(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】二方向または多方向繊維半製品から湾曲繊維プリフォームを生成するためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
B29C 70/46 20060101AFI20230414BHJP
B29C 33/42 20060101ALI20230414BHJP
B29C 53/04 20060101ALI20230414BHJP
B29C 70/16 20060101ALI20230414BHJP
B29C 70/54 20060101ALI20230414BHJP
B29K 105/08 20060101ALN20230414BHJP
【FI】
B29C70/46
B29C33/42
B29C53/04
B29C70/16
B29C70/54
B29K105:08
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018140047
(22)【出願日】2018-07-26
【審査請求日】2021-06-30
(31)【優先権主張番号】10 2017 212 860.7
(32)【優先日】2017-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514284062
【氏名又は名称】プレミアム アエロテック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン クンツ
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ マニッヒ
(72)【発明者】
【氏名】エンゾ デ サンティス ミュルバーガー
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ トレンブレイ
(72)【発明者】
【氏名】マルガリタ ヴァナー
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ シュテンケン
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102013208778(DE,A1)
【文献】米国特許第04573304(US,A)
【文献】独国特許出願公開第102011002906(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0086150(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0086199(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01057616(EP,A1)
【文献】国際公開第2010/087443(WO,A1)
【文献】米国特許第04720255(US,A)
【文献】独国特許出願公開第102011119220(DE,A1)
【文献】仏国特許出願公開第02935107(FR,A1)
【文献】特開2003-305719(JP,A)
【文献】特開2010-150685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/00-70/88
B29C 33/42
B29B 11/16
B29C 53/00-53/84
C08J 5/04- 5/10
B64C 1/00- 1/40
B64F 5/10
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二方向または多方向繊維半製品から湾曲繊維プリフォームを生成するためのデバイス(1)であって、
複数の第1の薄板(2)と、
複数の第2の薄板(3)であって、前記第1および第2の薄板(2、3)が共通の面上に配置され、前記第1および第2の薄板(2、3)の交点によって画定される複数のセルを有する格子(4)を形成するように、複数の前記第2の薄板(3)が複数の前記第1の薄板(2)に十字に結合されており、前記第1および第2の薄板(2、3)が少なくとも部分的に、前記格子(4)の前記第1および第2の薄板(2、3)の局所配向が変化可能なように、前記共通の面と交差する軸(5)まわりに弾性的に曲げ可能に形成される、複数の第2の薄板(3)と、
前記第1および第2の薄板(2、3)の曲げによって前記格子(4)における前記第1および第2の薄板(2、3)の局所配向が変化すると、それに応じて前記繊維半製品の局所繊維配向が変化するように、前記格子(4)の各セルを確定する前記第1および第2の薄板(2、3)の前記共通の面とは反対側の端縁に前記繊維半製品(9)を一時的に付着させるように構成される付着手段(6;6A;6B)と、
前記第1の薄板(2)の前記格子(4)内の配向角および前記第2の薄板(3)の前記格子(4)内の配向角とは異なる角度で前記格子(4)に導入される中立薄板(8)であって、生成される前記湾曲繊維プリフォームの剪断変形が起こらないラインを画定する理論的なまたは実際の中立繊維の領域に配置される中立薄板(8)とを備え、
該中立薄板(8)が、
前記中立薄板(8)の第1の側に配置された前記格子(4)のセルの第1の部分が、前記第1および第2の薄板(2、3)の曲げの間伸張され、
前記中立薄板(8)の第2の側に配置された前記格子(4)のセルの第2の部分が、前記第1および第2の薄板(2、3)の曲げの間圧縮され、
前記中立薄板(8)上に直接配置された前記格子(4)のセルが略変形しないように、形成される、デバイス。
【請求項2】
互いに結合するために、前記第1および第2の薄板(2、3)は、前記格子(4)を形成するために前記第1および第2の薄板(2、3)を一緒に結合するために互いに差し込むことができる、対応するプラグ・ソケット(7)を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1および第2の薄板(2、3)が所定の幅を有し、
対応するプラグ
・ソケット(7)が結合され、
該プラグ・ソケット(7)が、前記第1および第2の薄板(2、3)の少なくとも一方の前記幅に対応する
、該幅方向に延びる深さを形成する請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記湾曲繊維プリフォームが、航空機または宇宙船の胴体構成要素用であり、および/または、前記第1および第2の薄板(2、3)が、それぞれの厚さを貫通して形成され、前記第1および第2の薄板(2、3)が互いに交差して前記格子(4)のセルを形成する点の間に配置される孔を備え、該孔が、前記格子(4)のセル間を流体的に相互接続し、前記格子(4)のセル間の空気循環および/または圧力補正を可能にするように形成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記繊維半製品(9)の支持面として設けられた変形可能なメンブレン(11)が、前記格子(4)上に設けられる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記変形可能なメンブレン(11)が、前記第1および第2の薄板(2、3)の前記曲げを補償するための弾性的に付勢されたメンブレンである、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記付着手段(6A)が、前記格子(4)に流体的に接触する減圧箱(16)を有し、該減圧箱(16)は、前記格子(4)の各セルに減圧を発生させるように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記減圧が、前記減圧箱(16)に設けられて減圧源が接続可能な減圧接続部によって印加可能である請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記付着手段(6;6A;6B)が、前記第1および第2の薄板(2、3)の前記端縁に形成された付着剤被覆をさらに備え、
