(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】ゴルフクラブのヘッドカバー
(51)【国際特許分類】
A63B 60/62 20150101AFI20230414BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20230414BHJP
【FI】
A63B60/62
A63B102:32
(21)【出願番号】P 2022023329
(22)【出願日】2022-02-17
【審査請求日】2022-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】522064708
【氏名又は名称】西田 味可
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 幸基
(72)【発明者】
【氏名】西田 味可
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3154494(JP,U)
【文献】特開2017-169914(JP,A)
【文献】特開2000-167092(JP,A)
【文献】登録実用新案第3135976(JP,U)
【文献】登録実用新案第3131213(JP,U)
【文献】米国特許第1614850(US,A)
【文献】米国特許第3574963(US,A)
【文献】米国特許第7581510(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 60/62
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブのヘッドを覆うヘッドカバー部と、
前記ヘッドカバー部に連設され前記ゴルフクラブのシャフト部分を覆うシャフトカバー部と、
前記ヘッドカバー部に設けられ、前記ゴルフクラブの番手を表示する番手表示機構と、
を有するゴルフクラブのヘッドカバーであって、
前記番手表示機構は、
円板状の外観を有し、番手をそれぞれ表す複数の数字表記部を含むN個(Nは3以上の整数)の表記部を円周方向に沿って等間隔に備えた、表記円板部と、
円板状の外観を有し、前記表記円板部と厚さ方向に重ねられたときに、N個の前記表記部のうち所望の1個の表記部のみを外観露出させるとともに、残りのN-1個の前記表記部を隠蔽する、隠蔽円板部と、
を有し、
前記表記円板部及び前記隠蔽円板部は、
互いに共通の軸心をもって周方向に360/N[°]刻みで順次相対回転させた、第1姿勢~第N姿勢までのN個の姿勢をそれぞれ実現可能となるように、互いに貼りつき及び離脱分離が可能に構成されており、
前記順次相対回転に基づき、前記N個の姿勢それぞれにおいて、前記隠蔽円板部により前記外観露出させる前記1個の表記部を互いに異なる表記部とする
ことを特徴とするゴルフクラブのヘッドカバー。
【請求項2】
請求項1記載のゴルフクラブのヘッドカバーにおいて、
前記隠蔽円板部は、
前記ヘッドカバーとの間にポケット空間を与える隙間が生じるように、当該ヘッドカバー部に対し少なくとも一部が固定されており、
前記表記円板部は、
前記第1姿勢~第N姿勢までのうち所望の1つの姿勢を実現して、当該1つの姿勢に対応する特定の前記1個の表記部を外観露出させるような前記隠蔽円板部との相対回転位置となるように、前記ポケット空間に挿入されている
ことを特徴とするゴルフクラブのヘッドカバー。
【請求項3】
請求項2記載のゴルフクラブのヘッドカバーにおいて、
前記隠蔽円板部は、
前記ポケット空間へ前記表記円板部を挿入するための、略扇形形状の挿入口を有し、
前記挿入口の開口幅寸法を、
前記表記円板部の外径よりも小さくした
ことを特徴とするゴルフクラブのヘッドカバー。
【請求項4】
請求項3記載のゴルフクラブのヘッドカバーにおいて、
前記隠蔽円板部は、
前記ヘッドカバー部のうち前記ポケット空間の外部の領域に設けられる被着脱部を備え、
前記表記円板部は、
外観露出する露出面と反対側の裏面に、前記被着脱部に対し自在に着脱可能な着脱部を備える
ことを特徴とするゴルフクラブのヘッドカバー。
【請求項5】
請求項4記載のゴルフクラブのヘッドカバーにおいて、
前記N=4であり、
前記表記円板部は、
4個の前記表記部を円周方向に沿って等間隔に備えており、
前記隠蔽円板部は、前記表記円板部と厚さ方向に重ねられたときに、前記4個の前記表記部のうち所望の1個の表記部のみを外観露出させるとともに、残りの3個の前記表記部を隠蔽し、
