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  • 特許-潤滑装置及び潤滑装置を備えるカム機構 図1
  • 特許-潤滑装置及び潤滑装置を備えるカム機構 図2
  • 特許-潤滑装置及び潤滑装置を備えるカム機構 図3
  • 特許-潤滑装置及び潤滑装置を備えるカム機構 図4
  • 特許-潤滑装置及び潤滑装置を備えるカム機構 図5
  • 特許-潤滑装置及び潤滑装置を備えるカム機構 図6
  • 特許-潤滑装置及び潤滑装置を備えるカム機構 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】潤滑装置及び潤滑装置を備えるカム機構
(51)【国際特許分類】
   F16N 11/00 20060101AFI20230413BHJP
   F16C 33/10 20060101ALI20230413BHJP
   F16C 33/66 20060101ALI20230413BHJP
   B23Q 11/12 20060101ALN20230413BHJP
   B23Q 16/02 20060101ALN20230413BHJP
【FI】
F16N11/00
F16C33/10 Z
F16C33/66 Z
B23Q11/12 E
B23Q16/02 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019569113
(86)(22)【出願日】2019-01-29
(86)【国際出願番号】 JP2019002904
(87)【国際公開番号】W WO2019151219
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】P 2018014806
(32)【優先日】2018-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390006585
【氏名又は名称】株式会社三共製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健吾
【審査官】藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-292229(JP,A)
【文献】特開2017-061977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16N 11/00
B23Q 16/02
B23Q 11/12
F16C 33/10
F16C 33/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転部材軸線を中心として回転可能な回転部材と、前記回転部材に固定された複数の軸受と、前記回転部材及び前記複数の軸受を収容するカムハウジングとを備えるカム機構であって、
前記カム機構は、前記カムハウジングに取り付けられた少なくとも1つの潤滑装置を更に備え
前記潤滑装置は、ハウジングと、前記ハウジング内に収容された潤滑部材とを備え、
前記回転部材が、前記複数の軸受が前記回転部材軸線を中心として回転するように、前記回転部材軸線を中心として回転すると、前記潤滑装置は、前記潤滑部材の内側面に軸受の外周面が接触するように、軸受が前記潤滑装置を横切って通過することによって、潤滑剤を各軸受の外周面に塗布ることができるようになっている、カム機構
【請求項2】
前記潤滑部材の内側面に軸受の外周面が接触していない場合に、前記潤滑部材の内側面の間隔は、前記軸受の外周面の外径より小さい、請求項1に記載のカム機構
【請求項3】
前記潤滑部材の内側面に軸受の外周面が接触している場合に、軸受が前記潤滑部材を押圧することによって、前記潤滑剤が軸受の外周面に塗布されることができるようになっている、請求項2記載のカム機構
【請求項4】
前記潤滑部材は、固形潤滑剤、又は液状潤滑剤が含浸された吸収性部材である、請求項1~3の何れか一項に記載のカム機構
【請求項5】
前記潤滑装置は、蓋部を更に備え、前記潤滑部材は、前記蓋部を介して前記ハウジングに対して脱着可能である、請求項1~4の何れか一項に記載のカム機構
【請求項6】
前記カム機構は、カムリブを有する、カム軸線を中心として回転可能なカムを更に備え、前記複数の軸受が前記潤滑装置を横切るように通過することによって前記複数の軸受の各々の外周面に塗布された前記潤滑剤が、前記複数の軸受の各々と前記カムリブとの間の接触によって前記カムリブに塗布される、請求項1~5の何れか一項に記載のカム機構。
【請求項7】
前記潤滑装置は、前記カムハウジングに対して脱着可能である、請求項1~6の何れか一項に記載のカム機構。