前記減圧箱(16)が、孔の配列の形態である穿孔が形成された上面を備え、該上面が、前記減圧箱(16)に加えられる減圧が前記格子(4)内に伝達され得るように、該格子(4)の
前記付着剤被覆が設けられた側とは反対側に接触しており、
被覆として形成された密封手段(13)であって、減圧が前記繊維半製品(9)に実質的に存在するように、前記繊維半製品(9)によって覆われていない前記格子(4)のセル、前記格子(4)と接触していない前記減圧箱(16)の前記上面の孔、および、前記繊維半製品(9)の縁部領域に対して密封するように、それらの上に塗布される密封手段(13)を備える、請求項7に記載のデバイス。
【請求項10】
前記穿孔(14)は、前記繊維半製品を支持するために設けられた前記格子(4)の前記セルが、前記薄板(2;3)が張力除去されたときに配置される第1の領域と、
前記繊維半製品を支持するために設けられた前記格子(4)の前記セルが、前記薄板(2;3)が曲げられたときに配置される第2の領域と、に設けられる、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記密封手段(13)が、前記格子の各状態において、前記繊維半製品を支持するために設けられた前記格子(4)の前記セルの近傍に配置された前記穿孔(14)を密封する、請求項9に記載のデバイス。
【請求項12】
前記密封手段(13)が、前記穿孔(14)および前記格子(4)の少なくとも一方の空気不透過性の局所的なカバーおよび選択的作動可能バルブの少なくとも一方を有する、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記付着手段(6)が、
前記第1および第2の薄板(2、3)上に形成された付着剤被覆であって、前記第1および第2の薄板(2、3)の曲げによって前記格子(4)内の前記第1および第2の薄板(2、3)の局所的な配向が変化したときに、それに応じて前記繊維半製品(9)の局所繊維配向が変化するように、前記第1および第2の薄板(2、3)によって形成された前記格子(4)に前記繊維半製品(9)を一時的に付
着させるように構成されている付着剤被覆と、
前記格子(4)に流体的に接触し、前記格子(4)の各前記セルに圧力を発生させ、前記付着剤被覆で前記繊維半製品(9)を前記格子(4)に吸着させるように構成された減圧箱とを備える請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記付着手段が、付着剤被覆、または、
前記繊維半製品(9)の縁部に設けられたざらざらした、ぎざぎざしたおよび/または針状の部分の少なくとも1つを有する、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記付着手段(6B)が、前記格子(4)とは反対側で前記繊維半製品(9)に接触する接触面(15)を有し、
該接触面(15)と前記繊維半製品(9)との間の摩擦係数が、前記格子(4)と前記半製品(9)との間の摩擦係数よりも小さくなるように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
前記格子(4)および/または前記付着手段(6;6A;6B)は、前記薄板(2;3)が曲げられるとき、前記湾曲繊維プリフォームを移送するためのエンドエフェクタの一部として形成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
複数の第1の薄板(2)を複数の第2の薄板(3)に十字に結合することによって形成される格子(4)に、二方向または多方向繊維半製品(9)を適用するステップであって、前記第1および第2の薄板(2;3)が共通の面上に配置され、前記第1および第2の薄板(2;3)の交点によって前記格子(4)内に複数のセルが画定されるように前記格子(4)が形成され、前記繊維半製品(9)が、前記格子(4)上において、前記繊維半製品(9)の二方向または多方向繊維が前記第1および第2の薄板(2;3)の少なくとも1つに少なくとも部分的に平行に延びるように配向されるステップと、
前記第1の薄板(2)の前記格子(4)内の配向角および前記第2の薄板(3)の前記格子(4)内の配向角とは異なる角度で、中立薄板(8)を前記格子(4)内に導入するステップであって、生成される湾曲繊維プリフォームの剪断変形が起こらないラインを画定する理論的なまたは実際の中立繊維の領域に前記中立薄板(8)が配置されるステップと、
前記格子(4)の各セルを確定する前記第1および第2の薄板(2、3)の前記共通の面とは反対側の端縁に前記繊維半製品(9)を一時的に付着させるステップと、
前記共通の面と交差する軸(5)まわりに少なくとも部分的に前記第1および第2の薄板(2;3)を弾性的に曲げ、前記第1および第2の薄板(2;3)が曲がるときに前記格子(4)の前記第1および第2の薄板(2;3)の局所配向が変化するステップであって、前記第1および第2の薄板(2;3)の曲げによって前記格子(4)における前記第1および第2の薄板(2;3)の局所配向が変化すると、それに応じて前記繊維半製品(9)の局所繊維配向が変化するステップと、を有し、
前記第1および第2の薄板(2、3)の弾性曲げの間、前記中立薄板(8)の第1の側に配置された繊維が、前記中立薄板(8)の側に配置された前記格子(4)の前記セルの伸張に応じて変形し、前記中立薄板(8)の第2の側に配置された繊維が、前記中立薄板(8)の第2の側に配置された前記格子(4)の前記セルの圧縮に応じて変形し、前記中立薄板(8)上に直接配置されている前記格子(4)のセルが略変形しないように、前記中立薄板(8)が形成されている、湾曲繊維プリフォームを生成するための方法。
【請求項18】
前記一時的に付着させることが、前記繊維半製品(9)に作用する機械的圧力または前記繊維半製品(9)に作用する流体減圧によって行われ、および/または、前記第1および第2の薄板(2、3)が、それぞれの厚さを貫通して形成され、前記第1および第2の薄板(2、3)が互いに交差して前記格子(4)のセルを形成する点の間に配置される孔を備え、該孔が、前記格子(4)のセル間を流体的に相互接続し、前記格子(4)のセル間の空気循環および/または圧力補正を可能にするように形成されている、請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
前記薄板(2;3)が曲げられ、付着に使用される付着手段(6;6A;6B)が提供される場合に、前記格子(4)の少なくとも1つによって、前記湾曲繊維プリフォームを移送するステップを含む、請求項
