(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】受信装置
(51)【国際特許分類】
H04B 1/16 20060101AFI20230414BHJP
【FI】
H04B1/16 A
(21)【出願番号】P 2019150518
(22)【出願日】2019-08-20
【審査請求日】2022-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 昌隆
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-507514(JP,A)
【文献】特開2014-232945(JP,A)
【文献】特開2004-282422(JP,A)
【文献】特表2019-502310(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0003801(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電子部品と、第2の電子部品と、を備えた受信装置であって、
前記第1の電子部品は、
デジタル放送波と、前記デジタル放送波に対し
て第1遅延時間遅れて放送されたアナログ放送波と、を含む受信信号を復調してアナログ音声信号を出力するアナログ音声復調部と、
前記アナログ音声信号と前記受信信号とを含む通信信号を、前記第2の電子部品へ送信する送信部と、
を備え、
前記第2の電子部品は、
前記通信信号を前記送信部から受信する受信部と、
前記通信信号に含まれる前記受信信号を復調してデジタル音声信号を出力するデジタル音声復調部と、
前記デジタル音声信号を調整時間の分だけ遅延させるタイミング調整部と、
遅延された前記デジタル音声信号と、前記アナログ音声信号と、の少なくとも一方を出力音声信号として選択する選択部と、
を備
え、
前記調整時間は、前記アナログ音声信号の復調によって発生した第2遅延時間と前記第1遅延時間との合計値から、前記デジタル音声信号の復調によって発生した第3遅延時間を減算することにより算出され、
前記選択部は、前記デジタル音声復調部が前記デジタル音声信号を復調できた場合に、前記遅延された前記デジタル音声信号を前記出力音声信号として選択し、前記デジタル音声復調部が前記デジタル音声信号を復調できなかった場合に、前記アナログ音声信号を前記出力音声信号として選択する、
受信装置。
【請求項2】
前記デジタル音声復調部は、
前記受信信号に基づいて切替信号を生成し、
前記タイミング調整部は、
前記切替信号を前記調整時間の分だけ遅延させ、
前記選択部は、
前記遅延さ
れた前記デジタル音声信号を前記出力音声信号として選択している状態と、前記アナログ音声信号を前記出力音声信号として選択している状態と、を遅延された前記切替信号に応じて切替える、
請求項
1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記アナログ音声復調部は、
前記受信信号に基づいて、前記デジタル音声信号と前記アナログ音声信号の合成比に関する合成パラメータを導出し、
前記第1の電子部品の前記送信部は、
前記アナログ音声信号と前記受信信号と前記合成パラメータとを含む前記通信信号を前記第2の電子部品へ送信し、
前記選択部は、
前記遅延された前記デジタル音声信号と、前記アナログ音声信号とを、前記合成パラメータに応じた前記合成比で合成した信号を、前記出力音声信号として選択する、
請求項1
または請求項
2に記載の受信装置。
【請求項4】
第1の電子部品と、第2の電子部品と、を備えた受信装置であって、
前記第1の電子部品は、
デジタル放送波と、前記デジタル放送波に対し
て第1遅延時間遅れて放送されたアナログ放送波と、を含む受信信号を復調してアナログ音声信号を出力するアナログ音声復調部と、
前記受信信号を前記第2の電子部品へ送信する第1送信部と、
前記アナログ音声信号を前記第2の電子部品へ送信する第2送信部と、
前記第1送信部による送信タイミングを示す第1のフラグを前記受信信号に付与し、前記第2送信部による送信タイミングを示す第2のフラグを前記アナログ音声信号に付与する付与部と、
を備え、
前記第2の電子部品は、
前記第1のフラグを付与された前記受信信号を、前記付与部を介して前記第1送信部から受信する第1受信部と、
前記第2のフラグを付与された前記アナログ音声信号を、前記付与部を介して前記第2送信部から受信する第2受信部と、
前記第1のフラグを付与された前記受信信号を復調し、前記第1のフラグを付与されたデジタル音声信号を出力するデジタル音声復調部と、
前記デジタル音声信号に付与された前記第1のフラグと、前記アナログ音声信号に付与された前記第2のフラグと、のタイミングを一致させた後に、前記デジタル音声信号を調整時間の分だけ遅延させるタイミング調整部と、
遅延さ
れた前記デジタル音声信号と、前記アナログ音声信号と、の少なくとも一方を出力音声信号として選択する選択部と、
を備え、
前記調整時間は、前記アナログ音声信号の復調によって発生した第2遅延時間と前記第1遅延時間との合計値から、前記デジタル音声信号の復調によって発生した第3遅延時間を減算することにより算出さ
れ、
前記選択部は、前記デジタル音声復調部が前記デジタル音声信号を復調できた場合に、前記遅延された前記デジタル音声信号を前記出力音声信号として選択し、前記デジタル音声復調部が前記デジタル音声信号を復調できなかった場合に、前記アナログ音声信号を前記出力音声信号として選択する、
受信装置。
【請求項5】
前記アナログ音声復調部は、前記受信信号に基づいて、前記デジタル音声信号と前記アナログ音声信号の合成比に関する合成パラメータを導出し、
前記付与部は、前記合成パラメータに前記第1のフラグを付与し、前記第1のフラグを付与された前記受信信号と、前記第1のフラグを付与された前記合成パラメータとを含む通信信号を前記第2の電子部品へ送信し、
前記選択部は、前記遅延された前記デジタル音声信号と、前記アナログ音声信号とを、前記合成パラメータに応じた前記合成比で合成した信号を、前記出力音声信号として選択する、
請求項4に記載の受信装置。
【請求項6】
第1の電子部品と、第2の電子部品と、を備えた受信装置であって、
前記第1の電子部品は、
デジタル放送波と、前記デジタル放送波に対し
て第1遅延時間遅れて放送されたアナログ放送波と、を含む受信信号を復調してアナログ音声信号を出力するアナログ音声復調部と、
前記受信信号を前記第2の電子部品へ送信する第1送信部と、
前記アナログ音声信号を前記第2の電子部品へ送信する第2送信部と、
を備え、
前記第2の電子部品は、
前記第1送信部から前記受信信号を受信し、第1の受信時間情報を付与する第1受信部と、
前記第2送信部から前記アナログ音声信号を受信し、第2の受信時間情報を付与する第2受信部と、
前記第1の受信時間情報を付与された前記受信信号を復調し、前記第1の受信時間情報を付与されたデジタル音声信号を出力するデジタル音声復調部と、
前記デジタル音声信号に付与された前記第1の受信時間情報と、前記アナログ音声信号に付与された前記第2の受信時間情報と、を用いて受信時間のタイミングを一致させた後に、前記デジタル音声信号を調整時間の分だけ遅延させるタイミング調整部と、
遅延さ
れた前記デジタル音声信号と、前記アナログ音声信号と、の少なくとも一方を出力音声信号として選択する選択部と、
を備え、
前記調整時間は、前記アナログ音声信号の復調によって発生した第2遅延時間と前記第1遅延時間との合計値から、前記デジタル音声信号の復調によって発生した第3遅延時間を減算することにより算出さ
れ、
前記選択部は、前記デジタル音声復調部が前記デジタル音声信号を復調できた場合に、前記遅延された前記デジタル音声信号を前記出力音声信号として選択し、前記デジタル音声復調部が前記デジタル音声信号を復調できなかった場合に、前記アナログ音声信号を前記出力音声信号として選択する、
受信装置。
【請求項7】
前記アナログ音声復調部は、前記受信信号に基づいて、前記デジタル音声信号と前記アナログ音声信号の合成比に関する合成パラメータを導出し、
