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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】生産システム
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/00 20060101AFI20230413BHJP
   B23P 21/00 20060101ALI20230413BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
B23P19/00 301Z
B23P21/00 307P
B25J13/00 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022173410
(22)【出願日】2022-10-28
【審査請求日】2022-10-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591214527
【氏名又は名称】株式会社ジーテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121669
【弁理士】
【氏名又は名称】本山 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(72)【発明者】
【氏名】濱野 弘旭
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 翔平
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-170657(JP,A)
【文献】特開平04-313515(JP,A)
【文献】国際公開第2017/017710(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/116337(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/00 - 21/00
B25J 1/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理装置で処理する複数のワークを収容する上面が開放された容器を、搬入部から仮置台に隣接する排出部まで搬送する搬送装置と、
前記搬送装置の前記排出部に搬送された前記容器を回転させて前記容器が収容する前記複数のワークを前記仮置台の上に排出する回転機構と、
前記複数のワークを前記処理装置で個々に処理するために、前記仮置台の上に配置された前記複数のワークを個々にピックアップするピックアップロボットと
を備え
前記回転機構は、
基台と、
前記基台に固定された支柱と、
前記支柱の先端部に回動可能に支持されたフレームと、
前記フレームを回動させる第1油圧シリンダと、
前記容器を掛止して保持し、前記フレームに回動可能に支持された保持部と、
一端が前記フレームに固定されて前記保持部を回動させる第2油圧シリンダと
を備え、
前記保持部は、前記容器を載置する載置部と、前記載置部に載置された前記容器の上端部を掛止して固定するための入出可能とされている掛止機構とを備え、
前記第1油圧シリンダによる前記フレームの回動、および前記第2油圧シリンダによる前記保持部の回動により、前記仮置台の上方で前記容器の内側底面が前記仮置台に向かい合う状態にまで回転させる生産システム。
【請求項2】
処理装置で処理する複数のワークを収容する上面が開放された容器を、搬入部から仮置台に隣接する排出部まで搬送する搬送装置と、
前記搬送装置の前記排出部に搬送された前記容器を回転させて前記容器が収容する前記複数のワークを前記仮置台の上に排出する回転機構と、
前記複数のワークを前記処理装置で個々に処理するために、前記仮置台の上に配置された前記複数のワークを個々にピックアップするピックアップロボットと
を備え、
前記ピックアップロボットは、磁力により前記複数のワークを個々にピックアップし、
前記ピックアップロボットがピックアップしたワークを磁力により吸着固定して仮置きする仮置治具と、
前記仮置治具に仮置きされたワークを機械的に把持して前記処理装置の処理位置に搬送する搬送ロボットと
を備えることを特徴とする生産システム。
【請求項3】
請求項記載の生産システムにおいて、
前記仮置治具の上に仮置きされるワークの数を測定する測定機構と、
前記測定機構が測定したワークの数が複数の場合に、前記仮置治具の上に仮置きされるワークにエアーを吹き付けて前記仮置治具の上に仮置きされるワークを落下させ、搬送不良が発生したことを通知する警報機構と
