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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】電動式油圧作業機械
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/06 20060101AFI20230413BHJP
   F15B 11/02 20060101ALI20230413BHJP
   F15B 11/17 20060101ALI20230413BHJP
   F15B 11/028 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
F04B49/06 321A
F04B49/06 331A
F15B11/02 C
F15B11/17
F15B11/028 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021548006
(86)(22)【出願日】2019-09-24
(86)【国際出願番号】 JP2019037330
(87)【国際公開番号】W WO2021059337
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】398071668
【氏名又は名称】株式会社日立建機ティエラ
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】高橋 究
(72)【発明者】
【氏名】木原 聖一
(72)【発明者】
【氏名】小川 雄一
(72)【発明者】
【氏名】石井 剛史
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-155760(JP,A)
【文献】国際公開第2010/082636(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/164928(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/084213(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/168887(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/00-49/24
F15B 11/00-11/22
F15B 21/14
E02F 9/20
E02F 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機と、前記電動機によって駆動される油圧ポンプと、前記電動機の目標回転数に基づいて前記電動機の回転数を制御するコントローラとを備え、前記油圧ポンプを駆動して作業を行う電動式油圧作業機械において、
前記電動機が消費可能な最大許容動力を設定する最大許容動力設定装置と、
前記油圧ポンプの吐出圧力を検出する圧力センサと、
前記電動機の目標回転数を指示する目標回転数指示装置とを備え、
前記コントローラは、
前記油圧ポンプの容量と、前記圧力センサによって検出された前記油圧ポンプの吐出圧力と、前記目標回転数指示装置によって指示された前記電動機の目標回転数とに基づいて前記油圧ポンプが消費しようとしている目標動力を算出し、
前記目標動力と前記最大許容動力設定装置によって設定された前記最大許容動力の小さい方の動力に基づいて前記電動機の第1目標回転数を算出し、前記第1目標回転数と前記目標回転数指示装置によって指示された前記電動機の目標回転数の小さい方の目標回転数を第2目標回転数として選択し、前記第2目標回転数に基づいて前記目標動力が前記最大許容動力の範囲内になるように前記電動機の目標回転数を制御することを特徴とする電動式油圧作業機械。
【請求項2】
請求項1記載の電動式油圧作業機械において、
前記電動機に電力を供給する電源を更に備え、
前記最大許容動力設定装置には、前記電動機に電力を供給する電源に対応する最大許容動力が、前記電源の種類に応じて複数記憶されていることを特徴とする電動式油圧作業機械。
【請求項3】
請求項1記載の電動式油圧作業機械において、
前記油圧ポンプは可変容量型であり、
前記コントローラは、前記油圧ポンプの吸収トルク特性と同じ特性を設定したテーブルを有し、前記テーブルに前記圧力センサによって検出された前記油圧ポンプの吐出圧力を参照して前記油圧ポンプの容量を算出し、算出した前記油圧ポンプの容量を用いて前記目標動力を算出することを特徴とする電動式油圧作業機械。
【請求項4】
請求項3記載の電動式油圧作業機械において、
前記油圧ポンプは、前記油圧ポンプの吐出圧力が導かれ、前記油圧ポンプの吸収トルクが所定値を超えないように前記油圧ポンプの容量を制御するトルク制御ピストンを備えたレギュレータを有し、
前記テーブルは、前記吸収トルク特性として、前記トルク制御ピストンによって制御される前記油圧ポンプの吸収トルク特性と同じ特性を設定していることを特徴とする電動式油圧作業機械。
【請求項5】
請求項1記載の電動式油圧作業機械において、
前記油圧ポンプは、第1油圧ポンプと第2油圧ポンプとを含む複数の油圧ポンプにより構成されており、
前記圧力センサは、前記第1油圧ポンプの吐出圧力を検出する第1圧力センサと、前記第2油圧ポンプの吐出圧力を検出する第2圧力センサとを含む複数の圧力センサを備えており、
前記コントローラは、前記第1及び第2の油圧ポンプの容量と、前記第1及び第2圧力センサによって検出された前記第1及び第2油圧ポンプの吐出圧力と、前記電動機の目標回転数とに基づいて前記第1及び第2油圧ポンプが消費しようとしている動力を前記目標動力として算出することを特徴とする電動式油圧作業機械。
【請求項6】
請求項5記載の電動式油圧作業機械において、
前記第1油圧ポンプは可変容量型であり、前記第2油圧ポンプは固定容量型であり、
前記第1油圧ポンプは、前記第1油圧ポンプの吐出圧力と前記第2油圧ポンプの吐出圧力がそれぞれ導かれ、前記第1油圧ポンプの吸収トルクと前記第2油圧ポンプの吸収トルクの合計が所定値を超えないように前記第1油圧ポンプの容量を制御する第1及び第2トルク制御ピストンを備えたレギュレータを有し、
前記コントローラは、前記第1及び第2トルク制御ピストンによって制御される前記第1油圧ポンプの吸収トルク特性と同じ特性を設定した第1テーブルと、前記第2油圧ポンプの吸収トルク特性と同じ特性を設定した第2テーブルとを有し、前記第1テーブルに前記第1圧力センサ及び前記第2圧力センサによって検出された前記第1油圧ポンプの吐出圧力を参照して前記第1油圧ポンプの容量を算出し、算出した前記第1油圧ポンプの容量と、前記電動機の目標回転数と、前記第1圧力センサによって検出された前記第1油圧ポンプの吐出圧とを用いて第1目標動力を算出し、前記第2テーブルに前記第2圧力センサによって検出された前記第2油圧ポンプの吐出圧を参照して前記第2油圧ポンプの容量を算出し、算出した前記第2油圧ポンプの容量と、前記電動機の目標回転数と、前記第2圧力センサによって検出された前記第2油圧ポンプの吐出圧とを用いて第2目標動力を算出し、前記第1目標動力と前記第2目標動力を加算して前記目標動力を算出することを特徴とする電動式油圧作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機により油圧ポンプを駆動して各種作業を行う油圧ショベル等の電動式油圧作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機により油圧ポンプを駆動し、複数のアクチュエータにより各種作業を行う油圧ショベル等の電動式油圧作業機械が、エンジンによる排ガスを出さない点や、低騒音である点などの特徴により、排ガス排出が好ましくない環境、例えば屋内や地下等の作業環境で利用されている。
