(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】周波数マッピング装置、周波数マッピング方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 16/14 20090101AFI20230413BHJP
H04W 16/10 20090101ALI20230413BHJP
H04W 28/16 20090101ALI20230413BHJP
【FI】
H04W16/14
H04W16/10
H04W28/16
(21)【出願番号】P 2020120513
(22)【出願日】2020-07-14
【審査請求日】2022-05-31
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、総務省「異システム間の周波数共用技術の高度化に関する研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】599108264
【氏名又は名称】株式会社KDDI総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】伊神 皓生
【審査官】望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/003031(WO,A1)
【文献】特開2015-12588(JP,A)
【文献】国際公開第2016/157440(WO,A1)
【文献】特表2002-510914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00-H04W99/00
H04B7/24-H04B7/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線通信システムが共用する共用周波数帯を要求する複数の基地局の情報と前記共用周波数帯の空きリソースの情報との入力を受付ける情報入力部と、
基地局間の相互干渉量が基準値以上であり且つ稼働ありの基地局に関する独立性を有する制約対象基地局組合せを判定する基地局組合せ判定部と、
前記制約対象基地局組合せに含まれる稼働ありの基地局のうち少なくとも一の稼働ありの基地局に対しては他の稼働ありの基地局とは同一の時間スロットにおいて同一の周波数チャネルを割り当てない制約の下で、周波数チャネルの空間連続性が要求される基地局の組の空間連続性値から周波数チャネルの空間連続性が要求されない基地局の組の空間連続性値を減じた差を求める目的関数を使用して、前記目的関数の値が最大になるように、各時間スロットにおいて各基地局に割り当てる前記共用周波数帯の周波数チャネルを求めるマッピング計算部と、
各時間スロットにおいて各基地局に割り当てられた前記共用周波数帯の周波数チャネルの割当結果を示す割当結果情報を出力する割当結果出力部と、
を備える周波数マッピング装置。
【請求項2】
前記基地局組合せ判定部は、
稼働ありの基地局の数が少ない基地局組合せから順番に判定対象にして、稼働ありの基地局に関する独立性を有する独立性基地局組合せであるか否かを判定する独立性判定ステップと、
当該判定の結果の独立性基地局組合せに対して基地局間の相互干渉量が基準値以上であるか否かを判定する干渉判定ステップと、
当該判定の結果、基地局間の相互干渉量が基準値以上である独立性基地局組合せを制約対象基地局組合せに決定する制約対象決定ステップと、を実行し、
前記独立性判定ステップは、判定対象の基地局組合せと前記制約対象決定ステップにより決定された制約対象基地局組合せとの間で、稼働ありの基地局に関する独立性が有るか否かを判定する、
請求項1に記載の周波数マッピング装置。
【請求項3】
前記独立性判定ステップは、前記制約対象決定ステップにより決定された全ての制約対象基地局組合せについて、制約対象基地局組合せの自己の相関値よりも当該制約対象基地局組合せと判定対象の基地局組合せとの相関値の方が小さい場合に、判定対象の基地局組合せが独立性基地局組合せであると判定する、
請求項2に記載の周波数マッピング装置。
【請求項4】
周波数マッピング装置が、複数の無線通信システムが共用する共用周波数帯を要求する複数の基地局の情報と前記共用周波数帯の空きリソースの情報との入力を受付ける情報入力ステップと、
前記周波数マッピング装置が、基地局間の相互干渉量が基準値以上であり且つ稼働ありの基地局に関する独立性を有する制約対象基地局組合せを判定する基地局組合せ判定ステップと、
前記周波数マッピング装置が、前記制約対象基地局組合せに含まれる稼働ありの基地局のうち少なくとも一の稼働ありの基地局に対しては他の稼働ありの基地局とは同一の時間スロットにおいて同一の周波数チャネルを割り当てない制約の下で、周波数チャネルの空間連続性が要求される基地局の組の空間連続性値から周波数チャネルの空間連続性が要求されない基地局の組の空間連続性値を減じた差を求める目的関数を使用して、前記目的関数の値が最大になるように、各時間スロットにおいて各基地局に割り当てる前記共用周波数帯の周波数チャネルを求めるマッピング計算ステップと、