を備えることを特徴とする生産システム。
【請求項4】
請求項2記載の生産システムにおいて、
前記仮置治具は、前記回転機構と前記処理装置との間に配置されていることを特徴とする生産システム。
【請求項5】
処理装置で処理する複数のワークを収容する上面が開放された容器を、搬入部から仮置台に隣接する排出部まで搬送する搬送装置と、
前記搬送装置の前記排出部に搬送された前記容器を回転させて前記容器が収容する前記複数のワークを前記仮置台の上に排出する回転機構と、
前記複数のワークを前記処理装置で個々に処理するために、前記仮置台の上に配置された前記複数のワークを個々にピックアップするピックアップロボットと
を備え、
前記搬送装置は、
前記容器を前記搬入部から搬送する搬入ラインと、
前記排出部を途中に備えて前記搬入ラインで搬送された前記容器を搬送する取り出しラインと、
前記取り出しラインで搬送された前記容器を搬出部まで搬送する搬出ラインと
を備え、
前記搬入ラインと前記取り出しラインと前記搬出ラインとは、前記回転機構および前記処理装置を囲うように平面視でコの字形状に配置されている
ことを特徴とする生産システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の生産システムにおいて、
前記仮置台を揺らす振動装置をさらに備えることを特徴とする生産システム。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載の生産システムにおいて、
前記仮置台の上に配置された前記複数のワークの中より、設定されている処理対象のワークの画像との画像比較で一致するワークを検出する検出装置を備え、
前記ピックアップロボットは、前記検出装置が検出したワークをピックアップすることを特徴とする生産システム。
【請求項8】
請求項記載の生産システムにおいて、
前記検出装置による設定されている処理対象のワークの画像との画像比較で一致するワークの検出が不能な場合、前記仮置台を揺らす振動装置をさらに備えることを特徴とする生産システム。
【請求項9】
請求項1~5のいずれか1項に記載の生産システムにおいて、
前記ピックアップロボットは、ピックアップしたワークを前記処理装置の処理位置に搬送することを特徴とする生産システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産システムに関する。
【背景技術】
【0002】
処理対象のワークが小型の部品の場合、複数のワークを容器にばら積みして搬送し、処理装置の近傍で、容器より個別にピックアップして処理装置の処理位置に配置して処理を実施している。例えば、金属製のワークにナットを溶接する溶接処理がある。この種の溶接処理を、人手により実施する場合、複数のワークをばら積みして搬送されてきた容器の中より個別にワークを取り出し、取り出したワークを溶接装置にセットしている。
【0003】
上述した作業を自動化する場合、例えば、複数のワークをばら積みした容器を溶接装置の近くまで搬送装置で搬送し、搬送された容器の中より、ロボットアームなどを用いてワークをピックアップし、ピックアップしたワークを溶接装置にセットする。ばら積みされているワークは、各々様々な姿勢となっているため、カメラで撮像することでワークの姿勢を認識し、溶接装置の溶接位置に適合するようにワークの姿勢を修正して溶接装置の溶接位置に搬送する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-100142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ばら積みされているワークは、ワーク同士が重なっており、確認ができないワークが存在するなど、各ワークを確認することが容易ではないという問題があった。
【0006】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、複数のワークが容器にばら積みされて処理装置の箇所まで搬送される処理システムで、自動的に正確に個々のワークがピックアップできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る生産システムは、処理装置で処理する複数のワークを収容する上面が開放された容器を、搬入部から仮置台に隣接する排出部まで搬送する搬送装置と、搬送装置の排出部に搬送された容器を回転させて容器が収容する複数のワークを仮置台の上に排出する回転機構と、複数のワークを処理装置で個々に処理するために、仮置台の上に配置された複数のワークを個々にピックアップするピックアップロボットとを備える。
