(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理装置、及び方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0251 20230101AFI20230414BHJP
G06Q 30/0242 20230101ALI20230414BHJP
【FI】
G06Q30/0251
G06Q30/0242
(21)【出願番号】P 2022093990
(22)【出願日】2022-06-09
【審査請求日】2023-02-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年5月31日に、井本悠樹、片田亜莉紗、上田芳治、鈴木聡一郎、垰田昌宏、佐藤美華、及び青野紳三郎が、ネスレ日本株式会社に対する営業活動において、青野紳三郎が発明したプログラム、情報処理装置、及び方法について公開した。令和4年6月2日に、井本悠樹、大沼広明、廣瀬大樹、及び垰田昌宏が、ユニ・チャーム株式会社に対する営業活動において、青野紳三郎が発明したプログラム、情報処理装置、及び方法について公開した。令和4年6月6日に、井本悠樹、片田亜莉紗、及び上田芳治が、シック・ジャパン株式会社に対する営業活動において、青野紳三郎が発明したプログラム、情報処理装置、及び方法について公開した。令和4年6月8日に、井本悠樹、及び大沼広明が、UCC上島珈琲株式会社に対する営業活動において、青野紳三郎が発明したプログラム、情報処理装置、及び方法について公開した。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517442661
【氏名又は名称】株式会社フェズ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】青野 紳三郎
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-091054(JP,A)
【文献】特開2022-016146(JP,A)
【文献】特開2018-005900(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0059707(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
複数のユーザが購入した商品の商品情報と、前記複数のユーザのそれぞれのユーザ端末を識別する識別情報とが対応付けられた購入情報を取得する購入情報取得処理と、
前記複数のユーザそれぞれの属性に応じて前記複数のユーザが分類されて前記識別情報に関連付けられる複数のセグメントのうち、前記商品に関連する第1広告を表示したユーザ端末のユーザが属する前記複数のセグメントを示すセグメント情報を取得するセグメント情報取得処理と、
前記識別情報に基づいて、前記購入情報と前記セグメント情報とを対応づけ、前記複数のセグメントにおける前記第1広告の効果を示す効果情報を生成する効果情報生成処理と、
前記効果情報と前記効果に対する所定の条件とに基づいて、前記複数のセグメントのうち、前記商品に関連する第2広告が有効である有効セグメントを特定するセグメント特定処理と、
を実行させる、プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のプログラムであって、
前記効果情報は第1効果情報であり、
前記コンピュータに、
前記効果情報及び前記有効セグメントに基づいて、前記有効セグメントに分類される前記複数のユーザのそれぞれの前記ユーザ端末に対して前記第2広告を表示させる場合の、前記第2広告の効果を示す第2効果情報を推定する、効果情報推定処理、
をさらに実行させる、プログラム。
【請求項3】
請求項2に記載のプログラムであって、
前記セグメント特定処理は、前記第1効果情報及び前記所定の条件に基づいて、前記複数のセグメントのうち、前記有効セグメントより前記効果が小さい非有効セグメントをさらに特定し、
前記効果情報推定処理は、前記第1効果情報、前記有効セグメント、及び前記非有効セグメントに基づいて、前記第2効果情報を生成する、プログラム。
【請求項4】
請求項2に記載のプログラムであって、
前記効果は第1効果であり、
前記第2効果情報には、
前記有効セグメントに分類される前記複数のユーザのそれぞれの前記ユーザ端末に対して前記第2広告を表示させる場合の前記第2広告の第2効果が推定された第1推定効果と、
前記有効セグメントに分類されない前記複数のセグメントを含む比較セグメントに分類される前記複数のユーザのそれぞれの前記ユーザ端末に対して前記第2広告が表示された場合の前記第2効果が推定された第2推定効果との比較を示す比較情報が含まれる、プログラム。
【請求項5】
請求項2に記載のプログラムであって、
前記第2効果情報には、前記複数のセグメントの少なくとも1つに属するユーザの数に対する前記有効セグメントに属するユーザの数の割合を示す割合情報が含まれ、
前記効果情報推定処理は、前記複数のユーザのうち第1ユーザが複数の前記有効セグメントに分類される場合に、前記有効セグメントに属するユーザの数を、前記第1ユーザを重複して数えずに算出して前記第2効果情報を推定する、プログラム。
【請求項6】
請求項1に記載のプログラムであって、
前記効果情報は、前記第1広告を表示した前記ユーザ端末のユーザ数に対する前記商品を購入したユーザ数の割合である第1購買率を含む、プログラム。
【請求項7】
請求項1に記載のプログラムであって、
前記購入情報は、前記商品の購入個数を含み、
前記効果情報は、前記第1広告を表示したユーザ端末のユーザが購入した前記商品の総数に対する前記購入個数の割合である第2購買率を含む、プログラム。
【請求項8】
請求項1に記載のプログラムであって、
前記購入情報は、前記商品の購入金額を含み、
前記効果情報は、前記複数のセグメントのそれぞれに分類されるユーザの一人当たりの購入金額を含む、プログラム。
【請求項9】
請求項1に記載のプログラムであって、
前記効果情報は、前記複数のセグメントのそれぞれのセグメントに分類されるユーザの数が、前記複数のセグメントに分類されるユーザの総数に対して占める割合を含む、プログラム。
【請求項10】
請求項1に記載のプログラムであって、
前記商品情報は第1商品情報であり、前記セグメント情報は第1セグメント情報であり、
前記コンピュータに、
前記複数のユーザが購入した、前記第1広告に関連付けられない第2商品の第2商品情報と、前記第2商品を購入したユーザが属する前記複数のセグメントを示す第2セグメント情報とを参照情報として取得する参照情報取得処理、をさらに実行させ、
前記効果情報生成処理は、前記購入情報と前記参照情報とに基づいて生成される、前記第1広告の前記商品の売り上げへの寄与度を示す情報を含む前記効果情報を生成する、プログラム。
【請求項11】
請求項1に記載のプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記購入情報に基づいて、前記複数のユーザそれぞれの分類を示すラベル情報を生成する分類処理と、
前記セグメント情報及び前記ラベル情報に基づいて、前記セグメント情報と前記ラベル情報との対応を示す対応情報を生成する、対応情報生成処理と、をさらに実行させる、プログラム。
【請求項12】
複数のユーザが購入した商品の商品情報と、前記複数のユーザのそれぞれのユーザ端末を識別する識別情報とが対応付けられた購入情報を取得する購入情報取得部と、
前記複数のユーザそれぞれの属性に応じて前記複数のユーザが分類されて前記識別情報に関連付けられる複数のセグメントのうち、前記商品に関連する第1広告を表示したユーザ端末のユーザが属する前記複数のセグメントを示すセグメント情報を取得するセグメント情報取得部と、
前記識別情報に基づいて、前記購入情報と前記セグメント情報とを対応づけ、前記複数のセグメントにおける前記第1広告の効果を示す効果情報を生成する効果情報生成部と、
前記効果情報と前記効果に対する所定の条件とに基づいて、前記複数のセグメントのうち、前記商品に関連する第2広告が有効である有効セグメントを特定するセグメント特定部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項13】
コンピュータが、
複数のユーザが購入した商品の商品情報と、前記複数のユーザのそれぞれのユーザ端末を識別する識別情報とが対応付けられた購入情報を取得することと、
