(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】立体形状積層体分離方法および立体形状積層体分離装置
(51)【国際特許分類】
B29B 17/02 20060101AFI20230413BHJP
B09B 3/35 20220101ALI20230413BHJP
B26D 1/46 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
B29B17/02
B09B3/35
B26D1/46 502F
B26D1/46 502J
(21)【出願番号】P 2022126276
(22)【出願日】2022-08-08
【審査請求日】2023-02-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522316456
【氏名又は名称】松山 幸民
(74)【代理人】
【識別番号】100135781
【氏名又は名称】西原 広徳
(74)【代理人】
【識別番号】100217227
【氏名又は名称】野呂 亮仁
(72)【発明者】
【氏名】松山 哲昇
【審査官】宮崎 大輔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0099143(US,A1)
【文献】特開2015-160465(JP,A)
【文献】特開2010-142931(JP,A)
【文献】特開2005-305922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 1/00-5/00
B26D 1/00-3/30
B29B 17/00-17/04
C08J 11/00-11/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる素材を2層以上重ねて接合されることで形成され、前記素材の重なり方向に湾曲する湾曲部を有する対象材を、それぞれの前記素材に分離する方法であって、
前記素材の内の少なくとも1層は、変形時に元の形状に戻ろうとする弾性を有する弾性素材であり、
前記対象材を厚み方向の片面側から支える支持手段と、
前記支持手段と対向して前記対象材の厚みより短く離間して配置されている押さえ手段と、
前記支持手段および前記押さえ手段の少なくとも一方を動作させて前記支持手段および前記押さえ手段によって圧縮して保持された前記対象材を、一方向である送り方向に送る送り手段と、
前記送り方向に対向する方向に刃先を向けた切断手段とを設け、
前記切断手段の前記刃先は、前記押さえ手段によって元の厚みよりも薄い厚みの略平面となった前記対象材が、元の厚みに復元し始めてから復元が完了するまでの間に前記対象材に当接する位置に設けられており、
前記押さえ手段と前記支持手段によって、前記対象材を押圧して前記対象材を元の厚みよりも薄い厚みを有する略平面形状に圧縮し、
前記押さえ手段と前記支持手段により圧縮している前記対象材を前記送り手段によって前記送り方向に圧縮しながら送り、
送られた前記対象材が元の形状に復元し始めてから復元が完了するまでの間に前記切断手段の前記刃先を前記対象材に入れることで前記対象材を第1部と第2部に分離する
立体形状積層体分離方法。
【請求項2】
前記刃は、前記対象材が前記押さえ手段と前記支持手段によって押圧されて薄くなった厚みから元の厚みに復元するまでの間に前記対象材に当接する位置に設けられている
請求項1記載の立体形状積層体分離方法。
【請求項3】
前記押さえ手段と前記支持手段の間隔は、前記対象材を厚み方向に押圧することで最大限圧縮した際の厚みから自由状態の前記対象材の厚みの90%の厚みの範囲内に設定され、
前記刃は、前記対象材が前記押さえ手段と前記支持手段によって押圧されて薄くなった厚みから95%の厚みに復元するまでの間に前記対象材に当接する位置に設けられている
請求項2記載の立体形状積層体分離方法。
【請求項4】
前記刃は、前記1層と他の層との境界線または境界線から所定厚の範囲内で前記対象材に前記刃先が入る位置に配置され、
前記対象材を前記刃先の入った位置で前記第1部と前記第2部に分離する
請求項2または3記載の立体形状積層体分離方法。
【請求項5】
異なる素材を2層以上重ねて接合されることで形成され、前記素材の重なり方向に湾曲する湾曲部を有する対象材を、それぞれの前記素材に分離する装置であって、
前記素材の内の少なくとも1層は、変形時に元の形状に戻ろうとする弾性を有する弾性素材であり、
前記対象材を厚み方向の片面側から支える支持部と、
前記支持部と対向して前記対象材の厚みより短く離間して配置されている押さえ部と、
前記支持部および前記押さえ部の少なくとも一方を動作させて前記支持部および前記押さえ部によって挟まれて保持された前記対象材を、一方向である送り方向に送る送り部と、
前記送り方向に対向する方向に刃先を向けた切断部と、
前記切断部の前記刃先の前記送り方向における位置を、送られてきた前記対象材の前記対象材が元の厚みに復元し始めてから復元が完了するまでの間に前記対象材に当接する位置となるように制御する刃位置制御部とを備える
