(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】データ管理装置およびデータ管理方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20230413BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
(21)【出願番号】P 2022508708
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(86)【国際出願番号】 JP2020012025
(87)【国際公開番号】W WO2021186623
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 輝之
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-115915(JP,A)
【文献】特開2007-35892(JP,A)
【文献】国際公開第2015/079560(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/102911(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に部品を装着する装着処理に使用されるデータの集合をデータ群とし、複数の前記データ群のうちの一つを基準データ群とし、前記基準データ群に関連付けて管理されている前記データ群を関連データ群とし、前記関連データ群のうち前記基準データ群の前記データに対応する対応データが前記基準データ群の前記データと相違する相違データが含まれるものを派生データ群とするときに、
複数種類の前記基準データ群の各々について前記派生データ群が関連付けられているか否かを判断する判断部と、
前記判断部による判断結果に基づいて、前記派生データ群が関連付けられている前記基準データ群である特定基準データ群を識別する識別情報を、前記派生データ群が関連付けられていない前記基準データ群である通常基準データ群を識別する識別情報に対して識別可能に出力させる出力部と、
を備えるデータ管理装置。
【請求項2】
前記データ群は、前記装着処理に使用される前記部品の採取位置、前記部品の装着位置、前記部品の装着順序、前記装着処理に使用される機器および前記機器の使用条件のうちの少なくとも一つに関する情報である装着関連情報が記憶されている前記データを含む装着関連データである請求項1に記載のデータ管理装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記基板に複数の前記部品が装着されている状態を模式的に示す前記特定基準データ群の基板イメージを、前記基板に複数の前記部品が装着されている状態を模式的に示す前記通常基準データ群の基板イメージに対して識別可能に表示装置に表示させる請求項2に記載のデータ管理装置。
【請求項4】
前記出力部は、部品供給装置に複数の部品収容部が装備されている状態を模式的に示す前記特定基準データ群の部品収容イメージを、部品供給装置に複数の部品収容部が装備されている状態を模式的に示す前記通常基準データ群の部品収容イメージに対して識別可能に表示装置に表示させる請求項2に記載のデータ管理装置。
【請求項5】
前記データ群は、前記部品の形状に関する情報を少なくとも含む形状関連情報、前記部品の供給方法に関するパッケージ情報および前記部品の装着状態を検査する際に使用される検査基準情報のうちの少なくとも一つに関する情報である部品関連情報が記憶されている前記データを含む部品関連データである請求項1に記載のデータ管理装置。
【請求項6】
前記出力部は、前記基板に複数の前記部品が装着されている状態を模式的に示す基板イメージにおいて、前記特定基準データ群の前記部品を、前記通常基準データ群の前記部品に対して識別可能に表示装置に表示させる請求項5に記載のデータ管理装置。
【請求項7】
前記出力部は、部品供給装置に複数の部品収容部が装備されている状態を模式的に示す部品収容イメージにおいて、前記特定基準データ群の前記部品を収容する部品収容部を、前記通常基準データ群の前記部品を収容する部品収容部に対して識別可能に表示装置に表示させる請求項5に記載のデータ管理装置。
【請求項8】
前記出力部は、複数種類の前記基準データ群の識別情報が列挙されているリスト表示において、前記特定基準データ群の識別情報を、前記通常基準データ群の識別情報に対して識別可能に表示装置に表示させる請求項1、請求項2、請求項5のいずれか一項に記載のデータ管理装置。
【請求項9】
前記出力部は、表示色の相違、マーカーの有無およびアイコンの相違のうちの少なくとも一つによって、前記表示装置の表示方法を変更させる請求項3、請求項4、請求項6~請求項8のいずれか一項に記載のデータ管理装置。
【請求項10】
前記出力部は、前記部品の個体差または前記装着処理に使用される機器の個体差に起因する前記データの相違と、個体差以外の要因に起因する前記データの相違とに応じて、前記表示装置の表示方法を変更させる請求項3、請求項4、請求項6~請求項9のいずれか一項に記載のデータ管理装置。
【請求項11】
前記派生データ群の前記相違データを用いて、当該派生データ群が関連付けられている前記特定基準データ群の対応する少なくとも一つの前記データを更新する更新処理の可否を判断する更新部を備える請求項1~請求項10のいずれか一項に記載のデータ管理装置。
【請求項12】
前記更新部は、前記部品の個体差または前記装着処理に使用される機器の個体差に起因する前記データの相違について、前記データの更新を禁止する請求項11に記載のデータ管理装置。
【請求項13】
基板に部品を装着する装着処理に使用されるデータの集合をデータ群とし、複数の前記データ群のうちの一つを基準データ群とし、前記基準データ群に関連付けて管理されている前記データ群を関連データ群とし、前記関連データ群のうち前記基準データ群の前記データに対応する対応データが前記基準データ群の前記データと相違する相違データが含まれるものを派生データ群とするときに、
複数種類の前記基準データ群の各々について前記派生データ群が関連付けられているか否かを判断する判断工程と、
