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特許7261927回路接続パターンを生成する方法、プログラム、直流電力出力装置、無線電力伝送システム及び太陽光発電システム
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  • 特許-回路接続パターンを生成する方法、プログラム、直流電力出力装置、無線電力伝送システム及び太陽光発電システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】回路接続パターンを生成する方法、プログラム、直流電力出力装置、無線電力伝送システム及び太陽光発電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20230413BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20230413BHJP
   H02J 50/27 20160101ALI20230413BHJP
【FI】
H02J1/00 304E
H01Q21/06
H02J50/27
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022156317
(22)【出願日】2022-09-29
【審査請求日】2023-01-13
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、国立研究開発法人情報通信研究機構「革新的情報通信技術研究開発委託研究/完全ワイヤレス社会実現を目指したワイヤレス電力伝送の高周波化および通信との融合技術」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(74)【代理人】
【識別番号】100128691
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 弘通
(72)【発明者】
【氏名】平川 昂
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】中本 悠太
(72)【発明者】
【氏名】太田 喜元
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-142249(JP,A)
【文献】特開2019-213313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L31/02
H01L31/0216-31/0224
H01L31/0236
H01L31/0248-31/0256
H01L31/0352-31/036
H01L31/0392-31/078
H01L31/18
H01L51/42-51/48
H01Q3/00-3/46
H01Q21/00-25/04
H02J1/00-1/16
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H02J50/00-50/90
H02M7/00-7/40
H02S10/00-10/40
H02S30/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の直流電源回路を接続する回路接続パターンを生成する方法であって、
複数の直流電源回路、正側出力端子及び負側出力端子のそれぞれをノードとした回路モデルにおいて、前記複数の直流電源回路のノードのそれぞれに、前記直流電源回路の回路情報、前記正側出力端子からの最短距離及び前記負側出力端子からの最短距離を設定することと、
前記回路モデルにおいて、前記正側出力端子のノードと前記複数の直流電源回路の一部の複数の直流電源回路のノードと前記負側出力端子のノードとを順に直列接続した主接続の直列ノード群を決定することと、
前記回路モデルにおいて、前記主接続の直列ノード群に並列に接続される、前記複数の直流電源回路の残りの一又は複数の直流電源回路のノードからなる副接続の直列ノード群を決定することと、
前記回路モデルにおいて、前記主接続の直列ノード群のノードの数及び前記副接続の直列ノード群におけるノードの数の合計が、前記複数の直流電源回路のノードの総数と等しくなるまで、前記副接続の直列ノード群の決定を繰り返すことと、
前記回路モデルにおいて、前記決定した主接続の直列ノード群と前記決定した副接続の直列ノード群とを接続して前記回路接続パターンを生成することと、
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1の方法において、
前記副接続の直列ノード群を決定することは、
前記正側出力端子からの最短距離に基づいて、前記主接続の直列ノード群に対して前記副接続の直列ノード群の一方の端部のノードを接続可能な接続点の複数の候補を決定することと、
前記接続点の複数の候補に基づいて、前記主接続の直列ノード群に対して前記副接続の直列ノード群の一方の端部のノードを接続する接続点を決定することと、
前記副接続の直列ノード群の一方の端部のノードの接続点を決定した後、前記負側出力端子からの最短距離に基づいて、前記主接続の直列ノード群に対して前記副接続の直列ノード群の他方の端部のノードを接続する接続点を決定することと、
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1の方法において、
前記主接続の直列ノード群に含まれる前記直流電源回路のノードの数を変更して、前記主接続の直列ノード群の決定と前記副接続の直列ノード群の決定とを繰り返すことを含み、
前記複数の回路接続パターンは、前記主接続の直列ノード群に含まれる前記直流電源回路のノードの数が互いに異なる、
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3の方法において、
前記主接続の直列ノード群における前記直流電源回路のノードの数の複数の候補を事前に決定することを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4の方法において、
