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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】合成抵抗回路および可変利得増幅回路
(51)【国際特許分類】
   H03G 3/12 20060101AFI20230414BHJP
【FI】
H03G3/12 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017196100
(22)【出願日】2017-10-06
(65)【公開番号】P2019071526
(43)【公開日】2019-05-09
【審査請求日】2020-08-25
【審判番号】
【審判請求日】2022-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】399011195
【氏名又は名称】ザインエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100110582
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 昌聰
(74)【代理人】
【識別番号】100223424
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 雄二
(72)【発明者】
【氏名】源代 裕治
【合議体】
【審判長】國分 直樹
【審判官】千葉 輝久
【審判官】渡辺 努
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-112767(JP,A)
【文献】特開2004-194060(JP,A)
【文献】特開2014-241554(JP,A)
【文献】特開平8-32395(JP,A)
【文献】特開2009-44527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03G3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端と第2端との間に設けられた第1回路網を備え、
前記第1回路網は、
ノードN11とノードN12との間に設けられた抵抗器R1と、
前記ノードN12とノードN13との間に設けられた抵抗器R2と、
前記ノードN13とノードN14との間に設けられた抵抗器R3と、
前記ノードN14と前記ノードN11との間に設けられた抵抗器R4と、
前記ノードN11と前記ノードN13との間に設けられた抵抗器R5と、
前記ノードN14と前記ノードN11との間に前記抵抗器R4に対して直列に設けられたスイッチSW0と、
前記ノードN12と前記ノードN13との間に前記抵抗器R2に対して直列に設けられたスイッチSW1と、
からなり
前記ノードN12が前記第1端に接続され、
前記ノードN14が前記第2端に接続されている、
合成抵抗回路。
【請求項2】
前記抵抗器R1の抵抗値をrとし、前記抵抗器R2の抵抗値をrとし、前記抵抗器R3の抵抗値をrとし、前記抵抗器R4の抵抗値をrとしたときに、抵抗比(r/r)と抵抗比(r/r)とが互いに等しい、
請求項1に記載の合成抵抗回路。
【請求項3】
前記第1端と前記第2端との間に前記第1回路網に対して並列に設けられた第2回路網を更に備え、
前記第2回路網は、
ノードN21とノードN22との間に設けられた抵抗器R6と、
前記ノードN22とノードN23との間に設けられた抵抗器R7と、
前記ノードN23とノードN24との間に設けられた抵抗器R8と、
前記ノードN24と前記ノードN21との間に設けられた抵抗器R9と、
前記ノードN21と前記ノードN23との間に設けられた抵抗器R10と、
前記ノードN21と前記ノードN22との間に前記抵抗器R6に対して直列に設けられたスイッチSW2と、
前記ノードN24と前記ノードN21との間に前記抵抗器R9に対して直列に設けられたスイッチSW3と、
前記ノードN22と前記ノードN23との間に前記抵抗器R7に対して直列に設けられたスイッチSW4と、
からなり
前記ノードN22が前記第1端に接続され、
前記ノードN24が前記第2端に接続されている、
請求項1または2に記載の合成抵抗回路。
【請求項4】
前記第1端と前記第2端との間に前記第1回路網に対して並列に設けられた第3回路網を更に備え、
前記第3回路網は、
ノードN21とノードN22との間に設けられた抵抗器R6と、
前記ノードN22とノードN23との間に設けられた抵抗器R7と、
前記ノードN23とノードN24との間に設けられた抵抗器R8と、
前記ノードN24と前記ノードN21との間に設けられた抵抗器R9と、
前記ノードN21と前記ノードN23との間に設けられた抵抗器R10と、
前記ノードN21と前記ノードN23との間に前記抵抗器R10に対して直列に設けられたスイッチSW2と、
