(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/891 20060101AFI20230413BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20230413BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20230413BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20230413BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20230413BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20230413BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
A61K8/891
A61K8/06
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/81
A61K8/92
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2019174363
(22)【出願日】2019-09-25
【審査請求日】2022-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】澤田 彰子
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-057189(JP,A)
【文献】特開2011-102258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)
;下記成分(B)
;下記成分(C1)及び/又は下記成分(C2);下記成分(D)
;及び下記成分(E)を含有し、
前記成分(A)の含有量が0.1~1.0質量%、
前記成分(B)の含有量が0.2~4.0質量%
、
前記成分(C1)及び前記成分(C2)の合計含有量が0.25~1.7質量%である水中油型乳化化粧料。
成分(A):25℃における動粘度が3万~10万mm
2/sであるジメチルポリシロキサン
成分(B):テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、及びヒドロキシステアリン酸水添ヒマシ油からなる群から選択される少なくとも1種の化合物
成分(C1):アクリロイルジメチルタウリン酸塩に由来する構成単位を含むポリマー
成分(C2):(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位と(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルに由来する構成単位とを少なくとも含むポリマー、カルボキシビニルポリマー、及びアルキル変性カルボキシビニルポリマーからなる群から選択される少なくとも1種のポリマー
成分(D):ノニオン界面活性剤
成分(E):水
【請求項2】
下記成分(A);下記成分(B);下記成分(C1)及び/又は下記成分(C2);下記成分(D);及び下記成分(E)を含有し、
前記成分(A)の含有量が0.1~1.0質量%、
前記成分(B)の含有量が0.2~4.0質量%、
前記成分(C1)及び前記成分(C2)の合計含有量が0.25~1.7質量%である水中油型乳化化粧料(但し、以下の(a)~(d):
(a)(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー及び/又はその塩、
(b)イソステアリン酸デキストリン、
(c)重合度が2500以上10000以下の高重合ジメチルポリシロキサン、並びに
(d)炭素数14~24の直鎖高級アルコール
を含有する水中油型乳化化粧料を除く)。
成分(A):25℃における動粘度が3万~10万mm
2
/sであるジメチルポリシロキサン
成分(B):テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、及びヒドロキシステアリン酸水添ヒマシ油からなる群から選択される少なくとも1種の化合物
成分(C1):アクリロイルジメチルタウリン酸塩に由来する構成単位を含むポリマー
成分(C2):(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位と(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルに由来する構成単位とを少なくとも含むポリマー、カルボキシビニルポリマー、及びアルキル変性カルボキシビニルポリマーからなる群から選択される少なくとも1種のポリマー
成分(D):ノニオン界面活性剤
成分(E):水
【請求項3】
更に、下記成分(F)を0.01~1.0質量%含有する、請求項1
又は2に記載の化粧料。
成分(F):炭素数12~24の脂肪族アルコール
【請求項4】
更に、下記成分(G)を0.3~4.0質量%含有する、請求項1
~3の何れか1項に記載の化粧料。
成分(G):25℃における動粘度が100~1000mm
2/sであるジメチルポリシロキサン
【請求項5】
更に、下記成分(H)を0.5~4.0質量%含有する、請求項1~
4の何れか1項に記載の化粧料。
成分(H):25℃において固体のロウ
【請求項6】
前記成分(D)がモノグリセリン脂肪酸エステルを含む、請求項1~5の何れか1項に記載の化粧料。
【請求項7】
前記成分(C1)の含有量が0.2~1.2質量%であり、前記成分(C2)の含有量が0.1~1.0質量%である、請求項1~6の何れか1項に記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、しわを目立たなくするなどの目的で、皮膚に保湿感やハリ感(肌が適度に引っ張られており、たるみがない感触)を与える皮膚化粧料が知られている。このような、皮膚にハリ感を付与する乳化化粧料としては、ポリエチレングリコール(PEG)や高級アルコールを配合するものが知られている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-197253号公報