【請求項8】
前記複数の軸受の各々は、内輪部と、前記内輪部の周りに回転可能な外輪部とを備え、前記外輪部の外周面が、前記軸受の外周面である、請求項の何れか一項に記載のカム機構。
【請求項9】
前記複数の軸受の各々は、転がり接触の軸受又は滑り接触の軸受である、請求項1~8の何れか一項に記載のカム機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受の外周面に潤滑剤を塗布する潤滑装置、及びその潤滑装置を備えるカム機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カム機構は、一方の軸としてのカムリブを有するカムと、他方の軸としての回転部材に固定された軸受との係合によって、カムと回転部材のうちの一方の軸を入力軸、他方の軸を出力軸として動力を伝達する機構である。入力軸と出力軸の軸間距離を操作することで軸受とカムとの間の接触面に予圧を発生させて、入出力間でのバックラッシを無くすことが出来る。軸受がカムに接触することによって、軸受とカムとの間に摩擦が生じ、軸受及びカムは摩耗する。
【0003】
特許文献1には、モータと、モータによって駆動されるギヤと、ギヤを冷却するための潤滑剤と、潤滑剤を貯留し、ギヤを潤滑剤に浸漬するための潤滑剤貯留手段とを備える回転伝達機構が開示されている。ギヤは、第1平歯車と、第2平歯車と、従動軸と、ウォームギヤ(又はローラギヤカム)と、ウォームホイール(又はローラギヤカムに係合する複数の軸受が放射状且つ等間隔に周囲に配置されたターレット)と、回転軸とから構成されている。潤滑剤貯留手段には、第1平歯車、第2平歯車、ウォームギヤが完全に浸漬するように潤滑剤が貯留されている。モータから発生した熱はギヤへと伝熱され、伝熱された熱は、ギヤが浸漬する潤滑剤へと伝熱されることによってギヤは冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-101989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の回転伝達機構において、ギヤの潤滑は、潤滑剤貯留手段内に貯留されている潤滑剤によって行われている。しかし、モータによってギヤが駆動されてローラギヤカムを介してターレットが回転すると、潤滑剤は遠心力によって、ローラギヤカム及びターレットからは離れる方向に寄ってしまい、軸受とカムとの間の接触面には潤滑剤による膜が残らない状態となるという問題点がある。また、潤滑剤を潤滑剤貯留手段の中に多量に貯留すると、潤滑剤による撹拌抵抗が増加して熱が発生するという問題点がある。更に、潤滑剤貯留手段の中に潤滑剤を充填しておくことは、潤滑剤貯留手段の外に潤滑剤が漏れ出す虞があるという問題点がある。
【0006】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解決するために、軸受の外周面に潤滑剤を塗布する潤滑装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの観点によれば、軸受の外周面に潤滑剤を塗布する潤滑装置が、ハウジングと、ハウジング内に収容された潤滑部材とを備え、潤滑部材の内側面に軸受の外周面が接触するように、軸受が潤滑部材を横切って通過することによって、潤滑剤が軸受の外周面に塗布されることができるようになっている。
【0008】
本発明の一具体例によれば、潤滑装置において、潤滑部材の内側面に軸受の外周面が接触していない場合に、潤滑部材の内側面の間隔は、軸受の外周面の外径より小さい。
【0009】
本発明の一具体例によれば、潤滑装置において、潤滑部材の内側面に軸受の外周面が接触している場合に、軸受が潤滑部材を押圧することによって、潤滑剤が軸受の外周面に塗布されることができるようになっている。
【0010】
本発明の一具体例によれば、潤滑装置において、潤滑部材は、固形潤滑剤、又は液状潤滑剤が含浸された吸収性部材である。
【0011】
本発明の一具体例によれば、潤滑装置は、蓋部を更に備え、潤滑部材は、蓋部を介して前記ハウジングに対して脱着可能である。
【0012】
本発明の別の観点によれば、カム機構は、回転部材軸線を中心として回転可能な回転部材と、回転部材に固定された複数の軸受と、回転部材及び複数の軸受を収容するカムハウジングとを備え、カム機構は、カムハウジングに取り付けられた上記潤滑装置を更に備え、回転部材が回転部材軸線を中心として回転することに伴って、複数の軸受が回転部材軸線を中心として回転して、複数の軸受が連続して潤滑装置を横切るように通過することができるようになっている。