前記周波数マッピング装置が、各時間スロットにおいて各基地局に割り当てられた前記共用周波数帯の周波数チャネルの割当結果を示す割当結果情報を出力する割当結果出力ステップと、
を含む周波数マッピング方法。
【請求項5】
コンピュータに、
複数の無線通信システムが共用する共用周波数帯を要求する複数の基地局の情報と前記共用周波数帯の空きリソースの情報との入力を受付ける情報入力ステップと、
基地局間の相互干渉量が基準値以上であり且つ稼働ありの基地局に関する独立性を有する制約対象基地局組合せを判定する基地局組合せ判定ステップと、
前記制約対象基地局組合せに含まれる稼働ありの基地局のうち少なくとも一の稼働ありの基地局に対しては他の稼働ありの基地局とは同一の時間スロットにおいて同一の周波数チャネルを割り当てない制約の下で、周波数チャネルの空間連続性が要求される基地局の組の空間連続性値から周波数チャネルの空間連続性が要求されない基地局の組の空間連続性値を減じた差を求める目的関数を使用して、前記目的関数の値が最大になるように、各時間スロットにおいて各基地局に割り当てる前記共用周波数帯の周波数チャネルを求めるマッピング計算ステップと、
各時間スロットにおいて各基地局に割り当てられた前記共用周波数帯の周波数チャネルの割当結果を示す割当結果情報を出力する割当結果出力ステップと、
を実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数マッピング装置、周波数マッピング方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高まるモバイルトラフィックの需要に対処するために、異なる複数の無線通信システムが同じ周波数帯を共用することが検討されている。例えば、既存の無線通信システムに割り当てられている周波数帯を他の無線通信システム(2次事業者システム)が二次的に利用することができるようにすることが検討されている。この異システム間の周波数共用においては、絶対優先される既存の無線通信システムが使用していない空きリソースを2次事業者システムが使用する。既存の無線通信システムと2次事業者システムとが共用する周波数帯(共用周波数帯)を2次事業者システムに割り当てる周波数割当技術が、例えば非特許文献1,2に記載されている。非特許文献1,2に記載される周波数割当技術では、2次事業者システムの需要に基づいて周波数軸及び時間軸における共用周波数帯の帯域割当量を動的に決定している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】“Fair Dynamic Spectrum Management in Licensed Shared Access Systems”,IEEE Systems Journal,Volume: 13,Issue: 3,Sept. 2019
【文献】Mirza Kibria,“Resource Allocation in Shared Spectrum Access Communications for Operators with Diverse Service Requirements”,2016
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した非特許文献1,2に記載される周波数割当技術では、2次事業者システム単位で共用周波数帯を割り当てるので、ある2次事業者システムが自己に割り当てられた共用周波数帯を利用していない場所においても、他の2次事業者システムが当該共用周波数帯を利用することができない。このため、共用周波数帯の空間的な利用効率を向上させることが望まれる。また、2次事業者システムの需要に対して迅速に応えるために、共用周波数帯の割り当て処理にかかる時間を短縮することが望まれる。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、共用周波数帯の空間的な利用効率を向上させること、また共用周波数帯の割り当て処理にかかる時間を短縮することを図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様は、複数の無線通信システムが共用する共用周波数帯を要求する複数の基地局の情報と前記共用周波数帯の空きリソースの情報との入力を受付ける情報入力部と、基地局間の相互干渉量が基準値以上であり且つ稼働ありの基地局に関する独立性を有する制約対象基地局組合せを判定する基地局組合せ判定部と、前記制約対象基地局組合せに含まれる稼働ありの基地局のうち少なくとも一の稼働ありの基地局に対しては他の稼働ありの基地局とは同一の時間スロットにおいて同一の周波数チャネルを割り当てない制約の下で、周波数チャネルの空間連続性が要求される基地局の組の空間連続性値から周波数チャネルの空間連続性が要求されない基地局の組の空間連続性値を減じた差を求める目的関数を使用して、前記目的関数の値が最大になるように、各時間スロットにおいて各基地局に割り当てる前記共用周波数帯の周波数チャネルを求めるマッピング計算部と、各時間スロットにおいて各基地局に割り当てられた前記共用周波数帯の周波数チャネルの割当結果を示す割当結果情報を出力する割当結果出力部と、を備える周波数マッピング装置である。