前記第1送信部は、前記受信信号と前記合成パラメータとを含む通信信号を前記第2の電子部品へ送信し、
前記選択部は、前記遅延された前記デジタル音声信号と、前記アナログ音声信号とを、前記合成パラメータに応じた前記合成比で合成した信号を、前記出力音声信号として選択する、
請求項6に記載の受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
北米における地上ラジオ放送は、HDラジオと呼ばれる。HDラジオでは、IBOC(In-Band On-Channel)規格が採用されている。IBOC規格では、AM(Amplitude Modulation)変調またはFM(Frequency Modulation)変調されたアナログ放送波と、OFDM(Orthogonal frequency Division Multiplexing)変調されたデジタル放送波と、を送信する。
【0003】
IBOC規格では、例えば、アナログ放送波の上下両側の周波数帯域を用いてデジタル放送波が送信される。受信装置は、特定の周波数帯域の電波を受信することで、同時にアナログ放送波およびデジタル放送波を受信する。また、同一の周波数帯域に送信されるアナログ放送波およびデジタル放送波には、同一の音声成分が含まれる。受信装置は、アナログ放送波とデジタル放送波とで同一の音声成分のタイミングが一致するように調整し、デジタル放送波のデジタル音声信号とアナログ放送波のアナログ音声信号とを切替えて出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、受信装置側でデジタル音声信号とアナログ音声信号とを切替えて出力するために、放送局側から送信されるアナログ放送波を、デジタル放送波に対して予め定めた時間送らせて送信することが行われている。また、受信装置側を複数の電子部品から構成し、デジタル放送波の復調と、アナログ放送波の復調と、を異なる電子部品で行う構成が知られている。このような構成では、デジタル放送の処理系と、アナログ放送の処理系と、のそれぞれの処理時間を一定に保つように調整し、アナログ放送波を予め定めた時間遅らせることにより、デジタル音声信号とアナログ音声信号との出力時間差を調整することが行われている。
【0006】
しかし、デジタル放送波の復調と、アナログ放送波の復調と、を異なる電子部品内で行う場合、処理時間を一定に保つ事は難しい。そのため、電子部品間の復調の処理時間差および電子部品間の通信タイミングのずれ等により、デジタル音声信号とアナログ音声信号と、の出力時間差の調整を行う事が困難となる場合があった。
【0007】
本開示は、異なる電子部品でデジタル放送波の復調とアナログ放送波の復調とを行う受信装置において、デジタル音声信号とアナログ音声信号との出力時間差の調整を容易に行うことができる受信装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る受信装置は、第1の電子部品と、第2の電子部品と、を備えた受信装置であって、前記第1の電子部品は、デジタル放送波と、前記デジタル放送波に対して第1遅延時間遅れて放送されたアナログ放送波と、を含む受信信号を復調してアナログ音声信号を出力するアナログ音声復調部と、前記アナログ音声信号と前記受信信号とを含む通信信号を、前記第2の電子部品へ送信する送信部と、を備え、前記第2の電子部品は、前記通信信号を前記送信部から受信する受信部と、前記通信信号に含まれる前記受信信号を復調してデジタル音声信号を出力するデジタル音声復調部と、前記デジタル音声信号を調整時間の分だけ遅延させるタイミング調整部と、遅延された前記デジタル音声信号と、前記アナログ音声信号と、の少なくとも一方を出力音声信号として選択する選択部と、を備え、前記調整時間は、前記アナログ音声信号の復調によって発生した第2遅延時間と前記第1遅延時間との合計値から、前記デジタル音声信号の復調によって発生した第3遅延時間を減算することにより算出され、前記選択部は、前記デジタル音声復調部が前記デジタル音声信号を復調できた場合に、前記遅延された前記デジタル音声信号を前記出力音声信号として選択し、前記デジタル音声復調部が前記デジタル音声信号を復調できなかった場合に、前記アナログ音声信号を前記出力音声信号として選択する。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る受信装置によれば、異なる電子部品でデジタル放送波の復調とアナログ放送波の復調とを行う受信装置において、デジタル音声信号とアナログ音声信号との出力時間差の調整を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る受信装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、第2の実施形態に係る受信装置の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、第2の実施形態に係る受信信号およびアナログ音声信号を示す模式図である。
【
図4】
図4は、第3の実施形態に係る受信装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る受信装置1の実施形態について説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る受信装置1の構成を示す図である。受信装置1は、ラジオ放送波50を受信および復調し、出力音声信号70を出力する。
【0013】
ラジオ放送波50は、アナログ放送波およびデジタル放送波を含む。
【0014】
アナログ放送波は、AM変調またはFM変調された放送波である。デジタル放送波は、OFDM変調された放送波である。本実施形態において、アナログ放送波およびデジタル放送波が、IBOC規格の放送波である場合を一例として説明する。このため、本実施形態においては、デジタル放送波は、アナログ放送波の上下両側の周波数帯域を用いて送信される。なお、アナログ放送波およびデジタル放送波は、IBOC規格の放送波に限定されない。また、アナログ放送波およびデジタル放送波は、異なる周波数帯域に位置するように変調されていてもよい。
【0015】
アナログ放送波およびデジタル放送波は、同一の音声成分を含み、同時に放送される。つまり、アナログ放送波とデジタル放送波とはサイマル放送される。本実施形態では、ラジオ放送波50を発信する放送局は、アナログ放送波を、デジタル放送波に対して予め定めた第1遅延時間遅らせて放送する。このため、ラジオ放送波50に含まれるアナログ放送波は、デジタル音声波に含まれる音声成分と同一の音声成分に対して、上記第1遅延時間遅れて受信装置1で受信される。なお、第1遅延時間は、規格などに基づいて、ラジオ放送波50を配信する放送局側で予め決定されている。例えば、第1遅延時間は、4.458秒であるが、この値に限定されない。
【0016】
受信装置1は、第1の電子部品10と、第2の電子部品20と、を備える。第1の電子部品10と第2の電子部品20とは、データまたは信号を授受可能に接続されている。
【0017】
第1の電子部品10は、アナログ放送波を復調する電子部品である。第1の電子部品10は、少なくとも一部が回路で構成された電子部品である。なお、第1の電子部品10の全てをソフトウェアで構成してもよい。第1の電子部品10は、例えば、半導体集積回路などの半導体デバイスである。
【0018】
第2の電子部品20は、デジタル放送波を復調する電子部品である。第2の電子部品20は、少なくとも一部が回路で構成された電子部品である。なお、第2の電子部品20の全てをソフトウェアで構成してもよい。第2の電子部品20は、例えば、半導体集積回路などの半導体デバイスである。
【0019】
第2の電子部品20と第1の電子部品10とは、同じ電子部品であってもよいし、異なる電子部品であってもよい。なお、第2の電子部品20と第1の電子部品10とは、復調に関する処理以外の処理を実行するための機能部の構成または回路構成の、少なくとも一部が異なる事が好ましい。ここで、復調とは、アナログ放送波の復調およびデジタル放送波の復調を含む。
