(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】テープフィーダ及び実装基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20230414BHJP
【FI】
H05K13/02 B
(21)【出願番号】P 2021065564
(22)【出願日】2021-04-08
(62)【分割の表示】P 2017069633の分割
【原出願日】2017-03-31
【審査請求日】2021-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】江口 亮司
(72)【発明者】
【氏名】奥 康夫
(72)【発明者】
【氏名】窪田 修一
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0180435(US,A1)
【文献】特開2015-115412(JP,A)
【文献】特開2015-122474(JP,A)
【文献】特開2015-065381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を収納したキャリアテープの走行路を有した本体部と、
前記本体部に設けられ、前記走行路内の前記キャリアテープに係合して回転することにより前記キャリアテープをピッチ送りする主スプロケットと、
前記キャリアテープの挿入口を有し、前記挿入口から挿入された前記キャリアテープを前記走行路に案内する案内部と、
前記案内部を前記本体部に対して移動させる案内部移動機構と、
前記キャリアテープが前記走行路の所定の位置を通過したことを検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記案内部移動機構を制御して前記案内部を前記本体部に対して移動させ、前記主スプロケットと係合した前記キャリアテープのうち、前記案内部に案内されている部分を前記案内部から落下させて前記挿入口を開放する制御部と
、
前記制御部により制御されて動作し、前記案内部から落下した前記キャリアテープを切断する切断機構と、を備え、
前記案内部はホイール部を有し、
前記切断機構はカッター部材を備え、
前記
検出部は、前記走行路内を走行するキャリアテープの先頭部及び終端部が所定の基準位置を通過した状態を検出
し、
前記切断機構は、前記ホイール部に押し付けられた状態のキャリアテープに前記カッター部材を押し当てることで該キャリアテープを切断することを特徴とするテープフィーダ。
【請求項2】
前記案内部は前記キャリアテープの幅方向の端部を支持する爪部を有し、前記案内部移動機構により前記案内部が前記本体部に対して移動されると、前記キャリアテープが前記爪部により持ち上げられて斜めに傾いた姿勢となり、前記キャリアテープの前記端部が前記爪部から脱落して前記案内部から落下することを特徴とする請求項1に記載のテープフィーダ。
【請求項3】
請求項1
または2に記載のテープフィーダが供給する部品を基板に実装して実装基板を製造することを特徴とする実装基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアテープにより所定の部品供給位置に部品を供給するテープフィーダ及びこのテープフィーダを用いた実装基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板に部品が実装された実装基板を製造する部品実装ラインにおいて基板に部品を実装する部品実装装置では、部品の供給装置としてテープフィーダが多用される。テープフィーダは部品を収納したキャリアテープを走行させて所定の部品供給位置に部品を供給するものであり、本体部にキャリアテープの走行路と、走行路内のキャリアテープと係合して回転することによりキャリアテープをピッチ送りする主スプロケットとを備えている。
【0003】
このようなテープフィーダの一種として、挿入されたキャリアテープを自動で引き込んで主スプロケットと係合させるオートロード型のテープフィーダも知られている。オートロード型のテープフィーダは、キャリアテープの挿入口を備えた案内部を有しており、案内部の挿入口からキャリアテープを挿入すると、キャリアテープが案内部に案内されて走行路に入り、フィードスプロケットによって送られて、主スプロケットと係合するようになっている。
【0004】