【0008】
上記生産システムの一構成例において、回転機構は、仮置台の上方で容器の内側底面が仮置台に向かい合う状態にまで回転させる。
【0009】
上記生産システムの一構成例において、仮置台を揺らす振動装置をさらに備える。
【0010】
上記生産システムの一構成例において、仮置台の上に配置された複数のワークの中より、設定されている処理対象のワークの画像との画像比較で一致するワークを検出する検出装置を備え、ピックアップロボットは、検出装置が検出したワークをピックアップする。
【0011】
上記生産システムの一構成例において、検出装置による設定されている処理対象のワークの画像との画像比較で一致するワークの検出が不能な場合、仮置台を揺らす振動装置をさらに備える。
【0012】
上記生産システムの一構成例において、ピックアップロボットは、ピックアップしたワークを処理装置の処理位置に搬送する。
【0013】
上記生産システムの一構成例において、ピックアップロボットは、磁力により複数のワークを個々にピックアップし、ピックアップロボットがピックアップしたワークを磁力により吸着固定して仮置きする仮置治具と、仮置治具に仮置きされたワークを機械的に把持して処理装置の処理位置に搬送する搬送ロボットとを備える。
【0014】
上記生産システムの一構成例において、仮置治具の上に仮置きされるワークの数を測定する測定機構と、測定機構が測定したワークの数が複数の場合に、仮置治具の上に仮置きされるワークにエアーを吹き付けて仮置治具の上に仮置きされるワークを落下させ、搬送不良が発生したことを通知する警報機構とを備える。
【0015】
上記生産システムの一構成例において、仮置治具は、回転機構と処理装置との間に配置されている。
【0016】
上記生産システムの一構成例において、搬送装置は、容器を搬入部から搬送する搬入ラインと、排出部を途中に備えて搬入ラインで搬送された容器を搬送する取り出しラインと、取り出しラインで搬送された容器を搬出部まで搬送する搬出ラインとを備え、搬入ラインと取り出しラインと搬出ラインとは、回転機構および処理装置を囲うように平面視でコの字形状に配置されている。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、搬送装置の排出部に搬送された容器を回転させて容器が収容する複数のワークを仮置台の上に排出する回転機構を備えるので、複数のワークが容器にばら積みされて処理装置の箇所まで搬送される処理システムで、自動的に正確に個々のワークがピックアップできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る生産システムの構成を示す構成図である。
図2A図2Aは、回転機構102の構成を示す構成図である。
図2B図2Bは、回転機構102の構成を示す構成図である。
図2C図2Cは、回転機構102の構成を示す構成図である。
図3A図3Aは、容器106にばら積みされている複数のワークの状態を示す写真である。
図3B図3Bは、複数のワークが仮置台103の上にばらけた状態を示す写真である。
図4図4は、ナット202が溶接されたワーク201の構成を示す斜視図である。
図5図5は、本発明の実施の形態2に係る生産システムの構成を示す構成図である。
図6図6は、本発明の実施の形態3に係る生産システムの構成を示す構成図である。
図7図7は、本発明の実施の形態4に係る生産システムの構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係る生産システムについて説明する。
【0020】
[実施の形態1]
はじめに、本発明の実施の形態1に係る生産システムについて図1を参照して説明する。この生産システムは、搬送装置101、回転機構102、仮置台103、ピックアップロボット104、および処理装置105を備える。
【0021】
搬送装置101は、容器106を搬入部151から仮置台103に隣接する排出部152まで搬送する。容器106は、上面が開放され、複数のワークをばら積みされた状態で収容している。ワークは、処理装置105で処理する処理対象であり、例えば、自動車部品を所定の箇所に固定するための小型の固定部品である。処理装置105は、例えば、処理位置(処理が実施される位置)に配置されたワークに溶接部品を溶接する溶接装置である(特許文献1)。この種の小型部品に対する製造処理においては、ワークの処理を実施する処理装置105まで、多数のワークを所定の容器106にばら積みして搬送している。
