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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】回転式処理装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 7/00 20060101AFI20230413BHJP
   B02C 13/14 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
E02F7/00 D
B02C13/14 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022531671
(86)(22)【出願日】2021-06-04
(86)【国際出願番号】 JP2021021356
(87)【国際公開番号】W WO2021261217
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】P 2020109022
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231198
【氏名又は名称】日本国土開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】森本 秀敏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕
(72)【発明者】
【氏名】水谷 慎吾
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-096053(JP,A)
【文献】特開2012-120956(JP,A)
【文献】特開2007-130534(JP,A)
【文献】特開2012-196640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 7/00
B02C 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方に処理対象の投入部を備えるとともに、他方に前記処理対象の排出部を備えたドラムと、
回転軸部材に連結され、当該回転軸部材の回転軸回りに回転し、前記処理対象を前記ドラム内で処理する処理部材と、
前記ドラム内で前記他方から前記一方へ向かう気体流れを抑制する抑制部と、
を備え
前記抑制部は、前記処理部材よりも前記他方の側で前記回転軸部材に連結され、当該回転軸部材の回転によって前記他方へ向けた気体流れを生成する回転式処理装置。
【請求項2】
前記抑制部は、前記処理部材よりも前記他方の側に配置され、前記ドラム内の前記他方から前記一方へ向かう気体流れが衝突する板状部を有する請求項1に記載の回転式処理装置。
【請求項3】
前記板状部は、前記回転軸部材の周囲に広がるとともに、前記ドラムの内周壁から延びる支持部によって支持された請求項に記載の回転式処理装置。
【請求項4】
前記板状部は、前記処理部材よりも前記他方の側で前記回転軸部材に連結された請求項に記載の回転式処理装置。
【請求項5】
前記抑制部は、前記処理部材よりも前記他方の側で前記ドラムに接続された排気ダクトから前記ドラム内の空気を吸い出す排気ファンを有する請求項1に記載の回転式処理装置。
【請求項6】
前記回転軸部材は、前記ドラムが備える天板部を貫通した状態、かつ、前記天板部の近傍に設けられた軸受け部材を介して回転自在な状態で、前記ドラムに保持され、前記ドラムの内部に位置する前記回転軸部材の端部は自由端である請求項1からのいずれか1項に記載の回転式処理装置。
【請求項7】
前記回転軸部材の回転方向と、前記抑制部の回転方向とは異なっている請求項1、2及びのいずれか1項に記載の回転式処理装置。
【請求項8】
前記抑制部は、前記回転軸部材に連結され、前記処理部材とは反対方向に回転し、前記処理対象を前記ドラム内で処理する、請求項1に記載の回転式処理装置。
【請求項9】
前記回転軸部材は、前記抑制部が連結された第1回転軸部材と、前記第1回転軸部材の外側に設けられた略筒状の第2回転軸部材とを有し、
前記第1回転軸部材と前記第2回転軸部材を回転駆動させる駆動機構を備える請求項に記載の回転式処理装置。
【請求項10】
前記駆動機構は、
前記第1回転軸部材を回転駆動させる第1回転駆動装置と、
前記第2回転軸部材を回転駆動させる第2回転駆動装置と、を有する請求項に記載の回転式処理装置。
【請求項11】
前記駆動機構は、
回転駆動装置と、
前記回転駆動装置の回転駆動力を前記第1回転軸部材に伝達する第1伝達部と、
前記第1回転軸部材の回転を受けて、前記第1回転軸部材とは逆方向の回転駆動力を前記第2回転軸部材に伝達する第2伝達部と、を有する請求項に記載の回転式処理装置。
【請求項12】
前記第2伝達部は、
前記第1回転軸部材とともに回転する第1歯車と、
前記第2回転軸部材とともに回転する第2歯車と、
前記第1歯車と前記第2歯車の回転軸に対して垂直に交差する回転軸を有し、前記第1歯車の回転によって回転し、前記第2歯車を前記第1歯車とは逆方向に回転させる第3歯車と、
