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特許7261780機械の場所及び向きを決定するための方法及び測位システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】機械の場所及び向きを決定するための方法及び測位システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/48 20060101AFI20230413BHJP
   G01S 17/66 20060101ALI20230413BHJP
   G01S 17/86 20200101ALI20230413BHJP
   E02F 9/26 20060101ALN20230413BHJP
   G01B 11/00 20060101ALN20230413BHJP
   G01C 15/00 20060101ALN20230413BHJP
   G06T 7/70 20170101ALN20230413BHJP
【FI】
G01S17/48
G01S17/66
G01S17/86
E02F9/26 B
G01B11/00 H
G01C15/00 103Z
G01C15/00 104D
G06T7/70 Z
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020170345
(22)【出願日】2020-10-08
(65)【公開番号】P2021085877
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2020-12-22
(31)【優先権主張番号】20196022
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520391778
【氏名又は名称】ノバトロン オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トゥオマス コバネン
(72)【発明者】
【氏名】アンッティ コル
(72)【発明者】
【氏名】ペトリ モイシオ
(72)【発明者】
【氏名】ミッコ ベサネン
(72)【発明者】
【氏名】アルト アンティラ
【審査官】九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-195936(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0168136(US,A1)
【文献】特表2016-526673(JP,A)
【文献】特開2012-063167(JP,A)
【文献】特表2015-534480(JP,A)
【文献】特表2008-516250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
G01S 17/00 -17/95
E02F 9/26
G01B 11/00
G01C 15/00
G06T 7/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業現場内の機械の3次元の場所及び向きを決定するための方法であって、前記機械には、少なくとも1つのマーカ点(MP)が配置され、前記作業現場には、少なくとも1つの基準点(RP)が配置され、前記少なくとも1つのマーカ点(MP)が、前記機械に取り付けられ、機械座標系(MCS)において決定された3次元の場所を有し、前記少なくとも1つの基準点(RP)が、前記作業現場(13)にあり、作業現場座標系(WCS)において決定された3次元の場所を有し、
少なくとも1つの追跡装置(TA)を前記作業現場に設置することと、
前記追跡装置(TA)によって、3次元の場所である、前記追跡装置(TA)に対する基準点(RP)及びマーカ点(MP)の場所を追跡することによってデータを取得することと、
前記取得データを前記追跡装置(TA)から少なくとも1つの位置決定ユニット(PDU)に送信することと、
前記少なくとも1つの位置決定ユニット(PDU)によって、前記取得データに少なくとも部分的に基づいて、前記作業現場(13)内の前記機械の前記3次元の場所及び向きを決定することと
を含む方法。
【請求項2】
前記追跡装置がさらに、
少なくとも1つのジャイロスコープ、
少なくとも1つの加速度計、又は
前記少なくとも1つの基準点(RP)に関する取得データを連続して観察すること
のうちの少なくとも1つによって、前記追跡装置(TA)の安定性に関するデータを取得する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記取得データに基づいて前記追跡装置の追跡状態を決定することをさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記追跡装置(TA)が、前記追跡装置(TA)の前記追跡状態を決定し、
前記追跡装置(TA)がさらに、前記追跡状態又は前記追跡状態の変化のうちの少なくとも1つを前記位置決定ユニット(PDU)に送信する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記機械の場所ベースの特徴の利用可能性が、前記追跡状態に依存する、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
作業現場座標系(WCS)内の任意の種類の点及び/又はスポットを正確に追跡できる追跡正確度のレベルに到達する前記追跡装置(TA)の前記追跡状態が、
前記追跡装置(TA)に対する少なくとも3つの基準点(RP)を追跡することによってデータを取得すること、
前記追跡装置(TA)の傾斜若しくは前記追跡装置(TA)から北への方向のうちの少なくとも一方に関するデータを取得することに加えて、前記追跡装置(TA)に対する2つの基準点(RP)を追跡することによってデータを取得すること、
前記追跡装置(TA)の傾斜に関するデータを取得すること、及び前記追跡装置(TA)から北への方向に関するデータを取得することに加えて、前記追跡装置(TA)に対する少なくとも1つの基準点(RP)を追跡することによってデータを取得すること、又は
前記追跡装置(TA)に対する少なくとも4つの衛星の場所を決定することによってデータを取得すること
のうちの少なくとも1つによって決定され得る、請求項3から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記追跡装置に(TA)に対する1つ又は複数の基準点(RP)の前記3次元の場所を追跡することによってデータを取得することが、半自動又は自動のうちの少なくとも一方によって前記1つ又は複数の基準点(RP)の初期の3次元の場所を識別することを伴う、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記位置決定ユニット(PDU)がさらに、前記機械の前記決定された3次元の場所及び向きの正確度レベルを決定し、前記機械が、前記決定された正確度レベルに基づいて、
現在の正確度レベルで選択され得る動作モードを有効にすること、
現在の正確度レベルが、選択された動作モードに関する閾値レベル未満若しくはそれを下回っている状態のうちの少なくとも一方であるかどうかをオペレータに示すこと、又は、
前記機械のより正確な3次元の場所及び向きを必要とする動作モードを無効にすること
のうちの少なくとも1つを行う、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
作業現場内の機械の3次元の場所及び向きを決定するための測位システム(PS)であって、
作業現場座標系(WCS)において決定された3次元の場所を有する前記作業現場内の少なくとも1つの基準点(RP)と、
機械座標系(MCS)において決定された3次元の場所を有する前記機械上の少なくとも1つのマーカ点(MP)と、
3次元の場所である、基準点(RP)及びマーカ点(MP)の場所を追跡するために前記作業現場に設置された少なくとも1つの追跡装置(TA)と、
少なくとも1つの位置決定ユニット(PDU)であって、
前記少なくとも1つの基準点(RP)を識別し、且つ前記少なくとも1つのマーカ点(MP)を識別する前記追跡装置(TA)によって取得されたデータを受信するための受信手段、並びに、
前記受信されたデータに少なくとも部分的に基づいて、前記作業現場座標系(WCS)内の前記機械の前記3次元の場所及び向きを決定するための決定手段
を備える少なくとも1つの位置決定ユニット(PDU)と
を備える、測位システム。
【請求項10】
少なくとも1つの位置決定ユニット(PDU)が、前記機械によって取得されたデータを受信するための受信手段をさらに備える、請求項9に記載の測位システム。
【請求項11】
前記機械又は前記少なくとも1つの追跡装置(TA)のうちの少なくとも一方が、位置、向き、傾斜、又は方位のうちの少なくとも1つを決定するための1つ又は複数のセンサを備える、請求項9又は10に記載の測位システム。
【請求項12】
少なくとも1つの追跡装置(TA)が、互いに既知の位置及び向きにある少なくとも2つのカメラを備える、請求項9から11までのいずれか一項に記載の測位システム。
【請求項13】
前記カメラの少なくとも1つが、調整可能なベース上に設置される、請求項12に記載の測位システム。
【請求項14】
少なくとも1つの追跡装置(TA)が少なくとも1つのタキメータを備え、少なくとも1つのマーカ点(MP)がプリズム又はタグであり、
前記機械が、前記少なくとも1つのマーカ点(MP)に対して既知の位置にある少なくとも1つのジャイロスコープをさらに備え、
前記少なくとも1つの位置決定ユニット(PDU)が、
前記少なくとも1つのマーカ点(MP)に対する前記少なくとも1つのジャイロスコープの位置に関するデータ、及び
前記少なくとも1つのジャイロスコープからのデータ
を受信するための受信手段をさらに備える、請求項9に記載の測位システム。
【請求項15】
前記機械が、前記機械の前記場所及び向きに関するデータを取得するための取得手段を有する少なくとも1つの制御ユニット(11)をさらに備え、
