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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】袋体
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/02 20060101AFI20230413BHJP
   B65D 33/25 20060101ALI20230413BHJP
   B65D 33/00 20060101ALI20230413BHJP
   B65D 65/42 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
B65D30/02
B65D33/25 A
B65D33/00 C
B65D65/42 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020156636
(22)【出願日】2020-09-17
(65)【公開番号】P2022050178
(43)【公開日】2022-03-30
【審査請求日】2020-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000147316
【氏名又は名称】株式会社生産日本社
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(72)【発明者】
【氏名】野口 ▲隆▼之
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-032369(JP,A)
【文献】特開2002-136308(JP,A)
【文献】特開平06-040459(JP,A)
【文献】特開2005-082164(JP,A)
【文献】特開2007-020876(JP,A)
【文献】特開2003-118021(JP,A)
【文献】特開2017-105523(JP,A)
【文献】特開2002-136307(JP,A)
【文献】特開2011-177215(JP,A)
【文献】国際公開第2018/225521(WO,A1)
【文献】特開2016-193082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/02
B65D 33/25
B65D 33/00
B65D 65/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と、該底部に対向する縁に設けられた開口部と、前記底部と前記開口部とを結ぶ第1側縁封止部と、該第1側縁封止部に対向する第2側縁封止部とを有する袋体であって、
基材は、多孔質基材であり、該多孔質基材は、該多孔質基材の表面に、該多孔質基材を構成する繊維などの絡み合いによって生じる細孔又は前記多孔質基材を構成する繊維などの絡み合いによって生じる凹凸を有し、
前記第1側縁封止部及び前記第2側縁封止部は、それぞれ、前記基材の内表面間に短冊状フィルムとして第一短冊状フィルムを有し、かつ、前記基材及び前記第一短冊状フィルムの厚さ方向に沿って、前記基材の内表面と前記第一短冊状フィルムとの熱接着部と、前記第一短冊状フィルムと前記基材の内表面との熱接着部と、を有し、
前記第一短冊状フィルムは、JIS K 7210-1:2014「プラスチック-熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の求め方-第1部:標準的試験方法」に準じて測定したメルトフローレートが0.70~20g/10minである樹脂の成形物であり、
前記第一短冊状フィルムを構成する樹脂は、前記基材の厚さ方向に50~100%含浸しており、
前記基材は、前記開口部の縁に沿って内表面に設けられた嵌合具を有し、
該嵌合具は、雌基部と雌鉤爪部とを有する雌型テープと、雄基部と雄鉤爪部とを有する雄型テープとを備え、かつ、JIS K 7210-1:2014「プラスチック-熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の求め方-第1部:標準的試験方法」に準じて測定したメルトフローレートが0.70~20g/10minであり、かつ、前記第一短冊状フィルムの前記メルトフローレートよりも大きいメルトフローレートを有する樹脂の成形物であり、
前記雌基部及び前記雄基部は、それぞれ前記基材の内表面に熱接着部によって固定されており、
前記雄基部及び前記雌基部を構成する樹脂は、前記基材の厚さ方向に50~100%含浸していることを特徴とする袋体。
【請求項2】
前記基材は、天然紙、不織布又は織布であることを特徴とする請求項1に記載の袋体。
【請求項3】
前記底部は、1枚の前記基材が二つ折りされた折り返し部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の袋体。
【請求項4】
前記底部は、重ね合わされた2枚の前記基材の一辺が接合された接合部であり、かつ、前記基材の内表面間に短冊状フィルムとして第二短冊状フィルムを有し、かつ、前記基材及び前記第二短冊状フィルムの厚さ方向に沿って、前記基材の内表面と前記第二短冊状フィルムとの熱接着部と、前記第二短冊状フィルムと前記基材の内表面との熱接着部と、を有し、
前記第二短冊状フィルムは、JIS K 7210-1:2014「プラスチック-熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の求め方-第1部:標準的試験方法」に準じて測定したメルトフローレートが0.70~20g/10minである樹脂の成形物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の袋体。
【請求項5】
前記第1側縁封止部及び前記第2側縁封止部では、前記第一短冊状フィルムは、前記基材の内表面に重ね合わされて前記基材の二つ折りに合わせて二つ折りで配置されており、
前記第1側縁封止部及び前記第2側縁封止部は、前記基材及び前記第一短冊状フィルムの厚さ方向に沿って、前記基材の内表面と前記第一短冊状フィルムの外表面との熱接着部と、前記第一短冊状フィルムの内表面同士の熱接着部と、前記第一短冊状フィルムの外表面と前記基材の内表面との熱接着部と、を有することを特徴とする請求項3に記載の袋体。
【請求項6】
前記袋体は、前記開口部の縁を封止する開口封止部を有し、かつ、
