(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】レンチ式開閉バルブ装置用の開閉表示機器、レンチ式開閉バルブ装置およびバルブ付きボンベ容器
(51)【国際特許分類】
F16K 37/00 20060101AFI20230414BHJP
B65D 83/44 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
F16K37/00 C
B65D83/44
(21)【出願番号】P 2018175829
(22)【出願日】2018-09-20
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】591038602
【氏名又は名称】株式会社ネリキ
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】竹田 勝
(72)【発明者】
【氏名】宮田 和幸
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-246964(JP,A)
【文献】実開平07-038858(JP,U)
【文献】特開2011-133043(JP,A)
【文献】特開平08-178121(JP,A)
【文献】実開昭63-045278(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 37/00
B65D 83/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ装置の開閉弁における弁棒がレンチにて外部操作されるレンチ式開閉バルブ装置用の開閉表示機器であって、
前記バルブ装置のバルブ本体に取り付けられる台座と、
該台座の上部に設けられた複数の自転歯車と、
前記台座の上部外周に設けられ、前記自転歯車に噛合する回転体側歯車を有する回転体と、
前記バルブ装置の開閉弁の開弁状態と閉弁状態との一方を表示する表示部を有するとともに、前記弁棒の回転中心を中心として回転する表示体側歯車を有する回転表示体とが備えられ、
前記表示体側歯車は前記回転体側歯車の歯数と異なる歯数で構成され、
前記自転歯車と噛合する前記回転体側歯車と、前記自転歯車と噛合する前記表示体側歯車と、前記自転歯車とで、前記回転体に対して前記回転表示体を差動回転させる差動回転機構が構成され、
前記回転体と一体回転し、かつ前記表示体の所要部分を外部から目視可能に開口する開口部を有すると共に、前記回転表示体に被せられ、前記所要部分以外の部分の外部からの視認を規制する視認規制体と、
前記視認規制体の外側全体を回転自在に覆うとともに、少なくとも当該視認規制体の前記開口部を外側から視認可能に透過する透過カバー体とが設けられ、
前記視認規制体の中央部には、前記弁棒と嵌合し、当該弁棒が上方に貫通可能な孔部が開口形成され
、
前記台座に、前記バルブ本体に対して係止して、前記台座を前記バルブ本体に固定する係止部が設けられた
レンチ式開閉バルブ装置用の開閉表示機器。
【請求項2】
前記表示部は、
外周側が低く、内周側が高くなるテーパ状に形成された
請求項1に記載のレンチ式開閉バルブ装置用の開閉表示機器。
【請求項3】
前記表示部が、
前記レンチ式開閉バルブ装置が取付けられたボンベ容器におけるボンベキャップの上部開口より上方に突出する
請求項2に記載のレンチ式開閉バルブ装置用の開閉表示機器。
【請求項4】
バルブ本体内部に開閉弁が配置されるとともに、前記開閉弁の開閉を外部操作する弁棒が備えられ、前記弁棒がレンチにて外部操作されるレンチ式開閉バルブ装置であって、
前記開閉弁の開弁状態と閉弁状態との一方を表示する開閉表示機器が備えられ、
該開閉表示機器は、
前記バルブ装置のバルブ本体に取り付けられる台座と、
該台座の上部に設けられた複数の自転歯車と、
前記台座の上部外周に設けられ、前記自転歯車に噛合する回転体側歯車を有する回転体と、
前記バルブ装置の開閉弁の開弁状態と閉弁状態との一方を表示する表示部を有するとともに、前記弁棒の回転中心を中心として回転する表示体側歯車を有する回転表示体とが備えられ、
前記表示体側歯車は前記回転体側歯車の歯数と異なる歯数で構成され、
前記自転歯車と噛合する前記回転体側歯車と、前記自転歯車と噛合する前記表示体側歯車と、前記自転歯車とで、前記回転体に対して前記回転表示体を差動回転させる差動回転機構が構成され、
前記回転体と一体回転し、かつ前記表示体の所要部分を外部から目視可能に開口する開口部を有すると共に、前記回転表示体に被せられ、前記所要部分以外の部分の外部からの視認を規制する視認規制体と、
前記視認規制体の外側全体を回転自在に覆うとともに、少なくとも当該視認規制体の前記開口部を外側から視認可能に透過する透過カバー体とが設けられ、
前記視認規制体の中央部には、前記弁棒と嵌合し、当該弁棒が上方に貫通可能な孔部が開口形成され
、
前記台座に、前記バルブ本体に対して係止して、前記台座を前記バルブ本体に固定する係止部が設けられた
レンチ式開閉バルブ装置。
【請求項5】
請求項
4に記載のレンチ式開閉バルブ装置がボンベ容器の上端部に取付けられ、前記ボンベ容器は、上端が開口するボンベキャップを上部に有し、
少なくとも前記透過カバー体及び前記視認規制体は、前記ボンベキャップの前記上部開口より小径に形成された