このようなオートロード型のテープフィーダでは、先行して走行するキャリアテープ(先行キャリアテープ)が主スプロケットによって送り終えられる前から後続のキャリアテープ(後続キャリアテープ)を挿入しておくことができる。後続キャリアテープを挿入する場合には、先ず、先行キャリアテープを挿入口から落下させ、これにより開放状態となった挿入口に後続キャリアテープを挿入する。挿入口から走行路内に案内された後続キャリアテープは走行路内で先行キャリアテープの上側に重ねられて待機状態となり、先行キャリアテープが送られてしまうと後続キャリアテープがフィードスプロケットによって送られ、走行路内を走行して主スプロケットと係合するようになっている(例えば、下記の特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のテープフィーダでは、後続キャリアテープを挿入口に挿入する前には、先行キャリアテープが主スプロケットに係合したことを確認したうえで、先行キャリアテープを案内部から落下させる作業が必要であり、作業者のキャリアテープの状況監視の負担は大きいという問題点があった。
【0007】
そこで本発明は、作業者によるキャリアテープの状況監視の負担を軽減できるテープフィーダ及び実装基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のテープフィーダは、部品を収納したキャリアテープの走行路を有した本体部と、前記本体部に設けられ、前記走行路内の前記キャリアテープに係合して回転することにより前記キャリアテープをピッチ送りする主スプロケットと、前記キャリアテープの挿入口を有し、前記挿入口から挿入された前記キャリアテープを前記走行路に案内する案内部と、前記案内部を前記本体部に対して移動させる案内部移動機構と、前記キャリアテープが前記走行路の所定の位置を通過したことを検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づいて、前記案内部移動機構を制御して前記案内部を前記本体部に対して移動させ、前記主スプロケットと係合した前記キャリアテープのうち、前記案内部に案内されている部分を前記案内部から落下させて前記挿入口を開放する制御部と、前記制御部により制御されて動作し、前記案内部から落下した前記キャリアテープを切断する切断機構と、を備え、前記案内部はホイール部を有し、前記切断機構はカッター部材を備え、前記検出部は、前記走行路内を走行するキャリアテープの先頭部及び終端部が所定の基準位置を通過した状態を検出し、前記切断機構は、前記ホイール部に押し付けられた状態のキャリアテープに前記カッター部材を押し当てることで該キャリアテープを切断する。
【0009】
本発明の実装基板の製造方法は、上記本発明のテープフィーダが供給する部品を基板に実装して実装基板を製造する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業者によるキャリアテープが状況監視の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施の形態における部品実装ラインの構成を基板の流れとともに示す図
【
図2】本発明の一実施の形態における部品実装ラインが備える部品実装装置の側面図
【
図3】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品実装装置が使用するキャリアテープを示す図
【
図4】本発明の一実施の形態における部品実装装置が備えるテープフィーダの側面図
【
図5】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの部分斜視図
【
図6】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの部分側面図
【
図7】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるテープフィーダが副スプロケットと主スプロケットによりキャリアテープを走行させている状態を示す図
【
図8】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの部分背面図
【
図9】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの部分側面図
【
図10】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの部分背面図
【
図11】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの部分側面図
【