【0022】
回転機構102は、搬送装置101の排出部152に搬送された容器106を回転させて容器106が収容する複数のワークを、仮置台103の上に排出する。回転機構102は、地表面に対して略垂直な面で容器106を回転させる。容器106を回転させて所定の角度に傾斜させることで、容器106に収容されている複数のワークを、容器106より下部に落下させて排出する。回転機構102により容器106を回転させることで、容器106を反転させて容器106に収容されている複数のワークを、容器106より下部に落下させて排出する。
【0023】
回転機構102は、図2Aに例示するように、基台121、基台121に固定された支柱122、フレーム123を回動可能に支柱122の先端部に軸支する第1支軸124、および第1油圧シリンダ125を備える。また、フレーム123の上面には、シュート台129が固定されている。また、第1油圧シリンダ125は、基台121に固定されている。
【0024】
また、回転機構102は、容器106を掛止して保持する保持部126、保持部126を回動可能にフレーム123に軸支する第2支軸127、および第2油圧シリンダ128を備える。第2油圧シリンダ128は、フレーム123に固定されている。保持部126は、容器106を載置する載置部126aと、載置部126aに載置された容器106の上端部を掛止して固定するための入出可能とされている掛止機構126bとを備える。
【0025】
図示する例では、保持される容器106を中心に仮置台103の側に掛止機構を配置しているが、これに限るものではなく、掛止機構は、保持される容器106を中心に仮置台103から離れる側に配置することができる。また、掛止機構は、保持される容器106の全周に設けることができる。
【0026】
また、搬送装置101がローラコンベアの場合、載置部126aはフォーク状でローラコンベア間に配置され、回転により掛止機構126bの掛止がかかる構成とすることができる。また、アクチュエータなどで掛止機構126bの掛止駆動を実現することができる。また、搬送装置101がローラコンベア以外の場合、載置部126aに容器106を載せ替える載せ替え機構を設けることができる。また、回転機構102は複数の容器を同時に回転させることができる。
【0027】
まず、第1油圧シリンダ125を稼働させることで、図2Bに示すように、第1支軸124を中心にフレーム123を回動させることで、フレーム123とともに保持部126を回転させ、保持部126に載置および掛止・固定されている容器106を回転させる。さらに、第2油圧シリンダ128を稼働させることで、図2Cに示すように、第2支軸127を中心に保持部126を回動させ、保持部126に載置および掛止・固定されている容器106を回転させる。この段階において、仮置台103の上方で容器106の内側底面が仮置台103に向かい合う状態にまで回転(反転)させる。
【0028】
これらのことにより、容器106にばら積みされている複数のワークが、フレーム123とともに回転しているシュート台129に案内されて排出され、仮置台103の上にばらけた状態に展開する。このように、回転機構102は、容器106の外側底面が大地の側に配置されている状態より、仮置台103の上方で容器106の内側底面が仮置台103に向かい合う状態にまで回転させることができる。なお、図2A図2B図2Cは、回転機構102を側方から見た状態を模式的に示している。
【0029】
上述したように、容器106の内側底面が仮置台103に向かい合う状態にまで回転させることで、容器106にワークが残ることが抑制できる。特に、容器106の内側底面が仮置台103に向かい合い、表面が地表に対して平行とされている仮置台103に対して、容器106の内側底面を互いに平行な状態とすることで、容器106にワークが残ることが防止できる。この状態は、容器106を反転させた状態ということができる。例えば、初期の状態より容器106を180°回転させることで、容器106を反転させることができる。このようにすることで、ワークに対する処理をした後に、処理がなされたワークを容器106に入れる(戻す)場合、未処理部品が混ざることが防止できる。
【0030】
回転させた容器106の近傍に仮置台103が配置されている場合、シュート台129は必要ないが、シュート台129を設けることで、仮置台103を離れた位置に配置することが可能であり、仮置台103の配置の自由度を向上させることができる。
【0031】