17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二方向または多方向繊維半製品から湾曲繊維プリフォームを生成するためのデバイス、および二方向または多方向繊維半製品から湾曲繊維プリフォームを生成するための対応する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明が、航空機または宇宙船のフォーマ構造(former structure)用の、一般にプリフォームとも呼ばれる繊維プリフォームについてより詳細に以下で説明されるが、本発明は、それに限定されず、むしろ特に航空機や宇宙船の胴体構成要素用の様々な湾曲繊維プリフォームに転用可能である。
【0003】
フォーマ構造を生成するために、二方向または多方向繊維半製品の繊維素材ブランクが、所望のフォーマ型上にドレープされる。ドレープ成形は、現在、通常、手で実行されている。この状況における必要なステップは、湾曲繊維プリフォームを得るためにフォーマの特定の曲率を生成することである。この目的のために、繊維半製品の剪断および/または変形が一般に必要とされる。さらに、生成される個々の構成要素の正確な形状への適応も、特に、その後に実行される。
【0004】
特許文献1は、繊維複合材料から湾曲構成要素を生成するためのデバイスを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】DE 10 2011 119 220 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この背景に対して、本発明の目的は、簡略化された、特に自動化可能な製造を可能にする、二方向または多方向繊維半製品から湾曲繊維プリフォームを製造するために改善されたデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この目的は、請求項1の特徴を有する、特に航空機または宇宙船の胴体構成要素用の、二方向または多方向繊維半製品から湾曲繊維プリフォームを生成するためのデバイス、および/または請求項12の特徴を有する、特に本発明によるデバイスを用いて湾曲繊維プリフォームを生成するための方法によって達成される。
【0008】
その結果、特に航空機または宇宙船の胴体構成要素用の、二方向または多方向繊維半製品から湾曲繊維プリフォームを生成するためのデバイスが提供され、デバイスには、複数の第1の薄板と、複数の第2の薄板であって、第1および第2の薄板が共通の面上に配置され、第1および第2の薄板の交点によって画定される複数のセルを有する格子を形成するように、複数の第2の薄板が複数の第1の薄板に十字に結合されており、第1および第2の薄板が少なくとも部分的に、格子の第1および第2の薄板の局所配向が特に連続的に変化可能なように共通の面と交差する軸まわりに弾性的に曲げ可能に形成される、複数の第2の薄板と、第1および第2の薄板の曲げによって格子における第1および第2の薄板の局所配向が変化すると、それに応じて繊維半製品の局所繊維配向が変化するように、格子の各セルを確定する第1および第2の薄板の共通の面とは反対側の端縁に繊維半製品を一時的に付着させるように構成される付着手段と、第1の薄板の格子内の配向角および第2の薄板の格子内の配向角とは異なる角度で格子に導入される中立薄板であって、生成される湾曲繊維プリフォームの剪断変形が起こらないラインを画定する理論的なまたは実際の中立繊維の領域に配置される中立薄板とを備え、中立薄板が、中立薄板の第1の側に配置された格子のセルの第1の部分が、第1および第2の薄板の曲げの間伸張され、中立薄板の第2の側に配置された格子のセルの第2の部分が、第1および第2の薄板の曲げの間圧縮され、中立薄板上に直接配置された格子のセルが略変形しないように、形成される。
【0009】
さらに、特に本発明によるデバイスを用いて湾曲繊維プリフォームを生成するための方法が提供される。この方法は複数の第1の薄板を複数の第2の薄板に十字に結合することによって形成される格子に、二方向または多方向繊維半製品を適用するステップであって、第1および第2の薄板が共通の面上に配置され、第1および第2の薄板の交点によって格子内に複数のセルが画定されるように格子が形成され、繊維半製品が、格子上において、繊維半製品の二方向または多方向繊維が第1および第2の薄板の少なくとも1つに少なくとも部分的に平行に延びるように配向されるステップと、第1の薄板の格子内の配向角および第2の薄板の格子内の配向角とは異なる角度で、中立薄板を格子内に導入するステップであって、生成される湾曲繊維プリフォームの剪断変形が起こらないラインを画定する理論的なまたは実際の中立繊維の領域に中立薄板が配置されるステップと、格子の各セルを確定する第1および第2の薄板の共通の面とは反対側の端縁に繊維半製品を一時的に付着させるステップと、共通の面と交差する軸まわりに少なくとも部分的に第1および第2の薄板を弾性的に曲げ、第1および第2の薄板が曲がるときに格子の第1および第2の薄板の局所配向が連続的に変化するステップであって、第1および第2の薄板の曲げによって格子における第1および第2の薄板の局所配向が変化すると、それに応じて繊維半製品の局所繊維配向が変化するステップと、を有し、第1および第2の薄板の弾性曲げの間、中立薄板の第1の側に配置された繊維が、中立薄板の側に配置された格子のセルの伸張に応じて変形し、中立薄板の第2の側に配置された繊維が、中立薄板の第2の側に配置された格子のセルの圧縮に応じて変形し、中立薄板上に直接配置されている格子のセルが略変形しないように、中立薄板が形成されている。
【0010】
本発明の背後にある考えは、繊維半製品の所望の変形に対応するように、繊維半製品のためのキャリア構造として働く格子の変形を提供することである。この目的のために、格子の薄板は、繊維半製品を含む繊維の配向に従ってできるだけ正確に形成され配向され、これにより一緒に変形される薄板および繊維の共有配向が与えられる。したがって、薄板および繊維は、曲げの間同じように変形する。有利には、このようにして、湾曲繊維プリフォームの湾曲繊維配向は、繊維プリフォームの品質、ひいては、生成される胴体構成要素の品質が特に機械的性質の点で改善されるように、極めて正確に調節可能または制御可能である。
【0011】
有利には、特に、従来のデバイスで使用されているシリコーン・コアの変形がさらに回避され、前記コアの変形は、幾何学的に繊維半製品の剪断変形に対応しない。
【0012】
さらに、本発明による成形原理により、プロセスの大幅に単純化された自動化と、成形の再現性の大幅な改善をもたらす。このようにして、人件費の削減および生成プロセスの迅速化を達成することができる。
【0013】
本発明によるデバイスまたは方法によって、特に、C形またはZ形用の湾曲繊維プリフォームを生成することができる。このようにして、フォーマの一部分、例えば90°まで湾曲されたフォーマの一部分を、対応して90°まで湾曲された繊維プリフォームを使用して自動化された方法でより大きい再現性で生成することができる。その後、フォーマの一部分は、さらに、所望のプロファイル、例えば、C形またはZ形に成形することもできる。
【0014】