【文献】特開2005-53879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、PEGを配合した皮膚化粧料は皮膚から流れ落ちやすく、皮膚に十分なハリ感を付与することが困難であった。また、高級アルコールを配合した皮膚化粧料は、肌に浸透し肌質を改善するものであり、塗布直後から十分に高いハリ感を与えるものではなかった。
【0005】
また、上記のような皮膚化粧料には、塗布時にある程度の重さが感じられ、濃度の高い感触が得られるような使用感(「コク」のある使用感のことであり「コク感」ともいう)が求められる。化粧料の肌への塗布時にコク感が感じられることにより、濃厚な剤を用いているという使用実感や高級感、更なる効果への期待感が得られ、これらが合わさることで、満足感を高め、購買意欲を高めることができる。
【0006】
従来、コク感を出すためには、油性成分を比較的多く配合する方法が一般的であったが、その場合、皮膚化粧料を皮膚に塗布してから馴染むまでに時間がかかったり、皮膚化粧料の塗布後に肌のべたつきが強くなったりする傾向があった。
【0007】
使用者によっては、特に、皮膚化粧料の使用経験の浅い使用者や、男性使用者等には、馴染むのに時間がかかることや、肌がべたつくことは嫌われる傾向がある。そのため、ハリ感やコク感を有しながら、べたつきが抑えられ、馴染みのはやい皮膚化粧料が求められている。
【0008】
したがって、本発明の目的は、べたつきを抑えつつ、コク感を備え、皮膚に塗布することで、皮膚にハリ感を付与することができる化粧料を提供することである。
本発明の他の目的は、べたつきを抑えつつ、コク感を備え、皮膚に塗布することで、速やかに馴染んで皮膚にハリ感を付与することができる化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、油性成分として、特定の成分(A)、(B)を組み合わせて使用し、更に成分(C)~(E)を使用して得られる水中油型乳化化粧料は、べたつきを抑えつつコク感及び皮膚への浸透感に優れ、皮膚に塗布することで良好なハリ感を付与することができることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
【0010】
すなわち、本発明は、下記成分(A)、下記成分(B)、下記成分(C)、下記成分(D)、及び下記成分(E)を含有し、前記成分(A)の含有量が0.1~1.0質量%、前記成分(B)の含有量が0.2~4.0質量%である水中油型乳化化粧料を提供する。
成分(A):25℃における動粘度が3万~10万mm2/sであるジメチルポリシロキサン
成分(B):テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、及びヒドロキシステアリン酸水添ヒマシ油からなる群から選択される少なくとも1種の化合物
成分(C):水溶性アクリルポリマー
成分(D):ノニオン界面活性剤
成分(E):水
【0011】
本発明の化粧料は、更に、下記成分(F)を0.01~1.0質量%含有することが好ましい。
成分(F):炭素数12~24の脂肪族アルコール
【0012】
本発明の化粧料は、更に、下記成分(G)を0.3~4.0質量%含有することが好ましい。
成分(G):25℃における動粘度が100~1000mm2/sであるジメチルポリシロキサン
【0013】
本発明の化粧料は、更に、下記成分(H)を0.5~4.0質量%含有することが好ましい。
成分(H):25℃において固体のロウ
【0014】
本発明の化粧料は、前記成分(C)として、下記成分(C1)及び/又は下記成分(C2)を含有することが好ましく、下記成分(C1)及び下記成分(C2)の合計含有量は0.25~1.7質量%であることが好ましい。
成分(C1):アクリロイルジメチルタウリン酸塩に由来する構成単位を含むポリマー
成分(C2):(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位と(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルに由来する構成単位とを少なくとも含むポリマー、カルボキシビニルポリマー、及びアルキル変性カルボキシビニルポリマーからなる群から選択される少なくとも1種のポリマー
【0015】
本発明の化粧料は、前記成分(D)としてモノグリセリン脂肪酸エステルを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の化粧料は、皮膚に塗布する際には濃厚な触感、すなわちコク感が得られる。しかし、べたつきは無く使用感に優れる。さらに、本発明の化粧料は、馴染みの良さ(すなわち、速やかに皮膚に馴染む感じ。本明細書では「浸透感」と称する場合がある)が感じられる。そして、本発明の化粧料を皮膚に塗布すれば、速やかに皮膚表面に皮膜を形成して、適度なハリ感を付与する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の化粧料は、下記成分(A)、下記成分(B)、下記成分(C)、下記成分(D)、及び下記成分(E)を少なくとも含有する。
成分(A):25℃における動粘度が3万~10万mm2/sであるジメチルポリシロキサン
成分(B):テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、及びヒドロキシステアリン酸水添ヒマシ油からなる群から選択される少なくとも1種の化合物
成分(C):水溶性アクリルポリマー
成分(D):ノニオン界面活性剤
成分(E):水
【0018】
本発明の化粧料は、上記成分以外にも他の成分を含有していてもよく、例えば下記成分から選択される1種又は2種以上を含有していてもよい。
成分(F):炭素数12~24の脂肪族アルコール
成分(G):25℃における動粘度が100~1000mm2/sであるジメチルポリシロキサン
成分(H):25℃において固体のロウ
【0019】
本発明の化粧料は、上記各成分について、それぞれ、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。また、本発明の化粧料には、上記各成分以外にも、更に、用途に応じて、他の成分を添加することができる。
【0020】
本発明の化粧料は、水中油型(o/w)乳化化粧料である。連続相が水であるため、浸透感と水分の補給力に優れ、皮膚にみずみずしい感触を与えることができる。また、乳化粒子として連続相中に分散した油性成分(A),(B)が皮膚にハリ感を付与する。
【0021】
以下に、上記成分(A)~(H)について詳細に説明する。
【0022】
[成分(A)]