【0020】
まず、第1の電子部品10について説明する。第1の電子部品10は、アンテナ11と、受信部12と、アナログ音声復調部14と、送信部16と、を有する。
【0021】
受信部12、アナログ音声復調部14、および送信部16の少なくとも1つは、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現されてもよいし、ハードウェアにより実現されてもよい。受信部12、アナログ音声復調部14、および送信部16の全てがソフトウェアにより実現されてもよく、全てがそれぞれ異なるハードウェアにより実現されてもよい。あるいは、受信部12、アナログ音声復調部14、および送信部16の少なくとも1つがソフトウェアにより実現され、他がハードウェアにより実現されてもよい。
【0022】
アンテナ11は、ラジオ放送波50を受信する。上述したように、ラジオ放送波50は、デジタル放送波とアナログ放送波とを含む。
【0023】
受信部12は、アンテナ11で受信されたラジオ放送波50をBBIQ(Base BandIQ)信号である受信信号52に変換し、アナログ音声復調部14および送信部16へ出力する。受信部12は、ラジオ放送波50を、ラジオ放送波50に含まれるアナログ放送波の周波数帯域の中央の周波数が0Hzとなるように、かつ、該0Hzから±αHzの周波数帯域の信号になるように変調することで、受信信号52とする。αは、アナログ放送波の周波数帯域と該アナログ放送波の上下両側の周波数帯域を占めるデジタル放送波の周波数帯域との合計値の1/2の周波数の値を用いればよい。例えば、αは、200Hzであるが、この値に限定されない。
【0024】
アナログ音声復調部14は、受信信号52を復調してアナログ音声信号54を出力する。アナログ音声信号54は、受信信号52に含まれるアナログ放送波の信号を復調して得られる音声を表す、デジタルデータである。アナログ音声信号54は、アナログのオーディオ信号であってもよい。例えば、アナログ音声復調部14は、受信信号52に含まれるアナログ放送波の信号をAM復調またはFM復調し、アナログ音声信号54を出力する。アナログ音声復調部14は、アナログ音声信号54を送信部16へ出力する。
【0025】
また、アナログ音声復調部14は、合成パラメータ56を算出する。アナログ音声復調部14は、算出した合成パラメータ56を送信部16へ出力する。
【0026】
合成パラメータ56は、後述する第2の電子部品20側でアナログ音声信号54とデジタル音声信号58とを合成するときに、デジタル音声信号58を劣化させる劣化の程度を示す情報である。言い換えると、合成パラメータ56は、後述する第2の電子部品20から出力される出力音声信号がアナログ音声信号54とデジタル音声信号58とで切り替えられるときの、出力音声の違和感を軽減するために、第2の電子部品20側でアナログ音声信号54およびデジタル音声信号58の少なくとも一方を加工するための情報である。
【0027】
合成パラメータ56は、例えば、受信信号52に含まれるアナログ放送波の信号の、S/N(Signal to Noise Ratio)、C/N(Carrier to Noise Ratio)、または、マルチパス検出値、などである。また、合成パラメータ56は、第2の電子部品20側でアナログ音声信号54およびデジタル音声信号58の少なくとも一方を加工するために用いる数値そのものであってもよい。この数値は、例えば、信号レベルを変更するための数値、ステレオ信号のセパレーション比、周波数特性を変えるフィルター係数、などである。
【0028】
具体的には、アナログ音声復調部14は、アナログ音声信号54の信号レベルとノイズレベルとを比較して、S/Nを算出する。例えば、アナログ音声復調部14は、受信信号52に含まれるアナログ放送波の信号の信号スペクトルに基づきC/Nを算出する。また、例えば、アナログ音声復調部14は、受信信号52に含まれるアナログ放送波の信号の周波数の信号成分と、この信号成分の両脇の周波数に含まれるノイズ量とに基づき、C/Nを算出する。なお、アナログ放送波の場合、C/NとS/Nとの間に相関関係があるので、C/Nに基づきS/Nを推定することができる。また、アナログ放送波にマルチパスが含まれると、FM変調のベースバンド信号の高周波成分のノイズが大きくなる。このため、アナログ音声復調部14は、例えば、FM変調のベースバンド信号である受信信号52の高周波成分のノイズ量を、マルチパス検出値として算出する。
【0029】
送信部16は、受信部12から入力された受信信号52と、アナログ音声復調部14から入力されたアナログ音声信号54と、を含む通信信号57を、第2の電子部品20へ送信する。通信信号57は、受信信号52およびアナログ音声信号54を少なくとも含む信号であればよい。通信信号57は、合成パラメータ66を含んでもよい。本実施形態では、通信信号57は、受信信号52、アナログ音声信号54、および合成パラメータ56を含む信号である場合を一例として説明する。
【0030】
送信部16は、データを送信するインターフェースである。送信部16は、例えば、SDIO(Secure Digital Input/Output)規格に準拠して動作し、通信信号57を第2の電子部品20へ送信する。なお、送信部16は、SIDO規格に準拠して動作する形態に限定されない。
【0031】
次に、第2の電子部品20について説明する。
【0032】
第2の電子部品20は、受信部22と、デジタル音声復調部24と、タイミング調整部26と、選択部28と、出力部30と、を備える。受信部22、デジタル音声復調部24、タイミング調整部26、選択部28、および出力部30の少なくとも1つは、CPUなどのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現されてもよいし、ハードウェアにより実現してもよい。受信部22、デジタル音声復調部24、タイミング調整部26、選択部28、および出力部30の全てがソフトウェアにより実現されてもよく、全てがそれぞれ異なるハードウェアにより実現されてもよい。あるいは、受信部22、デジタル音声復調部24、タイミング調整部26、選択部28、および出力部30の少なくとも1つがソフトウェアにより実現され、他がハードウェアにより実現されてもよい。
【0033】
受信部22は、第1の電子部品10の送信部16と通信する通信インターフェースである。言い換えると、第2の電子部品20の受信部22と、第1の電子部品10の送信部16とは、1対1の関係でデータを送受信する1つの通信経路である。このため、受信部22は、送信部16と同じ規格に準拠して動作し、送信部16から通信信号57を受信する。
【0034】
受信部22は、送信部16から受信した通信信号57に含まれる受信信号52をデジタル音声復調部24へ出力する。また、受信部22は、送信部16から受信した通信信号57に含まれるアナログ音声信号54を、タイミング調整部26へ出力する。合成パラメータ56が通信信号57に含まれる場合、受信部22は、合成パラメータ56をタイミング調整部26へ出力してもよい。
【0035】
デジタル音声復調部24は、受信信号52を復調してデジタル音声信号58を出力する。デジタル音声信号58は、受信信号52に含まれるデジタル放送波の信号を復調して得られる音声を表す、デジタルデータである。デジタル音声信号58は、オーディオ信号であってもよい。例えば、デジタル音声復調部24は、受信信号52に含まれるデジタル放送波の信号をOFDM復調し、デジタル音声信号58をタイミング調整部26へ出力する。
【0036】
また、デジタル音声復調部24は、受信信号52を用いて切替信号60を生成し、タイミング調整部26へ出力する。切替信号60は、アナログ音声信号54を出力する出力音声信号70として選択している状態と、デジタル音声信号58を出力音声信号70として選択している状態と、を切り替えるための信号である。切替信号60は、後述する選択部28によって用いられる(詳細後述)。
【0037】
