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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】切断工具
(51)【国際特許分類】
   B23D 29/00 20060101AFI20230414BHJP
   B23D 33/00 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
B23D29/00 A
B23D33/00 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017185340
(22)【出願日】2017-09-26
(65)【公開番号】P2019058971
(43)【公開日】2019-04-18
【審査請求日】2020-05-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 雅道
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】実公昭50-041594(JP,Y1)
【文献】実開昭63-169212(JP,U)
【文献】特開2006-150464(JP,A)
【文献】国際公開第91/003357(WO,A1)
【文献】実開昭57-073021(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 29/00,33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺部を前記長尺部の長手方向と交差する面で切断する切断刃を保持する工具本体と、
前記工具本体に取り付けられるカバー本体と、を備え、
前記カバー本体は、
前記切断刃を収容する被覆部と、
前記カバー本体が前記工具本体に取り付けられているときに前記切断刃側となる領域に開口部を有する箱状部と、を含み、
前記箱状部の内部の空間は、前記開口部を通して、前記被覆部の内部の空間に繋がっており、
前記カバー本体は、前記カバー本体が前記工具本体に取り付けられているとき、前記長尺部が前記カバー本体の外部から前記切断刃に向かって通される開放領域を有し、
前記開放領域は、前記被覆部に設けられており、
前記被覆部は、
第一壁部と、
前記第一壁部に対向する第二壁部と、
前記第一壁部と前記第二壁部側とを連結する側壁部と、を有し、
前記工具本体のうち前記カバー本体が取り付けられる被装着部は、前記第一壁部と前記第二壁部との間に配置され、前記側壁部により覆われ、
前記カバー本体は、前記工具本体に着脱可能である
切断工具。
【請求項2】
前記切断刃は、挟み方向の両側から前記長尺部を挟んで前記長尺部を剪断する一対の刃を含み、
前記被覆部に形成された前記開口部は、前記カバー本体が前記工具本体に取り付けられているときの前記挟み方向に沿う方向の開口幅が、当該方向と直交する方向の開口幅よりも大きい
請求項1に記載の切断工具。
【請求項3】
前記カバー本体は、透明な透明部を含み、
前記カバー本体は、前記透明部が前記切断刃に対向するように前記工具本体に取り付けられる
請求項1又は2に記載の切断工具。
【請求項4】
前記カバー本体は、前記箱状部と前記開放領域との間に前記切断刃が位置するように前記工具本体に取り付けられる
請求項1~3のいずれか一項に記載の切断工具。
【請求項5】
前記カバー本体は、前記工具本体と共に前記切断刃を囲むように前記工具本体に取り付けられる
請求項1~4のいずれか一項に記載の切断工具。
【請求項6】
可搬である請求項1~5のいずれか一項に記載の切断工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は切断工具に関し、より詳細には、切断刃を保持する工具本体に取り付けられる切断工具用カバーを備える切断工具に関する。
【背景技術】
【0002】
カバー(保護カバー)を備えた切断工具の従来例として、特許文献1記載の棒状体切断機を例示する。特許文献1記載の棒状体切断機は、固定刃と、この固定刃に対して接離されて剪断作用により棒状体(長尺部)を切断する可動刃と、切断機本体に着脱可能に設けられて可動刃と固定刃とを覆う保護カバーとを備える。棒状体切断機としての全ネジ切断機を作業者が操作しないときに、固定刃と可動刃を保護する為に、固定刃と可動刃を覆う保護カバーが配設される。そして、この保護カバーは全ネジ切断機を操作する際に取り外される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-238432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の棒状体切断機では、作業者は、固定刃及び可動刃により棒状体を切断してから、棒状体のうち切り離された部分を手で受けたり拾ったりして回収する必要があった。
