(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】半導体処理ツールとの随意の統合を伴うスマートバイブレーションウエハ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20230414BHJP
B25J 13/08 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J13/08 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018016053
(22)【出願日】2018-02-01
【審査請求日】2021-01-29
(32)【優先日】2017-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・エス.・タウラド
(72)【発明者】
【氏名】アルセルバム・シモン・ジェヤパラン
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・エム.・ブランク
(72)【発明者】
【氏名】タイソン・リー・リンゴールド
(72)【発明者】
【氏名】ビクター・エデュアルド・エスピノサ・ ザ サード
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-146416(JP,A)
【文献】特開2009-012107(JP,A)
【文献】特開2006-155362(JP,A)
【文献】特開2006-310349(JP,A)
【文献】特開2011-253844(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0214091(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B25J 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理ツールの特性を評価するための装置であって、
半導体処理ツールの中でウエハハンドリングロボットのエンドエフェクタによって運ばれる大きさのプラットフォームと、
第1の加速度計と、
第2の加速度計と、
1つ以上のプロセッサと、前記1つ以上のプロセッサに操作可能に接続されているメモリとを含むコントローラとを備え、
前記第1の加速度計及び前記第2の加速度計は、2軸加速度計又は3軸加速度計であり、前記プラットフォームに垂直な方向に沿って見たときに、前記プラットフォーム上の、前記装置の重心と交差する共通軸に沿って隔たれた場所に位置決めされ、
前記メモリは、前記1つ以上のプロセッサが、
前記第1の加速度計及び前記第2の加速度計によって生成された加速度データを取得し、
前記加速度データを使用して前記プラットフォームの面内における前記装置の前記重心を中心とする回転加速度を決定する、
ように制御するためのコンピュータ実行可能命令を格納する、
装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記加速度データは、前記共通軸に平行な前記第1の加速度計の第1の軸に沿う加速度の大きさ及び前記第1の軸に垂直な前記第1の加速度計の第2の軸に沿う加速度の大きさを示す前記第1の加速度計からのデータを含み、
前記加速度データは、更に、前記共通軸に平行な前記第2の加速度計の第1の軸に沿う加速度の大きさ及び前記第1の軸に垂直な前記第2の加速度計の第2の軸に沿う加速度の大きさを示す前記第2の加速度計からのデータを含む、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、
前記加速度データを使用して前記プラットフォームの面内における前記装置の前記重心を中心とする回転加速度を決定するように前記1つ以上のプロセッサを制御するための前記コンピュータ実行可能命令は、
前記装置の前記重心における、前記第2の軸に平行な軸に沿う重心(CG)加速度の大きさを決定するように、
少なくとも一部には、前記第1の加速度計からの前記第2の軸に沿う前記加速度の大きさから前記CG加速度の大きさを減算することによって、第1の接線加速度の大きさを決定するように、
少なくとも前記第1の接線加速度の大きさ、及び前記プラットフォームの前記面内における前記第1の加速度計と前記装置の前記重心との間の距離を使用して、前記回転加速度を決定するように、
前記1つ以上のプロセッサを制御するための命令を含む、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、更に、
前記プラットフォーム上に位置決めされ且つ前記装置の前記重心に位置付けられた第3の加速度計を備え、
前記加速度データは、更に、前記第1の加速度計の前記第2の軸に平行な軸に沿う加速度の大きさを示す前記第3の加速度計からのデータを含み、
前記CG加速度の大きさを決定するように前記1つ以上のプロセッサを制御するための前記命令は、前記第1の加速度計の前記第2の軸に平行な前記軸に沿う前記第3の加速度計からの前記加速度の大きさを、前記CG加速度の大きさとして前記1つ以上のプロセッサに使用させる、装置。
【請求項5】
請求項3に記載の装置であって、
前記第1の加速度計及び前記第2の加速度計は、前記装置の前記重心から等距離にあり、
前記CG加速度の大きさを決定するように前記1つ以上のプロセッサを制御するための命令は、前記CG加速度の大きさを得るために、前記第1の加速度計からの前記第2の軸に沿う前記加速度の大きさと、前記第2の加速度計からの前記第2の軸に沿う前記加速度の大きさとを前記1つ以上のプロセッサに平均化させる、装置。
【請求項6】
請求項3に記載の装置であって、
前記加速度データを使用して前記プラットフォームの面内における前記装置の前記重心を中心とする回転加速度を決定するように前記1つ以上のプロセッサを制御するための前記コンピュータ実行可能命令は、さらに、前記1つ以上のプロセッサに、
少なくとも一部には、前記第2の加速度計からの前記第2の軸に沿う前記加速度の大きさから前記CG加速度の大きさを減算することによって、第2の接線加速度の大きさを決定させ、
少なくとも前記第1の接線加速度の大きさ、前記プラットフォームの前記面内における前記第1の加速度計と前記装置の前記重心との間の距離、前記第2の接線加速度の大きさ、及び前記プラットフォームの前記面内における前記第2の加速度計と前記装置の前記重心との間の距離を使用して、前記回転加速度を決定させる、
命令を含む、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、
前記第1の加速度計及び前記第2の加速度計は、2軸加速度計又は3軸加速度計であり、
前記加速度データは、前記共通軸に平行な前記第1の加速度計の第1の軸に沿う加速度の大きさ及び前記第1の軸に垂直な前記第1の加速度計の第2の軸に沿う加速度の大きさを示す前記第1の加速度計からのデータを含み、
前記加速度データは、また、前記共通軸に平行な前記第2の加速度計の第1の軸に沿う加速度の大きさ及び前記第1の軸に垂直な前記第2の加速度計の第2の軸に沿う加速度の大きさを示す前記第2の加速度計からのデータを含み、
前記第1の加速度計及び前記第2の加速度計は、前記装置の前記重心から等距離間隔にあり、
前記コンピュータ実行可能命令は、
前記第1の加速度計の前記第1の軸に沿う加速度の大きさと、前記第2の加速度計の前記第1の軸に沿う加速度の大きさとを平均化することによって、前記第1の軸に平行な第1の重心(CG)軸に沿う前記装置の前記重心における第1のCG加速度の大きさを決定し、
前記第1の加速度計の前記第2の軸に沿う加速度の大きさと、前記第2の加速度計の前記第2の軸に沿う加速度の大きさとを平均化することによって、前記第2の軸に平行な第2のCG軸に沿う前記装置の前記重心における第2のCG加速度の大きさを決定するように、
前記1つ以上のプロセッサを制御するための命令を含む、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、
前記第1の加速度計及び前記第2の加速度計は、2軸加速度計又は3軸加速度計であり、
前記加速度データは、前記共通軸に平行な前記第1の加速度計の第1の軸に沿う加速度の大きさ及び前記第1の軸に垂直な前記第1の加速度計の第2の軸に沿う加速度の大きさを示す前記第1の加速度計からのデータを含み、
前記加速度データは、また、前記共通軸に平行な前記第2の加速度計の第1の軸に沿う加速度の大きさ及び前記第1の軸に垂直な前記第2の加速度計の第2の軸に沿う加速度の大きさを示す前記第2の加速度計からのデータを含み、
前記装置の前記重心が前記第1の加速度計と前記第2の加速度計との間にあるように、前記第1の加速度計は、前記装置の前記重心から第1の距離に位置決めされ、前記第2の加速度計は、前記装置の前記重心から第2の距離に位置決めされ、
前記コンピュータ実行可能命令は、
前記第2の加速度計からの前記第1の軸に沿う前記加速度の大きさを前記第1の距離と乗算したものと、前記第1の加速度計からの前記第1の軸に沿う前記加速度の大きさを前記第2の距離と乗算したものとの和を、前記第1の距離と前記第2の距離との和で除算することによって、前記第1の軸に平行な第1の重心(CG)軸に沿う前記装置の前記重心におけるCG加速度の大きさを決定し、
前記第2の加速度計からの前記第2の軸に沿う前記加速度の大きさを前記第1の距離と乗算したものと、前記第1の加速度計からの前記第2の軸に沿う前記加速度の大きさを前記第2の距離と乗算したものとの和を、前記第1の距離と前記第2の距離との和で除算することによって、前記第2の軸に平行な第2のCG軸に沿う前記装置の前記重心におけるCG加速度の大きさを決定するように、
前記1つ以上のプロセッサを制御するための命令を含む、装置。
【請求項9】
請求項7に記載の装置であって、更に、
前記プラットフォーム上に位置決めされ且つ前記装置の前記重心に位置付けられた第3の加速度計を備え、
前記コンピュータ実行可能命令は、更に、
第1の加速度差分を決定するために、前記第1の及び前記第2の加速度計の前記第1の軸に平行な軸に沿う前記第3の加速度計からの加速度の大きさを前記第1のCG加速度の大きさと比較し、
第2の加速度差分を決定するために、前記第1の及び前記第2の加速度計の前記第2の軸に平行な軸に沿う前記第3の加速度計からの加速度の大きさを前記第2のCG加速度の大きさと比較し、
前記第1の加速度差分と、前記第2の加速度差分と、前記第1の加速度差分及び前記第2の加速度差分とからなる群から選択された少なくとも1つの項目を第1の閾値と比較することによって、エラー条件が存在するかどうかを決定し、
前記エラー条件が存在するとの決定を受けて、第1のエラーコード信号を送信するように、
前記1つ以上のプロセッサを制御するための命令を含む、装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置であって、
前記コンピュータ実行可能命令は、更に、
前記第1の及び前記第2の加速度計の前記第2の軸に平行な軸に沿う、前記装置の前記重心におけるCG加速度の大きさを決定し、
少なくとも一部には、前記第1の加速度計からの前記第2の軸に沿う加速度の大きさから前記CG加速度の大きさを減算することによって、第1の接線加速度の大きさを決定し、
少なくとも一部には、前記第2の加速度計からの前記第2の軸に沿う前記加速度の大きさから前記CG加速度の大きさを減算することによって、第2の接線加速度の大きさを決定し、