前記少なくとも1つの制御ユニット(11)が、少なくとも1つの位置決定ユニット(PDU)からデータを受信するための受信手段を備える、請求項9から14までのいずれか一項に記載の測位システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業現場内の機械の場所及び向きを決定するための方法及び測位システム(positioning system)に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な土工作業現場又は建設現場では、例えば、土又は岩の材料をある場所から別の場所に移動するため、又は建設に使用される材料を上昇又は降下させるために、様々なタイプの作業機械が利用されることがある。この種の作業現場の例には、例えば、建物の基礎建設作業現場又は住宅建設現場、及び道路建設作業現場が含まれる。このような作業機械は、例えば、掘削機及び移動式クレーンである。
【0003】
作業機械及び作業機械の作業工具は、設計された動作を適切に実行するために、作業現場に極めて正確に配置されなければならない。作業機械及びその工具の正確な場所に関する情報が作業機械のオペレータに対して表示され、それによりオペレータは、工具及び機械を制御する際にその情報を使用することができる。機械及びその工具のこの正確な場所情報は、半自動又は全自動の作業機械、すなわち、機械のオペレータによる一定の制御なしに少なくとも一定時間動作する作業機械で使用される場合に特に重要であり、そのため機械又はその工具の誤配置は、機械のオペレータによってすぐには修正されない。
【0004】
一般に、機械の自動測位は、例えば、GPS(US)、GLONASS(RU)、Galileo(EU)、又はCompass(CN)などの衛星ベースの測位システムである全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite Systems)に基づいてもよい。或いは、作業現場に配置されたトータル・ステーションによって、作業機械の測位が提供されてもよい。
【0005】
しかしながら、すべての作業現場で、必ずしも正確で十分な衛星ベースの測位システムが利用可能であるとは限らず、又は利用可能な測位システムは、機械の場所及び向きの高精度な決定に十分なほど精巧ではない。より古い機械を高精度システムに後付けすることは、必ずしも費用対効果が高いとは限らない。また、特にトータル・ステーション・ベースのシステムを毎日又は1日に何度も作業現場から撤去すべき場合、作業現場でのトータル・ステーション・ベースの測位システムの設定は手間がかかる場合がある。
【0006】
したがって、撤去及び再設定が容易である簡単な測位ソリューションが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、作業現場内の機械の場所及び向きを決定するための新規な方法及び新規な測位システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、独立請求項の機能を特徴とする。
【0009】
本発明は、作業現場内の機械の場所及び向きを決定するために、機械内に配置された少なくとも1つのマーカ点、作業現場内に配置された少なくとも1つの基準点、及び作業現場に設置される少なくとも1つの追跡装置を使用するという考えに基づく。追跡装置に対する基準点及びマーカ点の場所が追跡され、すなわち追跡装置によってデータを取得し、取得データに少なくとも部分的に基づいて、作業現場内の機械の場所及び向きが決定される。
【0010】
本解決策は、作業現場内の機械の場所及び向きを決定するための簡単な配置構成(arrangement)を提供し、追跡装置を特定の位置及び向きに設置する必要がないので、現在の作業領域の方向を向いた一般的な設置のみで十分である。これにより、追跡装置を持参し、それを作業現場に戻すのに数秒しかかからないため、機械のオペレータは、追跡装置を持参し、オペレータが例えば昼食のために作業現場を離れるたびに追跡装置を安全な場所に置くことができる。
【0011】
本発明のいくつかの実施例が、従属請求項に開示されている。
【0012】
方法の一実施例によれば、追跡装置はさらに、少なくとも1つのジャイロスコープ、少なくとも1つの加速度計、及び少なくとも1つの基準点に関する取得データを連続して観察することのうちの少なくとも1つによって、追跡装置の安定性に関するデータを取得する。
【0013】
方法の一実施例によれば、方法は、取得データに基づいて追跡装置の追跡状態を決定することをさらに含む。
【0014】
方法の一実施例によれば、追跡装置の追跡状態は、アクティブ、追跡、ポジティブ、保留、及び休止(Out)のうちの1つである。
【0015】
方法の一実施例によれば、追跡装置は、追跡装置の追跡状態を決定し、追跡装置はさらに、追跡状態及び追跡状態の変化のうちの少なくとも一方を位置決定ユニットに送信する。
【0016】
方法の一実施例によれば、機械の場所ベースの特徴の利用可能性は、追跡状態に依存する。
【0017】
方法の一実施例によれば、作業現場座標系内の任意の種類の点及び/又はスポットを正確に追跡できる追跡正確度のレベルに到達する追跡装置の追跡状態は、追跡装置に対する少なくとも3つの基準点を追跡することによってデータを取得すること、追跡装置の傾斜及び追跡装置から北への方向のうちの少なくとも一方に関するデータを取得することに加えて、追跡装置に対する2つの基準点を追跡することによってデータを取得すること、並びに、追跡装置の傾斜に関するデータを取得すること、追跡装置から北への方向に関するデータを取得すること、及び追跡装置に対する少なくとも4つの衛星の場所を決定することによってデータを取得することに加えて、追跡装置に対する少なくとも1つの基準点を追跡することによってデータを取得すること、のうちの少なくとも1つによって決定されてもよい。
【0018】
方法の一実施例によれば、追跡装置に対して1つ又は複数の基準点の場所を追跡することによってデータを取得することは、半自動及び自動のうちの少なくとも一方によって1つ又は複数の基準点の初期の場所を識別することを伴う。
【0019】
方法の一実施例によれば、作業現場は、少なくとも1つの基準マーカを配備され、少なくとも1つの基準マーカはそれぞれ、少なくとも3つの基準点を含む。
【0020】
方法の一実施例によれば、機械は、少なくとも1つのマーカを配備され、少なくとも1つのマーカはそれぞれ、少なくとも3つのマーカ点を含む。
【0021】
方法の一実施例によれば、追跡装置はさらに、取得データに基づいて追跡装置の場所及び向きを決定し、追跡装置から少なくとも1つの位置決定ユニットに送信される取得データは、少なくとも、追跡装置の場所及び向きのデータ、少なくとも3つのマーカ点に関する追跡データ、及び追跡装置の追跡状態を決定することができるデータを含み、位置決定ユニットは、送信された取得データに基づいて機械の場所及び向きを決定する。
【0022】
方法の一実施例によれば、位置決定ユニットはさらに、機械の決定された場所及び向きの正確度レベルを決定し、機械は、決定された正確度レベルに基づいて、現在の正確度レベルで選択され得る動作モードを有効すること、現在の正確度レベルが選択した動作モードに関する閾値レベル未満及び閾値レベルを下回っている状態のうちの少なくとも一方であるかどうかをオペレータに示すこと、並びに、機械のより正確な場所及び向きを必要とする動作モードを無効にすることのうちの少なくとも1つを行う。
【0023】
方法の一実施例によれば、機械は、機械の場所及び向きに関するデータを取得する少なくとも1つの制御ユニットをさらに含み、制御ユニットは、制御ユニットが作業現場内の機械の決定された場所及び向きを受信する元となる少なくとも1つの位置決定ユニットを選択する。
【0024】
測位システムの一実施例によれば、少なくとも1つの位置決定ユニットは、機械によって取得されたデータを受信するための受信手段をさらに備える。
【0025】
測位システムの一実施例によれば、機械、及び少なくとも1つの追跡装置のうちの少なくとも一方は、位置、向き、傾斜、及び方位のうちの少なくとも1つを決定するための1つ又は複数のセンサを備える。
【0026】
測位システムの一実施例によれば、1つ又は複数のセンサは、ジャイロスコープ、加速度計、傾斜計、磁気コンパス、衛星ベースのコンパス、角度センサ、位置センサ、並びに、対象物及び/又は互いに取り付けられた1つ又は複数の対象物のうちの少なくとも1つの、位置、場所、及び向きのうちの少なくとも1つを決定するという目的に適した任意の他のセンサ、のうちの少なくとも1つである。
【0027】
測位システムの一実施例によれば、少なくとも1つの追跡装置は、互いに既知の位置及び向きにある少なくとも2つのカメラを備える。
【0028】
測位システムの一実施例によれば、少なくとも1つの追跡装置は、互いに既知の位置及び向きにある少なくとも3つのカメラを備える。
【0029】
測位システムの一実施例によれば、カメラの少なくとも1つは、調整可能ベース上に設置される。
【0030】
測位システムの一実施例によれば、追跡装置は、追跡装置に対する調整可能ベース上の各カメラの向きに関するデータを取得するための手段を備える。
【0031】
測位システムの一実施例によれば、少なくとも3つのカメラのうちの少なくとも1つには、機械よりも作業現場内の実質的に遠くに位置する基準点をカメラが正確に決定できるような焦点を有するレンズ又は対物レンズが装備される。
【0032】
測位システムの一実施例によれば、少なくとも1つの追跡装置は、少なくとも1つのタキメータを備え、少なくとも1つのマーカ点は、プリズム又はタグであり、機械は、少なくとも1つのマーカに対して既知の位置にある少なくとも1つのジャイロスコープをさらに備え、少なくとも1つの位置決定ユニットは、少なくとも1つのマーカ点に対する少なくとも1つのジャイロスコープの位置に関するデータ、及び少なくとも1つのジャイロスコープからのデータを受信するための受信手段をさらに備える。
【0033】
測位システムの一実施例によれば、少なくとも1つの位置決定ユニットは、有線又は無線ネットワークによって到達可能なコンピュータ、機械、及び追跡装置のうちの少なくとも1つの中に存在する。
【0034】
測位システムの一実施例によれば、機械は、機械の場所及び向きに関するデータを取得するための取得手段を有する少なくとも1つの制御ユニットをさらに備え、少なくとも1つの制御ユニットは、少なくとも1つの位置決定ユニットからデータを受信するための受信手段を備える。
【0035】
以下では、本発明を、添付の図面を参照して、好ましい実施例を用いてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】掘削機の概略側面図である。
図2】作業現場の概略上面図である。
図3】作業現場内の機械の場所及び向きを決定するための測位システムのいくつかの構成要素の概略図である。
図4】作業現場内の機械の場所及び向きを決定するための方法の一実施例の概略図である。
