(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20230414BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
G09F9/00 348A
G09F9/00 346D
G09F9/00 350Z
H04N5/64 571Z
(21)【出願番号】P 2019568792
(86)(22)【出願日】2019-06-17
(86)【国際出願番号】 JP2019023795
(87)【国際公開番号】W WO2020017210
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2018137132
(32)【優先日】2018-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】風間 雅仁
(72)【発明者】
【氏名】荒谷 純
(72)【発明者】
【氏名】大西 亮司
(72)【発明者】
【氏名】釘丸 忠大
(72)【発明者】
【氏名】高橋 計行
(72)【発明者】
【氏名】持留 憲司
(72)【発明者】
【氏名】寺脇 功二
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-219406(JP,A)
【文献】特開2015-026038(JP,A)
【文献】特開2009-128898(JP,A)
【文献】特開2015-194543(JP,A)
【文献】実開昭63-120286(JP,U)
【文献】国際公開第2015/198531(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/035664(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0083086(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0051102(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0340646(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/133-1/1334
1/1339-1/1341
1/1347
G09F9/00-9/46
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H05K5/00-5/06
7/12
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示パネルと、
前記表示パネルの背面に沿って配置されたバックカバーと、
前記表示パネルにおける画像の表示を駆動するための回路基板であって、前記バックカバーの背面に配置された回路基板と、
前記回路基板と前記表示パネルとを接続する配線部材とを備え、
前記バックカバーは、平面視において端縁から内側に凹状に形成された凹部を有し、
前記配線部材は、前記凹部を通過する状態で配置されて
おり、
前記配線部材の、前記表示パネルに接続された端部は、前記表示パネルの裏面における前記凹部の内部に位置する、
画像表示装置。
【請求項2】
前記配線部材は、前記表示パネルに接続された前記端部と前記回路基板に接続された端部との間に配置された電子部品であって、前記配線部材が有する配線に接続された電子部品を有し、
前記電子部品は、前記凹部に収容されている、
請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
さらに、前記バックカバーの、前記凹部が配置された前記端縁に沿って延設されたフレームを備え
、
前記フレームは、前記電子部品と熱的に接続された状態で配置されている
請求項
2記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記バックカバーの前記凹部は、前記端縁の延設方向に並んで配置された2つの凸部の間に形成されており、
前記2つの凸部のそれぞれは、接合部材によって前記フレームと接合されている
請求項
3記載の画像表示装置。
【請求項5】
さらに、前記表示パネル及び前記フレームの間に配置され、前記電子部品を前記フレームに向けて押さえる断熱部材を備える
請求項
3または4記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記凹部の少なくとも一部には、前記バックカバーにおける前記凹部に隣接する部分よりも薄く形成された部分である薄肉部が形成されており、
前記電子部品は、前記薄肉部と前記フレームとの間に配置されている
請求項
3~5のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記薄肉部の前記バックカバーの前記端縁の側の端部を含む一部または全部は、前記端縁に近づくほど厚みが小さくなるよう形成されている
請求項
