(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】支援システム、携帯型無線端末、支援システムの制御方法、携帯型無線端末の制御方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
B62J 45/00 20200101AFI20230413BHJP
B62J 50/22 20200101ALI20230413BHJP
【FI】
B62J45/00
B62J50/22
(21)【出願番号】P 2021546063
(86)(22)【出願日】2020-09-17
(86)【国際出願番号】 IB2020058668
(87)【国際公開番号】W WO2021053573
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-02-07
(31)【優先権主張番号】P 2019170851
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(72)【発明者】
【氏名】シュウ アブサロム
(72)【発明者】
【氏名】プラシャン エス. エヌ.
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-103935(JP,A)
【文献】国際公開第2017/168467(WO,A1)
【文献】特開2014-24373(JP,A)
【文献】国際公開第2018/179090(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102016102031(DE,A1)
【文献】英国特許出願公開第2517593(GB,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/280580(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 45/00
B62J 50/22
H04W 4/00
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライダーによる鞍乗り型車両(10)の機能設定の支援システム(1)であって、
前記鞍乗り型車両(10)に設けられ、前記ライダーによる該鞍乗り型車両(10)の機能設定の操作を受け付ける入力装置(11)と、
前記鞍乗り型車両(10)に設けられている通信装置(12)と、
前記ライダーによる前記鞍乗り型車両(10)の機能設定の操作を受け付ける入力部(52)と、該入力部(52)で受け付けた該機能設定の情報を無線で出力する出力部(53)と、を含み、該鞍乗り型車両(10)の前記通信装置(12)と直接又は間接的に通信する携帯型無線端末(50)と、
前記鞍乗り型車両(10)に設けられ、前記携帯型無線端末(50)の前記出力部(53)で出力された前記機能設定の情報が反映された動作を該鞍乗り型車両(10)に実行させる制御装置(13)と、
を備えており、
前記携帯型無線端末(50)は、更に、前記鞍乗り型車両(10)の前記入力装置(11)で操作された前記機能設定の情報を無線で取得する取得部(51)を含み、
前記携帯型無線端末(50)の前記入力部(52)は、該携帯型無線端末(50)の前記取得部(51)で取得された前記機能設定の情報に基づいて、前記ライダーによる前記機能設定の操作を受け付ける際に該ライダーに提供する該操作のガイダンスを変化させる、
支援システム。
【請求項2】
前記携帯型無線端末(50)の前記取得部(51)は、事前に登録された前記通信装置(12)との通信が確立した場合に、前記鞍乗り型車両(10)の前記入力装置(11)で操作された前記機能設定の情報の取得を自動で開始する、
請求項1に記載の支援システム。
【請求項3】
前記鞍乗り型車両(10)の前記通信装置(12)は、事前に登録された前記携帯型無線端末(50)との通信が確立した場合に、該携帯型無線端末(50)の前記出力部(53)で出力された前記機能設定の情報の受信を自動で開始する、
請求項1又は2に記載の支援システム。
【請求項4】
前記携帯型無線端末(50)の前記入力部(52)は、該携帯型無線端末(50)の前記取得部(51)で前記機能設定の情報が取得された場合に、前記ガイダンスを自動で開始する、
請求項1~3の何れか一項に記載の支援システム。
【請求項5】
