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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】食品提供システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/12 20120101AFI20230413BHJP
   G06Q 30/06 20230101ALI20230413BHJP
【FI】
G06Q50/12
G06Q30/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021170375
(22)【出願日】2021-10-18
【審査請求日】2021-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】515105014
【氏名又は名称】西本Wismettacホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】山田 重樹
(72)【発明者】
【氏名】外所 宏陽
(72)【発明者】
【氏名】坂本 昂生
【審査官】西村 直史
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-120305(JP,A)
【文献】特開2021-174210(JP,A)
【文献】特開2014-186470(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品の提供を行う食品提供システムであって、
顧客からの注文を受け付ける受付部と、
前記受付部で受け付けた前記顧客の注文に応じて、提供する食品の調理に用いる材料の在庫状況と前記提供する食品の調理に用いる調理器具の使用の予約状況とから、前記提供する食品の仕込みを開始する仕込み開始時間を決定する調理時間決定部と、
前記調理時間決定部で決定された前記仕込み開始時間に基づいて確定される、前記提供する食品の調理映えする工程の開始時間に応じて、前記顧客の来店時間を決定する来店時間決定部と、
を備え、
前記来店時間決定部で決定された前記来店時間に訪れた前記顧客に対し、前記提供する食品の調理映えする工程をデモンストレーションとして見せるようにしたことを特徴とする食品提供システム。
【請求項2】
前記調理時間決定部は、前記提供する食品を前記顧客が受け取りに来るテイクアウト時間を基準とし、前記提供する食品の仕込みに要する仕込み時間、前記提供する食品の調理に要する総調理時間、および、前記提供する食品の仕上げに要する仕上げ時間に基づいて、前記仕込み開始時間を決定することを特徴とする請求項1に記載の食品提供システム。
【請求項3】
前記来店時間決定部は、前記調理時間決定部で決定された前記仕込み開始時間に基づいて確定される、前記提供する食品の仕上げの工程が開始される時間を、前記顧客の来店時間として決定することを特徴とする請求項1に記載の食品提供システム。
【請求項4】
前記提供する食品の調理に用いる材料の在庫状況を管理する食材管理部を、さらに備えることを特徴とする請求項1に記載の食品提供システム。
【請求項5】
前記提供する食品の調理に用いる調理器具の使用の予約状況を管理する器具管理部を、さらに備えることを特徴とする請求項1に記載の食品提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラウドキッチンとも称される無店舗飲食店やイートインスペースを有するテイクアウトが可能な飲食店などにおいて、料理の提供を行う食品提供システに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レストランなどの飲食店舗での調理支援システムとして、調理情報表示システムが提案されている。このシステムは、顧客に料理を提供できる時間が一定間隔となるように、各料理の調理開始時間を決定することにより、店内飲食(イートイン)する顧客に対して、常に適切なタイミングで料理を提供できるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-56050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、飲食に対する嗜好の多様化などの観点から、店舗型の飲食店の営業形態が見直されつつある。
