制御膜5がそれぞれパターニングされて形成されたものであり、透光部6、遮光部7、及び半透光部8を有する。参考例1のフォトマスクと同様に、半透光部8に隣接し、両側から挟む遮光部7が含まれている。
【0047】
透明基板3は、石英などの透明材料からなる板材であり、主表面を平坦かつ平滑に研磨したものとすることができる。
【0048】
位相制御膜4は、上記代表波長の光に対して、透過率Tp(%)が、2≦Tpを満たし、また、位相シフト量φ4が略180度である。ここで、略180度とは、180±20度の範囲、すなわち、160≦φ4≦200である。好ましくは、2≦Tp<15、より好ましくは、3<Tp<10である。Tpの数値が過度に小さいと、位相シフト作用が十分に得られず、また、過大であると、後述する積層部における遮光性が不十分になるリスクが生じる。
【0049】
透過制御膜5は、上記代表波長の光に対して、透過率Th(%)が、Th≧20を満たし、好ましくは20≦Th<60である。また位相シフト量φ5(φhの一例に相当)は、φ5<90を満たし、好ましくは、0<φ5<90度、より好ましくは、5<φ5<60である。
【0050】
フォトマスク1の転写用パターンにおいて、
図4(a)に示すとおり、透光部6は、透明基板3の表面が露出してなる。
【0051】
遮光部7は、透明基板3上に少なくとも位相制御膜4が形成されてなる領域である。但し、参考例1のフォトマスクと異なり、遮光部7は、エッジ部7aと積層部7bを有する。すなわち、遮光部7において、隣接する透光部6との境界(すなわち、透光部6と隣接する遮光部7のエッジ)に沿って、所定幅D1(μm)の領域であって、透明基板3上に位相制御膜4のみが形成されたエッジ部7aを有する。更に、遮光部7においてエッジ部7aを除いた領域は、位相制御膜4と透過制御膜5が積層する、積層部7bとなっている。
図4(b)では、位相制御膜4と透過制御膜5は、直接積層されているが、他の膜を介して間接的に積層していてもよい。
【0052】
従って、エッジ部7aと透光部3とは互いに隣接し、露光光の代表波長に対する位相差は、φ4(すなわち略180度)である。この位相差により、エッジ部7aと透光部6をそれぞれ透過する透過光が互いに干渉し、光強度を相殺する、いわゆる位相シフト効果が得られ、被転写体上において、この位置での光強度分布のプロファイルが向上する(傾斜が抑制される)。
【0053】
一方、遮光部7においてエッジ部7a以外(エッジから離れた部分)は、位相制御膜4と透過制御膜5の積層構造となっているため、露光光の透過率Tr6(%)が低く抑えられる。積層部7bの光透過率Tr6は、好ましくは、Tr6<5、より好ましくは、Tr6<3である。
【0054】
エッジ部7aの幅D1は、例えば、0.5≦D1<5.0とすることができる。D1が小さすぎると、エッジ部7aと透光部6の境界において、後述の位相シフト効果が十分に発揮されないリスクがある。また、D1が大きすぎると、遮光部7の遮光性が不十分になり、光強度分布において、ボトムの数値が上がってしまうリスクが生じる。より好ましくは、0.5≦D1≦2.0とすることができる。
【0055】
尚、
図4(a)に示すように、遮光部7が透光部6に隣接し、かつ、両サイド(
図4(a)では上下方向)から透光部6に挟まれたデザインであるとき、D1は、遮光部6の幅Wの1/2未満である必要がある。更に、遮光部7の遮光性を確保する観点から、D1は、遮光部の幅W(μm)に対して、1/4以下であることが好ましい。
【0056】
半透光部8は、透明基板3上に透過制御膜5のみが形成されてなる。透過制御膜5の、上記代表波長の光に対する位相シフト量φ5(度)は、上記のとおり0<φ5<90であり、より好ましくは、5<φ5<60である。すなわち、半透光部8は透光部6と隣接するが、その境界における位相差は90度未満であるため、被転写体上に暗線が生じることはない。
【0057】
半透光部8は、遮光部7とも隣接する部分を有するが、その境界における透過光の(上記代表波長の光に対する)位相差φ4(φpの一例に相当)は、略180度であるから、この部分でも上記と同様位相シフト効果が得られ、光強度分布がより急峻になるメリットが得られる。
【0058】
図4(a)に示すように、遮光部7の幅Wと、半透光部8の幅Vは、ここではW<Vとなっている。
また、幅Vの透過制御膜5の部分と位相制御膜4の重なり幅D2(μm)は、0.5≦D2<2であることが好ましい。この範囲であると、後述のフォトマスク1の製造方法において、位相制御膜4と透過制御膜5のアライメント誤差を吸収でき、膜同士の隙間が生じない。