前記ノードN24と前記ノードN21との間に前記抵抗器R9に対して直列に設けられたスイッチSW3と、
前記ノードN22と前記ノードN23との間に前記抵抗器R7に対して直列に設けられたスイッチSW4と、
からなり
前記ノードN22が前記第1端に接続され、
前記ノードN24が前記第2端に接続されている、
請求項1~3の何れか1項に記載の合成抵抗回路。
【請求項5】
前記第1端と前記第2端との間に前記第1回路網に対して並列に設けられた第4回路網を更に備え、
前記第4回路網は、
ノードN21とノードN22との間に設けられた抵抗器R6と、
前記ノードN22とノードN23との間に設けられた抵抗器R7と、
前記ノードN23とノードN24との間に設けられた抵抗器R8と、
前記ノードN24と前記ノードN21との間に設けられた抵抗器R9と、
前記ノードN21と前記ノードN23との間に設けられた抵抗器R10と、
前記ノードN24と前記第2端との間に設けられたスイッチSW2と、
前記ノードN24と前記ノードN21との間に前記抵抗器R9に対して直列に設けられたスイッチSW3と、
前記ノードN22と前記ノードN23との間に前記抵抗器R7に対して直列に設けられたスイッチSW4と、
からなり
前記ノードN22が前記第1端に接続されている、
請求項1~4の何れか1項に記載の合成抵抗回路。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の合成抵抗回路を備え、入力される電気信号の値および前記合成抵抗回路の合成抵抗値に応じた値の電気信号を出力する、
可変利得増幅回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成抵抗回路、および、これを備える可変利得増幅回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
可変利得増幅回路は、抵抗値が可変である合成抵抗回路を備え、入力される電気信号の値および合成抵抗回路の抵抗値に応じた値の電気信号を出力することができる。可変利得増幅回路には、入力される電圧信号を増幅して当該増幅後の電圧信号を出力する電圧増幅回路、入力される電圧信号を電流信号に変換して該電流信号を出力するVI変換回路、および、入力される電流信号を電圧信号に変換して該電圧信号を出力するIV変換回路、等が含まれる。
【0003】
特許文献1,2に、このような可変利得増幅回路の発明が開示されている。特許文献1に開示された可変利得増幅回路が備える合成抵抗回路は、抵抗器とスイッチとを直列に接続したものを構成単位として、複数の構成単位を並列に接続した構成(以下「並列型構成」という。)を有する。特許文献2に開示された可変利得増幅回路が備える合成抵抗回路は、抵抗器とスイッチとを並列に接続したものを構成単位として、複数の構成単位を直列に接続した構成(以下「直列型構成」という。)を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-205560号公報
【文献】特開2011-091572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、並列型構成および直列型構成の何れにおいても用いられるスイッチは、MOSトランジスタで構成されるアナログスイッチである。合成抵抗回路は、デジタル制御された複数のスイッチそれぞれのオン/オフの状態に応じた抵抗値を有する。並列または直列に接続される構成単位の個数をnとすると、n個のスイッチそれぞれのオン/オフの状態の組合せは2とおり存在する。しかし、合成抵抗回路が2とおりの所望の抵抗値を有することができるようにn個の抵抗器それぞれの抵抗値を設定するのは容易でない。したがって、従来では、並列型構成および直列型構成の何れにおいても、合成抵抗回路が所望の各抵抗値を有することができるようにするために、多くの構成単位を並列または直列に接続する必要があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、少数のスイッチを用いて多くの所望の抵抗値を有することができる合成抵抗回路を提供することを目的とする。また、本発明は、このような合成抵抗回路を備える可変利得増幅回路を提供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の合成抵抗回路は、第1端と第2端との間に設けられた第1回路網を備える。この第1回路網は、ノードN11とノードN12との間に設けられた抵抗器R1と、ノードN12とノードN13との間に設けられた抵抗器R2と、ノードN13とノードN14との間に設けられた抵抗器R3と、ノードN14とノードN11との間に設けられた抵抗器R4と、ノードN11とノードN13との間に設けられた抵抗器R5と、ノードN14とノードN11との間に抵抗器R4に対して直列に設けられたスイッチSW0と、ノードN12とノードN13との間に抵抗器R2に対して直列に設けられたスイッチSW1とを含む。ノードN12が第1端に接続され、ノードN14が第2端に接続されている。
