IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オートネットワーク技術研究所の特許一覧 ▶ 住友電装株式会社の特許一覧 ▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧 ▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-コネクタ装置 図1
  • 特許-コネクタ装置 図2
  • 特許-コネクタ装置 図3
  • 特許-コネクタ装置 図4
  • 特許-コネクタ装置 図5
  • 特許-コネクタ装置 図6
  • 特許-コネクタ装置 図7
  • 特許-コネクタ装置 図8
  • 特許-コネクタ装置 図9
  • 特許-コネクタ装置 図10
  • 特許-コネクタ装置 図11
  • 特許-コネクタ装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/504 20060101AFI20230414BHJP
   H01R 12/51 20110101ALI20230414BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20230414BHJP
   H05K 5/00 20060101ALI20230414BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
H01R13/504
H01R12/51
B29C45/14
H05K5/00 B
H05K5/02 L
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019063789
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020166949
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】室野井 有
(72)【発明者】
【氏名】川島 直倫
(72)【発明者】
【氏名】平林 辰雄
(72)【発明者】
【氏名】橋本 誠司
(72)【発明者】
【氏名】小林 伊織
(72)【発明者】
【氏名】角 佳朗
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-041010(JP,A)
【文献】特開2013-118174(JP,A)
【文献】特開2006-185885(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0281009(US,A1)
【文献】国際公開第2005/004563(WO,A1)
【文献】特開平07-022722(JP,A)
【文献】特開2006-328993(JP,A)
【文献】特開2018-063773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/504
H01R 12/51
B29C 45/14
H05K 5/00
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、前記回路基板に取り付けられて、ハウジング及び前記ハウジングに保持された複数の端子を有するコネクタと、前記回路基板の全体及び前記コネクタの一部を被覆するモールド樹脂と、を備え、
複数の前記端子における根元部は、前記回路基板の平面方向に対して平行な部分と、前記平行な部分から前記平面方向に対して垂直な状態に屈曲した部分とを有しており、
前記根元部における前記平行な部分は、前記回路基板の導体に半田付けによって接続されており、
前記コネクタのハウジングは、液晶ポリマーによって構成されており、
前記モールド樹脂は、融点又は軟化点が150℃以上200℃以下のポリアミド樹脂よって構成されている、コネクタ装置。
【請求項2】
前記モールド樹脂は、大気に晒される最外殻のカバーを構成する、請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項3】
前記モールド樹脂には、前記コネクタ装置を外部に取り付けるための取付部が形成されており、
前記取付部には、ボルトが挿通される金属製のカラーが配置されている、請求項1又は請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項4】
前記モールド樹脂は、モールド成形によって成形されたことを示すゲート痕を有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコネクタ装置。
【請求項5】
前記モールド樹脂における、前記回路基板の板面に対向する部位の厚みは、1mm以上5mm以下の範囲内にある、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコネクタ装置。
【請求項6】