前記表記円板部及び前記隠蔽円板部は、
周方向に90[°]刻みで順次相対回転させた、第1姿勢、第2姿勢、第3姿勢、第4姿勢をそれぞれ実現可能で、それら第1~第4姿勢それぞれにおいて、当該隠蔽円板部により前記外観露出させる前記1個の表記部を互いに異なる表記部とする
ことを特徴とするゴルフクラブのヘッドカバー。
【請求項6】
請求項5記載のゴルフクラブのヘッドカバーにおいて、
前記表記円板部の前記4個の表記部は、
前記複数の数字表記部以外に、所定の図像を表す図像表記部、若しくは、所定の言語文字を表す言語表記部、を含む
ことを特徴とするゴルフクラブのヘッドカバー。
【請求項7】
請求項6記載のゴルフクラブのヘッドカバーにおいて、
前記隠蔽円板部は、
前記挿入口を挟んで円周方向に沿った一方側及び他方側にそれぞれ設けられ、所望の文字又は図像が記載された第1記載部及び第2記載部をさらに備える
ことを特徴とするゴルフクラブのヘッドカバー。
【請求項8】
請求項7記載のゴルフクラブのヘッドカバーにおいて、
前記表記円板部の前記4個の表記部は、
前記数字表記部、前記図像表記部、前記言語表記部のうちいずれかよりなる特定表記部であって、当該特定表記部が前記隠蔽円板部により外観露出されたときに、前記第1記載部の記載内容、前記特定表記部の表記内容、前記第2記載部の記載内容、の並びにより生じ得る称呼が、当該ゴルフクラブのヘッドカバーを使用するゴルフプレーヤーに対する所定のメッセージを構築する前記特定表記部を含む、
ことを特徴とするゴルフクラブのヘッドカバー。
【請求項9】
請求項8記載のゴルフクラブのヘッドカバーにおいて、
左側及び右側のうち利き腕が所定側である前記ゴルフプレーヤーに対応して、
前記隠蔽円板部は、
前記挿入口及び前記被脱着部を前記所定側に備え、前記ポケット空間に挿入され1つの前記姿勢となった前記表記円板部における当該所定側の領域に配置される前記特定の1個の表記部を外観露出するように構成されており、
前記表記円板部は、
前記4個の表記部に含まれる複数の前記数字表記部それぞれの数字が前記所定側回りに昇順となるように、各数字表記部の数字が設定されている
ことを特徴とするゴルフクラブのヘッドカバー。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載のゴルフクラブのヘッドカバーにおいて、
前記表記円板部は、
前記円板状の外観を与えるベース円板と、
前記ベース円板に対し、着脱自在に設けられる前記数字表記部と、
を備えることを特徴とするゴルフクラブのヘッドカバー。
【請求項11】
請求項1記載のゴルフクラブのヘッドカバーにおいて、
前記表記円板部は、
前記ヘッドカバー部に対し固定されており、
前記隠蔽円板部は、
前記第1姿勢~第N姿勢までのうち所望の1つの姿勢を実現して、当該1つの姿勢に対応する特定の前記1個の表記部を外観露出させるような前記表記円板部との相対回転位置となるように、当該表記円板部又は前記ヘッドカバー部に対して着脱可能に貼り付けられる
ことを特徴とするゴルフクラブのヘッドカバー。
【請求項12】
ゴルフクラブのヘッドを覆うヘッドカバー部と、
前記ヘッドカバー部に連設され前記ゴルフクラブのシャフト部分を覆うシャフトカバー部と、
前記ヘッドカバー部に設けられ、前記ゴルフクラブの番手を表示する番手表示機構と、
を有するゴルフクラブのヘッドカバーであって、
前記番手表示機構は、
それぞれが円板状の外観を有し、番手をそれぞれ表す複数の数字表記部を含むN個(Nは3以上の整数)の表記部を円周方向に沿って等間隔に備えた、複数の表記円板部と、
円板状の外観を有し、前記複数の表記円板部のうちいずれか1つの表記円板部と厚さ方向に重ねられたときに、N個の前記表記部のうち所望の1個の表記部のみを外観露出させるとともに、残りのN-1個の前記表記部を隠蔽する、隠蔽円板部と、
を有し、
前記複数の表記円板部のそれぞれと前記隠蔽円板部とは、
互いに共通の軸心をもって周方向に360/N[°]刻みで順次相対回転させた、第1姿勢~第N姿勢までのN個の姿勢をそれぞれ実現可能となるように、互いに貼りつき及び離脱分離が可能に構成されるとともに、
前記順次相対回転に基づき、前記N個の姿勢それぞれにおいて、前記隠蔽円板部により前記外観露出させる前記いずれか1つの表記円板部における前記1個の表記部を互いに異なる表記部とするように構成されており、
かつ、
前記隠蔽円板部は、
前記ヘッドカバーとの間にポケット空間を与える隙間が生じるように、当該ヘッドカバー部に対し少なくとも一部が固定されており、