前記携帯型無線端末(50)の前記入力部(52)は、該携帯型無線端末(50)の前記取得部(51)で取得された前記機能設定の情報に基づいて、前記ライダーが操作する前記機能設定のデフォルトを決定し、該デフォルトに応じた前記ガイダンスを実行する、
請求項1~4の何れか一項に記載の支援システム。
【請求項6】
前記携帯型無線端末(50)の前記入力部(52)は、該携帯型無線端末(50)の前記取得部(51)で取得された前記機能設定の情報に基づいて、前記ライダーが操作する前記機能設定の対象となる機能を決定し、該機能に応じた前記ガイダンスを実行する、
請求項1~5の何れか一項に記載の支援システム。
【請求項7】
前記携帯型無線端末(50)の前記入力部(52)は、該携帯型無線端末(50)の前記取得部(51)で取得された前記機能設定の情報に基づいて、前記ライダーが操作する前記機能設定の限度を決定し、該限度に応じた前記ガイダンスを実行する、
請求項1~6の何れか一項に記載の支援システム。
【請求項8】
前記携帯型無線端末(50)の前記入力部(52)は、該携帯型無線端末(50)の前記取得部(51)で取得された前記機能設定の情報に基づいて、前記ライダーが操作する前記機能設定での選択肢の数を決定し、該選択肢の数に応じた前記ガイダンスを実行する、
請求項1~7の何れか一項に記載の支援システム。
【請求項9】
前記携帯型無線端末(50)の前記入力部(52)は、該携帯型無線端末(50)の前記取得部(51)で取得された前記機能設定の情報に基づいて、前記ライダーの運転趣向を決定し、該運転趣向に応じた前記ガイダンスを実行する、
請求項1~8の何れか一項に記載の支援システム。
【請求項10】
ライダーによる鞍乗り型車両(10)の機能設定の操作を受け付ける入力装置(11)と、該鞍乗り型車両(10)の動作を制御する制御装置(13)と、を含む該鞍乗り型車両(10)の通信装置(12)と直接又は間接的に通信する携帯型無線端末(50)であって、
前記ライダーによる前記鞍乗り型車両(10)の機能設定の操作を受け付ける入力部(52)と、
前記入力部(52)で受け付けた前記機能設定の情報を、前記制御装置(13)に前記鞍乗り型車両(10)を該機能設定の情報に基づいて動作させるために、無線で出力する出力部(53)と、
を含み、
更に、前記鞍乗り型車両(10)の前記入力装置(11)で操作された前記機能設定の情報を無線で取得する取得部(51)を含み、
前記入力部(52)は、前記取得部(51)で取得された前記機能設定の情報に基づいて、前記ライダーによる前記機能設定の操作を受け付ける際に該ライダーに提供する該操作のガイダンスを変化させる、
携帯型無線端末。
【請求項11】
ライダーによる鞍乗り型車両(10)の機能設定の支援システム(1)の制御方法であって、
前記鞍乗り型車両(10)に設けられている入力装置(11)が、前記ライダーによる該鞍乗り型車両(10)の機能設定の操作を受け付け、
前記ライダーによる前記鞍乗り型車両(10)の機能設定の操作を受け付ける入力部(52)と、該入力部(52)で受け付けた該機能設定の情報を無線で出力する出力部(53)と、を含む携帯型無線端末(50)が、該鞍乗り型車両(10)に設けられている通信装置(12)と直接又は間接的に通信し、
前記鞍乗り型車両(10)に設けられている制御装置(13)が、前記携帯型無線端末(50)の前記出力部(53)で出力された前記機能設定の情報が反映された動作を該鞍乗り型車両(10)に実行させ、
更に、前記携帯型無線端末(50)の取得部(51)が、前記鞍乗り型車両(10)の前記入力装置(11)で操作された前記機能設定の情報を無線で取得し、
前記携帯型無線端末(50)の前記入力部(52)が、該携帯型無線端末(50)の前記取得部(51)で取得された前記機能設定の情報に基づいて、前記ライダーによる前記機能設定の操作を受け付ける際に該ライダーに提供する該操作のガイダンスを変化させる、
支援システムの制御方法。
【請求項12】
ライダーによる鞍乗り型車両(10)の機能設定の操作を受け付ける入力装置(11)と、該鞍乗り型車両(10)の動作を制御する制御装置(13)と、を含む該鞍乗り型車両(10)の通信装置(12)と直接又は間接的に通信する携帯型無線端末(50)の制御方法であって、
前記携帯型無線端末(50)の入力部(52)が、前記ライダーによる前記鞍乗り型車両(10)の機能設定の操作を受け付け、