バルブ付きボンベ容器。
【請求項6】
前記表示部は、
外周側が低く、内周側が高くなるテーパ状に形成された
請求項
5に記載のバルブ付きボンベ容器。
【請求項7】
前記回転表示体における前記表示部の外周端が、前記ボンベキャップの前記上部開口より上方に突出する
請求項
6に記載のバルブ付きボンベ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ガスボンベのようなガス貯蔵容器(ボンベ容器)やガス配管に取付けられた開閉バルブ装置の弁棒がレンチにて外部操作されるレンチ式開閉バルブ装置用の開閉表示機器、レンチ式開閉バルブ装置およびバルブ付きボンベ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、開閉バルブ装置としては、当該バルブ装置の弁棒を回転操作するハンドルを、弁棒に一体的に組付けて、ハンドルを回転操作することで開閉弁を上下移動させて開閉し、気体や液体等の流動体の出し入れを規制するハンドル式開閉バルブ装置と、前記ハンドルに代えて開閉バルブ装置とは別体のレンチにより弁棒を回転操作することで、開閉弁を上下移動させて開閉し、流動体の出し入れを規制するレンチ式開閉バルブ装置との大別して2種類の開閉バルブ装置がある。
【0003】
前記レンチ式開閉バルブ装置には、その開閉弁の開弁状態や閉弁状態を表示する開閉表示機構が存在しておらず、外方から目視しても、開閉弁の開閉状態が確認できなかった。
このため、開閉弁が閉弁状態であるにもかかわらず、レンチにより弁棒を過度に締め付ける問題点や、開閉弁が不用意に開弁されるという問題点があった。
一方で、特許文献1に開示されているように、ハンドル式開閉バルブ装置には、開閉弁の開閉状態を表示する機構が備えられたものがある。
【0004】
この開閉表示機構をハンドル式開閉バルブ装置に取付けたものをボンベ容器に採用した場合、次のような問題点があった。
【0005】
なお、バルブ部装置が取付けられたボンベ容器は重量物であるため、当該ボンベ容器を移動させる際には、ボンベ容器を持ち上げることなく、ボンベ容器を斜めにし、容器底部を地面または床面に当接させ、ボンベ容器の上部に設けたボンベキャップを作業者が一方の手で支持し、他方の手でボンベ容器を回転させることで、当該ボンベ容器を移動させることがある。
【0006】
例えば、ボンベ容器に取付けたレンチ式開閉バルブ装置に、ハンドル式開閉バルブ装置に備えられた開閉弁の開閉状態を表示する機構を装着したボンベ容器を上述のように回転させて移動させると、開閉弁の開閉状態を表示する機構は弁棒に嵌合している開係上、不用意に開閉弁が開弁されたり、または閉弁状態にある開閉弁が過度に締め付けられてレンチ式開閉バルブ装置が破損するという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、レンチ式開閉バルブ装置の開閉弁の開閉状態を外方から容易に視認できるレンチ式開閉バルブ装置用の開閉表示機器、レンチ式開閉バルブ装置およびバルブ付きボンベ容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明によるレンチ式開閉バルブ装置用の開閉表示機器は、バルブ装置の開閉弁における弁棒がレンチにて外部操作されるレンチ式開閉バルブ装置用の開閉表示機器であって、前記バルブ装置のバルブ本体に取り付けられる台座と、該台座の上部に設けられた複数の自転歯車と、前記台座の上部外周に設けられ、前記自転歯車に噛合する回転体側歯車を有する回転体と、前記バルブ装置の開閉弁の開弁状態と閉弁状態との一方を表示する表示部を有するとともに、前記弁棒の回転中心を中心として回転する表示体側歯車を有する回転表示体とが備えられ、前記表示体側歯車は前記回転体側歯車の歯数と異なる歯数で構成され、前記自転歯車と噛合する前記回転体側歯車と、前記自転歯車と噛合する前記表示体側歯車と、前記自転歯車とで、前記回転体に対して前記回転表示体を差動回転させる差動回転機構が構成され、前記回転体と一体回転し、かつ前記回転表示体の所要部分を外部から目視可能に開口する開口部を有すると共に、前記回転表示体に被せられ、前記所要部分以外の部分の外部からの視認を規制する視認規制体と、前記視認規制体の外側全体を回転自在に覆うとともに、少なくとも当該視認規制体の前記開口部を外側から視認可能に透過する透過カバー体とが設けられ、前記視認規制体の中央部には、前記弁棒と嵌合し、当該弁棒が上方に貫通可能な孔部が開口形成され、前記台座に、前記バルブ本体に対して係止して、前記台座を前記バルブ本体に固定する係止部が設けられたものである。
【0010】
この発明により、視認規制体の外周全体を回転自在に覆う透過カバー体を設けたので、バルブ装置の開閉弁の開弁、閉弁状態が外方から視認できると共に、前記弁棒をレンチにて外部操作する際、前記開閉弁の開弁、閉弁状態の目視確認することができる。したがって、不用意に開閉弁が開弁されたり、開閉弁が過度に締め付けられることに起因してレンチ式開閉バルブ装置が破損することを抑制することができる。
【0011】
この発明の態様として、前記表示部は、外周側が低く、内周側が高くなるテーパ状に形成されたものである。
