(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】硬質物品の洗浄方法
(51)【国際特許分類】
C11D 17/04 20060101AFI20230414BHJP
C11D 17/08 20060101ALI20230414BHJP
C11D 1/94 20060101ALI20230414BHJP
C11D 1/22 20060101ALI20230414BHJP
C11D 1/14 20060101ALI20230414BHJP
C11D 1/28 20060101ALI20230414BHJP
C11D 1/68 20060101ALI20230414BHJP
C11D 1/75 20060101ALI20230414BHJP
C11D 1/90 20060101ALI20230414BHJP
C11D 3/04 20060101ALI20230414BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20230414BHJP
C11D 3/386 20060101ALI20230414BHJP
C11D 1/04 20060101ALI20230414BHJP
C11D 3/34 20060101ALI20230414BHJP
B08B 3/08 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
C11D17/04
C11D17/08
C11D1/94
C11D1/22
C11D1/14
C11D1/28
C11D1/68
C11D1/75
C11D1/90
C11D3/04
C11D3/20
C11D3/386
C11D1/04
C11D3/34
B08B3/08 Z
(21)【出願番号】P 2019134755
(22)【出願日】2019-07-22
【審査請求日】2022-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】近藤 憲介
(72)【発明者】
【氏名】横山 実
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-172814(JP,A)
【文献】特表2013-536279(JP,A)
【文献】特開2019-104852(JP,A)
【文献】特開2008-247980(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0028873(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)界面活性剤[以下(a)成分とする]を0.1質量%以上15質量%以下、(b)酵素[以下(b)成分とする]を酵素たんぱく質として1ppm以上1000ppm以下、並びに(c)無機塩[以下(c)成分とする]及び(d)カルボン酸塩[以下(d)成分とする]の少なくとも一方を含有し、(a)成分の含有量と(c)成分及び(d)成分の含有量との質量比である(a)/〔(c)+(d)〕が0.1以上10以下である液体洗浄剤組成物を、希釈せずに液体油を含有する汚れが付着した硬質物品に接触させ、外力をかけずに放置した後、水で濯ぐ、硬質物品の洗浄方法
であって、
前記液体洗浄剤組成物が、(a)成分として、陰イオン界面活性剤[以下(a1)成分とする]及び非イオン界面活性剤[以下(a2)成分とする]の少なくとも一方を含有し、且つ両性界面活性剤から選ばれる1種以上[以下(a3)成分とする]を含有する、
硬質物品の洗浄方法。
【請求項2】
前記液体洗浄剤組成物を、希釈せずに泡の状態で液体油を含有する汚れが付着した硬質物品に接触させる、請求項1記載の硬質物品の洗浄方法。
【請求項3】
(a1)成分が、アルキルアリールスルホン酸型界面活性剤、硫酸エステル型界面活性剤、アルカンスルホン酸型界面活性剤、オレフィンスルホン酸型界面活性剤、スルホコハク酸アルキルエステル型界面活性剤、及びスルホ脂肪酸エステル型界面活性剤から選ばれる1種以上の陰イオン界面活性剤である、請求項
1又は2記載の硬質物品の洗浄方法。
【請求項4】
(a2)成分が、アルキル基の炭素数が10以上18以下であるアルキルグリコシド型非イオン界面活性剤である、請求項
1~3の何れか1項記載の硬質物品の洗浄方法。
【請求項5】
(a3)成分が、アミンオキシド型界面活性剤、及びベタイン型界面活性剤から選ばれる1種以上である、請求項
1~
4の何れか1項記載の硬質物品の洗浄方法。
【請求項6】
(c)成分が、無機アルカリ金属塩、及び無機アルカリ土類金属塩から選ばれる1種以上である、請求項1~
5の何れか1項記載の硬質物品の洗浄方法。
【請求項7】
前記液体洗浄剤組成物が、(c)成分を0.1質量%以上10質量%以下含有する、請求項1~
6の何れか1項記載の硬質物品の洗浄方法。
【請求項8】
(d)成分が、炭素数2以上10以下のカルボン酸塩から選ばれる1種以上である、請求項1~
7の何れか1項記載の硬質物品の洗浄方法。
【請求項9】
(d)成分が、酒石酸塩及びクエン酸塩から選ばれる1種以上である、請求項1~
8の何れか1項記載の硬質物品の洗浄方法。
【請求項10】
前記液体洗浄剤組成物が、(d)成分を0.1質量%以上10質量%以下含有する、請求項1~
9の何れか1項記載の硬質物品の洗浄方法。
【請求項11】
前記液体洗浄剤組成物が、(e)炭素数1以上3以下の一価のアルコール、炭素数2以上4以下の二価又は三価のアルコール、炭素数1以上4以下のアルキル基を有するグリコールエーテル、及び炭素数1以上3以下の炭化水素基が1個以上3個以下置換していてもよいベンゼンスルホン酸より選ばれる1種以上の可溶化剤を0.01質量%以上含有する、請求項1~
10の何れか1項記載の硬質物品の洗浄方法。
【請求項12】
前記液体洗浄剤組成物のpHが4以上11以下である、請求項1~
11の何れか1項記載の硬質物品の洗浄方法。
【請求項13】
(a)界面活性剤[以下(a)成分とする]を0.1質量%以上15質量%以下、(b)酵素[以下(b)成分とする]を酵素たんぱく質として1ppm以上1000ppm以下、並びに(c)無機塩[以下(c)成分とする]及び(d)カルボン酸塩[以下(d)成分とする]の少なくとも一方を含有し、(a)成分の含有量と(c)成分及び(d)成分の含有量との質量比である(a)/〔(c)+(d)〕が0.1以上10以下である、泡塗布用液体洗浄剤組成物
であって、
(a)成分として、陰イオン界面活性剤[以下(a1)成分とする]及び非イオン界面活性剤[以下(a2)成分とする]の少なくとも一方を含有し、且つ両性界面活性剤[以下(a3)成分とする]を含有する、
泡塗布用液体洗浄剤組成物。
【請求項14】