図12】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの部分側面図
【
図13】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの部分側面図
【
図14】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの部分側面図
【
図15】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの部分側面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の一実施の形態における部品実装ライン1の構成を示している。部品実装ライン1は上流工程側から印刷装置2、部品実装装置3及びリフロー炉4を備えており、基板PBに部品PTが実装された実装基板JKを製造する。
【0013】
部品実装ライン1において、印刷装置2は、図示しない基板供給部から供給される基板PBを搬入し、基板PB上に設けられた電極DKに半田SDを印刷する。印刷装置2は基板PBに半田SDを印刷したら、その基板PBを下流工程側の部品実装装置3に搬出する。
【0014】
部品実装装置3は印刷装置2から搬出された基板PBを搬入し、印刷装置2によって半田SDが印刷された電極DKに部品PTを実装する部品実装作業を行う。部品実装装置3は、基板PBの電極DKに部品PTを実装したら、その基板PBを下流工程側のリフロー炉4に搬出する。
【0015】
リフロー炉4は部品実装装置3から搬出された基板PBを受け取り、基板PBを搬送して炉内を進行させながら半田SDのリフローを行う。リフローによって半田SDが固化した基板PBは実装基板JKとしてリフロー炉4から搬出される。
【0016】
このような構成の部品実装ライン1において、部品実装装置3は、
図2に示すように、基台11、基板搬送部12、部品実装部13及び部品供給部14を備えている。
図2において、基板搬送部12は基台11上を作業者OPから見た左右方向に延びる一対のベルトコンベア12aによって、基板PBを搬送する。部品実装部13は吸着ノズル13aを備えた実装ヘッド13Aを、ヘッド移動機構13Bによって水平面内方向に移動させる構成を有する。なお、ここでは、説明の便宜上、作業者OPから見た左右方向をX軸方向、作業者OPから見た前後方向をY軸方向とする。また、上下方向をZ軸方向とする。
【0017】
図2において、部品実装装置3の部品供給部14は、基台11に連結される台車15に取り付けられた複数のテープフィーダ16と、台車15に保持されて各テープフィーダ16にキャリアテープ17を供給する複数のテープリール18を備えている。キャリアテープ17は
図3(a),(b)に示すように、ベーステープ21とベーステープ21の上面に貼り付けられたカバーテープ22を有して成る。
【0018】
図3(a),(b)において、ベーステープ21には多数の部品収納部23がベーステープ21の長手方向に一列かつ等間隔に設けられている。各部品収納部23の内部には部品PTが収納されている。カバーテープ22は各部品収納部23の上方に向いた開口部を覆って部品PTの脱落を防止している。ベーステープ21の部品収納部23の列と平行な位置には、多数の送り孔24が一列かつ等間隔に設けられている。
【0019】
部品実装作業では、部品実装装置3は先ず、印刷装置2から搬出された基板PBを基板搬送部12により受け取って作業位置に位置決めする。そして、ヘッド移動機構13Bにより実装ヘッド13Aを移動させ、テープフィーダ16がキャリアテープ17を走行させて所定の部品供給位置16K(
図2)に供給する部品PTを吸着ノズル13aによりピックアップしたうえで、そのピックアップした部品PTを基板PBの電極DKに実装する。基板PBに実装すべき部品PTを全て基板PBに実装したら、基板搬送部12が基板PBを下流工程側のリフロー炉4に搬出する。
【0020】
部品実装装置3が備えるテープフィーダ16は、ここでは、作業者OPによってテープフィーダ16の後部(作業者OPから見たY軸方向の手前側)から挿入されたキャリアテープ17を自動で引き込んで走行させるオートロード型のテープフィーダである。テープフィーダ16は、
図4に示すように、台車15に設けられたフィーダベース15F(
図2も参照)に着脱自在に取り付けられる本体部31に、3つのスプロケット(フィードスプロケット32、副スプロケット33及び主スプロケット34)、テープガイド35、剥離部材36、案内部37、案内部移動機構38、切断機構39及び制御部40を備えている。制御部40はテープフィーダ16の各部の動作制御を行う。制御部40は、テープフィーダ16がフィーダベース15Fに取り付けられると、部品実装装置3の制御装置(図示せず)と電気的に接続される。
