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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】排気ガス浄化装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/24 20060101AFI20230413BHJP
   F01N 3/20 20060101ALI20230413BHJP
   F01N 5/02 20060101ALI20230413BHJP
   F01N 13/14 20100101ALI20230413BHJP
   F01N 13/08 20100101ALI20230413BHJP
【FI】
F01N3/24 L
F01N3/20 K ZAB
F01N3/20 A
F01N3/24 N
F01N5/02 C
F01N13/14
F01N13/08 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019183326
(22)【出願日】2019-10-03
(65)【公開番号】P2021059989
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2021-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】マレリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久永 徹
(72)【発明者】
【氏名】黒木 康平
(72)【発明者】
【氏名】鱒渕 宏章
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-222927(JP,A)
【文献】特開2013-044490(JP,A)
【文献】特開2000-179958(JP,A)
【文献】特開2018-159272(JP,A)
【文献】特開2013-170534(JP,A)
【文献】国際公開第2011/114453(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/24
F01N 3/20
F01N 5/02
F01N 13/14
F01N 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスが通過する排気ガス流路内に設けられ、排気ガスを浄化する触媒担体を有する触媒コンバータと、
前記触媒コンバータの上流側に配置される温調手段と、
を備え、
前記温調手段は、
記触媒コンバータに流入する排気ガスを加熱する加熱手段と、
記排気ガスを冷却する冷却手段と、
を有
前記温調手段は、
導電性を有する第1担体と、
前記第1担体の排気ガス流れ方向下流側に配置され且つ導電性を有する第2担体と、
前記第2担体の外周に設けられ前記第2担体を冷却する冷却部と、
を備え、
前記第1担体及び前記第2担体の間には、断熱材料から形成された棒状部材により連結された、
ことを特徴とする排気ガス浄化装置。
【請求項2】
前記冷却手段は、
排気ガスが通過する排気ガス流路内に設けられ且つ熱伝導性を有する流路構造体と、
前記流路構造体の外側に設けられて冷媒が通過する冷媒流路部と、
前記冷媒流路部に対して冷媒を供給する媒体供給部と、
を有し、
前記媒体供給部は、前記冷媒流路部に冷媒を充填した後、前記冷媒流路部に空気を送り込むことにより前記冷媒を回収するものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項3】
前記冷却手段は、
排気ガスが通過する排気ガス流路内に設けられ且つ熱伝導性を有する流路構造体と、
前記流路構造体の外側に設けられて冷媒が通過する冷媒流路部と、
前記冷媒流路部よりも鉛直方向下方側に配置されて冷媒を貯蔵する冷媒タンクと、
前記冷媒タンクから前記冷媒流路部に対して冷媒を供給する媒体供給部と、
を有し、
前記冷媒流路部に充填された冷媒は、前記媒体供給部の駆動を停止することにより前記冷媒タンクへ回収される、