【0005】
本発明は、長尺部を切断するための切断工具の使い勝手を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る切断工具は、工具本体と、カバー本体と、を備える。前記工具本体は、切断刃を保持する。前記切断刃は、長尺部を前記長尺部の長手方向と交差する面で切断する。前記カバー本体は、前記工具本体に取り付けられる。前記カバー本体は、被覆部と、箱状部と、を含む。前記被覆部は、前記切断刃を収容する。前記箱状部は、前記カバー本体が前記工具本体に取り付けられているときに前記切断刃側となる領域に開口部を有する。前記箱状部の内部の空間は、前記開口部を通して、前記被覆部の内部の空間に繋がっている。前記カバー本体は、開放領域を有する。前記カバー本体が前記工具本体に取り付けられているとき、前記開放領域には、前記長尺部が前記カバー本体の外部から前記切断刃に向かって通される。前記開放領域は、前記被覆部に設けられている。前記被覆部は、第一壁部と、前記第一壁部に対向する第二壁部と、前記第一壁部と前記第二壁部側とを連結する側壁部と、を有する。前記工具本体のうち前記カバー本体が取り付けられる被装着部は、前記第一壁部と前記第二壁部との間に配置され、前記側壁部により覆われる。前記カバー本体は、前記工具本体に着脱可能である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る切断工具では、長尺部を切断するための切断工具の使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る切断工具の工具本体及び切断刃の分解斜視図である。
図2図2は、同上の切断工具の要部の斜視図である。
図3図3は、一実施形態に係る切断工具用カバーの斜視図である。
図4図4は、一実施形態に係る切断工具の要部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係る切断工具用カバー及び切断工具について、図面を用いて説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本開示の様々な実施形態の一部に過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0011】
(構成)
本実施形態の切断工具1は、図1、2に示すように、切断工具用カバー2と、切断刃6と、工具本体7と、を備えている。
【0012】
切断工具1は、切断刃6により長尺部9を切断する工具である。本開示において、長尺部とは、所定の部材のうち、長手方向の長さが、長手方向と直交する各方向の長さの2倍以上の長さである部分を意味する。より好ましくは、長尺部では、長手方向の長さが、長手方向と直交する各方向の長さの5倍以上の長さである。より好ましくは、長尺部では、長手方向の長さが、長手方向と直交する各方向の長さの10倍以上の長さである。本実施形態の長尺部9の長手方向は、図1では紙面の上下方向である。また、長尺部とは、所定の部材の一部分であってもよいし、所定の部材の全体であってもよい。
【0013】
長尺部を有する所定の部材の具体例は、全ねじ、全ねじ以外のねじ、ボルト、鉄筋、パイプ、又は、木材若しくは金属等で形成された角材若しくは円柱状の部材である。本実施形態では、所定の部材は全ねじであり、長尺部9は全ねじの全体である。本実施形態では、全ねじを切断する切断工具1について説明する。
【0014】
切断工具1は、可搬である。切断工具1が可搬であるとは、切断工具1が、輸送機械又は台車等の道具を用いなくても、人が手に取って持ち歩くことが可能な寸法及び重さであることを言う。
【0015】
切断工具用カバー2は、カバー本体3を備えている。本実施形態では、カバー本体3は、切断工具用カバー2の全体を構成している。カバー本体3は、被覆部4と、箱状部5と、を含む。カバー本体3は、例えば、樹脂材料により形成されている。カバー本体3は、全体が透明に形成されている。カバー本体3は、工具本体7に着脱可能である。
【0016】