【0008】
本発明の合成抵抗回路は、抵抗器R1の抵抗値をrとし、抵抗器R2の抵抗値をrとし、抵抗器R3の抵抗値をrとし、抵抗器R4の抵抗値をrとしたときに、抵抗比(r/r)と抵抗比(r/r)とが互いに等しいのが好適である。
【0009】
本発明の合成抵抗回路は、第1端と第2端との間に第1回路網に対して並列に設けられた第2回路網を更に備えるのが好適である。この第2回路網は、ノードN21とノードN22との間に設けられた抵抗器R6と、ノードN22とノードN23との間に設けられた抵抗器R7と、ノードN23とノードN24との間に設けられた抵抗器R8と、ノードN24とノードN21との間に設けられた抵抗器R9と、ノードN21とノードN23との間に設けられた抵抗器R10と、ノードN21とノードN22との間に抵抗器R6に対して直列に設けられたスイッチSW2と、ノードN24とノードN21との間に抵抗器R9に対して直列に設けられたスイッチSW3と、ノードN22とノードN23との間に抵抗器R7に対して直列に設けられたスイッチSW4とを含む。ノードN22が第1端に接続され、ノードN24が第2端に接続されている。
【0010】
本発明の合成抵抗回路は、第1端と第2端との間に第1回路網に対して並列に設けられた第3回路網を更に備えるのが好適である。この第3回路網は、ノードN21とノードN22との間に設けられた抵抗器R6と、ノードN22とノードN23との間に設けられた抵抗器R7と、ノードN23とノードN24との間に設けられた抵抗器R8と、ノードN24とノードN21との間に設けられた抵抗器R9と、ノードN21とノードN23との間に設けられた抵抗器R10と、ノードN21とノードN23との間に抵抗器R10に対して直列に設けられたスイッチSW2と、ノードN24とノードN21との間に抵抗器R9に対して直列に設けられたスイッチSW3と、ノードN22とノードN23との間に抵抗器R7に対して直列に設けられたスイッチSW4とを含む。ノードN22が第1端に接続され、ノードN24が第2端に接続されている。
【0011】
本発明の合成抵抗回路は、第1端と第2端との間に第1回路網に対して並列に設けられた第4回路網を更に備えるのが好適である。この第4回路網は、ノードN21とノードN22との間に設けられた抵抗器R6と、ノードN22とノードN23との間に設けられた抵抗器R7と、ノードN23とノードN24との間に設けられた抵抗器R8と、ノードN24とノードN21との間に設けられた抵抗器R9と、ノードN21とノードN23との間に設けられた抵抗器R10と、ノードN24と第2端との間に設けられたスイッチSW2と、ノードN24とノードN21との間に抵抗器R9に対して直列に設けられたスイッチSW3と、ノードN22とノードN23との間に抵抗器R7に対して直列に設けられたスイッチSW4とを含む。ノードN22が第1端に接続されている。
【0012】
本発明の可変利得増幅回路は、上記の本発明の合成抵抗回路を備え、入力される電気信号の値および合成抵抗回路の合成抵抗値に応じた値の電気信号を出力する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の合成抵抗回路は、少数のスイッチを用いて多くの所望の抵抗値を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、第1構成例の合成抵抗回路2Aの回路図である。
図2図2は、第1構成例の合成抵抗回路2Aにおける制御信号の各値に対する合成抵抗値を纏めた表である。
図3図3は、第2構成例の合成抵抗回路2Bの回路図である。
図4図4は、第2構成例の合成抵抗回路2Bにおける制御信号の各値に対する合成抵抗値を纏めた表である。
図5図5は、第3構成例の合成抵抗回路2Cの回路図である。
図6図6は、第4構成例の合成抵抗回路2Dの回路図である。
図7図7は、第4構成例の合成抵抗回路2Dにおける制御信号の各値に対する合成抵抗値を纏めた表である。
図8図8は、第1構成例の可変利得増幅回路1Aの回路図である。
図9図9は、第2構成例の可変利得増幅回路1Bの回路図である。
図10図10は、第3構成例の可変利得増幅回路1Cの回路図である。
図11図11は、第4構成例の可変利得増幅回路1Dの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0016】
以下では、合成抵抗回路の第1~第4の構成例および変形例について説明し、その後に、この合成抵抗回路を備える可変利得増幅回路の第1~第4の構成例および変形例について説明する。
【0017】
(合成抵抗回路の第1構成例)
図1は、第1構成例の合成抵抗回路2Aの回路図である。合成抵抗回路2Aは、第1端2aと第2端2bとの間に第1回路網20Aを備える。第1回路網20Aは、抵抗器R1~R5およびスイッチSW0,SW1を含む。