ことを特徴とする請求項1に記載の排気ガス浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車等の排気ガスから熱を回収する熱交換部と排気ガスを浄化する触媒コンバータ部を有する排気熱回収浄化複合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の排気熱回収浄化複合装置として、例えば、特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1に開示されたものは、内燃機関エンジンが排出する排気ガスを排出するための排気管中に設けられ、排気ガスから炭化水素を吸着するためのHC吸着剤を有するHC吸着部と、このHC吸着部に対し排気ガスの下流側に設けられ、エンジン冷却液と排気ガスとの熱交換を行う排気熱回収部と、この排気熱回収部に対し排気ガスの下流側に設けられ、通過する排気ガスを浄化するための三元触媒を有する触媒コンバータ部と、HC吸着部及び排気熱回収部をバイパスして触媒コンバータ部の上流側に合流するバイパス流路と、このバイパス流路を開閉する弁装置と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4649375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の排気熱回収浄化複合装置では、排気ガスが排気熱回収部から触媒コンバータ部へ流れるため、触媒コンバータ部の昇温が遅くなる。
【0005】
また、HC吸着剤が不可欠であり、触媒点数の増加と、HC吸着剤はドーナツ状形状であるため、その保持が困難かつ複雑になる。
【0006】
さらに、触媒活性と同時に熱回収も切り替わるため、回収熱量は少ない。
【0007】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、構造が簡素化され、かつ、触媒コンバータ部の熱が逃げ難い排気熱回収浄化複合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様によれば、排気ガスが通過する排気ガス流路内に設けられ、排気ガスを浄化する触媒担体を有する触媒コンバータと、前記触媒コンバータの上流側に配置される温調手段と、を備え、前記温調手段は、記触媒コンバータに流入する排気ガスを加熱する加熱手段と、記排気ガスを冷却する冷却手段と、を有し、前記温調手段は、導電性を有する第1担体と、前記第1担体の排気ガス流れ方向下流側に配置され且つ導電性を有する第2担体と、前記第2担体の外周に設けられ前記第2担体を冷却する冷却部と、を備え、前記第1担体及び前記第2担体の間には、断熱材料から形成された棒状部材により連結される。
【発明の効果】
【0009】
この態様では、所定温度以上の高温排気ガスの場合には、触媒へ流入する前の排気ガスを所定温度の範囲内になるように冷却し、所定温度に達していない低温排気ガスの場合には、触媒へ流入する前の排気ガスを所定温度の範囲内になるように加熱する。例えば、加熱手段だけを使って排気ガスを加熱する場合もあれば、冷却手段だけを使って排気ガスを冷却する場合もあるが、そのほか、加熱手段と冷却手段をそれぞれ使って温調する場合もある。いずれの場合でも、最適な温度にした排気ガスを触媒へ流入させることにより、排気ガスの浄化性能を高めることができる
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態の排気ガス浄化装置の一例である排気熱回収浄化複合装置の切替バルブが閉じた状態を示す断面図である。
図2】上記第1実施形態の排気ガス浄化装置の一例である排気熱回収浄化複合装置の切替バルブが開いた状態を示す断面図である。
図3】本発明の第2実施形態の排気ガス浄化装置の一例である排気熱回収浄化複合装置の切替バルブが閉じた状態を示す断面図である。
図4】上記第2実施形態の排気ガス浄化装置の一例である排気熱回収浄化複合装置の切替バルブが開いた状態を示す断面図である。
図5】本発明の排気ガス浄化装置を説明するための概念図等である。
図6】本発明の排気ガス浄化装置を説明するための概念図等である。
図7】本発明の排気ガス浄化装置を説明するための概念図等である。
図8】本発明の排気ガス浄化装置を説明するための概念図等である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は本発明の第1実施形態の排気熱回収浄化複合装置の切替バルブが閉じた状態を示す断面図、図2は同切替バルブが開いた状態を示す断面図である。
【0013】
図1及び図2に示すように、排気熱回収浄化複合装置10は、上流側から下流側へ向かって排気ガスGが流れる上流側の排気管Aと下流側の排気管Bの間に設けられ、車両の床面に対して垂直(起立)の縦置きタイプのもので、その装置本体10Aの排気ガス流路11中に、通過する排気ガスGを浄化する触媒担体22を有した触媒コンバータ部20と、排気ガスGと冷却媒体(例えば、クーラント液)Wとの熱交換を行う排気熱回収部30と、排気ガス流路11中の排気ガスGの流れを切り替えるバタフライバルブ(切替バルブ)40と、を備えている。