デジタル音声復調部24は、例えば、デジタル音声信号58を復調出来た場合、アナログ音声信号54を選択している状態からデジタル音声信号58を選択している状態へと切替える切替信号60を生成する。また、デジタル音声復調部24は、デジタル音声信号58を復調出来なかった場合、デジタル音声信号58を選択している状態からアナログ音声信号54を選択している状態へと切り替える切替信号60を生成する。
【0038】
例えば、デジタル音声復調部24は、受信信号52に含まれるデジタル放送波の信号の信号スペクトルに基づきC/N比を算出する。例えば、デジタル音声復調部24は、OFDM復調して得られたデータをビタビ復号した場合におけるエラーレートをC/N比として算出する。また、例えば、デジタル音声復調部24は、復調したデジタル音声信号58の信号レベルとノイズレベルとを比較してS/N比を算出する。そして、デジタル音声復調部24は、これらのC/N比およびS/N比の少なくとも一方を用いて、受信状況の判別を行えばよい。
【0039】
タイミング調整部26は、含まれる同一の音声成分のタイミングが一致するように、デジタル音声信号58とアナログ音声信号54との出力時間差の調整を行う。
【0040】
上述したように、ラジオ放送波50に含まれるアナログ放送波は、デジタル音声波に含まれる音声成分と同一の音声成分に対して、上記第1遅延時間遅れて放送される。
【0041】
また、アナログ音声信号54は、第1の電子部品10のアナログ音声復調部14による復調により得られた音声信号である。このため、送信部16から受信部22を介してタイミング調整部26に入力されたアナログ音声信号54は、上記第1遅延時間に加えて、アナログ音声信号54の復調によって発生した第2遅延時間遅延した状態でタイミング調整部26へ入力される。第2遅延時間とは、アナログ音声復調部14によるアナログ音声信号54を得るための復調によって発生した遅延時間である。言い換えると、第2遅延時間とは、アナログ音声復調部14による受信信号52に含まれるアナログ放送波の信号の復調によって発生した遅延時間である。
【0042】
また、デジタル音声信号58は、第2の電子部品20のデジタル音声復調部24による復調により得られた音声信号である。このため、デジタル音声復調部24からタイミング調整部26に入力されるデジタル音声信号58は、デジタル音声信号58の復調によって発生した第3遅延時間遅延した状態でタイミング調整部26に入力される。第3遅延時間とは、デジタル音声復調部24によるデジタル音声信号58を得るための復調によって発生した遅延時間である。言い換えると、第3遅延時間とは、デジタル音声復調部24による受信信号52に含まれるデジタル放送波の信号の復調によって発生した遅延時間である。
【0043】
そこで、タイミング調整部26は、デジタル音声信号58を調整時間の分だけ遅延させる。この調整時間は、第2遅延時間と第1遅延時間との合計値から第3遅延時間を減算することにより算出される。この遅延させる処理により、タイミング調整部26は、含まれる同一の音声成分のタイミングが一致するように、デジタル音声信号58とアナログ音声信号54との時間差を調整する。
【0044】
タイミング調整部26は、第1遅延時間を、予め記憶してもよい。
【0045】
また、タイミング調整部26は、第2遅延時間を予め記憶してもよい。そして、タイミング調整部26は、予め記憶した第2遅延時間を、デジタル音声信号58とアナログ音声信号54との出力時間差の調整に用いてもよい。
【0046】
なお、第2遅延時間は、第1の電子部品10で実行される復調に関する処理以外の処理状況などによって変動する場合がある。このため、タイミング調整部26には、第2遅延時間が、受信部22を介して第1の電子部品10の送信部16から入力されてもよい。そして、タイミング調整部26は、入力された第2遅延時間を、デジタル音声信号58および切替信号60のタイミングの調整に用いてもよい。
【0047】
この場合、第1の電子部品10の送信部16には、アナログ音声復調部14からアナログ音声信号54と共に該アナログ音声信号54の復調によって発生した第2遅延時間が入力されてもよく、第1の電子部品10の送信部16は、第2遅延時間を通信信号57に含めて第2の電子部品20へ出力してもよい。そして、第2の電子部品20の受信部22は、通信信号57に含まれるアナログ音声信号54、合成パラメータ56、および第2遅延時間を、タイミング調整部26へ出力してもよい。
【0048】
また、タイミング調整部26は、第3遅延時間を予め記憶してもよい。そして、タイミング調整部26は、予め記憶した第3遅延時間を、デジタル音声信号58とアナログ音声信号54との出力時間差の調整に用いてもよい。
【0049】
同様に、第3遅延時間は、第2の電子部品20で実行される復調に関する処理以外の処理状況などによって変動する場合がある。このため、タイミング調整部26には、デジタル音声復調部24による復調によって発生した第3遅延時間が、デジタル音声復調部24から入力されてもよい。この場合、デジタル音声復調部24は、デジタル音声信号58と、デジタル音声信号58の第3遅延時間と、切替信号60と、をタイミング調整部26へ出力してもよい。そして、タイミング調整部26は、入力された第3遅延時間を、デジタル音声信号58とアナログ音声信号54との出力時間差の調整に用いてもよい。
【0050】
なお、タイミング調整部26は、切替信号60についても上記調整時間の分だけ遅延させることが好ましい。切替信号60は、デジタル音声復調部24によって生成される信号であるため、デジタル音声信号58と同じ時間差を含むためである。
【0051】
選択部28には、上記調整時間遅延された切替信号60、上記調整時間遅延されたデジタル音声信号58、アナログ音声信号54、および合成パラメータ56が、タイミング調整部26から入力される。
【0052】
選択部28は、上記調整時間遅延されたデジタル音声信号58と、アナログ音声信号54と、の少なくとも一方を出力音声信号70として選択する。そして、選択した出力音声信号70を後述する出力部30へ出力する。
【0053】
選択部28は、上記調整時間遅延された切替信号60に応じて、アナログ音声信号54を選択している状態からデジタル音声信号58を選択している状態、または、デジタル音声信号58を選択している状態からアナログ音声信号54を選択している状態へと切り替える。
【0054】
なお、選択部28は、上記調整時間遅延されたデジタル音声信号58と、アナログ音声信号54とを、出力音声信号70として選択し、出力部30へ出力してもよい。そのとき、選択部28は、合成パラメータ56に応じてアナログ音声信号54およびデジタル音声信号58の少なくとも一方を加工してもよい。
【0055】
また、選択部28は、上記調整時間遅延されたデジタル音声信号58からアナログ音声信号54への切替え、およびアナログ音声信号54から調整時間遅延されたデジタル音声信号58への切替えを、所定の切替時間を費やして切替えてもよい。切替時間は、例えば1秒程度である。選択部28は、この切替時間中に、合成パラメータ56を用いてアナログ音声信号54およびデジタル音声信号58の少なくとも一方を加工してもよい。
【0056】
出力部30は、選択部28から入力された出力音声信号70を外部の装置に送信する。例えば、出力部32は、出力音声信号70を、所定のデジタル通信経路を介して他の装置に送信する。また、例えば、出力部32は、出力音声信号70をアナログのオーディオ信号に変換して、例えば、スピーカを駆動する増幅装置に送信してもよい。また、出力部30は、第1の電子部品10に設けられた構成としてもよい。この場合、選択部28は、図示を省略する通信インターフェースを介して、出力音声信号70を第1の電子部品10の出力部30へ送信すればよい。
【0057】
以上のように構成された受信装置1では、アンテナ11がラジオ放送波50を受信する。受信部12は、アンテナ11で受信されたラジオ放送波50を、BBIQ信号である受信信号52に変換し、アナログ音声復調部14および送信部16へ出力する。アナログ音声復調部14は、受信信号52を復調してアナログ音声信号54を送信部16へ出力すると共に、合成パラメータ56を算出して送信部16へ出力する。送信部16は、受信信号52、アナログ音声信号54、および合成パラメータ56を含む通信信号57を第2の電子部品20の受信部22へ送信する。