【0003】
特許文献1には、内蔵のバッテリに加え、商用電源接続コネクタ及び外部バッテリ接続コネクタと、その商用電源接続コネクタから供給される交流電力を直流電力に変換し、その直流電力を、内蔵バッテリから電動機駆動用インバータへ直流電力を供給するラインに合流させる交流・直流変換器と、外部バッテリから供給される直流電力の電圧を変換し、その直流電力を、前記と同様に内蔵バッテリから電動機駆動用インバータへ直流電力を供給するラインに合流させる電圧調整器を備える電動式油圧作業機械が開示されている。
【0004】
特許文献1の技術を用いれば、商用電源接続コネクタ及び外部バッテリ接続コネクタを備えているので、稼働中に内蔵バッテリの充電残容量が不足するような事態が生じても、商用電源接続コネクタを介して給電される商用交流電力、或いは外部バッテリ接続コネクタを介して供給される直流電力を用いて油圧ポンプを駆動することができる。これにより電動式油圧作業機械の継続的な稼働が可能となり、内蔵バッテリの充電切れに起因し、電動式油圧作業機械が建設現場において運転不能となるような事態を回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-84838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1においても、下記の問題があった。
【0007】
例えば、内蔵バッテリの充電残容量が低下した状態で作業機(例えば油圧ショベルのフロント作業機)を操作すると、油圧ポンプを駆動する電動機の消費電力によりバッテリ電圧が急激に低下し、バッテリ電圧が電動機を駆動するインバータの許容範囲を下回ってしまい、電動式油圧作業機械が急停止してしまう場合があった。
【0008】
商用電源接続コネクタを介して商用電源で稼動している場合においても、油圧ポンプを駆動する電動機の消費電力(または電流)が、商用電源の電力容量(または電流容量)を超えてしまい、商用電源に備えられたブレーカが遮断作動し、電動式油圧作業機械が急激に動作を停止し、作業機が急停止してしまう場合があった。
【0009】
このように、電動式油圧作業機械の作業機が作動中に急停止すると、作業機械の安定性が損なわれて転倒の可能性が発生する場合や、インバータやブレーカをその都度復帰しないといけないなど、オペレータの利便性を損なう場合などがあった。
【0010】
本発明の目的は、電動機により油圧ポンプを駆動して作業を行う電動式油圧作業機械において、油圧ポンプが消費しようとしている動力が増加した場合に、電動機の消費動力が予め決められた値を越えないようにし、内蔵バッテリ電圧の異常低下や、商用電源のブレーカ作動によって発生する作業機の急停止を確実に防ぐことができる電動式油圧作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような課題を解決するため、本発明は、電動機と、前記電動機によって駆動される油圧ポンプと、前記電動機の目標回転数に基づいて前記電動機の回転数を制御するコントローラとを備え、前記油圧ポンプを駆動して作業を行う電動式油圧作業機械において、前記電動機が消費可能な最大許容動力を設定する最大許容動力設定装置と、前記油圧ポンプの吐出圧力を検出する圧力センサと、前記電動機の目標回転数を指示する目標回転数指示装置とを備え、前記コントローラは、前記油圧ポンプの容量と、前記圧力センサによって検出された前記油圧ポンプの吐出圧力と、前記目標回転数指示装置によって指示された前記電動機の目標回転数とに基づいて前記油圧ポンプが消費しようとしている目標動力を算出し、前記目標動力と前記最大許容動力設定装置によって設定された前記最大許容動力の小さい方の動力に基づいて前記電動機の第1目標回転数を算出し、前記第1目標回転数と前記目標回転数指示装置によって指示された前記電動機の目標回転数の小さい方の目標回転数を第2目標回転数として選択し、前記第2目標回転数に基づいて前記目標動力が前記最大許容動力の範囲内になるように前記電動機の目標回転数を制御するものとする。

【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電動機が消費する動力が、最大許容動力以下に確実に制限されるので、電動式油圧作業機械の稼動中に、電動機に電力を供給する内蔵バッテリ電圧の異常低下や、商用電源のブレーカが遮断位置に作動することを防止し、作業機の急停止を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施の形態における電動式油圧作業機械の外観を示す図である。
図2】第1の実施の形態における電動式油圧作業機械に備えられた油圧駆動装置を示す図である。
図3】トルク制御ピストン12dによって制御されるメインポンプ2の吸収トルク特性を示す図である。
図4】第1の実施の形態におけるコントローラ50の機能ブロック図である。
図5】第2の実施の形態の電動式油圧作業機械に備えられた油圧駆動装置を示す図である。
図6】トルク制御ピストンによって制御されるメインポンプの吸収トルク特性を示す図である。
図7】固定容量型のメインポンプの吸収トルク特性を示す図である。
図8】第2の実施の形態におけるコントローラ55の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に従い説明する。
【0015】
<第1の実施の形態>
~構成~
図1は、本発明の第1の実施の形態における電動式油圧作業機械の外観を示す図である。
【0016】
電動式油圧作業機械は、下部走行体101と、上部旋回102と、スイング式のフロント作業機104を備え、フロント作業機104は、ブーム111、アーム112、バケット113から構成されている。上部旋回102と下部走行体101は旋回輪215によって回転自在に接続され、上部旋回102は下部走行体101に対し旋回モータ3cの回転によって旋回可能である。上部旋回102の前部にはスイングポスト103が取付けられ、このスイングポスト103にフロント作業機104が上下動可能に取付けられている。スイングポスト103はスイングシリンダ3eの伸縮により上部旋回102に対して水平方向に回動可能であり、フロント作業機104のブーム111、アーム112、バケット113はブームシリンダ3a、アームシリンダ3b、バケットシリンダ3dの伸縮により上下方向に回動可能である。下部走行体101の中央フレームには、右左の走行装置105a,105bと、ブレードシリンダ3hの伸縮により上下動作を行うブレード106が取付けられている。右左の走行装置105a,105bはそれぞれ駆動輪210a,210b、アイドラ211a,211b、履帯212a,212bを備え、右左の走行モータ3f,3gの回転により駆動輪210a,210bを介して履帯212a,212bを駆動することによって走行を行う。
【0017】
上部旋回102には、旋回フレーム107の上にバッテリ70を搭載するバッテリ搭載部109と、内部に運転室108を形成したキャビン110が設置され、運転室108内には、運転席122と、ブームシリンダ3a、アームシリンダ3b、バケットシリンダ3d、旋回モータ3c用の右左の操作レバー装置124A、124Bと、モニタ80と、ゲートロックレバー24(図2参照)が設けられている。
【0018】
図2は、第1の実施の形態における電動式油圧作業機械に備えられた油圧駆動装置を示す図である。