ここで、WやVは、半透光部8と、両側から挟む遮光部7の配列方向に対して垂直な方向の幅である。
【0059】
以上のように構成されたフォトマスク1を露光して、被転写体上に形成しようとするレジストパターンにおいて、その断面形状をよりシャープに立たせることが可能となり、該フォトマスクを用いて得ようとするデバイスの寸法精度や歩留が向上できる。
【0060】
フォトマスク1における転写用パターンは、透明基板3上に、それぞれパターニングされた、位相制御膜4、及び透過制御膜5が配置されて形成されている。その他の膜、又は膜パターンが付加的に透明基板3上に形成されていてもよい。
【0061】
位相制御膜4と透過制御膜5は、いずれもウェットエッチング可能な材料であることが好ましい。
【0062】
位相制御膜4の材料は、Cr又はその化合物(酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、又は酸化窒化炭化物)であっても良く、又は、Mo、W、Ta、Tiを含む金属化合物であってもよい。金属化合物としては、金属のシリサイド、又は、該シリサイドの上記化合物であっても良い。更に、Zr、Nb、Hf、Ta、Mo、TiのいずれかとSiを含む材料、又は、これらの材料の酸化物、窒化物、酸化窒化物、炭化物、又は酸化窒化炭化物を含む材料からなるとすることができ、更にSiの上記化合物であってもよい。
【0063】
透過制御膜5の材料は、Cr又はその化合物(酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、又は酸化窒化炭化物)であっても良く、又は、Mo、W、Ta、Tiを含む金属化合物であってもよい。金属化合物としては、金属シリサイド、又は、該シリサイドの上記化合物であっても良い。
【0064】
位相制御膜4と透過制御膜5は、互いにエッチング選択性を有する材料からなることが好ましい。すなわち、位相制御膜4のエッチング剤に対して透過制御膜5は耐性をもち、透過制御膜5のエッチング剤に対して、位相制御膜4が耐性を有することが好ましい。
【0065】
フォトマスク1は、多階調フォトマスクとして使用することができる。すなわち、被転写体上に、レジストの残膜厚みの異なる複数の領域をもつレジストパターンを形成するためのフォトマスクである。ここでレジストとは、ポジ又はネガのフォトレジストであることができる。
該多階調フォトマスクは、例えば表示装置製造の際に、バイナリマスクのみを使用する場合に比べて、必要なフォトマスクの枚数を減少させる効果がある、機能性フォトマスクである。
但し、上記レジストパターンは、電子デバイス製造の過程でエッチングマスクとして使用され、その後除去されるもののほか、感光材料からなる立体構成物として、表示装置等の電子デバイス内に残存するものも含む。
【0066】
該フォトマスク1を用いて、上記と同様の光学シミュレーションを行なったところ、
図5(c)に示すように、光強度分布のボトムにあたる(B)の部分が、
図5(a)の場合よりも低減しており、また、ボトム両側の傾斜が抑制され、傾斜角(θ3)がθ1と同様になっている。
【0067】
従って、フォトマスク1を用いて、FPD用露光装置によって露光したとき、被転写体上に掲載されるレジストパターン形状が良好になることが分かる。
【0068】
<フォトマスク1の製造方法>
図6を参照して、フォトマスク1の製造方法例について説明する。
【0069】
(a)透明基板上3に位相制御膜4が成膜され、更に第1レジスト膜21が形成された、レジスト付フォトマスクブランクを用意する。第1レジスト膜21はポジ型のフォトレジストとする。位相制御膜4の成膜にはスパッタ法など公知の方法を適用できる。後述の透過制御膜5、遮光膜9も同様である。
【0070】
(b)描画装置により、得ようとするデバイスパターンに基づくパターンデータを用いて描画を行い、現像することで、第1レジストパターン21’を得る。ここではレーザ描画装置を適用することができる。
【0071】
(c)上記第1レジストパターン21’をエッチングマスクとして位相制御膜4をウェットエッチングし、位相制御膜パターン4’を形成する(遮光部7の領域が画定する)。位相制御膜4が、金属シリサイド(例えばMoSi)を含むものであれば、フッ素系のエッチング剤を用いることができる。
【0072】