立体形状積層体分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、2層以上の積層体で立体的に形成された立体形状積層体の分離方法および分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の異なる樹脂を重ね合わせることで1つの部材とした積層体が、自動車のドアの内装材等に使用されている。
例えば、塩化ビニル樹脂を含まない熱可塑性樹脂の発泡体からなる発泡層と、この発泡層の上に、ポリウレタン、アクリル樹脂、およびアクリル-ウレタン樹脂のいずれかを吹き付けることにより積層形成された樹脂層と、からなることを特徴とし、自動車用内装材として使用できる樹脂積層体が開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
ところで、近年では、樹脂のリサイクル志向が高まっている。そして、複数の樹脂が複合した物品のリサイクルを行う場合、樹脂ごとに分別することが好ましいとされている。しかしながら、このような樹脂積層体は、複数の樹脂層が厚み方向に強固に接合されており、層毎に分離することが困難という問題があった。具体的には、シールを剥がすように1つの層を剥がそうとしても、層同士が強固に接合されており剥がすことが困難であった。また、熱を加えると溶融して混ざる等して適切には分離できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、上述の問題に鑑みて、2層以上の積層体で立体的に形成された立体形状積層体を層毎に分離できる立体形状積層体分離方法および立体形状積層体分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、異なる素材を2層以上重ねて接合されることで形成され、前記素材の重なり方向に湾曲する湾曲部を有する対象材を、それぞれの前記素材に分離する方法であって、前記素材の内の少なくとも1層は、変形時に元の形状に戻ろうとする弾性を有する弾性素材であり、前記対象材を厚み方向の片面側から支える支持手段と、前記支持手段と対向して前記対象材の厚みより短く離間して配置されている押さえ手段と、前記支持手段および前記押さえ手段の少なくとも一方を動作させて前記支持手段および前記押さえ手段によって圧縮して保持された前記対象材を、一方向である送り方向に送る送り手段と、前記送り方向に対向する方向に刃先を向けた切断手段とを設け、前記切断手段の前記刃先は、前記押さえ手段によって元の厚みよりも薄い厚みの略平面となった前記対象材が、元の厚みに復元し始めてから復元が完了するまでの間に前記対象材に当接する位置に設けられており、前記押さえ手段と前記支持手段によって、前記対象材を押圧して前記対象材を元の厚みよりも薄い厚みを有する略平面形状に圧縮し、前記押さえ手段と前記支持手段により圧縮している前記対象材を前記送り手段によって前記送り方向に圧縮しながら送り、送られた前記対象材が元の形状に復元し始めてから復元が完了するまでの間に前記切断手段の前記刃先を前記対象材に入れることで前記対象材を第1部と第2部に分離する立体形状積層体分離方法であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明により、2層以上の積層体で立体的に形成された立体形状積層体を層毎に分離できる立体形状積層体分離方法および立体形状積層体分離装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図5a】対象材の分離前における分離部のA-A矢視断面図。
【
図5b】対象材の分離前における湾曲部のB-B矢視切断部分端面図
【
図6a】対象材の押さえ送り中における分離部のA-A矢視断面図。
【
図6b】対象材の押さえ送り中における湾曲部のC-C矢視切断部分端面図。
【
図7a】対象材の分離中前半における分離部のA-A矢視断面図。
【
図7b】対象材の分離中前半における湾曲部のD-D矢視切断部分端面図。
【
図8a】対象材の分離中後半における分離部のA-A矢視断面図。
【
図8b】対象材の分離中後半における湾曲部のE-E矢視切断部分端面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。ただし、以下の説明において特に断らない限り、方向に関する記述は、当該説明の便宜上、図面に対応するものであり、例えば実施品、製品または権利範囲等を限定するものではない。
【0010】
図1は、本実施例における本発明の立体形状積層体分離装置1の機能ブロック図である。
立体形状積層体分離装置1は、操作装置2と、対象材分離装置3とを備えている。
【0011】
操作装置2は、少なくとも操作者によって操作される入力部23と、操作者からの操作に応じて対象材分離装置3を制御する制御部20とを備え、対象材分離装置3と通信部22により電気的に接続されている。本実施例の操作装置2は、ハードウェア要素として、CPUとROMとRAM等で構成されて各種演算や制御動作を実行する制御部20と、ハードディスクやフラッシュメモリ等で構成されて情報のリードライトを許容する記憶部21と、LANボードやWiFiユニット等で構成されて有線または無線で対象材分離装置3に接続されてデータの送受信を行う通信部22と、タッチパネル、キーボード、マウス、押下ボタン、又はこれらの複数で構成されて接触操作による入力を受け付ける入力部23と、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等で構成されて文字や図等の画像を表示する表示部24とを備えている。記憶部21、通信部22、入力部23、および表示部24のそれぞれは、通信線(バス)を介して制御部20に接続される。