【0018】
抵抗器R1は、ノードN11とノードN12との間に設けられている。抵抗器R2およびスイッチSW1は、互いに直列に接続されて、ノードN12とノードN13との間に設けられている。抵抗器R3は、ノードN13とノードN14との間に設けられている。抵抗器R4およびスイッチSW0は、互いに直列に接続されて、ノードN14とノードN11との間に設けられている。抵抗器R5は、ノードN11とノードN13との間に設けられている。ノードN12は第1端2aに接続されている。ノードN14は第2端2bに接続されている。合成抵抗回路2Aは、第1端2aと第2端2bとの間で、2個のスイッチSW0,SW1それぞれのオン/オフの状態に応じた合成抵抗値を有することができる。
【0019】
2個のスイッチSW0,SW1それぞれのオン/オフを制御する制御信号を2ビットの2進数(b1,b0)で表すことができる。スイッチSW0は、b0=0であるときオフ状態となり、b0=1であるときオン状態となる。スイッチSW1は、b1=0であるときオフ状態となり、b1=1であるときオン状態となる。この例では、制御信号をデコードする回路は不要である。
【0020】
抵抗器R1の抵抗値をrとする。抵抗器R2の抵抗値をrとする。抵抗器R3の抵抗値をrとする。抵抗器R4の抵抗値をrとする。抵抗器R5の抵抗値をrとする。制御信号が値00bであるとき、スイッチSW1およびスイッチSW0の双方がオフ状態となって、合成抵抗回路2Aの合成抵抗値r00bは下記(1)式で表される。制御信号が値01bであるとき、スイッチSW1がオフ状態となり、スイッチSW0がオン状態となって、合成抵抗回路2Aの合成抵抗値r01bは下記(2)式で表される。制御信号が値10bであるとき、スイッチSW1がオン状態となり、スイッチSW0がオフ状態となって、合成抵抗回路2Aの合成抵抗値r10bは下記(3)式で表される。制御信号が値11bであるとき、スイッチSW1およびスイッチSW0の双方がオン状態となって、合成抵抗回路2Aの合成抵抗値r11bは下記(4)式で表される。(2)式および(3)式において、演算子 //は、x//y=xy/(x+y) なる式により、抵抗値xの抵抗器と抵抗値yの抵抗器とが並列接続されてなる抵抗回路の合成抵抗値を求める演算を表す。
【0021】
【数1】
【0022】
【数2】
【0023】
【数3】
【0024】
【数4】
【0025】
これらの合成抵抗値r00b,r01b,r10b,r11bが所望の値となるように、抵抗器R1~R5の抵抗値r~rを設定すればよい。例えば、下記(5)式で表されるように合成抵抗値r00b,r01b,r10b,r11bが公比mの等比数列となるように、抵抗器R1~R5の抵抗値r~rを設定することができる。
【0026】
【数5】
【0027】
未知数(抵抗値r~r)が5個あるのに対して、方程式(上記(1)式~(4)式)が4個あるので、抵抗値r~rを一意的に決定することができない場合がある。そこで、抵抗比(r/r)と抵抗比(r/r)とを互いに等しくするという制約、すなわち、下記(6)式で表される関係を満たすという制約を設けるのが好ましい。このような制約を設けることで未知数を4個にすることができる。なお、抵抗値r~rの決定に際して数式処理ソフトを用いることができる。
【0028】
【数6】
【0029】
抵抗器R1~R5の抵抗値r~rの一例は次のとおりである。
=3842.04Ω
=7670.18Ω
=1200.54Ω
=2399.02Ω
= 906.028Ω
【0030】
図2は、これらの抵抗値を有する抵抗器R1~R5を用いたときの制御信号の各値に対する合成抵抗値を纏めた表である。この図は、制御信号の各値に対するスイッチSW0,SW1のオン/オフの状態をも示している。なお、この図に記した合成抵抗値は等比数列から僅かに異なっているが、これは、実際の可変利得増幅回路に合成抵抗回路を適用した場合に利得が正確に等比数列になるように各抵抗値を補正していることに因る。このような補正は回路毎に行うのが好ましい。
【0031】
なお、2ノード間に抵抗器とスイッチとが直列に設けられていてスイッチのオン抵抗値が無視できない場合には、抵抗器の抵抗値とスイッチのオン抵抗値との和が上記の値となるように抵抗器の抵抗値を設定するのが好ましい。
【0032】
本構成例の合成抵抗回路2Aは、2個のスイッチを用いて4とおりの所望の合成抵抗値を有することができる。スイッチの個数が少ないので、寄生容量の影響を低減することができる。デコード回路が不要であり、また、抵抗マトリックスが小さいので、合成抵抗回路2Aを半導体基板上に形成する場合にレイアウト面積を小さくすることができる。
【0033】
(合成抵抗回路の第2構成例)