前記判断工程による判断結果に基づいて、前記派生データ群が関連付けられている前記基準データ群である特定基準データ群を識別する識別情報を、前記派生データ群が関連付けられていない前記基準データ群である通常基準データ群を識別する識別情報に対して識別可能に出力させる出力工程と、
を備えるデータ管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、データ管理装置およびデータ管理方法に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のデータ管理装置には、表面実装設備で使用される作業データを含む基準作業ファイルが保存されている。また、データ管理装置は、受信部と、データ修正部とを備えている。受信部は、表面実装設備から基準作業ファイルに対する修正ファイルを受信する。データ修正部は、受信された修正ファイルに対応するように基準作業ファイルを構成する少なくとも一つの作業データのうち該当する作業データを修正すると共に、修正ファイルを伝送した送信元が表示されるように基準作業ファイルを修正する。さらに、データ修正部は、修正ファイルを伝送した装置または修正ファイルの送信元別に互いに異なる色相または形態に修正ファイルに対応する作業データを修正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板に部品を装着する装着処理に使用されるデータは、所定のデータ群ごとに複製されて複数の部品装着機で使用される。部品装着機で使用されるデータ群は、例えば、装着処理の改善などを目的として、データ群に含まれるデータが変更される可能性がある。その結果、同一種類のデータ群であっても、データ群に含まれるデータが相違する場合が生じる。作業者がデータの変更の有無を確認する場合、データ群の種類が多くなるほど、変更されたデータを含むデータ群を発見することが困難であり、変更されたデータの確認作業が煩雑になる。
【0005】
このような事情に鑑みて、本明細書は、装着処理に使用されるデータの集合であるデータ群に含まれる少なくとも一つのデータが変更されているデータ群が関連付けられているデータ群を識別可能にするデータ管理装置およびデータ管理方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、判断部と、出力部とを備えるデータ管理装置を開示する。ここで、基板に部品を装着する装着処理に使用されるデータの集合をデータ群とする。複数の前記データ群のうちの一つを基準データ群とし、前記基準データ群に関連付けて管理されている前記データ群を関連データ群とする。前記関連データ群のうち前記基準データ群の前記データに対応する対応データが前記基準データ群の前記データと相違する相違データが含まれるものを派生データ群とする。このとき、前記判断部は、複数種類の前記基準データ群の各々について前記派生データ群が関連付けられているか否かを判断する。前記出力部は、前記判断部による判断結果に基づいて、前記派生データ群が関連付けられている前記基準データ群である特定基準データ群を識別する識別情報を、前記派生データ群が関連付けられていない前記基準データ群である通常基準データ群を識別する識別情報に対して識別可能に出力させる。
【0007】
また、本明細書は、判断工程と、出力工程とを備えるデータ管理方法を開示する。ここで、基板に部品を装着する装着処理に使用されるデータの集合をデータ群とする。複数の前記データ群のうちの一つを基準データ群とし、前記基準データ群に関連付けて管理されている前記データ群を関連データ群とする。前記関連データ群のうち前記基準データ群の前記データに対応する対応データが前記基準データ群の前記データと相違する相違データが含まれるものを派生データ群とする。このとき、前記判断工程は、複数種類の前記基準データ群の各々について前記派生データ群が関連付けられているか否かを判断する。前記出力工程は、前記判断工程による判断結果に基づいて、前記派生データ群が関連付けられている前記基準データ群である特定基準データ群を識別する識別情報を、前記派生データ群が関連付けられていない前記基準データ群である通常基準データ群を識別する識別情報に対して識別可能に出力させる。
【発明の効果】
【0008】
上記のデータ管理装置によれば、判断部および出力部を備える。これにより、データ管理装置は、データ群に含まれる少なくとも一つのデータが変更されている派生データ群が関連付けられている特定基準データ群を識別可能にすることができる。データ管理装置について上述されていることは、データ管理方法についても同様に言える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】対基板作業ラインの構成例を示す構成図である。
【
図3】データ管理装置の制御ブロックの一例を示すブロック図である。
【
図4】データ管理装置による制御手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】データ、データ群、基準データ群、関連データ群、派生データ群、特定基準データ群および通常基準データ群の関係の一例を示す模式図である。
【
図6】データ群が装着関連データのときの基板イメージによる表示例を示す模式図である。
【
図7】データ群が装着関連データのときの部品収容イメージによる表示例を示す模式図である。
【
図8】データ群が装着関連データのときのリスト表示による表示例を示す模式図である。
【
図9】データ群が部品関連データのときの基板イメージによる表示例を示す模式図である。
【
図10】データ群が部品関連データのときの部品収容イメージによる表示例を示す模式図である。
【
図11】データ群が部品関連データのときのリスト表示による表示例を示す模式図である。
【
図12】特定基準データ群と派生データ群の対応データの表示例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.実施形態
1-1.対基板作業ラインWL0の構成例
対基板作業ラインWL0では、基板90に所定の対基板作業を行う。対基板作業ラインWL0を構成する対基板作業機WM0の種類および数は、限定されない。
図1に示すように、本実施形態の対基板作業ラインWL0は、印刷機WM1、印刷検査機WM2、部品装着機WM3、リフロー炉WM4および外観検査機WM5の複数(5つ)の対基板作業機WM0を備えており、基板90は、基板搬送装置によって、この順に搬送される。
【0011】