を有する請求項11に記載の回転式処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転式処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、解砕部において混錬された原料土及び土質改良剤を排出する排出コンベア上に集塵装置を配置した土質改良機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-74321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建設発生土などの原料土の処理は、筒状のドラムを備えた回転式処理装置で行われることがある。ドラムは、一方に処理対象の投入部を備え、他方に処理対象の排出部を備えるとともに、内部に回転軸部材と連結された処理部材を備えることがある。回転式処理装置は、ドラム内で処理部材を回転させることで処理対象を破砕したり、混錬したりする。このようなドラムを用いて処理対象を処理する際、ドラム内において処理対象に由来する粒子が舞い上がることがある。ドラム内で舞い上がった粒子は外部へ飛散することがないように処理されることが望ましい。特許文献1に開示された土質改良機は、このようなドラムを備えておらず、ドラム内で舞い上がり、飛散する粒子の処理は想定していない。このため、特許文献1に開示された土質改良機が備える集塵装置は、ドラムを用いた回転式処理装置に適用できない場合が想定される。
【0005】
そこで、本発明は、ドラムの内部で処理対象を処理する回転式処理装置における粒子の飛散を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示された回転式処理装置は、一方に処理対象の投入部を備えるとともに、他方に前記処理対象の排出部を備えたドラムと、回転軸部材に連結され、当該回転軸部材の回転軸回りに回転し、前記処理対象を前記ドラム内で処理する処理部材と、前記ドラム内で前記他方から前記一方へ向かう気体流れを抑制する抑制部と、を備え、前記抑制部は、前記処理部材よりも前記他方の側で前記回転軸部材に連結され、当該回転軸部材の回転によって前記他方へ向けた気体流れを生成する
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ドラムの内部で処理対象を処理する回転式処理装置における粒子の飛散を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は第1実施形態の回転式処理装置を含む混合装置の一部を示す説明図である。
図2図2は第1実施形態の回転式処理装置の断面図である。
図3図3は第1実施形態の回転式処理装置が備えるドラムにおける処理対象の投入部の寸法と排出部の寸法を示す説明図である。
図4図4は第1実施形態の回転式処理装置の図2におけるX1-X1断面図である。
図5図5は第1実施形態の回転式処理装置の図2におけるX2-X2断面図である。
図6図6は第1実施形態の回転式処理装置が備えるドラム内の気体流れのシミュレーション結果の一例を示す説明図である。
図7図7は比較例の回転式処理装置が備えるドラム内の気体流れのシミュレーション結果の一例を示す説明図である。
図8図8(A)は第2実施形態の回転式処理装置の回転軸方向に沿った断面図であり、図8(B)は図8(A)におけるX3-X3線断面図である。
図9図9(A)は第3実施形態の回転式処理装置の回転軸方向に沿った断面図であり、図9(B)は図9(A)におけるX4-X4線断面図である。
図10図10は第4実施形態の回転式処理装置のドラムの内部と、ドラムに接続された排気ダクトを示す断面図である。
図11図11は変形例1に係る回転式処理装置の断面図である。
図12図12は変形例2に係る回転式処理装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて、実施形態について説明する。なお、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。また、図面によっては細部が省略されて描かれている場合もある。以下の説明では、図1やその他の図面に示すように鉛直方向と一致する方向をZ方向とする。
【0010】
(第1実施形態)
まず、図1を参照して、第1実施形態の回転式処理装置(以下、単に「処理装置」という)1を備えた混合装置100について説明する。図1は、混合装置100の一部を示している。
【0011】
混合装置100は、建設発生土などの原料土を改良して有効利用するため、原料土の処理を行う処理装置1を備えている。処理装置1は、原料土の破砕、細粒化を行い、原料土を細かく均質に分散させる処理を行う。また、処理装置1は、必要に応じて、原料土と添加材との混合、混錬を行い、改良土を得る。添加材は、生石灰、消石灰などの石灰系固化材や、普通セメント、高炉セメントなどのセメント系固化材、あるいは高分子材料からなる土質改良材、天然繊維、樹脂からなる化学繊維などであり、原料土に対して、所望の割合で投入される。これにより、改質土の性状や強度などの調整が行われる。本実施形態では、処理装置1において原料土と添加材との混合を行うことから、原料土と添加材とが、処理対象となる。ただし、添加材が投入されない場合もあり、この場合は、原料土が処理対象となる。
【0012】
混合装置100は、投入コンベア101及び排出コンベア102を備える。投入コンベア101は、混合される前の原料土及び添加材を矢示8aのように処理装置1へ投入する。排出コンベア102は、処理装置1において処理対象が処理されることで生成され、処理装置1から排出された改質土を矢示8bのように搬送する。なお、混合装置100は、投入コンベア101や排出コンベア102の他に種々の構成要素を含む。例えば、原料土を投入コンベア101上へ投入する原料土ホッパや、添加材を投入コンベア101上へ投入する添加材ホッパ等を備えるが、これらは、図1では省略されている。