前記第1側縁封止部若しくは前記第2側縁封止部のいずれか一方又は両方は、前記開口封止部と前記嵌合具との間の領域に開封用のノッチを有し、
前記開口封止部は、前記基材の内表面間に短冊状フィルムとして第三短冊状フィルムを有し、かつ、前記基材及び前記第三短冊状フィルムの厚さ方向に沿って、前記基材の内表面と前記第三短冊状フィルムとの熱接着部と、前記第三短冊状フィルムと前記基材の内表面との熱接着部と、を有し、
前記第三短冊状フィルムは、JIS K 7210-1:2014「プラスチック-熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の求め方-第1部:標準的試験方法」に準じて測定したメルトフローレートが0.70~20g/10minである樹脂の成形物であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の袋体。
【請求項7】
前記雌基部の縁が前記開口部の縁のうちいずれか一方の縁に一致し、かつ、前記雄基部の縁が前記開口部の縁のうちいずれか他方の縁に一致していることを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載の袋体。
【請求項8】
前記袋体は、前記開口部の縁を封止する開口封止部を有し、かつ、
前記第1側縁封止部若しくは前記第2側縁封止部のいずれか一方又は両方は、前記開口封止部と前記雌鉤爪部との間、かつ、前記開口封止部と前記雄鉤爪部との間の領域に開封用のノッチを有し、
前記開口封止部は、前記基材の厚さ方向に沿って、前記基材の内表面と前記雄基部との熱接着部と、前記雄基部と前記雌基部との熱接着部と、前記雌基部と前記基材の内表面との熱接着部と、を有することを特徴とする請求項に記載の袋体。
【請求項9】
前記開口部の縁は、前記基材の内表面同士が非接着状態とされた非接着部を有し、かつ、
前記開口部の縁を構成する2つの前記基材の縁のうちいずれか一方の縁が他方の縁よりも前記底部とは反対側に突出して配置されていることを特徴とする請求項1~のいずれか一つに記載の袋体。
【請求項10】
前記基材の片面又は両面は、バリア性塗工層を有することを特徴とする請求項1~のいずれか一つに記載の袋体。
【請求項11】
前記嵌合具は、ポリプロピレン樹脂からなることを特徴とする請求項1~10のいずれか一つに記載の袋体。
【請求項12】
前記短冊状フィルムは、ポリプロピレン樹脂からなることを特徴とする請求項1~11のいずれか一つに記載の袋体。
【請求項13】
前記嵌合具は、前記雄基部のうち前記雄鉤爪部よりも前記開口部側に、前記基材と前記雄基部とが非接着状態とされた非接着部を有し、かつ、前記雌基部のうち前記雌鉤爪部よりも前記開口部側に、前記基材と前記雌基部とが非接着状態とされた非接着部を有することを特徴とする請求項1~12のいずれか一つに記載の袋体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、袋体に関する。
【背景技術】
【0002】
紙などの多孔質基材は、高級な触感性及び美観を有しており、袋体に用いると高級な触感性及び美観を有する袋体とすることができる。積層フィルムを袋状にヒートシールしてなる袋において、口部の開口を保持するための紙を基材とするテープ状シートが貼着された袋が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。再封性手段が設けられた包装袋において、基材層として紙を用いてもよいことが開示されている(例えば、特許文献2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-191200号公報
【文献】特開2016-74484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、紙を基材とするテープ状シートの貼着形態として、ホットメルト接着剤又はヒートシール剤などの接着剤を用いて貼着する形態、及びテープ状シートをポリエチレンフィルムなどのカバーフィルムで覆う形態が開示されている。しかし、いずれの形態も紙をフィルムに直接接着させておらず、接着剤又はカバーテープなどの副資材を用いて貼着している。その結果、紙を貼着するにあたり、コスト高、製造工程の煩雑化、環境への配慮が欠けるなどの問題があった。特許文献2においても、基材層として紙を用いるにあたり、紙の表面全体にシーラント層を設け、該シーラント層を介して貼着するものであり、紙を貼着するにあたり、特許文献1と同様の問題があった。
【0005】
本開示は、高級な触感性及び美観を有するとともに裁縫よりも安価に製造が可能な上、石化由来の割合を劇的に減らすことができる環境に優しい袋体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る袋体は、底部と、該底部に対向する縁に設けられた開口部と、前記底部と前記開口部とを結ぶ第1側縁封止部と、該第1側縁封止部に対向する第2側縁封止部とを有する袋体であって、基材は、多孔質基材であり、該多孔質基材は、該多孔質基材の表面に、該多孔質基材を構成する繊維などの絡み合いによって生じる細孔又は前記多孔質基材を構成する繊維などの絡み合いによって生じる凹凸を有し、前記第1側縁封止部及び前記第2側縁封止部は、それぞれ、前記基材の内表面間に短冊状フィルムとして第一短冊状フィルムを有し、かつ、前記基材及び前記第一短冊状フィルムの厚さ方向に沿って、前記基材の内表面と前記第一短冊状フィルムとの熱接着部と、前記第一短冊状フィルムと前記基材の内表面との熱接着部と、を有し、前記第一短冊状フィルムは、JIS K 7210-1:2014「プラスチック-熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の求め方-第1部:標準的試験方法」に準じて測定したメルトフローレートが0.70~20g/10minである樹脂の成形物であり、前記第一短冊状フィルムを構成する樹脂は、前記基材の厚さ方向に50~100%含浸しており、前記基材は、前記開口部の縁に沿って内表面に設けられた嵌合具を有し、該嵌合具は、雌基部と雌鉤爪部とを有する雌型テープと、雄基部と雄鉤爪部とを有する雄型テープとを備え、かつ、JIS K 7210-1:2014「プラスチック-熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の求め方-第1部:標準的試験方法」に準じて測定したメルトフローレートが0.70~20g/10minであり、かつ、前記第一短冊状フィルムの前記メルトフローレートよりも大きいメルトフローレートを有する樹脂の成形物であり、前記雌基部及び前記雄基部は、それぞれ前記基材の内表面に熱接着部によって固定されており、前記雄基部及び前記雌基部を構成する樹脂は、前記基材の厚さ方向に50~100%含浸していることを特徴とする。嵌合具を有することで再封止可能な嵌合具付きの袋体とすることができる。また、嵌合具の厚さは一般的に短冊状フィルムよりも厚くなるところ、嵌合具のMFRをより大きくすることで嵌合具の樹脂を安定して基材に含浸させることができる。