【0012】
なお、記憶部21には、対象材分離装置3の設定に関する各種情報のデータが記憶されていてもよい。詳細には、例えば、後述する対象材分離装置3の押さえローラの位置の設定情報データ、押さえローラおよび送りローラの回転速度の設定情報データ、刃位置調整ローラの位置の設定情報データ、砥石の回転速度情報データ、およびプーリの回転速度情報データである。また、これらの設定情報データを使用して、制御部20によって実行される立体形状積層体分離プログラムが記憶されていてもよい。
【0013】
図2は、対象材分離装置3の概略図である。
対象材分離装置3は、一対のプーリ32a,32bと、この一対のプーリ32a,32bに張架されて(巻き付けられて)いる無端の帯状刃31と、帯状刃31の刃先310に傾斜して当接する砥石33と、投入された対象材をスライスして分離する分離部35とを備える。
【0014】
帯状刃31は、刃の長手方向の両端が接続されることで、無端(環状)に形成され、短手方向の一端が両刃の刃先310として形成され、他端が刃元311として形成されている。刃先310は、両刃の先端であり、断面が二等辺三角形に形成されている。また、帯状刃31の刃元311は、断面がコの字に形成されている。
【0015】
一対のプーリ32a,32bは、帯状刃31の短手方向の幅以上の厚み(幅)を有する円盤形状に形成されている。また、一対のプーリ32a,32bの環状面(外周面)には、帯状刃31が張架されて(巻き付けられて)おり、一対のプーリ32a,32bに掛けられた一方(上方)の帯状刃31と、他方(下方)の帯状刃31は、一対のプーリ32aおよび32bにより一直線状に引っ張られて緊張状態を保っており、互いに平行になっている。一対のプーリ32a,32bは、対象材分離装置3の枠体(図示せず)の両端側にそれぞれ設けられ、一対のプーリ32a,32bの回転軸320a,320bは、水平方向と略平行に回転可能に設置されている。そして、一対のプーリ32a,32bのいずれかまたは両方が回転することで、張架されている帯状刃31が回転動作する。回転軸320aおよび320bの少なくとも一方は、適宜のモータ(図示省略)に接続され、このモータが操作装置2の制御部20と通信部22を介して電気的に接続されている。そして、モータ(図示省略)により回転する一方または両方の回転軸320aおよび320bの回転速度が制御部20によって制御されている。したがって、一対のプーリ32a,32bの回転速度は、制御部20によって制御されており、すなわち、帯状刃31の回転速度(帯状刃31が長手方向へ移動する回転の速度)も制御部20によって制御されている。この回転動作により、帯状刃31の刃先310は、見た目上はその場で静止して移動していないように見えるが、長手方向へ高速に移動する。したがって、回転動作している帯状刃31の刃先310に後述する対象材4の端面が押し当てられると、長手方向へ高速移動している刃先310によって鋭利に切断され、対象材4が切断された面で分かれて2つに分離される。
【0016】
砥石33は、厚みを有する円筒形状に形成され、側面が研磨面に形成されている。そして、研磨面が帯状刃31の刃先310に傾斜して当接している。したがって、帯状刃31が回転している間、常に刃先310が砥石33によって研磨されている。また、本実施例の砥石33は、適宜のモータ(図示省略)に接続された砥石回転軸330を備えている。砥石回転軸330は、帯状刃31の移動方向(プーリ32a、32bの回転方向)と略垂直方向に回転可能に設置されている。そして、砥石回転軸330に接続されたモータは、操作装置2の制御部20と通信部22を介して電気的に接続されている。そして、モータ(図示省略)により回転する砥石回転軸330の回転速度が制御部20によって制御されている。したがって、帯状刃31が回転している間、砥石33も回転しながら帯状刃31に当接している。
【0017】
刃位置調整ローラ34a,34bは、厚みを有する円筒形状に形成され、側面(外周面)が帯状刃31の刃元320に当接している。また、刃位置調整ローラ34a,34bは、一方(34a)が一方のプーリ32aの上流に配置され、他方(34b)が他方のプーリ32bの上流に配置されている。したがって、刃位置調整ローラ34a,34bは、一方(34a)が一対のプーリ32a,32bの間に掛けられた一方(上方)の帯状刃31と当接し、他方(34b)が他方(下方)の帯状刃31と当接している。刃位置調整ローラ34a,34bは、刃位置調整ローラ回転軸340a,340bを備えている。刃位置調整ローラ34a,34bは、刃位置調整ローラ回転軸340a,340bを回転軸として、帯状刃31の移動方向(プーリ31a、31bの回転方向)に沿うように回転可能に設置されている。したがって、帯状刃31が回転している間、帯状刃31の回転に連動して刃位置調整ローラ34a,34bも回転しながら帯状刃31に当接している。また、刃位置調整ローラ34a,34bは、操作装置2の制御部20と通信部22を介して電気的に接続されており、その奥手前方向(帯状刃31の短手方向)の位置が制御部20によって変動されることで制御されている。したがって、刃位置調整ローラ34a、34bと当接している帯状刃31は、その短手方向の位置が制御部20によって変動されることで制御されている。