【0013】
つぎに、処理装置1について説明する。処理装置1の断面を示す図2を参照すると、処理装置1は、ドラム2、回転軸部材4、処理部材としてのインパクト部材5、及び、羽根部7を備えている。
【0014】
ドラム2は、筒状部2aを備えている。筒状部2aは、その中心軸線AX1がZ方向に沿うように配置されている。ただし、筒状部2aは、必ずしもその中心軸線AX1をZ方向に沿わせて配置されていなければならないものではなく、Z方向(鉛直方向)に対して傾斜させた状態で配置されてもよい。筒状部2aの一方の端部、本実施形態にあっては、上方の端部には、天板部3が設けられている。天板部3には、処理対象の原料土と添加材とを筒状部2a内へ投入するための投入部3aが設けられている。また、筒状部2aの他方の端部、本実施形態にあっては、下方の端部は開口端とされ、筒状部2a内で処理されて生成された改良土が排出される排出部2bとされている。なお、筒状部2aがZ方向に対して傾斜させて設けられている場合であっても、筒状部2aの一方に投入部3aが設けられ、筒状部2aの他方に排出部2bが設けられた態様とされる。
【0015】
ここで、図3を参照して、投入部3aの寸法と、排出部2bの寸法について説明する。本実施形態における投入部3aは、矩形であり、縦寸法Lと横寸法Wは、それぞれ、概ね550mm~800mmの範囲で適宜設定することができる。一方、排出部2bは、円形の開口部であり、その直径Rは、概ね1500mm~2250mmの範囲内で適宜設定することができる。このため、投入部3aの面積と排出部2bの面積とを比較すると、排出部2bの面積の方が、投入部3aの面積よりも大きい。例えば、投入部3aの縦寸法Lと横寸法Wをともに最大の800mmとし、一方、排出部2bの直径Rを最小の1500mmとした場合であっても、排出部2bの面積の方が、投入部3aの面積よりも大きくなる。このような投入部3aの面積と排出部2bの面積との関係は、処理装置1が稼働しているときのドラム2内における気体の流れに影響を与えていると考えられる。この、ドラム2内における気体の流れの影響については、後に詳述する。なお、排出部2bの直径Rは、筒状部2aの下端部を漏斗状に狭めることによって、所望の寸法まで狭めることができる。
【0016】
再び図2を参照すると、回転軸部材4は、天板部3を貫通し、上方(一方)が天板部3の上方に位置し、下方(他方)が筒状部2a内に位置するように設けられている。回転軸部材4の回転軸AX2は、筒状部2aの中心軸線AX1と同様に、Z方向に沿って延びている。なお、本実施形態においては、筒状部2aの中心軸線AX1と回転軸部材4の回転軸AX2とは一致しているが、両者は必ずしも一致していなくてもよい。また、回転軸AX2は、必ずしもZ方向に沿わせて配置されていなければならないものではなく、Z方向(鉛直方向)に対して傾斜させた状態で配置されてもよい。
【0017】
回転軸部材4は、天板部3に設けられた軸受け部材4aによって回転軸AX2周りに回転可能に支持されている。回転軸部材4の下端部は、ドラム2の内部に位置しており、自由端となっている。すなわち、回転軸部材4は、片持ち支持されている。回転軸部材4の上方(一方)の端部には、駆動プーリー4bが設けられている。駆動プーリー4bには、図示しない駆動ベルトが張設されている。駆動ベルトは、図示しない駆動モータの回転を駆動プーリー4bに伝達し、回転軸部材4を回転させる。
【0018】
本願出願人は、2020年1月15日に出願した特願2020-004183号にも片持ちのボールベアリングを有した回転式破砕装置を提案している。本実
施形態においても、軸受け部材4aは、ボールベアリングを採用することができ、回転軸部材4の回転精度の向上や剛性の向上を図るため、アンギュラ玉軸受を採用することができる。このように、回転軸部材4を回転軸部材4の上方側で片持ち支持し、回転軸部材4の下方側(他端側)を自由端とすることにより、回転軸部材4の下方側において軸受け部材を配置する分のスペースが空くことになる。このため本実施形態においては、ドラム2の全高、すなわち処理装置1の全高を低くできる。また、混合装置100における処理装置1の搭載位置を下げることができる。これに伴い、周辺の装置も低い位置に設置することができ、混合装置100全体としても全高を低くすることができる。混合装置100は、例えば走行装置上に設置することができるが、走行装置に設置した状態でその全高を3.8m以下とすることができ、運搬時の高さの目安である運搬高3.8mとクリアでき、トラックやトレーラーによる混合装置100の搬送の自由度を確保することができる。
【0019】
回転軸部材4には、処理部材としてのインパクト部材5が設けられている。インパクト部材5は、回転軸部材4に接続された金属製のチェーン5aと、その先端側に設けられた鋼製の厚板5bを備えている。インパクト部材5は、ドラム2内で原料土の破砕、細粒化を行い、原料土を細かく均質に分散させる。また、インパクト部材5は、原料土と添加材との混合を行う。図4を参照すると、ドラム2の筒状部2a内には、4つのインパクト部材5が90°ずつ隔てられて設けられている。回転軸AX2から各インパクト部材5の先端部までの長さはは、rblであり、インパクト部材5の先端部が描く軌跡の直径は、2×rblである。
【0020】