【0019】
油圧駆動装置は、電動機1と、電動機1によって駆動される可変容量型のメインの油圧ポンプ(以下メインポンプという)2及び固定容量型のパイロットポンプ30と、メインポンプ2から吐出された圧油によって駆動される複数のアクチュエータである、ブームシリンダ3a、アームシリンダ3b、旋回モータ3c、バケットシリンダ3d(図1参照)、スイングシリンダ3e(同)、走行モータ3f,3g(同)、ブレードシリンダ3h(同)と、メインポンプ2から吐出された圧油を複数のアクチュエータ3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3hへ導くための圧油供給路5と、圧油供給路5の下流に接続され、メインポンプ2から吐出された圧油が導かれる制御弁ブロック4とを備えている。以下、「アクチュエータ3a,3b,3c,3d,3f,3g,3h」は「アクチュエータ3a,3b,3c・・・」と簡略して標記する。
【0020】
制御弁ブロック4は、メインポンプ2から吐出された圧油を複数のアクチュエータ3a,3b,3c・・・に分配して供給する制御弁装置であり、制御弁ブロック4内には、複数のアクチュエータ3a,3b,3c・・・を制御するための複数の方向切換弁6a,6b,6c・・・と、複数の方向切換弁6a,6b,6c・・・の各メータイン開口の下流側にそれぞれ位置する複数の圧力補償弁7a,7b,7c・・・とが配置されている。複数の圧力補償弁7a,7b,7c・・・には、圧力補償弁7a,7b,7c・・・のスプールを閉じ方向に付勢する向きに方向切換弁6a,6b,6c・・・メータイン開口の上流側の圧力が導かれ、開き方向に付勢する向きにアクチュエータ3a,3b,3c・・・の負荷圧と、後述する差圧減圧弁11の出力圧が導かれる。圧力補償弁7a,7b,7c・・・と方向切換弁6a,6b,6c・・・の間には、それぞれ、方向切換弁6a,6b,6c・・・から圧力補償弁7a,7b,7c・・・への圧油の逆流を防止するチェック弁8a,8b,8c・・・が設けられている。
【0021】
また、制御弁ブロック4内には、複数の方向切換弁6a,6b,6c・・・の負荷圧検出ポートに接続されたシャトル弁9a,9b,9c・・・が配置されている。シャトル弁9a,9b,9c・・・はトーナメント形式に接続されており、最上位のシャトル弁9aに最高負荷圧が検出され、油路8に出力される。
【0022】
更に、制御弁ブロック4内には、圧油供給路5の下流に、圧油供給路5の圧力(メインポンプ2の吐出圧力)が予め決められた設定圧力以上になると圧油供給路5の圧油をタンクに排出するメインリリーフ弁14と、圧油供給路5の圧力(メインポンプ2の吐出圧力)Ppsと後述する最高負荷圧Pplmaxとの差圧を絶対圧Pls(=Pps-Pplmax)として出力する差圧減圧弁11と、圧油供給路5の圧力(メインポンプ2の吐出圧力)Ppsと最高負荷圧Pplmaxとの差圧がある設定圧(アンロード差圧)以上になると圧油供給路5の圧油をタンクに排出するアンロード弁15とが配置されている。アンロード弁15は、アンロード弁15のスプールを閉じ方向に付勢する受圧部15a,15d及びバネ15bと、開方向に付勢する受圧部15cとを有し、受圧部15aに複数のアクチュエータ3a,3b,3c・・・の最高負荷圧Pplmaxが導かれ、受圧部15dに後述する原動機回転数検出弁13の出力圧Pgr(目標LS差圧)が導かれ、受圧部15cに圧油供給路5の圧力(メインポンプ2の吐出圧力)Ppsが導かれ、バネ15bのバネ定数と、受圧部15dに導かれる原動機回転数検出弁13の出力圧(目標LS差圧Pgr)によりアンロード弁15のアンロード差圧が設定される。
【0023】
可変容量型のメインポンプ2はレギュレータ12を有し、レギュレータ12は、圧油供給路5の圧力(メインポンプ2の吐出圧力)Ppsが導かれ、メインポンプ2の吸収トルクがバネ12eにより設定された所定値を超えないようにメインポンプ2の容量(傾転角)を制御するトルク制御ピストン12dを備えている。
【0024】
図3は、トルク制御ピストン12dによって制御されるメインポンプ2の吸収トルク特性を示す図である。図3において、横軸はメインポンプ2の吐出圧力Pps、縦軸はメインポンプ2の容量q(傾転角)である。
【0025】
メインポンプ2の吐出圧力PpsがPpq1に上昇するまでは、メインポンプ2の容量qはメインポンプ2の仕様で決まる最大容量qmaxと等しく、吐出圧力PpsがPpq1以上に上昇すると、吐出圧力Ppsが上昇するにしたがって容量qは最大容量qmaxより徐々に小さくなっていき、吐出圧力PpsがPpq2に達すると容量qはqminと等しくなる。吐出圧力がPpq1からPpq2にある間、メインポンプ2の吸収トルクはバネ12eにより設定された所定値に保たれる。Ppq2はメインリリーフ弁14の設定圧力によって定まる最大圧力である。
【0026】
レギュレータ12は、また、メインポンプ2の吐出流量を制御する流量制御ピストン12cと、流量制御ピストン12cに後述するパイロットリリーフ弁32によって生成される一定のパイロット圧Pi0を導くか、流量制御ピストン12cの圧力をタンクに排出するかを切換えるLS弁12bとを備えている。
【0027】
LS弁12bには、流量制御ピストン12cに一定のパイロット圧Pi0を導くように切り換える方向に、差圧減圧弁11の出力圧Plsが導かれ、流量制御ピストン12cの圧油をタンクに排出するように切り換える方向に、原動機回転数検出弁13の出力圧Pgr(目標LS差圧)が導かれる。LS弁12bと流量制御ピストン12cは、圧油供給路5の圧力(メインポンプ2の吐出圧力)Ppsが、メインポンプから吐出される圧油によって駆動されるアクチュエータの最高負荷圧Plmaxより原動機回転数検出弁13の出力圧Pgr(目標LS差圧)だけ高くなるようメインポンプ2の容量を制御する。
【0028】
原動機回転数検出弁13はパイロットポンプ30のパイロット圧供給路31aに設けられ、パイロットポンプ30の吐出流量から電動機1の回転数を検出する。原動機回転数検出弁13は、パイロットポンプ30の圧油供給路31aとパイロット圧供給路31bとの間に接続された流量検出弁13aと、その流量検出弁13aの前後差圧を目標LS差圧Pgrとして出力する差圧減圧弁13bとを有している。原動機回転数検出弁13の下流のパイロット圧供給路31bには、パイロット圧供給路31bの圧力を一定に保ち、パイロット圧供給路31bにパイロット油圧源を形成するパイロットリリーフ弁32と、パイロット圧供給路31bの圧力を複数の方向切換弁6a,6b,6c・・・を作動するための図示しない複数のパイロットバルブ(減圧弁)に供給するか否かを切り換える切換弁100とが設けられている。複数のパイロットバルブは、ブームシリンダ3a、アームシリンダ3b、バケットシリンダ3d、旋回モータ3c用の操作レバー装置124A、124B(図1参照)を含む複数の操作レバー装置にそれぞれ内蔵され、対応する操作レバー装置の操作レバーを操作することにより作動し、パイロット圧供給路31bからパイロット圧供給路31cを経由して導かれた圧油をパイロット一次圧として、複数の方向切換弁6a,6b,6c・・・の作動するための操作パイロット圧を生成する。
【0029】
切換弁100には、操作レバー装置の操作レバーの操作を許可するか否かを切替えるための前述したゲートロックレバー24が設けられ、切換弁100は、運転室108(図1参照)内においてオペレータがゲートロックレバー24を操作することにより、複数のパイロットバルブ(図示せず)にパイロット圧供給路31bの圧力がパイロット一次圧として供給されるか、パイロットバルブに供給されたパイロット一次圧をタンクに排出するかが切り換えられる。