【0018】
図3は、分離部35のA-A矢視断面図である。
分離部35は、帯状刃31の刃元320の上下方向の移動を規制する案内部351と、帯状刃31の短手方向の刃先310側に配置され、刃先310の延長線上から上方に配置されている押さえローラ352と、刃先310の延長線上を挟んで対向する位置に配置されている送りローラ353と、押さえローラ352の回転軸方向端部に接続されている一対の押さえローラ位置調整部354a,354bとを有する。すなわち、円筒形の送りローラ353の外周面の一部に対向して円筒形の押さえローラ352が互いの中心軸を平行にして配置され、送りローラ353と押さえローラ352の離間距離の中心から水平方向へ少し離れた一に刃先310が前記離間距離の中心に向けられた帯状刃31が案内部351に案内されて配置されている。送りローラ353の回転軸と押さえローラ352の回転軸は、いずれも帯状刃31の刃先310の長手方向(高速移動方向)と平行に配置されている。
【0019】
案内部351は、刃元320の厚み方向および刃先310と逆側の短手方向の端部を囲むように形成され、刃元320と厚み方向にわずかな隙間を形成している。したがって、帯状刃31は、分離部35付近において厚み方向への移動がほとんど不可能なように配置されている。
【0020】
押さえローラ352は、帯状刃31の長手方向と平行な方向に長手方向を有する円筒形状であって、長手方向に回転軸352aを有する。押さえローラ352は、帯状刃31の短手方向の刃先310側、かつ、刃先310の延長線上から上方に配置されている。また、押さえローラ352は、長手方向端部において両端部が一対の押さえローラ位置調整部354a、354bとそれぞれ接続されている。
【0021】
また、回転軸352aは、操作装置2の制御部20と電気的に接続されている。そして、制御部20と接続されている回転軸352aの回転速度が制御部20によって制御されている。また、回転軸352aは、押さえローラ352の下面にあたる側面が刃先310方向に向かう方向に回転するように回転方向が制御部20によって制御されている。
【0022】
一対の押さえローラ位置調整部354a、354bは、一方(354a)が押さえローラ352の長手方向の一方の端部に接続され、他方(354b)が押さえローラ352の長手方向の他方の端部に接続されている。押さえローラ位置調整部354a、354bと押さえローラ352との接続は、例えば、押さえローラ352の長手方向に突出した回転軸352aを回転可能に軸支する軸支部(図示部)を備え、軸支部の外周が、押さえローラ位置調整部354a、354bに設けられた挿入孔(図示せず)の内周と固定されている形式とすることができる。押さえローラ位置調整部354a、354bは、操作装置2の制御部20と電気的に接続され、その上下方向(帯状刃31の厚み方向)の位置が制御部20によって制御されている。したがって、押さえローラ位置調整部354a、354bと接続されている押さえローラ352は、その上下方向の位置が制御部20によって変動されることで制御されている。
【0023】
送りローラ353は、押さえローラ352と同じ形状を有する。すなわち、送りローラ353は、帯状刃31の長手方向と平行な方向に長手方向を有する円筒形状であって、長手方向に回転軸353aを有する。また、送りローラ353は、押さえローラ352からみて刃先310の延長線上を挟んで対向する位置に離間して配置されている。すなわち、送りローラ353は、帯状刃31の短手方向の刃先310側、かつ、刃先310の延長線上から下方に配置され、送りローラ353から直上方には押さえローラ352が配置されている。
【0024】
また、回転軸353aは、操作装置2の制御部20と電気的に接続されている。そして、制御部20と接続されている回転軸353aの回転速度が制御部20によって制御されている。また、回転軸353aは、送りローラ353の上面にあたる側面が刃先310方向に向かう方向に回転するように回転方向が制御部20によって制御されている。
【0025】
押さえローラ352と、送りローラ353とは、離間距離ZAだけ離間して配置されている。離間距離ZAは、押さえローラ352の最も下面となる側面の位置(下端)と、送りローラ353の最も上面となる側面の位置(上端)との最短距離である。そして、制御部20によって押さえローラ352の上下方向の位置が変動することで、離間距離ZAの長さも変動する。
【0026】
また、刃先310の短手方向の延長線と離間距離ZAを示す線との交点から刃先310の先端までの距離が、帯状刃31と、押さえローラ352および送りローラ353との離間距離ZBと定義される。そして、制御部20によって帯状刃31は、その短手方向の位置が変動することで、離間距離ZBの長さも変動する。
