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特許7262307パーツフィーダ用ボウルおよびそれを備えたパーツフィーダ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】パーツフィーダ用ボウルおよびそれを備えたパーツフィーダ装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20230414BHJP
【FI】
B65G47/14 101B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019101139
(22)【出願日】2019-05-30
(65)【公開番号】P2020193101
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】515343812
【氏名又は名称】日特コーセイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 貴幸
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-151419(JP,A)
【文献】実開昭51-143978(JP,U)
【文献】特開2001-039531(JP,A)
【文献】米国特許第06041914(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入されたパーツが振動によって移動する搬送路が周方向に沿って形成されたパーツフィーダ用ボウルであって、
前記搬送路を移動するパーツのうち所定の姿勢にあるパーツの移動のみを許容する選定部と、
前記選定部で除外されたパーツを受け入れ前記搬送路に戻すスロープと、
前記選定部よりも搬出口側に設けられ、前記搬出口に向けて前記搬送路を移動するパーツのうち所定の姿勢にあるパーツの移動のみを許容する最終選定部と、
前記最終選定部で除外されたパーツを受け入れ底面へと落下させる緩衝部と、を備え、
前記搬送路は、1周に満たない範囲に設けられ、
前記選定部及び前記スロープは、前記搬送路に対して複数設けられ
前記緩衝部は、水平な平面を有する段部であることを特徴とするパーツフィーダ用ボウル。
【請求項2】
前記スロープは、前記搬送路と同一平面上に形成された合流面と、前記合流面に向かって傾斜して形成された傾斜面と、を有し、
前記選定部で除外されたパーツは、前記傾斜面を移動し、前記合流面において前記搬送路に戻されることを特徴とする請求項1に記載のパーツフィーダ用ボウル。
【請求項3】
前記選定部は、前記搬送路と同一平面上に設けられる選別面と、前記選別面を移動するパーツを支持する支持面と、を有し、
前記搬送路を移動するパーツのうち所定の姿勢にあるパーツは、前記選別面及び前記支持面により支持され、所定の姿勢にないパーツは、前記選別面から前記スロープへと落下することを特徴とする請求項1または2に記載のパーツフィーダ用ボウル。
【請求項4】
前記スロープから前記選別面までの最大高さは、前記選別面から前記支持面の上縁までの高さよりも小さいことを特徴とする請求項3に記載のパーツフィーダ用ボウル。
【請求項5】
前記選別面から前記支持面の上縁までの高さは、パーツの最大長さ以下に設定されることを特徴とする請求項4に記載のパーツフィーダ用ボウル。
【請求項6】
前記スロープから前記選別面までの最大高さは、パーツの最大長さよりも小さいことを特徴とする請求項3に記載のパーツフィーダ用ボウル。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1つに記載のパーツフィーダ用ボウルと、
前記パーツフィーダ用ボウルを振動させる加振機と、を備えることを特徴とするパーツフィーダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーツフィーダ用ボウルおよびそれを備えたパーツフィーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、搬入されたパーツが振動によって移動する搬送路が周方向に沿って形成されたパーツフィーダ用ボウルを備えたパーツフィーダ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-343601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるパーツフィーダ装置では、搬送路が螺旋状に形成されているため、パーツが搬送路を移動する時間が長くなるとともに、所定の姿勢にあるパーツの移動のみを許容する選定部で除外されたパーツは、パーツの全長よりも比較的大きい高さを落下することになる。