共有面上にある薄板は、結合されたとき、特に互いに差し込まれたとき、共有の格子面を備えることを意味すると理解されるべきである。これは、例えば複数の湾曲構成要素を製造するためのアーチ形の共有格子表面も考えられるように、単に共有された局所面とすることもできる。したがって、格子の表面はまた、3次元的に湾曲した表面を模倣することもできる。例えば、この目的のために、薄板は、格子の異なる領域において異なる高さで形成されてもよく、したがって、所望の構成要素形状に適合させて構成されてもよい。
【0015】
さらに、特にロッドの形状の薄い薄板は、少なくとも部分的には、1つの方向だけでなく複数の方向に曲がることができるように考えられる。このようにして、3次元曲げも可能である。その結果、格子は、3次元形状に成形され、および/または薄板の曲げの結果としてそれ自体3次元的に変形することができる。
【0016】
共有面と交差する軸のまわりの少なくとも部分的な曲げは、曲げ軸が、格子に対して垂直に、または格子の一部分もしくは格子全体に対してある角度で配向されることを意味すると理解されるべきである。軸と共有面との間の交点は、必ずしも格子内にある必要がなく、実際には格子内にはなく、格子の面における格子の仮想連続内にあることになる。
【0017】
連続的に湾曲可能な薄板だけでなく、例えば、ロータリジョイントを使用して接続される複数の短い薄板状のピースから構成された薄板を含む格子もまた考えられる。したがって、全体として薄板が曲るにもかかわらず、個々の薄板ピースはまっすぐであり、変形はロータリジョイントで実施されることになる。
【0018】
繊維半製品の格子への付着は、繊維半製品と格子との間に静止摩擦があることを意味すると理解されるべきである。これは、必ずしもそうである必要がないが、格子と繊維半製品との間で直接作用してもよく、代わりに、またオプションとして、中間層、例えば中間に配置されたメンブレンを介して伝達されてもよい。
【0019】
特に、本発明の追加の利点は、これまでは通常手作業で実行された湾曲繊維プリフォームの成形ステップの自動化の特に簡単な実現性である。
【0020】
付着手段は、薄板の曲げの間に所望の変形にとって十分な、格子の表面への半製品の付着をもたらす個々のデバイスまたは手段またはそれらの組合せであることを意味すると理解されるべきである。これは、様々な方法で構成することができる。簡単な実施形態では、付着手段は、格子自体の接合手段として、または格子に塗布される可溶性付着促進剤として形成することができる。例えば、この目的のために、粘着性を有する、ざらざらした、ぎざぎざした、および/または針状の部分が、繊維半製品にとって重要でない格子に設けられた適用領域に、例えば、繊維半製品の縁部に設けられてもよい。さらなる実施形態では、付着手段は、例えば、繊維半製品を吸引するための減圧、または繊維半製品を押しつけるための機械的圧力に基づいて、格子の外部に設けられた手段または方策を含むことができる。
【0021】
好ましくは、繊維半製品は、繊維が少なくとも部分的に薄板と平行に延びるように格子に適用されるか、または格子上に配向される。例えば、繊維粗糸の±45°繊維は、格子の±45°薄板に沿って配向される。
【0022】
湾曲繊維プリフォームを生成するために変形される繊維半製品は、特に、±45°二軸粗糸(biaxial roving)または、±45°、90°三軸粗糸(triaxial roving)として形成される。この場合、格子の薄板は、好ましくは、同様に、±45°の角度で延びている。特に、繊維半製品は0°の繊維を含まず、粗糸の伸張または圧縮が防止される。
【0023】
薄板の曲げの間に、薄板は、湾曲状態の繊維の所望の進展に対応するように変形する。したがって、繊維半製品または繊維粗糸の繊維は、繊維方向が変形に対応するように、理想的には局所的に再配向されるように、格子のセルの変形の間に所望の方法で変形する。
【0024】
特に、矩形、例えば曲げ前の格子の正方形セルを形成する±45°の薄板を有する格子の、半径方向外側、すなわち、中立繊維の外側に配置されたセルは、伸張して、細長い菱形を形成するように周方向に延びている。したがって、例えば、二軸粗糸のように半径方向外側に配置された±45°の繊維は、細長い菱形のように交差するように剪断されるかまたは再配向される。逆に、格子の半径方向内側のセルは、周方向に押しつぶされた菱形を形成するように圧縮され、同様にして、対応する繊維の再配向または剪断をもたらす。このようにして、特に、±45°の繊維またはその繊維方向の半径方向の扇型形の広がりが達成される。
【0025】
±45°、90°の三軸粗糸の場合、この状況では、90°の繊維は、例えば、変形に対応して半径方向に変位される。したがって、90°の繊維層は、±45°を基準にして摺動する。したがって、格子の配向は、±45°層の配向に対応し、90°層の配向は、格子によって模倣されない。
【0026】
さらなる実施形態では、0°、90°の二軸粗糸を提供することも考えられる。この場合、薄板は、好ましくは、同様に、0°および90°の角度で延びている。したがって、90°の薄板および繊維は、もっぱら、薄板の曲げの間に半径方向に扇形に広がり、0°の繊維は単に半径方向に変位するだけである。
【0027】
したがって、格子における薄板の好適な配向は、特に、成形される繊維半製品の繊維配向に依存し、好ましくは、この目的のためには一方向である。
【0028】
当然のことながら、どの場合にも、格子バーと平行に配向されていない繊維層が、繊維方向のどれもが直接変形を妨げないように変形/剪断(例えば、多軸粗糸において比較的に緩い糸張力を有するアクティブパターンによる)の間に他の層に対して滑るように繊維素材に適用される限り、繊維方向およびさらなる繊維方向を有する多次元粗糸も考えられる。対照的に、例えば、±45°格子内の0°繊維方向は、滑らないように残りの±45°層上に編まれた場合、変形を妨げることになる。
【0029】
変形または湾曲の後、繊維プリフォームは、所望の構成要素を形成するために、例えば、繊維プリフォームの縁部領域を切断することによって、および/または後続の構成要素形状を形成するためのさらなる変形、例えば、フォーマ部分を生成するためにC形のフランジを折りたたむこと、および/またはさらに既に堆積された構成要素層への接続、および/またはバインダの硬化処理によって、さらに処理することができる。
【0030】
有利な実施形態および展開形態は、さらなる従属請求項からおよび図面を参照した説明から導出することができる。
【0031】
展開形態において、互いに結合するために、第1および第2の薄板は、互いに差し込むことができる対応するプラグ・ソケットを有することができる。特に、プラグ・ソケットは、第1および/または第2の薄板の厚さに対応する深さを形成するように結合する。特に、プラグ・ソケットは、スリットとして形成される。例えば、スリットは、どの場合にも、長手方向の面から薄板のほぼ中央まで延びる。好ましくは、スリットの基部には、屈曲げの間に生じる溝付けの影響を防ぐために、張力除去の孔が、設けられてもよい。
【0032】
有利な実施形態では、中立薄板が、格子に導入され、生成される湾曲繊維プリフォームの理論的なまたは実際の中立繊維の領域に配置される。特に、これは、不規則な薄板、すなわち、格子の薄板の規則的な配列を遮断するように配置される。好ましくは、この中立薄板は、薄板が曲げられたとき0°の方向に、言い換えれば周方向に延びる。中立薄板は、中立薄板の第1の側に配置された格子のセルが、曲げの間に、特に基準方向に対して伸張されるように形成され、中立薄板の第2の側に配置された格子のセルが、曲げの間に、特に同一の基準方向に対して圧縮されるように形成される。特に、中立薄板上に直接配置されたセルは、曲げに応じてわずかしか変形されない。有利には、このようにして、成形を既定の方法で行うことができる。
