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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】映像表示装置及び映像表示システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20230413BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019202922
(22)【出願日】2019-11-08
(65)【公開番号】P2021076701
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】501009849
【氏名又は名称】株式会社日立エルジーデータストレージ
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 竜志
(72)【発明者】
【氏名】毛利 考宏
(72)【発明者】
【氏名】宇津木 健
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊輝
(72)【発明者】
【氏名】久野 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】内山 允史
【審査官】横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-198263(JP,A)
【文献】特開2014-085425(JP,A)
【文献】国際公開第2014/155096(WO,A1)
【文献】特開2004-069868(JP,A)
【文献】特開2016-072936(JP,A)
【文献】特表2009-516862(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0111472(US,A1)
【文献】国際公開第2018/008577(WO,A1)
【文献】特開2010-091870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/00-30/60
G02B 17/08
G02B 5/00-5/13
G09G 3/00-3/08,3/12,3/16
G09G 3/19-3/26,3/34,3/38
H04N 5/64-5/655
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示する映像表示装置において、
映像光を投影する映像投影部と、
映像偏向部と、
内部に複数のビームスプリッタ面が設けられ、互いに略平行な第1の内面反射面及び第2の内面反射面を含む導光部と、を備え、
前記映像偏向部は、前記映像投影部が出射した映像光を偏向して前記導光部に伝搬し、
前記導光部は、入射した映像光をその内部を伝搬させて出力し、
前記映像偏向部を構成する光学材質の屈折率は、前記導光部を構成する光学材質の屈折率と略等しく、
前記映像投影部から出射された映像光は、前記導光部の前記第1の内面反射面から入射して前記導光部の前記第2の内面反射面から出射することにより前記導光部を透過した後、前記映像偏向部の入射面から前記映像偏向部に入射し前記映像偏向部の反射面で反射して偏向された後、再度前記導光部に入射し、
前記映像偏向部の前記反射面と前記映像偏向部の前記入射面とがなす角度が、前記第2の内面反射面と前記ビームスプリッタ面とがなす角度に略等しい、
ことを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の映像表示装置において、
前記映像偏向部は前記導光部と一体若しくは前記導光部に光学的に接着されている、
ことを特徴とする映像表示装置。
【請求項3】
請求項記載の映像表示装置において、
前記映像投影部が出射して前記導光部に略垂直に入射した映像光は、略垂直に導光部から出力する、
ことを特徴とする映像表示装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2記載の映像表示装置において、
映像複製部を備え、
前記映像複製部は、少なくとも一部の光を反射する互いに略平行な2つ以上の部分反射面を有し、入射した映像光を複製して2つ以上の映像光を出力する、
ことを特徴とする映像表示装置。
【請求項5】
請求項記載の映像表示装置において、
前記映像投影部が出射して前記映像複製部に略垂直に入射した映像光は、略垂直に前記導光部から出力する、
ことを特徴とする映像表示装置。
【請求項6】
映像を表示する映像表示装置において、
映像光を投影する映像投影部と、
映像偏向部と、
内部に複数のビームスプリッタ面が設けられ、互いに略平行な第1の内面反射面及び第2の内面反射面を含む導光部と、
補正プリズムと、を備え、
前記補正プリズムを構成する光学材質の屈折率は、前記導光部を構成する光学材質の屈折率と略等しく、
前記映像偏向部を構成する光学材質の屈折率は、前記導光部を構成する光学材質の屈折率と略等しく、
前記映像投影部から出射された映像光は、前記補正プリズムの入射面から前記補正プリズムに入射して前記補正プリズムの出射面から出射することにより前記補正プリズムを透過した後、前記導光部の前記第1の内面反射面から入射して前記導光部の前記第2の内面反射面から出射することにより前記導光部を透過した後、前記映像偏向部の入射面から入射し前記映像偏向部の反射面で反射して偏向された後、再度前記導光部に入射し、