このようにパーツが振動を受ける時間が長かったり、パーツが受ける衝撃が大きかったりすると、パーツに割れや欠けが生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、パーツフィーダ用ボウルに形成された搬送路を移動するパーツに割れや欠けが生じることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、搬入されたパーツが振動によって移動する搬送路が周方向に沿って形成されたパーツフィーダ用ボウルが、搬送路を移動するパーツのうち所定の姿勢にあるパーツの移動のみを許容する選定部と、選定部で除外されたパーツを受け入れ搬送路に戻すスロープと、選定部よりも搬出口側に設けられ、搬出口に向けて搬送路を移動するパーツのうち所定の姿勢にあるパーツの移動のみを許容する最終選定部と、最終選定部で除外されたパーツを受け入れ底面へと落下させる緩衝部と、を備え、搬送路が、1周に満たない範囲に設けられ、選定部及びスロープが、搬送路に対して複数設けられ、緩衝部が、水平な平面を有する段部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、パーツフィーダ用ボウルに形成された搬送路を移動するパーツに割れや欠けが生じることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るパーツフィーダ装置の構成図である。
図2】本発明の実施形態に係るパーツフィーダ用ボウルの斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係るパーツフィーダ用ボウルの平面図である。
図4A図3のA-A線に沿う断面図である。
図4B図3のB-B線に沿う断面図である。
図4C図3のC-C線に沿う断面図である。
図5図3のD-D線に沿う断面図である。
図6】パーツフィーダ装置により搬送されるパーツの一例を示す図である。
図7A】パーツフィーダ装置によるパーツの搬送を説明するための図である。
図7B】パーツフィーダ装置によるパーツの搬送を説明するための他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るパーツフィーダ装置100について説明する。
【0010】
パーツフィーダ装置100は、図1及び図2に示すように、搬入口21からパーツが搬入されるパーツフィーダ用ボウル20(以下、「ボウル20」という。)と、ボウル20を周方向に所定の振幅で振動させる加振機10と、を備える。なお、図1は、パーツフィーダ装置100の構成を示す側面図であり、図2は、ボウル20を示す斜視図である。
【0011】
パーツフィーダ装置100は、加振機10によってボウル20を振動させることにより、ボウル20内に搬入されたパーツを振動方向に搬送しつつ所定の姿勢に揃えてボウル20の搬出口22から搬出させるものである。
【0012】
加振機10は、図示しない電磁石を有し、電磁石に供給される交流電流によって生じる所定の周期の振動をボウル20に伝達するものである。なお、振動の発生源としては、電磁石に限定されず、圧電素子であってよいし、ソレノイドアクチュエータや流体圧アクチュエータの変位を、カム等の機構を介して振動に変換するものであってもよい。加振機10と加振機10が設置される床面との間には、床面への振動の伝達を抑制するために、防振ゴムを設けることが好ましい。
【0013】
図2に示すように、ボウル20は、底面20aと筒部20bとを有する有底筒状であり、鋳造性及び切削性のよい金属材、例えばアルミニウム合金により形成される。ボウル20は、略中央に形成された挿通孔24を挿通する図示しないボルトを介して加振機10に固定され、中心軸Oを中心として周方向に所定の周期及び所定の振幅で振動する。なお、ボウル20の振動周期や振幅は、加振機10に供給される交流電流を制御する図示しない制御装置によって調整される。
【0014】
筒部20bには、パーツが搬入される搬入口21と、パーツが搬出される搬出口22と、が周方向において隣り合うようにして設けられる。搬入口21及び搬出口22は、前工程及び後工程の装置との間でパーツの受け渡しが容易にできるように筒部20bから径方向外側に向けてそれぞれ延びて形成される。
【0015】
底面20aは、挿通孔24が形成される中央部における高さが最も高く、底面20aの中央部にパーツが滞留しないように、中央部から筒部20bに向かって緩やかに下るように傾斜している。