また、回転機構102により排出状態とされている容器106の内部を撮像するカメラと、カメラで撮像された画像を解析することでワークの有無を判断する判断回路と、判断回路の判断結果を表示するモニタなどから構成した確認機構を備えることができる。確認機構による判断結果の表示を確認することで、容器106にワークが残ることが防げるようになる。
【0032】
仮置台103は、複数のワークが仮置きされる平坦面を備えている。回転機構102により容器106を回転させることで、容器106にばら積みされている複数のワーク(図3A)が、仮置台103の上にばらけた状態(図3B)に展開される。また、仮置台103の面積を広くするほど、ワークが仮置台103の外側にはみだすこと無く、ばらけた状態をより良好にすることができる。したがって、仮置台103の面積は、可能な範囲で広くすることが好ましい。例えば、仮置台103の面積は、容器106の底面より広いものとすることができる。例えば、後述するピックアップロボット104によるワークのピックアップ動作が可能な範囲で、仮置台103の面積を広くすることができる。なお、仮置台103の周辺部に、ワークが仮置台103よりはみだすことを防止する側壁を設けることができる。この側壁は、ピックアップの動作を妨げない高さとする。
【0033】
ピックアップロボット104は、複数のワークを処理装置105で個々に処理するために、仮置台103の上に配置された複数のワークを個々にピックアップする。実施の形態1において、生産システムは、仮置台103の上に配置された複数のワークの中より、設定されている処理対象のワークの画像との画像比較で一致するワークを検出する検出装置107を備える。
【0034】
検出装置107は、図示しないが、カメラ、検出回路、駆動回路を備える。カメラは、仮置台103の上に配置された複数のワークを撮像する。検出回路は、カメラが撮像した画像中より、ピックアップ可能と設定されている処理対象のワークの画像との画像比較で一致するワークを検出する。例えば、検出回路は、カメラで撮像される仮置台103の領域内において、設定されている基準位置を原点とした座標系において、検出したワークの位置の座標を求め、立体形状を把握する。駆動回路は、ワーク認識回路が求めた座標の情報や把握した立体形状を基に、ロボットアーム108を駆動させて、ピックアップ可能と認識(判定)したワークをピックアップする。ロボットアーム108は、例えば、磁力によりワークを吸着してピックアップする。
【0035】
ピックアップロボット104は、例えば、ピックアップしたワークを処理装置105の処理位置に搬送する。ワークが処理位置に搬送された処理装置105は、処理位置に配置されたワーク(例えば固定部品)に溶接部品(例えばナット)を溶接する。この結果、図4に例示するように、複数の溶接フランジを有する略コ字状のワーク201の中央の位置に、ナット202が溶接される。このワーク201は、ナット溶接後、別途、車体パネルに溶接され、車体搭載部品がボルト固定される。
【0036】
また、実施の形態1において、生産システムは、部品種別検出装置113を備えることができる。部品種別検出装置113は、搬送装置101で搬送する容器106に収容されるワークの種別(品種)を識別し、識別した種別を処理装置105に通知する。例えば、容器106には、収容している複数のワークの種別が記載されたラベルが貼り付けられている。部品種別検出装置113は、容器106に貼り付けられているラベルに記載されているワークの種別を、カメラなどを用いた画像処理により読み取り、読み取った種別を処理装置105に通知する。
【0037】
この生産システムにおいて、多品種小ロットで生産を実施する場合、例えば、ワークの品種ごとに溶接するナットが異なるが、上述したことにより、処理装置105においてワークの種別が早期に識別できるので、処理対象となるワークに対応する適正なナットを早期に用意することができる。
【0038】
実施の形態1によれば、回転機構102により容器106にばら積みされている複数のワークが、回転された(ひっくり返された)容器106より仮置台103の上にばらけた状態に展開されるので、ワーク同士が絡み合ったり、重なったりして配置されることがなくなり、各ワークを正確に確認することが容易となる。この結果、ピックアップロボット104により、自動的に正確に個々のワークがピックアップできるようになる。
【0039】
