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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】乳酸センサー及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/327 20060101AFI20230413BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20230413BHJP
   A61B 5/1473 20060101ALI20230413BHJP
   A61B 5/1486 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
G01N27/327 353A
G01N27/327 353B
G01N27/327 353R
G01N27/416 336H
A61B5/1473
A61B5/1486
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020553518
(86)(22)【出願日】2019-02-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-05
(86)【国際出願番号】 US2019017608
(87)【国際公開番号】W WO2019203918
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-11-09
(31)【優先権主張番号】62/659,759
(32)【優先日】2018-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/659,761
(32)【優先日】2018-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/259,157
(32)【優先日】2019-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/797,566
(32)【優先日】2019-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500211047
【氏名又は名称】アボット ダイアベティス ケア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT DIABETES CARE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】チェン、クァン-チョウ
(72)【発明者】
【氏名】オーヤン、ティエンメイ
(72)【発明者】
【氏名】オージャ、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】フェルドマン、ベンジャミン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】トラン、ラム
(72)【発明者】
【氏名】エシュー、マーク
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0315077(US,A1)
【文献】特表2006-512571(JP,A)
【文献】特表2017-534327(JP,A)
【文献】特表2010-517054(JP,A)
【文献】特表2005-520172(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0132525(US,A1)
【文献】特表2001-520367(JP,A)
【文献】特表2010-530790(JP,A)
【文献】特表2013-543405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26-27/49
A61B 5/145-5/1495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体センサーにおいて、
作用電極上に活性領域が設けられている、前記作用電極であって、前記活性領域は、ポリマーと、アルブミンと、前記ポリマーに共有結合した乳酸応答性酵素とを含む、作用電極と、
前記作用電極上の少なくとも前記活性領域を覆うマストランスポートリミテーション膜とを備え、
前記乳酸応答性酵素と前記アルブミンとが、重量比で5:1から1:5の範囲内で存在し、
前記マストランスポートリミテーション膜が多成分膜からなり、前記多成分膜が架橋ポリビニルピリジンホモポリマー又はコポリマー及び少なくとも1つの第2の架橋ポリマーを含む、検体センサー。
【請求項2】
前記アルブミンがヒト血清アルブミンからなる、請求項1に記載の検体センサー。
【請求項3】
前記乳酸応答性酵素が乳酸オキシダーゼからなる、請求項1に記載の検体センサー。
【請求項4】
前記活性領域が、前記作用電極上に配置された複数の感知スポットを含む、請求項1に記載の検体センサー。
【請求項5】
前記多成分膜が、架橋ポリビニルピリジンホモポリマーを含む第1のポリマーと、架橋ポリビニルピリジンコポリマーを含む第2のポリマーとからなり、又は第1の架橋ポリビニルピリジンコポリマーを含む第1のポリマーと、第2の架橋ポリビニルピリジンコポリマーを含む第2のポリマーとからなる、請求項に記載の検体センサー。
【請求項6】
前記多成分膜が2層膜からなり、前記2層膜がポリビニルピリジンホモポリマー又はコポリマーを含む第1の層と、第2の架橋ポリマーを含む第2の層とを含む、請求項に記載の検体センサー。
【請求項7】
前記第1の層が前記活性領域上に直接に配置され、前記第2の層が前記第1の層上に配置される、請求項に記載の検体センサー。
【請求項8】
前記マストランスポートリミテーション膜が、架橋ポリビニルピリジンホモポリマー又はコポリマーと第2の架橋ポリマーとの均一な混合物からなる、請求項に記載の検体センサー。
【請求項9】
前記作用電極は、組織への挿入のために構成されるセンサーテール上に配置される、請求項1に記載の検体センサー。
【請求項10】
前記活性領域が、前記ポリマーに共有結合している電子移動剤をさらに含有する、請求項1に記載の検体センサー。
【請求項11】
検体センサーを流体にさらす工程であって、
前記検体センサーは、
作用電極の上に配置された活性領域を有する、前記作用電極であって、前記活性領域は、ポリマーと、アルブミンと、前記ポリマーに共有結合した乳酸応答性酵素とを含む作用電極と、
前記作用電極上の少なくとも前記活性領域を覆うマストランスポートリミテーション膜とを備え、前記乳酸応答性酵素と前記アルブミンとが、重量比で5:1から1:5の範囲内で存在し、前記マストランスポートリミテーション膜が多成分膜からなり、前記多成分膜が架橋ポリビニルピリジンホモポリマー又はコポリマー及び少なくとも1つの第2の架橋ポリマーを含む、検体センサーを流体にさらす工程と、
活性領域の酸化還元電位以上の信号を取得する工程であって、前記信号は、流体中の乳酸濃度に比例する、信号を取得する工程と、
前記信号を流体中の乳酸濃度に相関させる工程とを備える、方法。
【請求項12】
前記流体が生体液であり、検体センサーが生体内で生体液にさらされる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アルブミンがヒト血清アルブミンからなる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記乳酸応答性酵素が乳酸オキシダーゼからなる、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記多成分膜は、架橋ポリビニルピリジンホモポリマーを含む第1のポリマーと、架橋ポリビニルピリジンコポリマーを含む第2のポリマーとからなり、又は第1の架橋ポリビニルピリジンコポリマーを含む第1のポリマーと、第2の架橋ポリビニルピリジンコポリマーを含む第2のポリマーとからなる、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記多成分膜が2層膜からなり、前記2層膜が、ポリビニルピリジンホモポリマー又はコポリマーを含む第1の層と、第2の架橋ポリマーを含む第2の層とを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の層が前記活性領域上に直接配置され、前記第2の層が前記第1の層上に配置される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記マストランスポートリミテーション膜が、架橋ポリビニルピリジンホモポリマー又はコポリマーと第2の架橋ポリマーとの均一な混合物からなる、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記活性領域が、前記ポリマーに共有結合している電子移動剤をさらに含有する、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
請求項11に記載の方法であって、
前記流体中の乳酸塩の濃度に基づいて、被験者における1つ以上の状態の存在を決定し、前記1つ以上の状態は、敗血症、感染症、臓器機能、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、方法。
【請求項21】
前記流体が生体液であり、前記検体センサーが生体内で生体液にさらされる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
作用電極上に活性領域が設けられている、前記作用電極であって、前記活性領域は、ポリマーと、アルブミンと、前記ポリマーに共有結合した乳酸応答性酵素とを含む、作用電極と、
前記作用電極上の少なくとも前記活性領域を覆うマストランスポートリミテーション膜とを備え、
前記乳酸応答性酵素と前記アルブミンとが、重量比で5:1から1:5の範囲内で存在し、
前記マストランスポートリミテーション膜が多成分膜からなり、前記多成分膜が架橋ポリビニルピリジンホモポリマー又はコポリマー及び少なくとも1つの第2の架橋ポリマーを含む、検体センサーであって、
前記検体センサーは、敗血症、感染症、臓器機能、又はそれらの任意の組み合わせに応答し、敗血症、感染症、臓器不全、又はそれらの任意の組み合わせが測定された乳酸濃度に対して存在し得るという警告又は他の指標を提供する、検体センサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乳酸センサー及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
個人における様々な検体の検出は、その健康状態を監視するために不可欠な場合がある。通常の検体濃度からの逸脱は、多くの場合、代謝状態や病気などの根本的な生理学的状態、又は特定の環境要因や刺激への曝露を示す。例えば、グルコースレベルは、糖尿病の個人を検出及び監視するために特に重要である可能性がある。
【0003】
乳酸は、例えば、食事、ストレス、運動、敗血症もしくは敗血症性ショック、感染症、低酸素症、癌性組織の存在などを含む多数の環境的又は生理学的要因に応じて生体内レベルが変化する可能性がある別の分析物である。慢性的な乳酸変化状態(例:疾患)の場合、乳酸レベルは緩慢に変化し得るため、従来の採血及び検査室測定を使用して容易に定量化できる。他の乳酸変化条件は、一時的なものである場合があり、その場合、乳酸レベルは非常に急速かつ不規則に変動する可能性がある。従来の実験室測定は、そのような場合の乳酸レベルを決定するのに不適切であるかもしれない。つまり、連続的な測定の間に乳酸レベルが数回変化している可能性があり、そのような場合には異常な乳酸レベルが完全に見逃され、それによって潜在的に誤った診断につながる可能性がある。急速に変動する乳酸レベルの場合、移植された生体内乳酸センサーを使用するなどして、個人の乳酸レベルを継続的に測定することが望ましい場合がある。継続的な乳酸モニタリングは、慢性的でゆっくりと変化する乳酸レベルのある人にも有利である。例えば、乳酸塩の継続的な監視により、乳酸塩レベルを測定するために複数回の採血を行うことに伴う痛みと費用を回避できる。
【0004】