前記主接続の直列ノード群における前記直流電源回路のノードの数を前記複数の候補から選択して決定するときの前記複数の候補に対する確率分布を指定することを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1の方法において、
前記副接続の直列ノード群の数、前記副接続の直列ノード群に含まれる前記直流電源回路のノードの数及び前記主接続の直列ノード群における前記副接続の直列ノード群の接続点、の少なくともと一つを変更して、前記主接続の直列ノード群の決定と前記副接続の直列ノード群の決定とを繰り返すことを含み、
前記複数の回路接続パターンは、前記副接続の直列ノード群の数、前記副接続の直列ノード群における前記直流電源回路のノードの数及び前記主接続の直列ノード群に対する前記副接続の直列ノード群の接続点、の少なくともと一つが互いに異なる、
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6の方法において、
前記副接続の直列ノード群における前記直流電源回路のノードの数の複数の候補を事前に決定することを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7の方法において、
前記副接続の直列ノード群における前記直流電源回路のノードの数を前記複数の候補から選択して決定するときの前記複数の候補に対する確率分布を指定することを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項9】
複数の直流電源回路と正側出力端子と負側出力端子とを備える直流電力出力装置であって、
複数の直流電源回路を接続する複数の回路接続パターンを切り替え可能に構成され、前記複数の直流電源回路の出力電力を合成して出力する電力合成部と、
前記電力合成部から出力される直流出力電力を測定可能な電力出力部と、
前記電力合成部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
請求項1乃至8のいずれかの方法で前記複数の回路接続パターンを生成し、
前記電力合成部における回路接続を前記複数の回路接続パターンのそれぞれに順次切り替え、前記複数の回路接続パターンのそれぞれについて前記電力出力部で測定された直流出力電力の測定結果に基づいて最適な回路接続パターンを決定し、
前記電力合成部における回路接続を前記最適な回路接続パターンに設定する、
ことを特徴とする直流電力出力装置。
【請求項10】
請求項9の直流電力出力装置において、
当該直流電力出力装置は、無線電力伝送システムの受電装置であり、
前記複数の直流電源回路は、無線電力伝送システムの受信アンテナ装置を構成する複数のアンテナに接続された複数の整流回路である、ことを特徴とする直流電力出力装置。
【請求項11】
請求項10の直流電力出力装置と、
前記直流電力出力装置に向けて送電信号を送信する送電装置と、
を備える、ことを特徴とする無線電力伝送システム。
【請求項12】
請求項9の直流電力出力装置において、
当該直流電力出力装置は、太陽光発電システムの発電装置であり、
前記複数の直流電源回路は、太陽電池がそれぞれ接続された複数の電源回路である、ことを特徴とする直流電力出力装置。
【請求項13】
請求項12の直流電力出力装置を備える太陽光発電システム。
【請求項14】
複数の直流電源回路と正側出力端子と負側出力端子とを有する直流電力出力装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムであって、
複数の直流電源回路、正側出力端子及び負側出力端子のそれぞれをノードとした回路モデルにおいて、前記複数の直流電源回路のノードのそれぞれに、前記直流電源回路の回路情報、前記正側出力端子からの最短距離及び前記負側出力端子からの最短距離を設定するためのプログラムコードと、
前記回路モデルにおいて、前記正側出力端子のノードと前記複数の直流電源回路の一部の複数の直流電源回路のノードと前記負側出力端子のノードとを順に直列接続した主接続の直列ノード群を決定するためのプログラムコードと、
前記回路モデルにおいて、前記主接続の直列ノード群に並列に接続される、前記複数の直流電源回路の残りの一又は複数の直流電源回路のノードからなる副接続の直列ノード群を決定するためのプログラムコードと、
前記回路モデルにおいて、前記主接続の直列ノード群のノードの数及び前記副接続の直列ノード群におけるノードの数の合計が、前記複数の直流電源回路のノードの総数と等しくなるまで、前記副接続の直列ノード群の決定を繰り返すためのプログラムコードと、
前記回路モデルにおいて、前記決定した主接続の直列ノード群と前記決定した副接続の直列ノード群とを接続して前記回路接続パターンを生成するためのプログラムコードと、
を含む、ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電力出力装置(例えば、無線電力伝送の受電装置、太陽光発電装置など)における複数の直流電源回路(例えば、整流回路、太陽電池など)を接続する回路接続パターンを生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マイクロ波等の電波を介して電力を伝送する無線電力伝送の直流電力出力装置として、複数のアンテナで受信した受信信号を整流する複数の整流回路(直流電源回路)を備える受電装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-213313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の無線電力伝送システムの受電装置(直流電力出力装置)では、複数の整流回路(直流電源回路)を接続する回路接続の最適化にかかる時間を抑制したい、という課題がある。なお、同様な課題は、複数の整流回路を備える受電装置だけでなく、複数の太陽電池(直流電源回路)を備える太陽光発電装置(直流電力出力装置)においても発生し得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る方法は、複数の直流電源回路を接続する回路接続パターンを生成する方法である。