IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 長春海譜潤斯科技有限公司の特許一覧

<>
  • 特許-複素環誘導体及びその有機電界発光素子 図1
  • 特許-複素環誘導体及びその有機電界発光素子 図2
  • 特許-複素環誘導体及びその有機電界発光素子 図3
  • 特許-複素環誘導体及びその有機電界発光素子 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】複素環誘導体及びその有機電界発光素子
(51)【国際特許分類】
   C07D 235/08 20060101AFI20230414BHJP
   H10K 50/00 20230101ALI20230414BHJP
   C07D 413/14 20060101ALI20230414BHJP
   C07D 519/00 20060101ALI20230414BHJP
   C07D 235/20 20060101ALI20230414BHJP
   H10K 50/15 20230101ALN20230414BHJP
【FI】
C07D235/08
H05B33/14 A
C07D413/14 CSP
C07D519/00
C07D235/20
H05B33/22 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021192199
(22)【出願日】2021-11-26
(65)【公開番号】P2022087059
(43)【公開日】2022-06-09
【審査請求日】2021-11-26
(31)【優先権主張番号】202011377608.8
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520150360
【氏名又は名称】長春海譜潤斯科技股フン有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】趙倩
(72)【発明者】
【氏名】王小会
(72)【発明者】
【氏名】朱鶫達
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-524699(JP,A)
【文献】特開2003-096072(JP,A)
【文献】国際公開第2019/059611(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第111253332(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 235/
H10K 50/
C07D 413/
C07D 519/
C07D 235/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで示される一般構造式を有し、
【化1】
記XはO、S、N(Ar)、C(Ar)、Si(Ar)から選ばれる一種であり、前記Arは、置換又は未置換のC1~C30のアルキル基、置換又は未置換のC3~C30のシクロアルキル基、置換又は未置換のC6~C60のアリール基、置換又は未置換のC3~C60のヘテロアリール基から選ばれる一種であり、
前記mは0、1、2、3又は4から選ばれ、前記Rは、同一又は異なって重水素、シアノ基、ニトロ基、置換又は未置換のC1~C30のアルキル基、置換又は未置換のC3~C30のシクロアルキル基、置換又は未置換のC2~C30のアルケニル基、置換又は未置換のC2~C30のアルキニル基、置換又は未置換のC6~C60のアリール基、置換又は未置換のC3~C60のヘテロアリール基から選ばれる一種であるか、或いは隣接する2つの基を接続して環を形成し、
前記L、Lは、独立して単結合、置換又は未置換のフェニレン基、置換又は未置換のビフェニレン基、置換又は未置換のナフチレン基、置換又は未置換のフルオレニレン基、置換又は未置換のベンゾフルオレニレン基、置換又は未置換のスピロビフルオレニレン基、置換又は未置換のベンゾスピロビフルオレニレン基、置換又は未置換のジベンゾフラニレン基、置換又は未置換のジベンゾチエニレン基から選ばれる一種であり、
前記L、Lは、独立して単結合又は下記に示す基から選ばれる一種であり、
【化2】
前記Tは同一又は異なってN又はC(R )から選ばれ、前記R は、水素、重水素、シアノ基、ニトロ基、置換又は未置換のC1~C30のアルキル基、置換又は未置換のC3~C30のシクロアルキル基、置換又は未置換のC6~C60のアリール基、置換又は未置換のC3~C60のヘテロアリール基から選ばれる一種であり
前記L は、同一又は異なって単結合、置換又は未置換のC6~C60のアリーレン基、置換又は未置換のC3~C60のヘテロアリーレン基から選ばれる一種であり、
前記Ar 、Ar は独立して下記に示す基から選ばれる一種であり、
【化3】
【化4】
【化5】
前記置換の置換基は、重水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、C1~C30のアルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C6~C60のアリール基、C3~C60のヘテロアリール基、C6~C60のアミン基から選ばれる一種を含む、ことを特徴とする複素環誘導体。
【請求項2】
前記L、Lは独立して単結合又は下記に示す基から選ばれる一種である、ことを特徴とする請求項1に記載の複素環誘導体。
【化6】
【化7】
【請求項3】
前記複素環誘導体は、下記に示す構造から選ばれる一種である、ことを特徴とする請求項1に記載の複素環誘導体。
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【請求項4】
陽極、有機層及び陰極を含み、前記有機層は陽極と陰極の間に位置し、前記有機層は、請求項1~のいずれか一項に記載の複素環誘導体を含有する電子輸送領域を含む、ことを特徴とする有機電界発光素子。
【請求項5】
前記有機層は、式IIで示されるトリフェニルアミン化合物を含有する正孔輸送領域をさらに含み、
【化21】
ただし、A、Bは独立して下記の置換基から選ばれる一種であり、
【化22】
ただし、前記Rは、同一又は異なって水素、重水素、置換又は未置換のC1~C15のアルキル基、置換又は未置換のC3~C15のシクロアルキル基、置換又は未置換のC2~C30のアルケニル基、置換又は未置換のC6~C30のアリール基、置換又は未置換のC3~C30のヘテロアリール基から選ばれる一種であるか、或いは隣接する2つの基を接続して環を形成し、
前記Rは、同一又は異なって水素、重水素、置換又は未置換のC1~C15のアルキル基、置換又は未置換のC3~C15のシクロアルキル基、置換又は未置換のC2~C30のアルケニル基、置換又は未置換のC6~C30のアリール基、置換又は未置換のC3~C30のヘテロアリール基から選ばれる一種であるか、或いは隣接する2つの基を接続して環を形成し、
前記Lは、単結合、置換又は未置換のC6~C30のアリーレン基、置換又は未置換のC3~C30のヘテロアリーレン基から選ばれる一種であり、
前記aは0、1、2、3又は4から選ばれ、前記bは0、1、2、3、4又は5から選ばれ、
前記Cは下記の基から選ばれる一種であり、
【化23】
ただし、前記R12は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、トルエン基、ビフェニル基、ナフチル基から選ばれる一種であり、
前記R13は、重水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、フェニル基、トルエン基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントラセン基、フェナントレン基、トリフェニレン基、アクリジン基、スピロビフルオレン基、9,9-ジメチルフルオレン基、9,9-ジフェニルフルオレン基、9-フェニルカルバゾール基、ピレン基、インドール基、ベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾフラン基から選ばれる一種であり、
前記Lは、単結合、フェニレン基、重水素化フェニレン基、重水素化ナフチレン基、トリレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、ターフェニレン基、ジベンゾフラニレン基、フルオレニレン基、ジベンゾチエニレン基から選ばれる一種であり、
前記cは0、1、2、3、4又は5から選ばれ、dは0、1、2、3又は4から選ばれ、eは0、1、2、3、4、5、6又は7から選ばれ、fは0、1、2、3、4、5、6、7、8又は9から選ばれる、ことを特徴とする請求項に記載の有機電界発光素子。
【請求項6】
前記Cは下記の基から選ばれる一種である、ことを特徴とする請求項に記載の有機電界発光素子。
【化24】
【化25】
【請求項7】
前記Rは、独立して水素、重水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アダマンチル基、ボルナン基、ノルボルニル基、フェニル基、トルエン基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントラセン基、フェナントレン基、トリフェニレン基、アクリジン基、スピロビフルオレン基、9,9-ジメチルフルオレン基、9,9-ジフェニルフルオレン基、9-フェニルカルバゾール基、ピレン基、インドール基、ベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾフラン基から選ばれる一種であるか、或いは隣接する2つの基を接続して環を形成し、
前記Lは、単結合、フェニレン基、トリレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、ターフェニレン基、ジベンゾフラニレン基、フルオレニレン基、ジベンゾチエニレン基から選ばれる一種であり、
前記Rは、同一又は異なって水素、重水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アダマンチル基、ボルナン基、ノルボルニル基、フェニル基、トルエン基、ビフェニル基、ターフェニル基から選ばれる一種であるか、或いは隣接する2つの基を接続して環を形成する、ことを特徴とする請求項に記載の有機電界発光素子。
【請求項8】
前記式IIで示されるトリフェニルアミン化合物は下記に示す構造から選ばれる一種である、ことを特徴とする請求項に記載の有機電界発光素子。
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機光電材料の技術分野に関し、具体的には、複素環誘導体及びその有機電界発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
OLED技術とは、有機材料が電界の作用下で発光する技術であり、駆動方法によって、OLEDをパッシブOLED(Passive Matrix,PMOLED)とアクティブOLED(Active Matrix,AMOLED)に分けられる。OLEDはCRTとLCDに続く新世代のフラットパネル表示技術であり、広い視野角、速い応答速度、低消費電力、ソリッドステート構造の優れた耐震性、広い動作温度範囲、軽量性、可撓性などの特徴を有し、「ファンタスティックのような表示技術」として知られている。