前記携帯型無線端末(50)の出力部(53)が、該携帯型無線端末(50)の前記入力部(52)で受け付けられた前記機能設定の情報を、前記制御装置(13)に前記鞍乗り型車両(10)を該機能設定の情報に基づいて動作させるために、無線で出力し、
更に、前記携帯型無線端末(50)の取得部(51)が、前記鞍乗り型車両(10)の前記入力装置(11)で操作された前記機能設定の情報を無線で取得し、
前記携帯型無線端末(50)の前記入力部(52)が、該携帯型無線端末(50)の前記取得部(51)で取得された前記機能設定の情報に基づいて、前記ライダーによる前記機能設定の操作を受け付ける際に該ライダーに提供する該操作のガイダンスを変化させる、
携帯型無線端末の制御方法。
【請求項13】
ライダーによる鞍乗り型車両(10)の機能設定の操作を受け付ける入力装置(11)と、該鞍乗り型車両(10)の動作を制御する制御装置(13)と、を含む該鞍乗り型車両(10)の通信装置(12)と直接又は間接的に通信する携帯型無線端末(50)において実行されるプログラムであって、
前記携帯型無線端末(50)の入力部(52)が、前記ライダーによる前記鞍乗り型車両(10)の機能設定の操作を受け付けるステップと、
前記携帯型無線端末(50)の出力部(53)が、該携帯型無線端末(50)の前記入力部(52)で受け付けられた前記機能設定の情報を、前記制御装置(13)に前記鞍乗り型車両(10)を該機能設定の情報に基づいて動作させるために、無線で出力するステップと、
を実現させ、
更に、前記携帯型無線端末(50)の取得部(51)が、前記鞍乗り型車両(10)の前記入力装置(11)で操作された前記機能設定の情報を無線で取得するステップを実現させ、
前記携帯型無線端末(50)の前記入力部(52)が、該携帯型無線端末(50)の前記取得部(51)で取得された前記機能設定の情報に基づいて、前記ライダーによる前記機能設定の操作を受け付ける際に該ライダーに提供する該操作のガイダンスを変化させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライダーによる鞍乗り型車両の機能設定の支援システムと、その支援システムに用いられる携帯型無線端末と、その支援システムの制御方法と、その携帯型無線端末の制御方法と、その携帯型無線端末において実行されるプログラムと、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の支援システムとして、ライダーによる鞍乗り型車両の機能設定が携帯型無線端末を用いて行われ、鞍乗り型車両に設けられている、携帯型無線端末と直接又は間接的に通信するための通信装置によって、その機能設定の情報が受信され、鞍乗り型車両に設けられている制御装置がその情報が反映された動作を鞍乗り型車両に実行させるものがある(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-150029号公報(段落68)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ライダーは、鞍乗り型車両を使用しながら各種の機能設定を行う。しかしながら従来の支援システムでは、携帯型無線端末にその機能設定の情報が伝達されないため、ライダーが、鞍乗り型車両を使用しながら行った機能設定の内容を記憶し、鞍乗り型車両の使用後に携帯型無線端末にその情報を入力する必要がある。また、ライダーは、鞍乗り型車両の停車時においても、鞍乗り型車両の停車姿勢を維持するために携帯型無線端末の操作を行わないことが望まれるため、鞍乗り型車両を使用し終わるまでの長い時間に亘って、鞍乗り型車両を使用しながら行った機能設定の内容を記憶し続ける必要も生じ得る。
【0005】
本発明は、上述の課題を背景としてなされたものであり、ライダーによる鞍乗り型車両の機能設定をより支援することができる支援システムと、そのような支援システムに用いられる携帯型無線端末と、そのような支援システムの制御方法と、そのような携帯型無線端末の制御方法と、そのような携帯型無線端末において実行されるプログラムと、を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る支援システムは、ライダーによる鞍乗り型車両の機能設定の支援システムであって、前記鞍乗り型車両に設けられ、前記ライダーによる該鞍乗り型車両の機能設定の操作を受け付ける入力装置と、前記鞍乗り型車両に設けられている通信装置と、前記ライダーによる前記鞍乗り型車両の機能設定の操作を受け付ける入力部と、該入力部で受け付けた該機能設定の情報を無線で出力する出力部と、を含み、該鞍乗り型車両の前記通信装置と直接又は間接的に通信する携帯型無線端末と、前記鞍乗り型車両に設けられ、前記携帯型無線端末の前記出力部で出力された前記機能設定の情報が反映された動作を該鞍乗り型車両に実行させる制御装置と、を備えており、前記携帯型無線端末は、更に、前記鞍乗り型車両の前記入力装置で操作された前記機能設定の情報を無線で取得する取得部を含み、前記携帯型無線端末の前記入力部は、該携帯型無線端末の前記取得部で取得された前記機能設定の情報に基づいて、前記ライダーによる前記機能設定の操作を受け付ける際に該ライダーに提供する該操作のガイダンスを変化させるものである。
【0007】
また、本発明に係る携帯型無線端末は、ライダーによる鞍乗り型車両の機能設定の操作を受け付ける入力装置と、該鞍乗り型車両の動作を制御する制御装置と、を含む該鞍乗り型車両の通信装置と直接又は間接的に通信する携帯型無線端末であって、前記ライダーによる前記鞍乗り型車両の機能設定の操作を受け付ける入力部と、前記入力部で受け付けた前記機能設定の情報を、前記制御装置に前記鞍乗り型車両を該機能設定の情報に基づいて動作させるために、無線で出力する出力部と、を含み、更に、前記鞍乗り型車両の前記入力装置で操作された前記機能設定の情報を無線で取得する取得部を含み、前記入力部は、前記取得部で取得された前記機能設定の情報に基づいて、前記ライダーによる前記機能設定の操作を受け付ける際に該ライダーに提供する該操作のガイダンスを変化させるものである。
【0008】
また、本発明に係る支援システムの制御方法は、ライダーによる鞍乗り型車両の機能設定の支援システムの制御方法であって、前記鞍乗り型車両に設けられている入力装置が、前記ライダーによる該鞍乗り型車両の機能設定の操作を受け付け、前記ライダーによる前記鞍乗り型車両の機能設定の操作を受け付ける入力部と、該入力部で受け付けた該機能設定の情報を無線で出力する出力部と、を含む携帯型無線端末が、該鞍乗り型車両に設けられている通信装置と直接又は間接的に通信し、前記鞍乗り型車両に設けられている制御装置が、前記携帯型無線端末の前記出力部で出力された前記機能設定の情報が反映された動作を該鞍乗り型車両に実行させ、更に、前記携帯型無線端末の取得部が、前記鞍乗り型車両の前記入力装置で操作された前記機能設定の情報を無線で取得し、前記携帯型無線端末の前記入力部が、該携帯型無線端末の前記取得部で取得された前記機能設定の情報に基づいて、前記ライダーによる前記機能設定の操作を受け付ける際に該ライダーに提供する該操作のガイダンスを変化させるものである。
【0009】
また、本発明に係る携帯型無線端末の制御方法は、ライダーによる鞍乗り型車両の機能設定の操作を受け付ける入力装置と、該鞍乗り型車両の動作を制御する制御装置と、を含む該鞍乗り型車両の通信装置と直接又は間接的に通信する携帯型無線端末の制御方法であって、前記携帯型無線端末の入力部が、前記ライダーによる前記鞍乗り型車両の機能設定の操作を受け付け、前記携帯型無線端末の出力部が、該携帯型無線端末の前記入力部で受け付けられた前記機能設定の情報を、前記制御装置に前記鞍乗り型車両を該機能設定の情報に基づいて動作させるために、無線で出力し、更に、前記携帯型無線端末の取得部が、前記鞍乗り型車両の前記入力装置で操作された前記機能設定の情報を無線で取得し、前記携帯型無線端末の前記入力部が、該携帯型無線端末の前記取得部で取得された前記機能設定の情報に基づいて、前記ライダーによる前記機能設定の操作を受け付ける際に該ライダーに提供する該操作のガイダンスを変化させるものである。
【0010】
また、本発明に係るプログラムは、ライダーによる鞍乗り型車両の機能設定の操作を受け付ける入力装置と、該鞍乗り型車両の動作を制御する制御装置と、を含む該鞍乗り型車両の通信装置と直接又は間接的に通信する携帯型無線端末において実行されるプログラムであって、前記携帯型無線端末の入力部が、前記ライダーによる前記鞍乗り型車両の機能設定の操作を受け付けるステップと、前記携帯型無線端末の出力部が、該携帯型無線端末の前記入力部で受け付けられた前記機能設定の情報を、前記制御装置に前記鞍乗り型車両を該機能設定の情報に基づいて動作させるために、無線で出力するステップと、を実現させ、更に、前記携帯型無線端末の取得部が、前記鞍乗り型車両の前記