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特許7261761複数の加入者識別モジュールを有する端末装置への呼び出し制御を実行するための端末装置、コアネットワーク装置、制御方法、及びプログラム
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  • 特許-複数の加入者識別モジュールを有する端末装置への呼び出し制御を実行するための端末装置、コアネットワーク装置、制御方法、及びプログラム 図1
  • 特許-複数の加入者識別モジュールを有する端末装置への呼び出し制御を実行するための端末装置、コアネットワーク装置、制御方法、及びプログラム 図2
  • 特許-複数の加入者識別モジュールを有する端末装置への呼び出し制御を実行するための端末装置、コアネットワーク装置、制御方法、及びプログラム 図3
  • 特許-複数の加入者識別モジュールを有する端末装置への呼び出し制御を実行するための端末装置、コアネットワーク装置、制御方法、及びプログラム 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】複数の加入者識別モジュールを有する端末装置への呼び出し制御を実行するための端末装置、コアネットワーク装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 68/12 20090101AFI20230413BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20230413BHJP
   H04W 92/08 20090101ALI20230413BHJP
【FI】
H04W68/12
H04W88/06
H04W92/08
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020041170
(22)【出願日】2020-03-10
(65)【公開番号】P2021145187
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-07-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩次
(72)【発明者】
【氏名】武田 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 伸吾
(72)【発明者】
【氏名】大谷 潤
【審査官】倉本 敦史
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-504841(JP,A)
【文献】特開2013-247444(JP,A)
【文献】国際公開第2019/100344(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置であって、
第1の加入者識別モジュール(USIM)と第2のUSIMとを含んだ複数のUSIMと、
無線受信機と、
前記第1のUSIMに対応するページングフレーム又はページングオケージョンと、前記第2のUSIMに対応するページングフレーム又はページングオケージョンとが一致している場合に、前記端末装置が有する前記USIMの数より前記端末装置が有する前記無線受信機が少ないことを条件に、基地局装置が接続されるコアネットワーク装置に対して、前記第2のUSIMに関するページングフレーム又はページングオケージョンに関する所定の通知を送信する通知手段と、
前記第1のUSIMに対応するページングフレーム又はページングオケージョンと、前記第2のUSIMに対応するページングフレーム又はページングオケージョンとが一致している場合に、前記所定の通知に対する前記コアネットワーク装置からの応答として、前記端末装置がページングフレーム又はページングオケージョンを算出するために使用されるオフセット値を受信する受信手段と、
受信したオフセット値と、設定されている前記第2のUSIMに対応するページングフレーム又はページングオケージョンとを用いて、変更後の前記第2のUSIMに関するページングフレーム又はページングオケージョンを算出する算出手段と、
を有することを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記算出手段により算出したページングフレーム又はページングオケージョンを用いてページング受信を開始するよう制御する制御手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記端末装置は、前記第1のUSIMを用いて第1の基地局装置と通信し、前記第2のUSIMを用いて第2の基地局装置と通信するように構成されており、
前記所定の通知は、前記第2の基地局装置へ送信され、
前記所定の通知は、前記第2の基地局装置のページングのタイミングを変更させる通知であり、