(d)第1レジストパターン21’を除去したのち、透過制御膜5を全面に形成する。透過制御膜5の材料はCr化合物を含むものとすることができ、位相制御膜4との間でエッチング選択性を確保する。
【0073】
(e)透過制御膜5上に第2レジスト膜22を形成する。
【0074】
(f)再度描画、及び現像を行い、第2レジストパターン22’を形成する。この第2レジストパターン22’は、半透光部8となる領域を被覆し、また遮光部7となる領域のうち、エッジ部7aとなる領域を除いて被覆する。
【0075】
(g)第2レジストパターン22’をエッチングマスクとして、露出している透過制御膜5をエッチングし、透過制御膜パターン5’を形成する。透過制御膜5がCr系の膜であれば、公知のCr用エッチング剤を使用することができる。このエッチングにより、エッジ部7a及び半透光部8が形成される。
【0076】
(h)第2レジストパターン22’を除去し、フォトマスク1が完成する。
【0077】
上記製造方法では、位相制御膜パターン4’を形成する工程、及び、透過制御膜パターン5’を形成する工程のいずれにおいても、それぞれ単一の膜をエッチング対象とする。すなわち、2層以上の積層を同一のエッチング剤で連続的にエッチングする工程を適用しないことから、それぞれのエッチングを短時間にて終了可能であり、サイドエッチングの進行を抑えられることから、フォトマスク面内のCD(Critical Dimension、パターン幅)のばらつきを抑止でき、優れたCD精度を得られる。
【0078】
尚、(b)工程の描画と、(f)工程の描画において、互いにアライメントずれが生じた場合には、エッジ部7aの幅が面内で均一になりにくい傾向がある。この点については、フォトマスク2についての説明において後述する。
【0079】
<第2の実施の形態に係るフォトマスク2>
図7(a)に、本発明の第2の実施の形態に係るフォトマスク2を例示する。
図7(b)は、
図7(a)の一点鎖線部分の断面を示す。
【0080】
フォトマスク2がフォトマスク1と相違する点は、位相制御膜4と透過制御膜5のほかに、遮光膜9を用いている点である。
【0081】
このフォトマスク2は、透明基板3上において、位相制御膜4、遮光膜9、および透過制御膜5がそれぞれパターニングされて形成されたものであり、透光部6、遮光部7、及び半透光部8を有する。フォトマスク1と同様に、半透光部8に隣接し、両側から挟む遮光部7が含まれている。
【0082】
透明基板3は、フォトマスク1と同様のものを適用できる。
【0083】
位相制御膜4も、フォトマスク1と同様のものを適用することができる。すなわち、上記代表波長の光に対して、透過率Tp(%)が、Tp≧2を満たし、好ましくは2≦Tp<15である。また、位相シフト量φ4が略180度である。ここで、略180度とは、180±20度の範囲、すなわち、160≦φ4≦200である。より好ましくは、3<Tp<10である。
【0084】
遮光膜9は、露光光を実質的に遮光する(好ましくは光学濃度OD≧3)。遮光膜9は、その表面側、及び/又は裏面側に、光の反射を制御する反射制御層(但し不図示)を設けたものであってもよい。
【0085】
透過制御膜5は、上記代表波長の光に対して、透過率Th(%)が、Th≧20を満たし、好ましくは20<Th<60である。また位相シフト量φ5は、0<φ5<90度、より好ましくは、5<φ5<60である。
【0086】
フォトマスク1と同様、フォトマスク2の転写用パターンにおいて、
図7(a)に示すとおり、透光部6は透明基板3の表面が露出してなる。
【0087】
遮光部7は透明基板3上に少なくとも位相制御膜4が形成されてなる領域である。但し、フォトマスク1とは異なり、遮光部7は、エッジ部7a、マージン部7c、及び積層部7bを有する。
【0088】
すなわち、遮光部7において、隣接する透光部6との境界(すなわち、透光部6と隣接する遮光部7のエッジ)に沿って、所定幅D1(μm)の領域であって、透明基板3上に位相制御膜4のみが形成されたエッジ部7aを有する。D1の大きさは、フォトマスク1と同様である。
【0089】
また、遮光部7において、エッジ部7aと隣接(透光部6と隣接する境界とは反対側の隣接)して、所定幅M(μm)のマージン部7cを有する。マージン部7cは、位相制御膜4と遮光膜9の積層によってなる。Mの幅は、(W/2-D1)>Mを満たせば特に制約は無い。しかしながら、0<M≦0.8であることが好ましい。この点については更に後述する。
【0090】
