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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】開閉装置、並びに情報端末機器
(51)【国際特許分類】
   F16C 11/04 20060101AFI20230414BHJP
   G03B 27/62 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
F16C11/04 F
F16C11/04 G
G03B27/62
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017253628
(22)【出願日】2017-12-28
(65)【公開番号】P2019120274
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2020-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】513014628
【氏名又は名称】株式会社ナチュラレーザ・ワン
(74)【代理人】
【識別番号】100076831
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 捷雄
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 兼次
【審査官】西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-282158(JP,A)
【文献】特開2006-164554(JP,A)
【文献】特開2002-180491(JP,A)
【文献】実開平04-075350(JP,U)
【文献】実開平02-102559(JP,U)
【文献】特開2009-243041(JP,A)
【文献】実開平02-075015(JP,U)
【文献】特開昭61-192919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 11/04
G03B 27/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体側に取付けられるケース状の取付部材と、蓋体側に取付けられる支持部材と、前記支持部材を前記取付部材に対して回動可能に連結するヒンジシャフトと、前記支持部材に補助付勢力を作用させる補助付勢手段と、を有する開閉装置であって、
前記補助付勢手段は、前記ケース状の取付部材内の保持部に取り付けたピンをその軸方向へ通して設けたところの、前記取付部材と前記支持部材の間に弾設したトーションスプリングで構成され、このトーションスプリングは、前記ピンに直交する面に対して対称に形成された一対のコイル部と、この一対のコイル部の両内側の一対の線材からなる一端部と、前記一対のコイル部の両外側を繋いで設けたU字形状を呈した他端部を有し、前記一端部を前記取付部材の上下方向に設けた開口部へ挿入させ、前記他端部を前記支持部材の当接部に当接させたことを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記取付部材は、前記機器本体の後部上端部に設けた取付孔に挿脱可能に取り付けられるか、前記機器本体の後部上端部に縦方向に取り付けられるか、前記機器本体の後部上端に水平状態で取り付けられるか、のいずれか一つの手段により前記機器本体へ取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の開閉装置。
【請求項3】
前記支持部材は、前記支持部材の前記トーションスプリングの他端部が当接して移動する面に、前記ヒンジシャフトに垂直な断面形状を前記トーションスプリング側へ突出させたカム面を有することを特徴とする請求項1に記載の開閉装置。
【請求項4】
前記トーションスプリングは、前記補助付勢力を低下させる方向の前記支持部材の回動に伴って、前記支持部材に対する前記トーションスプリングの他端部の当接位置が前記支持部材の回動端側から前記ヒンジシャフト側へ移動することを特徴とする請求項1に記載の開閉装置。
【請求項5】
機器本体側に取付けられるケース状の取付部材と、蓋体側に取付けられる支持部材と、前記支持部材を前記取付部材に対して回動可能に連結するヒンジシャフトと、前記支持部材に補助付勢力を作用させる補助付勢手段と、を有する開閉装置であって、
前記補助付勢手段は、前記ケース状の取付部材内の保持部に取り付けたピンをその軸方向へ通して設けたところの、前記取付部材と前記支持部材の間に弾設したトーションスプリングで構成され、このトーションスプリングは、前記ピンに直交する面に対して対称に形成された一対のコイル部と、この一対のコイル部の両内側の一対の線材からなる一端部と、前記一対のコイル部の両外側を繋いで設けたU字形状を呈した他端部を有し、前記一端部を前記取付部材の上下方向に設けた開口部へ挿入させ、前記他端部を前記支持部材の当接部に当接させると共に、前記トーションスプリングの一端部は、前記補助付勢力を調整するために前記取付部材に対して位置調整可能に設けられた第1腕部ホルダにより保持されていることを特徴とする開閉装置。
【請求項6】
機器本体側に取付けられるケース状の取付部材と、蓋体側に取付けられる支持部材と、前記支持部材を前記取付部材に対して回動可能に連結するヒンジシャフトと、前記支持部材に補助付勢力を作用させる補助付勢手段と、を有する開閉装置であって、
