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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】超音波プローブ
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20230414BHJP
   H04R 17/00 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
A61B8/14
H04R17/00 330H
H04R17/00 330J
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019126499
(22)【出願日】2019-07-05
(65)【公開番号】P2021010611
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000232483
【氏名又は名称】日本電波工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003018
【氏名又は名称】弁理士法人プロテクトスタンス
(72)【発明者】
【氏名】亀山 和俊
(72)【発明者】
【氏名】和田 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】志村 勇
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-289597(JP,A)
【文献】特開昭62-090141(JP,A)
【文献】特開2000-261891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00
H04R 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方体形状の圧電体を短辺方向に多数配列した、超音波の送受信部用の圧電体群と、
前記圧電体群の第1面に設けた第1電極と、
前記圧電体群の前記第1面とは反対面である第2面に設けた第2電極と、
前記第1電極の上方に設けた整合層と、
前記整合層の上方に設けた音響レンズと、
前記圧電体群の各圧電体の長辺方向の両端領域での前記超音波の送受信を抑制する送受信抑制部と、を備え、
前記送受信抑制部は、前記整合層が前記長辺方向の両端領域で所定幅だけ形成されていない構成であり、前記第1電極の上方で且つ前記長辺方向の両端領域には、前記所定幅で前記超音波を吸音する吸音領域が配置される構成である、超音波プローブ。
【請求項2】
前記吸音領域は、前記圧電体群より音響インビーダンスが小さい材料が配置されている請求項1に記載の超音波プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、超音波の送受信を行う超音波プローブに関し、超音波画像に生じる線状のアーチファクトを低減することが可能な超音波プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
被検体内を超音波で走査し、被検体内からの反射波から生成した受信信号に基づいて被検体の内部状態を画像化する超音波診断装置が知られている。このような超音波診断装置は、圧電振動子を備えた超音波プローブにより被検体内に超音波を送信し、被検体内部で音響インピーダンスの不整合によって生じる反射波を超音波プローブで受信して受信信号を生成する。
【0003】
超音波プローブは、送信信号に基づいて振動して超音波を発生し、反射波を受けて受信信号を生成する長方体形状の圧電振動子を短辺方向に複数配置している。このような超音波プローブのうち、リニアプローブ(又はアレイプローブとも呼ぶ)では、図4(B)に示されるように、被検体の表面から浅い水距離に線状のアーチファクトHR(以下、水平反射像という)が生じることがある。
【0004】
【文献】特開2012?109942号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題を解決するものであり、超音波プローブの高感度を確保した上で、水平反射像を低減することが可能な超音波プローブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の超音波プローブは、長方体形状の圧電体を短辺方向に多数配列した、超音波の送受信部用の圧電体群と、圧電体群の第1面に設けた第1電極と、圧電体群の前記第1面とは反対面である第2面に設けた第2電極と、第1電極の上方に設けた整合層と、整合層の上方に設けた音響レンズと、を備える。さらに超音波プローブは、圧電体群の各圧電体の長辺方向の両端領域での超音波の送受信を抑制する送受信抑制部と、を備える。