a)前記第1の接線加速度の大きさが前記第2の接線加速度の大きさと方向が反対であるか否か、及びb)前記第1の接線加速度の大きさの絶対的大きさと前記第2の接線加速度の大きさの絶対的大きさとが互いから第2の閾値以内であるか否かを決定するために、前記第1の接線加速度の大きさを前記第2の接線加速度の大きさと比較し、
a)又はb)のいずれか又は両方が満たされないことを受けて、第2のエラーコード信号を送信するように、
前記1つ以上のプロセッサを制御するための命令を含む、装置。
【請求項11】
半導体処理ツールであって、
公称基板サイズを有する1枚以上の基板を内包する正面開口式一体型ポッド(FOUP)を受けるようにそれぞれ構成された1つ以上のロードポートを有する機器フロントエンドモジュール(EFEM)と、
1つ以上の半導体処理チャンバと、
前記EFEMと前記1つ以上の半導体処理チャンバとの間に挿入されているロードロックと、
テストウエハを受ける大きさである、前記EFEMの内または前記EFEMの隣に位置付けられているテストウエハ容器と、
前記EFEMの中に位置付けられ、前記1つ以上のロードポートと前記ロードロックとの間でウエハを搬送するように構成されているエンドエフェクタを有するウエハハンドリングロボットと、
1つ以上のプロセッサ及び1つ以上のメモリとを備え、
前記1つ以上のメモリは、
前記1つ以上の半導体処理チャンバに、前記1つ以上の半導体処理チャンバの中に置かれた基板に対して1つ以上の半導体処理動作を実施し、
前記ウエハハンドリングロボットに、前記基板に対して実施される前記半導体処理動作によって進められるスケジュールに従って前記1つ以上のロードポートと前記ロードロックとの間で基板を搬送させ、
前記ウエハハンドリングロボットに、前記テストウエハ容器から前記テストウエハを取り出すこと、前記テストウエハによって診断テストを実施すること、前記テストウエハを前記テストウエハ容器に戻すことを含むテストサイクルを、前記テストサイクルによって前記1つ以上のロードポートと前記ロードロックとの間における基板の搬送が中断されないように選択されたテスト期間中に実施させるように、
前記1つ以上のプロセッサを制御するためのコンピュータ実行可能命令を格納する、
半導体処理ツール。
【請求項12】
請求項11に記載の半導体処理ツールであって、更に、
テストウエハを備え、
前記テストウエハは、
前記ウエハハンドリングロボットの前記エンドエフェクタによって運ばれる大きさのプラットフォームと、
第1の加速度計と、
第2の加速度計とを備え、
前記第1の加速度計及び前記第2の加速度計は、前記プラットフォームに垂直な方向に沿って見たときに、前記プラットフォーム上の前記テストウエハの重心と交わる共通軸に沿って隔たれた場所に位置決めされ、
前記1つ以上のメモリはさらに、
前記第1の加速度計及び前記第2の加速度計から加速度データを取得するように、
前記1つ以上のプロセッサを制御するためのコンピュータ実行可能命令を格納する、
半導体処理ツール。
【請求項13】
請求項11に記載の半導体処理ツールであって、
前記テストウエハ容器は、前記EFEMに対して固定された場所と、前記テストウエハが前記EFEMから前記テストウエハ容器に挿入されることを可能にする大きさの開口によって前記テストウエハ容器が前記EFEMに接続されるように前記EFEMに隣接する場所と、前記EFEMの隅のうちの1つに位置決めされた場所とからなる群から選択された1つ以上の場所に位置決めされている、半導体処理ツール。
【請求項14】
請求項11に記載の半導体処理ツールであって、
前記テストサイクルは、更に、前記テストウエハ上の少なくとも1つの加速度計から導出されたデータを、前記テストウエハ上の少なくとも1つの他の加速度計から導出されたデータと比較することによって、前記テストウエハに対して加速度較正チェックを実施することを含む、半導体処理ツール。
【請求項15】
請求項11に記載の半導体処理ツールであって、
前記メモリは、
前記ウエハハンドリングロボットに、前記テストサイクル中に前記テストサイクルに関係付けられた1つ以上の動きを実施させ、
前記テストサイクル中に前記テストウエハ上の1つ以上の加速度計によって収集されたデータを受信し、
前記テストウエハ上の前記1つ以上の加速度計によって収集された前記データが、前記1つ以上の動きに関係付けられた1つ以上の基準に関わるテスト条件に合格するかどうかを決定し、
前記1つ以上の加速度計によって収集された前記データが前記テスト条件に合格しないとの決定を受けて、エラー条件信号を生成するように、
前記1つ以上のプロセッサを制御するためのコンピュータ実行可能命令を格納する、半導体処理ツール。
【請求項16】
請求項15に記載の半導体処理ツールであって、
前記メモリは、更に、基本のスケジュールに従って反復方式で前記テストサイクルを定期的に実施するように前記1つ以上のプロセッサを制御するためのコンピュータ実行可能命令を格納する、半導体処理ツール。
【請求項17】
請求項15に記載の半導体処理ツールであって、前記エラー条件信号は、前記ウエハハンドリングロボットが修理を必要とすることを示す情報を含む、半導体処理ツール。
【請求項18】
請求項12に記載の半導体処理ツールであって、
前記テストウエハはさらに、通信インターフェースを含み、
2以上のプロセッサおよび2以上のメモリが存在し、
前記2以上のプロセッサの少なくとも1つ、および前記2以上のメモリの少なくとも1つは、前記プラットフォームによって支持されているテストウエハコントローラの一部であり、前記2以上のプロセッサの少なくとも他の1つ、および前記2以上のメモリの少なくとも他の1つは、前記テストウエハとは別の装置内にあり、
前記テストウエハコントローラの前記少なくとも1つは、前記通信インターフェースを介して前記加速度データを前
記別の装置内に送信するように、前記テストウエハコントローラの前記少なくとも1つを制御するためのコンピュータ実行可能命令を格納する、半導体処理ツール。
【請求項19】
半導体処理ツールの特徴を評価するためのシステムであって、
プラットフォーム、第1の加速度計および第2の加速度計を含むテストウエハと、前記プラットフォームは半導体処理ツールの中でウエハハンドリングロボットのエンドエフェクタによって運ばれる大きさであり、
1つ以上のプロセッサと、前記1つ以上のプロセッサに操作可能に接続されているメモリとを含むコントローラとを備え、
前記第1の加速度計及び前記第2の加速度計は、2軸加速度計又は3軸加速度計であり、前記プラットフォームに垂直な方向に沿って見たときに、前記プラットフォーム上の、前記テストウエハの重心と交差する共通軸に沿って隔たれた場所に位置決めされ、
前記メモリは、前記1つ以上のプロセッサが、
前記第1の加速度計及び前記第2の加速度計によって生成された加速度データを取得し、
前記加速度データを使用して前記プラットフォームの面内における前記テストウエハの前記重心を中心とする回転加速度を決定する、
ように制御するためのコンピュータ実行可能命令を格納する、
システム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムであって、
前記加速度データは、前記共通軸に平行な前記第1の加速度計の第1の軸に沿う加速度の大きさ及び前記第1の軸に垂直な前記第1の加速度計の第2の軸に沿う加速度の大きさを示す前記第1の加速度計からのデータを含み、
前記加速度データは、更に、前記共通軸に平行な前記第2の加速度計の第1の軸に沿う加速度の大きさ及び前記第1の軸に垂直な前記第2の加速度計の第2の軸に沿う加速度の大きさを示す前記第2の加速度計からのデータを含む、システム。
【請求項21】
請求項20に記載のシステムであって、
前記加速度データを使用して前記プラットフォームの面内における前記テストウエハの前記重心を中心とする回転加速度を決定するように前記1つ以上のプロセッサを制御するための前記コンピュータ実行可能命令は、
前記テストウエハの前記重心における、前記第2の軸に平行な軸に沿う重心(CG)加速度の大きさを決定するように、
少なくとも一部には、前記第1の加速度計からの前記第2の軸に沿う前記加速度の大きさから前記CG加速度の大きさを減算することによって、第1の接線加速度の大きさを決定するように、
少なくとも前記第1の接線加速度の大きさ、及び前記プラットフォームの前記面内における前記第1の加速度計と前記テストウエハの前記重心との間の距離を使用して、前記回転加速度を決定するように、
前記1つ以上のプロセッサを制御するための命令を含む、システム。
【請求項22】
請求項21に記載のシステムであって、更に、
前記プラットフォーム上に位置決めされ且つ前記テストウエハの前記重心に位置付けられた第3の加速度計を備え、
前記加速度データは、更に、前記第1の加速度計の前記第2の軸に平行な軸に沿う加速度の大きさを示す前記第3の加速度計からのデータを含み、
前記CG加速度の大きさを決定するように前記1つ以上のプロセッサを制御するための前記命令は、前記第1の加速度計の前記第2の軸に平行な前記軸に沿う前記第3の加速度計からの前記加速度の大きさを、前記CG加速度の大きさとして前記1つ以上のプロセッサに使用させる、システム。
【請求項23】
請求項21に記載のシステムであって、
前記第1の加速度計及び前記第2の加速度計は、前記テストウエハの前記重心から等距離にあり、
前記CG加速度の大きさを決定するように前記1つ以上のプロセッサを制御するための命令は、前記CG加速度の大きさを得るために、前記第1の加速度計からの前記第2の軸に沿う前記加速度の大きさと、前記第2の加速度計からの前記第2の軸に沿う前記加速度の大きさとを前記1つ以上のプロセッサに平均化させる、システム。
【請求項24】
請求項21に記載のシステムであって、
前記加速度データを使用して前記プラットフォームの面内における前記テストウエハの前記重心を中心とする回転加速度を決定するように前記1つ以上のプロセッサを制御するための前記コンピュータ実行可能命令は、さらに、前記1つ以上のプロセッサに、
少なくとも一部には、前記第2の加速度計からの前記第2の軸に沿う前記加速度の大きさから前記CG加速度の大きさを減算することによって、第2の接線加速度の大きさを決定させ、
少なくとも前記第1の接線加速度の大きさ、前記プラットフォームの前記面内における前記第1の加速度計と前記テストウエハの前記重心との間の距離、前記第2の接線加速度の大きさ、及び前記プラットフォームの前記面内における前記第2の加速度計と前記テストウエハの前記重心との間の距離を使用して、前記回転加速度を決定させる、
命令を含む、システム。
【請求項25】
請求項19に記載のシステムであって、
前記第1の加速度計及び前記第2の加速度計は、2軸加速度計又は3軸加速度計であり、
前記加速度データは、前記共通軸に平行な前記第1の加速度計の第1の軸に沿う加速度の大きさ及び前記第1の軸に垂直な前記第1の加速度計の第2の軸に沿う加速度の大きさを示す前記第1の加速度計からのデータを含み、
前記加速度データは、また、前記共通軸に平行な前記第2の加速度計の第1の軸に沿う加速度の大きさ及び前記第1の軸に垂直な前記第2の加速度計の第2の軸に沿う加速度の大きさを示す前記第2の加速度計からのデータを含み、
前記第1の加速度計及び前記第2の加速度計は、前記テストウエハの前記重心から等距離間隔にあり、
前記コンピュータ実行可能命令は、
前記第1の加速度計の前記第1の軸に沿う加速度の大きさと、前記第2の加速度計の前記第1の軸に沿う加速度の大きさとを平均化することによって、前記第1の軸に平行な第1の重心(CG)軸に沿う前記テストウエハの前記重心における第1のCG加速度の大きさを決定し、
前記第1の加速度計の前記第2の軸に沿う加速度の大きさと、前記第2の加速度計の前記第2の軸に沿う加速度の大きさとを平均化することによって、前記第2の軸に平行な第2のCG軸に沿う前記テストウエハの前記重心における第2のCG加速度の大きさを決定するように、
