(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/86 20060101AFI20230413BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20230413BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20230413BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20230413BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20230413BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20230413BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
A61K8/86
A61K8/06
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/81
A61K8/92
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2019189719
(22)【出願日】2019-10-16
【審査請求日】2022-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】茶谷 芳光
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-039360(JP,A)
【文献】特開2016-216401(JP,A)
【文献】特表2011-526900(JP,A)
【文献】特開2007-176943(JP,A)
【文献】特表2018-532701(JP,A)
【文献】特表2016-523983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)、下記成分(B)、下記成分(C)、下記成分(D)、及び下記成分(E)を含有し、前記成分(A)の含有量が0.1~0.7質量%、前記成分(B)の含有量が0.2~1.0質量%、前記成分(C)の含有量が0.05~5.0質量%、前記成分(D)の含有量が0.2~3.0質量%である乳化化粧料。
成分(A):下記式(a
’)で表される、ポリエチレングリコール
ジ脂肪酸エステル
(RCOO)-(CH
2CH
2O)
n-
COR’ (a
’)
(式中、Rは炭素数10~20の脂肪族炭化水素基を示し、nはエチレンオキシドの平均付加モル数であり、50~300の数を示す
。前記R’は炭素数10~20の脂肪族炭化水素基を示す)
成分(B):
(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー)及び/又は(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー)
成分(C):成分(A)以外のノニオン界面活性剤
成分(D):
炭素数10~24の脂肪族アルコール
成分(E):水
【請求項2】
更に、下記成分(F)を含有する、請求項1に記載の乳化化粧料。
成分(F):成分(D)以外の油性成分
【請求項3】
更に、下記成分(G)を含有しない、又は含有し、下記成分(G)の含有量が0.5質量%以下である、請求項1又は2に記載の化粧料。
成分(G):成分(B)以外のアクリル系増粘剤及び多糖系増粘剤からなる群から選択される少なくとも1種の増粘剤
【請求項4】
前記成分(A)が、エチレンオキシドの平均付加モル数が70~250であるジステアリン酸ポリエチレングリコール、及び/又は、エチレンオキシドの平均付加モル数が70~250であるジラウリン酸ポリエチレングリコールである請求項1~3のいずれか1項に記載の乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、皮膚に保湿感を与える目的や、抗炎成分や美白成分などの有効成分を皮膚の特定部位に適用するなどの目的で使用される化粧料には、塗布時にある程度の重さが感じられ、濃度の高い感触が得られるような使用感(「コク」のある使用感のことであり「コク感」ともいう)が求められる。化粧料の肌への塗布時にコク感が感じられることにより、濃厚な剤を用いているという使用実感につながるためである。
【0003】
例えば、特許文献1には、室温にて固体の油性成分を多量に添加することによりコク感が高められることが記載されている。しかし、この方法で得られた化粧料は皮膚に馴染みにくく、皮膚に塗布した場合に長く皮膚表面に留まり、べたつくことが問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
使用者によっては、特に、化粧料の使用経験の浅い使用者や、男性使用者等は、馴染むのに時間がかかることや、肌がべたつくことを嫌う傾向がある。そのため、コク感を有しながら、べたつきが抑えられ、馴染みのはやい化粧料が求められている。
【0006】