離間距離ZAは、後述する対象材4の厚みより短くすることができ、対象材4の厚みの95%以下とすることが好ましく、対象材4の厚みの90%以下とすることがより好ましく、対象材4の厚みの85%以下とすることがさらに好ましく、対象材4の厚みの80%以下とすることが好適である。また、離間距離ZAは、後述する対象材4の厚みの50%以上とすることができ、60%以上とすることが好ましく、65%以上とすることがより好ましく、70%以上とすることが好適である。また、離間距離ZAは、対象材4を厚み方向に押圧することで最大限圧縮した際の厚み以上の距離とすることができる。
離間距離ZBは、刃先310の先端側の位置が、後述する対象材4が送りローラ353と押さえローラ352で押圧されて自由状態の厚みよりも圧縮されて薄くなっている状態(厚みが離間距離ZAになっている状態)から、送りだされて厚みが復帰しつつ自由状態の厚みになる位置となる距離以下とすることができる。詳述すると、離間距離ZBは、厚みが離間距離ZAになっている最薄位置から自由状態の厚みに戻る復帰位置までの距離を100%として、最薄位置より復帰位置側とすることができ、かつ、最薄位置から80%以下とすることができ、60%以下とすることが好ましく、50%以下とすることがより好ましく、40%以下とすることがさらに好ましく、30%以下とすることが好適である。
刃先310の厚み方向の位置は、送りローラ353と押さえローラ352の間に刃先310の反対側から後述する対象材4が挿入されてきて刃先310に接触した際に、対象材4の第1層41と第2層42の境界面(境界線)とするか、この境界面(境界線)に対してどちらかの層側へ若干移動させた位置に設定されている。この若干移動させた位置は、第1層41と第2層42の境界面から0.001mm~1mmの範囲とすることができ、0.01mm~0.5mmの範囲とすることが好ましく0.05mm~0.1mmの範囲とすることが好適である。
【0027】
図4は、分離対象の一例である対象材4の斜視図である。
対象材4(立体形状積層体)は、厚み方向に湾曲する湾曲部40を有し、複数の異なる素材の層(第1層、第2層・・・第n層)が厚み方向に2層以上重ねて接合(この実施例では第1層と第2層の2層が接合)されて形成されている。各層は厚みが略一定であり、対象材4全体としても厚みが略一定の立体形状(例えば厚み一定のシートを型で表裏から押圧および加熱して立体成形した形状)に形成されている。また、接合されている層の内、少なくとも1層は、変形後に元の形状に戻ろうとする弾性を有する弾性素材で形成されている。また、各層を形成している素材は、強い圧縮によって変形する程度の柔らかさを有する。本実施例の対象材4は、ポリ塩化ビニルである第1層41と、弾性素材であるポリエチレン発泡体である第2層42とが厚み方向に接合され、長手方向に伸びて厚み方向に湾曲する湾曲部40を有する、自動車の内装に用いられる部材(インパネ材)である。第1層41の厚みは、下限を0.1mm以上とすることができ、0.3mm以上とすることが好ましく、0.5mm以上とすることが好適であり、上限を1mm以下とすることができ、0.8mm以下とすることが好ましく、0.5mm以下とすることが好適である。また、第2層42の厚みは、下限を0.5mm以上とすることができ、1mm以上とすることが好ましく、2mm以上とすることが好適であり、上限を6mm以下とすることができ、5mm以下とすることが好ましく、4mm以下とすることが好適である。この実施例においては、ポリ塩化ビニルである第1層41の厚みが0.5mmであり、ポリエチレン発泡体である第2層42の厚みが3mmであり、対象材4全体の厚みが3.5mmである。
【0028】
弾性素材としては、変形後に元の形状に戻ろうとする特性を有していれば特に限定されないが、本実施例としたポリエチレン発泡体以外にも、例えば、弾性を有する樹脂素材や、ポリプロピレンのような発泡体を使用することができる。
【0029】
ここで、対象材分離装置3によって対象材4を分離する工程を説明する。
立体形状積層体分離装置1の操作者は、操作装置2の入力部23を通して、対象材4を分離するための各種設定を行う。ここでいう各種設定とは、例えば、押さえローラ352の上下方向の位置の設定、押さえローラ352および送りローラ353の回転速度の設定、刃位置調整ローラ34a、34bの奥手前方向の位置の設定、砥石33の回転速度の設定、およびプーリ32a、32bの回転速度の設定である。このとき、操作装置2は、入力された各種設定を、押さえローラ352の位置の設定情報データ、押さえローラ352および送りローラ353の回転速度の設定情報データ、刃位置調整ローラ34a、34bの位置の設定情報データ、砥石33の回転速度情報データ、およびプーリ32a、32bの回転速度情報データとして記憶部21に記憶してもよい。
【0030】