【0003】
有機電界発光素子の電界発光過程は、電気エネルギーを光エネルギーに変換するエネルギー転移過程であり、この変換過程では、有機電界発光素子を注入型発光ダイオードと見なす。有機電界発光素子の両端に電圧を印加し、この電圧で発生した電界により、素子の陽極から正孔輸送層に正孔を注入するとともに、素子の陰極から電子を電子輸送層に注入し、2種類のキャリアが発光層に移動して結合して励起子を形成し、励起子が発光遷移すると発光する。
【0004】
有機電界発光素子の構造は簡単な「サンドイッチ」構造であり、有機機能層を陽極と陰極の間に配置して基本的な素子を形成する。そのうち、有機機能層は、単層有機機能層、二層有機機能層、三層有機機能層、及び複数層有機機能層であってもよく、有機機能層のタイプは、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、発光層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層などであってもよい。
【0005】
以上から、有機電界発光素子は、性能の異なるさまざまな機能層からなる積層構造であり、それらの機能が異なり、互いに配合して有機全体を形成していることが分かる。そのうち、各機能層は、関連する機能材料、即ち、正孔注入材料、正孔輸送材料、電子ブロッキング材料、発光材料、正孔ブロッキング材料、電子輸送材料、電子注入材料などに対応する。発光材料の性能は有機電界発光素子にとって非常に重要だが、素子の性能を綜合的に向上させるために、高品質の発光材料だけでなく、正孔注入材料、正孔輸送材料、電子ブロッキング材料、正孔ブロッキング材料、電子輸送材料、電子注入材料などの性質が優れた多くの補助材料が必要である。これらの補助材料の性能の向上は、有機電界発光素子の性能の向上に寄与するため、新しい補助材料の研究と開発は非常に重要な意味を有する。
【発明の概要】
【0006】
従来の技術に存在する上記問題について、本発明は、複素環誘導体及びその有機電界発光素子を提供する。
【0007】
本発明は、式Iで示される一般構造式を有する複素環誘導体を提供しており、
【0008】
【化1】
【0009】
前記Ar、Arは同一又は異なり、下記に示す基から選ばれ、
【0010】
【化2】
【0011】
前記Rは、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、置換又は未置換のC1~C30のアルキル基、置換又は未置換のC3~C30のシクロアルキル基、置換又は未置換のC6~C60のアリール基、置換又は未置換のC3~C60のヘテロアリール基から選ばれる一種であり、
前記XはO、S、N(R)、C(Rから選ばれる一種であり、前記Rは、置換又は未置換のC1~C30のアルキル基、置換又は未置換のC3~C30のシクロアルキル基、置換又は未置換のC6~C60のアリール基、置換又は未置換のC3~C60のヘテロアリール基から選ばれる一種であり、
前記ZはC(R)又はNから選ばれ、前記Rは、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、置換又は未置換のC1~C30のアルキル基、置換又は未置換のC3~C30のシクロアルキル基、置換又は未置換のC2~C30のアルケニル基、置換又は未置換のC2~C30のアルキニル基、置換又は未置換のC6~C60のアリール基、置換又は未置換のC3~C60のヘテロアリール基から選ばれる一種であるか、或いは隣接する2つの基を接続して環を形成し、
前記XはO、S、N(Ar)、C(Ar)、Si(Ar)から選ばれる一種であり、前記Arは、置換又は未置換のC1~C30のアルキル基、置換又は未置換のC3~C30のシクロアルキル基、置換又は未置換のC6~C60のアリール基、置換又は未置換のC3~C60のヘテロアリール基から選ばれる一種であり、
前記mは0、1、2、3又は4から選ばれ、前記Rは同一又は異なって重水素、シアノ基、ニトロ基、置換又は未置換のC1~C30のアルキル基、置換又は未置換のC3~C30のシクロアルキル基、置換又は未置換のC2~C30のアルケニル基、置換又は未置換のC2~C30のアルキニル基、置換又は未置換のC6~C60のアリール基、置換又は未置換のC3~C60のヘテロアリール基から選ばれる一種であるか、或いは隣接する2つの基を接続して環を形成し、
前記L、Lは、独立して単結合、置換又は未置換のC1~C30のアルキレン基、置換又は未置換のC3~C30のシクロアルキレン基、置換又は未置換のC6~C60のアリーレン基、置換又は未置換のC3~C60のヘテロアリーレン基から選ばれる一種であり、
前記L、Lは、独立して単結合、置換又は未置換のC6~C60のアリーレン基、置換又は未置換のC3~C60のヘテロアリーレン基から選ばれる一種である。
【0012】
本発明は、有機電界発光素子をさらに提供しており、前記有機電界発光素子は、陽極、有機層及び陰極を含み、前記有機層は陽極と陰極の間に位置し、前記有機層は上記の本発明の複素環誘導体電子輸送領域を含む。
【0013】
有益な効果:本発明に係る式Iで示される複素環誘導体は高い電子移動度及び良好な正孔ブロッキング性能を有し、キャリアのバランスが良好であることに加えて、正孔を電子輸送領域に入らないようによくブロッキングすることができるため、当該複素環誘導体を正孔ブロッキング層で用いて得られた有機電界発光素子は、低い駆動電圧及び高い発光効率を示す。
【0014】
また、式IIで示されるトリフェニルアミン化合物は高い正孔移動度を有することから、発光補助層とした時に所在する正孔輸送領域及び上述した正孔ブロッキング層が所在する電子輸送領域では、キャリアのバランスが効果的にとれ、励起子のクエンチングを低減し、キャリアの再結合確率を向上させるため、素子はより優れた光電性能を示す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の化合物1のH NMR図である。
図2】本発明の化合物22のH NMR図である。
図3】本発明の化合物51のH NMR図である。
図4】本発明の化合物108のH NMR図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、具体的実施例を参照しながら、本発明をさらに明らかにするが、これらの実施例は、本発明を説明するためのものにすぎず、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明を閲読した後、当業者にとって、本発明に対する様々な等同の修正はいずれも本願が保護請求している範囲内に入ることを理解すべきである。
【0017】
本発明に係る「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を含む。
【0018】
本発明に係る「置換又は未置換」の「未置換」とは、基の水素原子がいずれの置換基でも置換されていないことを指す。
【0019】
本発明に係る「置換又は未置換」の「置換」とは、基の少なくとも1つの水素原子が置換基で置換されたことを指す。複数の水素が複数の置換基で置換される場合、前記複数の置換基は同じでも異なってもよい。上記の置換基で置換された水素の位置はいずれの位置であってもよい。上記「置換」に示される置換基は、重水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、C1~C30のアルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C6~C60のアリール基、C3~C60のヘテロアリール基、C6~C60のアミン基の少なくとも一種を含むがこれらに限定されない。
【0020】
本発明に係る「接続して環を形成する」とは、2つの基が化学結合により互いに接続されることを指し、本発明において、接続して形成された環は、5員環又は6員環又は縮合環、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環、トリフェニレン環、フルオレン環、キノリン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、カルバゾール環などであってもよいがこれらに限定されない。
【0021】
本発明に係るアルキル基とは、アルカン分子から1つの水素原子を除去して形成された一価の基を指す。前記アルキル基は直鎖アルキル基及び分岐鎖アルキル基を含む。アルキル基の炭素原子数は特に限定されず、好ましくはC1~C60であり、より好ましくはC1~C30であり、さらに好ましくはC1~C15であり、最も好ましくはC1~C10である。前記アルキル基の実例は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などを含むがこれらに限定されない。本発明の炭素数が3つ以上の鎖状アルキル基はその異性体を含み、例えば、プロピル基は、n-プロピル基、i-プロピル基を含み、t-ブチル基は、n-ブチル基、t-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基を含み、以下同様である。
【0022】
本発明に係るシクロアルキル基とは、シクロアルカン分子から1つの水素原子を除去して形成された一価の基を指す。シクロアルキル基の炭素原子数は特に限定されず、好ましくはC3~C60であり、より好ましくはC3~C30であり、さらに好ましくはC3~C15であり、最も好ましくはC3~C10である。前記シクロアルキル基の実例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクタン、アダマンチル基、ボルナン基、ノルボルニル基、キュバン基などを含むがこれらに限定されない。
【0023】
本発明に係るアリール基とは、芳香族炭化水素分子の母核から1つの水素原子を除去して得られた一価の基を指す。前記アリール基は単環式アリール基、多環式アリール基及び縮合環式アリール基を含む。アリール基の炭素原子数は特に限定されず、好ましくはC6~C60であり、より好ましくはC6~C30であり、さらに好ましくはC6~C18であり、最も好ましくはC6~C14である。前記アリール基の実例は、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クォーターフェニル基、ナフチル基、アントラセン基、ベンゾアントラセン基、フェナントレン基、トリフェニレン基、ピレン基、ベンゾピレン基、ペリレン基、フルオランテン基、インデン基、フルオレン基、ベンゾフルオレン基、ジベンゾフルオレン基、スピロビフルオレン基、ベンゾスピロビフルオレン基、ジベンゾスピロビフルオレン基などを含むがこれらに限定されない。
【0024】
