IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 国立大学法人 千葉大学の特許一覧 ▶ 日揮株式会社の特許一覧

特許7262189共役ジエン製造用触媒、前記触媒の製造方法、及び共役ジエンの製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】共役ジエン製造用触媒、前記触媒の製造方法、及び共役ジエンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/10 20060101AFI20230414BHJP
   C07C 1/24 20060101ALI20230414BHJP
   C07C 11/18 20060101ALI20230414BHJP
   C07C 11/167 20060101ALI20230414BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20230414BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20230414BHJP
【FI】
B01J23/10 Z
C07C1/24
C07C11/18
C07C11/167
B01J37/08
C07B61/00 300
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018147062
(22)【出願日】2018-08-03
(65)【公開番号】P2020018994
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人千葉大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000004411
【氏名又は名称】日揮ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002756
【氏名又は名称】弁理士法人弥生特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗田 健人
(72)【発明者】
【氏名】汪 宇超
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 智司
(72)【発明者】
【氏名】沖田 充司
(72)【発明者】
【氏名】本田 一規
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-001975(JP,A)
【文献】特開2011-063519(JP,A)
【文献】特表2017-508717(JP,A)
【文献】四元理香子 他,ジルコニア担持酸化カルシウム触媒による1,3-ブタンジオールの脱水反応,第118回触媒討論会 討論会A予稿集,2016年09月14日,p. 394
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 1/00-38/74
C07C 1/00-409/44
C07B 61/00
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1分子の3-メチル-1,3-ブタンジオールから2分子の水を脱水してイソプレンを生成する反応を進行させる共役ジエン製造用触媒であって、酸化ジルコニウム及び酸化カルシウムを含み、当該共役ジエン製造用触媒の重量に対する、単位時間当たりの前記3-メチル-1,3-ブタンジオールの質量流量(WHSV:Weight Hourly Space Velocity)が1.5h -1 以下である条件下で使用されるものであることを特徴とする共役ジエン製造用触媒。
【請求項2】
1分子の1,3-ブタンジオールから2分子の水を脱水して1,3-ブタジエンを生成する反応を進行させる共役ジエン製造用触媒であって、酸化ジルコニウム及び酸化カルシウムを含み、当該共役ジエン製造用触媒の重量に対する、単位時間当たりの前記1,3-ブタンジオールの質量流量(WHSV)が1.5h -1 以下である条件下で使用されるものであることを特徴とする共役ジエン製造用触媒
【請求項3】
前記酸化ジルコニウムのジルコニウム原子1モルに対し、前記酸化カルシウムのカルシウム原子の含有量が0.01モル以上、0.3モル以下の範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の共役ジエン製造用触媒。
【請求項4】
前記酸化カルシウムは、前記酸化ジルコニウムに担持されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一つに記載の共役ジエン製造用触媒。
【請求項5】