この発明により、表示部がテーパ状に形成されているので、透過カバー体および視認規制体の開口部を介して回転表示体の表示部を目視確認する際、真上のみならず側方や斜め上方からも確認することができ、視認性の向上を図ることができる。
【0012】
また、前記台座に、前記バルブ本体に対して係止して、前記台座を前記バルブ本体に固定する係止部が設けられているため、台座の係止部がバルブ本体に係止されるので、当該台座の抜け止めを図ることができる。したがって、開閉表示機器を容易且つ確実にバルブ本体に固定することができる。
【0013】
この発明の態様として、前記表示部が、前記レンチ式開閉バルブ装置が取付けられたボンベ容器におけるボンベキャップの上部開口より上方に突出するものである。
この発明により、前記表示部がボンベキャップの上部開口により上方に突出しており、当該表示部は外周側が低く、内周側が高くなるテーパ状であるから、表示部による表示内容(開閉弁の開弁、閉弁状態)を、上方および側方の双方から目視確認することができる。
【0014】
また、この発明によるレンチ式開閉バルブ装置は、バルブ本体内部に開閉弁が配置されるとともに、前記開閉弁の開閉を外部操作する弁棒が備えられ、前記弁棒がレンチにて外部操作されるレンチ式開閉バルブ装置であって、前記開閉弁の開弁状態と閉弁状態との一方を表示する開閉表示機器が備えられ、該開閉表示機器は、前記バルブ装置のバルブ本体に取り付けられる台座と、該台座の上部に設けられた複数の自転歯車と、前記台座の上部外周に設けられ、前記自転歯車に噛合する回転体側歯車を有する回転体と、前記バルブ装置の開閉弁の開弁状態と閉弁状態との一方を表示する表示部を有するとともに、前記弁棒の回転中心を中心として回転する表示体側歯車を有する回転表示体とが備えられ、前記表示体側歯車は前記回転体側歯車の歯数と異なる歯数で構成され、前記自転歯車と噛合する前記回転体側歯車と、前記自転歯車と噛合する前記表示体側歯車と、前記自転歯車とで、前記回転体に対して前記回転表示体を差動回転させる差動回転機構が構成され、前記回転体と一体回転し、かつ前記回転表示体の所要部分を外部から目視可能に開口する開口部を有すると共に、前記回転表示体に被せられ、前記所要部分以外の部分の外部からの視認を規制する視認規制体と、前記視認規制体の外側全体を回転自在に覆うとともに、少なくとも当該視認規制体の前記開口部を外側から視認可能に透過する透過カバー体とが設けられ、前記視認規制体の中央部には、前記弁棒と嵌合し、当該弁棒が上方に貫通可能な孔部が開口形成され、
前記台座に、前記バルブ本体に対して係止して、前記台座を前記バルブ本体に固定する係止部が設けられたものである。
【0015】
この発明により、レンチ式開閉バルブ装置に前記開閉表示機器が設けられたものであって、視認規制体の外周全体を回転自在に覆う透過カバー体を設けることで、バルブ装置の開閉弁の開弁、閉弁状態が外方から視認できると共に、前記弁棒をレンチにて外部操作する際、前記開閉弁の開弁、閉弁状態の目視確認することができる。したがって、不用意に開閉弁が開弁されることを抑制することができ、また、開閉弁が過度に締め付けられることに起因してレンチ式開閉バルブ装置が破損することを抑制することができる。
【0016】
また、前記台座に、前記バルブ本体に対して係止して、前記台座を前記バルブ本体に固定する係止部が設けられているため、台座の係止部がバルブ本体に係止されるので、当該台座の抜け止めを図ることができる。したがって、開閉表示機器を容易且つ確実にバルブ本体に固定することができる。
【0017】
さらに、この発明によるバルブ付きボンベ容器は、前記レンチ式開閉バルブ装置がボンベ容器の上端部に取付けられ、前記ボンベ容器は、上端が開口するボンベキャップを上部に有し、少なくとも前記透過カバー体及び前記視認規制体は、前記ボンベキャップの前記上部開口より小径に形成されたものである。
【0018】
この発明により、ボンベキャップの上部開口よりも透過カバー体および視認規制体を小径と成したので、これら透過カバー体、視認規制体をボンベキャップ内に確実に格納することができ、ボンベ容器におけるバルブ装置の開閉弁の開弁、閉弁状態を外方から容易に視認することができる。
【0019】
しかも、上端部にバルブ装置および開閉表示機器が取付けられた重量物であるボンベ容器を、斜めにし、容器底部を地面または床面に当接させ、作業者が一方の手で開閉表示機器の外周を支持し、他方の手でボンベ容器を回転させて、当該ボンベ容器を移動させる際、開閉表示機器の透過カバー体が回転自在に構成されているので、不用意に開閉弁が開弁されたり、開閉弁が過度に締め付けられることに起因して、レンチ式開閉バルブ装置が破損することを抑制することができる。
【0020】
この発明の態様として、前記表示部は、外周側が低く、内周側が高くなるテーパ状に形成されたものである。
この発明により、表示部がテーパ状に形成されているので、ボンベ容器におけるバルブ装置の開閉弁の開弁、閉弁状態を外方から視認する際、真上のみならず、斜め上方からも目視確認することができ、視認性の向上を図ることができる。
【0021】
この発明の態様として、前記回転表示体における前記表示部の外周端が、前記ボンベキャップの前記上部開口より上方に突出するものである。