(a1)成分が、アルキルアリールスルホン酸型界面活性剤、硫酸エステル型界面活性剤、アルカンスルホン酸型界面活性剤、オレフィンスルホン酸型界面活性剤、スルホコハク酸アルキルエステル型界面活性剤、及びスルホ脂肪酸エステル型界面活性剤から選ばれる1種以上の陰イオン界面活性剤である、請求項
13記載の泡塗布用液体洗浄剤組成物。
【請求項15】
(a2)成分が、アルキル基の炭素数が10以上18以下であるアルキルグリコシド型非イオン界面活性剤である、請求項
13又は
14記載の泡塗布用液体洗浄剤組成物。
【請求項16】
(a3)成分が、アミンオキシド型界面活性剤、及びベタイン型界面活性剤から選ばれる1種以上である、請求項
13~
15の何れか1項記載の泡塗布用液体洗浄剤組成物。
【請求項17】
(c)成分が、無機アルカリ金属塩、及び無機アルカリ土類金属塩から選ばれる1種以上である、請求項
13~
16の何れか1項記載の泡塗布用液体洗浄剤組成物。
【請求項18】
(c)成分を0.1質量%以上10質量%以下含有する、請求項
13~
17の何れか1項記載の泡塗布用液体洗浄剤組成物。
【請求項19】
(d)成分が、炭素数2以上10以下のカルボン酸塩から選ばれる1種以上である、請求項
13~
18の何れか1項記載の泡塗布用液体洗浄剤組成物。
【請求項20】
(d)成分を0.1質量%以上10質量%以下含有する、請求項
13~
19の何れか1項記載の泡塗布用液体洗浄剤組成物。
【請求項21】
(e)炭素数1以上3以下の一価のアルコール、炭素数2以上4以下の二価又は三価のアルコール、炭素数1以上4以下のアルキル基を有するグリコールエーテル、及び炭素数1以上3以下の炭化水素基が1個以上3個以下置換していてもよいベンゼンスルホン酸より選ばれる1種以上の可溶化剤を0.01質量%以上含有する、請求項
13~
20の何れか1項記載の泡塗布用液体洗浄剤組成物。
【請求項22】
20℃でのpHが4以上11以下である、請求項
13~
21の何れか1項記載の泡塗布用液体洗浄剤組成物。
【請求項23】
(a)界面活性剤[以下(a)成分とする]を0.1質量%以上15質量%以下、及び(b)酵素[以下(b)成分とする]を酵素たんぱく質として1ppm以上1000ppm以下含有する液体洗浄剤組成物を、希釈せずに液体油を含有する汚れに接触させて洗浄する際に、(c)無機塩[以下(c)成分とする]及び(d)カルボン酸塩[以下(d)成分とする]の少なくとも一方を、(a)成分の含有量と(c)成分及び(d)成分の含有量との質量比である(a)/〔(c)+(d)〕が0.1以上10以下の比率で、前記液体洗浄剤組成物に含有させる、酵素効果の向上方法
であって、
前記液体洗浄剤組成物が、(a)成分として、陰イオン界面活性剤[以下(a1)成分とする]及び非イオン界面活性剤[以下(a2)成分とする]の少なくとも一方を含有し、且つ両性界面活性剤から選ばれる1種以上[以下(a3)成分とする]を含有する、
酵素効果の向上方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質物品の洗浄方法、特に食器及び/又は台所周りの硬質物品の洗浄方法に関し、並びに泡塗布用液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
食器や調理器具の洗浄には、食器用洗浄剤を、水を含むスポンジなどに浸み込ませ、数回揉みながら泡立てて、対象物を擦り洗いする方法が一般的に行われている。この方法は食品由来の油脂汚れなどの頑固な汚れを落とすために必要な工程と考えられていたが、スポンジのとどかない細かい隙間や奥行きのある容器や器具を洗浄する場合に不便であった。そのような不便さを解決するために、泡状に食器用洗浄剤を対象物に付着させて、擦らなくても一定時間放置後に濯ぐだけで高い洗浄力を有する技術が開発されている。すなわち、従来のようなスポンジを用いて擦り洗いする方法ではなく、泡状にスプレーして放置し、擦らずに洗う方法が提案されている。特許文献1、特許文献2には、特定の泡比容の泡で液体洗浄剤組成物を硬質表面に接触させた後、機械力をかけずに放置する洗浄方法の提案がなされている。また、特許文献3、特許文献4には、非イオン性界面活性剤及びグリコールエーテルを含有する組成物をトリガー型噴射器などで食器などの硬質表面に適応する技術が記載されている。
一方、特許文献5には界面活性剤、酵素、及び無機塩やカルボン酸塩を含有する手洗い用食器洗い洗浄剤組成物の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-199754号公報
【文献】特開2016-198765号公報
【文献】特表2018-522116号公報、
【文献】特表2018-524453号公報
【文献】特表2018-517820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
食品由来の汚れを効果的に洗浄するには酵素の利用も有用であると考えられる。しかし、汚れた食器等に洗浄剤を接触させた後、外力を加えずに放置して洗浄するような態様では、短時間の処理では酵素による効果を十分に発現させることは難しい。
また、酵素を配合した液体洗浄剤組成物は、組成物の安定性に優れることや、泡で対象物に適用する際の泡特性が良いこととなども望まれる。
【0005】
本発明は、汚れた食器等に洗浄剤を接触させた後、外力を加えずに放置して洗浄するような態様でも優れた洗浄力が得られる硬質物品の洗浄方法、並びにこのような効果を有すると共に保存安定性と泡特性にも優れた泡塗布用液体洗浄剤組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(a)界面活性剤[以下(a)成分とする]を0.1質量%以上15質量%以下、(b)酵素[以下(b)成分とする]を酵素たんぱく質として1ppm以上1000ppm以下、並びに(c)無機塩[以下(c)成分とする]及び(d)カルボン酸塩[以下(d)成分とする]の少なくとも一方を含有し、(a)成分の含有量と(c)成分及び(d)成分の含有量との質量比である(a)/〔(c)+(d)〕が0.1以上10以下である液体洗浄剤組成物を、希釈せずに液体油を含有する汚れが付着した硬質物品に接触させ、外力をかけずに放置した後、水で濯ぐ、硬質物品の洗浄方法に関する。
【0007】
また、本発明は、(a)界面活性剤[以下(a)成分とする]を0.1質量%以上15質量%以下、(b)酵素[以下(b)成分とする]を酵素たんぱく質として1ppm以上1000ppm以下、並びに(c)無機塩[以下(c)成分とする]及び(d)カルボン酸塩[以下(d)成分とする]の少なくとも一方を含有し、(a)成分の含有量と(c)成分及び(d)成分の含有量との質量比である(a)/〔(c)+(d)〕が0.1以上10以下である、泡塗布用液体洗浄剤組成物に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、汚れた食器等に洗浄剤を接触させた後、外力を加えずに放置して洗浄するような態様でも優れた洗浄力が得られる硬質物品の洗浄方法、並びにこのような効果を有すると共に保存安定性と泡特性にも優れた泡塗布用液体洗浄剤組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<硬質物品の洗浄方法>