この方法は、複数の直流電源回路、正側出力端子及び負側出力端子のそれぞれをノードとした回路モデルにおいて、前記複数の直流電源回路のノードのそれぞれに、前記直流電源回路の回路情報、前記正側出力端子からの最短距離及び前記負側出力端子からの最短距離を設定することと、前記回路モデルにおいて、前記正側出力端子のノードと前記複数の直流電源回路の一部の複数の直流電源回路のノードと前記負側出力端子のノードとを順に直列接続した主接続の直列ノード群を決定することと、前記回路モデルにおいて、前記主接続の直列ノード群に並列に接続される、前記複数の直流電源回路の残りの一又は複数の直流電源回路のノードからなる副接続の直列ノード群を決定することと、前記回路モデルにおいて、前記主接続の直列ノード群のノードの数及び前記副接続の直列ノード群におけるノードの数の合計が、前記複数の直流電源回路のノードの総数と等しくなるまで、前記副接続の直列ノード群の決定を繰り返すことと、前記回路モデルにおいて、前記決定した主接続の直列ノード群と前記決定した副接続の直列ノード群とを接続して前記回路接続パターンを生成することと、を含む。
【0006】
前記方法において、前記副接続の直列ノード群を決定することは、前記正側出力端子からの最短距離に基づいて、前記主接続の直列ノード群に対して前記副接続の直列ノード群の一方の端部のノードを接続可能な接続点の複数の候補を決定することと、前記接続点の複数の候補に基づいて、前記主接続の直列ノード群に対して前記副接続の直列ノード群の一方の端部のノードを接続する接続点を決定することと、前記副接続の直列ノード群の一方の端部のノードの接続点を決定した後、前記負側出力端子からの最短距離に基づいて、前記主接続の直列ノード群に対して前記副接続の直列ノード群の他方の端部のノードを接続する接続点を決定することと、を含んでもよい。
【0007】
前記方法において、前記主接続の直列ノード群に含まれる前記直流電源回路のノードの数を変更して、前記主接続の直列ノード群の決定と前記副接続の直列ノード群の決定とを繰り返すことを含み、前記複数の回路接続パターンは、前記主接続の直列ノード群に含まれる前記直流電源回路のノードの数が互いに異なってもよい。
【0008】
前記方法において、前記主接続の直列ノード群における前記直流電源回路のノードの数の複数の候補を事前に決定することを含んでもよい。
【0009】
前記方法において、前記主接続の直列ノード群における前記直流電源回路のノードの数を前記複数の候補から選択して決定するときの前記複数の候補に対する確率分布を指定することを含んでもよい。
【0010】
前記方法において、前記副接続の直列ノード群の数、前記副接続の直列ノード群に含まれる前記直流電源回路のノードの数及び前記主接続の直列ノード群における前記副接続の直列ノード群の接続点、の少なくとも一つを変更して、前記主接続の直列ノード群の決定と前記副接続の直列ノード群の決定とを繰り返すことを含み、前記複数の回路接続パターンは、前記副接続の直列ノード群の数、前記副接続の直列ノード群における前記直流電源回路のノードの数及び前記主接続の直列ノード群に対する前記副接続の直列ノード群の接続点、の少なくとも一つが互いに異なってもよい。
【0011】
前記方法において、前記副接続の直列ノード群における前記直流電源回路のノードの数の複数の候補を事前に決定することを含んでもよい。
【0012】
前記方法において、前記副接続の直列ノード群における前記直流電源回路のノードの数を前記複数の候補から選択して決定するときの前記複数の候補に対する確率分布を指定することを含んでもよい。
【0013】
本発明の他の態様に係る装置は、複数の直流電源回路と正側出力端子と負側出力端子とを備える直流電力出力装置である。この直流電力出力装置は、複数の直流電源回路を接続する複数の回路接続パターンを切り替え可能に構成され、前記複数の直流電源回路の出力電力を合成して出力する電力合成部と、前記電力合成部から出力される直流出力電力を測定可能な電力出力部と、前記電力合成部を制御する制御部と、を備える。前記制御部は、前記いずれかの方法で前記複数の回路接続パターンを生成し、前記電力合成部における回路接続を前記複数の回路接続パターンのそれぞれに順次切り替え、前記複数の回路接続パターンのそれぞれについて前記電力出力部で測定された直流出力電力の測定結果に基づいて最適な回路接続パターンを決定し、前記電力合成部における回路接続を前記最適な回路接続パターンに設定する。
【0014】
前記直流電力出力装置において、当該直流電力出力装置は、無線電力伝送システムの受電装置であり、前記複数の直流電源回路は、無線電力伝送システムの受信アンテナ装置を構成する複数のアンテナに接続された複数の整流回路であってもよい。
【0015】
本発明の更に他の態様に係るシステムは、前記直流電力出力装置である受電装置と、前記受電装置に向けて送電信号を送信する送電装置と、を備える無線電力伝送システムである。
【0016】
前記直流電力出力装置において、当該直流電力出力装置は、太陽光発電システムの発電装置であり、前記複数の直流電源回路は、太陽電池がそれぞれ接続された複数の電源回路であってもよい。
【0017】
本発明の更に他の態様に係るシステムは、前記直流電力出力装置である電源装置を備える太陽光発電システムである。
【0018】
本発明の更に他の態様に係るプログラムは、複数の直流電源回路と正側出力端子と負側出力端子とを有する直流電力出力装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムである。このプログラムは、複数の直流電源回路、正側出力端子及び負側出力端子のそれぞれをノードとした回路モデルにおいて、前記複数の直流電源回路のノードのそれぞれに、前記直流電源回路の回路情報、前記正側出力端子からの最短距離及び前記負側出力端子からの最短距離を設定するためのプログラムコードと、前記回路モデルにおいて、前記正側出力端子のノードと前記複数の直流電源回路の一部の複数の直流電源回路のノードと前記負側出力端子のノードとを順に直列接続した主接続の直列ノード群を決定するためのプログラムコードと、前記回路モデルにおいて、前記主接続の直列ノード群に並列に接続される、前記複数の直流電源回路の残りの一又は複数の直流電源回路のノードからなる副接続の直列ノード群を決定するためのプログラムコードと、前記回路モデルにおいて、前記主接続の直列ノード群のノードの数及び前記副接続の直列ノード群におけるノードの数の合計が、前記複数の直流電源回路のノードの総数と等しくなるまで、前記副接続の直列ノード群の決定を繰り返すためのプログラムコードと、前記回路モデルにおいて、前記決定した主接続の直列ノード群と前記決定した副接続の直列ノード群とを接続して前記回路接続パターンを生成するためのプログラムコードと、を含む。