【0007】
別の実施形態では、送受信抑制部は、第1電極が圧電体の長辺方向の一端領域で所定幅だけ形成されず、長辺方向の他端領域から圧電体の側面を介して第2面に所定幅だけ伸びて形成された構成である。
【0008】
別の実施形態では、送受信抑制部は、圧電体が長辺方向の両端領域で所定幅だけ分極されていない構成である。
【0009】
さらに別の実施形態では、送受信抑制部は、整合層が長辺方向の両端領域で所定幅だけ形成されていない構成であり、第1電極の上方で且つ長辺方向の両端領域には、所定幅で超音波を吸音する吸音領域が配置される構成である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の超音波プローブは、水平反射像を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る超音波プローブの概略構成を示す斜視図である。
図2】(A)は、超音波プローブ100の概略構成を示す断面図であり、(B)及び(C)は、各領域の拡大図である。
図3】(A)及び(B)は、従来の超音波プローブ500、および超音波プローブ500で生じる超音波の伝搬状態の概念図である。
図4】(A)は、超音波プローブ100を使って撮影したBモード表示画像である。(B)は、従来の超音波プローブ500を使って撮影したBモード表示画像である。
図5】(A)は、超音波プローブ100で送受信させた場合の受信電圧ピーク値である。(B)は、従来の超音波プローブ500で送受信させた場合の受信電圧ピーク値である。
図6】(A)は、第2実施形態の超音波プローブ200の概略構成を示す断面図であり、(B)及び(C)は、各領域の拡大図である。
図7】(A)は、第3実施形態の超音波プローブ300の概略構成を示す断面図であり、(B)及び(C)は、各領域の拡大図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この発明の実施形態に係る超音波プローブについて、図面を参照しつつ説明する。なお、説明に用いる各図は発明を理解できる程度に概略的に示してあり、大きさ、角度又は厚み等は誇張して描いている。また説明に用いる各図において、同様な構成成分については同一の符号を付して、その説明を省略している。また、以下の実施形態中で述べる形状、寸法、材質等はこの発明の範囲内の好適例に過ぎない。
【0013】
[第1実施形態]
<第1実施形態の超音波プローブ100の構成>
図1は、第1実施形態に係る超音波プローブ100の概略構成を示す斜視図である。超音波プローブはヘッド側とケーブル側とからなり、図1は超音波プローブのヘッド側の内部構成がわかるように描かれた図である。
【0014】
図1に示すように、超音波プローブ100は少なくとも、直方体形状のバッキング材102と、X軸方向(短辺方向)に多数配列した長方体形状の圧電体106と、直方体形状の第1音響整合層108と、直方体形状の第2音響整合層110と、半円柱形状の音響レンズ112とを有する。
【0015】
バッキング材102は、圧電体106から発振された超音波振動や受信時の超音波振動のうち、超音波診断装置の画像抽出にとって必要でない超音波振動成分を減衰吸収する。バッキング材102には、一般的に、フェライトゴム、エポキシ樹脂又はウレタンゴムなどにマイクロバルーンなどを混入した材料が用いられる。
【0016】
圧電体106は、超音波の送受信を行う。圧電体106は、所定厚さ(Z軸方向)を有し、長方体形状の長辺方向(Y軸方向)に例えば4mmから6mmの長さを有する長方体形状であり、圧電体106は短辺方向(X軸方向)に多数配列されて圧電体群を形成している。一つ一つの圧電体106は、圧電振動子を長辺方向にダイシングすることにより作製される。圧電体106は、例えばチタン酸ジリコン酸鉛Pb(Zr、Ti)O3、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、チタン酸バリウム(BaTiO3)又はチタン酸鉛(PbTiO3)などのセラミック材料からなる。複数の圧電体106は、前面側(+Z軸側)と背面側(-Z軸側)とに第1電極123及び第2電極124(図2を参照)を有する。