ここで、仮置台103の上にばらけた状態に展開されたワークが、仮置台103の床面上で滑り動くことで複数のワーク同士が重なることを防止するため、仮置台103の床面は、ワークが滑りにくい材料から構成することが好ましい。例えば、仮置台103の床面は、ポリウレタンなどによるエラストマーから構成することができる。仮置台103の床面は、容器106の底面より十分に広くすることが可能であり、ワークの重なり度合を低減できる。また、床面の材料を反発し難い材料とすることで、周壁が低くても、ワークが外に飛び出すことが防止できる。
【0040】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2に係る生産システムについて図5を参照して説明する。この生産システムは、搬送装置101、回転機構102、仮置台103、ピックアップロボット104、処理装置105、検出装置107を備える。これらの構成は、前述した実施の形態1と同様である。
【0041】
実施の形態2では、仮置台103を揺らす振動装置109をさらに備える。検出装置107によるワークの検出が不能な場合が発生すると、振動装置109が動作して、仮置台103を揺らす。振動装置109は、例えば、仮置台103の仮置きされる平坦面に平行な方向に、仮置台103を揺らすことができる。また、振動装置109は、上下動も併用可能であり、上下動を併用することで、とさらにばらけさせることができる。
【0042】
例えば、容器106を回転させることで、容器106にばら積みされている複数のワークを、仮置台103の上にばらけた状態に展開したとき、一部のワークが重なっている場合が発生する。このようにワークが重なっている箇所では、検出装置107によるワークの検出が不能な場合がある。このような場合、振動装置109により仮置台103を揺らすことで、上述したようなワークの重なりを解消することができる。ワークの重なりがなければ、検出装置107によるワークの検出が可能となる。
【0043】
また、振動装置109は、対象となるワークに合わせて、振動条件を変更することができる。例えば、ワークの形状およびサイズにより、振動させる時間を変更することができる。例えば、大きな屈曲部が1箇所までの形状で最も長い部分が90mmまでのワークは、振動時間を1.5秒とし、大きな屈曲部が2箇所の形状で最も長い部分が100mmまでのワークは、振動時間を2.0秒とし、大きな屈曲部が3箇所以上ある形状で最も長い部分が100mmまでのワークは、振動時間を2.5秒とすることができる。
【0044】
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3に係る生産システムについて図6を参照して説明する。この生産システムは、搬送装置101、回転機構102、仮置台103、ピックアップロボット104、処理装置105、検出装置107を備える。これらの構成は、前述した実施の形態1と同様である。
【0045】
実施の形態3では、仮置治具110、および搬送ロボット111を備える。仮置治具110は、ピックアップロボット104により磁力により個々にピックアップされたワークが仮置きされる。ワークを仮置治具110に仮置きすることで、ワークの供給速度と処理装置105の位置決めを含む処理時間が異なっても、これらの時間の差を吸収させることができる。
【0046】
仮置治具110は、平坦な仮置面を備える。仮置面は、例えば、地表に対して水平とされている。また、仮置面は、地表に対して傾斜させることができる。仮置治具110は、ピックアップロボット104が仮置きするワークを、磁力により吸着固定する。仮置治具110は、ピックアップロボット104により個々にピックアップされたワークの位置を規制する。
【0047】
例えば、水平な台から構成した仮置治具110の上に仮置きされたワークは、仮置治具110の仮置面を基準として上下方向の位置が規制(決定)される。また、ワークは、磁力により吸着固定されるので、左右方向の位置も規制される。この結果、仮置治具110に仮置きされるワークは、姿勢がある程度固定される。また、ワークを磁力により吸着固定させるので、例えば、ピンなどに差し込む場合に比較して、仮置治具110への仮置きが極めて迅速に行える。
【0048】
搬送ロボット111は、仮置治具110に仮置きされたワークを、ロボットアーム112により機械的に把持して処理装置105の処理位置に搬送する。例えば、仮置治具110に仮置きされたワークの姿勢を、カメラなどにより撮像して画像解析した結果により搬送ロボット111の動作を制御することで、ワークの姿勢を制御して処理装置105の処理位置に搬送することが可能となる。
【0049】
また、上述したように、仮置治具110に仮置きすることで姿勢が固定されたワークが、搬送ロボット111により処理装置105の処理位置に搬送されるので、上述したワークの姿勢制御がより迅速に行える。これらのことより、仮置き治具110を用いることで、総じて、生産速度を向上できる。