前記酸化ジルコニウムが正方晶型または立方晶型であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一つに記載の共役ジエン製造用触媒。
【請求項6】
前記酸化ジルコニウムは、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)であることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに一つに記載の共役ジエン製造用触媒。
【請求項7】
請求項1ないしのいずれか一つに記載の共役ジエン製造用触媒の製造方法であって、前記酸化カルシウム、もしくは、カルシウム前駆体を含む前の状態の共役ジエン製造用触媒の原料である前記酸化ジルコニウム、もしくは、ジルコニウムを含む前駆体を700℃以上、1200℃以下の範囲内の温度下で焼成する工程を含むことを特徴とする共役ジエン製造用触媒の製造方法。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれか一つに記載の共役ジエン製造用触媒の製造方法であって、前記酸化ジルコニウムとカルシウムを含む前駆体とを含んだ共役ジエン製造用触媒の原料、ジルコニウムを含む前駆体と前記酸化カルシウムとを含んだ共役ジエン製造用触媒の原料、または、ジルコニウムを含む前駆体とカルシウムを含む前駆体とを含んだ共役ジエン製造用触媒の原料のいずれかを700℃以上、1200℃以下の範囲内の温度下で焼成する工程を含むことを特徴とする共役ジエン製造用触媒の製造方法。
【請求項9】
請求項1ないし6のいずれか一つに記載の共役ジエン製造用触媒の製造方法であって、前記酸化カルシウム及び前記酸化カルシウムを含む前記共役ジエン製造用触媒を700℃以上、1200℃以下の範囲内の温度下で焼成する工程を含むことを特徴とする共役ジエン製造用触媒の製造方法。
【請求項10】
共役ジエンの製造方法において、請求項1に記載の共役ジエン製造用触媒に、3-メチル-1,3-ブタンジオールを含む流体を接触させて1分子の3-メチル-1,3-ブタンジオールから2分子の水を脱水してイソプレンである共役ジエンを含む流体を得る工程を含み、
前記共役ジエンを含む流体を得る工程は、前記共役ジエン製造用触媒の重量に対する、単位時間当たりの前記3-メチル-1,3-ブタンジオールの質量流量(WHSV)が1.5h -1 以下であることを特徴とする共役ジエンの製造方法。
【請求項11】
共役ジエンの製造方法において、請求項3に記載の共役ジエン製造用触媒に、1,3-ブタンジオールを含む流体を接触させて1分子の1,3-ブタンジオールから2分子の水を脱水して1,3-ブタジエンである共役ジエンを含む流体を得る工程を含み、
前記共役ジエンを含む流体を得る工程は、前記共役ジエン製造用触媒の重量に対する、単位時間当たりの前記1,3-ブタンジオールの質量流量(WHSV)が1.5h -1 以下であることを特徴とする共役ジエンの製造方法。
【請求項12】
前記共役ジエンを含む流体を得る工程は、250℃以上、400℃以下の範囲内の反応温度下で行われることを特徴とする請求項10または11に記載の共役ジエンの製造方法。
【請求項13】
前記共役ジエンを含む流体を得る工程を実施する前に、前記共役ジエン製造用触媒を700℃以上、1200℃以下の範囲内の温度下で焼成する工程を含むことを特徴とする請求項10ないし12のいずれか一つに記載の共役ジエンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソプレンまたは1,3-ブタジエンを製造する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
合成ゴムの原料などに用いられるイソプレンや1,3-ブタジエン(以下、これらをまとめて「共役ジエン」ともいう)は、ナフサの熱分解によりエチレンの併産品として製造するナフサクラッキングが主要な製造方法である。また、1,3-ブタジエンについては、ブテンの酸化脱水素プロセスや、エタノールまたはアセトアルデヒドの二量化プロセスといった単産プロセスも知られている。
【0003】
この他、石油化学原料に限らず、バイオマス由来の原料から発酵法などにより製造可能なアルコールから1,3-ブタジエンを製造するプロセスは、環境負荷の小さな単産プロセスとして開発の取り組みが種々成されている。
その中でも特に、単一触媒で共役ジエンを生成する反応を進行させることが可能な触媒、及びこの触媒に適した簡素なプロセスの開発が重要となっている。
【0004】
例えば、特許文献1~4には、C4の各種ジオール型の化合物から、1つの二重結合を有する不飽和アルコールを製造する触媒として、酸化ジルコニウムとカルシウムとを組み合わせた触媒を用いる技術が記載されている。
しかしながら、これらの特許文献には、ジオール型の化合物から、シンプルなプロセスで共役ジエンを製造する技術は開示されていない。
【0005】