本発明に係るヘテロアリール基とは、複素環式芳香族炭化水素分子の母核から1つの水素原子を除去して得られた一価の基を指す。前記ヘテロアリール基のヘテロ原子は、O、S、N、Si、B、P、Seなどを含むがこれらに限定されない。前記ヘテロアリール基は、単環式ヘテロアリール基、多環式ヘテロアリール基及び縮合環式ヘテロアリール基を含む。ヘテロアリール基の炭素原子数は特に限定されず、好ましくはC3~C60であり、より好ましくはC3~C30であり、さらに好ましくはC3~C15であり、最もより好ましくはC3~C8である。前記ヘテロアリール基の実例は、ピリジン基、ピラジン基、ピリダジン基、ピリミジン基、トリアジン基、キノリン基、イソキノリン基、キノキサリン基、キナゾリン基、フェナントロリン基、オキサジアゾール基、オキサゾール基、ベンゾオキサゾール基、ナフトオキサゾール基、フェナントロオキサゾール基、チアゾール基、ベンゾチアゾール基、ナフトチアゾール基、フェナントロチアゾール基、イミダゾール基、ベンゾイミダゾール基、ナフトイミダゾール基、フェナントロイミダゾール基、フラン基、ベンゾフラン基、ジベンゾフラン基、ベンゾジベンゾフラン基、チオフェン基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾジベンゾチオフェン基、カルバゾール基、ベンゾカルバゾール基、ジベンゾカルバゾール基、アクリジン基などを含むがこれらに限定されない。
【0025】
本発明に係るアルケニル基とは、アルケン分子から1つの水素原子を除去して得られた一価の基を指し、前記アルケニル基は、モノアルケニル基、ジエン基、ポリエン基などを含む。アルケニル基の炭素原子数は特に限定されず、好ましくはC2~C60であり、より好ましくはC2~C30であり、さらに好ましくはC2~C15であり、最も好ましくはC2~C10である。前記アルケニル基の実例は、ビニル基、ブタジエン基などを含むがこれらに限定されない。
【0026】
本発明に係るアルキニル基とは、アルキン分子から1つの水素原子を除去して得られた一価の基を指し、前記アルキニル基は、モノアルキニル基、ジイン基、ポリイン基などを含む。アルキニル基の炭素原子数は特に限定されず、好ましくはC2~C60であり、より好ましくはC2~C30であり、さらに好ましくはC2~C15であり、最も好ましくはC2~C10である。前記アルキニル基の実例はエチニル基、ブタジイン基などを含むがこれらに限定されない。
【0027】
本発明に係るアルキレンとは、アルカン分子から2つの水素を除去して得られた二価の基を指す。アルキレン基の炭素原子数は特に限定されず、好ましくはC1~C60であり、より好ましくはC1~C30であり、さらに好ましくはC1~C15であり、最も好ましくはC1~C10である。前記アルキレン基の実例はメチレン基、エチレン基などを含むがこれらに限定されない。
【0028】
本発明に係るシクロアルキレン基とは、シクロアルカン分子から2つの水素を除去して得られた二価の基を指す。アルキレン基の炭素原子数は特に限定されず、好ましくはC3~C60であり、より好ましくはC3~C30であり、さらに好ましくはC3~C15であり、最も好ましくはC3~C10である。前記アルキレン基の実例は、アダマンチレン基、二価ボルナン基、ノルボルニレン基などを含むがこれらに限定されない。
【0029】
本発明に係るアリーレン基とは、芳香族炭化水素分子の母核から2つの水素原子を除去して得られた二価の基を指す。前記アリーレン基は、単環式アリーレン基、多環式アリーレン基、縮合環式アリーレン基又はそれらの組合せを含む。アリーレン基の炭素原子数は特に限定されず、好ましくはC6~C60であり、より好ましくはC6~C30であり、さらに好ましくはC6~C18であり、最も好ましくはC6~C14である。前記アリーレン基の実例は、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、クォーターフェニレン基、ナフチレン基、フェナントレン基、アントラセニレン基、二価トリフェニレン基、ピレニレン基、フルオレニレン基、ベンゾフルオレニレン基、スピロビフルオレニレン基、ベンゾスピロビフルオレニレン基などを含むがこれらに限定されない。本発明に係るアリーレン基は、単環式芳香族炭化水素と縮合環式芳香族炭化水素を単結合で接続して得られた二価の基と、縮合環式芳香族炭化水素と縮合環式芳香族炭化水素を単結合で接続して得られた二価の基とをさらに含み、例えば、以下で示されるベンゼンとフェナントレンを単結合で接続して得られた二価の基であり、これから他の二価の基を類推する。
【0030】
【化3】
【0031】
前記ヘテロアリーレン基とは、複素環式芳香族炭化水素分子の母核から2つの水素原子を除去して得られた二価の基を指す。前記ヘテロ原子は、O、S、N、Si、B、P、Seなどを含むがこれらに限定されない。前記ヘテロアリーレン基は、単環式ヘテロアリーレン基、多環式ヘテロアリーレン基、縮合環式ヘテロアリーレン基又はそれらの組合せを含む。前記多環式ヘテロアリーレン基では、ヘテロ原子で置換されたベンゼン環を1つだけ有してもよく、ヘテロ原子で置換されたベンゼン環を複数有してもよい。ヘテロアリーレン基の炭素原子数は特に限定されず、好ましくはC6~C60であり、より好ましくはC6~C30であり、さらに好ましくはC3~C15であり、最も好ましくはC3~C8である。前記ヘテロアリーレン基の実例は、ピリジレン基、ピリミジニレン基、ピラジニレン基、ピリダジニレン基、トリアジニレン基、フラニレン基、チエニレン基、キノリニレン基、イソキノリニレン基、キノキサリニレン基、キナゾリニレン基、二価フェナントロリン基、ベンゾフラニル基、ジベンゾフラニレン基、ベンゾジベンゾフラニレン基、ベンゾチエニレン基、ジベンゾチエニレン基、ベンゾジベンゾチエニレン基、カルバゾリレン基、ベンゾカルバゾリレン基などを含むがこれらに限定されない。本発明に係るヘテロアリーレン基は、複素環式芳香族炭化水素と複素環式芳香族炭化水素を単結合で接続して得られた二価の基と、芳香族炭化水素と複素環式芳香族炭化水素を単結合で接続して得られた二価の基とをさらに含み、例えば、以下で示されるピリジンとベンゼンを単結合で接続して得られた二価の基であり、これにより他の二価の基を類推する。
【0032】
【化4】
【0033】
前記「置換又は未置換のC1~C30のアルキル基」の「C1~C30」は、置換されていない「アルキル基」の炭素原子数を表し、置換基の炭素原子数を含まない。前記「置換又は未置換のC6~C60のアリール基」の「C6~C60」は、置換されていない「アリール基」の炭素原子数を表し、置換基の炭素原子数を含まない。前記「置換又は未置換のC3~C60のヘテロアリール基」の「C3~C60」は、置換されていない「ヘテロアリール基」の炭素原子数を表し、置換基の炭素原子数を含まない。前記「置換又は未置換のC6~C60のアリーレン基」の「C6~C60」は、未置換されていない「アリーレン基」の炭素原子数を表し、置換基の炭素原子数を含まない。前記「置換又は未置換のC3~C60のヘテロアリーレン基」の「C3~C60」は、置換されていない「ヘテロアリーレン基」の炭素原子数を表し、置換基の炭素原子数を含まない。以下同様である。
【0034】
本発明は式Iで示される一般構造式を有する複素環誘導体を提供しており、
【0035】
【化5】
【0036】
前記Ar、Arは同一又は異なり、下記に示す基から選ばれ、
【0037】
【化6】
【0038】
前記Rは、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、置換又は未置換のC1~C30のアルキル基、置換又は未置換のC3~C30のシクロアルキル基、置換又は未置換のC6~C60のアリール基、置換又は未置換のC3~C60のヘテロアリール基から選ばれる一種であり、
前記XはO、S、N(R)、C(Rから選ばれる一種であり、前記Rは、置換又は未置換のC1~C30のアルキル基、置換又は未置換のC3~C30のシクロアルキル基、置換又は未置換のC6~C60のアリール基、置換又は未置換のC3~C60のヘテロアリール基から選ばれる一種であり、
前記ZはC(R)又はNから選ばれ、前記Rは、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、置換又は未置換のC1~C30のアルキル基、置換又は未置換のC3~C30のシクロアルキル基、置換又は未置換のC2~C30のアルケニル基、置換又は未置換のC2~C30のアルキニル基、置換又は未置換のC6~C60のアリール基、置換又は未置換のC3~C60のヘテロアリール基から選ばれる一種であるか、或いは隣接する2つの基を接続して環を形成し、
前記XはO、S、N(Ar)、C(Ar)、Si(Ar)から選ばれる一種であり、前記Arは、置換又は未置換のC1~C30のアルキル基、置換又は未置換のC3~C30のシクロアルキル基、置換又は未置換のC6~C60のアリール基、置換又は未置換のC3~C60のヘテロアリール基から選ばれる一種であり、
前記mは0、1、2、3又は4から選ばれ、前記Rは、同一又は異なって重水素、シアノ基、ニトロ基、置換又は未置換のC1~C30のアルキル基、置換又は未置換のC3~C30のシクロアルキル基、置換又は未置換のC2~C30のアルケニル基、置換又は未置換のC2~C30のアルキニル基、置換又は未置換のC6~C60のアリール基、置換又は未置換のC3~C60のヘテロアリール基から選ばれる一種であるか、或いは隣接する2つの基を接続して環を形成し、
前記L、Lは、独立して単結合、置換又は未置換のC1~C30のアルキレン基、置換又は未置換のC3~C30のシクロアルキレン基、置換又は未置換のC6~C60のアリーレン基、置換又は未置換のC3~C60のヘテロアリーレン基から選ばれる一種であり、
前記L、Lは、独立して単結合、置換又は未置換のC6~C60のアリーレン基、置換又は未置換のC3~C60のヘテロアリーレン基から選ばれる一種である。
【0039】
好ましくは、前記L、Lは、独立して単結合、置換又は未置換のアダマンチレン基、置換又は未置換の二価ボルナン基、置換又は未置換のノルボルニレン基、置換又は未置換のフェニレン基、置換又は未置換のビフェニレン基、置換又は未置換のターフェニレン基、置換又は未置換のナフチレン基、置換又は未置換のフェナントレン基、置換又は未置換の二価トリフェニレン基、置換又は未置換のフルオレニレン基、置換又は未置換のベンゾフルオレニレン基、置換又は未置換のスピロビフルオレニレン基、置換又は未置換のベンゾスピロビフルオレニレン基、置換又は未置換のジベンゾフラニレン基、置換又は未置換のジベンゾチエニレン基、置換又は未置換のカルバゾリレン基、置換又は未置換のキノリニレン基、置換又は未置換のイソキノリニレン基、置換又は未置換のナフチリジニレン基、置換又は未置換のキノキサリニレン基、置換又は未置換のキナゾリニレン基、置換又は未置換の二価フェナントロリン基から選ばれる一種であり、
前記L、Lは独立して単結合又は下記に示す基から選ばれる一種であり、
【0040】
【化7】
【0041】
前記Tは同一又は異なってN又はC(R)から選ばれ、前記Rは、水素、重水素、シアノ基、ニトロ基、置換又は未置換のC1~C30のアルキル基、置換又は未置換のC3~C30のシクロアルキル基、置換又は未置換のC6~C60のアリール基、置換又は未置換のC3~C60のヘテロアリール基から選ばれる一種であり、
前記YはO、S、N(R)、C(Rから選ばれる一種であり、前記Rは、水素、重水素、置換又は未置換のC1~C30のアルキル基、置換又は未置換のC3~C30のシクロアルキル基、置換又は未置換のC2~C30のアルケニル基、置換又は未置換のC2~C30のアルキニル基、置換又は未置換のC6~C60のアリール基、置換又は未置換のC3~C60のヘテロアリール基から選ばれる一種であるか、或いは隣接する2つの基を接続して環を形成し、
前記Lは、同一又は異なって単結合、置換又は未置換のC6~C60のアリーレン基、置換又は未置換のC3~C60のヘテロアリーレン基から選ばれる一種である。