【0030】
次に、本実施の形態における電動式油圧作業機械の特徴的な構成を説明する。
【0031】
本実施の形態において、メインポンプ2は電動機1によって駆動される油圧ポンプであり、電動式油圧作業機械はメインポンプ2を駆動して作業を行う電動式油圧作業機械である。また。電動式油圧作業機械は電動機1の目標回転数に基づいて電動機1の回転数を制御するコントローラ50を備え、コントローラ50は、メインポンプ2(油圧ポンプ)の容量と、圧力センサ41によって検出されたメインポンプ2の吐出圧力と、電動機1の予め設定した目標回転数とに基づいてメインポンプ2が消費しようとしている目標動力を算出し、その目標動力が最大許容動力の範囲内になるように電動機1の目標回転数を制限する。以下にその詳細を説明する。
【0032】
本実施の形態において油圧駆動装置は、電動機1の回転数を制御するためのインバータ60と、インバータ60へ直流電力供給路65を介して直流電力を供給するように接続されたバッテリ70とを備えている。また、油圧駆動装置は、直流電力供給路65に接続されたAC/DC変換器90と、AC/DC変換器90に接続されたコネクタ91とを備え、コネクタ91に商用電源92が接続されたとき、商用電源92から供給される交流電力を基にコネクタ91、AC/DC変換器90を介してインバータ60に直流電力を供給できるように構成されている。
【0033】
油圧駆動装置は、更に、電動機1の目標回転数を指示する目標回転数指示ダイヤル(目標回転数指示装置)51と、電動機1が消費可能な最大許容動力を設定する最大許容動力設定装置81を内蔵したモニタ80と、圧油供給路5に接続され、メインポンプ2の吐出圧力Ppsとして圧油供給路5の圧力を検出する圧力センサ41とを備え、圧力センサ41の出力、目標回転数指示ダイヤル51の出力、最大許容動力設定装置81の出力はそれぞれコントローラ50に導かれる。コントローラ50は電動機1の目標回転数を指令回転数としてインバータ60へ出力する。
【0034】
モニタ80に内蔵された最大許容動力設定装置81には、電動機1に電力を供給する電源に対応する最大許容動力が、電源の種類に応じて複数記憶されており、その記憶した最大許容動力の中から電動機1に電力を供給する電源であるバッテリ70及び商用電源92に対応するものを選択し、最大許容動力を設定するよう構成されている。最大許容動力として例えば電流値が記憶される。
【0035】
図4は、第1の実施の形態におけるコントローラ50の機能ブロック図である。
【0036】
図4において、コントローラ50は、その処理機能として、テーブル50a、乗算部50b、乗算部50c、最小値選択部50d、除算部50e、除算部50f、最小値選択部50gを有している。
【0037】
テーブル50aには、前述したレギュレータ12のトルク制御ピストン12dによって制御されるメインポンプ2の吸収トルク特性(図3参照)と同じ特性が設定されている。圧力センサ41からの出力であるメインポンプ2の吐出圧力Ppsはテーブル50aに導かれ、テーブル50aにメインポンプ2の吐出圧力Ppsを参照してメインポンプ2の容量qが算出される。
【0038】
なお、メインポンプ2は固定容量型であってもよく、その場合は、後述する第2の実施の形態における油圧ポンプ21のように、図7に示すような一定の容量qmaxを設定したテーブルを用意し、その時のメインポンプの吐出圧から容量を算出すればよい。また、一定の容量qmaxをコントローラ50のメモリに記憶しておき、その容量qmaxを用いてもよい。
【0039】
目標回転数指示ダイヤル51からの入力である目標回転数Nacは、テーブル50aで算出された容量qとともに乗算部50bに導かれ、目標流量Qacが算出される。この目標流量Qacと圧力センサ41からの出力であるメインポンプ2の吐出圧力Ppsは乗算部50cに導かれ、目標動力Pwacが算出される。
【0040】
更に、モニタ80に内蔵された最大許容動力設定装置81からの出力である最大許容動力Pwmaxと、乗算部50cで算出された目標動力Pwacは最小値選択部50dに導かれ、制限後動力Pwregが算出される。制限後動力Pwregと圧力センサ41からの出力であるメインポンプ2の吐出圧力Ppsは除算部50eに導かれ、制限後流量Qregが算出される。制限後流量Qregとテーブル50aで算出された容量qは除算部50fに導かれ、制限後回転数Nregが算出される。
【0041】
制限後回転数Nregと目標回転数指示ダイヤル51からの入力である目標回転数Nacは最小値選択部50gに入力され、制限後回転数Nregと目標回転数Nacの小さい方の値が指令回転数Ndとして選択され、インバータ60へ出力される。
【0042】
このようにコントローラ50は、目標動力Pwacと最大許容動力設定装置81によって設定された最大許容動力Pwmaxの小さい方の動力である制限後動力Pwregに基づいて電動機1の第1目標回転数(制限後回転数)Nregを算出し、この第1目標回転数Nregと目標回転数指示装置(目標回転数指示ダイヤル)51によって指示された電動機1の目標回転数Nacの小さい方の目標回転数を第2目標回転数(指令目標回転数)Ndとして選択し、第2目標回転数Ndに基づいて電動機1の回転数を制御する。
【0043】
~動作~
第1の実施の形態の動作を説明する。
【0044】
固定容量式のパイロットポンプ30から吐出された圧油は、パイロット圧供給路31aに供給され、原動機回転数検出弁13は、パイロットポンプ30の吐出流量に応じて目標LS差圧Pgrを出力する。パイロットリリーフ弁32によって生成されるパイロット1次圧は、ゲートロックレバーによって切換作動される切換弁100を介して、操作レバー装置124A、124Bを含む複数の操作レバー装置のそれぞれのパイロットバルブに供給される。
【0045】
操作レバー装置124A,124B(図1参照)を含む複数の操作レバー装置のうち任意の操作レバー装置の操作レバーを操作すると対応するパイロットバルブが作動して対応する方向切換弁が切り換わり、対応するアクチュエータに圧油が供給される。このとき方向切換弁は操作レバーの操作量に応じたストロークで切り換わり、電動機1により駆動されるメインポンプ2は、レギュレータ12のLS弁12bと流量制御ピストン12cによるロードセンシング制御により操作レバーの操作量に応じた流量を吐出し、アクチュエータは操作レバーの操作量に応じた速度で駆動される。
【0046】
なお、本実施の形態において、LS弁12bと流量制御ピストン12cによるメインポンプ2の流量制御は、一般的なロードセンシング制御であるため、その詳細は省略する。
【0047】
バッテリ70から供給される直流電力、或いは商用電源92からコネクタ91を介しAC/DC変換器90により交流電力から変換され供給される直流電力、或いはその両方の直流電力が、直流電力供給路65を介して、電動機1を駆動するインバータ60へ供給される。
【0048】
モニタ80内に内蔵された最大許容動力設定装置81から予め設定された最大許容動力Pwmaxがコントローラ50に入力される。
【0049】
圧力センサ41からの出力はポンプ吐出圧力Ppsとして、目標回転数指示ダイヤル51からの出力は目標回転数Nacとして、それぞれコントローラ50に入力される。
【0050】
以下に、コントローラ50内の処理を場合分けして説明する。
【0051】
(a)メインポンプ2の目標動力Pwacが最大許容動力Pwmaxと同じか、または小さい場合(Pwac≦Pwmax)
最小値選択部50dには、最大許容動力Pwmaxと目標動力Pwacが導かれ、最小値であるPwacが選択され、制限後動力PwregはPwreg=Pwacとなる。
