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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】設備ユニット
(51)【国際特許分類】
   A47K 1/00 20060101AFI20230414BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
A47K1/00 U
E04H1/12 301
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018182738
(22)【出願日】2018-09-27
(65)【公開番号】P2020048996
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】397053591
【氏名又は名称】サダシゲ特殊合板株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【氏名又は名称】城田 百合子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 匠
(72)【発明者】
【氏名】貞重 勝也
(72)【発明者】
【氏名】小田 幸子
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-149244(JP,A)
【文献】特開2010-104610(JP,A)
【文献】特開平05-287920(JP,A)
【文献】特開2002-159408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 1/00-1/14
E04H 1/12
A47K 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準高さの架構面を有する標準領域と前記基準高さより低い高さの架構面を有する低面領域とから構成され、洗面化粧台を備える設備ユニットであって、
前記洗面化粧台は、
箱体のキャビネット部と、
前記キャビネット部の上部に設けられた洗面ボウルと、
前記キャビネット部の下方に設けられ前記キャビネット部を支持し、両端部のうちの少なくともいずれかに開口が形成された中空の台座部と、
前記洗面ボウルから前記台座部まで一旦延び、前記台座部の中空部において横引きされて、前記台座部の前記開口を経由して躯体側排水管に連通する、排水用の排水管部と、を備え
記標準領域と前記低面領域とに亘って配置されるか、又は前記標準領域のみに配置され、
前記排水管部は、床下に設置されることなく、前記低面領域に配置されるパイプスペースに設置される前記躯体側排水管に連通することを特徴とする、設備ユニット。
【請求項2】
前記台座部は前記キャビネット部の前面における横方向の全幅に亘って形成されることを特徴とする、請求項1に記載の設備ユニット
【請求項3】
前記キャビネット部は、前記キャビネット部内において前面側に配置される収納部と、前記キャビネット部内における背面側に配置され、前記排水管部が通る配管スペースとを備え、前記配管スペースと前記台座部の中空部とは連通していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の設備ユニット
【請求項4】
前記台座部の前面は、前記キャビネット部の前面より背面側に位置され、前記キャビネット部の底面と床面との間に空間が設けられることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の設備ユニット
【請求項5】
前記キャビネット部の前面における横方向の長さは900mm以上であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の設備ユニット
【請求項6】
前記キャビネット部の背面と前記台座部の背面とは面一となるよう形成され、前記台座部の背面から前面までの長さは、前記キャビネット部の背面から前面までの長さの半分となるよう形成されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の設備ユニット
【請求項7】
前記キャビネット部の背面と前記台座部の背面とは面一となるよう形成され、前記台座部の背面から前面までの長さは100mm~300mmであることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の設備ユニット
