(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】電波方向探知システム及び電波方向探知方法
(51)【国際特許分類】
G01S 5/02 20100101AFI20230413BHJP
G01S 3/48 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
G01S3/48
(21)【出願番号】P 2022502758
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(86)【国際出願番号】 JP2020008235
(87)【国際公開番号】W WO2021171535
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【氏名又は名称】杉村 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100155860
【氏名又は名称】藤松 正雄
(72)【発明者】
【氏名】小幡 公
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 安彦
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-504787(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0186235(US,A1)
【文献】特開2007-256004(JP,A)
【文献】特開平02-140680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 3/00- 3/74
G01S 5/00- 5/14
G01S 19/00-19/55
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波の到来方向を推定する電波方向探知システムにおいて、
互いに独立して移動可能な複数の移動局であって、各々が、前記電波を受信するアンテナを有すると共に、前記アンテナの位置の測定と、前記電波の受信信号と移動局間で同期されたローカル周波数との位相差の検出とを行う複数の移動局と、
前記複数の移動局の各々により得られた前記アンテナの位置及び前記受信信号の位相差に基づいて、前記電波の到来方向を推定する機能を持つ電波方向探知装置とを備えたことを特徴とする電波方向探知システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電波方向探知システムにおいて、
前記複数の移動局の少なくとも1つが、前記電波方向探知装置を備えることを特徴とする電波方向探知システム。
【請求項3】
請求項1に記載の電波方向探知システムにおいて、
前記複数の移動局のうちのいずれか1つが、移動局間でローカル周波数を同期させるための同期信号を送信し、
前記同期信号を受信した他の移動局が、自局のローカル周波数を前記同期信号の送信元に同期させることを特徴とする電波方向探知システム。
【請求項4】
請求項3に記載の電波方向探知システムにおいて、
前記他の移動局は、受信した同期信号と予め記憶された信号パターンとの相関を算出し、相関が最大となるタイミングに自局のローカル周波数の位相を揃えることを特徴とする電波方向探知システム。
【請求項5】
電波の到来方向を推定する電波方向探知方法において、
互いに独立して移動可能な複数の移動局であって、前記電波を受信するアンテナを有する複数の移動局の各々が、自局のアンテナの位置の測定と、前記電波の受信信号と移動局間で同期されたローカル周波数との位相差の検出とを行い、
電波方向探知装置が、前記複数の移動局の各々により得られた前記アンテナの位置及び前記受信信号の位相差に基づいて、前記電波の到来方向を推定することを特徴とする電波方向探知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波の到来方向を探知する電波方向探知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電波の到来方向を探知する技法の1つとして、インターフェロメータ方探技法がある。
図4は、インターフェロメータ方探技法の原理を示す模式図である。ここでは、到来した1つの電波30を2本のアンテナ101a、101bで受信するとする。このとき、電波30の到来方向に対して垂直な線となる波面200を仮定すると、波面200に沿った点では、信号の位相差は同じとなる。