【0058】
第2の電子部品20の受信部22は、第1の電子部品10の送信部16から受信した通信信号57に含まれる受信信号52をデジタル音声復調部24へ出力する。また、受信部22は、該通信信号57に含まれるアナログ音声信号54および合成パラメータ56を、タイミング調整部26へ出力する。
【0059】
デジタル音声復調部24は、受信信号52を復調してデジタル音声信号58をタイミング調整部26へ出力する。また、デジタル音声復調部24は、該受信信号52を用いて切替信号60を生成し、タイミング調整部26へ出力する。
【0060】
タイミング調整部26は、デジタル音声信号58および切替信号60を調整時間の分だけ遅延させる。この調整時間は、上記と同様に、この調整時間は、第2遅延時間と第1遅延時間との合計値から第3遅延時間を減算することにより算出される。この処理により、タイミング調整部26は、含まれる同一の音声成分のタイミングが一致するように、デジタル音声信号58とアナログ音声信号54との時間差を調整する。
【0061】
選択部28は、上記調整時間遅延されたデジタル音声信号58と、アナログ音声信号54と、の少なくとも一方を出力音声信号70として選択する。そして、選択された出力音声信号70は、出力部30によって外部装置または増幅装置などに出力される。
【0062】
以上説明したように、本実施形態の受信装置1は、第1の電子部品10と、第2の電子部品20と、を備える。第1の電子部品10は、受信部12と、アナログ音声復調部14と、送信部16と、を備える。受信部12は、デジタル放送波と、デジタル放送波に対して予め定めた第1遅延時間遅れて放送されたアナログ放送波と、を含む受信信号52(ラジオ放送波50)を受信する。アナログ音声復調部14は、受信信号52を復調してアナログ音声信号54を出力する。送信部16は、アナログ音声信号54と受信信号52とを含む通信信号57を、第2の電子部品20へ送信する。
【0063】
第2の電子部品20は、受信部22と、デジタル音声復調部24と、タイミング調整部26と、選択部28と、を備える。受信部22は、通信信号57を送信部16から受信する。デジタル音声復調部24は、通信信号57に含まれる受信信号52を復調してデジタル音声信号58を出力する。選択部28は、遅延されたデジタル音声信号58と、アナログ音声信号54と、の少なくとも一方を出力音声信号70として選択する。
【0064】
ここで、例えば、コストダウンまたはシステムの拡張性向上などの観点から、デジタル放送波の復調と、アナログ放送波の復調と、を異なる電子部品で実行する場合が想定される。例えば、アナログ放送波の復調を、専用のLSI(Large Scale Integration)などの電子部品で実行し、デジタル放送波の復調を、ラジオ放送波50の処理以外の処理も実行する汎用の電子部品で実行する場合が想定される。例えば、デジタル放送波の復調を、画面の描画、USB(Universal Serial Bus)に記憶されたデータの再生、などのラジオ放送波50の処理以外の機能全般の処理を実行する電子部品で実行する場合が想定される。
【0065】
このように、デジタル放送波の復調と、アナログ放送波の復調と、を異なる電子部品で実行する場合、デジタル放送の処理系と、アナログ放送の処理系と、のそれぞれの処理時間を一定に保つように調整し、アナログ放送波を予め定めた時間遅らせることにより、デジタル音声信号とアナログ音声信号との出力時間差を調整する場合が想定される。
【0066】
しかし、従来技術では、デジタル放送波の復調と、アナログ放送波の復調と、を異なる電子部品内で行う場合、処理時間を一定に保つ事は難しく、電子部品間の復調の処理時間差および電子部品間の通信タイミングのずれ等により、デジタル音声信号とアナログ音声信号と、の出力時間差の調整を行う事が困難となる場合があった。
【0067】
また、従来技術では、デジタル放送波およびアナログ放送波を含む受信信号52と、アナログ放送波の復調によって得られたアナログ音声信号54とを、別々の通信経路で一方の電子部品から他方の電子部品へ送信すると、受信側の電子部品でデジタル音声信号とアナログ音声信号との出力時間差の調整を行うことが困難となる場合があった。
【0068】
一方、本実施形態では、第1の電子部品10の送信部16が、受信信号52と復調によって得られたアナログ音声信号54とを含む通信信号57を、第2の電子部品20の受信部22へ送信する。すなわち、本実施形態では、通信信号57を、第1の電子部品10の送信部16と第2の電子部品20の受信部22との対からなる1つの通信経路で、第1の電子部品10から第2の電子部品20へ送信する。
【0069】
このため、第2の電子部品20では、時間差が固定された状態で、受信信号52とアナログ音声信号54とを受信することができる。
【0070】
従って、本実施形態の受信装置1では、異なる電子部品でデジタル放送波の復調とアナログ放送波の復調とを行う受信装置1において、デジタル音声信号58とアナログ音声信号54との出力時間差の調整を容易に行うことができる。
【0071】
また、第2の電子部品20では、受信部22で受信した通信信号57に含まれるアナログ音声信号54および該通信信号57に含まれる受信信号52から復調されたデジタル音声信号58について、第1遅延時間、第2遅延時間、および第3遅延時間を用いて、同一の音声成分のタイミングが一致するように時間差を調整する。
【0072】
このため、第2の電子部品20では、簡単な演算な処理により、デジタル音声信号58とアナログ音声信号54との出力時間差を調整することができる。
【0073】
また、選択部28が上記調整時間遅延された切替信号60を用いて、デジタル音声信号58を出力音声信号70として選択している状態とアナログ音声信号54を出力音声信号70として選択している状態とを切替えることで、更に精度良く出力時間差の調整を行うことができる。
【0074】
(第2の実施形態)
本実施形態では、フラグを用いて出力時間差の調整を行う形態を説明する。なお、第1の実施形態と同じ機能および同じ構成部分には、同じ符号を付与し、詳細な説明を省略する場合がある。
【0075】
図2は、本実施形態に係る受信装置1Bの構成を示す図である。受信装置1Bは、上記実施形態の受信装置1と同様に、ラジオ放送波50を受信および復調して、出力音声信号70を出力する。
【0076】
受信装置1Bは、第1の電子部品10Bと、第2の電子部品20Bと、を備える。第1の電子部品10Bおよび第2の電子部品20Bは、データまたは信号を授受可能に接続されている。
【0077】
第1の電子部品10Bは、上記第1の実施形態の第1の電子部品10と同様に、アナログ放送波を復調する電子部品である。第2の電子部品20Bは、上記第1の実施形態の第2の電子部品20と同様に、デジタル放送波を復調する電子部品である。また、第1の電子部品10Bと第2の電子部品20Bとは、上記実施形態の第1の電子部品10および第2の電子部品20と同様に、同じ電子部品であってもよいし、異なる電子部品であってもよい。また、第1の電子部品10Bと第2の電子部品20Bとは、復調に関する処理以外の処理を実行するための機能部の構成または回路構成の少なくとも一部が異なる事が好ましい。ここで、復調とは、アナログ音声復調およびデジタル音声復調を含んでもよい。
【0078】
第1の電子部品10Bは、アンテナ11と、受信部12と、アナログ音声復調部15と、第1送信部17Aと、第2送信部17Bと、付与部18と、を備える。受信部12、アナログ音声復調部15、第1送信部17A、第2送信部17B、および付与部18の少なくとも1つは、CPUなどのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現されてもよいし、ハードウェアにより実現してもよい。受信部12、アナログ音声復調部15、第1送信部17A、第2送信部17B、および付与部18の全てがソフトウェアにより実現されてもよく、全てがそれぞれ異なるハードウェアにより実現されてもよい。あるいは、受信部12、アナログ音声復調部15、第1送信部17A、第2送信部17B、および付与部18の少なくとも1つがソフトウェアにより実現され、他がハードウェアにより実現されてもよい。