前記1つ以上のプロセッサを制御するための命令を含む、システム。
【請求項26】
請求項19に記載のシステムであって、
前記第1の加速度計及び前記第2の加速度計は、2軸加速度計又は3軸加速度計であり、
前記加速度データは、前記共通軸に平行な前記第1の加速度計の第1の軸に沿う加速度の大きさ及び前記第1の軸に垂直な前記第1の加速度計の第2の軸に沿う加速度の大きさを示す前記第1の加速度計からのデータを含み、
前記加速度データは、また、前記共通軸に平行な前記第2の加速度計の第1の軸に沿う加速度の大きさ及び前記第1の軸に垂直な前記第2の加速度計の第2の軸に沿う加速度の大きさを示す前記第2の加速度計からのデータを含み、
前記テストウエハの前記重心が前記第1の加速度計と前記第2の加速度計との間にあるように、前記第1の加速度計は、前記テストウエハの前記重心から第1の距離に位置決めされ、前記第2の加速度計は、前記テストウエハの前記重心から第2の距離に位置決めされ、
前記コンピュータ実行可能命令は、
前記第2の加速度計からの前記第1の軸に沿う前記加速度の大きさを前記第1の距離と乗算したものと、前記第1の加速度計からの前記第1の軸に沿う前記加速度の大きさを前記第2の距離と乗算したものとの和を、前記第1の距離と前記第2の距離との和で除算することによって、前記第1の軸に平行な第1の重心(CG)軸に沿う前記テストウエハの前記重心におけるCG加速度の大きさを決定し、
前記第2の加速度計からの前記第2の軸に沿う前記加速度の大きさを前記第1の距離と乗算したものと、前記第1の加速度計からの前記第2の軸に沿う前記加速度の大きさを前記第2の距離と乗算したものとの和を、前記第1の距離と前記第2の距離との和で除算することによって、前記第2の軸に平行な第2のCG軸に沿う前記テストウエハの前記重心におけるCG加速度の大きさを決定するように、
前記1つ以上のプロセッサを制御するための命令を含む、システム。
【請求項27】
請求項25に記載のシステムであって、更に、
前記プラットフォーム上に位置決めされ且つ前記テストウエハの前記重心に位置付けられた第3の加速度計を備え、
前記コンピュータ実行可能命令は、更に、
第1の加速度差分を決定するために、前記第1の及び前記第2の加速度計の前記第1の軸に平行な軸に沿う前記第3の加速度計からの加速度の大きさを前記第1のCG加速度の大きさと比較し、
第2の加速度差分を決定するために、前記第1の及び前記第2の加速度計の前記第2の軸に平行な軸に沿う前記第3の加速度計からの加速度の大きさを前記第2のCG加速度の大きさと比較し、
前記第1の加速度差分と、前記第2の加速度差分と、前記第1の加速度差分及び前記第2の加速度差分とからなる群から選択された少なくとも1つの項目を第1の閾値と比較することによって、エラー条件が存在するかどうかを決定し、
前記エラー条件が存在するとの決定を受けて、第1のエラーコード信号
が生成されるように、
前記1つ以上のプロセッサを制御するための命令を含む、システム。
【請求項28】
請求項27に記載のシステムであって、
前記コンピュータ実行可能命令は、更に、
前記第1の及び前記第2の加速度計の前記第2の軸に平行な軸に沿う、前記テストウエハの前記重心におけるCG加速度の大きさを決定し、
少なくとも一部には、前記第1の加速度計からの前記第2の軸に沿う加速度の大きさから前記CG加速度の大きさを減算することによって、第1の接線加速度の大きさを決定し、
少なくとも一部には、前記第2の加速度計からの前記第2の軸に沿う前記加速度の大きさから前記CG加速度の大きさを減算することによって、第2の接線加速度の大きさを決定し、
a)前記第1の接線加速度の大きさが前記第2の接線加速度の大きさと方向が反対であるか否か、及びb)前記第1の接線加速度の大きさの絶対的大きさと前記第2の接線加速度の大きさの絶対的大きさとが互いから第2の閾値以内であるか否かを決定するために、前記第1の接線加速度の大きさを前記第2の接線加速度の大きさと比較し、
a)又はb)のいずれか又は両方が満たされないことを受けて、第2のエラーコード信号
が生成されるように、
前記1つ以上のプロセッサを制御するための命令を含む、システム。
【請求項29】
請求項19から28のいずれか一項に記載のシステムであって、
前記コントローラは前記テストウエハ以外のデバイスの一部である、システム。
【請求項30】
請求項29に記載のシステムであって、
前記テストウエハは通信インターフェースを備え、前記メモリは、前記1つ以上のプロセッサが、前記第1の加速度計及び前記第2の加速度計によって生成された加速度データを取得するように制御するための追加のコンピュータ実行可能命令を格納する、システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2017年2月6日に出願され発明の名称を「SMART VIBRATION WAFER WITH OPTIONAL INTEGRATION WITH SEMICONDUCTOR PROCESSING TOOL(半導体処理ツールとの随意の統合を伴うスマートバイブレーションウエハ)」としあらゆる目的のために参照によってその全体を本明細書に組み込まれる米国仮特許出願第15/425,921号に基づく優先権を主張する。
【0002】
基板の半導体処理の際、基板を搬送し半導体処理チャンバに対して出入りさせる必要があり、これは、通常、何らかのタイプのウエハハンドリング(操作)ロボットによってなされる。本書で使用される「ウエハ」及び「基板」という用語は、区別なく使用され、半導体基板又はガラス基板に言及するために使用されてよい。通常のウエハハンドリングロボットは、1つ以上の半導体処理チャンバの間で、又は当該1つ以上の半導体処理チャンバに通じる移送チャンバのロードロックと1つ以上のロードポート又はロードステーションとの間で基板を搬送するために、それぞれ独立に伸長する、後退する、回転する、及び多くの事例では昇降するように構成された多関節アームを有していてよい。このようなウエハハンドリングロボットは、薄い刃状又はスパチュラ状のエンドエフェクタを含んでいてよく、このようなエンドエフェクタは、基板の下に位置決めされてよく、エンドエフェクタが基板に接触するように上昇されるときに基板の裏側又は縁に接触するように構成された複数の接触パッド又は接触地点を有する。エンドエフェクタは、エンドエフェクタと基板との間の接触の量を減らしそれによって微粒子の生成及び基板の損傷の可能性を抑えるために、通常は、これらの場所でのみ基板に接触するように設計される。
【0003】
通常の半導体処理ツールは、複数の基板がツール内で同時に移動されて多数の基板を同時に処理するように設計されてよい。例えば、多くの半導体処理ツールは、移送チャンバとして言及されえる中心ハブの周囲に配列された複数の半導体処理チャンバを含む。各半導体処理チャンバは、半導体処理チャンバが移送チャンバから遮断されることを可能にするゲート弁又はスリットドア境界によって移送チャンバに接続されてよい。真空側ウエハハンドリングロボットが、移送チャンバ内に位置付けられて、各種の取り付けられた半導体処理チャンバ間で基板を移動させるように構成されてよい。
【0004】
移送チャンバは、1つ以上のロードロックにも接続されてよく、これらのロードロックは、半導体処理ツールが中に位置付けられた処理設備の周囲環境から移送チャンバ(及び半導体処理チャンバ)を隔てるエアロックとして機能してよい。ロードロックは、基板が周囲環境から移送チャンバに対して出入りすることを可能にしつつも、移送チャンバ(及び半導体処理チャンバ)が例えばミリトールレベルなどの非常に低い圧力で継続的に作動されることを可能にする。
【0005】
ロードロックは、機器フロントエンドモジュール(EFEM)に接続されてよく、該モジュールは、大気圧側ウエハハンドリングロボットを含みえる通常閉じられた大型の構造である。EFEMは、1つ以上のロードポートも含んでいてよく、これらのロードポートは、EFEMを収容している半導体処理設備内における基板の流れの一環として基板が通ってEFEMに出入りするための境界である。大気圧側ウエハハンドリングロボットは、(1つ又は複数の)ロードポートと(1つ又は複数の)ロードロックとの間で基板を移送するように構成されてよい。
【0006】
通常の半導体処理設備では、半導体処理ツール間における基板の移動は、正面開口式一体型ポッド(FOUP)の使用を通じて実現される。FOUPは、例えば25枚又は30枚などの多数の基板を一度に支えるための垂直配置棚を伴う密閉式容器である。FOUPは、EFEMロードステーションにドッキングされてよく、FOUPに内包されている基板は、大気圧側ウエハハンドリングロボットによってFOUPから取り出されて、真空側ウエハハンドリングロボットによる取り出し及び半導体処理チャンバへの/半導体処理チャンバ間における移送のためにロードロックに移送されてよい。特定の基板に関わる半導体処理作業の終わりには、その基板は、同様に、移送チャンバから取り出されてFOUP又は別のFOUPに戻されてよい。
【0007】
基板が特定の半導体処理ツール内に常駐している間は、基板がウエハハンドリングロボットによって半導体処理ツール内で移動されるだろう複数の期間がありえることが明らかである。基板を搬送するために費やされる時間は、基板が実際の半導体処理動作を受けない時間であるので、通常、このようなウエハ搬送動作は、可能な限り迅速に実施することが望ましいとされる。半導体処理動作では、スループットが何よりも重要であり、半導体処理ツールは、通常は、任意の所定の基板が半導体処理ツール内で費やす合計時間を最短に抑える(又は短縮する)ように構成される。
【0008】
したがって、ウエハハンドリングロボットは、自身が搬送する基板をエンドエフェクタ接触パッド上の適所に保持する摩擦力が基板に打ち負かされる事態を回避するために、通常は、極めて迅速に移動するのが一般的でありつつも所定のレベルを超える加速度に基板を曝さないように制御される。もし、基板が受ける加速度が大き過ぎて接触パッド摩擦力に打ち勝つと、基板は、滑って位置がずれ又は最悪の場合はエンドエフェクタから滑り落ち、結果として基板を喪失させる恐れがある。
【0009】
ウエハハンドリング動作中に基板が受ける加速度を測定可能にする市販の製品が存在する。このような製品は、通常は、1つの3軸加速度計を有しX方向及びY方向におけるウエハの中心加速度を報告するように構成されたテストウエハの形態をとる。
【発明の概要】
【0010】
本開示のシステム、方法、及びデバイスは、それぞれ、幾つかの革新的側面を有し、そのいずれも、本書で開示される望ましい属性の全責任を負うものではない。本開示で説明される内容の革新的側面は、様々なやり方で実現できる。
【0011】
本発明者らは、既存の市販のテストウエハシステムが、ウエハハンドリング動作中に基板が受ける加速度に関する正確なフィードバックを提供しなかったと判断した。なぜならば、このような既存のテストウエハシステムは、名目上基板の重心に位置付けられた1つの3軸加速度計のみを用いたゆえに、基板の重心を中心とした基板の回転を考慮できていないだろうからである。本発明者らは、また、ウエハ搬送動作中に基板が受ける大量の加速度が、基板のその重心を中心とした回転以外の基板の動きを原因としえる一方で、基板のその重心を中心とした回転が、基板の加速度の大きさに寄与し、それゆえに、動きの最中に基板に作用する及び基板とエンドエフェクタ接触パッドとの間の摩擦力境界を打ち負かしえる力に寄与する可能性があると判断した。
【0012】