前記補助付勢手段は、前記ケース状の取付部材内の保持部に取り付けたピンをその軸方向へ通して設けたところの、前記取付部材と前記支持部材の間に弾設したトーションスプリングで構成され、このトーションスプリングは、前記ピンに直交する面に対して対称に形成された一対のコイル部と、この一対のコイル部の両内側の一対の線材からなる一端部と、前記一対のコイル部の両外側を繋いで設けたU字形状を呈した他端部を有し、前記一端部を前記取付部材の上下方向に設けた開口部へ挿入させ、前記他端部を前記支持部材の当接部に当接させると共に、前記支持部材は、前記支持部材の前記トーションスプリングの他端部が当接して移動する面に、前記機器本体に対する前記蓋体の開成角度が所定角度以下の範囲で前記トーションスプリングの捩じれ弾性変形量を低下させるように形成されたカム面を有することを特徴とする開閉装置。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項に記載の開閉装置を有し、前記機器本体側と前記蓋体とが前記開閉装置により開閉自在に連結されていることを特徴とする情報端末機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、印刷機、複合機、スキャナ等の情報端末機器の比較的に軽量の蓋体を機器本体に対して開閉する際に用いて好適な開閉装置、並びにこの開閉装置を用いた情報端末機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、印刷機、複合機、スキャナ等の情報端末機器の中で、比較的に軽量の蓋体(原稿圧着板ともいう)を機器本体に対して開閉自在に取り付ける際に用いる開閉装置として、機器本体側に取り付けられるケース状の取付部材と、この取付部材の両側板に対しヒンジシャフトを介して回転可能に取り付けられるところの蓋体を支持する支持部材と、この支持部材に接して取付部材内にスライド可能に収装されるスライダと、このスダイダと取付部材の底板との間に弾設された弾性部材とで構成した開閉装置が、例えば特許文献1と2に記載されているように公知である。しかるに、複写機等の情報端末機器においては、開閉装置に対するコストダウンの要請年も年々厳しくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-10979号公報
【文献】特開2017-96428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の目的は、構成の簡単な開閉装置を提案して、上記技術的課題に答えようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するために、本発明に係る開閉装置は、機器本体側に取付けられるケース状の取付部材と、蓋体側に取付けられる支持部材と、前記支持部材を前記取付部材に対して回動可能に連結するヒンジシャフトと、前記支持部材に補助付勢力を作用させる補助付勢手段と、を有する開閉装置であって、前記補助付勢手段は、前記ケース状の取付部材内の保持部に取り付けたピンをその軸方向へ通して設けたところの、前記取付部材と前記支持部材の間に弾設したトーションスプリングで構成され、このトーションスプリングは、前記ピンに直交する面に対して対称に形成された一対のコイル部と、この一対のコイル部の両内側の一対の線材からなる一端部と、前記一対のコイル部の両外側を繋いで設けたU字形状を呈した他端部を有し、前記一端部を前記取付部材の上下方向に設けた開口部へ挿入させ、前記他端部を前記支持部材の当接部に当接させたことを特徴とする。
【0006】
その際に本発明は、前記取付部材が、前記機器本体の後部上端部に設けた取付孔に挿脱可能に取り付けられるか、前記機器本体の後部上端部に縦方向に取り付けられるか、前記機器本体の後部上端に水平状態で取り付けられるか、のいずれか一つの手段により前記機器本体へ取り付けられることを特徴とする。
【0009】
さらに本発明は、前記支持部材が、前記支持部材の前記トーションスプリングの他端部が当接して移動する面に、前記ヒンジシャフトに垂直な断面形状を前記トーションスプリング側へ突出させたカム面を有することを特徴とする。
【0010】
さらに本発明は、前記トーションスプリングが、前記補助付勢力を低下させる方向の前記支持部材の回動に伴って、前記支持部材に対する前記トーションスプリングの他端部の当接位置が前記支持部材の回動端側から前記ヒンジシャフト側へ移動することを特徴とする。
【0012】
さらに本発明は、前記トーションスプリングが、前記コイル部に挿入して前記取付部材に設けられ、前記トーションスプリングの前記コイル部を前記保持部との間で挟み込む挟込部材を有することを特徴とする。
【0013】
さらに本発明は、機器本体側に取付けられるケース状の取付部材と、蓋体側に取付けられる支持部材と、前記支持部材を前記取付部材に対して回動可能に連結するヒンジシャフトと、前記支持部材に補助付勢力を作用させる補助付勢手段と、を有する開閉装置であって、前記補助付勢手段は、前記ケース状の取付部材内に固定して収容され、その一端部を前記取付部材に当接させ、その他端部を前記支持部材に当接させたトーションスプリングで構成されると共に、前記トーションスプリングの一端部が、前記補助付勢力を調整するために前記取付部材に対して位置調整可能に設けられた第1腕部ホルダにより保持されていることを特徴とする。
【0014】