【0050】
また、仮置治具110を、回転機構102と処理装置105との間に配置することで、仮置台103から仮置治具110を経由して処理装置105に搬送されるワークの移動距離を、最短とすることが可能となる。
【0051】
上述したように、仮置治具110に仮置きすることでワークの位置が規制されているため、ワークの姿勢の画像解析に要する時間、処理装置105における画像検査時間や姿勢変更時間を短縮することが可能となる。なお、処理装置105の手前に、左右のワーク位置・姿勢の検出のため第2の検出装置を配置することで、処理装置105の正しい位置にワークをセットできるように搬送ロボット111の制御が実施できる。このように、ワークの上下位置(z軸方向の位置)および左右の位置(xy平面におけるx軸方向およびy軸方向の位置)が決定されるため、画像解析に要する時間が短縮され生産性が向上する。
【0052】
また、仮置治具110の上に仮置きされるワークの数を測定する測定機構と、測定機構が測定したワークの数が複数の場合に、仮置治具110の上に仮置きされるワークにエアーを吹き付けて仮置治具110の上に仮置きされるワークを落下させ、搬送不良が発生したことを通知する警報機構とを備えることができる。これにより、ピックアップロボット104が、仮置治具110の上に複数のワークを仮置きした場合、1つのワークを残して他のワークが排出されるので、搬送ロボット111の搬出対象が1つのワークとなり、生産ミスが防止できる。
【0053】
[実施の形態4]
次に、本発明の実施の形態4に係る生産システムについて図7を参照して説明する。この生産システムは、搬送装置101、回転機構102、仮置台103、ピックアップロボット104、処理装置105、検出装置107、仮置治具110、および搬送ロボット111を備える。これらの構成は、前述した実施の形態3と同様である。
【0054】
実施の形態3では、搬送装置101が、搬入ライン101a、取り出しライン101b、搬出ライン101cを備える。搬入ライン101aと取り出しライン101bと搬出ライン101cとは、回転機構102および処理装置105を囲うように平面視でコの字形状に配置されている。搬入ライン101aは、容器106を搬入部151から搬送して取り出しライン101bに受け渡す。取り出しライン101bは、排出部152を途中に備えて搬入ライン101aで搬送された容器106を搬送し、搬出ライン101cに受け渡す。搬出ライン101cは、取り出しライン101bで搬送された容器106を搬出部153まで搬送する。
【0055】
複数のワークをばら積みしている容器106は、搬入部151から搬入ライン101aで搬送されて取り出しライン101bに受け渡され、取り出しライン101bの途中に設けられた排出部152において、回転機構102により回転されて収容する複数のワークを、仮置台103の上に排出する。複数のワークを排出して空となった容器106は、取り出しライン101bにより搬送されて搬出ライン101cに受け渡され、搬出ライン101cで搬出部153まで搬送される。搬出部153に搬送された容器106には、処理装置105で処理されたワークを収容することができる。
【0056】
上述したように、搬入ライン101aと取り出しライン101bと搬出ライン101cとを、回転機構102および処理装置105を囲うように平面視でコの字形状に配置することで、搬入部151と搬出部153とを同じ側に配置することができ、合理的な生産が可能となる。また、上述したように搬入と搬出に同じ容器を用いることで、未処理部品が含まれることが防止でき、容器の数を必要最低限にできる。また、容器にラベルを付けることで、生産管理が容易となる。
【0057】
なお、上述では、処理装置として、処理位置に配置されたワークに溶接部品を溶接する溶接装置を例に説明したが、処理装置は、処理位置に配置されたワークに検査する検査装置とすることができる。また、処理装置は、処理位置に配置されたワークに他部品を取り付ける取付け装置とすることができる。また、処理装置は、処理位置に配置されたワークにシールを貼り付ける貼付け装置とすることができる。また、処理装置は、処理位置に配置されたワークに文字または記号を刻印する刻印装置とすることができる。
【0058】
以上に説明したように、本発明によれば、搬送装置の排出部に搬送された容器を回転させて容器が収容する複数のワークを仮置台の上に排出する回転機構を備えるので、複数のワークが容器にばら積みされて処理装置の箇所まで搬送される処理システムで、自動的に正確に個々のワークがピックアップできるようになる。