【0042】
好ましくは、前記Ar、Arは独立して下記に示す基から選ばれる一種である。
【0043】
【化8】
【0044】
【化9】
【0045】
【化10】
【0046】
好ましくは、前記L、Lは独立して単結合又は下記に示す基から選ばれる一種である。
【0047】
【化11】
【0048】
【化12】
【0049】
好ましくは、前記複素環誘導体は、下記に示す構造から選ばれる一種である。
【0050】
【化13】
【0051】
【化14】
【0052】
【化15】
【0053】
【化16】
【0054】
【化17】
【0055】
【化18】
【0056】
【化19】
【0057】
【化20】
【0058】
【化21】
【0059】
【化22】
【0060】
【化23】
【0061】
【化24】
【0062】
【化25】
【0063】
以上、本発明の式Iで示される複素環誘導体のいくつかの具体的化学構造を列挙したが、本発明は、列挙されたこれらの化学構造に限定されず、式Iで示される構造に基づいて、置換基が上記で限定される基であるものはすべて含まれるべきである。
【0064】
さらに、本発明は有機電界発光素子をさらに提供しており、前記有機電界発光素子は、陽極、有機層及び陰極を含み、前記有機層は陽極と陰極の間に位置し、前記有機層は上記本発明の複素環誘導体を含有する電子輸送領域を含む。
【0065】
本発明に係る電子輸送領域は、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層又は電子注入/輸送性質を有する機能層の一層又は複数層からなる。好ましくは、正孔ブロッキング層及び/又は電子輸送層に本発明の複素環誘導体が含まれ、最も好ましくは、正孔ブロッキング層に本発明の複素環誘導体が含まれる。
【0066】
好ましくは、前記有機層は正孔輸送領域をさらに含み、前記正孔輸送領域は式IIで示されるトリフェニルアミン化合物を含み、本発明における正孔輸送領域は、電子ブロッキング層、発光補助層、正孔輸送層、正孔注入層又は正孔注入/輸送性質を有する機能層の一層又は複数層からなる。好ましくは、電子ブロッキング層、発光補助層及び/又は正孔輸送層に本発明の式IIで示されるトリフェニルアミン化合物が含まれ、最も好ましくは、発光補助層及び/又は正孔輸送層に本発明の式IIで示されるトリフェニルアミン化合物が含まれる。
【0067】
【化26】
【0068】
ただし、A、Bは独立して下記の置換基から選ばれる一種であり、
【0069】
【化27】
【0070】
ただし、前記Rは、同一又は異なって水素、重水素、置換又は未置換のC1~C15のアルキル基、置換又は未置換のC3~C15のシクロアルキル基、置換又は未置換のC2~C30のアルケニル基、置換又は未置換のC6~C30のアリール基、置換又は未置換のC3~C30のヘテロアリール基から選ばれる一種であるか、或いは隣接する2つの基を接続して環を形成し、
前記Rは、同一又は異なって水素、重水素、置換又は未置換のC1~C15のアルキル基、置換又は未置換のC3~C15のシクロアルキル基、置換又は未置換のC2~C30のアルケニル基、置換又は未置換のC6~C30のアリール基、置換又は未置換のC3~C30のヘテロアリール基から選ばれる一種であるか、或いは隣接する2つの基を接続して環を形成し、
前記Lは、単結合、置換又は未置換のC6~C30のアリーレン基、置換又は未置換のC3~C30のヘテロアリーレン基から選ばれる一種であり、
前記aは0、1、2、3又は4から選ばれ、前記bは0、1、2、3、4又は5から選ばれ、
前記Cは下記の基から選ばれる一種であり、
【0071】
【化28】
【0072】
ただし、前記R12は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、トルエン基、ビフェニル基、ナフチル基から選ばれる一種であり、
前記R13は、重水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、フェニル基、トルエン基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントラセン基、フェナントレン基、トリフェニレン基、アクリジン基、スピロビフルオレン基、9,9-ジメチルフルオレン基、9,9-ジフェニルフルオレン基、9-フェニルカルバゾール基、ピレン基、インドール基、ベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾフラン基から選ばれる一種であり、
前記Lは、単結合、フェニレン基、重水素化フェニレン基、重水素化ナフチレン基、トリレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、ターフェニレン基、ジベンゾフラニレン基、フルオレニレン基、ジベンゾチエニレン基から選ばれる一種であり、
前記cは0、1、2、3、4又は5から選ばれ、dは0、1、2、3又は4から選ばれ、eは0、1、2、3、4、5、6又は7から選ばれ、fは0、1、2、3、4、5、6、7、8又は9から選ばれる。
【0073】
好ましくは、前記Cは下記の基から選ばれる一種であり、
【0074】
【化29】
【0075】
【化30】
【0076】
好ましくは、前記Rは、独立して水素、重水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アダマンチル基、ボルナン基、ノルボルニル基、フェニル基、トルエン基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントラセン基、フェナントレン基、トリフェニレン基、アクリジン基、スピロビフルオレン基、9,9-ジメチルフルオレン基、9,9-ジフェニルフルオレン基、9-フェニルカルバゾール基、ピレン基、インドール基、ベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾフラン基から選ばれる一種であるか、或いは隣接する2つの基を接続して環を形成し、
前記Lは、単結合、フェニレン基、トリレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、ターフェニレン基、ジベンゾフラニレン基、フルオレニレン基、ジベンゾチエニレン基から選ばれる一種であり、
前記Rは、同一又は異なって水素、重水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アダマンチル基、ボルナン基、ノルボルニル基、フェニル基、トルエン基、ビフェニル基、ターフェニル基から選ばれる一種であるか、或いは隣接する2つの基を接続して環を形成する。
【0077】
好ましくは、前記式IIで示されるトリフェニルアミン化合物において、置換基A、B、Cは少なくとも1つの重水素を含む。
【0078】
好ましくは、前記式IIで示されるトリフェニルアミン化合物において、置換基A、B、Cは少なくとも1つのアダマンチル基を含む。
【0079】
好ましくは、基A、Bは独立して下記に示す基から選ばれる一種である。
【0080】
【化31】
【0081】
好ましくは、基Cは下記に示す基から選ばれる一種である。
【0082】
【化32】
【0083】
【化33】
【0084】
好ましくは、前記式IIで示されるトリフェニルアミン化合物は下記に示す構造から選ばれる一種である。
【0085】
【化34】
【0086】
【化35】
【0087】
【化36】
【0088】
【化37】
【0089】
【化38】
【0090】
【化39】
【0091】
【化40】
【0092】
【化41】
【0093】
【化42】
【0094】
以上、本発明の式IIで示されるトリフェニルアミン化合物のいくつかの具体的化学構造を列挙したが、本発明は、列挙されたこれらの化学構造に限定されず、式IIで示される構造に基づき、置換基が上記で限定される基であるものはすべて含まれるべきである。
【0095】
本発明に係る有機電界発光素子における有機層は、正孔注入層、発光補助層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、発光層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層などの機能層の一種又は複数種を含んでもよい。各機能層は単層フィルムから構成されても複数層フィルムから構成されてもよく、各層フィルムは一種材料を含んでも複数種材料を含んでもよい。各機能層の膜厚は特に限定されず、好ましくは0.01nm~1μmである。そのうち、少なくとも一種機能層に式Iで示される複素環誘導体が含まれ、好ましくは、電子輸送領域に、即ち、正孔ブロッキング層、電子輸送層及び/又は電子注入層に式Iで示される複素環誘導体が含まれる。好ましくは、正孔輸送領域に、即ち、電子ブロッキング層、発光補助層、正孔輸送層及び/又は正孔注入層に本発明式IIで示されるトリフェニルアミン化合物が含まれる。
【0096】
本発明では、有機電界発光素子における各層フィルムの材料は特に限定されず、上記の本発明の式Iで示される複素環誘導体又は本発明の式IIで示されるトリフェニルアミン化合物に加えて、本分野で知られている物質を使用可能である。以下、上記で言及した有機電界発光素子の各有機機能層の材料及び素子の両側の電極材料をそれぞれ紹介する。
【0097】
陽極材料は、有機層に正孔を注入するために、高い仕事関数の材料が好ましい。本発明の陽極材料は、金属、金属酸化物、金属合金、金属と酸化物の組み合せ、導電性ポリマーなどを含む。前記陽極材料は、金、バナジウム、クロム、銅、パラジウム、ニッケル、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ:アンチモン(SnO:Sb)、ポリピロールなどの実例を含むがこれらに限定されない。
【0098】
正孔注入材料は、正孔を有機層に注入する作用を有し、金属酸化物、フタロシアニン化合物、芳香族アミン化合物、ポリシアノ基含有共役有機材料、高分子材料などを含む。前記正孔輸送材料の実例は、三酸化モリブデン(MoO)、銅フタロシアニン(CuPc)、4,4’,4’’-トリス(N-3-メチルフェニル-N-フェニルアミノ)トリフェニルアミン(m-MTDATA)、4,4’,4’’-トリス[2-ナフチルフェニルアミノ]トリフェニルアミン(2T-NATA)、1,4,5,8,9,11-ヘキサアザベンゾニトリル(HAT-CN)、(2E,2’E,2’’E)-2,2’,2’’-(シクロプロパン-1,2,3-トリイリデン)トリス(2-(パーフルオロフェニル)-アセトニトリル)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)などを含むがこれらに限定されない。
【0099】
正孔輸送材料は、正孔を注入し、キャリアのバランスをとる作用を有し、芳香族アミン系化合物とカルバゾール系化合物などを含む。前記正孔輸送材料の実例は、N,N’-ジフェニル-N,N’-(1-ナフチル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン(NPB)、N4,N4,N4’,N4’-テトラ([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン、4,4’-シクロヘキシルジ[N,N-ジ(4-メチルフェニル)フェニルアミン](TAPC)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(3-メチルフェニル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン(TPD)、2,2,7,7-テトラ(ジフェニルアミノ)-9,9-スピロビフルオレン(Spiro-TAD)、4,4’,4’’-トリス(カルバゾール-9-イル)トリフェニルアミン(TCTA)などを含むがこれらに限定されない。