さらに本発明は、機器本体側に取付けられるケース状の取付部材と、蓋体側に取付けられる支持部材と、前記支持部材を前記取付部材に対して回動可能に連結するヒンジシャフトと、前記支持部材に補助付勢力を作用させる補助付勢手段と、を有する開閉装置であって、前記補助付勢手段は、前記ケース状の取付部材内に固定して収容され、その一端部を前記取付部材に当接させ、その他端部を前記支持部材に当接させたトーションスプリングで構成されると共に、前記支持部材が、前記支持部材の前記トーションスプリングの他端部が当接して移動する面に、前記機器本体に対する前記蓋体の開成角度が所定角度以下の範囲で前記トーションスプリングの捩じれ弾性変形量を低下させるように形成されたカム面を有することを特徴とする。
【0015】
そして本明明は、前記開閉装置を用いた情報端末機器であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、スライダを省略して部品点数を削減しても、トーションスプリングにより、蓋体の機器本体に対する開閉操作時に支持部材に対して発生する回転トルクを制御できるように構成して、大幅なコストダウンを図ることができたものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例1の複写機の構成の説明図である。(a)は閉成位置である第1位置である。(b)は開成位置である第2位置である。
図2】開閉装置の外観の説明図である。
図3】開閉装置の分解斜視図である。
図4】組立状態の開閉装置の断面図である。
図5】組立状態の開閉装置の平面図である。
図6】トーションスプリングを後方へ移動させた状態の説明図である。(a)はトーションスプリングを基準位置に配置した場合の第1位置である。(b)はトーションスプリングを基準位置に配置した場合の第2位置である。(c)はトーションスプリングを後方位置に配置した場合の第1位置である。(d)はトーションスプリングを後方位置に配置した場合の第2位置である。
図7】トーションスプリングを下方へ移動させた状態の説明図である。(a)はトーションスプリングを下方位置に配置した場合の第1位置である。(b)はトーションスプリングを下方位置に配置した場合の第2位置である。(c)はトーションスプリングを後方下方位置に配置した場合の第1位置である。(d)はトーションスプリングを後方下方位置に配置した場合の第2位置である。
図8】開閉装置の開成角度とアシストトルクの関係の説明図である。
図9図9は実施例2の開閉装置の構成の説明図である。
図10】実施例3の開閉装置の構成の説明図である。
図11】実施例4の開閉装置の構成の説明図である。
図12】実施例4の開閉装置の分解斜視図である。
図13】実施例4の開閉装置の動作の説明図である。(a)は第2位置である。(b)は中間位置である。(c)は第1位置である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態を、添付した図面を参照して詳細に説明する。以下の実施例では、情報端末機器の一例である複写機に用いられる蓋体(原稿圧着板)に実施した場合について説明するが、本発明に係る開閉装置は、上述した複合機、印刷機、スキャナ等の他、洋式便器の便座、便蓋の開閉装置、家具用キャビネットの蓋体の開閉装置などにも用いることができるものである。
【実施例1】
【0019】
(複写機)
図1は実施例1の複写機の構成の説明図である。図1中、(a)は閉成位置である第1位置、(b)は開成位置である第2位置である。図1の(a)に示すように、実施例1の開閉装置10は、機器本体側の一例である画像読取装置2に対して、蓋体側の一例であるADF付きの原稿圧着板3を上下に回動させて開閉自在に連結している。図1の(b)に示すように、複写機1は、開閉装置10により、画像読取装置2に対して原稿圧着板3を上方へ開放して、ガラス板5上に原稿を置くことが可能である。開閉装置10は、不図示のネジにより、取付部材11を画像読取装置2に固定すると共に、不図示のネジにより、支持部材12を原稿圧着板3に固定している。操作部6には、不図示のタッチパネル及び各種スイッチが配置されている。
【0020】
(開閉装置)
図2は開閉装置の外観の説明図である。図3は開閉装置の分解斜視図である。図4は組立状態の開閉装置の断面図である。図5は組立状態の開閉装置の平面図である。図5では、支持部材12下のトーションスプリング16を一点鎖線で図示している。
【0021】
図2に示すように、開閉装置10は、機器本体側に取付けられるケース状の取付部材11と、蓋体側に取付けられる支持部材12と、支持部材12を取付部材11に対して回動可能に連結するヒンジシャフト13と、支持部材12に補助付勢力を作用させる補助付勢手段と、を有する。そして、補助付勢手段は、ケース状の取付部材11内にそのコイル部16a,16aの位置を固定して収容され、その一端部16cを取付部材11に当接させ、その他端部16bを支持部材12に当接させたトーションスプリング16で構成されている。
【0022】
取付部材11は、射出成型によりケース状に樹脂成型され、内部にトーションスプリング16を収容している。支持部材12は、射出成型により板状に樹脂成型され、ヒンジシャフト13により取付部材11に連結されている。支持部材12は、開成角度が0度の第1位置P1から開成角度が約70度の第2位置P2までの角度範囲で、取付部材11に対して回動自在である。トーションスプリング16は、支持部材12を第1位置P1から第2位置P2へ押し上げるように、補助付勢力を発生して支持部材12に作用させる。