この発明により、前記表示部がボンベキャップの上部開口より上方に突出しており、当該表示部は外周側が低く、内周側が高くなるテーパ状であるから、表示部による表示内容(開閉弁の開弁、閉弁状態)を、上方および側方の双方から目視確認することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、レンチ式開閉バルブ装置の開閉弁の開閉状態を外方から容易に視認でき、弁棒をレンチにて外部操作する際、不用意に開閉弁が開弁されたり、開閉弁が過度に締め付けられることによりレンチ式開閉バルブ装置が破損することを抑制することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明のレンチ式開閉バルブ装置およびその開閉表示機器を備えたバルブ付きボンベ容器を示す説明図
【
図3】レンチ式開閉バルブ装置用の開閉表示機器を示す分解図
【
図5】透過カバー体を取外した状態で示す視認規制体および回転表示体の平面図
【
図6】バルブ付きボンベ容器の他の実施例を示す要部拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
バルブ装置の開閉弁の開閉状態を外方から容易に視認でき、弁棒をレンチにて外部操作する際、不用意に開閉弁が開弁されたり、開閉弁が過度に締め付けられることによりレンチ式開閉バルブ装置が破損することを抑制するという目的を、バルブ装置の開閉弁における弁棒がレンチにて外部操作されるレンチ式開閉バルブ装置用の開閉表示機器であって、前記バルブ装置のバルブ本体に取り付けられる台座と、該台座の上部に設けられた複数の自転歯車と、前記台座の上部外周に設けられ、前記自転歯車に噛合する回転体側歯車を有する回転体と、前記バルブ装置の開閉弁の開弁状態と閉弁状態との一方を表示する表示部を有するとともに、前記弁棒の回転中心を中心として回転する表示体側歯車を有する回転表示体とが備えられ、前記表示体側歯車は前記回転体側歯車の歯数と異なる歯数で構成され、前記自転歯車と噛合する前記回転体側歯車と、前記自転歯車と噛合する前記表示体側歯車と、前記自転歯車とで、前記回転体に対して前記回転表示体を差動回転させる差動回転機構が構成され、前記回転体と一体回転し、かつ前記回転表示体の所要部分を外部から目視可能に開口する開口部を有すると共に、前記回転表示体に被せられ、前記所要部分以外の部分の外部からの視認を規制する視認規制体と、前記視認規制体の外側全体を回転自在に覆うとともに、少なくとも当該視認規制体の前記開口部を外側から視認可能に透過する透過カバー体とが設けられ、前記視認規制体の中央部には、前記弁棒と嵌合し、当該弁棒が上方に貫通可能な孔部が開口形成されるという構成にて実現した。
【0025】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面はレンチ式開閉バルブ装置用の開閉表示機器、レンチ式開閉バルブ装置およびバルブ付きボンベ容器を示し、
図1は本発明のレンチ式開閉バルブ装置およびその開閉表示機器を備えたバルブ付きボンベ容器を示す説明図、
図2は
図1の要部拡大断面図、
図3はレンチ式開閉バルブ装置用の開閉表示機器を示す分解図、
図4は自転歯車を備えた台座の底面図、
図5は透過カバー体を取外した状態で示す視認規制体および回転表示体の平面図である。なお、
図1は開閉表示機器を備えたバルブ付きボンベ容器の上部のみを図示している。
【0026】
図1に示すように、ボンベ容器1の上端にはネック部2を一体形成し、該ネック部2の外周に形成した雄ネジ部3には、上端が開口したボンベキャップ4を取付けている。
前記ネック部2の中央には、後述する弁棒(スピンドル11参照)がレンチ5(詳しくは、角筒形状の孔部を有するソケットレンチ)にて外部操作されるレンチ式開閉バルブ装置6が取付けられている。この実施例では、開閉バルブ装置6として容器バルブ装置(以下、単にバルブ装置6と略記する)を採用している。
【0027】
前記バルブ装置6の上部には、その全体形状をボンベキャップ4における上端開口4aよりも小径に成した開閉表示機器7が設けられている。
なお、バルブ装置6を容器の開閉に代えて、ガス配管等の流体配管に採用する場合には、配管バルブ装置とすることができる。
【0028】
前記バルブ装置6は、
図2に拡大断面図で示すように、バルブハウジング8と、該バルブハウジング8の上端孔部8a(詳しくは、ネジ孔)に螺合固定したグランドナット9と、から成るバルブ本体10を備えている。
【0029】
前記グランドナット9の軸芯部およびバルブハウジング8の中央部には上下方向に延びる弁棒としてのスピンドル11を装着するため、孔部9a,8bが上下方向に連通されており、これらの孔部9a,8b内にはスピンドル11が装着されている。また、スピンドル11の軸部11b外周とグランドナット9の孔部9aとの間には,0リング等のシール部材9dが介設されている。
【0030】
図2に示すように、前記スピンドル11は、上部角柱部11a、軸部11b、フランジ部11c、下部角柱部11d、下端軸部11eを、上部から下部にかけてこの順に一体形成したもので、スピンドル11における下部角柱部11dの外部には、スピンドル11の回転によりバルブハウジング8の孔部8b内を螺進上下動する中間伝導具12が設けられており、該中間伝導具12の下端部に凹設形成された嵌合凹部12aには、閉止部材13が嵌合されている。
該閉止部材13は平面視円形の弾性部材であり、閉弁状態(
図2に示す状態)で開口弁座8cが食い込み可能に構成している。