埋め込み型センサーを使用した継続的な検体モニタリングは、場合によっては有利であるが、これらのタイプの測定に関連する特定の課題がある。静脈内検体センサーは侵襲的であり、特に長期間にわたって、個人が着用することに時々痛みを伴うことがある。皮下、間質、又は真皮の検体センサーは、多くの場合、個人が着用するのに苦痛が少なく、多くの場合、十分な測定精度を提供できる。
【0005】
非静脈内インビボグルコース応答性検体センサーは、過去20年間にいくつかのメーカーによって開発されており、一部は最近、糖尿病患者のグルコースレベルを監視するための規制当局の承認を得ている。このようなグルコース応答性検体センサーは、グルコース検出を容易にするためにポリマーに共有結合し、グルコースの酸化中に放出される電子の運搬を助ける遷移金属錯体(電子移動剤又は電子移動メディエーター)に共有結合しているグルコースオキシダーゼを使用する。他のメーカーから入手できる生体内グルコース応答性検体センサーも、検知の原理としてグルコースオキシダーゼを使用するが、検知の化学反応/プロトコルを様々な方法は多様である。
【0006】
グルコース及び他の分析物を測定するための生体内検体センサーは、検体センサーの少なくとも埋め込まれた部分の上に配置された膜を含み得る。一態様では、膜は、検体センサーの生体適合性を改善することができる。別の態様では、膜は、対象の検体に対して透過性又は半透過性であり、膜がマストランスポートリミテーション膜として機能するように、検体センサーの活性領域への全体的な検体の流入を制限することができる。マストランスポートリミテーション膜を使用して、検体センサーの活性領域への検体アクセスを制限すると、センサーの過負荷(飽和)を回避して、検出性能と精度を向上させることができる。そのような膜は、特定の検体のマストランスポートを制限することに対して非常に特異的であり、他の物質は有意に異なる速度で膜を透過する。そのため、乳酸などの所定の検体物質のマストランスポートリミテーション膜に組み込むのに適した、高い検体物質の感度と安定したセンサー応答を提供する膜ポリマーを特定することは困難な場合がある。
【0007】
機能としての乳酸応答性検体センサーは、グルコース応答性検体センサーからのグルコースオキシダーゼを乳酸オキシダーゼで置き換えることにより構築され得る。上記で簡単に説明したグルコース応答性検体センサーとは異なり、対応する乳酸応答性検体センサーは、一般に、同様の検知化学物質を使用して乳酸を分析する場合、性能が劣る。すなわち、グルコースオキシダーゼを乳酸オキシダーゼで直接置き換えると、感度が不十分な乳酸応答性検体センサー、及び/又は安定性が不十分なセンサー応答が得られる可能性がある。したがって、乳酸応答性検体センサーは、機能的ではあるが、安定した高感度の乳酸分析を提供する開発レベルにはまだ達していない。そのため、乳酸のモニタリングを通じて得られる可能性のある豊富な情報にもかかわらず、乳酸応答性検体センサーの診断値は有意に制限されたままである。
【0008】
上記のように、乳酸応答性検体センサーは、グルコースオキシダーゼを乳酸オキシダーゼに置き換えて、乳酸の検出を容易にすることができる。改変されたグルコース応答性センサー化学に基づくそのような乳酸応答性検体センサーは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、共同所有の米国特許第9,914,952号に記載されている。そこに記載されているように、乳酸に対するセンサー感度の増強及びいくらかの応答安定化は、グルコース応答センサー化学において乳酸オキシダーゼが代わりに存在する場合には活性領域にカタラーゼを含むように変更することによって実現できる。カタラーゼの組み込みはある程度役立つが、検体センサーの長期応答を完全に安定させるわけではない。代わりに、カタラーゼを含む検体センサーの乳酸信号は、48時間のモニタリングで約10%まで低下する。カタラーゼは過酸化水素に対して反応性があることが知られているため、乳酸応答性検体センサーにおけるカタラーゼの安定化効果は、乳酸オキシダーゼの活性に影響を与える可能性がある一時的な過酸化水素のスクラビングを含むと考えられている。カタラーゼは乳酸応答性検体センサーの性能を向上させる可能性があるが、そのような検体センサーが真の可能性を実現するには、さらに性能の向上が必要になる場合がある。
【0009】
図面は、本開示の特定の態様を例示するために含まれており、排他的な実施形態として見なされるべきではない。開示された主題は、本開示の範囲から逸脱することなく、形態及び機能において有意の修正、変更、組み合わせ、及び均等物が可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、乳酸塩応答性検体センサー及びそのような検体センサーを使用する方法一般に関し、より詳細には、乳酸塩応答性検体センサー及び乳酸塩に対する高感度及び安定した応答性を提供する方法に関する。
【0011】
上記のように、乳酸塩レベル(濃度)の測定は、様々な生理学的状態及び/又は特定の環境要因への暴露の診断となり得る。乳酸濃度の実験室測定は、いくつかの生理学的状態を監視するには十分となり得るが、乳酸レベルは他の例では急速に変動する時があるので、実験室測定が実行可能でない。乳酸応答性酵素を使用する生体内乳酸応答性検体センサーは、緩慢に変化する場合と急速に変化する場合との両方における乳酸濃度を簡便に測定するために使用でき、これにより、乳酸濃度が急速に及び/又は予期せず変動する様々な条件を監視するための特定の診断上の利点が得られる。
【0012】
高い分析感度と応答の安定性は、検体センサー、特に体内での長期使用を目的としたセンサーの満足のいく性能を実現するために必要な主要な要因である。乳酸レベルを体内で監視することで実現できる潜在的な利点にもかかわらず、信頼性の高い診断分析のための十分な感度と応答安定性を備えた乳酸応答性検体センサーはまだ開発されていない。
【0013】
グルコースオキシダーゼを含むグルコース応答性検体センサーで高感度と応答安定性を実現できるが、これらの望ましいパフォーマンス機能は、現在、グルコースオキシダーゼを乳酸オキシダーゼに単純に置き換えても、乳酸応答性検体センサーに転換されるものではない。つまり、乳酸応答性検体センサーの感度と応答安定性は、同等のグルコース応答性センサーよりも有意に劣っている。この問題の少なくとも一部は、グルコースオキシダーゼと乳酸オキシダーゼの違いによるものである。安定剤(カタラーゼなど)を利用して乳酸応答性検体センサーの機能を向上させることにより、いくつかの進歩があったが、望ましいレベルの感度と応答安定性はまだ達成されていない。
【0014】
さらに、乳酸応答性検体センサーのマストランスポートリミテーション膜は、さらに困難な原因とな。今日まで、グルコース応答性検体センサーで成功裏に使用されたマストランスポートリミテーション膜は、乳酸応答性酵素を使用して乳酸を分析する際の感知特性が劣っている。乳酸塩とより適合性のある膜ポリマー又はそれらの組み合わせは、まだ開示されていない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、乳酸応答性検体センサーの高い感度と向上した応答安定性とを同時に改善するために利用され得るアプローチに係る。これらの要因の改善により、数日以上、理想的には1週間以上にわたる長い装着寿命にわたって高品質の検体データを提供することができ、これは重要な診断的価値をもたらし得る。すなわち、本明細書でさらに説明するように、乳酸応答性検体センサーの性能は、カタラーゼの代わりに異なる安定剤を使用し、活性領域に配置されたマストランスポートリミテーション膜を変更することによって改善できる。本明細書で説明するように、いくつかの異なる膜の化学的性質又は構成は、乳酸分析のための検体センサー性能の向上を促進する可能性がある。
【0016】
第1に、本開示は、カタラーゼと比較して顕著な性能上の利点をもたらす、乳酸オキシダーゼのための代替の良性の安定剤を使用する。すなわち、本開示は、血清アルブミン、特にヒト血清アルブミンがどのように乳酸応答性検体センサーの活性領域内に組み込まれ、応答感度(すなわち、観察されるセンサー応答の大きさ)を促進するかを説明する。「アルブミン」及び「血清アルブミン」という用語は、本明細書では同意語として使用される。ヒト血清アルブミンは、血漿中に見られる最も豊富なタンパク質である。そのため、生体内での使用を目的とした検体センサー内にこの安定剤を導入しても、明らかな生体適合性の問題は生じない。ヒト血清アルブミンに関連する既知の過酸化水素の除去の機能がないため、カタラーゼ安定剤の代替としてのヒト血清アルブミンの適合性は特に驚くべきことである。理論やメカニズムに拘束されることなく、この結果は、カタラーゼが従来の乳酸応答性検体センサーの通常の過酸化水素クリアランス機能とは無関係に機能する可能性があることを示唆している。例えば、ウシ血清アルブミンなどの他のアルブミンタンパク質は、本明細書で論じられているものに匹敵する利点を実現するために、乳酸応答性検体センサーに同様に組み込まれてもよい。
【0017】
アルブミンタンパク質は、それらの熱安定性の点で、カタラーゼなどの他のタイプのタンパク質性安定剤よりも特定の利点を示す可能性がある。いくつかのタンパク性安定剤は、加熱されると変性を受け、それによってそれらの安定化機能の喪失につながる可能性がある。有利には、アルブミンタンパク質は、60℃に近い温度にさらされても容易に変性せず、それにより、本明細書でさらに論じるように、アルブミンタンパク質は、活性センサー領域の熱硬化が起こった後でも、安定化機能を維持できる。
【0018】
乳酸応答性検体センサーの活性領域に血清アルブミンを組み込むと、センサー特性、特に応答感度が向上し得るが、応答感度と長期の応答安定性の両方の好適なレベルを提供するには、通常はそれだけでは不十分である。当業者の予測を超えたことには、乳酸応答性検体センサーにおけるマストランスポートリミテーション膜の適切な選択は、特に血清アルブミンを含む活性領域の上方をコーティングすることによって、十分な乳酸感度と長期の応答安定性の両方を提供する。活性領域に血清アルブミン、特にヒト血清アルブミンを組み合わせることにより、本開示は、乳酸応答検体センサーにおける乳酸応答感度及び応答安定性をさらに好適なレベルまで向上させることができるマストランスポートリミテーション膜の様々な代替化学又は構成を説明する。
【0019】
一部のグルコース応答性検体センサーは、架橋ポリビニルピリジン-コ-スチレンポリマーをマストランスポートリミテーション膜に使用し、ここでは、ピリジン窒素原子の一部が非架橋ポリ(エチレングリコール)側鎖で官能化され、ピリジン窒素原子は、アルキルスルホン酸基で官能化されている。検体センサーにおけるこれらの膜ポリマーの架橋は、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(PEGDGE)やグリセロールトリグリシジルエーテル(Gly3)などのビスエポキシドによる官能化によって行われる場合がある。そのような膜ポリマーは、それ自体では、乳酸塩を分析するときに安定した応答を提供するのに効果的ではない。この明細書には、これらの膜ポリマーを、ポリエチレングリコール架橋のポリビニルピリジンホモポリマーもしくはポリビニルピリジンコポリマー(ポリビニルピリジン-コ-スチレンとは異なる)で置き換えて、特に血清が活性領域で乳酸オキシダーゼと共存している場合に、長期応答安定性の意味で乳酸感知性能を改善できることを示している。代わりに、そして驚くべきことに、ポリエチレングリコール架橋ポリビニルピリジンホモポリマー又はポリビニルピリジンコポリマーは、グルコースの分析でより一般的に使用される架橋ポリビニルピリジン-コ-スチレンポリマーと適切に組み合わせて(2層膜又は均質混合物として)、満足のいく、乳酸検体センサーの性能を与える。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の検体センサーを組み込むことができる例示的な検知システムを示す図。
図2A】本明細書の開示のいくつかの実施形態での使用に適合する、例示的な2電極検体センサー構成の図。
図2B】本明細書の開示のいくつかの実施形態での使用に適合する、例示的な3電極検体センサー構成の図。
図2C】本明細書の開示のいくつかの実施形態での使用に適合する、例示的な3電極検体センサー構成の図。
