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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】路面マーカー、路面マーカーセット
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/559 20160101AFI20230414BHJP
   E01F 9/524 20160101ALI20230414BHJP
【FI】
E01F9/559
E01F9/524
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019095503
(22)【出願日】2019-05-21
(65)【公開番号】P2020190108
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】599012684
【氏名又は名称】唐沢 伸
(73)【特許権者】
【識別番号】517266779
【氏名又は名称】株式会社リンコー
(73)【特許権者】
【識別番号】516240592
【氏名又は名称】林 弘美
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】唐沢 伸
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-0961621(KR,B1)
【文献】特開2004-108058(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0022676(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/559
E01F 9/524
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側周面に配される反射部と、
上面側に配される凸状蓄光部と、
を有し、
反射部は、円錐台側面形状であり、
凸状蓄光部は、ドーム状であり、
前記凸状蓄光部底面と、前記反射部上面輪郭とが合致する路面マーカー。
【請求項2】
反射部は、少なくとも一部が照射光を上方に反射する傾斜面を有する請求項1に記載の路面マーカー。
【請求項3】
凸状蓄光部は、側方視にて観察できる側方可視領域を有する請求項1又は請求項2に記載の路面マーカー。
【請求項4】
反射部と、凸状蓄光部と、はガラスコーティングされている請求項1から請求項3のいずれか一に記載の路面マーカー。
【請求項5】
反射部の色彩を異ならせた請求項1から請求項4のいずれか一の路面マーカーの複数からなる路面マーカーセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面等に設置され主に安全のための警告や注意喚起等の標示を行う路面マーカー及び複数の路面マーカーからなる路面マーカーセットに関する。
【背景技術】
【0002】
夜間の屋外において、暗闇状態のなかで歩行者や自転車等の車両通行者が路面に設置された歩道・車道間の縁石や駐車場の車止めなどにつまずいて転倒したり側溝などに転落したりする危険を回避するため、そのような危険な場所の存在を蓄光標示体の発光や反射材を用いた反射光によって警告や注意喚起を行うという方法が用いられることがある。
【0003】
反射材を用いた反射光による注意喚起は、懐中電灯を携行する歩行者や灯火状態の自転車通行者のような照光手段を有する通行者に対してのみ有効であるのに対し、蓄光標示体の発光による注意喚起等は、こうした照光手段を有しない通行者等にも有効である。一方、反射光は比較的遠方からも視認できるのに対し、蓄光の発光は比較的近くからでないと視認しづらいことが考えられる。そこで、これらのメリット・デメリットを相補うため、蓄光標示体と反射材の両者を備えた標示体が知られている。例えば、特許文献1には、透明樹脂で形成された四角錘台形状の基台の側面に反射材を配置するとともに、基台の底面に蓄光層を配置した標示体が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-220673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示された標示体においては、反射材からの反射光は側方から視認できるのに対し、蓄光層からの発光を側方から視認することはできない。したがって、例えば、側方から照光手段を有しないで近づいてきた歩行者は、反射光による注意喚起を受けることができないので、蓄光層からの発光をほぼ真上から視認できる状態になった時に初めて標示体の存在、したがって、縁石などの対象物の存在に遅れて気付くこととなる。この場合、視認者の移動速度などによっては、気付いた時には対象物に近づきすぎており、危険を回避できないといった事態も考えられる。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みたものである。即ち、本発明の解決すべき課題は、蓄光標示体と反射材の両者を備え、しかも、側方から蓄光と反射光の双方を視認することが可能な路面用の標示体(路面マーカー)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための手段として、本発明における第一の発明は、側周面に配される反射部と、上面側に配される凸状蓄光部と、を有する路面マーカーを提供する。