6記載の画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像を表示する表示パネルを備える画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、表示パネル及び表示パネルを保持するバックライトシャーシを備える表示装置を開示する。この表示装置では、バックライトシャーシの最下辺部にソース基板が設けられている。ソース基板は、ソースライン駆動用の回路(ソースドライバ)が搭載された基板であり、複数個のソースドライバが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、表示画像の品質の向上と薄型化とが可能な画像表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における画像表示装置は、画像を表示する表示パネルと、前記表示パネルの背面に沿って配置されたバックカバーと、前記表示パネルにおける画像表示を駆動する駆動回路基板であって、前記バックカバーの背面に配置された駆動回路基板と、前記回路基板と前記表示パネルとを接続する配線部材とを備え、前記バックカバーは、平面視において端縁から内側に凹状に形成された凹部を有し、前記配線部材は、前記凹部を通過する状態で配置されている。
【発明の効果】
【0006】
本開示における画像表示装置は、表示画像の品質の向上と薄型化とが可能な画像表示装置である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る画像表示装置の外観斜視図である。
【
図2A】
図2Aは、実施の形態に係る画像表示装置の第1の分解斜視図である。
【
図2B】
図2Bは、実施の形態に係る画像表示装置の第2の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る画像表示装置の部分断面を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る画像表示装置の背面側の下端部を示す拡大斜視図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る画像表示装置のFPCが配置された部分における断面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態の変形例1に係る画像表示装置の分解斜視図である。
【
図7】
図7は、実施の形態の変形例1係る画像表示装置のFPCが配置された部分における断面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態の変形例2に係る凹部及び薄肉部を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、実施の形態の変形例2係る画像表示装置のFPCが配置された部分における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本願発明者は、従来の画像表示装置に関し、以下の問題が生じることを見出した。従来、例えば、有機発光ダイオード(organic light-emitting diode:OLED)素子を用いた表示パネル(有機ELパネル)を備えるテレビジョン受像機が存在する。
【0009】
有機ELパネルは、自発光型のディスプレイパネルであり、液晶パネルのようなバックライトユニットは不要である。そのため、有機ELパネルを備える表示パネルモジュールは、液晶パネルを備える表示パネルモジュールよりも薄型化及び小型化が可能である。
【0010】
また、有機ELパネルを備える表示パネルモジュールについて、さらに薄型化を目指すために、例えば、有機ELパネルの背面に、有機ELパネルの画像の表示を駆動する駆動回路基板を配置する構造が考えられる。具体的には、有機ELパネルの背面に沿って配置された放熱用の金属板の下端部を削除し、これにより露出した有機ELパネルの背面の一部に、駆動回路基板を配置する。
【0011】
この構造によれば、表示パネルモジュールの薄型化が図られる一方で、有機ELパネルの下端部の放熱性が低下するため、当該下端部において温度上昇に伴うOLED素子の劣化(温度劣化)が生じる場合がある。この場合、当該下端部において、温度劣化に起因する輝度の低下及びこれに伴うコントラストの低下等の、表示画像の品質を低下させる問題が生じる。
【0012】
これに対し、有機ELパネルの背面の全体を金属板に沿わせ、かつ、駆動回路基板を金属板の背面に配置する場合、有機ELパネルについての放熱効率は向上する一方で、駆動回路基板と有機ELパネルとを接続する配線部材であるフレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuits)をどのように配置するかが問題となる。具体的には、FPCには、例えば有機ELパネルに各種信号を送信する駆動IC(Integrated Circuit)が配置されており、駆動ICは動作時において熱を発する。そのため、表示パネルモジュールの薄型化及び温度劣化の抑制の観点から、FPCをどのように配置すべきかは重要な課題である。
【0013】
本開示は、このような知見に基づいてなされたものであり、本願発明者が鋭意検討した結果、表示画像の品質の向上と薄型化とが可能な画像表示装置についての着想を得た。