【0023】
開閉装置10は、取付部材11を機器本体側の取付孔の一例である開口2aに挿入して挿脱方向へ移動可能に取付けることにより原稿圧着板3の傾き調整手段を実現している。厚みのある原稿を原稿圧着板3で押さえた際には、取付部材11が開口2a内で抜き方向に移動して原稿圧着板3の傾きを平行に修正して外光が露出系に進入するのを防止することができるように構成されている。また、機器本体のメインテナンス時には、原稿圧着板3を取付ケースと一体に機器本体から上方へ簡単に取り外すことも可能となっている。なお、開閉装置10の機器本体に対する取付方法は、開口2aに挿入する方法には限定されない。取付部材は、機器本体の後部上端部に設けた取付孔に挿脱可能に取り付けられるか、機器本体の後部上端部に縦方向に取り付けられるか、機器本体の後部上端に水平状態で取り付けられるか、のいずれか一つの手段により機器本体へ取り付けられる。あるいは、取付部材11の両側から取付プレート部を突設して、不図示の取付ねじで取付プレートを介して取付部材11を機器本体の背面或いは上面に固定して使用するものにも適用できる。
【0024】
図3に示すように、支持部材12の板状の取付部12aには、原稿圧着板(3:図1)をネジ固定するための複数の段付取付穴12cが形成されている。支持部材12は、取付部12aの下面に凸部12e及び当接面12gが形成され、凸部12eを貫通させて軸孔12bが形成されている。軸孔12bは、ヒンジシャフト13の中央部13aを回転自在に支持する。
【0025】
支持部材12の凸部12eは、取付部材11に形成された一対の軸受部11a,11aの内側に保持される。軸受部11a,11aに軸孔11b,11bが形成されている。軸孔11b,11bのうちの一方は、ヒンジシャフト13の端部13b,13bを締り嵌めで保持して、ヒンジシャフト13の抜け落ちを阻止している。
【0026】
図4に示すように、取付部材11に形成された凹所である保持部11dに、トーションスプリング16のコイル部16a,16aの外周面が保持される。トーションスプリング16は無負荷状態では、一端部16cと他端部16bとが一直線上に位置する。ここから一点鎖線で示すように他端部16bを押し下げて、不図示の冶具で拘束した状態で、図3に示すように、取付部材11の軸孔11b,11bと支持部材12の軸孔12bとを重ね合わせてヒンジシャフト13が挿入される。、支持部材12と取付部材11の連結後、不図示の冶具を取り外すことで、支持部材12にトーションスプリング16の他端部16bが当接する。
【0027】
トーションスプリング16に付勢された支持部材12の突当部12jが取付部材11の突当部11jに突当たることにより、支持部材12は第2位置P2に回転止めされている。第2位置P2において、トーションスプリング16は、突当部11j,12jにより回転止めされた支持部材12と保持部11dとの間に応力状態で保持されている。トーションスプリング16の他端部16bは、支持部材12を第2位置P2へ押し上げて加圧し、支持部材12の突当部12jと取付部材11の突当部11jとの間に圧力を発生させている。これにより、取付部材11に対するトーションスプリング16のガタツキを取り除き、取付部材11からトーションスプリング16が脱落することを阻止している。
【0028】
これに加えて、トーションスプリング16は、内側にピン14を挿入して、ピン14の中央部14aと底部11fとの間に保持されている。挟込部材の一例であるピン14は、トーションスプリング16のコイル部16a,16aに挿入して取付部材11に設けられ、トーションスプリング16のコイル部16a,16aを保持部11dとの間で挟み込む。取付部材11の対向する両側面に、ピン孔14k,14kが形成されている。ピン孔14k,14kのうちの一方は、ピン14の端部14b,14bを締り嵌めで保持して、ピン14の抜け落ちや位置ずれを阻止している。
【0029】
取付部材11は、トーションスプリング16のコイル部16a,16aを外側から保持して補助付勢力の反力に抗する保持部11dを有する。取付部材11の内側に、円筒面状の底部11fを設けた保持部11dが形成されている。トーションスプリング16は、底部11fにコイル部16aの外周面を当接させた状態で、底部11fと当接面12gとの間に上述した応力状態で挟み込まれている。
【0030】
図5に示すように、トーションスプリング16は、ヒンジシャフト13に直交する面に対して対称に形成された一対のコイル部16a,16aを有する。一対のコイル部16a,16aの両外側の線材をU字型に連続させて他端部16bを形成している。トーションスプリング16は、連続した1本の線材を折り曲げて左右対称に整形されている。コイル部16a,16aの両外側の線材を接線方向に片持梁状に引き出して先端側をU字型に連絡している。他端部16b及び片持梁部16p,16pは、コイル部16a,16aを一体に連結している。図3に示すように、当接面12gの側面は、凸部12eよりも内側へ退避しているため、トーションスプリング16の片持梁部16p,16pの対向間隔の内側を通過する。このため、トーションスプリング16の他端部16bは、第1位置P1から第2位置P2まで支持部材12が移動する間、支持部材12の当接面12gを摺擦して移動し続ける。
【0031】
図5に示すように、コイル部16a,16aの両内側の線材を下方へ引き出して一端部16c,16cを形成している。一端部16c,16cを取付部材11の開口部11gへ挿入することにより、トーションスプリング16が取付部材11に対して回転止めされている。