図5】作業現場内の機械の場所及び向きの決定のために作業現場内に配置されるいくつかの基準点を有する基準マーカの概略図である。
図6】作業現場内の機械の場所及び向きの決定のために機械上に配置されるいくつかのマーカ点を有するマーカの概略図である。
図7】追跡装置の一実施例の概略図である。
図8】機械及び/又は追跡装置に配置される可能性のあるセンサの概略図である。
図9】追跡装置のいくつかの可能な追跡状態の概略図である。
図10】第2の作業現場の概略上面図である。
図11】作業現場内の機械の場所及び向きを決定するための別の方法の一実施例の概略図である。
図12】第3の作業現場の概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
明確にするために、図は、本発明のいくつかの実施例を、簡略化した方法で示している。同様の参照番号は、図の同様の要素を示す。
【0038】
図1は、掘削機1が動作されるよう意図された作業現場13内の掘削機1の概略側面図である。掘削機1は、開示された方法及び測位システムが関連して利用され得る作業機械の一実例である。
【0039】
掘削機1は、下方キャリッジ2a、すなわち下部キャリッジ2aと、上部キャリッジ2bとを含む、可動キャリッジ2を備える。下部キャリッジ2aは、キャタピラーバンドを備えるが、代替として車輪を設けることもできる。上部キャリッジ2bは、上部キャリッジ2bの回転アクスル3によって下部キャリッジ2aに連結される。上部キャリッジ2bは、矢印Rで概略的に示すように回転軸4の周りで下部キャリッジ2aに対して相対的に回転されてもよい。回転軸4は、回転アクスル3の中心軸と一致する。
【0040】
掘削機1は、上部キャリッジ2bに連結されたブーム5をさらに備え、それによりブーム5は、上部キャリッジ2bと共に回転するように構成される。ブーム5は、少なくとも第1のブーム部位5aを含んでもよい。ブーム5はまた、第2のブーム部位5bなどのさらなるブーム部位を含んでもよい。ブーム5は、矢印Lで概略的に示すように上部キャリッジ2bに対して相対的に上昇及び降下されてもよい。
【0041】
第2のブーム部位5bが、ジョイント6によって第1のブーム部位5aに連結されることにより、第2のブーム部位5bは、矢印T6で概略的に示すように第1のブーム部位5aの周りを回転することが可能になる。第2のブーム部位5bの遠位端には、作業工具、この場合はバケット7が存在し、バケット7と第2のブーム部位5bとの間にジョイント8があることにより、バケット7は、矢印T8で概略的に示すように第2のブーム部位5bに対して回転することが可能になる。ジョイント8に関連して、例えば、バケットを横方向に傾斜させることを可能にするジョイント又は機構がある場合もある。
【0042】
キャリッジ2上には、掘削機1のオペレータ10用の制御キャビン9があってもよい。制御キャビン9に、例えば、制御キャビン9の垂直位置をキャリッジ2に対して相対的に調整することができる移動配置構成が設けられてもよい。
【0043】
掘削機1は、受信した制御アクションに応答して、キャリッジ2、ブーム5、及びバケット7の動作などの掘削機1の動作を制御するように構成された少なくとも1つの制御ユニット11をさらに備える。
【0044】
掘削機1が、ある種の衛星ベースの測位システムGNSS(全地球航法衛星システム)を利用できるよう意図されている場合、掘削機1は、アンテナ12などのいくつかの衛星受信デバイスをさらに含んでもよい。アンテナ12は、例えば、上部キャリッジ2b上に配置されてもよい。
【0045】
図2は、掘削機1が動作しようとしている作業現場13の概略上面図である。図2の実例では、作業現場座標系WCS(worksite coordinate system)内において、作業現場13に、掘削機1、並びに掘削機1の場所及び向きを決定するための測位システムPS(positioning system)のいくつかの機器、又は代替としていくつかの他の機器がある。また、掘削機1の制御システムは、それ自体の機械座標系MCS(machine coordinate system)を備えてもよく、それにより、機械座標系MCSを、マーカ点MP(marker point)が機械内に配置された状態で機械に固定することができ、その結果、測位システムPSによって提供される測位により、機械座標系MCSを、作業現場座標系WCSに対して識別することが可能になる。作業現場座標系WCS及び機械座標系MCSは、図1に概略的に示されている。次に、図3は、測位システムPSに関連するいくつかの追加の機器を有する測位システムPSの一実施例の概略図である。
【0046】
測位システムPSは、少なくとも1つの基準マーカRM(reference marker)、すなわち、作業現場13に設定された1つ又は複数の基準マーカRMを備える。作業現場13に配置される基準マーカRMは、例えば、arucoマーカ、QRコード(登録商標)、発光マーカ、光反射マーカ、プリズムなどでもよい。各基準マーカRMは、少なくとも1つの基準点RP(reference point)、すなわち1つ又は複数の基準点RPを提供し、それにより、作業現場13内には、機械の場所及び向きの決定のために作業現場座標系WCSで決定された少なくとも1つの基準点RPがある。明確にするために、本明細書における作業現場内及び/又は座標系内の機械及び/又は装置の向きを決定及び/又は定義及び/又は計算することは、ロール、ピッチ、ヨーなどの必要な3つの角度を決定して、機械及び/又は装置が作業現場及び/又は座標系のどの位置にあるかを正確に決定することを意味する。したがって、点及び/又はスポットがそれ自体の座標系において既知である、機械及び/又は装置の少なくとも1つの点及び/又はスポットの場所が決定されるか又は決定され得るとともに、機械及び/又は装置の向きが決定されるか又は決定され得るとき、機械及び/又は装置が、作業現場内又は座標系内で正確に固定及び/又は配置及び/又は設定及び/又は測位され得る。
【0047】
図2の実例には、概略的に示された3つの基準マーカRM、すなわち、作業現場13内に設定又は配置された第1の基準マーカRM1、第2の基準マーカRM2、及び第3の基準マーカRM3がある。各基準マーカRM1、RM2、RM3は、1つの基準点RPを含み、すなわち、第1の基準マーカRM1は第1の基準点RP1を含み、第2の基準マーカRM2は第2の基準点RP2を含み、第3の基準マーカRM3は第3の基準点RP3を含む。特定の基準点RPは、例えば、arucoマーカ内の特定の点によって、又は発光マーカ内の特定の発光デバイスによって提供されてもよい。図5の実例では、3つの基準点RP、すなわち、第1の基準点RP1、第2の基準点RP2、及び第3の基準点RP3を有する基準マーカRMが概略的に示されている。基準点RPはそれぞれ識別可能であり、基準点RPの場所は、作業現場座標系WCSにおいて決定される。したがって、基準点RPの識別データを有することにより、作業現場座標系WCS内の基準点RPの場所が決定されてもよい。
【0048】
測位システムPSは、少なくとも1つのマーカMA(marker)、すなわち、機械上すなわち掘削機1内に設定された1つ又は複数のマーカMAをさらに備える。機械上に配置されるマーカMAは、例えば、arucoマーカ、QRコード(登録商標)、optitrackなどの発光マーカ、光反射マーカなどでもよい。各マーカMAは、少なくとも1つのマーカ点MP、すなわち1つ又は複数のマーカ点MPを提供し、それにより、機械上には、機械の場所及び向きの決定のための少なくとも1つのマーカ点MPがある。各機械のマーカ点MPはそれぞれ識別可能であり、マーカ点MPの場所は、機械座標系MCSにおいて決定され、その結果、測位システムPSによるマーカ点MPの測位及び識別は、機械座標系MCS、すなわち機械を測位することであり得る。したがって、マーカ点MPの識別データを有することにより、機械座標系MCS内のマーカ点MPの場所が決定されてもよい。
【0049】
図1の実例には、概略的に示された2つのマーカMA、すなわち、機械上に配置された第1のマーカMA1及び第2のマーカMA2がある。各マーカMA1、MA2は、1つのマーカ点MPを含み、すなわち、第1のマーカMA1は第1のマーカ点MP1を含み、第2のマーカMA2は第2のマーカ点MP2を含む。特定のマーカ点MPは、例えば、arucoマーカ内の特定の点によって、又は発光マーカ内の特定の発光デバイスによって提供されてもよい。図6の実例では、3つのマーカ点MP、すなわち、第1のマーカ点MP1、第2のマーカ点MP2、及び第3のマーカ点MP3を有するマーカMAが概略的に示されている。
【0050】
測位システムPSは、少なくとも1つの追跡装置TA(tracking apparatus)、すなわち、作業現場13内に配置された1つ又は複数の追跡装置TAをさらに備える。追跡装置TAは、基準点RP及びマーカ点MP、特にそれらの識別データ、並びに作業現場13内の追跡装置TAに対するそれらの場所を追跡又は監視する。追跡装置TAは、追跡の初期化に基づいて、作業現場13内の少なくとも1つの識別された基準点RP、及び機械内の少なくとも1つの識別されたマーカ点MPの場所を追跡する。したがって、測位システムPSは、少なくとも1つの基準点RPの識別データを使用することによって、作業現場座標系WCS内の基準点RPを位置特定することができ、また測位システムPSは、少なくとも1つのマーカ点MPの識別データを使用することによって、機械座標系MCS内のマーカ点MPを位置特定することができ、測位システムPSがそれに対する少なくとも1つの識別された基準点RP及び少なくとも1つの識別されたマーカ点MPの場所を追跡した後、測位システムPSは、作業現場の座標系WCSにおける、機械座標系MCS、すなわち機械の場所及び向きを決定することができる。追跡装置TAは、少なくとも1つの追跡デバイスTD(tracking device)、すなわち、追跡装置TAと基準点RP及びマーカ点MPとの間の視覚的通信を提供するための1つ又は複数の追跡デバイスTDを備える。さらに、追跡装置TAは、情報を受信及び/又は送信するための入出力ユニットなどの手段を備える。
【0051】