【0008】
また、第二の発明は、第一の発明を基礎として、反射部は、少なくとも一部が照射光を上方に反射する傾斜面を有する路面マーカーを提供する。
【0009】
また、第三の発明は、第一又は第二の発明を基礎として、凸状蓄光部は、側方視にて観察できる側方可視領域を有する路面マーカーを提供する。
【0010】
また、第四の発明は、第一から第三のいずれか一の発明を基礎として、反射部は、円錐台側面形状である路面マーカーを提供する。
【0011】
また、第五の発明は、第一から第四のいずれか一の発明を基礎として、凸状蓄光部は、ドーム状である路面マーカーを提供する。
【0012】
また、第六の発明は、第四の発明を基礎とする第五の発明を基礎として、前記凸状蓄光部底面と、前記反射部上面輪郭とが合致する路面マーカーを提供する。
【0013】
また、第七の発明は、第一から第六のいずれか一の発明を基礎として、反射部と、凸状蓄光部と、はガラスコーティングされている路面マーカーを提供する。
【0014】
また、第八の発明は、反射部の色彩を異ならせた第一から第七のいずれか一の発明に係る路面マーカーの複数からなる路面マーカーセットを提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、蓄光標示体と反射材の両者を備え、しかも、側方から蓄光と反射光の双方を視認することが可能な路面マーカーを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例1の路面マーカーの構成の一例を示す図
図2】実施例1の路面マーカーの構成の一例を示す図
図3】実施例1の路面マーカー本体部の形状の一例を示す図
図4】実施例1の路面マーカーの路面への取付構造の一例を示す図
図5】突起を路面に固定するための構造の一例を示す図
図6】実施例1の路面マーカーの路面への取付構造の一例を示す図
図7】凸状蓄光部の周囲に生じる本体部との溝を埋める構成の一例を示す図
図8】実施例2の路面マーカーにおける反射部と凸状蓄光部の構成について説明するための図
図9】ゲル接着層を有する路面マーカーの構成の一例を示す図
図10】実施例1における路面マーカー本体部の形状の一例を示す斜視図
図11】実施例5における路面マーカー本体部の形状の一例を示す斜視図
【符号の説明】
【0017】
0100 路面マーカー
0110 反射部
0120 凸状蓄光部
0130 路面マーカー本体部
0340 反射層
0970 ゲル接着層
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施例を説明する。実施例と請求項の相互の関係は以下のとおりである。実施例1は主に請求項2、請求項3などに関し、実施例2は主に請求項1などに関し、実施例3は主に請求項4などに関し、実施例4は主に請求項5などに関する。実施例5はこれら請求項に記載した発明に関連する発明に関する。なお、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
【実施例1】
【0019】
<概要>
本実施例の発明は、側周面に配される反射部と、上面側に配される凸状蓄光部とを有する路面マーカーを提供するものである。
【0020】
<構成>
(全般)
図1は、本実施例の路面マーカーの形状の一例を示す斜視図である。本図に示すように、本実施例の路面マーカー0100は、側周面に配される反射部0110と、上面側に配される凸状蓄光部0120とを有する。これら反射部及び凸状蓄光部は、金属製の路面マーカー本体部0130の側周面及び上面側に取付けられる。
【0021】
路面マーカーの全体形状に特に限定はないものの、自転車や歩行者がどの方向から接近してきた場合でも蓄光発光や反射光で警告することができるよう全周囲方向に反射部や蓄光部を配置することが可能な形状であることが望ましい。かかる観点から、路面マーカーの全体形状は、円錐台形状、円錐形状、円柱形状、角錐台形状、角錐形状、角柱形状などが望ましく、図1に示したものは円錐台形状の好適な例である。
【0022】
図2も本実施例の路面マーカーの形状の一例を示す図であり、図1に示したものと同じ円錐台形状の路面マーカーについて示したものである。このうち(a)は平面図で示したものであり、(b)は側面図で示したものである。側面図には、反射部0210と凸状蓄光部0220の双方が現れており、このことは側方から反射部及び凸状蓄光部の双方を同時に視認できることを意味している。また、この側面図はどの方向から見ても同じ状態に現れる。このことから明らかなように、本実施例の路面マーカーは、全周囲方向の側方から蓄光と反射光の双方を視認することが可能なように構成されている点に本発明の最大の特徴がある。
【0023】