制御部20は、各種設定に対応した対象材分離装置3の各部を制御する。すなわち、押さえローラ352の上下方向の位置の設定情報に基づいて押さえローラ位置調整部354a、354bを制御し、押さえローラ352の上下方向の位置を、押さえローラ352と送りローラ353との離間距離ZAが対象材4の厚みよりも短くなるように、また、送り出された対象材4における帯状刃31との当接位置が、おおよそ第1層41と第2層42の境界となるように制御する。また、刃位置調整ローラ34a、34bの奥手前方向の位置の設定情報に基づいて刃位置調整ローラ34a、34bの奥手前方向の位置を制御し、押さえローラ352と送りローラ353によって圧縮されながら送られてきた対象材4が、圧縮から解放されて元の厚みに復元しはじめてから、元の厚みに復元しきる前に帯状刃31の刃先310と当接する位置となるように帯状刃31の短手方向(奥手前方向)の位置(離間距離ZBの長さ)を制御する。なお、押さえローラ352の上下方向の位置(離間距離ZA)や、帯状刃31の短手方向の位置(離間距離ZB)は、対象材4の形状、厚み、大きさといった特徴によって最適な設定が変化する。
制御部20は、押さえローラ352および送りローラ353の回転速度の設定情報に基づいて押さえローラ352および送りローラ353の回転を制御し、砥石33の回転速度の設定情報に基づいて砥石33の回転を制御し、プーリ32a、32bの回転速度の設定に基づいてプーリ32a、32bの回転を制御する。また、制御部20は、記憶部21に記憶された立体形状積層体分離プログラムを実行することによって対象材分離装置3の各部の制御を行ってもよい。
【0031】
次に、
図5a~
図8bと共に、対象材5が端面から押さえローラ352と送りローラ353の間に挿入されていき、刃先310で切断されて2つに分離される動作について説明する。
図5aは、対象材4の分離前における分離部35のA-A矢視断面図であり、
図5bは、対象材4の分離前における湾曲部40のB-B矢視切断部分端面図である。
対象材4は、押さえローラ352と送りローラ353との間に、対象材4の厚み方向が帯状刃31の厚み方向と略平行となるように、帯状刃31の反対側から挿入される。押さえローラ352と送りローラ353との間への対象材4の挿入方法は、本実施例のように、帯状刃31の方向に水平方向に対象材4を送る送り台座36を備え、制御部20によって制御される送り台座36によって送り台座36上に配置された対象材4を移動させて押さえローラ352と送りローラ353との間に挿入する形態としてもよいし、例えば、操作者によって対象材4が押さえローラ352と送りローラ353との間に手動で挿入されてもよい。また、重ねられた層の上下については特に限定されない。すなわち、本実施例では第1層41が上部、第2層42が下部の状態で挿入されている例を示したが、第1層41が下部、第2層42が上部の状態で挿入されてもよい。このとき、対象材4は変形や押圧されていない自由状態であり、対象材4が厚み方向に立体状になっている湾曲部40のB-B矢視(
図5a参照)部分は、
図5bに示すように高さが最大限に高い状態になっている。
【0032】
図6aは、対象材4の押さえ送り中における分離部35のA-A矢視断面図であり、
図6bは、対象材4の押さえ送り中における湾曲部40のC-C矢視切断部分端面図である。
挿入された対象材4は、押さえローラ352と送りローラ353によって圧縮されながら水平方向(送り方向)に帯状刃31に向かって送られる。詳細には、押さえローラ352は、下面の側面が刃先310方向に向かう方向に回転するように回転方向が制御されており、送りローラ353は、上面にあたる側面が刃先310方向に向かう方向に回転するように回転方向が制御されているため、挿入された対象材4は、上方向から押さえローラ352に送りローラ353に対して押さえつけられながら、帯状刃31に向かう一方向(送り方向)に送られる。また、挿入された対象材4の元の厚みYAは、押さえローラ352と送りローラ353との離間距離ZAよりも厚く、対象材4は強い圧縮によって変形する程度の柔らかさを有する素材で形成されているため、対象材4の厚みが本来の厚みよりも薄くなった状態(厚みが離間距離ZAと同じ大きさとなった状態)で押さえローラ352と送りローラ353によって送られる。その後、押さえローラ352と送りローラ353によって送り出された対象材4は、押さえローラ352と送りローラ353から受けていた圧縮から解放され、徐々に元の厚みYAに復元する。このとき、対象材4は、圧縮から解放されて元の厚みYAに復元しはじめてから、元の厚みYAに復元しきる前の圧縮後厚みYBのときに帯状刃31の刃先310と当接する。すなわち、元の厚みYAは、離間距離ZAおよび圧縮後厚みYBよりも大きく、圧縮後厚みYBは、元の厚みYAよりも小さく、離間距離ZAよりも大きい。
このとき、対象材4は、押さえローラ352と送りローラ353で一部が押圧されているため、その押圧部分に近い立体形状部分は、押さえローラ352と送りローラ353の回転軸方向(すなわち幅方向)へ広げられて高さが低い状態となっている。このため、対象材4が厚み方向に立体状になっている湾曲部40のC-C矢視(
図6a参照)部分は、
図6bに示すように、
図5bの段階と比較して、湾曲部40の厚み方向の長さが小さくなり(高さが低くなり)、幅方向に広がる。こうして、対象材4が圧縮されて湾曲部40が次第に平面となるように変形していく。
【0033】
図7aは、対象材4の分離中前半における分離部35のA-A矢視断面図であり、
図7bは、対象材の分離中前半における湾曲部40のD-D矢視切断部分端面図である。