前記コネクタ装置は、車載用コントロールユニットとして用いられる、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のコネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コネクタは、樹脂のハウジング内に端子を有するものであり、種々の電子制御部品を制御装置に配線する場合などに用いられる。また、種々の電子制御部品が設けられた機械部品等のカバー(ケース)内に、制御装置を構成する回路基板を配置し、この回路基板を電子制御部品又は他の制御装置に配線するためのコネクタを、回路基板又はカバーに設けることがある。コネクタ装置は、樹脂のカバー内又はモールド樹脂内に配置された回路基板とコネクタとが一体化されたものであり、機械部品等に取り付けられて使用される。コネクタ装置は、基板コネクタと呼ぶこともある。
【0003】
従来のコネクタ装置においては、2つに分割されたカバーによって回路基板が覆われ、カバー同士の間の隙間に防水用のシール材が配置されたものがある。このカバータイプのコネクタ装置においては、カバー及びシール材の成形及び組み付けに手間がかかり、製造工程が煩雑になるといった課題がある。また、カバータイプのコネクタ装置においては、回路基板を覆うためにカバーの外形が大きくなり、コネクタ装置が大型化するといった課題もある。
【0004】
一方、モールド成形によって形成されるモールド樹脂内に回路基板及びコネクタの一部が配置され、コネクタの残部がモールド樹脂から突出する、モールドタイプのコネクタ装置もある。このモールドタイプのコネクタ装置においては、モールド樹脂によって回路基板が覆われることによって防水性能が確保されるため、シール材を廃止することができる。また、モールドタイプのコネクタ装置においては、モールド成形を行うために成形及び組み付けの製造工程が簡単になり、カバーを用いないためにコネクタ装置が小型化する。モールドタイプのコネクタ装置としては、例えば、特許文献1に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-328993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本願発明者らがモールドタイプのコネクタ装置の防水性能(止水性)を検討した結果、コネクタのハウジングとモールド樹脂との間から、モールド樹脂内に水が浸入する場合があることが判明した。つまり、本願発明者らの鋭意研究の結果、コネクタのハウジングを構成する樹脂材料と、モールド樹脂を構成する樹脂材料との相性が、モールド樹脂による防水性能に大きく影響を与えることが判明した。
【0007】
本開示は、かかる課題に鑑みてなされたもので、コネクタのハウジングとモールド樹脂との間の防水性能を高めることができるコネクタ装置を提供しようとして得られたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、回路基板と、前記回路基板に取り付けられて、ハウジング及び前記ハウジングに保持された複数の端子を有するコネクタと、前記回路基板の全体及び前記コネクタの一部を被覆するモールド樹脂と、を備え、
複数の前記端子における根元部は、前記回路基板の平面方向に対して平行な部分と、前記平行な部分から前記平面方向に対して垂直な状態に屈曲した部分とを有しており、
前記根元部における前記平行な部分は、前記回路基板の導体に半田付けによって接続されており、
前記コネクタのハウジングは、液晶ポリマーによって構成されており、
前記モールド樹脂は、融点又は軟化点が150℃以上200℃以下のポリアミド樹脂よって構成されている、コネクタ装置にある。
【発明の効果】
【0009】
前記一態様のコネクタ装置によれば、コネクタのハウジングとモールド樹脂との間の防水性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態にかかる、コネクタ装置を示す平面図である。
図2図2は、実施形態にかかる、コネクタ装置を示す、図1のII矢視図である。
図3図3は、実施形態にかかる、コネクタ装置を示す、図1のIII-III断面図である。
図4図4は、実施形態にかかる、図3のIV-IV断面の拡大図である。
図5図5は、実施形態にかかる、図3の一部を拡大して示す断面図である。
図6図6は、実施形態にかかる、他のコネクタ装置の図5に相当する断面図である。
図7図7は、実施形態にかかる、コネクタ装置の回路基板及びコネクタを示す平面図である。
図8図8は、実施形態にかかる、他のコネクタ装置の図4に相当する断面図である。
図9図9は、実施形態にかかる、他のコネクタ装置の図5に相当する断面図である。
図10図10は、実施形態にかかる、モールド樹脂が充填される前の、コネクタのハウジングに形成された溝部を示す断面図である。
図11図11は、実施形態にかかる、モールド樹脂が充填された後の、コネクタのハウジングに形成された溝部を示す断面図である。
図12図12は、確認試験にかかる、試験用サンプルを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態を列記して説明する。
(1)本開示の一態様のコネクタ装置は、
回路基板と、前記回路基板に取り付けられて、ハウジング及び前記ハウジングに保持された複数の端子を有するコネクタと、前記回路基板の全体及び前記コネクタの一部を被覆するモールド樹脂と、を備え、