前記導光部の前記第2の内面反射面と前記ビームスプリッタ面とがなす角度を角度400とし、前記映像偏向部の前記入射面と前記映像偏向部の前記反射面とがなす頂角を角度504とし、前記補正プリズムの前記入射面と前記補正プリズムの前記出射面とがなす頂角を角度505とした場合、
(角度505)=2×(角度400)-2×(角度504)の関係が略成り立つように構成する、
ことを特徴とする映像表示装置。
【請求項7】
映像表示システムにおいて、
請求項1乃至のいずれか1項記載の映像表示装置と、
前記映像投影部が映像光を投影するための投影画像信号を生成する画像信号処理部と、を備える、
ことを特徴とする映像表示システム。
【請求項8】
請求項7記載の映像表示システムにおいて、
記画像信号処理部は、前記映像偏向部と前記導光部による色分散を補償する画像処理を行う、
ことを特徴とする映像表示システム。
【請求項9】
請求項記載の映像表示システムにおいて、
前記画像信号処理部は、画像を拡大縮小、若しくは画像をシフト、若しくはその両方の画像処理を行う、
ことを特徴とする映像表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は映像表示装置及び映像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
映像生成装置が生成した映像を利用者に提示するヘッドマウントディスプレイなどの映像表示装置及び映像表示システムが知られている。特許文献1には、生成した映像光を利用者の目まで伝搬する導光板として、内部に複数のビームスプリッタ面を備えた導光板が開示されている。また同文献には、映像生成装置が生成した映像光を導光板に結合するために、カップリングインプリズムを利用する映像表示システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2010/0067110号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された映像表示システムでは、映像生成装置が生成した映像光はカップリングインプリズムで反射し、導光板に取り込まれる。しかしながら、映像光がカップリングインプリズムや導光板に入射する際の屈折による色分散については特に考慮されておらず、利用者が視認する映像には色ずれや映像ゆがみが発生する恐れがある。
【0005】
上記課題を鑑み、本発明の目的は、利用者に色ずれや映像ゆがみの少ない映像を表示可能な導光板方式の映像表示装置及び映像表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による映像表示装置は、映像光を投影する映像投影部と、映像偏向部と、導光部と、を備え、映像偏向部は、映像投影部が出射した映像光を偏向して導光部に伝搬し、導光部は、入射した映像光をその内部を伝搬させて出力し、映像偏向部若しくは導光部は、導光部から出力される映像光の色分散を低減する構成を備える。
【0007】
また本発明による映像表示システムは、前記した映像表示装置と、前記した映像投影部が映像光を投影するための投影画像信号を生成する画像信号処理部と、を備える、
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、色ずれや映像ゆがみが少ない映像を表示可能な導光板方式の映像表示装置及び映像表示システムを提供できる。前記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1に係る映像表示システム100の機能ブロックの構成を示す図。
図2】映像表示システム100の外観を示す図。
図3】映像表示装置101の機能ブロックの構成を示す図。
図4】導光板220の動作を示す模式図。
図5】映像偏向部210と導光部230の構成例を示す図。
図6】映像投影部200から出射した映像光の伝搬の一例を示す図。
図7】映像投影部200の配置を変更した構成を示す図。
図8】導光板と偏向プリズムの他の構成を示す図。
図9】導光板と偏向プリズムの他の構成を示す図。
図10】導光板と偏向プリズムの他の構成を示す図。
図11】導光板と偏向プリズムの他の構成を示す図。
図12】導光板と偏向プリズムの他の構成を示す図。
図13】実施例2に係る映像偏向部210及び導光部230の構成を示す図。
図14】映像偏向部210と導光部230の他の構成を示す図。
図15】映像偏向部210と導光部230の他の構成を示す図。
図16】実施例3に係る映像偏向部210及び導光部230の構成を示す図。
図17】実施例4に係る映像表示装置101の構成を示す図。
図18】実施例5に係る映像表示装置101の構成を示す図。
図19】画像信号処理部104による画像補正を行う構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明は、本発明の一実施形態を説明するためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素又は全要素をこれと同等なものに置換した実施形態を採用することが可能であり、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【実施例1】
【0011】