(2)本発明の一態様は、前記基地局組合せ判定部は、稼働ありの基地局の数が少ない基地局組合せから順番に判定対象にして、稼働ありの基地局に関する独立性を有する独立性基地局組合せであるか否かを判定する独立性判定ステップと、当該判定の結果の独立性基地局組合せに対して基地局間の相互干渉量が基準値以上であるか否かを判定する干渉判定ステップと、当該判定の結果、基地局間の相互干渉量が基準値以上である独立性基地局組合せを制約対象基地局組合せに決定する制約対象決定ステップと、を実行し、前記独立性判定ステップは、判定対象の基地局組合せと前記制約対象決定ステップにより決定された制約対象基地局組合せとの間で、稼働ありの基地局に関する独立性が有るか否かを判定する、上記(1)の周波数マッピング装置である。
(3)本発明の一態様は、前記独立性判定ステップは、前記制約対象決定ステップにより決定された全ての制約対象基地局組合せについて、制約対象基地局組合せの自己の相関値よりも当該制約対象基地局組合せと判定対象の基地局組合せとの相関値の方が小さい場合に、判定対象の基地局組合せが独立性基地局組合せであると判定する、上記(2)の周波数マッピング装置である。
【0007】
(4)本発明の一態様は、周波数マッピング装置が、複数の無線通信システムが共用する共用周波数帯を要求する複数の基地局の情報と前記共用周波数帯の空きリソースの情報との入力を受付ける情報入力ステップと、前記周波数マッピング装置が、基地局間の相互干渉量が基準値以上であり且つ稼働ありの基地局に関する独立性を有する制約対象基地局組合せを判定する基地局組合せ判定ステップと、前記周波数マッピング装置が、前記制約対象基地局組合せに含まれる稼働ありの基地局のうち少なくとも一の稼働ありの基地局に対しては他の稼働ありの基地局とは同一の時間スロットにおいて同一の周波数チャネルを割り当てない制約の下で、周波数チャネルの空間連続性が要求される基地局の組の空間連続性値から周波数チャネルの空間連続性が要求されない基地局の組の空間連続性値を減じた差を求める目的関数を使用して、前記目的関数の値が最大になるように、各時間スロットにおいて各基地局に割り当てる前記共用周波数帯の周波数チャネルを求めるマッピング計算ステップと、前記周波数マッピング装置が、各時間スロットにおいて各基地局に割り当てられた前記共用周波数帯の周波数チャネルの割当結果を示す割当結果情報を出力する割当結果出力ステップと、を含む周波数マッピング方法である。
【0008】
(5)本発明の一態様は、コンピュータに、複数の無線通信システムが共用する共用周波数帯を要求する複数の基地局の情報と前記共用周波数帯の空きリソースの情報との入力を受付ける情報入力ステップと、基地局間の相互干渉量が基準値以上であり且つ稼働ありの基地局に関する独立性を有する制約対象基地局組合せを判定する基地局組合せ判定ステップと、前記制約対象基地局組合せに含まれる稼働ありの基地局のうち少なくとも一の稼働ありの基地局に対しては他の稼働ありの基地局とは同一の時間スロットにおいて同一の周波数チャネルを割り当てない制約の下で、周波数チャネルの空間連続性が要求される基地局の組の空間連続性値から周波数チャネルの空間連続性が要求されない基地局の組の空間連続性値を減じた差を求める目的関数を使用して、前記目的関数の値が最大になるように、各時間スロットにおいて各基地局に割り当てる前記共用周波数帯の周波数チャネルを求めるマッピング計算ステップと、各時間スロットにおいて各基地局に割り当てられた前記共用周波数帯の周波数チャネルの割当結果を示す割当結果情報を出力する割当結果出力ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、共用周波数帯の空間的な利用効率を向上させることができる。また共用周波数帯の割り当て処理にかかる時間を短縮することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る周波数マッピング装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態に係る周波数マッピング方法の全体手順の例を示すフローチャートである。
【
図3】一実施形態に係るマッピング計算方法の手順の例を示すフローチャートである。
【
図4】一実施形態に係る制約対象基地局組合せ判定方法の手順の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、一実施形態に係る周波数マッピング装置の構成例を示すブロック図である。
図1において、周波数マッピング装置1は、情報入力部11と、マッピング計算部12と、割当結果出力部13と、割当結果データベース(割当結果DB)14と、基地局組合せ判定部20とを備える。
【0012】
周波数マッピング装置1の各機能は、周波数マッピング装置1がCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、周波数マッピング装置1として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。