路面マーカーの寸法は、これを配置する縁石などの対象物の形状、寸法などに応じて適切に設計される。例えば、歩車道境界ブロックとしてよく用いられる略直方体(縦約15センチメートル×横約60センチメートル×高さ約20センチメートル)の縁石の上面に配置する円錐台形状の路面マーカーの場合、底面を上面の範囲内に設置でき、しかも、付近の通行の邪魔にならない程度の高さとするという観点から、直径が上面部で約8~10センチメートル、下面部で約9~11センチメートル、高さが約1.8~2.2センチメートルのものが望ましく、より好適には、直径が上面部で約8.6センチメートル、下面部で約10.0センチメートル、高さが約2センチメートルのものが望ましい。また、駐車場の車止めの標準的な形状・寸法(側面が略台形状であり、上面が縦約10センチメートル×横約60センチメートルの長方形で、高さ約12センチメートルを有する角柱形状)を有するものの上面に配置する路面マーカーの場合も、同様の観点から、直径が上面部で約7~9センチメートル、下面部で約8~10センチメートル、高さが1.8~2.2センチメートルのものが望ましく、より好適には、直径が上面部で約8センチメートル、下面部で約9センチメートル、高さが約2センチメートルのものが望ましい。また、駐車場の車止めの寸法として、上面の幅が5センチメートル程度のものや8センチメートル程度のものもあることから、この場合には、それぞれに対応して、直径が上面部で約3.5センチメートル、下面部で約5センチメートル、高さが約2センチメートルのものや、直径が上面部で約7センチメートル、下面部で約7.5センチメートル、高さが約2.5センチメートルのものなどが考えられる。このほか、路面マーカーの設置場所としては、側溝との境界など様々な場所が考えらえるところ、設置対象となるブロックなどの形状、寸法などに応じて適切に設計される。
【0024】
路面マーカー本体部の素材は、耐候性を有する強固な素材であることが望ましく、ステンレス、アルミニウム、チタン、真鍮などの金属が好適である。ただし、このような性質を備えたものであれば、セラミック(ファインセラミックス、陶器、ガラスなど)や硬性樹脂(アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂など)などであってもよい。
【0025】
路面マーカー本体部を形成する方法としては、例えば、金属塊を切削加工して、次段落に述べるような円錐台形状などにする方法が挙げられる。あるいは、金属板をプレス加工により同様の形状にしたものであってもよい。
【0026】
図3は、本実施例の路面マーカー本体部の形状の一例を示す図であって、央部の垂直断面図で示したものである。(a)、(b)いずれにおいても、薄墨で示した部分0330が路面マーカー本体部である。このうち、(a)は、金属塊を切削加工して円錐台形状にしたものであり、中実の構造をなすものである。一方、(b)は、金属板をプレス加工して同様の形状にしたものであり、中空の構造をなす。一般に、切削加工による場合は、強度に優れたものを提供することができる。一方、プレス加工による場合は、路面との接触部分を少なくして路面に多少凹凸があっても平らに設置することが容易となることが考えられる。ただし、切削加工による中実のものであっても、底面に盆状の凹みを設けることで、路面との接触部分を少なくして路面に多少凹凸があっても平らに設置することを容易にすることは可能である。いずれの方法を用いるかは、設置対象や周囲の環境などを考慮して決定されるべき事柄であるが、次に述べる路面マーカーを路面に取り付けるための構造の観点からは、一般に、本体部が底面を有する点で中実のものが望ましい。路面への取り付け構造の具体的構成については後述する。なお、図3において0340は反射層であるところ、これについては後述する。
【0027】
また、路面マーカー本体部の側面の形状は、図3(a)の例にも示されているように、上下両端部に外周方向に突出する側壁0331、0332が設けられたものであることが望ましい。これは、中間部分に反射材を嵌め込む形で設置できるようにすることで反射材をはがれにくくするとともに、反射材を設置する際の位置決めを容易にするためである。側壁の高さは、同図の例にも現れているように、反射材0310を嵌め込んだときにその表面と側壁の頂部が面一になるように設計されることが望ましい。反射材の厚みの一例は約0.4ミリメートルであることから、この場合の側壁の高さも約0.4ミリメートルであることが望ましい。なお、図3(b)にも現れているように、路面マーカー本体部を金属板のプレス加工によって形成する場合にも、同様に上下両端部に外周方向に突出する側壁が設けられることが望ましいが、金属塊の切削による方がかかる形状の形成は容易であると考えられる。
【0028】
図10は、本実施例における路面マーカー本体部1030の形状の一例を示す斜視図であって、図3に示した路面マーカー本体部の側面の形状の理解をより容易にするために補足するものである。図10(a)、(b)は、図3(a)と同様の金属塊の切削加工による中実の路面マーカー本体部の形状を示すものであり、(a)は斜め上方向から見た図、(b)は斜め下方向から見た図である。図10(c)、(d)は、図3(b)と同様の金属板のプレス加工による中空の路面マーカー本体部の形状を示すものであり、(c)は斜め上方向から見た図、(d)は斜め下方向から見た図である。なお、(d)において、矢印Xは、路面マーカー本体部の底面部分に部材がなく、内部が空洞になっている状態を示すものである。