図1は、実施例1に係る映像表示システム100の機能ブロックの構成を示す図である。映像表示システム100は、例えばヘッドマウントディスプレイやヘッドアップディスプレイ等、映像を表示する機能を有するシステムである。映像表示システム100は、映像表示装置101と、コントローラー102と、画像信号処理部104と、電力供給部105と、記憶媒体106と、センシング部107と、センサ入出力部108と、通信部109と、通信入出力部110と、音声処理部111と、音声入出力部112とを有する。
【0012】
映像表示装置101は、映像を生成して映像表示システム100の利用者に映像を表示する装置であり、詳細は後述する。
【0013】
コントローラー102は、映像表示システム100全体を統括的に制御する。コントローラー102は、CPU(Central Processing Unit)等の中央演算装置がその機能を実現する。画像信号処理部104は、映像表示システム100が表示する映像の画像信号を生成する。電力供給部105は、映像表示システム100に対して電力を供給する電源装置又はバッテリである。
【0014】
記憶媒体106は、映像表示システム100や映像表示装置101の有する処理部の処理に必要な情報や、生成された情報を記憶する。記憶媒体106は、RAM(Random Access Memory)又はフラッシュメモリ等の記憶装置であり、プログラムやデータが一時的に読み出される記憶エリアとして機能する。記憶媒体106は、HDD(Hard Disk Drive)や、CD-R(Compact Disc- Recordable)、DVD-RAM(Digital Versatile Disk-Random Access Memory)、及びSSD(solid state drive)等の書き込み及び読み出し可能な記憶メディア及び記憶メディア駆動装置等を含んでもよい。コントローラー102は、記憶媒体106上に読み出されたプログラムに従って動作するCPUにより処理を行う。なお、一部又は全部の処理を他の演算装置、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェアで実行してもよい。
【0015】
センシング部107は、センサを用いて周囲の状況を検知する。センシング部107は、例えば周囲の明るさを検出する照度センサ、ユーザの体勢、向き、動き等を検出する傾斜センサや加速度センサ、ユーザの身体状況を検出する視線センサや温度センサ、ユーザの位置情報を検出するGNSS(Global Navigation Satellite System)センサ、感圧センサ、静電容量センサ、バーコードリーダー等のセンサから、センサ入出力部108に入力された信号を用いて状況を検知する。
【0016】
通信部109は、通信入出力部110を介して図示しないネットワークと接続する。通信部109は、例えばBluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、UHF(Ultra High Frequency)、又はVHF(Very High Frequency)等の近距離や遠距離の無線通信又は有線通信により、図示しない情報処理端末と通信する。音声処理部111は、マイクやイヤホン等の音声入出力部112を用いて、音声の入力を受け付け、又は音声を出力する。
【0017】
なお、本実施例の映像表示システム100は映像を表示する機能を有していればよく、センシング部107、センサ入出力部108、通信部109、通信入出力部110、音声処理部111及び音声入出力部112は省略することができる。
【0018】
図2は、映像表示システム100の外観を示す図である。図2に示す映像表示システム100は、利用者700が自身の頭部に装着して利用可能なヘッドマウントディスプレイ(スマートグラスとも称する)の場合である。
【0019】
図3は、映像表示装置101の機能ブロックの構成を示す図であり、2つの構成(a)(b)について説明する。
【0020】
図3(a)の映像表示装置101は、映像投影部200と、映像偏向部210と、導光部230とを有する。映像投影部200は、図示しない映像生成装置を有しており、映像表示装置101が表示する映像となる映像光を生成し、出力する。映像投影部200から出射した映像光は、映像偏向部210に入射する。映像偏向部210は、映像投影部200が出力した映像光を偏向して導光部230に伝搬する。換言すれば、映像偏向部210に入射した映像光は、映像偏向部210で偏向され、映像偏向部210から出射し、導光部230に入射する。導光部230は入射した映像光を内表面の全反射などにより内部を伝搬させ、外部へ出力する。導光部230として、以下では導光板を用いて構成している。
【0021】
また、図3(b)の映像表示装置101のように、映像投影部200を出射した映像光は、一度導光部230に入射し、導光部230内を伝搬して導光部230から出射し、映像偏向部210に入射するように構成してもよい。
【0022】
図4は、導光板220の動作を示す模式図である。ここで、方向を説明するためにXYZ軸を定める。X軸は導光板220の長手方向(映像光の伝搬方向)、Y軸は導光板220の短手方向、Z軸は映像光の入射/出射方向とする。
【0023】
導光板220は、光入力部221と光出力部222とを有する。映像偏向部210が出射した映像光は、導光板220の光入力部221から導光板220の内部に入射し、導光板220の内面反射面223及び224における全反射により、導光板220の内部を伝搬する(X方向)。導光板220の内部を伝搬した映像光は、光出力部222から出力される(Z方向)。導光板220の光出力部222から出力された映像光の一部は、利用者の目120に入射する。利用者は目120に入射した光を知覚することで、映像表示装置101が表示する映像を視認できる。