【0100】
発光補助材料は、正孔を注入してキャリアのバランスをとる作用を有するとともに、電子をブロッキングする作用を有する可能性がある。発光補助材料は、芳香族アミン系化合物とカルバゾール系化合物などを含む。前記発光補助材料の実例は、トリス(4-ビフェニル)アミン(TBA)、4,4’,4’’-トリス[N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ]トリフェニルアミン(MTDATA)、N,N’-ジフェニル-N,N’-(1-ナフチル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン(NPB)、4,4’-シクロヘキシルジ[N,N-ジ(4-メチルフェニル)フェニルアミン](TAPC)、2,2,7,7-テトラ(ジフェニルアミノ)-9,9-スピロビフルオレン(Spiro-TAD)、4,4’,4’’-トリス(カルバゾール-9-イル)トリフェニルアミン(TCTA)などを含むがこれらに限定されない。
【0101】
電子ブロッキング材料は、発光層内で電子をブロッキングする作用を有し、芳香族アミン系化合物などを含む。前記電子ブロッキング材料の実例は、4,4’,4’’-トリス(カルバゾール-9-イル)トリフェニルアミン(TCTA)、N,N’-ジフェニル-N,N’-(1-ナフチル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン(NPB)などを含むがこれらに限定されない。
【0102】
発光材料は、正孔と電子を受け取り、両者を組み合わせて可視光を発する機能を有し、発光色で赤色光材料、緑色光材料、青色光材料に分けられる。発光材料は、蛍光材料であってもリン光材料であってもよい。発光材料は、単独で発光層としてもよく、ホスト材料にドープして発光層としてもよい。
【0103】
青色光材料は、ペリレン誘導体、スチリルアミン誘導体、アントラセン誘導体、フルオレン誘導体、金属錯体、シリコーン、有機ホウ素などを含む。前記青色光材料の実例は、2,5,8,11-テトラ-t-ブチルペリレン(TBPe)、4,4’-ジ[4-(ジフェニルアミノ)スチレン]ビフェニル(BDAVBi)、9-[4-(2-(7-(N,N-ジフェニルアミノ)-9,9-ジエチルフルオレン-2-イル)ビニル)フェニル]-9-フェニル-フルオレン(DPAFVF)、9,10-ジ-(2-ナフチル)アントラセン(AND)、ジ(4,6-ジフルオロフェニルピリジン-C2,N)ピコリネート-イリジウム(FIrpic)などを含むがこれらに限定されない。
【0104】
緑色光材料は、クマリン染料、キナクリドン系誘導体、多環式芳香族炭化水素、シリコーン化合物、ピラゾロキノキサリン系誘導体、アミンアントラセン系誘導体、コロネン(Coronene)、イミダゾロン系誘導体、チオフェンピロール、ナフタルイミド、金属錯体などを含む。前記緑色光材料の実例は、クマリン545T、N,N’-ジメチルキナクリドン(DMQA)、5,12-ジフェニルナフタセン(DPT)、トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy))などを含むがこれらに限定されない。
【0105】
赤色光材料は、DCMシリーズ材料、金属錯体などを含む。前記赤色光材料の実例は、4-(ジシアノメチレン)-2-メチル-6-(4-ジメチルアミノスチレン)-4H-ピラン(DCM)、4-(ジシアノメチレン)-2-t-ブチル-6-(1,1,7,7-テトラメチルジュロリジン-9-アルケニル)-4H-ピラン(DCJTB)、ジ(1-フェニルイソキノリン)(アセチルアセトン)イリジウム(III)(Ir(piq)(acac))、白金オクタエチルポルフィリン(PtOEP)などを含むがこれらに限定されない。
【0106】
正孔ブロッキング材料は、発光層内で正孔をブロッキングする作用を有し、イミダゾール系化合物、フェナントロリン系化合物などの複素環式化合物を含む。前記正孔ブロッキング材料の実例は、1,3,5-トリス(N-フェニル-2-ベンズイミダゾール)フェニル(TPBi)、4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(Bphen)などを含むがこれらに限定されない。好ましくは、本発明の式Iで示される複素環誘導体である。
【0107】
電子輸送材料は、電子を注入し、キャリアのバランスをとる作用を有し、ピリジン誘導体、イミダゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール系誘導体、フェナントロリン誘導体などの複素環式化合物、金属錯体などを含む。前記電子輸送材料の実例は、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(III)(Alq)、3,3’-[5’-[3-(3-ピリジン)フェニル](TmPyPB)、1,3,5-トリス(N-フェニル-2--ベンズイミダゾール)フェニル(TPBi)、2-(4-ビフェニル)-5-(4-t-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(PBD)、3-(ビフェニル-4-イル)-4-フェニル-5-(4-t-ブチルフェニル)-1,2,4-トリアゾール(TAZ)、4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(Bphen)などを含むがこれらに限定されない。
【0108】
電子注入材料は、電子を有機層に注入する作用を有し、アルカリ金属の無機塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属の有機塩、アルカリ金属フッ化物、アルカリ金属錯体などを含む。前記電子注入材料の実例は、炭酸セシウム(CsCO)、酸化リチウム(LiO)、酢酸カリウム(CHCOOK)、フッ化リチウム(LiF)、8-キノリルオキシリチウム(Liq)などを含むがこれらに限定されない。
【0109】
陰極材料は、電子を有機層に注入するために低い仕事関数の材料が好ましい。本発明の陰極材料は、金属、金属合金などを含む。前記陰極は、アルミニウム、銀、マグネシウム、カルシウム、マグネシウム-銀合金などの実例を含むがこれらに限定されない。
【0110】
本発明の有機電界発光素子の各層フィルムを調製する方法は、特に限定されず、真空蒸着法、スパッタ法、スピンナー法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、レーザ転写法などを使用可能であるがこれに限定されない。
【0111】
本発明の有機電界発光素子は、主に情報表示の技術分野で適用されており、タブレットコンピュータ、薄型テレビ、携帯電話、スマートウォッチ、デジタルカメラ、VR、車載システム、ウェアラブル機器などの、情報表示方面で様々な情報表示に広く使用されている。
【0112】
合成実施例
本発明の式Iで示される複素環誘導体の調製方法は特に限定されず、当業者に周知の従来の方法を使用可能である。例えば、炭素-炭素カップリング反応など、より具体的には鈴木反応などを使用可能であり、本発明の式Iの複素環誘導体は、下記に示すいくつかの合成経路を用いて調製可能である。
【0113】
経路一:L、Lが異なって同時に単結合でない場合
【0114】
【化43】
【0115】
経路二:L、Lが同時に単結合である場合
【0116】
【化44】
【0117】
ただし、各Qは同じでも異なってもよく、F、Cl、Br、Iから選ばれ、各Kは同じでも異なってもよく、下述二つの式から選ばれる
【0118】
【化45】
【0119】
【化46】
【0120】
本発明の式IIで示されるトリフェニルアミン化合物の調製方法は特に限定されず、当業者に周知の従来の方法を使用可能である。例えば、炭素-窒素カップリング反応など、より具体的には、ブッフバルト反応、ウルマン反応などを使用可能である。
【0121】
原料と試薬ついて:本発明で使用される原料と試薬はいずれも純粋な試薬である。本発明では、以下の合成実施例で使用される原料又は試薬に特に限定されず、市販の製品又は当業者に周知の調製方法を用いて調製されたものであってもよい。
【0122】
機器:(1)G2-Si高分解能タンデム四重極飛行時間型質量分析計(Waters社,英国);(2)Vario EL cube型有機元素分析計(Elementar社,ドイツ);(3)Bruker-510型核磁気共鳴装置(Bruker社,ドイツ)。
【0123】
合成実施例1:化合物1の調製
【0124】
【化47】
【0125】
(1)N雰囲気下でトリシクロヘキシルホスフィン(0.280g,1.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.458g,0.5mmol)を、2-ブロモスピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン](12.3g,30mmol)、4-クロロフェニルボロン酸(3.91g,25mmol)、1,4-ジオキサン(80ml)、炭酸ナトリウム溶液(1.25M,40ml)の混合溶液に加え、一晩還流した。反応液を室温まで冷却し、酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧蒸留して溶剤を除去した後に、シリカゲルカラムで分離し、クロロメタンとn-ヘキサン(2:1)を溶離剤にし、8.42gの化合物D1を得て、収率は76%であった。
【0126】
(2)N雰囲気下でビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム(0.245g,0.35mmol)を、ビス(ピナコラト)ジボロン(5.33g,21.0mmol)、化合物D1(7.79g,17.5mmol)、酢酸カリウム(5.15g,52.5mmol)及びテトラヒドロフラン(230ml)の混合液に加え、4時間還流反応させた。反応液を室温まで冷却し、減圧蒸留してテトラヒドロフラン溶液を除去し、クロロホルムと蒸留水を加えて有機層を分離してから、クロロホルムで水層を抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧蒸留して溶剤を除去した後に、シリカゲルカラムで分離し、ジクロロメタンと石油エーテル(3:1)を溶離剤にし、7.76gの化合物E1を得て、収率は83%であった。
【0127】
(3)N雰囲気下でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.162g,0.14mmol)を、1-ブロモ-3,5-ジクロロベンゼン(3.16g,14mmol)、化合物E1(7.48g,14mmol)、炭酸ナトリウム溶液(2M,24.5ml)、エタノール(25ml)及びトルエン(250ml)の混合溶液に加え、一晩還流攪拌した。反応液を室温まで冷却し、クロロホルムで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧蒸留して溶剤を除去した後に、シリカゲルカラムで分離し、酢酸エチルとn-ヘキサン(2:1)を溶離剤にし、6.28gの化合物F1を得て、収率は81%であった。