【0016】
また、ボウル20には、搬入口21から搬入されたパーツが搬出口22に向かって移動する搬送路30が周方向に沿って設けられる。搬送路30は、搬入口21と搬出口22とを接続するように周方向に1周に満たない範囲に形成される。
【0017】
搬送路30は、螺旋状ではないことから、勾配が設けられておらず、始端から終端に至るまで略水平に形成される。したがって、パーツが移動する搬送路が螺旋状に形成された場合と比較し、搬送路30に勾配がないことからパーツを移動させるための推力が小さくて済むため、搬出口22に向けてパーツを円滑に移動させることが可能となる。
【0018】
また、ボウル20には、搬送路30に加えて、搬送路30を移動するパーツのうち所定の姿勢にあるパーツの移動のみを許容する選定部40と、選定部40で除外されたパーツを受け入れ搬送路30に戻すスロープ50と、が設けられる。
【0019】
次に、図3~5を参照して、選定部40及びスロープ50について説明する。図3は、ボウル20の平面を示す平面図であり、図4A~4Cは、図3のA-A線、B-B線、C-C線に沿う各断面を示す断面図であり、図5は、図3及び図4A~4Cに示されるD-D線に沿う断面を示す断面図である。
【0020】
選定部40は、搬送路30と同一平面上に設けられる選別面41と、選別面41を移動するパーツを支持する支持面42と、を有する。選別面41と支持面42とは、図4A図4Cに示されるように径方向における断面において互いに直交する平面であり、選別面41は、支持面42よりも水平面に対する傾斜が小さく設定されている。具体的には、水平面に対する選別面41の角度は約30度である一方、水平面に対する支持面42の角度は約60度である。このため、選別面41は搬送路30を移動するパーツの下方を支持し、支持面42は搬送路30を移動するパーツの側方を支持することになる。
【0021】
また、選別面41の幅は、パーツの高さ、幅、厚さといった寸法のうち最も小さい寸法よりも小さく設定される。このため、搬送路30を移動するパーツのうち所定の姿勢にあるパーツは、選別面41及び支持面42により支持される一方、所定の姿勢にないパーツは、選別面41から落下することになる。選定部40によるパーツの選定については、後で詳述する。
【0022】
また、図5に示される支持面42の幅、すなわち、選別面41から支持面42の上縁までの高さである第1高さH1は、パーツの高さ、幅、厚さといった寸法のうち最も大きい寸法以下または同程度の大きさであって、所定の姿勢にあるパーツを安定して支持可能な大きさに設定される。このようにパーツが接触する支持面42の幅の大きさを制限し、支持面42とパーツとの接触面積を減少させてパーツが移動する際の抵抗を小さくすることによって、所定の姿勢にあるパーツを選定部40に沿って円滑に移動させることが可能となる。
【0023】
一方、スロープ50は、選定部40に対して径方向内側に設けられた凹部であり、パーツが落下する部分に設けられる受容面51と、搬送路30と同一平面上に形成された合流面53と、受容面51と合流面53とを接続する傾斜面52と、を有する。
【0024】
受容面51は、選別面41と平行、すなわち周方向において勾配のない平面であり、図4Aに示すように、径方向断面で見た場合、選別面41と同様に水平面に対して傾いて形成される。このため、受容面51では、選別面41から落下したパーツを容易に受け取ることが可能である。なお、選別面41に落下するパーツが多い場合には、受容面51からさらに底面20aへとパーツは落下することになる。
【0025】
傾斜面52は、図5に示すように、周方向において所定の勾配を有しており、受容面51から合流面53に向かって所定の角度で傾いた上り傾斜となっている。このため、受容面51に落下したパーツは、傾斜面52を登って合流面53へと移動することになる。なお、傾斜面52が受容面51を兼ねていてもよく、この場合は受容面51を設けなくてもよい。また、スロープ50上のパーツの移動を円滑にさせるために、受容面51と傾斜面52との接続部や合流面53と傾斜面52との接続部における勾配を他の部分よりも緩やかにしてもよい。
【0026】
合流面53は、図4Bに示される傾斜面52と選別面41とが、図4Cに示されるように同一平面になった平面部であり、図3に示されるように比較的幅が広い搬送路30に相当する部分である。
【0027】
また、合流面53は、図4Cに示すように、選別面41と同様に水平面に対して傾いて形成されるため、傾斜面52を移動し合流面53に至ったパーツは、合流面53の傾きに沿って支持面42に向かって移動することになる。つまり、合流面53では、選別面41及び支持面42に沿って移動してきた所定の姿勢のパーツと、選別面41から落下しスロープ50沿って登ってきたパーツとが、合流することになる。