【0005】
そんな中、新しい飲食店の営業形態として、「クラウドキッチン」が注目されている。クラウドキッチンとは、店舗を持たないデリバリーやテイクアウトに特化した飲食店であって、例えば、1つのキッチンを複数の飲食店(数人の料理人)で共有するスタイルが主流となっている。
【0006】
しかしながら、デリバリーやテイクアウトの場合、レストランなどの店舗内で飲食する場合に与えられる高揚感といった付加価値を顧客に提供できないという苦悩があった。例えば、顧客に提供される料理の中には、テーブルサイドやカウンター越しに調理の過程を見せることで、顧客の高揚感を醸成したり、食欲を増進させたりといった、付加価値的な効果が期待されるものもある。
【0007】
ところが、デリバリーやテイクアウトの顧客には、調理の過程における各種のデモンストレーション(例えば、包丁さばきなどのパフォーマンスや特定食材の除去またはソースの追加といった顧客の要望に応じたカスタマイズなど)を見せることができない。特に、テイクアウトが主体の飲食店の場合にあっては、できるだけ出来立ての料理を顧客が待ち時間なしに持ち帰れるようにするため、顧客に調理の過程を見せることはしていなかった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、テイクアウトの顧客に店舗内での飲食の際に体験し得るような各種のデモンストレーションを見せることができ、飲食に対する顧客の高揚感を醸成したり、食欲を増進させたりすることが可能な食品提供システを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するため、本発明の態様は、食品の提供を行う食品提供システムであって、顧客からの注文を受け付ける受付部と、前記受付部で受け付けた前記顧客の注文に応じて、提供する食品の調理に用いる材料の在庫状況と前記提供する食品の調理に用いる調理器具の使用の予約状況とから、前記提供する食品の仕込みを開始する仕込み開始時間を決定する調理時間決定部と、前記調理時間決定部で決定された前記仕込み開始時間に基づいて確定される、前記提供する食品の調理映えする工程の開始時間に応じて、前記顧客の来店時間を決定する来店時間決定部と、を備え、前記来店時間決定部で決定された前記来店時間に訪れた前記顧客に対し、前記提供する食品の調理映えする工程をデモンストレーションとして見せるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の態様によれば、テイクアウトの顧客に店舗内での飲食の際に体験し得るような各種のデモンストレーションを見せることができ、飲食に対する顧客の高揚感を醸成したり、食欲を増進させたりすることが可能な食品提供システを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る食品提供システム(予約マスターシステム)の構成例を示す概略図である。
図2図1に示す食品提供システムでのトランザクションデータベース(以下、DB)の内容を例示する一覧表である。
図3図1に示す食品提供システムでのメニューDBの内容を例示する一覧表である。
図4図1に示す食品提供システムでの材料(在庫)DBの内容を例示する一覧表である。
図5図1に示す食品提供システムでの顧客DBの内容を例示する一覧表である。
図6図1に示す食品提供システムでの厨房機器DBの内容を例示する一覧表である。
図7】本実施形態に係る食品提供システムの動作例を説明するために示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の一実施形態に係る食品提供システムが適用される予約マスターシステムについて、図面を参照して説明する。
【0014】
ここでは、店舗を持たないデリバリーやテイクアウトに特化した飲食店であって、1つのキッチンを、複数の飲食店(数人の料理人)で共有する「クラウドキッチン」とした場合について説明する。なお、複数の飲食店を、例えば、フレンチ料理店と天ぷら料理店と中華料理店とした場合を例に説明するが、これに限定されないことは勿論である。
【0015】
図1は、本実施形態に係る予約マスターシステム1の構成例を示すものである。
【0016】