【0014】
以下、適宜図面を参照しながら実施の形態(その変形例を含む)を説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0015】
なお、本願発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0016】
また、以下の実施の形態及び変形例において、説明の便宜上、上下方向をZ軸方向と一致させ、前後方向をY軸方向と一致させ、左右方向をX軸方向と一致させているが、これら対応付けは、本開示に係る画像表示装置の製造時または使用時における姿勢を限定するものではない。また、以下の説明において、例えば、X軸プラス側とは、X軸の矢印方向側を示し、X軸マイナス側とは、X軸プラス側とは反対側を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。従って、各図において縮尺等は必ずしも一致していない。
【0017】
(実施の形態)
[1.画像表示装置の構成概要]
まず、
図1~
図3を用いて、実施の形態に係る画像表示装置10の構成概要について説明する。
図1は、実施の形態に係る画像表示装置10の外観斜視図である。
図2Aは、実施の形態に係る画像表示装置10の第1の分解斜視図である。
図2Bは、実施の形態に係る画像表示装置10の第2の分解斜視図である。具体的には、
図2Aは、画像表示装置10を斜め前方から見た場合の分解斜視図であり、
図2Bは、画像表示装置10を斜め後方から見た場合の分解斜視図である。
図3は、実施の形態に係る画像表示装置10の部分断面を示す斜視図である。具体的には、
図3では、
図1のIII-III断面の一部を、斜め上方から見た場合の図が表されている。
【0018】
本実施の形態に係る画像表示装置10は、表示パネル20を備える表示パネルモジュールであり、例えば、テレビジョン受像機、モニタディスプレイ、及びその他の機器に、画像を表示する装置として組み込まれる装置である。
【0019】
具体的には、画像表示装置10は、
図1~
図3に示すように、画像を表示する表示パネル20と、表示パネル20の背面に沿って配置されたバックカバー40とを備える。
【0020】
本実施の形態では、表示パネル20は自発光型の表示パネルであり、具体的には、有機ELパネルである。つまり、画像表示装置10は、有機ELパネルを備える表示パネルモジュール(OLEDモジュール)である。なお、有機ELパネルである表示パネル20は、EL基板、カラーフィルタが形成されたガラス基板(CF基板)、及び、EL基板とCF基板との間の樹脂層等を有しているが、これら要素の詳細な図示及び説明は省略する。
【0021】
バックカバー40は、表示パネルモジュールとしての画像表示装置10の背面側のカバーであり、例えばアルミニウムまたは鉄からなる金属製の矩形状の板部材(金属板)にプレス加工等を施すことで作製される部材である。本実施の形態では、バックカバー40は、下端部に複数の凹部41を有している。凹部41は、下部の端縁から内側(上方)に凹状に形成されており、凹部41の側方には凸部42が存在する。画像表示装置10における凹部41の役目等については、
図4及び
図5を用いて後述する。
【0022】
また、本実施の形態において、バックカバー40は、表示パネル20の熱を放出する放熱部材としても機能する。具体的には、表示パネル20の背面と金属製のバックカバー40とは粘着シート50で接合されている。粘着シート50は、例えばシート状の基材の両面に粘着剤が配置された、いわゆる両面テープの一種であり、本実施の形態では、熱伝導性が高い両面テープが粘着シート50として採用されている。また、表示パネル20の背面と、バックカバー40の下端部の複数の凹部41よりも上の部分のほぼ全体とが、熱伝導性が高い粘着シート50で接合されている。これにより、表示パネル20の熱は金属製のバックカバー40によって効率よく外部に放出される。
【0023】
また、バックカバー40は意匠性を備えてもよい。例えば、バックカバー40に塗装を施してもよく、または、樹脂もしくは金属の薄膜接着シート、あるいは板をバックカバー40に貼付してもよい。なお、バックカバー40に塗装を施す場合は、黒色にすると輻射により熱をより効率よく外部に放出することができる。
【0024】
なお、表示パネル20とバックカバー40とが1枚の粘着シート50で接合されていることは必須ではなく、表示パネル20とバックカバー40とは、XZ平面上に並んで配置された複数枚の粘着シート(両面テープ)で接合されてもよい。また、これら複数枚の粘着シート(両面テープ)は間隔をあけて配置されてもよい。
【0025】
また、本実施の形態に係る画像表示装置10はさらに、表示パネル20及びバックカバー40を支持する角環状の支持フレーム30と、第一両面テープ52と、第二両面テープ54とを備える。
【0026】
支持フレーム30は、例えばアルミニウム等の金属で形成された部材であり、
図2A及び
図2Bに示すように、下フレーム31、右フレーム32、左フレーム33、及び、上フレーム34を有する。本実施の形態では、これら複数のフレームが連結されることで1つの角環状の支持フレーム30が形成される。