入力装置で操作された前記機能設定の情報を無線で取得するステップを実現させ、前記携帯型無線端末の前記入力部が、該携帯型無線端末の前記取得部で取得された前記機能設定の情報に基づいて、前記ライダーによる前記機能設定の操作を受け付ける際に該ライダーに提供する該操作のガイダンスを変化させるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る支援システム、携帯型無線端末、支援システムの制御方法、携帯型無線端末の制御方法、及び、プログラムでは、携帯型無線端末の取得部が、鞍乗り型車両の入力装置で操作された機能設定の情報を無線で取得し、携帯型無線端末の入力部が、ライダーによる機能設定の操作を受け付ける際に、鞍乗り型車両の入力装置で操作された機能設定の情報に応じたガイダンスを提供する。そのため、ライダーが、携帯型無線端末を用いて鞍乗り型車両の機能設定を行う際に、ライダーが鞍乗り型車両を使用しながらその入力装置に対して行った機能設定を踏まえたガイダンスを受けることが可能となって、ライダーによる記憶の必要性が低減されてライダーの支援が促進される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態に係る支援システムの、概略構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る支援システムの、携帯型無線端末における処理フローの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る支援システム、携帯型無線端末、支援システムの制御方法、携帯型無線端末の制御方法、及び、プログラムについて、図面を用いて説明する。
【0014】
なお、以下で説明する構成、動作等は、一例であり、本発明に係る支援システム、携帯型無線端末、支援システムの制御方法、携帯型無線端末の制御方法、及び、プログラムは、そのような構成、動作等である場合に限定されない。
【0015】
例えば、以下では、本発明に係る支援システムが、自動二輪車に用いられる場合を説明しているが、本発明に係る支援システムが、自動二輪車以外の他の鞍乗り型車両に用いられてもよい。鞍乗り型車両は、ライダーが跨って乗車する乗物全般を意味する。鞍乗り型車両には、モータサイクル(自動二輪車、自動三輪車)、バギー、自転車等が含まれる。モータサイクルには、エンジンを推進源とする自動二輪車又は自動三輪車、モータを推進源とする自動二輪車又は自動三輪車等が含まれ、例えば、オートバイ、スクーター、電動スクーター等が含まれる。また、自転車は、ペダルに付与されるライダーの踏力によって路上を推進することが可能な乗物全般を意味する。自転車には、普通自転車、電動アシスト自転車、電動自転車等が含まれる。
【0016】
また、以下では、細かい構造については、適宜図示を簡略化又は省略している。
【0017】
実施の形態
以下に、実施の形態に係る支援システムを説明する。
【0018】
<支援システムの構成>
実施の形態に係る支援システムの構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る支援システムの、概略構成を示す図である。
【0019】
図1に示されるように、支援システム1は、少なくとも、鞍乗り型車両10に設けられている入力装置11、通信装置12、及び、制御装置13と、携帯型無線端末50と、を含む。
【0020】
入力装置11は、ライダーによる鞍乗り型車両10の機能設定の操作を受け付ける。入力装置11が受け付ける機能設定には、例えば、クルーズコントロール、アダプティブクルーズコントロール、ブレーキアシスト等の各種機能の有効及び無効を切り替える設定が含まれる。また、入力装置11が受け付ける機能設定には、例えば、クルーズコントロールでの上限速度、アダプティブクルーズコントロールでの上限速度及び車間距離、ヘッドライトの照射角、ダンピングコントロールでの減衰度等の各種機能での調整が含まれる。また、入力装置11が受け付ける機能設定には、例えば、言語、デザイン等の入力装置11自体の機能の設定が含まれる。入力装置11は、鞍乗り型車両10のハンドル周辺に設けられているとよい。また、入力装置11が、ライダーが着用するヘルメットと通信可能で、そのヘルメットの入力装置に対して行われた機能設定の情報を受信することで、ライダーによる鞍乗り型車両10の機能設定の操作を受け付けてもよい。なお、本発明における「機能」との用語は、1つの設定項目として扱われる機能だけではなく、複数の設定項目の集合として扱われる機能をも意味する。その集合は、製造者によって予め決められていてもよく、また、ライダーによって任意に組み合わされて登録されてもよい。その場合、ライダーによってなされる組み合わせの登録も、本発明における「機能設定」に含まれる。