前記複数のユーザそれぞれの属性に応じて前記複数のユーザが分類されて前記識別情報に関連付けられる複数のセグメントのうち、前記商品に関連する第1広告を表示したユーザ端末のユーザが属する前記複数のセグメントを示すセグメント情報を取得することと、
前記識別情報に基づいて、前記購入情報と前記セグメント情報とを対応づけ、前記複数のセグメントにおける前記第1広告の効果を示す効果情報を生成することと、
前記効果情報と前記効果に対する所定の条件とに基づいて、前記複数のセグメントのうち、前記商品に関連する第2広告が有効である有効セグメントを特定することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理装置、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットなどのネットワークを通して消費者に配信される広告が、消費者の購買行動にどの程度影響を与えるのかを評価することは、広告主の広告活動のために重要である。
【0003】
特許文献1には、広告と購買行動の対応をより正確に把握するための広告分析装置が示される。特許文献1に記載の広告分析装置では、ネットワーク上で広告を閲覧するユーザを特定する閲覧用IDと、店舗で商品を購入する際にユーザを特定する購入用IDとの対応に基づいて、ネットワークでのユーザの広告閲覧履歴と、店舗での商品購買履歴との対応を把握する。特許文献1に記載の装置によると、広告を出した後に、広告と購買行動との対応付けを行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
広告方法の一つに、ある消費者のグループ(セグメント)を対象に広告を提供するターゲティング広告という方法がある。ターゲティングを適切に行うことで、より消費者による購買へと繋がるように広告を提供することができる。特許文献1に記載の装置では、広告を出した後の広告と購買行動の対応付けを行うことは可能であるものの、広告の提供前において、どのセグメントへの広告が購買行動を促進し得る有効なセグメントであるのかを判断することは難しい。広告を出す対象となるセグメントが十分に絞り込まれない場合、広告主の広告費用は増加する。また、広告主をサポートする広告プランナーにとっても、広告主へのよりよい提案を行うことが難しくなる。
【0006】
そこで、本発明は、広告が有効であるセグメントを正確に特定することができるプログラム、情報処理装置、及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、複数のユーザが購入した商品の商品情報と、複数のユーザのそれぞれのユーザ端末を識別する識別情報とが対応付けられた購入情報を取得する購入情報取得処理と、複数のユーザそれぞれの属性に応じて複数のユーザが分類されて識別情報に関連付けられる複数のセグメントのうち、商品に関連する第1広告を表示したユーザ端末のユーザが属する複数のセグメントを示すセグメント情報を取得するセグメント情報取得処理と、識別情報に基づいて、購入情報とセグメント情報とを対応づけ、複数のセグメントにおける第1広告の効果を示す効果情報を生成する効果情報生成処理と、効果情報と効果に対する所定の条件とに基づいて、複数のセグメントのうち、商品に関連する第2広告が有効である有効セグメントを特定するセグメント特定処理と、を実行させる。
【0008】
この態様によれば、商品情報と、商品を購入したユーザと、第1広告を表示したユーザのセグメントとの対応付けが可能となる。効果情報生成処理によって、購入情報が考慮されて第1広告の効果を示す効果情報が生成される。効果情報と所定の条件に基づいて、複数のセグメントの中から同じ商品に関連する第2広告が有効なセグメントが特定される。有効セグメントは、実際の購買活動を示す購入情報に基づく第1広告の効果に基づいて特定されるので、同じ商品に関連する第2広告が有効であるセグメントを正確に特定することができる。
【0009】
上記態様において、プログラムは、コンピュータに、効果情報及び有効セグメントに基づいて、有効セグメントに分類される複数のユーザのそれぞれのユーザ端末に対して第2広告を表示させる場合の、第2広告の効果を示す第2効果情報を推定する、効果情報推定処理、をさらに実行させてもよい。
【0010】
正確に特定された第2広告が有効であるセグメントに対して、第2広告を表示させた場合の効果を示す第2効果情報を推定することで、コンピュータのユーザ(広告主や広告プランナー等)が、第2効果情報を参照しつつ、どのセグメントへ広告を出すかを判断できるようになる。これにより、コンピュータのユーザの広告に関する判断が行われやすくなる。
【0011】
上記態様において、セグメント特定処理は、第1効果情報及び所定の条件に基づいて、複数のセグメントのうち、有効セグメントより効果が小さい非有効セグメントをさらに特定し、効果情報推定処理は、第1効果情報、有効セグメント、及び非有効セグメントに基づいて、第2効果情報を生成する、プログラム。
【0012】
有効なセグメントを特定するのみならず、効果が小さい非有効セグメントを特定することで、例えば、コンピュータのユーザが、効果が有効と非有効の中間にあるセグメントを含めて、第2広告を出すか否かを判断するようにできるので、ユーザの広告に関する判断が行われやすくなる。
【0013】
上記態様において、第2効果情報には、有効セグメントに分類される複数のユーザのそれぞれのユーザ端末に対して第2広告を表示させる場合の第2広告の効果が推定された第1推定効果と、有効セグメントに分類されない複数のセグメントを含む比較セグメントに分類される複数のユーザのそれぞれのユーザ端末に対して第2広告が表示された場合の第2広告の効果が推定された第2推定効果との比較を示す比較情報が含まれてもよい。
【0014】
比較情報をコンピュータのユーザに示すことによって、ユーザは有効セグメントの評価をより行いやすくなる。よって、ユーザの広告に関する判断が行われやすくなる。
【0015】
上記態様において、第2効果情報には、複数のセグメントの少なくとも1つに属するユーザの数に対する有効セグメントに属するユーザの数の割合を示す割合情報が含まれ、効果情報推定処理は、複数のユーザのうち第1ユーザが複数の有効セグメントに分類される場合に、有効セグメントに属するユーザの数を、第1ユーザを重複して数えずに算出して第2効果情報を推定してもよい。
【0016】
これにより、第2効果情報の推定において、第1ユーザの購買行動が重複して考慮されないようにできる。よって、第1ユーザの影響が第2効果情報に大きい影響を与えることを避けつつ、有効セグメントを特定できる。したがって、第2広告が有効であるセグメントをより正確に特定することができる。
【0017】
上記態様において、効果情報は、第1広告を表示したユーザ端末のユーザ数に対する商品を購入したユーザ数の割合である第1購買率を含んでもよい。
【0018】
上記態様において、購入情報は、商品の購入個数を含み、効果情報は、第1広告を表示したユーザ端末のユーザが購入した商品の総数に対する購入個数の割合である第2購買率を含んでもよい。
【0019】
第1購買率又は第2購買率をコンピュータのユーザに示すことによって、ユーザは有効セグメントの評価をより行いやすくなる。よって、ユーザの広告に関する判断が行われやすくなる。
【0020】
上記態様において、購入情報は、商品の購入金額を含み、効果情報は、複数のセグメントのそれぞれに分類されるユーザの一人当たりの購入金額を含んでもよい。
【0021】
一人当たりの購入金額をコンピュータのユーザに示すことによって、ユーザは有効セグメントの評価をより行いやすくなる。よって、ユーザの広告に関する判断が行われやすくなる。
【0022】
上記態様において、効果情報は、複数のセグメントのそれぞれのセグメントに分類されるユーザの数が、複数のセグメントに分類されるユーザの総数に対して占める割合を含んでもよい。
【0023】
セグメントの割合をコンピュータのユーザに示すことによって、ユーザは有効セグメントの評価をより行いやすくなる。よって、ユーザの広告に関する判断が行われやすくなる。
【0024】
上記態様において、商品情報は第1商品情報であり、セグメント情報は第1セグメント情報であり、コンピュータに、複数のユーザが購入した、第1広告に関連付けられない第2商品の第2商品情報と、第2商品を購入したユーザが属する複数のセグメントを示す第2セグメント情報とを参照情報として取得する参照情報取得処理、をさらに実行させ、効果情報生成処理は、購入情報と参照情報とに基づいて生成される、第1広告の商品の売り上げへの寄与度を示す情報を含む効果情報を生成してもよい。