本発明の硬質物品の洗浄方法は、(a)成分を0.1質量%以上15質量%以下、(b)成分を酵素たんぱく質として1ppm以上500ppm以下、並びに(c)成分及び(d)成分の少なくとも一方を含有し、(a)成分の含有量と(c)成分及び(d)成分の含有量との質量比である(a)/〔(c)+(d)〕が0.1以上10以下である液体洗浄剤組成物を、希釈せずに、液体油を含有する汚れが付着した硬質物品に接触させ、外力をかけずに放置した後、水で濯ぐ。
まず、前記液体洗浄剤組成物を、本発明の液体洗浄剤組成物として説明する。
【0010】
(a)成分は、界面活性剤である。
本発明の液体洗浄剤組成物は、(a)成分として、陰イオン界面活性剤[以下(a1)成分とする]及び非イオン界面活性剤[以下(a2)成分とする]の少なくとも一方を含有し、且つ両性界面活性剤[以下(a3)成分とする]を含有することが好ましい。本発明の液体洗浄剤組成物は、(a)成分として、(a1)成分を含有し、且つ(a3)成分を含有することがより好ましい。
【0011】
(a1)成分の陰イオン界面活性剤としては、アルキルアリールスルホン酸型界面活性剤、硫酸エステル型界面活性剤、アルカンスルホン酸型界面活性剤、オレフィンスルホン酸型界面活性剤、スルホコハク酸アルキルエステル型界面活性剤、及びスルホ脂肪酸エステル型界面活性剤から選ばれる1種以上の陰イオン界面活性剤が好ましい。
【0012】
アルキルアリールスルホン酸型界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。具体的には、炭素数6以上、好ましくは8以上、そして、18以下、好ましくは15以下のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。
【0013】
硫酸エステル型界面活性剤としては、炭素数8以上20以下の炭化水素基と、硫酸エステル基とを有する陰イオン界面活性剤が挙げられる。炭化水素基は、洗浄力の観点から、炭素数が8以上、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、そして、20以下、好ましくは18以下、より好ましくは14以下、更に好ましくは12以下である。炭化水素基は、アルキル基が好ましい。
硫酸エステル型界面活性剤としては、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が挙げられる。
アルキル硫酸エステル塩としては、炭素数が8以上、好ましくは10以上、そして、20以下、好ましくは18以下、より好ましくは14以下、更に好ましくは12以下のアルキル基、更に直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するアルキル硫酸エステル塩が好適である。
【0014】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩としては、炭素数8以上、好ましくは10以上、そして、20以下、好ましくは18以下、より好ましくは14以下、更に好ましくは12以下のアルキル基、更に直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有し、炭素数2以上3以下のオキシアルキレン基の平均付加モル数が、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.4以上、そして、好ましくは6以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは1.5以下である、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が好適である。オキシアルキレン基は炭素数2が好ましい。
【0015】
アルカンスルホン酸型界面活性剤としては、アルカン部分の炭素数が8以上、好ましくは10以上、より好ましくは14以上、そして、20以下、好ましくは18以下のアルカンスルホン酸塩が挙げられる。
【0016】
オレフィンスルホン酸型界面活性剤としては、α-オレフィンスルホン酸塩、内部オレフィンスルホン酸塩が挙げられる。α-オレフィンスルホン酸塩は、オレフィン部分の炭素数が8以上、好ましくは10以上、より好ましくは14以上、そして、22以下、好ましくは20以下、より好ましくは18以下である。また内部オレフィンスルホン酸塩は、オレフィン部分の炭素数が8以上、好ましくは12以上、より好ましくは16以上、そして、24以下、好ましくは20以下、より好ましくは18以下である。
【0017】
スルホコハク酸アルキルエステル型界面活性剤としては炭素数5以上、好ましくは6以上、より好ましくは7以上、そして、18以下、好ましくは14以下、より好ましくは10以下の脂肪アルコールとスルホコハク酸とのモノエステル及び/又はジエステル、好ましくはジエステルが好ましい。また、脂肪アルコールは分岐アルコールが洗浄力の点から好適である。
【0018】
スルホ脂肪酸エステル型界面活性剤としては、脂肪酸部分の炭素数が10以上18以下のα-スルホ脂肪酸塩、脂肪酸部分の炭素数が10以上18以下であり、エステル部分の炭素数が1以上5以下であるα-スルホ脂肪酸低級アルキルエステル塩が挙げられる。
【0019】
(a1)成分としては、炭素数5以上18以下の脂肪アルコールとスルホコハク酸とのジエステル、アルキル基の炭素数が8以上18以下であるアルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数10以上18以下のアルカンスルホン酸塩、及び炭素数が8以上18以下のアルキル硫酸エステル塩から選ばれる1種以上の陰イオン界面活性剤が好ましい。
【0020】
(a2)成分の非イオン界面活性剤としては、アルキルグリコシド型非イオン界面活性剤、アルキルエーテル型非イオン界面活性剤、及びアルキルグリセリルエーテル型界面活性剤から選ばれる1種以上の非イオン界面活性剤が挙げられる。(a2)成分の非イオン界面活性剤としては、アルキルグリコシド型非イオン界面活性剤から選ばれる1種以上の非イオン界面活性剤が好ましい。
【0021】
より詳細には、(a2)成分が、(a2-1)アルキル基の炭素数が8以上18以下であるアルキルグリコシド型非イオン界面活性剤〔以下、(a2-1)成分という〕を含むことが好ましい。(a2-1)成分のアルキル基は、好ましくは炭素数8以上、より好ましくは10以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下であり、糖、例えばグルコースの平均縮合度は1以上3以下、好ましくは1以上2以下、より好ましくは1以上1.5以下である。(a2-1)成分は、アルキル基の炭素数が10以上18以下であるアルキルグリコシド型非イオン界面活性剤が挙げられる。