図3】実施例1のグループ1~4のセンサー性能の例示的なプロットを示すグラフ。
図4】様々な乳酸濃度を有する乳酸溶液に対する実施例1のグループ4検体センサーの応答の例示的なプロットを示すグラフ。
図5】配合物3及び3’から成膜されたマストランスポートリミテーション膜の比較センサー性能の例示的なプロットを示すグラフ。
図6】配合物4’から成膜されたマストランスポートリミテーション膜のセンサー性能の例示的なプロットを示すグラフ。
図7】配合物4’’から成膜されたマストランスポートリミテーション膜のセンサー性能の例示的なプロットを示すグラフ。
図8】配合4’’から様々な乳酸塩濃度を有する乳酸塩溶液に成膜されたマストランスポートリミテーション膜のセンサー性能の例示的なプロットを示すグラフ。
図9】2層マストランスポートリミテーション膜のセンサー性能の例示的なプロットを示すグラフ。
図10】多様な層の厚さの二層マストランスポートリミテーション膜のセンサー性能の例示的なプロットを示すグラフ。
図11】混合マストランスポートリミテーション膜のセンサー性能の例示的なプロットを示すグラフ。
図12】様々な乳酸塩濃度を有する乳酸塩溶液への混合マストランスポートリミテーション膜のセンサー性能の例示的なプロットを示すグラフ。
図13】架橋ポリビニルピリジン対架橋ポリビニルピリジン-コ-スチレンの様々な比率を有する混合マストランスポートリミテーション膜のセンサー性能の例示的なプロットを示すグラフ。
図14】本明細書の開示のいくつかの実施形態での使用に適合する、作用電極上に配置された2層膜を有する検体センサーの一部の例示的な概略図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書で定義される、「ホモポリマー」の用語は、ポリマー骨格を規定する単一のタイプのモノマー単位のみを含むポリマーである。架橋ホモポリマーでは、モノマー単位のいくつかは架橋基を有してもよく、モノマー単位のいくつかはそうでなくてもよい。本明細書の定義において、架橋基を有する又は欠くモノマー単位は、同じモノマー単位を表すと見なされる。本明細書の定義では、「コポリマー」は、ポリマー骨格を規定する2つ以上の異なるタイプのモノマー単位を含むポリマーである。2つ以上の異なるタイプのモノマー単位は、異なる構造(同一構造の異性体のバリエーションを含む)を有する。架橋コポリマーでは、いずれかのタイプのモノマー単位が架橋剤を担持してもよく、いずれかのタイプのモノマー単位のいくつかは架橋基を有してもよく、一部は架橋基を有しなくてもよい。
【0022】
本開示の検体センサーをより詳細に説明する前に、本開示の実施形態がよりよく理解されるように、検体センサーを使用する適切な生体内検体センサー構成及びセンサーシステムの簡単な概要をまず提供する。
【0023】
図1は、本発明の検体センサーを組み込むことができる例示的な検知システムを示す図である。図に示されるように、感知システム100は、有線又は無線、単方向又は双方向、及び暗号化され、もしくは暗号化なしの、無線又は有線であり得るローカル通信経路又はリンクを介して互いに通信するように構成されるセンサー制御デバイス102及びリーダーデバイス120を含む。いくつかの実施形態によれば、リーダーデバイス120は、乳酸塩濃度などの検体濃度、及びセンサー104又はそれに関連するプロセッサによって決定される警告又は通知を閲覧し、1つ以上のユーザ入力を可能にする、出力媒体を構成し得る。リーダーデバイス120は、多目的スマートフォン又は専用の電子リーダーデバイスであり得る。1つのリーダーデバイス120のみが示されているが、場合によっては、複数のリーダーデバイス120が存在してもよい。リーダーデバイス120はまた、それぞれ、有線もしくは無線、単一もしくは双方向、及び暗号化又は非暗号化であり得る、通信パス/リンク141及び/又は142を介して、遠隔端末170及び/又は信頼できるコンピュータシステム180と通信し得る。リーダーデバイス120は追加で、又は代わりに、通信パス/リンク151を介してネットワーク150(例えば、携帯電話ネットワーク、インターネット、又はクラウドサーバー)と通信し得る。ネットワーク150はさらに、通信パス/リンク152を介してリモート端末170及び/又は通信経路/リンク153を介して信頼できるコンピュータシステム180に通信可能に結合されてもよい。あるいは、センサー104は、介在するリーダーデバイス120が存在することなく、遠隔端末170及び/又は信頼できるコンピュータシステム180と直接通信してもよい。例えば、センサー104は、参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開2011/0213225号に記載されているように、いくつかの実施形態によれば、ネットワーク150への直接通信リンクを介してリモート端末170及び/又は信頼できるコンピュータシステム180と通信することができる。近距離無線通信(NFC)、無線周波数識別(RFID)、BLUETOOTH(登録商標)又はBLUETOOTH(登録商標)低エネルギープロトコル、WiFiなどの任意の適切な電子通信プロトコルが、通信経路又はリンクのそれぞれに使用され得る。いくつかの実施形態によれば、リモート端末170及び/又は信頼できるコンピュータシステム180は、ユーザの検体レベルに関心を持っている主要ユーザ以外の個人がアクセスできる場合がある。リーダーデバイス120は、ディスプレイ122及び任意選択の入力要素121を含み得る。いくつかの実施形態によれば、ディスプレイ122は、タッチスクリーンインターフェースを備えてもよい。
【0024】
センサー制御デバイス102は、センサー104を動作させるための回路及び電源を収容することができるセンサーハウジング103を含む。任意に、電源及び/又は能動回路を省略してもよい。プロセッサ(図示せず)は、センサー104に通信可能に結合されてもよく、プロセッサは、物理的にセンサーハウジング103又はリーダーデバイス120内に配置される。いくつかの実施形態によれば、センサー104は、センサーハウジング103の下側から突出し、センサーハウジング103を皮膚などの組織表面に接着するように適合された接着層105を通って延びる。
【0025】
センサー104は、皮膚の真皮層又は皮下層内などの対象組織に少なくとも部分的に挿入されるように適合されている。センサー104は、所与の組織内の所望の深さまで挿入するのに十分な長さのセンサーテールを含み得る。センサーテールは、作用電極と、作用電極上に配置され、本開示による対象の検体、特に乳酸塩を感知するために活性を有する1つ以上の活性領域(感知領域/スポット又は検知層)とを備えることができる。本開示の1つ以上の実施形態によれば、各活性領域は、乳酸応答性酵素を含み得、その適切な例は、乳酸オキシダーゼ又は乳酸デヒドロゲナーゼを含み得る。いくつかの実施形態によれば、活性領域は、酵素が共有結合されるポリマー材料を含み得る。本開示の様々な実施形態において、乳酸塩は、真皮液、間質液、血漿、血液、リンパ液、滑液、脳脊髄液、唾液、気管支肺胞洗浄液、羊水などの対象となる任意の生体液で監視することができる。特定の実施形態では、本開示の検体センサーは、皮膚液又は間質液をアッセイするために適合され得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、センサー104は、データをリーダーデバイス120に自動的に転送することができる。例えば、検体濃度データは、データが取得されるとき、又は一定の期間が経過した後などの特定の頻度で、自動的及び定期的に、送信されるまでデータはメモリに格納される(例えば、毎分、5分、又は他の所定の期間)。他の実施形態では、センサー104は、設定されたスケジュールに従ってではなく、非自動的な方法でリーダーデバイス120と通信することができる。例えば、センサー電子機器がリーダーデバイス120の通信範囲内に持ち込まれると、RFID技術を使用してセンサー104からデータを通信することができる。リーダーデバイス120に通信されるまで、データはセンサー104のメモリに格納されたままであり得る。したがって、患者は常にリーダーデバイス120に近接している必要はなく、代わりに都合のよいときにデータをアップロードすることができる。さらに他の実施形態では、自動データ転送と非自動データ転送の組み合わせを実行することができる。例えば、データ転送は、リーダーデバイス120がセンサー104の通信範囲内からいなくなるまで、自動的に継続することができる。
【0027】
導入器は、センサー104の組織への導入を促進するために一時的に存在し得る。例示的な実施形態では、導入器は、針又は同様の鋭利物を含み得る。代替の実施形態では、シース又はブレードなどの他のタイプの導入器が存在し得ることが認識されるべきである。より具体的には、針又は他の導入器は、組織挿入の前に一時的にセンサー104に近接して存在し、その後、引き抜かれる。存在している間、針又は他の導入器は、センサー104が従うためのアクセス経路を開くことにより、組織へのセンサー104の挿入を容易にすることができる。例えば、1つ以上の実施形態によれば、針は、真皮へのアクセス経路として表皮の貫通を促進して、センサー104の埋め込みが行われることを可能にすることができる。アクセス経路を開いた後、針又は他の導入器を引き抜いて、鋭利物による危険をもたらさないようにすることができる。例示的な実施形態では、適切な針は、断面が中実又は中空、面取り又は非面取り、及び/又は円形又は非円形であってもよい。より特定の実施形態では、適切な針は、断面直径及び/又は先端設計において、約250ミクロンの断面直径を有し得る鍼治療針と同等であり得る。しかしながら、特定の用途に必要な場合、適切な針は、より大きい又はより小さい断面直径を有し得ることが認識されるべきである。
【0028】
いくつかの実施形態では、針の先端(存在しているとき)は、針が最初に組織を貫通し、センサー104のアクセス経路を開くように、センサー104の末端にわたって角度を付けることができる。他の例示的な実施形態では、センサー104は、針の管腔又は溝内に存在し得、針は、同様に、センサー104のためのアクセス経路を開く。どちらの場合も、センサーの挿入を促進にした後、針は抜去される。
【0029】
本開示の検体センサーの適切な構成は、図2A~2Cを参照して以下でさらに説明される2電極又は3電極検出モチーフを使用することができる。
3電極検出モチーフは、作用電極、対向電極、及び参照電極を有し得る。関連する2電極検出モチーフは、作用電極及び第2の電極を有し得、第2の電極は、対向電極と参照電極との両方として(すなわち、対向/参照電極として)機能する。2電極及び3電極検出モチーフの両方で、検体センサーの活性領域が作用電極と接触し得る。本発明の実施形態によれば、活性領域は、乳酸応答性酵素及び安定剤、特に血清アルブミンを含み得る。いくつかの実施形態では、様々な電極は、以下でさらに詳細に説明されるように、互いの上に少なくとも部分的に積層(層状)され得る。いくつか又は他の実施形態では、様々な電極は、センサーテール上で互いに横方向に間隔を置いて配置されてもよい。いずれの場合でも、様々な電極は、誘電体材料又は同様の絶縁体によって互いに電気的に絶縁され得る。
【0030】
図2Aは本明細書の開示のいくつかの実施形態での使用に適合する、例示的な2電極検体センサー構成の図である。示されるように、検体センサー200は、作用電極214と対向/参照電極216との間に配置された基板212を含む。あるいは、作用電極214及び対向/参照電極216は、間に誘電材料が挿入された状態で、基板212の同じ側に配置されてもよい(構成は図示せず)。活性領域218は、作用電極214の少なくとも一部の上に少なくとも1つの層として配置される。本開示の様々な実施形態において、活性領域218は、乳酸塩の検出のために構成された複数のスポット又は単一のスポットからなるものであってもよい。
【0031】