したがって、本発明の目的は、コク感に優れ、皮膚への馴染みが良く、べたつきが少ない化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記目的を達成するため鋭意検討した結果、油性成分として下記成分(D)を特定量使用し、且つ下記成分(A)と成分(B)を特定の割合で組み合わせて使用して、化粧料を増粘することで、皮膚への馴染みやすさを損なわず、且つべたつきを抑制しつつ、コク感を向上することができることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
【0008】
すなわち、本発明は、下記成分(A)、下記成分(B)、下記成分(C)、下記成分(D)、及び下記成分(E)を含有し、前記成分(A)の含有量が0.1~0.7質量%、前記成分(B)の含有量が0.2~1.0質量%、前記成分(C)の含有量が0.05~5.0質量%、前記成分(D)の含有量が0.2~3.0質量%である乳化化粧料を提供する。
成分(A):下記式(a)で表される、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル
(RCOO)-(CH2CH2O)n-X (a)
(式中、Rは炭素数10~20の脂肪族炭化水素基を示し、nはエチレンオキシドの平均付加モル数であり、50~300の数を示す。Xは水素原子又はR’CO基を示し、前記R’は炭素数10~20の脂肪族炭化水素基を示す)
成分(B):アクリロイルジメチルタウリン酸塩に由来する構成単位を含むポリマー
成分(C):成分(A)以外のノニオン界面活性剤
成分(D):高級アルコール
成分(E):水
【0009】
本発明の乳化化粧料は、更に、下記成分(F)を含有することが好ましい。
成分(F):成分(D)以外の油性成分
【0010】
本発明の乳化化粧料は、更に、下記成分(G)を含有しない、又は含有し、下記成分(G)の含有量が0.5質量%以下であることが好ましい。
成分(G):成分(B)以外のアクリル系増粘剤及び多糖系増粘剤からなる群から選択される少なくとも1種の増粘剤
【0011】
本発明の乳化化粧料は、前記成分(A)が、エチレンオキシドの平均付加モル数が70~250であるジステアリン酸ポリエチレングリコール、及び/又は、エチレンオキシドの平均付加モル数が70~250であるジラウリン酸ポリエチレングリコールであることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の化粧料は、皮膚に塗布する際には濃厚な触感、すなわちコク感が得られる。また、本発明の化粧料は、コク感を高めつつ、べたつきが少なく、皮膚への馴染みの良さ(すなわち、速やかに皮膚に馴染む感じ。本明細書では「浸透感」と称する場合がある)が感じられる。すなわち、使用感に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、下記成分(A)、下記成分(B)、下記成分(C)、下記成分(D)、及び下記成分(E)を含有し、前記成分(A)の含有量が0.1~0.7質量%、前記成分(B)の含有量が0.2~1.0質量%、前記成分(C)の含有量が0.05~5.0質量%、前記成分(D)の含有量が0.2~3.0質量%である乳化化粧料である。
成分(A):下記式(a)で表される、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル
(RCOO)-(CH2CH2O)n-X (a)
(式中、Rは炭素数10~20の脂肪族炭化水素基を示し、nはエチレンオキシドの平均付加モル数であり、50~300の数を示す。Xは水素原子又はR’CO基を示し、前記R’は炭素数10~20の脂肪族炭化水素基を示す)
成分(B):アクリロイルジメチルタウリン酸塩に由来する構成単位を含むポリマー
成分(C):成分(A)以外のノニオン界面活性剤
成分(D):高級アルコール
成分(E):水
【0014】
本発明の化粧料は、上記成分以外にも他の成分を含有していてもよく、例えば下記成分から選択される1種又は2種以上を含有していてもよい。
成分(F):成分(D)以外の油性成分
成分(G):成分(B)以外のアクリル系増粘剤及び多糖系増粘剤からなる群から選択される少なくとも1種の増粘剤
【0015】
本発明の化粧料は、上記各成分について、それぞれ、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。また、本発明の化粧料には、上記各成分以外にも、更に、用途に応じて、他の成分を添加することができる。
【0016】
本発明の化粧料は、水中油型(o/w)乳化化粧料である。連続相が水であるため、浸透感と水分の補給力に優れ、みずみずしい感触を与えることができる。
【0017】
以下に、上記成分(A)~(G)について詳細に説明する。
【0018】
[成分(A)]
成分(A)は、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルである。成分(A)は、べたつきを抑えながら化粧料を増粘して、化粧料に、せん断応力を付与しても低下しにくい粘性を付与する。これにより、化粧料は、濃厚なコク感を有するものとなる。すなわち、成分(A)はコク感の向上効果に優れる。そして、成分(A)のコク感の向上効果は、成分(B)よりも優れる。成分(A)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0019】
成分(A)としては、例えば、下記式(a)で表される化合物が挙げられる。
(RCOO)-(CH2CH2O)n-X (a)