また、特許文献5には、アルカリ土類元素や希土類元素から選択された元素をドーパントとして含むジルコニアを触媒として、1,3-ジオール型の原料の脱水反応を進行させ、不飽和アルコールを得た後、シリカアルミナ触媒などの脱水触媒を用いて不飽和アルコールの脱水反応を進行させて1,3-ブタジエンなどのジエン化合物を得る技術が記載されている。
しかしながら特許文献5に記載の手法は、複数種類の触媒を必要としており、ジエン化合物を得るプロセスが複雑になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-54819号公報
【文献】特開2017-1975号公報
【文献】特開2017-14133号公報
【文献】特開2017-61429号公報
【文献】特開2017-186272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような背景の下になされたものであり、3-メチル-1,3-ブタンジオールからイソプレン、または1,3-ブタンジオールから1,3-ブタジエンを単一触媒で製造する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、1分子の3-メチル-1,3-ブタンジオールから2分子の水を脱水してイソプレンを生成する反応を進行させる共役ジエン製造用触媒、または1分子の1,3-ブタンジオールから2分子の水を脱水して1,3-ブタジエンを生成する反応を進行させる共役ジエン製造用触媒であって、酸化ジルコニウム及び酸化カルシウムを含み、前記共役ジエン製造用触媒は、当該共役ジエン製造用触媒の重量に対する、単位時間当たりの前記3-メチル-1,3-ブタンジオール、または1,3-ブタンジオールの質量流量(WHSV:Weight Hourly Space Velocity)が1.5h -1 以下である条件下で使用されることを特徴とする
このとき酸化ジルコニウムのジルコニウム原子1モルに対し、前記酸化カルシウムのカルシウム原子の含有量が0.01モル以上、0.3モル以下の範囲内となるように含有割合を調節してもよい。
【0009】
前記酸化カルシウムは、前記酸化ジルコニウムに担持してもよい。
酸化ジルコニウムは正方晶型または立方晶型である場合を例示できる。このとき、酸化ジルコニウムは、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)により構成してもよい。
【0010】
また、前記共役ジエン製造用触媒の製造方法は、(a)前記酸化カルシウム、もしくは、カルシウム前駆体を含む前の状態の共役ジエン製造用触媒の原料である前記酸化ジルコニウム、もしくは、ジルコニウムを含む前駆体、(b)前記酸化ジルコニウムとカルシウムを含む前駆体とを含んだ共役ジエン製造用触媒の原料、ジルコニウムを含む前駆体と前記酸化カルシウムとを含んだ共役ジエン製造用触媒の原料、または、ジルコニウムを含む前駆体とカルシウムを含む前駆体とを含んだ共役ジエン製造用触媒の原料、(c)前記酸化カルシウム及び前記酸化カルシウムを含む前記共役ジエン製造用触媒のいずれかを700℃以上、1200℃以下の範囲内の温度下で焼成する工程を含むことを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明の共役ジエンの製造方法は、共役ジエン製造用触媒に、3-メチル-1,3-ブタンジオールを含む流体を接触させて1分子の3-メチル-1,3-ブタンジオールから2分子の水を脱水してイソプレンである共役ジエンを含む流体を得る工程を含み、前記共役ジエンを含む流体を得る工程は、前記共役ジエン製造用触媒の重量に対する、単位時間当たりの前記3-メチル-1,3-ブタンジオールの質量流量(WHSV)が1.5h -1 以下であること、または共役ジエン製造用触媒に、1,3-ブタンジオールを含む流体を接触させて1分子の1,3-ブタンジオールから2分子の水を脱水して1,3-ブタジエンである共役ジエンを含む流体を得る工程を含み、前記共役ジエンを含む流体を得る工程は、前記共役ジエン製造用触媒の重量に対する、単位時間当たりの前記1,3-ブタンジオールの質量流量(WHSV)が1.5h -1 以下であることを特徴とする。
ここで前記共役ジエンを含む流体を得る工程は250℃以上、400℃以下の範囲内の反応温度下で行われることが好ましい。この他、前記共役ジエンを含む流体を得る工程を実施する前に、前記共役ジエン製造用触媒を700℃以上、1200℃以下の範囲内の温度下で焼成する工程を含んでもよい。
【発明の効果】
【0012】
本共役ジエン製造用触媒は、1分子の3-メチル-1,3-ブタンジオールから2分子の水を脱水してイソプレンを生成し、または1分子の1,3-ブタンジオールから2分子の水を脱水して1,3-ブタジエンを生成する脱水反応を進行させることができるので、これらの原料からシンプルなプロセスで効率よく共役ジエンを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<共役ジエン製造用触媒、及びその製造方法>