【0027】
なお、支持フレーム30は、上記のように4つのフレームに分割されていることは必須ではなく、支持フレーム30は、例えば、上記4つのフレームを一体に備える部材として作製されてもよい。また、例えば、隣り合うフレーム間に角部を形成する部材が介在して配置されていてもよい。また、支持フレーム30の素材は金属には限定されず、支持フレーム30の素材として例えば樹脂が採用されてもよい。
【0028】
第一両面テープ52は、表示パネル20の周縁部と支持フレーム30とを接合する部材であり、第二両面テープ54は、支持フレーム30とバックカバー40とを接合する部材である。例えば、支持フレーム30の右フレーム32と、表示パネル20及びバックカバー40とは、
図3に示すように、第一両面テープ52及び第二両面テープ54によって接合されている。
【0029】
このように構成された画像表示装置10において、有機ELパネルである表示パネル20の画像の表示を駆動するための部品として、
図2A及び
図2Bに示すように、2つの回路基板60と、複数のFPC61と、タイミングコントローラ70とを備える。FPC61は、回路基板60と表示パネル20とを接続する配線部材の一例である。タイミングコントローラ70及び2つの回路基板60は、例えば、両面テープによって、または、バックカバー40の背面に設けられたボスにねじ止めすることによって、バックカバー40の背面に固定される。なお、
図2A、
図2B及び後述する
図4において、回路基板60が有する複数の回路部品の図示は省略されている。
【0030】
タイミングコントローラ70は、表示パネル20に表示される画像データを表示パネル20が有する各画素に分配するためのクロック信号等の各種信号を生成し、回路基板60に供給する装置である。回路基板60は、タイミングコントローラ70から供給される各種信号をフレキシブルプリント基板(FPC)61に伝達する電子回路基板である。
【0031】
なお、
図2A及び
図2Bでは、FPC61は、表示パネル20から分離されて図示されているが、画像表示装置10の組み立て時では、表示パネル20に接続されている。つまり、表示パネル20と、2つの回路基板60のそれぞれとは、複数のFPC61によって接続されている。具体的にはFPC61は、例えば、異方性導電性フィルムを用いた熱圧着によって、表示パネル20の各種信号線の電極端子と接続されている。
【0032】
[2.FPC周辺の構造]
次に、画像表示装置10におけるFPC61周辺の構造について、
図4及び
図5を参照しながら説明する。
【0033】
図4は、実施の形態に係る画像表示装置10の背面側の下端部を示す斜視図であり、
図5は、実施の形態に係る画像表示装置10のFPC61が配置された部分における断面図である。具体的には、
図5では、
図4におけるV-V断面の一部が簡易的に図示されており、FPC61及びFPC61が有する駆動IC65は、断面ではなく側面が図示されている。
【0034】
本実施の形態では、表示パネル20の背面に沿ってバックカバー40が配置されており、バックカバー40は、表示パネル20の放熱板としても機能する。バックカバー40の背面には回路基板60が配置されており、回路基板60には、表示パネル20の下端部に接続されたFPC61が接続されている。
【0035】
このような構成を有する画像表示装置10では、バックカバー40による放熱機能をできるだけ損なうことなく、また、画像表示装置10の厚みをできるだけ増加させることなく、FPC61を画像表示装置10に収めるための構造が求められる。
【0036】
そこで、本実施の形態では、
図4及び
図5に示すように、バックカバー40の下端部の、FPC61に対応する位置に凹部41を設け、凹部41にFPC61を収めつつ、凹部41の側方の凸部42によって表示パネル20の下端部の放熱を行う構造が採用されている。
【0037】
すなわち、本実施の形態に係る画像表示装置10は、画像を表示する表示パネル20と、表示パネル20の背面に沿って配置されたバックカバー40と、表示パネル20における画像の表示を駆動するための回路基板60であって、バックカバー40の背面に配置された回路基板60と、回路基板60と表示パネル20とを接続するFPC61とを備える。バックカバー40は、平面視において端縁から内側に凹状に形成された凹部41を有し、FPC61は、凹部41を通過する状態で配置されている。
【0038】
この構成によれば、例えば、FPC61を、バックカバー40の下部の端縁をくぐらせるように配置することなく、FPC61を、バックカバー40の厚み方向(Y軸方向)に貫通させた状態で配置することができる。つまり、画像表示装置10では、FPC61を、バックカバー40の高さ方向(Z軸方向)の幅の範囲内であって、かつ、バックカバー40の厚みの範囲内に収容することができる。また、バックカバー40におけるFPC61に対応しない部分では、凸部42が形成されているため、凸部42が、表示パネル20の下端部の熱を受けて外部に放出することができる。
【0039】