追跡又は監視は、追跡装置TAとそれぞれの基準点RP及びマーカ点MPとの間の視覚的通信を介して実施又は実行される。図2の実例には、作業現場13内に配置された2つの追跡装置TA、すなわち、第1の追跡装置TA1及び第2の追跡装置TA2がある。第1の追跡装置TA1は、3つの追跡デバイス、すなわち、第1の追跡デバイスTD1と第1の基準点RP1との間の第1の視覚的接続TD1_RP1、第2の追跡デバイスTD2と第2の基準点RP2との間の第2の視覚的接続TD2_RP2、及び第3の追跡デバイスTD3と第3の基準点RP3との間の第3の視覚的接続TD3_RP3をある時点で提供するための、第1の追跡デバイスTD1、第2の追跡デバイスTD2、及び第3の追跡デバイスTD3を備える。さらに、第2の追跡デバイスTD2は、第2の追跡デバイスTD2と第2のマーカ点MP2との間の第4の視覚的接続TD2_RM2を提供するように配置されている。第2の追跡装置TA2は、2つの追跡装置、すなわち、第4の追跡デバイスTD4と第1のマーカ点MP1との間の第5の視覚的接続TD4_MP1を提供するための第4の追跡デバイスTD4、及び第5の追跡デバイスTD5と第2のマーカ点MP2との間の第6の視覚的接続TD5_MP2を提供するための第5の追跡デバイスTD5を備える。さらに、第5の追跡デバイスTD5は、第5の追跡デバイスTD5と第2の基準点RP2との間の第7の視覚的接続TD5_RP2を提供するように配置されている。
【0052】
図2の実施例では、2つの追跡装置、すなわち、基準点RP1、RP2、RP3の場所及び第2のマーカ点MP2の場所をある時点で追跡するための3つの追跡デバイスTD1、TD2、TD3を備えた第1の追跡装置TA1、並びにマーカ点MP1、MP2の場所及び第2の基準点RP2の場所をある時点で追跡するための2つの追跡デバイスTD4、TD5を備えた第2の追跡装置TA2が示されている。しかしながら、各追跡装置TA1、TA2は、それぞれの基準点RP1、RP2、RP3の場所及びマーカ点MP1、MP2の場所を追跡するための単一の追跡デバイスのみを備えることができる。さらに、測位システムは、基準点RP1、RP2、RP3、及びマーカ点MP1、MP2の場所を追跡するための1つ又は複数の追跡デバイスTDを有する単一の追跡装置のみを備えることができる。さらに、2つ以上の追跡装置TA、例えばTA1、TA2が、互いに対して既知の向き及び場所にある場合、これは、1つの追跡装置TA、及び2つ以上の追跡装置TA(TA1、TA2など)のすべての追跡デバイスTD(TD1、TD2、TD3、TD4、TD5など)を有する配置構成に対応し、これにより、TA1が、基準点RPのみを追跡するように管理し、TA2が、マーカ点MPのみを追跡するように管理する場合、取得されたすべてのデータの組合せによって、作業現場13内の機器の場所及び向きの決定が可能になる。
【0053】
追跡デバイスTD1、TD2、TD3、TD4、TD5は、追跡装置TAと少なくとも1つの基準点RPとの間の視覚的接続、及び/又は追跡装置と少なくとも1つのマーカ点MPとの間の視覚的接続を確立又は提供することが可能なデバイスである。一実施例によれば、追跡デバイスは、カメラ、ステレオカメラ、ライダ、又はタキメータである。
【0054】
カメラ及び/又はステレオカメラには、カメラ及び/若しくはステレオカメラに実質的に近いままである対象物、又は、作業現場13内で機械よりもカメラ及び/若しくはステレオカメラから実質的に遠くに位置する対象物などのカメラ及び/若しくはステレオカメラから遠い対象物への正確な視覚的接続をカメラ及び/又はステレオカメラが確立できるような焦点を有する、レンズ又は対物レンズが装備されてもよい。したがって、カメラ及び/又はステレオカメラは、追跡装置TAから実質的に遠くに位置する対象物にズーム効果を提供することが可能であってもよい。
【0055】
追跡装置TAの一実施例によれば、追跡装置TAは、カメラ又は何らかの他の追跡デバイスTDと、カメラ又は何らかの他の追跡デバイス用のベースBとを備え、これにより、追跡装置TAは、作業現場13内の地面での特定の固定位置に設置されてもよい。図7では、左側に、この種の追跡装置TAを概略的に示している。
【0056】
1つのカメラ又は何らかの他の追跡デバイスTD、追跡装置TAを使用して高い正確度を得るために、追跡される基準点RP及びマーカ点MPは、互いに遠くに離れているべきであり、且つ/又は追跡装置TAからあまり遠くに離れてはいけない。1つのカメラを使用する場合、平面を形成する少なくとも4つの基準点RP、及び同様に平面を形成する少なくとも4つのマーカ点MPが存在することが好ましい。2つのカメラを使用する場合、追跡装置TA内の3つ以上の追跡デバイスTDを使用すると、追跡装置TAと基準点RP及びマーカ点MPとの間の距離が長くなる可能性があり、追跡される基準点RP及びマーカ点MPの量が少なくなる可能性がある。言い換えれば、追跡デバイスTDが多いほど、追跡される基準点RPが多くなり、追跡されるマーカ点MPが多くなり、追跡装置TAと追跡される基準点RP及び追跡されるマーカ点MPとの間の距離が短くなり、正確度が高くなる。追跡される基準点RPの場所の互いの比較が正確度に影響することを考慮すると、同様に、追跡されるマーカ点MPの場所の互いの比較も正確度に影響する。好ましくは、いくつかの追跡デバイスTD、すなわち1つ又は複数の追跡デバイスを有する各追跡装置TAは、少なくとも1つの基準点RP及び少なくとも1つのマーカ点MPを常に追跡する。
【0057】
追跡装置TAの別の実施例によれば、追跡装置TAは、作業現場13の境界内で移動することが可能なベースを備えることができ、それにより、作業現場13内の追跡装置TAの位置を容易に変更することができる。この種の追跡装置TAは、例えば、2つ以上の追跡デバイスTDを備えたドローンでもよい。ドローンの制御ユニットは、ドローンが作業現場13の境界を超えないように構成されてもよい。作業現場13内の機械の場所及び向きの決定中、ドローンは静止していることが好ましい。代替として、ドローンは、機械の位置及び向きの要求された正確度に関する閾値レベルを超えてはならない場合にのみ、静止していてもよい。
【0058】
追跡装置TAのベースBは調整可能であってもよく、それにより、追跡装置TAの位置合せが、ベースBの位置合せを調整することによって調整されてもよい。したがって、測位システムPSの一実施例によれば、追跡デバイスTDのうちの少なくとも1つは、調整可能ベース上に設置されてもよい。追跡デバイスTDの調整可能ベースにより、ベースBの配向が可能になり、それにより、例えば、機械が作動する領域及び/又は最も近い基準点RPの場所を考慮することによって、追跡デバイスTDの向きを都合よく調整することができる。
【0059】
測位システムの一実施例によれば、追跡装置TAは、調整可能ベースB上の追跡デバイスTDのそれぞれの追跡装置TAに対する向きに関するデータを取得するための手段を備える。追跡装置TAに対する追跡デバイスTDの向きが分かると、機械の位置及び向きを正確に決定することができる。ベースBの調整は、自動化又は遠隔制御されてよいが、手動で動作されてもよく、それにより、ベースBの向きを示すための目盛分割、例えば、5~15度ごとに回転方向に選択可能な取付点があってもよい。
【0060】
測位システムPSは、少なくとも1つの位置決定ユニットPDU(position determination unit)、すなわち1つ又は複数の位置決定ユニットPDUをさらに備える。位置決定ユニットPDUは、少なくとも1つの追跡装置TAによって取得されたデータを受信するための受信手段を備える。少なくとも1つの追跡装置TAによって取得されたデータは、基準点RP及びマーカ点MP、並びに追跡装置TAに対するそれらの相対的な場所、すなわち、検出している追跡装置TAの場所に対して相対的に識別される基準点RPの場所及びマーカ点MPの場所を識別するための識別データを含み、識別データは、作業現場座標系WCS内の各特定の基準点RP及び機械座標系MCS内の各特定のマーカ点MPを、追跡装置TAに対する相対的な各基準点RP及び各マーカ点MPのそれぞれの場所データに関連付ける。
【0061】
追跡装置の場所に対する相対的な場所は、例えば、追跡装置の座標系内の3次元座標である。代替として、場所は、作業現場座標系WCS内の3次元座標及び/又は機械座標系MCS内の3次元座標でもよい。
【0062】
位置決定ユニットPDUは、受信したデータに少なくとも部分的に基づいて、すなわち、追跡装置TAによって取得されたデータに少なくとも部分的に基づいて、作業現場座標系WCS内の機械の場所及び向きを決定するための決定手段をさらに備える。機械に固定された利用可能な機械座標系MCSがある場合、機械によって実行される作業タスクを実装するために、作業現場座標系WCS内の機械の場所及び向きは、機械座標系MCS内の作業現場の場所及び向きに変換されてもよい。
【0063】
少なくとも1つの位置決定ユニットPDUは、ハードウェアとソフトウェアの組合せによって実装されてもよい。実装形態は、位置決定ユニットPDUに接続された他のデバイスと通信するための入力/出力ユニットと、位置決定ユニットPDUによって受信されたデータを処理するように構成されたコンピュータ・プログラムを実行することができるマイクロプロセッサ又は何らかの他の処理手段とを含む。実装形態は、位置決定ユニットPDUによって受信されたデータ及び/又は位置決定ユニットPDUから送信すべきデータを少なくとも一時的に記憶するための少なくとも1つのメモリ・ユニットを含んでもよい。
【0064】
少なくとも1つの位置決定ユニットPDUは、例えば、任意の有線若しくは無線ネットワークによって到達可能なコンピュータ、及び/又は機械、及び/又は少なくとも1つの追跡装置TA内に存在してもよい。位置決定ユニットPDUが任意の有線又は無線ネットワークによって到達可能なコンピュータ内に存在する場合、位置決定ユニットPDUの物理的な場所は自由に選択されてもよく、したがって位置決定ユニットPDUは、作業現場13の内側又は外側にあってもよい。位置決定ユニットPDUが機械内に存在する場合、位置決定ユニットPDUは、例えば、機械の制御ユニット11内に実装されてもよい。位置決定ユニットPDUが少なくとも1つの追跡装置TA内に存在する場合、追跡装置TAは、位置決定ユニットPDUの動作を実施するために必要な手段を備えるように構成される。
【0065】
少なくとも1つの位置決定ユニットPDUが、任意の有線若しくは無線ネットワークによって到達可能なコンピュータ内若しくは少なくとも1つの追跡装置TA内に存在するか、又は少なくとも1つの位置決定ユニットPDUが、機械の制御ユニット内に存在しない場合、機械は、機械の場所及び向きに関するデータを取得する、制御ユニット11などの少なくとも1つの制御ユニットを備え、制御ユニットは、制御ユニットが作業現場13内の機械の決定された場所及び向きを受信する元となる少なくとも1つの位置決定ユニットPDUを選択するように構成される。
【0066】