本例の共役ジエン製造用触媒は、酸化ジルコニウム及び酸化カルシウムを含み、1分子の3-メチル-1,3-ブタンジオール(以下、「3M1,3BDO」とも記す)から2分子の水を脱水させてイソプレンを生成する下記(1)式の脱水反応を進行させる。
【化1】
または、前記共役ジエン製造用触媒は、1分子の1,3-ブタンジオール(以下、「1,3BDO」とも記す)から2分子の水を脱水させて1,3―ブタジエンを生成する下記(2)式の脱水反応を進行させる。
【0014】
本例の共役ジエン製造用触媒は、従来、困難と考えられていた、単一触媒で3M1,3BDO、または1,3BDOからの脱水反応を進行させ、共役ジエンを製造するプロセスの実現を可能とする。
【0015】
共役ジエン製造用触媒に含まれる酸化ジルコニウムの構成やその調製方法に特段の限定はない。市販の酸化ジルコニウムを用いてもよいし、塩化ジルコニウムなどのジルコニウムを含む前駆体を、酸素雰囲気下で焼成して得たものなどを用いてもよい。また、酸化ジルコニウムは、正方晶型のものを用いてもよいし、立方晶型のものを用いてもよい。
正方晶型や立方晶型の酸化ジルコニウムとしては、イットリアにより安定化されたイットリア安定化ジルコニア(Yttria-Stabilized Zirconia、YSZ)であってもよい。
【0016】
共役ジエン製造用触媒に含まれる酸化カルシウムの構成やその調製方法についても特段の限定はない。市販の酸化カルシウムを用いてもよいし、硝酸カルシウムや水酸化カルシウムなどのカルシウムを含む前駆体を、酸素雰囲気下で焼成して得たものなどを用いてもよい。また、カルシアにより安定化されたカルシア安定化ジルコニア(Calcia-Stabilized Zirconia、CSZ)であってもよい。
【0017】
共役ジエン製造用触媒に含まれる酸化ジルコニウムは、3M1,3BDOや1,3BDOの脱水反応を進行させる。一方、酸化カルシウムは塩基として作用し、酸化ジルコニウムの酸性を抑制する。その結果、3M1,3BDOや1,3BDOの分解反応の進行を抑制し、結果的に目的物の選択率を高める。また、酸化ジルコニウムの酸点と、酸化カルシウムの塩基点が協奏的に作用することにより、酸化ジルコニウムを単独で用いた場合と比べて反応活性が向上するものと考えられる。
【0018】
3M1,3BDOや1,3BDOを含む原料流体と効率的に接触させる観点では、酸化ジルコニウムや酸化カルシウムは、例えばナノメートルオーダーからマイクロメートルオーダーの微粒子の状態で共役ジエン製造用触媒に含まれていてもよい。
また、既述のカルシア安定化ジルコニアなどのように、酸化ジルコニウムの骨格構造中にカルシウム原子を含む複合酸化物として構成されていてもよい。
【0019】
共役ジエン製造用触媒は、担体に微粒子状の酸化ジルコニウムや酸化カルシウム、またはその複合酸化物を担持して構成してもよい。副生物の生成を抑えるため、担体は3M1,3BDOや1,3BDOに対する反応活性を持たないもの、あるいは比表面積が小さく実質的に反応に影響がない担体を用いることが好ましい。
このような担体として、シリカ、α-アルミナ、炭素、シリコンカーバイドからなる担体原料群から少なくとも一つ選択される担体原料を含む担体を例示することができる。
【0020】
共役ジエン製造用触媒は、前記微粒子よりも直径の大きな粉体状の担体の表面に、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、またはその複合酸化物を分散担持した構成としてもよい。また、例えば粒状やリング状に成形された担体の表面上に、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、またはその複合酸化物を分散担持した構成としてもよい。
担体に酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、またはその複合酸化物を分散担持する手法には特段の限定はない。例えば含浸法、沈殿法、混練法などの公知の担持法を用いることができる。
【0021】
上述の各種担持法を実施するにあたり、これらの手法を用いて担体の表面に酸化ジルコニウムや酸化カルシウム、またはその複合酸化物の前駆体を担持した後、焼成を行って、担体の表面に分散担持された各前駆体を酸化ジルコニウムや酸化カルシウム、またはその複合酸化物に変換してもよい。
また、酸化ジルコニウムや酸化カルシウム、またはその複合酸化物を担持した後の共役ジエン製造用触媒が粉体状である場合には、共役ジエンの製造プロセスにおける使用態様に応じ、粒状やリング状などに成形してもよい。
【0022】