【0019】
前記プログラムにおいて、前記副接続の直列ノード群を決定するためのプログラムコードは、前記正側出力端子からの最短距離に基づいて、前記主接続の直列ノード群に対して前記副接続の直列ノード群の一方の端部のノードを接続可能な接続点の複数の候補を決定するためのプログラムコードと、前記接続点の複数の候補に基づいて、前記主接続の直列ノード群に対して前記副接続の直列ノード群の一方の端部のノードを接続する接続点を決定するためのプログラムコードと、前記副接続の直列ノード群の一方の端部のノードの接続点を決定した後、前記負側出力端子からの最短距離に基づいて、前記主接続の直列ノード群に対して前記副接続の直列ノード群の他方の端部のノードを接続する接続点を決定するためのプログラムコードと、
を含んでもよい。
【0020】
前記プログラムにおいて、前記主接続の直列ノード群に含まれる前記直流電源回路のノードの数を変更して、前記主接続の直列ノード群の決定と前記副接続の直列ノード群の決定とを繰り返すためのプログラムコードを含み、前記複数の回路接続パターンは、前記主接続の直列ノード群に含まれる前記直流電源回路のノードの数が互いに異なってもよい。
【0021】
前記プログラムにおいて、前記主接続の直列ノード群における前記直流電源回路のノードの数の複数の候補を事前に決定するためのプログラムコードを含んでもよい。
【0022】
前記プログラムにおいて、前記主接続の直列ノード群における前記直流電源回路のノードの数を前記複数の候補から選択して決定するときの前記複数の候補に対する確率分布を指定するためのプログラムコードを含んでもよい。
【0023】
前記プログラムにおいて、前記副接続の直列ノード群の数、前記副接続の直列ノード群に含まれる前記直流電源回路のノードの数及び前記主接続の直列ノード群における前記副接続の直列ノード群の接続点、の少なくとも一つを変更して、前記主接続の直列ノード群の決定と前記副接続の直列ノード群の決定とを繰り返すためのプログラムコードを含み、前記複数の回路接続パターンは、前記副接続の直列ノード群の数、前記副接続の直列ノード群における前記直流電源回路のノードの数及び前記主接続の直列ノード群に対する前記副接続の直列ノード群の接続点、の少なくとも一つが互いに異なってもよい。
【0024】
前記プログラムにおいて、前記副接続の直列ノード群における前記直流電源回路のノードの数の複数の候補を事前に決定するためのプログラムコードを含んでもよい。
【0025】
前記プログラムにおいて、前記副接続の直列ノード群における前記直流電源回路のノードの数を前記複数の候補から選択して決定するときの前記複数の候補に対する確率分布を指定するためのプログラムコードを含んでもよい。
【0026】
また、前記プログラムの一部又は全部は、機械学習によって作成された学習済モデルであってもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、複数の直流電源回路を接続する回路接続の最適化に用いる複数の回路接続パターンを冗長性や偏りを低減して生成できるため、回路接続の最適化にかかる時間を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】実施形態に係る無線電力伝送システムの概略構成の一例を示す説明図。
図2】実施形態に係る無線電力伝送システムにおける受電装置の構成の一例を示すブロック図。
図3】(a)は実施形態に係るグラフを用いた回路モデルの説明図である。(b)は同グラフ回路モデルにおける複数の整流回路に対応するノードの説明図である。
図4】(a)はグラフ回路モデルにおける整流回路のノードの回路接続パターンの一例を示す説明図である。(b)は同ノードの回路接続パターンに対応する実際の回路の説明図である。
図5】(a)~(c)は、グラフ回路モデルにおける整流回路のノードの回路接続パターンの順番による冗長性の一例を示す説明図。
図6】(a)及び(b)は、グラフ回路モデルにおける整流回路のノードの回路接続パターンの構造による冗長性の一例を示す説明図。
図7】(a)及び(b)は、グラフ回路モデルにおける整流回路のノードの回路接続パターンの偏りの説明図。
図8】実施形態に係るグラフ回路モデルを用いた回路接続パターンの生成、最適化及び制御の一例を示すフローチャート。
図9】実施形態に係るグラフ回路モデルにおける整流回路に対応する単体のノードの説明図。
図10】実施形態に係るグラフ回路モデルにおける主接続の直列ノード群の一例を示す説明図。
図11】実施形態に係るグラフ回路モデルにおける2番目の副接続の直列ノード群の一例を示す説明図。
図12】実施形態に係るグラフ回路モデルにおける主接続の直列ノード群と2番目の副接続の直列ノード群との接続の一例を示す説明図。
図13】実施形態に係るグラフ回路モデルにおける主接続の直列ノード群とm番目の副接続の直列ノード群との接続の一例を示す説明図。
図14】実施形態に係る太陽光発電システムにおける直流電力出力装置の構成の一例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
本書に記載された実施形態に係る方法は、無線電力伝送(WPT)システムの受電装置等の直流電力出力装置において、複数の整流回路等の直流電源回路を接続する複数の回路接続パターンを、グラフの回路モデルを用いて生成することにより、前記回路接続パターンの最適化にかかる時間を抑制することができる方法である。
【0030】
図1は、本実施形態に係る無線電力伝送システム10の概略構成の一例を示す説明図である。本実施形態の無線電力伝送システム10は、送電信号の電波を送信する送電装置20と、送電装置20から送信された電波を受信して直流の電力を出力する受電装置(直流電力)30とを備える。無線電力伝送の電波は例えばマイクロ波又はミリ波である。