印刷機WM1は、基板90の複数の部品91の装着位置に、はんだを印刷する。印刷検査機WM2は、印刷機WM1によって印刷されたはんだの印刷状態を検査する。
図2に示すように、部品装着機WM3は、印刷機WM1によってはんだが印刷された基板90に複数の部品91を装着する。部品装着機WM3は、一つであっても良く、複数であっても良い。部品装着機WM3が複数設けられる場合は、複数の部品装着機WM3が分担して、複数の部品91を装着することができる。
【0012】
リフロー炉WM4は、部品装着機WM3によって複数の部品91が装着された基板90を加熱し、はんだを溶融させて、はんだ付けを行う。外観検査機WM5は、部品装着機WM3によって装着された複数の部品91の装着状態などを検査する。このように、対基板作業ラインWL0は、複数(5つ)の対基板作業機WM0を用いて、基板90を順に搬送し、検査処理を含む生産処理を実行して基板製品900を生産することができる。なお、対基板作業ラインWL0は、例えば、機能検査機、バッファ装置、基板供給装置、基板反転装置、シールド装着装置、接着剤塗布装置、紫外線照射装置などの対基板作業機WM0を必要に応じて備えることもできる。
【0013】
対基板作業ラインWL0を構成する複数(5つ)の対基板作業機WM0およびライン管理装置LC0は、通信部によって通信可能に接続されている。また、ライン管理装置LC0および管理装置HC0は、通信部によって通信可能に接続されている。通信部は、有線または無線によって、これらを通信可能に接続することができ、通信方法は、種々の方法をとり得る。
【0014】
本実施形態では、複数(5つ)の対基板作業機WM0、ライン管理装置LC0および管理装置HC0によって、構内情報通信網(LAN:Local Area Network)が構成されている。よって、複数(5つ)の対基板作業機WM0は、通信部を介して、互いに通信することができる。また、複数(5つ)の対基板作業機WM0は、通信部を介して、ライン管理装置LC0と通信することができる。さらに、ライン管理装置LC0および管理装置HC0は、通信部を介して、互いに通信することができる。
【0015】
ライン管理装置LC0は、対基板作業ラインWL0を構成する複数(5つ)の対基板作業機WM0の制御を行い、対基板作業ラインWL0の動作状況を監視する。ライン管理装置LC0には、複数(5つ)の対基板作業機WM0を制御する種々の制御データが記憶されている。ライン管理装置LC0は、複数(5つ)の対基板作業機WM0の各々に制御データを送信する。また、複数(5つ)の対基板作業機WM0の各々は、ライン管理装置LC0に動作状況および生産状況を送信する。
【0016】
管理装置HC0は、少なくとも一つのライン管理装置LC0を管理する。例えば、ライン管理装置LC0によって取得された対基板作業機WM0の動作状況および生産状況は、必要に応じて、管理装置HC0に送信される。管理装置HC0には、データサーバDS0が設けられている。データサーバDS0は、対基板作業機WM0が取得した種々の取得データを保存することができる。例えば、対基板作業機WM0によって撮像された種々の画像データは、取得データに含まれる。対基板作業機WM0によって取得された稼働状況の記録(ログデータ)などは、取得データに含まれる。
【0017】
また、データサーバDS0は、基板製品900の生産に関する種々の生産情報を保存することができる。例えば、後記されている装着関連情報および部品関連情報は、生産情報に含まれる。また、印刷検査機WM2、外観検査機WM5などの検査機が対象物を検査する際に使用する検査基準情報は、生産情報に含まれる。さらに、検査機による検査結果は、生産情報に含まれる。また、基板製品900の品質情報(トレーサビリティ情報)は、生産情報に含まれる。
【0018】
1-2.部品装着機WM3の構成例
部品装着機WM3は、基板90に複数の部品91を装着する。
図2に示すように、部品装着機WM3は、基板搬送装置11、部品供給装置12、部品移載装置13、部品カメラ14、基板カメラ15および制御装置16を備えている。
【0019】
基板搬送装置11は、例えば、ベルトコンベアなどによって構成され、基板90を搬送方向(X軸方向)に搬送する。基板90は、回路基板であり、電子回路、電気回路、磁気回路などが形成される。基板搬送装置11は、部品装着機WM3の機内に基板90を搬入し、機内の所定位置に基板90を位置決めする。基板搬送装置11は、部品装着機WM3による複数の部品91の装着処理が終了した後に、基板90を部品装着機WM3の機外に搬出する。
【0020】
部品供給装置12は、基板90に装着される複数の部品91を供給する。部品供給装置12は、基板90の搬送方向(X軸方向)に沿って設けられる複数のフィーダ121を備えている。複数のフィーダ121の各々は、複数の部品91が収納されているキャリアテープをピッチ送りさせて、フィーダ121の先端側に位置する供給位置において部品91を採取可能に供給する。また、部品供給装置12は、チップ部品などと比べて比較的大型の電子部品(例えば、リード部品など)を、トレイ上に配置した状態で供給することもできる。
【0021】
部品移載装置13は、ヘッド駆動装置131および移動台132を備えている。ヘッド駆動装置131は、直動機構によって移動台132を、X軸方向およびY軸方向に移動可能に構成されている。移動台132には、クランプ部材によって装着ヘッド20が着脱可能(交換可能)に設けられている。装着ヘッド20は、少なくとも一つの保持部材30を用いて、部品供給装置12によって供給される部品91を採取し保持して、基板搬送装置11によって位置決めされた基板90に部品91を装着する。保持部材30は、例えば、吸着ノズル、チャックなどを用いることができる。
【0022】
部品カメラ14および基板カメラ15は、公知の撮像装置を用いることができる。部品カメラ14は、光軸が鉛直方向(Z軸方向)の上向きになるように、部品装着機WM3の基台に固定されている。部品カメラ14は、保持部材30に保持されている部品91を下方から撮像することができる。基板カメラ15は、光軸が鉛直方向(Z軸方向)の下向きになるように、部品移載装置13の移動台132に設けられている。基板カメラ15は、基板90を上方から撮像することができる。部品カメラ14および基板カメラ15は、制御装置16から送出される制御信号に基づいて撮像を行う。部品カメラ14および基板カメラ15によって撮像された撮像画像の画像データは、制御装置16に送信される。