一実施例によれば、少なくとも1つの位置決定ユニットPDUは、機械によって取得されたデータを受信するための受信手段を含む。機械によって取得されたデータは、例えば、少なくとも1つのセンサSM(図1)によって取得されたデータ、すなわち、機械の位置及び/又は向き及び/又は傾斜及び/又は方位を決定するために機械に設置される可能性のある1つ又は複数のセンサSMによって取得されたデータに関するものでもよい。機械に設置される可能性のある1つ又は複数のセンサSMについては、後で詳細に説明する。
【0067】
作業現場13内の機械の場所及び向きが決定されると、少なくとも1つのマーカ点MPが機械上に配置され、少なくとも1つの基準点RPが作業現場13内に配置される。方法は、追跡装置TAに対する基準点RPの場所を追跡することによって、また追跡装置TAに対するマーカ点MPの場所を追跡することによってデータを取得するために、作業現場13内に少なくとも1つの追跡装置TAを配置することをさらに含む。追跡装置TAによって取得されたデータは、追跡装置TAから位置決定ユニットPDUに送信される。位置決定ユニットPDUは、追跡装置TAから受信した取得データに少なくとも部分的に基づいて、作業現場13内の機械の場所及び向きを決定する。図4は、作業現場13内の機械の場所及び向きを決定するための方法の一実施例の概略図である。
【0068】
作業現場13への追跡装置TAの設置は、追跡装置TAを作業現場13内に配置することによってのみ実施されてもよく、その後、追跡装置TA自体が、作業現場13内の少なくとも1つの基準点RP及び少なくとも1つのマーカ点MPを追跡するか又は見つけ、作業現場13内の少なくとも1つの基準点RP及び少なくとも1つのマーカ点MPの場所に関するデータを取得してもよい。したがって、一般に知られているタキメータ又は同様のデバイスとは異なり、追跡装置TAを作業現場13に正確に調整又は配置する必要はない。
【0069】
基本的に、追跡装置TAは、追跡装置TAの動作範囲内にあるすべての基準点RP及びマーカ点MPを見つけるように構成される。作業現場13内に設定された基準点RP又はマーカ点MPがない場合、追跡装置TAは、少なくとも1つの基準点RPから及び/又は少なくとも1つのマーカ点MPからデータを取得することはできず、したがって、少なくとも1つの基準点RP及び/又は少なくとも1つのマーカ点MPの場所に関するそれぞれのデータを提供しない。追跡装置TAが作業現場13に配置されており、基準点RP及び/又はマーカ点MPを識別できない場合、追跡装置は、任意の知られている手段によってそれを信号で伝えてもよい。また、追跡装置は、任意の知られている手段によって、現在の場所から識別できる基準点及び/又はマーカ点MPの数を信号で伝えてもよい。したがって、作業現場に追跡装置TAを配置している人は、追跡装置TAを配置している場所の種類に関するフィードバックを得てもよい。フィードバックは、追跡装置TAの現在の位置によって到達可能な正確度レベルを示してもよい。
【0070】
追跡装置TAが機械の場所及び向きを決定する際の支援を開始するための最小要件は、少なくとも1つの基準点RPを識別して追跡装置に対するその場所を追跡し、少なくとも1つのマーカ点MPを識別して追跡を識別して追跡装置に対するその場所を追跡し、追跡した基準点RPの識別及び追跡したマーカ点MPの識別に関するデータ、並びに追跡装置に関するそれらの追跡した場所を、少なくとも1つの位置決定ユニットPDUに送信することである。最小要件が満たされない場合、追跡装置TAはそれを示してもよい。
【0071】
さらに、位置決定ユニットPDUは、追跡装置TAによって位置決定ユニットPDUに送信されるすべての情報に加えて、作業現場座標系WCS内で識別された基準点RPの場所情報を取得し、機械座標系MCS内で識別されたマーカ点MP場所の場所情報を取得する必要がある。作業現場座標系WCS内の基準点RP及び機械座標系MCS内のマーカ点MPに関する場所情報は、任意の知られている方法で位置決定ユニットPDUによって受信されてもよい。
【0072】
機械の場所及び向きの決定を開始するために、位置決定ユニットPDUは追加情報を必要とする場合がある。必要な追加情報は、位置決定ユニットPDUが追跡装置TAから受信する情報の量に依存する。
【0073】
したがって、追跡装置TAの配置に関して、追跡装置TAは、少なくとも1つの基準点RP及び少なくとも1つのマーカ点MPを識別できるように配置される必要がある。追跡装置TAを配置する人は、機械がまだ作業現場13に到着していないことを認識している可能性があるので、追跡装置TAがマーカ点MPを見つけることができないと通知した場合、その人はその情報を無視してもよい。或いは、何らかの一時的な障壁により、追跡装置TAが1つ又は複数の基準点RPを識別できず、追跡装置TAが基準点RPを識別できない状況につながる場合、人はその情報を無視し、一時的な障壁が取り除かれた後にのみ追跡が開始できることを認識してもよい。
【0074】
測位システムPSの一実施例によれば、少なくとも1つの追跡装置TAは、追跡装置TAの位置及び/又は向き及び/又は傾斜及び/又は方位を決定するための、少なくとも1つのセンサSTA(図7)、すなわち1つ又は複数のセンサSTAを備える。追跡装置TAの位置及び/又は向き及び/又は傾斜及び/又は方位に関する情報を含むデータもまた、追跡装置TAによって取得されたデータであると見なされ、それにより、追跡装置によって取得されて位置決定ユニットPDUに通信されるデータは、追跡装置TAの位置及び/又は向き及び/又は傾斜及び/又は方位に関する情報を含むデータも含んでよい。
【0075】
測位システムPSの一実施例によれば、機械は、機械の位置及び/又は向き及び/又は傾斜及び/又は方位を決定するための、少なくとも1つのセンサSM(図1)、すなわち1つ又は複数のセンサSMを備える。機械内のセンサには、機械の作業工具の向きの決定に関するセンサも含まれ得る。この実施例の効果は、例えば、機械と少なくとも1つの基準点RP及び/又はマーカ点MPとの間に発生する障害物が原因で、追跡装置TAと、作業現場13内の少なくとも1つの基準点RP及び/又は機械内の少なくとも1つのマーカ点MPとの間の視覚的通信が欠如している場合、機械は、それでもなお、機械の少なくとも1つのセンサSMによって取得された情報によって、少なくともしばらくの間その動作を継続できることである。機械は、例えば、追跡装置TAと少なくとも1つの基準点RP及び/又はマーカ点MPとの間に障害物が発生する前に位置決定ユニットPDUによって既に決定されたその現在の状態に留まり、機械に対する相対的な作業工具の位置を引き続き決定又は追跡してもよい。機械がその動作を継続することが可能であり得る期間は、現在のタスクに必要とされる正確度、並びに機械と少なくとも1つの基準点RP及び/又は少なくとも1つのマーカ点MPとの間に障害物が発生する前に追跡装置TAによって取得されたデータに依存する場合がある。この期間は、同様に、機械内の少なくとも1つのセンサSMがどれ程正確であるか、及びセンサSMがいくつあるかにも依存する。機械内のセンサが機械の作業工具の向きの決定に関するセンサも含み得ることに関連する別の効果は、1つ又は複数のマーカ点MPが、例えば、機械座標系MCSの原点が位置する機械の一部に固定的に連結されていない場所に存在する場合、位置決定ユニットPDUが、その場所が機械座標系MCSに対してどのように方向付けられたかに関する情報、又は追跡の正確な時間における機械座標系MCS内の問題としているマーカ点MPの場所に関する情報を必要とすることである。この種の場所は、例えば、図1のMP2が存在する掘削機1のブーム5から見つけることができる。
【0076】
機械内及び/又は追跡装置TA内の1つ又は複数のセンサは、ジャイロスコープ、加速度計、傾斜計、磁気コンパス、衛星ベースのコンパス、角度センサ、位置センサ、振り子、水準測定装置(spirit level measuring device)、並びに、対象物及び/又は互いに取り付けられた1つ又は複数の対象物のうちの少なくとも1つの位置、場所、及び向きのうちの少なくとも1つを決定するという目的に適した、カメラ・センサ、レーザ受信機/検出器、又はライダなどの任意の他のセンサ、のうちの少なくとも1つでもよい。図8は、これらのセンサのいくつかを概略的に示す。例えば、掘削機1について考察する場合、本明細書における対象物という用語は、ブーム5、そのブーム部位5a、5b、及びバケット7などの作業工具を指す。掘削機1において、センサは、好ましくは、下部キャリッジ2a及び上部キャリッジ2bの相互の向き、並びにブーム5及び/又はその部位5a、5b、及びバケット7などの作業工具の、下部キャリッジ2a及び上部キャリッジ2bに対する相対的な向きを決定することが可能であるような方法で選択されることが好ましい。例えば、掘削機1について考察する場合、本明細書における対象物という用語は、追跡装置TA内の追跡デバイスTDの相互の向き、並びに追跡デバイスTD及びその可能なベースBの相互の向きを指す。
【0077】
一実施例によれば、追跡装置TAはさらに、追跡装置TAの安定性に関するデータを取得する。追跡装置の安定性は、追跡装置によって取得されたデータの信頼性を表す。
【0078】
追跡装置TAの安定性に関するデータを取得するための一実施例によれば、追跡装置TAは、追跡装置TAの安定性を決定するための少なくとも1つのジャイロスコープ及び/又は少なくとも1つの加速度計を備える。少なくとも1つのジャイロスコープ及び/又は少なくとも1つの加速度計は、例えば、追跡装置TAの揺動又は振動を決定するために使用されてもよく、追跡装置TAの揺動又は振動の量は、追跡装置TAの安定性を示し、この安定性が、追跡装置TAによって取得されたデータの正確度を表す。
【0079】
追跡装置TAの安定性に関するデータを取得するためのさらなる実施例によれば、追跡装置TAの安定性は、少なくとも1つの基準点RPに関する追跡装置TAによって取得されたデータから連続して観察されてもよい。このような一実施例によれば、位置決定ユニットPDUは、例えば、追跡装置TAによって取得されたデータの変動を決定するように構成されてもよく、変動が顕著である場合、すなわち作業を実行するために必要とされる正確度よりも高い場合、基準点RP及び追跡装置TAの少なくとも一方が揺動又は振動していると仮定することができ、それにより、追跡装置TAによって取得されたデータの正確度が予想よりも低くなる可能性がある。顕著であることは、必要とされる現在の正確度に依存する可能性がある。特定の作業タスクの正確度は、例えば、作業現場13に対して設定されたビルディング・インフォメーション・モデル(BIM:building information modelモデル)において設定されてもよい。位置決定ユニットPDUは、例えば、ミリメートル及び/又は度で変動レベルを示してもよく、オペレータは、それを正確度の低下として考慮に入れてもよい。代替として、PDUは、追跡装置TAによって取得されたデータを分析し、オペレータに変動の原因を示してもよい。