【0029】
次に、路面マーカーを路面に取り付けるための構造について説明する。なお、ここでいう「路面」として通例想定されているものは、歩行者や車両が踏みつける道路面自体ではなく、歩行者や車両が踏みつけることが通例は想定されていない歩道・車道間の縁石や、駐車場の車止めなどである。
【0030】
路面マーカーを路面に取り付けるための構造としては、例えば、路面マーカー本体部の下面にネジ穴を設け、そこに雄ネジ部を有する突起を螺合して取り付けたうえで、当該突起を路面に挿し込んで固定するようにすることが考えられる。
【0031】
図4は、本実施例の路面マーカーの路面への取付構造の一例を示す図であり、上述のような突起を用いて取り付ける場合について示したものである。本図に示すように、路面マーカー本体部0430の底面0433にはネジ穴0434が設けられる。なお、このネジ穴は、本図の例とは異なり路面マーカー本体部の上面まで貫通しないものであって、ネジ穴径より寸法の大きい直径を有するネジ頭を有しない雄ネジで固定するようにしてもよい。なお、路面マーカー本体部が板状のものである場合には、厚みが薄い部分にネジ穴を設けることとなるため、当該ネジ穴を上面まで貫通するものとしたうえで、ネジ穴径より寸法の大きい直径を有するネジ頭を有する雄ネジで固定することがほぼ必須となろう。
【0032】
図4に戻り、ネジ穴には雄ネジ部を有する突起が螺合される。また、当該突起を路面に挿し込んで固定することで路面マーカー本体部が路面に固定されることとなる。
【0033】
突起を路面に固定するための構造としては、図4では図示を省略したが、突起の外周に逆止用のストッパを設けることが考えらえる。図5は、このような構造の一例を示すための当該部分の拡大図であり、本図に示すように、路面にかかる突起の形状に対応した形状を有する突起受部0580(薄墨で示す)を埋め込んで配置し、そこに突起0560を挿入して固定したものである。図5(a)は、挿入・固定前の突起、突起受部それぞれの構成を示したもの、図5(b)は、挿入・固定後の状態を示したものである。突起の外周に断面形状が楔形のストッパ0563を設けるとともに、突起受部のこれに対応する位置にも対応する形状のストッパ0581を設けているので、突起を突起受部の穴に押し込むと、突起受部のストッパが突起のストッパによって外周側に押し付けられるように退避し、突起のストッパが通過後に突起受部のストッパが元の位置に戻ることで突起が突起受部から抜けないよう固定される。この挿入・固定作業を容易に行い、かつ固定後の強度を維持するため、突起受部はある程度弾力性を有する樹脂製や硬質ゴム製のものであることが望ましい。あるいは、本図の例と異なり、突起に設けた雄ネジ部と突起受部に設けた雌ネジ部とで螺合する構造などとしてもよい。
【0034】
路面マーカーを設置する路面のコンクリートの表面が若干粗く、路面マーカーを水平に設置しづらい場合も考えられることから、路面マーカー本体部の形状を底面に周壁を設けた盆形状としてもよい。図3に示したものもこのような例である。周壁の高さの一例は、路面マーカーの寸法が上例に示した直径約10センチメートル、高さ約3センチメートルのものである場合において、約1ミリメートルとすることが考えられる。
【0035】
路面マーカーを路面に取り付けるための別の構造として、例えば、図6に示すように、路面マーカー本体部0630の底面0635と路面0601を両面テープ0650で接着させるように構成したものも考えられる。この場合、両面テープとしては、少なくとも一方の面が金属材料と、他面が路面のコンクリート材料と良好な接着性を保つことができるものであることが望ましい。このような観点から、両面テープの好適例として、スリーエム社製のVHD(登録商標)両面テープを挙げることができる。
【0036】
(反射部)
反射部は、自転車の照明灯等からの発光を反射するための部材である。反射部の材料としては白色材料が望ましく、なかでも酸化チタンが好適であるが、シリカなどであってもよい。形成方法としては、例えば、反射シート(反射フィルム、反射テープ)を貼り付ける方法が用いられる。好適な反射シートの例として、スリーエム社製の高輝度反射シート(商品名:3910FPホワイト)が挙げられる。あるいは、白色顔料を樹脂溶液に混合して膜状に塗布する方法を用いてもよい。
【0037】
なお、反射シートを貼り付ける場合は、前述したように、当該反射シートをはがれにくくするため、路面マーカー本体部の側面に上下端を壁とする凹部を設け、当該凹部に壁の高さと面一になるようにして反射シートを貼り付けるという構成が考えられる。例えば、本体部が円錐台形状の路面マーカーの場合であれば、円錐台側面の凹部に環状扇形状の反射シートを貼り付ける。反射シートの寸法及び形状は、路面マーカー本体部の凹部に巻き付けて貼り付けた場合に、上下端の壁との間にすき間が生じず、またシートの両端にすき間や重なった部分が生じないように予め設計される。
【0038】
反射部は,その少なくとも一部が照射光を上方に反射する傾斜面を有していることが望ましい。これは、路面マーカーの高さが路面から数センチメートル程度のものである場合が多いことから、このような場合に通行者が路面付近に位置する反射部からの反射光を視認しやすいようにするための構成である。