筒状部2a内において、Z方向に沿うインパクト部材5の段数は、図2に示すように二段であるが、その段数は、これに限定されず、例えば、一段であってもよいし、三段以上であってもよい。また、チェーン5aと厚板5bとを組み合わせたインパクト部材5に代えて、例えば、刃状の部材を用いてもよい。
【0021】
回転軸部材4には、図2図4及び図5に示すように、ドラム2内で下方(他方)から上方(一方)へ向かう気体流れ、すなわち、上昇流AFupを抑制する抑制部として機能する4枚の羽根部7が設けられている。羽根部7は、湾曲形状を有し、回転軸部材4が回転することで、所望の方向の気体流れを作り出すファンとして機能する。なお、羽根部7の枚数は、4枚に限定されるものではなく、適宜選定することができる。また、羽根部7の形状も適宜設定することができる。羽根部7には、インパクト部材5により粉砕された原料土などが当たるため、鉄(例えば鋳鉄)やステンレスなどの金属材料を用いることが好ましい。
【0022】
図5を参照すると、ドラム2の内周壁2a1内には、4枚の羽根部7が90°ずつ隔てられて設けられている。図2を参照すると、羽根部7は、インパクト部材5よりも下方で回転軸部材4に連結されている。羽根部7がインパクト部材5よりも下方で回転軸部材4に連結されているのは、上方から投入される原料土や添加材等がインパクト部材5に衝突し易くするためである。すなわち、仮に羽根部7がインパクト部材5よりも上方で回転軸部材4に連結されていると、原料土等がインパクト部材5よりも先に羽根部7に衝突し、インパクト部材5の機能が発揮しにくくなるため、これを回避するためである。
【0023】
羽根部7の回転軸AX2から、半径方向外側の端部までの長さは、rfanであり、羽根部7の先端部が描く軌跡の直径は、2×rfanである。ここで、図2を参照すると、羽根部7の先端部が描く軌跡の直径2×rfanは、インパクト部材5の先端部が描く軌跡の直径2×rblよりも小さい。これは、羽根部7が、インパクト部材5によって処理された原料土等のスムーズな落下をできるだけ妨げることがないようにするためである。
【0024】
羽根部7は、回転軸部材4が回転することによって、図2に示す下方へ向けた気体流れ、すなわち下降流AFdownを生成する。下降流AFdownは、上昇流AFupと対向する流れであることから、上昇流AFupを抑制することができる。また、回転軸部材4の下方側(他端側)が自由端となっているので、回転軸部材4の下方側(他端側)に軸受け部材が設けられている場合に比べて、羽根部7の大きさを大きくすることができ、その形状にも制限が少なくなり、効率的に粒子の飛散を抑制することができる。また、羽根部7のZ方向の設置位置の自由度も大きくなるので、最適な位置に羽根部7を設けることができる。
【0025】
ここで、実施形態の処理装置1が備えるドラム2内の気体流れの様子について、図6及び図7を参照して説明する。図6は本実施形態の処理装置1が備えるドラム2内の気体流れのシミュレーション結果の一例であり、図7は比較例の処理装置50が備えるドラム2内の気体流れのシミュレーション結果の一例を示す説明図である。ただし、いずれのシミュレーションも、インパクト部材5に代えて複数のブレード6を備えたモデルを用いて行った。複数のブレード6は、各インパクト部材5を置き換えたものであり、回転軸部材4に設けられたハブ部6aを介して回転軸部材4に連結されている。また、実施形態におけるインパクト部材5は、二段とされているのに対し、このモデルにおけるブレード6は、一段とされている。
【0026】
まず、比較例の処理装置50について説明する。比較例の処理装置50は、羽根部7を備えていない点で、本実施形態の処理装置1と異なっている。比較例のその他の点は、本実施形態の処理装置1と異なるところがないため、共通する構成要素については、図面中、本実施形態と同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0027】
図7を参照すると、図中、参照符号Cで囲った領域によく表れているように、処理装置50を稼働させ、ブレード6が連結された回転軸部材4を回転させると、回転軸部材4に沿って上昇する気体流れ(上昇流)が観察された。このような上昇流は、添加材などの細かい粒子を巻き上げ、これらの飛散を生じさせる。
【0028】
気体の上昇流は、ドラム2の構造に起因して発生すると考えられる。ドラム2内には、回転軸部材4に連結されたブレード6を備えている。このブレード6を回転させると、ドラム2内に旋回流が生じる。旋回流は、ドラム2の筒状部2aの内周壁2a1に沿うように広がる。ここで、ドラム2は、上方に原料土及び添加材の投入部3aを備え、下方に排出部2bを備えており、上述したように、これらの面積を比較すると、排出部2bの面積の方が大きい。このようなドラム2内で旋回流が生じると、その一部が投入部3aから外部へ流れ出る。旋回流の一部が投入部3aからドラム2の外部へ流れ出ると、流れ出た分の気体の量を補うように排出部2bからドラム2内へ流れ込む。旋回流は、面積の小さい箇所から流れ出ると、その方向付けがされ易いと考えられる。このため、一旦、このような気体流れが生じると、連続的に排出部2bからドラム2内へ向かって気体が流れ込み、投入部3aへ向かう継続的な上昇流が発生すると考えられる。
【0029】