【0079】
アナログ音声復調部15は、第1の実施形態のアナログ音声復調部14と同様に、受信信号52を復調してアナログ音声信号54を出力する。また、アナログ音声復調部15は、第1の実施形態のアナログ音声復調部14と同様に、合成パラメータ56を算出する。
【0080】
本実施形態では、アナログ音声復調部15は、合成パラメータ56を第1送信部17Aへ出力し、アナログ音声信号54を第2送信部17Bへ出力する。
【0081】
第1送信部17Aは、データを送信するインターフェースである。第1送信部17Aは、例えば、SDIO規格に準拠して動作し、受信信号52および合成パラメータ56を、付与部18を介して第2の電子部品20Bへ送信する。なお、第1送信部17Aは、SIDO規格に準拠して動作する形態に限定されない。
【0082】
第2送信部17Bは、データを送信するインターフェースである。第2送信部17Bは、例えば、I2S(Inter-IC Sound)方式に沿って、アナログ音声信号54を、付与部18を介して第2受信部23Bへ送信する。なお、第2送信部17Bの通信方式は、I2Sに限定されない。
【0083】
付与部18は、第1送信部17Aから入力された受信信号52および合成パラメータ56と、第2送信部17Bから入力されたアナログ音声信号54と、の各々に、送信タイミングを示すフラグを付与する。
【0084】
詳細には、付与部18は、第1送信部17Aから入力された受信信号52および合成パラメータ56に、第1のフラグを付与する。第1のフラグは、該受信信号52および合成パラメータ56の第1送信部17Aによる送信タイミングを示す。また、付与部18は、第2送信部17Bから入力されたアナログ音声信号54に、第2のフラグを付与する。第2のフラグは、該アナログ音声信号54の第2送信部17Bによる送信タイミングを示す。
【0085】
図3は、受信信号52Bと、アナログ音声信号54Bと、を示す模式図である。例えば、付与部18は、受信信号52の先頭に、該先頭の位置の送信タイミングを示す第1のフラグF1を付与することで、受信信号52Bを生成する。また、例えば、付与部18は、アナログ音声信号54の先頭に、該先頭の位置の送信タイミングを示す第2のフラグF2を付与することで、アナログ音声信号54Bを生成する。
【0086】
なお、第1のフラグF1および第2のフラグF2の付与位置は、受信信号52およびアナログ音声信号54の各々の先頭に限定されず、任意の位置であってもよい。この場合、フラグを付与した位置が、該位置の送信タイミングに一致する位置であればよい。具体的には、付与部18は、受信信号52およびアナログ音声信号54の各々の送信開始時の先頭に第1のフラグF1および第2のフラグF2を付与してもよいし、定期的に第1のフラグF1および第2のフラグF2を付与してもよい。定期的とは、例えば、数秒おきである。また、付与部18は、第2の電子部品20B側から要求が来たタイミングで第1のフラグF1および第2のフラグF2を付与してもよい。
【0087】
また、付与部18は、受信信号52Bおよびアナログ音声信号54Bを第2の電子部品20Bへ送信する際に、以下の方法で第1のフラグF1および第2のフラグF2を付与してもよい。
【0088】
付与部18は、第1送信部17Aと、第2の電子部品20Bの後述する第1受信部23Aと、の通信経路を介して受信信号52Bを第1受信部23Aへ送信するときに、該通信経路における、受信信号52Bを通信する通信ラインと同じ通信ラインに、第1のフラグF1を付与してもよい。同様に、付与部18は、第2送信部17Bと、第2の電子部品20Bの後述する第2受信部23Bと、の通信経路を介してアナログ音声信号54Bを第2受信部23Bへ送信するときに、該通信経路における、アナログ音声信号54Bを通信する通信ラインと同じ通信ラインに、第2のフラグF2を付与してもよい。
【0089】
また、第1送信部17Aが、受信信号52をTDM(Time Division Multiplexing)方式などに沿って多重化して、第2の電子部品20Bの後述する第1受信部23Aへ送信する場合、付与部18は、受信信号52とは別のチャネルに第1のフラグF1を付与して第1受信部23Aへ送信してもよい。同様に、第2送信部17Bが、アナログ音声信号54をTDM方式などに沿って多重化して、第2の電子部品20Bの後述する第2受信部23Bへ送信する場合、付与部18は、アナログ音声信号54とは別のチャネルに第2のフラグF2を付与して第2受信部23Bへ送信してもよい。この場合、受信信号52およびアナログ音声信号54のフォーマットを維持したまま、受信信号52およびアナログ音声信号54に、これらの信号に対して時間的に同じタイミングで第1のフラグF1および第2のフラグF2を重畳させることができる。
【0090】
図2に戻り説明を続ける。付与部18は、受信信号52Bと、第1のフラグF1を付与された合成パラメータ56である合成パラメータ56Bと、を含む通信信号57Bを、第2の電子部品20Bの第1受信部23Aへ送信する。同様に、付与部18Hは、アナログ音声信号54Bを、第2の電子部品20Bの第2受信部23Bへ送信する。
【0091】
次に、第2の電子部品20Bについて説明する。第2の電子部品20Bは、第1の実施形態の第2の電子部品20と同様に、デジタル放送波を復調する電子部品である。
【0092】
第2の電子部品20Bは、第1受信部23Aと、第2受信部23Bと、デジタル音声復調部24Bと、タイミング調整部26Bと、選択部28と、出力部30と、を備える。第1受信部23A、第2受信部23B、デジタル音声復調部24B、タイミング調整部26B、選択部28、および出力部30の少なくとも1つは、CPUなどのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現されてもよいし、ハードウェアにより実現してもよい。第1受信部23A、第2受信部23B、デジタル音声復調部24B、タイミング調整部26B、選択部28、および出力部30の全てがソフトウェアにより実現されてもよく、全てがそれぞれ異なるハードウェアにより実現されてもよい。あるいは、第1受信部23A、第2受信部23B、デジタル音声復調部24B、タイミング調整部26B、選択部28、および出力部30の少なくとも1つがソフトウェアにより実現され、他がハードウェアにより実現されてもよい。
【0093】
第1受信部23Aは、第1の電子部品10Bの第1送信部17Aと通信する通信インターフェースである。言い換えると、第2の電子部品20Bの第1受信部23Aと、第1の電子部品10Bの第1送信部17Aとは、1対1の関係でデータを送受信する1つの通信経路である。このため、第1受信部23Aは、第1送信部17Aと同じ規格に準拠して動作し、第1送信部17Aから付与部18を介して通信信号57Bを受信する。
【0094】
第1受信部23Aは、通信信号57Bに含まれる受信信号52Bをデジタル音声復調部24Bへ出力する。また、第1受信部23Aは、通信信号57Bに含まれる合成パラメータ56Bを、タイミング調整部26Bへ出力する。
【0095】
デジタル音声復調部24Bは、受信信号52Bを復調して、デジタル音声信号58Bを出力する。例えば、デジタル音声復調部24Bは、受信信号52Bに含まれる第1のフラグF1以外の音声成分部分の復調を行う点以外は、デジタル音声復調部24と同様にして復調を実行する。そして、デジタル音声復調部24Bは、復調によって得られたデジタル音声信号に、受信信号52Bにおける第1のフラグF1の位置と同じ位置(つまり、同じタイミング)に第1のフラグF1を付与する。デジタル音声復調部24Bは、第1のフラグF1を付与されたデジタル音声信号58Bを出力する。デジタル音声復調部24Bから出力されたデジタル音声信号58Bは、タイミング調整部26Bに供給される。
【0096】