前記いずれか1つの表記円板部は、
前記第1姿勢~第N姿勢までのうち所望の1つの姿勢を実現して、当該1つの姿勢に対応する特定の前記1個の表記部を外観露出させるような前記隠蔽円板部との相対回転位置となるように、前記ポケット空間に挿入されている
ことを特徴とするゴルフクラブのヘッドカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブのヘッドカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カバーの外側からでもゴルフクラブの番手がわかるようにカバーに種類番号を表示することが知られている。例えば特許文献1の第1図、第2図、ページ4、ページ5等には、透孔3を有する保持枠板2を備え、保持枠板2に種類番号表示片6を取り替え自在に保持できるゴルフクラブヘッド用カバー1について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のゴルフクラブヘッド用カバーは、コースの内容等によって、使用するゴルフクラブの番手を変更する際に、カバーの番号の表記を容易に変更できるものであった。しかし、特許文献1の番号表示片6は、ゴルフクラブの番手の数(例えばフェアウェイウッドであれば3番、5番、7番等)の分だけ枚数を用意し、都度付け替えるようにしなければならない為、手間が煩雑となり、使用しない番号表示片6は別で保管する間に紛失したり、また付け替えるのを忘れたままコースに出た場合には対応ができない等の不具合が生じていた。また、複数の番号をダイヤル式等で表示する部品を別途用意し、ゴルフクラブのカバーにぶら下げるものも市販されているが、番号表記が小さいためキャディ等が見づらく、かつ、カバーと別体でぶら下がるため運搬やカバーの付け外しの際に邪魔となる場合があり、またユーザによってはゴルフクラブのカバーの外観デザインを損ねると感じ、製造コストもかかる為、このような技術について、さらなる改善が求められていた。
【0005】
本発明の目的は、手軽に分かりやすくゴルフクラブのヘッドカバーにおける番手表記を変更することができるゴルフクラブのヘッドカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、ゴルフクラブのヘッドを覆うヘッドカバー部と、前記ヘッドカバー部に連設され前記ゴルフクラブのシャフト部分を覆うシャフトカバー部と、前記ヘッドカバー部に設けられ、前記ゴルフクラブの番手を表示する番手表示機構と、を有するゴルフクラブのヘッドカバーであって、前記番手表示機構は、円板状の外観を有し、番手をそれぞれ表す複数の数字表記部を含むN個(Nは3以上の整数)の表記部を円周方向に沿って等間隔に備えた、表記円板部と、円板状の外観を有し、前記表記円板部と厚さ方向に重ねられたときに、N個の前記表記部のうち所望の1個の表記部のみを外観露出させるとともに、残りのN-1個の前記表記部を隠蔽する、隠蔽円板部と、を有し、前記表記円板部及び前記隠蔽円板部は、互いに共通の軸心をもって周方向に360/N[°]刻みで順次相対回転させた、第1姿勢~第N姿勢までのN個の姿勢をそれぞれ実現可能となるように、互いに貼りつき及び離脱分離が可能に構成されており、前記順次相対回転に基づき、前記N個の姿勢それぞれにおいて、前記隠蔽円板部により前記外観露出させる前記1個の表記部を互いに異なる表記部とすることを特徴とするゴルフクラブのヘッドカバー。
【0007】
ゴルフプレーヤーは、例えばゴルフのコースでプレーする場合、複数本のゴルフクラブを持参して各打ごとに最適なクラブを選択して使用する。各クラブは、クラブヘッドの保護の観点から、ヘッドカバーが被せられた状態で持ち運ばれる。ヘッドカバーが被せられた状態になると、各ゴルフクラブは、外観上、番手が何番であるかが識別できなくなるため、通常、ヘッドカバーには、番手の数字を表す数字表記がなされる。
【0008】
ここで、プレーヤーのテクニックや腕の上達、あるいは、自らの経年による体力の衰え、等により、同じ飛距離や同じ用途であっても、使用するゴルフクラブの種類や番手が変わり、それまでに使用していた番手を使用しなくなったり、今まで使用していなかった番手を新たに使用開始したりする場合がある。
【0009】
その場合、それまでに使用していたゴルフクラブは不要となるため、当該ゴルフクラブの持ち運び時に被せていたヘッドカバーを、新たに使用するヘッドカバーの番手の表記に変更して再利用することができれば便利である。