複数の前記端子における根元部は、前記回路基板の平面方向に対して平行な部分と、前記平行な部分から前記平面方向に対して垂直な状態に屈曲した部分とを有しており、
前記根元部における前記平行な部分は、前記回路基板の導体に半田付けによって接続されており、
前記コネクタのハウジングは、液晶ポリマーによって構成されており、
前記モールド樹脂は、融点又は軟化点が150℃以上200℃以下のポリアミド樹脂よって構成されている。
【0012】
(作用効果)
前記一態様のコネクタ装置は、回路基板の全体及びコネクタの一部をモールド樹脂によって被覆したモールドタイプのものである。そして、このコネクタ装置においては、コネクタのハウジングを構成する樹脂材料と、モールド樹脂を構成する樹脂材料との適切な組み合わせが提供される。
【0013】
コネクタ装置においては、回路基板の全体がモールド樹脂によって被覆されていることにより、モールド樹脂によって回路基板を水から保護することができる。また、コネクタ装置の表面には、コネクタのハウジングとモールド樹脂との界面が位置する。この界面がコネクタ装置において最も水に対する対策が必要な部位となる。
【0014】
コネクタのハウジングは、液晶ポリマー(Liquid Crystal Plastic:LCP)又はポリフェニレンサルファイド樹脂(Poly Phenylene Sulfide:PPS)によって構成されている。また、モールド樹脂は、融点又は軟化点が230℃以下のポリアミド樹脂(Polyamide:PA)又はポリエステル樹脂(Polyester:PE)によって構成されている。
【0015】
(ポリアミド樹脂)
ポリアミド樹脂は、熱可塑性樹脂であり、アミド結合(-CONH-)の繰り返しによって主鎖が構成される線状高分子(重合体)である。特に、脂肪族ポリアミドは、一般的にナイロンと呼ばれる。ポリアミド樹脂においては、分子鎖中のアミド結合におけるH(水素)と、他の分子鎖中のアミド結合におけるO(酸素)との間で水素結合が形成される。そして、水素結合がポリアミド樹脂における分子鎖同士を強く結び付ける役割を果たしている。
【0016】
ポリアミド樹脂は、モールド成形を行うことによって形成されたモールド樹脂を構成する。モールド成形には、ホットメルト成形等のメルト成形の他、射出成形等もある。モールド成形を行う際には、回路基板の導体とコネクタの端子とを接続する半田等の導電性材料が溶融しないようにする。この導電性材料が溶融しないようにするために、ポリアミド樹脂の融点又は軟化点は230℃以下とする。換言すれば、結晶性のポリアミド樹脂については融点を230℃以下とし、非結晶性のポリアミド樹脂については軟化点を230℃以下とする。なお、本実施形態において、融点とは、熱を加えることによって固体物質が液体に変化する転移温度のことをいう。軟化点とは、JIS K6863に準拠した環球法によって定義される、樹脂が軟化する温度のことをいう。
【0017】
ポリアミド樹脂には、例えば、融点又は軟化点が150℃以上200℃以下であるものを用いることができる。ポリアミド樹脂の融点又は軟化点が150℃以上であることにより、モールド樹脂の耐熱性を向上させることができる。また、ポリアミド樹脂の融点又は軟化点が230℃以下であることにより、モールド樹脂を成形する際に、回路基板の導体とコネクタの端子とを接続する導電性材料に影響を与えない点で好ましい。また、ポリアミド樹脂の融点又は軟化点が200℃以下であることにより、導電性材料を保護するとともに、モールド樹脂の成形を容易にすることができる。
【0018】
一般的なポリアミド樹脂は結晶性が高く、結晶性のポリアミド樹脂の融点は、230℃よりも高い。前記一態様のコネクタ装置においては、意図的に融点が低いポリアミド樹脂を用いる。ポリアミド樹脂の結晶層の厚みと融点との間には、相関関係がある。ポリアミド樹脂の結晶層の厚みを小さくすることによって、このポリアミド樹脂の融点を低くすることができる。また、例えば、ダイマー酸を原料とするポリアミド樹脂を用いる場合には、このポリアミド樹脂がほとんど結晶構造をとらない。この場合には、分子量、重合度、架橋構造及び化学構造の制御、あるいは可塑剤の添加といった種々の方法によって、ポリアミド樹脂の軟化点を低くすることができる。
【0019】
(ポリエステル樹脂)
ポリエステル樹脂は、構造分子の主鎖にエステル結合(-CO-O-)を有するポリマーの総称である。本実施形態に係るポリエステル樹脂は、例えば、不飽和結合を持たない線状高分子(重合体)である飽和ポリエステル樹脂である。これにより、ポリエステル樹脂を用いて、好適にホットメルト成形することができる。
【0020】
ポリエステル樹脂には、例えば、融点又は軟化点が150℃以上200℃以下であるものを用いることができる。ポリエステル樹脂の融点又は軟化点が150℃以上であることにより、モールド樹脂の耐熱性を向上させることができる。また、ポリエステル樹脂の融点又は軟化点が230℃以下であることにより、モールド樹脂を成形する際に、回路基板の導体とコネクタの端子とを接続する導電性材料に影響を与えない点で好ましい。また、ポリエステル樹脂の融点又は軟化点が200℃以下であることにより、導電性材料を保護するとともに、モールド樹脂の成形を容易にすることができる。