予約マスターシステム1は、例えば図1に示すように、予約マスターシステム処理部10と、この予約マスターシステム処理部10に接続された、記憶部20と、入力部(受付部)31と、表示部33と、通知部(通信部)35と、を有している。
【0017】
入力部31は、顧客からの料理の注文(オーダー)を受け付ける操作パネルである。この入力部31は、オーダーの受け付けのほか、顧客ID(例えば、顧客の名称や住所、電話番号、メールアドレスなど)の登録を行ったり、食材の在庫管理や厨房機器(調理器具)の使用の予約などを行う際に用いられる。
【0018】
なお、顧客が料理のオーダーを行う予約チャネルとしては、電話、ウェブサイト、もしくは、顧客が店頭で行う来店(ウォークイン)から選択でき、オーダー時に、担当者によるデリバリーか、顧客によるテイクアウトか、を選択できるようにしても良い。
【0019】
また、オーダーの際に、出来上がった料理を受け取りに来るテイクアウト時間または配達時間を申告できるようにしても良い。
【0020】
表示部33は、顧客からのオーダーや、食材の在庫状況、および、厨房機器の使用の予約状況などを表示するためのモニタである。この表示部33では、顧客から受けたオーダーが料理(食品)のテイクアウトの場合には、テイクアウト時間を、デリバリーの場合には、配達時間を、それぞれ表示できるようになっている。なお、テイクアウト時間および配達時間は、カウントダウン表示させることも可能とされる。
【0021】
通知部35は、顧客のオーダーがテイクアウトの場合に、テイクアウト時間とは別に、例えば、来店時間として、料理の仕上げの工程(最終の調理過程)が開始される時間を、電話、ウェブサイト、または、口頭により、顧客に通知するためのものである。
【0022】
即ち、テイクアウトする料理の、例えば、仕上げに係るデモンストレーションが開始される時間を、来店時間として、テイクアウトの顧客に通知するようにしている。これにより、来店時間までに来店したテイクアウトの顧客に、テイクアウトする料理の仕上げに係るデモンストレーションを観覧(展示)させることが可能となる。したがって、店舗内で飲食する際に顧客が体験し得るような、例えば、高揚感をテイクアウトの顧客に醸成したり、テイクアウトの顧客の食欲を増進させたりすることが可能となる。
【0023】
なお、顧客に通知する来店時間としては、料理の仕上げの工程が開始される時間に限らず、例えば、オーダーされた料理を調理する過程において特に見栄えのする、各種の調理映えする工程が開始される時間とすることも可能である。つまり、包丁さばきなどのパフォーマンスやソースの追加といった顧客の要望に応じたカスタマイズなどを、デモンストレーションとして、テイクアウトの顧客が観覧できるようにしても良い。
【0024】
記憶部20は、詳細については後述するが、トランザクションDB21、メニューDB23、食材管理部としての材料(在庫)DB25、顧客DB27、および、厨房機器DB(器具管理部)29を備えている。
【0025】
トランザクションDB21は、例えば図2に示すように、トランザクションID21aに対応付けて、オーダーの日時21b、顧客ID21c、予約チャネル21d、金額21e、メニュー1,2,…21f,21g,…などが割り当てられている。トランザクションID21aとは、料理店と予約番号とからなり、例えば、Aはフレンチ料理店、Bは天ぷら料理店、Cは中華料理店というように予め規定されている。顧客ID21cとは、例えば初回の料理のオーダー時に顧客ごとに割り付けられ、顧客の名称や住所などが対応付けられている。
【0026】
メニューDB23は、例えば図3に示すように、テイクアウト可能な料理ごとに、料理店(テナント名)23a、メニュー23b、材料23c、総調理時間23d、仕込み工程時間23e、仕上げ工程時間23f、使用厨房機器23gなどが割り付けられている。テナント名23aとしては、1つのキッチン(図示省略)を共有する3つの店舗、例えば、フレンチ料理店(ザ フレンチ)、天ぷら料理店(天ぷら 山田)、中華料理店(中華 久)となっている。メニュー23bとは、店舗ごとのテイクアウト可能な料理(以下、テイクアウト料理ともいう)であって、材料23cとは、そのテイクアウト料理に用いられる主な食材となっている。総調理時間23dとは、テイクアウト料理の調理に係る時間であり、仕込み工程時間23eとは、テイクアルト料理の仕込みに係る時間であり、仕上げ工程時間23fとは、テイクアウト料理の最終の調理過程である仕上げに係る時間であり、いずれも目安である。使用厨房機器23gとは、そのテイクアウト料理を調理する際に必要となる特別な調理器具であって、1つのキッチンを共有する3つの店舗で兼用される厨房機器となっている。