前記通知手段は、前記第2の基地局装置から事前に取得した前記オフセット値に基づいて、前記第2の基地局装置のページングフレーム又はページングオケージョンを変更する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の端末装置。
【請求項4】
基地局装置が接続されるコアネットワーク装置であって、
第1の加入者識別モジュール(USIM)および第2のUSIMを含んだ複数のUSIMと無線受信機とを有する端末装置から、前記第1のUSIMに対応するページングフレーム又はページングオケージョンと、前記第2のUSIMに対応するページングフレーム又はページングオケージョンとが一致している場合に、当該端末装置の有する前記USIMの数が当該端末装置の有する無線受信機より少ないことを条件に当該端末装置が送信する所定の情報であって、前記第2のUSIMに関するページングフレーム又はページングオケージョンに関する前記所定の通知を受信する受信手段と、
前記所定の通知に対する応答として、前記第2のUSIMに関するオフセット値であって、前記端末装置において設定されている前記第2のUSIMに関するページングフレーム又はページングオケージョンと当該オフセット値とに基づいて変更後の前記第2のUSIMに関するページングフレーム又はページングオケージョン前記端末装置が算出するために使用する前記オフセット値を送信する送信手段と、
前記所定の通知の受信に基づいて、前記端末装置についての前記第2のUSIMに関するページングフレーム又はページングオケージョンの変更に関する情報を前記第2のUSIMに対応する基地局装置へ通知する通知手段と、
を有することを特徴とするコアネットワーク装置。
【請求項5】
前記所定の通知は、前記第1のUSIMに対応するページングフレーム又はページングオケージョンと、前記第2のUSIMに対応するページングフレーム又はページングオケージョンとが一致している場合に、前記端末装置から送信される、ことを特徴とする請求項に記載のコアネットワーク装置。
【請求項6】
第1の加入者識別モジュール(USIM)と第2のUSIMとを含んだ複数のUSIMと、無線受信機とを有する端末装置によって実行される制御方法であって、
前記端末装置が有する前記USIMの数より前記端末装置が有する前記無線受信機が少ないことを条件に、基地局装置が接続されるコアネットワーク装置に対して、前記第2のUSIMに関するページングフレーム又はページングオケージョンに関する所定の通知を送信することと、
前記所定の通知に対する前記コアネットワーク装置からの応答として、前記端末装置がページングフレーム又はページングオケージョンを算出するために使用されるオフセット値を受信することと、
前記第1のUSIMに対応するページングフレーム又はページングオケージョンと、前記第2のUSIMに対応するページングフレーム又はページングオケージョンとが一致している場合に、受信したオフセット値と、設定されている前記第2のUSIMに対応するページングフレーム又はページングオケージョンとを用いて、変更後の前記第2のUSIMに関するページングフレーム又はページングオケージョンを算出することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項7】
基地局装置が接続されるコアネットワーク装置によって実行される制御方法であって、
第1の加入者識別モジュール(USIM)および第2のUSIMを含んだ複数のUSIMと無線受信機とを有する端末装置から、前記第1のUSIMに対応するページングフレーム又はページングオケージョンと、前記第2のUSIMに対応するページングフレーム又はページングオケージョンとが一致している場合に、当該端末装置の有する前記USIMの数が当該端末装置の有する無線受信機より少ないことを条件に当該端末装置が送信する所定の情報であって、前記第2のUSIMに関するページングフレーム又はページングオケージョンに関する前記所定の通知を受信することと、
前記所定の通知に対する応答として、前記第2のUSIMに関するオフセット値であって、前記端末装置において設定されている前記第2のUSIMに関するページングフレーム又はページングオケージョンと当該オフセット値とに基づいて変更後の前記第2のUSIMに関するページングフレーム又はページングオケージョン前記端末装置が算出するために使用する前記オフセット値を送信することと、
前記所定の通知の受信に基づいて、前記端末装置についての前記第2のUSIMに関するページングフレーム又はページングオケージョンの変更に関する情報を前記第2のUSIMに対応する基地局装置へ通知することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項8】
第1の加入者識別モジュール(USIM)と第2のUSIMとを含んだ複数のUSIMと、無線受信機とを有する端末装置に備えられたコンピュータに、