【0031】
送電装置20は、複数のアンテナ素子(以下「アンテナ」ともいう。)が2次元的に配列したアレーアンテナからなるアンテナ装置21を有する。送電装置20のアレーアンテナは複数のアンテナが1次元的に又は3次元的に配置されたものであってもよい。
【0032】
受電装置30は、複数のアンテナ31aが2次元的に配列したアレーアンテナからなるアンテナ装置31を有する。受電装置30のアレーアンテナは複数のアンテナ31aが1次元的に又は3次元的に配置されたものであってもよい。また、受電装置30は、アンテナ装置31の複数のアンテナ31aに対応するように設けられた複数の整流回路(直流電源回路)からなる整流回路群300を有する。
【0033】
図2は、実施形態に係る無線電力伝送システムにおける受電装置30の構成の一例を示すブロック図である。図2において、受電装置30は、アンテナ装置31と、アンテナ装置31からの入力電力を受ける複数(n個)の整流回路(直流電源回路)からなる整流回路群300とを備える。更に、受電装置30は、複数の整流回路を接続する複数の回路接続パターンを切り替え可能に構成され、複数の整流回路の出力電力を合成して出力するDC合成回路(電力合成部)310を備える。整流回路群300及びDC合成回路(電力合成部)310は、無線電力伝送の電波を受信した高周波の交流電力を直流電力に変換するRF-DC電力変換装置として機能する。また、受電装置30は、DC合成回路310から出力される直流出力電力を測定可能なDC出力測定装置(電力出力部)320と、DC合成回路310を制御する制御部330とを備える。
【0034】
DC合成回路310は、整流回路群300の複数(n個)の整流回路のプラス出力端子が接続される複数のプラス入力部311(1)~311(n)と、複数(n個)の整流回路のマイナス出力端子が接続される複数のマイナス入力部312(1)~312(n)と、正側出力端子(プラス入力部)313と、負側出力端子(マイナス出力部)314とを有する。
【0035】
DC合成回路310は、例えば、制御部330によってオン・オフ制御され複数のスイッチからなるスイッチング回路で構成され、整流回路群300と正側出力端子(プラス入力部)313及び負側出力端子(マイナス出力部)314との間の回路接続パターン(接続状態)を切り替えることができる。
【0036】
制御部330は、後述の方法により、DC合成回路310における複数の回路接続パターンを生成し、DC合成回路310の回路接続を複数の回路接続パターンのそれぞれに順次切り替え、複数の回路接続パターンのそれぞれについてDC出力測定装置320で測定された直流出力電力の測定結果に基づいて最適な回路接続パターンを決定し、DC合成回路310における回路接続を最適な回路接続パターンに設定する。ここで、最適な回路接続パターンとしては、例えば、複数の回路接続パターンの中で、RF-DC変換効率を向上させることができるように直流出力電力が最大になる回路接続パターンに決定される。
【0037】
上記構成の受電装置30において、最適な回路接続パターンを決定する際の候補となる複数の回路接続パターンを生成する手法としては、遺伝的アルゴリズムなど、ランダム性を利用する手法が多くある。しかしながら、単純なランダム生成を行う場合、生成した複数の回路接続パターンの冗長性が大きくなったり、最大の直流出力電力が得られない特定の接続形態(例えば、直列のみ、又は、並列のみ)に偏った回路接続パターンが生成されたりすることにより、回路接続パターンの最適化に時間がかかるという課題がある。
【0038】
そこで、本実施形態では、DC合成回路310における回路接続の最適化に用いる複数の回路接続パターンを、以下に示す新規なグラフの回路モデルを用いたランダム生成手法で生成することにより、回路接続パターンの最適化にかかる時間を抑制している。
【0039】
図3(a)は実施形態に係るグラフを用いた回路モデル(以下「グラフ回路モデル」という。)40の説明図である。図3(b)は同グラフ回路モデル40における複数の整流回路に対応するノード401(1)~401(n)の説明図である。図3(a)において、グラフ回路モデル40は、整流回路群300に対応する整流回路ノード群400と、正側出力端子313に対応するノード403と、負側出力端子314に対応するノード404とを含む。整流回路ノード群400における複数の回路接続パターンを生成する場合、図3(b)に示す複数(n個)の整流回路に対応するノード401(1)~401(n)をランダムに選択して接続する必要があるが、単純なランダム選択による回路接続パターンの生成では、生成した複数の回路接続パターンに冗長性や偏りが発生するおそれがある。
【0040】
図4(a)は、グラフ回路モデル40における整流回路301(1)~301(3)のノード401(1)~401(3)の回路接続パターンの一例を示す説明図である。図4(b)は、図4(a)のノード401(1)~401(3)の接続パターンに対応する実際の回路の説明図である。図4(b)の実際の回路における正側出力端子303、負側出力端子304及び整流回路301(1)~301(3)の間の接続線は、図4(a)のグラフ回路モデル40においてノード403、404、401(1)~401(3)間の線分で表される。
【0041】
図5(a)~(c)は、グラフ回路モデルにおける整流回路のノード401(1)~401(3)の回路接続パターンの順番による冗長性の一例を示す説明図である。図5(a)~(c)の複数の回路接続パターンは、正側出力端子のノード403と負側出力端子のノード404とのに接続されるノード401(1)~401(3)の順番が互いに異なるが、正側出力端子のノード403と負側出力端子のノード404との間に同等の直流電力が出力されるため、互いに冗長した回路接続パターンとして扱うことができる。
【0042】
図6(a)及び(b)は、グラフ回路モデルにおける整流回路のノード401(1)~401(3)の回路接続パターンの構造による冗長性の一例を示す説明図である。図6(a)及び(b)の複数の回路接続パターンは、正側出力端子のノード403と負側出力端子のノード404とのに接続されるノード401(1)~401(3)の上下方向の構造が互いに異なるが、正側出力端子のノード403と負側出力端子のノード404との間に同等の直流電力が出力されるため、互いに冗長した回路接続パターンとして扱うことができる。