【0031】
また、バルブハウジング8内には、前記孔部8bに対して開口弁座8cを介して上下方向に延びる一次側流路としての入口流路8dが形成されると共に、孔部8bの下部から入口流路8dと直交するよう二次側流路としての出口流路8eが形成されており、さらに、入口流路8dの上下方向中途部には分岐路8fが形成されていて、分岐路8fの外端部には、ガスケット14を介して安全弁15が螺合固定されている。
【0032】
安全弁15は、銅合金製の破裂板(図示せず)と、押圧用プラグ16と、可溶栓17とによって構成される。
ここで、前記スピンドル11と、中間伝導具12と、閉止部材13とで、入口流路8dと出口流路8eとの間の開口弁座8cを閉塞または開放する開閉弁18が構成されている。すなわち、該開閉弁18はバルブ本体10内部に配置されると共に、開閉弁18の開閉を外部操作するスピンドル11が備えられ、該スピンドル11がレンチ5にて外部操作されるものである。
【0033】
図1に示すように、バルブハウジング8の下部には容器取付け部8gが一体形成されており、この容器取付け部8gがボンベ容器1のネック部2の中央に螺合固定され、容器取付け部8gを含んでバルブハウジング8内を上下方向に延びる入口流路8dがボンベ容器1内に連通されている。
【0034】
図2、
図3に示すように前記開閉表示機器7は、バルブ装置6のバルブ本体10に取り付けられる台座20と、台座20の上部に設けられた複数の自転歯車としてのピニオンギヤ30(遊星歯車機構のプラネタリギヤに相当する遊星歯車)と、台座20の上部外周に設けられる回転体40と、弁棒としてのスピンドル11の回転中心CLを中心として回転する回転表示体50と、回転表示体50に被せられて前記回転体40と一体回転する視認規制体60と、視認規制体60の外側全体を回転自在に覆う透過カバー体としての透明カバー体70と、を備えている。
【0035】
図3、
図4に示すように、前記台座20は、リング部21と、該リング部21の外周における上下方向中間部に形成された環状凹溝22と、環状凹溝22の上部に形成された環状切欠き23とを備えている。
前記環状凹溝22には透明カバー体70の下端が回転自在に装着され、前記環状切欠き23には前記回転体40が配置される。
【0036】
また、前記台座20の上部のランド部24には、ピニオン31とピニオンギヤ軸32とから成るピニオンギヤ30のピニオンギヤ軸32を配設する複数の孔部25が開口形成されている。
この実施例では、60度の等間隔を隔てて合計6つの孔部25が設けられており、そのうちの合計3つの孔部25にピニオンギヤ軸32の基部を配設し、ピニオンギヤ30が120度の等間隔を隔てて配置されるよう構成している。
【0037】
図3、
図4に示すように、台座20のランド部24の中央は前記グランドナット9の頭部9bが配設可能に開口されて、嵌合孔26が形成されており、ランド部24から嵌合孔26の内方へ突出する係止部としての係止爪27が複数設けられている。この実施例では、円周上30度の等間隔で合計12個の係止爪27が形成されているが、係止爪27の形成数量はこれに限定されるものではない。
【0038】
図2に示すように、グランドナット9は頭部9bと、該頭部9bよりも小径のネジ部9cとを有しており、前記台座20の係止爪27がグランドナット9の頭部9bの下面に係止して、台座20をバルブ本体10に固定し、台座20の抜け止めを図るように構成している。
【0039】
図2、
図3に示すように、前記回転体40は台座20の上部外周における環状切欠き23の上部に設けられ、ピニオンギヤ30に噛合する回転体側歯車としてのインターナルギヤ40Gを有している。このインターナルギヤ40Gは回転体40を構成するリング部41の内周に一体形成された内歯である。
前記リング部41の外周には視認規制体60の下端を取付ける環状切欠き42が設けられている。
【0040】
図2、
図3に示すように、前記回転表示体50は、リング部51と、このリング部51の内周に形成されてスピンドル11の回転中心CLを中心として回転する表示体側歯車としてのサンギヤ50Gと、リング部51の上部に一体形成され、バルブ装置6の開閉弁18の開弁状態と閉弁状態との一方を表示する表示部52と、を有している。
前記サンギヤ50Gはピニオンギヤ30と噛合しており、該サンギヤ50Gはインターナルギヤ40Gの歯数と異なる歯数で構成されている。
【0041】
自転歯車であるピニオンギヤ30と噛合するインターナルギヤ40Gと、ピニオンギヤ30と噛合するサンギヤ50Gと、ピニオンギヤ30との三者で、回転体40に対して回転表示体50を差動回転させる差動回転機構80が構成されている。
【0042】
図2から明らかなように、弁棒としてのスピンドル11の回転力は視認規制体60から当該視認規制体60と一体回転する回転体40に伝達され、回転体40のインターナルギヤ40Gからピニオンギヤ30に伝達された後に、該ピニオンギヤ30からサンギヤ50Gに伝達されて、回転表示体50をスピンドル11の回転方向と同方向に回転させる。
この実施例では、インターナルギヤ40Gの歯数に対してサンギヤ50Gの歯数を多く設定し、回転体40の回転に対して回転表示体50が遅く回転する、つまり減速回転する減速機構を構成している。
【0043】