【0080】
一実施例によれば、追跡装置TAの追跡状態が、決定する対象になる。追跡装置TAの追跡状態は、追跡装置TAの現在の優勢な動作状態を表す。追跡装置TAの追跡状態は、追跡装置TAによって取得されたデータに基づいて決定されてもよい。追跡装置TAの動作は、少なくとも、優勢な状態の一段階ずつ、アクティブ、追跡、ポジティブ、保留、及び休止という状態を含んでもよい。図9は、追跡装置TAのいくつかの可能な追跡状態を概略的に示す。
【0081】
追跡装置TAがアクティブ状態にあるとき、追跡装置TAは、基準点RP及びマーカ点MPの場所を追跡することによってデータを取得し、取得したデータを位置決定ユニットPDUに送信する。ただし、追跡装置TAは、取得したデータの正確度、信頼性、又は妥当性についてのいかなる指標も提供しない。
【0082】
追跡装置TAが追跡状態にあるとき、追跡装置TAは、基準点RP及びマーカ点MPの場所を追跡することによってデータを取得するとともに、追跡装置TAに設置されたセンサSTAからデータを取得し、取得したデータを位置決定ユニットPDUに送信する。さらに、追跡装置TAは、例えば、上記で開示されたように、決定した正確度、及び/又は取得したデータの量に基づいて、追跡装置TAが作業現場座標系WCS内の任意の種類の点及び/又はスポットを正確に、すなわち正しく十分に追跡することが可能であることを能動的に認識する。代替として、追跡装置TAに設置されている(上記で開示された)センサSTAの量及び種類に基づいて、追跡装置TAが追跡状態にあると見なすことが可能であるように各状況で追跡できる基準点RP及び/又はマーカ点MPの最小量が決定されてもよい。したがって、少なくとも最小量の基準点RP及び/又はマーカ点MPが追跡される場合、追跡装置は追跡状態にあり、そうでない場合は何らかの他の状態にある。
【0083】
追跡装置TAがポジティブ状態にあるとき、追跡装置TAは、基準点RP及びマーカ点MPの場所を追跡することによってデータを取得し、取得したデータを位置決定ユニットPDUに送信する。また、追跡装置TAは、追跡装置TAが正しく動作していることを認識するが、いくつかの理由により、追跡装置TAの正しい動作を確認することができない。理由の1つは、追跡状態にある間、追跡される基準点RPの最小量が満たされていないが、例えば、追跡される基準点RPが最小量を下回った状況の後に、追跡装置TAに設置されたセンサが、追跡装置TAの安定性がより低いレベルに変化していないことを確認できることである可能性がある。この種の状況に対する理由は、例えば、1つ又は複数の追跡される基準点RPと追跡装置TAとの間を人物が歩いていることである可能性がある。この種の状況が長すぎる場合、追跡状態はアクティブ状態であるか、又は、例えば誰かが追跡装置TAに接近して追跡装置TAを停止させたと見なされる。
【0084】
追跡装置TAが休止状態にあるとき、追跡装置TAは、動作の休止中である。例えば、追跡装置TAが停止された可能性がある。
【0085】
追跡装置TAが保留状態にあるとき、追跡装置TAは、その動作を初期化し、その状態を休止状態から追跡状態又はアクティブ状態に変更している。
【0086】
一実施例によれば、追跡装置TAは、その追跡状態を決定するように構成され、追跡装置TAは、追跡状態及び/又は追跡状態の変化を位置決定ユニットPDUに送信するようにさらに構成される。したがって、追跡装置TAは、その状態を識別し、状態情報を送信するために必要なデータ処理手段を備えてもよい。
【0087】
一実施例によれば、機械の場所ベースの特徴の利用可能性は、追跡状態に依存する。この実施例によれば、追跡装置TAの追跡状態によっては、機械に利用可能な位置データが全くないか、又は位置データが高精度を必要とする作業タスクに対して十分ではない可能性があり、それにより、必要な正確度が現在の利用可能な正確度を超える位置データを利用する必要がある作業タスクを実行することはできないが、依然として、利用可能な現在の正確度以下の正確度を必要とする何らかの他の作業タスクを実行できる場合がある。また、一部の作業タスクは、最小レベルの正確度で高い確実性を必要とする場合があり、したがって、追跡状態が追跡でない場合、これらの作業タスクは使用できない場合がある。或いは、機械が、位置決定ユニットPDUを支援する多くのセンサSMを有する場合、少なくとも、例えば少し前の期間の状態が追跡だった場合、アクティブ及びポジティブの追跡状態でも十分である可能性がある。
【0088】
一実施例によれば、作業現場座標系WCS内の任意の種類の点及び/又はスポットを正確に追跡できる追跡正確度のレベルに到達する追跡装置TAの追跡状態は、a)追跡装置TAに対する少なくとも3つの基準点RPを追跡することによってデータを取得すること、b)追跡装置TAの傾斜に関するデータを取得することに加えて、追跡装置TAに対する1つから2つの基準点RPを追跡することによってデータを取得すること、及びc)追跡装置TAに対する少なくとも4つの衛星の場所を決定することによってデータを取得することのうちの少なくとも1つによって決定されてもよい。
【0089】
したがって、一実施例によれば、作業現場座標系WCS内の任意の種類の点及び/又はスポットを正確に追跡できる追跡正確度のレベルに到達する追跡装置TAの追跡状態は、追跡装置TAに対する少なくとも3つの基準点RPを追跡することによってデータを取得することによって決定されてもよい。これらの基準点は、3次元で観察される1本の線上にあってはならない。基準点RPが3次元空間の1本の線から離れるほど、正確度が向上する。追跡装置TAが追跡装置TAの傾斜を決定するためのセンサSTAを備えていない場合、作業現場座標系内の機械を追跡できるレベルに到達するために必要なデータが利用可能であるように、3次元空間の1本の線上にない少なくとも3つの基準点RPが必要である。上記で説明したように、この状態を、追跡と名付けることができる。
【0090】
追跡装置TAに対する少なくとも3つの基準点RPを追跡することによってデータを取得すること加えて、又はその代替として、作業現場座標系WCS内の任意の種類の点及び/又はスポットを正確に追跡できる追跡正確度のレベルに到達する追跡装置TAの追跡状態は、追跡装置TAの傾斜及び追跡装置TAから北への方向のうちの少なくとも一方に関するデータを取得することに加えて、追跡装置TAに対する2つの基準点RPを追跡することによってデータを取得することによって決定されてもよい。したがって、この実施例では、追跡装置TAの傾斜情報及び/又は追跡装置TAから北への方向は、例えば上記で説明したような何らかの手段によって取得され、それにより、作業現場座標系WCS内の機械を追跡できるレベルに到達する追跡装置TAの追跡状態を決定するには、2つの基準点RPのみの追跡で十分になる。
【0091】
2つの基準点RPを追跡するのに追跡装置TAの傾斜が使用される場合、基準点が、地球の重力場に対して上下に又は平行に存在してはならず、基準点がその状態の場合、北への方向は未解決のままであることに留意されたい。したがって、この場合、基準点が上下にある状態から離れる(角度で測定される)ほど、又は垂直であるほど、正確度が向上する。
【0092】
さらに、2つの基準点RPを追跡するのに追跡装置TAから北への方向が使用される場合、基準点は、地球から同じ高さ、すなわち地球の重力場に対して同じ平面に存在してはならならず、基準点がその状態の場合、追跡装置TAの傾斜は未解決のままであることに留意されたい。したがって、この場合、基準点RPが地球から同じ高さにある、すなわち地球の重力場に対して同じ平面にある状態から離れている(角度で測定される)ほど、又は平行であるほど、正確度が向上する。
【0093】
追跡装置TAに対する少なくとも3つの基準点RPを追跡することによってデータを取得すること、並びに/若しくは、追跡装置TAの傾斜及び追跡装置TAから北への方向のうちの少なくとも一方に関するデータを取得することに加えて、追跡装置TAに対する2つの基準点RPを追跡することによってデータを取得すること、に加えて、又はその代替として、作業現場座標系WCS内の任意の種類の点及び/又はスポットを正確に追跡できる追跡正確度のレベルに到達する追跡装置TAの追跡状態は、追跡装置の傾斜に関するデータを取得すること、及び追跡装置から北への方向に関するデータを取得することに加えて、追跡装置TAに対する1つの基準点RPを追跡することによってデータを取得することにより決定されてもよい。したがって、この実施例では、追跡装置TAの傾斜情報及び追跡装置TAから北への方向は、例えば上記で説明したような何らかの手段によって取得され、それにより、作業現場座標系WCS内の機械を追跡できるレベルに到達する追跡装置TAの追跡状態を決定するためには、1つの基準点RPのみの追跡で十分である。
【0094】
追跡装置TAに対する少なくとも3つの基準点RPを追跡することによってデータを取得すること、並びに/若しくは、追跡装置TAの傾斜及び追跡装置TAから北への方向のうちの少なくとも一方に関するデータを取得することに加えて、追跡装置TAに対する2つの基準点RPを追跡することによってデータを取得すること、並びに/若しくは、追跡装置の傾斜に関するデータを取得すること、及び追跡装置から北への方向に関するデータを取得することに加えて、追跡装置TAに対する1つの基準点RPを追跡することによってデータを取得すること、に加えて、又はその代替として、作業現場座標系WCS内の任意の種類の点及び/又はスポットを正確に追跡できる追跡正確度のレベルに到達する追跡装置TAの追跡状態は、追跡装置TAに対して少なくとも4つの衛星の場所を決定することによってデータを取得することにより決定されてもよい。この実施例では、追跡装置TA内の少なくとも2つのアンテナ12が、追跡装置TAに対する少なくとも4つの衛星の場所を決定する。図7では、右側に、2つのアンテナ12を備えた追跡装置TAを概略的に示している。衛星が4つ未満の場合、追跡装置TAが3つ以上のアンテナ12を備えない限り、取得データは正確な情報を提供しない。この実施例では、作業現場内のすべての機械に少なくとも2つのアンテナ12を装備する代わりに、追跡装置TAが、少なくとも2つのアンテナ12を装備していてもよい。さらに、追跡装置TAが少なくとも2つのアンテナ12を装備しているこの実施例に関して、少なくとも2つのアンテナ12のうちの少なくとも一方は、作業現場13内に存在してもよい。この実施例では、作業現場13内に存在するアンテナ12は、例えば、追跡装置TAの追跡デバイスTDのうちの少なくとも1つを使用することによって、追跡装置TAに対して関して光学的に配置される必要がある。