【0043】
図7(a)及び(b)は、グラフ回路モデルにおける整流回路のノード401(1)~401(n)の回路接続パターンの偏りの説明図である。図7(a)は、整流回路群のすべての整流回路のノード401(1)~401(n)が直列接続された偏った回路接続パターンの例である。この回路接続パターンでは、高い直流電圧が出力されるが出力電流が小さいため、最大の直流出力電力が得られない。また、図7(b)は、整流回路群のすべての整流回路のノード401(1)~401(n)が並列接続された偏った回路接続パターンの例である。この回路接続パターンでは、大きな直流電流が出力されるが出力電圧が低いため、最大の直流出力電力が得られない。このように図7(a)及び(b)の回路接続パターンは、最大の直流出力電力が得られない。
【0044】
本実施形態では、グラフ回路モデルにおける整流回路のノード401(1)~401(n)の回路接続パターンの生成において、以下に説明する回路生成アルゴリズムにより、生成される回路接続パターンの冗長性や偏りを抑制し、回路接続パターンの最適化にかかる時間を抑制している。
【0045】
図8は、本実施形態に係るグラフ回路モデルを用いた回路接続パターンの生成、最適化及び制御の一例を示すフローチャートである。図9は、図8で用いるグラフ回路モデルにおける整流回路に対応する単体のノードの説明図である。図10は、図8で用いるグラフ回路モデルにおける主接続の直列ノード群の一例を示す説明図である。図11は、図8で用いるグラフ回路モデルにおける2番目の副接続の直列ノード群の一例を示す説明図である。図12は、図8で用いるグラフ回路モデルにおける主接続の直列ノード群と2番目の副接続の直列ノード群との接続の一例を示す説明図である。図13は、図8で用いるグラフ回路モデルにおける主接続の直列ノード群とm番目の副接続の直列ノード群との接続の一例を示す説明図である。
【0046】
図8の回路接続パターンの生成、最適化及び制御は、例えば、前述の制御部330で実行される。図8において、制御部330は、まず、グラフ回路モデルで用いられる複数のノード401(1)~401(n)の属性、回路接続パターンの生成に用いるノードリスト及び接続点リストの初期設定(又は初期化)を行う(S100)。また、この初期設定では、直列ノード群のカウント数mが1に初期設定される。
【0047】
図9に示すように、ノード401は他と接続するための接続点401pを有するように定義される。また、生成される回路接続パターン毎に、複数のノード401(1)~401(n)のすべてについて、表1に示すノード401の属性を示すパラメータの値が設定される。この回路接続パターン毎に設定される複数のノード401(1)~401(n)のすべてについての表1のパラメータのデータのリストが、ノードリストである。
【0048】
【表1】
【0049】
表1中の親ノードは、対象ノードが接続するノードのうち正側出力端子のノードに近いノードである。また、子ノードは、対象ノードが接続するノードのうち負側出力端子のノードに近いノードである。親ノード及び子ノードの情報はそれぞれ、そのノードの識別情報であり、例えば、ノードの連続番号1~nのいずれかの数字である。回路接続パターンの開始前は「parent」及び「children」の欄はブランクであり、回路接続パターンが生成されていく各ステップにおいて必要に応じて更新される。
【0050】
また、図8のステップS100においては、後述の副接続の直列ノード群のそれぞれにおける先頭ノード(図中の上端のノード)が接続可能な接続候補の接続点のリスト(以下「接続点リスト」という。)のデータも初期化される。
【0051】
次に、制御部330は、図8の回路接続パターンの生成(S200)において、まず図10に示すように、正側出力端子のノード403と複数(n個)の整流回路の一部の複数(N個)の整流回路のノード401(1,1)~401(1,N)と負側出力端子のノード404とを順に直列接続した主接続(以下「主鎖」ともいう。)の直列ノード群410(1)を生成する。ここで、Nは、作成対象の回路接続パターンの主鎖の長さを示し、正側出力端子と負側出力端子との間の最長距離を表す。
【0052】
ここで、ノードの符号401(k1,k2)の括弧内の「k1」は、作成される順番に付される直列ノード群の識別番号であり、当該括弧内の「k2」は、当該直列ノード群内における上下方向に順に付される複数のノードの識別番号である。
【0053】
また、上記「N」は、主接続(主鎖)の直列ノード群410(1)に含まれるノードの数であり、主接続(主鎖)の直列ノード群410(1)の長さを示し、正側出力端子のノード403と負側出力端子のノード404との間の最長距離を表す。最長距離「N」の値は、以降の副接続の直列ノード群の生成の際に参照されるため、保持される。
【0054】
また、「N」の値を回路接続パターン毎に変更することにより、ランダム性を有するように生成される複数の回路接続パターンを区別することができ、複数の回路接続パターンのそれぞれに用いる「N」の値の確率を制御することにより、回路接続パターンの冗長性及び偏りの低減が可能である。
【0055】
次に、mが2にカウントアップされ(S202)、主接続(主鎖)の直列ノード群410(1)に対して並列接続する2番目(m=2)の直列ノード群である副接続の直列ノード群410(2)のノード数N(1≦N≦N)を決定し、図11に示すように副接続の直列ノード群410(2)を作成する(S203)。
【0056】
次に、主接続(主鎖)の直列ノード群410(1)の接続点403p,401p(1,1)~401p(1,N)の中から、副接続の直列ノード群410(2)の一方の端部のノードである図中上端の第1ノード401(2,1)のパラメータ「pdis」(正側出力端子からの最短距離)の値に基づいて、第1ノード401(2,1)を接続可能な接続点の複数の候補を決定し、そのリスト(接続点リスト)を作成する(S204)。
【0057】
