(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
F21V 8/00 20060101AFI20230414BHJP
F21S 8/04 20060101ALI20230414BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20230414BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230414BHJP
【FI】
F21V8/00 330
F21S8/04 100
F21V5/00 510
F21Y115:10 300
F21Y115:10 500
(21)【出願番号】P 2019119972
(22)【出願日】2019-06-27
【審査請求日】2022-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】小西 浩一
(72)【発明者】
【氏名】友田 尚紀
(72)【発明者】
【氏名】関井 広行
(72)【発明者】
【氏名】青山 央
(72)【発明者】
【氏名】石森 淳允
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-206398(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0022050(US,A1)
【文献】特開2017-208277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 8/00
F21S 8/04
F21V 5/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源を有する複数の発光モジュールと、
前記複数の発光モジュールを覆うレンズカバーと、
前記レンズカバーを覆う透光性の拡散カバーとを備え、
前記レンズカバーは、複数の前記光源から出射された光
が入射し、入射した光の配光を制御する複数のレンズと、
前記複数のレンズのうちの隣り合う2つのレンズの間の部分であって、前記複数の発光モジュールのうちの隣り合う2つの発光モジュールの境界部分に対応する導光部とを有し、
前記導光部
では、前記レンズカバー
の前記複数のレンズに入射した光の一部
を導き、
前記導光部は、導いた光を
前記導光部から取り出す
ように光を出射させる光取出部を有する
照明器具。
【請求項2】
前記光取出部は、凹凸状に形成された複数の溝である
請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記レンズカバーは、環状をなし、
前記複数の溝の長さ方向は、前記レンズカバーの周方向と交差する
請求項2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記レンズカバーは、前記複数のレンズのうちの1以上のレンズが集合して配置された状態で複数個所に分散される複数のレンズ領域を有し、
前記導光部は、前記複数のレンズ領域のうちの隣り合う2つのレンズ領域の間に設けられる
請求項1~3のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項5】
前記レンズカバーは、前記複数のレンズのうちの1以上のレンズが集合して配置された状態で複数個所に分散される複数のレンズ領域を有し、
前記光取出部を構成する前記複数の溝は、前記複数の溝の長さ方向が前記レンズ領域と前記導光部との境界線に沿うように形成される
請求項3に記載の照明器具。
【請求項6】
前記導光部は、前記複数の発光モジュール側の面から前記拡散カバー側の面までの厚みが部分的に厚い肉厚部を有する
請求項1~5のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項7】
前記光取出部の断面の形状は、三角波形状である
請求項1~6のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項8】
前記導光部側に配置される1以上の前記レンズから出射される光の配光ピークは、前記導光部側に向いている
請求項1~7のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項9】
前記レンズカバーは、
開口が形成され、
前記開口を狭めるように延出する延出部を有する
請求項1~8のいずれか1項に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の特許文献1の照明器具は、複数の発光素子を有する複数の発光モジュールと、複数の発光素子のそれぞれを覆い、複数の発光素子から出射された光の配光を制御する複数のレンズを有するレンズカバーと、透光性を有し、レンズカバーを覆う光拡散カバーとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、複数の発光モジュールのうちの隣り合う2つの発光モジュールの境界部分には、互いに電気的に接続するためのコネクタ及びリード線等が設けられるため、光源を配置し難い。このため、照明器具が光を出射した際に、境界部分が暗く見えてしまうことがある。
【0005】