対象材4の湾曲部40は、押さえローラ352と送りローラ353によって立体から略平面の形状に圧縮されながら水平方向に帯状刃31に向かって送られる。そして、押さえローラ352と送りローラ353によって送り出された湾曲部40は、押さえローラ352と送りローラ353から受けていた圧縮から解放され、徐々に元の厚みおよび元の形状に復元する。このとき、湾曲部40は、圧縮から解放されて元の厚みおよび元の形状に復元しはじめてから、元の厚みおよび元の形状に復元しきる前の圧縮後厚みのときに帯状刃31の刃先310と当接する。
図7aに示す位置のとき、対象材4が厚み方向に立体状になっている湾曲部40のD-D矢視(
図7a参照)部分は、押さえローラ352と送りローラ353の回転軸同士の間位置(すなわち最も間隔が狭い位置)に位置しており、
図7bに示すように、対象材4の厚みよりも薄い状態に押圧されて幅方向に最大限広がる。
【0034】
図8aは、対象材4の分離中後半における分離部35のA-A矢視断面図であり、
図8bは、対象材4の分離中後半における湾曲部40のE-E矢視切断部分端面図である。
押さえローラ352と送りローラ353によって圧縮されながら送られた対象材4は、自由状態の厚みに復帰するより前に刃先310に接触し帯状刃31によって第1層41と第2層42とに切断されて分離される。すなわち、対象材4は各層を形成している素材ごとに分離される。このとき、挿入時に上部とした第1層41は、帯状刃31の上部から排出され、挿入時に下部とした第2層42は、帯状刃31の下部から排出される。また、湾曲部40についても同様に第1層41と第2層42とに切断されて分離される。ここで、便宜上第1層41と第2層42に分離すると説明しているが、正確には、対象材4の厚み方向における刃先310が接触した位置で第1部と第2部に分離されている。このため、対象材4の平面形状部分での分離でみると、第1部が100%第1層41であり、第2部は若干残った第1層41と第2層42で形成される、あるいは、第2部が100%第2層42であり、第1部は若干残った第2層42と第1層41で形成される。
【0035】
なお、対象材分離装置3に加熱装置を備え、対象材4を押さえローラ352と送りローラ353との間に挿入する際に、対象材4を加熱しながら挿入してもよい。このときの加熱は、第1層41と第2層42のいずれもが溶融しない範囲での加熱とすることが好ましい。このような形態であれば、圧縮による対象材4の歪みが発生しづらく、より綺麗に第1層41と第2層42とに分離できる。また、対象材4を加熱しながら押さえローラ352と送りローラ353との間に挿入する場合は、より弾性の高い方を上部とすることが好ましい。より弾性の高い方を上部とすることで、押さえローラ352によって湾曲部40を確実に略平面の形状に圧縮することができ、より綺麗に第1層41と第2層42とに分離できる。
【0036】
以上の構成により、2層以上の素材で形成された弾性を有する立体物を層毎に分離できる立体形状積層体分離方法および立体形状積層体分離装置を提供できる。
帯状刃31の短手方向の位置は、押さえローラ352と送りローラ353によって元の厚みよりも薄い厚みの略平面となった湾曲部40が、元の形状に復元し始めてから復元が完了するまでの間に湾曲部40に当接する位置となるように、刃位置調整ローラ34a、34bおよび制御部20によって制御されている。この構成により、元の形状が立体である湾曲部40においても接合された2層の間に確実に帯状刃31を当接させることができ、帯状刃31によって綺麗に各層に切断して分離することができる。また、対象材4が元の厚みに復元する途中で切断されるため、圧縮によって発生した湾曲部40における厚み方向の歪みが取り除かれた状態で切断することができる。すなわち、湾曲部40における圧縮による歪みによって切断中の帯状刃31に負担がかかることがなく、スムーズに切断して各層に分離することができる。さらに、切断中の帯状刃31に負担がかからないことで、帯状刃31が厚み方向にぶれることがなく、湾曲部40をきれいに各層に切断して分離することができる。
【0037】
また、帯状刃31は、湾曲部40が押さえローラ352と送りローラ353によって形成された厚みから元の厚みに復元するまでの間に湾曲部40に当接する位置となるように、刃位置調整ローラ34a、34bおよび制御部20によって制御されている。この構成により、より圧縮によって発生した湾曲部40における厚み方向の歪みが取り除かれた状態で切断することができる。すなわち、湾曲部40における圧縮による歪みによって切断中の帯状刃31により負担がかかることがなく、スムーズに切断して各層に分離することができる。
【0038】
また、立体形状である対象材4を、押さえローラ352と送りローラ353によって所定の厚みに押圧して自由状態の対象材4の厚み(1枚のシートとしての厚み)より薄くしておき、立体形状部分である湾曲部40についても幅方向に広げて同じ厚みに薄くしておき、これら全体が自由状態の厚み(1枚のシートとしての厚み)に復帰する前に帯状刃31により切断して第1部(第1層41)と第2部(第2層42)に分離するため、強力に融着あるいは接着されていて第1層41と第2層42に剥がす等の方法で分離することが困難な対象材4を、第1部(第1層41)と第2部(第2層42)に分離することができる。これにより、これまで資源の再利用が非常に困難であった対象材4を第1部(第1層41)と第2部(第2層42)に分離して再利用することができる。