(式中、Rは炭素数10~20の脂肪族炭化水素基を示し、nはエチレンオキシドの平均付加モル数であり、50~300の数を示す。Xは水素原子又はR’CO基を示し、前記R’は炭素数10~20の脂肪族炭化水素基を示す)
【0020】
上記R、R’は、炭素数10~20の脂肪族炭化水素基であり、上記脂肪族炭化水素基にはアルキル基やアルケニル基が含まれる。なかでも、R、R’は炭素数10~20のアルキル基が好ましく、特に炭素数15~20のアルキル基が好ましい。
【0021】
上記nはエチレンオキシド(CH2CH2O)の平均付加モル数であり、50~300の数を示し、好ましくは70~250の数、特に好ましくは100~200の数である。即ち、成分(A)のエチレンオキシドの平均付加モル数は、50~300であり、好ましくは70~250、特に好ましくは100~200である。
【0022】
成分(A)であるポリエチレングリコール脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、炭素数11~21の飽和或いは不飽和脂肪酸が挙げられる。なかでも炭素数11~21の飽和脂肪酸が好ましく、特に炭素数16~21の飽和脂肪酸が好ましい。上記脂肪酸としては、とりわけ、ラウリン酸、ステアリン酸等が好ましい。
【0023】
成分(A)としては、モノ脂肪酸ポリエチレングリコール、ジ脂肪酸ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
【0024】
成分(A)としては、なかでも、コク感の向上効果とべたつきの抑制効果に優れる点で、式(a)中のXがR’CO基である化合物が好ましい。すなわち、上記ポリエチレングリコール脂肪酸エステルとしては、ポリエチレングリコールジ脂肪酸エステル(ジ脂肪酸ポリエチレングリコール)が好ましい。
【0025】
成分(A)としては、特に、ジステアリン酸ポリエチレングリコール及び/又はジラウリン酸ポリエチレングリコールが好ましく、とりわけジステアリン酸ポリエチレングリコールが好ましい。
【0026】
成分(A)としては、とりわけ、エチレンオキシドの平均付加モル数が70~250であるジステアリン酸ポリエチレングリコール、及び/又は、エチレンオキシドの平均付加モル数が70~250であるジラウリン酸ポリエチレングリコールが好ましい。
【0027】
また、成分(A)は、HLB値(親水性-親油性のバランス;Hydrophilic-Lypophilic Balance)が、コク感の向上効果とべたつきの抑制効果に優れる点で、15.0~20.0の範囲であることが好ましく、特に16.5~19.5の範囲であることが好ましい。
【0028】
本発明の化粧料(100質量%)中の成分(A)の含有量は0.1~0.7質量%であり、好ましくは0.2~0.45質量%である。上記含有量が0.1質量%以上であると、化粧料に粘性を付与することができ、これによって良好なコク感が得られる。また、上記含有量が0.7質量%以下であると、べたつきを抑制することができる。上記成分(A)の含有量は、本発明の化粧料中の全ての成分(A)の含有量の合計である。
【0029】
[成分(B)]
成分(B)は、アクリロイルジメチルタウリン酸塩に由来する構成単位を少なくとも含むポリマーである。成分(B)は、せん断応力を付与することで、容易に低下する粘性を化粧料に付与する。これにより、化粧料は、濃厚なコク感を有するものとなる。すなわち、成分(B)はコク感の向上効果に優れる。また、成分(A)のみで充分なコク感を付与しようとすると浸透感が低下するが、成分(B)を成分(A)と併用することにより、化粧料はコク感に優れながら、良好な浸透感を有したものとなる。また、成分(B)は皮膚表面に柔らかい皮膜を形成する。これにより、べたつきを感じにくくする効果が得られる。
【0030】
上記アクリロイルジメチルタウリン酸塩としては、アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0031】
成分(B)は、アクリロイルジメチルタウリン酸塩以外のモノマー成分に由来する構成単位を含んでいてもよい。アクリロイルジメチルタウリン酸塩以外のモノマー成分としては、例えば、アクリル酸等の(メタ)アクリル酸;アクリル酸ナトリウム等の(メタ)アクリル酸塩;アクリル酸ヒドロキシエチル等の水酸基含有アクリルモノマー;アクリル酸アミド等のアミド基含有アクリルモノマーなどが挙げられる。
【0032】
成分(B)としては、例えば、アクリル酸とアクリロイルジメチルタウリン酸塩とのコポリマー、アクリル酸ヒドロキシエチルとアクリロイルジメチルタウリン酸塩とのコポリマー、アクリル酸とアクリル酸塩とアクリルアミドとアクリロイルジメチルタウリン酸塩とのコポリマーなどが挙げられる。
【0033】
成分(B)としては、INCI名で「Sodium Acrylate/Sodium Acryloyldimethyl Taurate Copolymer((アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー)」と表記される化合物;INCI名で「Hydroxyethyl Acrylate/Sodium Acryloyldimethyl Taurate Copolymer((アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー)」と表記される化合物等が好ましい。上記の中でも、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーが好ましい。