ここでも、位相制御膜4と透過制御膜5が直接又は間接に積層する部分が積層部7bである。遮光部7においてエッジ部7aを除いた領域には、マージン部7cと積層部7bが配置されている。
【0091】
このようなフォトマスク2においても、フォトマスク1と同様、エッジ部7aと透光部6とは互いに隣接し、露光光の代表波長に対する位相差は、φ4(すなわち略180度)である。この位相差により、エッジ部7aと透光部6をそれぞれ透過する透過光が互いに干渉し、光強度を相殺する、いわゆる位相シフト効果が得られ、被転写体上において、この位置での光強度分布のプロファイルが向上する(傾斜が抑制される)。
【0092】
一方、遮光部7においてエッジ部7a以外(エッジから離れた部分)は、位相制御膜4と透過制御膜5の積層構造となり、更にエッジ部7aとマージン部7c以外の領域(中央領域ともいう)には遮光膜9が積層されているため、遮光性が優れ、露光光の透過による影響は実質的に生じない。
【0093】
エッジ部7aの幅D1は、フォトマスク1の場合と同様、0.5≦D1<5.0とすることができる。より好ましくは、0.5≦D1≦2.0とすることができる。
【0094】
半透光部8は、透明基板3上に透過制御膜5のみが形成されてなる。透過制御膜5の、上記代表波長の光に対する位相シフト量φ5(度)は、上記のとおり0<φ5<90であり、より好ましくは、5<φ5<60である。すなわち、半透光部8は透光部6と隣接するが、その境界における位相差は90度未満であるため、被転写体上に暗線が生じることはない。
【0095】
半透光部8は、遮光部7とも隣接する部分を有するが、その境界における透過光の位相差(上記代表波長の光に対する)φ4は、略180度であるから、この部分でも上記と同様位相シフト効果が得られ、光強度分布がより急峻になるメリットが得られる。
【0096】
図7(a)において、幅Vの透過制御膜5の部分と位相制御膜4の重なり幅D2(μm)は、上記フォトマスク1と同様である。
【0097】
以上のように構成されたフォトマスク2も、これを露光して、被転写体上に形成しようとするレジストパターンにおいて、その断面形状をよりシャープに立たせることが可能となり、該フォトマスクを用いて得ようとするデバイスの寸法精度や歩留が向上できる。
【0098】
フォトマスク2における転写用パターンは、透明基板3上に、それぞれパターニングされた、位相制御膜4、遮光膜9、及び透過制御膜5が配置されて形成されている。その他の膜、又は膜パターンが付加的に透明基板3上に形成されていてもよい。
【0099】
位相制御膜4、遮光膜9及び透過制御膜5は、いずれもウェットエッチング可能な材料であることが好ましい。
【0100】
位相制御膜4の材料は、上記フォトマスク1の材料候補と同様のものから選択することができる。また、透過制御膜5も同様である。
【0101】
また、位相制御膜4と透過制御膜5は、互いにエッチング選択性を有する材料からなることが好ましい。すなわち、位相制御膜4のエッチング剤に対して透過制御膜5は耐性をもち、透過制御膜5のエッチング剤に対して、位相制御膜4が耐性を有することが好ましい。
【0102】
遮光膜9は、位相制御膜4、透過制御膜5の材料の一方、又は両方に対して、エッチング選択性を有しても良い。但し、遮光膜9は、透過制御膜5と共通のエッチング特性を有していてもよい。後述するフォトマスク2の製造方法2においては、遮光膜9と透過制御膜5がいずれもCrを含有し、共通のエッチング剤によってエッチング可能な場合について説明する。
【0103】
フォトマスク2は、フォトマスク1と同様、多階調フォトマスクとして使用することができる。すなわち、被転写体上に、レジストの残膜厚みの異なる複数の領域をもつレジストパターンを形成するためのフォトマスクである。ここでレジストとは、ポジ又はネガのフォトレジストであることができる。
但し、上記レジストパターンは、電子デバイス製造の過程でエッチングマスクとして使用され、その後除去されるもののほか、感光材料からなる立体構成物として、表示装置等の電子デバイス内に残存するものも含む。
【0104】
フォトマスク2は、フォトマスク1と同様に、FPD用露光装置によって露光したとき、被転写体上に掲載されるレジストパターンの断面の傾斜が抑止されるほか、遮光部7による遮光性が更に高いものとなる。
【0105】
<フォトマスク2の製造方法>
図8及び
図9を参照して、フォトマスク2の製造方法例について説明する。
【0106】