成分(A)はジメチルポリシロキサンであり、シリコーン油の1種である。本発明の化粧料を皮膚に塗布した際に、成分(A)が皮膚上に皮膜を形成することにより、浸透感、ハリ感、及びさらっとした触感を与える。成分(A)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0023】
成分(A)の25℃における動粘度は3万~10万mm2/sであり、なかでも、皮膚表面に皮膜を形成し、浸透感、ハリ感、及びさらっとした触感を与える効果に特に優れる観点から、好ましくは4万~9万mm2/s、特に好ましくは4万~8万mm2/sである。
【0024】
尚、本発明において、ジメチルポリシロキサンの25℃での動粘度は、JIS K 2283に準拠した方法で測定する。
【0025】
成分(A)としては、市販品を用いることができる。上記市販品としては、例えば、商品名「KF-96H-3万cs」(25℃の動粘度:3万mm2/s)、「KF-96H-5万cs」(25℃の動粘度:5万mm2/s)、「KF-96H-6万cs」(25℃の動粘度:6万mm2/s)、「KF-96H-10万cs」(25℃の動粘度:10万mm2/s)(以上、信越化学工業(株)製);商品名「SH200 FLUID 30000CS」(25℃の動粘度:3万mm2/s)、「SH200 FLUID 60000CS」(25℃の動粘度:6万mm2/s)、「SH200 FLUID 100000CS」(25℃の動粘度:10万mm2/s)(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)などが挙げられる。
【0026】
本発明の化粧料全量(100質量%)において、成分(A)の含有量は0.1~1.0質量%であり、好ましくは0.2~0.8質量%である。上記含有量が0.1質量%以上であると、皮膚上に皮膜を形成して適度なハリ感を付与する効果が得られる。また、上記含有量が1.0質量%以下であると、べたつきを抑制し、良好な使用感と浸透感が得られる。上記成分(A)の含有量は、本発明の化粧料中の全ての成分(A)の含有量の合計である。
【0027】
[成分(B)]
成分(B)は、高極性のエステル油であり、化粧料に塗布時のコク感を与える効果、及び皮膚上に皮膜を形成することによりハリ感を与える効果を付与する。
【0028】
成分(B)は、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、及びヒドロキシステアリン酸水添ヒマシ油からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である。上記テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチルは、例えば、INCI名で「Dipentaerythrityl Tetrahydroxystearate/Tetraisostearate」と表示される。上記ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルは、例えば、INCI名で「Dipentaerythrityl Hexahydroxystearate/Hexastearate/Hexarosinate」と表示される。上記ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルは、例えば、INCI名で「Dipentaerythrityl Hexahydroxystearate」と表示される。上記ヒドロキシステアリン酸水添ヒマシ油は、例えば、INCI名で「Hydrogenated Castor Oil Hydroxystearate」と表示される。成分(B)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0029】
成分(B)としては、なかでも、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチルと、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルとを組み合わせて使用することが好ましい。
【0030】
成分(B)としては、市販品を用いることができる。上記市販品としては、例えば、商品名「コスモール168M」、「コスモール168EV」、「コスモール168ARV」(以上、日清オイリオグループ(株)製)、「テクノールMH」(横関油脂工業(株)製)などが挙げられる。
【0031】
本発明の化粧料全量(100質量%)において、成分(B)の含有量は0.2~4.0質量%であり、好ましくは0.5~3.0質量%、特に好ましくは0.7~2.8質量%である。上記含有量が0.2質量%以上であると、化粧料に塗布時のコク感を付与することができる。また、上記含有量が4.0質量%以下であると、べたつきを抑制することができ、皮膚への良好な浸透感が得られる。上記成分(B)の含有量は、本発明の化粧料中の全ての成分(B)の含有量の合計である。
【0032】
本発明の化粧料全量(100質量%)において、成分(A)の含有量と成分(B)の含有量の質量比[成分(A)/成分(B)]は、例えば5/95~80/20、好ましくは10/90~45/55である。成分(A)の含有量が過剰となると、充分なコク感が得られにくくなる傾向がある。一方、成分(B)の含有量が過剰となると、皮膚にハリ感を付与する効果が得られにくくなる傾向がある。
【0033】
[成分(C)]
成分(C)は、水溶性アクリルポリマーである。成分(C)は、化粧料を増粘して、化粧料に、ジェル状、クリーム状、或いはジェルクリーム状の剤型を付与する。本発明の化粧料は成分(C)を含有するため、液だれを抑制することができ、使用性に優れる。また、皮膚に塗布する際には、所望の部位に選択的に塗布してハリ感を付与することが可能となる。
【0034】
成分(C)としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、アクリル酸アルキルコポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)クロスポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー、(アクリレーツ/ネオデカン酸ビニル)クロスポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーなどが挙げられる。成分(C)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0035】