【0033】
伸張および圧縮は、好ましくは、それぞれ、周方向において理解されるべきである。その結果、個々のセルの辺長は一定のままである。したがって、差込み接続部は薄板に対して固定して形成されるので、伸張したセルは、周方向では伸張され、半径方向では圧縮され、圧縮されたセルは、周方向では圧縮され、半径方向では伸張される。セルが剪断すると、セルは、常に、一方向では伸張され、それに対して垂直な別の方向では短縮される。したがって、周方向は、この場合、基準方向を形成する。
【0034】
したがって、成形されていない繊維素材半製品自体の繊維は、圧縮されるかまたは伸張されるのではなく、単に再度配向されるか、または曲げられ、互いに対して剪断されているので、薄板に対して差込み接続部を固定して位置付けるのは有利である。
【0035】
例えば、格子に収容されるために、同様に、中立薄板にプラグ・ソケットを備えることができる。したがって、中立薄板が挿入される領域には、格子の薄板が、中立薄板を受け入れるための追加のプラグ・ソケットが同様に形成される。
【0036】
1つの実施形態では、繊維半製品の支持面として設けられる変形可能なメンブレンが、格子上に設けられる。このようにして、薄板内のセルまたは間隙の空洞に繊維半製品が膨張することが、効果的に防止される。繊維と同様に変形可能な格子織物、例えば、ワイヤ格子としてメンブレンを設けることも考えられる。しかしながら、特に、メンブレンは、さらに、薄板の曲げを補償するために弾性的に付勢されたメンブレンとして形成されてもよい。例えば、メンブレンは、この目的のためにエラストマを有することができる。さらなる実施形態では、これは、例えば、弾性のある有孔またはスリット付き(ゴムまたはエラストマ)メンブレンとすることができる。特に、それは、好ましくは、所望の曲げ方向と反対に付勢させることができる。特に、メンブレンは、曲げプロセスが実行された後、実質的に張力除去されているかまたは依然としてわずかに付勢されているように、曲げプロセスの間周方向の圧縮を経験する中立繊維の側に付勢される。このようにして、薄板が曲げられるときに生じるメンブレンの変形が補償され、ひだまたは折り目が生じず、格子のセルの空洞への膨張も防止される。
【0037】
有利な実施形態では、付着手段は、格子に流体的に接触する減圧箱を有する。減圧箱は、例えば、繊維半製品を支持するために設けられた格子の各セルに減圧を印加できるように形成される。特に、この目的のために、減圧源が接続される減圧接続部が減圧箱に設けられる。有利には、このようにして、繊維半製品が格子上に吸引され、それにより、変形にとって望ましい格子への付着が行われる。
【0038】
展開形態において、減圧箱は、繊維を支持するために設けられる格子のセルの領域において穿孔される。繊維半製品支持体のない領域において、言い換えると、繊維半製品が現在支持されていない領域、および/または繊維半製品の縁部領域において、穿孔および/または格子を特に局所的に密封するための密封手段がさらに設けられている。例えば、このようにして、繊維半製品の縁部において、繊維半製品によって単に半分が被覆された格子のセルも密封することができる。このようにして、減圧が繊維半製品に実質的に存在することが規定される。有利には、このようにして、減圧が格子の必要な点にのみ伝えられる。これは、繊維半製品自体が、基本的には密封手段によってではなく、むしろ減圧によって格子に付着されることを意味するが、当然ながら、さらに、覆われた縁部に、密封手段によってわずかに付着することもありえる。
【0039】
1つの実施形態では、格子全体が減圧で満たされてもよい。この目的のために、格子の個々のセルが、薄板の対応する孔を介して流体的に接続されて形成されてもよい。
【0040】
さらなる実施形態では、格子の現在必要とされるセルに減圧を単に印加することも考えられる。例えば、この目的のために、セルは、それぞれ、作動可能および非作動可能な減圧供給開口を有することができる。
【0041】
格子および/または減圧箱はまた、好ましくは、不付着性に被覆されることで、格子を抵抗なしに減圧箱上で曲げることができる。
【0042】
さらに、広範囲の密封手段が考えられる。例えば、密封手段は、穿孔の孔を局所的に密封する1つまたは複数のカバーフィルムまたはカバープレートとすることができる。しかしながら、制御可能な平面スライドやバルブ、例えば電磁バルブが、さらに、減圧供給のために穿孔の開口の個々のものまたはグループを開閉することができる密封手段として考えられる。
【0043】
有利な実施形態では、薄板が張力除去されているかまたは曲げられていないときに繊維半製品を支持するために設けられた格子のセルが配置される第1の領域と、薄板が曲げられるときに繊維半製品を支持するために設けられた格子のセルが配置される第2の領域に、減圧箱の穿孔が設けられる。これは、このようにして、圧力の理想的な印加が、格子の両方の状態およびいずれの中間状態においても可能になるという利点を有する。
【0044】
展開形態において、密封手段は、格子の各状態で繊維半製品を支持するために設けられた格子のセルの近傍に配置された穿孔を密封する。有利には、穿孔は、格子の状態に応じて、どの場合にも減圧を印加するのに必要とされない領域に選択的に密封される。このようにして、どの場合にも必要とされる穿孔の開口への減圧の分配が行われる。
【0045】
1つの実施形態では、密封手段は、穿孔および/または格子の空気不透過性の局所的カバーを有する。有利には、このタイプのカバーにより、特に実施が簡単であり、また柔軟に使用可能であり、変位可能である密封手段が提供される。その結果、特に、格子の様々な状態への順応も簡単な方法で実施することができる。例えば、フィルムは、穿孔の領域および該当する場合には必要とされない格子の領域わたって塗布することができ、薄板が曲げられると変形に従って伸びることができる。特に、カバーは可撓性フィルムとすることができる。このタイプの可撓性フィルムの利点は、カバーが、例えば、繊維半製品の様々な輪郭線を密封することができるので、デバイスが、さらに、異なる構成要素サイズまたは形状に容易に調節可能であることである。さらなる可能性として、フィルムは、必要な動きがオーバラップジョイントで生じるように複数のオーバラップするピースから構成することができる。
【0046】
代替としてまたは加えて、密封手段は、穿孔および/または格子の選択的に作動可能なバルブを有することができる。例えば、作動可能なバルブは、穿孔の開口に導入される例えば電磁バルブを開閉するために電子的に作動可能なバルブとすることができる。
【0047】
1つの実施形態では、付着手段は、格子自体の接合手段を有する。例えば、接合手段は、繊維半製品にとって重要でない格子に設けられた適用領域に、好ましくは、繊維半製品の縁部に、粘着性の、ざらざらした、ぎざぎざした、および/または針状の部分の形態で設けられてもよい。それにより、格子から半製品までの力の伝達が改善され、滑りがさらに防止される。
【0048】