図3は、第2構成例の合成抵抗回路2Bの回路図である。合成抵抗回路2Bは、第1端2aと第2端2bとの間に第1回路網20Aおよび第2回路網20Bを備える。図1に示された第1構成例の合成抵抗回路2Aの構成と比較すると、図3に示される第2構成例の合成抵抗回路2Bは、第1端2aと第2端2bとの間に第2回路網20Bを更に備える点で相違する。第2回路網20Bは、第1回路網20Aに対して並列に設けられている。第2回路網20Bは、抵抗器R6~R10およびスイッチSW2~SW4を含む。
【0034】
抵抗器R6およびスイッチSW2は、互いに直列に接続されて、ノードN21とノードN22との間に設けられている。抵抗器R7およびスイッチSW4は、互いに直列に接続されて、ノードN22とノードN23との間に設けられている。抵抗器R8は、ノードN23とノードN24との間に設けられている。抵抗器R9およびスイッチSW3は、互いに直列に接続されて、ノードN24とノードN21との間に設けられている。抵抗器R10は、ノードN21とノードN23との間に設けられている。ノードN22は第1端2aに接続されている。ノードN24は第2端2bに接続されている。合成抵抗回路2Bは、第1端2aと第2端2bとの間で、5個のスイッチSW0~SW4それぞれのオン/オフの状態に応じた合成抵抗値を有することができる。
【0035】
一例として、5個のスイッチSW0~SW4それぞれのオン/オフを制御する制御信号を3ビットの2進数(b2,b1,b0)で表すことができる。スイッチSW0は、b0=0であるときオフ状態となり、b0=1であるときオン状態となる。スイッチSW1は、b1=0であるときオフ状態となり、b1=1であるときオン状態となる。スイッチSW2は、b2=0であるときオフ状態となり、b2=1であるときオン状態となる。スイッチSW3は、b0&b2=0であるときオフ状態となり、b0&b2=1であるときオン状態となる。スイッチSW4は、b1&b2=0であるときオフ状態となり、b1&b2=1であるときオン状態となる。演算子&は、論理積を求める演算を表す。
【0036】
この例ではデコード回路が用いられる。デコード回路は、3ビットの2進数(b2,b1,b0)で表される制御信号を入力する。そして、このデコード回路は、ビットb0とビットb2との論理積の値を出力してスイッチSW3に与え、また、ビットb1とビットb2との論理積の値を出力してスイッチSW4に与える。
【0037】
b2=0であるとき、第2回路網20B内の3個のスイッチSW2~SW4の何れもオフ状態となるので、合成抵抗回路2Bの合成抵抗値は、第1構成例の場合と同様に、ビットb1,b0の各値に応じた第1回路網20Aの合成抵抗値となる。b2=1であるとき、合成抵抗回路2Bの合成抵抗値は、並列接続された第1回路網20Aと第2回路網20Bとの合成抵抗値となる。b2=1であるときの第2回路網20Bの合成抵抗値は、ビットb1,b0の各値に応じた値となる。第2回路網20Bの抵抗器R~R10の抵抗値r~r10は、第1構成例における第1回路網20Aの抵抗値r~rの設定方法と同様にして設定することができる。
【0038】
抵抗器R1~R10の抵抗値r~r10の一例は次のとおりである。
=3842.04Ω
=7670.18Ω
=1200.54Ω
=2399.02Ω
= 906.028Ω
=3497.20Ω
=5948.26Ω
=1172.25Ω
=1993.024Ω
10=797.874Ω
【0039】
図4は、これらの抵抗値を有する抵抗器R1~R10を用いたときの制御信号の各値に対する合成抵抗値を纏めた表である。この図は、制御信号の各値に対するスイッチSW0~SW4のオン/オフの状態をも示している。
【0040】
なお、2ノード間に抵抗器とスイッチとが直列に設けられていてスイッチのオン抵抗値が無視できない場合には、抵抗器の抵抗値とスイッチのオン抵抗値との和が上記の値となるように抵抗器の抵抗値を設定するのが好ましい。
【0041】
本構成例の合成抵抗回路2Bは、5個のスイッチを用いて少なくとも8とおりの所望の合成抵抗値を有することができる。スイッチの個数が少ないので、寄生容量の影響を低減することができる。デコード回路の構成が簡易であり、また、抵抗マトリックスが小さいので、合成抵抗回路2Bを半導体基板上に形成する場合にレイアウト面積を小さくすることができる。
【0042】
(合成抵抗回路の第3構成例)
図5は、第3構成例の合成抵抗回路2Cの回路図である。合成抵抗回路2Cは、第1端2aと第2端2bとの間に第1回路網20Aおよび第3回路網20Cを備える。図3に示された第2構成例の合成抵抗回路2Bの構成と比較すると、図5に示される第3構成例の合成抵抗回路2Cは、第2回路網20Bに替えて第3回路網20Cを備える点で相違する。第3回路網20Cは、第1回路網20Aに対して並列に設けられている。第3回路網20Cは、抵抗器R6~R10およびスイッチSW2~SW4を含む。
【0043】