【0022】
また、(a2)成分としては、(a2-2)アルキル基の炭素数が9以上18以下、好ましくは炭素数9以上15以下の分岐脂肪アルコール又は2級脂肪アルコールに炭素数2又は3のアルキレンオキサイド、好ましくはエチレンオキサイドを平均3モル以上30モル以下、好ましくは3モル以上20モル以下、より好ましくは3モル以上15モル以下付加させた非イオン界面活性剤〔以下、(a2-2)成分という〕が挙げられる。
【0023】
また、(a2)成分としては、(a2-3)炭素数8以上18以下、好ましくは炭素数8以上14以下、より好ましくは炭素数8以上12以下のアルキル基を1つ有するアルキルグリセリルエーテル型界面活性剤〔以下、(a2-3)成分という〕が挙げられる。(a2-3)成分のアルキル基は炭素数8以上12以下の分岐鎖アルキル基が好適である。
【0024】
また、(a2)成分としては、(a2-4)炭素数8以上18以下、好ましくは14以下の直鎖脂肪アルコールに炭素数2又は3のオキシアルキレン、好ましくはオキシエチレン基が平均3モル以上、好ましくは5モル以上、そして、20モル以下、好ましくは15モル以下付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテル[以下(a2-4)成分という]が挙げられる。
【0025】
(a3)成分の両性界面活性剤としては、アミンオキシド型界面活性剤、及びベタイン型界面活性剤から選ばれる1種以上の両性界面活性剤が挙げられる。より詳細には、(a3)成分としては、3級アミンオキシド型界面活性剤、スルホベタイン型界面活性剤及びカルボベタイン型界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤が挙げられる。
【0026】
3級アミンオキシド型界面活性剤としては、窒素原子に結合する基のうち1つがアミド基又はエステル基で分断されていてもよい炭素数8以上18以下のアルキル基、好ましくは炭素数8以上16以下のアルキル基、更に好ましくは炭素数8以上14以下のアルキル基であり、残りが炭素数1以上3以下のアルキル基、好ましくはメチル基である3級アミンオキシド型界面活性剤が挙げられる。
【0027】
スルホベタイン型界面活性剤としては、炭素数10以上、そして、18以下、好ましくは16以下、より好ましくは14以下のアルキル基を1つと、炭素数1以上3以下のアルキル基、好ましくはメチル基を2つと、3-スルホプロピル基又は2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル基とを有する化合物が好適である。
【0028】
また、カルボベタイン型界面活性剤としては、アミド基又はエステル基で分断されていてもよい炭素数10以上、そして、18以下、好ましくは16以下、より好ましくは14以下のアルキル基を1つと、炭素数1以上3以下のアルキル基、好ましくはメチル基を2つと、カルボキシアルキル基、好ましくはカルボキシメチル基を1つ有するカルボベタイン型界面活性剤が好ましい。
【0029】
(a)成分中、(a1)成分と(a2)成分の合計の割合は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下が洗浄力の観点から好ましい。
【0030】
(a)成分中、(a1)成分の割合は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下が洗浄力の観点から好ましい。
【0031】
(a1)成分及び(a2)成分の合計含有量と、(a3)成分の含有量との質量比である、〔(a1)+(a2)〕/(a3)は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上、そして、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは3以下が洗浄力の観点から好ましい。
【0032】
(a1)成分の含有量と(a3)成分の含有量との質量比である、(a1)/(a3)は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上、そして、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは3以下が洗浄力の観点から好ましい。
【0033】
本発明の液体洗浄剤組成物は、洗浄力及び貯蔵安定性の観点から、(a)成分を0.1質量%以上、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、そして、15質量%以下、好ましくは11質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは8質量%以下、より更に好ましくは5.0質量%以下含有する。
【0034】
(b)成分は、酵素である。
(b)成分としては、リパーゼ、アミラーゼ、及びプロテアーゼから選ばれる1種以上の酵素が挙げられる。
【0035】
リパーゼとしては、E.C.3.1.1.3のトリアシルグリセロールリパーゼ、E.C.3.1.1.13のコレステロールエステラーゼ、E.C.3.1.23のモノアシルグリセロールリパーゼ、E.C.3.1.1.34のリポプロテインリパーゼが好ましい。リパーゼの由来は限定されないが、動物由来、植物由来、又は微生物由来のリパーゼが挙げられる。微生物由来リパーゼとしては、リゾプス(Rizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ムコール(Mucor)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ジオトリケム(Geotrichum)属、ペニシリウム(Penicillium)属、キャンディダ(Candida)属等の起源のものが挙げられる。
(b)成分のリパーゼは、リパーゼA「アマノ」6、リパーゼAY「アマノ」30SD、リパーゼGS「アマノ」250G、リパーゼR「アマノ」、リパーゼDF「アマノ」15、リパーゼMER「アマノ」(以上、天野エンザイム(株)製)、オリパーゼ(長瀬産業(株))、リパーゼMY、リパーゼOF、リパーゼPL、リパーゼPLC、リパーゼQLM、リパーゼQLC、ホスホリパーゼD(以上、明糖産業(株)製)、リポプロテインリパーゼ(オリエンタル酵母(株)製)、リパーゼ(東洋醸造(株)製)、Lipex、Lipolase、リパーゼSP-225(ノボザイムズ社製)、リパーゼ(ギスト社製)、リパーゼA、リパーゼB(以上、サッポロビール(株)製)などの市販品を用いることができる。