さらにまた、共役ジエン製造用触媒が酸化ジルコニウムと酸化カルシウムとにより構成される場合には、酸化カルシウムの微粒子よりも直径の大きな粉体状の酸化ジルコニウムの表面に、酸化カルシウムを分散担持した構成としてもよい。また、例えば粒状やリング状に成形された酸化ジルコニウムの表面上に、酸化カルシウムを分散担持した構成としてもよい。
酸化ジルコニウムに酸化カルシウムを分散担持する手法についても特段の限定はない。例えば含浸法、沈殿法、混練法などの公知の担持法を用いることができる。
【0023】
上述の酸化ジルコニウムへの酸化カルシウムの担持を実施するにあたり、これらの手法を用いて酸化ジルコニウムの前駆体の表面に酸化カルシウムの前駆体を担持した後、焼成を行って、各前駆体を酸化ジルコニウム及び酸化カルシウムに変換してもよい。この結果、表面に酸化カルシウムが分散担持された酸化ジルコニウムを得ることができる。
また、酸化カルシウムを担持した酸化ジルコニウムである共役ジエン製造用触媒が粉体状である場合には、共役ジエンの製造プロセスにおける使用態様に応じ、粒状やリング状などに成形してもよい。
【0024】
ここで共役ジエン製造用触媒に含まれる酸化ジルコニウムは、例えば700℃以上、1200℃以下の範囲内の温度、好適には800℃以上、1000℃以下の範囲内の温度にて焼成されたものであることが好ましい。焼成を行うことにより特定の結晶面(例えば正方晶)の酸化ジルコニウムが得られ、本反応に有効な表面を形成することができる。このとき、700℃以下で焼成した共役ジエン製造用触媒は、所望の結晶面が十分に得られず、転化率が低くなるおそれがある。一方で1200℃以上の温度で触媒を焼成すると、共役ジエン製造用触媒の表面積が低下することにより、転化率が低下する場合がある。
【0025】
市販の酸化ジルコニウムや、前駆体から酸化ジルコニウムを形成する際の焼成温度が低い酸化ジルコニウムなどは、上記温度範囲にて焼成を行うことにより、より高い脱水反応活性を発揮させることができる。また、前駆体から酸化ジルコニウムを得る焼成を行う際の焼成温度を700℃以上、1200℃以下の範囲内の温度とし、酸化ジルコニウムの形成と、所定の結晶面を得る処理とを併せて行ってもよい。
【0026】
焼成雰囲気は、例えば空気雰囲気でもよいし、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気でもよい。
また酸化ジルコニウムの焼成は、反応前であればいつでもよく、触媒の製造時や共役ジエンの製造プロセス用反応器へ充填した後のタイミングにて実施してもよい。
【0027】
上述の共役ジエン製造用触媒は、前記反応器に充填された共役ジエン製造用触媒の重量に対する、単位時間当たりの3M1,3BDO、または1,3BDOの質量流量(WHSV:Weight Hourly Space Velocity)が1.5h-1以下である条件下で使用されることが好ましい。
【0028】
本例の共役ジエン製造用触媒における、酸化ジルコニウムと酸化カルシウムとの含有比は、酸化ジルコニウムのジルコニウム原子1モルに対し、酸化カルシウムのカルシウム原子の含有量が0.01モル以上、0.3モル以下の範囲内であることが好ましい。より好適には、同カルシウム原子の含有量は0.05モル以上、0.3モル以下の範囲内であるとよい。
カルシウム原子の含有量が0.01モル未満の場合には、3M1,3BDOや1,3BDOの分解反応の進行を抑制する作用や、酸化ジルコニウムの酸点と、酸化カルシウムの塩基点との協奏作用が十分に得られなくなるおそれがある。また、カルシウム原子の含有量が0.3モルを超える場合には、酸化ジルコニウム側における3M1,3BDOや1,3BDOの脱水反応が阻害されるおそれが生じる。
【0029】
<共役ジエンの製造方法>
以上に説明した共役ジエン製造用触媒を用いて、3M1,3BDOからイソプレンを生成し、または1,3BDOから1,3―ブタジエンを生成する共役ジエンの製造方法について説明する。
例えば粉末状の共役ジエン製造用触媒は、流動床型、懸濁床型、移動床型などの反応器に使用することが可能であり、さらに粒状やリング状などに成形された共役ジエン製造用触媒は、固定床型の反応器に使用することができる。
【0030】
ここで、共役ジエン製造用触媒を収容する反応器が十分な耐熱性を備えている場合などには、既述の700℃以上、1200℃以下の範囲内の温度、好適には800℃以上、1000℃以下の範囲内の温度で共役ジエン製造用触媒を焼成する工程を、共役ジエンの製造を開始する前の前処理として実施してもよい。
【0031】
そして、反応プロセスに応じた形状の共役ジエン製造用触媒が収容された反応器に対し、3M1,3BDOの流体、または1,3BDOの流体を、所定の温度まで加熱し供給する。この結果、反応器内で原料流体と共役ジエン製造用触媒に含まれる酸化ジルコニウム及び酸化カルシウムとを接触させて、3M1,3BDO、または1,3BDOからの脱水反応を進行させる。従って、本例の反応プロセスでは、3M1,3BDOの流体からイソプレンを生成し、または1,3BDOの流体から1,3―ブタジエンを生成することができる。