【0014】
触媒コンバータ部20は、円筒状の触媒ケース(筒状のケース)21と、この触媒ケース21に保持部材23を介して取り付けられた排気ガスGを浄化する触媒担体22と、上流側の排気管Aに溶接され、かつ、触媒ケース21の上流端部21a側に溶接された中央が円錐面状の前側触媒補助ケース24と、上流端部25a側が触媒ケース21の下流端部21b側に溶接され、下流側開口部25bが上流端部25aより小径の後側触媒補助ケース25と、を備えている。
【0015】
そして、触媒ケース21と後側触媒補助ケース25の周りには、バタフライバルブ40の閉時に排気ガス流路11を形成する下流側が円錐面状に絞られた円筒状の仕切ケース26と、円筒状の外側ケース27を配設してある。
【0016】
これら仕切ケース26及び外側ケース27は、触媒ケース21及び後側触媒補助ケース25の外周側に同心に配置され、触媒ケース21及び後側触媒補助ケース25との間にバイパス流路(屈曲した排気ガス流路)11′が形成されている。このバイパス流路11′は、触媒コンバータ部20の排気ガスGの流れ方向の下流側に位置する排気ガス流路11から排気熱回収部30の排気ガスGの流れ方向の下流側に向かって分岐し、排気熱回収部30の排気ガスGの流れ方向の下流側において排気熱回収部30の排気ガスの流れと合流する。即ち、触媒コンバータ部20から排気熱回収部30へのバイパス流路11′は屈曲して形成されており、触媒コンバータ部20の外観を形成する触媒ケース21は断熱層となっている。
【0017】
さらに、触媒コンバータ部20の後方の仕切ケース26の下流端部26bには、バタフライバルブ40により開閉される開口端となる円筒短管28を溶接により接合してある。この円筒短管28の開口をバタフライバルブ40で開くと、図2に示すように、触媒コンバータ部20から排気熱回収部30への排気ガスGの流れが遮断され、また、円筒短管28の開口をバタフライバルブ40で閉じると、図1に示すように、触媒コンバータ部20から排気熱回収部30への排気ガスGの流れが許容されるようになっている。
【0018】
また、外側ケース27は、その外周側に排気熱回収部30を一体に備えている。即ち、触媒コンバータ部20の外側に排気熱回収部30が同軸的に環状に配置されている。排気熱回収部30は、円環状の膨出部31を有し、この円環状の膨出部31と外側ケース27との間に円環状の冷却媒体通路32を形成している。この円環状の冷却媒体通路32は、その中を流れる冷却媒体Wに仕切ケース26で形成される屈曲したバイパス流路11′で受け取った熱を有効に伝えることができるようになっている。
【0019】
さらに、排気熱回収部30の円環状の膨出部31の排気ガスGの下流側と上流側には、円筒状の冷却媒体入口管(冷却媒体の入口)33と円筒状の冷却媒体出口管(冷却媒体の出口)34が所定距離隔てて取り付けられている。また、外側ケース27の下流端部27bには下流側連絡管50が接続されている。この下流側連絡管50の下流端部50bは、下流側の排気管Bに溶接で接合されている。
【0020】
さらに、排気ガス流路11の下流側である外側ケース27の下流端側には、円筒短管28を開いた状態で排気ガスGを下流側連絡管50に直接流通させ、円筒短管28を閉じた状態で排気ガスGを仕切ケース26で形成される屈曲したバイパス流路11′に流通させるバタフライバルブ40が設けられている。このバタフライバルブ40は支軸41を介して外側ケース27の下流端側に開閉自在に取り付けられており、図示しない電気制御アクチュエータにより開閉されるようになっている。尚、バタフライバルブ40を、冷却媒体温度感知アクチュエータや排気圧感知アクチュエータ等の他のアクチュエータにより開閉させるようにしても良い。
【0021】
以上実施形態の排気熱回収浄化複合装置10によれば、図2に示すように、円筒短管28の開口をバタフライバルブ40が開いている場合には、排気ガスGは下流側連絡管50に直接流れて下流側の排気管Bに到達する。このバタフライバルブ40が開いている時は、排気ガスGは触媒コンバータ部20から排気熱回収部30に流れないため、排気ガスGの熱は、排気熱回収部30に受け渡されない。
【0022】
図1に示すように、円筒短管28の開口をバタフライバルブ40が閉じている場合には、排気ガスGは触媒コンバータ部20から排気熱回収部30側に流れ、仕切ケース26で形成される屈曲したバイパス流路11′を経て下流側連絡管50に流れる。この間に、排気ガスGの熱は、排気熱回収部30に受け渡され、この排気熱回収部30に受け渡され熱が、円環状の冷却媒体通路32を流れるエンジンの冷却媒体Wに伝達されて回収される。