【0013】
周波数マッピング装置1は、複数の無線通信システムが共用する共用周波数帯を要求する複数の基地局に対して、共用周波数帯の各タイムスロット(時間スロット)における周波数チャネルを割り当てる周波数マッピング処理を実行する。本実施形態の一例として、周波数マッピング装置1は、既存の無線通信システム(既存システム)に割り当てられている周波数帯を他の複数の無線通信システム(2次事業者システム)が二次的に利用する場合において、当該周波数帯(共用周波数帯)の空きリソースを各2次事業者システムの基地局に対して割り当てる。
【0014】
本実施形態に係る周波数マッピング処理では、周波数チャネルの空間連続性を考慮する。周波数チャネルの空間連続性とは、同一のタイムスロットにおいて同一の周波数チャネルが空間的に連続して割り当てられることである。これにより、共用周波数帯の空間的な利用効率を向上させることを図る。また、本実施形態に係る周波数マッピング処理では、処理量の削減により、共用周波数帯の割り当て処理にかかる時間を短縮することを図る。なお、以下の説明において電波干渉のことを単に干渉と称する場合がある。
【0015】
情報入力部11は、基地局情報111と共用周波数帯の空きリソース情報112との入力を受付ける。基地局情報111は、共用周波数帯を要求する2次事業者システムの基地局の情報であって、2次事業者システムの事業者名や事業者番号、要求帯域幅、要求利用時間帯、要求利用場所、基地局パラメータなどの情報である。空きリソース情報112は、共用周波数帯の空きリソースの情報であって、各タイムスロットにおける周波数チャネルの空きを示す情報である。
【0016】
情報入力部11は、さらに、基地局組合せ指定情報113の入力を受付けてもよい。基地局組合せ指定情報113は、周波数チャネルの空間連続性が要求される基地局の組と周波数チャネルの空間連続性が要求されない基地局の組とを示す情報である。基地局組合せ指定情報113の入力は任意であって、基地局組合せ指定情報113が周波数マッピング装置1に入力されてもよく、又は基地局組合せ指定情報113が周波数マッピング装置1に入力されなくてもよい。
【0017】
基地局組合せ判定部20は、基地局間の相互干渉量が基準値以上であり且つ稼働ありの基地局に関する独立性を有する基地局の組合せ(制約対象基地局組合せ)を判定する。制約対象基地局組合せ判定方法の詳細は後述する。
【0018】
マッピング計算部12は、情報入力部11が入力を受付けた情報に基づいて、共用周波数帯の空きリソースを各2次事業者システムの基地局に対して割り当てる。この空きリソースの割り当てでは、マッピング計算部12は、基地局組合せ判定部20の判定結果の制約対象基地局組合せに含まれる稼働ありの基地局のうち少なくとも一の稼働ありの基地局に対しては他の稼働ありの基地局とは同一のタイムスロットにおいて同一の周波数チャネルを割り当てない制約の下で、周波数チャネルの空間連続性が要求される基地局の組の空間連続性値から周波数チャネルの空間連続性が要求されない基地局の組の空間連続性値を減じた差を求める目的関数を使用して、当該目的関数の値が最大になるように、各タイムスロットにおいて各基地局に割り当てる前記共用周波数帯の周波数チャネルを求める。マッピング計算方法の詳細は後述する。
【0019】
割当結果出力部13は、マッピング計算部12が共用周波数帯の空きリソースを各2次事業者システムの基地局に割り当てた割当結果を示す割当結果情報120を出力する。割当結果情報120は、共用周波数帯の空きリソースのうち、各タイムスロットにおいて各基地局に割り当てられた周波数チャネルの割当結果を示す情報である。各2次事業者システムの割当結果情報120は、各2次事業者システムへ通知される。各2次事業者システムは、割当結果情報120に示される自己の割当結果に従って、共用周波数帯を利用する。
【0020】
割当結果DB14は、各2次事業者システムの基地局に割り当てられた共用周波数帯の周波数チャネル及びタイムスロットの割当結果を格納する。
【0021】
次に
図2を参照して本実施形態に係る周波数マッピング方法の全体手順について説明する。
図2は、本実施形態に係る周波数マッピング方法の全体手順の例を示すフローチャートである。
【0022】
(ステップS1) 周波数マッピング装置1は、基地局情報111と共用周波数帯の空きリソース情報112との入力を受付ける。なお、周波数マッピング装置1は、さらに、基地局組合せ指定情報113の入力を受付けてもよい。
【0023】
(ステップS2) 周波数マッピング装置1は、ステップS1で入力を受付けた情報に基づいて、共用周波数帯の空きリソースを各2次事業者システムの基地局に対して割り当てるマッピング計算を行う。このマッピング計算では、制約対象基地局組合せを求め、制約対象基地局組合せに対する制約の下で目的関数による最適解の計算を行う。
【0024】