【0010】
本願発明のゴルフクラブのヘッドカバーは、上記に対応し、表記円板部と隠蔽円板部とが、互いに相対回転可能、かつ、互いに貼りつき及び離脱分離が可能に設けられる。そして、互いに共通の軸心をもってそれら表記円板部と隠蔽円板部とを周方向に360/N[°]刻みで順次相対回転させて貼りつけを行うことで、第1姿勢~第N姿勢までのN個の姿勢をそれぞれ実現することができる。
【0011】
すなわち例えばN=4の場合には、基準位置となる第1姿勢、そこから360/N=360/4=90°だけ相対回転させた第2姿勢、さらに90°相対回転させた第3姿勢、さらに90°相対回転させた第4姿勢、を実現することで、隠蔽円板部が外観露出させる表記円板部の表記部を、4通りに変化させることができる。
【0012】
同様に例えばN=5の場合には、基準位置となる第1姿勢、360/5=72°だけ相対回転させた第2姿勢、さらに72°相対回転させた第3姿勢、さらに72°相対回転させた第4姿勢、さらに72°相対回転させた第5姿勢、を実現することで、隠蔽円板部が外観露出させる表記円板部の表記部を、5通りに変化させることができる。
【0013】
同様に例えばN=6の場合には、基準位置となる第1姿勢、360/6=60°だけ相対回転させた第2姿勢、さらに60°相対回転させた第3姿勢、さらに60°相対回転させた第4姿勢、さらに60°相対回転させた第5姿勢、さらに60°相対回転させた第6姿勢、を実現することで、隠蔽円板部が外観露出させる表記円板部の表記部を、6通りに変化させることができる。
【0014】
以上の結果、本願発明によれば、ユーザ(プレーヤー)が2つの円板部同士を相対回転させるだけで、手軽に分かりやすくゴルフクラブのヘッドカバーにおける番手表記を変更することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、手軽に分かりやすくゴルフクラブのヘッドカバーにおける番手表記を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係るゴルフクラブのヘッドカバーの斜視図及び側面図である。
【
図2】実施形態に係るゴルフクラブのヘッドカバーの正面図である。
【
図3】番手表示機構4の構成を説明する概念図である。
【
図4】言語表記部を含む変形例に係る表記円板部と隠蔽円板部の概念図である。
【
図5】特定のメッセージを構築する変形例に係る番手表示機構の概念図である。
【
図6】利き腕に対応する変形例に係る番手表示機構の概念図である。
【
図7】表記部が着脱可能な変形例に係る表記円板部の概念図である。
【
図8】隠蔽円板部が回転する変形例に係る概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1(a)に実施形態に係るゴルフクラブのヘッドカバー1の斜視図を示す。
図1(b)は
図1(a)のゴルフクラブのヘッドカバー1の隠蔽円板部6から表記円板部5を離脱分離した状態を表す斜視図である。
図1(c)は
図1(b)の側面図である。また、
図2にゴルフクラブのヘッドカバー1の正面図を示す。
【0019】
図1(a)及び
図2に示すように、ゴルフクラブのヘッドカバー1は、ゴルフクラブのヘッドを覆うヘッドカバー部2と、ヘッドカバー部2に連設され、ゴルフクラブのシャフト部分を覆うシャフトカバー部3と、ヘッドカバー部2に設けられ、ゴルフクラブの番手を表示する番手表示機構4とを有する。
【0020】
ヘッドカバー部2の素材は、限定されるものではないが、例えば皮、合皮、ビニール生地、布、毛等で構成される。
【0021】
番手表示機構4は、表記円板部5と隠蔽円板部6とを有する。
【0022】
図1(b)及び
図1(c)に示すように、隠蔽円板部6は、略C字形状の円板部本体8と、円形の被着脱部9とを備える。円板部本体9の外周縁部11はヘッドカバー部2に縫製等で固定され、円板部本体8とヘッドカバー部2との間にポケット空間7を与える隙間が形成される。隠蔽円板部6は、ポケット空間7へ表記円板部5を挿入するための、略扇形形状の挿入口10を有する。被着脱部9は例えば面ファスナーの雌であり、ポケット空間7の外部の領域に配置され、ヘッドカバー部2に縫製等で固定されている。
【0023】
図3に番手表示機構4の構成を説明する概念図を示す。
【0024】
図3(a)に示すように、表記円板部5は、円板状の外観を有し、円周方向に沿って等間隔Pで配置される4個の表記部12を備える。4個の表記部12は、番手をそれぞれ表す3個の数字表記部13と、所定の図像を表す1個の図像表記部14を含む。
