(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】垂直結合及び風損制御用に構成されたディスクドライブサスペンション
(51)【国際特許分類】
G11B 21/21 20060101AFI20230414BHJP
G11B 5/60 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
G11B21/21 C
G11B5/60 P
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019074551
(22)【出願日】2019-04-10
【審査請求日】2022-04-08
(32)【優先日】2018-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517151084
【氏名又は名称】マグネコンプ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】MAGNECOMPCORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】クエン チー イー
【審査官】中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-049678(JP,A)
【文献】特開2002-289936(JP,A)
【文献】特開2013-182640(JP,A)
【文献】米国特許第07872834(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0097726(US,A1)
【文献】米国特許第08228642(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0271729(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 21/21
G11B 5/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その剛性領域と取付領域とを含み、当該取付領域が一対の第1バネ引張部を含むロードビームと、
ベースプレートから延びる2つのヒンジ部材と、当該2つのヒンジ部材に接続された一対の第2バネ引張部とを含み、当該一対の第2バネ引張部が前記ロードビームの取付領域の前記一対の第1バネ引張部に結合され、前記ロードビームと結合しているベースプレートと、
前記2つのヒンジ部材のうちの一方に単独で接続されるとともに、前記剛性領域を第1位置から第2位置へと移動させる素因となるベンダとを備え
、
前記ヒンジ部材は、ロードビームとベースプレートとの間にバネ関係をもたらすように構成されたバネ用金属層を含むことを特徴とするサスペンションアセンブリ。
【請求項2】
前記一対の第1バネ引張部及び一対の第2バネ引張部は、約300ミクロン~約1000ミクロンの範囲で長手方向に延びる、請求項1に記載のサスペンションアセンブリ。
【請求項3】
前記一対の第1バネ引張部は、第1の長さを有し、前記一対の第2バネ引張部は、第2の長さを有し、前記第1の長さと前記第2の長さは等しい、請求項1に記載のサスペンションアセンブリ。
【請求項4】
前記一対の第1バネ引張部及び一対の第2バネ引張部は、それぞれプラッタによって定められる平面に対して0°のロール角で配向され、それにより前記ロードビームの動作姿勢が実質的に0°のロール角である、請求項1に記載のサスペンションアセンブリ。
【請求項5】
前記ベンダは、ジルコン酸チタン酸鉛を含む、請求項1に記載のサスペンションアセンブリ。
【請求項6】
前記ベンダは、圧電材料を含む、請求項1に記載のサスペンションアセンブリ。
【請求項7】
前記ベンダは、合計厚さが60ミクロンの4層圧電体である、請求項1に記載のサスペンションアセンブリ。
【請求項8】
前記一対の第2バネ引張部は、レーザスポット溶接により前記一対の第1バネ引張部に結合される、請求項1に記載のサスペンションアセンブリ。
【請求項9】
前記ロードビームは、前記ロードビームの剛性を増大させるために前記剛性領域の長さの大部分に沿って形成された少なくとも1つのレールを含む、請求項1に記載のサスペンションアセンブリ。