(ステップS3) 周波数マッピング装置1は、ステップS2で求められた各2次事業者システムの基地局に割り当てられた共用周波数帯の周波数チャネル及びタイムスロットの割当結果を割当結果DB14に格納する。
【0025】
(ステップS4) 周波数マッピング装置1は、ステップS2で求められた各2次事業者システムの基地局に割り当てられた共用周波数帯の周波数チャネル及びタイムスロットの割当結果を示す割当結果情報120を出力する。
【0026】
[マッピング計算方法]
次に
図3を参照して本実施形態に係るマッピング計算方法を説明する。
図3は、本実施形態に係るマッピング計算方法の手順の例を示すフローチャートである。なお、以下では、下付き文字の例えば「a」を「_a」と表記する場合がある。
【0027】
周波数マッピング装置1には、周波数マッピング処理で使用されるパラメータ、目的関数及び制約条件が予め設定される。
【0028】
本実施形態の周波数マッピング処理に係るパラメータが次の(1)式に示される。
【0029】
【0030】
iは2次事業者システムを識別する事業者番号である。Mは事業者番号の集合である。
fは共用周波数帯の周波数チャネルを識別する周波数チャネル番号である。Fは共用周波数帯の周波数チャネル番号の集合である。
tは共用周波数帯が割り当てられるタイムスロットを識別するタイムスロット番号である。Tはタイムスロット番号の集合である。
【0031】
nは基地局を識別する基地局インデックスである。Nは基地局インデックスの集合である。
pは基地局の組み合わせを識別する基地局の組み合わせインデックスである。Pは基地局の組み合わせインデックスの集合である。
qは相互干渉及び独立性のある基地局の組み合わせ(制約対象基地局組合せ)を識別する相互干渉及び独立性のある基地局の組み合わせインデックスである。Qは相互干渉及び独立性のある基地局の組み合わせインデックスの集合である。
【0032】
fd_i,n,tは、2次事業者システム(i)の基地局(n)がタイムスロット(t)で要求する共用周波数帯の帯域需要である。
fa_i,n,tは、2次事業者システム(i)の基地局(n)に対するタイムスロット(t)での共用周波数帯の帯域割当量である。
x_i,n,f,tは、2次事業者システム(i)の基地局(n)に対するタイムスロット(t)における周波数チャネル(f)の割当結果(「1が割当あり、0が割当なし」)である。
【0033】
Bs_i,n,pは、2次事業者システム(i)の基地局(n)が基地局の組み合わせ(p)において稼働ありか又は稼働なし(停波)かを示す基地局の稼働情報(「1が稼働あり、0が稼働なし(停波)」)である。
BSset_pは、基地局の稼働情報Bs_i,n,pの組み合わせ(基地局の稼働組み合わせ)である。
【0034】
It_l,mは、2つの基地局間の干渉量であって、基地局(l)が基地局(m)に与える干渉量である。
IF_nは、基地局の稼働情報Bs_i,n,pにおける当該基地局(n)が受ける干渉量である。
BSset_qは、相互干渉及び独立性のある基地局の組み合わせ(制約対象基地局組合せ)である。
【0035】
(a,b)は、同一の2次事業者システム内での周波数チャネルの空間連続性が要求される基地局の組み合わせである。
(c,d)は、同一の2次事業者システム内での周波数チャネルの空間連続性が要求されない基地局の組み合わせである。
【0036】
α_1,α_2,α_3,α_4,α_5は、目的関数の各項の重み係数である。
【0037】
(ステップS11) マッピング計算部12は、基地局情報111に基づいて、基地局の稼働情報Bs_i,n,pと基地局の稼働組み合わせBSset_pとを設定する。
【0038】
(ステップS12) マッピング計算部12は、基地局の組み合わせ(a,b)及び(c,d)を設定する。基地局の組み合わせ(a,b)は、同一の2次事業者システム内での周波数チャネルの空間連続性が要求される基地局の組み合わせである。基地局の組み合わせ(c,d)は、同一の2次事業者システム内での周波数チャネルの空間連続性が要求されない基地局の組み合わせである。
【0039】
基地局組合せ指定情報113が周波数マッピング装置1に入力された場合には、マッピング計算部12は、当該基地局組合せ指定情報113で指定された基地局の組み合わせ(a,b)及び(c,d)を設定する。
【0040】
基地局組合せ指定情報113が周波数マッピング装置1に入力されない場合には、マッピング計算部12は、以下の設定条件に従って基地局の組み合わせ(a,b)及び(c,d)を設定する。
設定条件:同一の2次事業者システム内で、一定以上の干渉量It_l,mが発生する基地局の組(干渉基地局の組)を、基地局の組み合わせ(c,d)に設定する。同一の2次事業者システム内で、干渉基地局の組以外の基地局の組を基地局の組み合わせ(a,b)に設定する。
【0041】
(ステップS13) マッピング計算部12は、相互干渉及び独立性のある基地局の組み合わせ(制約対象基地局組合せ)BSset_qを設定する。制約対象基地局組合せBSset_qは、基地局組合せ判定部20によって求められる。マッピング計算部12は、基地局組合せ判定部20が求めた制約対象基地局組合せBSset_qをそのまま設定する。