被覆部4は、箱状に形成されている。被覆部4は、工具本体7のうち、切断刃6が取り付けられる後述の固定アーム81及び可動アーム82と、後述のハウジング74のうち固定アーム81及び可動アーム82の周りの部分との外形に沿った形状に形成されている。図2、3に示すように、被覆部4は、第一壁部41と、第二壁部42と、側壁部43と、を含む。
【0017】
第一壁部41及び第二壁部42は、略台形の板状に形成されている。第一壁部41及び第二壁部42は、互いに対向している。第一壁部41及び第二壁部42は、互いに略同一形状であり、互いに対向する方向において重なり合う位置関係である。略台形の板状の第一壁部41における一対の底辺のうち、短い方の底辺を第一短辺411と称し、長い方の底辺を第一長辺412と称する。また、略台形の板状の第二壁部42における一対の底辺のうち、短い方の底辺を第二短辺421と称し、長い方の底辺を第二長辺422と称する。
【0018】
側壁部43は、第一壁部41の外縁と第二壁部42の外縁との間に形成されている。より詳細には、側壁部43は、第一壁部41の第一長辺412以外の辺と、第二壁部42の第二長辺422以外の辺との間に形成されている。
【0019】
被覆部4は、挿入孔430及び開口部(開放領域)410を有している。
【0020】
挿入孔430は、第一壁部41と第二壁部42との間に形成されている。より詳細には、挿入孔430は、第一壁部41の第一長辺412と、第二壁部42の第二長辺422との間の面の全域に形成されている。すなわち、挿入孔430は、第一壁部41の周方向における側壁部43の両端の間に形成されている。
【0021】
開口部410は、第一壁部41に形成されている。すなわち、第一壁部41は、開口部410において厚み方向に貫通している。
【0022】
開口部410は、第一壁部41の第一短辺411に対してよりも、第一壁部41の第一長辺412に対して近くに形成されている。開口部410は、長円状に形成されている。より詳細には、開口部410は、第一壁部41の第一長辺412に沿った方向に長尺の長円状に形成されている。つまり、開口部410において、第一長辺412に沿った方向の開口幅L1(図4参照)が、当該方向と直交する方向の開口幅L2(図4参照)よりも大きい。また、開口部410は、第一壁部41の第一長辺412に沿った方向における、第一壁部41の中心付近に形成されている。
【0023】
箱状部5は、開口部50を有する直方体状に形成されている。箱状部5は、被覆部4の第二壁部42の一部から突出している。つまり、箱状部5は、被覆部4に繋がっている。より詳細には、箱状部5は、第二壁部42の第二短辺421から、第二壁部42の第二長辺422の一部までに亘って形成されている。開口部50は、箱状部5における被覆部4側の面に形成されている。箱状部5の内部の空間は、開口部50を通して、被覆部4の内部の空間に繋がっている。
【0024】
被覆部4のうち開口部410が形成されている領域は、箱状部5と対向している。より詳細には、被覆部4のうち開口部410が形成されている領域は、第一壁部41と第二壁部42とが対向している方向において、箱状部5と対向している。
【0025】
図1に示すように、工具本体7は、ハンドル71と、補助ハンドル72と、トリガスイッチ73と、ハウジング74と、固定アーム81と、可動アーム82と、スケール保持部83と、を含む。
【0026】
ハンドル71、補助ハンドル72及びハウジング74の内部には、工具本体7が備えるモータ及びモータの駆動回路等が収容されている。ハンドル71及び補助ハンドル72は、ハウジング74から突出しており、ハンドル71及び補助ハンドル72は、突出方向の先端側で互いに繋がっている。ハンドル71の外部には、トリガスイッチ73が設けられている。また、ハンドル71には、電池(2次電池)を収容した電池パックが取り付けられる。固定アーム81及び可動アーム82は、ハウジング74の外面から突出している。可動アーム82は、固定アーム81に対して図1における紙面の上下方向にずれて位置している。スケール保持部83は、固定アーム81から突出している。スケール保持部83には、長尺部9の長さを測定するためのスケールが挿入される貫通孔830が形成されている。
【0027】
切断工具1の切断刃6は、一対の刃60を含む。一対の刃60は、板状に形成されている。一対の刃60の各々は、半円状の一対の窪みを有し、一対の窪みの底面に形成された一対の刃部61を有する。一対の刃部61は、鋭利に形成されている。
【0028】