【0021】
ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などに炭素数4以上の脂肪族二塩基性酸やグリコールなどの異種モノマーを共重合し、低融点、低結晶化、低溶融粘度化した飽和ポリエステル樹脂を好適に用いることができる。これにより、飽和ポリエステル樹脂として代表的な樹脂であるPET(ポリエチレンテレフタレート)やPBT(ポリブチレンテレフタレート)と比べて、低融点、低結晶性のポリエステル樹脂とすることができ、好適にホットメルト成形できる点で好ましい。
【0022】
(液晶ポリマー)
液晶ポリマーは、溶融状態で分子の直鎖が規則正しく並ぶ性質を有する。液晶ポリマーは、芳香族ポリエステル系樹脂を構成し、液晶ポリエステルと呼ぶこともできる。液晶ポリマーは、結晶性の熱可塑性樹脂である。
【0023】
(ポリフェニレンサルファイド樹脂)
ポリフェニレンサルファイド樹脂は、フェニル基(ベンゼン環)と硫黄(S)が交互に繰り返し繋がる分子構造を持ったものである。ポリフェニレンサルファイド樹脂は、結晶性の熱可塑性樹脂である。
【0024】
モールド樹脂にポリアミド樹脂を用い、かつコネクタのハウジングに液晶ポリマー又はポリフェニレンサルファイド樹脂を用いることにより、ポリアミド樹脂におけるアミド結合と、液晶ポリマーにおける極性基又はポリフェニレンサルファイド樹脂における極性基とが結び付くことによって、コネクタのハウジングとモールド樹脂との密着度が高くなると考えられる。これにより、コネクタのハウジングとモールド樹脂との間の防水性能を高めることができ、コネクタのハウジングとモールド樹脂との界面からコネクタ装置内に水が浸入することを防止することができる。
【0025】
(2)前記一態様のコネクタ装置において、前記モールド樹脂は、大気に晒される最外殻のカバーを構成してもよい。この構成により、コネクタ装置の小型化を図ることができる。また、コネクタのハウジングとモールド樹脂との界面に、大気に含まれる水が浸入することが防止される。
【0026】
(3)前記モールド樹脂には、前記コネクタ装置を外部に取り付けるための取付部が形成されており、前記取付部には、ボルトが挿通される金属製のカラーが配置されていてもよい。この構成により、カラーに挿通されたボルトによって、コネクタ装置を外部の機械部品等に取り付けることができる。
【0027】
(4)前記モールド樹脂は、モールド成形によって成形されたことを示すゲート痕を有していてもよい。この構成により、コネクタ装置のモールド樹脂がモールド成形によって成形されたものであることを確認することができる。
【0028】
(5)前記モールド樹脂における、前記回路基板の板面に対向する部位の厚みは、1mm以上5mm以下の範囲内にあることが好ましい。この構成により、モールド樹脂の強度を維持しつつモールド樹脂の厚みを薄くすることができる。
【0029】
(6)前記コネクタ装置は、車載用コントロールユニットとして用いることができる。車載用コントロールユニットは、電子制御ユニットとも呼ばれる。コネクタ装置は、車両に搭載して用いる場合に、車両が被水するときの水から保護される。
【0030】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタ装置についての具体例を、図面を参照して説明する。
<実施形態>
本形態のコネクタ装置1は、図1図3に示すように、回路基板2と、回路基板2に取り付けられたコネクタ3と、回路基板2の全体及びコネクタ3の一部を被覆するモールド樹脂5とを備える。コネクタ3のハウジング31は、液晶ポリマー又はポリフェニレンサルファイド樹脂によって構成されている。モールド樹脂5は、融点が230℃以下のポリアミド樹脂によって構成されている。
【0031】
以下に、本形態のコネクタ装置1について詳説する。
(コネクタ装置1)
図1図3に示すように、コネクタ装置1は、車載用コントロールユニットとして、車両に搭載された機械部品61の制御装置として用いられる。コネクタ装置1は、機械部品61等に取り付けられて使用される。コネクタ装置1の回路基板2は、機械部品61における各種の電子制御部品の制御を行うものである。この電子制御部品には、種々のアクチュエータ、センサ等がある。
【0032】
コネクタ装置1は、例えば、電気機械ブレーキ(Electro Mechanical Brake:EMB)、電動パーキングブレーキ(Electronic Parking Brake:EPB)などの電動ブレーキシステムのモジュール、あるいは燃料噴射制御のコントロールユニット(Fuel Injection Engine Control Unit:FI-ECU)などのコントロールユニットとして用いることができる。
【0033】