第2構成例における第2回路網20Bでは、スイッチSW2は、抵抗器R6と直列に接続されて、ノードN21とノードN22との間に設けられていた。これに対して、第3構成例における第3回路網20Cでは、スイッチSW2は、抵抗器R10と直列に接続されて、ノードN21とノードN23との間に設けられている。合成抵抗回路2Cは、第1端2aと第2端2bとの間で、5個のスイッチSW0~SW4それぞれのオン/オフの状態に応じた合成抵抗値を有することができる。
【0044】
第3構成例の合成抵抗回路2Cは、第2構成例の合成抵抗回路2Bと同様に、図4に示されるように、一例として、5個のスイッチSW0~SW4それぞれのオン/オフを制御する制御信号を3ビットの2進数(b2,b1,b0)で表すことができ、抵抗器R1~R10の各抵抗値を設定することで制御信号の各値に対する合成抵抗値を設定することができる。
【0045】
本構成例の合成抵抗回路2Cも、5個のスイッチを用いて少なくとも8とおりの所望の合成抵抗値を有することができる。スイッチの個数が少ないので、寄生容量の影響を低減することができる。デコード回路の構成が簡易であり、また、抵抗マトリックスが小さいので、合成抵抗回路2Cを半導体基板上に形成する場合にレイアウト面積を小さくすることができる。
【0046】
(合成抵抗回路の第4構成例)
図6は、第4構成例の合成抵抗回路2Dの回路図である。合成抵抗回路2Dは、第1端2aと第2端2bとの間に第1回路網20Aおよび第4回路網20Dを備える。図3に示された第2構成例の合成抵抗回路2Bの構成と比較すると、図6に示される第4構成例の合成抵抗回路2Dは、第2回路網20Bに替えて第4回路網20Dを備える点で相違する。第4回路網20Dは、第1回路網20Aに対して並列に設けられている。第4回路網20Dは、抵抗器R6~R10およびスイッチSW2~SW4を含む。
【0047】
第2構成例における第2回路網20Bでは、スイッチSW2は、抵抗器R6と直列に接続されて、ノードN21とノードN22との間に設けられていた。これに対して、第4構成例における第4回路網20Dでは、スイッチSW2は、ノードN24と第2端2bとの間に設けられている。合成抵抗回路2Dは、第1端2aと第2端2bとの間で、5個のスイッチSW0~SW4それぞれのオン/オフの状態に応じた合成抵抗値を有することができる。
【0048】
一例として、5個のスイッチSW0~SW4それぞれのオン/オフを制御する制御信号を3ビットの2進数(b2,b1,b0)で表すことができる。スイッチSW0およびスイッチSW3は、b0=0であるときオフ状態となり、b0=1であるときオン状態となる。スイッチSW1およびスイッチSW4は、b1=0であるときオフ状態となり、b1=1であるときオン状態となる。スイッチSW2は、b2=0であるときオフ状態となり、b2=1であるときオン状態となる。この例では、制御信号をデコードする回路は不要である。
【0049】
b2=0であるとき、第4回路網20D内のスイッチSW2がオフ状態となるので、合成抵抗回路2Dの合成抵抗値は、第1構成例の場合と同様に、ビットb1,b0の各値に応じた第1回路網20Aの合成抵抗値となる。b2=1であるとき、合成抵抗回路2Dの合成抵抗値は、並列接続された第1回路網20Aと第4回路網20Dとの合成抵抗値となる。b2=1であるときの第4回路網20Dの合成抵抗値は、ビットb1,b0の各値に応じた値となる。
【0050】
第4構成例の合成抵抗回路2Dは、第2構成例の合成抵抗回路2Bと同様に、5個のスイッチSW0~SW4それぞれのオン/オフを制御する制御信号を3ビットの2進数(b2,b1,b0)で表すことができ、抵抗器R1~R10の各抵抗値を設定することで制御信号の各値に対する合成抵抗値を設定することができる。図7は、これらの抵抗値を有する抵抗器R1~R10を用いたときの制御信号の各値に対する合成抵抗値を纏めた表である。この図は、制御信号の各値に対するスイッチSW0~SW4のオン/オフの状態をも示している。
【0051】
なお、2ノード間に抵抗器とスイッチとが直列に設けられていてスイッチのオン抵抗値が無視できない場合には、抵抗器の抵抗値とスイッチのオン抵抗値との和が上記の値となるように抵抗器の抵抗値を設定するのが好ましい。スイッチSW2のオン抵抗値が無視できない場合には、ノードN22,N24間の合成抵抗値とスイッチSW2のオン抵抗値との和が所望値となるように抵抗器R6~R10の抵抗値r~r10を設定するのが好ましい。
【0052】
本構成例の合成抵抗回路2Dは、5個のスイッチを用いて少なくとも8とおりの所望の合成抵抗値を有することができる。スイッチの個数が少ないので、寄生容量の影響を低減することができる。デコード回路が不要であり、また、抵抗マトリックスが小さいので、合成抵抗回路2Dを半導体基板上に形成する場合にレイアウト面積を小さくすることができる。
【0053】
(合成抵抗回路の変形例)