【0032】
(トーションスプリングの位置)
図6はトーションスプリングを後方へ移動させた状態の説明図である。図7はトーションスプリングを下方へ移動させた状態の説明図である。図8は開閉装置の開成角度とアシストトルクの関係の説明図である。図6中、(a)はトーションスプリングを基準位置に配置した場合の第1位置、(b)はトーションスプリングを基準位置に配置した場合の第2位置、(c)はトーションスプリングを後方位置に配置した場合の第1位置である。(d)はトーションスプリングを後方位置に配置した場合の第2位置である。図7中、(a)はトーションスプリングを下方位置に配置した場合の第1位置、(b)はトーションスプリングを下方位置に配置した場合の第2位置、(c)はトーションスプリングを後方下方位置に配置した場合の第1位置である。(d)はトーションスプリングを後方下方位置に配置した場合の第2位置である。
【0033】
トーションスプリング16を開閉装置10で使用する場合、トーションスプリング16の内径をヒンジシャフト13の直径より少し大きい程度とし、トーションスプリング16の内径にヒンジシャフト13を保持させる形態が考えられる。トーションスプリング16の一端部16cを取付部材11に係合させ、他端部16bを支持部材12に係合させて、支持部材12にヒンジシャフト13周りの補助付勢トルクを発生させる。
【0034】
しかし、ヒンジシャフト13を囲んでトーションスプリング16を配置した場合、トーションスプリング16は、ねじり弾性変形量に比例したトルクを発生するため、図8にケースC0として示すように、取付部材11に対する支持部材12の開成角度と補助付勢力との関係が直線的で単調なものとなる。このため、支持部材12の第1位置P1から第2位置P2までの各段階における補助付勢力のきめ細かな調整が困難である。つまり、1種類のトーションスプリング16を用いて多種多様な補助付勢力/開成角度の関係を開閉装置10に持たせることが難しい。
【0035】
これに対して、実施例1では、取付部材11に収容されるコイル部16aの位置をケースC1~C4のように変更することで、1種類のトーションスプリング16を用いて多種多様な補助付勢力/開成角度の関係を開閉装置10に持たせることが可能である。開閉装置10の部品点数の削減と共有化とを図りつつ、開閉装置10に必要とされる多種類の補助付勢力/開成角度の関係に対してきめ細かく対応することが可能である。
【0036】
図4に示すように、トーションスプリング16は、補助付勢力を低下させる方向(P1→P2)の支持部材12の回動に伴って、支持部材12に対する他端部16bの接触位置が支持部材12の回動端側からヒンジシャフト13側へ移動する。そして、この移動距離Δは、支持部材12に収容されたトーションスプリング16の取付位置に応じて変化し、移動距離Δに応じて第1位置P1及び第2位置P2における補助付勢力が変化する。
【0037】
図6図7に示すように、トーションスプリング16の取付位置を4種類(ケースC1~C4)に異ならせて、第1位置と第2位置とにおけるそれぞれの補助付勢力を比較した。図6図7では、図4に示すように、トーションスプリング16の位置に応じて底部11fの位置を異ならせ、ピン14の位置を異ならせている。すなわち、ケースC1~C4に合わせて4種類の取付部材11を準備し、底部11fとピン14との間にトーションスプリング16を挟み込んでいる。その他の部品はケースC1~C4について共通である。
【0038】
表1に示すように、開閉装置10の補助付勢力は、トーションスプリング16の捩じり変形角度(α)に作用半径(R16,S16)を乗じて求めたアシストトルク係数(Q)により比較した。アシストトルク係数(Q)は、アシストトルクをトーションスプリングの捩じり弾性係数で除した値である。
【0039】
角度αは、両端部が同一平面上となる無負荷状態から捩じり弾性変形させた角度である。移動距離Δは、支持部材12が第1位置P1から第2位置P2まで移動する過程で、他端部16bが当接面12g上を移動する距離である。図8には、ケースC1~C4における第1位置P1から第2位置P2までのアシストトルク係数(Q)の変化の概略の比較イメージを示している。
【0040】
【表1】
【0041】
図6の(a)に示すように、ケースC1は、トーションスプリング16を基準位置に配置している。ヒンジシャフト13の中心からコイル部16aの中心までの高さH16は15.5mmである。ヒンジシャフト13の中心からコイル部16aの中心までの水平距離D16は10.0mmである。表1に示すように、ケースC1では、第1位置P1でのアシストトルク係数が2700、第2位置P2でのアシストトルク係数が304となり、原稿圧着板(3:図1)に対して、第1位置P1でのアシストトルク係数が過剰と判断された。
【0042】
図6の(c)に示すように、ケースC2は、トーションスプリング16を基準位置から5mm後方へ移動させている。ヒンジシャフト13の中心からコイル部16aの中心までの高さH16は15.5mmである。ヒンジシャフト13の中心からコイル部16aの中心までの水平距離D16は5.0mmである。表1に示すように、ケースC2では、第1位置P1でのアシストトルク係数が2250、第2位置P2でのアシストトルク係数が413となり、原稿圧着板(3:図1)に対して、第2位置P2でのアシストトルク係数が過剰と判断された。
【0043】