【0025】
第2商品の購入情報を含めて効果情報を生成することで、コンピュータのユーザが第1広告の効果をより正確に把握することが可能となる。よって、ユーザの広告に関する判断が行われやすくなる。
【0026】
上記態様において、コンピュータに、購入情報に基づいて、複数のユーザそれぞれの分類を示すラベル情報を生成する分類処理と、セグメント情報及びラベル情報に基づいて、セグメント情報とラベル情報との対応を示す対応情報を生成する、対応情報生成処理と、をさらに実行させてもよい。
【0027】
購入情報に基づいて生成されるラベル情報にセグメント情報を対応付けるようにすることで、セグメント情報のみでは十分な分類がされない、複数のユーザそれぞれの分類をセグメント情報に関連付けることができる。これにより、例えば、ラベル情報に基づいて、セグメント情報を選択することが可能となり、第2広告が有効であるセグメントをより正確に特定するようにできる。
【0028】
本発明の他の態様に係る情報処理装置は、複数のユーザが購入した商品の商品情報と、複数のユーザのそれぞれのユーザ端末を識別する識別情報とが対応付けられた購入情報を取得する購入情報取得部と、複数のユーザそれぞれの属性に応じて複数のユーザが分類されて識別情報に関連付けられる複数のセグメントのうち、商品に関連する第1広告を表示したユーザ端末のユーザが属する複数のセグメントを示すセグメント情報を取得するセグメント情報取得部と、識別情報に基づいて、購入情報とセグメント情報とを対応づけ、複数のセグメントにおける第1広告の効果を示す効果情報を生成する効果情報生成部と、効果情報と効果に対する所定の条件とに基づいて、複数のセグメントのうち、商品に関連する第2広告が有効である有効セグメントを特定するセグメント特定部と、を備える。
【0029】
本発明の他の態様に係る方法は、コンピュータが、複数のユーザが購入した商品の商品情報と、複数のユーザのそれぞれのユーザ端末を識別する識別情報とが対応付けられた購入情報を取得することと、複数のユーザそれぞれの属性に応じて複数のユーザが分類されて識別情報に関連付けられる複数のセグメントのうち、商品に関連する第1広告を表示したユーザ端末のユーザが属する複数のセグメントを示すセグメント情報を取得することと、識別情報に基づいて、購入情報とセグメント情報とを対応づけ、複数のセグメントにおける第1広告の効果を示す効果情報を生成することと、効果情報と効果に対する所定の条件とに基づいて、複数のセグメントのうち、商品に関連する第2広告が有効である有効セグメントを特定することと、を含む。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、広告が有効であるセグメントを正確に特定することができるプログラム、情報処理装置、及び方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本実施形態に係る広告評価システムの概略図である。
【
図2】本実施形態に係る広告評価システムの処理の概略を説明する図である。
【
図3】本実施形態に係る広告評価システムの各装置のブロック図である。
【
図4】本実施形態に係る購入情報管理システムに記憶される情報の一例である。
【
図5】本実施形態に係る広告情報管理システムに記憶される情報の一例である。
【
図6】本実施形態に係る購入情報の更新処理を説明する図である。
【
図7】本実施形態に係る広告の評価及び効果の推定の処理を説明する図である。
【
図15】本実施形態に係る推定効果画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0033】
図1は、本実施形態に係る広告評価システム10の概略を示すブロック図である。広告評価システム10は、広告評価装置101、購入者端末201、購入情報管理システム301、広告情報管理システム401、及び評価者端末501を備える。なお、
図1では、簡略化のために、購入者端末201が1つしか示されていないが、実際には、複数の購入者端末が存在する。
【0034】
広告評価システム10は、広告評価装置101が、広告評価装置101とネットワークNを通じて通信可能に接続される購入情報管理システム301、広告情報管理システム401、評価者端末501との間で情報処理を行い、購入者端末201に表示される広告の効果を評価する情報処理システムである。
【0035】
ネットワークNは、例えば、インターネット、携帯電話網といったネットワーク、LAN(Local Area Network)、あるいはこれらを組み合わせたネットワークにより実現される。
【0036】
広告評価装置101は、所定のプログラムを実行することによって所定の処理を行うコンピュータを有するサーバ装置である。
【0037】
購入者端末201は、例えば、広告の閲覧や商品の購入を行う者(ユーザ)が使用する情報処理装置であり、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。
【0038】
購入情報管理システム301は、例えば、商品を販売する小売店等によって管理される、売上管理システムである。購入情報管理システム301は、例えば、店頭で代金精算を行う機能を有する端末(ポイントオブセールス端末,精算アプリケーションがインストールされたスマートフォン,タブレット端末等)と当該端末に接続されるサーバによって構成される情報処理システムである。あるいは、購入情報管理システム301は、インターネット上の電子商取引サイト(ECサイト)を管理するサーバ等を含む情報処理システムであってもよい。
【0039】
広告情報管理システム401は、例えば、ネットワークNを通じた広告の提供を管理する。広告情報管理システム401は、例えば、アドネットワークを管理して、ネットワークNを通じて配信される画面内の広告枠に対して広告を表示させるサーバ等の情報処理システムである。あるいは、広告情報管理システム401は、例えば、DSP(Demand Side Platform)及びSSP(Supply Side Platform)を通じて、ネットワークNを通じて購入者端末201の画面(例えばウェブページやアプリ)内の広告枠に広告を表示させるサーバ等の情報処理システムである。
【0040】
また、広告情報管理システム401は、広告を表示した購入者端末201のそれぞれを識別する識別情報を管理する。識別情報は、例えば、広告識別子(広告ID)である。広告識別子とは、広告用に端末を一意に識別するための情報である。
【0041】
広告情報管理システム401は、広告識別子をある1人のユーザとみなして、当該ユーザを年齢等の属性や趣味などに応じたグループに分類する。例えば、広告情報管理システム401は、ユーザの性別、年齢、収入等のデモグラフィックデータや、ユーザの趣味・嗜好等の心理的側面に関するサイコグラフィックデータ等に基づいて、広告識別子を、デモグラフィックデータやサイコグラフィックデータ等に応じて区分されるグループに関連付ける。デモグラフィックデータやサイコグラフィックデータ等に応じたグループをセグメントという。広告情報管理システム401は、選択されたセグメントに対して、所定の広告を提供するようなターゲット広告を提供することができる。
【0042】
評価者端末501は、例えば、広告主又は広告主の広告提供をサポートする広告プランナーが使用する情報処理装置であり、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。
【0043】
図2を参照して、広告評価システム10による情報処理の概要について説明する。
【0044】
ステップ(A)において、ある商品Pに対するプロモーションのための施策Cが決定される。施策Cには、例えば商品Pの広告ADを含む少なくとも1つの広告が関連付けられる。施策Cに関する情報は、例えば、購入情報管理システム301の施策情報DBに記憶される。
【0045】
ステップ(B)において、施策Cと広告ADの情報とが広告情報管理システム401に記憶される。施策Cと広告ADの情報は、広告情報管理システム401の広告表示情報DBに記憶される。なお、施策Cと広告ADの情報は、購入情報管理システム301に記憶されたこれらの情報が広告情報管理システム401にアップロードされてもよく、広告情報管理システム401に記憶されたこれらの情報が購入情報管理システム301にダウンロードされてもよい。