前記第1のUSIMに対応するページングフレーム又はページングオケージョンと、前記第2のUSIMに対応するページングフレーム又はページングオケージョンとが一致している場合に、前記端末装置が有する前記USIMの数より前記端末装置が有する前記無線受信機が少ないことを条件に、基地局装置が接続されるコアネットワーク装置に対して、前記第2のUSIMに関するページングフレーム又はページングオケージョンに関する所定の通知を送信させ、
前記所定の通知に対する前記コアネットワーク装置からの応答として、前記端末装置がページングフレーム又はページングオケージョンを算出するために使用されるオフセット値を受信させ、
前記第1のUSIMに対応するページングフレーム又はページングオケージョンと、前記第2のUSIMに対応するページングフレーム又はページングオケージョンとが一致している場合に、受信したオフセット値と、設定されている前記第2のUSIMに対応するページングフレーム又はページングオケージョンとを用いて、変更後の前記第2のUSIMに関するページングフレーム又はページングオケージョンを算出させる、
ためのプログラム。
【請求項9】
基地局装置が接続されるコアネットワーク装置に備えられたコンピュータに、
第1の加入者識別モジュール(USIM)および第2のUSIMを含んだ複数のUSIMと無線受信機とを有する端末装置から、前記第1のUSIMに対応するページングフレーム又はページングオケージョンと、前記第2のUSIMに対応するページングフレーム又はページングオケージョンとが一致している場合に、当該端末装置の有する前記USIMの数が当該端末装置の有する無線受信機より少ないことを条件に当該端末装置が送信する所定の情報であって、前記第2のUSIMに関するページングフレーム又はページングオケージョンに関する前記所定の通知を受信させ、
前記所定の通知に対する応答として、前記第2のUSIMに関するオフセット値であって、前記端末装置において設定されている前記第2のUSIMに関するページングフレーム又はページングオケージョンと当該オフセット値とに基づいて変更後の前記第2のUSIMに関するページングフレーム又はページングオケージョン前記端末装置が算出するために使用する前記オフセット値を送信させ、
前記所定の通知の受信に基づいて、前記端末装置についての前記第2のUSIMに関するページングフレーム又はページングオケージョンの変更に関する情報を前記第2のUSIMに対応する基地局装置へ通知させる、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信による呼び出し技術に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラ通信システムでは、ネットワークは、端末装置へ送信すべきデータが存在する場合にページングチャネルによってその通知を行うように構成されている。端末装置は、ページングチャネルによって自装置宛のデータが存在すると判定した場合に、近傍の基地局装置との間で接続を確立して、ネットワークからデータを受信する。ここで、各端末装置のページングのタイミングは、その端末装置の加入者識別モジュール(以下では、「USIM」とする。)に格納されるIMSI(国際移動体加入者識別番号)と、ネットワークから送信されるシステム情報に基づいて算出される。端末装置は、自装置のためのページングのタイミングを算出し、非接続状態において、算出したタイミングでページングチャネルを観測するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2014-504841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2つ以上のUSIMとそれより少数(例えば単一)の受信器とを含んだ端末装置が検討されている。USIMは、それぞれが1つの加入者として扱われるため、2つ以上のUSIMに対して、それぞれ別個にページングのタイミングが決定される。これらのUSIMに対するページングのタイミングがずれている場合、端末装置は、USIMの数より少数の受信器のみを有している場合であっても、それぞれのUSIMに対応するページングチャネルを観測することができる。一方で、複数のUSIMに対するページングのタイミングが一致してしまう場合がありうる。この場合、複数のUSIMのうち、受信器の数分のUSIMのためのページングチャネルを観測することはできるが、他のUSIMのためのページングチャネルを観測することができなくなってしまう。特許文献1では、このようなページングのタイミングが生じた場合に、端末装置が最初のページングのタイミングにおいては第1のUSIMのページングチャネルを読み取り、その後のページングのタイミングにおいては第2のUSIMのページングチャネルを読み取ることが記載されている。しかしながら、この操作によれば、端末装置が、自装置宛のデータがあることを検出するのに要する時間が長期化し、効率がよくない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、複数の加入者識別モジュールとそれより少数の受信器を有する端末装置におけるページングを効率的に実行するための技術を提供する。