【0023】
制御装置16は、公知の演算装置および記憶装置を備えており、制御回路が構成されている。制御装置16には、部品装着機WM3に設けられる各種センサから出力される情報、画像データなどが入力される。制御装置16は、制御プログラムおよび予め設定されている所定の装着条件などに基づいて、各装置に対して制御信号を送出する。
【0024】
例えば、制御装置16は、基板搬送装置11によって位置決めされた基板90を基板カメラ15に撮像させる。制御装置16は、基板カメラ15によって撮像された撮像画像を画像処理して、基板90の位置決め状態を認識する。また、制御装置16は、部品供給装置12によって供給された部品91を保持部材30に採取させ保持させて、保持部材30に保持されている部品91を部品カメラ14に撮像させる。制御装置16は、部品カメラ14によって撮像された撮像画像を画像処理して、部品91の保持姿勢を認識する。
【0025】
制御装置16は、制御プログラムなどによって予め設定される装着予定位置の上方に向かって、保持部材30を移動させる。また、制御装置16は、基板90の位置決め状態、部品91の保持姿勢などに基づいて、装着予定位置を補正して、実際に部品91を装着する装着位置を設定する。装着予定位置および装着位置は、位置(X軸座標およびY軸座標)の他に回転角度を含む。
【0026】
制御装置16は、装着位置に合わせて、保持部材30の目標位置(X軸座標およびY軸座標)および回転角度を補正する。制御装置16は、補正された目標位置において補正された回転角度で保持部材30を下降させて、基板90に部品91を装着する。制御装置16は、上記のピックアンドプレースサイクルを繰り返すことによって、基板90に複数の部品91を装着する装着処理を実行する。
【0027】
1-3.データ管理装置70の構成例
基板90に部品91を装着する装着処理に使用されるデータ50は、所定のデータ群60ごとに複製されて複数の部品装着機WM3で使用される。部品装着機WM3で使用されるデータ群60は、例えば、装着処理の改善などを目的として、データ群60に含まれるデータ50が変更される可能性がある。その結果、同一種類のデータ群60であっても、データ群60に含まれるデータ50が相違する場合が生じる。作業者がデータ50の変更の有無を確認する場合、データ群60の種類が多くなるほど、変更されたデータ50を含むデータ群60を発見することが困難であり、変更されたデータ50の確認作業が煩雑になる。そこで、本実施形態の対基板作業ラインWL0には、データ管理装置70が設けられている。
【0028】
データ管理装置70は、種々の演算装置に設けることができる。例えば、データ管理装置70は、制御プログラムを作成する演算装置(プログラミング装置)、ライン管理装置LC0、管理装置HC0、部品装着機WM3の制御装置16などに設けることができる。データ管理装置70は、クラウド上に形成することもできる。
図3に示すように、本実施形態のデータ管理装置70は、管理装置HC0に設けられている。
【0029】
また、データ群60は、一の装置の記憶装置において保存することもでき、複数の装置の記憶装置に分散して保存することもできる。例えば、
図3に示すように、データ群60は、管理装置HC0の記憶装置(例えば、データサーバDS0)において保存することができる。また、同一種類のデータ群60について、少なくとも一つのデータ群60が管理装置HC0の記憶装置(例えば、データサーバDS0)に保存され、他のデータ群60がプログラミング装置、ライン管理装置LC0、部品装着機WM3の制御装置16などにおいて、それぞれ保存されても良い。
【0030】
1-3-1.判断部71および出力部72
データ管理装置70は、制御ブロックとして捉えると、判断部71と、出力部72とを備えている。データ管理装置70は、更新部73を備えることもできる。
図3に示すように、本実施形態のデータ管理装置70は、判断部71と、出力部72と、更新部73とを備えている。また、データ管理装置70は、
図4に示すフローチャートに従って、制御を実行する。判断部71は、ステップS11に示す処理を行う。出力部72は、ステップS12に示す処理を行う。更新部73は、ステップS13に示す処理を行う。
【0031】
ここで、基板90に部品91を装着する装着処理に使用されるデータ50の集合をデータ群60とする。複数のデータ群60のうちの一つを基準データ群61とし、基準データ群61に関連付けて管理されているデータ群60を関連データ群62とする。関連データ群62のうち基準データ群61のデータ50に対応する対応データが基準データ群61のデータ50と相違する相違データ51が含まれるものを派生データ群63とする。
【0032】
図5は、データ50、データ群60、基準データ群61、関連データ群62、派生データ群63、特定基準データ群61aおよび通常基準データ群61bの関係の一例を示している。同図の上段に示す一の種類の基準データ群61は、データ50a、データ50bおよびデータ50cの三つのデータ50を備えている。当該基準データ群61に関連付けて管理されている関連データ群62の一つは、データ50a、データ50bおよびデータ50cの三つのデータ50を備えている。当該基準データ群61に関連付けて管理されている関連データ群62の他の一つは、データ50a、データ50b1およびデータ50cの三つのデータ50を備えている。
【0033】
関連データ群62の一つは、内包するすべての対応データが基準データ群61のデータ50と一致しており、派生データ群63ではない。これに対して、関連データ群62の他の一つは、基準データ群61のデータ50bに対応する対応データであるデータ50b1が、基準データ群61のデータ50bと相違している。つまり、データ50b1は、相違データ51である。また、当該関連データ群62は、派生データ群63である。本明細書では、このように、派生データ群63が関連付けられている基準データ群61を特定基準データ群61aとする。
【0034】
同図の中段に示す一の種類の基準データ群61は、データ50a、データ50dおよびデータ50eの三つのデータ50を備えている。当該基準データ群61に関連付けて管理されている二つの関連データ群62の各々は、データ50a、データ50dおよびデータ50eの三つのデータ50を備えている。二つの関連データ群62の各々は、内包するすべての対応データが基準データ群61のデータ50と一致しており、派生データ群63ではない。本明細書では、このように、派生データ群63が関連付けられていない基準データ群61を通常基準データ群61bとする。