【0021】
図4、
図5及び
図6において、本体部31は、キャリアテープ17の走行路41を備えている。走行路41は本体部31の後方から前方に向けて延びている。フィードスプロケット32は、本体部31の後部に、走行路41に上方から臨んで設けられている。
【0022】
図4において、フィードスプロケット32は、本体部31に設けられたフィードスプロケット駆動モータ32Mによって駆動される。フィードスプロケット32はフィードスプロケット駆動モータ32Mの駆動軸にワンウェイクラッチを介して取り付けられている。このワンウェイクラッチは、フィードスプロケット駆動モータ32Mの駆動軸がフィードスプロケット32の下端を前方に移動させる方向(
図4中に示す矢印R。テープ送り方向と称する)に回転したときにはその回転をフィードスプロケット32に伝達する。また、ワンウェイクラッチは、駆動軸の回転が停止している状態では、フィードスプロケット32の駆動軸に対するテープ送り方向の自由回転を許容する。
【0023】
フィードスプロケット32とフィードスプロケット駆動モータ32Mの駆動軸との間には、駆動軸が停止した状態でフィードスプロケット32がキャリアテープ17の送り方向に回転したことを検出する回転センサ44が設けられている(
図4)。走行路41内に入ったキャリアテープ17の先頭部がフィードスプロケット32に到達すると、フィードスプロケット32の外周歯がキャリアテープ17の送り孔24に上方から係合し、フィードスプロケット32はテープ送り方向に回転させられる。このときフィードスプロケット32が一定量以上回転したことが回転センサ44によって検出されると、フィードスプロケット駆動モータ32Mはフィードスプロケット32の回転駆動を開始し、キャリアテープ17は走行路41内を前方に進行する。
【0024】
図4において、副スプロケット33と主スプロケット34は、本体部31の前方上部に、走行路41に下方から臨んで設けられている。副スプロケット33は、本体部31に設けられた副スプロケット駆動モータ33Mによって駆動され、主スプロケット34は本体部31に設けられた主スプロケット駆動モータ34Mによって駆動される。副スプロケット駆動モータ33Mは副スプロケット33の上端を前方に移動させる方向に副スプロケット33をピッチ回転させる。主スプロケット駆動モータ34Mは主スプロケット34の上端を前方に移動させる方向に主スプロケット34をピッチ回転させる。
【0025】
図4において、走行路41の途上には走行テープ検出センサ45が設けられている。走行テープ検出センサ45は、走行路41内を走行するキャリアテープ17の先頭部及び終端部が所定の基準位置(ここでは走行テープ検出センサ45が設けられた位置)を通過した状態を検出する。また、走行テープ検出センサ45は、基準位置を通過した部品収納部23の数をカウントすることにより、キャリアテープ17の先頭部の位置を検出する。
【0026】
フィードスプロケット32の回転によって走行路41内を送られてきたキャリアテープ17が上記基準位置に達したことが走行テープ検出センサ45によって検出されると、副スプロケット33が副スプロケット駆動モータ33Mによって駆動され、主スプロケット34が主スプロケット駆動モータ34Mによって駆動される。走行路41内を送られてきたキャリアテープ17が副スプロケット33に到達すると、副スプロケット33はキャリアテープ17の送り孔24に外周歯を下方から係合させてキャリアテープ17を前方へピッチ送りする。主スプロケット34は、副スプロケット33によって送られてきたキャリアテープ17の送り孔24に外周歯を下方から係合させて、キャリアテープ17を前方へピッチ送りする。
【0027】
図4及び
図7(a),(b)において、テープガイド35は本体部31の前方上部に、副スプロケット33及び主スプロケット34を上方から覆う位置に設けられている。テープガイド35の前方部分には、キャリアテープ17によって部品供給位置16Kに位置された部品PTを吸着ノズル13aによって取り出すための部品取出し開口35Kが設けられている。
【0028】
図4及び