本発明では、Lipex、Lipolase(何れもノボザイムズ社製)が好適である。
【0036】
プロテアーゼとしては、中性又はアルカリ性の水溶液中で作用できるプロテアーゼが挙げられる。好ましいプロテアーゼの具体例としては、国際公開第99/018218号に記載されているアルカリプロテアーゼであって、好ましくは配列番号1又は2で示されるアミノ酸配列の70%以上が保存されているもの、特開平5-25492に記載されているアルカリプロテアーゼであって、好ましくはアルカリプロテアーゼK-16又はアルカリプロテアーゼK-14等が挙げられる。その他に、ノボザイムズ社製のサビナーゼ(登録商標)、カンナーゼ(登録商標)、エバラーゼ(登録商標)、アルカラーゼ(登録商標)、ポラーザイム(登録商標)、エスペラーゼ(登録商標)の商品名で販売されているバチルス属ズブチリシン類が生産するプロテアーゼ、デュポン社製のFN2(登録商標)、FN3(登録商標)及びFN4(登録商標)、プラフェクト(登録商標)、プラフェクトプライム(登録商標)の商品名で供給されるプロテアーゼ類又はその変異型等が挙げられる。これらの中でも、国際公開第99/018218号に記載されている配列番号1、又は2で示されるアミノ酸配列の80%以上が保存されている酵素、ノボザイムズ社製のサビナーゼ、エバラーゼ、アルカラーゼ、プログレス、デュポン社製のプラフェクト、プラフェクトプライムがより好ましい。
【0037】
アミラーゼとしては、バチルス ズブチリスマーバーグ(Bacillus subtilis Marburg)、バチルスズブチリス ナットウ(Bacillus subtilis natto)、バチルス アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス リケニフォルミス(Bacilluslicheniformis)、バチルスセレウス(Bacillus cereus)、バチルス マセランス(Bacillus macerans)、シュードモナス シュツッツェリ(Pseudomonasstutzeri)、クレブシェラ アエリゲネス(Klebusiella aerogenes)等の細菌、ストレプトマイセスグリセウス(Streptomyces griseus)等の放線菌、アスペルギウス オリザエ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス ニガー(Aspergillusniger)等のカビ類、イネ科及びマメ科植物の種子、ヒト及びブタ等の動物の消化腺等多くの生物から得られているものを使用することができる。本発明に用いるアミラーゼは、前記微生物又はそれらの変異株、又はこれらの酵素若しくはその変異体をコードするDNA配列を有する組換えベクターで形質転換された宿主細胞等を、同化性の炭素源、窒素源その他の必須栄養素を含む培地に接種し、常法に従い培養し、一般の酵素の採取及び精製方法に準じて得ることができる。このようにして得られる酵素液はそのまま用いることもできるが、更に公知の方法により精製、結晶化、粉末製剤化又は液体製剤化したものを用いることができる。本発明に用いるアミラーゼは、α-アミラーゼが好ましい。使用できる市販のアミラーゼとしては、商標名ラピダーゼ(ギストブロカーズ社製)、商標名ターマミル、デュラミル及びステインザイム(ノボザイムズジャパン(株)製)、Amplify(ノボザイムズ社製)、商標名プラスターST及びプラスターOxAm(ジェネンコア・インターナショナル社製)を挙げることができる。
【0038】
(b)成分は、洗浄力の観点から、リパーゼが好ましい。本発明の液体洗浄剤組成物は、(b)成分としてリパーゼを含有することが好ましい。
【0039】
本発明の液体洗浄剤組成物は、(b)成分を、酵素たんぱく質として、1ppm以上1000ppm以下含有する。組成物中の(b)成分の含有量は、酵素たんぱく質として、好ましくは5ppm以上、より好ましくは10ppm以上、が洗浄力の観点から好ましく、そして、好ましくは800ppm以下、より好ましくは600ppm以下、更に好ましくは300ppm以下が経済性の点から好ましい。なお、(b)成分の酵素たんぱく質は、バイオラッド社製のプロテインアッセイキットII(カタログ番号500-0002)を用い、標準アッセイ法に従って、キットに添付されたウシ血清アルブミンを標準たんぱく質として定量することができる。
【0040】
(c)成分は、無機塩である。(c)成分の無機塩としては、無機アルカリ金属塩、無機アルカリ土類金属塩及び第4周期第8族~12族元素の塩から選ばれる1種以上を用いることができる。
(c)成分としては、塩化物、硫酸塩、炭酸塩、及び亜硫酸塩から選ばれる1種以上が好適である。
(c)成分は、アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、第4周期第8族~12族の元素としては、鉄、銅、亜鉛から選ばれる1種以上の塩を用いることができる。
(c)成分としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、及び塩化カリウムから選ばれる1種以上がより好ましい。
【0041】
本発明の液体洗浄剤組成物は、(c)成分を、洗浄力の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、そして、保存安定性の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは5質量%以下含有する。
【0042】
(d)成分は、カルボン酸塩である。
(d)成分としては、炭素数2以上10以下のカルボン酸塩から選ばれる1種以上が好ましい。
(d)成分としては、炭素数2以上10以下の一価カルボン酸塩、及び二価以上四価以下のカルボン酸塩から選ばれる1種以上が好ましい。これらのカルボン酸塩は、ヒドロキシル基及び/又はアミノ基で置換されていてもよい。従って、カルボン酸塩は、ヒドロキシカルボン酸塩やアミノカルボン酸塩であってよい。
【0043】
炭素数2以上10以下の一価カルボン酸塩としては、炭素数2以上10以下の脂肪酸塩、更に、炭素数2以上10以下の直鎖又は分岐鎖の脂肪酸塩が挙げられる。具体的には、酢酸塩、プロピオン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、2-エチルヘキサン酸が挙げられる。炭素数2以上10以下の一価ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸が挙げられる。炭素数2以上10以下の一価アミノカルボン酸としては、グリシンなどのアミノ酸が挙げられる。
【0044】
二価以上四価以下のカルボン酸塩の炭素数は、炭素数2以上10以下が好ましい。