【0024】
図5は、映像偏向部210と導光部230の構成例を示す図である。導光部230は導光板801を備えており、映像偏向部210は偏向プリズム301を備えている。図5(a)は正面図(Z方向から見た図)、図5(b)は平面図(Y方向から見た図)、図5(c)は側面図(X方向から見た図)である。
【0025】
導光板801は六面体で構成されており、端面11と、終端面12と、第1の内面反射面13と、第2の内面反射面14と、上面15と、下面16とを有する。第1の内面反射面13と第2の内面反射面14とは、互いに略平行である。導光板801は、内部にN枚(Nは1以上の整数)のビームスプリッタ面17を有する。N枚のビームスプリッタ面17は、互いに略平行である。
【0026】
偏向プリズム301は三角柱で構成されており、反射面302と他の面303,304とを有する。
【0027】
導光板801及び偏向プリズム301は透明度が高い媒質で構成する。導光板801及び偏向プリズム301の材質は、例えばガラスでも樹脂でもよい。また、映像が多重に表示されることを防ぐため、導光板801及び偏向プリズム301の材質は複屈折性を有さないもの、または複屈折性が少ないものとする。
【0028】
映像偏向部210は、導光部230と一体若しくは導光部230と光学的に接着されている。すなわち図5では、導光板801の第2の内面反射面14と偏向プリズム301の面303は、互いに光学的に接着されている。導光板801と偏向プリズム301との接着は、透明な接着材によって行われても良いし、無機接合(オプティカルコンタクト)によって行われても良い。導光板801と偏向プリズム301とを接着剤によって接着する場合には、第2の内面反射面14のうち、面303が接しない第2の内面反射面14の部分に接着剤がはみ出ないようにする。これにより、はみ出した接着剤により映像が滲んだりボケたりすることによる画質低下を防ぐことが可能となる。
【0029】
図6は、映像投影部200から出射した映像光の伝搬の一例を示す図である。(a)は導光板801と偏向プリズム301の全体図、(b)(c)は部分拡大図である。
【0030】
図6(a)に示すように、映像投影部200から出射した映像光は、第1の内面反射面13から導光板801に入射し、導光板801と偏向プリズム301との接着部分を透過して、偏向プリズム301に入射する。偏向プリズム301では、映像光は反射面302により反射、偏向される。偏向された映像光は導光板801と偏向プリズム301との接着部分を透過して、導光板801に再入射する。その際、導光板801と偏向プリズム301とが接着されているので、導光板801と偏向プリズム301との境界で全反射が生じることなく、映像光は確実に導光板801に伝搬される。
【0031】
導光板801に再入射した映像光は、第1の内面反射面13及び第2の内面反射面14との間で全反射して、導光板801の内部を伝搬する。導光板801の内部を伝搬する光は、N枚のビームスプリッタ面17に入射する。ビームスプリッタ面17では、入射した光の一部が反射され、第2の内面反射面14を透過することによって導光板801の外部に出射する。入射した残りの光はビームスプリッタ面17を透過する。利用者は、ビームスプリッタ面17で反射し、第2の内面反射面14を透過して導光板801を出射した光を知覚することで、映像を視認することができる。
【0032】
N枚のビームスプリッタ面17と終端面12とは、互いに略平行となるように導光板801を構成するのがよい。これにより、導光板801の製造工程が簡略化し、コストを低減できる。
【0033】
一般に、ガラスや樹脂などの光学媒質の屈折率は波長によって異なる。そのため、同一の入射角で光学媒質に入射したとしても、波長が異なると屈折角が異なるようになる(色分散)。これにより、映像光が映像投影部200から出射して導光板801に入射してから、導光板801を出射して利用者の目に到達するまでの間において、光の伝搬における色分散により、色ずれや映像ゆがみが発生するという課題がある。そこで、本実施例における色ずれや映像ゆがみの低減方法について説明する。
【0034】
映像偏向部210を構成する光学材質の屈折率は、導光部230を構成する光学材質の屈折率と略等しくする。例えば、偏向プリズム301の光学材質の屈折率は、導光板801の光学材質の屈折率と略等しくする。これにより、導光板801から偏向プリズム301に伝搬する際、及び偏向プリズム301から導光板801に伝搬する際の色分散に起因する色ずれや映像ゆがみを低減することが可能となる。
【0035】
また、図6(a)に示す光線の例のように、映像投影部200から出射して導光板801に略垂直に入射した映像光は、略垂直に導光板801から出射するように、導光板801及び偏向プリズム301を構成する。具体的には、反射面302と面303がなす角度401を、第2の内面反射面14とビームスプリッタ面17がなす角度400に略等しくする。これにより、光の波長、及び導光板801への入射角によらず、導光板801からの出射角は導光板801への入射角に略等しくなるため、色分散が略キャンセルされて、色分散に起因する色ずれや映像ゆがみを低減することが可能となる。
【0036】