【0046】
ステップ(C)において、広告情報管理システム401を通じて、購入者端末201に対して広告ADが配信される。広告ADは、例えば、購入者端末201に相当する端末D1がウェブブラウザを起動している際に、ウェブブラウザに表示されるウェブページに設けられる広告枠ADSに表示される。なお、広告枠ADSは、ウェブページ内に限らず、購入者端末201で実行される様々なアプリケーションの表示領域内に設けられる。広告ADを表示した端末の広告識別子は、広告情報管理システム401に記憶される。例えば、
図2では、広告表示情報DBにおいて、施策Cにおける広告ADを表示した端末の広告識別子として、端末D1の広告識別子及び端末D2の広告識別子(図中では「端末D1」、「端末D2」と記載されている。)が施策C及び広告ADに対応付けられて記憶される。
【0047】
ステップ(D)において、端末D1のユーザUが、端末D1に表示された広告ADを閲覧する。
【0048】
広告ADがユーザの購買行動に寄与した場合、ステップ(E)においてユーザが商品Pを購入する。商品Pが購入される場合、広告主(販売者)は、例えば、端末D1に記憶される専用アプリケーションを通じて、端末D1の広告識別子を取得する。例えば、購入金額や回数等に応じたポイント付与を管理するアプリケーションを通じて、端末D1に2次元バーコード等が表示される店舗端末MDによって当該2次元バーコードが読み取られることにより、端末D1の広告識別子が取得される。なお、店舗端末MDとは、店頭で代金精算を行う機能を有する端末である。
【0049】
ステップ(F)において、商品Pを示す情報と、購入したユーザの端末の広告識別子と、商品Pの売上を示す情報とを含む購入情報が、ネットワークを通じて、店舗端末MDから購入情報管理システム301に送信される。送信された情報は、購入情報管理システム301の購入情報DBに記憶される。なお、例えば、ユーザUが端末D1を操作し、専用アプリケーション若しくはウェブブラウザを用いて、ECサイトを通じて商品Pを購入する場合は、購入情報管理システム301が直接的に端末D1から広告識別子を取得してもよい。また、商品Pの情報及び売り上げの情報も店舗端末MDを介さずに取得されてもよい。
【0050】
例えば、
図2では、購入情報DBには、商品Pが、広告識別子「端末D1」及び「端末D2」で識別される端末によって購入され、それぞれの売り上げは「売上X」、「売上Y」である場合の例が示される。
【0051】
ステップ(A)から(F)までの処理によって、広告ADを閲覧したユーザが実際に商品Pを購入したことが記憶される。
【0052】
次に、評価者端末501は、広告評価装置101及び購入情報管理システム301と通信を行い、広告ADの評価を行う。ステップ(G)において、評価者端末501は、購入情報管理システム301から、購入情報DBに記憶される購入情報と施策情報DBに記憶される施策情報を取得する。
【0053】
ステップ(H)において、評価者端末501は、広告評価装置101に対して、施策情報をアップロードする。
【0054】
ステップ(I)において、広告評価装置101は、広告情報管理システム401にアクセスし、施策情報及び購入情報DBに記憶される広告識別子に基づいて特定される、購入情報DBに記憶される広告識別子のうち、広告ADを表示した端末の広告識別子に関連付けられるセグメント情報のリクエストを送信する。このとき、セグメント情報に加えて、広告ADを表示した端末の広告識別子を合わせて取得してもよい。
【0055】
ステップ(J)において、広告情報管理システム401から広告評価装置101に、広告ADを表示した端末の広告識別子に関連付けられるセグメント(セグメント情報)が送信される。広告評価装置101によって取得されるセグメント情報は、広告ADを表示の上、商品Pの購入に用いられた端末の広告識別子に関連付けられるセグメントを含む。このセグメントは、広告情報管理システム401において、購入情報DBに記憶される広告識別子と、広告ADを表示した端末の広告識別子とが突合されることで特定される。
【0056】
広告評価装置101は、購入情報及びセグメント情報に基づいて、セグメント別の売上を集計することができる。これにより、各セグメントに対する広告の効果が算出される。例えば、セグメントS1に対する広告の効果を測定するために、セグメント情報においてセグメントS1に関連付けられる端末の広告識別子が抽出される。次に、抽出された広告識別子に基づいて、購入情報における商品Pの売り上げが特定され、効果が算出される。
図2の例では、セグメントS1には、セグメント情報においてセグメントS1に関連付けられている端末D1の売上Xが関連付けられる。セグメントS1の売上Xに基づいて、セグメントS1に対する広告ADの効果Pが算出される。同様に、セグメントS2,S3に対しても効果Q,Rがそれぞれ算出される。
【0057】
ステップ(K)において、広告評価装置101は、広告ADの効果に基づいて、各セグメントの評価を示す評価情報を評価者端末501に送信する。評価情報には、例えば、効果が所定の条件を満たすセグメントが有効セグメントであるとする情報が含まれる。
図2では、セグメントS1が有効セグメントとされる一例が示される。
【0058】
広告評価システム10では、商品Pの購入情報に広告識別子を含めることで、実際に商品Pを購入した端末の広告識別子でありかつ広告ADを表示した端末の広告識別子を特定することができる。この特定された広告識別子に関連付けられるセグメントに対して、広告ADの効果を測定することで、広告ADが有効なセグメントが特定される。
【0059】
広告評価システム10は、例えば、以下のように活用される。ここでは、広告ADを用いたプロモーションが2回行われるとする。1回目のプロモーションでは、セグメントの選択が行われず、任意のセグメントに対して広告ADが提供される。この時、広告ADの提供のための予算は少額とし、広告活動は小規模に行われる。その後、広告主や広告プランナー等は、広告評価システム10を用いて、広告ADが有効であるセグメントを特定する。2回目のプロモーションでは、有効であるセグメントにターゲティングし、広告を提供する。これにより、購買が促進されやすいセグメントや、新たに発見されたセグメントに対して広告を提供することができる。
【0060】
なお、広告が有効であると特定された有効セグメントは、必ずしも、広告ADと同じ広告に対する評価を示すものではない。例えば、商品Pに対する広告AD1(第1広告)への評価によって有効セグメントが特定された場合、その有効セグメントは同様の商品Pに関する広告AD2(第2広告)も有効なセグメントとして見ることができる。例えば、上記の例においては、1回目のプロモーションで使用される広告ADは、必ずしも2回目のプロモーションで使用される必要はなく、同様の商品に関する広告であれば他の広告を使用してもよい。
【0061】
また、広告評価システム10は、ステップ(I)の処理による広告情報管理システム401へのセグメント情報のリクエストを送信するステップを省略してもよい。この場合、広告情報管理システム401から、リクエストなしに、広告ADを表示した端末の広告識別子に関連付けられるセグメント情報が取得される。つまり、広告情報管理システム401のセグメント情報の提供方法に応じて、ステップ(I)の処理の要否が変わる。例えば、広告情報管理システム401が広告評価装置101からのリクエストを要求せず、セグメント情報を任意のタイミングで広告評価装置101に送信してもよい。また、この場合も広告ADを表示した端末の広告識別子を合わせて取得する。この場合、広告ADの表示のみを行った端末の広告識別子に関連付けられるセグメント、及び広告ADを表示の上、商品Pの購入に用いられた端末の広告識別子に関連付けられるセグメントがセグメント情報として取得される。広告評価装置101は、購入情報DBに記憶される広告識別子と広告ADを表示した端末の広告識別子とを突合し、広告ADを表示の上、商品Pの購入に用いられた端末の広告識別子に関連付けられるセグメントを特定する。
【0062】
図2及び以降の実施形態では、購入情報管理システム301では、購入情報DBと施策情報DBとは分離されて設けられているが、これらは1つのデータベースで一元的に管理されてもよい。また、広告情報管理システム401では、広告表示情報DBとセグメントDBとは分離されて設けられているが、これらは1つのデータベースで一元的に管理されてもよい。
【0063】