【0035】
同図の中段に示す一の種類の基準データ群61について上述されていることは、同図の下段に示す一の種類の基準データ群61についても同様に言える。当該データ群60は、データ50f、データ50gおよびデータ50hの三つのデータ50を備えている。なお、データ群60の関連付けは、例えば、データ群60の名称、データ群60を識別する識別情報などによって行われる。また、複数種類の基準データ群61において、基準データ群61に関連付けて管理されている関連データ群62および派生データ群63の数が異なっていても良い。さらに、複数種類の基準データ群61において、データ群60が内包するデータ50の数が異なっていても良い。
【0036】
判断部71は、複数種類の基準データ群61の各々について派生データ群63が関連付けられているか否かを判断する(
図4に示すステップS11)。
図5に示す例では、判断部71は、同図の上段に示す一の種類の基準データ群61について、派生データ群63が関連付けられていると判断する。また、判断部71は、同図の中段に示す一の種類の基準データ群61について、派生データ群63が関連付けられていないと判断する。さらに、判断部71は、同図の下段に示す一の種類の基準データ群61について、派生データ群63が関連付けられていないと判断する。
【0037】
出力部72は、判断部71による判断結果に基づいて、特定基準データ群61aを識別する識別情報を、通常基準データ群61bを識別する識別情報に対して識別可能に出力させる(
図4に示すステップS12)。出力部72は、特定基準データ群61aを識別する識別情報を、通常基準データ群61bを識別する識別情報に対して識別可能に出力することができれば良く、種々の形態をとり得る。
【0038】
例えば、出力部72は、基板イメージ、部品収容イメージ、リスト表示などを表示装置80に表示させることができる。基板イメージは、基板90に複数の部品91が装着されている状態を模式的に示す。部品収容イメージは、部品供給装置12に複数の部品収容部が装備されている状態を模式的に示す。リスト表示は、複数種類の基準データ群61の識別情報が列挙される。
【0039】
表示装置80は、上記の情報を表示することができれば良く、公知の表示装置を用いることができる。表示装置80は、プログラミング装置、管理装置HC0、ライン管理装置LC0、部品装着機WM3などに設けることができる。また、本実施形態の表示装置80は、タッチパネルにより構成されており、作業者による種々の操作を受け付ける入力装置としても機能する。
【0040】
1-3-2.データ群60が装着関連データの場合の出力例
例えば、データ群60が装着関連データの場合を想定する。装着関連データは、装着処理に使用される部品91の採取位置、部品91の装着位置、部品91の装着順序、装着処理に使用される機器および機器の使用条件のうちの少なくとも一つに関する情報である装着関連情報が記憶されているデータ50を含む。部品91の採取位置に関する情報には、部品供給装置12において部品収容部(例えば、フィーダ121、トレイなど)が装備されている位置に関する情報が含まれる。
【0041】
部品91の装着位置に関する情報には、基板90に装着される部品91の座標(X座標およびY座標)および回転角度に関する情報が含まれる。部品91の装着順序に関する情報には、基板90に装着される複数の部品91の装着順序に関する情報が含まれる。装着処理に使用される機器には、対基板作業ラインWL0、部品装着機WM3、装着ヘッド20、保持部材30、部品カメラ14、基板カメラ15などが含まれる。装着処理に使用される機器に関する情報には、機器を識別する識別情報などに関する情報が含まれる。機器の使用条件に関する情報には、例えば、装着ヘッド20および保持部材30の移動速度、種類、部品カメラ14および基板カメラ15の撮像条件などに関する情報が含まれる。
【0042】
出力部72は、基板90に複数の部品91が装着されている状態を模式的に示す特定基準データ群61aの基板イメージを、基板90に複数の部品91が装着されている状態を模式的に示す通常基準データ群61bの基板イメージに対して識別可能に表示装置80に表示させることができる。
【0043】
図6は、データ群60が装着関連データのときの基板イメージによる表示例を示している。同図では、
図5に示す特定基準データ群61aを識別する識別情報が、特定基準データ群61aの装着関連データを用いて生産される基板製品900の基板イメージによって示されている。また、
図5に示す通常基準データ群61bを識別する識別情報が、通常基準データ群61bの装着関連データを用いて生産される基板製品900の基板イメージによって示されている。
【0044】
図6では、特定基準データ群61aの基板イメージが実線で示されており、通常基準データ群61bの基板イメージが破線で示されている。出力部72は、複数種類の基板イメージを識別可能に表示装置80に表示させることができれば良く、表示方法は限定されない。例えば、出力部72は、表示色の相違、マーカーの有無およびアイコンの相違のうちの少なくとも一つによって、表示装置80の表示方法を変更させることができる。
【0045】
出力部72は、例えば、通常基準データ群61bの基板イメージの表示色と比べて作業者が着目し易い表示色(例えば、黄色、赤色など)によって、特定基準データ群61aの基板イメージを表示させることができる。また、マーカーおよびアイコンについても同様であり、作業者が着目し易い表示色、形態、表示画面内の移動、点滅表示など種々の形態をとり得る。
図6では、矢印MK0が特定基準データ群61aの基板イメージに対して表示されている。また、表示装置80に表示される基板イメージは、アイコンに相当する。
【0046】
なお、
図6では、特定基準データ群61aを識別する文字情報JB1がさらに表示されている。通常基準データ群61bを識別する文字情報JB2および文字情報JB3がさらに表示されている。文字情報JB1は、文字情報JB2および文字情報JB3と比べて大きく表示されている。出力部72は、文字情報JB1についても、マーカーおよびアイコンと同様の方法によって表示させることができる。基板イメージに関する表示方法について上述されていることは、以下に示す部品収容イメージ、リスト表示についても同様に言える。