【0017】
第1音響整合層108は、圧電体106の超音波放射面側に設けられる。第2音響整合層110は、第1音響整合層108の前面側に設けられる。
【0018】
第1音響整合層108は、例えばカーボン、酸化物含有エポキシ樹脂の材料から作製されることが好ましい。第2音響整合層110は、例えばエポキシシリコンまたはポリエチレン系樹脂材料から作られることが好ましい。なお、図示しないが、音響整合層が3層であってもよい。複数の音響整合層が圧電体106の超音波放射面側に設けられている場合、音響整合層各々の音響インピーダンスは、圧電体106から音響レンズ112に向けて段階的に小さくなっている。
【0019】
音響レンズ112は、第2音響整合層110の前面側(+Z軸側)に設けられる。被検体の体表面に接触して超音波の送受信の仲介を行う。この音響レンズ112により、体表より所定の深さに長辺方向の音響的な焦点を結ぶ。また、短辺方向の音響的な焦点は、短辺方向に短冊状に配置された複数の圧電振動子部の送信/受信のタイミングを切り替え制御することにより調整される。
【0020】
図2(A)は、第1実施形態に係る超音波プローブ100の概略構成を示す断面図である。図2(B)は、図2(A)の円で囲ったB領域の拡大図であり、図2(C)は、図2(A)の円で囲ったC領域の拡大図である。
【0021】
図2(A)に示されるように、バッキング材102の±Y軸側には、導電路が形成されたフレキシブル基板などの信号箔122が配置されている。それぞれの信号箔122は、超音波放射面側(+Z軸側)の第1電極123又は背面側(-Z軸側)の第2電極124につながっている。これら信号箔122を介して信号が送られ圧電体106から超音波が+Z軸方向に放射される。圧電体106は、Y軸方向に長さL1、例えば4mmから6mmである。また、圧電体106の短辺寸法は、長辺寸法Lより十分短い寸法であり、圧電体106の厚さに対する比で適正化される寸法である。また第1音響整合層108及び第2音響整合層110もY軸方向に長さL1を有する。超音波プローブ100は、バッキング材102、信号箔122、圧電体106、第1音響整合層108及び第2音響整合層110自体及びそれらの配線等を保護するため、これらを覆う保護層116を有する。また保護層116の周囲にはケース118が設けられている。
【0022】
第1実施形態に係る第1電極123及び第2電極124について、さらに説明する。
図2(B)に示されるように、圧電体106の超音波放射面側(+Z軸側)の+Y軸側端部(長辺方向の端部)には、第1電極123が距離(Y軸方向)L2だけ設けられていない。圧電体106の背面側(-Z軸側)の+Y軸側端部には、第2電極124が設けられており、第2電極124と信号箔122とが導通している。第2電極124に対向する第1電極123が設けられていないため、圧電体106の+Y軸端(長辺方向の端部)は励振されない。特に図示されていないが、第2電極124も距離L2だけ設けられていなくてもよい。この場合には、信号箔122が-Y軸方向に伸びて短くなった第2電極124と導通することが好ましい。
【0023】
図2(C)に示されるように、圧電体106の超音波放射面側(+Z軸側)の-Y軸側端部(長辺方向の端部)では、第1電極123が圧電体106の側面を介して圧電体106の背面側(-Z軸側)まで伸びている。背面側(-Z軸側)の第1電極123は、距離(Y軸方向)L2よりも短い。圧電体106の背面側(-Z軸側)の-Y軸側端部では、第1電極123が信号箔122と導通している。背面側(-Z軸側)の第2電極124は、-Y軸側端部にて、距離(Y軸方向)L2だけ設けられていない。そのため背面側では、第1電極123と第2電極124との間には隙間L3が設けられている。第2電極124が、-Y軸側端部にて、距離L2だけ設けられていないため、然も、-Y軸側端部は、第1電極123が回り込んでいて両面が同電位であるため、圧電体106の-Y軸端(長辺方向の端部)は励振されない。特に図示されていないが、背面側の第2電極124が、-Y軸側端部に-Y軸端まで伸びており、超音波放射面側(+Z軸側)の第1電極123が-Y軸側端部にて、距離L2だけ設けられていなくてもよい。この場合、信号箔122が、超音波放射面側(+Z軸側)で+Y軸方向に伸びて第1電極123と導通することが好ましい。
【0024】