【0021】
通信装置12は、携帯型無線端末50と通信する。通信装置12は、携帯型無線端末50と直接通信してもよく、また、サーバ等の拠点を介して携帯型無線端末50と間接的に通信してもよい。通信装置12は、鞍乗り型車両10で取得された各種情報を無線で送信可能である。また、通信装置12は、携帯型無線端末50の後述する出力部53から出力された各種情報を無線で受信可能である。
【0022】
制御装置13は、鞍乗り型車両10の動作を司る。制御装置13は、1つに纏められていてもよく、また、複数に分けられていてもよい。制御装置13は、鞍乗り型車両10に設けられている各種センサの出力に基づいて、鞍乗り型車両10に各種機能を実行させる。また、制御装置13は、ライダーが入力装置11を操作して入力した機能設定の情報が反映された動作を鞍乗り型車両10に実行させる。制御装置13の一部又は全ては、例えば、マイコン、マイクロプロセッサユニット等で構成されてもよく、また、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、また、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。
【0023】
携帯型無線端末50は、例えば、スマートフォン、タブレット端末等である。携帯型無線端末50は、少なくとも、取得部51と、入力部52と、出力部53と、を含む。携帯型無線端末50は、鞍乗り型車両10で取得された各種情報を無線で受信可能である。また、携帯型無線端末50は、出力部53から出力される各種情報を無線で送信可能である。取得部51、入力部52、及び、出力部53のそれぞれは、例えば、マイコン、マイクロプロセッサユニット等で構成されてもよく、また、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、また、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。
【0024】
携帯型無線端末50の取得部51は、鞍乗り型車両10の通信装置12から出力された各種情報を無線で取得する。特に、取得部51は、鞍乗り型車両10の入力装置11で操作された機能設定の情報を無線で取得する。
【0025】
携帯型無線端末50の入力部52は、例えばタッチスクリーン等のユーザインターフェースである。なお、入力部52は、ライダーによって操作される箇所に情報を表示するものであってもよく、また、ライダーによって操作される箇所と異なる箇所に情報を表示するものであってもよい。
【0026】
入力部52は、ライダーによる鞍乗り型車両10の機能設定の操作を受け付ける。つまり、携帯型無線端末50には、鞍乗り型車両10の各種機能の設定を実現するためのプログラムが導入されている。ライダーは、入力部52を操作してそのプログラムを有効化することで、鞍乗り型車両10の各種機能を設定するためのガイダンス画面を携帯型無線端末50に表示させることができる。ガイダンス画面では、ライダーが設定可能な機能の一覧、各機能でライダーが選択できる設定状態の一覧、各機能で設定される数値の入力欄、各機能の解説等が表示される。入力部52は、そのようなガイダンスを表示によって行ってもよく、また、音声等の他の手段によって行ってもよい。なお、入力部52を用いてライダーが設定できる機能は、入力装置11を用いてライダーが設定できる機能と同一であってもよく、また、異なっていてもよい。入力部52を用いてライダーが設定できる機能が、入力装置11を用いてライダーが設定できる機能に加えて、入力装置11を用いてライダーが設定できる機能と異なる機能をも網羅しているとよい。そのように構成されることで、入力装置11(特に処理部)の小型化と、ライダーによる多様な設定の実現と、が両立される。
【0027】
また、入力部52は、取得部51で取得された鞍乗り型車両10の入力装置11で操作された機能設定の情報に基づいて、ライダーに提供するガイダンスを変化させる。
【0028】