【0095】
追跡装置TAが作業現場座標系WCS内の機械を追跡できるレベル、すなわち追跡状態に到達することに関する上述の実施例によれば、そのレベルに到達した後、どの時点においても最小要件が満たされているとは限らないが、追跡装置TAがその安定性を維持していると追跡装置TAが判断できる場合、レベルはそのままであってもよい。同様に、上述の実施例によれば、追跡状態が変化したかどうか、又は追跡状態が保留状態若しくは休止状態にあるかどうかを検出することが可能である。
【0096】
一実施例によれば、追跡装置TAに対する1つ又は複数の基準点RPの場所を追跡することによってデータを取得することは、半自動的に及び/又は自動的に1つ又は複数の基準点RPの初期の場所を識別することを伴う。
【0097】
1つ又は複数の基準点RPの初期の場所が半自動的に識別されると、オペレータ10は、作業現場13で少なくとも1つの基準点RPを見つけ、追跡装置TAを少なくとも1つの基準点に焦点を合わせるように誘導する。代替として、オペレータ10は、追跡装置TAを少なくとも1つの基準点RPを含む領域に向けてもよく、追跡装置TA自体が、作業現場13で少なくとも1つの基準点RPを識別し、少なくとも1つの基準点RPに焦点を合わせる。オペレータ10は、例えば、基準点RPのメニュー又はデータベース内で少なくとも1つの基準点RPを選択して、特定の少なくとも1つの識別された基準点RPとしてもよく、又は測位システムPS自体が、基準点RPのメニュー又はデータベース内で少なくとも1つの基準点RPを識別する。基準点RPのメニュー又はデータベースは、例えば、クラウド・サービスから掘削機1の制御ユニット11の中へ取り出されてもよく、それにより、これらは、少なくとも1つの位置決定ユニットPDUによって掘削機1から検索可能になる。
【0098】
1つ又は複数の基準点RPの初期の場所が自動的に識別されると、追跡装置TA自体が、作業現場13で必要な数の基準点RPを識別し、それらに作業現場情報を含むデータベース内の情報を割り当てる。
【0099】
1つ又は複数の基準点RPの初期の場所の半自動的及び/又は自動的な識別は、掘削機1の制御ユニット11によって、及び/又は追跡装置TAによって、及び/又は位置決定ユニットPDUによって制御されてもよい。1つ又は複数の基準点RPの初期の場所の識別は、位置決定ユニットPDUが正しく動作できるように、基準点RPを位置決定ユニットPDUに個別化し、識別された各基準点RPに関する場所情報を検索するために実施される。作業現場13内の各基準点RPに関する場所情報は、無線若しくは有線のI/Oデバイスを使用して入力されてもよく、且つ/又は、作業現場コンピュータ、クラウド・サービス、及び/若しくは任意の有線若しくは無線ネットワークによって到達可能な任意のコンピュータ若しくはメモリ媒体などの任意の既知の場所から検索されてもよい。
【0100】
一実施例によれば、追跡装置TAはさらに、取得データに基づいて追跡装置TA自体の場所及び向きを決定し、追跡装置TAから少なくとも1つの位置決定ユニットPDUに送信される取得データは、少なくとも、追跡装置TAの場所及び向きのデータ、少なくとも3つのマーカ点MPに関する追跡データ、及び追跡装置TAの追跡状態を決定することができるデータを含む。追跡装置TAは、例えば上記に開示されたセンサを用いて、その場所及び向きを決定することが可能であってもよい。その後、位置決定ユニットPDUは、追跡装置から位置決定ユニットPDUに送信された取得データに基づいて、機械の場所及び向きを決定する。この実施例は、センサを1つも備えていないか、又は機械の位置及び向きを決定することに関する少数のセンサのみを中に備え、位置決定ユニットPDUを備える機械で使用するのに適している。機械、特にその中の位置決定ユニットPDUは、本明細書に開示された機能に基づいて、機械の場所及び向きを決定し、且つ決定された場所及び向きの正確度を決定することが可能なデータを十分に受信する。この実施例によれば、追跡装置TAは、それ自体の位置を事前に決定するので、その場所及び向きが決定されることに基づいて即座にデータについて認識する必要はない。さらに、この実施例によれば、追跡装置TAは、他の追跡装置TAへの一時的な基準点として使用されてもよい。この場合、一時的な基準点は、いくつかの一般的に知られている手段によって、一時的な基準点としていつ使用できるかを示すべきである。したがって、追跡装置は、少なくとも1つの一時的な基準点を含むそれぞれの一時的な基準マーカを含んでもよく、したがって、場所情報が利用可能であるべきであり、同様に、上記に開示された各基準点RPに関する場所情報も利用可能である。
【0101】
一実施例によれば、位置決定ユニットPDUはさらに、機械の決定された場所及び向きの正確度レベルを決定し、機械は、決定された正確度レベルに基づいて、次の選択肢、すなわち、a)現在の正確度レベルで選択され得る動作モードを有効にすること、b)現在の正確度レベルが、選択した機械の動作モードに関する閾値レベル未満及び/又は閾値レベルを下回っている状態であるかどうかをオペレータに示すこと、並びに、c)機械のより正確な場所及び向きを必要とする動作モードを無効にすること、のうちの少なくとも1つを提供する。この実施例によれば、機械の動作モード、すなわち機械の作業タスクは、機械で特定の作業タスクを実行するために必要な機械の場所及び向きの正確度に基づいて分類されてもよい。機械の現在の場所又は向きの正確度が、特定の作業タスクを実行するのに十分な高さではない場合、場所及び向きの正確度が十分に高くなるまで機械にその特定のタスクを実行させないか、又は、場所及び向きの正確度がこの作業タスクで必要な閾値レベルを超えていないため、その特定の作業タスクが記録されない、及び/又は完了したと見なされない可能性があることを、少なくともオペレータが通知されてもよい。取得された基準点RP及びマーカ点MPのデータが多いほど、場所の正確度は高いと見なされ、データが新しいほど、取得データの汎用性が高まる。場所の正確度は、同様に、上記で開示されているように、データが取得される基準点RP及びマーカ点MPが互いにどれだけ接近しているか、並びに、これらの基準点RP及びマーカ点MPの互いに対する場所、並びに、傾斜及び/又は北への方向など、どのようなセンサ情報が追加で利用可能であるかに依存する。
【0102】
基準点RP及びマーカ点MPに関する場所及び向きのデータがどちらも、追跡装置TAに実質的に近い場合、また追跡装置TAから実質的に遠くに離れている場合、取得された基準点RP及びマーカ点MPのデータは、汎用性がある。基準点RP及びマーカ点MPのデータを含む情報に加えて、測位の正確度は、機械及びその中のセンサから受信されるような機械の安定性及び傾斜に関する利用可能な情報に依存する場合がある。
【0103】
測位システムPSの一実施例によれば、少なくとも1つの追跡装置TAは、少なくとも1つのタキメータを備え、少なくとも1つのマーカ点MPは、タキメータによって検出され得るプリズム又はタグである。さらに、この実施例によれば、機械は、少なくとも1つのマーカ点MPに対して既知の位置にある少なくとも1つのジャイロスコープ及び/又は少なくとも1つの加速度センサを備え、少なくとも1つの位置決定ユニットPDUは、少なくとも1つのマーカ点MPに対する少なくとも1つのジャイロスコープ及び/又は少なくとも1つの加速度センサの位置に関するデータを受信するための、また、少なくとも1つのジャイロスコープ及び/又は少なくとも1つの加速度センサからデータを受信するための受信手段をさらに備える。機械内のジャイロスコープは、機械の向きの変化、状況によっては北への方向に関する情報を提供し、ジャイロスコープは、例えば、下部キャリッジ2aに対する上部キャリッジ2bの数回の回転によって、掘削機1の上部キャリッジ2bの向きを学習することが可能である。機械内の加速度センサは、地球の重力場の方向に関する情報、すなわち、機械の傾斜に関する情報を提供する。したがって、この実施例では、ジャイロスコープ及び/又は加速度センサからのデータも利用可能であり、このデータは、タキメータの動作サイクル間の機械の場所及び向きの変化を定義するために使用されてもよい。
【0104】
作業現場13内の機械の場所及び向きを決定するための方法の一実施例によれば、作業現場13には、少なくとも1つの基準点RPが配備され、方法は、追跡装置TAを機械上に設置することと、追跡装置TAを用いて、追跡装置TAに対する作業現場13内の少なくとも1つの基準点RPの場所を決定することによって機械を追跡することと、追跡に関するデータを追跡装置TAから位置決定ユニットPDUに送信することと、位置決定ユニットPDUによって、追跡装置TAから受信したデータに少なくとも部分的に基づいて作業現場13内の機械の場所及び向きを決定することとを含む。この実施例によれば、掘削機1などの機械自体に、追跡装置TAに対する作業現場13内の少なくとも1つの基準点RPの場所を決定することによって機械を追跡するように構成された追跡装置TAが設けられる。図10は、追跡装置TAが設けられた機械を伴う作業現場13の概略上面図であり、追跡装置TAの追跡デバイスTDと基準マーカRMの基準点RPとの間に、視覚的接続TD_RPがある。図11は、作業現場13内の機械の場所及び向きを決定するためのこの実施例による方法の概略図である。この実施例では、機械に再取り付けされた追跡装置TAが以前に取り付けられたときと同じ位置及び向きに存在することを検証する際、機械に設定されるように意図されたマーカ点MPが省略されてもよく、又は、機械座標系MCS内で既知の1つ又は複数のマーカ点MPが使用されてもよく、したがって、1日の作業後に追跡装置TAを取り外すことが可能になる。
【0105】
一実施例によれば、追跡デバイスTDは、ライダでもよく、ライダは、機械式ライダ又はソリッド・ステート式ライダでもよい。ソリッド・ステート式ライダの視野は機械式ライダと比べて狭いため、特定の用途に必要なソリッド・ステート式ライダの数は、機械式ライダの数よりも多くなる可能性がある。しかしながら、必要なソリッド・ステート式ライダの数が多くなる可能性がある場合、ソリッド・ステート式ライダの価格が機械式ライダの価格と比べて著しく低いことにより相殺されることになる。
【0106】