図3に示すように、回転表示体50の上部に一体形成された表示部52は、その外周側が低く、内周側が高くなるテーパ状に形成されており、該表示部52の表面を円周上約45度に等分して、その区分された表面領域には、バルブ装置6の開閉弁18の開閉状態を『開』の文字で表示する開表示部52aと、閉弁状態を『閉』の文字で表示する閉表示部52bとに交互に区分している。
【0044】
スピンドル11の上部角柱部11aにレンチ5を装着して、該レンチ5にてスピンドル11を締め付け方向に螺入回転すると、中間伝導具12を下方に押付け、当該中間伝導具12の嵌合凹部12aに嵌合した閉止部材13により開口弁座8cが封止される。この状態を、閉弁状態(全閉状態)とする。
【0045】
逆に、レンチ5にてスピンドル11を緩み方向に回転させて、スピンドル11を螺出すると、当該スピンドル11を介して、中間伝導具12が上方に移動し、開口弁座8cが開放され、入口流路8dと出口流路8eとが、開口弁座8cを介して連通する。この状態を開弁状態とする。
前記回転表示体50は、バルブ装置6の開閉弁18の前記開弁状態と閉弁状態との一方を、その表示部52にて表示するものである。
【0046】
図2に示すように、前記視認規制体60はボンベキャップ4の上端開口4aよりも小径に形成されている。
また、
図3に示すように、該視認規制体60は、その中央に位置して、スピンドル11の上部角柱部11aと嵌合し、スピンドル11が上方に貫通可能な孔部61が開口形成された平面視円盤形状の中央部62と、中央部62の外周から立上がるリング部63と、
図3、
図5に示すように、リング部63の上端から径方向外方に延び、かつ、平面視で十文字状に形成された複数の上面部64と、該上面部64の外端から下方に延びて、その下端が回転体40の環状切欠き42に当接する複数の側面部65と、隣接する前記上面部64,64間に開口形成された開口部66とを備えている。
【0047】
前記リング部63の内周部は、
図3に示すように、上部が大径で、下部が小径に設定されており、大径部と小径部との間には、透明カバー体70を回転自在に配置する環状の段差部67が形成されている。
【0048】
また前記上面部64は、回転表示体50における表示部52のテーパ形状と対応して、外周側が低く、内周側が高くなるテーパ状に形成されている。平面視で十文字状に配列された上面部64の周方向の幅は、
図5に示すように、回転表示体50の表示部52の複数の開表示部52aまたは複数の閉表示部52bを同時に覆う幅に形成されており、同様に前記開口部66の周方向の幅は表示部52の複数の開表示部52aまたは複数の閉表示部52dを同時に外部から目視可能に開口する周方向の幅に設定されている。
【0049】
すなわち、前記視認規制体60は、回転体40と一体回転し、かつ、回転表示体50の表示部52における所要部分を外部から目視可能に開口する開口部66を有すると共に、回転表示体50に被せられ、所要部分以外の部分の外部からの視認を規制するものである。
つまり、
図5に示す上面部64がブラインド(blind、目隠し)機能を有するように構成している。
【0050】
図1~
図3に示すように、前記透明カバー体70はボンベキャップ4の上端開口4aよりも小径に形成されている。
また、該透明カバー体70は、スピンドル11の上部角柱部11aに装着するレンチ5の操作が容易となるよう当該レンチ5のソケット部外周よりも大径のリング部71と、このリング部71の上端から径方向外方に延びる環状の上面部72と、この上面部72の外周から下方に延びる環状の側面部73と、を透明部材にて一体形成したものである。
【0051】
前記側面部73の下端内周には、台座20の環状凹溝22に対して回転自在に装着される複数の内方突起74が一体形成されている。また、上面部72は回転表示体50の表示部52のテーパ形状、並びに、視認規制体60の上面部64のテーパ形状と対応すべく、外周側が低く、内周側が高くなるテーパ状に形成されている。
【0052】
該透明カバー体70は、リング部71下端を視認規制体60の段差部67上面に上載した状態で、当該リング部71の外周面を視認規制体60のリング部63に回転自在に配設すると共に、側面部73下端の複数の内方突起74を台座20の環状凹溝22に対して回転自在に装着し、内方突起74により透明カバー体70の抜け止めを図っている。
すなわち、前記透明カバー体70は、視認規制体60の外側全体を回転自在に覆うとともに、少なくとも当該視認規制体60の開口部66を外側から視認可能に透過するカバー体である。
【0053】
このように、透明カバー体70の全体が透明であるため、視認規制体60の開口部66を介して回転表示体50の表示部52が外部から視認可能となり、開閉弁18の開弁状態、閉弁状態、または、これら両状態の中間としての開閉度合いを外方から目視確認することができる。
【0054】