【0007】
本発明に係る袋体では、前記基材は、天然紙、不織布又は織布である形態を包含する。
【0008】
本発明に係る袋体では、前記底部は、1枚の前記基材が二つ折りされた折り返し部である形態を包含する。
【0009】
本発明に係る袋体では、前記底部は、重ね合わされた2枚の前記基材の一辺が接合された接合部であり、かつ、前記基材の内表面間に短冊状フィルムとして第二短冊状フィルムを有し、かつ、前記基材及び前記第二短冊状フィルムの厚さ方向に沿って、前記基材の内表面と前記第二短冊状フィルムとの熱接着部と、前記第二短冊状フィルムと前記基材の内表面との熱接着部と、を有し、前記第二短冊状フィルムは、JIS K 7210-1:2014「プラスチック-熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の求め方-第1部:標準的試験方法」に準じて測定したメルトフローレートが0.70~20g/10minである樹脂の成形物である形態を包含する。
【0010】
本発明に係る袋体は、前記第1側縁封止部及び前記第2側縁封止部では、前記第一短冊状フィルムは、前記基材の内表面に重ね合わされて前記基材の二つ折りに合わせて二つ折りで配置されており、前記第1側縁封止部及び前記第2側縁封止部は、前記基材及び前記第一短冊状フィルムの厚さ方向に沿って、前記基材の内表面と前記第一短冊状フィルムの外表面との熱接着部と、前記第一短冊状フィルムの内表面同士の熱接着部と、前記第一短冊状フィルムの外表面と前記基材の内表面との熱接着部と、を有することが好ましい。第一短冊状フィルムを底部までより確実に配置することが容易となる。
【0012】
本発明に係る袋体では、前記袋体は、前記開口部の縁を封止する開口封止部を有し、かつ、前記第1側縁封止部若しくは前記第2側縁封止部のいずれか一方又は両方は、前記開口封止部と前記嵌合具との間の領域に開封用のノッチを有し、前記開口封止部は、前記基材の内表面間に短冊状フィルムとして第三短冊状フィルムを有し、かつ、前記基材及び前記第三短冊状フィルムの厚さ方向に沿って、前記基材の内表面と前記第三短冊状フィルムとの熱接着部と、前記第三短冊状フィルムと前記基材の内表面との熱接着部と、を有し、前記第三短冊状フィルムは、JIS K 7210-1:2014「プラスチック-熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の求め方-第1部:標準的試験方法」に準じて測定したメルトフローレートが0.70~20g/10minである樹脂の成形物であることが好ましい。開口封止部によって、未開封状態を確保することができる。
【0013】
本発明に係る袋体は、前記雌基部の縁が前記開口部の縁のうちいずれか一方の縁に一致し、かつ、前記雄基部の縁が前記開口部の縁のうちいずれか他方の縁に一致していることが好ましい。例えば基材が織布などの場合開口部の縁におけるほつれを防止することができる。
【0014】
本発明に係る袋体では、前記袋体は、前記開口部の縁を封止する開口封止部を有し、かつ、前記第1側縁封止部若しくは前記第2側縁封止部のいずれか一方又は両方は、前記開口封止部と前記雌鉤爪部との間、かつ、前記開口封止部と前記雄鉤爪部との間の領域に開封用のノッチを有し、前記開口封止部は、前記基材の厚さ方向に沿って、前記基材の内表面と前記雄基部との熱接着部と、前記雄基部と前記雌基部との熱接着部と、前記雌基部と前記基材の内表面との熱接着部と、を有することが好ましい。短冊状フィルムを用いずに開口封止部を設けることができる。また、開口封止部によって、未開封状態を確保することができる。
【0015】
本発明に係る袋体では、前記開口部の縁は、前記基材の内表面同士が非接着状態とされた非接着部を有し、かつ、前記開口部の縁を構成する2つの前記基材の縁のうちいずれか一方の縁が他方の縁よりも前記底部とは反対側に突出して配置されていることが好ましい。開口部をより容易に開くことができる。
【0016】
本発明に係る袋体では、前記基材の片面又は両面は、バリア性塗工層を有することが好ましい。内容物の品質低下をより抑制することができる。
【0017】
本発明に係る袋体では、前記嵌合具は、ポリプロピレン樹脂からなることが好ましい。嵌合具と基材との接着力をより高めることができる。
【0019】
本発明に係る袋体では、前記短冊状フィルムは、ポリプロピレン樹脂からなることが好ましい。短冊状フィルムと基材との接着力をより高めることができる。本発明に係る袋体では、前記嵌合具は、前記雄基部のうち前記雄鉤爪部よりも前記開口部側に、前記基材と前記雄基部とが非接着状態とされた非接着部を有し、かつ、前記雌基部のうち前記雌鉤爪部よりも前記開口部側に、前記基材と前記雌基部とが非接着状態とされた非接着部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、高級な触感性及び美観を有するとともに裁縫よりも安価に製造が可能な上、石化由来の割合を劇的に減らすことができる環境に優しい袋体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態に係る袋体の一例を示す正面図である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3図1のB-B線断面図の一例である。
図4図1のB-B線断面図の別例である。
図5】開口封止部を有する袋体の一例を示す正面図である。
図6図5のC-C線断面図である。
図7】開口部の縁の変形例を示す部分拡大断面図である。
図8図6の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
【0023】