さらなる実施形態では、付着手段は、格子とは反対側で繊維半製品に接触する接触面を有する。接触面と繊維半製品との間の摩擦係数は、格子と繊維半製品との間の摩擦係数よりも小さくなるように構成される。当然、これは、格子と、中間に接続される任意のメンブレンと、繊維半製品との間の摩擦係数にも当てはまる。このようにして、付着手段の特に簡単な構造および制御が可能になることは有利である。例えば、接触面は、スタンプとして形成することができる。スタンプは、両方の状態で格子のサイズを覆い、例えば、固体プレートの形態としてもよく、例えば、抗付着性効果があるポリテトラフルオロエチレンまたは別の被覆剤を含む抗付着性被覆を表面に有することとしてもよい。代替として、低い摩擦係数と高い耐摩耗性を有する非常に平滑な表面、例えば、ガラスまたは研磨済み高級鋼などを設けることができる。格子の反対側に、特に、好ましくはさらに抗付着性に被覆された支柱(bracing)、例えば好適な平面ベッドを設けてもよい。
【0049】
変形された状態で、バインダを活性化するために加熱可能なスタンプの構成を有する一実施形態も考えられる。加熱は、移送ステップの前、または移送ステップの後で固定が解放される前に行われてもよい。この状況では、局所的に限定された加熱を行うことができる。
【0050】
さらに、接触面がベースプレートとして働き、最初に繊維半製品、続いて格子が接触面に適用されるような方法で、回転した配置とすることも可能である。
【0051】
有利な実施形態では、格子および/または付着手段は、薄板の曲げられた状態で、以前に湾曲された繊維プリフォームを移送するためのエンドエフェクタの一部として形成される。このようにして、エンドエフェクタへの追加のハンドオーバが必要とされないので、特定の相乗作用が生成される。さらに、このようにして、構成要素は、その使用場所に、または所定の成形または湾曲構成のさらなる成形デバイスに移送することができる。
【0052】
例えば、1つの実施形態では、この目的のために、曲げられた格子が、変形された繊維半製品と一緒に持ち上げられるように、デバイス全体を、成形後に回転させることができる。
【0053】
さらなる実施形態では、格子は、成形のために上方に配置されており、言い換えれば、変形のために上から繊維半製品に適用されている。この場合、例えば、繊維半製品の下側を強化するために、低い摩擦係数を有する好適なアンダーレイが設けられる。減圧に基づく接合デバイスの場合には、このアンダーレイは空気透過性で形成することができる。
【0054】
湾曲繊維プリフォームを生成するための方法の一実施形態では、繊維半製品は、格子上において、繊維半製品の二方向または多方向繊維が、少なくとも部分的に薄板と平行に延びるように配向される。
【0055】
さらに、この方法の一実施形態では、代替的に、または追加的に、繊維半製品の理論的なまたは実際の中立繊維が、格子の特に不規則な中立薄板に配置され配向される。それにより、弾性曲げの間、中立薄板の第1の側に配置された繊維は、特に基準方向に対して、そこで作用する格子のセルの伸張に応じて変形される。さらに、中立薄板の第2の側に配置された繊維は、特に同一の基準方向に対して、そこで作用する格子のセルの圧縮に応じて変形する。
【0056】
さらに、この方法の一実施形態では、一時的な付着が、繊維半製品に作用する機械的圧力、または繊維半製品に作用する流体減圧によって行われる。
【0057】
最後に、本発明による方法の一実施形態では、薄板が曲げられるとき、および/または付着のために使用される付着手段によって、格子によって湾曲した繊維プリフォームを移送するステップが行われる。
【0058】
代替的に、または追加的に、1つの実施形態では、湾曲繊維プリフォームを移送するステップの前に、別のエンドエフェクタへのハンドオーバを実行することもでき、その間の繊維プリフォームの張力除去および逆変形が防止される。
【0059】
有利な実施形態では、さらなる成形のステップまたは複数のさらなる成形のステップが、湾曲繊維プリフォームを移送するステップに続く。例えば、所望のプロファイル断面、特に、C形またはZ形を生成するために、成形がさらなる面に行われてもよい。
【0060】
上述の実施形態および展開形態は、無理でない範囲で、任意の所望の方法で互いに組み合わせることができる。特に、本発明による特徴、デバイス、およびデバイスのプロセスはすべて本発明による方法に移すことができ、逆もまた同様である。本発明のさらなる可能な構成、展開、および実施は、実施形態に関して上記で説明されたまたは以下で説明される本発明の特徴の明確に述べられていない組合せをさらに含む。特に、当業者は、さらに、個々の態様を本発明の各基本的形態に改善または補足として付け加えるであろう。
【0061】
以下、本発明が、概略図に記載された実施形態を介してさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】湾曲繊維プリフォームを生成するためのデバイスの一部分の平面図である。
【
図4】さらなる実施形態による湾曲繊維プリフォームを生成するためのデバイスの一部分の斜視図である。
【
図6】張力除去されたときの
図4および
図5のデバイスの斜視図である。
【
図7】曲げられたときの
図6のデバイスを示す図である。
【
図8】
図4から
図7のデバイスの格子に繊維プリフォームを適用するステップの図である。
【
図9】格子に適用された
図8の繊維半製品の縁部の詳細である。
【
図10】縁部が追加の密封手段で覆われている
図8および
図9の繊維半製品を示す図である。
【
図11】さらなる実施形態による湾曲繊維プリフォームを生成するためのデバイスの概略断面図である。
【
図12】デバイスの格子に適用されるメンブレンの詳細の図である。
【
図13】別のさらなる実施形態による湾曲繊維プリフォームを生成するためのデバイスの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
添付の図面は、本発明の実施形態の改善された理解を伝えるように意図される。添付の図面は、実施形態を示し、本発明の原理および概念について説明するのに記述とともに役立つ。他の実施形態および論述した利点の多くは、図面から導き出すことができる。図面の要素は、必ずしも互いに正しい縮尺で示されていない。
【0064】
図面において、特に明記しない限り、同様の、機能的に同等な、および全く同様に作用する要素、特徴、および構成要素は、同様の参照番号が付けられている。
【0065】
図1は、曲げたときに湾曲繊維プリフォームを生成するためのデバイス1の一部分の平面図である。
【0066】
これは、航空機または宇宙船の胴体構成要素、例えばフォーマ部分のために、二方向または多方向繊維半製品(ここには図示せず)から湾曲繊維プリフォームを生成するためのデバイス1である。
【0067】
デバイス1は、複数の第1の薄板2と複数の第2の薄板3とを有する。複数の第1の薄板2と複数の第2の薄板3とは、それらが共有面に配置されることで、一緒に格子4を形成するように、互いに十字に差込み可能に構成される。さらに、軸5が概略的に示されている。軸5は格子4の共有面と交差し、軸5まわりで薄板2、3が弾性的に曲げられる。このようにして、張力除去されたときに正方形となる格子4のセルが、認識できるほどに伸張されたまたは圧縮された菱形に変化するように、薄板2、3の局所配向が連続的に変形する。
【0068】