【0034】
成分(B)としては、市販品を用いることができる。上記市販品としては、例えば、商品名「SIMULGEL EG」、「SIMULGEL NS」(以上、SEPPIC SA社製)などが挙げられる。
【0035】
本発明の化粧料(100質量%)中の成分(B)の含有量は0.2~1.0質量%であり、好ましくは0.25~0.9質量%、特に好ましくは0.3~0.7質量%である。上記含有量が0.2質量%以上であると、化粧料が適度に増粘されることでコク感が向上する。なおかつ、浸透感が良好に保たれる。また、上記含有量が1.0質量%以下であると、塗布後のべたつきが抑えられ、さらっとした使用感が得られる。上記成分(B)の含有量は、本発明の化粧料中の全ての成分(B)の含有量の合計である。
【0036】
[成分(C)]
成分(C)は、成分(A)以外のノニオン界面活性剤である。成分(C)には、成分(A)に該当する化合物以外の化合物が含まれる。成分(C)は水と油を乳化するための乳化剤として作用する。成分(C)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0037】
成分(C)としては、例えば、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の、脂肪酸エステル型のノニオン界面活性剤が好ましい。
【0038】
上記モノグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、モノヒドロキシステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル、ジベヘン酸グリセリルなどが挙げられる。
【0039】
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノステアリン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸テトラグリセリル、モノオレイン酸テトラグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノステアリン酸ヘキサグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸モノエステル;ジオレイン酸ジグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸ジエステル;トリステアリン酸テトラグリセリル、トリステアリン酸ヘキサグリセリル、トリステアリン酸デカグリセリル、トリオレイン酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸トリエステル;ペンタステアリン酸テトラグリセリル、ペンタオレイン酸テトラグリセリル、ペンタステアリン酸ヘキサグリセリル、ペンタオレイン酸ヘキサグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸ペンタエステルなどが挙げられる。
【0040】
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルにおけるポリグリセリンの平均重合度は、乳化安定性を高める観点から、好ましくは2~10である。
【0041】
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルにおける脂肪酸は、乳化安定性を高める観点から、炭素数が8~24の脂肪酸が好ましく、より好ましくは炭素数が10~20の脂肪酸、さらに好ましくは炭素数が12~18の脂肪酸である。
【0042】
上記ソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノカプリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、ジステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタンなどが挙げられる。
【0043】
上記ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノパルミチン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノイソステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、ジオレイン酸ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
【0044】
上記ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリン、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノミリスチン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルなどが挙げられる。上記ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルにおけるオキシエチレンの平均付加モル数は、特に限定されないが、乳化安定性を高める観点から、2~100であることが好ましく、より好ましくは4~90である。