【0025】
表記円板部5及び円板本体部8は、例えばワッペンのような布製の生地で構成されている。表示円板部5は、外観露出する露出面15と反対側の裏面の略全面に、被着脱部9に対し自在に着脱可能な着脱部16を備える、着脱部16は例えば面ファスナーの雄である。
【0026】
挿入口10の開口幅寸法Wは、表記円板部5の外径よりも小さくなっている。
【0027】
図3(b)に示すように、表記円板部5は折り畳まれて隠蔽円板部6の挿入口10からポケット空間7に挿入され、厚さ方向に重ねられる。
【0028】
図3(c)に示すように、隠蔽円板部6は、表記円板部5と重ねて配置された際に、4個の表記部12のうち所望の1個の表記部12のみを外観露出させるとともに、残りの3個の表記部12を隠蔽する。
【0029】
表記円板部5及び隠蔽円板部6は、互いに共通の軸心をもって周方向に360/N[°]刻みで順次相対回転させた、第1姿勢~第N姿勢までのN個の姿勢をそれぞれ実現可能となるように、互いに貼りつき及び離脱分離が可能に構成され、前記順次相対回転に基づき、前記N個の姿勢それぞれにおいて、隠蔽円板部5により外観露出させる1個の表記部12を互いに異なる表記部12とする。
【0030】
この図では、N=4であり、表記円板部5及び隠蔽円板部6は、互いに共通の軸心をもって周方向に90°刻みで順次相対回転させた、第1姿勢~第4姿勢までの4個の姿勢をそれぞれ実現する。
図3(c)は数字の「5」を表記する数字表記部13bのみを露出させた第2姿勢である。
図3(d)は数字の「3」を表記する数字表記部13aのみを露出させた第1姿勢である。
図3(e)は数字の「7」を表記する数字表記部12cのみを露出させた第3姿勢である。
図3(f)は図像が表記された図像表記部14のみが露出された第4姿勢である。第1姿勢~第4姿勢はそれぞれ固定された隠蔽円板部6に対して、挿入された表記円板部5を90°ずつ順次回転させて貼り付けることにより実現される。
【0031】
また、番手表示機構4は、複数の表記円板部5と、前記複数の表記円板部5のうちいずれか1つの表記円板部5と厚さ方向に重ねられる隠蔽円板部6とを有し、前記複数の表記円板部5のそれぞれと隠蔽円板部6とは、互いに共通の軸心をもって周方向に例えば90°刻みで順次相対回転させた、第1姿勢~第4姿勢をそれぞれ実現可能となるように、互いに貼りつき及び離脱分離が可能に構成されるとともに、前記姿勢のそれぞれにおいて、隠蔽円板部6により外観露出させるいずれか1つの表記円板部5における1個の表記部12を互いに異なる表記部12とするように構成されており、かつ、隠蔽円板部6は、ヘッドカバー部2との間にポケット空間7を与える隙間が生じるように、ヘッドカバー部2に対し縫製されており、いずれか1つの表記円板部5は、第1姿勢~第4姿勢までのうち所望の1つの姿勢を実現して、当該1つの姿勢に対応する特定の前記1個の表記部12を外観露出させるような隠蔽円板部6との相対回転位置となるように、ポケット空間7に挿入される。
【0032】
すなわち、番手表示機構4は、異なる表記部12を含む複数の表記円板部5をセットで備えて、必要に応じて使い分けることができる。例えば、表記円形部5とともに、後述する
図5(b)及び
図5(c)の表記円形部5aと表記円形部5bとを、3枚セットで所持し、使用するゴルフクラブの番手等によって使い分けてもよい。
【0033】
<実施形態の効果>
ゴルフプレーヤーは、例えばゴルフのコースでプレーする場合、複数本のゴルフクラブを持参して各打ごとに最適なクラブを選択して使用する。各クラブは、クラブヘッドの保護の観点から、ヘッドカバーが被せられた状態で持ち運ばれる。ヘッドカバーが被せられた状態になると、各ゴルフクラブは、外観上、番手が何番であるかが識別できなくなるため、通常、ヘッドカバーには、番手の数字を表す数字表記がなされる。
【0034】
ここで、プレーヤーのテクニックや腕の上達、あるいは、自らの経年による体力の衰え、等により、同じ飛距離や同じ用途であっても、使用するゴルフクラブの種類や番手が変わり、それまでに使用していた番手を使用しなくなったり、今まで使用していなかった番手を新たに使用開始したりする場合がある。
【0035】
その場合、それまでに使用していたゴルフクラブは不要となるため、当該ゴルフクラブの持ち運び時に被せていたヘッドカバーを、新たに使用するヘッドカバーの番手の表記に変更して再利用することができれば便利である。