成分(C)としては、なかでも、化粧料に、みずみずしいジェル状の剤型を付与することができ、優れた浸透感を付与することができる観点から、下記成分(C1)及び/又は下記成分(C2)を含有することが好ましい。さらに、コク感をより一層向上する観点から、成分(C1)及び成分(C2)を含有することがより好ましい。
成分(C1):アクリロイルジメチルタウリン酸塩に由来する構成単位を含むポリマー
成分(C2):(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位と(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルに由来する構成単位とを少なくとも含むポリマー(以後、「ポリマー(C2-1)」と称する場合がある)、カルボキシビニルポリマー(以後、「ポリマー(C2-2)」と称する場合がある)、及びアルキル変性カルボキシビニルポリマー(以後、「ポリマー(C2-3)」と称する場合がある)からなる群から選択される少なくとも1種のポリマー
【0036】
成分(C1)は、アクリロイルジメチルタウリン酸塩に由来する構成単位を少なくとも含むポリマーである。上記アクリロイルジメチルタウリン酸塩としては、アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0037】
成分(C1)は、アクリロイルジメチルタウリン酸塩以外のモノマー成分に由来する構成単位を含んでいてもよい。アクリロイルジメチルタウリン酸塩以外のモノマー成分としては、例えば、アクリル酸等の(メタ)アクリル酸;アクリル酸ナトリウム等の(メタ)アクリル酸塩;アクリル酸ヒドロキシエチル等の水酸基含有アクリルモノマー;アクリル酸アミド等のアミド基含有アクリルモノマーなどが挙げられる。
【0038】
成分(C1)としては、例えば、アクリル酸とアクリロイルジメチルタウリン酸塩とのコポリマー、アクリル酸ヒドロキシエチルとアクリロイルジメチルタウリン酸塩とのコポリマー、アクリル酸とアクリル酸塩とアクリルアミドとアクリロイルジメチルタウリン酸塩とのコポリマーなどが挙げられる。
【0039】
成分(C1)としては、INCI名で「Sodium Acrylate/Sodium Acryloyldimethyl Taurate Copolymer((アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー)」と表記される化合物;INCI名で「Hydroxyethyl Acrylate/Sodium Acryloyldimethyl Taurate Copolymer((アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー)」と表記される化合物等が好ましい。上記の中でも、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーが好ましい。
【0040】
成分(C1)としては、市販品を用いることができる。上記市販品としては、例えば、商品名「SIMULGEL EG」、「SIMULGEL NS」(以上、SEPPIC SA社製)などが挙げられる。
【0041】
ポリマー(C2-1)は、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステル(モノマー成分(C2a))に由来する構成単位と、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル(モノマー成分(C2b))に由来する構成単位とを少なくとも含むポリマーである。
【0042】
モノマー成分(C2b)としては、例えば、メタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル、メタクリル酸ポリオキシエチレンベヘニルエーテルなどが挙げられる。また、モノマー成分(C2b)におけるオキシエチレンの平均付加モル数は15~30が好ましい。モノマー成分(C2a)とモノマー成分(C2b)とは、それぞれ、1種のみが用いられてもよいし、2種以上が用いられてもよい。成分(C2)は、モノマー成分(C2a)及びモノマー成分(C2b)以外のモノマー成分に由来する構成単位を含んでいてもよい。
【0043】
ポリマー(C2-1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテルとのコポリマー、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸ポリオキシエチレンベヘニルエーテルとのコポリマーなどが挙げられる。
【0044】
ポリマー(C2-1)としては、INCI名で「ACRYLATES/STEARETH-20 METHACRYLATE COPOLYMER((アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー)」と表記される化合物;「ACRYLATES/STEARETH-20 METHACRYLATE CROSSPOLYMER((アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)クロスポリマー)」と表記される化合物;「ACRYLATES/BEHENETH-25 METHACRYLATE COPOLYMER((アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー)」と表記される化合物などが好ましい。上記の中でも、化粧料の安定性の観点から、アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマーが好ましい。
【0045】
ポリマー(C2-1)としては、市販品を用いることができる。上記市販品としては、例えば、商品名「アキュリン22」、「アキュリン88」、「アキュリン28」(以上、ダウケミカル社製)などが挙げられる。
【0046】
ポリマー(C2-2)は、カルボキシル基を有するアクリル酸、又はメタクリル酸を主体とする水溶性のビニルポリマーである。ポリマー(C2-2)は、例えば、INCI名で「Carbomer(カルボマー)」と表示される。
【0047】
ポリマー(C2-2)としては、市販品を用いることができる。上記市販品としては、例えば、商品名「カーボポール940」、「カーボポール941」、「カーボポール934」、「カーボポール980」、「カーボポール981」(以上、ルーブリゾール(株)製)などが挙げられる。