また、表示パネル20の放熱板として機能するバックカバー40は、画像表示装置10の背面側のカバーであり、つまり、画像表示装置10の外殻の一部として機能する。すなわち、例えば表示パネル20の背面に放熱板を配置し、さらに、その背面側に表示パネル20及び放熱板を覆うカバーを設ける場合と比較すると、表示パネルモジュールとしての画像表示装置10の厚みが薄くなる。
【0040】
このように、本実施の形態では、表示パネル20の背面に沿って配置されたバックカバー40の下端部に形成された凹部41にFPC61を収容し、かつ、凹部41の側方の凸部42に、表示パネル20の下端部の熱を受けさせることができる。これにより、表示パネル20における温度劣化が抑制され、また、薄型化が可能となる。従って、本実施の形態に係る画像表示装置10によれば、表示画像の品質の向上と薄型化とが可能である。
【0041】
また、FPC61には、表示パネル20である有機ELパネルが有する複数の信号線と接続された駆動IC65が配置されており、例えば
図5に示すように、FPC61の駆動IC65が配置された部分が凹部41に収容されている。なお、駆動IC65は、配線部材が備える電子部品の一例である。
【0042】
また、本実施の形態では、FPC61における駆動IC65の裏側の部分に、支持フレーム30の一部である下フレーム31が接触して配置されている。
【0043】
つまり、本実施の形態に係る画像表示装置10は、バックカバー40の、凹部41が配置された端縁に沿って延設された下フレーム31を備える。FPC61は、表示パネル20に接続された端部と回路基板60に接続された端部との間に配置された駆動IC65を有する。下フレーム31は、駆動IC65と熱的に接続された状態で配置されている。
【0044】
この構成によれば、表示パネル20の駆動時において発熱する駆動IC65が、例えばアルミニウム等の金属製である下フレーム31に熱的に接続されるため、駆動IC65の熱は、主として下フレーム31に伝導される。従って、駆動IC65の熱に起因して、表示パネル20において温度劣化が生じる可能性は低い。また、下フレーム31は、表示パネル20及びバックカバー40を支持する支持フレーム30の一部であるため、例えば、駆動IC65の放熱のための別部材を用いずに、駆動IC65の放熱を効率よく行うことができる。
【0045】
より詳細には、本実施の形態では、
図5に示すように、駆動IC65は断熱部材80によって後方に押さえられている。つまり、本実施の形態に係る画像表示装置10は、表示パネル20及び下フレーム31の間に配置され、駆動IC65を下フレーム31に向けて押さえる断熱部材80を備えている。
【0046】
この構成によれば、駆動IC65の熱を効率よく下フレーム31に伝導させることができ、かつ、駆動IC65の熱が表示パネル20に与えられる可能性がより低下する。なお、断熱部材80の材料としては、例えば、高発泡シリコンフォームまたはポリウレタンフォーム等の、変形可能であって、かつ、空気層を有する多孔質材料が採用される。これにより、断熱部材80は、駆動IC65から表示パネル20への熱伝導を抑制できるとともに、例えば画像表示装置10の輸送中などにおいて、駆動IC65及びFPC61を保護する緩衝部材としての役割を果たすことができる。
【0047】
また、本実施の形態では、バックカバー40の凹部41は、バックカバー40の端縁の延設方向に並んで配置された2つの凸部42の間に形成されており、2つの凸部42のそれぞれは、接合部材によって下フレーム31と接合されている。具体的には、
図4に示すように、複数の凸部42のそれぞれに、接合部材の一例である第三両面テープ56が貼付されており、第三両面テープ56によって、複数の凸部42のそれぞれと、下フレーム31とが接合される。
【0048】
これにより、支持フレーム30の一部である下フレーム31が有する機能である、表示パネル20及びバックカバー40を支持する部材としての機能の実効性を高めることができる。また、表示パネル20及び下フレーム31の間に配置される断熱部材80が、表示パネル20と下フレーム31とを離すように作用するのに対し、第三両面テープ56は、下フレーム31が表示パネル20から離れないように作用する。そのため、例えば、断熱部材80が駆動IC65を押さえることで生じる、下フレーム31による放熱効果がより向上する。
【0049】
以上、実施の形態に係る画像表示装置10について説明したが、画像表示装置10においてバックカバー40が有する凹部41は、
図3~
図6に示される構成とは異なる構成を有してもよい。そこで、以下に、凹部41についての各種の変形例を、上記実施の形態との差分を中心に説明する。
【0050】
[3.変形例1]
図6は、実施の形態の変形例1に係る画像表示装置10aの分解斜視図である。
図7は、実施の形態の変形例1係る画像表示装置10aのFPC61が配置された部分における断面図である。
図7では、
図5におけるVII-VII断面の一部が簡易的に図示されており、FPC61及びFPC61が有する駆動IC65は、断面ではなく側面が図示されている。
【0051】
図6及び