図6(b)は、映像投影部200から出射して、導光板801及び偏向プリズム301の内部を伝搬する光束を図示したものである。この例では、映像投影部200から出射した光束は、第1の内面反射面13でけられることなく、第1の内面反射面13を透過するように構成している。また、第1の内面反射面13を透過した光束は、端面11に入射することなく、偏向プリズム301に入射するように構成している。さらに、偏向プリズム301の反射面302で偏向した光束は、面304に入射することなく、導光板801に再入射するように構成している。
【0037】
図6(c)は、比較のために好ましくない例を示している。この例では、光線310は第1の内面反射面13でけられ、第1の内面反射面13を透過していない。また、光線311は端面11に入射している。さらに、光線312は面304に入射している。
【0038】
図6(b)の構成によれば、図6(c)に示す好ましくない光線状態を回避し、映像光の利用効率を高めたり、利用者が視認する映像に暗線が生じるなどの画質低下を抑えたりすることが可能となる。
【0039】
さらに、図5において、導光板801の端面11、終端面12、上面15、下面16、偏向プリズム301の面304、上面305、下面306のうち少なくとも一つ若しくは全部は、砂摺り若しくは黒塗りの少なくとも一方若しくは両方の処理を施すことが好ましい。これにより、迷光による画質低下を抑えることが可能となる。
【0040】
次に、本実施例は様々な変形例が可能であり、それらについて説明する。
図5及び図6に基づく上記の説明では、映像投影部200から出射した映像光は導光板801の第1の内面反射面13から導光板801に入射するとしたが、これに限らない。
【0041】
図7は、映像投影部200の配置を変更した構成を示す図である。この例では、映像投影部200から出射した映像光は、導光板801の第2の内面反射面14から導光板801に入射するように構成している。これにより、映像表示装置101のデザインの自由度を高めることが可能である。
【0042】
図5及び図6に基づく上記の説明では、導光板801と偏向プリズム301は接着するとして説明したが、これに限らない。
【0043】
図8は、導光板と偏向プリズムの他の構成を示す図である。(a),(b),(c)はそれぞれ正面図、平面図、側面図である。この例では、導光板と偏向プリズムが一体化されている偏向プリズム一体型の導光板802を利用している。これにより、導光板801と偏向プリズム301とを接着する工数を削減することが可能となる。
【0044】
図5及び図6に基づく上記の説明では、映像投影部200から出射した映像光は、一度導光板801を透過してから偏向プリズム301に入射するとして説明したが、これに限らない。
【0045】
図9は、導光板と偏向プリズムの他の構成を示す図であり、導光板803と偏向プリズム331で示す。偏向プリズム331は、入射面334、反射面332及び面333を備えている。偏向プリズム331の面333と、導光板803の端面11は、透明な接着剤若しくは無機接合により接着されている。映像投影部200から出射した映像光は、偏向プリズム331に入射する。偏向プリズム331に入射した映像光は反射面332で反射、偏向し、偏向プリズム331の面333と導光板803の端面11との接着部を経て導光板803に入射する。これにより、映像表示装置101のデザインや製造の自由度を高めることが可能である。
【0046】
偏向プリズム331の光学材質の屈折率は、導光板803の光学材質の屈折率と略等しい。これにより、偏向プリズム331から導光板803に伝搬する際の色分散に起因する色ずれや映像ゆがみを低減することが可能となる。
【0047】
また、映像投影部200から出射して偏向プリズム331に略垂直に入射した映像光は、導光板803を伝搬した後、略垂直に導光板803から出射するように、導光板803及び偏向プリズム331を構成する。具体的には、反射面332と入射面334がなす角度402を、第2の内面反射面14とビームスプリッタ面17がなす角度400に略等しくする。これにより、光の波長、及び導光板803への入射角によらず、導光板803からの出射角は偏向プリズム331への入射角に略等しくなるため、色分散が略キャンセルされて、色分散に起因する色ずれや映像ゆがみを低減することが可能となる。
【0048】
図10は、導光板と偏向プリズムの他の構成を示す図であり、導光板804と偏向プリズム341で示す。導光板804の端面11は、ビームスプリッタ面17と略平行である。これにより、導光板804の製造難易度を下げることができ、導光板804のコストを低減することが可能となる。
【0049】
図11は、導光板と偏向プリズムの他の構成を示す図であり、導光板と偏向プリズムが一体化されている。偏向プリズム一体型の導光板805は、導光板と偏向プリズムを兼ねており、導光板805の端面11は、映像偏向部210の反射面を兼ねている。
【0050】
映像投影部200から出射した映像光は、第1の内面反射面13から導光板805に入射する。導光板805に入射した映像光は端面11で反射、偏向し、導光板805の内部を全反射して伝搬する。
【0051】
導光板805の端面11は、ビームスプリッタ面17と略平行となるように構成する。これにより、光の波長、及び導光板805への入射角によらず、導光板805からの出射角は導光板805への入射角に略等しくなる。よって、色分散が略キャンセルされて、色分散に起因する色ずれや映像ゆがみを低減することが可能となる。偏向プリズム一体型の導光板805とすることで、製造難易度を下げることができ、また、部品点数を減らすことができ、コストを低減することが可能である。
【0052】