さらに図2Aを参照すると、いくつかの実施形態によれば、膜220は、少なくとも活性領域218を覆い、任意で、作用電極214及び/又は対向/参照電極216の一部又は全部、又は検体センサー200全体を覆うことができる。検体センサー200の片面又は両面が、膜220で覆われてもよい。膜220は、検体の活性領域218への流入を制限する能力を有する1つ以上のポリマー膜材料からなり得る(すなわち、膜220は、マストランスポートリミテーション膜である)。膜220の組成は、活性領域218への乳酸塩の所望の流動を促進するように様々であることができ、それにより、本明細書でさらに説明されるように、所望の信号強度及び安定性を提供する。検体物センサー200は、電量分析、電流測定、ボルタンメトリー、又は電位差測定の電気化学的検出技術のいずれかによって乳酸をアッセイするように動作可能であり得る。乳酸塩について分析するときに適切であり得る膜220の特定の組成物は、本明細書で以下により詳細に記載する。
【0032】
図2B及び2Cは、本明細書の開示のいくつかの実施形態での使用にも互換性がある、例示的な3電極検体センサー構成の図を示す。3電極検体センサー構成は、検体センサー201及び202(図2B及び2C)に追加の電極217を含むことを除いて、図2Aの検体センサー200について示されるものと同様であり得る。次に、追加の電極217を用いて、対向/参照電極216は、対向電極又は参照電極のいずれか一方として機能することができ、追加の電極217は、特に規定がない限り、他方の電極機能を果たす。作用電極214は、その本来の機能を果たし続けている。追加の電極217は、間に誘電材料の分離層を挟んで、作用電極214又は電極216のいずれかに配置することができる。例えば、図2Bに示されるように、誘電体層219a,219,219cは、電極214,216,217を互いに分離し、電気的分離を与える。あるいは、図2Cに示されるように、電極214、216、及び217のうちの少なくとも1つは、基板212の対向する面上に配置されてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、電極214(作用電極)及び電極216(対向電極)は、基板212の反対側の面に配置することができ、電極217(参照電極)は、電極214又は216の一方に配置され、誘電体によってそこから分離される。参照材料層230(例えば、Ag/AgCl)は、電極217上に存在してもよく、参照材料層230の位置は、図2B及び2Cに示されるものに限定されない。図2Aに示されるセンサー200と同様に、検体センサー201及び202の活性領域218は、乳酸の検出のために構成された複数のスポット又は単一のスポットを含み得る。また、検体センサー201及び202は、電量、電流測定、ボルタンメトリー、又は電位差測定の電気化学的検出技術のいずれかによって乳酸をアッセイするように動作可能であり得る。
【0033】
検体センサー200と同様に、膜220はまた、検体センサー201及び202内の他のセンサー構成要素と同様に、活性領域218を覆い、それにより、マストランスポートリミテーション膜として機能する。いくつかの実施形態では、追加の電極217は、膜220で覆われてもよい。図2B及び2Cは、すべての電極214、216及び217が膜220で覆われているものとして示したが、いくつかの実施形態では、作用電極214のみが覆われてもよいことが認識されるべきである。さらに、電極214、216及び217のそれぞれにおける膜220の厚さは、同じであっても異なっていてもよい。2電極検体センサー構成(図2A)におけるように、検体センサー201及び202の片面又は両面は、図2B及び2Cのセンサー構成において膜220で覆われてもよく、又は検体センサー201及び202の全体が覆われていてもよい。したがって、図2B及び2Cに示される3電極センサー構成は、本明細書に開示される実施形態の非限定的であると理解されるべきであり、代替の電極及び/又は層構成は、本開示の範囲内に留まる。
【0034】
本開示の様々な実施形態によれば、本明細書に開示される検体センサー又は検体センサー構成のいずれかの活性領域に電子移動剤が存在し得る。適切な電子移動剤は、乳酸などの検体(酵素基質)が酸化還元反応を行うときに、作用電極への、又は作用電極からの電子の運搬を促進することができる。本明細書で開示される検体センサーの特定の実施形態は、以下でさらに説明するように、乳酸と適合するマストランスポートリミテーション膜と組み合わせて、乳酸オキシダーゼ及び血清アルブミン、特にヒト血清アルブミンを含む活性領域を特徴とし得る。
【0035】
適切な電子移動剤には、標準カロメル電極(SCE)の酸化還元電位より数百ミリボルト高い又は低い酸化還元電位を有する電気還元可能及び電気酸化可能イオン、錯体又は分子(例えば、キノン)が含まれる。いくつかの実施形態によれば、適切な電子移動剤には、米国特許第6,134,461号及び第6,605,200号に記載されているような低電位オスミウム錯体が含まれ、これらは参照により全体が本明細書に組み込まれる。さらなる例には、米国特許第6,736,957号、第7,501,053号及び第7,754,093号に記載されているものが含まれ、これらのそれぞれの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。他の適切な電子移動剤は、例えば、メタロセン化合物を含む、ルテニウム、オスミウム、鉄(例えば、ポリビニルフェロセン又はヘキサシアノ鉄酸塩)、又はコバルトの金属化合物又は錯体を含み得る。電子移動メディエーター及びポリマーに結合した電子移動メディエーターの適切な例としては、米国特許第8,444,834号、第8,268,143号及び第6,605,201号に記載されているものが挙げられ、それらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。金属錯体に適した配位子は、例えば、二座又はより高い密度の配位子、例えば、ビピリジン、ビイミダゾール、フェナントロリン、又はピリジル(イミダゾール)も含み得る。他の適切な二座配位子には、例えば、アミノ酸、シュウ酸、アセチルアセトン、ジアミノアルカン、又はo-ジアミノアレーンが含まれ得る。単座、二座、三座、四座、又はそれ以上の密度の配位子の任意の組み合わせが金属錯体中に存在して、完全な配位圏を達成することができる。
【0036】
本開示の様々な実施形態によれば、ポリマーは、本明細書に開示される検体センサー又は検体センサー構成のそれぞれの活性領域に存在し得る。活性領域に含めるのに適したポリマーには、ポリビニルピリジン(例えば、ポリ(4-ビニルピリジン))、ポリビニルイミダゾール(例えば、ポリ(1-ビニルイミダゾール))、それらの任意の混合物、又はそれらの任意のコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。活性領域に含めるのに適した例示的なコポリマーには、例えば、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、又はアクリロニトリルなどのモノマー単位を含むものが含まれる。例示的な実施形態では、本明細書に開示される検体センサーの活性領域内のポリマーはポリ(4-ビニルピリジン)であり得、これはモノマー単位の一部がアルキルカルボキシレート側鎖で官能化されていても、モノマー単位の一部がアミドスペーサー基(例えば、下記の式1を参照)を有する電子移動剤に付加されていても、モノマー単位の一部は官能化されていないものであってもよい。
【0037】
本開示の様々な実施形態によれば、電子移動剤は、活性領域においてポリマーに共有結合され得る。共有結合の仕方は特に限定されるものではない。電子移動剤のポリマーへの共有結合は、共有結合した電子移動剤を有するモノマー単位を重合することにより行われるか、又はポリマーがすでに合成された後、電子移動剤をポリマーと独立して反応させ得る。いくつかの実施形態によれば、二官能性スペーサーは、活性領域内で電子移動剤をポリマーに共有結合させることができ、第1の官能基はポリマーと反応性であり(例えば、ピリジン窒素原子又はイミダゾール窒素を四級化できる官能基)、及び第2の官能基は電子移動剤と反応する(例えば、金属イオンを配位する配位子と反応する官能基)。
【0038】
同様に、本開示のいくつか又は他の様々な実施形態によれば、活性領域内の酵素は、ポリマーに共有結合され得る。より具体的な実施形態によれば、酵素のポリマーへの共有結合は、適切な架橋剤が導入された時の架橋剤を介して起こり得る。酵素中の遊離アミノ基(例えば、リジン中の遊離アミン)との反応に適した架橋剤には、例えば、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(PEGDGE)又は他のポリエポキシド(例えば、Gly3)、塩化シアヌル、N-ヒドロキシスクシンイミド、イミドエステル、エピクロロヒドリン、又はそれらの誘導体化された変異体などの架橋剤が含まれる。酵素中の遊離カルボン酸基との反応に適した架橋剤には、例えば、カルボジイミドが含まれ得る。架橋は一般に分子間であるが、いくつかの実施形態では分子内であり得る。
【0039】
電子移動剤及び/又は酵素は、共有結合以外の手段によっても活性領域のポリマーと結合することができる。いくつかの実施形態において、電子移動剤及び/又は酵素は、イオン的に又は配位的にポリマーと会合され得る。例えば、帯電したポリマーは、反対に帯電した電子移動剤又は酵素とイオン的に関連している可能性がある。さらに他の実施形態では、電子移動剤及び/又は酵素は、それに結合することなく、ポリマー内に物理的に結びつけられてもよい。
【0040】
本発明の乳酸応答性検体センサーの様々な構成を、以下により詳細に記載する。様々な実施形態によれば、本発明の検体センサーは、その上に配置された活性領域を有する作用電極と、作用電極上の少なくとも活性領域を覆うマストランスポートリミテーション膜とを含み得る。活性領域は、ポリマー、アルブミン、及びポリマーに共有結合した乳酸応答性酵素を含む。より具体的な実施形態では、マストランスポートリミテーション膜は、少なくとも架橋されたポリビニルピリジンホモポリマー又はコポリマーを含み得る。マストランスポートリミテーション膜は、単一の部分又は多部分からなり得る。本発明のより特定の実施形態によれば、多成分膜の実施形態は、架橋ポリビニルピリジンと別のポリマーとの二層又は均質混合物を含み得る。
【0041】
マストランスポートリミテーション膜に含めるのに適したポリビニルピリジンコポリマーは、約0.1%~約5%のコモノマー、又は約5%~約15%、又は約15%~約25%のコモノマー、又は約1%~約10%のコモノマーなど、最大約25%のコモノマー(コポリマー中のモノマーの総量に基づく)を含むことができる。 マストランスポートリミテーション膜が十分な乳酸塩透過性を与え、乳酸塩に曝されたときに約1nA/mM以上の検体感度を提供するならば、適切なコモノマーは特に限定されない。ポリビニルピリジンコポリマーは、様々な実施形態に従って、ポリビニルピリジン-コ-スチレンコポリマーとは異なり得る。
【0042】
上記の検体センサーは、対向電極及び参照電極、又は対向/参照電極をさらに含み得る。検体センサーのための適切な構成は、図2、3A及び3Bを参照して上記でより詳細に説明されている。様々な電極及び活性領域の他の構成もまた、本発明の精神及び範囲内にあり、具体的に記載したセンサー構成は、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではない。
【0043】
あるいは、本発明の検体センサーは、その上に配置された活性領域を有する作用電極と、活性領域がポリマー、アルブミン、ポリマーに共有結合した乳酸応答性酵素を含む、作用電極上の少なくとも活性領域を覆うマストランスポートリミテーション膜とを含み得、マストランスポートリミテーション膜は、乳酸に対して透過性である膜ポリマーを含む。より具体的には、マストランスポートリミテーション膜は、約5mMの乳酸塩濃度で検体センサーの感度が少なくとも約5nAであるような乳酸塩透過性を有することができる。すなわち、乳酸塩に曝露された時の検体センサーの検体感度は、約1nA/mM以上である。膜ポリマーは、ポリエチレングリコール架橋ポリビニルピリジンホモポリマー又はコポリマーを、単一成分膜又は均一混合物の二重層などの多成分膜のいずれかとして、より具体的な実施形態で含み得る。
【0044】
本開示のさらに他の検体センサーは、代替的に、その上に配置された活性領域を有する作用電極と、作用電極上の少なくとも活性領域を覆うマストランスポートリミテーション膜であって、活性領域がポリマー、カタラーゼ 、及びポリマーに共有結合した乳酸応答酵素を含む、マストランスポートリミテーション膜とを有し、マストランスポートリミテーション膜は、少なくとも架橋したポリビニルピリジンホモポリマー又はコポリマーを含むものであってもよい。