本発明者らは、テストウエハと半導体処理ツールとの間における、より統合された関係性も想起した。通常の市販テストウエハは、多くの場合、ウエハ処理計画全体の進行中に基板が通過する環境に関するデータを収集する内蔵された独立型のテストシステム又は診断システムであるように構成される。例えば、一部の市販テストウエハには、テストウエハが通常の基板と同様に複数の半導体処理ツールにわたって移動されることを可能にする特別に設計されたFOUPが付随している。これらのFOUPは、テストウエハがFOUP内にドッキングされたときにテストウエハを再充電しそこからデータを取り出す充電システム及びデータ格納システムを含んでいてよい。本書で論じられるテストウエハの、一部の実現形態では、テストウエハは、特定の半導体処理ツール内に「常駐」しており、使用されないときでもそこに留まっていてよい。このような実現形態では、半導体処理ツールは、テストウエハが使用されないときにそのテストウエハを保持するための特別な容器又はホルダを有してよい。半導体処理ツールは、また、容器からテストウエハを定期的に取り出し当該テストウエハを使用してテストサイクルを実施するようにもプログラムされてよい。
【0013】
本書で論じられ本明細書で説明される実現形態のこれらの及びそれらの特徴が、添付の図面及び以下の説明で示される。説明、図面、及び特許請求の範囲から、その他の特徴、態様、及び利点が明らかになる。
【0014】
一部の実現形態では、半導体処理ツールの中でウエハハンドリングロボットのエンドエフェクタによって運ばれる大きさのプラットフォームを含む装置が提供されてよい。装置は、また、第1の加速度計と、第2の加速度計と、電源と、通信インターフェースと、1つ以上のプロセッサ及び当該1つ以上のプロセッサに動作可能方式で接続されているメモリを含むコントローラとを含んでいてよい。コントローラは、電源、通信インターフェース、第1の加速度計、及び第2の加速度計に操作可能に接続されてよい。第1の加速度計及び第2の加速度計は、当該プラットフォームに垂直な方向に沿って見たときに、装置の重心と交わる共通軸に沿って隔たれたプラットフォーム上の場所に位置決めされてよい。メモリは、第1の加速度計及び第2の加速度計から加速度データを得るように、並びに通信インターフェースを通じて加速度データを送るように、1つ以上のプロセッサを制御するためのコンピュータ実行可能命令を格納してよい。
【0015】
一部のこのような実現形態では、第1の加速度計及び第2の加速度計は、2軸加速度計又は3軸加速度計であってよい。
【0016】
一部の実現形態では、加速度データは、共通軸に平行な第1の加速度計の第1の軸に沿う加速度の大きさ及び第1の軸に垂直な第1の加速度計の第2の軸に沿う加速度の大きさを示す第1の加速度計からのデータと、共通軸に平行な第2の加速度計の第1の軸に沿う加速度の大きさ及び第1の軸に垂直な第2の加速度計の第2の軸に沿う加速度の大きさを示す第2の加速度計からのデータとを含んでいてよい。このような実現形態では、メモリは、更に、加速度データを使用してプラットフォームの面内における装置の重心を中心とした回転加速度を決定するように、1つ以上のプロセッサを制御するためのコンピュータ実行可能命令を格納してよい。
【0017】
一部の実現形態では、加速度データを使用してプラットフォームの面内における装置の重心を中心とした回転加速度を決定するように1つ以上のプロセッサを制御するためのコンピュータ実行可能命令は、装置の重心における、第2の軸に平行な軸に沿うCG加速度の大きさを決定するように、並びに少なくとも一部には、第1の加速度計からの第2の軸に沿う加速度の大きさからCG加速度の大きさを減算することによって、第1の接線加速度の大きさを決定するように、並びに少なくとも第1の接線加速度の大きさ及び装置の面内における第1の加速度計と装置の重心との間の距離を使用して回転加速度を決定するように、1つ以上のプロセッサを制御するための命令を含んでいてよい。
【0018】
一部のこのような実現形態では、装置は、更に、プラットフォーム上に位置決めされ且つ装置の重心に位置付けられた第3の加速度計を含んでいてよい。このような実現形態では、加速度データは、更に、第1の加速度計の第2の軸に平行な軸に沿う加速度の大きさを示す第3の加速度計からのデータを含んでいてよく、CG加速度の大きさを決定するように1つ以上のプロセッサを制御するための命令は、第1の加速度計の第2の軸に平行な軸に沿う第3の加速度計からの加速度の大きさを、CG加速度の大きさとして1つ以上のプロセッサに使用させてよい。代替の又は追加のこのような実現形態では、第1の加速度計及び第2の加速度計は、装置の重心から等距離間隔にあってよく、CG加速度の大きさを決定するように1つ以上のプロセッサを制御するための命令は、CG加速度の大きさを得るために、第1の加速度計からの第2の軸に沿う加速度の大きさと、第2の加速度計からの第2の軸に沿う加速度の大きさとを1つ以上のプロセッサに平均化させてよい。
【0019】
装置の一部の実現形態では、加速度データを使用してプラットフォームの面内における装置の重心を中心とした回転加速度を決定するように1つ以上のプロセッサを制御するためのコンピュータ実行可能命令は、1つ以上のプロセッサに、少なくとも一部には、第2の加速度計からの第2の軸に沿う加速度の大きさからCG加速度の大きさを減算することによって、第2の接線加速度の大きさを決定させる、並びに少なくとも第1の接線加速度の大きさ、装置の面内における第1の加速度計と装置の重心との間の距離、第2の接線加速度の大きさ、及び装置の面内における第2の加速度計と装置の重心との間の距離を使用して、回転加速度を決定させる、命令を含んでいてよい。
【0020】
装置の一部の実現形態では、加速度データは、共通軸に平行な第1の加速度計の第1の軸に沿う加速度の大きさ及び第1の軸に垂直な第1の加速度計の第2の軸に沿う加速度の大きさを示す第1の加速度計からのデータと、共通軸に平行な第2の加速度計の第1の軸に沿う加速度の大きさ及び第1の軸に垂直な第2の加速度計の第2の軸に沿う加速度の大きさを示す第2の加速度計からのデータとを含んでいてよい。このような実現形態では、第1の加速度計及び第2の加速度計は、装置の重心から等距離間隔にあってよく、コンピュータ実行可能命令は、第1の加速度計の第1の軸に沿う加速度の大きさと、第2の加速度計の第1の軸に沿う加速度の大きさとを平均化することによって、第1の軸に平行な第1のCG軸に沿う、装置の重心におけるCG加速度の大きさを決定し、及び第1の加速度計の第2の軸に沿う加速度の大きさと、第2の加速度計の第2の軸に沿う加速度の大きさとを平均化することによって、第2の軸に平行な第2のCG軸に沿う、装置の重心におけるCG加速度の大きさを決定するように、1つ以上のプロセッサを制御するための命令を含んでいてよい。
【0021】
装置の一部の実現形態では、加速度データは、共通軸に平行な第1の加速度計の第1の軸に沿う加速度の大きさ及び第1の軸に垂直な第1の加速度計の第2の軸に沿う加速度の大きさを示す第1の加速度計からのデータと、共通軸に平行な第2の加速度計の第1の軸に沿う加速度の大きさ及び第1の軸に垂直な第2の加速度計の第2の軸に沿う加速度の大きさを示す第2の加速度計からのデータとを含んでいてよい。このような実現形態では、装置の重心が第1の加速度計と第2の加速度計との間にあるように、第1の加速度計は、装置の重心から第1の距離に位置決めされてよく、第2の加速度計は、装置の重心から第2の距離に位置決めされてよく、コンピュータ実行可能命令は、第2の加速度計からの第1の軸に沿う加速度の大きさを第1の距離と乗算したものと、第1の加速度計からの第1の軸に沿う加速度の大きさを第2の距離と乗算したものとの和を、第1の距離と第2の距離との和で除算することによって、第1の軸に平行な第1のCG軸に沿う、装置の重心におけるCG加速度の大きさを決定し、及び第2の加速度計からの第2の軸に沿う加速度の大きさを第1の距離と乗算したものと、第1の加速度計からの第2の軸に沿う加速度の大きさを第2の距離と乗算したものとの和を、第1の距離と第2の距離との和で除算することによって、第2の軸に平行な第2のCG軸に沿う、装置の重心におけるCG加速度の大きさを決定するように、1つ以上のプロセッサを制御するための命令を含んでいてよい。
【0022】
装置の一部の実現形態では、装置は、更に、プラットフォーム上に位置決めされ且つ装置の重心に位置付けられている第3の加速度計も含んでいてよい。このような実現形態では、コンピュータ実行可能命令は、更に、第3の加速度計からCG加速度データを取得し、並びに第1の加速度差分を決定するために、第1の及び第2の加速度計の第1の軸に平行な軸に沿う第3の加速度計からの加速度の大きさを第1のCG加速度の大きさと比較し、並びに第2の加速度差分を決定するために、第1の及び第2の加速度計の第2の軸に平行な軸に沿う第3の加速度計からの加速度の大きさを第2のCG加速度の大きさと比較し、並びに第1の加速度差分と、第2の加速度差分と、第1の加速度差分及び第2の加速度差分とからなる群から選択された少なくとも1つの項目を第1の閾値と比較することによって、エラー条件が存在するかどうかを決定し、並びにエラー条件が存在するとの決定を受けて、第1のエラーコード信号を通信インターフェースが送信するように、1つ以上のプロセッサを制御するための命令を含んでいてよい。
【0023】
一部のこのような実装形態では、コンピュータ実行可能命令は、更に、第1の及び第2の加速度計の第2の軸に平行な軸に沿う、装置の重心におけるCG加速度の大きさを決定し、並びに少なくとも一部には、第1の加速度計からの第2の軸に沿う加速度の大きさからCG加速度の大きさを減算することによって、第1の接線加速度の大きさを決定し、並びに少なくとも一部には、第2の加速度計からの第2の軸に沿う加速度の大きさからCG加速度の大きさを減算することによって、第2の接線加速度の大きさを決定し、並びにa)第1の接線加速度の大きさが第2の接線加速度の大きさと方向が反対であるか否か、及びb)第1の接線加速度の大きさの絶対的大きさと第2の接線加速度の大きさの絶対的大きさとが互いから第2の閾値以内であるか否かを決定するために、第1の接線加速度の大きさを第2の接線加速度の大きさと比較し、並びにa)又はb)のいずれか又は両方が満たされないことを受けて、第2のエラーコード信号を通信インターフェースが送信するように、1つ以上のプロセッサを制御するための命令を含んでいてよい。
【0024】
一部の実現形態では、装置が提供されてよく、当該装置は、公称基板サイズを有する1枚以上の基板を内包する正面開口式一体型ポッド(FOUP)を受けるようにそれぞれ構成された1つ以上のロードポートを有する機器フロントエンドモジュール(EFEM)と、1つ以上の半導体処理チャンバと、EFEMと1つ以上の半導体処理チャンバとの間に挿入されたロードロックと、公称基板サイズのテストウエハを受ける大きさのEFEMの内とEFEMの隣とからなる群から選択された場所に位置付けられたテストウエハ容器と、EFEMの中に位置付けられ、1つ以上のロードポートとロードロックとの間でウエハを搬送するように構成されたエンドエフェクタを有するウエハハンドリングロボットと、1つ以上のプロセッサ及び当該1つ以上のプロセッサに操作可能に接続されているメモリを有するツールコントローラとを含んでいてよい。ツールコントローラは、ウエハハンドリングロボットに操作可能に接続されてよく、メモリは、1つ以上の半導体処理チャンバに、当該1つ以上の半導体処理チャンバの中に置かれた基板に対して1つ以上の半導体処理動作を実施させ、並びにウエハハンドリングロボットに、基板に対して実施される半導体処理動作によって進められるスケジュールに従って1つ以上のロードポートとロードロックとの間で基板を搬送させ、並びにウエハハンドリングロボットに、テストサイクルを、当該テストサイクルによって1つ以上のロードポートとロードロックとの間における基板の搬送が中断されないように選択されたテスト期間中に実施させるように、ツールコントローラの1つ以上のプロセッサを制御するためのコンピュータ実行可能命令を格納してよい。テストサイクルは、テストウエハ容器からテストウエハを取り出すこと、テストウエハによって診断テストを実施すること、及びテストウエハをテストウエハ容器に戻すことを含んでいてよい。