【0006】
本発明の一態様による端末装置は、第1の加入者識別モジュール(USIM)と第2のUSIMとを含んだ複数のUSIMと、無線受信機と、前記第1のUSIMに対応するページングフレーム又はページングオケージョンと、前記第2のUSIMに対応するページングフレーム又はページングオケージョンとが一致している場合に、前記端末装置が有する前記USIMの数より前記端末装置が有する前記無線受信機が少ないことを条件に、基地局装置が接続されるコアネットワーク装置に対して、前記第2のUSIMに関するページングフレーム又はページングオケージョンに関する所定の通知を送信する通知手段と、前記所定の通知に対する前記コアネットワーク装置からの応答として、前記端末装置がページングフレーム又はページングオケージョンを算出するために使用されるオフセット値を受信する受信手段と、前記第1のUSIMに対応するページングフレーム又はページングオケージョンと、前記第2のUSIMに対応するページングフレーム又はページングオケージョンとが一致している場合に、受信したオフセット値と、設定されている前記第2のUSIMに対応するページングフレーム又はページングオケージョンとを用いて、変更後の前記第2のUSIMに関するページングフレーム又はページングオケージョンを算出する算出手段と、を有する。
【0007】
本発明の一態様によるコアネットワーク装置は、基地局装置が接続されるコアネットワーク装置であって、第1の加入者識別モジュール(USIM)および第2のUSIMを含んだ複数のUSIMと無線受信機とを有する端末装置から、前記第1のUSIMに対応するページングフレーム又はページングオケージョンと、前記第2のUSIMに対応するページングフレーム又はページングオケージョンとが一致している場合に、当該端末装置の有する前記USIMの数が当該端末装置の有する無線受信機より少ないことを条件に当該端末装置が送信する所定の情報であって、前記第2のUSIMに関するページングフレーム又はページングオケージョンに関する前記所定の通知を受信する受信手段と、前記所定の通知に対する応答として、前記第2のUSIMに関するオフセット値であって、前記端末装置が前記第1のUSIMに関するページングフレーム又はページングオケージョンと当該オフセット値とに基づいて前記第2のUSIMに関するページングフレーム又はページングオケージョンを算出するために使用する前記オフセット値を送信する送信手段と、前記所定の通知の受信に基づいて、前記端末装置についての前記第2のUSIMに関するページングフレーム又はページングオケージョンの変更に関する情報を前記第2のUSIMに対応する基地局装置へ通知する通知手段と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の加入者識別モジュールとそれより少数の受信器を有する端末装置におけるページングを効率的に実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】無線通信システムの構成例を示す図である。
図2】端末装置及び基地局装置のハードウェア構成例を示す図である。
図3】端末装置の機能構成例を示す図である。
図4】基地局装置の機能構成例を示す図である。
図5】処理の流れの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち2つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
(システム構成)
図1に、本実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す。本無線通信システムは、セルラ通信システムであり、例えば、第1の基地局装置101及び第2の基地局装置102と、端末装置103とを含んで構成される。第1の基地局装置101及び第2の基地局装置102は、例えば、いずれもが第5世代(5G)の基地局装置であってもよいし、いずれかが5Gの基地局装置で他方がロングタームエボリューション(LTE)の基地局装置であってもよいし、いずれもがLTEの基地局装置であってもよい。
【0012】
端末装置103は、複数の加入者識別モジュール(USIM)を有し、第1のUSIMを用いて第1の基地局装置101と、第2のUSIMを用いて第2の基地局装置102と、それぞれ通信可能に構成される。なお、本実施形態では、端末装置103は、いずれの基地局装置に対しても接続を確立していない非接続状態であるものとする。このため、端末装置103は、各USIMに格納されているIMSI(国際移動体加入者識別番号)と、各基地局装置からSystem Information Block(SIB)によってブロードキャストされる情報とに基づいて算出される、ページングのタイミングに基づいて、第1の基地局装置101及び第2の基地局装置102から送信されるページングチャネルを観測し、自装置宛のデータが存在するかを判定する。そして、端末装置103は、第1の基地局装置101からのページングチャネルによって自装置宛のデータが存在することが示されている場合には、そのデータの受信のために、第1の基地局装置101との接続を確立する。同様に、端末装置103は、第2の基地局装置102からのページングチャネルによって自装置宛のデータが存在することが示されている場合には、そのデータの受信のために、第2の基地局装置102との接続を確立する。