【0128】
(4)N雰囲気下でトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.366g,0.4mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(0.224g,0.8mmol)を、化合物F1(5.54g,10mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(5.08g,20mmol)、炭酸ナトリウム溶液(1.25M,32ml)、1,4-ジオキサン(65ml)の混合溶液に加え、一晩還流した。反応液を室温まで冷却し、ジクロロメタンで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧蒸留して溶剤を除去した後に、シリカゲルカラムで分離し,ジクロロメタンとn-ヘキサン(5:2)を溶離剤にし、5.38gの化合物G1を得て、収率は73%であった。
【0129】
(5)N雰囲気下で[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(0.732g,0.1mmol)を、化合物G1(3.68g,5mmol)、2-クロロベンゾオキサゾール(1.84g,12mmol)、リン酸カリウム溶液(2M,10ml)、トルエン(50ml)の混合溶液に加え、一日還流反応させた。反応液を室温まで冷却し、ジクロロメタンで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧蒸留して溶剤を除去した後に、シリカゲルカラムで分離し、ジクロロメタンとエタノール(3:1)を溶離剤にし、2.84gの化合物1を得て、収率は79%であった。HPLC検出固定純度≧99.9%。マススペクトルm/z,理論値:718.2256,実測値:718.2267。理論元素含有量(%)C5130:C,85.22;H,4.21;N,3.90,実測元素含有量(%):C,85.20;H,4.27;N,3.94。H NMR(600MHz,CDCl,ppm)δ:8.28(s,1H)、8.22-8.19(m,2H)、8.07(d,1H)、8.02(s,1H)、7.95-7.90(m,3H)、7.89-7.83(m,3H)、7.66-7.62(m,5H)、7.60-7.57(m,1H)、7.46-7.42(m,1H)、7.40-7.33(m,6H)、7.31-7.24(m,2H)、7.11-7.06(m,2H)、7.02-6.95(m,2H)。上記結果から、得られた製品が目標製品であることが実証された。
【0130】
合成実施例2:化合物6の調製
合成実施例1における2-クロロベンゾオキサゾールを等モルの2-クロロ-6-メチル-ベンゾオキサゾールに変更する以外、他のステップを同じにし、2.58gの化合物6を得た。HPLC検出固定純度≧99.9%。マススペクトルm/z,理論値:746.2569、実測値:746.2593。理論元素含有量(%)C5334:C,85.23;H,4.59;N,3.75,実測元素含有量(%):C,85.12;H,4.76;N,3.83。
【0131】
合成実施例3:化合物19の調製
合成実施例1における2-クロロベンゾオキサゾールを等モルの6-ブロモ-2-フェニルベンゾ[D]オキサゾールに変更する以外、他のステップを同じにし、3.05gの化合物19を得た。HPLC検出固定純度≧99.9%。マススペクトルm/z,理論値:870.2882,実測値:870.2894。理論元素含有量(%)C6338:C,86.88;H,4.40;N,3.22,実測元素含有量(%):C,86.97;H,4.30;N,3.21。
【0132】
合成実施例4:化合物22の調製
合成実施例1における4-クロロフェニルボロン酸を等モルの3-クロロフェニルボロン酸に変更し、2-クロロベンゾオキサゾールを等モルの2-クロロ[1,3]オキサゾロ[5,4-C]ピリジンに変更する以外、他のステップを同じにし、2.59gの化合物22を得た。HPLC検出固定純度≧99.9%。マススペクトルm/z,理論値:720.2161,実測値:720.2180。理論元素含有量(%)C4928:C,81.65;H,3.92;N,7.77,実測元素含有量(%):C,81.74;H,3.98;N,7.63。H NMR(600MHz,CDCl,ppm)δ:8.70(s,1H)、8.67(s,1H)、8.42(d,1H)、8.39(d,1H)、8.27(t,1H),8.20(d,2H)、8.09-8.04(m,2H)、8.02(t,1H)、7.93(d,1H)、7.88-7.85(m,1H)、7.78-7.70(m,4H)、7.67-7.63(m,2H)、7.61-7.56(m,1H)、7.47-7.41(m,1H)、7.37-7.33(m,2H)、7.30-7.25(m,2H)、7.14-7.10(m,2H)、7.01-6.95(m,2H)。
【0133】
合成実施例5:化合物29の調製
合成実施例1における4-クロロフェニルボロン酸を等モルの4-クロロ-4-ビフェニルボロン酸に変更する以外、他のステップを同じにし、3.26gの化合物29を得た。HPLC検出固定純度≧99.9%。マススペクトルm/z,理論値:794.2569,実測値:794.2585。理論元素含有量(%)C5734:C,86.13;H,4.31;N,3.52,実測元素含有量(%):C,86.09;H,4.25;N,3.60。
【0134】
合成実施例6:化合物37の調製
合成実施例1における4-クロロフェニルボロン酸を等モルの7-クロロジベンゾ[B,D]フラン-3-イルボロン酸に変更する以外、他のステップを同じにし、3.03gの化合物37を得た。HPLC検出固定純度≧99.9%。マススペクトルm/z,理論値:808.2362,実測値:808.2382。理論元素含有量(%)C5732:C,84.64;H,3.99;N,3.46,実測元素含有量(%):C,84.70;H,3.92;N,3.43。
【0135】
合成実施例7:化合物42の調製
合成実施例1における4-クロロフェニルボロン酸を等モルの3-クロロ-5-シアノフェニルボロン酸に変更する以外、他のステップを同じにし、2.53gの化合物42を得た。HPLC検出固定純度≧99.9%。マススペクトルm/z,理論値:743.2209,実測値:743.2237。理論元素含有量(%)C5229:C,83.97;H,3.93;N,5.65,実測元素含有量(%):C,83.94;H,3.98;N,5.70。
【0136】
合成実施例8:化合物43の調製
合成実施例1における4-クロロフェニルボロン酸を等モルの(4-クロロフェニル-2,3,5,6-d4)ボロン酸に変更する以外、他のステップを同じにし、2.64gの化合物43を得た。HPLC検出固定純度≧99.9%。マススペクトルm/z,理論値:722.2507,実測値:722.2533。理論元素含有量(%)C5126:C,84.74;H,4.74;N,3.88,実測元素含有量(%):C,84.69;H,4.77;N,3.85。
【0137】
合成実施例9:化合物51の調製
雰囲気下でビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム(0.123g,0.175mmol)を、2-ブロモスピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン](7.20g,17.5mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(5.33g,21.0mmol)、酢酸カリウム(4.29g,43.75mmol)及びテトラヒドロフラン(200ml)の混合液に加え、3時間還流反応させた。反応液を室温まで冷却し、減圧蒸留してテトラヒドロフラン溶液を除去し、ジクロロメタンと蒸留水を加えて有機層を分離してから、ジクロロメタンで水層を抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧蒸留して除去溶剤を除去した後に、シリカゲルカラムで分離し、ジクロロメタンと石油エーテル(3:1)を溶離剤にし、6.98gの化合物E5を得て、収率は87%であった。
【0138】
合成実施例1でのステップ(3)から、ステップ(3)の化合物E1を等モルの化合物E5に変更し、ステップ(5)の2-クロロベンゾオキサゾールを等モルの6-ブロモ-2-フェニルベンゾ[D]オキサゾールに変更する以外、他のステップを同じにし、3.50gの化合物51を得た。HPLC検出固定純度≧99.9%。マススペクトルm/z,理論値:794.2569,実測値:794.2597。理論元素含有量(%)C5734:C,86.13;H,4.31;N,3.52,実測元素含有量(%):C,86.02;H,4.39;N,3.48。H NMR(600MHz,CDCl,ppm)δ:8.16(s,2H),8.11-8.05(m,7H),7.94(d,1H),7.90(dd,1H),7.80-7.74(m,4H),7.69-7.63(m,3H),7.61-7.57(m,1H),7.46-7.39(m,7H),7.38-7.34(m,2H),7.30-7.26(m,2H),7.12-7.07(m,2H),7.03-6.96(m,2H)。
【0139】
合成実施例10:化合物57の調製
合成実施例1における2-ブロモスピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン]を等モルの3-ブロモスピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン]に変更し、4-クロロフェニルボロン酸を等モルの3’-クロロ-3-ビフェニルボロン酸に変更する以外、他のステップを同じにし、3.38gの化合物57を得た。HPLC検出固定純度≧99.9%。マススペクトルm/z,理論値:794.2569,実測値:794.2634。理論元素含有量(%)C5734:C,86.13;H,4.31;N,3.52,実測元素含有量(%):C,86.16;H,4.27;N,3.50。
【0140】
合成実施例11:化合物65の調製
合成実施例9における2-ブロモスピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン]を等モルの3-ブロモスピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン]に変更し、6-ブロモ-2-フェニルベンゾ[D]オキサゾールを等モルの2-クロロベンゾオキサゾールに変更する以外、他のステップを同じにし、2.41gの化合物65を得た。HPLC検出固定純度≧99.9%。マススペクトルm/z,理論値:642.1943,実測値:642.1964。理論元素含有量(%)C4526:C,84.10;H,4.08;N,4.36,実測元素含有量(%):C,84.21;H,4.19;N,4.28。
【0141】
合成実施例12:化合物71の調製