本形態のコネクタ装置1は、回路基板2が熱可塑性樹脂のモールド樹脂5によって被覆されたモールタイプのものである。そして、コネクタ装置1は、回路基板2を収容する樹脂等のカバー(ケース)及び防水用のシール材を用いないものである。回路基板2の全体及びコネクタ3のハウジング31の一部を被覆するモールド樹脂5は、大気に晒される最外殻のカバーを構成する。モールド樹脂5は、カバー及びシール材の代わりに設けられたものであり、回路基板2及びコネクタ3の端子35を、大気に含まれる水から保護するものである。モールド樹脂5がカバー及びシール材の代わりとなることにより、コネクタ装置1の小型化を図ることができる。
【0034】
(回路基板2)
図3及び図5に示すように、回路基板2は、ガラス、樹脂等によって構成された絶縁性基材に電気が流れる導体が形成された板状の基板部21と、基板部21の導体に電気接続されるよう基板部21に設けられた半導体、抵抗器、コンデンサ、コイル、スイッチ等の電気部品22を有する。電気部品22には、半導体等による電子部品も含まれることとする。四角形の板面201を有する板状の基板部21における1つの辺の付近には、コネクタ3が取り付けられている。ここで、板面201とは、板状の回路基板2において面積が最も広い一対の表面のことをいう。また、角部に面取り形状、曲面形状等がある場合も四角形に含まれる。
【0035】
基板部21は、四角形の板形状とする以外にも、四角形の板の一部が切り欠かれた板形状等とすることができる。例えば、基板部21における、後述する取付部11を形成する部位には、切欠きを形成することができる。
【0036】
(コネクタ3)
図1図3に示すように、コネクタ3は、熱可塑性樹脂によって形成された絶縁性のハウジング31と、ハウジング31に保持された導電性の金属材料からなる複数の端子35とを有する。複数の端子35には、制御信号の送電に用いられる制御用端子、直流電源、グラウンド等に接続される電源用端子等がある。本形態のコネクタ3は、回路基板2の板面201に平行な平面方向に沿って配置されている。
【0037】
複数の端子35の先端部351は、回路基板2の平面方向に沿って配置されている。また、複数の端子35における、基板部21の導体に接続される根元部(基端部)352は、基板部21の平面方向に対して平行な状態から基板部21の平面方向に対して垂直な状態に屈曲して配置されている。
【0038】
換言すれば、図4及び図5に示すように、複数の端子35は、基板部21の平面方向に対して平行な状態、平面方向に対して垂直な状態及び平面方向に対して平行な状態になるよう、クランク形状に屈曲して形成されている。コネクタ3のハウジング31は、複数の端子35の中間部353を保持する保持部32と、複数の端子35の先端部351を囲む筒形状に形成され、相手側コネクタ62が装着されるフード部(装着部)33とを有する。
【0039】
ハウジング31の保持部32の多くは、回路基板2に対面しており、回路基板2とともにモールド樹脂5によって被覆されている。ハウジング31のフード部33は、回路基板2の端面202から突出しており、モールド樹脂5によって被覆されていない。ハウジング31とモールド樹脂5との界面Kの端部、換言すればモールド樹脂5の先端部51は、ハウジング31の保持部32に位置している。コネクタ3は雄コネクタを構成し、コネクタ3における複数の端子35は雄端子を構成する。フード部33内において保持部32から突出する複数の端子35の先端部351は、雌コネクタとしての相手側コネクタ62の雌端子に電気接続される。
【0040】
図4及び図5に示すように、複数の端子35の根元部352は、ハウジング31の保持部32から突出して、回路基板2の基板部21の導体に半田付けによって接続されている。ハウジング31の保持部32には、複数の端子35の他に、ハウジング31を回路基板2に固定するためのペグ(金属部品)36が配置されている。ペグ36の一部は、回路基板2の基板部21の導体に半田付けによって接続されている。そして、ハウジング31は、複数の端子35の根元部352及びペグ36の一部によって回路基板2に固定されている。
【0041】
複数の端子35の根元部352は、保持部32の外部に配置されており、モールド樹脂5によって被覆されている。また、ペグ36の一部は、保持部32の外部に配置されており、モールド樹脂5によって被覆されている。
【0042】
ハウジング31は、液晶ポリマーによって構成されている。より具体的には、ハウジング31は、複数の端子35及び複数のペグ36を配置した成形型に、液晶ポリマーを構成する樹脂材料のインサート成形を行って形成されている。ハウジング31においては、複数の端子35の両端部351,352とペグ36の一部とが露出している。なお、ハウジング31は、ポリフェニレンサルファイド樹脂によって構成してもよい。
【0043】
コネクタ3は、回路基板2の板面201の平面方向に垂直な方向に沿って配置することもできる。この場合には、複数の端子35の先端部351は、回路基板2の平面方向に垂直な方向に沿って配置される。
【0044】
(モールド樹脂5)
図1図3に示すように、モールド樹脂5は、モールド成形として、回路基板2及びコネクタ3を成形型に配置して、成形型内にモールド樹脂5を成形するための溶融した樹脂材料を充填し、この樹脂材料を固化させることによって形成されている。このモールド成形は、ホットメルト成形(ホットメルトモールディング)とも呼ばれ、溶融した樹脂材料を低圧で成形型内に注入して、成形型内にモールド樹脂5を成形するものである。ホットメルト成形を行うことにより、低温かつ低圧でモールド樹脂5を成形することができ、インサート部品としての回路基板2に取り付けられた電気部品22に温度及び圧力による悪影響を与えることがない。