【0028】
上記形状の選定部40とスロープ50とは、図3及び図4A図4Cからも明らかなように、径方向において隣接している。これは、周方向に沿って形成された所定の幅、具体的には合流面53と同じ幅を有する搬送路30に対してスロープ50を切削加工することによって選定部40が形成されるためである。つまり、選定部40とスロープ50とは一体不可分である。
【0029】
ここで、選定部40からパーツが落下する際の高さが高いと、パーツが受ける衝撃が大きくなり、パーツに割れや欠けが生じるおそれがある。特にパーツの素材がフェライトやセラミックである場合には、衝撃によって割れや欠けが生じやすい。これに対して本実施形態の搬送路30は、周方向に1周に満たない範囲に設けられる。このため搬送路を螺旋状に形成した場合と比較し、パーツが落下する高さを比較的低くすることができることから、パーツに割れや欠けが生じることを抑制することが可能である。
【0030】
しかしながら、搬送路30が1周に満たない範囲に設けられる場合であってもパーツが落下する高さによっては、パーツに割れや欠けが生じるおそれがある。このため、本実施形態では、パーツに割れや欠けが生じることを確実に抑制するために、選別面41から落下したパーツを受け取る受容面51から選別面41までの高さ、すなわち、スロープ50から選別面41までの最大高さを規定している。
【0031】
具体的には、図5に示すように、受容面51から選別面41までの高さである第2高さH2を、選別面41から支持面42の上縁までの高さである第1高さH1よりも小さく設定している。第1高さH1は、上述のように、パーツの高さ、幅、厚さといった寸法のうち最も大きい寸法以下または同程度に設定されている。したがって、第2高さH2は、パーツの高さ、幅、厚さといった寸法のうち最も大きい寸法よりも小さく設定されることになる。
【0032】
このように受容面51から選別面41までの高さである第2高さH2を、パーツの最大長さよりも小さく設定することによって、選別面41から受容面51にパーツが落下する際の衝撃を確実に小さくすることが可能となり、結果として、パーツに割れや欠けが生じることをさらに抑制することができる。
【0033】
また、本実施形態では、選定部40から落下したパーツを搬送路30の途中の部分に合流させるためにスロープ50が設けられる。このため、落下したパーツを搬送路30の始まりの部分へと戻す場合と比較し、搬入されてから搬出されるまでの間にパーツが振動を受ける時間が短くなることから、パーツに割れや欠けが生じることを抑制することが可能である。
【0034】
しかしながら、選定部40及びスロープ50が1カ所にしか設けられていない場合、パーツを所定の姿勢に揃えることが困難であるとともに、搬送路30に戻りきれなかったパーツは、搬送路30の始まりの部分へと戻されることになるため、パーツが振動を受ける時間が長くなってしまうおそれがある。
【0035】
このため、本実施形態では、パーツが振動を受ける時間を確実に短くするために、搬送路30に対して選定部40及びスロープ50を複数、具体的には3カ所に設けている。このように選定部40及びスロープ50を複数設けることで、パーツが所定の姿勢となる確率を高めることができるとともに、選定部40で除外されたパーツを搬送路30へと戻す機会が増えることで、搬入されてから搬出されるまでの間にパーツが振動を受ける時間を短くすることができる。この結果、パーツに割れや欠けが生じることをさらに抑制することができる。
【0036】
また、上述のように、受容面51から選別面41までの高さが小さく制限されると、受容面51から選別面41までの高さが大きい場合と比較し、受容面51から合流面53までの長さ、すなわち、スロープ50の周方向における長さは短くなる。このようにスロープ50の周方向における長さが短くなり、合流面53と次の合流面53と間の距離が短くなれば、選定部40と次の選定部40と間の距離も短くなる。この結果、パーツを選別する機会が増え、パーツが所定の姿勢となる確率をさらに高めることができる。
【0037】
なお、選定部40及びスロープ50の数は3つに限定されず、4つ以上の複数個であってもよいし、2つであってもよい。
【0038】
上記形状の選定部40及びスロープ50に加えて、ボウル20には、搬出口22に向けて搬送路30を移動するパーツのうち所定の姿勢にあるパーツの移動のみを許容する最終選定部45と、最終選定部45で除外されたパーツを受け入れ底面20aに落下させる緩衝部61と、底面20aに落下したパーツを搬入口21から搬入されるパーツと合流させる再搬入部62と、が設けられる。