【0039】
反射部に用いる反射材は、再帰性反射材であることが望ましい。再帰性反射とは、入光した光が入射した方向に戻る反射現象をいう。これにより、例えば、懐中電灯や車のライトからの光がまっすぐに当該通行者に向けて反射されるため、これら通行者が反射光を明るい状態で明確に視認することが可能となる。
【0040】
反射部は、その全部が照射光を上方に反射する傾斜面を有していてもよい。例えば、図1などに示した例のように、路面マーカー本体部が円錐台形状をしている場合には、反射部の全部が照射光を上方に反射する傾斜面をなしていることになる。この場合、反射部は円錐台側面形状である。
【0041】
あるいは、反射部の一部が照射光を上方に反射する傾斜面をなしていてもよい。例えば、路面マーカー本体部が円柱の上に円錐台を重ね合わせた形状を有し、円柱の側面と円錐台の側面の両方に反射部が配置されている場合には、円錐台の側面に配置された反射部だけが照射光を上方に反射する傾斜面をなしていることとなるため、反射部の一部が照射光を上方に反射する傾斜面をなしている例に該当する。
【0042】
反射部は、反射材の色彩によって、異なる意味を表すようにしてもよい。例えば、赤色は危険、青色は安全、黄色は注意、緑色は誘導先や誘導方向、白色は単にそこに対象物(縁石など)があることを表すといったものが考えられる。また、本発明にかかる路面マーカーの反射材を用いた反射光による注意喚起は、例えば、津波や地震などの災害に備えたり、実際の災害時における対応に用いたりするうえでも極めて有効である。この場合にも、反射材の色彩による区別が考えられ、例えば、その場所の標高を示すことによって津波が到来する、又は到来しない可能性を日常的に容易に知ることができるようにするため、例えば、赤色は海抜1~4メートル、黄色は海抜5~9メートル、青色は海抜10~15メートル、緑色は海抜15~19メートル、白色は海抜20メートル以上であることを表すといったものが考えられる。
【0043】
(凸状蓄光部)
凸状蓄光部は、凸形状に形成した蓄光材である。蓄光材としては、例えば、蓄光シリコーンが用いられる。蓄光シリコーンは、蓄光材を分散させたシリコーンである。蓄光材としては、例えば、アルミン酸ストロンチウム系蓄光粉末が用いられる。アルミン酸ストロンチウム系蓄光粉末とは、アルミン酸ストロンチウム塩を母結晶として、少量のユーロピウム(Eu)、ディスプロシウム(Dy)、ホウ素(B)などを添加したものをいう。蓄光粉末を混入する液状シリコーンには、なるべく透明度の高いものを用いることが望ましい。蓄光シリコーンを形成する方法としては、例えば、お椀状、蒲鉾の型状、フライパン状、鍋状などの型に流し込んだシリコーン液に粉末状の蓄光材を混合し、一定時間静置して蓄光粉末を沈殿させた後、例えばホットプレートに載置し摂氏120度で約10分加熱し、その後ホットオーブン(乾燥機能付)を用いて摂氏120度で約2時間程度加熱処理を行って硬化させ、硬化した凸状蓄光部を型から外すといった方法が用いられる。なお蓄光材に加えて顔料も同時に混合するように処理することも可能である。この顔料の色合い(複数の顔料を混ぜてもよい)によって昼間の時間帯の色彩を決定する。静置時間を変化させることでシリコーン体中における蓄光材の分布状態を様々に調整することができる。例えば、蓄光粉末が完全に沈殿する前に硬化させることで、シリコーン体に蓄光粉末や同時に混合する場合の顔料(場合により複数の顔料が独立に模様を描くようにすることも可能)がグラジュエーションをなして分布した状態のものを得ることができる。
【0044】
凸状蓄光部は、通例、路面マーカー本体部の上面に配置される。このように配置された場合、凸状蓄光部の側方に視界を遮るものがないこととなる。そこで、蓄光部を側面方向から視認することが可能となる。すなわち、凸状蓄光部は、側方視にて観察できる側方可視領域を有することとなる。
【0045】
凸形状の具体的な形状としては、図1の例に示したようなドーム形状のほか、半球形状、円錐形状などが考えられる。
【0046】
なお、凸状蓄光部の表面に、文字、数字、記号、図形などの模様を施して、特定の意味を表わすようにしてもよい。例えば、「危険」の文字や、誘導先を表す文字などを表示したものや、それぞれに予め特定の意味を持たせた円形、三角形、四角形などの図形を表示したものなどが考えられる。
【0047】
なお、本発明の構成とは異なるが、蓄光部が凸状ではなく、平面状のものであってもよい場合が考えられる。即ち、視認する者が路面マーカーの比較的近傍におり、斜め上から見下ろすように視認することが想定されているものであれば、平面状の蓄光部と側面に備えられた反射部を同時に見ることが可能となるので、蓄光と反射光の双方を視認することが可能となる。この凸状蓄光部がドーム状などである場合には、その中心部分の蓄光材料は表面からの発光に寄与しない場合がある。そのような場合には、その中心部分を蓄光材料よりも安価な材料に置き換えるか、又は空洞とすることも考えられる。ただし、空洞とすると機械的強度が弱くなる恐れがある場合には安価な代替物を配置することが考えられる。さらには代替物を配置しないで路面マーカー本体部の蓄光材料のちょうど中心部分にあたる場所を盛り上げて、路面マーカー本体部でその部分を賄うという手法もある。