【0045】
様々な実施形態によれば、活性領域内の乳酸応答性酵素は、乳酸オキシダーゼ又は乳酸デヒドロゲナーゼを含み得る。より具体的な実施形態では、乳酸オキシダーゼとアルブミン、特にヒト血清アルブミンの組み合わせは、本発明に従って乳酸分析を実施するのに有利であり得る。
【0046】
より具体的な実施形態によれば、乳酸オキシダーゼは、約0.05μg~約5μg、又は約0.1μg~約4μg、又は約0.2μg~約3μg、又は約0.5μg~約2μgの範囲の分量で活性領域に存在し得る。活性領域の重量パーセントに関して、乳酸オキシダーゼは、活性領域の約10重量%~約90重量%、又は活性領域の約25重量%~約75重量%、又は活性領域の約30重量%~約60重量%の範囲の量で存在し得る。
【0047】
様々な実施形態によれば、活性領域内のアルブミンは、ヒト血清アルブミンを含み得る。あるいは、ウシ血清アルブミンなどの非ヒトアルブミンも問題なく使用できる。
本明細書の開示によれば、アルブミンは、乳酸応答性酵素、特に乳酸オキシダーゼを安定化させるために十分な量で活性領域内に組み込むことができる。より具体的な実施態様において、アルブミンは、約0.05μg~約5μg、又は約0.1μg~約2μg、又は約0.2μg~約1.5μg、又は約0.3μg~約0.8μgの範囲の量で活性領域に存在し得る。 活性領域の重量百分率に関して、アルブミンは、活性領域の約25重量%~約75重量%、又は活性領域の約30重量%~約60重量%の範囲の量で存在し得る。特定の実施態様において、アルブミンに対する乳酸オキシダーゼの重量比は、約10:1~約1:10(w/w)、約5:1~約1:5、又は約1:1~約1:5、又は約1:1~約1:2の範囲であり得る。
【0048】
より具体的な実施形態では、本発明の検体センサーは、組織への挿入のために構成されたセンサーテールを含み得る。作用電極は、センサーテール上に配置され、組織内に挿入して、その中の乳酸分析を容易にすることができる。適切な組織は特に限定されるとは考えられず、特定の例は上記でより詳細に記載した。同様に、センサーテールを組織内の特定の位置又は深さに展開するための考慮事項についても、上記に記載している。
【0049】
活性領域に組み込むアルブミンと乳酸オキシダーゼの量を含む、本明細書に開示された検体センサーの特定の構成は、センサーテールが貫通する組織、分析される乳酸の予想濃度、及び乳酸の分析中に検体センサーを動作する条件によるものである。より具体的な実施形態では、検体センサーが貫通する組織は皮膚であり得、その結果、センサーテールは、皮膚の表面下の真皮層、間質層、又は皮下層内に配置される。センサーはさらに、皮膚に付着するように構成されたセンサーハウジング内に含まれていてもよい。
【0050】
上記のように、検体センサーの活性領域は、その中のポリマーに共有結合される電子移動剤を含み得る。ポリマーと電子移動剤との間の共有結合の様式は、特に限定されない。ポリマーと電子移動剤との間の適切なタイプの共有結合は、上記でさらに詳細に説明されている。
【0051】
理想的には、活性領域は、本発明の検体センサーを所与の電位で操作するとすぐに定常状態電流を達成するように構成され得る。定常状態電流の迅速な達成は、その酸化還元電位以上の電位に曝されるとその酸化状態を迅速に変化させる電子移動剤を選択することによって促進され得る。活性領域を可能な限り薄くすることは、定常状態電流の迅速な達成を促進することもできる。例えば、活性領域の適切な厚さは、約0.1ミクロンから約10ミクロンの範囲であり得る。いくつか又は他の実施形態では、例えば、カーボンナノチューブ、グラフェン、又は金属ナノ粒子などの導電性材料を活性領域内で組み合わせると、定常電流の急速な達成を促進することができる。導電性粒子の適切な量は、活性領域の約0.1重量%~約50重量%、又は約1重量%~約50重量%、又は約0.1重量%~約10重量%、又は約1重量%~約10%の範囲であり得る。
【0052】
本明細書に開示される検体センサーの作用電極上の活性領域は、作用電極上に配置された少なくとも1つのスポット又は層を含み得る。本明細書では、より大きな又はより小さな活性領域のスポット又は層も企図されるが、各スポット又は層は、サイズが約0.01mm2~約1mm2の範囲であり得る。活性領域の合計サイズ(すべてのスポット又は層の総面積)は、最大約100mm2、特に約25mm2以下、又は約10mm2以下、又は約5mm2以下、又は約1mm2以下、又は約0.1mm2以下。より特定の実施形態では、活性領域の合計サイズは、約0.05mm2~約0.1mm2の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、活性領域は1つのスポット又は層を含み得るが、本開示の検体センサーのより典型的な実施形態は、作用電極上に配置された複数のスポットを有する活性領域を特徴とする。スポットの数は特に限定されるとは考えられないが、いくつかの実施形態によれば、2~約10、又は約3~約8、又は約4~約6の範囲であり得る。
【0053】
さらに、乳酸塩に対する検体センサーの感度(出力電流)は、活性領域のカバレッジ(面積又はサイズ)、活性領域を覆うマストランスポートリミテーション膜の性質と厚さ、及びそれらの任意の組み合わせを変更することによって変化する可能性があることも認識されるべきである。所望の感度を達成するためのこれらのパラメータの変化は、本明細書の開示の利点が認められれば、当業者によって容易に実行され得る。
【0054】
本明細書に開示される検体センサー、特にアルブミン及び共有結合した乳酸オキシダーゼを含む活性領域を有し、ならびにポリビニルピリジンホモポリマー又はコポリマー、特にポリビニルピリジンホモポリマーを含むマストランスポートリミテーション膜を有するものは、応答安定性(変化出力電流)の機能を特徴とし、190時間の測定で約10%以下、又は190時間の測定で約5%以下、又は190時間の測定で約1%以下変動する。時間枠で発生するこの程度の差異は、臨床的に重要ではないと予想される(つまり、クラークエラーグリッド分析及びMARD又はMAD分析にわずかな影響しかない)。したがって、上記の特許に記載されているカタラーゼ安定化乳酸応答性検体センサーは、190時間の測定でさらに低い応答電流を示すことが予想される。
【0055】
十分な応答安定性を実現するために、本発明の検体センサーは、乳酸塩との適合性のために選択されたマストランスポートリミテーション膜を使用する。より具体的には、乳酸応答性酵素、特に乳酸オキシダーゼと共に使用するのに適した有利なマストランスポートリミテーション膜は、架橋ポリビニルピリジンホモポリマー又はコポリマーを含み得る。本発明の検体センサーにおけるマストランスポートリミテーション膜は、単一のポリマー(すなわち、架橋ポリビニルピリジンホモポリマー又はコポリマー)のみを含むか、又はポリマーは多成分であり得、そして2つ以上のポリマー(すなわち、架橋ポリビニルピリジンホモポリマー又は、コポリマーと、少なくとも第2の架橋ポリマーとを二層又は均一な混合構成で)を含み得る。より詳細には、多成分膜は、架橋ポリビニルピリジンホモポリマーを含む第1のポリマーと、架橋ポリビニルピリジンコポリマーを含む第2のポリマーとからなり、又は、架橋ポリビニルピリジンコポリマーを含む第1のポリマーと、第1の架橋ポリビニルピリジンコポリマーとは異なる架橋ポリビニルピリジンコポリマーを含む第2のポリマーとを含み得る。より詳細な実施形態では、第2の架橋ポリマーは、架橋ポリビニルピリジンコポリマー、特に、架橋ポリビニルピリジン-コ-スチレンポリマーを含み得、これは、ピリジン窒素原子の一部が非架橋ポリ(エチレングリコール)テールで官能化され、及びピリジン窒素原子の一部は、アルキルスルホン酸基で官能化されている。
【0056】
本発明の検体センサーにおいて、乳酸応答性酵素、特に乳酸オキシダーゼと組み合わせて使用するのに適した多成分膜は、様々な実施形態によれば、2層膜を含み得る。適切な2層膜は、架橋ポリビニルピリジンホモポリマー又はコポリマーを含む第1の層と、第2の架橋ポリマー、特に架橋ポリビニルピリジンコポリマーを含む第2層とを含み得る。第2の層は、第1の層のポリビニルピリジンコポリマーとは異なるポリビニルピリジンコポリマーを含み得る。より特定の実施形態では、第1の層は活性領域上に直接配置されてもよく、第2の層は第1の層上に配置されてもよい。代替の実施形態では、第2の層は活性領域上に直接配置されてもよく、第1の層は第2の層上に配置されてもよい。第1の層及び第2の層の厚さ及び順序は、所望の感度を提供するために変えることができる。このような2層構成は、いくつかの実施形態では、活性領域上に第1の層をコーティングすることにより(例えば、スプレーコーティング、塗装、インクジェット印刷、ローラーコーティング、ディップコーティングなどにより)、次いで第2の層を第1の層の上に同一の又は異なるコーティング技術(例えば、スプレーコーティング、塗装、インクジェット印刷、ローラーコーティング、ディップコーティングなど)によってコーティングすることにより調製され得る。他の実施形態では、2層膜は、第1の層と第2の層を逆にして(それにより、架橋ポリビニルピリジンホモポリマー又はコポリマーの位置を逆にして)構成し、各層を上記のようにコーティングする。
【0057】
2層膜は、その性質上、2つの異なる膜ポリマーが互いに層状になっているため、不均一である。本発明の検体センサーにおいて、乳酸応答性酵素、特に乳酸オキシダーゼと組み合わせて使用するのに適した他の多成分膜は、組成が均一であり得る。より詳細には、いくつかの実施形態では、適切な多成分膜は、架橋ポリビニルピリジンホモポリマー又はコポリマーと架橋第2ポリマー、特に架橋ポリビニルピリジンコポリマーの均質な混合物を含み得る。2つの架橋ポリビニルピリジンコポリマーは、互いに異なっていてもよい。均一な混合物中の2つの架橋された架橋ポリマーの比率は、有意の範囲にわたって変更することができ、そして比率は、本明細書中に開示される検体センサーの所望の感度を提供するように調整され得る。
【0058】
図14は、本明細書の開示のいくつかの実施形態での使用に適合する、作用電極上に配置された2層膜を有する検体センサーの一部の例示的な概略図である。図14に示すように、検体センサーは、基板612上に配置された作用電極614を有するセンサーテール600を特徴とする。活性領域618は、本明細書の開示に従って、作用電極614上に配置され、乳酸応答性酵素を含む。
【0059】
図14にさらに示されるように、活性領域618は2層膜621で覆われ、これは活性領域618と直接接触する膜層621a及び膜層621aを覆う膜層621bを含む。本明細書の開示によれば、膜層621a及び621bは、異なる膜ポリマーを含んでもよく、それらの少なくとも1つは、ポリビニルピリジンホモポリマー又はコポリマーである。
【0060】
別の実施形態では、異なる膜ポリマーの混合物を含む均質な膜層によって、本明細書の開示に従って、図14の2層膜621が置き換えられてもよい。
【0061】
上記の検体センサーは、乳酸塩を測定し、そこから乳酸塩の濃度を決定するための様々な方法で利用することができる。乳酸塩の濃度は、以下でさらに詳細に記載するように、様々な実施形態に従って、(例えば、疾患又は環境要因への曝露から生じる)生理学的状態にさらに相関させることができる。
【0062】
様々な実施形態によれば、本発明の方法は、検体センサーを流体にさらす工程を備えることができ、検体センサーは、その上に配置された活性領域を有する作用電極と、少なくとも作用電極上の活性領域を覆うマストランスポートリミテーション膜とを含む。活性領域は、ポリマー、アルブミン、及びポリマーに共有結合している乳酸応答性酵素、特に乳酸オキシダーゼを含む。マストランスポートリミテーション膜は、特定の実施形態では、少なくとも架橋されたポリビニルピリジンホモポリマー又はコポリマーを含み得る。この方法はさらに、活性領域の酸化還元電位以上の信号を取得する工程であって、信号が流体中の乳酸塩の濃度に比例する、信号を取得する工程と、信号を液中の乳酸塩の濃度に相関させる工程とを備える。
【0063】