【0045】
上記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどが挙げられる。上記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルにおけるオキシエチレンの平均付加モル数は、特に限定されないが、乳化安定性を高める観点から、5~50が好ましく、より好ましくは10~30である。
【0046】
本発明の化粧料(100質量%)中の成分(C)の含有量は0.05~5.0質量%であり、好ましくは0.1~3.0質量%、特に好ましくは1.0~2.5質量%である。上記含有量が0.05質量%以上であると、良好な乳化安定性が得られる。また、上記含有量が5.0質量%以下であると、塗布後のべたつきが抑えられ、さらっとした使用感が得られる。上記成分(C)の含有量は、本発明の化粧料中の全ての成分(C)の含有量の合計である。
【0047】
[成分(D)]
成分(D)は高級アルコールである。本発明の化粧料は、油性成分として高級アルコールを含有するため、べたつきを抑制しつつ、濃厚なコク感を備える。成分(D)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0048】
上記高級アルコールとしては、例えば、炭素数10~24の脂肪族アルコールが挙げられる。上記炭素数10~24の脂肪族アルコールには、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、バチルアルコールなどが含まれる。
【0049】
上記高級アルコールとしては、なかでも炭素数18~24の飽和脂肪族アルコールが好ましく、セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
【0050】
本発明の化粧料(100質量%)中の成分(D)の含有量は0.2~3.0質量%であり、好ましくは0.5~2.0質量%である。上記成分(D)の含有量は、本発明の化粧料中の全ての成分(D)の含有量の合計である。
【0051】
[成分(E)]
成分(E)は水である。水は、水中油型(o/w)乳化化粧料の連続相を形成する媒体である。水としては、特に限定されないが、精製水が好ましい。
【0052】
本発明の化粧料(100質量%)中の成分(E)の含有量は、特に限定されないが、例えば30.0~80.0質量%、好ましくは40.0~70.0質量%である。
【0053】
[成分(F)]
成分(F)は、成分(D)以外の油性成分である。本発明の化粧料が、油性成分として成分(D)と共に成分(F)を含有すると、保湿効果を向上させる効果が得られる。
【0054】
成分(F)には、成分(D)に該当する油性成分以外の油性成分が含まれる。成分(F)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0055】
上記油性成分としては、例えば、炭化水素油、エステル油、植物油、シリコーン油、ロウ等が挙げられる。
【0056】
上記炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、パラフィン、スクワレン、スクワラン、イソヘキサデカンなどが挙げられる。
【0057】
上記エステル油としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、2-エチルヘキサン酸セチル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチルなどが挙げられる。
【0058】
上記植物油としては、例えば、オリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、アボカド油、アルガンオイル、コメ胚芽油などが挙げられる。
【0059】
上記シリコーン油としては、例えば、メチルポリシロキサン、平均重合度が650~7000である高重合メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどの鎖状シリコーン;メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどの環状シリコーン;アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体などのアミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーンなどの変性シリコーンなどが挙げられる。
【0060】
上記ロウとしては、例えば、ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、セラックなどの動物性ロウ;カルナウバロウ、ライスワックス、綿ロウ、モクロウ、キャンデリラロウ等の植物性ロウ;モンタンロウ、マイクロクリスタリンワックス等の鉱物性ロウなどが挙げられる。
【0061】
本発明の化粧料(100質量%)中の成分(F)の含有量は、例えば5.0~40.0質量%、好ましくは10.0~30.0質量%である。上記成分(F)の含有量は、本発明の化粧料中の全ての成分(F)の含有量の合計である。
【0062】
[成分(G)]