【0048】
(凸状蓄光部の周囲に生じる本体部との溝を埋める構成)
ところで、凸状蓄光部の周囲には路面マーカー本体部との間に溝を生じることがある。図7は、かかる状態の一例を示す図であって、凸状蓄光部0720の周囲と路面マーカー本体部0730の間に溝0760が生じている状態が現れている。これは、凸状蓄光部を本体部上面の凹みに収納する形での取付けを容易にするため、路面マーカー本体部上面の凹部の内径よりも凸状蓄光部の底面直径をやや短くことにより生じるものである。このような構成とした場合、当該ベース基板内壁と当該蓄光シリコーン構造体周縁部とで形成される溝に塵埃等が溜まりやすいという問題や凸状蓄光部の底面下に水が侵入して蓄光材を劣化させやすいという問題がある。そこで、例えば、チューブ等に収容した液状シリコーンゴムを当該溝に注入して硬化させて被膜を形成することでこの問題を解決することができる。かかる液状シリコーンゴムの具体例としては、信越化学工業の紫外線硬化型液状シリコーンゴム(商品番号:X-34-4184-A/B)が挙げられる。
【0049】
なお、凸状蓄光部の下層にゲル接着層や反射層が設けられる場合は、シリコーンゴムは、これらゲル接着層や反射層の端面を被覆するか、もしくはその上方を密封するようにして、ゲル接着層や反射層に塵埃が付着したり水が浸入したりすることがないように構成されていることが望ましい。
【0050】
さらに、上記の充填剤をゲル材料のものとし、充填後のゲル材料の上層にさらにガラス被覆層を設けてもよい。
【0051】
(反射層)
路面マーカー本体部の上層・凸状蓄光部の下層には、反射層が設けられていてもよい。反射層は、反射材を含む層状の部材であって、凸状蓄光部からの光を凸状蓄光部側に反射させて凸状蓄光部の発光輝度を向上させるためのものである。反射材の材料としては、酸化チタン、シリカなど白色顔料が好適である。反射材として、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリル樹脂(PMMA)、PETなどの反射フィルムや反射シートなどを用いることができ、例えば、3M社製の反射フィルム(商品名:ライトエンハンスメントフィルム 3635-100ホワイト)が用いられる。
【0052】
(ゲル接着層)
路面マーカー本体部の上層・凸状蓄光部の下層には、ゲル接着層が設けられていてもよい。路面マーカー本体部の上層・凸状蓄光部の下層に反射層が設けられる場合には、ゲル接着層は反射層の上層・凸状蓄光部の下層に設けられる。以下反射層を有する場合の例で説明するが、反射層を有しない場合も、反射層を路面マーカー本体部と読み替えるほかは同様の構成となる。
【0053】
図9にゲル接着層を有する路面マーカーの構成の一例を示す。本図に示すように、本実施例の路面マーカー0900においては、反射層0940の上層・凸状蓄光部0920の下層にゲル接着層0970が設けられている。本図の例は、路面マーカーを路面に取り付けるための構造として、路面マーカー本体部0930に取り付けた突起0960を用いる例であるが、路面マーカー本体部の底面と路面を両面テープで接着させる構造のものについても、同様に構成することができる。
【0054】
ゲル接着層は、透明ゲル材料からなる部材である。その目的は、ゲルの粘着性及び柔軟性という特性を利用して、接着剤を用いることなく、反射層と凸状蓄光部を圧着することにある。また、これらをすき間なく圧着することで、反射層と凸状蓄光部との間に空気が入らないようにすることができ、反射層・凸状蓄光部間での光の減殺を防ぐことができる。また、接着剤という異なる素材の部材を介在させずに済むため、この点からも反射層・凸状蓄光部間での光の減殺を防ぐことができる。
【0055】
透明ゲル材料の素材としては、透明シリコーン系ゲル、透明アクリル系ゲルが好適である。ゲル接着層の形状は、反射層と凸状蓄光部とをすき間に空気が入らない状態で密着させるという目的に照らし、反射層の平面形状及び凸状蓄光部の底面形状と略合同の形状をなし、また、その柔軟な特性に照らし、あまり厚みのないものであることが望ましい。使用前の厚みの一例としては0.1~0.3ミリメートル程度のものが考えられる。ゲル接着層は両面テープでもよい。かかる具体例については、別の実施例にて後述する。ゲル接着層を反射層上に配置したのち、凸状蓄光部を配置する場合には凸状蓄光部によってゲル接着層を押圧し、両者の間に気泡等が残らないように作業する。押圧力は、ゲル接着層の単位面積当たり平均して400グラム/平方センチメートルから1キログラム/平方センチメートル程度である。凸状蓄光部にあまり大きな力を加えると、破損する可能性があるので、凸状蓄光部を布などの比較的柔らかい部材で上方をくるんで押圧すると破損の危険性を減らすことができる。
【0056】
なお、ゲル接着層の素材は、凸状蓄光部と化学反応を起こしにくいものであることが望ましい。これは、凸状蓄光部のゲル接着層との接着部分の組成が凸状蓄光部のその他の部分の組成と同一でなくなることで発光性能を劣化させることを防止するためである。
【0057】
<効果>