合成実施例1における2-ブロモスピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン]を等モルの3-ブロモスピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン]に変更し、4-クロロフェニルボロン酸を等モルの6-クロロ-2-ナフタレンボロン酸に変更する以外、他のステップを同じにし、2.73gの化合物71を得た。HPLC検出固定純度≧99.9%。マススペクトルm/z,理論値:768.2413,実測値:768.2446。理論元素含有量(%)C5532:C,85.92;H,4.20;N,3.64,実測元素含有量(%):C,85.80;H,4.15;N,3.68。
【0142】
合成実施例13:化合物77の調製
合成実施例1における2-ブロモスピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン]を等モルの2-ブロモスピロ[ベンゾ[B]フルオレン-11,9’-キサンテン]に変更する以外、他のステップを同じにし、2.69gの化合物77を得た。HPLC検出固定純度≧99.9%。マススペクトルm/z,理論値:768.2413,実測値:768.2448。理論元素含有量(%)C5532:C,85.92;H,4.20;N,3.64,実測元素含有量(%):C,85.96;H,4.27;N,3.73。
【0143】
合成実施例14:化合物95の調製
合成実施例1における2-クロロベンゾオキサゾールを等モルの2-クロロ-6-トリフルオロメチルベンゾチアゾールに変更する以外、他のステップを同じにし、2.88gの化合物95を得た。HPLC検出固定純度≧99.9%。マススペクトルm/z,理論値:886.1547,実測値:886.1565。理論元素含有量(%)C5328OS:C,71.77;H,3.18;N,3.16,実測元素含有量(%):C,71.61;H,3.21;N,3.09。
【0144】
合成実施例15:化合物102の調製
合成実施例1における4-クロロフェニルボロン酸を等モルの3’-クロロ-3-ビフェニルボロン酸に変更し、2-クロロベンゾオキサゾールを等モルの2-クロロベンゾチアゾールに変更する以外、他のステップを同じにし、2.70gの化合物102を得た。HPLC検出固定純度≧99.9%。マススペクトルm/z,理論値:826.2113,実測値:826.2126。理論元素含有量(%)C5734OS:C,82.78;H,4.14;N,3.39,実測元素含有量(%):C,82.91;H,4.18;N,3.30。
【0145】
合成実施例16:化合物106の調製
合成実施例1における2-ブロモスピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン]を等モルの3-ブロモスピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン]に変更し、4-クロロフェニルボロン酸を等モルの(7-クロロ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ボロン酸に変更し、2-クロロベンゾオキサゾールを等モルの2-クロロベンゾチアゾールに変更する以外、他のステップを同じにし、2.95gの化合物106を得た。HPLC検出固定純度≧99.9%。マススペクトルm/z,理論値:866.2426,実測値:866.2451。理論元素含有量(%)C6038OS:C,83.11;H,4.42;N,3.23,実測元素含有量(%):C,83.10;H,4.45;N,3.28。
【0146】
合成実施例17:化合物108の調製
雰囲気下でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.104g,0.09mmol)を、化合物G2(13.3g,18mmol)、2-クロロベンゾチアゾール(3.66g,21.6mmol)、炭酸カリウム(2M,18ml)、1,4-ジオキサン(60ml)の混合溶液に加え、5時間還流反応させた。反応液を室温まで冷却し、クロロホルムで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧蒸留して溶剤を除去した後に、シリカゲルカラムで分離し、クロロホルムとn-ヘキサン(3:2)を溶離剤にし、6.16gの化合物G2-1を得て、収率は46%であった。
【0147】
雰囲気下でビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム(0.104g,0.09mmol)を、化合物G2-1(13.3g,5mmol)、2-クロロベンゾオキサゾール(3.66g,6mmol)、炭酸ナトリウム(1.25M,8ml)、1,4-ジオキサン(25ml)の混合溶液に加え、8時間還流反応させた。反応液を室温まで冷却し、ジクロロメタンで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧蒸留して溶剤を除去した後に、シリカゲルカラムで分離し、ジクロロメタンとn-ヘキサン(2:1)を溶離剤にし、3.16gの化合物108を得て、収率は86%であった。HPLC検出固定純度≧99.9%。マススペクトルm/z,理論値:734.2028,実測値:734.2046。理論元素含有量(%)C5130S:C,83.36;H,4.11;N,3.81,実測元素含有量(%):C,83.47;H,4.12;N,3.79。H NMR(600MHz,CDCl,ppm)δ:8.33(s,1H)、8.29(s,1H)、8.23-8.20(m,2H)、8.15-8.10(m,2H)、8.09-8.05(m,2H)、7.93(d,1H)、7.87(dd,1H)、7.80-7.77(m,1H)、7.74-7.70(m,1H)、7.68-7.62(m,4H)、7.61-7.56(m,2H)、7.52-7.48(m,1H)、7.46-7.42(m,1H)、7.41-7.33(m,4H)、7.30-7.25(m,2H)、7.22(dd,1H)、7.12(dd,1H)、7.01-6.95(m,2H)。
【0148】
合成実施例18:化合物153の調製
合成実施例1における2-ブロモスピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン]を等モルの3-ブロモスピロ[フルオレン-9,9’-チオキサンテン]に変更し、4-クロロフェニルボロン酸を等モルの3-クロロフェニルボロン酸に変更する以外、他のステップを同じにし、2.65gの化合物153を得た。HPLC検出固定純度≧99.9%。マススペクトルm/z,理論値:734.2028,実測値:734.2032。理論元素含有量(%)C5130S:C,83.36;H,4.11;N,3.81,実測元素含有量(%):C,83.22;H,4.07;N,3.71。
【0149】
合成実施例19:化合物164の調製
合成実施例1における2-ブロモスピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン]を等モルの3-ブロモスピロ[フルオレン-9,9’-チオキサンテン]に変更し、4-クロロフェニルボロン酸を等モルの(7-クロロ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ボロン酸に変更する以外、他のステップを同じにし、3.02gの化合物164を得た。HPLC検出固定純度≧99.9%。マススペクトルm/z,理論値:850.2654,実測値:850.2647。理論元素含有量(%)C6038S:C,84.68;H,4.50;N,3.29,実測元素含有量(%):C,84.59;H,4.45;N,3.26。
【0150】
合成実施例20:化合物173の調製
合成実施例1における2-ブロモスピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン]を等モルの3-ブロモスピロ[フルオレン-9,9’-チオキサンテン]に変更し、2-クロロベンゾオキサゾールを等モルの2-クロロベンゾチアゾールに変更する以外、他のステップを同じにし、2.56gの化合物173を得た。HPLC検出固定純度≧99.9%。マススペクトルm/z,理論値:766.1571,実測値:766.1585。理論元素含有量(%)C5130:C,79.87;H,3.94;N,3.65,実測元素含有量(%):C,79.68;H,3.83;N,3.75。
【0151】
合成実施例21:化合物201の調製
合成実施例1における2-ブロモスピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン]を等モルの2’-ブロモ-10-フェニル-10H-スピロ[アクリジン-9,9’-フルオレン]に変更する以外、他のステップを同じにし、3.33gの化合物201を得た。HPLC検出固定純度≧99.9%。マススペクトルm/z,理論値:793.2729,実測値:793.2815。理論元素含有量(%)C5735:C,86.23;H,4.44;N,5.29,実測元素含有量(%):C,86.32;H,4.38;N,5.20。
【0152】
合成実施例22:化合物219の調製
合成実施例9における2-ブロモスピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン]を等モルの2’-ブロモ-10-フェニル-10H-スピロ[アクリジン-9,9’-フルオレン]に変更し、2-クロロベンゾオキサゾールを等モルの2-(4-クロロフェニル)ベンゾチアゾールに変更する以外、他のステップを同じにし、3.14gの化合物219を得た。HPLC検出固定純度≧99.9%。マススペクトルm/z,理論値:901.2585,実測値:901.2607。理論元素含有量(%)C6339:C,83.88;H,4.36;N,4.66,実測元素含有量(%):C,83.74;H,4.41;N,4.74。
【0153】
合成実施例23:化合物244の調製
合成実施例9における2-ブロモスピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン]を等モルの9’-[9H]フルオレン],3’-ブロモ-10,10-ジメチル-スピロ[9(10H)-アントラセン]に変更し、2-クロロベンゾオキサゾールを等モルの5-ブロモ-1,2-ジフェニル-1H-ベンゾイミダゾールに変更する以外、他のステップを同じにし、3.11gの化合物244を得た。HPLC検出固定純度≧99.9%。マススペクトルm/z,理論値:970.4035,実測値:970.4072。理論元素含有量(%)C7250:C,89.04;H,5.19;N,5.77,実測元素含有量(%):C,89.18;H,5.08;N,5.72。
【0154】
合成実施例24:化合物201の調製
合成実施例1における2-ブロモスピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン]を等モルの2’-ブロモスピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン]に変更し、4-クロロフェニルボロン酸を等モルの3-クロロフェニルボロン酸に変更する以外、他のステップを同じにし、2.88gの化合物201を得た。HPLC検出固定純度≧99.9%。マススペクトルm/z,理論値:718.2256,実測値:718.2291。理論元素含有量(%)C5130:C,85.22;H,4.21;N,3.90,実測元素含有量(%):C,85.33;H,4.26;N,3.80。