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗面化粧台に係り、特に集合住宅等の住居に設置される洗面化粧台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗面化粧台を設置する場合、洗面ボウルから延びる排水管を床下まで延ばし、床下において所定の排水勾配で横引きすることにより、パイプスペース内の躯体側排水管と連通していた(例えば特許文献1参照)。また、近年では、洗面化粧台を二人同時に利用できるよう、例えば図7に示す間口の広い洗面化粧台101が設置されるようになった。洗面化粧台101は箱型のキャビネット102と、その上部に設けられた洗面ボウル103を備え、キャビネット102の上方には三面鏡付のキャビネット109が設置される。洗面化粧台101の天板107は全幅に亘って形成される。また、キャビネット102の側方に椅子105を収納するための空間である収納部108が形成される。図7において点線で示すように、排水管部110は洗面ボウル103から床104の下まで延び、さらに横引きされてパイプスペース134内の躯体側の排水管(図示しない)に連通される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-10936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
横引きされる排水管部110は、例えば1/50の排水勾配で取り付けられるため、洗面ボウル103とパイプスペース134内の躯体側排水管とが離れていると、その距離に応じてある程度の高さが必要とされる。そのため、ワイド型洗面化粧台、例えば900mm以上の幅を有するものを集合住宅の上階に設置する場合、浴室、洗面室及び便所等並びにそれらの床面が含まれる箇所(以下、設備ユニットと称する)の床レベルが他の居住空間の床レベルより一段高く上げられていた。
【0005】
しかしながら、近年では設備ユニットの床レベルを他の居住空間と床レベルをほぼ同一にすることが望まれている。本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、可能な限り上階において床レベルを上げることなく排水管を設置可能な洗面化粧台を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、基準高さの架構面を有する標準領域と前記基準高さより低い高さの架構面を有する低面領域とから構成され、洗面化粧台を備える設備ユニットであって、前記洗面化粧台は、箱体のキャビネット部と、前記キャビネット部の上部に設けられた洗面ボウルと、前記キャビネット部の下方に設けられ前記キャビネット部を支持し、両端部のうち少なくともいずれかに開口が形成された中空の台座部と、前記洗面ボウルから前記台座部まで一旦延び、前記台座部の中空部において横引きされて、前記台座部の前記開口を経由して躯体側排水管に連通する、排水用の排水管部と、を備え、前記標準領域と前記低面領域とに亘って配置されるか、又は前記標準領域のみに配置され、前記排水管部は、床下に設置されることなく、前記低面領域に配置されるパイプスペースに設置される前記躯体側排水管に連通する設備ユニットにより解決される。
【0007】
上述した本発明の設備ユニットは、洗面化粧台の洗面ボウルから延びる排水管部を台座部の中空部において横引きする又は背面に向けて配置することが可能である。排水管部を床下に配置することなく、排水管部と躯体側排水管とを接続させることができるため、床レベルを上げることなく洗面化粧台を設置することができる。
また、低面領域を広げることなく、洗面化粧台を設置することができる。
【0009】
また、上記の設備ユニットにおいて、前記台座部は前記キャビネット部の前面における横方向の全幅に亘って形成されるとよい。全幅に亘って形成することにより、洗面台化粧台の両端部及び背面のうちどれかに躯体側排水管が位置しても台座部において排水管部を横引きすることができる。
【0010】
また、上記の設備ユニットにおいて、前記キャビネット部は、前記キャビネット部内において前面側に配置される収納部と、前記キャビネット部内における背面側に配置され、前記排水管部が通る配管スペースとを備え、前記配管スペースと前記台座部とは連通してよい。排水管部を通る配管スペースを設けることにより、排水管部を収納部と交差することなく設けることができる。
【0011】
また、上記の設備ユニットにおいて、前記台座部の前面は、前記キャビネット部の前面より背面側に位置され、前記キャビネット部の底面と床面との間に空間が設けられてよい。これにより、キャビネット部が浮遊したイメージの意匠とすることができ、また、キャビネット部の下に体重計等の物を収納することができる。
【0012】
また、上記の設備ユニットにおいて、前記キャビネット部の前面における横方向の長さは900mm以上であってよい。これにより二人同時に洗面化粧台を利用することができる。
【0013】