(a)透明基板3上に位相制御膜4と遮光膜9とがこの順に成膜され、更に第1レジスト膜21が形成された、レジスト付フォトマスクブランクを用意する。第1レジスト膜21はポジ型のフォトレジストとする。
【0107】
(b)描画装置により、得ようとするデバイスパターンに基づくパターンデータを用いて描画を行い、現像することで、第1レジストパターン21’を得る。ここではレーザ描画装置を適用することができる。
【0108】
(c)上記第1レジストパターン21’をエッチングマスクとして遮光膜9をウェットエッチングし、遮光膜パターン9’を形成する。ここで、遮光膜9はCrを含有する材料からなるものとし、Cr用エッチング剤(硝酸第二セリウムアンモニウムなど)を用いる。ついで、該遮光膜パターン9’をエッチングマスクとし、位相制御膜4をウェットエッチングする(遮光部7の領域が画定する)。位相制御膜4は、ここでは、金属シリサイド(例えばMoSi)を含むものとし、エッチングにはフッ素系のエッチング剤を用いる。
【0109】
(d)再びCr用エッチング剤を適用し、第1レジストパターン21’及び位相制御膜パターン4’をエッチングマスクとして、遮光膜9をサイドエッチングする。サイドエッチング幅は、D(μm)とし、エッチングを停止する。
【0110】
(e)第1レジストパターン21’を除去する。
【0111】
(f)透過制御膜5を全面に形成する。透過制御膜5の材料は、Cr化合物を含むものとすることができる。遮光膜9とは同一のエッチング剤でエッチング可能である。但し、該エッチング剤に対し、該膜厚分をエッチング除去するための所要時間は、遮光膜9の所要時間:透過制御膜5の所要時間を5:1~20:1の範囲とすることが好ましい。このエッチング所要時間は、膜材料と膜厚によって決まる。
【0112】
(g)透過制御膜5上に第2レジスト膜22を形成する。
【0113】
(h)再度描画、及び現像を行い、第2レジストパターン22’を形成する。この第2レジストパターン22’は、半透光部8となる領域を被覆し、及び遮光部7となる領域のうち、エッジ部7a及びマージン部7cとなる領域を除いて被覆する。つまり、第2レジストパターン22’は、透光部6に対応する領域の寸法に対して、隣接する遮光部7側に、片側あたり(D1+M)分拡張した開口を有する。そのため、後述するように、該第2レジストパターン22’をマスクとして透過制御膜5をパターニングすることにより、エッジ部7a及びマージン部7bが形成されることになる。
【0114】
(i)第2レジストパターン22’をエッチングマスクとして、露出している透過制御膜5をエッチングし、透過制御膜パターン5’を形成する。透過制御膜5がエッチング除去された時点でエッチングを停止する。尚、透過制御膜5のエッチング終了後、、マージン部7cとなる領域において遮光膜9が露出し、該遮光膜9は透過制御膜5とエッチング特性が共通であるため、遮光膜9表面がダメージを受け、膜厚の一部がエッチング除去されることが生じ得る。すなわち、マージン部7cとなる領域に残存する遮光膜9の膜厚は、遮光部7(エッジ部7a及びマージン部7cを除く領域、中央領域)における遮光膜9の膜厚より若干小さいものとなる。換言すると、マージン部7cは、遮光膜9の表面が露出するとともに、該遮光膜9の表面から膜厚の一部が失われたものとなる。
【0115】
遮光膜9が表面側に反射防止層を有する場合には、該反射防止層が一部又は全部除去されることがあり得る。しかしながら、遮光部9の遮光性に実質的に影響を与えることはなく、また、反射特性がマージン部分において変化することがあっても、反射防止機能を必要とする描画工程は既に終わっているため、デメリットは生じない。
【0116】
(j)第2レジストパターン22’を除去し、フォトマスク2が完成する。
【0117】
上記製造方法は、位相制御膜パターン4’と遮光膜パターン9’を形成する過程で、描画工程を1回しか有しない。すなわち(b)の工程の描画により形成された第1レジストパターン21’を用い、位相制御膜パターン4’をパターニングするとともに、更にサイドエッチングを利用することによって、遮光膜パターン9’をパターニングする。従って、得られたフォトマスク2が有するエッジ部7aの幅D1は、サイドエッチング幅と同一になり、面内で均一の幅となる。換言すれば、フォトマスク1の製造方法で、2回の描画の間に生じうるアライメントずれの影響が解消でき、フォトマスク面内におけるエッジ部7aの幅D1にばらつきが生じない。そして、エッジ部7aの幅が面内で均一であれば、その部分によって得られる位相シフト効果、すなわち、光強度分布の向上効果が面内均一になるため、フォトマスク2を用いて得ようとする電子デバイスにおいて、CD精度が高まり、歩留が向上するといった、優れた作用が得られる。