【0155】
合成実施例2~24の目標化合物は次のとおりであった。
【0156】
【化48】
【0157】
合成実施例25:化合物II-1の調製
【0158】
【化49】
【0159】
窒素の保護下で1Lの反応フラスコにトルエン(600mL)、a-1(20.00g,0.06mol)、b-1(23.83g,0.06mol)、醋酸パラジウム(0.21g,0.93mmol)、t-ブトキシナトリウム(11.3g,0.117mol)及びトリ-t-ブチルホスフィン(8mLのトルエン溶液)を順に加えた。且つ還流の条件下で2時間反応させた。反応停止した後に、混合物を室温まで冷却し、セライトで濾過し、濾液を濃縮し、メタノールで再結晶し、吸引濾過してメタノールでリンスして再結晶固体を得て、中間体A-1(30.41g,収率78%)を得て、HPLC検出固定純度≧99.7%であった。
【0160】
窒素の保護下で1Lの反応フラスコにトルエン溶剤(600ml)、c-1(5.83g,36mmol)、中間体A-1(23.39g,36mmol)、Pd(dba)(330mg,0.36mmol)、BINAP(0.67g,1.08mmol)及びt-ブトキシナトリウム(3.23g,33.6mmol)を順に加え、攪拌して溶解させ、窒素の保護下で24時間還流反応させ、反応完了した後に、反応液をジクロロメタンと蒸留水で洗浄し、分液抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過した後に、溶剤を除去し、シクロヘキサン:酢酸エチル=10:1を溶離剤としてカラムクロマトグラフィーで分離、純化及び精製し、最後に化合物II-1(17.89g,収率68%)を得て、HPLC検出固定純度≧99.1%であった。
【0161】
マススペクトルm/z,理論値:730.3396,実測値:730.3425。理論元素含有量(%)C5634N:C,92.02;H,6.07;N,1.92,実測元素含有量(%):C,92.02;H,6.08;N,1.89。
【0162】
合成実施例25と同じ方法に従って下記の目標生成物を調製した。
化合物II-47(17.43g)であり、HPLC検出固定純度≧99.2%であった。マススペクトルm/z:782.3693(理論値:782.3678)。理論元素含有量(%)C6034N:C,92.03;H,6.18;N,1.79,実測元素含有量(%):C,92.05;H,6.18;N,1.78。
化合物II-70(19.18g)であり、HPLC検出固定純度≧99.2%であった。マススペクトルm/z:806.3798(理論値:806.3709)。理論元素含有量(%)C6238N:C,92.27;H,5.99;N,1.74,実測元素含有量(%):C,92.29;H,5.99;N,1.74。
化合物II-78(19.82g)であり、HPLC検出固定純度≧99.6%であった。マススペクトルm/z:859.4209(理論値:859.4178)。理論元素含有量(%)C6653N:C,92.16;H,6.21;N,1.63,実測元素含有量(%):C,92.16;H,6.28;N,1.60。
化合物II-85(18.19g)であり、HPLC検出固定純度≧99.7%であった。マススペクトルm/z:801.3411(理論値:801.3396)。理論元素含有量(%)C6243N:C,92.85;H,5.40;N,1.75,実測元素含有量(%):C,92.83;H,5.40;N,1.70。
化合物II-90(20.13g)であり、HPLC検出固定純度≧98.8%であった。マススペクトルm/z:859.4197(理論値:859.4178)。理論元素含有量(%)C6653N:C,92.16;H,6.21;N,1.63,実測元素含有量(%):C,92.10;H,6.20;N,1.62。
化合物II-102(18.92g)であり、HPLC検出固定純度≧99.3%であった。マススペクトルm/z:875.3584(理論値:875.3552)。理論元素含有量(%)C6845N:C,93.22;H,5.18;N,1.60,実測元素含有量(%):C,93.24;H,5.15;N,1.53。
【0163】
上記目標化合物は次のとおりであった。
【0164】
【化50】
【0165】
素子の実施例
有機物の説明:すべての有機材料は昇華したものであり、純度は99.99%以上であった。
【0166】
基板の説明:ガラス基板を、5%のガラス洗浄液で20分間ずつ2回超音波洗浄してから、脱イオン水で10分間ずつ2回超音波洗浄した。アセトンとイソアセトンを順に用いて20分間超音波洗浄し、120℃で乾燥させた。
【0167】
蒸着システムの説明:素子の製造は真空蒸着システムを用いて真空の中断されない条件下で連続蒸発して製造を完了した。使用される材料は、異なる蒸発源の石英るつぼにそれぞれあり、蒸発源の温度を個別に制御可能であった。有機材料又はドープされた母体有機材料の熱蒸発速度は、一般に0.1nm/sであり、ドーピング材料の蒸発速度は、ドーピング比で調整し、電極金属の蒸発速度は、0.4~0.6nm/sであった。処理したガラス基板をOLED真空フィルムコータに配置し、フィルムの製造過程で、システムの真空度5×10-5Pa以下に維持する必要があり、マスク板を交換することにより、有機層と金属電極をそれぞれ蒸着し、InficonのSQM160石英結晶膜厚検出器で蒸着速度を検出し、石英結晶発振器で膜厚を検出した。
【0168】
テストシステムの説明:テストソフトウェア、コンピュータ、米国Keithley社製のK2400デジタルソースメータ、及び米国Photo Research社のPR788スペクトル走査輝度計により、連合IVLテストシステムを構成して有機電界発光素子の駆動電圧、発光効率などをテストした。
【0169】
実施例1:有機電界発光素子1の製造
ITO透明電極上でHAT-CNを熱蒸着して正孔注入層とし、蒸着厚度を10nmにし、正孔注入層上でNPBを熱蒸着して正孔輸送層とし、蒸着厚度を50nmにし、正孔輸送層上でGH-1:GH-2:GD=47.5:47.5:5を熱蒸着して発光層とし、蒸着厚度を30nmにし、発光層上で本発明の化合物1を熱蒸着して正孔ブロッキング層とし、蒸着厚度を5nmにし、正孔ブロッキング層上でET-1:Liq=50:50を熱蒸着して電子輸送層とし、蒸着厚度を30nmにし、電子輸送層上でLiqを熱蒸着して電子注入層とし、蒸着厚度を1nmにし、電子注入層上でAlを熱蒸着して陰極とし、蒸着厚度を150nmにした。
【0170】
有機電界発光素子1の素子構造は次のとおりであった。
ITO/HAT-CN(10nm)/NPB(50nm)/GH-1:GH-2:GD=47.5:47.5:5(30nm)/化合物1(5nm)/ET-1:Liq=50:50(30nm)/Liq(1nm)/Al(150nm)。
【0171】
実施例2~11:有機電界発光素子2~11の製造
実施例1において正孔ブロッキング層における化合物1をそれぞれ化合物6、化合物19、化合物22、化合物29、化合物37、化合物57、化合物77、化合物173、化合物219、化合物244に変更する以外、他のステップを同じにし、有機電界発光素子2~11を得た。
【0172】
実施例12:有機電界発光素子12の製造
ITO透明電極上でHAT-CNを熱蒸着して正孔注入層とし、蒸着厚度を10nmにし、正孔注入層上でNPBを熱蒸着して正孔輸送層とし、蒸着厚度を50nmにし、正孔輸送層上で本発明の化合物II-21を熱蒸着して発光補助層とし、蒸着厚度を10nmにし、発光補助層上でGH-1:GH-2:GD=47.5:47.5:5を熱蒸着して発光層とし、蒸着厚度を30nmにし、発光層上で本発明の化合物1を熱蒸着して正孔ブロッキング層とし、蒸着厚度を5nmにし、正孔ブロッキング層上でET-1:Liq=50:50を熱蒸着して電子輸送層とし、蒸着厚度を30nmにし、電子輸送層上でLiqを熱蒸着して電子注入層とし、蒸着厚度を1nmにし、電子注入層上でAlを熱蒸着して陰極とし、蒸着厚度を150nmにした。
【0173】
有機電界発光素子12の素子構造は次のとおりであった。
ITO/HAT-CN(10nm)/NPB(50nm)/化合物II-21(10nm)/GH-1:GH-2:GD=47.5:47.5:5(30nm)/化合物1(5nm)/ET-1:Liq=50:50(30nm)/Liq(1nm)/Al(150nm)。
【0174】
実施例13~25:有機電界発光素子13~25の製造
実施例12において正孔ブロッキング層における化合物1をそれぞれ化合物42、化合物43、化合物51、化合物65、化合物71、化合物95、化合物102、化合物106、化合物108、化合物153、化合物164、化合物201、化合物250に変更し、発光補助層における化合物II-21をそれぞれ化合物II-102、化合物II-1、化合物II-47、化合物II-70、化合物II-119、化合物II-85、化合物II-77、化合物II-79、化合物II-76、化合物II-159、化合物II-90、化合物II-73、化合物II-78に変更する以外、他のステップを同じにし、有機電界発光素子13~25を得た。
【0175】
比較例1~3:比較有機電界発光素子1~3の製造
実施例1において正孔ブロッキング層における化合物1をそれぞれ化合物R-1、化合物R-2、化合物R-3に変更する以外、他のステップを同じにし、比較有機電界発光素子1~3を得た。
【0176】
比較例4~6:比較有機電界発光素子4~6の製造
実施例12において正孔ブロッキング層における化合物1をそれぞれ化合物1、化合物R-1、化合物R-1に変更し、発光補助層における化合物II-1をそれぞれ化合物HT-1、化合物HT-2、化合物HT-2に変更する以外、他のステップを同じにし、比較有機電界発光素子4~6を得た。
【0177】
【化51】
【0178】
本発明の実施例1~25及び比較例1~6で製造された有機電界発光素子の発光特性のテスト結果は表1に示した。
【0179】
【表1】
【0180】
表1から、素子1~11は、比較素子1~3よりも低い駆動電圧及び高い発光効率を有することが分かった。これは、本発明の式Iの複素環誘導体が良好な電子移動度及び良好な正孔ブロッキング性能を有し、発光層内で正孔を効果的にブロッキング可能であることにより、電子及び正孔が発光層内で励起子を効果的に形成することができることを示した。
【0181】
有機電界発光素子12~25は、比較素子4~6と比べて、駆動電圧がより低く、発光効率がより高い。これは、本発明の式IIで示されるトリフェニルアミン化合物の正孔移動度が高くて正孔を効果的に輸送できることを示しているとともに、式Iの複素環誘導体を含む正孔ブロッキング層が所在する電子輸送領域と、式IIのトリフェニルアミン化合物を含む発光補助層が所在する正孔輸送領域とが、電子及び正孔の注入と輸送に対するバランスが良好で、励起子のクエンチングを低減し、キャリアの再結合確率を向上させるため、素子の駆動電圧がより低く、発光効率がより高いことを示した。
【0182】
なお、本発明は個々の実施形態で具体的に説明されているが、本発明の原理から逸脱しない前提で、当業者は本発明に様々な形態又は細部に対する改善を加えることができ、これらの改善も本発明の保護範囲内に入る。
図1
図2
図3
図4