また、上記の設備ユニットにおいて、前記キャビネット部の背面と前記台座部の背面とは面一となるよう形成され、前記台座部の背面から前面までの長さは、前記キャビネット部の背面から前面までの長さの半分となるよう形成されてよい。これにより、台座部はキャビネット部を支持しつつ、キャビネット部の底面と床面との間に体重計等の物を収納することができる。
【0014】
また、上記の設備ユニットにおいて、前記キャビネット部の背面と前記台座部の背面は面一となるよう形成され、前記台座部の背面から前面までの長さは100mm~300mmであってよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、洗面化粧台の排水管部を床下に配置することなく、排水管部と躯体側排水管とを接続させることができ、可能な限り上階において床レベルを上げることなく排水管を設置可能な洗面化粧台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る洗面化粧台を示す正面図である。
図2】洗面化粧台の排水管部の設置状況を示す、図1のII―II線に沿った断面図である。
図3】排水管部の設置状況を示す図2のIII-III線に沿った部分拡大断面図である。
図4】排水管部の設置状況を示す図2のIV-IV線に沿った部分拡大断面図であり、建物躯体側排水管が通るパイプスペースと連通した状態を示す断面図である。
図5】排水管部の設置状況の別例を示す部分拡大断面図である。
図6】(a)~(h)は本発明の洗面化粧台を設備ユニットに配置した例を示す平面図である。
図7】従来の洗面化粧台を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態(以下、本実施形態)に係る洗面化粧台について図1図6を参照しながら説明する。
【0018】
本実施形態の洗面化粧台1は、図1に示すように、箱体のキャビネット部2と、キャビネット部2の上部に洗面ボウル3が設けられる。洗面ボウル3は後述する天板7と一体になっていてもよい。キャビネット部2の下方には、キャビネット部2を床面40に接地して支持する台座部4が設けられる。台座部4の内部は中空に形成される。
【0019】
洗面ボウル3の底部には排水用の排水管部10が接続される。排水管部10は、図2図4に示すように、トラップ11を経由して台座部4まで一旦延びるよう設置される。排水管部10は、台座部4の中空部8において横引きされ台座部4の端部5に形成された開口6を経由して、隣接するパイプスペース34内の図示しない躯体側排水管に連通する。
【0020】
図1に示す、洗面化粧台1は間口の長さL、すなわち横方向の長さLが例えば1266mmであり、洗面化粧台1の全幅に亘って天板7が設けられる。天板7が設けられることで、二人同時に洗面化粧台1を利用することができる。洗面化粧台1の横方向の長さLは900mm以上、好ましくは1200mm以上あるのが望ましい。
【0021】
図7に示す従来の洗面化粧台101では、天板107の下方に椅子105を収容するための空間が設けられていた。そのため、洗面化粧台101のキャビネット部102の内部を利用して、排水管部110を横引きすることができなかった。本実施形態の洗面化粧台1は、洗面ボウル3だけでなく天板7の下方にも引出し等を備える収納部21を設け、洗面化粧台1の全幅に亘ってキャビネット部2を設けている。そして、図1図3及び図4に示すように、台座部4は、キャビネット部2を床面40から支持するようキャビネット部2の前面における横方向の全幅に亘って形成される。全幅に亘って形成することにより、台座部4の中空部8において、排水管部10をパイプスペース34に向かって矢印E方向に横引きして、台座部4の端部5に形成した開口6に排水管部10を通すことができる。
【0022】
本実施形態の洗面化粧台1は、図2に示すように、キャビネット部2の背面2aと台座部4の背面4aとは面一となるよう形成され、洗面化粧台1の背面を形成する。洗面化粧台1の背面は壁に向けて配置される。本実施形態のキャビネット部2の奥行の長さ、すなわち背面2aから前面2bまでの長さD1は例えば415mmで作製されている。また、台座部4の奥行の長さ、すなわち台座部4の背面4aから前面4bまでの長さD2は例えば210mmで作製されている。台座部4の奥行の長さD2は、キャビネット部2の奥行D1の半分の長さ±100mm、好ましくは奥行D1の半分の長さ±50mmとなるよう作製されてよい。例えばキャビネット部2の奥行D1が400mmである場合、台座部4の背面4aから前面4bまでの長さD2は、200mm±100mm(100~300mm)、好ましくは200mm±50mm(150~250mm)であるのがよい。また、本実施形態の台座部4の高さHは例えば180mmで作製されるが、排水勾配を考慮すると台座部4の高さHは150mm以上あるのがよい。それにより、キャビネット部2が浮遊したイメージの意匠とすることができるとともに、キャビネット部2の下に空間を確保できるので、体重計又はその他の物等を収納することができる。