【0025】
一部のこのような実現形態では、装置は、更に、テストウエハを含んでいてよい。テストウエハは、ウエハハンドリングロボットのエンドエフェクタによって運ばれる且つ基板の公称外径によって定められた水平エンベロープ内にちょうど収まる大きさのプラットフォームと、第1の加速度計と、第2の加速度計と、電源と、通信インターフェースと、1つ以上の第2のプロセッサ及び該1つ以上の第2のプロセッサに操作可能に接続されている第2のメモリを含むテストウエハコントローラとを含んでいてよい。テストウエハコントローラは、電源、通信インターフェース、第1の加速度計、及び第2の加速度計に操作可能に接続されてよく、第1の加速度計及び第2の加速度計は、当該プラットフォームに垂直な方向に沿って見たときにテストウエハの重心と交わる共通軸に沿って隔たれたプラットフォーム上の場所に位置決めされてよい。第2のメモリは、第1の加速度計及び第2の加速度計から加速度データを取得し、並びに通信インターフェースを通じ加速度データをツールコントローラに送信するように、1つ以上の第2のプロセッサを制御するためのコンピュータ実行可能命令を格納していてよい。
【0026】
一部の実現形態では、テストウエハ容器は、EFEMに対して固定されてよい。
【0027】
一部の実現形態では、テストサイクルは、テストウエハ上の少なくとも1つの加速度計から導出されたデータを、テストウエハ上の少なくとも1つの他の加速度計から導出されたデータと比較することによって、テストウエハに対して加速度計較正チェックを実施することを含んでいてよい。
【0028】
装置の一部の実現形態では、テストウエハ容器は、EFEMに隣接して位置付けられてよく、テストウエハがEFEMからテストウエハ容器に挿入されることを可能にする大きさの開口によってEFEMと接続されてよい。
【0029】
装置の一部の実現形態では、EFEMは、基板に垂直な方向から見たときに実質的に矩形の内部容積を有してよく、テストウエハ容器は、矩形の内部容積の隅のうちの少なくとも1つに位置決めされてよい。
【0030】
装置の一部の実現形態では、メモリは、テストサイクル中にそのテストサイクルに関係付けられた1つ以上の動きをウエハハンドリングロボットに実施させ、並びにテストサイクル中にテストウエハ上の1つ以上の加速度計によって収集されたデータを受信し、並びにテストウエハ上の1つ以上の加速度計によって収集されたデータが、1つ以上の動きに関係付けられた1つ以上の基準に関わるテスト条件に合格するか否かを決定し、並びに1つ以上の加速度計によって収集されたデータがテスト条件に合格しないとの結果を受けて、エラー条件信号を生成するように、ツールコントローラの1つ以上のプロセッサを制御するためのコンピュータ実行可能命令を格納していてよい。
【0031】
装置のこのような一部の実現形態では、エラー条件信号は、ウエハハンドリングロボットが修理を必要とすることを示す情報を含んでいてよい。
【0032】
装置の一部の実現形態では、メモリは、更に、基本のスケジュールにしたがって反復方式でテストサイクルを定期的に実施するようにツールコントローラの1つ以上のプロセッサを制御するためのコンピュータ実行可能命令を格納してよい。
【0033】
以上は、本書で開示される実現形態を網羅して挙げたものではなく、以下の説明から各種のその他の実現形態が明らかになること、及びそのようなその他の実現形態も本開示の範囲内であると見なされることが、理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【
図4】テストウエハのCGにおける加速度を推定するための技術のフローチャートである。
【0038】
【
図5】テストウエハのCGを中心とした回転加速度を決定するための技術のフローチャートである。
【0039】
【
図6】テストウエハのセルフチェックを実施するための技術のフローチャートである。
【0040】
【
図7】テストウエハの別のセルフチェックを実施するための技術のフローチャートである。
【0041】
【
図8】1つの3軸加速度計を伴う市販のテストウエハを使用して収集されたデータのグラフである。
【
図9】
図3に示された試作品テストウエハによって収集されたデータのグラフである。
【0042】
【
図10】作り付けのテストウエハ特徴を有する代表的な半導体処理ツールの平面図である。
【0043】
【
図11】半導体処理ツールの中でテストウエハを使用するための代表的な技術のフローチャートである。
【0044】
【
図12】テストウエハ容器がEFEMの外側に取り付けられた半導体処理ツールの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
様々な実施形態の例が、添付の図面に例示され、以下で更に説明される。本書における議論は、説明される特定の実施形態に特許請求の範囲を制限することを意図していないことが理解される。反対に、本書における議論は、添付の特許請求の範囲によって定められた発明の趣旨及び範囲に含まれえる代替形態、変更形態、及び均等物を範囲に含むことを意図している。以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために、数々の具体的詳細が記されている。本発明は、これらの具体的詳細の一部又は全部を伴うことなく実施されえる。また、本発明を不必要に不明瞭にしないために、周知のプロセス動作は説明されていない。
【0046】
図1は、代表的なテストウエハの平面図を示している。
図2は、同じ代表的なテストウエハの側面図を示している。
図1では、テストウエハ102は、コントローラ110と、電源106と、通信インターフェース108と、第1の加速度計114と、第2の加速度計116とをつなぐ印刷回路112を有してよい。コントローラ110は、1つ以上のプロセッサ111と、本書で後ほど更に詳細に論じられるように電源106、第1の加速度計114、第2の加速度計116、及び通信インターフェース108を使用して様々な機能を実施するように1つ以上のプロセッサを制御するためのコンピュータ実行可能命令を格納するメモリ113とを含んでいてよい。一部の実現形態では、随意の第3の加速度計118も含められて、テストウエハ102の重心(CG)126に位置付けられてよい。テストウエハ102は、プラットフォーム104も含んでいてよく、該プラットフォーム104は、半導体処理ツールの中で標準サイズの半導体ウエハと同様に搬送可能である大きさにされてよい。例えば、プラットフォームは、直径300mmの円盤であってよく、直径300mmの基板を処理する大きさにされた半導体処理ツールの中で搬送されるように構成されてよい。プラットフォーム104は、標準サイズの半導体ウエハと厳密に形状が一致しなくてもよいが、少なくとも標準サイズの半導体ウエハと同様にウエハハンドリングロボットのエンドエフェクタと境界を接する大きさにされてよいことが理解される。例えば、プラットフォームは、テストウエハの質量分布を調整し、テストウエハが標準サイズの半導体ウエハの質量分布と更に厳密に揃うようにするために、その周縁に1つ以上の切り抜きを有してよい。
【0047】
市販のテストウエハとは対照的に、テストウエハ102は、テストウエハ102のCG126からずらされた、例えば第1の加速度計114及び第2の加速度計116などの少なくとも2つの加速度計などの複数の加速度計を含む。本書で使用される「加速度計」という用語は、互いに関係付けられて空間内の共通地点に関する加速度データを提供するように構成された複数の加速度計を言う。例えば、3軸加速度計は、共通地点を名目上通る名目上直交する3本の軸に沿って加速度データを提供するように構成された3つの単軸加速度計を技術的に含む市販のものである。これらの3つの単軸加速度計は、共通地点に関する加速度データを提供するように構成されるゆえに、本書で使用される合意によって、1つの「加速度計」として見なされるだろう。反対に、これらの3つの単軸加速度計は、協働して空間内の一地点に関する加速度データを提供するように設計されるゆえに、本書で使用される合意によって、3つの個別の加速度計とは見なされないだろう。したがって、第1の加速度計及び第2の加速度計は、2軸加速度計又は3軸加速度計として提供されてよい。もし、2軸加速度計が使用されるならば、加速度計は、それらのXY平面がプラットフォームに平行であるように搭載されてよい。
【0048】
各種の実現形態において、第1の加速度計114及び第2の加速度計116は、印刷回路基板又はフレキシブル印刷回路112に搭載されてよく、該基板又は回路は、コントローラ110と、電源106と、通信インターフェース108と、第1の加速度計114と、第2の加速度計116と、もしあるならば第3の加速度計118との間で電力及び信号を提供するための導電配線を含んでいてよい。一部の実現形態では、印刷回路112は、例えば充電池であってよい電源106が再充電されることを可能にするために使用されえる誘導コイル又はその他の導電回路配線を含んでいてよい。
【0049】
第1の加速度計114及び第2の加速度計116は、ともに、各加速度計が加速度データを収集する地点がテストウエハCG126を通る共通軸128に沿って並ぶように位置決めされてよい。更に、第1の加速度計114及び第2の加速度計116は、第1の軸122及び該第1の軸122に垂直な第2の軸124に沿う加速度の大きさが第1の加速度計114及び第2の加速度計116から得られるように構成されてもよい。例えば、図に示された実現形態では、第1の加速度計114及び第2の加速度計116の、第1の軸122であると考えられるx軸が、共通軸128と一致するのに対し、第1の加速度計114及び第2の加速度計116の第2の軸124であると考えられるy軸は、プラットフォーム104と同一面内にあり且つ第1の軸122に垂直な方向に方向付けられる。
【0050】
加速度計を任意の所望の向きに回転させること、及びその向きでデータを収集すること、及び収集されたデータをそれが任意のその他の所望の向きとの関係で表されるように変換することがもちろん可能であることが理解される(2軸加速度計構成の場合は、加速度計を任意の向きに方向付けしなおすこと、並びにその加速度計の例えばx軸及びy軸などの第1の軸及び第2の軸が互いに同一面内にとどまる限りそれを行うことが可能であり、3軸加速度計構成では、加速度計は、任意の向きに回転されてよい)。これを考慮すると、加速度計からのデータは、その加速度計の主軸以外の軸に沿う加速度の大きさも示せるだろうことが更に理解される。例えば、もし、加速度計が、その加速度x軸が共通軸に対して45度の向きになるようにプラットフォーム104上に搭載されるならば、出力される加速度データは、共通軸128に平行な第1の軸122及び共通軸128に垂直な第2の軸124に沿う加速度の大きさも(座標系変換が必要になるだろうが)示せる。
【0051】
第3の加速度計118も使用される実現形態では、第3の加速度計118は、CG126に位置付けられてよく、第1の加速度計114及び第2の加速度計116と同様に、第3の加速度計118は、第3の加速度計118が加速度データを収集する地点が共通軸128に沿って並ぶように位置決めされてよい。更に、第3の加速度計118は、第1の軸122(本書では第1のCG軸と呼ばれてもよい)及び当該第1の軸122に垂直な第2の軸124(本書では第2のCG軸と呼ばれてもよい)に沿う加速度の大きさが第3の加速度計118から得られるように構成されてもよい。