そこで、本開示は、輝度ムラを抑制した光を出射することができる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示に係る照明器具の一態様は、複数の光源を有する複数の発光モジュールと、前記複数の発光モジュールを覆うレンズカバーと、前記レンズカバーを覆う透光性の拡散カバーとを備え、前記レンズカバーは、複数の前記光源から出射された光が入射し、入射した光の配光を制御する複数のレンズと、前記複数のレンズのうちの隣り合う2つのレンズの間の部分であって、前記複数の発光モジュールのうちの隣り合う2つの発光モジュールの境界部分に対応する導光部とを有し、前記導光部では、前記レンズカバーの前記複数のレンズに入射した光の一部を導き、前記導光部は、導いた光を前記導光部から取り出すように光を出射させる光取出部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、輝度ムラを抑制した光を出射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る照明器具の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る照明器具を分解した分解斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1のIII-III線における、実施の形態に係る照明器具の断面を示す断面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る照明器具のレンズカバー及び発光モジュールを示す平面図である。
【
図5】
図5は、
図4のV-V線における、実施の形態に係る照明器具のレンズカバーの断面を示す断面図である。
【
図6】
図6は、
図4のVI-VI線における、実施の形態に係る照明器具のレンズカバーの断面を示す断面図である。
【
図7】
図7は、実施の形態に係る照明器具における、レンズカバーのレンズから出射した光の配光特性及び配光ピークを例示した模式断面図である。
【
図8】
図8は、
図4のVIII-VIII線における、実施の形態に係る照明器具における、導光部側に配置されたレンズから出射した光の配光特性及び配光ピークを例示した模式断面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態に係る照明器具のレンズカバーを示す部分拡大図である。
【
図10】
図10は、
図9のX-X線における、実施の形態に係る照明器具のレンズカバーの導光部の断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態等は、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0010】
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0011】
また、以下の実施の形態において、略平行等の表現を用いている。例えば、略平行は、平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行である、すなわち、例えば数%程度の誤差を含むことも意味する。また、略平行は、本開示による効果を奏し得る範囲において平行という意味である。他の「略」を用いた表現についても同様である。
【0012】
以下の説明において、LED(LightEmittingDiode)光源が出射する光の光軸の方向と平行な方向をZ軸方向とし、Z軸方向と直交する方向をX軸方向及びY軸方向と規定する。
【0013】
以下、本開示の実施の形態に係る照明器具について説明する。
【0014】
(実施の形態)
[構成:照明器具1]
図1は、実施の形態に係る照明器具1の全体構成を示す斜視図である。
【0015】
図1に示すように、照明器具1は、周囲を照明することができる光を出射する照明装置である。具体的には、照明器具1は、例えば住宅等の施設の天井、壁等の造営材に設置され、施設の内部の空間を照明するためのシーリングライトである。照明器具1は、器具取付部材等によって造営材に固定される。造営材は、天井、壁等を構成する部材である。
【0016】
照明器具1の構成について、
図2及び
図3を用いて説明する。
図2は、実施の形態に係る照明器具1を分解した分解斜視図である。
図3は、
図1のIII-III線における、実施の形態に係る照明器具1の断面を示す断面図である。
【0017】
図2及び
図3に示すように、照明器具1は、筐体10と、複数の発光モジュール20と、レンズカバー30と、拡散カバー40とを備える。
【0018】
<筐体10>
筐体10は、例えば、アルミニウム板又は鋼板等の板金をプレス加工することによって形成される。筐体10は、円盤状であり、発光モジュール20及びレンズカバー30を収容する収容体である。本実施の形態では、筐体10には、Z軸方向に見て、中央部分に略円形状の開口10aが形成される。
【0019】
開口10aには、筐体10を引掛けシーリング(不図示)に装着するための器具取付部材(不図示)が設けられる。器具取付部材には、造営材に設けられている引掛けシーリングが着脱自在に嵌合される。なお、器具取付部材とは、造営材に設置された引掛けシーリングに筐体10を着脱自在に取り付けるためのアダプタである。つまり、開口10aは、引掛けシーリングに対応する位置に形成され、引掛けシーリングを配置するための貫通孔である。
【0020】
また、引掛けシーリングは、商用電源(不図示)と電線(不図示)を介して電気的に接続される。照明器具1が器具取付部材を介して引掛けシーリングに取り付けられることで、照明器具1が備える電源回路(不図示)に電力が供給される。電源回路は、発光モジュール20を発光させるための電力を生成する回路であり、器具取付部材を介して供給された交流電力を直流電力に変換する。当該直流電力が発光モジュール20に供給されることにより、発光モジュール20が発光する。つまり、器具取付部材は、照明器具1と引掛けシーリングとを、機械的及び電気的に接続する。
【0021】
なお、筐体10は、発光モジュール20からの熱を放熱するためのヒートシンクとしても機能する。
【0022】
さらに、筐体10の造営材側の面(Z軸プラス方向側の面)には、例えば、ウレタン等で形成されたクッション部材(不図示)が取り付けられていてもよい。クッション部材は、筐体10の形状に沿って配置される。照明器具1が造営材に設置された際に、クッション部材は、筐体10と造営材との間に挟み込まれることにより、筐体10の揺動又は回転が抑制される。
【0023】
<発光モジュール20>