【0023】
また、キャビネット部2は、図2及び図4に示すように、キャビネット部2内において前面側に配置される収納部21と、背面側に配置され排水管部10が通る配管スペース22とを備え、配管スペース22と台座部4の中空部8とは連通している。図4に示すように配管スペース22では、給湯管14及び給水管15が排水管部10と干渉なしで交差できる。収納部21と配管スペース22とを分けることで排水管部10は収納部21と交差することなく設置できる。
【0024】
図3に示す洗面化粧台1では、図に向かって右側に配置されたパイプスペース34に向けて、排水管部10は矢印E方向に横引きされていたが、図5に示すようにパイプスペース34aが、図に向かって左側にある場合、排水管部10を矢印F方向に横引きして、端部5aの開口6aを通してパイプスペース34a内の躯体側排水管に連通してよい。また、図示しないがパイプスペースが、洗面化粧台1の背面側にある場合、排水管部10を通す開口を台座部4の背面に作成し、その背面の開口を通して横引きし、躯体側排水管に連通してよい。
【0025】
上述したように本実施形態の洗面化粧台1は、排水管部10を床下に設置することなく躯体側排水管に連通させることができる。そのため、浴室及び洗面室等が設けられる設備ユニットにおいて、従来の洗面化粧台より自由度を持たせて洗面化粧台1を配置することが可能になる。従来の設備ユニットでは浴室を設けるために全面的に架構面(横架材によって囲まれる面)の高さが低く作成され、洗面化粧台や洗濯機等から延びる排水管を設けるために床レベルを上げた部分が設けられていた。
【0026】
図6(a)~(h)を用いて洗面化粧台1を設備ユニット30a~30hに設置した例を説明する。設備ユニット30a~30hは、集合住宅等において各住居に設けられるものであり、浴室33、洗面室及び便所等とそれらの床面を備える。洗面室には洗濯機設置スペース35及び本実施形態の洗面化粧台1が設置され、躯体側の排水管及び給水管、給湯管等が通るパイプスペース34が配置される。また、図6(a)~(h)に示す設備ユニット30a~30hは、他の居住領域と同じ高さである基準高さの架構面を有する一点鎖線で囲まれた標準領域31と、基準高さより低い架構面を有する低面領域32とを備える。また、躯体側排水管が設置されるパイプスペース34は低面領域32に配置される。なお、低面領域32内において洗濯機設置スペース35等がある床面は床上げされ、標準領域31とほぼ同じ高さの床面が形成される。
【0027】
図6(a)、(c)、(e)、(f)、(g)に示すように、本実施形態の洗面化粧台1は、設備ユニット30a、30c、30e、30f、30gにおいて標準領域31にのみ配置され、洗面化粧台1から延びる排水管部10は、隣接するパイプスペース34に連通される。従来の洗面化粧台は床下に排水管を配置させるために低面領域32に配置する必要があった。本実施形態の洗面化粧台1は、床下に排水管部10を通すことなく、パイプスペース34の排水管まで排水管部10を延ばして設置することができるので、図に示すようにパイプスペース34に隣接させて標準領域31に配置することができる。
【0028】
また、図6(b)、(d)に示す設備ユニット30b、30dでは、低面領域32においてパイプスペース34の位置が標準領域31から離れているが、このような場合でも、洗面化粧台1を標準領域31と低面領域32とに亘って配置することで、洗面化粧台1をパイプスペース34に隣接させて設置することができる。
【0029】
また、図6(h)に示す設備ユニット30hのように、パイプスペース34が洗濯機設置スペース35の奥にある場合は、洗面化粧台1の一部分を低面領域32に配置しても排水管部10を連通させることが難しい。そのため、図6(h)に示すよう、低面領域32の床下の空間を利用して、排水管部10と連通する延長された排水管37を設けパイプスペース34まで延ばすことにより、排水管部10と建物躯体側排水管とを連通させることができる。
【0030】
上記実施形態では、主として本発明に係る洗面化粧台に関して説明した。ただし、上記形態は、本発明の理解を容易に理解するための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【符号の説明】
【0031】
1 洗面化粧台
2 キャビネット部
3 洗面ボウル
4 台座部
5、5a 端部
6、6a 開口
7 天板
8 中空部
10、10a 排水管部
11 排水トラップ
14 給湯管
15 給水管
21 収納部
22 配管スペース
30a~30h 設備ユニット
31 標準領域
32 低面領域
33 浴室
34、34a パイプスペース
35 洗濯機設置スペース
37 延長された排水管
40 床面
41 壁部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7