図3を参照して、広告評価装置101、購入者端末201、購入情報管理システム301、広告情報管理システム401、及び評価者端末501の構成について説明する。広告評価装置101、購入者端末201、購入情報管理システム301、広告情報管理システム401、及び評価者端末501の各部は、それぞれの端末、装置又はシステムにおいて、メモリ等の記憶領域を用いたり、記憶領域に格納されたプログラムをプロセッサが実行したりすることによって、実現することができる。
【0064】
広告評価装置101について説明する、広告評価装置101は、記憶部1011、通信部1012、購入情報取得部1013、セグメント情報取得部1014、効果情報生成部1015、セグメント特定部1016、効果情報推定部1017、参照情報取得部1018、分類部1019、及び対応情報生成部1020を有する。
【0065】
記憶部1011は、広告評価装置101での処理に用いられる各種の情報を記憶する。
【0066】
通信部1012は、広告評価装置101によるネットワークNを通じた、購入情報管理システム301、広告情報管理システム401、及び評価者端末501を含む外部との間の通信を制御する。
【0067】
購入情報取得部1013は、複数のユーザが購入した商品の商品情報と、複数のユーザのそれぞれのユーザ端末を識別する識別情報とが対応付けられた購入情報を取得する。購入情報取得部1013は、例えば、評価者端末501を通じて、購入情報管理システム301に記憶されている購入情報を取得する。あるいは、購入情報取得部1013は、購入情報管理システム301と直接通信し、購入情報管理システム301に記憶されている購入情報を取得してもよい。
【0068】
図4には、購入情報管理システム301における購入情報の一例が示される。購入情報は、購入情報管理システム301の記憶部3011における購入情報DB3012に記憶される。購入情報は、「商品名」、「商品ID」、「商品単価」、「購入個数」、及び「広告識別子」の項目を有する。
【0069】
「商品名」の項目には、商品の名称が記憶される。「商品ID」の項目には、個々の商品を識別する情報が記憶される。商品IDは、例えば、GTIN(Global Trade Item Number)であり、事業者及び商品を識別するコードである。日本では、JANコード(Japanese Article Number)が用いられる。「商品単価」の項目には、商品の単価が記憶される。例えば、
図3の例では、商品IDが「X…11」の商品Pの商品単価は3,100円であり、商品IDが「Y…11」の商品Qの商品単価は2,500円である。「購入個数」の項目には、ユーザが購入した商品の個数が記憶される。「広告識別子」の広告には、商品の購入の際に取得された広告識別子が記憶される。
図3の例では、広告識別子「D001」で識別されるユーザが、商品Pを2つ購入し、広告識別子「D002」で識別されるユーザが、商品Pを1つ購入したこと等が記憶される。なお、購入情報DB3011に記録される購入情報には、それぞれの購入における購入金額の合計値が記憶されていてもよい。
【0070】
また、記憶部3011には、施策情報DB3013において、商品と商品の販促のための施策とを示す情報が施策情報として記憶される。施策情報は、「施策名」、「施策ID」、及び「対象商品」の項目を有する。「施策名」及び「施策ID」の項目には、施策の名称及び施策を識別する情報が記録される。「対象商品」の項目には、施策にて広告する対象となる商品の情報が記憶される。この項目には、例えば商品名が記憶されてもよく、商品IDが記憶されてもよい。「対象広告」の項目には、例えば広告名が記憶される。
図4の例では、「施策名」がキャンペーンAであり、「施策ID」がCP001である施策が、「対象商品」である商品Pのプロモーションのために設けられる。キャンペーンAでは、「対象広告」として広告A及び広告Bを含む広告が使用される。
【0071】
セグメント情報取得部1014は、評価者端末501を通じて、施策情報をさらに取得し、施策情報に基づいて、複数のセグメントのうち、商品に関連する広告を表示したユーザ端末のユーザが属する前記複数のセグメントを示すセグメント情報を取得する。具体的には、セグメント情報取得部1014は、購入情報に含まれる広告識別子に基づいて、広告情報管理システム401に記憶されるセグメント情報を参照し、商品を購入したユーザの端末であり、かつ商品に関する広告を表示した端末の広告識別子に関連付けられるセグメントを取得する。なお、セグメント情報取得部1014は、購入情報管理システム301と直接通信し、購入情報管理システム301に記憶されている施策情報を取得してもよい。
【0072】
図5には、広告情報管理システム401に記憶される広告表示情報及びセグメント情報の一例が示される。広告表示情報は、「施策名」、「施策ID」、「対象広告」、及び「広告識別子」の項目を有する。「施策名」及び「施策ID」の項目には、施策情報DB3013に記憶される情報と同様の情報が記憶される。「対象広告」の項目には、例えば広告名が記憶される。「広告識別子」の項目には、広告情報管理システム401が購入者端末201に広告を表示する際に取得された広告識別子が記憶される。
図5の例では、キャンペーンAに含まれる対象広告である広告Aが、広告識別子D001,D002,D003を有する購入者端末201に表示された場合の例が示される。
【0073】
セグメント情報は、「広告識別子」、「セグメント」、「親セグメント」、及び「セグメントID」の項目を有する。「広告識別子」の項目には、広告情報管理システム401を通じて広告が表示された端末の広告識別子が記憶される。「セグメント」の項目には、広告識別子で識別される端末を有するユーザが属するセグメントが記憶される。「親セグメント」の項目には、「セグメント」の上位概念のセグメントが記憶される。「セグメントID」の項目には、個々のセグメントを識別する情報が示される。
【0074】
図5の例では、「広告識別子」がD001の端末を有するユーザは、「ゲームマニア」、「バイク(中古車)」、「年収が平均(50%以下)」、「子供あり」、「賃貸」というセグメントに関連付けられる。ここで、「ゲームマニア」、「バイク(中古車)」というセグメントには「ゲームファン」、「オートバイ」という親セグメントがそれぞれ関連付けられる。ここで、「ゲームマニア」というセグメントは、対象のユーザがゲームの熱心なファンであることを意味し、「バイク(中古車)」というセグメントは対象のユーザが中古バイクに関心を有することを意味する。それぞれのセグメントに対して、それらの上位概念として、ゲーム好きであることを意味する「ゲームファン」という親セグメント、オートバイ好きであることを意味する「オートバイ」という親セグメントが関係付けれられる。
【0075】
「ゲームマニア」、「バイク(中古車)」、「ゲームファン」、「オートバイ」というセグメントは、ユーザの趣味や嗜好を示すサイコグラフィックデータである。「年収が平均(50%以下)」、「子供あり」、「賃貸」というセグメントは、性別、年齢、収入、住居形態等を示すデモグラフィックデータである。サイコグラフィックデータによる分類では、例えば、犬好き且つ猫好きのように、あるユーザは重複するセグメントに分類されることが可能である一方、デモグラフィックデータによる分類ではその性質上、あるユーザが重複するセグメントに分類されることがない。例えば、ある年収レンジのセグメントにあるユーザは他の年収レンジのセグメントには分類されない。サイコグラフィックデータとデモグラフィックデータは、上記の例のような相違点を有する。
【0076】
セグメント情報取得部1014は、広告識別子をキーとして、広告表示情報DB4012,セグメントDB4013を参照し、セグメント情報を取得する。なお、セグメント情報には、各セグメント別に、対象広告が表示された端末の総数(広告識別子の総数)が含まれる。
【0077】
効果情報生成部1015は、購入情報とセグメント情報とを対応づけ、複数のセグメントのそれぞれにおける広告の効果を示す効果情報を生成する。効果情報は、例えば、1人あたり購入金額、購買率(数量ベース)、購買率(人数ベース)、セグメント比率、CPM(Cost Per Mille)調整比率として表される。
【0078】