【請求項10】
その剛性領域と取付領域とを含み、当該取付領域が一対の第1バネ引張部を含むロードビームと、
ベースプレートから延びる2つのヒンジ部材と、前記ロードビームの前記取付領域の前記一対の第1バネ引張部に結合された一対の第2バネ引張部とを含み、前記ロードビームと結合しているベースプレートと、
前記2つのヒンジ部材のうちの一方に単独で配置され、前記剛性領域を第1位置から第2位置へと移動させる素因となるベンダと、
前記ロードビームに結合されたフレクシャトレースジンバルアセンブリと、
前記ジンバルに結合された読取り書込みヘッドと、
回転プラッタとを備え
、
前記ヒンジ部材は、ロードビームとベースプレートとの間にバネ関係をもたらすように構成されたバネ用金属層を含むことを特徴とするハードディスク装置。
【請求項11】
前記一対の第1バネ引張部及び一対の第2バネ引張部は、前記回転プラッタによって定められる平面に対して0°のロール角で配向され、それにより前記ロードビームの動作姿勢が前記回転プラッタによって定められる平面に対して実質的に0°のロール角である、請求項
10に記載のハードディスク装置。
【請求項12】
前記第1バネ引張部及び第2バネ引張部はそれぞれ平坦であり、前記回転プラッタによって定められる平面に対して約0°のロール角で配向されている、請求項
10に記載のハードディスク装置。
【請求項13】
前記プラッタの回転速度が5,000rpmより大きい、請求項
10に記載のハードディスク装置。
【請求項14】
ベースプレートであって、
ロードビームの対応するバネ引張部に結合されるように構成されたバネ引張部を含む、第1の側にある第1ヒンジ部材と、
ロードビームの対応するバネ引張部に結合されるように構成されたバネ引張部を含む、サスペンションの第2の側にある第2ヒンジ部材と、
前記第1の側にある前記第1ヒンジ部材と前記第2の側にある前記第2ヒンジ部材のうちの一方に単独で取り付けられ、前記第1ヒンジ部材と前記第2ヒンジ部材のうちの一方とともに前記ロードビームを第1位置から第2位置へと移動させる素因となるベンダとを備え
、
前記第1ヒンジ部材及び前記第2ヒンジ部材は、ロードビームとベースプレートとの間にバネ関係をもたらすように構成されたバネ金属層で構成されることを特徴とするベースプレート。
【請求項15】
前記バネ引張部は、300ミクロンから1000ミクロンの範囲で長手方向に延びる、請求項
14に記載のベースプレート。
【請求項16】
前記バネ引張部は、プラッタによって定められる平面に対して0°のロール角で配向され、それにより前記ロードビームの動作姿勢が実質的に0°のロール角である、請求項
14に記載のベースプレート。
【請求項17】
前記ベンダは、ジルコン酸チタン酸鉛を含む、請求項
14に記載のベースプレート。
【請求項18】
前記ベンダは、圧電材料を含む、請求項
14に記載のベースプレート。
【請求項19】
前記ベンダは、合計厚さが60ミクロンの4層圧電体である、請求項
14に記載のベースプレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の参照]
本出願は、2019年3月20日に出願された米国特許出願第16/359,760号の優先権を主張し、さらに、2018年4月11日に出願された米国仮特許出願第62/656,255号の優先権利益を主張し、その全ての内容が本明細書に参考として援用される。
【0002】
本発明は、ハードディスクドライブサスペンションの分野に関する。より具体的には、本発明の実施形態は、一般的にディスクフラッタと呼ばれる、空気流に起因するディスク振動を補うように構成されたハードディスクドライブサスペンションに関する。
【背景技術】
【0003】
ハードディスクドライブ(HDD)ユニットは、一般的に、データを記憶するために回転記憶媒体(例えばディスク又はプラッタ)を使用する。読取り書込みヘッドは、ヘッドスタックアセンブリ(HSA)によって回転記憶媒体に近接配置される。HSAに取り付けられたサスペンションアセンブリは、通常、ベースプレート、ロードビーム、及びスライダが取り付けられたフレクシャトレースジンバルを含む。スライダは、読取り書込みヘッドを支持する。ロードビームは、一般的に、アクチュエータ取付領域、バネ領域及び剛性領域からなる。バネ領域は、読取り又は書込み中において回転記憶媒体により生じる空気力学的揚力を打ち消すために、サスペンションにバネ力又は予負荷を与える。ジンバルはロードビームの遠位端に取り付けられ、スライダを支持してヘッドをディスク表面の不規則性に追従するように前後左右に揺らす。