【0052】
除算部50eでは、Pwreg/Ppsが計算される。このとき、Pwac≦Pwmaxの場合は、Pwreg=Pwacであるので、制限後流量QregはQreg=Pwreg/Pps=Pwac/Pps=Qacとなる。
【0053】
除算部50fでは、Qreg/qが計算される。このとき、前述のようにQreg=Qacであるので、制限後回転数NregはNreg=Qreg/q=Qac/q=Nacとなる。
【0054】
制限後回転数Nregと目標回転数Nacが最小値選択部50gに入力され、最小値が選択される。このとき、前述のようにNreg=Nacなので、コントローラ50からインバータ60へ出力される指令回転数Ndは、最小値選択部50gで制限されることなく、Nd=Nacとなる。
【0055】
(b)メインポンプ2の目標動力Pwacが最大許容動力Pwmaxより大きい場合(Pwac>Pwmax)
最小値選択部50dには、最大許容動力Pwmaxと目標動力Pwacがそれぞれ導かれる。この場合は最大許容動力Pwmaxが最小値として選択され、制限後動力PwregはPwreg=Pwmaxとなる。
【0056】
除算部50eにより、制限後流量QregはQreg=Pwmax/Ppsと算出される。このときは、元々、Qac=Pwac/Ppsの関係が成り立っているので、これら2つの式から、Qreg/Qac=Pwmax/Pwac(<1)の関係が成り立つ。
【0057】
続いて、除算部50fにより、制限後回転数Nregは、Nreg=Qreg/q=Pwmax/Pps/qと算出される。この場合も、元々、Nac=Qac/qの関係が成り立っているので、これら2つの式から、Nreg/Nac=Qreg/Qac=Pwmax/Pwac(<1)の関係が成立する。
【0058】
制限後回転数Nregと目標回転数Nacは最小値選択部50gに入力される。このときは、前述のようにNreg<Nacなので、目標回転数Nacより小さい値であるNregが指令回転数Ndとして選択され、コントローラ50からインバータ60へ出力される。
【0059】
~効果~
本実施の形態においては、以下の効果が得られる。
【0060】
1.コントローラ50は、メインポンプ2の容量qと、圧力センサ41によって検出されたメインポンプ2の吐出圧力Ppsと、電動機1の目標回転数Nacとに基づいてメインポンプ2が消費しようとしている目標動力Pwacを算出し、目標動力Pwacが最大許容動力Pwmaxの範囲内になるように指令回転数Ndをインバータ60に出力し、電動機1の目標回転数Nacを制限するので、電動機1の消費動力が最大許容動力Pwmax以下に確実に制限される。これにより電動式油圧作業機械の稼動中に、電動機1に電力を供給するバッテリ70の電圧の異常低下や、商用電源92のブレーカが遮断位置に作動することを防止し、フロント作業機104の急停止を確実に防止することができる。
【0061】
2.また、オペレータが目標回転数指示ダイヤル51を手動で操作しなくても、電動機1の消費動力が最大許容動力Pwmaxを越えないように電動機1の目標回転数Nacを制限するので、バッテリ70の電圧の異常低下や、商用電源92のブレーカ作動によって発生するフロント作業機104の急停止を確実に防ぐとともに、必要以上にフロント作業機104の作動速度を低下させることなく、作業効率の低下を最小限に抑えることができる。
【0062】
すなわち、一般的に、電動式油圧作業機械の電動機が消費する電力は、電動機によって駆動される油圧ポンプの消費動力とほぼ等しく、「吐出圧力」×「吐出流量」に比例することが知られており、吐出流量は電動機の回転数に比例するため、電動機の消費電力を抑えたい場合には、オペレータが目標回転数指示ダイヤルの指示値を小さく設定することが一般的に行われている。しかし、目標回転数指示ダイヤルの指示値をどこまで小さく設定すれば電動式油圧作業機械が稼働中に停止することを防ぐことができるのかは、実際の作業を行いながらオペレータが自ら学習する必要があり、その煩わしさからオペレータの快適性を損なう原因になっていた。また、目標回転数指示ダイヤルの指示値を小さくし過ぎると、電動式油圧作業機械の油圧ポンプの負荷が小さく、回転数を低く抑える必要がない場合にも作業機の動作スピードが遅くなってしまい、作業効率を低下させる原因になっていた。
【0063】
本実施の形態では、コントローラ50は、メインポンプ2の容量qと、圧力センサ41によって検出されたメインポンプ2の吐出圧力Ppsと、目標回転数指示ダイヤル51によって指示された電動機1の目標回転数Nacとに基づいてメインポンプ2が消費しようとしている目標動力Pwacを算出する。このため電動式油圧作業機械のオペレータは、電動機1の目標回転数指示ダイヤル51を操作して電動機1の回転数を制限する必要がなく、操作の手間を省くことができる。
【0064】
また、電動機1の目標動力が小さい場合に、不必要に電動機1の回転数を制限し、フロント作業機104の作動速度を低下させることがないので、電動式油圧作業機械の作業効率の低下を最小限に抑えることができる。
【0065】
3.最大許容動力設定装置81は、予め記憶した複数の最大許容動力の中から電動機1に電力を供給する電源であるバッテリ70及び商用電源92に対応するものを選択し、最大許容動力を設定するよう構成されているので、電動式油圧作業機械の扱いに不慣れなオペレータであっても、容易に最大許容動力を設定することができる。
【0066】
4.コントローラ50は、テーブル50aにメインポンプ2の吸収トルク特性(図4参照)と同じ特性を設定し、テーブル50aに圧力センサ1によって検出されたメインポンプ2の吐出圧力Ppsを参照してメインポンプ2の容量qを算出するので、メインポンプ2の吸収トルクを正確に算出し、電動機1に電力を供給するバッテリ70の電圧の異常低下や、商用電源92のブレーカが遮断位置に作動することを確実に防止することができる。
【0067】
5.コントローラ50は、制限後動力Pwregに基づいて算出した電動機1の制限後回転数(第1目標回転数)Nregをそのまま指令回転数Ndとしてインバータ60に出力するのではなく、制限後回転数Nregと目標回転数指示ダイヤル51によって指示された目標回転数Nacの小さい方の目標回転数(第2目標回転数)を指令回転数Ndとしてインバータ60に出力し、電動機1の回転数を制御するので、メインポンプ2の目標動力Pwacが最大許容動力Pwmaxと同じか、または小さい場合(Pwac≦Pwmax)は、コントローラ50の処理速度或いは応答性に影響されることなく、安定した電動機1の回転数制御を行うことができる。
【0068】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態について、その構成、動作、効果を第1の実施の形態と異なる部分を中心に説明する。
【0069】
~構成~
図5は、第2の実施の形態の電動式油圧作業機械に備えられた油圧駆動装置を示す図である。
【0070】
第2の実施の形態において、油圧駆動装置は、油圧ポンプがロードセンシングによる流量制御を行わない油圧ポンプであり、かつその油圧ポンプとして、2つの油圧ポンプ(第1及び第2油圧ポンプ)を備える点、2つの油圧ポンプの1つがスプリットフロー型であり、それに対応して、油圧ポンプの吐出圧力を検出する圧力センサとして3つの圧力センサを備える点、制御弁ブロックが分流制御を行わないオープンセンタ型の方向切換弁を備えた制御弁装置である点、油圧ポンプのレギュレータが全トルク制御(複数の油圧ポンプがある場合に、複数の油圧ポンプの吸収トルクの合計が所定値を超えないように1つの油圧ポンプの容量を制御するトルク制御)を行うように構成されている点が第1の実施の形態と異なっている。