以上詳述したように、上記実施例のレンチ式開閉バルブ装置用の開閉表示機器は、バルブ装置6の開閉弁18における弁棒(スピンドル11参照)がレンチ5にて外部操作されるレンチ式開閉バルブ装置用の開閉表示機器7であって、前記バルブ装置6のバルブ本体10に取り付けられる台座20と、該台座20の上部に設けられた複数の自転歯車(ピニオンギヤ30参照)と、前記台座20の上部外周に設けられ、前記自転歯車(ピニオンギヤ30)に噛合する回転体側歯車(インターナルギヤ40G参照)を有する回転体40と、前記バルブ装置6の開閉弁18の開弁状態と閉弁状態との一方を表示する表示部52を有するとともに、前記弁棒(スピンドル11)の回転中心CLを中心として回転する表示体側歯車(サンギヤ50G参照)を有する回転表示体50とが備えられ、前記表示体側歯車(サンギヤ50G)は前記回転体側歯車(インターナルギヤ40G)の歯数と異なる歯数で構成され、前記自転歯車(ピニオンギヤ30)と噛合する前記回転体側歯車(インターナルギヤ40G)と、前記自転歯車(ピニオンギヤ30)と噛合する前記表示体側歯車(サンギヤ50G)と、前記自転歯車(ピニオンギヤ30)とで、前記回転体40に対して前記回転表示体50を差動回転させる差動回転機構80が構成され、前記回転体40と一体回転し、かつ前記回転表示体の所要部分を外部から目視可能に開口する開口部66を有すると共に、前記回転表示体50に被せられ、前記所要部分以外の部分の外部からの視認を規制する視認規制体60と、前記視認規制体60の外側全体を回転自在に覆うとともに、少なくとも当該視認規制体60の前記開口部66を外側から視認可能に透過する透過カバー体(透明カバー体70参照)とが設けられ、前記視認規制体60の中央部62には、前記弁棒(スピンドル11)と嵌合し、当該弁棒(スピンドル11)が上方に貫通可能な孔部61が開口形成されたものである(
図1~
図5参照)ため、視認規制体60の外周全体を回転自在に覆う透過カバー体(透明カバー体70)を設けたので、バルブ装置6の開閉弁18の開弁、閉弁状態が外方から視認できると共に、前記弁棒(スピンドル11)をレンチ5にて外部操作する際、前記開閉弁18の開弁、閉弁状態の目視確認することができる。したがって、不用意に開閉弁18が開弁されたり、開閉弁18が過度に締め付けられることに起因してバルブ装置6が破損することを抑制することができる。
【0055】
また、前記表示部52は、外周側が低く、内周側が高くなるテーパ状に形成されたものである(
図2、
図3参照)ため、表示部52がテーパ状に形成されているので、透過カバー体(透明カバー体70)および視認規制体60の開口部66を介して回転表示体50の表示部52を目視確認する際、真上のみならず側方や斜め上方からも確認することができ、視認性の向上を図ることができる。
【0056】
さらに、前記台座20に、前記バルブ本体10に対して係止して、前記台座20を前記バルブ本体10に固定する係止部(係止爪27参照)が設けられたものである(
図2、
図4参照)ため、台座20の係止部(係止爪27)がバルブ本体10に係止されるので、当該台座20の抜け止めを図ることができる。したがって、開閉表示機器を容易且つ確実にバルブ装置6に固定することができる。
【0057】
また、上記実施例のレンチ式開閉バルブ装置は、バルブ本体10内部に開閉弁18が配置されるとともに、前記開閉弁18の開閉を外部操作する弁棒(スピンドル11参照)が備えられ、前記弁棒(スピンドル11)がレンチ5にて外部操作されるレンチ式開閉バルブ装置(バルブ装置6参照)であって、前記開閉弁18の開弁状態と閉弁状態との一方を表示する開閉表示機器7が備えられ、該開閉表示機器7は、前記バルブ装置6のバルブ本体10に取り付けられる台座20と、該台座20の上部に設けられた複数の自転歯車(ピニオンギヤ30参照)と、前記台座20の上部外周に設けられ、前記自転歯車(ピニオンギヤ30)に噛合する回転体側歯車(インターナルギヤ40G参照)を有する回転体40と、前記バルブ装置6の開閉弁18の開弁状態と閉弁状態との一方を表示する表示部52を有するとともに、前記弁棒(スピンドル11)の回転中心CLを中心として回転する表示体側歯車(サンギヤ50G参照)を有する回転表示体50とが備えられ、前記表示体側歯車(サンギヤ50G)は前記回転体側歯車(インターナルギヤ40G)の歯数と異なる歯数で構成され、前記自転歯車(ピニオンギヤ30)と噛合する前記回転体側歯車(インターナルギヤ40G)と、前記自転歯車(ピニオンギヤ30)と噛合する前記表示体側歯車(サンギヤ50G)と、前記自転歯車(ピニオンギヤ30)とで、前記回転体40に対して前記回転表示体50を差動回転させる差動回転機構80が構成され、前記回転体40と一体回転し、かつ前記回転表示体50の所要部分を外部から目視可能に開口する開口部66を有すると共に、前記回転表示体50に被せられ、前記所要部分以外の部分の外部からの視認を規制する視認規制体60と、前記視認規制体60の外側全体を回転自在に覆うとともに、少なくとも当該視認規制体60の前記開口部66を外側から視認可能に透過する透過カバー体(透明カバー体70参照)とが設けられ、前記視認規制体60の中央部62には、前記弁棒(スピンドル11)と嵌合し、当該弁棒(スピンドル11)が上方に貫通可能な孔部61が開口形成されたものである(
図1~
図5参照)ため、レンチ式開閉バルブ装置(バルブ装置6参照)に前記開閉表示機器7が設けられたものであって、視認規制体60の外周全体を回転自在に覆う透過カバー体(透明カバー体70)を設けることで、バルブ装置6の開閉弁18の開弁、閉弁状態が外方から視認できると共に、前記弁棒(スピンドル11)をレンチ5にて外部操作する際、前記開閉弁18の開弁、閉弁状態の目視確認することができる。したがって、不用意に開閉弁18が開弁されることを抑制することができ、また、開閉弁18が過度に締め付けられることに起因してバルブ装置6が破損することを抑制することができる。