1人あたり購入金額は、各セグメントにおける、ユーザ1人あたりの対象商品の購入金額である。購買率(数量ベース)は、広告を閲覧の上で商品を購入したユーザ数にそれぞれの購入個数を乗じた値を、広告を閲覧したユーザの総数で除して算出される。購買率(人数ベース)は、広告を閲覧の上で商品を購入したユーザ数を、広告を閲覧したユーザの総数で除して算出される。セグメント比率は、あるセグメントに属するユーザの数の全セグメントのユーザ総数に対する比率である。CPM調整比率(推奨値)は、購買率等に基づいて算出される、広告費用の増加の程度の推奨値である。例えば、CPM調整比率は、同様の商品に対して、再度広告を出す際に、どの程度CPMを調整すればよいかを示す情報である。
【0079】
セグメント特定部1016は、効果情報と効果に対する所定の条件とに基づいて、複数のセグメントのうち、商品に関連する広告が有効である有効セグメントを特定する。セグメント特定部1016は、例えば、全セグメントにおける購買率の平均値である平均購買率を算出し、平均購買率の信頼区間を算出する。次に、セグメント特定部1016は各セグメントの購買率の信頼区間を算出する。セグメント特定部1016は、平均購買率の信頼区間の上限値より、あるセグメントの信頼区間の下限値が大きい場合に、当該セグメントを有効セグメントと判定する。
【0080】
また、セグメント特定部1016は、平均購買率の信頼区間の下限値より、あるセグメントの信頼区間の上限値が小さい場合に、当該セグメントを、広告の提供に適さない非有効セグメントと判定してもよい。また、セグメント特定部1016は、信頼区間が重なるセグメントは中立セグメントと判定してもよい。非有効セグメント及び中立セグメントを、有効セグメントとの対比のための比較セグメントとよぶこともできる。
【0081】
また、セグメント特定部1016は、セグメント全体の平均に対する相対的な条件ではなく、効果に対する絶対的な条件に基づいて有効セグメントの特定を行ってもよい。例えば、セグメント特定部1016は、あるセグメントが所定の購買率を上回る場合には、当該セグメントを有効セグメントとしてもよい。
【0082】
有効セグメントを、全セグメント及び各セグメントの信頼区間の相違という相対的な条件に基づいて特定することで、広告そのものの販促効果とセグメントの適性とを区別することができる。広告が消費者の購買行動を促しにくい内容であった場合には、効果に対する絶対的な基準で有効セグメントを特定した場合、どのセグメントも特定されない場合がある。例えば、購買率が所定の値以上のセグメントを有効セグメントとする場合に、どのセグメントも購買率が低いことによって有効セグメントが特定されない場合がある。この場合、各セグメント間の相違をユーザが把握することができない。一方、効果に対する相対的な基準に基づく場合は、広告そのものの広告効果への影響を受けにくくなるので、有効セグメントをより適切に特定し、ユーザはセグメント間の相違を把握することが可能となる。
【0083】
効果情報推定部1017は、効果情報及び有効セグメントに基づいて、有効セグメントに分類される複数のユーザのそれぞれのユーザ端末に対して広告を表示させる場合に、広告の効果を示す推定された効果情報(第2効果情報)を推定する。推定された効果情報は、例えば、最適セグメント購買率、対象セグメント購買率、除外セグメント購買率、標準ベンチマーク購買率、最大リフト値期待割合、及び選択セグメント比率として表される。
【0084】
最適セグメント購買率は、非有効セグメントに属するユーザを購買率の算出の際のユーザ総数から除いた場合の、有効セグメントにおける購買率である。対象セグメント購買率は、有効セグメントの購買率の平均値である。除外セグメント購買率は、非有効セグメントの購買率の平均値である。標準ベンチマーク購買率は、全セグメントの購買率の平均値である。最大リフト値期待割合は、売り上げの増加の程度が所定の算出方法に基づいて算出された値である。選択セグメント比率は、効果情報の推定対象となったセグメントが、全セグメントに占める割合である。
【0085】
効果情報推定部1017は、あるユーザが複数の有効セグメントに分類される場合には、当該有効セグメントに属するユーザの数を、当該ユーザを重複して数えずに算出した上で、効果情報を推定する。
【0086】
参照情報取得部1018は、複数のユーザが購入した、広告対象でない商品の商品情報と、当該商品を購入したユーザが属する複数のセグメントを示すセグメント情報とを参照情報として取得する。参照情報取得部1018は、購入情報管理システム301を参照して、広告対象でない商品(第2商品)に関する購入情報を取得する。参照情報取得部1018は、広告情報管理システム401を参照し、参照情報取得部1018が取得した購入情報に含まれる広告識別子に基づいて、広告対象でない商品を購入したユーザが属するセグメントを示す情報(第2セグメント情報)を取得する。
【0087】
参照情報取得部1018が取得した参照情報に基づいて、効果情報生成部1015は、広告の商品の売り上げへの寄与度を示す情報を生成してもよい。例えば、効果情報生成部1015は効果情報として、商品の売り上げの程度が所定の基準に基づいて算出される売上インデックスという指標を、広告対象の商品と広告対象でない商品のそれぞれについて算出してもよい。効果情報には、売上インデックスそのものや、売上インデックス間の差などが含まれる。
【0088】
分類部1019は、購入情報に基づいて、複数のユーザそれぞれの分類を示すラベル情報を生成する。分類部1019は、例えば、クラスタリングを行い、ユーザをラベリングする。ラベル情報の区分け方法はセグメント情報における区分け方法と異なっていてもよい。対応情報生成部1020は、セグメント情報及びラベル情報に基づいて、セグメント情報とラベル情報との対応を示す対応情報を生成する。対応情報生成部1020は、異なった区分けが行われているラベル情報とセグメント情報とを対応付ける。
【0089】
購入者端末201について説明する。購入者端末201は、記憶部2011、表示部2014、通信部2015、及び制御部2016を有する。記憶部2011には、購入者端末201の広告ID2012が記憶される。また、記憶部2011には、アプリケーション2013が記憶される。アプリケーション2013は、例えばインターネットブラウジングを行うウェブブラウザや、小売店舗がユーザへのポイントの付与などの管理を行うための専用アプリケーション等である。表示部2014は、例えばディスプレイである。通信部2015は、購入者端末201と外部との間の通信を制御する。制御部2016は、購入者端末201における各種の情報処理を制御する。
【0090】
購入情報管理システム301について説明する。購入情報管理システム301は、記憶部3011、通信部3014、及び制御部3015を有する。記憶部3011には、上述の購入情報DB3012、施策情報DB3013が含まれる。通信部3014は、購入情報管理システム301と外部との間の通信を制御する。制御部3015は、購入情報管理システム301における各種の情報処理を制御する。
【0091】
広告情報管理システム401について説明する。広告情報管理システム401は、記憶部4011、通信部4014、及び制御部4015を有する。記憶部4011には、上述の広告表示情報DB4012、セグメントDB4013が含まれる。通信部4014は、広告情報管理システム401と外部との間の通信を制御する。制御部4015は、広告情報管理システム401における各種の情報処理を制御する。
【0092】
評価者端末501について説明する。評価者端末501は、記憶部5011、表示部5012、通信部5013、及び制御部5014を有する。記憶部5011は、評価者端末501での処理に用いられる各種の情報を記憶する。表示部5012は、評価者端末501のディスプレイである。通信部5013は、評価者端末501と外部との間の通信を制御する。制御部5014は、評価者端末501における各種の情報処理を制御する。
【0093】
図6を参照して、広告評価システム10における情報処理について説明する。
図6では、ユーザへの広告の表示から、実際の購入による購入情報の更新までの処理を説明する。
【0094】
ステップS601において、評価者端末501が施策情報を生成する。これは、例えば、広告主や広告プランナーが商品に対する広告を作成することとして実行される。
【0095】
ステップS602において、評価者端末501は、広告情報管理システム401に施策情報を送信する。なお、施策情報は、例えば広告情報管理システム401によって提供される施策生成サービスによって作成されてもよく、その場合、評価者端末501を通じて広告情報管理システム401が操作されることで施策情報が広告情報管理システム401に記録される。