【0023】
このように、排気熱回収浄化複合装置10の排気ガスGの最上流に触媒コンバータ部20を配置したことで、触媒コンバータ部20の昇温を促進させることができ、さらに、触媒コンバータ部20の触媒担体22を通過し、化学反応熱により加熱された排気ガスGは、触媒担体22を保持する円筒状の触媒ケース21の外周を通り、上流の排気熱回収部30側へ循環され、円筒状の触媒ケース21の外周で熱交換することで、触媒活性と暖機を両立できる。よって、排気部品点数を削減することができるため、従来のバイパス流路が不要となって構造を簡素化することができ、かつ、触媒コンバータ部20の熱が逃げ難い。
【0024】
また、触媒コンバータ部20の出口の円筒短管28の近傍には、円筒短管28の開口を開閉するバタフライバルブ40が設置され、バタフライバルブ40の開時は、排気ガスGは速やかに最下流に位置する下流側連絡管50へ排出されて低圧損となる。さらに、高温に弱いバタフライバルブ40の作動用のアクチュエータも設置し易く、バタフライバルブ40の制御次第では、後方にLNT(吸蔵型窒素酸化物還元触媒)が配置された場合の温調や騒音対策にも利用可能である。さらに、内燃機関において燃焼後の排気ガスの一部を取り入れ、再度吸気させる技術(排気再循環:EGR機能)に適用可能である。
【0025】
また、円筒状の触媒ケース21の最外周は、冷却水等の冷却媒体Wが通る冷却媒体通路32であるため、熱害用カバーが不要となるため、その分、排気部品点数を削減することができ、低コスト化を図ることができる。
【0026】
図3は本発明の第2実施形態の排気熱回収浄化複合装置の切替バルブが閉じた状態を示す断面図、図4は同排気熱回収浄化複合装置の切替バルブが開いた状態を示す断面図である。
【0027】
図3及び図4に示すように、この第2実施形態の排気熱回収浄化複合装置10′は、装置本体10Aの排気ガス流路11中の排気ガスGの流れを切り替える切替バルブとして電制バルブ(電気制御バルブ)60を用いている。この電制バルブ60は、排気熱回収部30の外部に設置された駆動部61と、この駆動部61により回動する駆動軸62と、この駆動軸62に取り付けられ、円筒短管(開口端)28を開閉するバルブ体63とを備えている。尚、他の構成は前記第1実施形態と同様であるため、同一構成部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0028】
この第2実施形態の排気熱回収浄化複合装置10′では、前記第1実施形態と同様の作用・効果を奏する他、電制バルブ60の駆動部(アクチュエータ)61が排気熱回収部30の外部に設置され、駆動部61と排気ガス流路11,11′との間に排気熱回収部30の冷却媒体流路があるので、電制バルブ60の熱対策用遮断板が不要になる効果がある。
【0029】
(付記)
本発明は、排気ガスを加熱又は冷却により所定範囲内の温度に調整(温調)して触媒を通過させることにより、排気ガス処理能力を高めるものである。
【0030】
排気ガスを加熱する機構としては、例えば、排気ガス流路内において排気ガスが通過する複数の貫通孔を有する金属製担体(メタル担体)を配置し、そのメタル担体に通電してヒータとして使うことにより、メタル担体を通過する排気ガスを加熱する機構が挙げられる。
【0031】
排気ガスを冷却する機構としては、例えば、排気ガス流路内において排気ガスが通過する複数の貫通孔を有する金属製担体(メタル担体)を配置し、このメタル担体の外周部に冷媒を流す流路を設けることで、排気ガスに接触するメタル担体を冷媒で冷やし、このメタル担体を通過する排気ガスを冷却する機構が挙げられる。
【0032】
ここで、排気ガスの温度が所定温度(所定の触媒活性が得られる温度)以上の場合、そのような高温排気ガスが触媒を通過すると、触媒が劣化する可能性がある。逆に、排気ガスの温度が所定温度に達していない場合、そのような低温排気ガスが触媒を通過すると、排気ガスの浄化が十分に行われない可能性がある。そのため、本発明では、所定温度以上の高温排気ガスの場合には、触媒へ流入する前の排気ガスを所定温度の範囲内になるように冷却し、所定温度に達していない低温排気ガスの場合には、触媒へ流入する前の排気ガスを所定温度の範囲内になるように加熱する。例えば、加熱手段だけを使って排気ガスを加熱する場合もあれば、冷却手段だけを使って排気ガスを冷却する場合もあるが、そのほか、加熱手段と冷却手段をそれぞれ使って温調する場合もある。いずれの場合でも、最適な温度にした排気ガスを触媒へ流入させることにより、排気ガスの浄化性能を高めることができる。