上記の構成では、導光部230は、内部に1つ以上のビームスプリッタ面17を備える導光板として説明したが、これに限らない。
【0053】
図12は、導光板と偏向プリズムの他の構成を示す図であり、導光板として体積ホログラム型導光板810を用いた例である。体積ホログラム型導光板810は、カバー層811,812と媒体層813とを有する。カバー層811,812は、例えばガラスや樹脂などの平板である。カバー層811は、第1の内面反射面814を備え、カバー層812は第2の内面反射面815を備えている。体積ホログラム型導光板810の第2の内面反射面815と偏向プリズム301の面303は、透明な接着剤若しくは無機接合により接着されている。媒体層813の少なくとも一部は、ホログラム材質を備えている。ホログラム材質には予め多重露光が施されており、所定のホログラムが記録されている。
【0054】
映像投影部200から出射した映像光は、第1の内面反射面814から体積ホログラム型導光板810に入射、内部を伝搬し、偏向プリズム301に入射する。偏向プリズム301に入射した光は反射面302で反射、偏向し、体積ホログラム型導光板810に再入射する。体積ホログラム型導光板810に再入射した映像光は、第1の内面反射面814及び第2の内面反射面815で全反射しながら、体積ホログラム型導光板810の内部を伝搬する。体積ホログラム型導光板810の内部を伝搬する映像光は、媒体層813のホログラム材質に記録されたホログラムで回折して、体積ホログラム型導光板810から出射する。利用者は、体積ホログラム型導光板810から出射した映像光の一部を知覚することで、映像を視認することが可能である。
【0055】
以上に説明したように、実施例1によれば、映像光が導光板及び偏向プリズムに入射したり、導光板及び偏向プリズムから出射したりする際に、色分散に起因する色ずれや映像ゆがみを低減することが可能であり、高品質な映像が表示可能な導光板方式の映像表示装置101及び映像表示システム100を提供できる。
【実施例2】
【0056】
実施例2では、映像投影部200から出射した映像光の光軸が導光板の第2の内面反射面と垂直でない構成とした。なお、実施例2においては、前述した実施例との相違点を主に説明し、前述した実施例と同じ構成には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0057】
図13は、実施例2に係る映像偏向部210及び導光部230の構成を示す図である。(a),(b),(c)はそれぞれ正面図、平面図、側面図である。映像偏向部210として偏向プリズム502を備え、導光部230として導光板801を備える。また、導光板801には補正プリズム503を接合している。補正プリズム503は、導光板801に対し、透明な接着剤若しくは無機接合により接着されているのが好ましい。
【0058】
映像投影部200から出射した映像光は、補正プリズム503に入射し、内部を伝搬した後、補正プリズム503と導光板801の接合部分から導光板801に入射する。
【0059】
補正プリズム503の光学材質の屈折率は、導光板801の光学材質の屈折率と略等しくする。また、偏向プリズム502の光学材質の屈折率は、導光板801の光学材質の屈折率と略等しくする。これにより、補正プリズム503から導光板801に伝搬する際、導光板801から偏向プリズム502に伝搬する際、及び偏向プリズム502から導光板801に伝搬する際に、色分散に起因する色ずれや映像ゆがみを低減することが可能である。
【0060】
また、図13(b)に示す光線の例のように、映像投影部200から出射して補正プリズム503に略垂直に入射した映像光は、略垂直に導光板801から出射するように、導光板801、偏向プリズム502及び補正プリズム503を構成する。具体的には、第2の内面反射面14とビームスプリッタ面17がなす角度を角度400、偏向プリズム502の頂角を角度504、補正プリズム503の頂角を角度505とした場合、
(角度505)=2×(角度400)-2×(角度504)
の関係が略成り立つように構成する。これにより、光の波長、及び補正プリズム503への入射角によらず、導光板801からの出射角は補正プリズム503への入射角に略等しくなるため、色分散が略キャンセルされて、色分散に起因する色ずれや映像ゆがみを低減することが可能となる。
【0061】
次に、本実施例は様々な変形例が可能であり、それらについて説明する。
図14は、映像偏向部210と導光部230の他の構成を示す図である。導光部230として導光板820を備え、導光板820は入力面821を備えている。映像投影部200から出射した映像光は、導光板820の入力面821から導光板820に入射する。
【0062】
図14(b)に示す光線の例のように、映像投影部200から出射して導光板820の入力面821に略垂直に入射した映像光が、導光板820から略垂直に外部に出射するように、導光板820及び映像偏向部210を構成する。具体的には、第2の内面反射面14とビームスプリッタ面17がなす角度を角度400、偏向プリズム502の頂角を角度504、入力面821と第2の内面反射面14とがなす角度を角度506とした場合、
(角度506)=2×(角度400)-2×(角度504)
の関係が略成り立つように構成する。これにより、光の波長、及び導光板820への入射角によらず、導光板820からの出射角は導光板820への入射角に略等しくなるため、色分散が略キャンセルされて、色分散に起因する色ずれや映像ゆがみを低減することが可能となる。
【0063】