【0027】
材料DB25は、例えば図4に示すように、テイクアウト料理の主な食材となる材料25aごとの仕入れ先25b、在庫量25c、予約量25d、在庫枯渇予測25eなどとなっている。予約量25dとは、予約の状況などに応じて消費することが既に決まっている食材の使用予定量である。在庫枯渇予測25eとは、在庫量25cの食材を全て使い切る目安となる予測日である。
【0028】
顧客DB27は、例えば図5に示すように、顧客ごとに割り当てられた顧客ID27aに対し、顧客の名称27bや住所27c、電話番号27d、メールアドレス27e、最終購入日27f、および、属性(1)27gなどが対応付けられている。顧客ID27aは、上述したトランザクションDB21においては顧客ID21cとしても利用される。属性(1)27gとは、例えば、過去の購入履歴などを示すもので、リピータかどうかなどを管理するために用いられる。つまり、この属性(1)27gに基づいて、顧客ID27aの発行の有無が判断される。
【0029】
厨房機器DB29は、例えば図6に示すように、時間(30分単位)29aごとに、予約されたテイクアウト料理を調理するために必要な、オーブン29b、フライヤー29c、スチーマー29dなどの厨房機器の使用の予約状況を管理するものである。これにより、たとえ1つのキッチンを複数の店舗によって共同で使用する場合にも、厨房機器の使用の予約状況に応じて調理開始時間を調整することで、予約されたテイクアウト料理を顧客のテイクアウト時間に合わせて提供することが可能となる。
【0030】
また、詳細については後述するが、顧客の来店時間を通知することにより、提供するテイクアウト料理の調理映えする工程、例えば、最終の調理過程である仕上げの工程をデモンストレーションとして顧客に展示させることが容易に可能とされる。
【0031】
図1において、予約マスターシステム処理部10は、入力部31で受け付けた顧客のオーダーに応じて、テイクアウト料理が完成するまでの総調理時間や顧客の来店時間などを決定するもので、調理時間決定部11と来店時間決定部13とを備えている。
【0032】
調理時間決定部11は、記憶部20内の各DB21,23,25,27,29を用いて、テイクアウト料理を調理する食材の在庫状況や厨房機器の使用の予約状況などから、テイクアウト料理が完成するまでの総調理時間を決定する。また、この調理時間決定部11では、総調理時間である、テイクアウト料理の仕込みに要する仕込み時間、テイクアウト料理の実際の調理に要する調理時間、および、テイクアウト料理の仕上げに要する仕上げ時間に基づいて、そのテイクアウト料理の仕込み開始時間(調理開始時間)を決定する。
【0033】
来店時間決定部13は、テイクアウト料理の仕込み開始時間に基づいて顧客のテイクアウト時間と来店時間とを決定するもので、例えば、調理時間決定部11で決定された仕込み開始時間より確定されるテイクアウト料理の仕上げの工程が開始される時間を、来店時間として決定する。
【0034】
この来店時間決定部13では、入力部31により顧客のオーダーが受け付けられたことを条件に顧客のテイクアウト時間と来店時間とが決定され、そのテイクアウト時間および来店時間は、直ちに通知部35よりテイクアウト料理をオーダーした顧客に通知される。また、来店時間決定部13で決定された顧客のテイクアウト時間および来店時間は表示部33で表示されて、キッチンを共有する他の店員(全従業員)にも公開される。
【0035】
このような構成の予約マスターシステム1としては、いずれも図示していないが、会計用のレジスターや、ウォークインでオーダーした顧客にテイクアウト時間および来店時間をプリントアウトした用紙を手渡すためのプリンタなどの接続が可能である。
【0036】
次に、図7を参照して、本実施形態に係る予約マスターシステム1の動作(予約マスターシステム処理部10による処理)の流れについて説明する。
【0037】