圧電体106のY軸方向に長さL1に対して、第1電極123又は第2電極124の設けられていない幅L2は、5%から15%である。圧電体106の両側に幅L2が設けられているので、圧電体106の超音波振動する領域(L1-2×L2)は、幅L1の中央領域の70%から90%である。
【0025】
<第1実施形態の超音波プローブ100と従来例の超音波プローブ500との比較>
図3は、従来の超音波プローブ500、および超音波プローブ500で生じる超音波の伝搬状態の概念図である。図4(A)は、第1実施形態の超音波プローブ100を使ってあるファントム(検証用モデル)を撮影したBモード表示画像である。図4(B)は、従来の超音波プローブ500を使って同じファントムを撮影したBモード表示画像である。図5(A)は、第1実施形態の超音波プローブ100で送受信させた場合を、シミュレーションソフトウエアにより作成した受信電圧ピーク値である。図5(B)は、従来の超音波プローブ500で送受信させた場合を、シミュレーションソフトウエアにより作成した受信電圧ピーク値である。
【0026】
図3を参照して、従来例の超音波プローブ500の構造について説明する。図2と同じ部材には同じ符号が付されている。第1実施形態の超音波プローブ100と超音波プローブ500とで異なる部材は、第1電極523及び第2電極524である。第1電極523は、圧電体106の超音波放射面側(+Z軸側)で圧電体106と同じ幅L1で設けられている。同様に、第2電極524は、圧電体106の背面側(-Z軸側)で圧電体106と同じ幅L1で設けられている。なお、片方の信号箔522が、圧電体106の超音波放射面側(+Z軸側)まで伸びている点も第1実施形態と異なっている。
【0027】
図4(A)及び(B)で示されるように、第1実施形態の超音波プローブ100を使ったBモード表示画像では、水平反射像HRが生じていない。一方、従来例の超音波プローブ500を使ったBモード表示画像では、水平反射像HRが生じている。なお図4に示された、符合A0、符合A1及び符合A2は、以下で説明する受信電圧ピーク値に相当する領域を示している。
【0028】
図5(A)及び(B)で示される図は、縦軸が受信電圧ピーク値(V)であり、横軸が時間である。超音波プローブ100の受信電圧ピーク値は、図5(A)に示されるように、時間T0と時間T1との時間帯に0.1Vの受信電圧ピーク値A0を有し、時間T1と時間T2との時間帯に0.03Vの受信電圧ピーク値A1を有している。時間T2以降には特に大きな受信電圧ピーク値はない。一方、従来の超音波プローブ500の受信電圧ピーク値は、図5(B)に示されるように、時間T0と時間T1との時間帯に0.1Vの受信電圧ピーク値A0を有し、時間T1と時間T2との時間帯に0.03Vの受信電圧ピーク値A1を有し、さらに時間T4と時間T5との時間帯に0.01Vの受信電圧ピーク値A2を有している。
【0029】
再び図4(B)に戻ると、図5(B)に示された受信電圧ピーク値A2が、水平反射像HRを生じさせていることが理解できる。図3を使って水平反射像HRを生じさせる原因を説明する。図3(A)に示されるように、超音波プローブ500は、圧電体106の超音波放射面側(+Z軸側)から矢印RR1方向に超音波AC1を送信する。超音波AC1の送信後に時間的に遅れて、圧電体106の長辺方向の両端(±Y軸)から、矢印RR2方向に超音波AC2が発生している。
【0030】
すると図3(B)に示されるように、超音波AC2は音響レンズ112の表面で矢印RR3方向に反射され、圧電体106が反射された超音波AC3を受信する。この受信した超音波AC3が、受信電圧ピーク値A2となっていると考えられる。第1実施形態の超音波プローブ100は、圧電体106の長辺方向の両端(±Y軸)から超音波AC2が送信されないため、受信電圧ピーク値A2を生じさせていない。
【0031】
[第2実施形態]
<第2実施形態の超音波プローブ200の構成>
図6(A)は、第2実施形態に係る超音波プローブ200の概略構成を示す断面図である。図6(B)は、図6(A)の円で囲ったB領域の拡大図であり、図6(C)は、図6(A)の円で囲ったC領域の拡大図である。
【0032】