発光モジュール20は、例えば、光を発するモジュールであり、部屋全体を明るくする、室内照明用途のモジュールである。発光モジュール20は、筐体10の底部11におけるZ軸マイナス方向側の面である取付面に配置され、周囲に光を照射するように、筐体10に保持される。
【0024】
図2に示すように、複数の発光モジュール20は、筐体10の底部11において、円環状となるように配列される。複数の発光モジュール20のうちの隣り合う2つの発光モジュール20は、互いにコネクタ(不図示)及びリード線(不図示)等の接続部によって電気的に接続される。つまり、接続部は、隣り合う2つの発光モジュール20の境界部分Kに配置される。境界部分Kは、隣り合う2つの発光モジュール20の境界となる端縁と、この境界(端縁)近傍の部分を意味する。
【0025】
図2及び
図3に示すように、発光モジュール20は、基板21と、複数のLED光源22とを有する。
【0026】
基板21は、LED光源22を実装するための実装面を有する実装基板である。基板21は、複数枚によって略円環状に形成される。複数の基板21のそれぞれは、筐体10の開口10aを囲むように、筐体10の底部11のZ軸マイナス方向側の取付面に、ネジ等の固定部材によって筐体10に固定される。具体的には、基板21は、実装面がZマイナス方向を向くように、X-Y平面と略平行姿勢で筐体10に固定される。本実施の形態では、3枚の円弧状の基板21によって、円環状を構成しているが、基板21の数はこれに限定されず、2枚以下でもよく、4枚以上でよい。基板21は、開口10aを囲むように環状に配置されればよい。つまり、本実施の形態では、複数の発光モジュール20が筐体10に設けられる。
【0027】
基板21としては、例えば、アルミニウム又は銅等の金属材料からなる基材に絶縁被膜を施すことで得られるメタルベース基板、アルミナ等のセラミック材料の焼結体であるセラミックス基板、又は、樹脂材料をベースとする樹脂基板等が用いられる。本実施の形態では、基板21として、金属配線が形成されたガラスエポキシ基板からなるプリント配線基板を用いる。なお、基板21は、リジッド基板であってもよく、フレキシブル基板であってもよい。
【0028】
複数のLED光源22は、基板21の形状に沿って、略円弧状に配置される。つまり、複数の基板21が環状に配置されるため、複数のLED光源22は、複数の基板21によって複数の円環状の列をなして配列され、つまり同心円状に配列される。本実施の形態では、径方向に7列配置される。なお、
図2では、複数のLED光源22は、図示を省略している。LED光源22は、光源の一例である。
【0029】
複数のLED光源22は、例えば白色光を出射するように構成される。具体的には、複数のLED光源22は、COB(Chip On Board)型LED素子で構成され、基板21上に実装されたベアチップ(LEDチップ)である複数の青色LEDと、それら青色LEDを封止し、黄色蛍光体を含む封止部材とを有する。また、複数のLED光源22は、2色以上の光を出射してもよい。具体的には、複数のLED光源22は、RGBの3色LED光源であり、赤色光、青色光及び緑色光の3色の単色光を出射するとともに、これらの3色の単色光を調光することで得られるカラー光又は白色光を出射してもよい。
【0030】
また、複数のLED光源22は、LEDがパッケージ化された表面実装(SMD:Surface Mount Device)型のLED素子であってもよく、容器(パッケージ)と、容器内に実装された複数のLEDチップと、複数のLEDチップを封止する封止部材とを有する。封止部材は、シリコーン樹脂等の透光性の絶縁性樹脂材料である。なお、封止部材には、シリカ等の光拡散材及びフィラー等が分散されていてもよい。
【0031】
本実施の形態では、複数のLED光源22は、Z軸マイナス方向と略平行な方向に向けて光を照射する。具体的には、複数のLED光源22の光軸は、光の主たる出射方向であり、Z軸マイナス方向と略平行な方向である。
【0032】
このように構成される複数のLED光源22は、基板21に実装される。本実施の形態では、3つの基板21のそれぞれに複数が実装される。
【0033】
<レンズカバー30>
図4は、実施の形態に係る照明器具1のレンズカバー30及び発光モジュール20を示す平面図である。
【0034】
図3及び
図4に示すように、レンズカバー30は、複数のLED光源22のそれぞれからの光の配光を制御するための光学部材である。レンズカバー30は、透光性を有する材料(例えば、アクリル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)などの透明な樹脂等)で形成される。
【0035】
レンズカバー30は、複数の基板21が配列された形状に沿って、円環状に形成される。レンズカバー30及び筐体10をZ軸プラス方向から見た場合に、レンズカバー30の開口30aは、筐体10の開口10aと略一致する。つまり、レンズカバー30の開口30aを構成する開口面の中心を通過する中心軸と、筐体10の開口10aを構成する開口面の中心を通過する中心軸とは略一致する。
【0036】
Z軸プラス方向から見て、レンズカバー30は、発光モジュール20を覆うように、発光モジュール20のZ軸マイナス方向に設けられる。また、レンズカバー30は、ネジ等の固定部材により、基板21を介して筐体10の底部11に固定される。つまり、レンズカバー30は、複数のLED光源22と基板21とを覆うように、X-Y平面と略平行な姿勢で筐体10に固定される。
【0037】
本実施の形態では、レンズカバー30は1つであるが、基板21の略円弧状の形状に応じて、複数の円弧状のからなるレンズカバー30であってもよい。例えば、3つのレンズカバー30が発光モジュール20を覆うように設けられていてもよい。
【0038】
図5は、
図4のV-V線における、実施の形態に係る照明器具1のレンズカバー30の断面を示す断面図である。
【0039】
図4及び