二価カルボン酸塩としては、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、アゼライン酸塩、シュウ酸塩が挙げられる。二価ヒドロキシカルボン酸塩としては、リンゴ酸塩、酒石酸塩が挙げられる。二価アミノカルボン酸塩としては、グルタミン酸塩などのアミノ酸塩が好ましい。
三価カルボン酸塩としては、アコニット酸塩が挙げられる。三価ヒドロキシカルボン酸塩としては、クエン酸塩が挙げられる。三価又は四価のアミノカルボン酸塩としては、メチルグリシンジカルボン酸塩、グリシンジカルボン酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸塩が挙げられる。
【0045】
(d)成分の塩は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が好ましく、第4周期第8族~12族の元素が好ましく、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩から選ばれる1種以上を用いることができる。
【0046】
(d)成分としては、炭素数2以上10以下の脂肪酸塩、炭素数2以上10以下の一価ヒドロキシカルボン酸、炭素数2以上10以下の二価カルボン酸塩、炭素数2以上10以下の三価ヒドロキシカルボン酸塩、及び炭素数2以上10以下の四価アミノカルボン酸塩から選ばれる1種以上が好ましい。
(d)成分としては、酢酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、及びエチレンジアミンテトラ酢酸塩から選ばれる1種以上がより好ましい。
【0047】
本発明の液体洗浄剤組成物は、(d)成分を、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.8質量%以上、より更に好ましくは1.0質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下、更に好ましくは3.0質量%以下含有する。
【0048】
本発明の液体洗浄剤組成物は、(c)成分及び(d)成分の少なくとも一方を含有し、酵素効果を増強させ液体脂の洗浄力を向上させる観点から、(a)成分の含有量と(c)成分及び(d)成分の含有量との質量比である(a)/〔(c)+(d)〕が0.1以上10以下である。(a)/〔(c)+(d)〕は、前記と同じ観点から、0.1以上、好ましくは0.2以上、そして、好ましくは5.0以下、より好ましくは3.0以下である。
【0049】
界面活性剤を含有する液体洗浄剤に酵素を応用した場合、界面活性剤の作用により酵素効果が低下する。特に陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤を高い濃度で汚れに接触させて洗浄する場合に、酵素効果が期待されるほど得られない。この原因についてはまだ詳細は不明であるが、酵素タンパクに界面活性剤が吸着し、基質に酵素が接触することを妨げていると推定される。本発明では、(c)成分及び/又は(d)成分を(a)成分と特定の質量比となるように用いることで、酵素表面に(c)成分及び/又は(d)成分が偏在して界面活性剤の吸着を阻害し、その結果、酵素の基質への接触を効果的に行えるため、酵素効果が向上し、洗浄力を高めることができるものと推定している。なお、本発明では、酵素効果とは、例えば、ある酵素が作用する物質(基質)を含む汚れに対する当該酵素の作用効果を意味してよい。
【0050】
本発明の液体洗浄剤組成物は、(e)成分として、炭素数1以上3以下の一価のアルコール、炭素数2以上4以下の二価又は三価のアルコール、炭素数1以上4以下のアルキル基を有するグリコールエーテル、及び炭素数1以上3以下の炭化水素基が1個以上3個以下置換していてもよいベンゼンスルホン酸より選ばれる1種類以上の可溶化剤を0.01質量%以上含有することが好ましい。一価のアルコールとしては、エタノール又はイソプロパノールが好ましく、二価又は三価のアルコールとしては、エチレングリコールプロピレングリコール、グリセリンが好ましい。前記ベンゼンスルホン酸としては、クメンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、m-キシレンスルホン酸が好ましい。
【0051】
本発明の液体洗浄剤組成物が(e)成分を含有する場合、該組成物は(e)成分を好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上、そして、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは8.0質量%以下含有する。
【0052】
本発明の液体洗浄剤組成物は、(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分、更に任意の(e)成分以外に、ゲル化防止剤、ポリアクリル酸等の増粘剤、香料、染料、顔料、殺菌剤、防腐剤、pH調整剤などの成分を、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。
【0053】
本発明の液体洗浄剤組成物は、水を含有する。すなわち、前記(a)~(d)成分及び任意成分以外の残部が水である。本発明の液体洗浄剤組成物は、好適な粘度に調整し、本発明の効果を十分に発揮できる観点から、水を、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、そして、好ましくは99.5質量%以下、より好ましくは99質量%以下含有する。水は、イオン交換水、滅菌イオン交換水等を使用することが好ましい。
【0054】
本発明の液体洗浄剤組成物の20℃における粘度は、好ましくは20mPa・s以下、より好ましくは15mPa・s以下、更に好ましくは10mPa・s以下、より更に好ましくは5mPa/s以下である。この粘度の下限値は、好ましくは0.5mPa・s以上、より好ましくは1mPa・s以上とすることができる。粘度は溶剤やハイドロトロープ剤などで調整することができる。ここで、当該粘度は、以下の方法で測定されたものである。
〔粘度の測定方法〕
TOKIMEC INC.製B型粘度計モデルBMに、ローター番号No.1のロータ
ーを備え付けたものを準備する。測定対象の液体洗浄剤組成物を粘度測定用ビーカーに充填し、20℃の恒温水槽中で充分に温度調節する。組成物の入ったビーカーを粘度計にセットし、ローター回転数を60r/minとして測定した60秒後の値を、組成物の粘度とする。
【0055】
本発明の液体洗浄剤組成物は、pHが、好ましくは4以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは6以上、より更に好ましくは7以上、そして、好ましくは11以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは9以下である。このpHは、洗浄時の温度におけるpHであるが、20℃におけるpHであってもよい。なお、pHはガラス電極法で測定できる。