【0042】
(ステップS14) マッピング計算部12は、目的関数による最適解「割当結果x_i,n,f,t」の計算を行う。周波数マッピング装置1には、目的関数が予め設定される。本実施形態に係る目的関数の一例を次の(2)式に示す。
【0043】
【0044】
(2)式に示される目的関数は、周波数チャネルの空間連続性が要求される基地局の組(a,b)の空間連続性値から周波数チャネルの空間連続性が要求されない基地局の組(c,d)の空間連続性値を減じた差を求めるものである。(2)式において、(a,b)の空間連続性値は、同一の2次事業者システム(i)内の2つの基地局(a,b)に対して同一のタイムスロット(t)で同一の周波数チャネル(f)が割り当てられることを示す値である。(2)式において、(c,d)の空間連続性値は、同一の2次事業者システム(i)内の2つの基地局(c,d)に対して同一のタイムスロット(t)で同一の周波数チャネル(f)が割り当てられることを示す値である。
【0045】
また、(2)式に示される目的関数は、(a,b)の空間連続性値の重み係数α_1と(c,d)の空間連続性値の重み係数α_2とによって、(a,b)の空間連続性値と(c,d)の空間連続性値とに対する重み付けを調整することができるものである。
【0046】
周波数マッピング装置1には、次の(3)式,(4)式,(5)式に示される制約条件が予め設定される。
【0047】
【0048】
(3)式の制約条件は、ある2次事業者システム(i)のある基地局(n)且つあるタイムスロット(t)において割り当てる周波数チャネル(f)の合計が、当該2次事業者システム(i)の当該基地局(n)且つ当該タイムスロット(t)に対する帯域割当量fa_i,n,tに一致することである。
【0049】
【0050】
(4)式の制約条件は、ある2次事業者システム(i)のある基地局(n)に対してあるタイムスロット(t)において割り当てる帯域割当量fa_i,n,tが、当該2次事業者システム(i)の当該基地局(n)が当該タイムスロット(t)で要求する帯域需要fd_i,n,t以下であることである。
【0051】
【0052】
(5)式の制約条件は、基地局間の相互干渉量が基準値以上であり且つ稼働ありの基地局に関する独立性を有する基地局の組合せ(制約対象基地局組合せ)BSset_qに含まれる稼働ありの基地局(n)のうち少なくとも一の稼働ありの基地局に対しては他の稼働ありの基地局とは同一のタイムスロット(t)において同一の周波数チャネル(f)を割り当てないことである。
【0053】
マッピング計算部12は、(3)式、(4)式及び(5)式の制約条件を満たし且つ(2)式の目的関数が最大になる解「割当結果x_i,n,f,t」を求める計算を実行する。この計算には、最適化問題を解くための従来の最適化ツールや探索アルゴリズムを適用することができる。
【0054】
[制約対象基地局組合せ判定方法]
次に
図4を参照して本実施形態に係る制約対象基地局組合せ判定方法を説明する。
図4は、本実施形態に係る制約対象基地局組合せ判定方法の手順の例を示すフローチャートである。
【0055】
基地局組合せ判定部20は、制約対象基地局組合せの判定に使用する情報をマッピング計算部12から受け取る。
【0056】
(ステップS141) 基地局組合せ判定部20は、次の(6)式に示されるように、判定対象の基地局の稼働組み合わせBSset_pを設定する。
【0057】
【0058】
変数Kは、基地局の稼働組み合わせBSset_p内の稼働ありの基地局の個数である。変数Kは、基地局の稼働組み合わせBSset_pにおいて、相互干渉が発生し得る基地局の個数を示す。このため、変数Kの初期値は2である。
【0059】
基地局組合せ判定部20は、稼働ありの基地局の個数が少ない基地局の稼働組み合わせBSset_p(つまり、変数Kの値が小さい基地局の稼働組み合わせBSset_p)から順番に判定対象にして、稼働ありの基地局に関する独立性を有する独立性基地局組合せであるか否かを判定する。
【0060】
(ステップS142) 基地局組合せ判定部20は、判定対象の基地局の稼働組み合わせBSset_pに対して、稼働ありの基地局に関する独立性の有無を判定する。但し、「変数K=2」である基地局の稼働組み合わせBSset_pに対しては本ステップS142の独立性の有無の判定をスキップしてステップS143に進む。
【0061】
稼働ありの基地局に関する独立性の有無の判定は、次の(7)式により行う。
【0062】
【0063】
但し、上記(7)式において、「X*Y」は、XとYの内積を表す。また、BSset_qは、後述するステップS144で既に、相互干渉及び独立性のある基地局の組み合わせ(制約対象基地局組合せ)に決定された、基地局の稼働組み合わせBSset_pである。なお、XとYの内積は、XとYの相関値を表す値の一例である。
【0064】
基地局組合せ判定部20は、上記(7)式が成立する場合に、判定対象の基地局の稼働組み合わせBSset_pに対して、稼働ありの基地局に関する独立性があると判定する。一方、基地局組合せ判定部20は、上記(7)式が成立しない場合に、判定対象の基地局の稼働組み合わせBSset_pに対して、稼働ありの基地局に関する独立性がないと判定する。