成分(G)は、成分(B)以外のアクリル系増粘剤及び多糖系増粘剤からなる群から選択される少なくとも1種の増粘剤である。成分(G)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0063】
成分(G)には、成分(B)に該当する化合物以外のアクリル系増粘剤が含まれる。成分(G)としては、例えば、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位と(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルに由来する構成単位とを少なくとも含むポリマー(以後、「ポリマー(G-1)」と称する場合がある)、カルボキシビニルポリマー(以後、「ポリマー(G-2)」と称する場合がある)、アルキル変性カルボキシビニルポリマー(以後、「ポリマー(G-3)」と称する場合がある)等が挙げられる。
【0064】
ポリマー(G-1)は、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステル(モノマー成分(Ga))に由来する構成単位と、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル(モノマー成分(Gb))に由来する構成単位とを少なくとも含むポリマーである。
【0065】
モノマー成分(Gb)としては、例えば、メタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル、メタクリル酸ポリオキシエチレンベヘニルエーテルなどが挙げられる。また、モノマー成分(Gb)におけるオキシエチレンの平均付加モル数は15~30が好ましい。モノマー成分(Ga)とモノマー成分(Gb)とは、それぞれ、1種のみが用いられてもよいし、2種以上が用いられてもよい。成分(G)は、モノマー成分(Ga)及びモノマー成分(Gb)以外のモノマー成分に由来する構成単位を含んでいてもよい。
【0066】
ポリマー(G-1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテルとのコポリマー、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸ポリオキシエチレンベヘニルエーテルとのコポリマーなどが挙げられる。
【0067】
ポリマー(G-1)としては、INCI名で「ACRYLATES/STEARETH-20 METHACRYLATE COPOLYMER((アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー)」と表記される化合物;「ACRYLATES/STEARETH-20 METHACRYLATE CROSSPOLYMER((アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)クロスポリマー)」と表記される化合物;「ACRYLATES/BEHENETH-25 METHACRYLATE COPOLYMER((アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー)」と表記される化合物などが好ましい。上記の中でも、化粧料の安定性の観点から、アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマーが好ましい。
【0068】
ポリマー(G-1)としては、市販品を用いることができる。上記市販品としては、例えば、商品名「アキュリン22」、「アキュリン88」、「アキュリン28」(以上、ダウケミカル社製)などが挙げられる。
【0069】
ポリマー(G-2)は、カルボキシル基を有するアクリル酸、又はメタクリル酸を主体とする水溶性のビニルポリマーである。ポリマー(G-2)は、例えば、INCI名で「Carbomer(カルボマー)」と表示される化合物である。
【0070】
ポリマー(G-2)としては、市販品を用いることができる。上記市販品としては、例えば、商品名「カーボポール940」、「カーボポール941」、「カーボポール934」、「カーボポール980」、「カーボポール981」(以上、ルーブリゾール(株)製)などが挙げられる。
【0071】
ポリマー(G-3)は、上記カルボキシビニルポリマーが有するカルボキシル基の少なくとも一部がエステル化(例えば、炭素数10~30アルキルエステル化)されたものである。ポリマー(G-3)は、例えば、INCI名で「Acrylates/C10-30 Alkyl Acrylate Crosspolymer((アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー)」と表示される化合物である。
【0072】
ポリマー(G-3)としては、市販品を用いることができる。上記市販品としては、例えば、商品名「ペムレンTR-1」、「ペムレンTR-2」、「カーボポール1382」、「カーボポール1342」、「カーボポールETD2020」、「カーボポールUltrez20」、「カーボポールUltrez21」(以上、ルーブリゾール(株)製)などが挙げられる。
【0073】