図7の(a)に示すように、ケースC3は、トーションスプリング16を基準位置から4.5mm下方へ移動させている。ヒンジシャフト13の中心からコイル部16aの中心までの高さH16は20.0mmである。ヒンジシャフト13の中心からコイル部16aの中心までの水平距離D16は10.0mmである。表1に示すように、ケースC3では、第1位置P1でのアシストトルク係数が2056、第2位置P2でのアシストトルク係数が118となり、原稿圧着板(3:図1)に対して、第2位置P2でのアシストトルク係数が不足と判断された。
【0044】
図7の(c)に示すように、ケースC4は、トーションスプリング16を基準位置から4.5mm下方へ移動させ、かつ5.0mm後方へ移動させている。ヒンジシャフト13の中心からコイル部16aの中心までの高さH16は20.0mmである。ヒンジシャフト13の中心からコイル部16aの中心までの水平距離D16は5.0mmである。表1に示すように、ケースC4では、第1位置P1でのアシストトルク係数が1677、第2位置P2でのアシストトルク係数が190となり、原稿圧着板(3:図1)に対して、第1位置P1及び第2位置P2におけるアシストトルク係数が適正と判断された。
【0045】
図8に示すように、ケースC0は、ヒンジシャフトを中心にしてトーションスプリング16を配置した場合における第1位置P1から第2位置P2までのアシストトルク係数(Q)の変化の概略のイメージである。ケースC0では、トーションスプリング16の作用半径が一定になるため、アシストトルク係数(Q)は、トーションスプリングの捩じり変形角度に比例して直線的に変化する。このため、原稿圧着板(3:図1)の重量を支持するために望ましいコサインカーブ状のアシストトルク変化を得ることができない。
【0046】
これに対して、ケースC1では、トーションスプリングの外側にヒンジシャフト13を配置しているため、開成動作に連動して作用位置が次第にヒンジシャフト13側へ移動して、コサインカーブに近いアシストトルク変化を得ることができる。しかし、第1位置P1で必要なアシストトルクと第2位置P2で必要なアシストトルクとを同時に満たすことはできない。
【0047】
これに対して、ケースC2~C4では、トーションスプリングの中心位置を高さ方向及び水平方向にシフトさせることで、コサインカーブ状のアシストトルク変化における第1位置P1と第2位置P2とのアシストトルクを変化させている。そして、原稿圧着板(3:図1)の重量を支持するために必要なコサインカーブの条件を満たすケースC4に到達している。すなわち、トーションスプリング16、ヒンジシャフト13、支持部材12を共通部品として、第1位置P1で必要なアシストトルクと第2位置P2で必要なアシストトルクとを同時に満たすトーションスプリング16の取付位置を選択できる。
【0048】
(実施例1の効果)
実施例1では、トーションスプリング16は、弾性材料の線材が巻かれて取付部材に収容されたコイル部16aに連続し、支持部材12のヒンジシャフト13から離れた位置に当接してコイル部16aにねじり力を作用させる他端部16bを有する。このため、圧縮コイルばねを使用した場合に必要であったスライダが省略され、部品点数を削減してコストダウンを実現できる開閉装置を提供することができる。また、補助付勢力を発生するコイル部16aから離れた位置で他端部16bが支持部材12に接触するため、支持部材12の回動を高速で繰り返してもトーションスプリング16全体の姿勢が不安定にならず、安定した再現性の高い補助付勢力を出力可能である。
【0049】
実施例1では、トーションスプリング16は、補助付勢力を低下させる方向の支持部材12の回動に伴って、支持部材12に対する他端部16bの接触位置が支持部材12の回動端側からヒンジシャフト13側へ移動する。このため、支持部材12の第1位置P1から第2位置P2までの回動範囲におけるアシストトルク/開成角度の関係のバリエーションが増え、開閉装置10に必要とされる多種類のアシストトルク/開成角度の関係に対してきめ細かく対応できる。
【0050】
実施例1では、トーションスプリング16は、ヒンジシャフト13に直交する面に対して対称に形成された一対のコイル部16a,16aを有し、コイル部16a,16aの両外側の線材をU字型に連続させて他端部16bを形成している。このため、他端部16bが両持ち支持され、接線方向に長い他端部16bであっても姿勢を安定させて均一な圧力分布で支持部材12に当接させることができる。したがって、圧力がかかった他端部16bの姿勢を安定させるための別部材を設ける必要が無い。
【0051】
実施例1では、取付部材11は、トーションスプリング16のコイル部16aを外側から保持して補助付勢力の反力に抗する保持部11dを有する。このため、コイル部16a,16aを支持して姿勢を安定させる別部材を設けなくても、トーションスプリング16を安定して作動させて、安定した再現性の高い補助付勢力を出力させることができる。
【0052】
実施例1では、取付部材11は、保持部11dによるコイル部16aの保持位置を異ならせた複数の選択肢の中から1つを選択されている。このため、支持部材12、ヒンジシャフト13、トーションスプリング16等の部品を共通に使用して多様なアシスト出力特性の開閉装置10を提供することができる。
【0053】
実施例1では、一対のコイル部16a,16aの両内側の線材を下方へ引き出した一端部16cを取付部材11の開口部11gに挿入することによりトーションスプリング16が回転止めされている。このため、コイル部16a,16aの回転止め部材を取付部材11に取付ける必要が無い。