【0052】
議論を容易にするために、第1の加速度計114、第2の加速度計116、及び第3の加速度計118は、これらの加速度計の主軸が一列に並ぶように、x軸x1、x2、及びx3がそれぞれ共通軸128と一直線にされ且つy軸y1、y2、及びy3がそれぞれ共通軸128に垂直である状態で示されている。
【0053】
図1に示されるように、第1の加速度計114及び第2の加速度計116は、共通軸に沿ってCG126からそれぞれ第1の距離130及び第2の距離132で隔てられてよい。もし、この例に示されるように、第1の距離130と第2の距離132とが等しいならば、CG126を中心としたテストウエハ102の純回転運動は、結果として、第1の加速度計114及び第2の加速度計116によって第1の軸122に対して等しく且つ反対の大きさの加速度を発生させる。同様に、テストウエハ102のこのような回転運動が増加又は減少している期間中、すなわち、テストウエハ102の角加速度が変化している期間中は、第1の加速度計114及び第2の加速度計116は、第2の軸124に沿って等しく且つ反対の大きさの加速度を発生させる。一部の実現形態では、第1の距離130と第2の距離132とが異なってよく、この場合、第1の加速度計114及び第2の加速度計116からの第1の軸122に沿う加速度は、第1の距離130及び第2の距離132と同じ比率で互いに比例してよく、同様の所見が、第1の加速度計114及び第2の加速度計116からの第2の軸124に沿う加速度に関しても述べられる。
【0054】
図1に示されるようなテストウエハは、ウエハハンドリングを経るにつれて基板が受ける加速度環境に関して各種の市販テストウエハなどの単独の加速度計テストウエハによって収集されるだろうよりも信頼性の高いデータを収集するために使用されえる。
【0055】
図3は、代表的なテストウエハのCG326から等距離間隔で第1の加速度計314及び第2の加速度計316が位置付けられた代表的なテストウエハ試作品302の写真を示している。電源306、通信インターフェース308、及びコントローラ310も、示されている。これらのコンポーネントは、全て、この場合はカーボンファイバの円盤であるプラットフォーム304に搭載され、この代表的なテストウエハ試作品302が同様のサイズの標準サイズ基板(この例では、標準サイズの基板は直径300mmの基板である)と名目上同じCG326を有するように分布される。テストウエハ試作品は、テストウエハ試作品の回転運動を評価するための代替の又は追加の手段を提供するために使用されえる随意のジャイロスコープ338も含む。更なる各種の実現形態では、例えばコントローラ、通信インターフェース、及び加速度計などの各種の電子コンポーネントが、例えばフレキシブル印刷回路などのフレキシブル基板に装着されてよく、該基板は、次いで、高度に統合された薄型のテストウエハパッケージを作成するためにプラットフォームに接合される。電源は、フレキシブル回路がプラットフォームに装着された後に当該フレキシブル回路に別途接続されてよい、又はフレキシブル回路に組み込まれてもよい。一部の実現形態では、プラットフォーム自体が、プラットフォームを形成する複合材料の層の内又は上に形成される印刷基板を有してよい。このような場合、加速度計、コントローラ、通信インターフェース、及び電源は、プラットフォーム上に直接的に表面実装されてよい。
【0056】
第1の加速度計114又は314及び第2の加速度計116又は316などの少なくとも2つの加速度計を含めることは、既存の市販の単独加速度計テストウエハによっては可能でない特定の機能性を可能にする。この追加の機能性は、例えばコントローラ110若しくは310によってテストウエハ上に搭載されて提供され得あるいは、例えば通信インターフェース108を使用してテストウエハから別のデバイスに送られるデータなどのテストウエハからのデータを供給されるコントローラ若しくはプロセッサによって遠隔から提供され得る。このような追加の機能性は、
図1の実現形態に関して以下で論じられるが、もちろん、試作品テストウエハ302でも実現されえる。
【0057】
第1の加速度計114及び第2の加速度計116の使用を通じて可能にされえる追加の機能は、1つには、CG126における加速度の大きさの計算であり、これは、たとえもしCG126に加速度計が存在しなくても可能である。
図4は、テストウエハの重心から等距離間隔にある第1及び第2の加速度計を伴うテストウエハのために使用されえるこのような技術のフローチャートを示している。例えば、ブロック402において、第1の軸122に沿う第1の加速度計114及び第2の加速度計116からの加速度の大きさが得られてよく、これらの加速度の大きさは、ブロック404において、第1の軸122に平行な軸に沿うCG126における加速度を決定するために平均化されてよい。CG126におけるこの軸は、本書では、第1のCG軸と呼ばれてよい。同様に、第1の加速度計114及び第2の加速度計116がCG126又は326から等距離間隔にある場合は、ブロック406において、第2の軸124に沿う、第1の加速度計114及び第2の加速度計116からの加速度の大きさが得られてよく、これらの加速度の大きさは、ブロック408において、第2の軸124に平行な軸に沿うCG126における加速度を決定するために平均化されてよい。CG126におけるこの軸は、本書では、第2のCG軸と呼ばれてよい。しかしながら、もし、第1の加速度計114と第2の加速度計116とがCG126から等距離間隔にないならば、CG126における加速度の大きさの計算の際に、第1の軸122及び第2の軸124に沿う加速度の大きさは、第1の距離130と第2の距離132との比率に基づいて適切に増減されてよい。例えば、第1の及び第2の軸に平行な軸に沿うCG126における加速度の大きさは、次式を使用して計算されてよい。
【数1】
ここで、(両加速度計の座標系が同じ向きであると想定すると、)a
y1=第1の加速度計における第2の軸に沿う加速度であり、a
y2=第2の加速度計における第2の軸に沿う加速度であり、d
1=第1の距離130であり、d
2=第2の距離132である。
【0058】
第1の軸122及び第2の軸124に沿うCGにおける加速度が、第1の加速度計114及び第2の加速度計116からのデータに基づいて決定されると、このような加速度は、一部の実現形態では、(存在する場合)随意の第3の加速度計118からの加速度データと比較されてよい(計算されたCG加速度を第3の加速度計118からのデータに照らしてチェックすることが望まれない場合、
図4の技術は、一部の実現形態では、ブロック404/408の後に停止されてよい)。例えば、ブロック410では、第3の加速度計118から、第1のCG軸及び第2のCG軸に沿う加速度の大きさが得られてよい。これは、2つの異なるセンサシステムから得られた重心における加速度の大きさ、すなわち、第1の軸122及び第2の軸124に平行な軸に沿ってCG126において第3の加速度計118によって直接測定されたデータと、第1の加速度計114及び第2の加速度計116からの加速度データから導出された計算された加速度の大きさとが、ブロック412において比較されることを可能にする。総じて、両データ源からの加速度の大きさは、時間に相関性があるとともに大きさが同一又は同様であることが望ましい。すなわち、総じて、第3の加速度計からの加速度の大きさと、第1の及び第2の加速度計からの加速度データから計算された加速度の大きさとの間の差分は、所定の量未満であることが望ましい。したがって、第3の加速度計118は、第1の加速度計114及び第2の加速度計116のチェック又は検証として使用されてよく、その逆もまた、同様であってよい。もし、チェック又は検証に合格しなかったならば、ブロック414において、エラー条件が存在することを示すエラーコード信号が例えばコントローラによって生成されてよい(もし、チェック又は検証に合格したならば、エラーコード信号は生成されなくてよい(ブロック
416を参照)。例えばテストウエハのコントローラ、又はこのような処理がテストウエハ外でなされるシステムにおけるウエハハンドリングロボットなどリモートシステムのコントローラは、第3の加速度計118からの加速度の大きさを、第1の加速度計114及び第2の加速度計116から得られたデータから計算された加速度の大きさと比較してよい。このような比較は、例えば対応する加速度成分を別々にチェックするやり方、すなわち、第1の軸に沿う加速度の大きさをチェックし次いでそれとは別に第2の軸に沿う加速度の大きさをチェックする成分ごとのやり方でなされてよい、又はそれよりも包括的な、例えば各CGデータ群についてCG126における平面合成加速度を計算するやり方でなされてよい。例えば、平面合成加速度は、a)第1の軸に平行な軸に沿うCGにおける加速度の大きさの二乗と、b)第2の軸に平行な軸に沿うCGにおける加速度の大きさの二乗との和の平方根をとることによって決定されてよい。同様の計算が、第3の加速度計118からのデータについてもなされてよい。
【0059】
CG126における加速度の大きさが、第1の加速度計114及び第2の加速度計116からの加速度データからそれらを計算することを通じて、又は(もし存在するならば)第3の加速度計118から直接的に得ることによって、又はこれらの両方によって知られたら、テストウエハ102の動きに関係付けられた、CG126を中心とした回転加速度成分が決定されてよい。
図5は、このような技術のフローチャートを示している。CG126を中心としたテストウエハ102の回転中は、共通軸128に沿う遠心/半径方向加速度及び第2の軸に沿う接線加速度の両方が、第1の加速度計114及び第2の加速度計116によって検出されるだろう。接線加速度は、しかしながら、回転加速度が変化しているときの回転運動に起因してのみ発生し、テストウエハ102の定速回転中は発生しない。例えば、CG126をウエハハンドリングロボットの肩関節の真上に位置決めしてテストウエハを位置決めすることができるウエハハンドリングロボットなど一部のウエハハンドリングロボットは、テストウエハの純回転運動を生み出せるかもしれないが、大半の場合、CG126を中心としたテストウエハ102の回転から発生する加速度成分は、テストウエハの並進から及びCG126以外の場所を中心としたテストウエハの回転から発生する加速度と組み合わされるだろう。これらの追加の加速度成分は、テストウエハ全体にわたって適用され、その大きさ及び方向は、CG126におけるテストウエハ102の加速度の大きさに対応する。追加の加速度成分によって損なわれない回転加速度成分を得るためには、ブロック506において、ブロック504において得られるだろうCG126における加速度の大きさが、ブロック502において得られるだろう第1の加速度計114及び/又は第2の加速度計116から導出される対応する加速度の大きさから減算されてよい。
【0060】
したがって、例えば、第1の加速度計114における第2の軸124に沿う加速度の大きさが5単位であり、第1の加速度計114における第2の軸124に平行な軸に沿うCG126における加速度の大きさが-3単位である場合、第1の加速度計114におけるCG126を中心とした接線回転加速度成分は、5-(-3)=8単位になる。特定の場所におけるCG126を中心とした接線加速度成分が知られたら、ブロック508において、例えば接線加速度を上記特定の場所とCG126との間の距離で除算することによってCG126を中心とした回転加速度が決定されてよく、例えば、第1の加速度計114における接線加速度が8単位であり、第1の加速度計114とCG126との間の距離が2単位である場合、角加速度又は回転加速度αは、次式にしたがって、4単位であると決定される。