【0071】
図5において、本実施の形態の油圧駆動装置は、電動機1によって駆動されるスプリットフロータイプの油圧ポンプである可変容量型のメインの油圧ポンプ(第1油圧ポンプ)20と、固定容量型の油圧ポンプであるメインの油圧ポンプ(第2油圧ポンプ)21とを備えている。スプリットフロータイプのメインポンプ20は、斜板、ピストン等を含む共通の圧送機構から押し出された圧油を吐出する2つの吐出ポート20a,20bを有し、吐出ポート20a,20bから吐出された圧油はそれぞれの方向切換弁に供給される。
【0072】
なお、メインポンプ20は1つの吐出ポートを有する油圧ポンプであってもよい。また、メインポンプ20は1つの吐出ポートを有する2つ以上の油圧ポンプであってもよい。
【0073】
本実施の形態の油圧駆動装置は、また、メインポンプ20の一方の吐出ポート20aから吐出された圧油を複数のアクチュエータ3a,3d,3gへ導くための圧油供給路5aと、メインポンプ20の他方の吐出ポート20bから吐出された圧油を複数のアクチュエータ3b,3fへ導くための圧油供給路5bと、メインポンプ21から吐出された圧油を複数のアクチュエータ3c,3e,3hへ導くための圧油供給路5cと、圧油供給路5a,5b,5cの下流に接続され、メインポンプ20,21から吐出された圧油が導かれる制御弁ブロック40とを備えている。複数のアクチュエータ3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3hは、第1の実施の形態で説明したように、それぞれ、ブームシリンダ、アームシリンダ、旋回モータ、バケットシリンダ、スイングシリンダ、走行モータ、ブレードシリンダである。
【0074】
制御弁ブロック40は、メインポンプ20,21から吐出された圧油を複数のアクチュエータ3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3hに分配して供給する制御弁装置であり、制御弁ブロック40内には、複数のアクチュエータ3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3hを制御するための複数の方向切換弁16a,16b,16c,16d,16e,16f,16g,16hと、圧油供給路5a,5b,5cに接続され、圧油供給路5a,5b,5cの圧力が予め決められた設定圧力以上になると前記圧油供給路5a,5b,5cの圧油をタンクに排出するメインリリーフ弁14a,14b,14cとが配置され、圧油供給路5a,5b,5cと複数の方向切換弁16a,16b,16c,16d,16e,16f,16g,16hとの間には、それぞれ、方向切換弁16a,16b,16c,16d,16e,16f,16g,16hから圧油供給路5a,5b,5cへの圧油の逆流を防止するチェック弁18a,18b,18c,18d,18e,18f,18g,18hが設けられている。
【0075】
可変容量型のメインポンプ20はレギュレータ22を有し、レギュレータ22は、圧油供給路5a,5bの圧力(メインポンプ20の2つの吐出ポート20a,20bの吐出圧力)と圧油供給路5cの圧油がそれぞれ導かれ、メインポンプ20の吸収トルクとメインポンプ21の吸収トルクの合計がバネ22eにより設定された所定値を超えないようにメインポンプ20の容量(傾転角)を制御するトルク制御ピストン22f,22g,22hを備えている。
【0076】
図6は、トルク制御ピストン22f,22g,22hによって制御されるメインポンプ20の吸収トルク特性を示す図である。図6において、横軸はメインポンプ20の平均吐出圧力(Pps1+Pps2)/2、縦軸はメインポンプ20の容量q12(傾転角)である。また、Pps1,Pps2はメインポンプ20の2つの吐出ポート20a,20bのそれぞれの吐出圧力であり、Pps3はメインポンプ21の吐出圧力である。
【0077】
メインポンプ20の容量q12は、図3に示した第1の実施の形態におけるレギュレータ12の吸収トルク特性と同様に、メインポンプ20の平均吐出圧力(Pps1+Pps2)/2がPpq1a~Ppq1cに上昇するまでは、メインポンプ20の仕様で決まる最大容量qmax12と等しく、平均吐出圧力(Pps1+Pps2)/2がPpq1a~Ppq1c以上に上昇すると、平均吐出圧力(Pps1+Pps2)/2が上昇するにしたがって容量q12は最大容量qmax12より徐々に小さくなっていき、平均吐出圧力(Pps1+Pps2)/2がPpq2に達すると容量q12はqmin12a~qmin12cと等しくなる。平均吐出圧力(Pps1+Pps2)/2がPpq1a~Ppq1cからPpq2にある間、メインポンプ20の吸収トルクはバネ22eにより設定された所定値に保たれる。Ppq2はメインリリーフ弁14a,14bの設定圧力によって決まる最大圧力である。
【0078】
Ppq1a~Ppq1cからPpq2の間の特性は、メインポンプ21の吐出圧力Pps3の大きさによって変化し、吐出圧力Pps3の値が小さい場合は曲線a上の特性に、吐出圧力Pps3の値が大きい場合は、曲線c上の特性に、吐出圧力Pps3の値がその中間の場合には曲線b上の特性となる。
【0079】
固定容量型のパイロットポンプ30はパイロット圧供給路31bに直接接続され、パイロット圧供給路31bには、第1の実施の形態と同様、パイロットリリーフ弁32と切換弁100とが設けられている。
【0080】
図7は、固定容量型のメインポンプ21の吸収トルク特性を示す図である。図7において、横軸はメインポンプ21の吐出圧力Pps3、縦軸はメインポンプ21の容量q3(傾転角)である。メインポンプ21は固定容量型であるため、メインポンプ21の吐出圧力Pps3の値に係わらず、容量はqmax3で一定である。Ppq3はメインリリーフ弁14cの設定圧力によって定まる最大圧力である。
【0081】
また、本実施の形態において、油圧駆動装置は、インバータ60へ電動機1の目標回転数を指令回転数として出力するコントローラ55を備え、かつ圧油供給路5a,5bに接続され、メインポンプ20の2つの吐出ポート20a,20bの吐出圧力Pps1,Pps2を検出する圧力センサ41a,41bと、圧油供給路5cに接続され、メインポンプ21の吐出圧力Pps3を検出する圧力センサ41cとを備えている。圧力センサ41a,41b,41cの出力、目標回転数指示ダイヤル51の出力、最大許容動力設定装置81の出力はそれぞれコントローラ55に導かれる。
【0082】
図8は、第2の実施の形態におけるコントローラ55の機能ブロック図である。
【0083】
図8において、コントローラ55は、その処理機能として、加算部55a、ゲイン55b、テーブル55c、ゲイン55d、乗算部55e、乗算部55f、加算部55g、テーブル55h、乗算部55i、乗算部55j、最小値選択部55k、ゲイン55l、除算部55m、除算部55n、最小値選択部55oを有している。
【0084】
圧力センサ41a,41b からの出力であるメインポンプ20の吐出圧力Pps1, Pps2は加算部55aに導かれ、更にゲイン55bで1/2にされ、メインポンプ20の2つの吐出ポート20a,20bの平均吐出圧力(Pps1+Pps2)/2が算出される。このメインポンプ20の平均吐出圧力(Pps1+Pps2)/2はテーブル55cに導かれる。また、圧力センサ41cからの出力であるメインポンプ21の吐出圧力Pps3がテーブル55cに導かれる。
【0085】