【0039】
最終選定部45は、選定部40と同様に、搬送路30と同一平面上に設けられる選別面41と、選別面41を移動するパーツを支持する支持面42と、を有するとともに、支持面42に連続して形成され搬出口22に向かって水平面に対する傾斜が徐々に小さくなる転向面43と、を有する。
【0040】
緩衝部61は、水平な平面を有する段部であり、最終選定部45で除外されたパーツが底面20aに直接落下することを防止するために設けられる。また、再搬入部62は、底面20aと搬送路30の始端とを接続する上り傾斜面であり、再搬入部62の勾配は、底面20aに落下したパーツが登ることが可能な大きさに設定される。
【0041】
最終選定部45においても、選定部40と同様に、搬送路30を移動するパーツのうち所定の姿勢にあるパーツは、選別面41及び支持面42により支持され、転向面43に至ったパーツは、転向面43に接する面を底面として、搬出口22から搬出される。
【0042】
一方、所定の姿勢にないパーツは、選別面41から落下し、緩衝部61を介して底面20aに至る。底面20aに落下したパーツは、再搬入部62を登り再び搬送路30に戻される。
【0043】
また、搬送路30上には、中心軸O方向に貫通して形成される貫通孔64が複数設けられる。パーツと共に搬送路30を移動する異物やパーツに付着したごみなどは貫通孔64を通じてボウル20の外部へ排出される。
【0044】
また、搬送路30よりも径方向外側には、落下防止溝66が搬送路30に沿って複数設けられる。搬送路30の径方向外側に落下防止溝66が設けられることにより、搬送路30から径方向外側へとあふれ出たパーツがボウル20の縁から落下してしまうことが防止される。また、落下防止溝66の幅はパーツが移動する方向に沿って狭められているため、落下防止溝66内のパーツは留まることなく再び搬送路30へと戻される。
【0045】
次に、上記形状のボウル20を備えたパーツフィーダ装置100によるパーツ90の搬出について、図3図6図7A及び図7Bを参照して説明する。図6は、パーツ90の斜視図であり、図7Aは、図3のA-A断面に差し掛かったパーツ90が所定の姿勢にある場合を示しており、図7Bは、図3のA-A断面に差し掛かったパーツ90が所定の姿勢にない場合を示している。
【0046】
以下では、ボウル20に搬入されるパーツ90が、例えば、図6に示されるように、第1端面92と第2端面93とを有し、第1端面92に施される第1面取部92aが第2端面93に施される第2面取部93aよりも大きい円柱体91である場合について説明する。なお、パーツ90の寸法のうち最も長い最大長さLmaxは直径であり、最も短い最小長さLminは高さである。
【0047】
まず、搬入口21に投入された複数のパーツ90は、搬送路30の始端へと移動し、搬送路30上を搬出口22に向かって移動する。
【0048】
搬送路30を移動するパーツ90が選定部40に至ると、所定の姿勢にあるものだけが選定される。
【0049】
ここで、選定部40の選別面41から支持面42の上縁までの高さである第1高さH1は、パーツ90の最大長さLmax以下であって、所定の姿勢にあるパーツ90を支持可能な大きさに設定され、選別面41の幅は、パーツ90の最小長さLminよりも小さく設定される。
【0050】
このため、図7Aに示すように、選定部40に差し掛かったパーツ90が所定の姿勢にある場合、ここでは、パーツ90の第2端面93側が支持面42に接している場合、第2面取部93aは比較的小さいことから、パーツ90の第2端面93側の側面が選別面41によって確実に支持されるとともに、パーツ90の重心位置が支持面42に比較的近い状態となる。したがって、パーツ90は、選別面41から落下することなく、選別面41及び支持面42により支持され、そのまま搬送路30の一部である選別面41を移動し続ける。
【0051】
一方、図7Bに示すように、選定部40に差し掛かったパーツ90が所定の姿勢にない場合、ここでは、パーツ90の第1端面92側が支持面42に接している場合、第1面取部92aは比較的大きいことから、パーツ90の第1端面92側の側面が選別面41によって支持されにくくなるとともに、パーツ90の重心位置が支持面42から比較的離れた状態となる。したがって、パーツ90は、選別面41によって支持されることなく、図7Bにおいて破線で示すように、スロープ50の受容面51に落下する。
【0052】