【0045】
図1に示すように、モールド樹脂5は、モールド成形を行うことによって低圧かつ低い温度で成形することができ、成形が容易である。モールド樹脂5は、モールド成形によって成形されたことを示すゲート痕52を有している。ゲート痕52は、回路基板2の端面202に配置されたモールド樹脂5の端部に形成されている。
【0046】
ゲート痕52は、成形型に形成された、樹脂材料の注入口であるゲートに樹脂材料が残り、このゲートに残った樹脂材料が、製品としてのモールド樹脂5から切断されたときの痕として残ったものである。モールド樹脂5にゲート痕52があることにより、モールド樹脂5がモールド成形によって成形されたものであることを確認することができる。
【0047】
図5に示すように、モールド樹脂5は、電気部品22を含む回路基板2の全体、コネクタ3のハウジング31の保持部32、複数の端子35の根元部352、ペグ36の一部を被覆している。モールド樹脂5は、回路基板2の板面201及びコネクタ3のハウジング31の保持部32の表面において、できるだけ均一な厚みに形成されている。モールド樹脂5における、回路基板2の板面201に対向する部位の厚みt1,t2は、1mm以上5mm以下の範囲内にある。モールド樹脂5の厚みt1,t2が1mm未満である場合には、モールド樹脂5の強度が十分ではなく、モールド樹脂5の厚みt1,t2が5mm超過である場合には、樹脂材料の使用量が過剰になる。
【0048】
同図に示すように、回路基板2の基板部21の板面201においては、電気部品22が配置された部位が凸状になっている。回路基板2の基板部21の板面201に配置されたモールド樹脂5の表面は、平坦状に形成されていてもよい。この場合には、電気部品22が配置された基板部21の部位におけるモールド樹脂5の厚みt2は、電気部品22が配置されていない基板部21の部位におけるモールド樹脂5の厚みt1よりも薄くなる。
【0049】
また、図6に示すように、電気部品22が配置された基板部21の部位における第1モールド樹脂5Aの厚みt2は、電気部品22が配置されていない基板部21の部位における第1モールド樹脂5Aの厚みt1と同じになるようにしてもよい。この場合には、電気部品22が配置された基板部21の部位におけるモールド樹脂5が、電気部品22が配置されていない基板部21の部位におけるモールド樹脂5から凸状に膨らむことになる。
【0050】
図4及び図5に示すように、複数の端子35の先端部351が延びる方向及びフード部33の形成方向を、相手側コネクタ62が装着される装着方向Dとしたとき、モールド樹脂5は、コネクタ3のハウジング31の保持部32において、装着方向Dに沿ったフード部33及び保持部32の中心軸線Oの周りの全周に設けられている。ここで、中心軸線Oとは、フード部33及び保持部32の装着方向Dに直交する断面の図心を通る仮想線のことをいう。モールド樹脂5における、コネクタ3のハウジング31の表面に対向する部位の厚みは、1mm以上5mm以下の範囲内にある。
【0051】
本形態のモールド樹脂5は、軟化点が190℃であるポリアミド樹脂によって形成されている。モールド樹脂5を成形する際には、190℃以上230℃以下に、ポリアミド樹脂の材料を加熱し、成形型内に充填する。そして、成形型内に充填されたポリアミド樹脂の材料が冷やされて固化して、モールド樹脂5が成形される。
【0052】
モールド樹脂5のモールド成形を行う際に、回路基板2の基板部21の導体とコネクタ3の端子35とを接続する半田等の導電性材料が溶融しないようにするために、ポリアミド樹脂の融点又は軟化点は230℃以下とする。
【0053】
(取付部11)
図1及び図2に示すように、モールド樹脂5には、コネクタ装置1を、外部の機械部品61等に取り付けるための取付部11が形成されている。取付部11には、ボルト42が挿通される金属製のカラー4が配置されている。本形態の取付部11は、複数のカラー4によって構成されている。カラー4は、円筒形状に形成されており、その中心穴にはボルト42が挿通される。カラー4の両端部は、モールド樹脂5の表面から突出している。カラー4に挿通されたボルト42は、機械部品61等に設けられたネジ穴に締め付けられる。
【0054】
カラー4の外周41には、カラー4がモールド樹脂5から抜け出すことを防止するために、外周側に突出する鍔部が形成されていてもよい。鍔部は、カラー4の軸方向の複数箇所に形成されていてもよい。
【0055】
取付部11を構成するカラー4は、4つであり、四角形の板状の回路基板2の4つの角部の付近にそれぞれ配置されている。回路基板2における、カラー4が配置される部位の周辺には、カラー4との干渉を避ける切欠きが形成されていてもよい。
【0056】
(コネクタ装置1の製造方法)