【0013】
このとき、端末装置103の第1のUSIMと第2のUSIMのそれぞれに対するページングのタイミングが一致することがありうる。このとき、端末装置103が、2つの無線受信器を有していれば、それぞれの無線受信器によってページングチャネルを観測することができる。一方で、端末装置103は、1つの無線受信器しか有していない場合、第1のUSIMと第2のUSIMのうちのいずれか一方については、そのページングチャネルを観測することができない。より一般的に言うと、端末装置103は、自装置が有するUSIMの個数に等しい(又はそれ以上)の無線受信器を有している場合には、それぞれの無線受信器によってページングチャネルを観測することができるが、USIMの個数より少ない無線受信器しか有していない場合には、一部のUSIMについてページングチャネルを観測できない場合がある。なお、端末装置103は、例えば複数のページング機会をそれぞれのUSIMに割り振って、順次ページングチャネルを観測させることができる。しかしながら、この手法では、端末装置103にとって、USIMの個数に応じて、各USIMについてのページングの間隔が長くなったのと同様の状態となる。このため、データの発生から、端末装置103がそのデータの存在を認識するまでの期間が長くなってしまいうる。
【0014】
本実施形態では、このような事情に鑑み、端末装置103において、第1の基地局装置101と第2の基地局装置102とにおけるページングのタイミングが一致しているかを判定し、これらのタイミングが一致している場合に、少なくともいずれかのタイミングを変更するようにする。例えば、端末装置103が、第1の基地局装置101と第2の基地局装置102との少なくともいずれかに対して、ページングのタイミングに関する所定の通知を行う。そして、第1の基地局装置101と第2の基地局装置102とのうち、この所定の通知を受信した又はこの所定の通知を解釈可能な基地局装置が、端末装置103に関するページングのタイミングを変更するように制御を実行しうる。これにより、複数の基地局装置のページングのタイミングが異なることとなるため、端末装置103は、それらの基地局装置からのページングチャネルを効率的に観測することができる。このため、ネットワーク側においてその端末装置103へ送信すべきデータが発生してから短期間のうちに、端末装置103がそのデータの発生を検出して、接続を早期に確立することができる。なお、端末装置103は、第1の基地局装置101と通信可能な第1の無線受信器と、第2の基地局装置102と通信可能な第2の無線受信器とを有している場合は、上述の所定の通知を行わないようにしうる。これにより、不必要にページングのタイミングが変更されることがなくなり、制御負荷を低減し、また、不必要なシグナリングを削減することができる。なお、上述の端末装置から基地局装置への所定の通知については、RRCメッセージ(たとえばRRCSetupCompleteやUEAssistanceInformation)、レイヤ1シグナリングを用いて行うことが考えうる。
【0015】
なお、端末装置103は、例えば、複数のUSIMを端末装置が有している場合の制御に対応しており、端末装置のページングのタイミングの変更に対応している基地局装置に対してのみ、上述の所定の通知を送信するようにしてもよい。すなわち、ページングのタイミングの変更を行うことができない基地局装置へは、所定の通知が行われないようにすることができる。これにより、不必要なシグナリングが行われることを防ぐことができる。この場合、複数のUSIMを端末装置が有している場合の制御に対応している基地局装置のみがページングのタイミングを変更し、複数のUSIMを端末装置が有している場合の制御に対応していない基地局装置は、ページングのタイミングを変更しないこととなる。
【0016】
また、端末装置103は、第1の基地局装置101と第2の基地局装置102とのいずれもが複数のUSIMを端末装置が有している場合の制御に対応している場合、例えば、乱数や基地局装置の識別情報などの基地局装置に関連する値などを用いて、ページングのタイミングの変更を行うべき基地局装置を選択してもよい。例えば、0以上1未満の値を取る乱数の値が0.5未満の場合に第1の基地局装置101がページングのタイミングの変更を行うべき基地局装置として選択され、乱数の値が0.5以上の場合に第2の基地局装置102がページングのタイミングの変更を行うべき基地局装置として選択されうる。また、第1の基地局装置101と第2の基地局装置102に関連するID等の値を比較して、値が大きい方がページングのタイミングの変更を行うべき基地局装置として選択されてもよい。また、端末装置103は、第1の基地局装置101と第2の基地局装置102とのいずれを優先するかをユーザに選択させ、優先されない方の基地局装置を、ページングのタイミングの変更を行うべき基地局装置として選択してもよい。これらの手順によって、2つの基地局装置がいずれも複数のUSIMを端末装置が有している場合の制御に対応している場合に、1つの基地局装置においてのみページングのタイミングの変更を行わせることができる。これにより、ページングのタイミングの変更後に、再度タイミングが一致してしまうことを防ぐことができる。