【0032】
ここで、原料流体に含まれる3M1,3BDOは、4,4―ジメチルジオキサンとメタノールを反応させるプロセスや3-メチル―3-ブテン―1-オールを水和するプロセスから得たものを用いることができる。
また、原料流体に含まれる1,3BDOは、糖を原料にして例えばスマートセルを用いた発酵法により製造されたものを用いることができる。または、原料流体に含まれる1,3BDOは、バイオマス由来のものに限定されず、例えばアセチレンとホルムアルデヒドとを反応させる工業プロセスにて製造されたものであってもよい。
【0033】
原料流体は、反応器内の温度が例えば250℃以上、400℃以下の範囲内の温度、好適には325℃以上、400℃以下、より好適には340℃以上、380℃以下の範囲内に維持されるようにしてもよい。340℃以上の反応温度とすることにより、比較的高い転化率、及び共役ジエン収率が得られる。
【0034】
また、反応器に収容された触媒重量に対する、原料流体に含まれる3M1,3BDOや1,3BDOの質量流量の比(WHSV=F/W、W:触媒重量、F:3M1,3BDOや1,3BDOの質量流量)は、1.5h-1以下であることが好ましい。WHSVが1.5h-1以下の条件下で共役ジエン製造用触媒と3M1,3BDOや1,3BDOとを接触させることにより、脱水反応を十分に進行させることができ、1.0h-1以下とすることにより、脱水反応を更に進行させることができる。
【0035】
また、3M1,3BDOや1,3BDOの転化率を向上させるため、反応器から流出した流体の一部を抜き出して原料流体に合流させ、再度、反応器に供給するリサイクルを行ってもよい。
反応器から流出した流体は、蒸留などにより不純物が分離された後、製品共役ジエンとして出荷される。
【0036】
本実施の形態の共役ジエン製造用触媒、及びこれを用いた共役ジエンの製造方法によれば以下の効果がある。共役ジエン製造用触媒は、1分子の3M1,3BDOから2分子の水を脱水してイソプレンを生成し、または1分子の1,3BDOから2分子の水を脱水して1,3―ブタジエンを生成する脱水反応を進行させることができるので、これらの原料からシンプルなプロセスで効率よく共役ジエンを製造することができる。
【0037】
特に、本例の共役ジエン製造用触媒は、共役ジエン製造用触媒の重量に対する、単位時間当たりの3M1,3BDO、1,3BDO質量流量(WHSV:Weight Hourly Space Velocity)が1.5h-1以下である条件下で用いることにより、高転化率且つ、共役ジエンの選択率が高くなる。この結果、単位重量当たりの原料から製造される共役ジエンの重量の比を示す原料原単位がよい。
そして、単一触媒を用いた3M1,3BDO、1,3BDOからの共役ジエンの生成が可能であることに伴い、反応器の構成が簡素で、付帯設備の少ないシンプルな共役ジエン製造装置を構成することができる。
【実施例
【0038】
以下、実施例により上述の実施形態の具体例を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0039】
[反応装置]
以下の実施例及び比較例で示す脱水反応には、いずれも固定床の常圧気相流通反応装置を使用した。反応管(パイレックス(登録商標)ガラス製)として内径18mm、全長300mmのものを用いた。反応管の上部に希釈ガスの導入口、及び原料を蒸発させるための気化器が直列に接続され、下部には冷却器、及び気液分離器が設置されている。反応によって生じたガス及び液体はそれぞれ別々に回収し、キャピラリカラム(TC-WAX、30m、0.53mmφ)を接続したガスクロマトグラフ装置(株式会社島津製作所製、GC-8A)にて測定し、検量線補正後、目的物の収量及び原料残量を求め、これらより転化率及び選択率を求めた。
【0040】
転化率及び選択率の計算には、以下の計算式を用いた。
【数1】
【数2】
【0041】
[比較例1]
共役ジエン製造用触媒として5.6モル%イットリウムを含有した正方晶安定化ジルコニア(第一稀元素化学工業株式会社、YSZ、比表面積79.3m/g)0.5g(焼成温度800℃)を前記常圧気相流通反応装置の反応管に充填し、希釈ガスとして窒素ガスを30mL/分の速度で供給しながら、原料流体である3M1,3BDO(和光純薬工業株式会社)を1.7g/hの速度で供給した(WHSV:3.4h-1)。脱水反応は325℃で行った。反応は合計5時間行い、1時間おきにサンプリングを行い、その平均値より反応成績を求めた。このときの3M1,3BDOの転化率と、目的の共役ジエンであるイソプレン、および分解副生成物であるイソブテン、並びにイソプレンの中間体である不飽和アルコールの選択率とを表1に示す。