具体的には、入力部52は、取得部51で取得された、鞍乗り型車両10の入力装置11で操作された機能設定の情報に基づいて、機能設定でのデフォルトを決定し、そのデフォルトに応じたガイダンスを実行する。例えば、入力部52は、鞍乗り型車両10の入力装置11で操作された機能設定の状態が初期値として入力された画面をガイダンス画面として表示する。ライダーは、その状態に対して変更を加えることで、鞍乗り型車両10の機能設定を行うことができる。また、例えば、ライダーが鞍乗り型車両10の入力装置11を操作して特定の言語を選択した場合に、入力部52は、その特定の言語でガイダンス画面を表示する。
【0029】
また、入力部52は、取得部51で取得された、鞍乗り型車両10の入力装置11で操作された機能設定の情報に基づいて、機能設定の対象となる機能を決定し、その機能に応じたガイダンスを実行する。例えば、ライダーが鞍乗り型車両10の入力装置11を操作して特定の機能を選択した場合に、入力部52は、その特定の機能に付随して設定されるべき機能の設定画面をガイダンス画面として表示する。
【0030】
また、入力部52は、取得部51で取得された、鞍乗り型車両10の入力装置11で操作された機能設定の情報に基づいて、機能設定の限度を決定し、その限度に応じたガイダンスを実行する。例えば、ライダーが鞍乗り型車両10の入力装置11を操作して特定の機能を選択した場合に、入力部52は、ガイダンス画面においてライダーの入力を許容する数値範囲又はライダーの選択を許容する機能を、その特定の機能に応じて増減させる。
【0031】
また、入力部52は、取得部51で取得された、鞍乗り型車両10の入力装置11で操作された機能設定の情報に基づいて、機能設定での選択肢の数を決定し、その数に応じたガイダンスを実行する。例えば、ライダーが鞍乗り型車両10の入力装置11を操作して特定の機能を選択した場合に、入力部52は、設定が許容される数値範囲を何個の選択肢に分けてライダーに選択させるかを、その特定の機能に応じて変化させる。
【0032】
また、入力部52は、取得部51で取得された、鞍乗り型車両10の入力装置11で操作された機能設定の情報に基づいて、ライダーの運転趣向を決定し、その運転趣向に応じたガイダンスを実行する。例えば、ライダーが鞍乗り型車両10の入力装置11を操作して選択した複数の機能からライダーの運転趣向が推定できる場合に、入力部52は、そのライダーの運転趣向に対して設定されるべき機能の設定画面をガイダンス画面として表示する。
【0033】
携帯型無線端末50の出力部53は、携帯型無線端末50の入力部52で受け付けた機能設定の情報を無線で出力する。その情報は、鞍乗り型車両10の通信装置12によって受信され、鞍乗り型車両10の制御装置13は、その情報が反映された動作を鞍乗り型車両10に実行させる。
【0034】
ここで、携帯型無線端末50及び通信装置12は、予め対応付けられているとよい。つまり、携帯型無線端末50は、予め登録されている特定の通信装置12が通信許可エリア内において電源ONの状態となっている場合に、その通信装置12との通信を自動で確立することが可能である。携帯型無線端末50は、その通信が確立されると、鞍乗り型車両10の入力装置11で操作された機能設定の情報の受信を自動で開始する。携帯型無線端末50は、その受信が完了する、つまり取得部51が鞍乗り型車両10の入力装置11で操作された機能設定の情報を取得すると、入力部52を用いた機能設定のガイダンスを自動で開始させてもよい。また、通信装置12は、予め登録されている特定の携帯型無線端末50が通信許可エリア内において電源ONの状態となっている場合に、その携帯型無線端末50との通信を自動で確立することが可能である。通信装置12は、その通信が確立されると、携帯型無線端末50の出力部53で出力された機能設定の情報の受信を自動で開始する。
【0035】
<支援システムの動作>
実施の形態に係る支援システムの動作について説明する。
図2は、本発明の実施の形態に係る支援システムの、携帯型無線端末における処理フローの一例を示す図である。
【0036】
ライダーが、携帯型無線端末50を用いて鞍乗り型車両10の機能設定を行うプログラムを有効化すると、携帯型無線端末50において、
図2に示される処理フローが繰り返し実行される。
【0037】
ステップS101において、取得部51は、鞍乗り型車両10の入力装置11で操作された機能設定の情報を無線で取得する。また、携帯型無線端末50には、鞍乗り型車両10の機能設定のためのガイダンス画面が表示される。