図15は、映像偏向部210と導光部230の他の構成を示す図である。導光部230は導光板803を備え、映像偏向部210は偏向プリズム511を備えている。映像投影部200から出射した映像光は、偏向プリズム511の入射面512から入射し、偏向プリズム511の反射面513で反射、偏向し、偏向プリズム511と導光板803の接着部分を経て導光板803に入射する。
【0064】
図15(b)に示す光線の例のように、映像投影部200から出射して偏向プリズム511の入射面512に略垂直に入射した映像光は、略垂直に導光板803から出射するように、導光板803及び映像偏向部210を構成する。具体的には、第2の内面反射面14とビームスプリッタ面17がなす角度を角度400、反射面513と第2の内面反射面14とがなす角度を角度514、入射面512と第2の内面反射面14とがなす角度を角度515とした場合、
(角度515)=2×(角度400)-2×(角度514)
の関係が略成り立つように構成する。これにより、光の波長、及び偏向プリズム511の入射面512への入射角によらず、導光板803からの出射角は偏向プリズム511の入射面512への入射角に略等しくなるため、色分散が略キャンセルされて、色分散に起因する色ずれや映像ゆがみを低減することが可能となる。
【0065】
実施例2によれば、映像投影部200から出射した映像光の光軸が導光板の第2の内面反射面と垂直とは異なる角度にすることができ、映像表示装置101のデザインの自由度を高めることができる。
【実施例3】
【0066】
実施例3では、映像偏向部210は光線複製機能を備える構成とした。なお、実施例3においては、前述した実施例との相違点を主に説明し、前述した実施例と同じ構成には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0067】
図16は、実施例3に係る映像偏向部210及び導光部230の構成を示す図である。(a),(b),(c)はそれぞれ正面図、平面図、側面図であり、(d)は(b)の部分拡大図である。映像偏向部210は光線複製偏向プリズム601を備え、導光部230は導光板801を備える。光線複製偏向プリズム601は、2つの基材602,603から構成されており、両者は、透明な接着剤若しくは無機接合により接着されている。光線複製偏向プリズム601は、反射面604とビームスプリッタ面605を備えており、反射面604とビームスプリッタ面605は略平行である。
【0068】
映像投影部200から出射した映像光は、導光板801を透過して光線複製偏向プリズム601に入射する。光線複製偏向プリズム601に入射した映像光の一部は、ビームスプリッタ面605で反射し、一部はビームスプリッタ面605を透過する。ビームスプリッタ面605で反射した映像光は導光板801に再入射する。ビームスプリッタ面605を透過した映像光は、反射面604で反射する。反射面604で反射した映像光の一部は、ビームスプリッタ面605を透過し、導光板801に再入射する。このようにして、光線複製偏向プリズム601により光線が複製されることで、映像光の瞳が複製され、導光板801から出力される映像光の分布をより均一にすることができる。これにより、利用者が視認する映像の均一性を向上することが可能である。
【0069】
ビームスプリッタ605の反射率は、10%以上90%以下とすることが好ましい。より好適には、10%以上50%以下とする。これにより、複製された映像光の強度比の偏りを抑えることができ、利用者が視認する映像の均一性を向上することが可能となる。
【0070】
上記では、光線複製偏向プリズム601はビームスプリッタ面605を1つ備えるとして説明したが、これに限らない。光線複製偏向プリズム601は互いに略平行なビームスプリッタ面605を2つ以上備えていてもよい。これにより利用者が視認する映像の均一性をより向上することが可能となる。
【0071】
光線複製偏向プリズム601の面606は、砂摺り若しくは黒塗りのどちらか一方、若しくは両方の処理が施されていることが好ましい。これにより、迷光の発生を低減することが可能である。
【0072】
実施例3によれば、映像偏向部210に光線複製機能を備えることで、より均一な映像を利用者に視認させることが可能な導光板方式の映像表示装置101及び映像表示システム100を提供できる。
【実施例4】
【0073】
実施例4では、映像表示装置101は瞳拡大部を備える構成とした。なお、実施例4においては、前述した実施例との相違点を主に説明し、前述した実施例と同じ構成には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0074】
図17は、実施例4に係る映像表示装置101の構成を示す図である。(a),(b),(c)はそれぞれ正面図、平面図、側面図である。映像表示装置101は、映像投影部200と、映像偏向部210及び導光部230と、の間に、瞳拡大部700を備えている。ここでは映像偏向部210として偏向プリズム301を備え、導光部230として導光板801を備えている。また瞳拡大部700として、瞳拡大プリズム701を備えている。
【0075】
図17(c)に示すように、瞳拡大プリズム701は、映像光の入力面702と、1つ以上のビームスプリッタ面703と、出力面704と、を備えている。各ビームスプリッタ面703は、互いに略平行である。瞳拡大プリズム701の出力面704と、導光板801の第1の内面反射面13は、透明な接着剤若しくは無機接合により接着されていてもよいし、接着されずに所定の間隔だけ離れて配置されていてもよい。