図1は、本実施形態に係る袋体の第一例を示す正面図である。図2は、図1のA-A線断面図、図3は、図1のB-B線断面図である。本実施形態に係る袋体1は、図1及び図2に示すように、底部4と、底部4に対向する縁に設けられた開口部5と、底部4と開口部5とを結ぶ第1側縁封止部6Aと、第1側縁封止部6Aに対向する第2側縁封止部6Bとを有する袋体であって、基材2は、多孔質基材であり、第1側縁封止部6A及び第2側縁封止部6Bは、それぞれ、基材2の内表面間に短冊状フィルム3として第一短冊状フィルム31を有し、かつ、基材2及び前記第一短冊状フィルム31の厚さ方向に沿って、基材2の内表面と第一短冊状フィルム31との熱接着部H3と、第一短冊状フィルム31と基材2の内表面との熱接着部H4と、を有し、第一短冊状フィルム31は、JIS K 7210-1:2014「プラスチック-熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の求め方-第1部:標準的試験方法」に準じて測定したメルトフローレートが0.70~20g/10minである樹脂の成形物である。本実施形態に係る袋体1は、基材2が、開口部5の縁に沿って内表面に設けられた嵌合具8を有し、嵌合具8は、雄基部8A1と雄鉤爪部8A2とを有する雄型テープ8Aと、雌基部8B1と雌鉤爪部8B2とを有する雌型テープ8Bとを備え、かつ、JIS K 7210-1:2014「プラスチック-熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の求め方-第1部:標準的試験方法」に準じて測定したメルトフローレートが0.70~20g/10minである樹脂の成形物であり、雄基部8A1及び雌基部8B1は、それぞれ基材2の内表面に熱接着部H1,H2によって固定されていることが好ましい。
【0024】
袋体1は、図1に示すように、正面視で四角形状の袋体であることが好ましく、下縁に底部4、左右の側縁にそれぞれ第1側縁封止部6A及び第2側縁封止部6B、上縁に開口部5を有する一重袋である。袋体1は、図2に示すように、基材2の内表面同士の間の空間S1を有する。空間S1は、開口部5に連通する収容部となる空間であり、開口部5が嵌合具8で再封止可能となっている。袋体1は、外表面が天然紙、不織布又は織布などの基材2で覆われており、雑貨や化粧品、小物入れとして好適であり、遮光性を有する基材を用いたときは、お茶、コーヒー、紅茶などの包装袋として好適である。また、袋体1は、天然紙、不織布又は織布などの基材2の持つ自然な風合いを生かして、お菓子、お米又は自然食品などの包装袋としても好適である。
【0025】
基材2は、多孔質基材である。多孔質基材とは、基材の表面に、基材を構成する繊維などの絡み合いによって生じる細孔又は凹凸を有する基材である。基材2は、シート状、フィルム状又は板状であることが好ましい。本実施形態では、多孔質基材は、天然紙、不織布又は織布である形態を包含する。基材2は、生分解性を有することが好ましい。
【0026】
天然紙は、天然物質由来の繊維を原料とする紙であり、和紙又は洋紙を問わないが、例えば、大礼紙などの和紙、又はクラフト紙若しくはパラフィン紙(蝋引き紙)などの洋紙である。天然紙は、生分解性であることが好ましい。天然紙は、填料を含まないことが好ましい。填料を含む場合、繊維間に樹脂が含浸しにくくなったり、錨鎖接着がしにくくなったりする場合がある。また、天然紙は、樹脂が錨鎖接着しやすい点で、和紙又はクラフト紙であることがより好ましい。
【0027】
不織布は、生分解性プラスチックを原料とする生分解性不織布であることが好ましい。生分解性プラスチックは、例えば、ポリ乳酸又はポリグリコール酸である。また、生分解性プラスチックは、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、変性ポリビニルアルコール、カゼイン又は変性澱粉を成分とするものであってもよい。
【0028】
織布は、生分解性の繊維を織って作られた生分解性織物であることが好ましい。生分解性の繊維は、例えば、綿、絹、麻、モヘヤ、ウール若しくはカシミアなどの天然繊維、アセテート、キュプラ若しくはレーヨンなどの再生繊維、又はこれらのうち2種以上を組合せた繊維である。
【0029】
本実施形態に係る袋体1では、基材2の片面又は両面は、バリア性塗工層を有することが好ましい。バリア性塗工層によって内容物の品質低下をより抑制することができる。バリア性塗工層は、基材2の内表面だけに設けられる形態、基材2の外表面だけに設けられる形態、又は基材2の内表面及び外表面の両方に設けられる形態であってもよい。バリア性塗工層は、生分解性を有することが好ましい。また、バリア性塗工層を基材2の内表面に設ける場合、バリア性塗工層は熱接着性を有することが好ましい。バリア性塗工層を基材2の外表面に設ける場合、バリア性塗工層は印刷適性を有することが好ましい。生分解性、熱接着性及び印刷適性を有するバリア性塗工層としては、例えば日本製紙株式会社製のシールドプラス(登録商標)が挙げられる。
【0030】
本実施形態に係る袋体1では、基材2の少なくとも内表面は表面改質面であることが好ましい。表面処理面は、例えば、コロナ処理面、プラズマ処理面又はプライマー処理面などの接着性を向上させるための処理を施した表面である。
【0031】
本実施形態では、短冊状フィルム3は、後述する、第1側縁封止部6A及び第2側縁封止部6Bに配置される第一短冊状フィルム31と、底部である接合部に配置される第二短冊状フィルム(不図示)と、開口封止部11に配置される第三短冊状フィルム33(図6に図示)とを包含する。これらの短冊状フィルムは、いずれも同一の材質であっても、相互に異なる材質であってもよい。
【0032】
本明細書において、短冊状とは、細長い形状をいう。また、第一短冊状フィルム31の大きさは、第1側縁封止部6A及び第2側縁封止部6Bと同じであるか、又は第1側縁封止部6A及び第2側縁封止部6Bよりも大きくてもよい。第二短冊状フィルム(不図示)の大きさは、底部である接合部と同じであるか、又は接合部より大きくてもよい。第三短冊状フィルム33の大きさは、開口封止部11と同じであるか、又は開口封止部11よりも大きくてもよい。
【0033】