上記アクリル系増粘剤は、塩基性物質で中和されているか、又は塩基性物質で中和して用いられることが好ましい。この場合の塩基性物質としては、例えば、トリエタノールアミン、モノエタノールアミンなどのアルカノールアミン類;アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基;アルギニンなどの塩基性アミノ酸などが挙げられる。塩基性物質の添加量は、上記アクリル系増粘剤を中和するのに充分な量であり、上記アクリル系増粘剤及び上記塩基性物質の種類や上記アクリル系増粘剤の使用量に応じて適宜配合すればよい。
【0074】
上記多糖系増粘剤としては、例えば、アルギン酸、カラギーナン、寒天、ファーセラン、グアーガム、クインスシード、コンニャクマンナン、タマリンド種子ガム、タラガム、デキストリン、デンプン、ローカストビーンガム、アラビアガム、ガッティガム、カラヤガム、トラガカントガム、アラビノガラクタン、ペクチン、マルメロなどの植物由来多糖系増粘剤;キトサン、ヒアルロン酸などの動物由来多糖系増粘剤;カードラン、キサンタンガム、ジェランガム、シクロデキストリン、デキストラン、プルラン、ヒアルロン酸などの微生物由来多糖系増粘剤;微結晶セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの非イオン性セルロース誘導体;カルボキシメチルセルロースなどの陰イオン性セルロース;塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースなどのカチオン化セルロース;塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]グアーガムなどのカチオン化グアーガムなどが挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0075】
本発明の化粧料(100質量%)中の成分(G)の含有量は、べたつきをより一層抑制する観点から、0.5質量%以下が好ましく、より好ましくは0.2質量%以下である。成分(G)の含有量は0質量%でもよい。成分(G)の含有量は、例えば、0.02~0.5質量%が好ましく、より好ましくは0.05~0.2質量%である。上記成分(G)の含有量は、本発明の化粧料中の全ての成分(G)の含有量の合計である。
【0076】
[その他の成分]
本発明の化粧料は、各成分の分散性や化粧料の肌への浸透感を向上させる観点から、エタノールを含んでいてもよい。本発明の化粧料(100質量%)中のエタノールの含有量は、特に限定されないが、例えば0.1~30.0質量%、好ましくは0.5~25.0質量%、特に好ましくは1.0~10.0質量%である。上記含有量が0.1質量%以上であると、各成分の分散性や肌への浸透感を一層向上させる効果が得られる。また、上記含有量が30.0質量%以下であると、刺激や粘度低下による化粧料の不安定化を抑制する効果に優れる。
【0077】
本発明の化粧料は、保湿効果を向上させる観点から、多価アルコールを含んでいてもよい。上記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオールなどのグリコール類;グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどのグリセリン類;キシリトール、トレハロース、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、エリスリトール、アラビトール、リビトール、ガラクチトール、グルシトール、エリトリトールなどの糖アルコールなどが挙げられる。上記多価アルコールは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0078】
本発明の化粧料(100質量%)中の多価アルコールの含有量は、特に限定されないが、例えば0.1~30.0質量%、好ましくは5.0~30.0質量%、特に好ましくは10.0~25.0質量%である。上記含有量が0.1質量%以上であると、保湿効果を一層向上させる。また上記含有量が30.0質量%以下であると、べたつきを抑制する効果に優れる。上記多価アルコールの含有量は、本発明の化粧料中の全ての多価アルコールの含有量の合計である。
【0079】
本発明の化粧料は、本発明の効果を損なわない範囲内において、用途に応じて、他の成分を含有することができる。他の成分としては、例えば、上記成分以外の成分であって、通常化粧品に用いられる成分(例えば、結晶セルロース、セルロース粒子、シリカ、炭酸カルシウムなどのスクラブ剤;メントール、メンチルグリセリルエーテルなどの清涼剤;グリセリンモノ2-エチルヘキシルエーテルなどの保湿剤;パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノールなどの防腐・殺菌剤;香料;粉体;色材)が挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0080】
また、本発明の化粧料は美白成分を含んでいてもよい。上記美白成分としては、例えば、ハイドロキノン、α-アルブチン、β-アルブチン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、トラネキサム酸等が挙げられる。上記美白成分は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。本発明の化粧料(100質量%)中の上記美白成分の含有量は、特に限定されないが、例えば0.02~3.0質量%である。上記美白成分の含有量は、本発明の化粧料中の全ての美白成分の含有量の合計である。