また、図示しないが、選定部40にパーツ90が差し掛かった際に、第1端面92及び第2端面93ではなくパーツ90の外周面が支持面42側に位置している場合は、パーツ90の重心位置が選別面41及び支持面42から離れた状態となるため、当然ながらパーツ90は選別面41から落下する。
【0053】
なお、受容面51から選別面41までの高さである第2高さH2は、選別面41から支持面42の上縁までの高さである第1高さH1、または、パーツ90の最大長さLmaxよりも小さく設定される。このため、パーツ90が選別面41から受容面51に落下する際の衝撃を抑制することができる。
【0054】
このように選定部40により除外され、受容面51に落下したパーツ90は、スロープ50の傾斜面52を登って合流面53へと移動する。そして、合流面53に至ったパーツ90は、再び何れかの面が支持面42に接した状態となる。
【0055】
ここで、選定部40により除外されなかったパーツ90も支持面42に沿って移動し、合流面53が形成された部分に至る。このため、傾斜面52を登り合流面53に至ったパーツ90は、選定部40により除外されなかったパーツ90の間に割り込むように合流する。なお、合流できなかったパーツ90は、合流面53を周方向に沿って移動し、次に設けられるスロープ50の受容面51へと落下する。
【0056】
ボウル20には選定部40及びスロープ50が3カ所に設けられるため、上述のような選定及び合流があと2回繰り返される。このように選定及び合流を繰り返すことによって、パーツ90が所定の姿勢となる確率が高まるとともに、選定部40で除外されたパーツ90を搬送路30へと戻す機会が増えることによって、搬入されてから搬出されるまでの間にパーツ90が振動を受ける時間が短くなる。
【0057】
3つの選定部40及びスロープ50を通過したパーツ90は最終選定部45に至る。所定の姿勢のパーツ90は、最終選定部45の選別面41から落下することなく、支持面42に続く転向面43により支持される。そして、転向面43に接する第2端面93を底面とし、第1端面92を上面とした状態でパーツ90は搬出口22から搬出される。
【0058】
一方、最終選定部45の選別面41から落下したパーツ90は、緩衝部61を介して底面20aに落下する。このように底面20aに落下したパーツ90は、搬送路30の始端に接続される再搬入部62を登り再び搬送路30に戻る。
【0059】
このように、パーツフィーダ装置100は、選定部40及びスロープ50が複数設けられた搬送路30を通じて所定に姿勢に揃えられた複数のパーツ90を搬出口22から搬出する。
【0060】
以上の実施形態によれば以下の効果を奏する。
【0061】
パーツフィーダ装置100に用いられるボウル20には、1周に満たない範囲に搬送路30が設けられるとともに、搬送路30に対して選定部40及びスロープ50が複数設けられる。このように搬送路30は1周に満たない範囲に設けられることから、選定部40で除外されたパーツ90は比較的小さい高さを落下することになるため、パーツ90が落下する際の衝撃を抑制することができる。また、選定部40及びスロープ50が複数設けられることで、選定部40で除外されたパーツ90をスロープ50によって搬送路30へと戻す機会が増えるため、搬入されてから搬出されるまでの間にパーツ90が振動を受ける時間を短くすることができる。この結果、パーツ90に割れや欠けが生じることを抑制することができる。
【0062】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0063】
上記実施形態では、パーツ90の最大長さLmaxは、パーツ90の直径であるが、最大長さLmaxは、これに限定されず、パーツ90の寸法のうち最も長い部分であればどこでもよく、例えばパーツ90の対角線の長さであってもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、各スロープ50における受容面51から選別面41までの高さである第2高さH2は、同じであるが、スロープ50毎に異なる高さとしてもよい。また、各スロープ50において傾斜面52の長さや勾配を異ならせてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、パーツ90は、搬入口21から搬入される。これに代えて、パーツ90は、底面20a上に搬入されてもよい。なお、この場合、底面20aにパーツ90が落ちる際の衝撃を緩和するために底面20aにクッション材を設けることが好ましい。
【0066】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0067】