より具体的な実施形態では、流体は生体液であり、検体センサーは、乳酸塩の濃度の測定が望まれる被験者の生体内の生体液に曝される。本発明のさらに特定の実施形態によれば、被験者はヒトであり得る。本発明の検体センサーでの分析に適した生物学的流体は、上記でより詳細に考察された生物学的流体のいずれかを含み得る。
【0064】
乳酸塩への曝露時の活性領域に関連する信号は、ルックアップテーブル又は較正曲線を調べることにより、対応する乳酸塩濃度に相関させることができる。ルックアップテーブル又は較正曲線は、物理的な形(すなわち、書面の形)又は電子的な形(すなわち、データベース又はコンピュータアルゴリズム)で存在し得る。乳酸塩の様々な濃度のルックアップテーブルは、既知の乳酸塩濃度を持つ複数のサンプルを分析し、各濃度での検体センサーの応答を記録することで作成できる。同様に、乳酸の較正曲線は、濃度の関数として各乳酸サンプルの検体センサー応答をプロットすることによって決定できる。いくつかの実施形態によれば、本発明の検体センサーの較正曲線は、乳酸塩の濃度に対して線形又はほぼ線形であり得る。いくつかの実施形態では、検体センサー応答が記録又はプロットされる前に、検体センサー応答からバックグラウンド応答を差し引くことができる。バックグラウンド応答は、乳酸塩を含まない液体(すなわち、ブランク)をアッセイすることで決定できる。以下でさらに説明するように、ルックアップテーブル又は較正曲線を手動又は電子的に調べて、流体中の乳酸塩の濃度を決定することができる。
【0065】
プロセッサは、ルックアップテーブルのどのセンサー応答値が未知の乳酸濃度を持つサンプル(流体)の測定値に最も近いかを決定し、それに応じて乳酸濃度を報告する。いくつか又は他の実施形態では、未知の乳酸濃度を有するサンプルのセンサー応答値がルックアップテーブルの記録された値の間にある場合、プロセッサは、乳酸濃度を推定するために2つのルックアップテーブル値の間を補間することができる。内挿では、ルックアップテーブルで報告された2つの値の間の線形濃度変動を想定できる。補間は、例えば、サンプルのセンサー応答がルックアップテーブルの特定の値と十分な量(例えば、約10%以上の変動)だけ異なる場合に使用できる。補間は、ルックアップテーブルを手動で参照するときに同様に実行できる。
【0066】
同様に、プロセッサは、未知の乳酸濃度を有するサンプルのセンサー応答値を、対応する較正曲線に入力することができる。次に、プロセッサはそれに応じて乳酸塩の濃度を報告する。
【0067】
上述のように、本発明の検体センサーを使用して決定された乳酸塩の濃度は、1つ以上の生理学的状態にさらに相関づけられ得る。1つ以上の生理学的条件は、インビボで乳酸塩によって媒介され、及び/又はインビボで乳酸塩レベルの上昇又は低下をもたらすことがある。より具体的には、本発明の検体センサーによってモニターされ得る1つ以上の生理学的状態は、例えば、敗血症、感染、臓器機能、又はそれらの任意の組み合わせを含む。乳酸のモニタリングが有益である可能性がある他の状態には、例えば、生理学的ストレス及び運動が含まれ、これらは両方とも乳酸レベルを増加させる可能性がある。これらの状態のいずれかの監視には、例えば、経時的な乳酸塩レベルの傾向を追跡すること、及び/又は特定の時間における瞬間的な乳酸塩レベルを決定することが含まれ得る。オプションで、乳酸レベルが所定の条件に対して定義されたしきい値濃度を超えた場合、又は乳酸レベルが経時的に監視されたときに定義されたしきい値に向かう傾向がある場合、警告が発せられる。したがって、本明細書に開示される検体センサーは、敗血症、感染症、臓器不全、又はそれらの任意の組み合わせが存在し得るという警告を提供するか、そうでなければ表示を提供するように構成され得る。監視されている生理学的状態に応じて、閾値濃度は変わる可能性がある。
【0068】
敗血症は3段階の症候群と見なすことができ、敗血症から始まり、重度の敗血症から敗血症性ショックへと進行する。敗血症をより危険になる前の初期段階で治療することが目標である。現在、重度の敗血症は、体温、心拍数、呼吸数、尿量の減少、精神状態の急激な変化、血小板数の減少によって診断されることがよくある。敗血症性ショックは、非常に低い血圧と組み合わせて同じマーカーによって診断されることがよくある。
【0069】
乳酸レベルは、様々な形態の敗血症及び/又は関連する感染症の診断、監視、及び/又は評価に役立つ。したがって、本発明に従って乳酸塩の濃度を決定することにより、敗血症及び/又は感染をより効果的に監視、評価、及び/又は管理することが可能になる場合がある。あるいは、本発明の検体センサーは、敗血症及び/又は感染の危険性があるが、現在いずれの状態の兆候も示さない対象(例えば、病院の患者)をモニターするために利用され得る。本発明に従って得られる乳酸レベルは、他の検体レベル及び/又は生理学的マーカー(例えば、体温、心拍数、呼吸数、血圧、尿量の減少、精神状態の突然の変化、血小板数の減少)と、他のマーカー(C反応性タンパク質(CRP)、プロカルシトニン、膵石タンパク質(PSP)、循環補体(C3及びC4)、フェリチン、コレステロール、アルブミン、コルチゾール、及び好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン)など)とを、被験者の敗血症と関連する感染症の進行を監視する診断に組み合わせることができる。特定の実施形態では、乳酸の濃度を脳脊髄液中で測定して、髄膜炎及び/又は敗血症性髄膜炎を監視、評価、及び/又は診断することができる。敗血症性髄膜炎のさらなるマーカーには、例えば、グルコース、sTREM-1、プロカルシトニン、CRP、TNF-α、IL-1 β、IL-6、IL-8、及びリポ多糖結合タンパク質などが含まれ得る。細菌性敗血症又は細菌性感染症の追加のマーカーには、例えば、グルタミン酸、リンゴ酸、プソイドウリジン、アセチルカルニチン、グリセロホスホコリン、ヒドロキシフェニル乳酸、アセチルノイラミン酸、プソイドウリジン、及びチロシンが含まれる。敗血症性髄膜炎を含むウイルス性敗血症、又はウイルス感染症の追加のマーカーには、例えば、ヒポキサンチン、イノシン及びヘキサノイルカルニチンが含まれ得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、本発明の検体センサーは、感染因子への対象の曝露を監視するために使用され得る。例えば、検体センサーは、感染性因子への急性曝露後の対象の状態を監視して、敗血症又は感染の兆候を監視し、及び/又は敗血症又は感染の発生及び進行を監視することができる。検体センサーはさらに、敗血症又は感染又はその症状を治療するために対象に投与された抗感染剤及び/又は治療に対する被験者の応答を監視するために使用されてもよい。
【0071】
酵素活性は、臓器機能の診断に使用することができ、酵素の活性は、特定の臓器及び対象が経験している所与の生理学的状態に応じて、活動低下又は活動亢進のいずれかであり得る。乳酸応答性酵素の領域内では、肝機能及び肝機能の生理学的状態(すなわち、疾患)は、乳酸デヒドロゲナーゼの活性に関して特徴付けられ得る。臓器機能のモニタリングに望ましい可能性のある他の酵素(肝臓及び肝臓機能とは異なる臓器及び臓器機能を含む)は、単独で、又は乳酸デヒドロゲナーゼと組み合わせて、例えば、クレアチンキナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、及び5’ヌクレオチダーゼが含まれる。肝臓に加えて、臓器機能を監視できる代替臓器には、例えば、腎臓、心臓、脳、肺、膵臓、脾臓、胃、膀胱、骨、胆嚢、腸(大小)、結腸 、リンパ節、甲状腺などがある。
【0072】
本明細書に開示される検体センサーは、乳酸デヒドロゲナーゼ又は別の適切な乳酸応答性酵素(例えば、乳酸オキシダーゼ)の活性を評価することにより、臓器機能、特に肝機能を監視することができる。検体センサーは、臓器機能不全を経験している、又は臓器機能不全のリスクがある被験者の検体レベルを監視、診断、及び/又は検出するために使用でき、生命にかかわる症状が現れる前に臓器疾患を特定できる可能性がある。本明細書に開示される検体センサーによって決定される乳酸濃度又は乳酸濃度の変化率は、臓器不全又は異常調節又は臓器不全又は異常調節の可能性の診断又は分析を容易にし得る。検体センサーは、乳酸濃度が閾値量を超えるか、臓器の損傷又は機能不全の特徴である閾値量を超える傾向があるときに、警告を発する。
【0073】
本発明に従って得られる乳酸レベルは、特に肝臓の臓器機能及び/又は不全を決定するために、他の検体レベル及び/又は生理学的マーカーと診断的に組み合わせることができる。臓器機能を測定するために乳酸と組み合わせて測定できる追加のマーカーには、例えば、体温、心拍数、呼吸数、血圧、尿量の減少、精神状態の急激な変化、血小板数の減少、及びその他のマーカー(例えば、C反応性タンパク質(CRP)、プロカルシトニン、膵石タンパク質(PSP)、循環補体(C3及びC4)、フェリチン、コレステロール、アルブミン、コルチゾール、及び好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン)が含まれる。本発明に従って監視される乳酸レベルは、臓器不全と闘うための治療過程を開始する前の時間を短縮するために、及び/又は一連の治療又は治療の進行を監視するためにさらに利用され得る。
【0074】
本明細書に開示される実施形態には、以下が含まれる。
A.検体センサー。検体センサーは、活性領域がその上に配置された作用電極であって、活性領域がポリマー、アルブミン、及びポリマーに共有結合した乳酸応答性酵素を含む作用電極と、少なくとも作用電極上の活性領域を覆うマストランスポートリミテーション膜とを備える。
【0075】
B.乳酸塩の測定方法。この方法は、検体センサーを流体にさらす工程であって、検体センサーは、活性領域がその上に配置された作用電極を含み、活性領域は、ポリマー、アルブミン、及びポリマーに共有結合した乳酸応答性酵素を含み、マストランスポートリミテーション膜は、少なくとも作用電極上の活性領域を覆っている、検体センサーを流体にさらす工程と、活性領域の酸化還元電位以上の信号を取得する工程であって、この信号は、流体中の乳酸濃度に比例する信号を取得する工程と、信号を流体中の乳酸濃度に相関づける工程とを備える。
【0076】
C.敗血症、感染症、又は臓器機能に反応する乳酸センサー。乳酸センサーは次の物を含む。検体センサーは、活性領域がその上に配置された作用電極であって、活性領域はポリマー、アルブミン、及びポリマーに共有結合した乳酸応答性酵素を含む作用電極と、少なくとも作用電極上の活性領域を覆っているマストランスポートリミテーション膜とを備える。ここで、検体センサーは、敗血症、感染症、臓器機能、又はそれらの任意の組み合わせに応答し、敗血症、感染症、臓器不全、又はそれらの任意の組み合わせが測定された乳酸濃度に対して存在し得るという警告又は他の指標を提供するように構成される。
【0077】
実施形態A~Cのそれぞれは、任意の組み合わせで以下の追加の要素の1つ又は複数を有することができる。
要素1:アルブミンはヒト血清アルブミンを含む。
【0078】
要素2:乳酸応答酵素は乳酸オキシダーゼを含む。
要素3:活性領域は、作用電極上に配置された複数の検知スポットを含む。
要素4:マストランスポートリミテーション膜が多成分膜からなり、多成分膜が架橋ポリビニルピリジンホモポリマー又はコポリマーと、少なくとも第2の架橋ポリマーとを含む。
【0079】
要素5:多成分膜が、架橋ポリビニルピリジンホモポリマーを含む第1のポリマー及び架橋ポリビニルピリジンコポリマーを含む第2のポリマー、又は第1の架橋ポリビニルピリジンコポリマーを含む第1のポリマー及び第2の架橋ポリビニルピリジンコポリマーを含む第2のポリマーを含む。
【0080】
要素6:ここで、多成分膜は2層膜からなり、2層膜は、ポリビニルピリジンホモポリマー又はコポリマーを含む第1の層及び第2の架橋ポリマーを含む第2の層からなる。
要素7:第1の層は活性領域上に直接配置され、第2の層は第1の層上に配置される。
【0081】
要素8:マストランスポートリミテーション膜が、架橋ポリビニルピリジンホモポリマー又はコポリマーと第2の架橋ポリマーとの均一な混合物を含む。
要素9:ここで、作用電極は、組織への挿入のために構成されるセンサーテール上に配置される。
【0082】
要素10:活性領域は、ポリマーに共有結合している電子移動剤をさらに含む。
要素11:流体は生体液であり、検体センサーは生体内で生体液に曝される。