嵌合具8は、図2に示すように、開口部5において対向する基材2の一方に固着された雄型テープ8Aと基材2の他方に固着された雌型テープ8Bとを有する。雄型テープ8Aは、基材2に固着される部分である雄基部8A1と雌鉤爪部8B2と係合する部分である雄鉤爪部8A2とを有する。雌型テープ8Bは、基材2に固着される部分である雌基部8B1と雄鉤爪部8A2と係合する部分である雌鉤爪部8B2とを有する。雄鉤爪部8A2及び雌鉤爪部8B2は互いに係脱可能に係合する形状であればよく、図2では一例として雄鉤爪部8A2は断面形状が矢尻状の頭部を有する形状であり、雌鉤爪部8B2は雄鉤爪部8A2の頭部が嵌まるような断面形状が凹形状であってその両側の先端に互いに向き合う鉤が設けられた形状である形態を示したが、本発明はこれに限定されない。
【0034】
嵌合具8は、メルトフローレートが0.70~20g/10minである樹脂の成形物であることが好ましい。嵌合具8のMFRが0.70g/10min未満では、樹脂の流動性が足りないため含浸がされず又は含浸が不十分であり、また接着が錨鎖接着とならないため、基材2と雄基部8A1又は雌基部8B1との接着が不足する場合がある。嵌合具8のMFRが20g/10minを超えると、基材2に含浸した樹脂が柔らかすぎて強固な錨鎖接着が得られない場合がある。嵌合具8のMFRは2.0~15g/10minであることが好ましく、5.5~13.5g/10minであることがより好ましく、6.0~10.0g/10minであることが更に好ましい。嵌合具8の材質は、例えば、ポリオレフィン樹脂、又は生分解性樹脂である。ポリオレフィン樹脂は、例えば、ホモポリマーPP、ランダムコポリマーPP、ブロックコポリマーPP若しくはメタロセンPPなどのポリプロピレン(PP)、直鎖状低密度ポリエチレン(L-LDPE)、メタロセン直鎖状低密度ポリエチレン(m-LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)若しくは低密度ポリエチレン(LDPE)などのポリエチレン(PE)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリメチルペンテン(PMP)、エチレン系コポリマー(EMA)、又はオレフィン系熱可塑性エラストマ(TPO)である。生分解性樹脂は、例えば、ポリ乳酸又はポリグリコール酸である。また、生分解性樹脂は、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、変性ポリビニルアルコール、カゼイン又は変性澱粉を成分とするものであってもよい。これらのうち、嵌合具8の材質は、ポリプロピレンであることがより好ましい。
【0035】
雄基部8A1及び雌基部8B1はそれぞれ基材2の内表面に熱接着部H1,H2によって固定されている。熱接着部H1,H2は、基材2の内表面と雄基部8A1又は雌基部8B1とが熱によって接着された部分である。熱接着部H1、H2では、熱によって雄基部8A1及び雌基部8B1の樹脂が溶融又は軟化して基材2に固着(融着)している。このとき、多孔質基材2の表面には基材を構成する繊維などの絡み合いによって生じる細孔又は凹凸があるため、毛管現象によって雄基部8A1及び雌基部8B1を構成する樹脂の溶融物又は軟化物が基材の表面の細孔に含浸することで、両者はより強固に結合する。さらに、含浸した樹脂が、繊維間にて強固に接着することで錨鎖接着がなされる。本明細書において、「含浸」とは、熱によって溶融又は軟化させた熱可塑性の樹脂素材を非樹脂素材に圧入し硬化させて樹脂素材と非樹脂素材との隙間を埋める技術をいう。すなわち、本実施形態では、樹脂素材に熱を加え、溶融又は軟化状態にして非樹脂素材(例えば、天然紙、不織布又は織布などの多孔質基材)に含浸させ熱シールするものであり、分子結合させるものではない。従来は、熱シールには、一般的に溶融又は軟化する素材同士の熱接着が利用されてきたが、本発明では熱によって溶融又は軟化しない素材に、熱によって溶融又は軟化する素材を含浸させて熱シールする点で異なる。また、錨鎖接着とは、樹脂が含浸によって基材表面の微細な凹凸に入り込んで、さらには繊維間の隙間にまで入り込んで、好ましくは繊維を取り囲んだ状態となって硬化することで接着力が高まる接着のことをいう。雄基部8A1及び雌基部8B1を構成する樹脂は、基材の厚さ方向に20~100%含浸することが好ましく、50~90%含浸することがより好ましい。また、雄基部8A1及び雌基部8B1を構成する樹脂は、基材の厚さ方向に100%を超えて含浸していてもよい。ここで、100%を超えて含浸するとは、雄基部8A1及び雌基部8B1を構成する樹脂が基材の嵌合具8側とは反対側の表面、すなわち基材の外表面まで染み出るように浸透していることをいう。
【0036】
本実施形態に係る袋体1は、図2に示すように、雄基部8A1の縁が開口部5の縁のうちいずれか一方の縁5aに一致し、かつ、雌基部8B1の縁が開口部5の縁のうちいずれか他方の縁5bに一致していることが好ましい。例えば基材2が織布などのほつれが発生する基材である場合、含浸によって補強されるため開口部5の縁5a,5bにおけるほつれを防止することができる。
【0037】
第1側縁封止部6A及び第2側縁封止部6Bでは、図3に示すように、基材2の内表面間に短冊状フィルム3として第一短冊状フィルム31が配置されている。なお、第一短冊状フィルム31は、厳密には、嵌合具8部分では基材2の内表面間ではなく、雌雄の鉤爪部8A2,8B2間に配置されており、嵌合具8部分以外の部分では、基材2の内表面間に配置される。
【0038】
第1側縁封止部6A及び第2側縁封止部6Bは、図3に示すように、基材2及び第一短冊状フィルム31の厚さ方向Tに沿って、基材2の内表面と第一短冊状フィルム31との熱接着部H3と、第一短冊状フィルム31と基材2の内表面との熱接着部H4と、を有する。本明細書において、「基材2及び第一短冊状フィルム31の厚さ方向Tに沿って」とは、基材2及び第一短冊状フィルム31の厚さ方向Tに伸びる仮想の同一直線(不図示)上に並んでいることを意味する。なお、図3には代表して第1側縁封止部6Aを示したが、第2側縁封止部6Bも第1側縁封止部6Aと同様の構造を有する。熱接着部H3、H4は、基材2の内表面と第一短冊状フィルム31とが熱によって接着された部分である。熱接着部H3、H4では、熱によって第一短冊状フィルム31の樹脂が溶融又は軟化して基材2に固着(融着)している。このとき、多孔質基材2の表面には基材を構成する繊維などの絡み合いによって生じる細孔又は凹凸があるため、毛管現象によって第一短冊状フィルム31を構成する樹脂の溶融物又は軟化物が基材の表面の細孔に含浸し、また錨鎖接着がなされ、両者はより強固に結合する。第一短冊状フィルム31を構成する樹脂は、基材の厚さ方向に20~100%含浸することが好ましく、50~90%含浸することがより好ましい。また、第一短冊状フィルム31を構成する樹脂は、基材の厚さ方向に100%を超えて含浸していてもよい。ここで、100%を超えて含浸するとは、第一短冊状フィルム31を構成する樹脂が基材の第一短冊状フィルム31側とは反対側の表面、すなわち基材の外表面まで染み出るように浸透していることをいう。