【0065】
本実施形態において、稼働ありの基地局に関する独立性は、判定対象の基地局の稼働組み合わせBSset_pが、相互干渉及び独立性のある基地局の組み合わせBSset_qに含まれる全ての稼働ありの基地局の組合せを含まないことである。上記(7)式は、本実施形態に係る「稼働ありの基地局に関する独立性」を判定するための判定式の一例である。
【0066】
判定対象の基地局の稼働組み合わせBSset_pが、稼働ありの基地局に関する独立性を有すると判定された場合(ステップS142、YES)、ステップS143に進む。一方、判定対象の基地局の稼働組み合わせBSset_pが、稼働ありの基地局に関する独立性を有さないと判定された場合(ステップS142、NO)、ステップS145に進む。
【0067】
以下、稼働ありの基地局に関する独立性があると判定された判定対象の基地局の稼働組み合わせBSset_pを、独立性基地局組合せBSset_pと称する。
【0068】
(ステップS143) 基地局組合せ判定部20は、独立性基地局組合せBSset_pに対して基地局間の相互干渉量が基準値以上である(相互干渉あり)か否かを判定する。具体的には、基地局組合せ判定部20は、基地局情報111に基づいて、独立性基地局組合せBSset_p内の各基地局(n)の干渉量It_l,mを計算する。次いで、基地局組合せ判定部20は、独立性基地局組合せBSset_pにおいて、基地局の稼働情報Bs_i,n,pにおける当該基地局(n)が受ける干渉量IF_nを計算する。次いで、基地局組合せ判定部20は、独立性基地局組合せBSset_pにおける干渉量IF_nが、所定の閾値以上である場合に相互干渉ありと判定し、一方、当該閾値未満である場合に相互干渉なしと判定する。相互干渉ありの場合にはステップS144に進み、相互干渉なしの場合にはステップS145に進む。
【0069】
(ステップS144) 基地局組合せ判定部20は、相互干渉ありと判定された独立性基地局組合せBSset_pを、基地局間の相互干渉量が基準値以上であり且つ稼働ありの基地局に関する独立性を有する基地局の組合せ(制約対象基地局組合せ)BSset_qに決定する。
【0070】
(ステップS145) 基地局組合せ判定部20は、変数Kが基地局の総数Nであるか否かを判定する。変数Kが基地局の総数Nではない場合には、ステップS146に進む。
【0071】
一方、変数Kが基地局の総数Nである場合には
図4の処理を終了する。基地局組合せ判定部20は、制約対象基地局組合せの判定結果の制約対象基地局組合せBSset_qをマッピング計算部12へ通知する。
【0072】
(ステップS146) 基地局組合せ判定部20は、変数Kに1を加算する。この後、ステップS141に戻る。
【0073】
以上が本実施形態に係るマッピング計算方法及び制約対象基地局組合せ判定方法の説明である。
【0074】
(目的関数の他の例)
目的関数の他の例を説明する。本実施形態に係る目的関数の他の例を次の(8)式に示す。
【0075】
【0076】
(8)式に示される目的関数は、上記(2)式の目的関数に対して、各基地局(n)の共用周波数帯の帯域需要fd_i,n,tに対する帯域割当量fa_i,n,tの割合(帯域獲得率)と割当チャネルの周波数連続性値と割当チャネルの時間連続性値とを、(a,b)の空間連続性値から(c,d)の空間連続性値を減じた差に加えたものである。
【0077】
割当チャネルの周波数連続性値は、2次事業者システム(i)の基地局(n)に割り当てるチャネル(割当チャネル)の周波数連続性を表す値である。(8)式において、周波数連続性値は、同一の2次事業者システム(i)の同一の基地局(n)且つ同一タイムスロット(t)において、ある周波数チャネル(f)の割当結果x_i,n,f,tと当該周波数チャネル(f)を周波数軸方向に一つずらした周波数チャネル(f+1)の割当結果x_i,n,f+1,tとの積により算出される。この周波数連続性値は、同一タイムスロット(t)内で同一の2次事業者システム(i)の同一の基地局(n)へ割り当てる周波数チャネルが連続する個数である。
【0078】
割当チャネルの時間連続性値は、2次事業者システム(i)の基地局(n)に割り当てるチャネル(割当チャネル)の時間連続性を表す値である。(8)式において、時間連続性値は、時間連続性値は、同一の2次事業者システム(i)の同一の基地局(n)且つ同一周波数チャネル(f)において、あるタイムスロット(t)の割当結果x_i,n,f,tと当該タイムスロット(t)を時間軸方向に一つずらしたタイムスロット(t+1)の割当結果x_i,n,f,t+1との積により算出される。この時間連続性値は、同一周波数チャネル(f))内で同一の2次事業者システム(i)の同一の基地局(n)へ割り当てるタイムスロットが連続する個数である。
【0079】