図7に示すように、本変形例に係る画像表示装置10aが備えるバックカバー40は、実施の形態に係るバックカバー40と同じく、平面視において端縁から内側に凹状に形成された凹部41を有している。さらに、FPC61は、凹部41を通過する状態で配置されている。しかし、本変形例に係る凹部41の一部には、バックカバー40における凹部41に隣接する部分(例えば凸部42)よりも薄く形成された部分である薄肉部41aが形成されている。FPC61に配置された駆動IC65は、
図7に示すように、薄肉部41aと下フレーム31との間に配置されている。
【0052】
つまり、本変形例において、凹部41は、バックカバー40の下部の端縁から切欠き状に設けられており、最下部に、バックカバー40を厚み方向(Y軸方向)に貫通する開口部を有している。また、開口部よりも上方では、バックカバー40の肉厚のうちの背面側のみに、端縁から内側(上方)に凹状に形成された部分が設けられる。その結果、表示パネル20の背面に沿う薄肉部41aが形成されている。薄肉部41aの背面側(Y軸プラス側)には断熱部材80aが取り付けられており、断熱部材80aは、駆動IC65を下フレーム31に向けて押圧するよう配置されている。
【0053】
この構成によれば、バックカバー40に凹部41を設けることで、FPC61及び駆動IC65をバックカバー40の厚みの範囲内に収容することができるとともに、薄肉部41aが存在することで放熱効率が向上される。具体的には、例えば実施の形態では、断熱部材80aは表示パネル20の裏面に直接的に接触しているため、駆動IC65から表示パネル20への熱伝導が抑制される一方で、表示パネル20の断熱部材80aとの接触部分の放熱効率を向上させることは難しい。この点に関し、本変形例では、断熱部材80aは薄肉部41aを介して表示パネル20の裏面を押圧するよう配置されるため、表示パネル20の裏面における断熱部材80aに対向する部分の熱は、薄肉部41aに効率よく伝導される。また、薄肉部41aは、断熱部材80aを介して駆動IC65を下フレーム31に向けて押圧する部分として機能するため、下フレーム31を介した駆動IC65の放熱がより効率よく行われる。このように、本変形例に係る画像表示装置10aは、バックカバー40の凹部41に薄肉部41aが形成されていることで、表示パネル20及び駆動IC65それぞれについての放熱を効率よく行うことができる。
【0054】
なお、断熱部材80aは、
図7に示すように、薄肉部41aの下端縁を覆う位置に配置されてもよい。これにより、FPC61と比較的に近い距離に位置する、薄肉部41aの下端縁とFPC61との干渉が防止される。つまり、断熱部材80aは、例えば画像表示装置10aの輸送中などにおいて、駆動IC65及びFPC61を保護する緩衝部材としての役割を果たすことができる。
【0055】
[4.変形例2]
図8は、実施の形態に変形例2に係る凹部41及び薄肉部41bを示す斜視図である。
図9は、実施の形態の変形例2係る画像表示装置10bのFPC61が配置された部分における断面図である。
【0056】
図8及び
図9に示すように、本変形例に係る画像表示装置10bが備えるバックカバー40は凹部41を有する。本変形例に係る凹部41には、変形例1に係る凹部41と同様に薄肉部41bが形成されている。しかし、本変形例では、平面視(Y軸方向から見た場合)における凹部41の全域に薄肉部41bが形成されている。駆動IC65は、
図9に示すように、薄肉部41bと下フレーム31との間に配置されている。
【0057】
つまり、本変形例において、凹部41は、バックカバー40を厚み方向(Y軸方向)に貫通する部分を実質的に有しておらず、バックカバー40の肉厚のうちの背面側のみに、端縁から内側(上方)に凹状に形成された部分が設けられる。その結果、凹部41の全域に、表示パネル20の背面に沿う薄肉部41bが形成されている。この場合であっても、バックカバー40に凹部41を設けることで、FPC61及び駆動IC65をバックカバー40の厚みの範囲内に収容することができるとともに、薄肉部41bが存在することで放熱効率が向上される。つまり、断熱部材80bは薄肉部41bを介して表示パネル20の裏面を押圧するよう配置されるため、表示パネル20の裏面における断熱部材80bに対向する部分の熱は、薄肉部41bに効率よく伝導される。また、薄肉部41aは、断熱部材80bを介して駆動IC65を下フレーム31に向けて押圧する部分として機能するため、下フレーム31を介した駆動IC65の放熱がより効率よく行われる。このように、本変形例に係る画像表示装置10bは、バックカバー40の凹部41に薄肉部41bが形成されていることで、表示パネル20及び駆動IC65それぞれについての放熱を効率よく行うことができる。
【0058】
また、本変形例では、
図9に示すように、薄肉部41bのバックカバー40の端縁の側(Z軸マイナス側)の端部を含む全部が、当該端縁に近づくほど厚みが小さくなるよう形成されている。これにより、例えば、薄肉部41bの背面側に、FPC61及び駆動IC65を適切に収容する空間を形成しつつ、薄肉部41bによる駆動IC65に対する押圧力を確保することができる。また、薄肉部41bの全体を薄く形成する場合よりも、薄肉部41bによる熱引き量が増加する。
【0059】