図4では、アンテナ101aが波面200上にあり、アンテナ101bから波面200に対して垂直となる線201を引いたときの波面200とアンテナ101bの距離が、経路差となる。この経路差と電波30の波長の比から、2つのアンテナ101a、101bで受信した信号間の位相差を算出することができ、この位相差から電波30の到来方向を推定することができる。
【0003】
図5には、従来型の電波方向探知装置の構成例を示してある。
図5の従来例では、5本の方位測定用のアンテナ101a、101b、101c、101d、101eで、到来した電波30を受信する。各アンテナで受信された電波30は、それぞれ同軸ケーブル102a、102b、102c、102d、102eを経由して、電波方向探知装置100に入力される。電波方向探知装置100に入力された受信信号は、受信部104a、104b、104c、104d、104eにて、信号増幅、中間周波数への変調、フィルタリング等の処理が行われる。アンテナ毎に設けられた受信系である各受信部で処理された受信信号は、A/D変換部109にてディジタル信号に変換された後に、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のロジックデバイスで構成された信号処理部110に渡される。
【0004】
信号処理部110は、各アンテナによる電波30の受信信号についてアンテナ間の位相差を検出し、その位相差の情報と既知であるアンテナ間の距離とに基づいて、電波30の到来方向の算出を行う。電波の到来方向を正確に算出するためには、アンテナ間の距離を事前に知っておく必要がある。また、アンテナ間の距離は、到来方向を探知しようとする電波の波長に比例するため、波長が長い電波の探知をしようとするほどアンテナ間の距離も長くなる。
【0005】
受信系である各受信部104a、104b、104c、104d、104eでのミキシングやフィルタリング、変調処理に使用されるローカル周波数は、局部信号発振器108から発生される。しかしながら、全ての受信系で位相特性を一致させることは難しい。そこで、1つの局部信号発振器108から発生された共通のローカル周波数を、分配器107を用いて全ての受信系に供給することで、各受信系の位相特性を近似させている。
【0006】
また、位相特性の誤差を解消するために、各アンテナと各受信系との間にスイッチ回路103a、103b、103c、103d、103eを設け、キャリブレーション用の試験信号を生成する試験信号発振器106を接続している。試験信号発振器106から発生された共通の試験信号は、分配器105を用いて全ての受信部系に供給される。
【0007】
このような従来型の電波方向探知装置100では、まず、各スイッチ回路103a、103b、103c、103d、103eを試験信号発生器106に接続するように切り替えて、試験信号を各受信部104a、104b、104c、104d、104eへ送ることで、受信系のキャリブレーションを行う。このとき、信号処理部110では、各受信系を経由した試験信号の位相差を検出し、メモリに格納する。その後、各スイッチ回路103a、103b、103c、103d、103eをアンテナ側に切り替えて、到来した電波30の受信を行う。このとき、信号処理部110では、各アンテナによる電波30の受信信号についてアンテナ間の位相差を検出し、キャリブレーションにより算出してメモリに格納した位相差を用いて補正して、電波30の到来方向を算出する。
【0008】
電波の到来方向を探知する技術に関し、これまでに種々の発明が提案されている。例えば、特許文献1には、複数の端末のそれぞれが、干渉波の到来方向を推定して基地局に送信し、基地局が、各端末の推定結果に基づいて、最も確からしい到来方向を算出することが開示されている。また、特許文献2には、電波の到来方向を推定し、電波の到来方向及び電波を受信したアンテナの位置を地図情報に重ねて表示することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2009-296247号公報
【文献】特開2012-47473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
方位測定用のアンテナ間の距離は、到来方向を推定しようとする電波の波長に比例して長くなる。波長が10mの電波の到来方向の推定を誤差1°以下の精度で実現するには、アンテナ間の距離を40~50m程度確保する必要がある。しかしながら、艦船や航空機等の移動局では、このような長い距離を移動局上に確保することはできない。このため、波長の長い電波の到来方向を推定するためのアンテナは、地上固定局として設置することしができなかった。
【0011】