本発明の合成抵抗回路は、上記第1~第4の構成例の合成抵抗回路2A~2Dに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、第2構成例において、ノードN21とノードN22との間にスイッチSW2を設ける構成に替えて、ノードN23とノードN24との間にスイッチSW2を設ける構成としてもよく、このような構成としても等価である。また、第4構成例において、ノードN24と第2端2bとの間にスイッチSW2を設ける構成に替えて、ノードN22と第1端2aとの間にスイッチSW2を設ける構成としてもよく、このような構成としても等価である。
【0054】
本発明の合成抵抗回路は、第1回路網20Aに対して、第2回路網20B,第3回路網20Cおよび第4回路網20Dのうちの何れか同種または異種の2以上の回路網を並列に設ける構成としてもよい。本発明の合成抵抗回路は、第1回路網20Aに対して抵抗器を直列または並列に設ける構成としてもよい。また、本発明の合成抵抗回路は、第1回路網20Aに対して、互いに直列または並列に接続された抵抗器およびスイッチを並列に設ける構成としてもよい。
【0055】
抵抗器R1~R10は、単一の抵抗器であってもよいし、複数の抵抗器を直列または並列に接続した構成であってもよい。半導体基板上に抵抗器を形成する場合、実現し易い抵抗値の範囲があるので、その範囲から外れる抵抗値を実現するには、その範囲内の抵抗値を有する複数の抵抗器を直列または並列に接続した構成とするのが好ましい。
【0056】
(可変利得増幅回路の第1構成例)
図8は、第1構成例の可変利得増幅回路1Aの回路図である。可変利得増幅回路1Aは、演算増幅器30および抵抗器31,32を備える。演算増幅器30の非反転入力端子は、接地電位入力端と接続されている。抵抗器31は、演算増幅器30の反転入力端子と可変利得増幅回路1Aの入力端との間に設けられている。抵抗器32は、演算増幅器30の反転入力端子と演算増幅器30の出力端子との間に設けられている。演算増幅器30の出力端子は、可変利得増幅回路1Aの出力端と接続されている。
【0057】
出力端から出力される電圧信号の値Voは、入力端に入力される電圧信号の値Vi、抵抗器31の抵抗値r31および抵抗器32の抵抗値r32に応じたものとなる。出力電圧値Voは、下記(7)式で表される。
【0058】
【数7】
【0059】
抵抗器31および抵抗器32の双方または何れか一方は、前述した合成抵抗回路の構成を有する。これにより、可変利得増幅回路1Aは、利得が可変に設定される反転増幅回路となる。
【0060】
(可変利得増幅回路の第2構成例)
図9は、第2構成例の可変利得増幅回路1Bの回路図である。可変利得増幅回路1Bは、演算増幅器40および抵抗器41,42を備える。演算増幅器40の非反転入力端子は、可変利得増幅回路1Bの入力端と接続されている。抵抗器41は、演算増幅器40の反転入力端子と接地電位入力端との間に設けられている。抵抗器42は、演算増幅器40の反転入力端子と演算増幅器40の出力端子との間に設けられている。演算増幅器40の出力端子は、可変利得増幅回路1Bの出力端と接続されている。
【0061】
出力端から出力される電圧信号の値Voは、入力端に入力される電圧信号の値Vi、抵抗器41の抵抗値r41および抵抗器42の抵抗値r42に応じたものとなる。出力電圧値Voは、下記(8)式で表される。
【0062】
【数8】
【0063】
抵抗器41および抵抗器42の双方または何れか一方は、前述した合成抵抗回路の構成を有する。これにより、可変利得増幅回路1Bは、利得が可変に設定される非反転増幅回路となる。
【0064】
(可変利得増幅回路の第3構成例)
図10は、第3構成例の可変利得増幅回路1Cの回路図である。可変利得増幅回路1Cは、演算増幅器50、抵抗器51,52および容量部53を備える。演算増幅器50の非反転入力端子は、基準電位Vref2が入力される。抵抗器51は、演算増幅器50の反転入力端子と可変利得増幅回路1Cの入力端との間に設けられている。抵抗器52および容量部53は、互いに並列に接続されて、演算増幅器50の反転入力端子と演算増幅器50の出力端子との間に設けられている。演算増幅器50の出力端子は、可変利得増幅回路1Cの出力端と接続されている。
【0065】
出力端から出力される電圧信号の値Voは、入力端に入力される電圧信号の値Vi、抵抗器51の抵抗値r51、抵抗器52の抵抗値r52および容量部53の容量値C53に応じたものとなる。出力電圧値Voは、下記(9)式で表される。jは虚数単位であり、ωは角周波数である。出力電圧値は、入力電圧値を時間について積分した結果の値となる。
【0066】
【数9】
【0067】
抵抗器51および抵抗器52の双方または何れか一方は、前述した合成抵抗回路の構成を有する。これにより、可変利得増幅回路1Cは、利得が可変に設定される積分回路となる。
【0068】
(可変利得増幅回路の第4構成例)
図11は、第4構成例の可変利得増幅回路1Dの回路図である。可変利得増幅回路1Dは、PMOSトランジスタMP1~MP7、NMOSトランジスタMN1~MN4および抵抗器Rrを備える。