【0004】
一般的に、HDDの記憶容量を増大させることが要求され、記憶媒体に対してより高いデータトラック密度を強いる。さらに、より高速のデータ探索及びアクセスのための要求は、また、より高い回転速度をもたらす。回転速度及び記憶容量の増大に対する重大な障害は、ヘッドが回転している記憶媒体の上を移動するときのヘッドの位置決め精度であることが多い。
【0005】
ヘッドの位置決め精度に対する重大な障害は、ディスクフラッタである。ディスクフラッタは、回転記憶媒体と媒体を取り囲む空気との結合により引き起こされる空力不安定性であり、結果として、ディスク振動モードが生じる。これらの流体関連振動は、ヘッドの望むトラックに対するずれを物理的に引き起こし、その結果、トラックの中心でデータへのアクセス又は書き込みができなくなる。ディスクフラッタに関する問題は、トラック密度及びディスク回転速度が高いほど許容できなくなる。
【0006】
したがって、ディスクフラッタによって引き起こされるトラックずれを実質的に低減するようにハードディスクドライブを動作させるための新規な解決策が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本開示はサスペンションアセンブリを提供する。サスペンションアセンブリは、ロードビームを含み、ロードビームは、ロードビームの剛性領域と取付領域とを接続する一対の第1バネ引張部を含む。サスペンションアセンブリはまた、ロードビームの取付領域に結合されたベースプレートを含む。ベースプレートは2つのヒンジ部材を含み、各ヒンジ部材は一対の第1バネ引張部に接続され、且つ、ロードビームとベースプレートとを結合する第2バネ引張部を含む。ベースプレートはまた、ロードビームの第1側において剛性領域を第1位置から第2位置へと移動させる素因となる2つのヒンジ部材のうちの一方に接続されたベンダを含む。
【0008】
いくつかの実施形態によれば、サスペンションアセンブリの第1側と第2側とは非対称である。一対の第1バネ引張部及び一対の第2バネ引張部は、約400ミクロンから約1000ミクロンの範囲で長手方向に延び得る。いくつかの実施形態では、一対の第1バネ引張部及び一対の第2バネ引張部は等しい長さである。さらに、一対の第1バネ引張部及び一対の第2バネ引張部はそれぞれ、プラッタによって定められた平面に対して約0°のロール角で配向することができ、それによってロードビームの動作姿勢は実質的に0°のロール角である。いくつかの実施形態では、ヒンジ部材は、ロードビームとベースプレートとの間にバネ関係をもたらすように構成されたバネ金属層を含む。いくつかの実施形態では、ベンダはジルコン酸チタン酸鉛を含む。他の実施形態では、ベンダは圧電材料を含む。ベンダは、総厚60ミクロンの4層PZTを含むことができる。いくつかの実施形態によれば、一対の第2バネ引張部は、レーザスポット溶接によって一対の第1バネ引張部に結合することができる。ロードビームは、支持領域の剛性を高めるために、支持領域の長さの大部分に沿って形成された少なくとも1つのレールを含むことができる。
【0009】
本開示は、ハードディスク装置を提供する。ハードディスク装置はロードビームを含むことができ、ロードビームは、ロードビームの剛性領域と取付領域とを接続する一対の第1バネ引張部を含む。ハードディスク装置は、ロードビームの取付領域に結合されたベースプレートを含むことができる。さらに、ハードディスク装置は、2つのヒンジ部材を含むこともでき、ヒンジ部材のそれぞれは、一対の第1バネ引張部に接続され、ロードビームとベースプレートとを結合する第2バネ引張部を含む。ハードディスク装置はまた、ロードビームの第1側においてディスクフラッタに反応して剛性領域を第1位置から第2位置へと移動させる素因となる2つのヒンジ部材のうちの一方に接続されたベンダを含むことができる。ハードディスク装置は、ロードビームに結合されたジンバルと、ジンバルに結合された読込み書込みヘッドと、ロードビームから第1方向に離れて配置された回転プラッタとを含むことができる。第1方向は回転プラッタに対して垂直であり得る。