固定アーム81及び可動アーム82には、刃60が1つずつ取り付けられている。より詳細には、固定アーム81に形成されている貫通孔810に通されたボルト63が、刃60に形成されているボルト孔62にねじ込まれることにより、固定アーム81に刃60が取り付けられている。また、可動アーム82に形成されている貫通孔820に通されたボルト63が、刃60に形成されているボルト孔62にねじ込まれることにより、可動アーム82に刃60が取り付けられている。このようにして、工具本体7は、切断刃6を保持する。可動アーム82は、図1において矢印A1で示す方向に変位可能である。つまり、可動アーム82は、刃60の厚み方向と直交する平面に沿って、固定アーム81に近づいたり、離れたりするように変位可能である。
【0029】
図2に示すように、カバー本体3は、工具本体7に取り付けられる。より詳細には、カバー本体3は、固定アーム81、可動アーム82、ハウジング74のうち固定アーム81及び可動アーム82の周りの部分、並びに切断刃6(一対の刃60)を、挿入孔430(図3参照)に通し被覆部4により覆うように、工具本体7に取り付けられる。ここで、被覆部4が切断刃6を覆うとは、被覆部4が切断刃6を全方向から覆う必要は無く、一部の方向から覆えばよい。
【0030】
カバー本体3の内面には、挿入孔430の近傍に凹部414(図3参照)が形成されている。より詳細には、凹部414は、第一壁部41に形成されている。工具本体7には、カバー本体3の凹部414に挿入される凸部744が形成されている。作業者は、工具本体7の凸部744をカバー本体3の凹部414に挿入することにより、カバー本体3を工具本体7に取り付けることができる。また、作業者は、工具本体7の凸部744をカバー本体3の凹部414から抜き去ることにより、カバー本体3を工具本体7から取り外すことができる。
【0031】
カバー本体3の被覆部4は、切断刃6を覆うことにより切断刃6を保護する。切断工具1を保管する場合には、切断刃6を保護するために、カバー本体3が工具本体7に取り付けられていることが好ましい。
【0032】
カバー本体3が工具本体7に取り付けられているとき、開口部410は、工具本体7により塞がれない。カバー本体3は、箱状部5と開口部410との間に切断刃6(一対の刃60)が位置するように、工具本体7に取り付けられる。また、カバー本体3は、被覆部4のうち開口部410が形成されている領域が切断刃6に対向するように、工具本体7に取り付けられる。より詳細には、被覆部4のうち開口部410が形成されている領域は、切断刃6(一対の刃60)の厚み方向において切断刃6に対向する。
【0033】
また、箱状部5は、カバー本体3が工具本体7に取り付けられているときに切断刃6側となる領域に開口部50を有している。より詳細には、箱状部5のうち開口部50が形成されている領域は、切断刃6(一対の刃60)の厚み方向において切断刃6に対向する。
【0034】
カバー本体3は、工具本体7と共に切断刃6を囲むように工具本体7に取り付けられる。より詳細には、側壁部43と工具本体7とが、切断刃6を囲む。つまり、切断刃6が長尺部9を切断する面(すなわち、切断刃6の厚み方向と直交する面:図2では上下方向と直交する面)に沿った各方向(図2の前後方向、左右方向等)から、側壁部43と工具本体7とが切断刃6を覆っている。言い換えると、カバー本体3が工具本体7に取り付けられているとき、切断刃6が長尺部9を切断する面に直交する方向から見て、切断刃6は、側壁部43と工具本体7とにより囲まれている。
【0035】
カバー本体3は、全体が透明なので、カバー本体3の全体が透明部に相当する。カバー本体3は、透明部が切断刃6に対向するように工具本体7に取り付けられる。特に、透明部は、切断刃6が長尺部9を切断する面に沿った方向において切断刃6に対向する。
【0036】
(切断工具の動作)
以下では、図2、4を参照して、カバー本体3が工具本体7に取り付けられた状態で長尺部9を切断刃6で切断する場合の切断工具1の動作について説明する。以下では、長尺部9が天井に固定されている吊りボルトであり、長尺部9の一端が床側(下)を向いている場合について説明する。
【0037】
まず、長尺部9は、カバー本体3の外部から切断刃6に向かって開口部410に通される。これにより、長尺部9の一端が、カバー本体3の内部に配置される。
【0038】
開口部410側から見て、可動アーム82は、固定アーム81から離れている。このとき、一対の刃60の間の空間には、長尺部9が配置される。
【0039】