【0058】
さらに、上記実施例のバルブ付きボンベ容器1は、前記レンチ式開閉バルブ装置(バルブ装置6)がボンベ容器1の上端部に取付けられ、前記ボンベ容器1は、上端が開口するボンベキャップ4を上部に有し、少なくとも前記透過カバー体(透明カバー体70)および前記視認規制体60は、前記ボンベキャップ4の前記上部開口(上端開口4a参照)より小径に形成されたものである(
図1参照)ため、ボンベキャップ4の上部開口(上端開口4a)よりも透過カバー体(透明カバー体70)および視認規制体60を小径と成したので、これら透過カバー体(透明カバー体70)、視認規制体60をボンベキャップ4内に確実に格納することができ、ボンベ容器1におけるバルブ装置6の開閉弁18の開弁、閉弁状態を外方から容易に視認することができる。
【0059】
しかも、上端部にバルブ装置6および開閉表示機器7が取付けられた重量物であるボンベ容器1を、斜めにし、容器底部を地面または床面に当接させ、作業者が一方の手で開閉表示機器7の外周を支持し、他方の手でボンベ容器1を回転させて、当該ボンベ容器1を移動させる際、開閉表示機器7の透過カバー体(透明カバー体70)が回転自在に構成されているので、不用意に開閉弁18が開弁されたり、開閉弁18が過度に締め付けられることに起因して、バルブ装置6が破損することを抑制することができる。
【0060】
また、前記表示部52は、外周側が低く、内周側が高くなるテーパ状に形成されたものである(
図2参照)ため、表示部52がテーパ状に形成されているので、ボンベ容器1におけるバルブ装置6の開閉弁18の開弁、閉弁状態を外方から視認する際、真上のみならず、斜め上方からも目視確認することができ、視認性の向上を図ることができる。
【0061】
図6はバルブ付きボンベ容器の他の実施例を示す要部拡大断面図である。
図2で示した実施例においては、前記回転表示体50における表示部52の外周端が、レンチ式開閉バルブ装置が取付けられたボンベ容器1(
図1参照)のボンベキャップ4の上端開口4aの頂部よりも下方に凹入した構造を示したが、
図6に示すこの実施例では、前記表示部52に外周端が、バルブ装置6が取付けられたボンベ容器1のボンベキャップ4の上端開口4aの頂部よりも上方に突出するものである。
【0062】
このように、前記表示部52がボンベキャップ4の上部開口4aの頭部より上方に突出しており、当該表示部52は外周側が低く、内周側が高くなるテーパ状であるから、表示部52による表示内容(開閉弁の開弁、閉弁状態)を、上方および側方の双方から目視確認することができる。
【0063】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の開閉弁の弁棒は、実施例のスピンドル11に対応し、以下同様に、
自転歯車は、ピニオンギヤ30に対応し、
回転体側歯車は、インターナルギヤ40Gに対応し、
表示体側歯車は、サンギヤ50Gに対応し、
透過カバー体は、透明カバー体70に対応し、
台座に設けられた係止部は、係止爪27に対応し、
ボンベキャップの上部開口は、上端開口4aに対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0064】
例えば、前記実施例においては、バルブ装置6として容器バルブ装置を例示したが、このバルブ装置は配管バルブ装置に適用してもよい。
また、前記表示部52の開表示部52a、閉表示部52bにおける表示内容は『開』、『閉』の文字を例示したが、これら文字による表示に、『開』と『閉』とで異なる色を併用してもよい。さらには、『開』と『閉』の表示に代わり、『O』と『C』などの英語、ハングル文字など外国語表字やその略字、あるいは記号などを表示してもよい。
【0065】
さらに、表示部52による表示領域は、円周上90度の開角を隔てて、円周上に所定幅をもつそれぞれ4つの領域に設定したが、これは円周上180度の開角を隔てて、それぞれ2つの領域に設定してもよく、あるいは、円周上120度の開角を隔てて、それぞれ3つの領域に設定してもよい。
【0066】
さらにまた、差動回転機構80は、回転表示体50が相対的に遅く回転する減速機構と成したが、これは回転表示体50が相対的に速く回転する増速機構であってもよい。
また、開閉表示機器7はボンベキャップ4の内部に収容されるような態様であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上説明したように、本発明は、バルブ装置の開閉弁における弁棒がレンチにて外部操作されるレンチ式開閉バルブ装置用の開閉表示機器、レンチ式開閉バルブ装置およびバルブ付きボンベ容器について有用である。
【符号の説明】
【0068】
1…ボンベ容器
4…ボンベキャップ
4a…上端開口(上部開口)
5…レンチ
6…バルブ装置
7…開閉表示機器
10…バルブ本体
11…スピンドル(弁棒)
18…開閉弁
20…台座
27…係止爪(係止部)
30…ピニオンギヤ
40…回転体
40G…インターナルギヤ(回転体側歯車)
50…回転表示体
50G…サンギヤ(表示体側歯車)
52…表示部
60…視認規制体
61…孔部
62…中央部
66…開口部
70…透明カバー体(透過カバー体)
80…差動回転機構
CL…回転中心