【実施例2】
【0054】
図9は実施例2の開閉装置の構成の説明図である。図4に示すように、実施例1では、トーションスプリング16の他端部16bが当接して移動する支持部材12の当接面12gは平坦である。これに対して、図9に示すように、実施例2では、支持部材12の他端部16bが移動する面に、ヒンジシャフト13に垂直な断面形状をトーションスプリング16側へ突出させたカム面12kを有する。実施例2では、カム面12k以外の構成は実施例1と同一であるため、図9中、実施例1と共通する構成には、図4と共通の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0055】
カム面12kは、他端部16bを案内して、第1位置P1から第2位置P2までの支持部材12の回動角度とトーションスプリング16の捩じり弾性変形量との関係を変化させる。支持部材12のカム面12kが形成された部分の両側面の距離は、図5に示すトーションスプリング16の他端部16bを支持する片持梁部16pの内側の対向距離よりも小さい。このため、トーションスプリング16の他端部16bは、図9に一転鎖線で示すように、カム面12kの凸部に邪魔されることなく、支持部材12の回動に伴ってカム面12k上を連続的に摺擦して移動する。
【0056】
実施例2によれば、支持部材12にカム面12kを有するため、第1位置P1から第2位置P2まで支持部材12が回動する間の補助付勢力の変化パターンが、実施例1の平坦な当接面(12g:図4)とは異なってくる。すなわち、断面形状がトーションスプリング16側へ突出した部分では実施例1よりもトーションスプリング16の捩じり弾性変形量が大きくなる。このため、図8に示すように、ケースC4の曲線を第1位置P1と第2位置P2との間で部分的に上方へ持ち上げたケースC5のような補助付勢力のパターンを得ることができる。したがって、第1位置P1から第2位置P2までの回動範囲における必要な補助付勢力のパターンに応じたカム曲線をカム面12kに設定することで、開閉装置10に必要とされる多種類のアシストトルク/開成角度の関係にきめ細かく対応できる。
【実施例3】
【0057】
図6に示すように、実施例1では、取付部材11を変更して、個別の開閉装置10ごとに補助付勢力を変更可能である。しかし、これに加えて、開閉装置10は、同じ取付部材を使用している状態で補助付勢力を微調整できることが望ましい。
【0058】
ところで、従来の圧縮コイルばねを用いた開閉装置における一般的な補助調整力の調整機構は、取付部材の底と圧縮コイルばねとの間に台座を設け、取付ケースの底の外側からネジを回して台座の高さを変更可能にしたものである。台座の高さを変更することによりスライダを押し上げる圧縮コイルばねの付勢力を加減する。しかし、台座は圧縮コイルばねの直径より大きなものとなり、これを取付ケースの底から離れた位置で水平に保持するためには太いネジが必要となる。そして、これらの追加される大型部品は開閉装置の小型化及びコストダウンの妨げとなる。
そこで、実施例3では、図10に示すように、実施例1におけるトーションスプリング16の一端部16cの拘束位置を前後に移動させることにより、トーションスプリング16の補助付勢力を調整可能にしている。この調整機構以外は実施例1と同一であるため、図10中、実施例1と共通の部材には図4と共通の符号を付して重複する説明を省略する。
【0059】
図10は実施例3の開閉装置の構成の説明図である。図10に示すように、第1腕部ホルダ18は、トーションスプリング16の一端部16cを保持している。第1腕部ホルダ18は、取付部材11の雌ネジ11nに挿入された調整ネジ19を回転させることで、調整ネジ19の回転軸線方向に第1腕部ホルダ18を移動させて位置決めることが可能である。
【0060】
実施例3では、一端部16cは、補助付勢力を調整するために、取付部材11に対して位置調整可能に設けられた第1腕部ホルダ18に保持されている。このため、調整ネジ19を取付部材11の外側から手動操作して回転させることで、第1位置P1から第2位置P2までの回動範囲における必要な補助付勢力のパターン全体のレベルを上下に調整可能である。
【実施例4】
【0061】
図11は実施例4の開閉装置の構成の説明図である。図12は実施例4の開閉装置の分解斜視図である。図13は実施例4の開閉装置の動作の説明図である。図13中、(a)は第2位置、(b)は中間位置、(c)は第1位置である。図4に示すように、実施例1では、第1位置P1においてもトーションスプリング16が大きな補助付勢力を支持部材12に作用させている。このため、図1の(a)に示す原稿圧着板3の閉成状態において、原稿圧着板3が原稿を画像読取装置2に押圧する力が不足する場合がある。そこで、実施例4では、原稿圧着板3を閉じる過程でその開成角度が所定角度以下になると開閉装置10が出力する補助付勢力を低下させて、原稿圧着板3が原稿を画像読取装置2に押圧する力を増大させるようにした。実施例4では、支持部材12に形成されたカム面12k及びトーションスプリング16の回転止部以外の構成は実施例1と同一であるため、図11図13中、実施例1と共通する構成には、図4と共通の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0062】
(回転止部)