図5に示すように、レンズカバー30は、複数のレンズ集合部31aと、導光部33と、接続部カバー35と、複数のレンズ31よりも内周側に延出する延出部30cとを有する。
【0040】
複数のレンズ集合部31aは、複数の発光モジュール20と一対一で対応している。複数のレンズ集合部31aは、1以上のレンズ31、32(以下、レンズ31、32を総称してレンズ3と呼ぶことがある。)が集合した集合体である。つまり、レンズカバー30は、複数のレンズ3のうちの1以上のレンズ3が集合して配置された状態で複数個所に分散される複数のレンズ領域Eを有する。本実施の形態では、レンズカバー30は、3つのレンズ領域Eを有する。このレンズ集合部31aは、複数のレンズ3によって形成されたレンズ領域Eを有する。本実施の形態では、レンズ集合部31aは、複数のLED光源22のそれぞれから出射された光の配光を制御する、複数のレンズ3を有する。複数のレンズ3は、複数のレンズ31、32から構成される。
【0041】
複数のレンズ3は、複数のLED光源22の一対一で対応するように、複数のLED光源22を覆う。つまりレンズ3は、LED光源22と対応し、複数のレンズ3は、複数の円環状の列(以下、レンズ列ということがある)をなして配列、つまり同心円状に配列される。レンズ列は、複数のレンズ3を1組とした円環状の列であり、複数のLED光源22の配列に沿って、周方向に配列される。
【0042】
レンズ列を構成する複数のレンズ3は、周方向に連結される。具体的には、レンズ3は、周方向に隣り合う2つのレンズ3が周方向に連結される。
【0043】
連結部分39aのレンズ31の厚みについて、
図6を用いて説明する。
図6は、
図4のVI-VI線における、実施の形態に係る照明器具1のレンズカバー30の断面を示す断面図である。
【0044】
図6に示すように、周方向に隣り合う2つのレンズ31の連結部分39aの高さ(Z軸方向の厚み)は、レンズ31における非連結部分39bの外周端縁の高さ(Z軸方向の厚み)よりも高い。つまり、周方向に隣り合う2つのレンズ31の連結部分39aの厚みH2は、径方向に隣り合う2つのレンズ31における非連結部分39bの厚みH1よりも厚い。
【0045】
また、複数のレンズ31において、レンズ31の最外周縁の直径aと、隣り合う2つのレンズ31の中心軸間の距離b(ピッチともいう)とは、0.75<(b/a)<1を満たす。レンズ31の最外周縁の直径aとは、レンズ31をZ軸方向から見た場合の、円形又は円弧状のレンズ31の直径である。このため、隣り合う2つのレンズ31は、最大で直径の約4分の1重なり、最小でレンズ31の最外周縁が接する。ここでは、隣り合う2つのレンズ31を例に説明したが、レンズ31とレンズ32の組み合わせでも同様であってもよい。
【0046】
複数のレンズ3は、それぞれのLED光源22の発した光が透過するため、透過する光を配光制御して出射する。
【0047】
図7は、実施の形態に係る照明器具1における、レンズカバー30のレンズ31から出射した光の配光特性及び配光ピークを例示した模式断面図である。
図7に示すように、複数のレンズ31は、拡散カバー40の中心部分に向かう配光ピークを有する光を出射する。このため、複数のレンズ31のうちの一部のレンズ31では、配光特性が異なる。つまり、レンズ3は、レンズカバー30における位置によって配光特性が異なる。
【0048】
図3及び
図7に示すように、例えば、複数のレンズ31のうち、レンズカバー30と拡散カバー40とが重なる方向から見た場合の拡散カバー40の中心部分側に配置される1以上のレンズ31は、拡散カバー40の中心部分に向かう配光ピークを有する光を出射する。具体的には、レンズカバー30の開口30a近傍である内周縁側に配置されるレンズ列は、その出射面132から、拡散カバー40の中心に向かう配光ピークを有する光を出射する。また、複数のレンズ列において、レンズカバー30の開口30a近傍である内周側から外周側に向かうにつれて、広配光の配光特性を有する。つまり、本実施の形態では、レンズカバー30における最内周のレンズ列から、最外周のレンズ列に向かうにつれて、次第に広配光となる配光特性を有する。
【0049】
それぞれのレンズ31は、2つの配光ピークを有する光を出射するレンズ31である。具体的には、それぞれのレンズ31は、光軸に対して互いに反対側に2つの配光ピークである、バットウィング状の配光特性を有するレンズ31である。つまり、レンズカバー30は、バットウィング状の配光特性を有する複数のレンズ31を有し、発光モジュール20から出射された光の配光角を広げる配光制御を行う。
【0050】
なお、それぞれのレンズ31の配光ピークとなる配光角は、例えば、LED光源22の配置位置、及び、レンズカバー30に対する拡散カバー40の高さによって決定されてもよい。
【0051】
複数のレンズ31のうちの、レンズカバー30の最外周に位置するレンズ列を構成する複数のレンズ31のそれぞれの出射面132は、レンズカバー30の外周端縁と連続している。具体的には、Z軸プラス方向からレンズカバー30を見た場合、レンズ31の外周端縁は、レンズカバー30の外周端縁に内接している。つまり、レンズ31の外周端縁と、レンズカバー30の外周端縁との間には、レンズカバー30の鍔が形成されていない。
【0052】
図5に示すように、複数のレンズ31のそれぞれは、LED光源22から出射される光が入射する入射面131と、入射面131に入射した光を出射する出射面132とを有する。
【0053】
入射面131は、LED光源22の発光面と対向する面であり、LED光源22の発した光が入射する面である。入射面131は、レンズ31におけるZ軸プラス方向側の面であり、出射面132と反対側の面である。
【0054】
入射面131は、第1凹部141と、第2凹部142とを有する。
【0055】
第1凹部141は、LED光源22から出射された光が入射する方向に凹む。つまり、第1凹部141は、LED光源22から遠ざかる方向(Z軸マイナス方向)に凹む。第1凹部141の内面は、LED光源22の発した光が入射する入射面131の一部を構成し、放物面状、円錐状、及び、円錐台状等である。