【0017】
なお、端末装置103は、第1の基地局装置101と第2の基地局装置102のページングフレームが一致するか否かのみを判定してもよいし、これらの基地局装置のページングフレーム内のページングオケージョンまで一致しているかを判定してもよい。すなわち、端末装置103は、第1の基地局装置101と第2の基地局装置102のページングフレームが一致する場合に、所定の通知を行うようにしてもよいし、ページングフレームが一致してもページングオケージョンが一致しない場合には、所定の通知を行わないようにしてもよい。また、端末装置103は、例えば、第1の基地局装置101と第2の基地局装置102の複数のページングフレーム(場合によってはページングオケージョン)の全てが重複している場合に、所定の通知を行うようにし、一部のみが重複している場合には所定の通知を行わないようにしてもよい。また、端末装置103は、例えば、第1の基地局装置101と第2の基地局装置102の複数のページングフレーム(場合によってはページングオケージョン)のいずれかが重複している場合に、所定の通知を行うようにしてもよい。また、端末装置103は、例えば、第1の基地局装置101と第2の基地局装置102の複数のページングフレーム(場合によってはページングオケージョン)のうちの所定の割合以上の部分が重複している場合に、所定の通知を行うようにしてもよい。なお、上述の処理は一例に過ぎず、端末装置103は、これら以外の基準が満たされた場合に所定の通知を行うように構成されてもよい。
【0018】
なお、ページングのタイミングの変更に対応している基地局装置は、例えば、端末装置103に対して、ページングフレーム(場合によってはページングオケージョン)のオフセット値を事前に通知しうる。この通知は、例えば、ブロードキャスト信号によって行われる。例えば、端末装置103が第1の基地局装置101に対して所定の通知を行った場合、端末装置103は、第1の基地局装置101のページングのタイミングを事前通知されたオフセット値分だけずらし、同様に第1の基地局装置101も、自装置が通知したオフセット値分だけ端末装置103のページングのタイミングをずらす。このようにして、端末装置103と第1の基地局装置101との間で変更後のページングのタイミングを一致させることができる。なお、各基地局装置は、端末装置103から所定の通知を受信したことに応じて、オフセット値を端末装置103へ通知するように構成されてもよい。すなわち、オフセット値は事前に通知されなくてもよい。この場合は、端末装置103は、ページングのタイミングを変更しない基地局装置のページングのタイミングを所定の通知に含み、各基地局装置は、通知されたページングのタイミングを回避するようオフセット値を決定し、端末装置103に通知することも考えうる。
【0019】
また、各基地局装置は、ページングのタイミングをずらさない場合にタイミングを特定するための第1の設定値(パラメータ)と、ページングのタイミングをずらす場合にタイミングを特定するための第2の設定値を事前に端末装置103へ通知しておいてもよい。この場合、例えば端末装置103が第1の基地局装置101に対して所定の通知を行った場合、端末装置103は、第1の基地局装置101から通知された第2の設定値に基づいて変更後のページングのタイミングを特定する。また、第1の基地局装置101も、事前に端末装置103へ通知した第2の設定値に基づいて、変更後の端末装置103のページングのタイミングを特定する。これにより、端末装置103と第1の基地局装置101との間で変更後のページングのタイミングを一致させることができる。なお、このような設定値の通知は、基地局装置が所定の通知を受信したことに基づいて、端末装置103へ送信してもよい。この場合、端末装置103は、ページングのタイミングを変更しない第2の基地局装置102のページングのタイミングを所定の通知に含み、第1の基地局装置101は、端末装置103より通知された第2の基地局装置102のページングのタイミングを回避するよう第2の設定値を決定し、端末装置103に通知することも考えうる。なお、上述の第1の設定値と第2の設定値は、基地局装置からのSystem Information Block(SIB)によってブロードキャストされてもよいし、SIB以外のRRCメッセージ(たとえば、RRCReconfiguration)で通知されてもよい。第1の設定値はSIB、第2の設定値はRRCReconfigurationとそれぞれ異なる方法で通知されることも考え得る。