【0096】
ステップS603において、広告情報管理システム401は、広告表示情報を生成し、広告表示情報DB4012を更新する。
【0097】
例えば、購入者端末201があるウェブサイトを訪問する等した場合に、ステップS604において、広告情報管理システム401から購入者端末201に広告が送信される。
【0098】
ステップS605において、購入者端末201の表示部2014に広告が表示される。
【0099】
ステップS606において、広告情報管理システム401は、広告を表示した購入者端末201の広告識別子を購入者端末201から取得する。
【0100】
ステップS607において、広告情報管理システム401は、表示された広告及び取得された広告識別子に基づいて、広告表示情報DB4012の広告表示情報を更新する。
【0101】
ステップS608において、購入者端末201は購入記録画面を表示する。例えば、購入者端末201のユーザが、実店舗での商品を購入する場合等においてアプリケーション2013を起動すると、購入記録画面が表示される。購入記録画面とは、例えば、店舗端末で読み取り可能であり、ユーザを識別するためのバーコードを表示する画面である。
【0102】
ステップS609において、購入情報管理システム301は、例えば店舗端末によって、ある商品の購入記録と購入記録画面を読み取ることで、購入者端末201から、商品の購入記録と広告識別子とを取得する。購入記録には商品名、商品ID、商品単価、購入個数等の情報が含まれる。
【0103】
ステップS610において、購入情報管理システム301は、購入記録及び広告識別子に基づいて購入情報を更新する。
【0104】
図7を参照して、広告評価システム10における情報処理について説明する。
図7では、広告を表示した端末のセグメントと購入情報に基づく、広告の効果の算出及び効果の推定について説明する。
【0105】
ステップS701において、評価者端末501は購入情報管理システム301から購入情報を取得する。
【0106】
ステップS702において、評価者端末501は広告評価装置101に施策情報及び購入情報を送信する。
図8には、購入情報取得部1013が評価者端末501に表示させる、施策情報及び購入情報の送信画面801の一例が示される。
【0107】
送信画面801は、入力欄8011,8012,8013,8014,8015,8016.8017,8018及び抽出実行ボタン8019を有する。
【0108】
入力欄8011には、購入情報を記録する小売店の情報が入力される。入力欄8012には、セグメントの抽出対象となる施策名が入力される。入力欄8013には、セグメントの抽出対象となる施策の施策IDが入力される。入力欄8014,8015には抽出期間の開始日と終了日が入力される。抽出期間を設定することで、期間内に広告に接触した端末の広告識別子に関連付けられたセグメントを抽出することができる。入力欄8017には、施策における対象商品に関する情報が入力される。例えば、入力欄8017には、対象商品のJANコードが入力される。入力欄8018には、参照情報取得部1018によって購入情報及びセグメント情報が取得される広告対象でない商品に関する情報が入力される。
【0109】
それぞれの入力欄に情報が入力された後に抽出実行ボタン8019が、ユーザのクリック又はタップ等の操作によって選択されると、広告評価装置101に施策情報及び購入情報が送信される。
【0110】
ステップS703において、セグメント情報取得部1014は、取得した施策情報を広告情報管理システム401に送信する。
【0111】
ステップS704において、広告情報管理システム401は、施策情報に基づいて、広告を表示した端末のセグメントを抽出し、セグメント情報を生成する。
【0112】
ステップS705において、セグメント情報取得部1014は広告情報管理システム401からセグメント情報を取得する。
【0113】
ステップS706において、効果情報生成部1015は、購入情報及びセグメント情報を、購入情報に含まれる広告識別子を基に対応づけて、各セグメントに対する広告の効果を示す効果情報を生成する。
【0114】
ステップS707において、セグメント特定部1016は、所定の条件に基づいて、有効セグメントを特定する。
【0115】
ステップS708において、セグメント特定部1016は、評価者端末501にセグメント評価結果を送信する。
【0116】
ステップS709において、評価者端末501にセグメント評価結果が表示される。
【0117】
図9から
図14は、各セグメントに対するセグメント評価結果を表示する評価画面901,1001,1101,1201,1301,1401である。
【0118】
評価画面901は、アフィニティ(趣味・嗜好)に関するセグメントの評価結果を表示する画面である。評価画面901の効果表示領域902には、セグメントの効果及び有効セグメントが区別可能に表示される。
【0119】
効果表示領域902の表は、「セグメントID」、「見積算出対象該否」、「推奨ターゲット」、「セグメント」、「親セグメント」、「性別」、「1人あたり購入金額」、「購買率(数量ベース)」、「購買率(人数ベース)」、「売上インデックス」、「売上インデックス差」、「セグメント比率」、及び「CPM調整比率」の項目を有する。「セグメントID」、「セグメント」、「親セグメント」、及び「性別」にはセグメントに関する情報がそれぞれ表示される。
【0120】
「1人あたり購入金額」、「購買率(数量ベース)」、「購買率(人数ベース)」、「売上インデックス」、「売上インデックス差」、「セグメント比率」、及び「CPM調整比率」の項目には、効果情報生成部1015によって生成された効果情報がそれぞれ表示される。
【0121】
「見積算出対象該否」の項目は、当該セグメントが効果情報推定部1017による効果の推定の対象となるセグメントであるか否かが表示される。また、「推奨ターゲット」の項目は、セグメント特定部1016によって当該セグメントが有効セグメントであるか否かを示す情報が表示される。「見積算出対象該否」の項目は、「対象」又は「非対象」を評価者端末501のユーザがボタンBTを通じた操作によってインタラクティブに切り替え可能である。広告評価装置101は、評価者端末501からの切り替え入力に応じて、当該セグメントが効果情報推定部1017による効果の推定の条件となるセグメントであるか否かを記憶する。「推奨ターゲット」の項目にて「ターゲティング推奨」とされる有効セグメントの場合、「見積算出対象該否」の項目は、当該セグメントが効果情報推定部1017による効果の推定の条件となるセグメントであることが自動的に記憶されてもよい。例えば、「セグメントID」が20524のセグメントは、「推奨ターゲット」が「ターゲティング推奨」として表示されるものの、「見積算出対象該否」が「非対象」とされている。
【0122】
図9では、例えば、「セグメントID」が20520のセグメントは、「見積算出対象該否」が「対象」であり、「推奨ターゲット」が「ターゲティング推奨」として表示される。
【0123】
「セグメントID」が20520のセグメントは、「セグメント」が「ゲームマニア」、「親セグメント」が「ゲームファン」である。また、「性別」は「女性」である。購入情報に基づいて、「1人あたり購入金額」、「購買率(数量ベース)」、「購買率(人数ベース)」、「セグメント比率」、及び「CPM調整比率」がそれぞれ算出されている。また、購入情報及び参照情報に基づいて、「売上インデックス」、「売上インデックス差」がそれぞれ表示されている。ここで、「売上インデックス差」が「-56」と表示されていることは、比較対象の商品の売上インデックスは、対象商品の売上インデックスである「161」から56を引いた値(105)であることを意味する。
【0124】
評価画面901は、タブT1,T2,T3,T4,T5を有しており、それぞれのタブには「アフィニティ」、「購買意向」、「世帯年収」、「子供の有無」、「詳しいユーザ属性」という表示がされる。評価者端末501のユーザは、各タブを切り替える操作を行うことで、評価画面901,1001,1101,1201,1301を表示させることができる。
【0125】
図10には、購買意向に関するセグメントに関する評価画面1001が示される。評価画面1001は、効果表示領域1002を有する。購買意向に関するセグメントは、例えば、「ブラックフライデーに買い物」、「バイク(中古車)」、「メーカーX」等のセグメントである。各セグメントは、それぞれの親セグメント「ゲームファン」、「オートバイ」、「自動車(メーカー別)」を有している。評価画面1001でも評価画面901と同様の効果が表示される。なお、各効果は一部図示を省略している。