【0069】
PMOSトランジスタMP1のゲートは、電圧値Vmが入力される。PMOSトランジスタMP1のソースは、PMOSトランジスタMP6のドレインと接続されている。PMOSトランジスタMP1のドレインは、NMOSトランジスタMN1のドレインと接続されている。PMOSトランジスタMP2のゲートは、電圧値Vpが入力される。PMOSトランジスタMP2のソースは、PMOSトランジスタMP7のドレインと接続されている。PMOSトランジスタMP2のドレインは、NMOSトランジスタMN2のドレインと接続されている。
【0070】
PMOSトランジスタMP3~MP7の各ソースは、電源電位Vddが入力される。PMOSトランジスタMP3のゲートおよびPMOSトランジスタMP4のゲートは、PMOSトランジスタMP3のドレインに接続されている。PMOSトランジスタMP3のドレインは、NMOSトランジスタMN3のドレインに接続されている。PMOSトランジスタMP4のドレインは、NMOSトランジスタMN4のドレインに接続されている。PMOSトランジスタMP5~MP7の各ゲートおよびPMOSトランジスタMP5のドレインは、バイアス電流Ibiasが入力される。
【0071】
NMOSトランジスタMN1~MN4の各ソースは、接地電位Vssが入力される。NMOSトランジスタMN1,MN3の各ゲートは、NMOSトランジスタMN1のドレインに接続されている。NMOSトランジスタMN2,MN4の各ゲートは、NMOSトランジスタMN2のドレインに接続されている。
【0072】
抵抗器Rrは、PMOSトランジスタMP1のソースとPMOSトランジスタMP2のソースとの間に設けられている。可変利得増幅回路1Dの出力端は、PMOSトランジスタMP4のドレインとNMOSトランジスタMN4のドレインとの接続点である。
【0073】
抵抗器Rrに流れる電流量Irは、その両端の電位差に比例したものとなる。PMOSトランジスタMP6,MP7それぞれに流れる電流量は互いに同じであるので、PMOSトランジスタMP1に流れる電流量はIrだけ増加し、PMOSトランジスタMP2の流れる電流量はIrだけ減少する。電流量Irが小さいうちは、これによるPMOSトランジスタMP1,MP2のゲート-ソース間の電位差Vgsの変化は僅かである。入力電圧値の差(Vp-Vm)が小さいうちは、PMOSトランジスタMP1,MP2の各ソースの電位は、ゲート電圧からほぼ同じVgsだけ高くなる。したがって、抵抗器Rrの両端の電位差はVp-Vmとなり、抵抗器Rrに流れる電流量Irは下記(10)式で表される。
【0074】
【数10】
【0075】
PMOSトランジスタMP3,MP4はカレントミラー回路を構成している。NMOSトランジスタMN1,MN3はカレントミラー回路を構成している。NMOSトランジスタMN2,MN4はカレントミラー回路を構成している。NMOSトランジスタMN1に流れる電流量は、PMOSトランジスタMP1に流れる電流量と同じであり、Irだけ増加する。NMOSトランジスタMN2に流れる電流量は、PMOSトランジスタMP2に流れる電流量と同じであり、Irだけ減少する。NMOSトランジスタMN1に流れる電流は、カレントミラー回路で折り返されて、そのままPMOSトランジスタMP4に注入される電流になる。出力端から出力される電流信号の値Ioutは、このPMOSトランジスタMP4に注入される電流と、NMOSトランジスタMN4が吸い込む電流との差分である。カレントミラー回路におけるミラー比がBである場合には、Ioutは下記(11)式で表される。
【0076】
【数11】
【0077】
抵抗器Rrは、前述した合成抵抗回路の構成を有する。これにより、可変利得増幅回路1Dは、利得が可変に設定されるVI変換回路となる。
【0078】
(可変利得増幅回路の変形例)
本発明の可変利得増幅回路は、上記第1~第4の構成例の可変利得増幅回路1A~1Dに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。可変利得増幅回路には様々な構成があるが、多くの可変利得増幅回路は、演算増幅器および抵抗器を備えており、入力される電気信号の値および抵抗器の抵抗値に応じた値の電気信号を出力する。何れの可変利得増幅回路の構成においても本発明の合成抵抗回路を用いることができる。
【符号の説明】
【0079】
1A~1D…可変利得増幅回路、2A~2D…合成抵抗回路、2a…第1端、2b…第2端、20A…第1回路網、20B…第2回路網、20C…第3回路網、20D…第4回路網、30…演算増幅器、31,32…抵抗器、40…演算増幅器、41,42…抵抗器、50…演算増幅器、51,52…抵抗器、53…容量部、N11~N14,N21~N24…ノード、R1~R10…抵抗器、SW0~SW4…スイッチ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11