ボウル20は、搬送路30を移動するパーツ90のうち所定の姿勢にあるパーツ90の移動のみを許容する選定部40と、選定部40で除外されたパーツ90を受け入れ搬送路30に戻すスロープ50と、を備え、搬送路30は、1周に満たない範囲に設けられ、選定部40及びスロープ50は、搬送路30に対して複数設けられる。
【0068】
この構成では、ボウル20に形成された搬送路30は、1周に満たない範囲に設けられ、この搬送路30に対して選定部40及びスロープ50が複数設けられる。このように搬送路30は1周に満たない範囲に設けられることから、選定部40で除外されたパーツ90は比較的小さい高さを落下することになるため、パーツ90が落下する際の衝撃を抑制することができる。また、選定部40及びスロープ50が複数設けられることで、選定部40で除外されたパーツ90をスロープ50によって搬送路30へと戻す機会が増えるため、搬入されてから搬出されるまでの間にパーツ90が振動を受ける時間を短くすることができる。この結果、パーツ90に割れや欠けが生じることを抑制することができる。
【0069】
また、スロープ50は、搬送路30と同一平面上に形成された合流面53と、合流面53に向かって傾斜して形成された傾斜面52と、を有し、選定部40で除外されたパーツ90は、傾斜面52を移動し、合流面53において搬送路30に戻される。
【0070】
この構成では、選定部40で除外されたパーツ90がスロープ50の合流面53を介して搬送路30に戻される。このように搬送路30の途中に選定部40で除外されたパーツ90を戻すことによって、選定部40で除外されたパーツ90を搬送路30の始まりの部分に戻す場合と比較し、搬入されてから搬出されるまでの間にパーツ90が振動を受ける時間を短くすることができる。この結果、パーツ90に割れや欠けが生じることを抑制することができる。
【0071】
また、選定部40は、搬送路30と同一平面上に設けられる選別面41と、選別面41を移動するパーツ90を支持する支持面42と、を有し、搬送路30を移動するパーツ90のうち所定の姿勢にあるパーツ90は、選別面41及び支持面42により支持され、所定の姿勢にないパーツ90は、選別面41からスロープ50へと落下する。
【0072】
この構成では、所定の姿勢にないパーツ90は、選別面41からスロープ50へと落下する。そして、スロープ50へと落下したパーツ90は再び搬送路30に戻される。このようにボウル20の底面20aではなく、スロープ50を介して搬送路30の途中に選定部40で除外されたパーツ90を戻すことによって、搬入されてから搬出されるまでの間にパーツ90が振動を受ける時間を短くすることができる。この結果、パーツ90に割れや欠けが生じることを抑制することができる。
【0073】
また、スロープ50から選別面41までの最大高さである第2高さH2は、選別面41から支持面42の上縁までの高さである第1高さH1よりも小さい。
【0074】
また、選別面41から支持面42の上縁までの高さである第1高さH1は、パーツ90の最大長さLmax以下に設定される。
【0075】
また、スロープ50から選別面41までの最大高さである第2高さH2は、パーツ90の最大長さLmaxよりも小さい。
【0076】
これらの構成では、スロープ50から選別面41までの最大高さである第2高さH2が、所定の大きさに制限される。このように受容面51から選別面41までの高さである第2高さH2を規制することによって、選別面41から受容面51にパーツ90が落下する際の衝撃を確実に小さくすることが可能となる。この結果、パーツ90に割れや欠けが生じることを抑制することができる。
【0077】
また、パーツフィーダ装置100は、上記構成のボウル20と、ボウル20を振動させる加振機10と、を備える。
【0078】
この構成では、パーツフィーダ装置100が、上記構成のボウル20を備える。上記構成のボウル20を備えることによりパーツフィーダ装置100は、搬送されるパーツ90に割れや欠けが生じることを抑制することができる。
【0079】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0080】
100・・・パーツフィーダ装置、20・・・ボウル(パーツフィーダ用ボウル)、21・・・搬入口、22・・・搬出口、30・・・搬送路、40・・・選定部、41・・・選別面、42・・・支持面、50・・・スロープ、51・・・受容面、52・・・傾斜面、53・・・合流面、90・・・パーツ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7A
図7B