【0020】
また、例えば、各基地局装置は、端末装置103において複数の基地局装置のページングのタイミングが一致した場合の変更後のページングのタイミングを算出するための設定値やオフセット値を複数種類通知しておいてもよい。そして、端末装置103が、これらの複数の通知された設定値やオフセット値の中から、変更後のページングのタイミングを算出するのに使用する1つの設定値やオフセット値を選択する。そして、端末装置103は、その選択結果を、例えば所定の通知に含めて、ページングのタイミングを変更すべき基地局装置へ通知しうる。また、端末装置103から所定の通知を受信した基地局装置が、これらの複数の通知された設定値やオフセット値の中から、変更後のページングのタイミングを算出するのに使用する1つの設定値やオフセット値を選択してもよい。そして、基地局装置は、端末装置103に対して、選択した結果を、所定の通知への応答信号に含めて通知してもよい。これにより、端末装置103と第1の基地局装置101との間で変更後のページングのタイミングを一致させることができる。なお、上述の処理は一例に過ぎず、これら以外の方法で端末装置103と第1の基地局装置101との間で変更後のページングのタイミングを一致させてもよい。
【0021】
また、ページングのタイミング変更を実行した基地局装置が、その端末装置に関わるページングのタイミング変更に関する情報を、他の基地局装置やコアネットワーク装置に通知することも考え得る。これにより、端末装置が移動し、他の基地局装置へ接続する際に、ページングのタイミング変更に関わる処理が再実行されることを回避することができる。
【0022】
なお、上述の実施形態では、端末装置103がページングのタイミング変更する基地局装置101に対して、ページングに関わる情報を通知する実施例を示したが、ページングのタイミング変更を、基地局装置ではなく、基地局装置が接続されるコアネットワーク装置に対してNASメッセージ(たとえば、Registration Requestなど)を使用して通知する実施例もありうる。その場合は、情報を受信したコアネットワーク装置は、端末装置103が在圏するエリアのひとつまたは複数の基地局装置に対して、ページングのタイミング変更に関わる情報を通知することができる。
【0023】
(装置構成)
図2に、本実施形態に係る端末装置及び基地局装置のハードウェア構成例を示す。端末装置及び基地局装置は、一例において、プロセッサ201、ROM202、RAM203、記憶装置204、及び通信回路205を含んで構成される。プロセッサ201は、汎用のCPU(中央演算装置)や、ASIC(特定用途向け集積回路)等の、1つ以上の処理回路を含んで構成されるコンピュータであり、ROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、各装置の全体の処理や、上述の各処理を実行する。ROM202は、端末装置/基地局装置が実行する処理に関するプログラムや各種パラメータ等の情報を記憶する読み出し専用メモリである。RAM203は、プロセッサ201がプログラムを実行する際のワークスペースとして機能し、また、一時的な情報を記憶するランダムアクセスメモリである。記憶装置204は、例えば着脱可能な外部記憶装置等によって構成される。通信回路205は、例えば、無線通信用の回路によって構成される。端末装置/基地局装置は、他の装置との通信のための通信回路205として、例えばセルラ通信用のベースバンド回路及びRF回路等とアンテナとを含んで構成される。なお、図2では、1つの通信回路205が図示されているが、端末装置/基地局装置は、複数の通信回路を有しうる。例えば、基地局装置は、端末装置との間の通信のための無線通信回路に加えて、他の基地局装置等との通信のための無線通信回路を有してもよい。また、端末装置は、セルラ通信用の無線通信回路と無線LAN用の無線通信回路などを有してもよい。なお、端末装置は、複数のUSIMを有し、無線通信回路等の無線通信器を少なくとも1つ含んで構成される。
【0024】
図3に、本実施形態に係る端末装置の機能構成例を示す。端末装置は、例えば、タイミング特定部301、変更要否判定部302、及び変更処理部303を含む。なお、端末装置は、一般的な端末装置としての機能を当然に含むが、本実施形態で直接関係しない機能については省略している。図3の各機能は、例えば、プロセッサ201が、ROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。ただし、これに限られず、例えば、これらの機能の少なくともいずれかが実装された専用のハードウェアが用意されてもよい。
【0025】
タイミング特定部301は、端末装置が有する複数のUSIMのそれぞれについての、ページングのタイミングを特定する。なおページングのタイミングは、例えば、ページングフレームであってもよいし、ページングオケージョンであってもよい。本実施形態では、例えば、第1の基地局装置101のページングのタイミングと、第2の基地局装置102のページングのタイミングとが特定される。