α=at/d1
第1の加速度計114又は第2の加速度計116のいずれかによって測定された加速度を使用して接線加速度成分が決定されてよいことが、容易に明らかである。一部の実現形態では、第1の加速度計114及び第2の加速度計116の両方によって測定された加速度が、接線加速度を決定するために使用されてよく、両接線加速度の結果として得られた角加速度は、テストウエハについての更に正確な角加速度値に到達するために平均化されてよい。角加速度が知られたら、その角加速度は、テストウエハ102上の任意の地点における加速度を決定するために、CG126における加速度成分と併せて使用されてよい。これは、テストウエハ全域にわたる、及び具体的にはテストウエハ102がウエハハンドリングロボットのエンドエフェクタの接触パッドに接触する場所における、実際の加速度場の更に正確な決定を可能にする。
【0061】
一部の実現形態では、テストウエハにおける更なるレベルのセルフチェックを提供するために、複数の加速度計が使用されてよい。
図6は、このような技術のためのフローチャートを示している。例えば、604及び606において、第1の加速度計及び第2の加速度計からの、第1の及び第2の軸に沿う加速度データが得られる間、ブロック602において、ロボットアームは、テストウエハ102のいかなる回転も伴うことなく伸長及び後退させられてよい。このような場合、第1の加速度計114、第2の加速度計116、及び(もし使用されるならば)第3の加速度計118からの加速度データは、同一であることが望ましく、もし、これらのうちの任意の2つの仮想時計間の加速度データの差が、ブロック608において比較されたときに特定の閾値を超えるならば、これは、ブロック610において決定されえるように、加速度計の1つ以上が故障に見舞われていること及びテストウエハの使用を停止すべきであることを示せるだろう。もし、故障が検出されたならば、ブロック612において、エラーコード信号が生成されてよく、もし、故障が検出されないならば、技術はブロック614に進んでよく、エラーコードは生成されなくてよい。
【0062】
一部の実現形態では、ウエハハンドリングロボットが、例えばCG126をウエハハンドリングロボットの回転中心の真上にしてテストウエハを位置決めすることができるなどテストウエハへの純回転の提供に対応している場合、追加のチェックが実施されてよく、そこでは、テストウエハ102は、その他の回転運動又は並進運動を伴うことなくCG126を中心としてウエハハンドリングロボットによって回転されてよい。
図7は、このような技術のフローチャートを示している。ブロック702において、テストウエハ102は、ウエハハンドリングロボットによって、その中心の周りにおいて純回転運動で回転されてよい。ブロック704及び706では、第1の加速度計及び第2の加速度計からの、第1の及び第2の軸に沿う加速度データがそれぞれ得られてよい。ブロック708では、第1の加速度計からの加速度データと、第2の加速度計からの加速度データとが比較されてよい。もし、第1の加速度計114と第2の加速度計116とが、CG126から等距離間隔であるならば、この結果、第1の加速度計114及び第2の加速度計116から、第1の軸に沿って等しく且つ反対の加速度の大きさと、第2の軸に沿ってやはり等しく且つ反対の加速度の大きさとが生じることが望ましい。もし、第1の加速度計114と第2の加速度計116とが、等距離間隔でないならば、2つの加速度成分を比較する前に、第2の軸124に沿う第1の加速度計114からの加速度の大きさが第2の距離132で乗算されてよく、第2の軸124に沿う第2の加速度計116からの加速度の大きさが第1の距離130で乗算されてよい。もし、比較された第2の軸124に沿う第1の加速度計からの加速度の大きさと、第2の加速度計からの加速度の大きさとが等しく且つ反対方向ではないならば、ブロック710において、一方の又は両方の加速度計において故障条件があると決定されてよく、ブロック712において、テストウエハは修理のために使用を中止されてよい及び/又はエラーコードメッセージが生成されてよい。もし、故障条件が特定されないならば、技術は、ブロック714に進んでよく、そこでは、エラーコード信号は生成されなくてよい。
【0063】
図8及び
図9は、1つの3軸加速度計を伴う市販のテストウエハ及び
図3に示された試作品テストウエハを使用して収集されたデータのグラフを示している。市販テストウエハ及び試作品テストウエハは、ともに、同じウエハハンドリングロボット上で同じ動的環境に同時に曝された(ウエハハンドリングロボットは、二本アームのロボットであり、したがって、両テストウエハを同時に運べた。
図8が、反時計回りの方向への180度の回転を表すのに対し、
図9は、時計回りの方向への180度の回転を表す)。グラフは、回転運動の2秒間にわたる、テストウエハの重心で測定された平面合成加速度を示している(垂直軸は、単位を有していないが、線形である)。グラフからわかるように、加速度の記録は、試作品ユニットと市販ユニットとの間で非常に似ており、しかしながら、
図8のデータでは、ずれが見られる。具体的には、約3.1~3.7秒において、市販ユニットは、より高い合成加速度を記録し、約4.5~5秒において、より低い合成加速度を記録している。
図9では、市販ユニットは、最初の0.5秒において、より低い合成加速度を記録し、1.3~1.8秒において、著しく高い合成加速度を記録している。留意すべきは、試作品テストウエハで使用される加速度計が、ウエハCGを通った共通軸と厳密に位置合わせされず(例えば
図3の加速度計の配置を参照)、このデータの収集時に較正されなかったこと、及びそれゆえに、示されたデータは、概ね正確ではあると考えられるがいくらかの誤差を有するだろうことである。
【0064】
グラフからわかるように、加速度計によって生成された加速度計信号は、相当な量のノイズを有し、たとえ同じ加速度条件を測定するときでも又は例えば前述のテストでなど理論上等しく若しくは等しく且つ反対の加速度の大きさを生じるときでも異なることがある。加速度計からのデータを使用して生成される加速度の大きさは、データ収集目的であれ又はセルフテスト目的であれ、使用される前に平滑化、平均化、又はそれ以外の処理を施されてよいことが理解される。したがって、例えば、第1の加速度計及び第2の加速度計からの加速度データは、両加速度計からの加速度データの大きさが等しいかどうかを見るためにチェックする前に、既定の区間にわたって平滑化又は平均化されてよい。また、2つの別々の加速度計からの加速度データの比較は、もちろん、許容差を含みえる。例えば、もし、2つの加速度計の共通軸に沿う加速度の大きさが、互いに±0.5%、±1%、±2%、又は±5%以内であるならば、このような加速度の大きさは、テストウエハのセルフテスト目的では「同じ」であると見なされてよい。
【0065】
基板搬送動作中に基板が受ける(又は基板が受けると予想される)ピーク加速度に基づいてウエハハンドリングロボットの動作パラメータを定めることが、一般的である。例えば、接触パッド接触面積、摩擦係数、摩耗因子、安全率などの様々な因子は、全て、基板搬送中に基板が例えば0.3gなどの特定の閾値を超える加速度に曝されるべきではないとの決定に寄与するだろう。基板搬送動作の持続時間を最短にするためには、ウエハハンドリングロボットは、この加速度閾値近くで又はこの加速度閾値で動作することを試みる運動プロフィールにしたがって基板を搬送するように構成されてよい。次いで、このような運動プロフィールを検証するために、テストウエハが使用されてよい。しかしながら、もし、テストウエハによる、基板が受けるピーク加速度の報告が正確でないと、運動プロフィールの検証は、疑わしくなる恐れがある。したがって、本書で論じられるような複数加速度計を伴うテストウエハなどのテストウエハの使用は、ウエハハンドリングロボットをセットアップするときの運動プロフィール構成を、より正確なものにできるだろう。
【0066】
本書で述べられたように、その他の実現形態は、上述のようなテストウエハによって直接的に又は非直接的にテストウエハと通信するように構成された半導体処理ツールを含んでいてよい。
図10は、作り付けのテストウエハ特徴を有する代表的な半導体処理ツール1000の平面図を示している。半導体処理ツール1000は、複数のロードポート1054に、及び1対のロードロック1044によって移送チャンバ1064に接続されるEFEM1042を含んでいてよい。移送チャンバ1064は、移送チャンバ1064の周囲に接続された複数の半導体処理チャンバ1060を有してよい。半導体処理チャンバ1060及びロードロック1044は、1つ以上のゲート弁1058を使用して密閉可能であってよい。EFEM1042は、ロードロック1044と、ロードポート1054と境界を接するFOUPとの間で基板1066などの基板を搬送するために使用されえるウエハハンドリングロボット1050を有してよい。移送チャンバ1064は、ウエハハンドリングロボット1050と同様であるがロードロック1044と半導体処理チャンバ1060の中の基板ステーション1062との間で基板を移送するように構成されたウエハハンドリングロボット1052を有してよい。その他の基板ステーション1062として、ロードロック1044内のステーション1062はもちろん、各ロードポート1054に関係付けられたステーション1062が挙げられる。ウエハハンドリングロボット1050及び1052は、半導体処理ツール1000の中で基板1066を搬送するために回転及び伸長/後退されてよく、ウエハハンドリングロボット1050及び1052の代替位置の幾つかの例が、破線の輪郭で示されている。
【0067】
図10で見えているのは、2つのテストウエハ容器1046であり、EFEM内の隅のうちの2つに位置付けられている。2つのテストウエハ容器1046が示されているが、実現形態によっては、テストウエハ容器1046が1つのみであることを特徴とするものがある。テストウエハ容器1046は、本書で説明されるテストウエハなどのテストウエハを収容するための保持領域として機能してよく、ウエハハンドリングロボット1050によって定期的に取り出されてテストサイクルを実施するために使用されてよい。テストウエハ容器は、半導体処理ツールを使用して処理されるウエハを貯蔵するために通常使用される容器ではなく、例えば、テストウエハ容器は、ウエハバッファ、ロードロック、正面開口式一体型ポッドなどではなく、その代わり、テストウエハの運動又は再配置を必要とすることなく通常動作中に半導体処理ツールの中に半導体ウエハを通らせることを尚も許容しつつテストウエハを貯蔵するために使用されえる専用容器である。テストウエハ容器は、例えば、テストウエハと境界を接するように特別にあつらえられたシステムを含んでいてよい。例えば、一部の実現形態では、テストウエハ容器は、テストウエハがテストウエハ容器の中にドッキングされたときにテストウエハ上の又はテストウエハ内の誘導充電コイルに誘導結合してテストウエハ上の充電池がテストサイクル間に再充電されることを可能にしえる誘導充電システムを含んでいてよい。一部の実現形態では、テストウエハ容器は、テストサイクル間でテストウエハを位置合わせする又は位置合わせしなおすために使用されえる回転及び/又は線形位置合わせメカニズムも含んでいてよい。例えば、テストウエハ容器は、テストウエハを特定の角度方向に回転させるために使用されえる回転テーブルを含んでいてよい。更なる一例では、テストウエハ容器は、テストウエハが1本又は2本の軸に沿って移動されることを可能にする単軸又は2軸並進メカニズムを含んでいてよい。例えば、テストウエハがテストサイクル中にウエハハンドリングロボットエンドエフェクタに相対的に僅かに動くと、この滑りの結果として、テストウエハは、テストウエハ容器に戻されたときにテストウエハ容器の中で中心から外れて位置決めされる恐れがある。このような、中心から外れた位置決めは、例えば、テストウエハ容器の中の光学式又は機械式視覚センサを使用して検出されてよく、このようなセンサは、例えばテストウエハ容器に相対的なテストウエハ位置が決定されること可能にするために、テストウエハの縁に沿って複数の位置を検出してよい。テストウエハは、このようなセンサによってテストウエハ角度位置が決定されることを可能にするために、例えば切り欠き又は検出可能なその他のマークなどの、信用マーク又は指標(間欠回転)マークを外縁に沿って含んでいてよい。テストウエハの位置がずれていることが特定された状況では、テストウエハを移動及び/又は回転させてテストウエハ容器内で正しく位置決めするために、テストウエハ容器の中の位置合わせメカニズムが始動されてよい。テストウエハが正しく位置決めされたら、一部の実現形態では、テストウエハを位置合わせメカニズムから持ち上げて位置合わせメカニズムをその初期位置にリセット可能にするために、ウエハハンドリングロボットが使用されてよく、位置合わせメカニズムがその初期位置にリセットされたら、テストウエハは、位置合わせメカニズムに戻されてよく、テストウエハ及び位置合わせメカニズムは、ともに位置合わせされた状態になる。