【0036】
本実施形態のゴルフクラブのヘッドカバー1は、上記に対応し、表記円板部5と隠蔽円板部6とが、互いに相対回転可能、かつ、互いに貼りつき及び離脱分離が可能に設けられる。そして、互いに共通の軸心をもってそれら表記円板部5と隠蔽円板部6とを周方向に360/N[°]刻みで順次相対回転させて貼りつけを行うことで、第1姿勢~第N姿勢までのN個の姿勢をそれぞれ実現することができる。
【0037】
すなわち例えばN=4の場合には、基準位置となる第1姿勢、そこから360/N=360/4=90°だけ相対回転させた第2姿勢、さらに90°相対回転させた第3姿勢、さらに90°相対回転させた第4姿勢、を実現することで、隠蔽円板部6が外観露出させる表記円板部5の表記部12を、4通りに変化させることができる。
【0038】
同様に例えばN=5の場合には、基準位置となる第1姿勢、360/5=72°だけ相対回転させた第2姿勢、さらに72°相対回転させた第3姿勢、さらに72°相対回転させた第4姿勢、さらに72°相対回転させた第5姿勢、を実現することで、隠蔽円板部6が外観露出させる表記円板部5の表記部12を、5通りに変化させることができる。
【0039】
同様に例えばN=6の場合には、基準位置となる第1姿勢、360/6=60°だけ相対回転させた第2姿勢、さらに60°相対回転させた第3姿勢、さらに60°相対回転させた第4姿勢、さらに60°相対回転させた第5姿勢、さらに60°相対回転させた第6姿勢、を実現することで、隠蔽円板部6が外観露出させる表記円板部5の表記部を、6通りに変化させることができる。
【0040】
以上の結果、本実施形態によれば、ユーザ(プレーヤー)が2つの円板部同士を相対回転させるだけで、手軽に分かりやすくゴルフクラブのヘッドカバー1における番手表記を変更することができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、番手表記が見やすいとともに、ゴルフクラブの運搬の邪魔とならず、ゴルフクラブのヘッドカバー1の外観を損ねることがなくデザイン性を高め、1つの表記円板部5で複数の番手を表記できるので紛失の恐れが少なく、かつ、ヘッドカバーのデザインや素材にこだわりを持ち、比較的高価なヘッドカバーを愛用するユーザにとっては、番手を変えるたびにヘッドカバーを買い替えなくてはならない等の経済的負担や煩雑さを解消する。
【0042】
また、本実施形態では特に、ユーザ(プレーヤー)は、複数の数字表記部13を備えた表記円板部5を適宜に回転させつつどの姿勢でポケット空間7に挿入するか(言い換えれば露出させる表記部12をどれにするか)を決めた後、円板形状の表記円板部5を適宜に折りたたみつつポケット空間7に挿入するだけで、所望の1個の表記部12を外観露出させることができる。
【0043】
また、本実施形態では特に、表記円板部5は、隠蔽円板部6に設けられた略扇形形状の挿入口10を介し、ポケット空間7へと挿入される。その際、挿入口10の開口幅寸法Wが、表記円板部5の外径よりも小さく構成されている。
【0044】
これにより、例えば表記円板部5をある程度柔らかい布素材で構成し、挿入口10から挿入するときは折りたたみつつ挿入し、挿入後はポケット空間7内部で元通りに広げて使用することで、ポケット空間7から不用意に表記円板部5が抜け出て脱落するのを防止することができる。
【0045】
また、本実施形態では特に、表記円板部5に設けた着脱部16は、隠蔽円板部6に設けた被着脱部9と係合して取り付けられることで、確実な脱落防止を図れるとともに、表記円板部5と隠蔽円板部6との相対回転位置を堅固に保持することができる。
【0046】
また、本実施形態においては特に、表記円板部5では4個の表記部を90°間隔で割り振ることになるため、例えば隠蔽円板部6における開口部寸法Wも当該90°に対応する寸法とすることができる。
【0047】
これにより、5個以上とした場合のように、表記部12の数が多すぎて各表記部12の表記内容(例えば番手の数字)が小さくなり見にくくなったり、開口部寸法Wが小さくなって表記円板部5をポケット空間7へ出し入れしにくくなるのを防止することができる。
【0048】
また逆に、3個以下とした場合のように、表記部12の数が少なすぎて各表記部12の表記できる内容(例えば番手の数字)の種類が少なくなったり、開口部寸法Wが大きすぎて表記円板部5がポケット空間7から抜け出てしまいやすくなるのを防止することもできる。
【0049】