【0042】
[比較例2]
触媒量を5.0g(WHSV:0.34h-1)とし、反応温度を340℃にした点以外は、前記比較例1と同様の条件で脱水反応を行った。結果を表1に示す。
[比較例3]
触媒として単斜晶の酸化ジルコニウム(m-ZrO)(第一稀元素化学工業株式会社、HP、ペレット品粉砕、比表面積100m/g)0.5g(焼成温度800℃、WHSV:3.4h-1)を用いて、比較例1と同様の条件で脱水反応を行った。結果を表1に示す。
[比較例4]
触媒として酸化セリウム(第一稀元素化学工業株式会社、HS)0.5g(焼成温度800℃、WHSV:3.4h-1)を用いて、比較例1と同様の条件で脱水反応を行った。結果を表1に示す。
[比較例5]
触媒量を4.0g(WHSV:0.43h-1)とし、反応温度350℃で前記比較例4と同様の条件で脱水反応を行った。結果を表1に示す。
【0043】
[実施例1]
硝酸カルシウム四水和物(和光純薬工業株式会社、純度98.5%以上)718.1mgに蒸留水を加えて調製した水溶液を、5.6モル%イットリウム含有正方晶安定化ジルコニア(第一稀元素化学工業株式会社、YSZ、比表面積79.3m/g)4.98gに対して10分おきに少量ずつ添加し、110℃で一晩乾燥させた。その後、空気雰囲気中、800℃で3時間焼成し、酸化ジルコニウムに酸化カルシウムを担持した共役ジエン製造用触媒を調製した。実施例1における酸化カルシウムの担持量は7モル%であった。酸化カルシウムの担持量の計算には以下の計算式を用いた。この触媒を用いて前記比較例1と同様の条件で脱水反応を行い、その触媒活性(3M1,3BDOの転化率)を確認した。結果を表2に示す。なお、以下に示す表2、3、5、7中には酸化ジルコニウムのジルコニウム原子1モルに対する、酸化カルシウムのカルシウム原子の含有量を「カルシウム含有量」と記して併記してある。本例では、酸化ジルコニウムのジルコニウム原子1モルに対し、酸化カルシウムのカルシウム原子の含有量0.08モルに相当する。
【数3】
【0044】
[実施例2~5]
焼成温度を変えた点以外は、上記実施例1と同様の条件で共役ジエン製造用触媒を調製し、脱水反応を行った。結果を表2に示す。それぞれの焼成温度は以下の通りとなる。
[実施例2] 600℃
[実施例3] 700℃
[実施例4] 900℃
[実施例5] 1000℃
【0045】
[実施例6~10]
硝酸カルシウム四水和物の量を変更し酸化カルシウムの担持量を15モル%(カルシウム含有量0.18)とした点、及び反応温度を変えた点以外は、上記実施例1と同様の条件で調製した共役ジエン製造用触媒を用いて脱水反応を行った。これらの触媒の触媒活性(3M1,3BDOの転化率)を確認した結果を表3に示す。それぞれの反応温度は以下の通りとなる。
[実施例6] 275℃
[実施例7] 300℃
[実施例8] 325℃
[実施例9] 350℃
[実施例10]375℃
【0046】
[実施例11~15]
酸化カルシウムの担持量を実施例9と同じ量とし、上記実施例1と同様の条件で調製した共役ジエン製造用触媒を用いて触媒量を変えてWHSVを変えた点以外は、実施例9と同じ条件で脱水反応を行った。反応の触媒活性(3M1,3BDOの転化率)、イソプレン、イソブテン、不飽和アルコールの選択率を表4に示す(以下、表5~7において同じ)。それぞれの触媒量は以下の通りとなる。括弧内はWHSVの値を示している。
[実施例11] 1.0g(1.7h-1
[実施例12] 1.5g(1.1h-1
[実施例13] 2.0g(0.85h-1
[実施例14] 3.0g(0.57h-1
[実施例15] 4.0g(0.43h-1
【0047】
[実施例16]
触媒量を4.0g(WHSV:0.43h-1)、反応温度を340℃にした点以外は、上記実施例11と同様の条件で脱水反応を行った。結果を表4に示す。
[実施例17]
触媒量を5.0g(WHSV:0.34h-1)にした点以外は、上記実施例16と同様の条件で脱水反応を行った。結果を表4に示す。
[実施例18]
触媒量を3.0g(WHSV:0.57h-1)、反応温度を360℃にした点以外は、上記実施例11と同様の条件で脱水反応を行った。結果を表4に示す。
[実施例19]
硝酸カルシウム四水和物の量を変更し酸化カルシウムの担持量を5モル%(カルシウム含有量0.05)とした点以外、上記実施例1と同様の条件で調製した共役ジエン製造用触媒を用いた。触媒量を5.0g(WHSV:0.34h-1)、反応温度を340℃にした点以外は、上記実施例11と同様の条件で脱水反応を行った。結果を表5に示す。
[実施例20]
硝酸カルシウム四水和物の量を変更し酸化カルシウムの担持量を10モル%(カルシウム含有量0.11)とした点以外、上記実施例1と同様の条件で調製した共役ジエン製造用触媒を用いた。触媒量を4.0g(WHSV:0.43h-1)にした点以外は、上記実施例11と同様の条件で脱水反応を行った。結果を表5に示す。