まずは、店員が、顧客からの電話、ウェブサイト、または、ウォークインによるテイクアウト料理のオーダーを受け付けたとする。すると、予約マスターシステム1は、店員(料理人)によって入力部31が操作されることに応じて、予約マスターシステム処理部10により、記憶部20のトランザクションDB21を編集する(ステップS01)。つまり、記憶部20のメニューDB23、材料(在庫)DB25、厨房機器DB29などに基づいて、提供することが可能なテイクアウト料理のメニューを決定するとともに、顧客DB27などに基づいて、新たなトランザクションID21aを追加する。
【0038】
なお、厨房機器DB29から、テイクアウト料理の調理に必要な厨房機器の使用が予約で使用できない場合には、受け付けたテイクアウト料理のオーダーはキャンセルされて、新たなトランザクションID21aの追加は見送られる。
【0039】
そして、新たなトランザクションID21aの追加がなされると、調理時間決定部11によって、記憶部20のメニューDB23に基づいて、テイクアウト料理の総調理時間23d、仕込み工程時間23e、仕上げ工程時間23fとともに、テイクアウト料理の仕込み開始時間(調理開始時間)を決定する。なお、この仕込み開始時間は、テイクアウト料理をテイクアウトするテイクアウト時間と総調理時間23dとから求めることができる。即ち、顧客がテイクアウト料理のテイクアウトを希望するテイクアウト時間から、そのテイクアウト料理の調理に係る総料理時間23dを逆算することで、仕込み開始時間は求めることができる。
【0040】
また、来店時間決定部13によって、例えば、調理時間決定部11で決定された仕込み開始時間より確定されるテイクアウト料理の仕上げの工程が開始される時間が、顧客の来店時間として決定される(ステップS02)。つまり、テイクアウト料理の仕上げの工程が開始される時間は、調理時間決定部11で決定された仕込み開始時間を基準とする仕込み工程時間23eが経過した時点の時間であり、総調理時間23dから仕上げ工程時間23fをマイナスした時間である。したがって、このテイクアウト料理の仕上げの工程が開始される時間を、顧客の来店時間とすることによって、テイクアウト料理を受け取りに来る顧客にテイクアウト料理の最後の調理過程である仕上げの工程を展示することが可能となる。
【0041】
この来店時間決定部13で決定された顧客のテイクアウト時間と来店時間は、直ちに通知部35よりテイクアウト料理をオーダーした顧客に通知されるとともに、表示部33で表示されて、キッチンを共有する他の店員に公開される。
【0042】
一方、顧客の来店時間が決定されると、予約マスターシステム処理部10では、その顧客来店時間を管理し、テイクアウト料理を受け取るために顧客が来店するのを待つ(ステップS03)。
【0043】
これに対し、調理時間決定部11で決定された仕込み開始時間に応じて、例えば、テイクアウト料理の仕上げの工程が開始される時間が顧客の来店時間となるように、オーダーを受けた料理店の料理人によるテイクアウト料理の仕込みが開始される(ステップS04)。そして、顧客が来店する来店時間に、テイクアウト料理の仕上げの工程が開始されるように、該料理人による調理が継続される(ステップS05)。
【0044】
こうして、顧客の来店時間に合わせてテイクアウト料理が調理されるのに伴って、来店時間となったことにより、そのテイクアウト料理を受け取るために顧客が来店したとする(ステップS06)。
【0045】
すると、来店した顧客の見ている目の前で、料理人によって、テイクアウト料理の仕上げとなる工程の展示が行われる(ステップS07)。
【0046】
例えば、フレンチ料理店(ザ フレンチ)に、テイクアウト料理としてのローストビーフのオーダーが入ったとする。すると、ザ フレンチの料理人であるシェフによって、ローストビーフを調理する際に最も調理映えする工程である、例えば、ローストビーフの切り分けとソース掛けの工程が、デモンストレーションとして顧客の目の前で展開される。
【0047】
このように、テイクアウト料理の持ち帰りのために来店した顧客に対し、料理の切り分けなどといったデモンストレーションを展示することによって、店舗内で飲食する場合に体験し得るような高揚感といった付加価値を提供できるようになる。
【0048】
その後、テイクアウト料理を包装などし、商品として顧客に引き渡す(ステップS08)。よって、テイクアウトに特化した店舗の場合においても、出来立ての料理の持ち帰りが可能となるとともに、これまでは困難であった高揚感なども顧客に体験させることが可能となる。