【0033】
すなわち、触媒の上流側に、排気ガスを加熱する加熱手段(ヒータ)と、排気ガスを冷却する冷却手段(空冷または液冷)とを配置し、触媒へ流入する排気ガスを所定の温度になるように制御する。ここで、加熱手段と冷却手段とは、排気ガスの流れ方向に間隔をあけて配置することも可能であるが、搭載スペースの制約から両者を近づけて配置することが好ましい。ただし、加熱手段と冷却手段とを独立制御するためには、構造上は、隙間を開けて配置することが好ましい。そのため、1つの筒状ケース内に、2つの金属製担体(流路構造体)を配置し、上流側の担体を通電等により発熱させてヒータとして使用し、下流側の担体の外側には冷媒を流して冷却機構としてそれぞれ独立して制御できるように構成するのが好ましい。
【0034】
ここで、冷却機構としては、上述したように排気ガスが通過する流路構成体の外周に設けた冷媒流路部から冷媒を冷媒タンク等に回収することにより、流路構成体の外周に空気断熱層を形成するようにしてもよい。この場合には、冷媒タンクから流路構成体内に供給した冷媒をガスで押し出して冷媒タンクへ回収するウォータポンプを用いることにより、実現可能である。
【0035】
また、冷媒タンクから冷媒流路部への冷媒供給は、流路構成体の外周に設けた冷媒流路に対して鉛直方向下方に配置し、例えば、送液ポンプ(冷媒供給部)を使って行うようにしてもよい。冷媒流路部から冷媒タンクへの冷媒回収は、送液ポンプを停止することで、自重で冷媒を冷媒タンクへ戻すことで行う。これにより、冷媒流路から冷媒を排出した後は、冷媒流路部は空気層となるため、冷却機構を保温機構に活用することができる。
【0036】
なお、冷媒タンクを冷媒流路部よりも鉛直方向上方側または略同じ高さに配置したとしても、ポンプ等を使って冷媒を回収するようにしてもよいし、外部から空気を流入させることにより冷媒をポンプへ戻す仕組みを採用してもよい。
【0037】
また、上記冷媒流路内には、凹凸形状を設けたり冷媒流路をらせん状に形成することにより、熱交換の効率を高めるようにしてもよい。あるいは、冷媒流路内にハニカム構造を設けることで、同様に熱交換の効率を高めるようにしてもよい。
【0038】
なお、冷媒流路内に冷媒を充填させることにより、排気ガスを冷却しながら、静音化にも有効である。
【0039】
また、排気ガスの温度が適正な温度になったかどうかを検知するため、触媒コンバータへ流入する前の位置に、温度センサを配置することが好ましい。
【0040】
さらに、冷媒流路内から冷媒を回収するため、冷媒流路の冷媒出口は、鉛直方向上方側に向かって形成されていることが好ましい。これにより、加熱によって蒸気化したガスを冷媒流路から効率よく除去することが可能となる。
【0041】
また、上述した冷媒流路に対して冷媒を供給する冷媒供給手段は、触媒コンバータの外周に設ける排熱回収のための冷媒供給を兼ねるようにしてもよい。これにより、触媒コンバータの排熱回収のための冷媒供給と、触媒コンバータに流入する前の排気ガスを冷却するために冷媒流路への冷媒供給とを1つの冷媒供給手段で兼ねることにより、設置スペースを少なくできるだけでなく、コストも安くなる。
【0042】
なお、図7で示した支持ピンは、冷却側と加熱側との熱交換を防止するために、断熱材料からなる支持ピンで設けられていることが好ましい。なお、このような支持ピンは、上流側のヒータ部を別の固定手段で固定できれば、設けなくてもよい。
【0043】
また、図7で示したような排気管と、筒状ケースとの接合部を筒状ケースの内側に設ける場合には、熱膨張によって排気管がヒータ部に接触しないように距離を持たせて接合されることが好ましい。また、図7で示すように排気管を筒状ケースの端部外周に設けることで溶接するスペースを確保できるメリットがある。
【0044】
さらに、図7に示すように、ヒータ部の電極端子の位置と、冷媒流路への配管接続位置とが排気ガス浄化装置において同一方向に設けることが好ましい。
【符号の説明】
【0045】
10,10′ 排気熱回収浄化複合装置
10A 装置本体
11 排気ガス流路
11′ バイパス流路(屈曲した排気ガス流路)
20 触媒コンバータ部
21 円筒状の触媒ケース(筒状のケース、断熱層)
22 触媒担体
28 円筒短管(開口端)
30 排気熱回収部
33 冷却媒体入口管(冷却媒体の入口)
34 冷却媒体出口管(冷却媒体の出口)
40 バタフライバルブ(切替バルブ)
60 電制バルブ(切替バルブ)
61 駆動部(アクチュエータ)
G 排気ガス
W 冷却媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8