図7(a),(b)において、剥離部材36はテープガイド35に取り付けられている。剥離部材36は、斜め下方に延びた先端部36Hを、走行路41を走行するキャリアテープ17のベーステープ21とカバーテープ22の間の位置に位置させており、副スプロケット33から主スプロケット34に向かってキャリアテープ17が送られると、ベーステープ21とカバーテープ22の間に剥離部材36の先端部36Hが進入して(割り入って)、カバーテープ22がベーステープ21から剥離される。剥離されたカバーテープ22はその幅方向に移動されながらベーステープ21とともに前方に進行し、テープガイド35の前端から排出される。
【0029】
主スプロケット34がピッチ回転してキャリアテープ17を前方に進行させると、剥離部材36によってカバーテープ22が剥離された部品収納部23が部品供給位置16Kに到達し、部品供給位置16Kに部品PTが供給される。部品供給位置16Kに供給された部品PTは、その上方に位置された吸着ノズル13aによって、部品取出し開口35Kを介して吸着(ピックアップ)される。
【0030】
このように本実施の形態において、主スプロケット34は、走行路41内のキャリアテープ17と係合して回転することにより、キャリアテープ17をピッチ送りして部品PTを所定の部品供給位置16Kに供給するようになっている。なお、キャリアテープ17が主スプロケット34によってピッチ送りされるようになったら、フィードスプロケット駆動モータ32Mによるフィードスプロケット32の回転駆動と、副スプロケット駆動モータ33Mによる副スプロケット33の回転駆動は停止される。
【0031】
図4、
図5、
図6及び
図8において、案内部37は、ブラケット部51とホイール部52を有している。ブラケット部51は本体部31に両端が支持された水平な揺動軸53によって揺動自在に支持されている。ホイール部52は、ブラケット部51に水平姿勢に取り付けられた回転軸54の回りに回転自在に取り付けられている。ホイール部52の外周には複数の抜止めピン52Pが一定間隔で設けられている。
【0032】
図6及び
図8において、ブラケット部51には水平に突出して延びた爪部56が設けられている。ブラケット部51は初期位置(
図6に示す位置)と初期位置からホイール部52を上方へ移動させた上方位置との間で揺動軸53の回りに揺動自在である。
【0033】
図5及び
図8において、本体部31の爪部56とX軸方向に対向する位置には突起部57が設けられている。ブラケット部51が初期位置に位置した状態では、爪部56と突起部57は水平方向に対向して位置する。爪部56と突起部57は、キャリアテープ17の挿入口37Kを形成する。本体部31の突起部57よりも上方の位置には、当接突起58が設けられている。
【0034】
ブラケット部51が初期位置に位置した状態で、挿入口37Kからキャリアテープ17が挿入されると、そのキャリアテープ17は爪部56と突起部57によってベーステープ21の両端部が下方から支持され、かつ案内されて、走行路41内に入る。爪部56と突起部57によってベーステープ21が支持されたキャリアテープ17は、送り孔24にホイール部52の抜止めピン52Pを係合させ、ホイール部52を回転させながら前方へ進む。
【0035】
ホイール部52は図示しないワンウェイクラッチによって、キャリアテープ17の挿入方向にのみ回転が許容される。このため、走行路41内にキャリアテープ17が入った後は、爪部56と突起部57の間のテープ通路60からキャリアテープ17を脱落させてキャリアテープ17と抜止めピン52Pとの係合を外さない限りはキャリアテープ17を走行路41から引き抜くことはできず、意図しない走行路41からのキャリアテープ17の抜けが防止される。
【0036】
図4及び
図6において、本体部31の内部であって、フィードスプロケット32の下方の位置には、押上げ部材61が設けられている。押上げ部材61は本体部31に前方斜め上方へ延びた形状に形成されたガイド溝31G内を移動自在となっている。押上げ部材61はスプリング62によって前方斜め上方へ付勢されている。押上げ部材61の上面は走行路41の一部を構成している。
【0037】
押上げ部材61は、その上面が走行路41の上面と一致する下方位置と、上面が走行路41の上面よりもキャリアテープ17の厚さ分だけ上方に突出する上方位置との間で昇降自在となっている(
図6中に示す矢印L)。押上げ部材61の上面はフィードスプロケット32と対向しており、スプリング62によって前方斜め上方へ付勢されることで、走行路41内のキャリアテープ17をフィードスプロケット32の外周歯の方へ押し上げる。
【0038】
図4及び