【0081】
また、本発明の化粧料は抗炎症成分を含んでいてもよい。上記抗炎症成分としては、例えば、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム塩、グリチルリチン酸ナトリウム塩、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル等が挙げられる。上記抗炎症成分は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。本発明の化粧料(100質量%)中の上記抗炎症成分の含有量は、特に限定されないが、例えば0.02~1.0質量%である。上記抗炎症成分の含有量は、本発明の化粧料中の全ての抗炎症成分の含有量の合計である。
【0082】
<本発明の化粧料>
本発明の化粧料の製造方法は特に限定されず、例えば、上記成分(A)~(E)及び必要に応じて他の成分を配合し、ディスパーミキサー、パドルミキサーなどの公知慣用の混合装置を用いて混合する方法等により製造することができる。
【0083】
本発明の化粧料は皮膚用化粧料であり、例えば、ディスペンサー容器、チューブ容器、広口ジャー容器などの容易に取り出すことが可能な容器に充填して使用することができる。
【0084】
本発明の化粧料の適用部位としては、特に限定されず、例えば、顔(額、目元、目じり、頬、口元など)、身体(腕、肘、手の甲、指先、足、膝、かかと、首、脇、背中など)などが挙げられる。
【実施例】
【0085】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。なお、表に記載の配合量は、各成分の配合量(すなわち、各原料中の有効成分の配合量)であり、特記しない限り、単位は「質量%」である。また、表中の配合量における「-」は、その成分を配合していないことを示す。
【0086】
実施例1~12(尚、実施例6は参考例とする)、比較例1~4
(各試料の調製)
表1に記した処方に従って各成分を配合して、常法により化粧料を調製し、下記評価試験に供した。
【0087】
(評価)
専門評価員3人がコク感、浸透感、及びべたつきについて評価を行った。結果は各評価員の評価を総合して決定した。
【0088】
<コク感>
実施例及び比較例で得られた化粧料約0.05gを前腕内側部に塗布し、塗布部上を往復するように手でなでることによりなじませた。塗布後の3往復までの感触より、「コク感」を以下の評価基準で官能評価した。評価結果は、表1に示す。
◎(優れる):塗布直後に化粧料の層の厚みが強く感じられる。3往復時に重みが明らかに感じられ、濃度の高い感触がある。
○(良好):塗布直後に化粧料の層の厚みが明らかに感じられる。3往復時に重みが明らかに感じられ、濃度の高い感触がある。
△(使用可能):3往復時にわずかに重みが感じられ、濃度の高い感触がわずかにある。
×(不良):3往復時に重みや濃度の高い感触が感じられない。
【0089】
<浸透感>
上記<コク感>の評価において、塗布部の化粧料による滑りが感じられなくなり、化粧料が肌になじんだと感じられるまでの感触の変化より、「浸透感」を以下の評価基準で官能評価した。評価結果は、表1に示す。
◎(優れる):15往復までに化粧料が肌になじんだと感じられる。
○(良好):16~20往復で化粧料が肌になじんだと感じられる。
△(使用可能):20往復の時点でわずかに化粧料のぬるつきが残っているものの、実用上許容できる程度である。
×(不良):20往復の時点で化粧料のぬるつきが明らかに残っており、実用に耐えない。
【0090】
<べたつき>
上記<浸透感>評価において、実施例及び比較例で得られた化粧料が肌になじんだと感じられた後の塗布部の肌の感触より、「べたつき」を下記の評価基準で評価した。評価結果は、表1に示す。
◎(優れる):べたつきが感じられない。
○(良好):べたつきが僅かに感じられる。
×(不良):べたつきが明らかに感じられる。
【0091】
【0092】
表1に記載の主な成分を以下に説明する。
<成分(A)>
ジステアリン酸PEG-150:商品名「エマノーン 3299VB」、HLB値:18.9、花王(株)製
ジステアリン酸PEG-75:商品名「イオネット DS-4000」、三洋化成工業(株)製
モノステアリン酸PEG-75:商品名「ノニオンS-40」、HLB値:18.3、日油(株)製
ジラウリン酸PEG-150:商品名「ノニオンDL-40HN(W)」、HLB値:17.7、日油(株)製
<成分(B)>
(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー:商品名「SIMULGEL EG」、SEPPIC SA社製
<成分(C)>
モノステアリン酸ポリエチレングリコール:商品名「NIKKOL MYS-40V」、日光ケミカルズ(株)製
ポリソルベート80:モノステアリン酸POE(20)ソルビタン
<成分(F)>
メチルポリシロキサン:商品名「SH200C FLUID 350CS」、東レ・ダウコーニング(株)製
N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・2-オクチルドデシル):商品名「エルデュウ PS-203」、味の素(株)製
<成分(G)>
カルボキシビニルポリマー:商品名「カーボポール980」、ルーブリゾール(株)製