【0039】
また、刃先310の厚み方向の位置は、送りローラ353と押さえローラ352の間に刃先310の反対側から後述する対象材4が挿入されてきて刃先310に接触した際に、対象材4の第1層41と第2層42の境界面(境界線)とすることにより、第1部(第1層41)と第2部(第2層42)に好適に分離できる。
【0040】
また、刃先310の厚み方向の位置は、送りローラ353と押さえローラ352の間に刃先310の反対側から後述する対象材4が挿入されてきて刃先310に接触した際に、対象材4の第1層41と第2層42の境界面(境界線)に対してどちらかの層側へ若干移動させた位置に設定することにより、この若干移動させた側の層については確実にその層の素材だけを回収することができる。詳述すると、湾曲部40等の立体形状部分に略直角に立ち上がり屈曲している部分など、押さえローラ352と送りローラ353によって幅方向に押し広げつつ押圧しても、送り出した先で厚みが復帰するよりも前に立体形状に若干戻ろうとして平面状態が崩れてしまい、刃先310が入る位置で境界面が平面になっていないような場合に、再利用したい側の素材に他の素材が少しも混ざらないように分離するよう調整する、あるいは再利用したい側の素材を少しでも多く取りつつ他の素材が残存する量を極力少なくするよう調節するといったことができる。
【0041】
この発明と本実施例について、
この発明の支持手段および支持部は、送りローラ353に対応し、以下同様に、
押さえ手段および押さえ部は、押さえローラ352に対応し、
送り手段および送り部は、送りローラ353または/および押さえローラ352を回転させるモータ(図示省略)に対応し、
切断手段および切断部は、帯状刃31に対応し、
刃位置制御部は、刃位置調整ローラ34a、34b、および刃位置調整ローラ34a、34bを制御する制御部20に対応するが、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0042】
例えば、本実施例では、回転する押さえローラ352および送りローラ353によって、対象材4を厚み方向に圧縮しながら送る形態としたが、対象材4を湾曲部40が元の厚みより薄い厚みを有する略平面となるように圧縮し、湾曲部40が、元の形状に復元し始めてから復元が完了するまでの間に湾曲部40を帯状刃31に当接させる形態であれば限定されない。例えば、押さえローラ352を一対のプーリに巻き付けて回転する押さえベルトとし、送りローラ353を同様に送りベルトとして押さえベルトと対向する位置に配置してもよい。または、押さえローラ352を押さえ板とし、送りローラ353を押さえ板と厚み方向に対向する支持板として、対象材4を押さえ板と支持板で挟み込み、対象材4を挟み込んだまま帯状刃31に当接させるように移動させてもよい。
【0043】
また、本実施例では、押さえローラ352の上下方向の位置と、帯状刃31の短手方向の位置を、制御部20によって制御したが、操作者が直接操作することで押さえローラ352の上下方向の位置を調整できる押さえローラ位置調整操作部と、操作者が直接操作することで帯状刃31の短手方向の位置を調整できる帯状刃位置調整操作部とを対象材分離装置3に備え、操作者がローラ位置調整部と帯状刃位置調整部とを操作することで、押さえローラ352の上下方向の位置と、帯状刃31の短手方向の位置を調整する形態としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
この発明は、自動車製造時における、複数の樹脂素材層を含有する廃材を、樹脂素材層ごとに分離する産業に利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1…立体形状積層体分離装置
2…操作装置
20…制御部
21…記憶部
22…通信部
23…入力部
24…表示部
3…対象材分離装置
31…帯状刃
32a、32b…プーリ
33…砥石
34a、34b…刃位置調整ローラ
35…分離部
351…案内部
352…押さえローラ
353…送りローラ
354…押さえローラ位置調整部
36…送り台座
4…対象材
40…湾曲部
41…第1層
42…第2層
【要約】 (修正有)
【課題】2層以上の積層体で立体的に形成された立体形状積層体を層毎に分離できる立体形状積層体分離方法を提供する。
【解決手段】弾性の素材を含み、異なる素材を2層以上重ねて接合されることで形成され、素材の重なり方向に湾曲する湾曲部40を有する対象材4を下方向から支える送りローラ353と、送りローラ353と対象材4の厚みより短く離間して対向して配置されている押さえローラ352とを備え、送りローラ353および押さえローラ352によって挟まれて保持された対象材4を、送りローラ353および押さえローラ352を回転させて帯状刃31の方向に送り、帯状刃31の位置を、送られてきた対象材4の湾曲部40が元の形状に復元し始めてから復元が完了するまでの間に湾曲部40に当接する位置となるように刃位置調整ローラによって制御する立体形状積層体分離方法とした。
【選択図】
図8a