【0068】
ウエハハンドリングロボット1052のテストが所望される場合、ウエハハンドリングロボット1050は、ウエハハンドリングロボット1052がテストサイクルを実施することを可能にするために、ロードロック1044を通してテストウエハをウエハハンドリングロボット1052に引き渡してよい。
【0069】
使用されるテストウエハは、例えば、半導体処理ツール1000の全体動作を制御しえる半導体処理ツールのためのシステムコントローラとの、又は例えばウエハハンドリングロボットコントローラなど半導体処理ツール1000のコンポーネントのサブコントローラとのなどの、別のデバイスとのワイヤレス通信を提供する通信インターフェースを有してよい。
【0070】
前述のように、半導体処理ツールのためのシステムコントローラは、半導体処理ツールの中を通る基板の移動を制御してよく、また、所望のレベルの基板スループットをもたらすやり方で基板の移動をスケジュールしてよい。
図11は、半導体処理ツールの中でテストウエハを使用するための代表的なそのような技術のフローチャートを示している。ブロック1102では、例えば、ウエハハンドリングロボット(WHR)が、半導体処理ツールの中の或る場所から基板を取り出すように制御されてよく、該基板は、続くブロック1104では、ツールの中の新しい場所に置かれてよい。各基板が置かれた後、ブロック1106では、次にスケジュールされた基板搬送動作の前にテストウエハを使用してウエハハンドリングロボットによってテストサイクルを完了させるのに十分な時間があるかどうかの判定がなされてよい。もし、ブロック1106において、テストサイクルを完了させるのに時間が十分でないと判定されたならば、技術は、更なる基板搬送動作のためにブロック1102に戻されてよい。しかしながら、もし、ブロック1106において、テストサイクルを実施するのに十分な時間があると判定されたならば、ウエハハンドリングロボットは、ブロック1108において、テストウエハ容器からテストウエハを取り出すように及びブロック1110においてテストサイクルを実施するように制御されてよく、その終わりに、ウエハハンドリングロボットは、テストウエハをテストウエハ容器に戻すように制御されてよい。もし、ブロック1112において、テストサイクルに合格したと判定されたならば、技術は、更なる基板搬送動作のためにブロック1102に戻ってよい。しかしながら、もし、ブロック1112において、テストサイクルに合格しなかったと判定されたならば、技術は、ブロック1114に進んでよく、そこでは、ウエハハンドリングロボットが修理を必要とするかもしれないことを示すエラーコードが生成されてよい。
【0071】
例えば、半導体処理ツールのためのシステムコントローラは、ウエハハンドリングロボット1050及び1052のいずれか又は両方によってテストサイクルが実施されるべきであるかを定期的に判定してよく、このような判定がなされたら、システムコントローラは、次いで、テスト対象とされるウエハハンドリングロボットが、半導体処理ツール1000内における端から端までの基板の移動に影響を及ぼすことなく又はもしそれが可能でないならばそのような影響を最小限に抑えた状態でテストサイクルを実施するのに十分に長い期間にわたってアイドル状態になるかを判定してよい。
【0072】
システムコントローラは、テストサイクルを実施するときであると決定したときに、例えば、ウエハハンドリングロボット1050を制御するロボットアームコントローラに、テストサイクルを実行させてよい。テストサイクル中、ウエハハンドリングロボットコントローラは、ウエハハンドリングロボット1050に、テストウエハ容器1046からテストウエハを取り出させてよい及び例えばBluetooth(登録商標)などのワイヤレス通信技術を通じてテストウエハとの通信接続を開始させてよい。ウエハハンドリングロボットコントローラは、テストウエハとの通信接続を確立した後、随意として、テストウエハ上の加速度計が適切に機能しているかを検証するために使用されえる1つ以上の検証運動を開始させてよい。例えば、ウエハハンドリングロボットコントローラは、ウエハハンドリングロボットのエンドエフェクタを1本の軸に沿って伸長及び後退させてよく、テストウエハの中で各加速度計によって測定された加速度は、次いで、これらの加速度間の差が許容可能閾値を超えるかどうかを見るために比較されてよい。もし、測定された加速度間の差が十分に大きいならば、ウエハハンドリングロボットコントローラは、テストウエハの中のエラー条件を示す信号を生成してよい及び/又はテストサイクルの残りを実施することなくテストウエハをテストウエハ容器に戻してよい。一部の実現形態では、テストウエハは、各テストサイクルの前に、回転方式で共通の向きに揃えられてよい。例えば、テストウエハ容器は、ウエハハンドリングロボットによって取り出される前に特定の回転方向にテストウエハが間欠回転されることを可能にするアライナ又はその他の回転要素を含んでいてよい。これは、テストごとにテストウエハが同じ向きにされることを可能にし、データ解析を平易にするだろう。
【0073】
テストウエハの有効性が確認された後、このような検証動作が実施されると、ウエハハンドリングロボットコントローラは、ウエハハンドリングロボットのエンドエフェクタに、診断テストを実施させてよく、この診断テストでは、エンドエフェクタは、テストウエハを支えている間に1つ以上の既定の動きを実施する。既定の動きは、様々なレベルの加速度(又は場合によっては平均加速度)が予期される環境にテストウエハを曝すように選択されてよい。測定された加速度が、予期される加速度レベルから例えば±10%などの十分に大きな幅でずれる場合、ウエハハンドリングロボットがテストサイクルに失敗したという判定がなされてよい。例えば、測定された加速度が、予期されるレベル未満である場合、これは、テストウエハが滑っていることを示してよく、これは、ウエハハンドリングロボットにおける接触パッドが過度に摩耗していること又は駆動システムが機能不良であることを示せるだろう。測定された加速度が、予期されるレベルを超えている場合、これは、ウエハが滑って突然停止されこと、又はウエハハンドリングロボット駆動システムがエンドエフェクタを速く駆動し過ぎていることを示すだろう。
【0074】
テストサイクルが完了したら、テストウエハは、テストウエハ容器に戻されてよく、そこで、テストウエハは、例えば、テストウエハ上の再充電端子に電気的に接触するシステム又は誘導ループ若しくは誘導コイルを使用してテストウエハの電源を再充電するために誘電充電を使用するシステムなどの、テストウエハ容器の一部である充電システムによって再充電されてよい。
【0075】
一部の実現形態では、テストウエハ容器は、EFEMの外側に位置決めされてよく、ただし、通路又はその他の開口を通じてEFEMにつながれてよい。例えば、テストウエハ容器は、例えば、EFEMの、(1つ以上の)ロードポートを有する側面と(1つ以上の)ロードロックを有する側面との間に架かる短い側面などのEFEMの側壁にボルトで又はそれ以外のやり方で取り付けられた囲いを含んでいてよい。一部の実現形態では、テストウエハ容器は、EFEMの、(1つ以上の)ロードロックと境界を接する側の同じ壁に沿って位置決めされてよい。このような実現形態では、テストウエハ容器は、テストウエハ容器がEFEMの側面から突き出すことを回避するために、一方の又は両方のロードロックの上方に位置決めされてよい。
【0076】
図12は、例えば、テストウエハ容器1246がEFEM1242の外側に取り付けられた半導体処理ツール1200の側面図を示しており、ここでは、テストウエハ容器1246は、複数のロードポート1254が位置決めされた側とは反対の側に位置決めされる。各ロードポート1254は、ウエハハンドリングロボット1250によってゲート弁1258を通ってロードロック1244に搬送されえる複数の基板を内包するFOUP1256を受けるための界面を有していてよい。ここから、基板は、ロードロック1244と半導体処理チャンバ1260との間における搬送のために、移送チャンバ1264の中のウエハハンドリングロボット1252によって取り出されてよい。
【0077】
テストサイクル中、ウエハハンドリングロボット1050は、ウエハハンドリングロボット1050のエンドエフェクタがテストウエハ容器1246にアクセスしてテストウエハ1248を取り出すことを可能にするために、上方へ並進されてよい。同様に、テストサイクルが完了したら、ウエハハンドリングロボットコントローラは、ウエハハンドリングロボット1050に、テストウエハをテストウエハ容器に戻させてよい。
【0078】
EFEMの外側に装着されるテストウエハ容器について、ロードポートの下部内のスペースは、FOUPドアの開閉メカニズムによって占有されるかもしれず、FOUPの上方のスペースは、FOUPがロードポートから持ち上げられる及びロードポート上へ下されることを可能にするために空けておく必要があるだろうゆえに、テストウエハ容器をロードポートの上方又は下方の位置に位置付けることは、総じて適切でない。
【0079】
前述のように、テストウエハ容器を統合された半導体処理ツールでは、テストウエハ容器は、取り外し不可の形で半導体処理ツールに取り付けられたままであるように構成され、そうすることによって、テストサイクルを実施するためにテストウエハが任意の時点でウエハハンドリングロボットによって取り出されることを可能にしている。
【0080】
また、説明されたいずれの特定の実現形態の特徴も、それらが互いに相いれないと明示されない限り、又は前後の文脈によって互いに排他的であり且つ相補的な及び/若しくは支援的な意味で容易には結合可能でないと示唆されない限り、本開示の全体性は、これらの相補的な実現形態の特定の特徴が選択的に組み合わされて、包括的であるが僅かに異なる1つ以上の技術的解決策を提供できることを期待及び想定している。したがって、上記の説明が例として挙げられているに過ぎないこと、及び発明の範囲内で細部の変更がなされてよいことが、更に理解される。