繊維半製品9(ここには図示せず)は、ここで例として薄板の付着剤被覆として形成された付着手段6によって、格子4に一時的に付着することができる。付着手段6は、薄板2、3が曲がると、それに応じて繊維半製品の局所繊維配向も変化するように構成される。したがって、対応する摩擦係数が、格子と付着手段6との間に提供される。
【0069】
単に、例として、ここで示す付着剤被覆は、繊維材料に許容される付着剤ストリップであることとしてもよい。好ましくは、付着剤ストリップは熱耐性となるように形成される。
【0070】
しかしながら、さらなる実施形態では、付着手段6は、繊維半製品を付着させるための追加の要素および/または方策を有することができ、以下の実施形態を参照してより詳細に論じられる。この場合、繊維材料に許容される付着剤ストリップは、摩擦を少なくするために抗付着性被覆として、および/または信頼性の高い接触を提供するためにさらに接触面として設けられてもよい。
【0071】
このタイプのデバイス1を使用した繊維半製品9の変形または成形が、互いに差し込まれた剪断可能なバーの形態で、互いに差し込まれた薄板2、3を使用して形成される格子4を有するキャリアによって実行される。バーは、好ましくは、成形される繊維半製品9の層のうちの少なくともいくつかの繊維配向と同じ配向(例えば、±45°)を有する。したがって、繊維半製品は、薄板の配向に対応する繊維配向の変形前に適用される。
【0072】
格子が、それに付着している繊維半製品とともに曲げ加工により剪断されると、繊維半製品も一緒に剪断される。ストッパによって、格子4の最大変形/剪断、ひいては、所望の湾曲形状、例えばフォーマ形状の必要な曲率も確立することができる。
【0073】
【0074】
この図面は、明確にここで視認できる格子4の湾曲状態を同様に示している。
【0075】
さらに、
図2は、第1および/または第2の薄板2、3の厚さに対応する深さを形成するために結合する第1および第2の薄板2、3のプラグ・ソケット7を示している。これらは、薄板の長手方向に対して横方向に延び、どの場合にも長手方向の面から薄板2、3のほぼ中央まで延びるスリットである。この状況において、第1および第2の薄板のプラグ・ソケットは、それぞれ、互いに差し込むことができるように反対向きに形成される。スリットの基部には、どの場合にも張力除去の孔が設けられる。
【0076】
図3は、
図1および
図2によるデバイスのさらなる斜視図である。
【0077】
デバイスは、複数の第1および第2の薄板2、3を有することが分かる。これらは、±45°の方向に配向している。例えば、薄板は各々可撓性バーとすることができる。材料として、高級鋼、ばね鋼、ガラス繊維強化プラスチック材料、炭素繊維強化プラスチック材料、熱可塑性プラスチックなどのような広範囲の曲げ可能な材料が適している。一例として図示された実施形態では、非常に可撓性である100枚を超える薄板が互いに差し込まれている。結果として生じる格子は、両側で平面である。
【0078】
格子4において、個別のバーの形態の中立薄板8が、第3の方向に導入され、0°の配向を有する。中立薄板8は、プラグ・ソケットを用いて形成され、格子4の薄板2、3は、同様に、中立薄板8を受け取るための追加のプラグ・ソケットが形成されている。
【0079】
中立薄板8は、変形に関しての中立繊維、すなわち、剪断変形が起こらないラインを画定する。好ましくは、格子4および繊維半製品9の変形に等しく適用される。したがって、中立薄板8の第1の側に配置された格子4のセルは、薄板2、3が曲がるときに伸張され、中立薄板8の第2の側に配置された格子のセルは圧縮される。
【0080】
繊維半製品9は、孔またはダクトによって減圧が前記格子に与えられると、格子4に吸引される。この目的のために、この実施形態では、薄板2、3によって形成されたセルは、セル間の空気循環または圧力補正を可能にするように、プラグ・ソケット間に配置された追加の孔を介して流体的に接続される。
【0081】
図4は、さらなる実施形態による湾曲繊維プリフォームを生成するためのデバイスの一部分の斜視図である。
図5は、
図4のデバイスの概略断面図である。
【0082】
この実施形態では、デバイス1は、同様に、
図1から
図3を参照して説明したような格子4を有する。
【0083】
しかしながら、この実施形態の付着手段6Aは、追加として、中空箱を有する。中空箱は、格子の下に配置され、減圧箱16として形成される。繊維半製品支持体のない領域を密封するための密封手段13がさらに設けられる。
【0084】
格子4に減圧を印加するために、例えば
図4に示すような真空掃除機チューブに接続するための減圧源への接続部12が、減圧箱16の側面に設けられている。
【0085】
減圧箱16の上面に、
図5に示すような穿孔14が、孔の配列の形態で設けられており、孔を通して、減圧箱16に与えられる減圧を格子4に印加することができる。半製品9によって覆われていないセル、および格子4に接触していない穿孔14の孔を介して、カバーとして形成された密封手段13が適用される。半製品によって覆われていない格子4の横方向セルを密封するために、さらなる追加の密封手段13が、繊維半製品9の縁部にさらに設けられ、好適な固定手段10を使用して格子4に固定される。
【0086】
このようにして、格子4に配置された繊維半製品9は、
図5の垂直の太い矢印で表されているように、静止摩擦が繊維半製品9と薄板2、3の横方向側面との間に生じ、繊維半製品9が格子4に付着するように、格子4上に吸引される。
【0087】
図6は、張力除去されたときの
図4および
図5のデバイス1の斜視図であり、
図7は、曲げられたときのデバイス1の斜視図である。
【0088】
曲げの間の格子の変形の結果として、格子4によって覆われる面もまた、減圧箱16上で変位する。したがって、
図6のように張力除去されたときまたは変形の開始時に格子4の下方にのみ配置され、曲げられたときまたは変形の終了時に格子4の近傍に配置された減圧箱16の穿孔14の孔が存在する。逆に、変形の開始時に格子4の外側に配置され、変形の終了時に格子4の下に配置される穿孔の孔も存在する。
【0089】
どの場合にも、格子4の近傍に配置された孔を密封するために、穿孔14は、さらに、格子の近傍に配置された領域のカバーによって覆われる。さもなければ、格子4の外側に配置された孔は、誤った空気(false air)を吸い上げ、格子4に配置された繊維半製品9に利用可能な吸引力を低減させる。したがって、密封手段13として設けられるカバーは、
図5において水平の小さい矢印で示されているように、格子4の変形とともに変位するように形成される。
【0090】
格子4の外側縁部の形状および長さは曲げの間に変化するので、この場合、例えば可撓性フィルムの形態でカバーが柔軟に形成される。さらに、この場合、カバーは、例えば、互いに変位可能な複数のサブピースから構成される。
【0091】
図8は、
図4から
図6のデバイスの格子4に繊維プリフォーム9を適用するステップの図面である。
図9は、格子4に適用された
図8の繊維半製品の縁部の詳細である。
【0092】
繊維半製品の縁部には、部分的に覆われているだけの格子4のセルがあることが理解される。これらの領域には、図示の実施形態では、
図10に示される追加の密封手段13が設けられる。
【0093】
図10は、縁部が追加の密封手段13で覆われている
図8および
図9の繊維半製品9を示す。
【0094】