また、デジタル音声復調部24Bは、受信信号52Bを用いて切替信号60Bを生成し、タイミング調整部26Bへ出力する。切替信号60Bは、第1のフラグF1が付与されている点以外は、切替信号60と同様の信号である。デジタル音声復調部24Bは、デジタル音声信号58Bと同じタイミングの位置に第1のフラグF1を付与する点以外は、デジタル音声復調部24と同様にして、切替信号60Bを生成すればよい。
【0097】
一方、第2受信部23Bは、第1の電子部品10Bの第2送信部17Bと通信する通信インターフェースである。言い換えると、第2の電子部品20Bの第2受信部23Bと、第1の電子部品10Bの第2送信部17Bとは、1対1の関係でデータを送受信する1つの通信経路である。このため、第2受信部23Bは、第2送信部17Bと同じ方式に準拠して動作し、第2送信部17Bから付与部18を介してアナログ音声信号54Bを受信する。同じ方式とは、例えば、I2S方式である。
【0098】
第2受信部23Bは、第2送信部17Bから付与部18を介して受信したアナログ音声信号54を、タイミング調整部26Bへ出力する。
【0099】
タイミング調整部26Bは、含まれる同一の音声成分のタイミングが一致するように、デジタル音声信号58Bとアナログ音声信号54Bとの出力時間差の調整を行う。
【0100】
本実施形態では、タイミング調整部26Bは、第1のフラグF1および第2のフラグF2を更に用いて、タイミングを調整する。
【0101】
詳細には、タイミング調整部26Bは、デジタル音声信号58Bに付与されている第1のフラグF1と、アナログ音声信号54Bに付与されている第2のフラグF2と、のタイミングを一致させる。また、タイミング調整部26Bは、一致させた後のタイミングと、切替信号60Bに付与されている第1のフラグF1のタイミングと、を一致させる。
【0102】
次に、タイミング調整部26Bは、上記第1の実施形態のタイミング調整部26と同様にして、デジタル音声信号58Bを調整時間の分だけ遅延させる。この調整時間は、上記と同様に、第2遅延時間と第1遅延時間との合計値から第3遅延時間を減算することにより算出される。この処理により、タイミング調整部26Bは、含まれる同一の音声成分のタイミングが一致するように、デジタル音声信号58Bとアナログ音声信号54Bとの出力時間差の調整を行う。
【0103】
そして、タイミング調整部26Bは、出力時間差の調整後の、切替信号60B、デジタル音声信号58B、アナログ音声信号54B、および合成パラメータ56Bを、選択部28へ出力する。このとき、タイミング調整部26Bは、各信号に含まれる第1のフラグF1および第2のフラグF2を除去した上で、選択部28へ出力することが好ましい。
【0104】
選択部28および出力部30は、上記第1の実施形態の選択部28および出力部30と同様である。選択部28は、上記調整時間遅延されたデジタル音声信号58Bと、アナログ音声信号54Bと、の少なくとも一方を出力音声信号70として選択する。そして、選択した出力音声信号70を出力部30へ出力する。出力部30は、選択部28から入力された出力音声信号70を外部の装置に送信する。
【0105】
以上説明したように、本実施形態の受信装置1Bでは、第1の電子部品10Bと第2の電子部品20Bとの間の通信経路として、受信信号52Bを通信するための通信経路と、アナログ音声信号54Bを通信するための通信経路と、の2つの通信経路を備える。受信信号52Bを通信するための通信経路は、第1送信部17Aと第1受信部23Aとの対からなる。アナログ音声信号54Bを通信するための通信経路は、第2送信部17Bと第2受信部23Bとの対からなる。付与部18は、第1送信部17Aによる送信タイミングを示す第1のフラグF1を受信信号52に付与し、第2送信部17Bによる送信タイミングを示す第2のフラグF2をアナログ音声信号54に付与する。
【0106】
このため、第1の電子部品10Bから第2の電子部品20Bへ、第1のフラグF1を付与された受信信号52Bと、第2のフラグF2を付与されたアナログ音声信号54Bとが、異なる通信経路を介して送信される。第2の電子部品20Bのタイミング調整部26Bは、2つの通信経路の各々から受信したデジタル音声信号58Bとアナログ音声信号54Bとの第2の電子部品20B側での受信時間の差を、含まれる第1のフラグF1と第2のフラグF2とのタイミングを合わせることで、調整することができる。
【0107】
そして、第2の電子部品20Bでは、第1のフラグF1および第2のフラグF2を用いて受信時間の差を調整した後のアナログ音声信号54Bおよびデジタル音声信号58Bについて、更に、第1遅延時間、第2遅延時間、および第3遅延時間を用いて時間差を調整する。
【0108】
このため、第2の電子部品20Bでは、簡単な演算な処理により、デジタル音声信号58Bとアナログ音声信号54Bとの出力時間差の調整を行うことができる。
【0109】
従って、本実施形態の受信装置1Bでは、異なる電子部品でデジタル放送波の復調とアナログ放送波の復調とを行う受信装置1Bにおいて、デジタル音声信号58Bとアナログ音声信号54Bとの出力時間差の調整を容易に行うことができる。
【0110】
(第3の実施形態)
本実施形態では、第2の電子部品20B側の受信時間を用いて、タイミング調整を行う形態を説明する。なお、第1の実施形態または第2の実施形態と同じ機能および同じ構成部分には、同じ符号を付与し、詳細な説明を省略する場合がある。
【0111】
図4は、本実施形態に係る受信装置1Cの構成を示す図である。受信装置1Cは、上記第1の実施形態の受信装置1と同様に、ラジオ放送波50を受信および復調して、出力音声信号70を出力する。
【0112】
受信装置1Cは、第1の電子部品10Cと、第2の電子部品20Cと、を備える。第1の電子部品10Cおよび第2の電子部品20Cは、データまたは信号を授受可能に接続されている。
【0113】
第1の電子部品10Cは、上記第1の実施形態の第1の電子部品10と同様に、アナログ放送波を復調する電子部品である。第2の電子部品20Cは、上記第1の実施形態の第2の電子部品20と同様に、デジタル放送波を復調する電子部品である。また、第1の電子部品10Cと第2の電子部品20Cとは、上記実施形態の第1の電子部品10および第2の電子部品20と同様に、同じ電子部品であってもよいし、異なる電子部品であってもよい。また、第1の電子部品10Cと第2の電子部品20Cとは、復調に関する処理以外の処理を実行するための機能部の構成または回路構成の少なくとも一部が異なる事が好ましい。ここで、復調とは、アナログ音声復調およびデジタル音声復調を含んでもよい。
【0114】
第1の電子部品10Cは、アンテナ11と、受信部12と、アナログ音声復調部15と、第1送信部17Aと、第2送信部17Bと、を備える。第1の電子部品10Cは、付与部18を備えない点以外は、第2の実施形態の第1の電子部品10Bと同様である。
【0115】
すなわち、本実施形態では、第1送信部17Aは、受信信号52および合成パラメータ56を、第2の電子部品20Bへ送信する。本実施形態では、第1送信部17Aは、受信信号52および合成パラメータ56を含む通信信号57Cを、第2の電子部品20Cの第1受信部25Aへ送信する。
【0116】
第2送信部17Bは、アナログ音声信号54を第2の電子部品20Cへ送信する。本実施形態では、第2送信部17Bは、アナログ音声信号54を第2の電子部品20Cの第2受信部25Bへ送信する。
【0117】
次に、第2の電子部品20Cについて説明する。第2の電子部品20Cは、第1の実施形態の第2の電子部品20と同様に、デジタル放送波を復調する電子部品である。
【0118】