図6において、本体部31のフィードスプロケット32のやや前方の位置には、ストッパ部材71と待機テープ検出センサ72が設けられている。ストッパ部材71は本体部31に前端部が枢支されており、後端部側が上下方向に揺動自在となっている。ストッパ部材71の後端部には、下方に突出して延びた突起71Tが形成されている。ストッパ部材71の上下揺動動作は押上げ部材61の昇降動作と連動しており、押上げ部材61が下方位置に位置した状態では、ストッパ部材71は下方位置に位置して突起71Tを走行路41内に位置させ、押上げ部材61が上方位置に位置した状態では、ストッパ部材71は上方位置に位置して突起71Tを走行路41から退避させる。
【0039】
走行路41内を先行のキャリアテープ17(先行キャリアテープ17Aと称する)が走行している状態で、後続のキャリアテープ17(後続キャリアテープ17Bと称する)が先行キャリアテープ17Aの上面に接しながら走行路41内に入ってきた場合に、ストッパ部材71は、突起71Tを後続キャリアテープ17Bの先頭部を当接させて後続キャリアテープ17Bのそれ以上の進行を阻止し、後続キャリアテープ17Bを待機状態にする。このときフィードスプロケット32はキャリアテープ17の送り動作を開始するのに必要な量は回転せず、キャリアテープ17はフィードスプロケット32によって送られることなく、待機状態を維持する。待機テープ検出センサ72は、このようにストッパ部材71に当接して待機状態となっている後続キャリアテープ17Bを検出する。
【0040】
図5及び
図6において、案内部移動機構38は、ガイド側傘歯車81、揺動モータ82及びモータ側傘歯車83を備えている。ガイド側傘歯車81はその中心軸を揺動軸53の中心軸に一致させてブラケット部51に固定されている。揺動モータ82は本体部31に取り付けられており、モータ側傘歯車83は揺動モータ82の駆動軸に取り付けられている。モータ側傘歯車83はガイド側傘歯車81と噛合しており、揺動モータ82がモータ側傘歯車83を回転させると、これに応じて案内部37が揺動軸53回りに揺動する。
【0041】
図5及び
図6において、切断機構39は押付部材91とカッター部材92を備えている。
図6において、押付部材91は押付部材昇降シリンダ91Sによって昇降自在であり、カッター部材92はカッター部材昇降シリンダ92Sによって昇降自在である。押付部材91とカッター部材92はそれぞれ上方に延びた形状を有しており、カッター部材92の上端部は刃面92Hとなっている。押付部材91とカッター部材92は、案内部37が備えるホイール部52の揺動軸53の直下の位置に前後方向に並んで配置されている。
【0042】
図5及び
図6において、押付部材91は押付部材91と一体となって昇降するカッターストッパ91Cを備えている。カッターストッパ91Cは、カッター部材92の上端部(すなわち刃面92H)が押付部材91の上端部よりも上方に突出した量がキャリアテープ17の厚さ分に達したときに、カッター部材92と当接してカッター部材92のそれ以上の上方移動(押付部材91に対する相対的な上方移動)を規制する。
【0043】
制御部40は、キャリアテープ17について予め定められた切断予定部位が切断機構39の直上に位置したときに、その切断予定部位を切断する。切断予定部位は、キャリアテープ17上の隣接する2つの部品収納部23同士の間の任意の位置に設定されるが、通常は、部品PTを無駄にしないようにする(全ての部品PTを部品供給位置16Kに送るようにする)ため、キャリアテープ17に収納されている部品PTの列の後端に位置する部品PT(「後端部品」と称する)よりも後方の位置に切断予定部位が設定される。
【0044】
図6において、本体部31における切断機構39の後方位置には部品検出センサ93が設けられている。部品検出センサ93は、本体部31に設けられた開口部31Hから検査光を射出して、上方を通過するキャリアテープ17の部品収納部23内に部品PTが収納されているか否かを検出する。部品検出センサ93は、キャリアテープ17に収納されている部品PTの列の後端部品を検出した後は部品PTの検出信号を制御部40に出力しないことから、キャリアテープ17の後端部品を検出する後端部品検出手段として機能する。
【0045】
テープフィーダ16にキャリアテープ17を新たに取り付ける場合、作業者OPは、挿入口37Kからキャリアテープ17を挿入する。挿入口37Kから挿入されたキャリアテープ17は、ホイール部52に設けられた抜止めピン52Pに送り孔24に嵌入させながら進行し、走行路41内に入ってフィードスプロケット32と係合する。このとき押上げ部材61は上方位置に位置しており、ストッパ部材71は突起71Tを走行路41から退避させているので、キャリアテープ17は突起71Tと当接することなく押上げ部材61上を進行し、フィードスプロケット32を一定回転以上回転させる。このためフィードスプロケット32は回転を開始してキャリアテープ17を送り(