【0026】
変更要否判定部302は、タイミング特定部301で特定された複数のUSIMのそれぞれについてのページングのタイミングが一致しているか否かに応じて、ページングのタイミングを変更する必要があるか否かを判定する。例えば、変更要否判定部302は、複数の基地局装置のページングフレーム(場合によってはページングオケージョン)のうちの全部が一致している場合に、ページングのタイミングを変更する必要があると判定する。他の判定基準については、上で述べているため、ここでは説明を省略する。また、変更要否判定部302は、いずれの基地局装置についてのページングのタイミングを変更すべきかを判定しうる。この基準についても、上で述べているため、ここでは説明を省略する。
【0027】
変更処理部303は、ページングのタイミングを変更すると変更要否判定部302が判定した場合、ページングのタイミングを変更すべき基地局装置に対して、所定の通知を送信する。また、変更処理部303は、例えば、基地局装置から事前に通知されたオフセット値や設定値に基づいて、または、基地局装置に対して所定の通知を送信したことに応じて受信したオフセット値や設定値に基づいて、変更後のページングのタイミングを特定する。そして、変更処理部303は、特定した変更後のページングのタイミングを用いて、その後のページングチャネルの観測を行うようにする。なお、端末装置の他の動作については、上で述べているため、ここでは説明を省略する。
【0028】
図4に、本実施形態に係る基地局装置の機能構成例を示す。基地局装置は、例えば、通知受信部401、変更制御部402、及び情報通知部403を含んで構成される。なお、基地局装置は、一般的な基地局装置としての機能を当然に含むが、本実施形態で直接関係しない機能については省略している。図4の各機能は、例えば、プロセッサ201が、ROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。ただし、これに限られず、例えば、これらの機能の少なくともいずれかが実装された専用のハードウェアが用意されてもよい。
【0029】
通知受信部401は、端末装置から所定の通知を受信する。基地局装置は、この所定の通知により、所定の通知の送信元の端末装置のためのページングのタイミングを変更する必要があることを認識する。変更制御部402は、所定の通知の受信に応じて、ページングのタイミングを変更するための制御を実行する。例えば端末装置に対して事前に通知していたオフセット値や設定値に基づいて、又は、所定の通知への応答に含めて端末装置へ通知したオフセット値や設定値に基づいて、ページングのタイミングを変更する。情報通知部403は、変更後のページングのタイミングを特定可能とするためのオフセット値や設定値を、端末装置へ通知する。なお、端末装置の他の動作については、上で述べているため、ここでは説明を省略する。
【0030】
(処理の流れ)
図5を用いて、無線通信システムで実行される処理の流れの例について説明する。まず、端末装置は、複数のUSIMに対応する複数の基地局装置のそれぞれについての、ページングのタイミングを特定する(S501)。その後、端末装置は、複数の基地局装置のそれぞれについてのページングのタイミングが一致しており、そのいずれかを変更する必要があるかを判定する。ここでは、端末装置が、複数の基地局装置のいずれかについてのページングのタイミングを変更する必要があると判定したものとする(S502)。そして、端末装置は、複数の基地局装置のうちのいずれの基地局装置のページングのタイミングを変更するかを決定する(S503)。すなわち、複数の基地局装置のそれぞれに対するページングのタイミングのうち、どのタイミングを変更するかが判定される。なお、端末装置は、複数の基地局装置のそれぞれのページングのタイミングを変更してもよく、S503の判定処理は行われなくてもよい。ここでは、端末装置が第1の基地局装置のページングのタイミングを変更すると決定したものとする。端末装置は、S502及びS503の判定に基づいて、第1の基地局装置へ、ページングのタイミングに関する所定の通知を送信する(S504)。そして、端末装置は、この所定の通知を送信したことに応じて、その所定の通知の送信先である第1の基地局装置についてのページングの待受けタイミングを変更する(S505)。また、第1の基地局装置も、この所定の通知を受信したことに応じて、端末装置についてのページングのタイミングを変更する(S506)。これにより、複数の基地局装置のページングのタイミングをずらすことができ、複数のUSIMを有しながらも1つの受信器しか有しない端末装置が、それぞれのページングチャネルを観測することができるようになる。
【0031】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。
図1
図2
図3
図4
図5