【0010】
一対の第1バネ引張部及び一対の第2バネ引張部はそれぞれ、回転プラッタによって定められた平面に対して約0°のロール角で配向することができ、それによってロードビームの動作姿勢は実質的に0°のロール角である。予負荷形成前の第1バネ引張部及び第2バネ引張部はそれぞれ平坦であり、約0°のロール角で配向することができる。プラッタの回転速度は、約5,000rpmを超えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の利点及び特徴を得ることができる方法を説明するために、本開示の実施形態は、添付の図面に示される特定の例を参照して説明される。これらの図面は、本開示の実施形態の例示的な態様のみを示しており、したがってその範囲を限定するものと見なされるべきではない。以下の図面を使用することにより、原理がさらなる具体性及び詳細と共に描写され説明される。
【0012】
【
図1】
図1は、ディスクドライブ装置の概略図である。
【
図2A】
図2Aは、本開示の一実施形態におけるサスペンションアセンブリの簡略図である。
【
図2B】
図2Bは、本開示の一実施形態によるサスペンションアセンブリの分解図である。
【
図3】
図3は、本開示の一実施形態における直流電圧が印加されたときのサスペンションアセンブリのヒンジ領域における垂直オフセットの簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ディスクドライブ装置を作動させるための技術が提供される。より具体的には、本発明の実施形態は、空気流によって引き起こされる振動を補う、ハードディスクドライブ上で情報を読込み又は書込みするための方法及び装置を提供する。ほんの一例として、本発明は、垂直結合のために必要に応じてオフセットするためのベンダとして機能するベースプレート領域に圧電マイクロアクチュエータ(PZT)を有するそのような方法及び装置を使用して実施される。
【0014】
本開示の実施形態は、添付の図面を参照して説明され、同様の参照番号は、図面全体を通して類似の、又は、同等の要素を示すために使用される。図面は一定の縮尺で描かれておらず、それらは単に本発明を説明するために提供されている。実施形態のいくつかの態様は、例示のために例示的な用途を参照して以下に説明される。実施形態の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細、関係、及び方法が説明されていることを理解されたい。しかしながら、当業者であれば、本発明が1つ以上の具体的な詳細なしに、又は他の方法を用いて実施され得ることを容易に認識するであろう。他の例では、実施形態を不明瞭にすることを避けるために、周知の構造又は動作は詳細には示されていない。いくつかの動作は異なる順序で、及び/又は他の動作若しくはイベントと同時に起こり得るので、本開示の実施形態は、示される動作又はイベントの順序付けによって制限されない。さらに、本発明による方法を実施するために、例示されたすべての動作又はイベントが必要とされるわけではない。
【0015】
本開示の実施形態は、サスペンションアセンブリに関する。サスペンションアセンブリはロードビームを含み、ロードビームは、ロードビームの剛性領域と取付領域とを接続する一対の第1バネ引張部を含む。また、サスペンションアセンブリは、ロードビームの取付領域に結合されたベースプレートを含む。ベースプレートは2つのヒンジ部材を含み、各ヒンジ部材は一対の第1バネ引張部に接続され且つロードビームとベースプレートとを結合する第2バネ引張部を含む。また、ベースプレートは、ロードビームの第1側に配置され、ディスクフラッタに反応して剛性領域を第1位置から第2位置へと移動させる素因となる2つのヒンジ部材のうちの一方に接続されたベンダを含む。
【0016】