コネクタ装置1を製造するに当たっては、まず、複数の端子35及び複数のペグ36がインサートされたハウジング31の、射出成形としてのインサート成形が行われ、コネクタ3が形成される。また、種々の電気部品22が配置された回路基板2が形成される。次いで、図7に示すように、回路基板2の基板部21にコネクタ3が配置され、コネクタ3の複数の端子35及び複数のペグ36が、半田付けによって基板部21の導体に接続される。同図は、コネクタ3が配置された回路基板2、換言すればモールド樹脂5が設けられる前のコネクタ装置1を示す。
【0057】
次いで、図1図5に示すように、コネクタ3が取り付けられた回路基板2及び複数のカラー4がインサートされたモールド樹脂5の、ホットメルト成形としてのインサート成形が行われ、コネクタ装置1が製造される。そして、回路基板2の全体、コネクタ3のハウジング31の保持部32、複数の端子35の根元部352、複数のペグ36、及び複数のカラー4の外周41がモールド樹脂5内に埋設される。また、複数の端子35の根元部352及び複数のペグ36と、回路基板2の基板部21の導体との半田付け部分もモールド樹脂5内に埋設される。
【0058】
また、ハウジング31のフード部33、複数の端子35の先端部351がモールド樹脂5の外部に露出する。また、モールド樹脂5を構成するポリアミド樹脂が、コネクタ3のハウジング31を構成する液晶ポリマーに密着し、モールド樹脂5とハウジング31との界面Kが封止される。
【0059】
(作用効果)
本形態のコネクタ装置1は、回路基板2の全体及びコネクタ3の一部をモールド樹脂5によって被覆したモールドタイプのものである。そして、このコネクタ装置1においては、コネクタ3のハウジング31を構成する樹脂材料と、モールド樹脂5を構成する樹脂材料との適切な組み合わせが提供される。
【0060】
コネクタ装置1においては、回路基板2の全体がモールド樹脂5によって被覆されていることにより、モールド樹脂5によって回路基板2を、大気中に飛散する水から保護することができる。また、コネクタ装置1の表面には、コネクタ3のハウジング31とモールド樹脂5との界面Kが位置する。この界面Kがコネクタ装置1において最も水に対する対策が必要な部位となる。
【0061】
本形態のコネクタ装置1においては、モールド樹脂5に融点が230℃以下のポリアミド樹脂を用い、かつコネクタ3のハウジング31に液晶ポリマー又はポリフェニレンサルファイド樹脂を用いている。このポリアミド樹脂と液晶ポリマー又はポリフェニレンサルファイド樹脂との組み合わせにより、コネクタ3のハウジング31とモールド樹脂5との間の防水性能を高めることができる。そして、コネクタ3のハウジング31とモールド樹脂5との境界からモールド樹脂5内に水が浸入することを防止することができる。
【0062】
本願発明者らの研究開発によって、ポリアミド樹脂と液晶ポリマー又はポリフェニレンサルファイド樹脂との密着性が特に優れていることが判明した。この樹脂材料同士の組み合わせによって、材料同士の界面Kの防水性能(封止性及び止水性)が向上することは、本願発明者らの研究開発によって初めて見出されたことである。
【0063】
界面Kの防水性能が向上する理由は、ポリアミド樹脂におけるアミド結合と、液晶ポリマーにおける極性基又はポリフェニレンサルファイド樹脂における極性基とが結び付くことによって、コネクタ3のハウジング31とモールド樹脂5との密着度が高くなるためであると考えられる。
【0064】
このように、本形態のコネクタ装置1によれば、コネクタ3のハウジング31とモールド樹脂5との間の防水性能を高めることができる。
【0065】
(ハウジング31及びモールド樹脂5の他の構成)
また、図8及び図9に示すように、コネクタ3のハウジング31の保持部32の表面には、相手側コネクタ62の装着方向Dに交差する方向に延びる溝部321を形成することができる。溝部321は、装着方向Dに沿ったフード部33及び保持部32の中心軸線Oの周りの全周に一本又は複数本設けることができる。
【0066】
また、図10及び図11に示すように、コネクタ3のハウジング31を構成する樹脂材料は、樹脂材301、及び繊維状の無機充填材302を含有していてもよい。図10は、モールド樹脂5が充填される前の溝部321を拡大して示し、図11は、モールド樹脂5が充填された後の溝部321を拡大して示す。
【0067】
そして、溝部321は、無機充填材302を残す状態で樹脂材301を除去して形成することができる。溝部321内の無機充填材302は、溝部321内に充填されたモールド樹脂5によって埋没されている。溝部321は、レーザー光をハウジング31の保持部32に照射して、保持部32における樹脂材301を除去することによって形成することができる。溝部321の深さh1及び幅w1は、50μm以上150μm以下の範囲内に形成することができる。
【0068】
そして、溝部321内に、ハウジング31の保持部32の表面に配置されたモールド樹脂5の一部が充填された状態においては、モールド樹脂5の一部が溝部321内の無機充填材302に引っ掛かって抜けにくくなるアンカー効果を得ることができる。これにより、ハウジング31とモールド樹脂5との密着度又は接着強度が高くなり、ハウジング31とモールド樹脂5との界面Kがより開きにくくなる。そのため、コネクタ3のハウジング31とモールド樹脂5との間の防水性能を高めることができ、コネクタ3のハウジング31とモールド樹脂5との界面Kからコネクタ装置1内に水が浸入することを防止することができる。