トリガスイッチ73が押されると、ハウジング74に収容されたモータが駆動することにより、可動アーム82は、図4における紙面の略右向き(図4において矢印A1で示す向き)に変位する。可動アーム82が変位するのに伴って、可動アーム82に取り付けられている刃60が変位して、当該刃60の刃部61が、固定アーム81に取り付けられている刃60の刃部61との間に長尺部9を挟み、長尺部9に剪断力を生じさせる。これにより、切断刃6(一対の刃60)は、長尺部9を長尺部9の長手方向と交差する面で切断する。要するに、一対の刃60は、挟み方向(矢印A1と同じ方向)の両側から長尺部9を挟んで、長尺部9を剪断する。本実施形態では、切断刃6は、長尺部9を長尺部9の長手方向と直交する面で切断する。
【0040】
長尺部9が切断されて2つに分けられると、2つに分けられた長尺部9のうち下端側の部分(断片91)は、箱状部5の内部に落下する。図2では、切断された長尺部9の断片91を2つ図示している。このように、作業者は、切断工具1を用いれば、断片91をカバー本体3により容易に回収することができる。特に、作業者は、片手でハンドル71を握ってトリガスイッチ73を押すことで、片手のみを用いて長尺部9を切断し、かつ、断片91を回収することができる。
【0041】
また、長尺部9が切断刃6で切断されたとき、長尺部9の断片91が鉛直に落ちずに飛散したとしても、被覆部4が切断刃6を覆っているので、断片91がカバー本体3の外部へ飛散する可能性が低減する。
【0042】
長尺部9を切断刃6で切断する際に、作業者は、透明なカバー本体3を通してカバー本体3内部の長尺部9と切断刃6とを見て、長尺部9と切断刃6との位置合わせを行うことができる。また、カバー本体3のうち箱状部5も透明なので、作業者は、箱状部5にある長尺部9の1又は複数の断片91を見ることができる。
【0043】
以上では、長尺部9が天井に固定されており、長尺部9の一端が床側(下)を向いている場合について説明したが、長尺部9の向きは、どのような向きであってもよい。例えば、長尺部9が壁等に固定されており、長尺部9の一端が水平方向を向いている場合でも、長尺部9を切断刃6で切断することができる。また、長尺部9が固定されていなくてもよい。
【0044】
以上のように、カバー本体3が工具本体7に取り付けられている状態であっても長尺部9を切断刃6で切断することができるという点で、切断工具1は利便性が高い。カバー本体3が工具本体7に取り付けられていない状態で、長尺部9を切断刃6で切断することもできる。
【0045】
ところで、可動アーム82が変位して切断刃6の一対の刃60が長尺部9を挟むことにより、長尺部9とカバー本体3とのうち少なくとも一方が、可動アーム82の変位する方向(挟み方向:矢印A1と同じ方向)に変位することがある。これにより、長尺部9がカバー本体3に対して挟み方向に相対的に変位することがある。例えば、長尺部9が固定されている場合は、カバー本体3が工具本体7と共に挟み方向に変位する。
【0046】
そこで、図4に示すように、被覆部4に形成された開口部410は、カバー本体3が工具本体7に取り付けられているときの挟み方向(矢印A1と同じ方向)に沿う方向の開口幅L1が、当該方向と直交する方向の開口幅L2よりも大きい。言い換えると、開口部410は、カバー本体3が工具本体7に取り付けられているときに、開口部410の長手方向が挟み方向に沿うように形成されている。さらに、開口幅L1は、可動アーム82と固定アーム81とが互いに離れて位置しているときの一対の刃部61の間の距離L3よりも大きい。これにより、可動アーム82が変位して一対の刃60が挟み方向の両側から長尺部9を挟んでも、カバー本体3のうち開口部410の周囲の部分と長尺部9とが接触しにくい。開口幅L1は、可動アーム82と固定アーム81との間の距離が最大であるときの一対の刃部61の間の距離以上の大きさであってもよい。
【0047】
(実施形態の変形例)
次に、実施形態の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0048】
カバー本体3において、長尺部9が通される開放領域は、開口部410に限定されない。開放領域は、第一壁部41等の部材により囲まれていなくてもよい。例えば、実施形態のカバー本体3の開口部410(開放領域)を第一長辺412まで延長することにより、開放領域を切欠き状に形成してもよい。また、実施形態のカバー本体3において第一壁部41が配置されている領域の全体に開放領域が形成されていてもよい。
【0049】