【0076】
映像投影部200から出射した映像光は、入力面702から瞳拡大プリズム701に入射する。瞳拡大プリズム701に入射した光は、ビームスプリッタ面703に入射し、少なくとも一部の光は、ビームスプリッタ面703で反射する。反射しなかった光の少なくとも一部は、ビームスプリッタ面703を透過して、次のビームスプリッタ面703に入射する。このようにして各ビームスプリッタ面703で反射した光は、出力面704から出射し、第1の内面反射面13から導光板801に入射する。
【0077】
実施例4によれば、映像投影部200が出力した映像光を複製することで、利用者の目と映像表示装置101との相対的な位置がずれたとしても、利用者が映像を視認可能な範囲であるアイボックスを拡大することが可能となる。すなわち、アイボックスの大きい導光板方式の映像表示装置101及び映像表示システム100を提供できる。
【実施例5】
【0078】
実施例5では、映像表示システム100は画像信号処理部104で色分散を補償する構成とした。なお、実施例5において、前述した実施例との相違点を主に説明し、前述した実施例と同じ構成には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0079】
図18は、実施例5に係る映像表示装置101の構成を示す図である。映像偏向部210として偏向プリズム502を備え、導光部230として導光板801を備えている。
【0080】
映像投影部200から出射した映像光のうち、垂直以外の角度で導光板801に入射した光が、導光板801から略垂直に出射する。この場合、色分散により、色ずれや映像ゆがみが発生することがある。具体的には、赤色、緑色、青色など、色によって映像がずれて(シフトして)出力されたり、導光板801から出力される映像の縦横比(アスペクト比)が異なったりする場合がある。
【0081】
図19は、本実施例において、画像信号処理部104による色ずれや映像ゆがみを補正する構成を示す図である。画像信号処理部104は、拡大縮小部901とシフト部902とを備えている。
【0082】
画像信号処理部104に入力された画像信号は、拡大縮小部901に入力され、映像が拡大縮小された画像信号に変換される。拡大縮小部901による映像の拡大縮小は、線形に拡大縮小をしてもよいし、非線形に拡大縮小を行ってもよい。拡大縮小部901から出力された画像信号は、シフト部902に入力され、映像がシフトされた画像信号に変換される。映像がシフトされた画像信号が、画像信号処理部104から出力される。拡大縮小部901による映像の拡大縮小量、及びシフト部902による映像のシフト量は、導光板801に入射して導光板801から出力されるまでの屈折や色分散による映像の色ずれや映像ゆがみを補償する量に略等しくする。特に、色分散による色ずれや映像ゆがみを補正するため、拡大縮小量及びシフト量は、画像信号のR、G、Bによって異なる拡大縮小量及びシフト量であってもよい。
【0083】
また、画像信号処理部104は、拡大縮小部901とシフト部902の両方を備えていてもよいし、いずれか一方を備えていてもよい。これにより、画像信号処理部104の処理負荷を低減することが可能である。
【0084】
実施例5によれば、画像信号処理部104により色分散による色ずれや映像ゆがみを補正することで、高品質な映像を表示可能な導光板方式の映像表示装置101及び映像表示システム100を提供できる。また、映像投影部200から導光板801への映像光の入射角を垂直以外にすることが可能であるため、映像表示装置のデザインの自由度を高めることが可能である。
【0085】
なお、本発明は前述した各実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を有するものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をしてもよい。
【0086】
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
【0087】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納することができる。
【0088】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0089】
17:ビームスプリッタ面、100:映像表示システム、101:映像表示装置、102:コントローラー、104:画像信号処理部、105:電力供給部、106:記憶媒体、107:センシング部、108:センサ入出力部、109:通信部、111:音声処理部、120:利用者の目、200:映像投影部、210:映像偏向部、220:導光板、221:光入力部、222:光出力部、223:内面反射面、224:内面反射面、230:導光部、301,331,341,502:偏向プリズム、503:補正プリズム、511:偏向プリズム、601:光線複製偏向プリズム、605:ビームスプリッタ面、700:瞳拡大部、701:瞳拡大プリズム、703:ビームスプリッタ面、801:導光板、802:偏向プリズム一体型導光板、803~804:導光板、805:偏向プリズム一体型導光板、810:体積ホログラム型導光板、813:媒体層、820:導光板、901:拡大縮小部、902:シフト部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19