このようにして生成された上昇流は、ドラム2内に投入された原料土と添加材のうち、主として添加材の巻き上げを生じると考えられる。添加材は、原料土と比較して、一粒一粒が微細であり、軽量だからである。巻き上げられた添加材は、気体の流れに乗って、投入部3aからドラム2の外部へ放出され、飛散すると考えられる。添加材が飛散すると、作業者や周囲の環境へ影響を与えると考えられる。また、添加材は、ドラム2に投入される原料土の性質や量等を考慮し、所望の性状、強度の改質土が得られるように、原料土に対して、所望の割合で投入されるが、添加材の飛散が生じると、その分だけ、添加材が不足する。この結果、改良土において、所望の性状、強度が得られない可能性がある。
【0030】
つぎに、図6に示す本実施形態の処理装置1におけるドラム2内の気体流れのシミュレーション結果について説明する。本実施形態の処理装置1では、回転軸部材4に連結された羽根部7が回転軸部材4の回転に伴って回転することで、ドラム内で下方に向かう気体流れ(下降流)が生じる。この下降流は、上昇流を相殺し、ドラム2内での気体の移動を抑制する。ドラム2内で気体の移動が抑制されている様子は、図6に示すシミュレーション結果からも確認された。ドラム2内での気体の移動が抑制されれば、添加材などの細かい粒子の巻き上げ、飛散が抑制される。添加材などの細かい粒子の飛散が抑制されると、作業者や周辺環境への影響を緩和することができる。また、処理対象である原料土の性質や量等を考慮して投入された所定量の添加材がドラム2内に留まり、原料土と混合される。この結果、所望の性状、強度を備えた改良土を得ることができる。
【0031】
このように、本実施形態の処理装置1によれば、処理装置1における粒子(添加材)の飛散を抑制することができる。羽根部7はインパクト部材5の下方に位置し、排出部2bに近いところに設けられることで、排出部2bからドラム2内へ流れ込もうとする気体流れを相殺する気体流れを生成し、効果的に添加材の飛散を抑制することができる。
【0032】
(第2実施形態)
つぎに、図8(A)及び図8(B)を参照して、第2実施形態の処理装置10について説明する。図8(A)は処理装置10の回転軸方向に沿った断面図であり、図8(B)は図8(A)におけるX3-X3線断面図である。第2実施形態の処理装置10は、第1実施形態の処理装置1が備える羽根部7に代えて、抑制部として機能する板状部11を備えている。その他の構成は、第1実施形態の処理装置1と異なるところがないため、共通する構成要素については、図面中、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0033】
板状部11は、インパクト部材5の他方側、すなわち、インパクト部材5の下方に設けられている。板状部11は、円板状の部材であり、中心部に回転軸部材4が挿通される挿通孔11aが設けられている。板状部11は、支持部12によってドラム2の筒状部2aの内周壁2a1に支持されている。支持部12は、その一端が内周壁2a1に固定され、筒状部2aの中心に向かって延びており、他端が板状部11に固定されている。これにより、板状部11は、ドラム2内に設置されている。このため、回転軸部材4が回転しても、板状部11自体は、回転することがない。なお、本実施形態では、90°ずつ隔てて設置された4つの支持部12が板状部11を支持しているが、支持部12の数はこれに限定されず、適宜選択することができる。板状部11および支持部12には、インパクト部材5により粉砕された原料土などが当たるため、鉄(例えば鋳鉄)やステンレスなどの金属材料を用いることが好ましい。
【0034】
このような板状部11には、図8(A)において、矢示8cで示すように、排出部2bからドラム2の筒状部2a内へ流れ込み、上昇しようとする気体流れが衝突する。そして、気体流れは、板状部11に跳ね返され、筒状部2a内へ進むことが阻止される。この結果、ドラム2の筒状部2a内での気体の移動が抑制され、添加材などの細かい粒子の巻き上げ、飛散が抑制される。そして、作業者や周辺環境への添加材飛散の影響が緩和され、所望の性状、強度を備えた改良土を得ることができる。なお、図8(B)に示すように、支持部12は90°ずつ隔てて設置されており、支持部12同士の間にそれぞれ概ね扇型の隙間が形成されている。処理対象は、この隙間を通過して落下することができるため、支持部12が処理対象の落下の妨げとなることはない。また、回転軸部材4の下方側(他端側)が自由端となっているので、回転軸部材4の下方側(他端側)に軸受け部材が設けられている場合に比べて、板状部11の大きさを大きくすることができ、その形状にも制限が少なくなり、効率的に粒子の飛散を抑制することができる。また、板状部11のZ方向の設置位置の自由度も大きくなるので、最適な位置に板状部11を設けることができる。
【0035】
なお、図8(A)、図8(B)の板状部11が、円板状の部材である場合について説明したが、これに限らず、板状部11は、中央部から周縁部にかけて斜面となっている傘状の部材(又は円錐状や山状の部材)であっても良い。これにより、板状部11の斜面に載った処理対象を下方に落下させやすくすることができる。
【0036】
(第3実施形態)
つぎに、図9(A)及び図9(B)を参照して、第3実施形態の処理装置20について説明する。図9(A)は処理装置20の回転軸方向に沿った断面図であり、図9(B)は図9(A)におけるX4-X4線断面図である。第3実施形態の処理装置20は、第1実施形態の処理装置1が備える羽根部7に代えて、抑制部として機能する板状部21を備えている。その他の構成は、第1実施形態の処理装置1と異なるところがないため、共通する構成要素については、図面中、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0037】