【0039】
第一短冊状フィルム31は、メルトフローレート(MFR)が0.70~20g/10minである樹脂の成形物である。第一短冊状フィルム31のMFRが0.70g/10min未満では、樹脂の流動性が足りないため含浸がされず又は含浸が不十分であり、また接着が錨鎖接着とならないため、基材2と短冊状フィルム3との接着が不足する。第一短冊状フィルム31のMFRが20g/10minを超えると、基材2に含浸した樹脂が柔らかすぎて強固な錨鎖接着が得られない。第一短冊状フィルム31のMFRは2.0~15g/10minであることが好ましく、5.5~13.5g/10minであることがより好ましく、6.0~10.0g/10minであることが更に好ましい。第一短冊状フィルム31の材質は、例えば、ポリオレフィン樹脂、又は生分解性樹脂である。ポリオレフィン樹脂は、例えば、ホモポリマーPP、ランダムコポリマーPP、ブロックコポリマーPP若しくはメタロセンPPなどのポリプロピレン(PP)、直鎖状低密度ポリエチレン(L-LDPE)、メタロセン直鎖状低密度ポリエチレン(m-LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)若しくは低密度ポリエチレン(LDPE)などのポリエチレン(PE)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリメチルペンテン(PMP)、エチレン系コポリマー(EMA)、又はオレフィン系熱可塑性エラストマ(TPO)である。生分解性樹脂は、例えば、ポリ乳酸又はポリグリコール酸である。また、生分解性樹脂は、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、変性ポリビニルアルコール、カゼイン又は変性澱粉を成分とするものであってもよい。これらのうち、第一短冊状フィルム31の材質は、ポリプロピレンであることがより好ましい。
【0040】
本実施形態において、MFRは、JIS K 7210-1:2014「プラスチック-熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の求め方-第1部:標準的試験方法」に準じてA法又はB法で測定した値であり、嵌合具8又は短冊状フィルム3(31,33)の材質に応じて適宜変更することができる。嵌合具8又は短冊状フィルム3(31,33)の材質が例えばPPである場合、JIS K 6921-1:2018「プラスチック-ポリプロピレン(PP)成形用及び押出用材料-第1部:呼び方のシステム及び仕様表記の基礎」で規定された試験条件である230℃における21.2N荷重の条件で、JIS K 7210-1に従って測定することが好ましい。また、嵌合具8又は短冊状フィルム3(31,33)の材質が例えばPEである場合、JIS K 6922-1:2018「プラスチック-ポリエチレン(PE)成形用及び押出用材料-第1部:呼び方のシステム及び仕様表記の基礎」で規定された試験条件である190℃における21.2N荷重の条件で、JIS K 7210-1に従って測定することが好ましい。
【0041】
本実施形態に係る袋体1では、底部4は、図1図3に示すように、1枚の基材2が二つ折りされた折り返し部である形態を包含する。また、図示しないが、底部4は、重ね合わされた2枚の基材2の一辺が接合された接合部である形態であってもよい。この形態では、基材2の内表面間に短冊状フィルム3として第二短冊状フィルム(不図示)を有し、かつ、基材2及び第二短冊状フィルムの厚さ方向に沿って、基材2の内表面と第二短冊状フィルムとの熱接着部と、第二短冊状フィルムと基材2の内表面との熱接着部と、を有し、第二短冊状フィルムは、メルトフローレートが0.70~20g/10minである樹脂の成形物であることが好ましい。第二短冊状フィルムのMFRの好ましい範囲及び好ましい材質は、第一短冊状フィルム31と同様である。また、第二短冊状フィルムは、第一短冊状フィルム31と同様に、基材に含浸し、更に錨鎖接着していることが好ましい。
【0042】
以上のとおり、本実施形態に係る袋体1では、基材2と嵌合具8とは、雄基部8A1及び雌基部8B1において熱による接着で直接的に固定されており、基材2と第一短冊状フィルム31とは、第1側縁封止部6A及び第2側縁封止部6Bにおいて熱による接着で直接的に固定されている。このように、本実施形態に係る袋体1では、接着剤が用いられていない。その結果、石化由来の割合を減らすことができる。
【0043】
図4は、図1のB-B線断面図の別例である。本実施形態に係る袋体1は、第1側縁封止部6A及び第2側縁封止部6Bでは、第一短冊状フィルム31は、基材2の内表面に重ね合わされて基材2の二つ折りに合わせて二つ折りで配置されており、第1側縁封止部6A及び第2側縁封止部6Bは、基材2及び第一短冊状フィルム31の厚さ方向に沿って、基材2の内表面と第一短冊状フィルム31の外表面との熱接着部H5と、第一短冊状フィルム31の内表面同士の熱接着部H6と、第一短冊状フィルム31の外表面と基材2の内表面との熱接着部H7と、を有していてもよい。図4図3と異なる点は、図3では第一短冊状フィルム31が折り返し部を有さなかったのに対して、図4では第一短冊状フィルム31が折り返し部4aを有する点だけである。第一短冊状フィルム31が折り返し部4aを有することで、袋体1の製造時に、第一短冊状フィルム31の折り返し部4aを基材2の底部4に一致させることで、第一短冊状フィルム31を底部4までより確実に配置することが容易となる。
【0044】