【0047】
出力部72は、部品供給装置12に複数の部品収容部が装備されている状態を模式的に示す特定基準データ群61aの部品収容イメージを、部品供給装置12に複数の部品収容部が装備されている状態を模式的に示す通常基準データ群61bの部品収容イメージに対して識別可能に表示装置80に表示させることもできる。
【0048】
図7は、データ群60が装着関連データのときの部品収容イメージによる表示例を示している。同図では、
図5に示す特定基準データ群61aを識別する識別情報が、特定基準データ群61aの装着関連データを用いて基板製品900が生産されるときの部品収容イメージによって示されている。また、
図5に示す通常基準データ群61bを識別する識別情報が、通常基準データ群61bの装着関連データを用いて基板製品900が生産されるときの部品収容イメージによって示されている。
【0049】
図7の部品収容イメージは、収容する部品91の種類が異なる五種類のフィーダ121(説明の便宜上、フィーダF1~フィーダF5で表記されている。)の配置によって示されている。また、特定基準データ群61aの部品収容イメージが実線で示されており、通常基準データ群61bの部品収容イメージが破線で示されている。出力部72は、複数種類の部品収容イメージを識別可能に表示装置80に表示させることができれば良く、表示方法は限定されない。
【0050】
同図に示す特定基準データ群61aの部品収容イメージは、フィーダF1、フィーダF2、フィーダF3、フィーダF4、フィーダF5の順序でフィーダ121が部品供給装置12に装備されることを示している。一の通常基準データ群61bの部品収容イメージは、フィーダF2、フィーダF3、フィーダF5、フィーダF1、フィーダF4の順序でフィーダ121が部品供給装置12に装備されることを示している。他の一の通常基準データ群61bの部品収容イメージは、フィーダF5、フィーダF2、フィーダF1、フィーダF4、フィーダF3の順序でフィーダ121が部品供給装置12に装備されることを示している。なお、表示装置80に表示される部品収容イメージは、アイコンに相当する。
【0051】
出力部72は、複数種類の基準データ群61の識別情報が列挙されているリスト表示において、特定基準データ群61aの識別情報を、通常基準データ群61bの識別情報に対して識別可能に表示装置80に表示させることもできる。出力部72は、特定基準データ群61aの識別情報を、通常基準データ群61bの識別情報に対して識別可能に表示装置80に表示させることができれば良く、表示方法は限定されない。
【0052】
図8は、データ群60が装着関連データのときのリスト表示による表示例を示している。同図では、
図5に示す特定基準データ群61aを識別する識別情報と、通常基準データ群61bを識別する識別情報とが、既述した基板イメージ(アイコン)によって示されており、基板イメージがリスト表示されている。なお、
図8では、特定基準データ群61aおよび通常基準データ群61bの基板イメージは、いずれも実線で示されている。また、特定基準データ群61aの基板イメージには、図形FP0が付されている。図形FP0は、既述したマーカーに相当する。同図の図形FP0は、視覚的に注意喚起を促す感嘆符が用いられている。
【0053】
1-3-3.データ群60が部品関連データの場合の出力例
次に、データ群60が部品関連データの場合を想定する。部品関連データは、部品91の形状に関する情報を少なくとも含む形状関連情報、部品91の供給方法に関するパッケージ情報および部品91の装着状態を検査する際に使用される検査基準情報のうちの少なくとも一つに関する情報である部品関連情報が記憶されているデータ50を含む。
【0054】
部品91の形状に関する情報には、部品91のサイズに関する情報が含まれる。また、部品91がリード部品の場合、部品91の形状に関する情報には、リードの本数、位置(座標)、向き、長さ寸法、幅寸法、ピッチなどに関する情報が含まれる。さらに、部品91がBGA(Ball Grid Array)部品の場合、部品91の形状に関する情報には、バンプの数、位置(座標)、直径、ピッチなどに関する情報が含まれる。また、部品91に方向チェックマークが設けられている場合、部品91の形状に関する情報には、方向チェックマークの位置、輝度などに関する情報が含まれる。
【0055】
なお、形状関連情報は、部品91を撮像した画像データの画像処理に関する情報を含むこともできる。例えば、画像処理に関する情報には、部品カメラ14などによって撮像された部品91の画像データを画像処理する際のアルゴリズムに関する情報などが含まれる。また、形状関連情報は、部品91の取り扱いに関する情報(ハンドリング情報)を含むこともできる。例えば、ハンドリング情報には、部品91を保持する際に使用される保持部材30に関する情報(例えば、吸着ノズルのノズル径)などが含まれる。さらに、形状関連情報は、部品91を撮像する際の撮像条件に関する情報、部品91の電気的特性に関する情報などを含むこともできる。
【0056】
パッケージ情報は、例えば、リール供給、トレイ供給、スティック供給などの部品91の供給方法に関する情報が含まれる。また、部品装着機WM3は、基板90に装着されている部品91を撮像して画像データを取得し、取得された画像データを画像処理して、部品91の装着状態を認識することができる。部品装着機WM3は、認識された部品91の装着位置、回転角度などが許容範囲に含まれるか否かを検査する。検査基準情報には、上記の検査を行う際の検査閾値(許容装着範囲、許容回転角度など)に関する情報が含まれる。
【0057】
出力部72は、基板90に複数の部品91が装着されている状態を模式的に示す基板イメージにおいて、特定基準データ群61aの部品91を、通常基準データ群61bの部品91に対して識別可能に表示装置80に表示させることができる。
【0058】
図9は、データ群60が部品関連データのときの基板イメージによる表示例を示している。同図では、特定基準データ群61aを識別する識別情報が、特定基準データ群61aの対象部品によって示されている。また、通常基準データ群61bを識別する識別情報が、通常基準データ群61bの対象部品によって示されている。また、同図では、特定基準データ群61aの対象部品が実線で示されており、通常基準データ群61bの対象部品が破線で示されている。