【0048】
ポリマー(C2-3)は、上記カルボキシビニルポリマーが有するカルボキシル基の少なくとも一部がエステル化(例えば、炭素数10~30アルキル基エステル化)されたものである。ポリマー(C2-3)は、例えば、INCI名で「Acrylates/C10-30 Alkyl Acrylate Crosspolymer((アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー)」と表示される。
【0049】
ポリマー(C2-3)としては、市販品を用いることができる。上記市販品としては、例えば、商品名「ペムレンTR-1」、「ペムレンTR-2」、「カーボポール1382」、「カーボポール1342」、「カーボポールETD2020」、「カーボポールUltrez20」、「カーボポールUltrez21」(以上、ルーブリゾール(株)製)などが挙げられる。
【0050】
成分(C2)は、塩基性物質で中和されているか、又は塩基性物質で中和して用いられることが好ましい。この場合の塩基性物質としては、例えば、トリエタノールアミン、モノエタノールアミンなどのアルカノールアミン類;アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基;アルギニンなどの塩基性アミノ酸などが挙げられる。塩基性物質の添加量は、成分(C2)を中和するのに充分な量であり、成分(C2)及び上記塩基性物質の種類や成分(C2)の使用量に応じて適宜調整すればよい。
【0051】
本発明の化粧料全量(100質量%)において、成分(C)の含有量は、例えば0.2~2.0質量%、好ましくは0.25~1.7質量%、より好ましくは0.5~1.5質量%、特に好ましくは0.6~1.2質量%である。上記含有量が0.2質量%以上であると、化粧料が適度に増粘されることで使用性が向上すると共に、浸透感が向上する傾向がある。また、上記含有量が2.0質量%以下であると、塗布後のべたつきが抑えられ、さらっとした使用感が得られる。また、ハリ感を付与する効果にも優れる傾向がある。上記成分(C)の含有量は、本発明の化粧料中の全ての成分(C)の含有量の合計である。
【0052】
成分(C)の含有量(100質量%)に対する、成分(C1)及び成分(C2)の合計含有量の質量割合は、95.0質量%以上が好ましく、より好ましくは100質量%である。本発明の化粧料全量(100質量%)において、成分(C1)及び成分(C2)の合計含有量は、0.25~1.7質量%が好ましく、より好ましくは0.5~1.5質量%、特に好ましくは0.6~1.2質量%である。
【0053】
本発明の化粧料全量(100質量%)において、成分(C1)の含有量は、例えば0.15~1.2質量%、好ましくは0.2~1.0質量%である。成分(C1)を上記範囲で含有すると、浸透感をより一層向上することができ、さらにコク感がより一層優れたものとなる。上記成分(C1)の含有量は、本発明の化粧料中の全ての成分(C1)の含有量の合計である。
【0054】
本発明の化粧料全量(100質量%)において、成分(C2)の含有量は、例えば0.05~1.0質量%、好ましくは0.1~0.6質量%である。成分(C2)を上記範囲で含有すると、浸透感をより一層向上することができる。上記成分(C2)の含有量は、本発明の化粧料中の全ての成分(C2)の含有量の合計である。
【0055】
[成分(D)]
成分(D)はノニオン界面活性剤であり、水と油を乳化するための乳化剤である。成分(D)としては、例えば、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の、脂肪酸エステル型のノニオン界面活性剤が好ましい。成分(D)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0056】
上記モノグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、モノヒドロキシステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル、ジベヘン酸グリセリルなどが挙げられる。
【0057】
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノステアリン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸テトラグリセリル、モノオレイン酸テトラグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノステアリン酸ヘキサグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸モノエステル;ジオレイン酸ジグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸ジエステル;トリステアリン酸テトラグリセリル、トリステアリン酸ヘキサグリセリル、トリステアリン酸デカグリセリル、トリオレイン酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸トリエステル;ペンタステアリン酸テトラグリセリル、ペンタオレイン酸テトラグリセリル、ペンタステアリン酸ヘキサグリセリル、ペンタオレイン酸ヘキサグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸ペンタエステルなどが挙げられる。
【0058】
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルにおけるポリグリセリンの平均重合度は、乳化安定性を高める観点から、好ましくは2~10である。
【0059】
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルにおける脂肪酸は、乳化安定性を高める観点から、炭素数が8~24の脂肪酸が好ましく、より好ましくは炭素数が10~20の脂肪酸、さらに好ましくは炭素数が12~18の脂肪酸である。
【0060】
上記ソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノカプリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、ジステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタンなどが挙げられる。