また、(8)式に示される目的関数は、(a,b)の空間連続性値の重み係数α_1と(c,d)の空間連続性値の重み係数α_2と帯域獲得率の重み係数α_3と周波数連続性値の重み係数α_4と時間連続性値の重み係数α_5とによって、(a,b)の空間連続性値と(c,d)の空間連続性値と帯域獲得率と周波数連続性値と時間連続性値に対する重み付けを調整することができるものである。
【0080】
マッピング計算部12は、上記の(3)式、(4)式及び(5)式の制約条件を満たし且つ(8)式の目的関数が最大になる解「割当結果x_i,n,f,t」を求める計算を実行する。この計算には、最適化問題を解くための従来の最適化ツールや探索アルゴリズムを適用することができる。
【0081】
なお、目的関数の他の例として、上記(2)式の目的関数に対して、帯域獲得率と割当チャネルの周波数連続性値と割当チャネルの時間連続性値とのうち少なくとも一つを、(a,b)の空間連続性値から(c,d)の空間連続性値を減じた差に加えたものを使用してもよい。
【0082】
また、複数の目的関数を予め周波数マッピング装置1に設定しておき、マッピング計算部12が当該複数の目的関数の中から任意の目的関数を使用するように構成してもよい。例えば、周波数マッピング装置1に予め設定された複数の目的関数の中から使用する目的関数をユーザが選択するための目的関数選択メニューを設け、ユーザが目的関数選択メニューから使用する目的関数を選択するように構成してもよい。
【0083】
本実施形態によれば、周波数チャネルの空間連続性を考慮して共用周波数帯の空きリソースを各2次事業者システムの基地局に割り当てることにより、共用周波数帯の空間的な利用効率を向上させることができるという効果が得られる。
【0084】
本実施形態によれば、基地局間の相互干渉量が基準値未満である場合には、異なる2次事業者システム同士でも同一の周波数チャネルを割り当てることを許容する。これにより、共用周波数の空間的な利用の稠密性を高めることができるので、共用周波数の空き周波数リソースの周波数利用効率の向上を図ることができるという効果が得られる。
【0085】
本実施形態によれば、基地局間の相互干渉量が基準値以上であり且つ稼働ありの基地局に関する独立性を有する制約対象基地局組合せを判定し、制約対象基地局組合せに含まれる稼働ありの基地局のうち少なくとも一の稼働ありの基地局に対しては他の稼働ありの基地局とは同一のタイムスロットにおいて同一の周波数チャネルを割り当てないという制約を設ける。これにより、基地局間の相互干渉量が基準値以上である全ての基地局の組合せを対象にして当該基地局の組合せに含まれる各基地局に対しては同一のタイムスロットにおいて同一の周波数チャネルを割り当てないという制約を設ける場合に比して、制約の対象になる基地局の組合せ数を減らすことができるので、マッピング計算量を削減することができる。
【0086】
また、基地局間の相互干渉量が基準値以上である全ての基地局の組合せを対象にして当該基地局の組合せに含まれる各基地局に対しては同一のタイムスロットにおいて同一の周波数チャネルを割り当てないという制約では、当該基地局の組合せ内のいずれか一の基地局しか同一のタイムスロットにおいて同一の周波数チャネルを利用することができない。一方、本実施形態に係る、制約対象基地局組合せに含まれる稼働ありの基地局のうち少なくとも一の稼働ありの基地局に対しては他の稼働ありの基地局とは同一のタイムスロットにおいて同一の周波数チャネルを割り当てないという制約によれば、制約対象基地局組合せ内のいずれか一の基地局のみが同一のタイムスロットにおいて同一の周波数チャネルを利用することができないとなって、同一のタイムスロットにおける同一の周波数チャネルの利用の制約を緩和することができる。これにより、共用周波数の空間的な割当密度を上げることができ、共用周波数の空き周波数リソースの周波数利用効率が向上する効果が得られる。
【0087】
本実施形態によれば、稼働ありの基地局の数が少ない基地局組合せから順番に判定対象にして、稼働ありの基地局に関する独立性を有する独立性基地局組合せであるか否かを判定し、当該判定の結果の独立性基地局組合せに対して基地局間の相互干渉量が基準値以上であるか否かを判定する。これにより、基地局間の相互干渉量の判定対象の基地局組合せ数を減らすことができるので、相互干渉の判定にかかる計算量を削減することができる。
【0088】
上述したように本実施形態によれば、共用周波数帯の空間的な利用効率を向上させることができる。また共用周波数帯の割り当て処理にかかる時間を短縮することができるので、2次事業者システムの需要に対して迅速に応えることができるという効果が得られる。
【0089】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0090】
また、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0091】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0092】
1…周波数マッピング装置、11…情報入力部、12…マッピング計算部、13…割当結果出力部、14…割当結果データベース(割当結果DB)、20…基地局組合せ判定部