本実施例の発明により、蓄光標示体と反射材の両者を備え、しかも、側方から蓄光と反射光の双方を視認することが可能な路面マーカーを提供することが可能となる。
【実施例2】
【0058】
<概要>
本実施例は、反射部が円錐台側面形状であり、凸状蓄光部がドーム状である路面マーカーであって、凸状蓄光部底面と、反射部上面輪郭とが合致する路面マーカーを提供するものである。
【0059】
<構成>
図8は、本実施例の路面マーカーにおける反射部と凸状蓄光部の構成について説明するための図である。図8(a)は、路面マーカー0800の側面図であり、(b)は、このうち、反射部0810の上面図であり、(c)は、凸状蓄光部0820の底面図である。これらの図に現れているように、本実施例の路面マーカーでは、路面本体部の側面に配置された反射部の輪郭がなす平面形状(本図の例では円形)と、凸状蓄光部の上面の平面形状(同)が合同であって、かつこれらが上下ぴったりと重なる位置に配置されている。すなわち、本実施例において「凸状蓄光部底面と反射部上面輪郭とが合致する」とは、このように反射部に囲まれて形成される平面形状と凸状蓄光部の平面形状とが合同であり、かつこれらが上下ぴったりと重なる位置に配置されているという意味である。
【0060】
反射部と凸状蓄光部をこのように配置する意味は、これらがこのように配置されていない場合を想定すれば明らかである。もし、反射部上面輪郭の方が凸状蓄光部底面よりも面積が大きいと、これらを重ねた状態の路面マーカーを側方やや斜め上から視認した場合、反射部が配置されていない路面マーカー本体部の一部が見えることとなる。反射部上面輪郭と凸状蓄光部底面が合同であっても、上下がぴったりと重ねられていない状態の場合も同様である。一方、反射部上面輪郭の方が凸状蓄光部底面よりも面積が小さいと、これらを重ねた状態の路面マーカーを側方やや斜め上から視認した場合、凸状蓄光部に隠れて見えない反射部の部分が生じることとなる。反射部上面輪郭と凸状蓄光部底面が合同であっても、上下がぴったりと重ねられていない状態の場合も同様である。そこで、本実施例のように構成することで、視野にある反射部と凸状蓄光部の全部を視認でき、かつ、反射部と凸状蓄光部以外が見えることは一切ない路面マーカーを提供することができる。つまり、本実施例の路面マーカーによれば、側方から蓄光と反射光の双方を視認することができるという本発明の目的を最も効率的に達成することができる。

【0061】
なお、かかる観点から、反射部と凸状蓄光部以外の部材がわずかに見えるような場合であっても、実質的に「視野にある反射部と凸状蓄光部の全部を視認でき、かつ、反射部と凸状蓄光部以外が見えることは一切ない」のと実質的に異ならないといえるものは、本実施例の路面マーカーに含まれる。図1などに示した例は、路面マーカーの本体部の上下両端部に形成された壁がわずかに見える程度であるので、本実施例の路面マーカーに含まれるものである。
【実施例3】
【0062】
<概要>
本実施例は、反射部と凸状蓄光部とがガラスコーティングされている路面マーカーを提供するものである。
【0063】
<構成>
(ガラスコーティング)
以下に、本実施例における反射部と凸状蓄光部のガラスコーティングにかかる構成について説明する。その余の構成は、実施例1及び2で述べたところと同様であるので、説明を省略する。
【0064】
ガラスコーティングは、反射部と凸状蓄光部を傷、水濡れや埃から守るために、その全部又は一部の表面をガラスからなる層状の部材で被覆する構成である。とくに凸状蓄光部は、これら損傷等に弱く、また損傷等が高輝度での発光の阻害に直結することから、凸状蓄光部をガラスコーディングすることは特に有効である。
【0065】
ガラスコーティングの方法としては、例えば、常温ガラスコーティングが用いられる。常温ガラスコーティングは、常温(概ね室温~200℃)でガラス被膜を形成し、従来のようなガラスの製造工程における高温での加熱処理工程を不要とする被膜方法であり、具体的には、例えば、コスモテクノロジー社の常温ガラスコーティングシステム(商品名:SL-600シリーズ)を用いることができる。常温ガラスコーティングは、耐候性、防汚性に優れているほか、耐水性、耐摩耗性にも優れており、一般に蓄光材が水濡れに弱いことや、路面マーカーが路面に設置されて歩行者等に踏まれやすいことなどに照らせば、本件発明に係るガラスコーティング方法として、極めて好適な方法である。
【0066】
常温ガラスコーティングの材料としては、例えば、アルコール可溶型の有機ケイ素化合物、その他の金属化合物(有機・無機)が考えられる。より具体的には、成分中含有ケイ素成分(SiO)が換算で60重量%以上であって必要に応じて顔料や骨材などを配合したものが挙げられる。成分は、液状で無溶剤のオルガノポリシロキサンと、官能性側鎖アルコキシシランと、イオン化された金属化合物(有機、無機)及び触媒などからなる。スプレーなどをも用いて複数回に分けてガラスコーティング層を形成してもよいし、液状ガラスの粘度を調整して1回で塗布できる厚さを厚くし、塗布回数を減らすこともできる。粘度を高くするためには、含まれるケイ素成分を高くすることが考えられる。例えば重量%換算で70%から80%程度とするとドーム状の凸状蓄光部に対しても十分に厚いガラス層を形成することができる。70%程度で厚みを0.3ミリメートルから0.7ミリメートル程度とすることができる。この程度の厚みがあれば上からの大きな力が加えられる場合は別として、耐候性は十分に確保することができる。また厚すぎないので紫外線をある程度透過し、蓄光材量へのエネルギー補給には支障をきたさない。