【0126】
また、「推奨ターゲット」の項目にて「有意差なし」と表示されるセグメントは、セグメント特定部1016によって非有効セグメントとされたセグメントである。この場合、「見積算出対象該否」の項目は、当該セグメントが効果情報推定部1017による効果の推定の条件とならないセグメントであることが自動的に記憶されている。
【0127】
図11には、世帯年収のセグメントに関する評価画面1101が示される。評価画面1101は、効果表示領域1102を有する。
図12には、子供の有無のセグメントに関する評価画面1201が示される。評価画面1201は、効果表示領域1202を有する。
【0128】
これらの評価画面1101,1201では、「推奨ターゲット」の項目にて「有意差なし」と表示され、「見積算出対象該否」の項目は、当該セグメントが効果情報推定部1017による効果の推定の条件とならないセグメントが優先されて表示されている。これは、世帯年収や子供の有無があるユーザが重複するセグメントに分類されることがない分類方法であることによる。例えば、ある世帯年収のセグメントをターゲティング推奨とする場合には、他の世帯年収のセグメントは除外されてしまう。これにより、効果情報推定部1017が効果を推定する際に考慮されるユーザの数が極端に少なくなる。これは推定精度の低下につながるため、あるユーザが重複するセグメントに分類されることがないセグメントに関しては、セグメント特定部1016は、見積算出対象該否が非対象となるセグメントが優先して表示されるように、評価者端末501に評価画面1101,1201を表示させる。
【0129】
図13には、詳しいユーザ属性のセグメントに関する評価画面1301が示される。購買意向に関するセグメントは、例えば、住居形態に関する「賃貸」というセグメントや、家族構成に関してより詳細な「子供あり(4~5歳の幼稚園児)」、「独身」等のセグメントがある。評価画面1301でも評価画面901と同様の効果が表示される。
【0130】
評価者端末501のユーザは、各タブを切り替える操作を行い、評価画面901,1001,1101,1201,1301を表示させ、各セグメントの「見積算出対象該否」を「対象」又は「非対象」と設定する。
【0131】
評価者端末501のユーザが、
図13のボタン1903を選択することで、
図14に示される、評価画面1401が、評価者端末501に表示される。評価画面1401は、「見積算出対象該否」が「対象」とされたセグメントの効果が表示される効果表示領域1402を有する。
【0132】
評価者端末501のユーザが、選択されたセグメントを確認の上、「効果の見積を実行」と書かれたボタン1403を選択する操作入力を行うと、ステップS710において、評価者端末501から広告評価装置101に見積対象のセグメントを示す情報が送信される。見積対象セグメントとは、「見積算出対象該否」が「対象」とされたセグメントである。
【0133】
ステップS711において、効果情報推定部1017は、購入情報と見積対象セグメントに基づいて、見積対象セグメントにおける広告の効果を示す効果情報を推定する。
【0134】
ステップS712において、効果情報推定部1017は、推定された効果情報を評価者端末501に送信する。
【0135】
ステップS713において、評価者端末501に、推定された効果情報が表示される。
図15には、推定された効果情報が表示される推定結果画面1501の一例が示される。推定結果画面1501は、推定結果表示領域1502を有する。推定結果表示領域1502の表は、「見積ID」、「最適セグメント購買率」、「対象セグメント購買率」、「除外セグメント購買率」、「標準ベンチマーク購買率」、「最大リフト値期待割合」、及び「選択セグメント比率」の項目を有する。「見積ID」は、個々の推定結果を識別する情報である。また、「最適セグメント購買率」、「対象セグメント購買率」、「除外セグメント購買率」、「標準ベンチマーク購買率」、「最大リフト値期待割合」、及び「選択セグメント比率」の各情報は、効果情報推定部1017によって算出された情報である。
【0136】
図15の例では、「最適セグメント購買率」、「対象セグメント購買率」、「除外セグメント購買率」はそれぞれ、「2.54%」、「1.5%」、「0.67%」である。「対象セグメント購買率」が「1.5%」であることは、有効セグメントの購買率の平均が1.5%であることを意味する。「対象セグメント購買率」は、有効セグメントに対して広告を表示させる場合の広告の第2効果が推定された情報(第1推定効果)である。また、「除外セグメント購買率」が「0.67%」であることは、非有効セグメントの購買率の平均が0.67%であることを意味する。
【0137】
「最適セグメント購買率」が「2.54%」であることは、全セグメントから非有効セグメントを除外した場合の有効セグメントに対する購買率の平均が2.54%であることを意味する。「最適セグメント購買率」は、有効セグメントをターゲティングした場合の購買率であり、ターゲティングによる広告の効果の向上を示す情報である。つまり、「最適セグメント購買率」は、有効セグメントに分類されない複数のセグメント(比較セグメント)に広告を提供する場合の効果(第2推定効果)が推定された情報である。評価者端末501のユーザは、「最適セグメント購買率」と「対象セグメント購買率」を見比べることで、ターゲティングの有効性を比較することが可能となる。
【0138】
図15の例では、「標準ベンチマーク購買率」、「最大リフト値期待割合」、「選択セグメント比率」はそれぞれ、「1.01%」、「251pt」、「35.15%」である。「標準ベンチマーク購買率」が「1.01%」であることは、広告を表示した端末が属するセグメントの全体を分母とした場合の購買率である。この数値は、ターゲティングが行われていない場合の購買率を示している。「最大リフト値期待割合」は所定の基準に基づいて算出された、ターゲティングが行われていない場合と最適セグメントにターゲティングを行う場合との広告の効果を示す情報である。「最大リフト値期待割合」の値が大きいほどターゲティング効果が大きい。「選択セグメント比率」は「35.15%」であり比較的大きい値である。したがって、あまり多くのセグメントが限定されてはおらず、高い広告効果をより広いターゲットに提供できることが示される。
【0139】
広告評価システム10は、先に述べたように、1回目のプロモーションでは、セグメントの選択が行われず、任意のセグメントに対して広告ADが提供され、その後、広告が有効であるセグメントが特定され、その効果の推定された値が推定結果画面1501に表示される。2回目のプロモーションの際には、有効であるセグメントにターゲティングし、広告を提供するようにできる。これにより、購買が促進されやすいセグメントや、新たに発見されたセグメントに対して広告を提供することができる。
【0140】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0141】
10…広告評価システム、101…広告評価装置、1011…記憶部、1012…通信部、1013…購入情報取得部、1014…セグメント情報取得部、1015…効果情報生成部、1016…セグメント特定部、1017…効果情報推定部、1018…参照情報取得部、1019…分類部、1020…対応情報生成部、201…購入者端末、301…購入情報管理システム、401…広告情報管理システム、501…評価者端末
【要約】
【課題】広告が有効であるセグメントを正確に特定することができるプログラム等を提供すること。
【解決手段】コンピュータに、複数のユーザが購入した商品の商品情報と、それぞれのユーザ端末を識別する識別情報とが対応付けられた購入情報を取得する処理と、ユーザそれぞれの属性に応じて複数のユーザが分類されて識別情報に関連付けられる複数のセグメントのうち、第1広告を表示したユーザ端末のユーザが属する複数のセグメントを示すセグメント情報を取得する処理と、識別情報に基づいて、購入情報とセグメント情報とを対応づけ、複数のセグメントにおける第1広告の効果を示す効果情報を生成する処理と、効果情報と効果に対する所定の条件とに基づいて、複数のセグメントのうち、商品に関連する第2広告が有効である有効セグメントを特定する処理と、を実行させるプログラム。
【選択図】
図2