【0013】
本発明の一具体例によれば、カム機構は、カムリブを有する、カム軸線を中心として回転可能なカムを更に備え、複数の軸受が潤滑装置を横切るように通過することによって複数の軸受の各々の外周面に塗布された潤滑剤が、複数の軸受の各々とカムリブとの間の接触によってカムリブに塗布される。
【0014】
本発明の一具体例によれば、カム機構において、潤滑装置は、カムハウジングに対して脱着可能である。
【0015】
本発明の一具体例によれば、カム機構において、複数の軸受の各々は、内輪部と、内輪部の周りに回転可能な外輪部とを備え、外輪部の外周面が、軸受の外周面である。
【0016】
本発明の一具体例によれば、カム機構において、複数の軸受の各々は、転がり接触の軸受又は滑り接触の軸受である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、潤滑装置が軸受の外周面に潤滑剤を塗布することによって、軸受とカムとの間の接触面において潤滑剤による膜を確保することができ、更にそれによって、軸受はカムに滑らかに接触して、軸受及びカムの摩耗を低減することができる。
【0018】
なお、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面に関する以下の本発明の実施例の記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態としての潤滑装置が軸受に接触している場合の断面図である。
図2図1の潤滑装置が取り付けられる前の一実施形態としてのカム機構の平面図である。
図3図2のカム機構のA-A線における矢印の方向から見た断面図である。
図4図2のカム機構の、図3のB-B線における矢印の方向から見た断面図である。
図5図4のカム機構のC-C線における矢印の方向から見た断面図である。
図6図1の潤滑装置が取り付けられた後の一実施形態としてのカム機構の、図3のB-B線における矢印の方向から見た断面図である。
図7図6のカム機構のD-D線における矢印の方向から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0021】
図1を参照して、潤滑装置101の実施例を説明する。図1に、軸受201の外周面206に潤滑剤を塗布する潤滑装置101の断面図を示す。潤滑装置101は、ハウジング102と、ハウジング102内に収容された潤滑部材105とを備える。潤滑部材105の内側面106に、略円筒形である軸受201の外周面206が接触するように、軸受201が潤滑部材105を横切って通過することによって、潤滑剤が軸受201の外周面206に塗布される。
【0022】
潤滑部材105は、図1に示すように、略コの字の凹面を有する形状であってもよい。軸受201は、潤滑部材105の略コの字の上辺と下辺との間の潤滑部材105の内側を横切るように通過することができるようになっており、軸受201が潤滑部材105の内側を通過する際に、軸受201の外周面206が、潤滑部材105の内側面106に相当する上辺の下面側及び下辺の上面側に接触して、軸受201の外周面206に潤滑剤が塗布される。なお、図1に示される潤滑部材105は略コの字の形状をしているが、軸受201が潤滑部材105を横切って通過するによって、軸受201の外周面206に潤滑剤を塗布することができるのであれば、潤滑部材105はどのような形状であってもよく、例えば、潤滑部材105の形状は、略コの字のうちの上辺のみ、下辺のみ、又は上辺と下辺のみであってもよい。
【0023】
潤滑部材105の内側面106に軸受201の外周面206が接触していない場合には、潤滑部材105の内側面106の間隔107は、軸受201の外周面206の外径207より小さくなるように設定されていてもよい。そして、潤滑部材105の内側面106に軸受201の外周面206が接触するように、軸受201が潤滑部材105を横切って通過している場合には、潤滑部材105の内側面106の間隔107が軸受201の外周面206の外径207より小さいために、軸受201は潤滑部材105を押圧する、すなわち軸受201の外周面206は潤滑部材105の内側面106を押圧することができ、それによって、潤滑剤が軸受201の外周面206に塗布されることができるようになっている。
【0024】
潤滑部材105は、固形潤滑剤であってもよいし、グリス、油、等の液状潤滑剤が含浸された吸収性部材であってもよい。吸収性部材は、スポンジ、フェルト、等の液状潤滑剤に対して高吸収性を有する部材であることが好ましい。
【0025】