【0067】
<効果>
本実施例の発明によれば、耐候性及び防汚性に優れた路面マーカーを提供することが可能となる。
【実施例4】
【0068】
<概要>
本実施例は、上記の各実施例で述べた路面マーカーの複数からなる路面マーカーセットを提供するものである。
【0069】
<構成>
本実施例の路面マーカーセットは、上記実施例で述べた路面マーカーの複数からなるものであり、例えば、反射部の色彩の異なる複数の路面マーカーからなるセットであるとか、凸状蓄光部の表面に異なる文字を表した複数の路面マーカーからなるセットといったものを提供し、これにより一連のまとまりのある表示を可能にすることを目的とするものである。
【0070】
具体的には、例えば、側溝への転落防止のための路面マーカーを設置する場合において、側溝から一定距離以上(例えば1メートル以上)離れた位置にある縁石上には、反射部の色が青色(安全を示す)の路面マーカーを設置し、側溝から一定距離未満(例えば1メートル未満)の位置にある縁石上には、反射部の色が黄色(注意を示す)の路面マーカーを設置し、側溝の端部に反射部の色が赤色(危険を示す)の路面マーカーを設置するといったことが考えられる。そこで、このような用途に資するため、反射部の色が青色、黄色、赤色の三個の路面マーカーからなる路面マーカーセットを提供するといったことが考えられる。
【0071】
<効果>
本実施例の発明により、一連のまとまりのある表示をすることが可能な路面マーカーセットを提供することが可能となる。
【実施例5】
【0072】
<概要>
本実施例は、路面マーカーの本体部の底部周縁に情報表示用の張出手段を設けたものである。
【0073】
<構成>
図11は、本実施例における路面マーカー本体部の形状の一例を示す斜視図である。本図に示すように、本実施例の路面マーカー1100は、路面マーカー本体部1130の底部周縁に張出手段1190を設けたものである。
【0074】
張出手段を設ける目的は、その表面に情報を表示することができるようにすることにある。具体的な情報の例として、津波対策のための当該路面マーカーの設置地点の標高、地震などへの対策のための位置確認用の当該路面マーカーの設置地点の住所などが挙げられる。また、当該路面マーカーの寄贈者の企業名、団体名、個人名などを刻印したものなどであってもよい。図11のうち、(a)は、標高を示す情報として「この地盤は、海抜3mです。」と記載した例である。このように標高を示すことによって津波が到来する、又は到来しない可能性を日常的に容易に知ることができる。(b)は、住所を示す情報として「現在地 ××県○○市△△1-15」と記載した例である。このように住所を記載することで、津波、地震、土砂崩れに襲われて土地区分道路区分が不明になった場合でも容易に土地区分道路区分の確認が可能となる。なお、住所とともに、又は住所でなく筆界を示す情報を入れることも可能である。さらに緯度経度を入れてもよい。(c)は、寄贈者を示す情報として「寄贈 ○○小学校 令和△年度卒業生一同」と記載した例を示す。
【0075】
張出手段は、路面マーカー本体部とは別体として形成した上で路面マーカー本体部に溶接や接着剤なとどにより接合してもよいし、路面マーカー本体部の一部としてはじめから一体に形成してもよい。
【0076】
張出手段の素材は、路面マーカー本体部と一体に形成する場合はもちろん、別体として形成する場合も、路面マーカー本体部と同一の素材であることが望ましい。即ち、耐候性を有する強固な素材であることが望ましく、ステンレス、アルミニウム、チタン、真鍮などの金属が好適である。ただし、このような性質を備えたものであれば、セラミック(ファインセラミックス、陶器、ガラスなど)や硬性樹脂(アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂など)などであってもよい。また、路面マーカー本体部の同一の素材とすることで、熱膨張率の違いによる歪みなどを防ぐことができる。
【0077】
張出手段の寸法の一例としては、路面マーカー本体部が前述したような、直径が上面部で約8~10ンチメートル、下面部で約9~11センチメートル、高さが約1.8~2.2センチメートルのものである場合、張出手段の外径が約11~13センチメートルであることが望ましく、路面マーカー本体部がより好適な直径が上面部で約8.6センチメートル、下面部で約10.0センチメートルという寸法を有する場合は、張出手段の外径が
約12.0センチメートルであるものが望ましい。また、張出手段の厚みは例えば約0.8~1.2センチメートル、より好適には約1.0センチメートルであるものが考えられる。
【0078】
<効果>
本実施例の発明によれば、用途に応じて有益な情報を付加することが可能な路面マーカーを提供することが可能となる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11