第2の電子部品20Cは、第1受信部25Aと、第2受信部25Bと、デジタル音声復調部24Cと、タイミング調整部26Cと、選択部28と、出力部30と、を備える。第1受信部25A、第2受信部25B、デジタル音声復調部24C、タイミング調整部26C、選択部28、および出力部30の少なくとも1つは、CPUなどのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現されてもよいし、ハードウェアにより実現してもよい。第1受信部25A、第2受信部25B、デジタル音声復調部24C、タイミング調整部26C、選択部28、および出力部30の全てがソフトウェアにより実現されてもよく、全てがそれぞれ異なるハードウェアにより実現されてもよい。あるいは、第1受信部25A、第2受信部25B、デジタル音声復調部24C、タイミング調整部26C、選択部28、および出力部30の少なくとも1つがソフトウェアにより実現され、他がハードウェアにより実現されてもよい。
【0119】
第1受信部25Aは、第1の電子部品10Cの第1送信部17Aと通信する通信インターフェースである。言い換えると、第2の電子部品20Cの第1受信部25Aと、第1の電子部品10Cの第1送信部17Aとは、1対1の関係でデータを送受信する1つの通信経路である。このため、第1受信部25Aは、第1送信部17Aと同じ規格(例えば、SIDO規格)に準拠して動作し、第1送信部17Aから通信信号57Cを受信する。
【0120】
本実施形態では、第1受信部25Aは、第1送信部17Aから受信した通信信号57Cに含まれる受信信号52に、第1受信部25Aによる該受信信号52の受信時間である第1の受信時間情報を付与する。ここで、受信信号52の受信時間は、通信信号57Cの受信時間と等しい。
【0121】
また、第1受信部25Aは、第1送信部17Aから受信した通信信号57Cに含まれる合成パラメータ56に、第1受信部25Aによる該合成パラメータ56の受信時間である第1の受信時間情報を付与する。ここで、合成パラメータ56の受信時間は、通信信号57Cの受信時間と等しい。
【0122】
そして、第1受信部25Aは、第1の受信時間情報を付与された受信信号52である受信信号52Cを、デジタル音声復調部24Cへ出力する。また、第1受信部25Aは、第1の受信時間情報を付与された合成パラメータ56である合成パラメータ56Cを、タイミング調整部26Cへ出力する。
【0123】
デジタル音声復調部24Cは、受信信号52Cを復調し、第1の受信時間情報を付与されたデジタル音声信号58Cをタイミング調整部26Cへ出力する。例えば、デジタル音声復調部24Cは、受信信号52Cに含まれる第1の受信時間情報以外の音声成分を用いて復調を行う点以外は、デジタル音声復調部24と同様にして復調する。そして、デジタル音声復調部24Cは、復調後のデジタル音声信号に、受信信号52Cに付与されていた第1の受信時間情報を付与することで、第1の受信時間情報を付与されたデジタル音声信号58Cを出力する。
【0124】
また、デジタル音声復調部24Bは、受信信号52Cを用いて切替信号60Cを生成し、タイミング調整部26Cへ出力する。切替信号60Cは、第1の受信時間情報が付与されている点以外は、切替信号60と同様の信号である。デジタル音声復調部24Cは、受信信号52Cに付与されていた第1の受信時間情報を付与する点以外は、デジタル音声復調部24と同様にして、切替信号60Cを生成すればよい。
【0125】
一方、第2受信部25Bは、第1の電子部品10Cの第2送信部17Bと通信する通信インターフェースである。言い換えると、第2の電子部品20Cの第2受信部25Bと、第1の電子部品10Cの第2送信部17Bとは、1対1の関係でデータを送受信する1つの通信経路である。このため、第2受信部25Bは、第2送信部17Bと同じ方式に準拠して動作し、第2送信部17Bからアナログ音声信号54を受信する。
【0126】
第2受信部25Bは、第2送信部17Bから受信したアナログ音声信号54に、第2受信部25Bによる該アナログ音声信号54の受信時間である第2の受信時間情報を付与する。
【0127】
そして、第2受信部25Bは、第2の受信時間情報を付与されたアナログ音声信号54であるアナログ音声信号54Cを、タイミング調整部26Cへ出力する。
【0128】
タイミング調整部26Cは、含まれる同一の音声成分のタイミングが一致するように、デジタル音声信号58Cとアナログ音声信号54Cとの出力時間差の調整を行う。
【0129】
本実施形態では、タイミング調整部26Cは、デジタル音声信号58Cに付与された第1の受信時間情報と、アナログ音声信号54Cに付与された第2の受信時間情報と、を用いて、これらのデジタル音声信号58Cおよびアナログ音声信号54Cの受信時間のタイミングを一致させる。また、タイミング調整部26Cは、一致させた後のタイミングと、切替信号60Cに付与されている第1の受信時間情報によって表される受信時間のタイミングと、を一致される。
【0130】
次に、タイミング調整部26Bは、上記第1の実施形態のタイミング調整部26と同様にして、デジタル音声信号58Cを調整時間の分だけ遅延させる。この調整時間は、上記と同様に、第2遅延時間と第1遅延時間との合計値から第3遅延時間を減算することにより算出される。この処理により、タイミング調整部26Cは、含まれる同一の音声成分のタイミングが一致するように、デジタル音声信号58Cとアナログ音声信号54Cとの出力時間差の調整を行う。
【0131】
そして、タイミング調整部26Cは、タイミング調整後の、切替信号60C、デジタル音声信号58C、アナログ音声信号54C、および合成パラメータ56Cを、選択部28へ出力する。このとき、タイミング調整部26Cは、各信号に含まれる受信時間情報、つまり第1の受信時間情報および第2の受信時間情報を除去した上で、選択部28へ出力することが好ましい。
【0132】
選択部28および出力部30は、上記第1の実施形態の選択部28および出力部30と同様である。選択部28は、上記調整時間遅延されたデジタル音声信号58Cと、アナログ音声信号54Cと、の少なくとも一方を出力音声信号70として選択する。そして、選択した出力音声信号70を出力部30へ出力する。出力部30は、選択部28から入力された出力音声信号70を外部の装置に送信する。
【0133】
以上説明したように、本実施形態の受信装置1Cでは、第1の電子部品10Cと第2の電子部品20Cとの間の通信経路として、受信信号52を通信するための通信経路と、アナログ音声信号54を通信するための通信経路と、の2つの通信経路を備える。受信信号52を通信するための通信経路は、第1送信部17Aと第1受信部25Aとの対からなる。アナログ音声信号54を通信するための通信経路は、第2送信部17Bと第2受信部25Bとの対からなる。第1受信部25Aは、受信信号52に該受信信号52の受信時間を表す第1の受信時間情報を付与する。第2受信部25Bは、アナログ音声信号54に該アナログ音声信号54の受信時間を表す第2の受信時間情報を付与する。
【0134】
このため、タイミング調整部26Cでは、2つの通信経路により受信したデジタル音声信号58Cとアナログ音声信号54Cについて、第1の受信時間情報と第2の受信時間情報との受信時間の差を、これらの受信時間のタイミングを合わせることで、調整することができる。
【0135】
そして、第2の電子部品20Cでは、第1の受信時間情報および第2の受信時間情報を用いて受信時間の差を調整した後のアナログ音声信号54Cとデジタル音声信号58Cについて、更に、第1遅延時間、第2遅延時間、および第3遅延時間を用いて時間差を調整する。
【0136】
このため、第2の電子部品20Cでは、簡単な演算な処理により、デジタル音声信号58Cとアナログ音声信号54Cとの出力時間差の調整を行うことができる。
【0137】
従って、本実施形態の受信装置1Cでは、異なる電子部品でデジタル放送波の復調とアナログ放送波の復調とを行う受信装置1Cにおいて、デジタル音声信号58Cとアナログ音声信号54Cとの出力時間差の調整を容易に行うことができる。
【0138】
本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0139】
1,1B,1C 受信装置、14,15 アナログ音声復調部、16 送信部、17A 第1送信部、17B 第2送信部、18 付与部、22 受信部、23A,25A 第1受信部、23B,25B 第2受信部、24,24B,24C デジタル音声復調部、26,26B,26C タイミング調整部、28 選択部