図1は、本開示の実施形態におけるディスクドライブ装置200の略図である。装置200は、少なくとも1つのディスク201(例えば1つ、2つ、3つ又はそれ以上のディスク)、少なくとも1つのアクチュエータアーム203(例えば1つ、2つ、3つ又はそれ以上のアクチュエータアーム)、及び少なくとも1つのサスペンションアセンブリ205(例えば、1つ、2つ、3つ、又はそれ以上のサスペンションアセンブリ)を含む。各サスペンションアセンブリは、バネ引張部を有するロードビーム207とフレクシャトレースジンバルアセンブリ209とを含む。第1及び第2バネ引張部はベンダを用いてオフセットして配置される。トレースジンバルアセンブリ及び読取り/書込みヘッドを有するサスペンションアセンブリは、ヘッドジンバルアセンブリ(HGA)と呼ばれることがある。この図及び本明細書に提供される他の図は、単なる例であり、本明細書の特許請求の範囲を過度に制限するものではない。当業者は、他の多くの変形形態、修正形態、及び代替形態を認識するであろう。
【0017】
一般にプラッタと呼ばれるディスク201は、実施形態に応じて、約5,000rpmから最大約15,000rpmまで固定軸(又はスピンドル)を中心に回転する。ディスク201は情報を記憶し、したがって強磁性材料のような磁気媒体を含むことが多い。しかし、それは、デジタルビット情報を記憶するための活性領域となる、通常ディスクの表面上にコーティングされる光学材料を含むこともできる。ディスク201の総記憶容量はトラック密度とディスク直径とによって変わる。ディスク201は、1インチ当たり約50,000トラック(TPI)から約200,000TPI、又はそれ以上の範囲にあり得るトラックに情報を記憶する。ディスク201の直径は、5.12インチ(例えば、5.25インチドライブ用の)、3.74インチ(例えば、3.5インチドライブ用の)、又は2.5インチ未満、さらには1.8インチ又は1.0インチ未満であり得る。
【0018】
ディスク201の表面を覆う(または下面を覆う)サスペンションアセンブリ205は、読取り/書込みヘッド(図示せず)に結合されたスライダを作動させるとともに制御する。フレクシャトレースジンバルアセンブリ209はロードビーム207に取り付けられており、ロードビーム207はアクチュエータアーム203に接続されている。アクチュエータアーム203は、サスペンションアセンブリ205をピボット点周りに環状に動かすようにボイスコイルモータ又はVCMに接続され得る。VCMは直流により最大約1kHzまでの周波数で動くことができる。好ましくは、より高いトラック密度、例えば200,000TPIの場合、制御帯域幅は5kHzに近づけることができるが、確実にもっと大きくすることもできる。
【0019】
図2A及び
図2Bは、本開示の一実施形態におけるサスペンションアセンブリ300の簡略図である。これらの図は単なる例であり、本明細書の特許請求の範囲を過度に制限するものではない。当業者であれば、他の変形形態、修正形態、及び代替形態を認識するであろう。
【0020】
サスペンションアセンブリ300は、ベースプレート302と、ロードビーム304と、少なくとも1つのヒンジ部材312と、圧電ベンダ(PZT)316などのベンダと、フレクシャトレースジンバルアセンブリ320とを含む。ロードビーム304は取付領域306を含む。取付領域306は、ロードビーム304の剛性領域310に接続された一対の第1バネ引張部308及び309を含むことができる。ヒンジ部材312は、ベースプレート302とロードビーム304とを連結するための一対の第2バネ引張部314及び315を含む。
【0021】
一対の第2バネ引張部314及び315は、典型的にはレーザスポット溶接により一対の第1バネ引張部308及び309に結合することができる。結合された一対の第2バネ引張部314及び315と一対の第1バネ引張部308及び309との間に、エポキシ層などの1つ又は複数の中間層があってもよい。また、ロードビーム304は、剛性領域310の長さに沿うエッジレール333を含むことができる。エッジレール333はロードビーム304に剛性を与える。代替実施形態では、ロードビームはエッジレール333なしで構成されていてもよい。
【0022】