【0056】
レンズ31とLED光源22とが重なる方向(Z軸方向)から見た場合に、LED光源22と第1凹部141とは重なっている。つまり、第1凹部141は、LED光源22と対向する位置に形成され、LED光源22のZ軸マイナス方向に位置する。
【0057】
第2凹部142は、第1凹部141の外周に位置し、LED光源22から出射された光が入射する方向に凹む。つまり、第2凹部142は、LED光源22から遠ざかる方向(Z軸マイナス方向)に凹む。第2凹部142と第1凹部141とを見た場合に、第2凹部142は、第1凹部141に対して同心円状に形成される円環状の凹部である。
【0058】
第2凹部142の内面は、LED光源22の発した光が入射する入射面131の一部を構成する。本実施の形態では、第2凹部142の凹形状は、第1凹部141の凹形状と連続している。つまり、第1凹部141は、第2凹部142の内部(底部)に形成される。
【0059】
第2凹部142は、傾斜面142bと、対向入射面142aとを有する。
【0060】
傾斜面142bは、LED光源22の光軸に垂直な面(X-Y平面)に対し、LED光源22から出射された光の出射方向に沿って傾斜する。具体的には、傾斜面142bは、X-Y平面に対して、LED光源22から遠ざかる方向に向かって、傾斜する円環状の面である。つまり、傾斜面142bは、テーパー状の面である。このため、LED光源22が出射した光は、傾斜面142bには入射し難い。
【0061】
また、この傾斜面142bは、光軸に垂直な面(X-Y平面)に対する傾斜面142bの角度をθとすると、30°≧θ>5°を満たす。
【0062】
対向入射面142aは、出射方向と対向する面であり、LED光源22とレンズ31とを重ねて見た場合に、LED光源22を囲む円環状の面である。また、対向入射面142aは、傾斜面142bの外周縁側に形成される面である。対向入射面142aは、LED光源22の発した光が入射する入射面131の一部を構成する。本実施の形態では、対向入射面142aは、Z軸方向に対して傾斜する面であるが、Z軸方向と略平行な面であってもよい。
【0063】
対向入射面142aと傾斜面142bと接続する第1接続部分142dの表面は、断面視で円弧状の曲面である。第1接続部分142dは、円環状をなしている。
【0064】
第1凹部141と第2凹部142との第2接続部分142cの表面は、断面視で円弧状の曲面である。つまり、円弧状の曲面は、第1凹部141の内面と第2凹部142の傾斜面142bとを接続する表面である。第2接続部分142cは、円環状をなした突部である。第2接続部分142cは、LED光源22の発光面を延長した仮想面よりもZ軸マイナス方向側に配置される。つまり、第2接続部分142cは、LED光源22を囲んでいない。
【0065】
なお、第2接続部分142cは、この仮想面から第2接続部分142cの表面までの距離は、約1mm以下である。
【0066】
上述したが、本実施の形態では、複数のレンズ31のうちの一部のレンズ31では、配光特性が異なる。これは、第1凹部141及び第2凹部142の深さを変えることで、実現する。例えば、レンズカバー30における最内周のレンズ列から、最外周のレンズ列に向かうにつれて、第1凹部141及び第2凹部142の深さを深くする。
【0067】
第1接続部分142dの表面、第2接続部分142cの表面、傾斜面142b、及び、対向入射面142aのうちの少なくとも1つは、光を拡散する粗面である。本実施の形態では、第1接続部分142dの表面、第2接続部分142cの表面、傾斜面142b、及び、対向入射面142aは、光を拡散する粗面である。第1凹部141の内面は、粗面ではない。粗面は、拡散加工を施すことによって光拡散性を有するように構成される。例えば、粗面は、シボ加工等の表面処理を施すことによって形成された微小凹凸であってもよい。なお、光拡散性を高めるために、粗面には、さらに光拡散材を含有させてもよい。
【0068】
出射面132は、LED光源22の発した光であり、内部を透光した光が入射する面である。出射面132は、レンズ31おけるZ軸マイナス方向側の面である。
【0069】
出射面132は、レンズ31からZ軸方向と略平行な光の出射を抑制するように、レンズ31の中心軸(光源と光軸と略一致する線)がZ軸プラス方向に凹む凹部が形成される。凹部は、略円錐状の凹部であり、レンズ31の中心軸と略一致する部分が、凹部の底部先端と略一致する。
【0070】
出射面132は、Z軸プラス方向側から見た場合に、円形状である。また、隣り合う2つのレンズ31が周方向に連結されるため、隣り合う2つのレンズ31は、隣り合う2つのレンズ31の出射面132が連続するように、接続される。つまり、レンズ列が円環状の出射面132を構成している。
【0071】
なお、出射面132は、シボ加工などにより、微細な凹凸(シボ)が形成されていてもよく、光拡散材が内部に分散された乳白色でもよい。
【0072】
レンズ32は、Z軸マイナス方向側から見たときの形状及び配光ピークの方向がレンズ31と異なるものの、他の構成についてはレンズ31と同様であり、異なる点について説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0073】
図8は、
図4のVIII-VIII線における、実施の形態に係る照明器具1における、導光部33側に配置されたレンズ32から出射した光の配光特性及び配光ピークを例示した模式断面図である。
【0074】
図8に示すように、導光部33側に配置される1以上のレンズ32は、導光部33側に向けて光を出射する。つまり、それぞれのレンズ32から出射される光の配光ピークは、導光部33と対向する拡散カバー40の部分に向けられる。それぞれのレンズ32から出射される光の配光ピークの延長線は、導光部33と対向する拡散カバー40の部分と交差する。それぞれのレンズ32から出射された光は、導光部33と対向する拡散カバー40の部分に入射する。つまり、レンズ32の配光ピークの方向は、レンズ31の配光ピークの方向と異なり、レンズ31の配光ピークの方向と交差する。