また、本実施形態では特に、図像表記部14が含まれる場合は、適宜の記号やロゴ等を表記することによって、単に番手を表記してプレーヤーに認識させる機能だけでない、多種多様な表現を実行することができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、例えば、予めフェアウェイウッド用に数字内容が設定された数字表記部13を含む1つの表記円板部5と、予めユーティリティクラブ用に数字内容が設定された数字表記部13を含む別の表記円板部5と、をセットで販売することで、ユーザ(プレーヤー)にとっての利便性を向上することができる。
【0051】
<変形例>
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0052】
(1)表記円形部5′が言語表記部19を含む場合
図4に変形例に係る表記円板部5′を隠蔽円板部6と重ねた状態を示す。表記円板部5′は所定の言語文字(この図では、「Notice!」)を表す言語表記部19を有する。
【0053】
この変形例によれば、例えば言語表記部19が含まれる場合は、言語文字によるメッセージを視認させることによって、当該プレーヤーを励ましたり、その気にさせたり、奮い立たせたり等を行うことができるので、メンタル要素の強いゴルフというスポーツにおいて、プレーヤーに対しスコア向上のための精神的効果を与えることができる。
【0054】
(2)番手表示機構4′が特定のメッセージを構築する場合
図5に変形例に係る番手表示機構4′a~cの概念図を示す。番手表示機構4′a~cはそれぞれ表記円板部5a、5b、5が隠蔽円板部6、6a、6bに挿入され、重ねて配置されている。
【0055】
隠蔽円板部6、6a、6bは挿入口10を挟んで円周方向に沿った一方側(この図の上方)及び他方側(この図の下方)にそれぞれ設けられ、所望の文字又は図像が固定的に表示されることにより記載された第1記載部17及び第2記載部18をそれぞれ備える。
【0056】
表記円板部5a、5b、5の4個の表記部12は、数字表記部13、図像表記部14、言語表記部19のうちいずれかよりなる特定表記部20を含む。この図では、表記円板部5aの特定表記部20は「4」を表記する数字表記部13である。表記円板部5bの特定表記部20は「Uターン禁止」の標識を模した図像を表記する図像表記部14である。表記円板部5の特定表記部20は「5」を表記する数字表記部13である。
【0057】
特定表記部20が隠蔽円板部6により外観露出されたときに、第1記載部17の記載内容、特定表記部20の表記内容、第2記載部18の記載内容、の並びにより生じ得る称呼が、ゴルフクラブのヘッドカバー1を使用するゴルフプレーヤーに対する所定のメッセージを構築する。
【0058】
番手表示機構4′aでは「GO・4(for)・IT」(やるしかない。つまり勇気をもって打て!)、番手表示機構4′bでは「No・U(You)・TURN」(後戻りできない)、番手表示機構4′cでは「Let‘s・5(Go)・ON」(この調子でいこう)というメッセージが構築されている。
【0059】
この変形例では、表記円板部5a、5b、5の表記と合わせて、視覚的にさらに多種多彩な表現を行うことができる。例えば、プレーヤーがコース上において本変形例のヘッドカバーからゴルフクラブを取り出そうとするときに、メッセージを視認させることによって、当該プレーヤーを励ましたり、その気にさせたり、奮い立たせたり等を行うことができる。この結果、メンタル要素の強いゴルフというスポーツにおいて、プレーヤーに対しスコア向上のための精神的効果を与えることができる。
【0060】
(3)利き腕に対応している場合
図6に変形例に係る番手表示機構4″の概念図を示す。左側及び右側のうち利き腕が所定側(この図では左側)であるゴルフプレーヤーに対応して、隠蔽円板部6′は、挿入口10′及び被脱着部9′を前記所定側(この図では左側)に備え、ポケット空間7に挿入され1つの姿勢となった表記円板部5における当該所定側の領域(この図では円形の左側領域)に配置される特定の1個の表記部12を外観露出(この図では左側で露出)するように構成されている。
【0061】
表記円板部5は、4個の表記部12に含まれる複数の数字表記部13それぞれの数字が前記所定側回り(この図では左回り)に昇順(3→5→7)となるように、各数字表記部13の数字が設定されている。
【0062】
右利き用の場合は、上述した左側及び左回りを右側及び右回りに置き換えればよい。
【0063】