追加の密封手段13は、特に、繊維半製品9の直線的な端部と、減圧が与えられる格子4のぎざぎざのある縁部との間における、
図9に示される間隙で、誤った空気が格子4の縁部で吸い取られるのを防止する役目をする。この追加の密封手段13もまた、カバーとして形成されるが、
図4のフィルムと異なり、この場合、例として弾性のプラスチック材料マットとして形成される。追加の密封手段13は、ここで示されるように、格子4の縁部に配置されてもよく、あるいは、別の実施形態では、格子4のさらなる部分に配置されてもよい。したがって、追加の密封手段13は、可撓性のカバーまたは複数部分のカバーとすることもできる。
【0095】
図11は、さらなる実施形態による湾曲繊維プリフォームを生成するためのデバイス1の概略断面図である。
【0096】
この実施形態は、格子4と繊維プリフォーム9との間に設けられる追加のメンブレン11を介して、
図4から
図11に関連して先に説明した実施形態とは異なっている。
【0097】
この実施形態では、減圧を介した吸引に基づいており、メンブレン11は、空気透過性を有しおよび変形可能に形成されている。それは格子間隙内、すなわち、個々のセルの空洞内への局所的な膨張を防止するために、繊維半製品を格子の圧縮領域に支える役目をする。
【0098】
図12は、デバイス1の格子4に適用されるメンブレン11の一実施形態の詳細である。
【0099】
この場合、メンブレン11は、例として金属格子として形成されている。金属格子の細線は、格子4の薄板2、3と同一の配向を有する。
【0100】
追加の金属格子によって、繊維半製品9は、格子間隙において下方から補強される。金属格子の細線は薄板方向に延びているので、金属格子、したがって薄板状格子4も変形可能なままである。
【0101】
しかしながら、他の実施形態では、金属格子の代わりに、例えば穿孔付きまたはスリット付きのゴム・メンブレンを使用することができる。好ましくは、これは、膨張することなしに格子4の変形を補償するように、生成される繊維プリフォームの所定の曲率に従って付勢される。ゴム・メンブレンは、ゴム・メンブレンの変形が格子によって規定され、ひいては、繊維素材の変形に対応する(言い換えれば、ゴムの自然変形ではない)ように、格子4上に引っ張られなければならない。
【0102】
さらなる実施形態では、このタイプのメンブレン11の代わりに、格子4がより小さいセルまたはより小さい間隙を有するように、格子4自体を狭い網目、すなわち、非常に小さい薄板から作ることも考えられ、それにより、繊維半製品9がより良好に支持される。
【0103】
図13は、別のさらなる実施形態による湾曲繊維プリフォームを生成するためのデバイス1の概略断面図である。
【0104】
この実施形態の特徴的な付着手段6Bは、格子を支える平面ベッドを有し、格子4とは反対側で繊維半製品9に接触する接触面15を有する。
【0105】
接触面15は、例えば、両方の状態で格子のサイズを覆い、例えば固体プレートの形態であり、付着防止コーティングを有するスタンプとして形成される。このようにして、接触面15と繊維半製品9との間の摩擦係数は、格子4と繊維半製品9との間の摩擦係数よりも小さい。
図13の垂直な矢印で表された機械的圧力が接触面15を介して印加されると、格子4と繊維半製品9との間の静止摩擦が強められる。したがって、スタンプを用いて印加される機械的圧力下での変形は、先の実施形態に関連して説明した方法と同じように、減圧の印加を実行することができる。
【0106】
さらに、この場合、繊維半製品9を支持するためのメンブレン11が、格子4上に、 任意に設けられてもよい。好ましくは、この場合、(場合により付勢される)ゴム・メンブレンが使用されるが、これは穿孔されている必要がない。
【0107】
上述の実施形態のうちの1つによるデバイスを用いて、特に、フォーマ用のC形の繊維プリフォームを、例えばフォーマの90°部分の生成のために生成することができる。したがって、生成された繊維プリフォームは、例えば、縁部領域を切り取ることによって、任意にさらに成形して後続の構成要素形状を形成することによって、所望の構成要素を形成するようにさらに処理することができる。例えば、これは、フォーマ部分のC形のフランジを折り返すことを含むことができる。
【0108】
本発明が上述において好ましい実施形態を介して完全に説明されたが、本発明は、それに限定されるのでなく、様々な方法で変更することができる。
【0109】
例えば、繊維半製品は、繊維半製品の繊維素材に配置され、変形を固定するバインダを活性化するために、曲げられた格子4に配置されている間に加熱することができる。この場合、冷却後、湾曲した繊維プリフォームを、その後、従来のグリッパにより受け入れ、さらに搬送し、および/またはさらに処理することができる。
【0110】
本発明に関連するデバイスのさらに考えられる実施形態は、エンドエフェクタとしてのデバイスの同時形成である。この目的のために、デバイス1は、例えば、湾曲繊維プリフォームと一緒に変形された後に、付着手段6Aの吸引サブ構造と一緒に、言い換えれば、減圧箱16および密封手段13と一緒に回転される。その後、繊維プリフォームは、デバイスと一体化して形成されたエンドエフェクタによって前方へ搬送され、例えば、さらなる構成要素プリフォーム上に直接配置される。したがって、この実施形態では、湾曲繊維プリフォームは、繊維プリフォームの形状が構成要素プリフォームへの固定と同時に固定されるように、湾曲繊維プリフォームが構成要素プリフォーム上に載せられた後にのみ加熱することができる。例えば、構成要素プリフォームは、生成される構成要素のための既に堆積されているがまだ接続されていないさらなる層の形態とすることができる。
【0111】
エラストマまたはゴム・メンブレンが、格子4上で、繊維半製品9の下方または上方のいずれかで使用される場合、有利な実施形態は、格子に部分的にまたは複数部分で付勢されたメンブレンを適用することを含むことができる。格子や、例えばゴムのようなメンブレンの材料の異なる変形の結果、格子4は、長手方向の半径方向内側で、例えば、フォーマ・プリフォームの内フランジの方向の曲げの内側で、短縮するのを防止される。それにより、メンブレンは圧縮され、付勢がない状態では座屈することができる。メンブレンが付勢される結果として、代わりに、座屈が防止され、繊維半製品が常に最適に支持されるように、常に平面のままである。
【0112】
1つの実施形態では、曲率の内側では、変形の開始時に張力が最大であり、変形の最終状態が達せられたとき張力がほぼ0となるように、ゴム・メンブレンが付勢される。その結果、曲率の外側では、その箇所で、変形の開始時に張力がほぼ0であり、変形の最終状態に達したとき張力が最大になるように、付勢は逆に与えられる。
【0113】
しかしながら、さらなる実施形態では、格子が変形されていないかまたは緩和されているときには、外力がない状態では格子がさらに直線のままとなるように、メンブレンの付勢を、内側と同様に外側において正確に同じ大きさとなるように与えられてもよい。
【符号の説明】
【0114】
1 デバイス
2 第1の薄板
3 第2の薄板
4 格子
5 軸
6 付着手段
6A;6B 付着手段
7 プラグ・ソケット
8 中立薄板
9 繊維半製品
10 固定手段
11 メンブレン
12 減圧接続部
13 密封手段
14 穿孔
15 接触面
16 減圧箱