【0038】
ステップS102において、入力部52は、ステップS101で取得された機能設定の情報が携帯型無線端末50に記憶されている機能設定の情報に対して変更されているか否かを判定する。判定結果がYesである場合には、ステップS103に進み、判定結果がNoである場合には、ステップS104に進む。
【0039】
ステップS103において、入力部52は、ガイダンス画面において、ステップS101で取得された機能設定の情報を有効化するか否かをライダーに問い合わせる。ライダーによる入力がYesである場合には、ステップS106に進み、ライダーによる入力がNoである場合には、ステップS105に進む。
【0040】
ステップS104において、入力部52は、携帯型無線端末50に記憶されている機能設定の情報に応じたガイダンスを順次実行して、ライダーによる鞍乗り型車両10の機能設定の操作を受け付ける。出力部53は、入力部52で受け付けられた機能設定の情報を、制御装置13に鞍乗り型車両10をその機能設定の情報に基づいて動作させるために、無線で出力する。
【0041】
ステップS105において、入力部52は、ステップS101で取得された機能設定の情報に応じたガイダンスを順次実行して、ライダーによる鞍乗り型車両10の機能設定の操作を受け付ける。出力部53は、入力部52で受け付けられた機能設定の情報を、制御装置13に鞍乗り型車両10をその機能設定の情報に基づいて動作させるために、無線で出力する。
【0042】
ステップS106において、出力部53は、ステップS101で取得された機能設定の情報を携帯型無線端末50の記憶手段に出力して記憶させる。
【0043】
<支援システムの効果>
実施の形態に係る支援システムの効果について説明する。
【0044】
支援システム1では、携帯型無線端末50の取得部51が、鞍乗り型車両10の入力装置11で操作された機能設定の情報を無線で取得し、携帯型無線端末50の入力部52が、ライダーによる機能設定の操作を受け付ける際に、鞍乗り型車両10の入力装置11で操作された機能設定の情報に応じたガイダンスを提供する。そのため、ライダーが、携帯型無線端末50を用いて鞍乗り型車両10の機能設定を行う際に、ライダーが鞍乗り型車両10を使用しながらその入力装置11に対して行った機能設定を踏まえたガイダンスを受けることが可能となって、ライダーによる記憶の必要性が低減されてライダーの支援が促進される。
【0045】
好ましくは、支援システム1では、携帯型無線端末50の取得部51が、事前に登録された通信装置12との通信が確立した場合に、鞍乗り型車両10の入力装置11で操作された機能設定の情報の取得を自動で開始する。そのように構成されることで、携帯型無線端末50が通信装置12との通信を行なえない状況においても、ライダーが鞍乗り型車両10を使用しながら入力装置11に対して行った機能設定を踏まえたガイダンスを受けることの確実性が向上する。
【0046】
好ましくは、支援システム1では、通信装置12が、事前に登録された携帯型無線端末50との通信が確立した場合に、携帯型無線端末50の出力部53で出力された機能設定の情報の受信を自動で開始する。そのように構成されることで、通信装置12が携帯型無線端末50との通信を行なえない状況においても、ライダーが携帯型無線端末50を用いて行った機能設定を鞍乗り型車両10の動作に反映させることの確実性が向上する。
【0047】
好ましくは、支援システム1では、携帯型無線端末50の入力部52が、携帯型無線端末50の取得部51で機能設定の情報が取得された場合に、ガイダンスを自動で開始する。そのように構成されることで、ライダーがガイダンスを呼び出す手間が低減されるとともに、携帯型無線端末50を用いた機能設定のライダーによる認知が促進される。
【0048】
以上、実施の形態について説明したが、本発明は実施の形態の説明に限定されない。つまり、本発明には、以上で説明された実施の形態に対して変形を施した形態が含まれる。例えば、実施の形態の一部のみが実施されてもよく、また、実施の形態の一部が変形されてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 支援システム、10 鞍乗り型車両、11 入力装置、12 通信装置、13 制御装置、50 携帯型無線端末、51 取得部、52 入力部、53 出力部。