次に、上記接続点リストから、副接続の直列ノード群410(2)の第1ノード401(2,1)を接続する接続点を決定し(S205)、その後、副接続の直列ノード群410(2)の他方の端部のノードである図中下端の第Nノード401(2,N)のパラメータ「ndis」(負側出力端子からの最短距離)の値に基づいて、第Nノード401(2,N)が接続する接続点を決定する(S206)。
【0058】
次に、上記決定された第1ノード401(2,1)及び第Nノード401(2,N)それぞれの接続点に基づいて、ノードリストにおける各ノードの「parent」(親ノードの情報)及び「children」(子ノードの情報)を更新し、図12に示すグラフを作成する(S207)。
【0059】
以下、作成したグラフのノード総数が整流回路の総数nと等しくなるまで、mをカウントアップして副接続の直列ノード群の作成及び主接続(主鎖)の直列ノード群410(1)への接続を繰り返し実行する(S208,S202~S207)。なお、この繰り返し実行の際に、副接続の直列ノード群の数、副接続の直列ノード群に含まれるノードの数及び主接続の直列ノード群における副接続の直列ノード群の接続点の少なくとも一つを変更してもよい。この場合、最終的に生成される複数の回路接続パターンの間で、副接続の直列ノード群の数、副接続の直列ノード群に含まれるノードの数及び主接続の直列ノード群における副接続の直列ノード群の接続点の少なくとも一つが互いに異なるので、最終的に生成される複数の回路接続パターンのランダム性を高めることができる。
【0060】
例えば、mがm+1にカウントアップされ、主接続(主鎖)の直列ノード群410(1)に対して並列接続するm番目(m≧3)の直列ノード群である副接続の直列ノード群410(m)のノード数N(1≦N≦Nm-1≦...≦N≦N)を決定し、m番目の副接続の直列ノード群410(m)を作成する(S203)。
【0061】
次に、主接続(主鎖)の直列ノード群410(1)の接続点403p,401p(1,1)~401p(1,N)の中から、副接続の直列ノード群410(m)の一方の端部のノードである図中上端の第1ノード401(m,1)のパラメータ「pdis」(正側出力端子からの最短距離)の値に基づいて、第1ノード401(m,1)を接続可能な接続点の複数の候補を決定し、そのリスト(接続点リスト)を作成する(S204)。
【0062】
次に、上記接続点リストから、副接続の直列ノード群410(m)の第1ノード401(m,1)を接続する接続点を決定し(S205)、その後、副接続の直列ノード群410(m)の他方の端部のノードである図中下端の第Nノード401(m,N)のパラメータ「ndis」(負側出力端子からの最短距離)の値に基づいて、第Nノード401(m,N)が接続する接続点を決定する(S206)。
【0063】
次に、上記決定された第1ノード401(m,1)及び第Nノード401(m,N)それぞれの接続点に基づいて、ノードリストにおける各ノードの「parent」(親ノードの情報)及び「children」(子ノードの情報)を更新し、図13に示すグラフを作成する(S207)。
【0064】
以下、予め設定した主接続(主鎖)の直列ノード群410(1)のノード数Nの候補の数だけ、主接続(主鎖)の直列ノード群410(1)の生成、副接続の直列ノード群の作成及び主接続(主鎖)の直列ノード群410(1)への接続を繰り返し実行することにより(S208,S210、S201~S208)、互いに異なる複数の回路接続パターンを生成することができる。
【0065】
なお、上記主接続(主鎖)の直列ノード群410(1)及び上記副接続の直列ノード群410(2)~410(m)のそれぞれにおけるノード数Nのリスト(ノード数リスト)を予め決めてもよい。この場合は、最終的に生成される回路接続パターンをある程度絞り込むことができる。
【0066】
また、主接続(主鎖)の直列ノード群410(1)におけるノードの数Nを複数の候補から選択して決定するときの複数の候補に対する確率分布(乱数分布)を指定してもよい。この指定により、生成される複数の回路接続パターンのランダム性を制御することができる。
【0067】
また、副接続の直列ノード群410(2)~410(m)におけるノードの数N(m≧2)を複数の候補から選択して決定するときの複数の候補に対する確率分布(乱数分布)を指定してもよい。この指定により、生成される複数の回路接続パターンのランダム性を制御することができる。
【0068】
次に、制御部330は、上記複数の回路接続パターンの生成(S200)が完了したら、DC合成回路310における回路接続を上記複数の回路接続パターンのそれぞれに順次切り替え、上記生成した複数の回路接続パターンのそれぞれについてDC出力測定装置320で測定された直流出力電力の測定結果に基づいて最適な回路接続パターンを決定する最適化を実行する(S300)。例えば、上記生成した複数の回路接続パターンの中から、DC出力測定装置320で測定された直流出力電力が最大になる回路接続パターンを最適な回路接続パターンとして決定する。
【0069】
次に、制御部330は、上記決定した最適な回路接続パターンに基づいて、DC合成回路310における回路接続を上記最適な回路接続パターンに設定するように制御する(S400)。例えば、制御部330は、上記決定した最適な回路接続パターンに対応するノードリストのデータに基づいて、DC合成回路310を構成するスイッチング回路のスイッチをオン・オフ制御することにより、DC合成回路310における回路接続を上記最適な回路接続パターンに設定する。
【0070】
以上、直流電力出力装置が無線電力伝送システムの受電装置30であり、複数の直流電源回路がそれぞれ整流回路301である場合について説明したが、直流電力出力装置及び複数の直流電源回路は前述の例示した構成に限定されない。例えば、直流電力出力装置は太陽光発電システムの発電装置であってもよく、複数の直流電源回路は太陽電池がそれぞれ接続された複数の電源回路であってもよい。
【0071】
図14は、実施形態に係る太陽光発電システムの直流電力出力装置35の一例を示す回路図である。なお、図14において、前述の図2と共通する部分については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0072】