潤滑装置101は、蓋部104を更に備えていてもよい。蓋部104によって潤滑部材105はハウジング102内に維持されるが、蓋部104は、ハウジング102から取り外されたり、ハウジング102に取り付けられたりすることができてもよい。蓋部104をハウジング102から取り外すことによって、ハウジング102内に収容されている潤滑部材105を取り出すことができる。潤滑部材105が軸受201と接触することによって、潤滑部材105における潤滑剤は減少するが、潤滑部材105をハウジング102から取り出して、潤滑部材105に潤滑剤を補充して再度潤滑部材105をハウジング102に収容したり、新たな潤滑部材105に交換してハウジング102に収容したりすることができる。また、潤滑装置101は、潤滑部材105がハウジング102内に維持されるように、蓋部104に対して反対側に鍔部103を備えていてもよい。なお、図1に示されるように、鍔部103は、ハウジング102と一体化されていてもよい。
【0026】
図2図7を参照して、潤滑装置101が取り付けたカム機構301の実施例を説明する。カム機構301は、回転部材軸線304を中心として回転可能な回転部材303と、回転部材303に嵌合される等として固定された複数の軸受201と、回転部材303及び複数の軸受201を収容するカムハウジング302とを備える。回転部材303は、カムハウジング302に対して回転部材軸線304を中心として回転することができ、回転部材303に固定された複数の軸受201もまた、回転部材303の回転に伴ってカムハウジング302に対して回転部材軸線304を中心として回転する。カムハウジング302には少なくとも1つの潤滑装置取付口308が設けられ、カム機構301は、潤滑装置取付口308を介してカムハウジング302に取り付けられた潤滑装置101を更に備える。なお、図4に示されるように、カムハウジング302には3つの潤滑装置取付口308が設けられているが、潤滑装置取付口308の数は任意である。また、図4及び図6に示されるように、カムハウジング302には3つの潤滑装置取付口308のそれぞれに対して潤滑装置101が取り付けられているが、潤滑装置取付口308のうちの何れかに対してのみ潤滑装置101が取り付けられてもよく、潤滑装置101が取り付けられる箇所は任意である。
【0027】
複数の軸受201が回転部材軸線304を中心として回転すると、複数の軸受201が次々に連続して潤滑部材105の内側を横切るように通過することができ、それによって、軸受201の外周面206が潤滑部材105の内側面106に接触して、軸受201の外周面206に潤滑剤が塗布される。
【0028】
カム機構301は、カムリブ307を有する、カム軸線306を中心として回転可能であって、軸受201と係合するカム305を更に備える。回転部材軸線304及びカム軸線306のうちの何れかが入力軸であっても出力軸であってもよい。図2図7に示されるように、カム305の形状は、スクリュー状のカムリブ307を有する形状であってもよい。例えば、カム305が入力軸としてカム軸線306を中心として回転すると、カム軸線306に直交する回転部材軸線304を中心として回転部材303が出力軸として回転することができるように複数の軸受201が次々に連続してカムリブ307に接触する。そして、回転部材303が回転すると、複数の軸受201は次々に連続して潤滑部材105を横切るように通過し、軸受201の外周面206に潤滑剤が塗布される。更に回転部材303が回転すると、各外周面206に潤滑剤が塗布された複数の軸受201がカムリブ307に次々に連続して接触して、軸受201の外周面206に塗布された潤滑剤がカムリブ307に塗布される。このようにして、カムハウジング302の中に潤滑剤を充填することなく、軸受201の外周面206とカムリブ307との間の接触面には潤滑剤による膜が形成されて、軸受201の外周面206はカムリブ307に滑らかに接触することができ、軸受201の外周面206及びカムリブ307の摩耗を低減することができ、更には、軸受201及びカム305を長寿命化することができる。なお、図2図7に示されるように、複数の軸受201は、略円筒形の回転部材303の外周面に放射状に回転部材303に嵌合される等して固定されていてよいし、カム305の形状によっては、複数の軸受201は、略円筒形の回転部材303の端面に円形状に回転部材303に固定されていてもよい。
【0029】