本発明は、上記のような従来の事情に鑑みて為されたものであり、方位測定用のアンテナ間の距離の確保が困難である移動局においても、電波の到来方向を推定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明では、電波方向探知システムを以下のように構成した。
すなわち、電波の到来方向を推定する電波方向探知システムにおいて、各々が、電波を受信するアンテナを有すると共に、アンテナの位置の測定と、電波の受信信号と移動局間で同期されたローカル周波数との位相差の検出とを行う複数の移動局と、複数の移動局の各々により得られたアンテナの位置及び受信信号の位相差に基づいて、電波の到来方向を推定する機能を持つ電波方向探知装置とを備えたことを特徴とする。
【0013】
ここで、複数の移動局の少なくとも1つが、電波方向探知装置を備える構成としてもよい。また、電波方向探知装置は、2つ以上の移動局に備えられてもよい。
【0014】
また、複数の移動局のうちのいずれか1つが、移動局間でローカル周波数を同期させるための同期信号を送信し、同期信号を受信した他の移動局が、自局のローカル周波数を同期信号の送信元に同期させる構成としてもよい。
この場合、他の移動局は、受信した同期信号と予め記憶された信号パターンとの相関を算出し、相関が最大となるタイミングに自局のローカル周波数の位相を揃える構成としてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、方位測定用のアンテナ間の距離の確保が困難である移動局においても、電波の到来方向を推定できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電波方向探知システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図1の電波方向探知システムにおける信号処理部の構成例を示すブロック図
【
図3】
図1の電波方向探知システムによる電波の方向探知の流れを説明するフロー図である。
【
図4】インターフェロメータ方探技法の原理を示す模式図である。
【
図5】従来型の電波方向探知システムの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る電波方向探知システムの構成例を示してある。本例の電波方向探知システムは、複数の移動局10を備える。
図1では、移動局10aと移動局10bの2つを示してあるが、3つ以上を備えてもよい。
【0018】
移動局10aには、到来した電波30を受信する方位測定用のアンテナ11aと、電波30の到来方向を探知する電波方向探知装置13aと、アンテナ11aと電波方向探知装置13aを接続する同軸ケーブル12aとが搭載されている。同様に、移動局10bには、到来した電波30を受信する方位測定用のアンテナ11bと、電波30の到来方向を探知する電波方向探知装置13bと、アンテナ11bと電波方向探知装置13bを接続する同軸ケーブル12bとが搭載されている。なお、同軸ケーブル12a、12bに代えて、他の接続ケーブルを用いても構わない。以下では、移動局10aを例にして説明するが、移動局10bも同様の構成である。
【0019】
移動局10aにおいて、アンテナ11aで受信された電波30は、同軸ケーブル12aを経由して、電波方向探知装置13aに入力される。電波方向探知装置13aに入力された受信信号は、受信系である受信部16aにて、信号増幅、中間周波数への変調、フィルタリング等の処理が行われる。受信部16aで処理された受信信号は、A/D変換部19aにてディジタル信号に変換された後に、DSP、FPGA等のロジックデバイスで構成された信号処理部20aに渡される。
【0020】
受信系である受信部16aでのミキシングやフィルタリング、変調処理に使用されるローカル周波数は、局部信号発振器18aから発生される。電波方向探知装置13aは更に、送信系である送信部15aを備える。また、電波方向探知装置13aは、アンテナ11aの接続を送信部15a(送信系)又は受信部16a(受信系)に切り替えられるように、スイッチ回路14aを備える。スイッチ回路14aは、移動局10aが送信動作を行う場合には、アンテナ11aを送信部15aに接続するように切り替えられ、移動局10aが受信動作を行う場合は、アンテナ11aを受信部16aに接続するように切り替えられる。
【0021】
A/D変換部19aは、受信部16aから入力されたアナログ信号をディジタル信号へ変換するアナログディジタル(AD)変換回路と、信号処理部20aから入力されたディジタル信号をアナログ信号へ変換するディジタルアナログ(DA)変換回路を有する。
【0022】