要素12:ここで、方法はさらに、流体中の乳酸塩の濃度に基づいて、対象における1つ以上の状態の存在を決定する工程を含み、1つ以上の状態は、敗血症、感染、臓器機能、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0083】
要素13:マストランスポートリミテーション膜が少なくとも架橋ポリビニルピリジンホモポリマー又はコポリマーを含む、請求項1に記載の検体センサー。
非限定的な例として、A~CBに適用可能な例示的な組み合わせには、以下が含まれる。
【0084】
要素1及び2と組み合わせたA又はCの検体センサー又はBの方法。において、要素1,2を備えるもの、1,2,13を備えるもの、1,3を備えるもの、1,3,13を備えるもの、1~3を備えるもの、1~3,13を備えるもの、1,4を備えるもの、1,4,13を備えるもの、1,13を備えるもの、2,4を備えるもの、2,4,13を備えるもの、2,13を備えるもの、3,4を備えるもの、3,4,14を備えるもの、1,13を備えるもの、1~4を備えるもの、1~4,13を備えるもの、2~4を備えるもの、2~4,13を備えるもの、1,4,5を備えるもの、1,4,5,13を備えるもの、2,4,5を備えるもの、2,4,5,13を備えるもの、3~5を備えるもの、3~5,13を備えるもの、4,5を備えるもの、4,5,13を備えるもの、1,4~6を備えるもの、4~6,13を備えるもの、 2,4,5,6を備えるもの、2,4,5,6,13を備えるもの、3~6を備えるもの、3~6,13を備えるもの、4~7を備えるもの、4~7,13を備えるもの、4,8を備えるもの、4,8,13を備えるもの、4,5,8を備えるもの、4,5,8,13を備えるもの、1,9を備えるもの、1,9,13を備えるもの、2,9を備えるもの、2,9,13を備えるもの、3,9を備えるもの、3,9,13を備えるもの、4,9を備えるもの、4,9,13を備えるもの、1,10を備えるもの、1,10,13を備えるもの、2,10を備えるもの、2,10,13を備えるもの、3,10を備えるもの、3,10,13を備えるもの、4,10を備えるもの、4,10,13を備えるもの、9,10を備えるもの、9,10,13を備えるもの。
【0085】
Bの方法に、要素1,11を組み合わせたもの、1,11,13を組み合わせたもの、1,13を組み合わせたもの、2,11を組み合わせたもの、2,13を組み合わせたもの、3,11を組み合わせたもの、3,13を組み合わせたもの、4,11を組み合わせたもの、4,13を組み合わせたもの、4,5,11を組み合わせたもの、4,5,11,13を組み合わせたもの、4~6,11を組み合わせたもの、4,6,11,13を組み合わせたもの、4~7,11を組み合わせたもの、4~7,11,13を組み合わせたもの、4,8,11を組み合わせたもの、4,8,11,13を組み合わせたもの、9,11を組み合わせたもの、9,11,1310,11を組み合わせたもの、10,11,13を組み合わせたもの、11,12を組み合わせたもの、11~13を組み合わせたもの、1,12を組み合わせたもの、1,12,13を組み合わせたもの、2,12を組み合わせたもの、2,12,13を組み合わせたもの、3,12を組み合わせたもの、3,12,13を組み合わせたもの、4,12を組み合わせたもの、4,12,13を組み合わせたもの、4,5,12を組み合わせたもの、4,5,12,13を組み合わせたもの、4~6,12を組み合わせたもの、4~6,12,13を組み合わせたもの、4~7,12を組み合わせたもの、4~7,12,13を組み合わせたもの、4~8,12を組み合わせたもの、4,8,12,13を組み合わせたもの、9,12を組み合わせたもの、9,12,13を組み合わせたもの、10,12を組み合わせたもの、10,12,13を組み合わせたもの、1,11,12を組み合わせたもの、1,11~13を組み合わせたもの、2,11,12を組み合わせたもの、2,11~13を組み合わせたもの、3,11,12を組み合わせたもの、3,11~13を組み合わせたもの、4,11,12を組み合わせたもの、4,11~13を組み合わせたもの、5,11,12を組み合わせたもの、4,5,11~13を組み合わせたもの、4,6,11,12を組み合わせたもの、4~6,11~13を組み合わせたもの、4~7,11,12を組み合わせたもの、4~7,11~13を組み合わせたもの、4,8,11,12を組み合わせたもの、4,8,11~13を組み合わせたもの、9,11,12を組み合わせたもの、9,11~13を組み合わせたもの、10~12を組み合わせたもの、及び、10~13を組み合わせたもの。
【0086】
本明細書に記載された実施形態のより良い理解を容易にするために、様々な代表的な実施形態の以下の例が与えられる。本発明の範囲を限定又は定義するために以下の例を読むべきではない。
【0087】
(実施例)
実施例1:乳酸センサー応答の比較
活性領域作製用の2つの異なる乳酸オキシダーゼ/ポリマー配合とマストランスポートリミテーション膜作製用の2つの異なる膜ポリマー配合を調製して、これらの配合の多様な順列を特徴づける乳酸応答性センサーの性能を調べた。検体のセンサーを準備するために使用される配合の詳細とプロセスについては、以下でさらに説明する。一般に、検体センサーは、対応するグルコース応答性検体センサーと同様に作製したが、グルコースオキシダーゼの代わりに乳酸オキシダーゼ(アルブミンあり又はなし)が使用され、場合によっては異なる膜ポリマーが使用された。
【0088】
活性領域体積の配合:乳酸オキシダーゼは、以下の表1,2に指定されているように、水溶液配合中で式1のポリマーと組み合わされた。ポリマーに関するさらなる詳細は、その全体が参照により組み込まれている、共同所有の米国特許第6,605,200号に提供されている。各モノマーの添え字は、例示的な原子比を表す。
【0089】
【化1】
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】
各活性領域を成膜するために、約20nLの各溶液を炭素作用電極に成膜させて、それぞれ約0.01mmの面積を有する6つの個別のスポットを形成した。配合1を4回分配し、配合2を6回分配してスポットを形成した。成膜後、作用電極を25℃で一晩硬化させた。配合物1は、グルコースオキシダーゼの代わりに乳酸オキシダーゼを使用することを除いて、グルコース応答性検体センサーの活性領域を成膜させるために使用されるものに対応する。
【0093】
マストランスポートリミテーション膜作製の配合:膜ポリマー配合物は、以下の表3,4で特定される水溶液配合物で調製された。
【0094】
【表3】
【0095】
【表4】
【0096】
上記のように調製された各活性領域上にマストランスポートリミテーション膜を成膜するために、ディップコーティングを使用した。配合3は4回のディップを使用して成膜し、配合4は4回のディップを使用して成膜した。各ディップの間の時間として、約10分間の待ち時間を使用した。ディップコーティングの完了後、膜を25℃で24時間、続いて56℃で48時間、乾燥したバイアル中で硬化させた。マストランスポートリミテーション膜を成膜するために、スプレーコーティング、スクリーン印刷、又は同様のプロセスを交互に使用することができる。配合3は、グルコース応答性検体センサー内にマストランスポートリミテーション膜を成膜するために使用されるものに対応する。
【0097】
乳酸応答性検体センサーは、上記で指定した成膜条件を使用して準備した。活性領域とマストランスポートリミテーション膜のすべての可能な組み合わせが準備され、可能な組み合わせごとに8つのセンサーが作成された。作製後、各センサーは、100mMリン酸バッファー生理食塩水(PBS)中の5mM乳酸溶液に37℃で190時間曝露され、動作電位はAg/AgClに対して+40mVに保持された。テストされた活性領域とマストランスポートリミテーション膜の組み合わせを表5に示す。テスト結果を図3に示す。
【0098】
【表5】
【0099】
図3に示すように、グルコースに反応する検体センサー(グループ1)で良好に使用されているものと同様に配合された活性領域とマストランスポートリミテーション膜を持つ乳酸に反応する検体センサーは、乳酸に曝されたときにパフォーマンスが低下した。示されているように、信号強度は、テストされたすべてのサンプルで0.5nA未満であり、これは、実行可能な乳酸応答センサーでは望ましくないほど低くなっている。配合3(グループ2)のポリビニルピリジンと異なる架橋剤の代わりに、ポリビニルピリジン-コ-スチレン及びGly3架橋剤を使用した場合、信号強度はさらに低下した。
【0100】
図3にさらに示すように、ヒト血清アルブミンを組み込むと、センサーの性能が大幅に向上した。例えば、サンプルグループ3は、グループ1又はグループ2のサンプルのいずれかで実現されたよりも有意に高い信号強度を示した。しかしながら、このサンプルのグループ間で初期信号強度に有意のばらつきがあった(>4nA分散)。さらに、最初に観察された最大信号強度からの信号強度の着実な減少があった。同様に、応答の変動性と時間の経過に伴う信号の安定性が低いため、このサンプルグループの組み合わせは、実行可能な乳酸応答性検体センサーには適さない可能性がある。
【0101】
驚くべきことに、ヒト血清アルブミン含有活性領域と、架橋ポリビニルピリジンホモポリマー(グループ4)を含むマストランスポートリミテーション膜の組み合わせにより、高い信号強度と長期にわたる信号安定性の許容範囲の組み合わせが生成された。図3に示すように、グループ4のすべての複製センサーは、4nA~5nAの間で互いに1nA以内にクラスター化された初期信号強度を有していた。このレベルの信号強度と変動性は、商業的に実行可能な乳酸応答性検体センサーが開発される可能性のある範囲内にある。さらに、信号強度は190時間の信号観察で1/10nA以下しかバラつきがなく、これも、商業的に実現可能なセンサーの開発に適した範囲内である。
【0102】
図4に示すように、グループ4センサーで観測された電流は急速に応答し、最初は乳酸塩を含まないPBS溶液に乳酸塩の量を1mMずつ増加していくと、安定した値を達成した。
【0103】
実施例2:代替マストランスポートリミテーション膜これらの実験では、乳酸オキシダーゼを含む活性領域は、上記の表2で指定されたように調合された溶液から成膜した。炭素電極上への活性領域の堆積及び硬化は、実施例1に記載されているように行われた。様々なサンプルのマストランスポートリミテーション膜は、以下に示すように作成した。
【0104】
以下に特に示さない限り、活性領域へのマストランスポートリミテーション膜の成膜は、ディップコーティング(電極の1~5回ディップと、ディップの間の約10分の待ち時間)によって行われた。マストランスポートリミテーション膜の配合は、以下にさらに特定される。ディップコーティングの完了後、膜を25℃で24時間、続いて56℃で48時間、乾燥したバイアル中で硬化させた。
【0105】
37℃で100mM pH=7.5のPBSを入れたビーカーに電極の活性領域を置くことにより、センサー応答を測定した。電位はAg/AgClに対して+40mVに上げられ、その後電流が継続的に監視された。
【0106】
配合3/配合3’T配合3の代替架橋剤。配合3を以下の表6で指定されている代替架橋剤で変更した。改変された配合は、本明細書において配合3’として示される。
【0107】
【表6】
【0108】
配合3’は、4mL膜ポリマーを80:20エタノール:HEPESバッファー(140mg/mL)に、0.2mLのPEGDGE400を80:20エタノール:HEPESバッファー(100mg/mL)に、0.0132mLのアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン(PDMS)をエタノール(100mg/mL)中に、混合して調製した。
【0109】