【0075】
図9は、実施の形態に係る照明器具1のレンズカバー30を示す部分拡大図である。
【0076】
また、
図9に示すように、レンズ32は、Z軸マイナス方向側からレンズカバー30を見て略楕円状、又は、紡錘形状である。1以上のレンズ32は、導光部33側に配置される。複数のレンズ32は、導光部33とレンズ領域Eとの境界線Hに沿って配置される。本実施の形態では、複数のレンズ32は、径方向に沿って並べられる。
【0077】
図4及び
図9に示すように、導光部33は、複数の発光モジュール20のうちの隣り合う2つの発光モジュール20の境界部分Kに対応する。つまり、導光部33は、レンズカバー30と発光モジュール20とが重なる方向から見た場合に、この境界部分Kと重なっている。つまり、導光部33は、発光モジュール20のLED光源22と重なっていないため、LED光源22が発した光が直接入射するわけではない。
【0078】
導光部33は、複数のレンズ集合部31aのうちの隣り合う2つのレンズ集合部31aの間に設けられる。言い換えれば、導光部33は、複数のレンズ領域Eのうちの隣り合う2つのレンズ領域Eの間に設けられる。本実施の形態では、導光部33は、接続部カバー35によって、内周側(開口30a側)と外周側とに分断される。
【0079】
図10は、
図9のX-X線における、実施の形態に係る照明器具1のレンズカバー30の導光部33の断面を示す断面図である。
【0080】
図4、
図9及び
図10に示すように、導光部33は、第1面33a1と、第2面33a2と、光取出部33bと、肉薄部34bと、肉厚部34aとを有する。
【0081】
第1面33a1は、Z軸プラス方向側の面であり、光を反射する反射面である。第1面33a1は、隣り合う2つの発光モジュール20の境界部分Kと対向する面である。本実施の形態では、第1面33a1には、光取出部33bが形成される。第1面33a1は、発光モジュール20側の面に相当する。第1面33a1はX-Y平面と平行な面である。
【0082】
第2面33a2は、導光部33を導光した光が出射する出射面であり、シボ加工等がされていない平坦な平面である。第2面33a2は、拡散カバー40と対向する面であり、Z軸マイナス方向側の面である。第2面33a2は、拡散カバー40側の面に相当する。第2面33a2はX-Y平面と平行な面である。
【0083】
光取出部33bは、レンズカバー30に入射した光の一部を取り出す光取出構造である。光取出部33bは、第1面33a1又は第2面33a2に形成される。本実施の形態では、光取出部33bは、第1面33a1に形成される。
【0084】
光取出部33bが第1面33a1に形成される場合、導光部33を導光する光が光取出部33bに入射した場合に、光取出部33bは、第2面33a2に向けて反射することで、間接的に光を出射する。また、光取出部33bが第2面33a2に形成される場合、導光部33を導光する光が光取出部33bに入射したときに、光取出部33bは、直接的に光を出射する。
【0085】
本実施の形態では、光取出部33bは、凹凸状に形成された、Z軸マイナス方向に凹む複数の溝である。なお、光取出部33bは、Z軸プラス方向に突出する複数の突部によって構成された複数の溝であってもよい。複数の溝は、複数の溝の長さ方向(延びる方向であり延在方向)がレンズカバー30の周方向と交差する方向に形成される。レンズカバー30の内周側の導光部33では、光取出部33bの長さ方向は、レンズカバー30の径方向に沿っている。レンズカバー30の外周側の導光部33では、光取出部33bの長さ方向は、導光部33側の複数のレンズ32の端縁の形状に沿っている。つまり、複数の溝(光取出部33b)は、複数の溝の長さ方向がレンズ領域Eと導光部33との境界線Hに沿うように形成される。本実施の形態では、光取出部33bは、レンズカバー30の径方向を含む導光部33の中心線に対して対称に形成される。また、光取出部33bは、肉薄部34bから肉厚部34aに跨って形成される。
【0086】
また、
図10に示すように、光取出部33bの断面の形状は、三角波形状である。つまり、光取出部33bの断面の形状は、三角形状の凸部又は三角形状の凹部とで構成される。また、本実施の形態では、光取出部33bを構成する凸部の先端、又は、光取出部33bを構成する凹部の底部は、平坦であってもよく、曲面であってもよい。つまり、三角波形状とは、略三角波形状である。
【0087】
光取出部33bの内面の延長面と第1面33a1とがなす鋭角の角度θは、45°~65°である。特に、角度θは、55°であることが好ましい。
【0088】
なお、光取出部33bは、凹部又は凸部で形成されるプリズムであってもよく、微細構造をなしていてもよい。つまり、光取出部33bは、例えば円錐状及び角錐状等の錐状、円錐台状及び角錐台状等の錐台状、円柱状及び角柱状等の柱状であってもよい。また、光取出部33bは、第2面33a2から光を出射させるように、導光する光を反射する光反射材を有していてもよい。光反射材は、光取出部33bの表面に設けられていてもよく、光取出部33bを基材として光取出部33bの内部に設けられていてもよい。
【0089】
図9に示すように、接続部カバー35は、隣り合う2つの発光モジュール20を互いに接続する接続部を覆うカバーである。接続部カバー35は、レンズカバー30の内周側の導光部33と、レンズカバー30の外周側の導光部33との間に配置される。接続部カバー35は、レンズ集合部31a及び導光部33と一体的に形成される。
【0090】
図9及び
図10に示すように、肉薄部34bは、導光部33において、肉厚部34aよりもZ軸方向の厚みが薄い部分である。肉薄部34bは、接続部カバー35の周囲と肉厚部34aよりもレンズカバー30の内周側に形成される。これは、レンズカバー30を成形する際に、レンズカバー30の中央部分に気泡等が発生し易い性質があるため、レンズカバー30の内周側を肉薄部34bにすることで、気泡等の発生を抑制する。このため、レンズカバー30の内周側に肉薄部34bとすることで、レンズカバー30の歩留まりの低下を抑制できる。