[実施例21]
硝酸カルシウム四水和物の量を変更し酸化カルシウムの担持量を20モル%(カルシウム含有量0.25)とした点以外、上記実施例1と同様の条件で調製した共役ジエン製造用触媒を用いた。触媒量を4.0g(WHSV:0.43h-1)にした点以外は、上記実施例11と同様の条件で脱水反応を行った。結果を表5に示す。
【0048】
[実施例22、23]
焼成温度を変えた点以外は、上記実施例1と同様の条件で調製した共役ジエン製造用触媒を用いた。触媒量を4.0g(WHSV:0.43h-1)にした点以外は、上記実施例11と同様の条件で脱水反応を行った。結果を表6に示す。それぞれの焼成温度は以下の通りとなる。
[実施例22] 700℃
[実施例23] 900℃
【0049】
[実施例24]
原料流体を1,3-ブタンジオールに変えた点以外は上記実施例17と同様の条件で脱水反応を行った。結果を表7に示す。表7中、「MEK+MVK」は、メチルエチルケトン及びメチルビニルケトンの選択率を示している。実施例24の実験条件は、WHSVが1.5h-1以下、焼成温度が700℃以上、1200℃以下の範囲内の要件を満たしている。また、反応温度が250℃以上、400℃以下の要件を満たしている。
[実施例25]
反応温度を360℃にした点以外は、上記実施例24と同様の条件で脱水反応を行った。結果を表7に示す。実施例25の実験条件は、WHSVが1.5h-1以下、焼成温度が700℃以上、1200℃以下の範囲内の要件を満たしている。また、反応温度が250℃以上、400℃以下の要件を満たしている
[実施例26]
反応温度を380℃にした点以外は、上記実施例24と同様の条件で脱水反応を行った。結果を表7に示す。実施例26の実験条件は、WHSVが1.5h-1以下、焼成温度が700℃以上、1200℃以下の範囲内の要件を満たしている。また、反応温度が250℃以上、400℃以下の要件を満たしている。
【0050】
[比較例6]
焼成温度が800℃の酸化セリウム(第一稀元素化学工業株式会社、HS)0.5g(WHSV:3.4h-1)を用いて、実施例25と同様の条件で脱水反応を行った。結果を表7に示す。
[比較例7]
触媒量を5.0g(WHSV:0.34h-1)にした点以外は、上記比較例6と同様の条件で脱水反応を行った。結果を表7に示す。
【0051】
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】
【0052】
表3によれば、250℃以上の反応温度で反応させると、3M1,3BDOの転化率が7.5%以上となり触媒活性があることが確認できる。高温で反応させるほど転化率が高く、触媒活性が高くなることがわかる。一方で400℃以上の温度で反応させると触媒上にコークが析出し、触媒が劣化するため不利となるおそれがある。
【0053】
表4よりWHSVが1.7h-1では100%近い転化率が得られているが、不飽和アルコールが主生成物となり、さらに脱水反応を進行させる余地がある。一方でWHSVが1.1h-1以下では共役ジエン化合物であるイソプレンが主生成物となる。以上のように、WHSVが小さいほど(触媒量が多いほど)共役ジエン化合物の選択率が上がることが分かり、WHSVが1.5h-1以下であれば共役ジエン化合物の選択率としては十分であると考えられる。WHSVが0.1h-1以下になると単位触媒量当たりの生産速度が低下するため、好ましくない。
【0054】
表5よりカルシウム含有量が5モル%ではイソプレンの選択率が77.0%と比較的高く、カルシウムが含有されていない比較例2のYSZを触媒とするとイソプレンの選択率が33.6%と低い。そのため、カルシウム含有量が少なくとも1モル%(0.01モル)以上であれば、イソプレンが主生成物となり、1モル%未満では、カルシウム担持による過分解抑制効果が十分に発現しないため、イソプレンよりも、分解生成物のイソブテンが主生成物となる。
一方、表5よりカルシウム含有量が15モル%から20モル%に増加すると、イソプレンの選択率は高く維持されているものの若干低下する。カルシウム含有量が20モル%以上であっても高いイソプレン選択率を示すと考えられるが、カルシウム含有量が30モル%を超えると、ジルコニウムの活性点が過剰に抑制され、触媒活性が低下し、好ましくないと考えられる。
【0055】
表6より700℃以上で焼成した触媒はイソプレンが主に生成し、高温で焼成した触媒ほどイソプレン選択率が高いことがわかる。700℃以下で焼成した触媒は転化率が低くなるおそれがある。一方で1200℃以上の温度で触媒を焼成すると、触媒の表面積が低下し転化率が低下するおそれがある。
【0056】
表7より1,3BDOを原料にすると1,3-ブタジエンが主に生成することがわかり、本触媒はイソプレンだけでなく、1,3-ブタジエンの製造用触媒としての活性も有している。