板状部21は、インパクト部材5の他方側、すなわち、インパクト部材5の下方に設けられている。板状部21は、回転軸部材4に連結されている。すなわち、第2実施形態の板状部11が筒状部2aの内周壁2a1に固定されており、回転軸部材4が回転しても板状部11自体は回転しない態様であったのに対し、本実施形態の板状部21は、回転軸部材4とともに回転する。
【0038】
このような板状部21には、図9(A)において矢示8dで示すように、排出部2bからドラム2の筒状部2a内へ流れ込み、上昇しようとする気体流れが衝突する。そして、気体流れは、板状部21に跳ね返され、筒状部2a内へ進むことが阻止される。この結果、ドラム2の筒状部2a内での気体の移動が抑制され、添加材などの細かい粒子の巻き上げ、飛散が抑制される。そして、作業者や周辺環境への添加材飛散の影響が緩和され、所望の性状、強度を備えた改良土を得ることができる。なお、図9(B)に示すように、板状部21とドラム2の筒状部2aとの間に構造部が存在しないため、処理対象は、インパクト部材5より下方において、スムーズにドラム2内を落下することができる。また、回転軸部材4の下方側(他端側)が自由端となっているので、回転軸部材4の下方側(他端側)に軸受け部材が設けられている場合に比べて、板状部21の大きさを大きくすることができ、その形状にも制限が少なくなり、効率的に粒子の飛散を抑制することができる。また、板状部21のZ方向の設置位置の自由度も大きくなるので、最適な位置に板状部21を設けることができる。板状部21には、インパクト部材5により粉砕された原料土などが当たるため、鉄(例えば鋳鉄)やステンレスなどの金属材料を用いることが好ましい。
【0039】
なお、本第3実施形態においても、板状部21は、中央部から周縁部にかけて斜面となっている傘状の部材(又は円錐状や山状の部材)であっても良い。
【0040】
(第4実施形態)
つぎに、図10を参照して、第4実施形態の処理装置30について説明する。第4実施形態の処理装置30は、第1実施形態の処理装置1が備える羽根部7に代えて、抑制部として機能する排気ダクト31と、この排気ダクト31に組み込まれた排気ファン32を備えている。その他の構成は、第1実施形態の処理装置1と異なるところがないため、共通する構成要素については、図面中、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0041】
排気ダクト31は、ドラム2の筒状部2aに接続されているが、その位置は、インパクト部材5よりも下方とされており、具体的には、筒状部2aの排出部2bの近傍とされている。排気ファン32は、排気ダクト31を通じてドラム2内の気体を吸い出すように設置されている。回転軸部材4に連結されたインパクト部材5を回転させているときに、排気ファン32を稼働させることで、ドラム2内での気体の移動を抑制することができる。インパクト部材5が回転しているときに、排気ファンを稼働させると、図10において矢示8eで示すように、回転軸部材4に沿って上昇しようとする気体流れがその方向を変化させ、排気ダクト31に吸い込まれる。すなわち、インパクト部材5が回転することに起因して発生した上方に向かう気体流れが、排気ファン32の作動による下方に向かう気体流れと相殺されることで、気体の移動が抑制される。この結果、ドラム2の筒状部2a内での気体の移動が抑制され、添加材の巻き上げ、飛散が抑制される。そして、作業者や周辺環境への添加材飛散の影響が緩和され、所望の性状、強度を備えた改良土を得ることができる。
【0042】
本明細書開示の処理装置によれば、ドラム2内で他方から一方へ向かう気体流れを抑制する抑制部を備えているので、粒子の飛散を抑制することができる。この結果、作業者や周辺環境への添加材飛散の影響が緩和され、所望の性状、強度を備えた改良土を得ることができる。
【0043】
処理部材に相当するインパクト部材5の下側に、抑制部として機能する板状部や排気ダクトを設けているので、これらの部材がインパクト部材5による処理対象の処理の邪魔にならない。また、抑制部として機能する羽根部7や板状部11、21、排気ダクト31は、インパクト部材5の下方に位置し、排出部2bに近いところに設けられることで、排出部2bからドラム2内へ流れ込もうとする気体流れを相殺する気体流れを生成する。これにより、効果的に添加材の飛散を抑制することができる。
【0044】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。なお、上述したいずれの実施形態においても、回転軸部材4は、上端部で回転軸AX2周りに回転可能に支持され、下端部は、自由端とされているが、下端部で回転可能に支持されるようにしてもよい。例えば、第2実施形態のように、中心部に設けられた挿通孔11aに回転軸部材4が挿通され、支持部12によってドラム2の筒状部2aの内周壁2a1に支持された態様を採用する場合、挿通孔11aを軸受構造としてもよい。これにより、回転軸部材4は、ドラム2に対して回転可能に支持される。また、回転軸部材4は、その上端部と下端部の双方で回転可能に支持される態様としてもよい。
【0045】