【0061】
上記ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノパルミチン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノイソステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、ジオレイン酸ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
【0062】
上記ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリン、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノミリスチン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルなどが挙げられる。酸化エチレンの付加モル数は、特に限定されないが、乳化安定性を高める観点から、2~100であることが好ましく、より好ましくは4~90である。
【0063】
上記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどが挙げられる。酸化エチレンの付加モル数は、特に限定されないが、乳化安定性を高める観点から、5~50が好ましく、より好ましくは10~30である。
【0064】
本発明の化粧料全量(100質量%)において、成分(D)の含有量は、例えば0.5~4.0質量%、好ましくは0.7~3.5質量%、特に好ましくは1.0~3.0質量%である。上記含有量が0.5質量%以上であると、良好な乳化安定性が得られる。また、上記含有量が4.0質量%以下であると、塗布後のべたつきが抑えられ、さらっとした使用感が得られる。上記成分(D)の含有量は、本発明の化粧料中の全ての成分(D)の含有量の合計である。
【0065】
本発明の化粧料は、塗布時のコク感を向上する観点から、成分(D)としてモノグリセリン脂肪酸エステルを少なくとも含有することが好ましい。
【0066】
本発明の化粧料全量(100質量%)において、モノグリセリン脂肪酸エステルの含有量は0.05~3.0質量%が好ましく、特に好ましくは0.1~2.0質量%、最も好ましくは0.3~1.0質量%である。上記モノグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、本発明の化粧料中の全てのモノグリセリン脂肪酸エステルの含有量の合計である。
【0067】
[成分(E)]
成分(E)は水である。水は、水中油型(o/w)乳化化粧料の連続相を形成する媒体である。水としては、特に限定されないが、精製水が好ましい。
【0068】
本発明の化粧料全量(100質量%)において、成分(E)の含有量は、特に限定されないが、例えば60.0~90.0質量%、好ましくは70.0~85.0質量%である。
【0069】
[成分(F)]
成分(F)は、炭素数12~24の脂肪族アルコールである。本発明の化粧料が成分(F)を含有すると、塗布時のコク感を向上させ、べたつきを抑制する効果が得られる。
【0070】
成分(F)としては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、バチルアルコールなどが挙げられる。成分(F)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0071】
成分(F)としては、なかでも炭素数18~24の飽和脂肪族アルコールが好ましく、セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
【0072】
本発明の化粧料全量(100質量%)において、成分(F)の含有量は、例えば0.01~1.5質量%、好ましくは0.1~1.0質量%である。上記成分(F)の含有量は、本発明の化粧料中の全ての成分(F)の含有量の合計である。
【0073】
[成分(G)]
成分(G)は、25℃における動粘度が100~1000mm2/sであるジメチルポリシロキサンである。本発明の化粧料が成分(G)を含有すると、べたつきを抑制する効果が得られる。成分(G)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0074】
成分(G)としては、べたつきを抑制する効果に特に優れる観点から、好ましくは25℃における動粘度が150~600mm2/sであるジメチルポリシロキサンである。
【0075】
成分(G)としては、市販品を用いることができる。上記市販品としては、例えば、商品名「KF-96-200cs」(25℃の動粘度:200mm2/s)、「KF-96-500cs」(25℃の動粘度:500mm2/s)(以上、信越化学工業(株)製);商品名「SH200C FLUID 350CS」(25℃の動粘度:350mm2/s)(東レ・ダウコーニング(株)製)などが挙げられる。
【0076】
本発明の化粧料全量(100質量%)において、成分(G)の含有量は、例えば0.3~4.0質量%、好ましくは0.5~3.0質量%である。上記成分(G)の含有量は、本発明の化粧料中の全ての成分(G)の含有量の合計である。
【0077】
[成分(H)]
成分(H)は、25℃において固体のロウである。本発明の化粧料が成分(H)を含有すると、塗布時のコク感を向上させ、べたつきを抑制する効果が得られる。
【0078】
成分(H)としては、例えば、ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、セラックなどの動物性ロウ;カルナウバロウ、ライスワックス、綿ロウ、モクロウ、キャンデリラロウ等の植物性ロウ;モンタンロウ、マイクロクリスタリンワックス等の鉱物性ロウなどが挙げられる。成分(H)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0079】
成分(H)としては、なかでもミツロウが好ましい。
【0080】
本発明の化粧料全量(100質量%)において、成分(H)の含有量は、例えば0.5~4.0質量%、好ましくは1.0~3.0質量%である。上記成分(H)の含有量は、本発明の化粧料中の全ての成分(H)の含有量の合計である。
【0081】
[その他の成分]