図5は、開口封止部を有する袋体の一例を示す正面図である。図6は、図5のC-C線断面図である。本実施形態に係る袋体1では、袋体1は、開口部5の縁を封止する開口封止部11を有し、かつ、第1側縁封止部6A若しくは第2側縁封止部6Bのいずれか一方又は両方は、開口封止部11と嵌合具8との間の領域に開封用のノッチ12を有し、開口封止部11は、基材2の内表面間に短冊状フィルム3として第三短冊状フィルム33を有し、かつ、基材2及び第三短冊状フィルム33の厚さ方向Tに沿って、基材2の内表面と第三短冊状フィルム33との熱接着部H8と、第三短冊状フィルム33と基材2の内表面との熱接着部H9と、を有し、第三短冊状フィルム33は、メルトフローレートが0.70~20g/10minである樹脂の成形物であることが好ましい。第三短冊状フィルム33のMFRの好ましい範囲及び好ましい材質は、第一短冊状フィルム31と同様である。また、第三短冊状フィルム33は、第一短冊状フィルム31と同様に、基材2に含浸し、更に錨鎖接着していることが好ましい。
【0045】
ノッチ12は、特に限定されず、例えば、Vノッチ(図5に図示)、Iノッチ(不図示)、又は傷加工などによるダメージ加工であってもよい(不図示)。また、ノッチ12は、図5に示すように第1側縁封止部6Aだけに設けられていてもよいし、第2側縁封止部6Bだけに設けられていてもよいし(不図示)、第1側縁封止部6A及び第2側縁封止部6Bの両方に設けられていてもよい(不図示)。図5及び図6に示す袋体1では、袋体1をノッチ12から嵌合具8に沿って切り開くと、例えば図2に示すように開口部5が形成される。熱接着部H8,H9は、熱接着部H1,H2と同様に、接着剤などを介在せずに熱による接着で直接的に固定されている。開口部5の縁が開口封止部11で封止されることによって、袋体1の未開封状態を確保することができる。開口封止部11を設ける場合、基材2の切り開かれる予定線上にハーフカット加工又はミシン目加工などの易開封性加工を施すことが好ましい。基材2が織布又は不織布などであっても容易に切り開くことができる。
【0046】
図8は、図6の変形例である。図8の断面図は、開口封止部11において基材2の内表面間に図6のように第三短冊状フィルム33が配置されていない点以外は、基本的な構成を図6と同じくする。図8の断面図では、開口部5の縁5a,5bに雄基部8A1の縁及び雌基部8B1の縁が一致しており、開口封止部11において雄基部8A1と雌基部8B1とが熱接着されている。すなわち、本実施形態に係る袋体1では、袋体1は、図5に示すように開口部5の縁を封止する開口封止部11を有し、かつ、第1側縁封止部6A若しくは第2側縁封止部6Bのいずれか一方又は両方は、開口封止部11と雄鉤爪部8A2との間、かつ、開口封止部11と雌鉤爪部8B2との間の領域に開封用のノッチ12を有し、開口封止部11は、図8に示すように、基材2の厚さ方向Tに沿って、基材2の内表面と雌基部8B1との熱接着部H10と、雌基部8B1と雄基部8A1との熱接着部H11と、雄基部8A1と基材2の内表面との熱接着部H12と、を有することが好ましい。図6のように第三短冊状フィルム33を用いずとも、開口封止部11を設けることができる。また、開口封止部11によって、未開封状態を確保することができる。
【0047】
図7は、開口部の縁の変形例を示す部分拡大断面図である。本実施形態に係る袋体1では、開口部5の縁は、基材2の内表面同士が非接着状態とされた非接着部N1を有し、かつ、開口部5の縁を構成する2つの基材2の縁のうちいずれか一方の縁が他方の縁よりも底部4とは反対側に突出して配置されていることが好ましい。非接着部N1は、空間S1に連通する開口部5となる。図7に示すように、開口部5の隣り合う縁が互いに段差をもって配置されることによって、開口部5の縁を指先でずらしやすくなり、開口部5をより容易に開くことができる。
【0048】
短冊状フィルム3(31,33)の樹脂及び嵌合具8の樹脂を、MFRで特定した理由は、次の通りである。本発明者の検討によれば、短冊状フィルム3(31,33)又は嵌合具8に成形できるMFRの数値範囲は、0.10~30g/minであった。含浸の観点から検討すると、樹脂の流動性が低いと基材2に含浸せず又は含浸が不十分であり、また錨鎖接着が得られない。一方、樹脂の流動性は高いほど基材2に含浸しやすいと考えられる。しかし、樹脂の流動性が高すぎると、樹脂が含浸によって基材2の表面の微細な凹凸に入り込んで硬化しても、その硬化した樹脂が柔らかすぎるため、剥がれやすく、強固な錨鎖接着が実現できない問題もあった。そこで、本発明者は、MFRの数値範囲を、成形性が良好、かつ、含浸性も良好、かつ、強固な錨鎖接着が実現できる数値範囲に設定することが重要であることを見出し、短冊状フィルム3(31,33)の樹脂及び嵌合具8の樹脂のMFRの数値範囲を0.70~20g/10minに設定した。
【0049】
本実施形態に係る袋体1では、嵌合具8のメルトフローレートは、短冊状フィルム3(31,33)のメルトフローレートよりも大きいことが好ましい。嵌合具8の厚さは一般的に短冊状フィルム3(31,33)よりも厚くなるところ、嵌合具8のMFRをより大きくすることで嵌合具の樹脂を安定して基材に含浸させることができる。
【0050】
図1図8では、袋体1が平袋である形態を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、底折込袋、底ガゼット袋又はサイドガゼット袋であってもよい。
【0051】
本実施形態では、嵌合具8は、雄基部8A1のうち雄鉤爪部8A2よりも開口部5側に、基材2と雄基部8A1とが非接着状態とされた非接着部(不図示)を有し、かつ、雌基部8B1のうち雌鉤爪部8B2よりも開口部5側に、基材2と雌基部8B1とが非接着状態とされた非接着部(不図示)を有することが好ましい。これらの非接着部を有することで、基材2と雄基部8A1との間及び基材2と雌基部8B1との間に空間が生じ、この空間によって雄鉤爪部8A2及び雌鉤爪部8B2の直下の部分の厚さが増す。その結果、当該部分を指でつまみやすくなり、より開封しやすくなる。また、指圧をかけやすくなり、嵌合具の開封動作のグリップが効きやすくなるため、より開封しやすくなる。
【0052】
本実施形態に係る袋体1の製造方法は、特に限定されないが、例えば、次の方法で製造してもよい。
【0053】
まず、製袋前の1枚のシート状に開かれた帯状の基材2を用意する。このとき、基材2の長手方向に延在する端部は、製袋後に開口部5(例えば図1及び図2に図示)の縁となる部分であり、基材2の長手方向に延在する両端の開口部5の縁の間の中央部は、製袋後に底部4(例えば図1及び図2に図示)となる部分である。
【0054】