板状部11、21の断面形状は、矩形に限らず、楕円形、三角形、逆三角形など任意の形状としてもよく、効率的に粒子の飛散を抑制する断面形状にすればよい。また、回転軸部材4と羽根部7との間に歯車などの機械部品を介在させて回転軸部材4と羽根部7とを連結し、回転軸部材4の回転方向と、羽根部7の回転方向とを異ならせるようにしてもよい。同様に、回転軸部材4と板状部21との間に歯車などの機械部品を介在させて回転軸部材4と板状部21とを連結し、回転軸部材4の回転方向と、板状部21との回転方向とを異ならせるようにしてもよい。
【0046】
(変形例1)
図11は、変形例1に係る処理装置40の概略断面図である。図11に示すように、処理装置40は、ドラム2、第1回転軸部材104b、第2回転軸部材106b、インパクト部材105、107を備える。なお、ドラム2は、軸受部材104c,106cを保持する関係上、複雑な形状(略3段形状)を有しているが、ドラム2の形状は図11の形状に限られるものではない。
【0047】
第1回転軸部材104bは、上下方向に延びる棒状の部材であり、ドラム2に設けられた軸受け部材104cによって回転可能に支持されている。第1回転軸部材104bの上端部には駆動プーリー104aが設けられている。駆動プーリー104aには、駆動ベルト104dが張設されており、駆動ベルト104dは、第1駆動モータ(第1回転駆動装置)104eの回転を駆動プーリー104aに伝達し、第1回転軸部材104bを回転させる。第1回転軸部材104bの下端部側には、インパクト部材107が設けられている。インパクト部材107の構成は、第1実施形態のインパクト部材5と同様である。
【0048】
本変形例1においては、第1駆動モータ104eが矢印α方向に回転することで、駆動プーリー104a、第1回転軸部材104b及びインパクト部材107が矢印α方向に回転するようになっている。
【0049】
第2回転軸部材106bは、上下方向に延びる円筒状の部材であり、第1回転軸部材104bの外側に設けられている。第2回転軸部材106bは、ドラム2に設けられた軸受け部材106cによって回転可能に支持されている。第2回転軸部材106bには駆動プーリー106aが設けられている。駆動プーリー106aには、駆動ベルト106dが張設されており、駆動ベルト106dは、第2駆動モータ(第2回転駆動装置)106eの回転を駆動プーリー106aに伝達し、第2回転軸部材106bを回転させる。第2回転軸部材106bの下端部側には、インパクト部材105が設けられている。インパクト部材105の構成は、第1実施形態のインパクト部材5と同様である。
【0050】
本変形例1においては、第2駆動モータ106eが矢印β方向(矢印α方向とは逆方向)に回転することで、駆動プーリー106a、第2回転軸部材106b及びインパクト部材105が矢印β方向に回転するようになっている。なお、本変形例1では、インパクト部材105とインパクト部材107の回転速度を同一速度としている。
【0051】
本変形例1においては、インパクト部材105とインパクト部材107の回転方向を逆方向とし、回転速度を同一速度としているので、インパクト部材105の回転によって生じる風の流れが、インパクト部材107の回転により相殺されるようになっている。すなわち、インパクト部材105を回転することによって生じる上昇流(図7参照)、及びこの上昇流によって生じる添加材などの細かい粒子の巻き上げや飛散を、インパクト部材107を回転することによって生じる下降流によって相殺することができる。これにより、ドラム2内での添加材などの細かい粒子の巻き上げ、飛散が抑制されるので、作業者や周辺環境への影響を緩和することができる。また、処理対象である原料土の性質や量等を考慮して投入された所定量の添加材がドラム2内に留まり、原料土と混合されるので、所望の性状、強度を備えた改良土を得ることができる。
【0052】
このように、本変形例1では、第1回転軸部材104bに連結され、インパクト部材105とは反対方向に回転して原料土の破砕等を行うインパクト部材107が、ドラム2内における上昇流の発生を抑制する抑制部として機能している。
【0053】
また、本変形例1では、インパクト部材105とインパクト部材107の回転方向を逆方向とすることで、インパクト部材105からβ方向の力を受けた処理対象に対して、インパクト部材107がα方向の力を加えることになる。これにより、インパクト部材107が処理対象に与える衝撃力が大きくなるため、処理対象の破砕効率を向上させることができる。
【0054】
なお、本変形例1では、インパクト部材105とインパクト部材107の回転速度を同一にする場合について説明したが、これに限らず、インパクト部材105とインパクト部材107の回転速度を異ならせても良い。例えば、実験やシミュレーション結果等に基づいて、上昇流の発生がより効果的に抑制されるようなインパクト部材105とインパクト部材107の回転速度を決定しても良い。
【0055】
(変形例2)
図12は、変形例2に係る処理装置50の概略断面図である。図12に示すように、処理装置50は、ドラム2、第1回転軸部材104b、第2回転軸部材106b、伝達機構110、インパクト部材105、107を備える。
【0056】
第1回転軸部材104bは、上下方向に延びる棒状の部材であり、ドラム2に設けられた軸受け部材104cによって回転可能に支持されている。第1回転軸部材104bの上端部には駆動プーリー104aが設けられている。駆動プーリー104aには、駆動ベルト104d(第1伝達部)が張設されており、駆動ベルト104dは、駆動モータ(回転駆動装置)104eの回転を駆動プーリー104aに伝達し、第1回転軸部材104bを回転させる。第1回転軸部材104bの下端部側には、インパクト部材107が設けられている。インパクト部材107の構成は、第1実施形態のインパクト部材5と同様である。