この変形例によれば、例えば右利き用の場合、円板部には右回り(時計回り)に昇順、すなわち例えば3→5→7となるように表記される。これにより、右利きのプレーヤーが表記円板部5の右端を右手で持ちながら、どの姿勢で右側の挿入口からポケット空間に挿入するかを決める時、右手近くで時計方向に沿って数字が増加するような、見た目に自然で分かりやすい表記とすることができる。
【0064】
同様に、左利き用の場合、円板部には左回り(反時計回り)に昇順、すなわち例えば3→5→7となるように表記される。これにより、左利きのプレーヤーが表記円板部5の左端を左手で持ちながら、どの姿勢で左側の挿入口からポケット空間に挿入するかを決める時、左手近くで反時計方向に沿って数字が増加するような、見た目に自然で分かりやすい表記とすることができる。
【0065】
(4)表記部12′が着脱可能な場合
図7に変形例に係る表記円板部5″の概念図を示す。表記円板部5″は、円板状の外観を与える無地のベース円板21と、ベース円板21に対し、それぞれ着脱自在に設けられる表記部12′とを備える。この図では、それぞれの表記部12′の裏面に面ファスナー等が備えられておりベース円板21に着脱可能となっている。ベース円板21の表面にも適宜面ファスナーが配置されていてもかまわない。
【0066】
この変形例によれば、表記円板部5″において、表記部12′が、ベース円板部21に対し着脱自在に設けられる。これにより、表記部12′が数字表記部13である場合、表記する数字等の内容を、適宜に取り替えることができるので、1つの表記円板部5″において数多くの番手の種類を表記することができる。
【0067】
(5)隠蔽円板部6″が回転する場合
図8に変形例に係る隠蔽円板部6″の構成を示す概念図を示す。
表記円板部5cは、ヘッドカバー部2に対し縫製等により固定されており、隠蔽円板部6″は、前記第1姿勢~第N姿勢までのうち所望の1つの姿勢を実現して、当該1つの姿勢に対応する特定の1個の表記部12を外観露出させるような表記円板部5cとの相対回転位置となるように、表記円板部5c又はヘッドカバー部2に対して着脱可能に貼り付けられる。
【0068】
すなわち、固定された表記円板部5cの表面に、面ファスナー23等を用いて隠蔽円板部6″の方を表記円板部5cに対して重ねて回転させつつ、貼り付ける方法である。
【0069】
なお、この変形例において、隠蔽円板部6″は円板部本体8′のみから成る。
【0070】
この変形例によれば、ユーザ(プレーヤー)は、隠蔽円形部6″を手にもって適宜に回転させつつ、複数の表記部12を備えた表記円板部5cに対してどの相対回転位置となる姿勢とするか(言い換えれば露出させる表記部12をどれにするか)を決めた後、その姿勢で隠蔽円板部6″を貼り付けることで、所望の1個の表記部12を外観露出させることができる。このような構成の場合、ゴルフクラブのヘッドカバー1の製造工程を簡素化することができるので、コストを低減することができる。
【0071】
なお、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0072】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0073】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0074】
1 ゴルフクラブのヘッドカバー
2 ヘッドカバー部
3 シャフトカバー部
4 番手表示機構
5 表記円板部
6 隠蔽円板部
7 ポケット空間
8 円板部本体
9 被着脱部
10 挿入口
11 外周縁部
12 表記部
13 数字表記部
14 図像表記部
15 露出面
16 着脱部
17 第1記載部
18 第2記載部
19 言語表記部
20 特定表記部
21 ベース円板
【要約】
【課題】手軽に分かりやすくゴルフクラブのヘッドカバーにおける番手表記を変更することができる。
【解決手段】
ヘッドカバー部2と、シャフトカバー部3と、番手表示機構4とを有し、番手表示機構4は、略円形の表記円板部5と、略円形の隠蔽円板部6とを有し、表記円板部5及び隠蔽円板部6は、互いに共通の軸心をもって周方向に360/N[°]刻みで順次相対回転させた、第1姿勢~第N姿勢までのN個の姿勢をそれぞれ実現可能となるように、互いに貼りつき及び離脱分離が可能に構成されており、前記順次相対回転に基づき、前記N個の姿勢それぞれにおいて、隠蔽円板部6により外観露出させる1個の表記部12を互いに異なる表記部12とする、ゴルフクラブのヘッドカバー1。
【選択図】
図1