本発明の化粧料は、各成分の分散性や化粧料の肌への浸透感を向上させる観点から、エタノールを含んでいてもよい。本発明の化粧料中のエタノールの含有量は、特に限定されないが、本発明の化粧料全量(100質量%)において、例えば0.1~30.0質量%、好ましくは0.5~25.0質量%、特に好ましくは1.0~10.0質量%である。上記含有量が0.1質量%以上であると、各成分の分散性や肌への浸透感を一層向上させる効果が得られる。また、上記含有量が30.0質量%以下であると、刺激や粘度低下による化粧料の不安定化を抑制する効果に優れる。
【0082】
本発明の化粧料は、保湿効果を向上させる観点から、多価アルコールを含んでいてもよい。上記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオールなどのグリコール類;グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどのグリセリン類;キシリトール、トレハロース、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、エリスリトール、アラビトール、リビトール、ガラクチトール、グルシトール、エリトリトールなどの糖アルコールなどが挙げられる。上記多価アルコールは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0083】
本発明の化粧料全量(100質量%)において、多価アルコールの含有量は、特に限定されないが、例えば0.1~30.0質量%、好ましくは5.0~30.0質量%、特に好ましくは10.0~25.0質量%である。上記含有量が0.1質量%以上であると、保湿効果を一層向上させる。また上記含有量が30.0質量%以下であると、べたつきを抑制する効果に優れる。上記多価アルコールの含有量は、本発明の化粧料中の全ての多価アルコールの含有量の合計である。
【0084】
本発明の化粧料は、保湿効果を向上させる観点から、25℃において液体の油性成分を含んでいても良い。上記油性成分の含有量は、本発明の化粧料全量(100質量%)において、例えば0.1~20.0質量%、好ましくは1.0~10.0質量%である。上記油性成分の含有量は、本発明の化粧料中の全ての「25℃において液体の油性成分」の含有量の合計である。
【0085】
上記25℃において液体の油性成分には、例えば、炭化水素油、成分(B)以外のエステル油、植物油などが挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0086】
上記炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、パラフィン、スクワレン、スクワラン、イソヘキサデカンなどが挙げられる。
【0087】
上記エステル油は、成分(B)に該当するエステル油以外のエステル油であり、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、2-エチルヘキサン酸セチル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチルなどが挙げられる。
【0088】
上記植物油としては、例えば、オリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、アボカド油、アルガンオイル、コメ胚芽油などが挙げられる。
【0089】
本発明の化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲内において、用途に応じて、他の成分を含有することができる。他の成分としては、例えば、上記成分以外の成分であって、通常化粧品に用いられる成分(例えば、結晶セルロース、セルロース粒子、シリカ、炭酸カルシウムなどのスクラブ剤;メントール、メンチルグリセリルエーテルなどの清涼剤;グリセリンモノ2-エチルヘキシルエーテルなどの保湿剤;パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノールなどの防腐・殺菌剤;香料;粉体;色材)などが挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0090】
<本発明の化粧料>
本発明の化粧料の製造方法は特に限定されず、例えば、上記成分(A)~(E)及び必要に応じて他の成分を配合し、ディスパーミキサー、パドルミキサーなどの公知慣用の混合装置を用いて混合する方法等により製造することができる。
【0091】
本発明の化粧料は皮膚用化粧料であり、例えば、ディスペンサー容器、チューブ容器、広口ジャー容器などの容易に取り出すことが可能な容器に充填して使用することができる。
【0092】
本発明の化粧料の適用部位としては、特に限定されず、例えば、顔(額、目元、目じり、頬、口元など)、身体(腕、肘、手の甲、指先、足、膝、かかと、首、脇、背中など)などが挙げられる。本発明の化粧料は、特にしわを目立たなくする効果に優れるため、顔や身体のしわが気になる部分に塗布する、しわ改善用化粧料として使用することが好ましい。
【実施例】
【0093】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。なお、表に記載の配合量は、各成分の配合量(すなわち、各原料中の有効成分の配合量)であり、特記しない限り、単位は「質量%」である。また、表中の配合量における「-」は、その成分を配合していないことを示す。
【0094】
実施例1~10、比較例1~5
(各試料の調製)
表1に記した処方に従って各成分を配合して、常法により化粧料を調製し、下記評価試験に供した。
【0095】
(評価)
専門評価員3人がコク感、浸透感、ハリ感、及びべたつきについて評価を行った。結果は各評価員の評価を総合して決定した。
【0096】
<コク感>
実施例及び比較例で得られた化粧料を前腕内側部に塗布し、塗布部上を往復するように手でなでることによりなじませた。塗布後の3往復までの感触より、「コク感」を以下の評価基準で官能評価した。評価結果は、表1に示す。
◎(優れる):肌上でのばすときに粘りのある重みが感じられ、濃度の高い感触が強い。
○(良好):肌上でのばすときに重みが明らかに感じられ、濃度の高い感触がある。
△(使用可能):肌上でのばすときにわずかに重みが感じられ、濃度の高い感触がわずかにある。
×(不良):肌上でのばすときに重みや濃度の高い感触が全くない。
【0097】
<浸透感>
また、塗布部の化粧料による滑りが感じられなくなり、化粧料が肌になじんだと感じられるまでの感触の変化より、「浸透感」を以下の評価基準で官能評価した。評価結果は、表1に示す。