【0057】
本変形例2においては、駆動モータ104eが矢印α方向に回転することで、駆動プーリー104a、第1回転軸部材104b及びインパクト部材107が矢印α方向に回転するようになっている。
【0058】
第2回転軸部材106bは、上下方向に延びる円筒状の部材であり、第1回転軸部材104bの外側に設けられている。第2回転軸部材106bは、ドラム2に設けられた軸受け部材106cによって回転可能に支持されている。第2回転軸部材106bの下端部側には、インパクト部材105が設けられている。インパクト部材105の構成は、第1実施形態のインパクト部材5と同様である。
【0059】
伝達機構110は、第1回転軸部材104bの回転を受けて、第1回転軸部材104bとは逆方向の回転駆動力を第2回転軸部材106bに伝達する第2伝達部として機能する。伝達機構110は、第1回転軸部材104bに固定され、第1回転軸部材104bとともに回転する第1歯車108aと、第2回転軸部材106bの上端部に固定され、第2回転軸部材106bとともに回転する第2歯車108bと、第1歯車108aと第2歯車108bの間に設けられた複数(図12では2つ)の第3歯車108cと、を備える。
【0060】
第1歯車108aは、傘歯車(ベベルギア)であり、第3歯車108cと噛み合っている。第2歯車108bは、第1歯車108aと上下対称に設けられた傘歯車であり、第3歯車108cと噛み合っている。なお、第2歯車108bには、第1回転軸部材104bと接触しないようにするため、中央部に上下方向に貫通する貫通孔が設けられている。第3歯車108cも傘歯車であり、軸109を介して、ドラム2によって軸支されている。第3歯車108cの回転軸は、水平方向に延び、第1、第2歯車108a,108bの回転軸に直交している。
【0061】
伝達機構110においては、第1回転軸部材104bがα方向に回転すると、第1歯車108aもα方向に回転し、その回転力が第3歯車108cに伝達する。これにより、第3歯車108cは軸109回りに回転する。そして、第3歯車108cの回転力が第2歯車108bに伝達されることで、第2歯車108bは、第1歯車108cとは逆向き(β方向)に回転するようになっている。なお、本変形例2では、第1歯車108aと第2歯車108bの歯数を同数とし、第1回転軸部材104b(インパクト部材107)と第2回転軸部材106b(インパクト部材105)の回転速度を同一速度としている。
【0062】
本変形例2においては、上記変形例1と同様、インパクト部材105とインパクト部材107の回転方向が逆になっているため、インパクト部材105の回転によって生じる風の流れがインパクト部材107の回転により相殺されるようになっている。これにより、変形例1と同様、ドラム2内での添加材などの細かい粒子の巻き上げ、飛散を抑制することができる。このように、本変形例2では、第1回転軸部材104bに連結され、インパクト部材105とは反対方向に回転して原料土の破砕等を行うインパクト部材107が、ドラム2内における上昇流の発生を抑制する抑制部として機能している。
【0063】
また、本変形例2では、インパクト部材105とインパクト部材107の回転方向を逆方向とすることで、インパクト部材105からβ方向の力を受けた処理対象に対して、インパクト部材107がα方向の力を加えることになる。これにより、インパクト部材107が処理対象に与える衝撃力が大きくなるため、処理対象の破砕効率を向上させることができる。
【0064】
なお、本変形例2では、インパクト部材105とインパクト部材107の回転速度を同一にする場合について説明したが、これに限らず、インパクト部材105とインパクト部材107の回転速度を異ならせても良い。回転速度を異ならせる場合には、第1歯車108aと第2歯車108bの歯数を異ならせればよい。
【0065】
なお、上記変形例1では、回転モータ104eが、第1回転軸部材104bを回転させる場合について説明したが、これに限らず、第2回転軸部材106bを回転させても良い。この場合、第2回転軸部材106bの回転力が伝達機構110を介して第1回転軸部材104bに伝達するため、第1回転軸部材104bが第2回転軸部材106bとは逆方向に回転することになる。
【0066】
なお、上記変形例1,2のドラム2内には、必要に応じて、第1実施形態と同様の羽根部7や、第2、第3実施形態の板状部11、21、第4実施形態の排気ダクト31を設けてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1、10、20、30 回転式処理装置
2 ドラム
2a 筒状部
2a1 内周壁
2b 排出部
3 天板部
3a 投入部
4 回転軸部材
4a 軸受け部材
5 インパクト部材
7 羽根部
11、21 板状部
11a 挿通孔
12 支持部
31 排気ダクト
32 排気ファン
100 混合装置
101 投入コンベア
102 排出コンベア
104b 第1回転軸部材
104d 駆動ベルト
104e 第1駆動モータ、駆動モータ
106b 第2回転軸部材
106e 第2駆動モータ
105,107 インパクト部材
110 伝達機構
AX2 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12