一対の第1バネ引張部308,309及び一対の第2バネ引張部314,315は、サスペンションアセンブリ300にバネ力又は予負荷を与えて、ハードディスクドライブへの読込み書込み中に回転媒体によって生じる空気力学的揚力を打ち消す。一対の第1バネ引張部308,309及び一対の第2バネ引張部314,315は、約300ミクロン~約1000ミクロンの範囲で長手方向に延び得る。必須ではないが好ましくは、バネ引張部308,309及び314,315は等しい長さである。さらに、ディスクの振動がない場合は、一対の第1バネ引張部308,309及び一対の第2バネ引張部314,315は、ディスク又はプラッタによって定められる平面に対して、0°のロール角、又は約0°のロール角で実質的に配向されている。したがって、ロードビーム304の動作姿勢は、実質的に0°のロール角である。ヒンジ部材312は、ロードビーム304とベースプレート302との間に適切なバネ関係を提供するバネ金属層又は他の任意の材料から構成することができる。取付領域306に接触する追加材料をヒンジ部材312に追加することができる。
【0023】
図2Aに示すように、ベンダ316は、ロードビーム304とベースプレート302とを接続するヒンジ部材312の反対側に配置され得る。圧電ベンダ316は、一対の第1バネ引張部308,309と一対の第2バネ引張部314,315との間に垂直方向のオフセットを提供する。いくつかの実施形態によれば、圧電ベンダ316がロードビーム304とベースプレート302との間のギャップの片側に使用される。そのため、一対の第2バネ引張部314及び315は、一対の第1バネ引張部308及び309に対して水平で且つ平行である。しかしながら、
図2Bに示すように、圧電ベンダ316をヒンジ部材312上に配置することができることを当業者は理解されたい。
【0024】
圧電ベンダ316は、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)から構成することができる。また、他の圧電材料も使用され得ることが当業者によって理解されるべきである。一時的に
図1を参照すると、サスペンションアセンブリ205がディスク201の外径により近い領域(ディスクフラッタが最も激しい場所)に位置するとき、圧電ベンダ316に直流電圧を印加すると、ディスク表面と垂直結合するような非対称形状となるようにベースプレートの先端部分を下方に曲げることができる。サスペンションアセンブリ205がディスク201の内径領域に近づくと、直流電圧が印加されてない圧電ベンダ316が先端を元位置に戻し、ヒンジ領域が再び対称になる。したがって、サスペンションの非対称性に敏感な第1曲げモード、第2曲げモード等の共振モード及びそれに関連する風損モードを最小限に抑えることができる。
【0025】
図2Aに戻って参照すると、圧電ベンダ316は、ヒンジ部材312の反対側に配置することができ、PZT作動がヒンジの一方側を垂直方向に曲げるときに必要に応じてヒンジの垂直方向のオフセットを作り出す。これは、ディスクフラッタの際にトラックずれの動きをキャンセルするために必要な垂直結合を引き起こす。
【0026】
図2Bに示されるように、ヒンジ部材312は、組み合わされた圧電ベンダ316及び第2ヒンジ部材313の剛性及び質量分布と釣り合うように設計されている。ヒンジ部材312、複合ベンダ316及び第2ヒンジ部材313の間、或いは、一対の第1バネ引張部及び一対の第2バネ引張部における越えて配置された部分の間のバランスが取れた設計は、ベンダに電圧が印加されていないときにサスペンションがディスクに負荷をかけられると、ロール角がほぼゼロになる。その結果、サスペンションは、曲げモードの共振と風損とが最小限に抑えられる従来の設計と同様の性能を有することになる。
【0027】
図3は、直流電圧が印加されたときのサスペンションアセンブリ300のヒンジ領域の垂直方向のずれの簡略図を示す。具体的には、サスペンションアセンブリ300は、圧電ベンダが作動したときに片側のヒンジで曲がるように構成される。圧電ベンダ316は、総厚60ミクロン(μm)の4層PZTを含むことができる。
図3は、ベンダ316が約8ミクロン(μm)の曲げられた事例研究を示す。これにより、垂直結合に反するのが約0.2%に見込まれる。
【0028】
本開示のこれまでの説明は、当業者が本開示を作成または使用することを可能にするために提供されている。本開示に対する様々な修正は当業者にとっては容易に明らかであり、本明細書で定義された一般的な原理は、本開示の範囲から逸脱することなく他の変形形態に適用することができる。したがって、本開示は、本明細書に記載の実施例及び設計に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原理及び新規な特徴と矛盾しない最も広い範囲を与えられるべきである。