◎(優れる):10往復までに化粧料が肌になじんだと感じられる。
○(良好):11~15往復で化粧料が肌になじんだと感じられる。
△(使用可能):15往復の時点でわずかに化粧料のぬるつきが残っているものの、実用上許容できる程度である。
×(不良):15往復の時点で化粧料のぬるつきが明らかに残っており、実用に耐えない。
【0098】
<ハリ感>
上記評価において、実施例及び比較例で得られた化粧料が肌になじんだと感じられた後、塗布部の肌の感触より、「ハリ感」を下記の評価基準で評価した。評価結果は、表1に示す。
◎(優れる):皮膜感があり、明らかなハリ感が感じられる。
○(良好):皮膜感があるものの、ハリ感はやや弱い。
×(不良):皮膜感が全く感じられない。
【0099】
<べたつき>
上記<浸透感>評価において、実施例及び比較例で得られた化粧料が肌になじんだと感じられた時の塗布部の肌の感触より、「べたつき」を下記の評価基準で評価した。評価結果は、表1に示す。
◎(優れる):すべりのよさが感じられ、なおかつ、べたつきが感じられない。
○(良好):すべりのよさが感じられるが、べたつきが僅かに感じられる。
△(使用可能):すべりのよさが弱く、べたつきが僅かに感じられる。
×(不良):べたつきが明らかに感じられる。
【0100】
上記各実施例の化粧料は、いずれも、上記評価において、前腕内側部に塗布した際に、水が肌に供給される感触があり、みずみずしさが感じられた。
【0101】
【0102】
表1に記載の主な成分を以下に説明する。
<成分(A)>
ジメチルポリシロキサン3万cs:商品名「SH200 FLUID 30,000CS」(25℃の動粘度:3万mm2/s)、東レ・ダウコーニング(株)製
ジメチルポリシロキサン6万cs:商品名「SH200 FLUID 60,000CS」(25℃の動粘度:6万mm2/s)、東レ・ダウコーニング(株)製
ジメチルポリシロキサン10万cs:商品名「SH200 FLUID 100,000CS」(25℃の動粘度:10万mm2/s)、東レ・ダウコーニング(株)製
<成分(A’)>
ジメチルポリシロキサン1.25万cs:商品名「KF-96H-1.25万cs」(25℃の動粘度:1.25万mm2/s)、信越化学工業(株)製
ジメチルポリシロキサン30万cs:商品名「KF-96H-30万cs」(25℃の動粘度:30万mm2/s)、信越化学工業(株)製
<成分(B)>
テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル:商品名「コスモール168M」、日清オイリオグループ(株)製
ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル:商品名「コスモール168EV」、日清オイリオグループ(株)製
ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル:商品名「コスモール168ARV」、日清オイリオグループ(株)製
ヒドロキシステアリン酸水添ヒマシ油:商品名「テクノールMH」、横関油脂工業(株)製
<成分(C)>
(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー:商品名「SIMULGEL EG」、SEPPIC SA社製
(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー:商品名「SIMULGEL NS」、SEPPIC SA社製
(アクリル酸アルキル/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー:商品名「アキュリンTM22」、ダウケミカル社製
(アクリル酸アルキル/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー:商品名「アキュリン28」、ダウケミカル社製
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー:商品名「PEMULEN TR-1」、日本ルーブリゾール(株)製
カルボマー:商品名「カーボポール980」、ルーブリゾール(株)製
<成分(D)>
モノステアリン酸グリセリル:商品名「CUTINA GMS-V」、親油型脂肪酸モノグリセリル、BASF社製
ステアリン酸ポリグリセリル-10:商品名「NIKKOL DECAGLYN 1-SV」、日光ケミカルズ(株)製
ポリソルベート60:モノステアリン酸POE(20)ソルビタン
ポリソルベート80:オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン
<成分(H)>
ミツロウ:商品名「コウサンダッシュウミツロウ」、三木化学工業(株)製
<その他成分>
ジメチルポリシロキサン350cs:商品名「SH200C FLUID 350CS」(25℃の動粘度:350mm2/s)、東レ・ダウコーニング(株)製
ジメチルポリシロキサン200cs:商品名「KF-96-200cs」(25℃の動粘度:350mm2/s)、信越化学工業(株)製
ジメチルポリシロキサン500cs:商品名「KF-96-500cs」(25℃の動粘度:500mm2/s)、信越化学工業(株)製
【0103】
さらに、以下に、本発明に用いることができる水中油型乳化化粧料の処方例を示す。
【0104】
実施例11(目元用クリーム)
(質量%)
ジメチルポリシロキサン(25℃の動粘度:6万mm2/s) 0.7
テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル
2.0
(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー 0.8
(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー 0.15
ポリソルベート80 0.2
ステアリン酸グリセリル 0.2
ステアリン酸ポリグリセリル-10 1.5
ベヘニルアルコール 0.7
ジメチルポリシロキサン(25℃の動粘度:10mm2/s) 3.0
テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリット 2.0
イソヘキサデカン 0.5
グリセリン 8.0
ジプロピレングリコール 5.0
トリメチルグリシン 2.0
エタノール 4.5
フェノキシエタノール 0.3
オキトキシグリセリン 0.05
香料 0.1
水酸化カリウム 適 量
水 残 部
合計 100