【0056】
本発明の硬質物品の洗浄方法は、本発明の液体洗浄剤組成物を、希釈せずに、液体油を含有する汚れ、例えば液体油と固体脂の複合汚れが付着した硬質物品に接触させ、外力をかけずに放置した後、水で濯ぐ、洗浄方法である。この方法は、手や道具の届かない部位や届きにくい細部の洗浄に好適である。本発明の液体洗浄剤組成物は、希釈せずに泡比容が2mL/g以上の泡の状態で、前記硬質物品に接触させることが好ましい。
【0057】
本発明の液体洗浄剤組成物を、液体油を含有する汚れに接触させると、液体油は細かく分断され、浮き上がるように対象物(硬質物品)から剥離される。そのため、本発明の洗浄方法では、擦り洗いなどの外力を加えなくても、例えば所定時間放置した後に対象物を水で濯ぐことで、液体油を容易に洗浄することができる。
【0058】
本発明の洗浄方法では、前記液体洗浄剤組成物を、希釈せずに泡の状態で、液体油を含有する汚れが付着した硬質物品に接触させ、擦らずに濯ぐことが好ましい。
本発明の洗浄方法では、前記液体洗浄剤組成物を希釈せずに泡状にして、例えば液体油を含む油汚れが付着した、硬質物品と接触させ、機械力などの外力をかけずに洗浄した後、水で濯ぐことが好ましい。
本発明の洗浄方法では、前記液体洗浄剤組成物を希釈せずに泡状にして、例えば液体油を含む油汚れが付着した、硬質物品と接触させ、機械力などの外力をかけずに放置して洗浄した後、水で濯ぐことが好ましい。
機械力などの外力をかけずに放置して硬質物品を洗浄するとは、例えば、組成物の接触以外に、洗浄のための外力を意図的に対象物に負荷する操作を行わないことである。例えば、接触させた組成物が硬質物品の表面を自然に流下することや、洗浄を意図しない振動が硬質物品に伝わることなどは、機械力などの外力をかけずに放置して硬質物品を洗浄すると理解できる。
前記液体洗浄剤組成物を希釈せずに液体油を含有する汚れが付着した硬質物品と接触させる、とは、該洗浄剤組成物を、意図的に水などで希釈した後、液体油を含有する汚れの付着した硬質物品と接触させないことである。例えば、前記液体洗浄剤組成物を水滴等が付着した硬質物品と接触させたり、前記液体洗浄剤組成物を硬質物品に接触させた後、硬質物品に水滴が付着したりする場合は、前記液体洗浄剤組成物を希釈せずに液体油を含有する汚れが付着した硬質物品と接触させていると理解できる。
放置した後は、硬質物品を水で濯ぐ。濯ぐ際は、手などで外力(物理的力)を掛けてもよく、単に水流で濯いでもよい。
本発明の洗浄方法として、前記液体洗浄剤組成物を、泡状にして、液体油を含有する汚れが付着した硬質物品と接触させ、可撓性材料による洗浄、流水による洗浄、及び超音波による洗浄の何れも行わず、機械力などの外力をかけずにそのまま放置した後、水で濯ぐ、洗浄方法が挙げられる。つまり、本発明の洗浄方法として、前記液体洗浄剤組成物を、泡状にして、液体油を含有する汚れが付着した硬質物品に接触させ、スポンジ等の可撓性材料による摩擦力、自動食器用洗浄機内のシャワー等による流水力、及び超音波による振動の何れも用いることなく、機械力などの外力をかけずにそのまま放置した後、水で濯ぐ、洗浄方法が挙げられる。
【0059】
液体油を含有する汚れは、液体油と固体脂とを含む複合汚れであってよい。固体脂は、例えば、常温(例えば20℃)で固体を呈するものである。前記液体洗浄剤組成物を接触させるときの複合汚れの形態は、液体油と固体脂とが混在した状態であってもよい。本発明の対象とする汚れは、液体油を多く含む油脂汚れであってよい。また、本発明の対象とする汚れは、食品に由来する液体油を含む汚れであってよい。
【0060】
本発明では、前記液体洗浄剤組成物の原液をそのまま、つまり組成を変動させることなく、泡状にして食品に由来する液体油を含有する汚れが付着した硬質物品に付着させることが好ましい。例えば、前記液体洗浄剤組成物を、含水したスポンジ等に付着させることなく、泡状にして食品に由来する液体油を含有する汚れが付着した硬質物品に接触させることが好ましい。硬質物品に接触した後は、前記液体洗浄剤組成物の組成が変動してもよい。すなわち、硬質物品に接触した後は、前記液体洗浄剤組成物の組成が希釈又は濃縮されてもよい。
【0061】
また、本発明の(a)成分、(b)成分、並びに(c)成分及び/又は(d)成分を含む濃厚組成物を調製しておき、該濃厚組成物を水で希釈して本発明に用いる液体洗浄剤組成物を調製し、この液体洗浄剤組成物を希釈せずに硬質物品に接触させてもよい。すなわち、本発明の(a)成分、(b)成分、並びに(c)成分及び/又は(d)成分を含有する濃厚組成物を水で希釈して本発明に用いる液体洗浄剤組成物を調製し、該液体洗浄剤組成物を、希釈せずに液体油を含有する汚れが付着した硬質物品と接触させ、機械力などの外力をかけずに放置した後、水で濯ぐ、硬質物品の洗浄方法であってもよい。
【0062】
本発明の洗浄方法は、前記液体洗浄剤組成物を、希釈せずに、液体油を含有する汚れが付着した硬質物品に接触させた後、外力をかけず(付与せず)に、放置する。つまり、スポンジ等の可撓性材料や手指等を用いることなく接触させ、機械力などの外力をかけずにそのまま放置する洗浄方法が挙げられる。放置した後は、通常、水で濯ぐ。濯ぐ際は、手などで外力(物理的力)をかけてもよく、単に水流で濯いでもよい。
【0063】
本発明の洗浄方法では、本発明の液体洗浄剤組成物を、希釈せずに泡の状態で硬質物品に接触させることができる。本発明の洗浄方法では、好ましくは、本発明の液体洗浄剤組成物を、希釈せずに、泡比容が好ましくは2ml/g以上、より好ましくは10ml/g以上、更に好ましくは20ml/g以上、そして、好ましくは100ml/g以下、より好ましくは70ml/g以下、更に好ましくは60ml/g以下の泡の状態で、液体油を含有する汚れが付着した硬質物品に接触させる。泡比容は下式により計算することができる。
泡比容(mL/g)=泡の容量(mL)/泡の質量(g)
【0064】
本発明の洗浄方法では、前記液体洗浄剤組成物を、対象物である硬質物品の面積100cm2に対して、好ましくは0.1g以上、より好ましくは0.3g以上、更に好ましくは0.4g以上、そして、好ましくは5g以下、より好ましくは3g以下、更に好ましくは2g以下の割合で接触させる、更に、泡の状態で、塗布又は噴霧することが好ましい。
【0065】
本発明の洗浄方法では、洗浄力を高める観点から、前記液体洗浄剤組成物を硬質物品に接触後、好ましくは10秒以上、より好ましくは20秒以上、更に好ましくは30秒以上、より更に好ましくは40秒以上、より更に好ましくは50秒以上、より更に好ましくは1分以上、そして、同様の観点から、好ましくは60分以下、より好ましくは30分以下、更に好ましくは20分以下、より更に好ましくは10分以下、より更に好ましくは5分以下、放置する。この場合、泡の状態の前記組成物が最初に硬質物品に接触した時点を放置の開始としてよい。