追跡デバイスTDがライダである場合、それぞれの基準点RPは、ライダが基準点RPを検出できるように選択される。基準点RPは、例えば、いくつかのボール、すなわち1つ又は複数のボールを含んでもよい。単一の基準マーカRMが基準点RPとして単一のボールを含む場合、作業現場13の異なる基準マーカRMは、他の基準マーカRMについて異なるサイズのボールを含んでもよく、これにより、各基準マーカRM及び対応する基準点RPは、他の基準マーカRM及びその中のそれぞれの基準点RPについて一意である。それぞれの基準点RPを形成するボールの直径は、例えば、5cm、10cm、15cm、…、又は2cm、4cm、6cm、8cm、…、又は3cm、6cm、9cm、12cm、…などであるように選択されてもよい。ボールのサイズ及びそれらの相互の直径の差は、作業現場13内の追跡デバイスTDと基準点RPとの間の実際の距離に基づいて選択されてもよい。
【0107】
一実施例によれば、作業現場13にいくつかの基準マーカ及びそれぞれの基準点RPがある場合、基準点RPがその他の基準点RPと区別され得るように各基準点RPを一意にするために、各基準点RPは、同じサイズであるが異なる配置構成のいくつかのボール、又は同じ若しくは異なる配置構成で異なるサイズのいくつかのボールを含んでもよい。
【0108】
一実施例によれば、作業現場13にいくつかの基準マーカRM及びそれぞれの基準点RPがある場合、各基準点RPをその他の基準点RPと区別するために、各基準点RPは、同じサイズのいくつかのボールと、それに加えて、異なるサイズのいくつかのボール、すなわち1つ又は複数のボールとを備えてもよい。基準点RPは、異なるサイズの1つ又は複数のボールの代わりに、基準点に適用されるコードによって互いに区別されてもよい。コードは、例えば、適切なセンサによって機械可読でもよく、又は、コードは、適切なメニュー若しくはデータベースに手動で格納されてもよく、それにより、作業現場13での特定の基準点RPの場所が、コードに基づいて決定されてもよい。基準点RPのコード及びそれぞれの基準点RPの場所は、測位システムPSが、最初に基準点を正常に測位した後でも実質的に中程度の正確度レベルで基準点を互いに区別することができるように測位システムPSに対して指示されてもよく、その測位システムPSの位置合せを変更するたびに基準点を再び測位する必要がなくなる。
【0109】
方法の一実施例によれば、機械に追跡装置TAが設けられ、方法は、機械座標系MCS内の追跡装置TAの場所及び向きを決定することによって追跡装置TAの追跡状態を初期化することをさらに含む。この実施例によれば、追跡装置TAは、追跡装置TAを機械上に設置し、追跡装置TAが機械に対するその相対的な位置を確認又は検証できるようにすることによって、導入されてもよい。
【0110】
方法の一実施例によれば、機械に追跡装置TAが設けられ、方法は、追跡装置TAから受信したデータによって達成される機械の場所及び向きに関する現在の正確度レベルを、位置決定ユニットPDUによって指示することをさらに含む。追跡装置TAから受信したデータによって達成される機械の場所及び向きに関する正確度レベルにより、正確度レベルが低い場合、正確度レベルが十分な高さではない限り、高い正確度レベルを必要とする作業タスクが実行されないか、又は実行が終了するようにさせてもよい。
【0111】
方法の一実施例によれば、機械に追跡装置TAが設けられ、方法は、達成されるべき、すなわち事前に決定された最小閾値レベルを超えるべき機械の場所及び向きに関する正確度レベルを決定することと、位置決定ユニットによって機械の場所及び向きに関するより高い正確度レベルの必要性を検出することと、位置決定ユニットによって、追跡装置から追加の追跡データを取得することとをさらに含む。この実施例によれば、達成されるべき機械の場所及び向きに関する正確度レベルは、機械によって実行すべき特定の作業タスクに基づいて、又はオペレータから提供された情報に基づいて、例えば、機械の制御ユニット、位置決定ユニットPDU、又は、例えばクラウド・サービス内若しくは作業現場内に存在するビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)モデルによって、例えば最小閾値レベルとして決定されてもよい。その後、位置決定ユニットPDUは、機械の場所及び向きに関するより高い正確度レベルの必要性を検出し、追跡装置TAから追加の追跡データを取得してもよい。追加の追跡データは、追跡装置TAから半自動的に及び/又は自動的に取得されてもよい。
【0112】
追跡装置TAから追加の追跡データを取得することは、追跡装置TAが少なくとも1つの基準点RPを検出する必要があることをオペレータ10に指示すること、追跡装置TAが別の基準点RPを検出する必要があることをオペレータに指示すること、及び追跡装置TAが少なくとも1つのさらなる基準点RPを検出する必要があることをオペレータに指示することのうちの少なくとも1つ提供するように位置決定ユニットPDUを構成することを含み、これによりオペレータは、その指示に従って機械を動作させてもよい。したがって、追跡装置TAから追加の追跡データの取得することは、追跡装置TAが基準点RPを検出できない場合に、少なくとも1つの基準点RPの場所及び向きから情報を検索すること、又は、追跡装置TAによって既に追跡されている基準点RPが、作業現場13内の機械の場所及び向きを十分に正確に決定するのに十分な情報を提供できない場合に、少なくとも1つの追加の基準点RPの場所及び向きから情報を検索することを含む。
【0113】
追跡装置TAから追加の追跡データを半自動的に取得するための方法の一実施例によれば、追跡装置TAの機械上への設置は、調整可能ベースB上の機械上に追跡装置TAを設置することを含み、これによりオペレータ10は、位置決定ユニットPDUから受信した指示に従って調整可能ベースBを動作させてもよく、調整可能ベースBの各動作の後、機械座標系MCS内で追跡装置TAの場所及び向きを決定することによる追跡装置TAの追跡状態の初期化が行われる。この実施例によれば、オペレータ10は、調整可能ベースBを動作させることによって追跡装置TAを調整して、追跡装置TAによって追跡されることを意図した少なくとも1つの基準点RPを見つけるか、又は位置特定してもよい。
【0114】
追跡装置TAから追加の追跡データを自動的に取得するための方法の一実施例によれば、追跡装置TAの機械上への設置は、調整可能ベースB上の機械上に追跡装置TAを設置することを含み、追跡装置TAからの追跡データは、追跡装置TA及び位置決定ユニットPDUのうちの少なくとも一方によって調整可能ベースBを制御することによって自動的に取得される。この実施例によれば、追跡装置TA及び位置決定ユニットPDUのうちの少なくとも一方は、追跡装置TAが、追跡されることを意図した少なくとも1つの基準点RPを見つけるか、又は位置特定できるように、調整可能なベースBを調整するように構成される。
【0115】
方法の一実施例によれば、機械に追跡装置TAが設けられ、方法は、1つ又は複数の追加の追跡装置TAを作業現場13に設置し、機械に、機械座標系MCS内で既知の少なくとも1つのマーカ点MPを配備することと、1つ又は複数の追加の追跡装置TAによって、それぞれの1つ又は複数の追加の追跡装置TAに対する基準点RP及びマーカ点MPの場所を追跡することによってデータを取得することと、取得したデータを1つ又は複数の追加の追跡装置TAから少なくとも1つの位置決定ユニットPDUに送信することと、位置決定ユニットPDUによって、追跡装置及び1つ又は複数の追加の追跡装置のうちの少なくとも1つから受信したデータに少なくとも部分的に基づいて、作業現場座標系WCS内の機械の場所及び向きを決定することとをさらに含む。言い換えれば、この実施例では、1つ又は複数の追加の追跡装置TAは、作業現場13に設置され、1つ又は複数の追加の追跡装置TAによって追跡されることを意図した少なくとも1つのマーカ点MPは、機械に設置される。図12は、第1の追跡装置TA1を備えた機械と、第2の追跡装置TA2を備えた作業現場13とを伴う、作業現場13の概略上面図であり、機械上に設置された第1の追跡装置TA1内の第1の第1の追跡デバイスTD1と、作業現場13内の基準マーカRMにある基準点RPとの間に、視覚的接続TD1_RPがあり、作業現場13内に設置された第2の追跡装置TA2内の第2の追跡デバイスTD2と、機械内に設置されたマーカMAにあるマーカ点MPとの間に、視覚的接続TD2_MPがあり、作業現場13内に設置された第2の追跡装置TA2内の第2の追跡デバイスTD2と、作業現場13内の基準マーカRMにある基準点RPとの間に、TD2_RPがある。
【0116】
1つ又は複数の追加の追跡装置TAを含む方法の一実施例によれば、機械座標系MCS内の追跡装置TAの場所及び向きの決定は、追加の追跡装置TAのうちの1つを使用して決定されてもよい。この実施例によれば、機械内に設置された追跡装置TAの場所及び向きの決定は、追加の追跡装置TAのうちの1つを使用して、機械座標系MCS内で決定されてもよい。
【0117】
掘削機1は、作業現場内の機械の場所及び向きを決定するための解決策と関連して利用され得る移動式土木機械の一実例である。このような掘削機に加えて、本明細書に開示される測定配置構成は、例えば、移動式クレーンの残りの部分に対して回転するように配置されたキャリッジ部分を備える移動式クレーンにおいても利用することができ、回転可能なキャリッジ部分は、吊り上げブームと、クレーンの作業工具を提供するブームの遠位端にあるフックとを備える。作業現場内の機械の場所及び向きを決定するための解決策は、移動式クレーンにおいても実質的に同様である。掘削機及び移動式クレーンに加えて、やはり開示された解決策を利用できる他の機械は、例えば、ブルドーザ、ホイールローダ、ローラ、バックホー、ダンプトラック、フォワーダ、収穫機などである。
【0118】
技術が進歩するにつれて本発明の概念が様々な方法で実施され得ることは当業者には明らかであろう。本発明及びその実施例は、上記の実例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で変更されてもよい。
【符号の説明】
【0119】
1 掘削機
2 キャリッジ
2a 下部キャリッジ
2b 上部キャリッジ
3 回転アクスル
4 回転軸
5 ブーム
5a 第1のブーム部位
5b 第2のブーム部位
6 ジョイント
7 バケット
8 ジョイント
9 制御キャビン
10 オペレータ
11 制御ユニット
12 アンテナ
13 作業現場
WCS 作業現場座標系
MCS 機械座標系
RM 基準マーカ
RP 基準点
MA マーカ
MP マーカ点
SM センサ
TA 追跡装置
TD 追跡デバイス
B ベース
STA センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12