潤滑装置取付口308を介してカムハウジング302に取り付けられた潤滑装置101は、カムハウジング302から取り外すことができる。取り外された潤滑装置101は、上記のように、潤滑部材105をハウジング102から取り出して、潤滑部材105に潤滑剤を補充して再度潤滑部材105をハウジング102に収容したり、新たな潤滑部材105に交換してハウジング102に収容したりした後、再度カムハウジング302に取り付けることができる。このように、潤滑装置101をカムハウジング302に対して着脱可能とすることによって、潤滑装置101を再利用することが可能となって低コスト化することができる。また、カムハウジング302の中に潤滑剤を充填しなくとも軸受201の外周面206とカムリブ307との間の接触面に潤滑剤による膜を確保することができるために、カム機構301のメンテナンスが容易となる。
【0030】
なお、カムリブ307と軸受201の接触状態は、カム305が入力側として回転部材303を回転させる場合と、回転部材303が入力側としてカム305を回転させる場合の、どちらにおいても同様の状態となる。
【0031】
各軸受201は、内輪部202と、内輪部202の側面に沿って内輪部202の周りに回転可能な略円筒形の外輪部203とを備えていてもよい。この場合には、外輪部203の外周面が、軸受201の外周面206に相当する。外輪部203を備える軸受201が潤滑装置101を横切るように通過することによって、軸受201の外周面206、すなわち外輪部203の外周面206に潤滑剤が塗布される。そして、潤滑剤が塗布された軸受201が回転部材303の回転に伴って回転することによって、軸受201はカムリブ307と接触し、軸受201とカムリブ307との間の接触によって、カムリブ307に潤滑剤が塗布され、外輪部203は、カムリブ307に対して滑らかに転がり接触しながら内輪部202の周りに回転することができる。各軸受201とカムリブ307との間を転がり接触にすることによって、カム305又は回転部材303から入力されるトルクの、出力軸側への伝達効率を向上できるとともに、カム機構301を長寿命化することができる。また、各軸受201とカムリブ307との間は線接触であるために、回転部材303の回転方向の外力に対して高い剛性を有する。また、各軸受201は、内輪部202と外輪部203との間にころ、ニードル等の転動体204を備える転がり接触の軸受であってもよいし、転動体204を含まない滑り接触の軸受であってもよい。
【0032】
各軸受201は、内輪部202の内側に、各軸受201を回転部材303に固定するための固定部材205を備えるカムフォロアであってもよく、固定部材205が回転部材303に嵌合されることによって、各軸受201は回転部材303に固定される。また、各軸受201は、固定部材205を備えないローラフォロアであってもよく、軸受201とは別部材としての固定部材205が内輪部202の内側を貫通して回転部材303に嵌合されることによって、各軸受201は回転部材303に固定される。
【0033】
回転部材303に固定された軸受201が回転部材303の回転に伴って潤滑部材105を横切るように通過して、軸受201の外周面205に潤滑剤を塗布することができるのであれば、潤滑装置101が取り付けられたカム機構301に備えられるカムは、図4及び図6に示されるような鼓形カムのみに限定されず、例えば、円筒形カム(cylindrical cam、barrel cam)、太鼓形カム(globoidal cam)、等の他のスクリュー形状のカムリブを有する他のカムであってもよい。
【0034】
また、図2図7に示されているカム機構301は、カム軸線306と回転部材軸線304とを結ぶ線の幅の中において、カム305と軸受201との接触が行われる位置関係にある外接カム機構であるが、それに限定されず、カムの形状によっては、カム軸線と回転部材軸線を結ぶ線の幅の外において、カムと軸受の接触が行われる位置関係にある内接カム機構であってもよい。内接カム機構としては、例えば、カム軸線と回転部材軸線とが平行である内接パラレルカム、等がある。
【0035】
上記記載は特定の実施例についてなされたが、本発明はそれに限らず、本発明の原理と添付の特許請求の範囲の範囲内で種々の変更及び修正をすることができることは当業者に明らかである。
【符号の説明】
【0036】
101 潤滑装置
102 ハウジング
103 鍔部
104 蓋部
105 潤滑部材
106 内側面
107 間隔
201 軸受
202 内輪部
203 外輪部
204 転動体
205 固定部材
206 外周面
207 外径
301 カム機構
302 カムハウジング
303 回転部材
304 回転部材軸線
305 カム
306 カム軸線
307 カムリブ
308 潤滑装置取付口

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7