【0059】
図9に示すように、データ群60が部品関連データの場合の説明では、説明の便宜上、五種類のデータ群60(二種類の特定基準データ群61aおよび三種類の通常基準データ群61b)を想定する。出力部72は、複数種類の部品関連データの対象部品を識別可能に表示装置80に表示させることができれば良く、表示方法は限定されない。データ群60が装着関連データの場合と同様に、出力部72は、表示色の相違、マーカーの有無およびアイコンの相違のうちの少なくとも一つによって、表示装置80の表示方法を変更させることができる。
【0060】
出力部72は、例えば、通常基準データ群61bの対象部品の表示色と比べて作業者が着目し易い表示色(例えば、黄色、赤色など)によって、特定基準データ群61aの対象部品を表示させることができる。また、マーカーおよびアイコンについても同様であり、作業者が着目し易い表示色、形態、表示画面内の移動、点滅表示など種々の形態をとり得る。
図9では、矢印MK0が特定基準データ群61aの対象部品に対して表示されている。また、表示装置80に表示される部品関連データの対象部品は、アイコンに相当する。
【0061】
なお、
図9では、特定基準データ群61aを識別する文字情報PD1および文字情報PD4がさらに表示されている。通常基準データ群61bを識別する文字情報PD2、文字情報PD3および文字情報PD5がさらに表示されている。文字情報PD1および文字情報PD4は、文字情報PD2、文字情報PD3および文字情報PD5と比べて大きく表示されている。出力部72は、文字情報PD1および文字情報PD4についても、マーカーおよびアイコンと同様の方法によって表示させることができる。基板イメージに関する表示方法について上述されていることは、以下に示す部品収容イメージ、リスト表示についても同様に言える。
【0062】
出力部72は、部品供給装置12に複数の部品収容部が装備されている状態を模式的に示す部品収容イメージにおいて、特定基準データ群61aの部品91を収容する部品収容部を、通常基準データ群61bの部品91を収容する部品収容部に対して識別可能に表示装置80に表示させることもできる。
【0063】
図10は、データ群60が部品関連データのときの部品収容イメージによる表示例を示している。同図では、特定基準データ群61aを識別する識別情報が、特定基準データ群61aの対象部品を収容する部品収容部によって示されている。また、通常基準データ群61bを識別する識別情報が、通常基準データ群61bの対象部品を収容する部品収容部によって示されている。
【0064】
図10の部品収容イメージは、収容する対象部品の種類が異なる五種類のフィーダ121(説明の便宜上、フィーダF1~フィーダF5で表記されている。)の配置によって示されている。また、特定基準データ群61aの対象部品を収容する部品収容部(フィーダF1およびフィーダF4)が実線で示されており、通常基準データ群61bの対象部品を収容する部品収容部(フィーダF2、フィーダF3およびフィーダF5)が破線で示されている。出力部72は、複数種類の部品関連データの対象部品を収容する部品収容部を識別可能に表示装置80に表示させることができれば良く、表示方法は限定されない。なお、表示装置80に表示される部品関連データの対象部品を収容する部品収容部は、アイコンに相当する。
【0065】
データ群60が部品関連データの場合においても、出力部72は、複数種類の基準データ群61の識別情報が列挙されているリスト表示において、特定基準データ群61aの識別情報を、通常基準データ群61bの識別情報に対して識別可能に表示装置80に表示させることができる。出力部72は、特定基準データ群61aの識別情報を、通常基準データ群61bの識別情報に対して識別可能に表示装置80に表示させることができれば良く、表示方法は限定されない。
【0066】
図11は、データ群60が部品関連データのときのリスト表示による表示例を示している。同図では、特定基準データ群61aを識別する識別情報と、通常基準データ群61bを識別する識別情報とが、既述した部品関連データの対象部品(アイコン)によって示されており、部品関連データの対象部品がリスト表示されている。なお、
図11では、特定基準データ群61aおよび通常基準データ群61bの対象部品は、いずれも実線で示されている。また、特定基準データ群61aの対象部品には、図形FP0が付されている。図形FP0は、既述したマーカーに相当する。同図の図形FP0は、視覚的に注意喚起を促す感嘆符が用いられている。
【0067】
1-3-4.その他の出力例
装着関連データは、部品関連データを含むこともできる。この場合、出力部72は、部品関連データが相違データ51のときに、基板90に複数の部品91が装着されている状態を模式的に示す基板イメージにおいて、相違データ51の部品91(部品関連データの対象部品)を識別可能に表示装置80に表示させることもできる。具体的には、出力部72は、特定基準データ群61aの相違データ51の部品91(対象部品)を、通常基準データ群61bの相違データ51の部品91(対象部品)に対して識別可能に表示装置80に表示させる。
【0068】
また、出力部72は、部品関連データが相違データ51のときに、部品供給装置12に複数の部品収容部が装備されている状態を模式的に示す部品収容イメージにおいて、相違データ51の部品91(部品関連データの対象部品)を収容する部品収容部を識別可能に表示装置80に表示させることもできる。具体的には、出力部72は、特定基準データ群61aの相違データ51の部品91(対象部品)を収容する部品収容部を、通常基準データ群61bの相違データ51の部品91(対象部品)を収容する部品収容部に対して識別可能に表示装置80に表示させる。
【0069】
例えば、部品91のサイズなどの部品91の形状に関する情報が記憶されているデータ50の相違は、部品91の個体差に起因するデータ50の相違に含まれる。部品91の個体差は、例えば、部品91の製造ロットの相違、部品91の製造メーカの相違などによって生じる。部品91の個体差に起因するデータ50の相違は、例えば、基板製品900の試行生産、初品確認、本生産、リピート生産、シミュレーションなどにおいて、供給される部品91に合わせてデータ50が変更された結果、生じる。変更されたデータ50は、当該部品91が装着される基板製品900の生産において用いられる。