ついで、基材2の開口部5の縁となる部分に沿って嵌合具8を構成する雄型テープ8Aと雌型テープ8B(例えば図2に図示)とを熱接着して熱接着部H1,H2を設ける。ついで、短冊状フィルム3(第一短冊状フィルム31)を、短冊状フィルム3の長手方向が帯状の基材2の長手方向に交差する方向となるように、天然紙の嵌合具8が接着された面上に所定の間隔毎に重ねて配置する。このとき、短冊状フィルム3は、基材2の開口部5の縁となる部分のいずれか一方から底部4となる部分にわたって配置するか、又は基材2の一方の開口部5の縁となる部分から、底部4となる部分を跨って、他方の開口部5の縁となる部分にわたって配置してもよい。
【0055】
次に、短冊状フィルム3が基材2に重ねられた状態で短冊状フィルム3が内側になすようにして基材2を二つ折りする。このとき、底部4となる部分に押さえバー(押さえ板)を押し当てて底部4にテンションをかけつつ短冊状フィルム3ごと基材2を折り返すことが好ましい。
【0056】
その後、短冊状フィルム3が配置された部分に側縁封止部6A,6B(例えば図1に図示)を形成する。側縁封止部6A,6Bを形成する工程は、図3に示すように、基材2及び短冊状フィルム3の厚さ方向Tに沿って、基材2の内表面と短冊状フィルム3との熱接着部H3と、短冊状フィルム3と基材2の内表面との熱接着部H4と、を設ける工程であるか、又は図4に示すように、基材2及び短冊状フィルム3の厚さ方向Tに沿って、基材2の内表面と短冊状フィルム3の外表面との熱接着部H5と、短冊状フィルム3の内表面同士の熱接着部H6と、短冊状フィルム3の外表面と基材2の内表面との熱接着部H7と、を設ける工程であってもよい。熱接着部H1~H7を設けるにあたり、熱接着される部分の片面側(製袋時上側)からのみシールバーで加熱してもよいが、基材2の厚さに応じて、熱接着される部分の両面側(製袋時上側と下側)に同時にシールバーで加熱するか、又は熱接着される部分の片面側(製袋時上側)からシールバーで加熱した後、更に他方の面側(製袋時下側)からもシールバーで加熱してもよい。これによって、より安定的に樹脂を基材に含浸させることができる。
【0057】
短冊状フィルム3及び嵌合具8を基材2に熱接着するにあたり、圧力、温度、時間及び圧着回数などの接着条件を、錨鎖接着される条件に調整する。短冊状フィルム3及び嵌合具8の材質としてポリプロピレン樹脂を用いる場合、ポリプロピレンは、ポリエチレンに比べて融点が高いため、ポリエチレン樹脂を用いた場合と比較して圧着回数を増やしたり、温度を上げたりして調整することで安定した錨鎖接着ができる。
【実施例
【0058】
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例に何ら限定されるものではない。
【0059】
(実験例1)
基材2として織布(材質綿100%(岡生地))と短冊状フィルム3とを重ね合わせて、一辺を235℃、2秒、圧力0.3MPaでヒートシールした。シールバーの幅は2mmであった。ヒートシール部に対して直角に、かつ、ヒートシール部が試験片の中央になるように短冊状に切り取り、試験片とした。試験片の幅は15mm、長さは150mmとした。短冊状フィルム3の材質は、PP(生産日本社社製、MG60μm:230℃における21.2N荷重でのMFRが8.5g/10min)であった。
【0060】
(実験例2)
短冊状フィルム3の材質をPP(生産日本社社製、MG60μm:230℃における21.2N荷重でのMFRが6.3g/10min)に変更した以外は実験例1と同様にして試験片を用意した。
【0061】
(実験例3)
短冊状フィルム3の材質をPE(生産日本社社製、ユニパック60μm:190℃における21.2N荷重でのMFRが4.0g/10min)に変更した以外は実験例1と同様にして試験片を用意した。
【0062】
(実験例4)
基材2を天然紙(和紙、120~130μm、大礼紙)に変更した以外は、実験例1と同様にして試験片を用意した。
【0063】
(実験例5)
短冊状フィルム3の材質をPP(生産日本社社製:230℃における21.2N荷重でのMFRが0.5g/10min)に変更した以外は実験例1と同様にして試験片を用意した。
【0064】
(実験例6)
短冊状フィルム3の材質をPP(生産日本社社製:230℃における21.2N荷重でのMFRが25g/10min)に変更した以外は実験例1と同様にして試験片を用意した。
【0065】
(ヒートシール強度)
試験片のヒートシール部が中央にくるように180度に開き、試験片の両端をそれぞれ引張試験機に取り付けた。試験片のつかみ間隔は50mmとした。引張速度は500mm/minとし、ヒートシール部が破断するまで荷重をかけ、最大荷重をヒートシール強度とした。ヒートシール部で破断しないで、フィルム部で破断する場合は、フィルム部の破断荷重をもってヒートシール部の破断荷重とした。ヒートシール強度は、10回測定した平均値とした。ヒートシール強度が5N/15mm以上を実用レベル、ヒートシール強度が5N/15mm未満を実用不適レベルとした。試験結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
表1に示す通り、実験例1~4は、短冊状フィルムのMFRが0.70~20g/10minであったため、ヒートシール強度が5N/15mm以上となり実用レベルとなった。一方、実験例5は、短冊状フィルムのMFRが0.70g/10min未満であったため、含浸はしていたものの不十分であり、錨鎖接着がされず、ヒートシール強度が5N/15mm未満となり実用不適レベルとなった。また、実験例6は、短冊状フィルムのMFRが20g/10minを超えたため、含浸はしていたものの、樹脂が柔らかすぎて強固な錨鎖接着が得られず、ヒートシール強度が5N/15mm未満となり実用不適レベルとなった。このように、短冊状フィルムのMFRの数値範囲が0.70~20g/10minであることで、この数値範囲を外れた場合と比較して、含浸が十分となって錨鎖接着によって高いヒートシール強度が得られることが確認できた。
【符号の説明】
【0068】
1 袋体
2 基材
3(31,33) 短冊状フィルム
4 底部
4a 折り返し部
5 開口部
6 側縁封止部
6A 第1側縁封止部
6B 第2側縁封止部
8 嵌合具
8A 雄型テープ
8A1 雄基部
8A2 雄鉤爪部
8B 雌型テープ
8B1 雌基部
8B2 雌鉤爪部
11 開口封止部
12 ノッチ
H1,H2,H3,H4,H5,H6,H7,H8.H9 熱接着部
N1 非接着部
S1 空間
T 厚さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8