【0091】
肉薄部34bの厚みは、複数の発光モジュール20側の第1面33a1から拡散カバー40側の第2面33a2までの距離であり、
図6の非連結部分39bの厚みH1と同等である。肉薄部34bのZ軸マイナス方向側の面は、第2面33a2の一部である。
【0092】
肉厚部34aは、導光部33において、複数の発光モジュール20側の第1面33a1から拡散カバー40側の第2面33a2までの厚みにおいて、肉薄部34bよりも厚い部分である。肉厚部34aは、レンズカバー30の外周側及びレンズカバー30の内周側の導光部33の中央部分に、周方向に沿って形成される。肉厚部34aの厚みは、非連結部分39bの厚みH1よりも厚く、レンズ3の厚みよりも薄い。レンズ3の厚みは、第1面33a1から出射面132までの距離である。
【0093】
肉厚部34aは、肉薄部34bに向かって傾斜する傾斜面部を有する。また、肉薄部34bのZ軸マイナス方向側の面は、第2面33a2の一部である。
【0094】
延出部30cは、レンズカバー30の内周側に形成され、複数のレンズ31が配置されている位置から中心軸側に向かって張り出ている(突出している)。つまり、延出部30cは、開口30aを狭める(開口30aの開口面積を小さくする)ように、中心軸側に向かって延出する。延出部30cは、X-Y平面に対して略平行な板状部であり、平面視で扇状である。本実施の形態では、延出部30cは、対象となる位置に2つ設けられているが、1つでもよく、3つ以上であってもよい。
【0095】
<拡散カバー40>
図2及び
図3に示すように、拡散カバー40は、レンズカバー30を覆い、レンズカバー30から入射した光を外側に向けて拡散して出射する光学部材である。拡散カバー40は、レンズカバー30に対して所定の距離離れた状態で筐体10に支持される。具体的には、拡散カバー40は、Z軸方向から見た場合に円形状をなし、中心軸がレンズカバー30の開口30a、及び、筐体10の開口10aと略一致するように、筐体10に支持される。
【0096】
拡散カバー40は、透光性を有する。例えば、拡散カバー40は、アクリル樹脂等の透光性を有する材料で形成されている。例えば、拡散カバー40は、光拡散材が内部に分散された乳白色の拡散パネルを用いてもよい。また、拡散カバー40の表面にシボ加工などにより、微細な凹凸(シボ)が形成されていてもよい。これにより、レンズカバー30から拡散カバー40に入射した光は、拡散カバー40を透過することで散乱される。これにより、拡散カバー40をZ軸マイナス方向から見たときの拡散カバー40に現れる輝度ムラが低減される。
【0097】
[動作]
このような、照明器具1では、LED光源22が光を発すると、そのほとんどが、レンズ3の第1凹部141の内面に入射する。第1凹部141の内面に入射した光は、レンズ3を透過して、入射した第1凹部141に対応する出射面132から出射する。また、LED光源22が発した光の一部は、第2凹部142の対向入射面142aに入射する。第2凹部142の対向入射面142aに入射した光は、隣接するレンズ3に向かい、そのレンズ3の出射面132から出射したりする。
【0098】
複数のレンズ3を有する複数のレンズ集合部31aから光が出射され、拡散カバー40に入射する。拡散カバー40に入射した光は、拡散カバー40を透過する際に拡散され、拡散カバー40から出射することで、周囲を照明する。
【0099】
また、レンズ31の入射面131に入射した光の一部は、導光部33に導かれる。例えば、第2凹部142の対向入射面142aに入射した光等が、導光部33に導かれる。導光部33を導光する光は、第1面33a1に形成される光取出部33bで反射することで、導光部33の第2面33a2から出射する。それぞれのレンズ32は、導光部33と対向する拡散カバー40の部分に向かう配光特性を有するため、この部分が暗くなり難い。このため、本実施の形態の照明器具1では、均斉度の高い光を出射することができる。
【0100】
また、それぞれのレンズ31は、中心部分に向かう配光特性を有するため、中心部分にLED光源22が配置されていなくても本実施の形態の照明器具1では、拡散カバー40の中心部分が暗くなり難い。
【0101】
[作用効果]
次に、本実施の形態における照明器具1の作用効果について説明する。
【0102】
上述したように、本実施の形態に係る照明器具1は、複数のLED光源22を有する複数の発光モジュール20と、複数の発光モジュール20を覆うレンズカバー30と、レンズカバー30を覆う透光性の拡散カバー40とを備える。また、レンズカバー30は、複数のLED光源22から出射された光の配光を制御する複数のレンズ3と、複数の発光モジュール20のうちの隣り合う2つの発光モジュール20の境界部分Kに対応する導光部33とを有する。そして、導光部33は、レンズカバー30に入射した光の一部を取り出す光取出部33bを有する。
【0103】
これによれば、隣り合う2つの発光モジュール20の境界部分KにLED光源22を配置していなくても、この境界部分Kに対応する位置に配置されたレンズカバー30の導光部33から光が出射することができる。このため、この照明器具1では、導光部33に対応した拡散カバー40の部分が暗く見えてしまうといった不具合を抑制することができる。
【0104】
したがって、この照明器具1では、輝度ムラを抑制した光を出射することができる。
【0105】
また、本実施の形態に係る照明器具1において、光取出部33bは、凹凸状に形成された複数の溝である。
【0106】
これによれば、光取出部33bは、導光部33を導光する光をより確実に取り出すことができる。
【0107】
また、本実施の形態に係る照明器具1において、レンズカバー30は、環状をなす。そして、複数の溝の長さ方向は、レンズカバー30の周方向と交差する。