図14の太陽光発電システムの直流電力出力装置35において、DC合成回路310の複数のプラス入力部311(1)~311(n)には、太陽電池群340を構成する複数(n個)の太陽電池のプラス出力端子が接続される。また、DC合成回路310の複数のマイナス入力部312(1)~312(n)には、太陽電池群340を構成する複数(n個)の太陽電池のマイナス出力端子が接続される。
【0073】
以上、本実施形態によれば、複数の直流電源回路(例えば、整流回路、太陽電池)を接続する回路接続の最適化に用いる複数の回路接続パターンを、グラフの回路モデルを用いて生成することにより、複数の回路接続パターンを冗長性や偏りを低減して生成できるため、回路接続の最適化にかかる時間を抑制することができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、主接続(主鎖)の直列ノード群410(1)のノード数Nの値を回路接続パターン毎に変更することにより、ランダム性を有するように生成される複数の回路接続パターンを区別することができ、複数の回路接続パターンのそれぞれに用いる上記Nの値の確率を制御することにより、回路接続パターンの冗長性及び偏りの低減が可能である。
【0075】
また、本実施形態によれば、DC合成回路310の回路接続パターンの生成に用いる主接続(主鎖)の直列ノード群410(1)及び副接続の直列ノード群410(2)~410(m)のそれぞれにおけるノード数Nのリスト(ノード数リスト)を予め決めることにより、最終的に生成される回路接続パターンをある程度絞り込むことができるので、DC合成回路310の回路接続の最適化にかかる時間を更に抑制することができる。
【0076】
また、本実施形態によれば、主接続(主鎖)の直列ノード群410(1)におけるノードの数Nを複数の候補から選択して決定するときの複数の候補に対する確率分布(乱数分布)を指定することにより、生成される複数の回路接続パターンのランダム性を制御することができる。
【0077】
また、本実施形態によれば、副接続の直列ノード群410(2)~410(m)におけるノードの数N(m≧2)を複数の候補から選択して決定するときの複数の候補に対する確率分布(乱数分布)を指定することにより、生成される複数の回路接続パターンのランダム性を制御することができる。
【0078】
また、本実施形態によれば、最終的に生成される複数の回路接続パターンの間で、副接続の直列ノード群の数、副接続の直列ノード群に含まれるノードの数及び主接続の直列ノード群における副接続の直列ノード群の接続点の少なくとも一つが互いに異なるようにすることにより、最終的に生成される複数の回路接続パターンのランダム性を高めることができる。
【0079】
また、本発明は、直流出力電力の最大化を図ることができる無線電力伝送システム及び太陽光発電システムを提供できるため、持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の達成に貢献できる。
【0080】
なお、本明細書で説明された処理工程並びにシステムの構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
【0081】
ハードウェア実装については、実体(例えば、スイッチング回路、直流電力出力装置、受電装置、送電装置、発電装置、整流回路、電源回路、各種無線通信装置、基地局装置(Node B、Node G)、端末装置、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
【0082】
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、上記構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
【0083】
また、前記媒体は非一時的な記録媒体であってもよい。また、前記プログラムのコードは、コンピュータ、プロセッサ、又は他のデバイス若しくは装置機械で読み込んで実行可能であればよく、その形式は特定の形式に限定されない。例えば、前記プログラムのコードは、ソースコード、オブジェクトコード及びバイナリコードのいずれでもよく、また、それらのコードの2以上が混在したものであってもよい。
【0084】
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。
【符号の説明】
【0085】
10 :無線電力伝送システム
20 :送電装置
21 :アンテナ装置
30 :受電装置
31 :アンテナ装置
31a :アンテナ
35 :直流電力出力装置
40 :グラフ回路モデル
300 :整流回路群
301 :整流回路(直流電源回路)
303 :正側出力端子
304 :負側出力端子
310 :DC合成回路(電力合成部)
311 :プラス入力部
312 :マイナス入力部
313 :正側出力端子
314 :負側出力端子
320 :DC出力測定装置(電力出力部)
330 :制御部
340 :太陽電池群
400 :ノード群
401 :整流回路に対応するノード
401p :接続点
403 :正側出力端子に対応するノード
403p :接続点
404 :負側出力端子に対応するノード
410 :直列ノード群
【要約】
【課題】複数の直流電源回路を接続する回路接続パターンの最適化にかかる時間を抑制することができる方法を提供する。
【解決手段】複数の直流電源回路、正側出力端子及び負側出力端子のそれぞれをノードとした回路モデルにおいて、正側出力端子のノードと複数の直流電源回路の一部の複数の直流電源回路のノードと負側出力端子のノードとを順に直列接続した主接続の直列ノード群を決定し、主接続の直列ノード群に並列に接続される複数の直流電源回路のノードからなる副接続の直列ノード群を決定し、主接続の直列ノード群のノードの数及び副接続の直列ノード群におけるノードの数の合計が複数の直流電源回路のノードの総数と等しくなるまで副接続の直列ノード群の決定を繰り返し、決定した主接続の直列ノード群と副接続の直列ノード群とを接続して回路接続パターンを生成する。
【選択図】図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14