テーブル55cには、前述したレギュレータ22のトルク制御ピストン22f,22g,22hによって制御されるメインポンプ20の吸収トルク特性(図6)と同じ特性が設定されている。メインポンプ20の平均吐出圧力(Pps1+Pps2)/2とメインポンプ21の吐出圧力Pps3はテーブル55cに導かれ、メインポンプ20の平均吐出圧力(Pps1+Pps2)/2とメインポンプ21の吐出圧力Pps3をテーブル55cに参照してメインポンプ20の容量q12が算出される。
【0086】
テーブル55cで算出されたメインポンプ20の容量q12はゲイン55dで2倍にされる。
【0087】
また、目標回転数指示ダイヤル51からの入力である目標回転数Nacは、ゲイン55dで算出された容量q12*2とともに乗算部55eに導かれ、メインポンプ20の目標流量Q12acが算出される。目標流量Q12acはメインポンプ20の2つの吐出ポート20a,20bの吐出流量の合計である。この目標流量Q12acとゲイン55bで算出されたメインポンプ20の平均吐出圧力(Pps1+Pps2)/2は乗算部55fに導かれ、メインポンプ20の目標動力Pw12acが算出される。
【0088】
一方、テーブル55hには、前述した固定容量型のメインポンプ21の吸収トルク特性(図7参照)と同じ特性が設定されている。圧力センサ41cからの出力であるメインポンプ21の吐出圧力Pps3はテーブル55hに導かれ、メインポンプ21の吐出圧力Pps3をテーブル55hに参照してメインポンプ21の容量q3が算出される。テーブル55hは、吐出圧力Pps3の値に係わらず、容量q3として一定の値qmax3を出力する。
【0089】
なお、容量qmax3は一定であるため、テーブル55hを用いて容量qmax3を算出する代わりに、一定の容量qmax3をコントローラ55のメモリに記憶しておき、その容量qmax3を用いてもよい。
【0090】
また、目標回転数指示ダイヤル51からの入力である目標回転数Nacは、テーブル55hで算出された容量q3とともに乗算部55iに導かれ、メインポンプ21の目標流量Q3acが算出される。この目標流量Q3acと圧力センサ41cからの出力であるメインポンプ21の吐出圧力Pps3は乗算部55jに導かれ、メインポンプ21の目標動力Pw3acが算出される。
【0091】
乗算部55fで算出した目標動力Pw12acと乗算部55jで算出した目標動力Pw3acは加算部55gで加算され、合計の目標動力Pw123acが算出される。
【0092】
モニタ80に内蔵された最大許容動力設定装置81からの出力である最大許容動力Pwmaxと、加算部55gで算出された目標動力Pw123acは最小値選択部55kに導かれ、制限後動力Pwregが算出される。最小値選択部55kの出力である制限後動力Pwregはゲイン55lに導かれ、制限後動力PwregにPw12ac/Pw123acが乗じられ、メインポンプ20が使用可能な制限後動力Pw12regが算出される。Pw12ac/Pw123acは、加算部55gで算出された可変容量型のメインポンプ20と固定容量型のメインポンプ21の合計の目標動力Pw123acに対する、乗算部55fで算出された可変容量型のメインポンプ20の目標動力Pw12acの比を表しており、言い換えれば最大許容動力Pwmaxに制限された動力のうち、可変容量型のメインポンプ20が消費可能な動力を表している。
【0093】
制限後動力Pw12regとゲイン55bで算出されたメインポンプ20の平均吐出圧力(Pps1+Pps2)/2は除算部55mに導かれ、制限後流量Q12regが算出される。制限後流量Q12regとゲイン55dで算出された容量q12*2は除算部55nに導かれ、制限後回転数Nregが算出される。
【0094】
制限後回転数Nregと目標回転数指示ダイヤル51からの入力である目標回転数Nacは最小値選択部55oに入力され、制限後回転数Nregと目標回転数Nacの小さい方の値が指令回転数Ndとして選択され、インバータ60へ出力される。
【0095】
このように本実施の形態において、油圧駆動装置は、2つのメインポンプ20,21(第1及び第2油圧ポンプ)を含む複数の油圧ポンプを備え、圧力センサとして、2つのメインポンプ20,21のそれぞれの吐出圧力を検出する第1圧力センサ41a,41b及び第2圧力センサ41cを含む複数の圧力センサを備え、コントローラ55は、2つのメインポンプ20,21(第1及び第2油圧ポンプ)の容量と、第1圧力センサ41a,41b及び第2圧力センサ41cによって検出された2つのメインポンプ20,21の吐出圧力と、電動機1の目標回転数とに基づいて2つのメインポンプ20,21(第1及び第2油圧ポンプ)が消費しようとしている目標動力を算出する。
【0096】
また、メインポンプ20(第1油圧ポンプ)は可変容量型であり、メインポンプ21(第2油圧ポンプ)は固定容量型であり、メインポンプ20(第1油圧ポンプ)は、メインポンプ20の吐出圧力と、メインポンプ21(第2油圧ポンプ)の吐出圧力がそれぞれ導かれ、メインポンプ20の吸収トルクとメインポンプ21の吸収トルクの合計が所定値を超えないようにメインポンプ20の容量を制御する第1トルク制御ピストン22f,22g及び第2トルク制御ピストン22hを備えたレギュレータ22を有し、コントローラ55のテーブル55cは、メインポンプ20の吸収トルク特性として、第1トルク制御ピストン22f,22g及び第2トルク制御ピストン22hによって制御されるメインポンプ20の吸収トルク特性を設定している。
【0097】
~動作~
第2の実施の形態の動作を説明する。
【0098】
操作レバー装置124A,124B(図1参照)を含む複数の操作レバー装置のうち任意の操作レバー装置の操作レバーを操作すると、対応する方向切換弁が切り換わり、対応するアクチュエータに圧油が供給される。このとき方向切換弁は操作レバーの操作量に応じたストロークで切り換わり、電動機1により駆動されるメインポンプ20,21は、電動機1の回転数とレギュレータ22のトルク制御ピストン22f,22g,22hの吸収トルク制御に応じた流量を吐出し、アクチュエータは操作レバーの操作量に応じた速度で駆動される。
【0099】
なお、本実施の形態において、吸収トルク制御を行うレギュレータ22及びオープンセンタ型の方向切換弁の作動については、一般的であることから、その詳細は省略する。
【0100】
バッテリ70から供給される直流電力、或いは商用電源92からコネクタ91を介しAC/DC変換器90により交流電力から変換され供給される直流電力、或いはその両方の直流電力が、直流電力供給路65を介して、電動機1を駆動するインバータ60へ供給される。
【0101】
モニタ80内に内蔵された最大許容動力設定装置81から予め設定された最大許容動力Pwmaxがコントローラ55に入力される。
【0102】
圧力センサ41a,41b,41cからの出力はポンプ吐出圧力Pps1,Pps2,Pps3として、目標回転数指示ダイヤル51からの出力は目標回転数Nacとして、それぞれコントローラ55に入力される。
【0103】
以下に、コントローラ55内の処理を場合分けして説明する。
【0104】
(a)メインポンプ20とメインポンプ21の目標動力Pw123acが最大許容動力Pwmaxと同じか、または小さい場合(Pw123ac≦Pwmax)、
最小値選択部55kには、最大許容動力Pwmaxと目標動力Pw123acが導かれ、最小値であるPw123acが選択され、制限後動力PwregはPwreg=Pw123acとなる。
【0105】
ゲイン55lで制限後動力PwregにPw12ac/Pw123acが乗じられ、メインポンプ20が使用可能な制限後動力Pw12regはPw12reg=Pwreg(=Pw123ac)×Pw12ac/Pw123ac=Pw12acとなる。