【0049】
なお、テイクアウト時間に来店した顧客に対しては、通常通り、出来上がったテイクアウト料理を包装などした後に、商品として顧客に引き渡すことで、出来立ての料理を長い時間待たされたりすることもなしに持ち帰ることが可能である。
【0050】
上記したように、本実施形態によれば、テイクアウト料理を受け取りに来た顧客に対し、出来立ての料理を単に提供できるだけでなく、顧客の高揚感の醸成や食欲の増進といった付加価値の提供が容易に可能となる。
【0051】
特に、デモンストレーションとして顧客に提供される調理映えする工程が、テイクアウト料理の仕上げとなる工程である場合には、テイクアウト料理の受け取りまで顧客を長い時間待たせることもない。
【0052】
しかも、テイクアウト料理の受け取りの際に時間に余裕のある顧客の場合には、来店時間までに来店することで調理映えする工程の観覧が可能であり、時間に余裕のない顧客の場合には、テイクアウト時間に来店することで直ちに料理の受け取りが可能となる。このように、調理映えする工程を観覧するかどうかを顧客側で選択できるようにすることによって、顧客の利便性を向上できる。
【0053】
なお、料理の切り分けやソース掛けといったデモンストレーションに限らず、例えば、フランベや天ぷらなどの盛り付け、中華の強火力による調理、もしくは、デザートのデコレーションなど、各種のデモンストレーションを展示させることが可能である。
【0054】
また、マグロの解体といった包丁さばきなどのパフォーマンス、あるいは、特定食材の使用や顧客の好き嫌いに応じたカスタマイズ的な工程などを、デモンストレーションとして見せることも可能である。
【0055】
特に、テイクアウト料理ことに調理映えする工程の開始時間を、例えばメニューDB23などにより、仕込み工程の開始から何分後というように予め管理するようにし、来店時間を決定する際の目安にするようにしても良い。
【0056】
また、テイクアウト料理や店舗などは、本実施形態に例示したものに限定されないことは勿論である。例えば、出来上がった料理をテイクアウトする場合に限らず、かまぼこや豆腐のような料理に用いる各種の食品をテイクアウトする場合にも適用できる。
【0057】
また、イートインスペースを有しない無店舗飲食店に限らず、例えば、テイクアウトが可能であり、イートインスペースを有する飲食店などの場合にも適用可能である。
【0058】
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、実施形態は一例であり、特許請求の範囲に記載される発明の範囲は、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更できるものである。
【符号の説明】
【0059】
1…予約マスターシステム(食品提供システム)
10…予約マスターシステム処理部
11…調理時間決定部
13…来店時間決定部
20…記憶部
21…トランザクションDB
23…メニューDB
25…材料(在庫)DB(食材管理部)
27…顧客DB
29…厨房機器DB(器具管理部)
31…入力部(受付部)
33…表示部
35…通知部(通信部)
【要約】
【課題】注文した食品をテイクアウトする顧客に対し、店舗内での飲食の際に体験し得るような各種のデモンストレーションを見せることができ、顧客の飲食に対する高揚感を醸成したり、食欲を増進させたりすることを可能とする。
【解決手段】テイクアウトにより料理を提供する予約マスターシステム1であって、顧客からのオーダーを受け付ける入力部31と、入力部31で受け付けた顧客のオーダーに応じて、テイクアウト料理に用いる食材の在庫状況と調理に用いる厨房機器の使用の予約状況とから、テイクアウト料理の仕込みを開始する仕込み開始時間を決定する調理時間決定部11と、調理時間決定部11で決定された仕込み開始時間から確定される、テイクアウト料理の調理映えする工程の開始時間に応じて、顧客の来店時間を決定する来店時間決定部13と、を備え、来店時間に訪れた顧客にテイクアウト料理の調理映えする工程をデモンストレーションとして提示する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7