【0069】
(確認試験)
本確認試験においては、コネクタ3のハウジング31とモールド樹脂5との間の気密性を確認する試験を行った。この確認試験においては、図12に示すように、ハウジング31を模擬した第1樹脂部分71と、モールド樹脂5を模擬した第2樹脂部分72とが形成された試験用サンプル7を準備した。試験用サンプル7の第1樹脂部分71は、内径φb1がφ20mm、外径φb2がφ50mm、厚みu1が1mmの円筒板とした。試験用サンプル7の第2樹脂部分72は、直径φb3がφ30mm、厚みu2が2mmの円板とした。そして、第1樹脂部分71と第2樹脂部分72との軸心を合わせて、第1樹脂部分71と第2樹脂部分72とを、第2樹脂部分72を成形するときに密着させた。
【0070】
試験品1は、コネクタ3のハウジング31を模擬した第1樹脂部分71が液晶ポリマー(LCP)によって形成され、モールド樹脂5を模擬した第2樹脂部分72が、軟化点が190℃であるポリアミド樹脂(PA)によって形成されたものである。試験品2は、第1樹脂部分71がポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)によって形成され、第2樹脂部分72が、軟化点が190℃であるポリアミド樹脂(PA)によって形成されたものである。試験品3は、比較品として、第1樹脂部分71が液晶ポリマー(LCP)によって形成され、第2樹脂部分72がポリエステル(Polyester:PEs)によって形成されたものである。
【0071】
試験品1~3について、第1樹脂部分71は射出成形によって成形し、第2樹脂部分72はホットメルト成形によって成形した。ホットメルト成形を行う成形温度は210℃とした。
【0072】
本確認試験においては、第1樹脂部分71の中心穴711に、空気Aが供給される空気管8を接続し、空気管8に流れる空気Aの圧力を200~500kPaの間で変化させて、第1樹脂部分71と第2樹脂部分72との間に空気Aの漏洩(エアリーク)が発生したか否かを確認した。また、第1樹脂部分71の中心穴711を、空気Aによって200~500kPaの圧力で30秒間加圧した。この空気Aによる加圧は室温(25℃)において行った。試験品1~3について、空気Aの漏洩の有無を確認した結果を表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
表1の評価結果において、空気Aによる加圧後に、空気Aの圧力が低下していない場合には、第1樹脂部分71と第2樹脂部分72との間に空気Aの漏洩が発生しなかったとして、「good」とした。一方、空気Aによる加圧後に、空気Aの圧力が低下している場合には、第1樹脂部分71と第2樹脂部分72との間に空気Aの漏洩が発生したとして、「poor」とした。
【0075】
試験品1,2については、空気Aの圧力が400kPa以下である場合に、空気Aの漏洩が発生しないことが確認できた。そして、コネクタ装置1におけるコネクタ3のハウジング31とモールド樹脂5との間の、十分な止水性能(封止性能)が得られることが分かった。
【0076】
一方、試験品3については、空気Aの圧力が300kPa以上である場合に、空気Aの漏洩が発生することが確認できた。そして、コネクタ装置1におけるコネクタ3のハウジング31とモールド樹脂5との間の止水性能(封止性能)には改善の余地があることが分かった。
【0077】
これらの結果より、コネクタ3のハウジング31に液晶ポリマー又はポリフェニレンサルファイド樹脂を用い、モールド樹脂5にポリアミド樹脂を用いたコネクタ装置1により、ハウジング31とモールド樹脂5との間の防水性能を高められることが分かった。
【0078】
本発明は、実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲においてさらに異なる実施形態を構成することが可能である。また、本発明は、様々な変形例、均等範囲内の変形例等を含む。さらに、本発明から想定される様々な構成要素の組み合わせ、形態等も本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
1 コネクタ装置
11 取付部
2 回路基板
201 板面
202 端面
21 基板部
22 電気部品
3 コネクタ
301 樹脂材
302 無機充填材
31 ハウジング
32 保持部
321 溝部
33 フード部
35 端子
351 先端部
352 根元部
353 中間部
36 ペグ
4 カラー
41 外周
42 ボルト
5 モールド樹脂
51 先端部
52 ゲート痕
61 機械部品
62 相手側コネクタ
71 第1樹脂部分
72 第2樹脂部分
7 試験用サンプル
711 中心穴
712 溝部
8 空気管
A 空気
D 装着方向
K 界面
O 中心軸線
t1,t2 厚み
h1 深さ
w1 幅
φb1 内径
φb2 外径
φb3 直径
u1,u2 厚み
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12