なお、薄肉部41bの全体が、
図9に示すような傾斜面を形成している必要はなく、例えば、薄肉部41bの、バックカバー40の端縁の側の端部を含む一部のみが、当該端縁に近づくほど厚みが小さくなるよう形成されていてもよい。つまり、薄肉部41bの先端部分の厚みを他の部分よりも小さくすることで、当該先端部分における下フレーム31との前後方向(Y軸方向)のクリアランスを大きくすることができる。その結果、表示パネル20から延設され、かつ、撓んだ状態のFPC61を、薄肉部41bの先端部分と下フレーム31との間に無理なく収容することができる。また、この場合、薄肉部41bの先端部分よりも上方の背面を、薄肉部41bの前面と平行に形成すること(傾斜させないこと)で、下フレーム31と薄肉部41bとで駆動IC65を挟むことによる、駆動IC65に対する押圧力の均一化が図られる。これにより、例えば、駆動IC65に部分的に大きな力がかけられることによる駆動IC65の劣化または位置ずれ等が抑制される。
【0060】
なお、本変形例においても、断熱部材80bは、
図9に示すように、薄肉部41bの下端縁を覆う位置に配置されてもよい。これにより、断熱部材80bは、例えば画像表示装置10bの輸送中などにおいて、駆動IC65及びFPC61を保護する緩衝部材としての役割を果たすことができる。また、変形例1のように、凹部41の一部にのみ薄肉部が設けられる場合に、薄肉部の一部または全部に、
図9に示すような傾斜面が形成されてもよい。
【0061】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施の形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0062】
例えば、本実施の形態では、表示パネル20の下端部にFPC61が接続され、バックカバー40の下端部に凹部41が形成されるとした。しかし、例えば、表示パネル20の左端部にFPC61が接続される場合、バックカバー40の左端部に凹部41が形成されてもよい。つまり、バックカバー40の凹部41は、表示パネル20におけるFPC61の接続位置に対応する位置に形成されればよい。また、この場合、表示パネル20の、駆動IC65に対向する位置に断熱部材80を配置することで、断熱部材80は、駆動IC65を左フレーム33に向けて押さえることができる。これにより、左フレーム33は、駆動IC65の熱をより効率よく外部に放出することができる。
【0063】
また、表示パネル20とバックカバー40とを接合する接合部材は、両面テープ等の粘着剤を用いた部材である必要はなく、例えば熱伝導性の高いシリコーン接着剤によって、表示パネル20とバックカバー40とが接合されてもよい。第一両面テープ52、第二両面テープ54、及び第三両面テープ56についても同様であり、これら両面テープに代替する部材として、シリコーン接着剤等の接着剤が採用されてもよい。
【0064】
また、表示パネル20とバックカバー40とは粘着剤または接着剤等で接合されている必要はない。例えば、重ね合わされた表示パネル20及びバックカバー40の周縁部を前後から挟む部材を用いることで、表示パネル20の背面に沿ってバックカバー40を配置してもよい。
【0065】
また、表示パネル20と回路基板60とを接続する配線部材は、FPC61以外の部材であってもよい。例えば一部のみが屈曲または湾曲が可能な基板であるリジッドフレキシブル基板が配線部材として採用されてもよい。また、FPC61等の配線部材が有する電子部品は駆動IC65以外であってもよい。つまり、配線部材が有する電子部品であって、動作時において熱を発する電子部品であれば、例えば、下フレーム31等の支持フレーム30の一部によって放熱を効率よく行わせることは有意である。
【0066】
また、表示パネル20は、有機ELパネルとは異なる種類の表示パネルであってもよい。例えば、マトリクス状に配置された、赤、青、緑のそれぞれで発光する3種類のLEDを有するLEDディスプレイパネルが、表示パネル20として画像表示装置10に配置されてもよい。
【0067】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
【0068】
従って、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0069】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本開示は、テレビジョン受像機、モニタディスプレイ、または、デジタルサイネージ等に備えられる画像表示装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0071】
10、10a、10b 画像表示装置
20 表示パネル
30 支持フレーム
31 下フレーム
32 右フレーム
33 左フレーム
34 上フレーム
40 バックカバー
41 凹部
41a、41b 薄肉部
42 凸部
50 粘着シート
52 第一両面テープ
54 第二両面テープ
56 第三両面テープ
60 回路基板
65 駆動IC
70 タイミングコントローラ
80、80a、80b 断熱部材