第2実施形態の超音波プローブ200の構造について説明する。図2と同じ部材には同じ符号が付されている。第1実施形態の超音波プローブ100と第2実施形態の超音波プローブ200とで異なる部材は、第1電極223及び第2電極224である。第1電極223は、圧電体106の超音波放射面側(+Z軸側)で圧電体106と同じ幅L1で設けられている。同様に、第2電極224は、圧電体106の背面側(-Z軸側)で圧電体106と同じ幅L1で設けられている。なお、片方の信号箔222が、圧電体106の超音波放射面側(+Z軸側)まで伸びている点も第1実施形態と異なっている。
【0033】
また、圧電体106は、長辺方向の両端(±Y軸)に幅L2の非分極領域206が形成されている点でも第1実施形態と異なる。第1電極223及び第2電極224のY軸方向の長さが幅L1であり信号が入力されても、非分極領域206から超音波が送信されない。このため、図3から図5で説明したように、第2実施形態の超音波プローブ200を使ったBモード表示画像では、水平反射像HRが生じない。
【0034】
単結晶圧電体106に幅L2の非分極領域206を形成する方法として、例えば、圧電体106の長手方向の両端の寸法L2の部分にレーザを照射して、圧電性を喪失させる方法を用いることができる。
【0035】
なお、第2実施形態の第1電極223及び第2電極224は、幅L1で設けられていたが、第1実施形態の第1電極123及び第2電極124と同様に、長辺方向の両端で、距離(Y軸方向)L2だけ設けられていないものであってもよい。非分極領域206を幅L2だけ正確に、非分極することが困難な場合には有効である。
【0036】
[第3の実施形態]
<第3実施形態の超音波プローブ300の構成>
図7(A)は、第3実施形態に係る超音波プローブ300の概略構成を示す断面図である。図7(B)は、図7(A)の円で囲ったB領域の拡大図であり、図7(C)は、図7(A)の円で囲ったC領域の拡大図である。
【0037】
第3実施形態の超音波プローブ300の構造について説明する。図2と同じ部材には同じ符号が付されている。第1実施形態の超音波プローブ100と第3実施形態の超音波プローブ300とで異なる部材は、第1電極323及び第2電極324である。第1電極323は、圧電体106の超音波放射面側(+Z軸側)で圧電体106と同じ幅L1で設けられている。同様に、第2電極324は、圧電体106の背面側(-Z軸側)で圧電体106と同じ幅L1で設けられている。なお、片方の信号箔222が、圧電体106の超音波放射面側(+Z軸側)まで伸びている点も第1実施形態と異なっている。
【0038】
また、第1音響整合層308及び第2音響整合層310は、長辺方向の両端(±Y軸)に幅L2の音響インピーダンス不整合領域315又は吸音領域315が形成されている点で第1実施形態と異なる。当該領域315は、圧電体106から発生する超音波を反射もしくは吸音する領域であり、当該領域315の音響インピーダンスが圧電体106の音響インピーダンスと大きく異なる材料であれば超音波を反射もしくは吸音することができる。当該領域315に、音響インピーダンスが小さい材質である例えばゴムが配置されてもよく、空隙にして空気等の気体であってもよい。また吸音領域315に、音響インピーダンスが大きい材質である例えば質量が大きな材料(例えば金属)が配置されてもよい。
【0039】
圧電体106、第1電極323及び第2電極324のY軸方向の長さが幅L1であっても、吸音領域315から超音波が送信されない。このため、図3から図5で説明したように、第3実施形態の超音波プローブ300を使ったBモード表示画像では、水平反射像HRが生じない。
【0040】
なお、圧電体106、第3実施形態の第1電極323及び第2電極324は、幅L1で設けられていたが、第1実施形態の第1電極123及び第2電極124と同様に、長辺方向の両端で、距離(Y軸方向)L2だけ設けられていないものであってもよい。また第3実施形態の超音波プローブ300にも第2実施形態の非分極領域206が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0041】
100,200,300 … 超音波プローブ
102 … 背面材
106 … 圧電体
108、308 … 第1音響整合層
110、310 … 第2音響整合層
112 … 音響レンズ
116 … 保護層
118 … ケース
122 … 信号箔
123、223、323 … 第1電極
124、224、324 … 第2電極
206 … 非分極領域
315 … インピーダンス不整合領域又は吸音領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7