図9(a)中に示す矢印A)、キャリアテープ17は主スプロケット34に係合する。
【0046】
制御部40は、走行テープ検出センサ45からの検出情報に基づいて、キャリアテープ17が主スプロケット34と係合したことを検知したら、揺動モータ82を作動させる。これによりモータ側傘歯車83が回転し、ブラケット部51は揺動軸53の回りに揺動して(
図9(b)中に示す矢印B1)、上方位置に位置する。なお、部品PTの数をカウントして、所定数に達した場合に揺動モータ82を作動させてもよい。
【0047】
このブラケット部51の移動(揺動)によって、キャリアテープ17が爪部56によって引き上げられる(
図9(b)及び
図10(a)。
図10(a)中に示す矢印C1)。この過程でキャリアテープ17(ベーステープ21)の一端側が当接突起58に下方から当接するので、キャリアテープ17は捻じられて斜めに傾いた姿勢となり(
図10(b)→
図10(c)。及び
図9(b))、キャリアテープ17は、テープ通路60を通って下方に落下する(
図10(c)及び
図11(a)。
図10(c)中に示す矢印C2)。
【0048】
キャリアテープ17がテープ通路60を通って落下したら、制御部40はそのタイミングで揺動モータ82を作動させ、ブラケット部51を逆方向に揺動させて(
図11(a)中に示す矢印B2)、案内部37を初期位置に復帰させる。これにより挿入口37Kが開放され、案内部37から新たにキャリアテープ17を挿入できるようになる。
【0049】
このように本実施の形態では、制御部40が、案内部37を本体部31に対して移動させ、主スプロケット34と係合したキャリアテープ17のうち、案内部37に案内されている部分を案内部37から落下させて挿入口37Kを開放するようになっている。
【0050】
案内部37が初期位置に復帰したら、作業者OPは、後続キャリアテープ17Bを挿入口37Kから挿入する。挿入口37Kから挿入された後続キャリアテープ17Bは走行路41に入って走行路41内を進み、フィードスプロケット32の外周歯と係合する。このとき押上げ部材61は先行キャリアテープ17Aの厚さ分に加えて後続キャリアテープ17Bの厚さ分も下降するので、ストッパ部材71は下方に揺動し、突起71Tは後続キャリアテープ17Bの先頭部と当接する。このため後続キャリアテープ17Bはそれ以上の進行が阻止され、待機状態となる(
図11(b))。
【0051】
走行路41を走行する先行キャリアテープ17Aの終端部がストッパ部材71を超えて前方に進行すると、押上げ部材61は先行キャリアテープ17Aの厚さ分だけ上昇するのでのストッパ部材71は上方に揺動し、後続キャリアテープ17Bの進行の阻止は解除される。後続キャリアテープ17Bの待機状態が解除されたことが待機テープ検出センサ72によって検出されたら、制御部40はフィードスプロケット32を回転させる。これにより後続キャリアテープ17Bは先行キャリアテープ17Aに追随して走行路41を走行し、その後、主スプロケット34と係合する。
【0052】
走行路41内のキャリアテープ17が主スプロケット34に係合し、そのキャリアテープ17のうち案内部37に案内されている部分が落下されたら、部品検出センサ93による各部品収納部23内の部品PTの有無の検出が可能となる。制御部40は、走行テープ検出センサ45からの検出情報と部品検出センサ93からの検出情報とに基づいて、キャリアテープ17(先行キャリアテープ17A)の切断予定部位の位置がカッター部材92の直上に達した状態を検知したら、切断機構39によりキャリアテープ17を切断する。
【0053】
制御部40は、キャリアテープ17の切断を、主スプロケット34によるピッチ送りによりキャリアテープ17(先行キャリアテープ17A)の走行が一旦停止した状態となっているときに実行する。制御部40は、切断機構39によってキャリアテープ17を切断するときは、先ず、押付部材昇降シリンダ91Sを作動させて押付部材91を下方から突き上げ(
図12(a)→
図12(b))、ブラケット部51のテープ通路60を通して、キャリアテープ17をホイール部52に下方から押し付ける。そして、カッター部材昇降シリンダ92Sを作動させてカッター部材92を上昇させることにより(
図12(b)→
図13(a))、押付部材91によりホイール部52に押し付けたキャリアテープ17にカッター部材92の刃面92Hを下方から押し当てて、キャリアテープ17を切断する(