図5は、配合3又は配合3’のいずれかから成膜したマストランスポートリミテーション膜で覆ったヒト血清アルブミンを含む活性領域を含む乳酸センサーの比較例の特性の例示的なプロットを示す。図5に示すように、配合3から成膜したマストランスポートリミテーション膜は、乳酸オキシダーゼとヒト血清アルブミン(上記のセンサーグループ3に対応、図3を参照)を含む活性領域を覆うと、応答の安定性が低下した。マストランスポートリミテーション膜のPEGDGE架橋変更例(配合3’を使用して成膜)も、配合3を使用して成膜したものよりは少ないが、時間とともに変化するセンサー応答を生じた。さらに、配合3’から成膜したマストランスポートリミテーション膜は、配合3から得られるものよりも高い応答感度をもたらした。対照的に、これらのマストランスポートリミテーション膜はどちらも、分析物としてのグルコースの存在下で安定したセンサー応答を提供した(データは示していない)。
【0110】
配合4/配合4’の代替架橋剤。配合物4は、以下の表7に指定されている代替の架橋剤で変更した。改変された配合物は、本明細書中で配合物4’として示される。
【0111】
【表7】
【0112】
配合4’は、80:20のエタノールHEPESバッファー(100mg/mL)に4.3mLの膜ポリマーを、80:20エタノール:HEPESバッファー(200mg/mL)に0.25mLのPEGDGE1000を、及びエタノール(100mg/mL)に0.0132mLのアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン(PDMS)を組み合わせて調製した。
【0113】
図6は、配合物4’から成膜されたマストランスポートリミテーション膜のセンサー性能の例示的なプロットを示すグラフである。架橋剤の分子量を大きくすると、センサーのパフォーマンスが低下した。図6に示すように、配合4’から得られたマストランスポートリミテーション膜は、長期にわたって安定した電流応答を提供しなかった。最初の48時間で反応が大幅に減少し、その後は比較的安定したパフォーマンスが続いた。さらに、感度は約1nA/mMの目標値をはるかに下回っていた。
【0114】
非架橋PEG側鎖を含む配合物4’(配合物4’’)。配合物4’は、PVPポリマーバックボーン上の非架橋PEG側鎖3~4重量%を組み込むように変更され、配合4’(ここでは配合4’’と指定)の場合と同様に、PEGDGE1000で架橋されている。配合物4’’の組成は、以下の表8に明記されている。
【0115】
【表8】
【0116】
配合物4’’は、80:20のエタノール:HEPESバッファー(100mg/mL)に4mLの膜ポリマーを、80:20エタノールHEPESバッファー(200mg/mL)に0.025mLのPEGDGE1000を、、及びエタノール(100mg/mL)中に0.0132mLのアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン(PDMS)を混ぜ合わせて調製した。
【0117】
図7は配合物4’’から成膜されたマストランスポートリミテーション膜のセンサー性能の例示的なプロットを示すグラフである。示されているように、センサーは迅速に応答し、配合物4又は配合物4’のいずれかで提供される値よりも有意に大きな値で安定した電流を達成した。さらに、乳酸塩が1mMの増分で追加されたことに従い、センサーは急速に応答し、安定した電流を達成した(図8を参照)。したがって、配合物4’’で達成されたセンサー性能は、膜ポリマーの架橋剤としてPEGDGE400以外の架橋剤を良好に使用できることを示している。
【0118】
2層膜の変更例:二層マストランスポートリミテーション膜は、配合物4’を電極表面に成膜し、続いて配合物3’から膜ポリマーをその上に成膜することにより形成された。上記のように、これらの膜ポリマーはいずれも、ヒト血清アルブミンと乳酸オキシダーゼを含む活性領域を覆うときに、それ自体では許容できる性能を提供しなかった。
【0119】
センサーを準備するために、配合4’からのポリマーを、繰り返しディップコーティング操作により電極表面にコーティングした。その後、配合物3’からのポリマーを、繰り返しの浸漬コーティング操作により、成膜した架橋PVP層上にコーティングした。連続したディップの間に10分の待ち時間があった。すべてのディップ操作が完了した後、センサーを25℃で24時間、その後56℃で48時間、乾燥したバイアル内で硬化させた。
【0120】
図9は、二層マストランスポートリミテーション膜のセンサー性能の例示的なプロットを示すグラフである。図9に示すように、どちらのポリマーも許容できる性能だけを提供していなくても、驚くべきことに、この2層構造は、許容できるレベルの感度で経時的に安定した電流応答をもたらした。図9の応答データは、配合4’(架橋ポリビニルピリジン)を2回ディップした後、配合3’(架橋ポリビニルピリジン-コ-スチレン)を4回ディップした電極に関するものである。
【0121】
2層マストランスポートリミテーション膜における各膜ポリマーの量(厚さ)は、以下の図10に示されるように、センサーの性能を変化させる可能性がある。図10は多様な層の厚さの二層マストランスポートリミテーション膜のセンサー性能の例示的なプロットを示すグラフである。配合物4’を使用して図10の下層を成膜し、配合物3(ポリビニルピリジン-コ-スチレンのGly3架橋変種)を使用して上層を成膜した。従って、ポリビニルピリジン-コ-スチレンポリマーを架橋するために、このポリマーがマストランスポートリミテーション膜において単独で使用される場合に許容できる性能をもたらさないものでさえ、異なる架橋剤も許容される。図10に示すように、電極を配合4’で2回、配合3で4回ディップコーティングすると、感度と安定した電流応答のバランスが良好になった。ディップコーティング操作の数を変更すると、2層膜の各コンポーネントの厚さだけでなく、膜ポリマー同士の質量比も変化した。図10に示すように、PVP層が薄すぎる(配合4’の0回又は1回ディップ)場合、感度は高くなるが、応答の安定性は低くなり、厚すぎる(3回以上のディップ)場合、電極は感度が低く、応答の安定性が低い場合がある。マストランスポートリミテーション膜を成膜するために、スプレーコーティング、スクリーン印刷、又は同様のプロセスを交互に使用することができる。
【0122】
混合膜の変更例 1.5mLのポリビニルピリジンを80:20エタノール:HEPESバッファー(100mg/mL)に、2.5mLのポリビニルピリジン-コ-スチレンを80:20エタノール:HEPESバッファー(140mg/mL)に、0.175mLのPEGDGE400を80:20エタノール:HEPESバッファー(100mg/mL)に、及び0.0132mLのPDMS(100mg/mL)をエタノールに混合することにより、複合膜配合(配合5)を調製した。配合7の組成を以下の表に示す。
【0123】
【表9】
【0124】
したがって、架橋後、配合物5は、PEGDGE400で架橋された各ポリマーを含んでいた。
図11は混合マストランスポートリミテーション膜のセンサー性能の例示的なプロットを示すグラフである。ここに示されるように、混合された膜は、経時的に安定した電流応答及び許容可能なレベルの感度を提供した。さらに、乳酸塩の量を1mMずつ増やしていくと、電流は急速に応答し、安定した値を達成した(図12)。
【0125】
上記の混合マストランスポートリミテーション膜は、ポリビニルピリジンとポリビニルピリジン-コ-スチレンポリマーを3:5の体積比で含んでいた。これら2つのポリマーの代替の比率も、許容できる性能を生み出す可能性がある。図13は架橋ポリビニルピリジン対架橋ポリビニルピリジン-コ-スチレンの様々な比率を有する混合マストランスポートリミテーション膜のセンサー性能の例示的なプロットを示すグラフである。図13に示すように、ポリビニルピリジンの量がより多くても、許容できる感度と応答の安定性が得られた。しかしながら、ポリビニルピリジンとポリビニルピリジン-コ-スチレンの比率を2:2体積比から1:3の体積比に減少した場合、全体的な感度は高くなるが、応答の安定性は低下した。
【0126】
特に明記しない限り、本明細書及び関連する特許請求の範囲における量などを表すすべての数は、すべての場合において「約」という用語によって変更されるものとして理解されるべきである。したがって、反対に示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に示される数値パラメータは、本発明の実施形態によって得られることが求められる所望の特性に応じて変動し得る近似値である。少なくとも、そして均等論の適用をクレームの範囲に限定しようとするものではなく、各数値パラメータは少なくとも、報告された有効桁数を考慮して、通常の丸め手法を適用することによって解釈されるべきである。
【0127】
本明細書では、様々な特徴を組み込んだ1つ以上の例示的な実施形態を提示する。明確にするために、このアプリケーションでは、物理的な実装のすべての機能が説明又は示されているわけではない。本発明の実施形態を組み込んだ物理的実施形態の開発では、システム関連、ビジネス関連、政府関連などのコンプライアンスなどの開発者の目標を達成するために、実装固有の多数の決定を行わなければならないことが理解される。制約は実装によって、また時々変化する。開発者の努力は時間がかかるかもしれないが、それにもかかわらず、そのような努力は、当業者にとって日常的な仕事であり、この開示の恩恵を受ける。
【0128】
様々なシステム、ツール、及び方法は、様々な構成要件又は工程を「備える」という用語で本明細書に記載したが、システム、ツール、及び方法は、様々な構成要件及び工程から「本質的に成る」又は「から成る」ということもできる。
【0129】
本明細書で使用される、一連の項目の前にある「少なくとも1つ」という語句は、項目のいずれかを区切る「及び」又は「又は」という用語とともに、リストの各メンバーではなく、リスト全体を変更する(つまり、各アイテム)。「少なくとも1つの」という語句は、いずれかの項目の少なくとも1つ、及び/又は項目の任意の組み合わせの少なくとも1つ、及び/又は各項目の少なくとも1つを含む意味を可能にする。例として、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」又は「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」という句はそれぞれ、Aのみ、Bのみ、又はCのみ、を指す。A、B、及びCの任意の組み合わせ、及び/又はA、B、及びCのそれぞれの少なくとも1つを指す。
【0130】
したがって、開示されたシステム、ツール、及び方法は、言及された目的及び利点、ならびにそれらに固有のものを達成するために十分に適合されている。本発明の教示は、本明細書の教示の利益を有する当業者に明らかな異なるが同等の方法で修正及び実施され得るので、上に開示された特定の実施形態は、単なる例示である。さらに、添付の特許請求の範囲に記載されている場合を除いて、本明細書に示されている構造又は設計の詳細に対する制限は意図されていない。したがって、上に開示された特定の例示的な実施形態は変更、組み合わせ、又は修正されてもよく、そのようなすべての変形は本発明の範囲内であると考えられることは明らかである。本明細書に例示的に開示されているシステム、ツール、及び方法は、本明細書に具体的に開示されていない要素及び/又は本明細書に開示された任意の要素がない場合でも適切に実施できる。システム、ツール、及び方法は、様々な構成要件又は工程を「備える」、「含む」、又は「含む」という用語を用いて記載したが、システム、ツール、及び方法は、様々な構成要素又は工程から「本質的に成る」又は「から成る」ということもできる。上記で開示されたすべての数と範囲は、ある程度異なる場合がある。下限及び上限を伴う数値範囲が開示される場合は常に、その範囲内に含まれる任意の数及び任意の含まれる範囲が具体的に開示される。特に、本明細書に開示されているすべての値の範囲(「約a~約bまで」又は同等に「およそa~bまで」又は同等に「およそa-bから」の形式)は、より広い範囲の値に含まれるすべての数と範囲を示す。また、特許請求の範囲の用語は、特許権者によって明示的かつ明確に定義されていない限り、それらの平易で通常の意味を有する。さらに、特許請求の範囲で使用される不定冠詞「a」又は「an」は、本明細書では、それが導入する要素の1つ以上を意味すると定義される。本明細書及び参照により本明細書に組み込まれ得る1つ以上の特許又は他の文書における用語又は用語の使用法に矛盾がある場合、本明細書と一致する定義が採用されるべきである。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14