また、開放領域は、第一壁部41に形成されていることに限定されない。例えば、開放領域は、側壁部43に形成されていてもよい。
【0050】
また、開放領域は、被覆部4に形成されていることに限定されない。例えば、開放領域は、箱状部5に形成されていてもよいし、被覆部4と箱状部5とに亘って形成されていてもよい。
【0051】
また、被覆部4のうち開放領域(開口部410)が形成されている領域は、箱状部5と対向していなくてもよい。
【0052】
また、箱状部5は、第二壁部42から突出しているのではなく、側壁部43から突出していてもよい。
【0053】
また、箱状部5は、被覆部4に着脱可能であってもよい。
【0054】
また、カバー本体3は、箱状部5の寸法を変更できる構成であってもよい。例えば、寸法が互いに異なる複数の箱状部5が、被覆部4に着脱可能であってもよい。作業者は、長尺部9を切断する長さ(断片91の長さ)に応じて、寸法が互いに異なる複数の箱状部5を使い分けてもよい。
【0055】
また、切断工具1の構成は、切断刃6の一対の刃60で長尺部9を挟むことにより長尺部9を剪断する構成に限定されない。例えば、切断工具1の構成は、長尺部9に接触させた切断刃(実施形態の切断刃6の形状に限らない)を回転運動、直線運動又は曲線運動させることにより長尺部9を切断する構成であってもよい。切断刃は、例えば、鋸(丸鋸を含む)であってもよい。
【0056】
また、カバー本体3は、透明に形成されていなくてもよい。ただし、カバー本体3は、工具本体7に取り付けられているとき切断刃6に対向する部分の少なくとも一部が透明であることが好ましい。特に、カバー本体3は、切断刃6が長尺部9を切断する面に沿った方向において切断刃6に対向する部分の、少なくとも一部が透明であることが好ましい。また、箱状部5の少なくとも一部が透明であることも好ましい。
【0057】
また、カバー本体3は、工具本体7と共に切断刃6を囲まなくてもよい。カバー本体3は、一部の方向から切断刃6を覆ってもよい。例えば、カバー本体3は、箱状部5と、箱状部5に繋がっており切断刃6を一方向から覆う平板状の被覆部とを少なくとも含む構成であってもよい。
【0058】
また、切断工具1は、電池ではなく商用電源等の外部電源から電力が供給されてもよい。また、電池を電源に用いる場合に、電池は1次電池でも、2次電池でもよい。また、本実施形態の切断工具1は、電力により駆動される電動工具であるが、切断工具1は電動工具に限定されない。切断工具1は、例えば空圧ポンプを動力源とし空圧ポンプから供給される圧縮空気により駆動される空圧式の工具でもよいし、油圧ポンプを動力源とし油圧源から供給される油圧により駆動される油圧式の工具でもよい。
【0059】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る切断工具用カバー2は、カバー本体3を備える。カバー本体3は、切断刃6を保持する工具本体7に取り付けられる。切断刃6は、長尺部9を長尺部9の長手方向と交差する面で切断する。カバー本体3は、箱状部5と、被覆部4と、を含む。箱状部5は、カバー本体3が工具本体7に取り付けられているときに切断刃6側となる領域に開口部50を有する。被覆部4は、箱状部5に繋がっており切断刃6を覆う。カバー本体3は、開放領域(開口部410)を有する。カバー本体3が工具本体7に取り付けられているとき、開放領域には、長尺部9がカバー本体3の外部から切断刃6に向かって通される。
【0060】
上記の構成によれば、カバー本体3の被覆部4は、切断刃6を覆う。被覆部4は、長尺部9がカバー本体3の外部から切断刃6に向かって通される開放領域(開口部410)を有する。これにより、カバー本体3が取り付けられた工具本体7では、長尺部9の一部又は全部を開放領域に通し、長尺部9を切断刃6で切断することができる。さらに、長尺部9のうち切断刃6により切り離された部分が切断刃6から離れるとき、切り離された部分を、カバー本体3により受け、箱状部5に収容することができる。したがって、作業者は、長尺部9のうち切断刃6で切り離された部分を手で受けたり拾ったりして回収する必要が無いので、切断工具1(カバー本体3、切断刃6及び工具本体7。ここでは特に切断刃6を保持した状態の工具本体7)の使い勝手が向上する。また、被覆部4が切断刃6を覆っていることにより、長尺部9のうち切断刃6で切り離された部分がカバー本体3の外部へ飛散する可能性を低減することができる。
【0061】
また、第2の態様に係る切断工具用カバー2では、第1の態様において、開放領域は、被覆部4に形成された開口部410である。