図13(a))。
【0054】
キャリアテープ17が切断されたら、制御部40は、押付部材91とカッター部材92をそれぞれもとの位置に復帰させる(
図13(b))。切断されたキャリアテープ17のうち、切断予定部位よりも終端側の部分(
図13(a),(b)中に符号17Cで示す部分)はその自重によって落下する。一方、キャリアテープ17のうち先頭側の部分(主スプロケット34によってピッチ送りされる部分)は切断された部位(元の切断予定部位)を新たな終端部としてピッチ送りが継続される。
【0055】
ここで、前述したように、押付部材91は押付部材91と一体となって昇降するカッターストッパ91Cを備えているので、押付部材91の上下方向の位置によらず、カッター部材92の刃面92Hは押付部材91よりもキャリアテープ17の厚さ分を超えて上方に突出することはない。このためキャリアテープ17が切断されても、ホイール部52がカッター部材92によって傷つけられることはない。
【0056】
また、キャリアテープ17(先行キャリアテープ17A)が案内部37から落下された後、後続キャリアテープ17Bが案内部37に挿入されている状態で先行キャリアテープ17Aを切断する場合には(
図14(a))、後続キャリアテープ17Bが挿入口37Kに挿入された状態のままで、切断機構39は上記と同様の手順で作動する。すなわち、制御部40は、押付部材昇降シリンダ91Sを作動させて押付部材91を下方から突き上げ(
図14(a)→
図14(b)、先行キャリアテープ17Aをホイール部52に下方から押し付ける。このとき押付部材91は後続キャリアテープ17Bごと先行キャリアテープ17Aをホイール部52に押し付ける。
【0057】
先行キャリアテープ17Aをホイール部52に押し付けたら、制御部40はカッター部材昇降シリンダ92Sを作動させてカッター部材92を上昇させ(
図14(b)→
図15(a))、ホイール部52に押し付けた先行キャリアテープ17Aにカッター部材92の刃面92Hを押し当てて、先行キャリアテープ17Aを切断する(
図15(b))。このとき、カッター部材92の刃面92Hは押付部材91よりもキャリアテープ17の厚さ分を超えて上方に突出することはないので、先行キャリアテープ17Aが切断されても後続キャリアテープ17Bがカッター部材92によって切断されることはない。先行キャリアテープ17Aが切断されたら、制御部40は、押付部材91とカッター部材92をそれぞれもとの位置に復帰させる(
図15(b))。
【0058】
以上説明したように、本実施の形態におけるテープフィーダ16では、キャリアテープ17が走行路41の所定の位置(走行テープ検出センサ45が設けられた位置)を通過したこと(通過した状態)を検出する検出部としての走行テープ検出センサ45を備えており、その走行テープ検出センサ45の検出結果に基づいて、制御部40が案内部移動機構38を制御して案内部37を移動させ、主スプロケット34と係合したキャリアテープ17のうち、案内部37に案内されている部分を案内部37から落下させて挿入口37Kを開放するので、後続キャリアテープ17Bを挿入口37Kから挿入できるようになる。これにより作業者OPは、自ら後続キャリアテープ17Bの挿入のために先行キャリアテープ17Aを案内部37から落下させる作業を行う必要がなく、キャリアテープ17の状況監視の負担が軽減される。また、このように、キャリアテープ17が自動で案内部37から落下されるため、作業者OPは、キャリアテープ17が案内部37から落下した状態を視認することで、テープフィーダ16が後続キャリアテープ17Bを挿入してよい状態になっていることを確認できるので、誤った時期に後続キャリアテープ17Bを挿入してしまうおそれがない。
【0059】
また、これにより、テープフィーダ16による部品PTの供給が確実に行われるようになり。このため、部品実装装置3により基板PBに部品PTを実装する効率を向上させることができ、部品実装ライン1により製造される実装基板JKの生産効率を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
作業者によるキャリアテープの状況監視の負担を軽減できるテープフィーダ及び実装基板の製造方法を提供する。
【符号の説明】
【0061】
16 テープフィーダ
17 キャリアテープ
31 本体部
34 主スプロケット
37 案内部
37K 挿入口
38 案内部移動機構
39 切断機構
40 制御部
41 走行路
45 走行テープ検出センサ(検出部)
56 爪部
PB 基板
JK 実装基板
PT 部品