【0059】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されるが、以下には限られない。
【0060】
[付記1]
処理装置で処理する複数のワークを収容する上面が開放された容器を、搬入部から仮置台に隣接する排出部まで搬送する搬送装置と、前記搬送装置の前記排出部に搬送された前記容器を回転させて前記容器が収容する前記複数のワークを前記仮置台の上に排出する回転機構と、前記複数のワークを前記処理装置で個々に処理するために、前記仮置台の上に配置された前記複数のワークを個々にピックアップするピックアップロボットとを備える生産システム。
【0061】
[付記2]
付記1記載の生産システムにおいて、前記回転機構は、前記仮置台の上方で前記容器の内側底面が前記仮置台に向かい合う状態にまで回転させることを特徴とする生産システム。
【0062】
[付記3]
付記1または2記載の生産システムにおいて、前記仮置台を揺らす振動装置をさらに備えることを特徴とする生産システム。
【0063】
[付記4]
付記1~3のいずれか1項に記載の生産システムにおいて、前記仮置台の上に配置された前記複数のワークの中より、設定されている処理対象のワークの画像との画像比較で一致するワークを検出する検出装置を備え、前記ピックアップロボットは、前記検出装置が検出したワークをピックアップすることを特徴とする生産システム。
【0064】
[付記5]
付記4記載の生産システムにおいて、前記検出装置による設定されている処理対象のワークの画像との画像比較で一致するワークの検出が不能な場合、前記仮置台を揺らす振動装置をさらに備えることを特徴とする生産システム。
【0065】
[付記6]
付記1~5のいずれか1項に記載の生産システムにおいて、前記ピックアップロボットは、ピックアップしたワークを前記処理装置の処理位置に搬送することを特徴とする生産システム。
【0066】
[付記7]
付記1~6のいずれか1項に記載の生産システムにおいて、前記ピックアップロボットは、磁力により前記複数のワークを個々にピックアップし、前記ピックアップロボットがピックアップしたワークを磁力により吸着固定して仮置きする仮置治具と、前記仮置治具に仮置きされたワークを機械的に把持して前記処理装置の処理位置に搬送する搬送ロボットとを備えることを特徴とする生産システム。
【0067】
[付記8]
付記7記載の生産システムにおいて、前記仮置治具の上に仮置きされるワークの数を測定する測定機構と、前記測定機構が測定したワークの数が複数の場合に、前記仮置治具の上に仮置きされるワークにエアーを吹き付けて前記仮置治具の上に仮置きされるワークを落下させ、搬送不良が発生したことを通知する警報機構とを備えることを特徴とする生産システム。
【0068】
[付記9]
付記7または8記載の生産システムにおいて、前記仮置治具は、前記回転機構と前記処理装置との間に配置されていることを特徴とする生産システム。
【0069】
[付記10]
付記1~9のいずれか1項に記載の生産システムにおいて、前記搬送装置は、前記容器を前記搬入部から搬送する搬入ラインと、前記排出部を途中に備えて前記搬入ラインで搬送された前記容器を搬送する取り出しラインと、前記取り出しラインで搬送された前記容器を搬出部まで搬送する搬出ラインとを備え、前記搬入ラインと前記取り出しラインと前記搬出ラインとは、前記回転機構および前記処理装置を囲うように平面視でコの字形状に配置されていることを特徴とする生産システム。
【0070】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0071】
101…搬送装置、102…回転機構、103…仮置台、104…ピックアップロボット、105…処理装置、106…容器、107…検出装置、108…ロボットアーム、113…部品種別検出装置、151…搬入部、152…排出部。
【要約】
【課題】複数のワークが容器にばら積みされて処理装置の箇所まで搬送される処理システムで、自動的に正確に個々のワークをピックアップする。
【解決手段】複数のワークをばら積みされた状態で収容している容器106を、搬送装置101により搬入部151から仮置台103に隣接する搬出部152まで搬送し、回転機構102により、搬送装置101の搬出部152に搬送された容器106を回転させて容器106が収容する複数のワークを、仮置台103の上に排出する。
【選択図】 図1
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7