【0062】
上記の構成によれば、開放領域(開口部410)の周りに被覆部4があって被覆部4が切断刃6を覆うので、長尺部9のうち切断刃6で切り離された部分がカバー本体3の外部へ飛散する可能性を更に低減することができる。
【0063】
また、第3の態様に係る切断工具用カバー2では、第2の態様において、切断刃6は、一対の刃60を含む。一対の刃60は、挟み方向の両側から長尺部9を挟んで長尺部9を剪断する。被覆部4に形成された開口部410は、カバー本体3が工具本体7に取り付けられているときの挟み方向に沿う方向の開口幅L1が、当該方向と直交する方向の開口幅L2よりも大きい。
【0064】
上記の構成によれば、切断刃6が挟み方向の両側から長尺部9を挟むことにより、長尺部9とカバー本体3とのうち少なくとも一方が挟み方向に変位しても、カバー本体3のうち開口部410の周囲の部分と長尺部9とが接触しにくい。したがって、カバー本体3と長尺部9とが接触して互いに圧力が加わる可能性を低減することができる。
【0065】
また、第4の態様に係る切断工具用カバー2では、第1~3の態様のいずれか1つにおいて、カバー本体3は、工具本体7に着脱可能である。
【0066】
上記の構成によれば、長尺部9のうち切断刃6で切り離された部分をカバー本体3で受ける必要がないときは、工具本体7からカバー本体3を取り外した状態で工具本体7及び切断刃6を使用することができる。
【0067】
また、第5の態様に係る切断工具用カバー2では、第1~4の態様のいずれか1つにおいて、カバー本体3は、透明な透明部(例えば、カバー本体3の全体)を含む。カバー本体3は、透明部が切断刃6に対向するように工具本体7に取り付けられる。
【0068】
上記の構成によれば、作業者は、カバー本体3の透明部を通して切断刃6を見ることにより、切断刃6と長尺部9との位置合わせを容易に行うことができる。
【0069】
また、第6の態様に係る切断工具用カバー2では、第1~5の態様のいずれか1つにおいて、カバー本体3は、箱状部5と開放領域(開口部410)との間に切断刃6が位置するように工具本体7に取り付けられる。
【0070】
上記の構成によれば、箱状部5と切断刃6と開放領域(開口部410)とが鉛直方向に並んだ状態で、長尺部9の一部又は全部が開放領域に通され、長尺部9が切断刃6で切断された場合に、長尺部9のうち切断刃6で切り離された部分を箱状部5で受けることが容易である。
【0071】
また、第7の態様に係る切断工具用カバー2では、第1~6の態様のいずれか1つにおいて、カバー本体3は、工具本体7と共に切断刃6を囲むように工具本体7に取り付けられる。
【0072】
上記の構成によれば、長尺部9のうち切断刃6で切り離された部分がカバー本体3の外部へ飛散する可能性を更に低減することができる。
【0073】
また、第8の態様に係る切断工具1は、第1~7の態様のいずれか1つに係る切断工具用カバー2と、切断刃6と、工具本体7と、を備える。
【0074】
上記の構成によれば、長尺部9の一部又は全部を開放領域(開口部410)に通し、長尺部9を切断刃6で切断することができる。さらに、長尺部9のうち切断刃6により切り離された部分が切断刃6から離れるとき、切り離された部分を、カバー本体3により受け、箱状部5に収容することができる。したがって、作業者は、長尺部9のうち切断刃6で切り離された部分を手で受けたり拾ったりして回収する必要が無いので、切断工具1の使い勝手が向上する。また、被覆部4が切断刃6を覆っていることにより、長尺部9のうち切断刃6で切り離された部分がカバー本体3の外部へ飛散する可能性を低減することができる。
【0075】
また、第9の態様に係る切断工具1は、第8の態様において、可搬である。
【0076】
上記の構成によれば、作業者が切断工具1を持ち歩いて、天井又は壁等に固定された長尺部9を切断工具1により切断することが容易である。
【0077】
第2~7の態様に係る構成については、切断工具用カバー2に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。第9の態様に係る構成については、切断工具1に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 切断工具
2 切断工具用カバー
3 カバー本体(透明部)
4 被覆部
410 開口部(開放領域)
5 箱状部
50 開口部
6 切断刃
60 刃
7 工具本体
9 長尺部
L1、L2 開口幅
図1
図2
図3
図4