【0070】
また、対基板作業ラインWL0、部品装着機WM3などの機器に関する情報が記憶されているデータ50の相違は、装着処理に使用される機器の個体差に起因するデータ50の相違に含まれる。機器の個体差に起因するデータ50の相違は、例えば、基板製品900の試行生産、初品確認、本生産、リピート生産、シミュレーションなどにおいて、生産設備に合わせてデータ50が変更された結果、生じる。変更されたデータ50は、当該生産設備を使用する基板製品900の生産において用いられる。このような特定の部品91または特定の生産設備について最適化されたデータ50を用いて、他のデータ群60のデータ50(特に、マスターデータ)を変更することは好ましくない。
【0071】
そこで、既述したいずれの形態においても、出力部72は、部品91の個体差または装着処理に使用される機器の個体差に起因するデータ50の相違と、個体差以外の要因に起因するデータ50の相違とに応じて、表示装置80の表示方法を変更させることができる。これにより、作業者は、上記の個体差に起因するデータ50の相違と、個体差以外の要因に起因するデータ50の相違とを容易に識別することができる。なお、出力部72は、例えば、表示色の相違、マーカーの有無およびアイコンの相違のうちの少なくとも一つによって、表示装置80の表示方法を変更させることができる。
【0072】
1-3-5.更新部73の構成例
例えば、部品91を撮像した画像データの画像処理に関する情報、部品91の取り扱いに関する情報、部品91を撮像する際の撮像条件に関する情報、機器の使用条件に関する情報などは、装着処理の改善に有益な情報である。よって、これらの情報が記憶されているデータ50を用いて、他のデータ群60のデータ50(特に、マスターデータ)を変更することが、装着処理の改善上、好ましい場合がある。
【0073】
そこで、本実施形態のデータ管理装置70は、更新部73を備えている。更新部73は、派生データ群63の相違データ51を用いて、当該派生データ群63が関連付けられている特定基準データ群61aの対応する少なくとも一つのデータ50を更新する更新処理の可否を判断する(
図4に示すステップS13)。
【0074】
既述したように、表示装置80は、タッチパネルにより構成されており、作業者による種々の操作を受け付ける入力装置としても機能する。例えば、
図6に示す表示画面において、作業者が特定基準データ群61aの基板イメージまたは特定基準データ群61aを識別する文字情報JB1に触れると、
図12に示す画面が表示される。
【0075】
図12は、特定基準データ群61aと派生データ群63の対応データの表示例を示している。同図に示す表示例では、特定基準データ群61aおよび派生データ群63に含まれるデータ50の種類と、データ50の設定値と、更新処理を行う相違データ51を選択可能な選択ボックスとが表示されている。同図に示す表示例では、相違データ51は、データ50b1である。なお、
図7~
図11のいずれの表示画面においても、同様にして、特定基準データ群61aと派生データ群63の対応データが表示される。
【0076】
本実施形態では、作業者が同図に示す選択ボックスを選択することにより、更新処理を行う相違データ51を選択することができる。更新部73は、作業者によって相違データ51が選択され、更新ボタンが選択されたときに、作業者によって選択された相違データ51の更新処理を許可する。更新部73は、相違データ51が一つも選択されないとき、または、作業者が戻るボタンを選択したときに、更新処理を不許可とする。
【0077】
また、更新部73は、更新処理の適否を判断する管理者の承認を受けたときに、作業者によって選択された相違データ51の更新処理を許可することもできる。逆に、更新部73は、管理者の承認を受けられなかったときに、作業者によって選択された相違データ51の更新処理を不許可とすることもできる。この場合、更新部73は、管理者の承認が受けられず、更新処理が行われない旨を表示することができる。
【0078】
さらに、既述したように、特定の部品91または特定の生産設備について最適化されたデータ50を用いて、他のデータ群60のデータ50(特に、マスターデータ)を変更することは好ましくない。そこで、更新部73は、部品91の個体差または装着処理に使用される機器の個体差に起因するデータ50の相違について、データ50の更新を禁止することもできる。
【0079】
例えば、
図12に示す特定基準データ群61aに含まれるデータ50bと、派生データ群63に含まれるデータ50b1との相違が、部品装着機WM3の個体差に起因するものであったとする。この場合、更新部73は、派生データ群63のデータ50b1を用いて、特定基準データ群61aのデータ50bを更新する更新処理を不許可とする。具体的には、更新部73は、作業者がデータ50b1の選択ボックスを選択できないように、選択不可の表示を行う。この場合、更新部73は、データ50bとデータ50b1との相違が、部品装着機WM3の個体差に起因するものである旨を表示することができる。
【0080】
2.データ管理方法
データ管理装置70について既述されていることは、データ管理方法についても同様に言える。具体的には、データ管理方法は、判断工程と、出力工程とを備える。判断工程は、判断部71が行う制御に相当する。出力工程は、出力部72が行う制御に相当する。また、データ管理方法は、更新工程を備えることができる。更新工程は、更新部73が行う制御に相当する。
【0081】
3.実施形態の効果の一例
データ管理装置70によれば、判断部71および出力部72を備える。これにより、データ管理装置70は、データ群60に含まれる少なくとも一つのデータ50が変更されている派生データ群63が関連付けられている特定基準データ群61aを識別可能にすることができる。データ管理装置70について上述されていることは、データ管理方法についても同様に言える。
【符号の説明】
【0082】
12:部品供給装置、50:データ、51:相違データ、60:データ群、
61:基準データ群、61a:特定基準データ群、
61b:通常基準データ群、62:関連データ群、63:派生データ群、
70:データ管理装置、71:判断部、72:出力部、73:更新部、
80:表示装置、90:基板、91:部品。