【0108】
例えば、レンズカバー30が環状であれば、レンズ3の入射面131に入射した光の一部は、導光部33に導かれる際に、周方向に向かい易くなる。このため、複数の溝の長さ方向が周方向に沿って形成されていれば、導光部33を導光する光がそのまま導光してしまい、導光部33の第2面33a2から光が出射され難い。
【0109】
しかし、本実施の形態では、複数の溝の長さ方向がこの周方向と交差しているため、導光部33を導光する光が光取出部33bに入射し易い。このため、導光部33は、拡散カバー40に向けて光を出射させることができる。
【0110】
また、本実施の形態に係る照明器具1において、レンズカバー30は、複数のレンズ3のうちの1以上のレンズ3が集合して配置された状態で複数個所に分散される複数のレンズ領域Eを有する。そして、導光部33は、複数のレンズ領域Eのうちの隣り合う2つのレンズ領域Eの間に設けられる。
【0111】
これによれば、導光部33は、隣り合う2つのレンズ領域Eの間に設けられるため、導光部33と対向する位置にLED光源22が設けられていなくても、レンズ領域Eを構成するレンズ3に入射した光の一部が導かれる。このため、この照明器具1では、導光部33に対向した拡散カバー40の部分が暗く見えてしまうといった不具合を、より抑制することができる。この照明器具1では、より確実に輝度ムラを抑制した光を出射することができる。
【0112】
また、本実施の形態に係る照明器具1において、レンズカバー30は、複数のレンズ3のうちの1以上のレンズ3が集合して配置された状態で複数個所に分散される複数のレンズ領域Eを有する。そして、光取出部33bを構成する複数の溝は、複数の溝の長さ方向がレンズ領域Eと導光部33との境界線Hに沿うように形成される。
【0113】
通常、レンズ3からは放射状に光が出射するため、レンズ領域Eと導光部33との境界線Hに沿うように複数の溝を形成することで、光取出部33bに光が入射し易くなる。このため、光取出部33bの光の取出し効率がより向上する。
【0114】
また、本実施の形態に係る照明器具1において、導光部33は、複数の発光モジュール20側の第1面33a1から拡散カバー40側の第2面33a2までの厚みが部分的に厚い肉厚部34aを有する。
【0115】
これによれば、肉厚部34aから出射する光量は、導光部33における肉厚部34a以外の部分(肉薄部34b)よりも多い。これは、光が同じ距離を進む場合、肉薄部34bの方が肉厚部34aの方よりも第1面33a1と第2面33a2とで反射する回数が増えるため、第1面33a1から出射してしまう確率が上がると考えられる。このため、導光部33から出射する光量を増やすことができる。このため、この照明器具1では、より確実に輝度ムラを抑制した光を出射することができる。
【0116】
また、本実施の形態に係る照明器具1において、光取出部33bの断面の形状は、三角波形状である。
【0117】
これによれば、簡易に光取出部33bを形成することができるとともに、光取出部33bは、導光部33を導光する光を、第2面33a2からより確実に出射させることができる。
【0118】
また、本実施の形態に係る照明器具1において、導光部33側に配置される1以上のレンズ3から出射される光の配光ピークは、導光部33側に向いている。
【0119】
これによれば、導光部33に対向する拡散カバー40に光を入射させることができる。このため、この照明器具1では、より確実に輝度ムラを抑制した光を出射することができる。
【0120】
また、本実施の形態に係る照明器具1において、レンズカバー30には、開口30aが形成される。そして、レンズカバー30は、開口30aを狭めるように延出する延出部30cを有する。
【0121】
例えば、照明器具の種類によっては、開口の近傍に照明器具に電力を供給するためのケーブル等が配置されることがある。この場合、ケーブルが大きく垂れ下がると、開口から飛び出ることで、照明器具を見た場合に影になることがある。つまり、拡散カバー40を介して視認されてしまうことがあり、照明器具の見栄えを損なう場合がある。
【0122】
しかし、本実施の形態によれば、開口30a近傍にこのようなケーブル等が配置されることで、ケーブルが垂れ下がったとしても、延出部30cと垂れたケーブルとが接触するため、延出部30cは、このケーブルを支持することができる。つまり、延出部30cは、ケーブルが拡散カバー40に接触又は近接することを抑制することができる。このため、ケーブルが視認されてしまうといった不具合を抑制することができる。その結果、この照明器具1では、見栄えが悪化し難くなる。
【0123】
(その他変形例)
以上、本開示に係る照明器具について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記の各実施の形態に限定されるものではない。
【0124】
例えば、上記の各実施の形態に係る照明器具において、レンズカバーには、鍔部が形成されていてもよい。つまり、複数のレンズのうちのレンズカバーの最外周のレンズ列から、さらに径方向に延びる鍔部が形成されていてもよい。
【0125】
また、上記の各実施の形態に係る照明器具において、光取出部は、導光部に形成されていなくてもよい。光取出部は、導光部以外の部分に設けられていてもよい。
【0126】
また、上記の各実施の形態に係る照明器具において、レンズカバーのそれぞれのレンズ列の径は、略同一であってもよく、レンズカバーの最外周のレンズ列の径が、他のレンズ列の径よりも大きくてもよい。
【0127】
なお、上記の各実施の形態に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0128】
1 照明器具
20 発光モジュール
22 LED光源(光源)
30 レンズカバー
30a 開口
30c 延出部
3、31、32 レンズ
33 導光部
33b 光取出部
34a 肉厚部
40 拡散カバー
E レンズ領域
H 境界線
K 境界部分