【0106】
除算部55mでは、Pw12reg/(Pps1+Pps2)/2が計算される。このとき、Pw123ac≦Pwmaxの場合は、Pw12reg=Pw12acであるので、制限後流量Q12regはQ12reg=Pw12reg/(Pps1+Pps2)/2=Pw12ac/(Pps1+Pps2)/2=Q12acとなる。
【0107】
除算部55nでは、Nreg=Q12reg/(2×q12)が計算される。このとき、前述のようにQ12reg=Q12acであるので、制限後回転数NregはNreg=Q12reg/(2×q12)=Q12ac/(2×q12)=Nacとなる。
【0108】
制限後回転数Nregと目標回転数Nacが最小値選択部55oに入力され、最小値が選択される。このとき、前述のようにNreg=Nacなので、コントローラ55からインバータ60へ出力される指令回転数Ndは、最小値選択部55oで制限されることなく、Nd=Nacとなる。
【0109】
(b)メインポンプ20とメインポンプ21の目標動力Pw123acが最大許容動力Pwmaxより大きい場合(Pw123ac>Pwmax)
最小値選択部55kには、最大許容動力Pwmaxと目標動力Pw123acが導かれる。この場合は最大許容動力Pwmaxが最小値として選択され、制限後動力PwregはPwreg=Pwmaxとなる。
【0110】
ゲイン55lで制限後動力PwregにPw12ac/Pw123acが乗じられ、メインポンプ20が消費可能な制限後動力Pw12regはPw12reg=Pwreg(=Pwmax)×Pw12ac/Pw123acが算出される。
【0111】
除算部55mにより、制限後流量Q12regはQ12reg=Pwmax×Pw12ac/Pw123ac/(Pps1+Pps2)/2と算出される。このときは、元々、Q12ac=Pw12ac/(Pps1+Pps2)/2の関係が成り立っているので、これら2つの式から、Q12reg/Q12ac=Pwmax/Pw123ac(<1)の関係が成り立つ。
【0112】
続いて、除算部55nにより、制限後回転数Nregは、Nreg=Q12reg/(2×q12)=Q12ac×(Pwmax/Pw123ac)/(2×q12)と算出される。この場合も、元々、Nac=Q12ac/(2×q12)の関係が成り立っているので、これら2つの式から、Nreg/Nac=Q12reg/Q12ac=Pwmax/Pw123ac(<1)の関係が成立する。
【0113】
制限後回転数Nregと目標回転数Nacは最小値選択部55oに入力される。このときは、前述のように、Nreg<Nacなので、目標回転数Nacより小さい値であるNregが指令回転数Ndとして選択され、コントローラ55からインバータ60へ出力される。
【0114】
~効果~
本実施の形態においては、以下の効果が得られる。
【0115】
1.コントローラ55は、メインポンプ20,21の容量q12,q3と、圧力センサ41a,41b,41cによって検出されたメインポンプ20,21の吐出圧力Pps1,Pps2,Pps3と、電動機1の目標回転数Nacとに基づいてメインポンプ20,21が消費しようとしている目標動力Pw123acを算出し、目標動力Pw123acが最大許容動力Pwmaxの範囲内になるように指令回転数Ndをインバータ60に出力し、電動機1の目標回転数Nacを制限するので、第1の実施の形態と同様、電動機1の消費動力が、最大許容動力Pwmax以下に確実に制限される。これにより電動式油圧作業機械の稼動中に、電動機1に電力を供給するバッテリ70の電圧の異常低下や、商用電源92のブレーカが遮断位置に作動することを防止し、フロント作業機104の急停止を確実に防止することができる。
【0116】
また、電動式油圧作業機械のオペレータは、電動機1の目標回転数指示ダイヤル51を操作する必要がないので、操作の手間を省くことができるなど、第1の実施の形態の2~5項と同じ効果が得られる。
【0117】
2.油圧駆動装置は、油圧ポンプとして、2つのメインポンプ20,21(第1及び第2油圧ポンプ)を含む複数の油圧ポンプを備え、圧力センサとして、2つのメインポンプ20,21のそれぞれの吐出圧力Pps1,Pps2,Pps3を検出する第1圧力センサ41a,41b及び第2圧力センサ41cを含む複数の圧力センサを備え、コントローラ55は、2つのメインポンプ20,21(第1及び第2油圧ポンプ)の容量q12,q3と、第1圧力センサ41a,41b及び第2圧力センサ41cによって検出された2つのメインポンプ20,21の吐出圧力Pps1,Pps2,Pps3と、電動機1の目標回転数Nacとに基づいて2つのメインポンプ20,21(第1及び第2油圧ポンプ)が消費しようとしている目標動力Pw123acを算出する。
【0118】
これにより油圧駆動装置が、油圧ポンプとして複数の油圧ポンプ(メインポンプ20,21)を備えている場合でも、複数の油圧ポンプ(2つのメインポンプ20,21)が消費しようとしている目標動力Pw123acを算出し、目標動力Pw123acが最大許容動力Pwmaxの範囲内になるように電動機1の目標回転数Nacを制限することができる。
【0119】
3.メインポンプ20が可変容量型であり、メインポンプ21が固定容量型であり、メインポンプ20(第1油圧ポンプ)のレギュレータ22は、メインポンプ20の吐出圧力とメインポンプ21(第2油圧ポンプ)の吐出圧力がそれぞれ導かれ、メインポンプ20の吸収トルクとメインポンプ21の吸収トルクの合計が所定値を超えないようにメインポンプ20の容量を制御するトルク制御ピストン(第1トルク制御ピストン)22f,22g及びトルク制御ピストン(第2トルク制御ピストン)22hを備え、全トルク制御をおこなう場合でも、コントローラ55のテーブル55cは、メインポンプ20の吸収トルク特性と同じ吸収トルク特性を設定し、テーブル55hは、メインポンプ21の吸収トルク特性と同じ吸収トルク特性を設定しているため、コントローラ55は、2つのメインポンプ20,21が消費しようとしている目標動力Pw123acを算出し、目標動力Pw123acが最大許容動力Pwmaxの範囲内になるように電動機1の目標回転数Nacを制限することができる。
【符号の説明】
【0120】
1 電動機
2 可変容量型のメインポンプ(油圧ポンプ)
3a~3h アクチュエータ
4 制御弁ブロック
5 圧油供給路
5a、5b、5c 圧油供給路
6a~6c 方向切換弁
7a~7c 圧力補償弁
8a~8c チェック弁
9a~9c シャトル弁
11 差圧減圧弁
12、22 レギュレータ
12d トルク制御ピストン
12e、22e バネ
12c 流量制御ピストン
12b LS弁
13 原動機回転数検出弁
14 メインリリーフ弁
14a、14b、14c メインリリーフ弁
15 アンロード弁
15a、15c、15d 受圧部
15b バネ
20 可変容量型のメインポンプ(第1油圧ポンプ)
21 固定容量型のメインポンプ(第2油圧ポンプ)
22f、22g、22h トルク制御ピストン
30 パイロットポンプ
31a、31b、31c パイロット圧供給路
24 ゲートロックレバー
32 パイロットリリーフ弁
40 制御弁ブロック
41 圧力センサ
41a、41b、41c 圧力センサ
50、55 コントローラ
51 目標回転数指示ダイヤル
60 インバータ
65 直流電力供給路
70 バッテリ
80 モニタ
81 最大許容動力設定装置
90 AC/DC変換器
91 コネクタ
92 商用電源
100 切換弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8