図11に示すように、実施例4では、取付部材11の底部11fには、下方へ向かう途中で外側に折れ曲がった開口部11gが形成されている。開口部11gの折れ曲がった角部11hに対してトーションスプリング16の一端部16cが係合することにより、トーションスプリング16が取付部材11に対して実施例1よりも強固に回転止めされている。このため、実施例3では、図4に示すピン14を設けていない。一端部16cは、コイル部16aを形成する線材の端部を浅いU字型(鈎状)に折り返して形成されている。トーションスプリング16は、捩じり弾性変形させた状態で、取付部材11の保持部11dと支持部材12の頂上部12pとの間に保持されている。
【0063】
(開閉装置の組立構造)
図11に示すように、支持部材12は、支持部材12におけるトーションスプリング16の他端部16bが当接して移動する面に、機器本体(2)に対する蓋体(3)の開成角度が所定角度以下の範囲でトーションスプリング16の捩じれ弾性変形量を低下させるように形成されたカム面12kを有する。図12に示すように、凸部12eの厚みは、トーションスプリング16の片持梁部16p,16pの間隔よりも大きく、後退部12fの厚みは、トーションスプリング16の片持梁部16p,16pの間隔よりも小さい。このため、支持部材12の閉成方向の回動に伴ってトーションスプリング16の他端部16bの当接位置がカム面12kの頂上12pを越えると、後退部12fが片持梁部16p,16pの間隔に落ち込んで、トーションスプリング16の捩じり弾性変形量が低下する。これにより、トーションスプリング16が支持部材12に作用する補助付勢力が低下する。
【0064】
図13の(a)に示すように、第2位置P2では、トーションスプリング16が支持部材12を押し上げて、支持部材12をヒンジシャフト13の周りで図中の左回り方向に付勢している。そして、支持部材12の突当部12jが取付部材11の突当部11jに突き当った位置で、支持部材12が停止している。
【0065】
図13の(b)に示すように、取付部材12が第2位置P2からトーションスプリング16の他端部16bがカム面12kの頂上12pに達するまで、カム面12kは、トーションスプリング16の他端部16bを押し下げてトーションスプリング16の捩じり弾性変形量を増大させる。これに伴ってトーションスプリング16が取付部材12に作用する補助付勢力は増加する。その後、トーションスプリング16がカム面12kの頂上12pに達すると、カム面12kに倣ってトーションスプリング16の他端部16bが持ち上がり、トーションスプリング16の捩じり弾性変形量が低下する。これに伴ってトーションスプリング16が取付部材12に作用する補助付勢力が低下し、図1の(b)に示すように、取付部材12に取付けられた原稿圧着板3の見かけの重量が増加する。
【0066】
図13の(c)に示すように、支持部材12が第1位置P1に達すると、図1の(a)に示すように、取付部材12に取付けられた原稿圧着板3が大きな力で原稿を画像読取装置2に押圧している。このため、原稿圧着板3を軽く開閉できる一方で、原稿を画像読取装置2に十分な力で押圧して画像読取り精度を高めることができる。
【0067】
(その他の実施の形態)
本発明の開閉装置は、上述した実施例で説明した具体的な構成及び用途には限定されない。上述した実施例の構成の一部又は全部を等価な構成に置き換えた別の形態でも実施可能である。実施例1では、複写機1の原稿圧着板3を画像読取装置2に取付ける開閉装置10について説明した。しかし、開閉装置10は、複写機、印刷機、複合機、スキャナ等の各種の情報端末機器、又は便器や各種生産設備でも使用可能である。
【0068】
実施例1では、取付部材11を機器本体側に取付け、支持部材を蓋体に取付ける実施の形態を説明した。しかし、機器本体側と蓋体側との関係を略にして、開閉装置10は、取付部材11を蓋体に取付け、支持部材を機器本体側に取付ける実施の形態でも実施可能である。
【0069】
実施例1では、一対のコイル部16a,16aから延長した片持梁部16p,16pによって他端部16bを両持ち支持させた。しかし、他端部16bは、コイル部16a,16aの両内側から延長した片持梁部に支持させてもよく、1個のコイル部の一端側から接線方向に延長された片持梁部の先端を円弧上に曲げて形成してもよい。他端部16bは、ローラやカラーを用いて支持部材12に転がり接触させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は以上のように構成したので、とくにトーションスプリングを用いて補助付勢力(トルク)を発生させる形式の開閉装置、並びに、このような開閉装置を装備した各種の情報端末機器、例えば、複写機、印刷機、複合機、スキャナ等、又は便器や各種生産設備として好適に用いられる。
【符号の説明】
【0071】
1 複写機(情報端末機器)
2 画像読取装置(機器本体側)
3 原稿圧着板(蓋体側)
5 ガラス板
6 操作部
10 開閉装置
11 取付部材
11a 軸受部
11b 軸孔
11d 保持部
11f 底部
11g 開口部
11h 角部
11j 突当部
12 支持部材
12a 取付部
12b 軸孔
12c 取付穴
12e 凸部
12f 後退部
12g 当接面
12j 突当部
12k カム面
12p 頂上
13 ヒンジシャフト
13a 中央部
13b 端部
14 ピン(挟込部材)
16 トーションスプリング
16a コイル部
16b 他端部
16c 一端部
P1 第1位置
P2 第2位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13