【0118】
尚、マージン部7cの幅M(μm)が大きすぎると、遮光膜9表面において上記ダメージの領域が広がるリスクが生じる。この点を考慮し、マージン部7cの幅Mの好ましい範囲は、0<M≦0.8である。
【0119】
上記製造方法では、位相制御膜パターン4’を形成する工程、遮光膜パターン9’を形成する工程、及び、透過制御膜パターン5’を形成する工程のいずれにおいても、それぞれ単一の膜をエッチング対象とする。すなわち、2層以上の積層を同一のエッチング剤によって連続的にエッチングする工程を適用しないことから、それぞれのエッチングを短時間にて終了可能であり、サイドエッチングの進行を抑えられることから、フォトマスク面内のCDのばらつきを抑止でき、優れたCD精度を得られる。
【0120】
また、フォトマスク2の遮光部7は、エッジ部7a、マージン部7cを除いた領域(中心領域ともいう)に、3層が積層されることから、その遮光性が極めて優れ、好ましくはOD4以上とすることができる。
【0121】
図10に、フォトマスク2の製造方法の変形例により、フォトマスク2’を製造する工程を示す。ここでは、
図9(h)のあと、
図10(i’)及び(j’)を参照する。
【0122】
(i’)第2レジストパターン22’をエッチングマスクとして、露出している透過制御膜5をエッチングし、透過制御膜パターン5’を形成する。更にエッチングを継続し、露出している部分の遮光膜9をエッチングする。上記エッチング終了後、幅D3の位相制御膜4が露出して、エッジ部7aを形成する。
【0123】
(j’)第2レジストパターン22’を除去し、フォトマスク2’が完成する。
【0124】
フォトマスク2’においても、エッジ部7aの幅D3は、面内で均一になる。従って、その部分によって得られる位相シフト効果、すなわち、光強度分布の向上効果が面内均一になるため、フォトマスク2’を用いて得ようとする電子デバイスにおいて、CD精度が高まり、歩留が向上する。
【0125】
フォトマスク2’において、エッジ部7aの幅D3(μm)は、0.5≦D3<5.0とすることができる。
【0126】
<表示装置の製造方法>
フォトマスク1、及びフォトマスク2,2’に共通し、本願発明に係るフォトマスクは、表示装置製造用として好適に用いられる。表示装置製造のために用いられる露光装置としては、FPD(Flat Panel Display)用のものであって、等倍の投影露光方式(例えば開口数NAが0.08~0.15)のものとすることができる。光源としては、i線、h線、g線のいずれかを含むものとし、これらのうち複数を含む波長または波長域を含む光が有利に使用される。
【0127】
具体的には、フォトマスク1又はフォトマスク2,2’のいずれかを用意する工程と、露光装置を用いて、フォトマスク1又はフォトマスク2,2’のいずれかを露光する工程と、を有して、表示装置を製造することができる。このように、本願発明に係るフォトマスクは、例えば、表示装置(液晶表示装置や有機EL表示装置)のTFT(薄膜トランジスタ)基板の製造に好適に使用できる。なお、本明細書において、表示装置とは、表示装置を構成するための電子デバイスを含む。
【0128】
<変形例>
以上に、本発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明の技術的範囲は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0129】
本願発明に係るフォトマスクは、表示装置製造用として好適に用いられるが、その用途に制限は無い。つまり、本願発明に係るフォトマスクの用途、構成や製法については、本発明の作用効果を損なわない限りにおいて、上記に例示したものに限定されない。
【0130】
また、本発明の作用効果を損なわない範囲で、本願発明に係るフォトマスクには、付加的な光学膜や機能膜を使用しても良い。
【符号の説明】
【0131】
3…透明基板、4…位相制御膜、4’…位相制御膜パターン、5…透過制御膜、5’…透過制御膜パターン、6…透光部、7…遮光部、7a…エッジ部、7b…積層部、7c…マージン部、8…半透光部、9…遮光膜、9’…遮光膜パターン、21…第1レジスト膜、21’…第1レジストパターン、22…第2レジスト膜、22’…第2レジストパターン