信号処理部20aは、A/D変換部19aから入力されるディジタル信号を処理し、アンテナ11aの現在位置の測位、電波30の受信信号とローカル周波数との位相差の検出、電波30の到来方向の推定などを行う。
図2には、信号処理部の構成例を示してある。同図の信号処理部20aは、同期信号を検出してローカル周波数を同期させる同期信号検出部21aと、電波30の受信時にローカル周波数との位相差を検出する電波受信時位相差検出部22aと、電波30の到来方向を算出する到来方向算出部23aと、アンテナ11aの現在位置を測定するアンテナ現在位置測位部24aと、別の移動体のアンテナ(例えば、移動体10bのアンテナ11b)の位置を取得する他アンテナ位置取得部25aと、各アンテナの位置情報を記憶する記憶部26aとを備える。
【0023】
本発明に係る電波方向探知方式について、
図5のフロー図を参照して説明する。
まず、移動局10aにおいて、電波方向探知装置13aの送信部15aは、電波方向探知装置13aの受信部16aのローカル周波数と電波方向探知装置13bの受信部16bのローカル周波数を同期させるために、同期信号発生器17aから発生された同期信号を移動局10bへと送信する(ステップS1)。
移動局10bにおいて、受信部16bは、移動局10aから送信された同期信号の受信処理を行う(ステップS21)。その後、同期信号検出部21bにより、受信した同期信号と既知の信号パターン(予め記憶しておいた同期信号の信号パターン)との相関をとり、相関が最大となるタイミングに受信部16bのローカル周波数の位相を揃える(ステップS22)。
【0024】
次いで、移動局10aにおいて、電波方向探知装置13aのアンテナ現在位置測位部24aは、GPS(Global Positioning System)などの衛星測位を用いて、アンテナ11aの現在位置を取得する(ステップS2)。移動局10aでは、取得したアンテナ11aの現在位置情報を記憶部26aに格納する(ステップS3)。
また、移動局10bにおいても、電波方向探知装置13bのアンテナ現在位置測位部24bは、GPSなどの衛星測位を用いて、アンテナ11bの現在位置を取得する(ステップS23)。移動局10bでは、取得したアンテナ11bの現在位置情報を移動局10aへと送信する(ステップS24)。
【0025】
移動局10aにおいて、受信部16aは、移動局10bから送信されたアンテナ11bの現在位置情報の受信処理を行う(ステップS4)。他アンテナ位置取得部25aは、受信したアンテナ11bの現在位置情報を記憶部26aに格納する(ステップS5)。これにより、移動局10aの記憶部26aには、アンテナ11aの現在位置情報及びアンテナ11bの現在位置情報が格納されることになる。
【0026】
上記の処理を行った後、移動局10aの電波方向探知装置13aと移動局10bの電波方向探知装置13bが共同して、電波30の到来方向の探知を実施する。
すなわち、移動局10aにおいて、電波方向探知装置13aの電波受信時位相差検出部22aは、アンテナ11aによる電波30の受信時に、電波30の受信信号とローカル周波数との位相差を検出する(ステップS6、S7)。同様に、移動局10bにおいて、電波方向探知装置13bの電波受信時位相差検出部22bは、アンテナ11bによる電波30の受信時に、電波30の受信信号とローカル周波数との位相差を検出する(ステップS25、S26)。以下では、電波30の受信信号とローカル周波数との位相差を「受信時位相差」という。
【0027】
移動局10bは、検出した受信時位相差を移動局10aへと送信する(ステップS27)。移動局10aは、移動局10bから送信された受信時位相差の受信処理を行う(ステップS8)。その後、移動局10aにおいて、電波方向探知装置13aの到来方向算出部23aは、移動局10aで検出した受信時位相差と、移動局10bで検出した受信時位相差と、記憶部26aに格納されたアンテナ11aの現在位置情報及びアンテナ11bの現在位置情報とに基づいて、所定の演算処理(本例では、インターフェロメータ方探技法)により、電波30の到来方向を算出する(ステップS9)。
【0028】
以上のように、本例の電波方向探知システムでは、移動局10aが、自局のアンテナ11aの現在位置の測定と、電波30の受信信号と移動局間で同期されたローカル周波数との位相差の検出とを行う。同様に、移動局10bが、自局のアンテナ11bの現在位置の測定と、電波30の受信信号と移動局間で同期されたローカル周波数との位相差の検出とを行う。その後、移動局10aに搭載された電波方向探知装置13aが、移動局10a及び移動局10bの各々により得られた各アンテナの現在位置及び受信時位相差に基づいて、電波30の到来方向を推定する。
【0029】
このような構成によれば、移動局10a、10bの少なくとも一方を移動させるだけで、方位測定用のアンテナ11a、11bの位置関係を変化させることができるので、これらアンテナ間の距離を十分に確保することができる。また、移動局10a、10bは、ローカル周波数を互いに同期させているので、各受信系の位相特性を一致させた状態で、受信時位相差の検出を行うことができる。このため、艦船や航空機等のように、単体では方位測定用のアンテナ間の距離の確保が困難な移動局においても、電波の到来方向を推定できるようになる。
【0030】
ここで、上記の説明では、電波の到来方向の推定を、移動局10aに搭載された電波方向探知装置13aが行っているが、移動局10bに搭載された電波方向探知装置13bが行っても構わない。または、3つ以上の移動局を用いて電波方向探知を行ってもよい。すなわち、例えば、移動局10aが、移動局10bの他に、他の移動局10c、10d、10e(不図示)からもアンテナの現在位置及び受信時位相差を取得し、各アンテナの現在位置及び受信時位相差に基づいて、電波の到来方向を推定してもよい。また、各移動局と通信可能に接続された地上固定局が、電波の到来方向を推定する電波方向探知装置を備えてもよい。
【0031】
また、上記の説明では、移動局10aが、移動局間でローカル周波数を同期させるための同期信号を送信し、移動局10bが、自局のローカル周波数を移動局10aに同期させているが、逆であってもよい。すなわち、移動局10bが、移動局間でローカル周波数を同期させるための同期信号を送信し、移動局10aが、自局のローカル周波数を移動局10bに同期させてもよい。
【0032】
また、上記の説明では、移動局10bが、(1)アンテナ11bの位置を測定して現在位置情報を移動局10aへ送信した後に、(2)電波30の受信信号とローカル周波数との位相差を検出して受信時位相差を移動局10aへ送信しているが、(1)と(2)の順番を逆にしてもよい。なお、移動局10bが移動することを考慮すれば、アンテナ位置の測定タイミングと受信時位相差の検出タイミングはなるべく近いことが望ましい。
【0033】
また、上記の説明では、移動局10a、10bは、それぞれ1つのアンテナ11a、11bを送信及び受信で共用しているが、送信用のアンテナと受信用のアンテナを別々に設けても構わない。
【0034】
また、上記の説明では、電波30の到来方向の算出に、インターフェロメータ方探技法を用いているが、MUSIC(MUltiple SIgnal Classification)法等の他の手法を用いても構わない。
【0035】
以上、本発明について一実施形態に基づいて説明したが、本発明はここに記載された電波方向探知システムに限定されるものではなく、他の電波方向探知システムに広く適用することができることは言うまでもない。
また、本発明は、例えば、上記の処理に関する技術的手順を含む方法や、上記の処理をプロセッサにより実行させるためのプログラム、そのようなプログラムをコンピュータ読み取り可能に記憶する記憶媒体などとして提供することも可能である。
【0036】
なお、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。更に、本発明の範囲は、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画され得る。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、電波の到来方向を探知する電波方向探知システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
10a,10b:移動局、 11a,11b:方位測定用のアンテナ、 12a,12b:同軸ケーブル、 13a,13b:電波方向探知装置、 14a,14b:スイッチ回路、 15a,15b:送信部、 16a,16b:受信部、 17a,17b:同期信号発振器、 18a,18b:局部信号発生器、 19a,19b:A/D変換部、 20a,20b:信号処理部、 21a,21b:同期信号検出部、 22a,22b:電波受信時位相検出部、 23a,23b:到来方向算出部、 24a,24b:アンテナ現在位置測位部、 25a,25b:他アンテナ位置取得部、 26a,26b:記憶部、 30:到来電波、 101a,101b,101c,101d,101e:方位測定用のアンテナ、 102a,102b,102c,102d,102e:同軸ケーブル、 103a,103b,103c,103d,103e:スイッチ回路、 104a,104b,104c,104d,104e:受信部、 105:分配器、 106:試験信号発生器、 107:分配器、 108:局部信号発生器、 109:A/D変換部、 110:信号処理部