なお、放置する際の温度は、室温、例えば、10℃以上30℃以下が挙げられる。
【0066】
本発明の洗浄方法では、スプレー手段を用いて、前記液体洗浄剤組成物を、泡比容が2mL/g以上の泡の状態として、液体油を含有する汚れが付着した硬質物品に接触させるのが好ましい。スプレー手段から吐出した泡の泡比容が前記範囲であることが好ましい。本発明に用いる液体洗浄剤組成物を、泡形成機構を有するスプレイヤーを具備する容器に充填してなる洗浄剤物品を用いて、前記液体洗浄剤組成物を、泡の状態として、液体油を含有する汚れが付着した硬質物品に接触させるのがより好ましい。本発明は、本発明に用いる前記液体洗浄剤組成物を、泡形成機構を有するスプレイヤーを具備する容器に充填してなる、スプレー容器入り洗浄剤物品を提供する。
【0067】
前記スプレイヤーを具備する容器は、トリガー式スプレー容器、ポンプ式スプレー容器等の噴射剤を使用しない手動式スプレー装置、噴射剤を用いるエアゾール等が挙げられる。前記スプレイヤーを具備する容器は、内容物を泡状にして噴霧又は塗布することができるトリガー式スプレーが好ましく、泡を形成する機構(泡形成機構)を備えたトリガー式スプレーがより好ましい。
【0068】
前記スプレー容器入り洗浄剤物品において、泡形成機構を備えたトリガー式スプレーを用いる場合、好ましくはスピンエレメント及び直径4~8mmの円形状の空間部分に棒状の突起を数個設置された液体通過板を有するものが好適である。ここでスピンエレメントとは、スピンエレメントを通じて液状物の流れにスピンを与え、最後にノズルから噴出する機構であり、その詳細な構造としては特開平8-332422号公報や特開平8-108102号公報の
図4(b)、特開2002-68265号公報の
図1などを参考にすることができる。
【0069】
泡形成機構を備えたトリガー式スプレーを用いる場合、前記スプレー容器入り洗浄剤物品は、1回の操作で、好ましくは0.5mL以上、より好ましくは1mL以上、そして、好ましくは30mL以下、より好ましくは15mL以下、更に好ましくは5mL以下の組成物を噴霧する。
【0070】
泡形成機構のもう一つの部材である液体通過板は、直径5~7mmの円形状の空間部分に棒状の突起を好ましくは3~8個設置されたものであり、通過する板を平面で見た場合に、好ましくは幅0.8~1.2mm、長さ2~4mmの長方形状の棒状の突起が好適である。また、棒状の突起を除いた空間部分に対する棒状の突起の占める面積は、好ましくは30面積%以上、より好ましくは40面積%以上、そして、好ましくは90面積%以下、より好ましくは80面積%以下、更に好ましくは70面積%以下であり、このような液体通過板を設置することで、垂直表面への泡の付着滞留性が良好になる。
【0071】
前記スプレー容器入り洗浄剤物品の容器は、一般に使用されている容器を用いることができる。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートを原料として得られるものであり、ブロー成形などによって製造することができる。容器の肉厚は底面と側面と異なってもよく、0.01~2mmが好ましく、容器の容量は100~1000mLが好ましい。容器に充填される液体洗浄剤組成物の量は、取り扱い上、200~500mLが望ましい。また液の充填は、常識的な空隙を残して行われる。
【0072】
本発明の洗浄方法は、硬質物品を洗浄対象とする。本発明は、食器、台所周りの硬質物品、及び/又は、浴室、トイレ周り、フロアなどの住環境の硬質物品の洗浄に好適である。本発明では、酵素による洗浄に好適なタンパク汚れ、脂質汚れ、油脂汚れが顕著に存在する対象物が好ましく、より有効に汚れが落ちることから食器や調理器具のような硬質物品が好ましい。
本発明の洗浄方法は、好ましくは食器及び/又は台所周りの硬質物品、より好ましくは食器を洗浄対象とする。
【0073】
台所周りの硬質物品は、台所の周辺で使用される物品であり、具体的には、
(1)冷蔵庫、食器棚などの食品、食器、調理器具の保存場所、
(2)排水溝、調理台、レンジフード、シンク、ガスレンジ、電子レンジなどの食品の調理場所、及び
(3)前記保存場所や前記調理場所の周辺の床や壁等
である。本発明では、これらを便宜上「台所周りの硬質物品」とする。
また、食器としては、具体的には、
(i)皿、椀等のいわゆる食器、
(ii)タッパー、瓶等の保存容器、
(iii)包丁やまな板、鍋、フライパン、魚焼きグリル等の調理器具、
(iv)フードプロセッサー、ミキサー等の調理家電等
の食材が接触する部材や器具が挙げられる。本発明では、これらを便宜上「食器」とする。
また、本発明の洗浄方法は、食器、保存容器、調理器具、及び調理家電から選ばれる物品を対象とすることが好ましく、更に皿、椀、タッパー、ビン、包丁、まな板、鍋、フライパン、魚焼きグリル、フードプロセッサー、及びミキサーから選ばれる物品を対象とすることがより好ましい。
【0074】
本発明の洗浄方法の対象とする硬質物品の材質は、プラスチック(シリコーン樹脂などを含む)、金属、陶器、木、及びそれらの組み合わせが挙げられる。そして、本発明の洗浄方法は、これら硬質物品に付着した液体油を含有する汚れを効果的に洗浄することができる。
【0075】
前述の通り、プラスチックなどの疎水性材料に付着した液体油は落とし難い汚れであるが、本発明では、プラスチック製の硬質物品に付着した液体油に対しても、優れた洗浄効果を示す。本発明は、プラスチック製の硬質物品の洗浄方法として好適である。プラスチックは、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタラートなどが挙げられる。
【0076】
本発明の洗浄方法では、好ましくは本発明に用いる液体洗浄剤組成物を、希釈せずに泡比容が2mL/g以上の泡の状態で、直接硬質物品に接触させる。そして、前記組成物が接触した状態で放置すればよいため、洗浄時において、スポンジ等の可撓性材料による擦り洗いのような外力をかける作業を必ずしも要しない。
そのため、本発明の洗浄方法は、
(1)食品製造機器、冷蔵庫、食器棚などのパイプ、部品及び排水溝、水筒、タンブラー、やかん、ポット等の手洗い洗浄が不便な物品、
(2)食品、食器、調理器具の保存場所、調理台、レンジフード、シンク、ガスレンジ、電子レンジなどの食品の調理場所及びその周辺の床や壁等の台所周り等の食品に由来する液体油を含有する汚れが広範に及ぶ硬質表面を有する物品、
(3)包丁、ピーラー、おろし金、スライサー、ジューサーの羽根、フードプロセッサーの羽根等の手洗い洗浄に危険が伴う物品、
(4)形状が複雑な部分を具備する物品
といった、スポンジ等の可撓性材料を用いた洗浄が困難な物品等にも適用することができる。尚、本発明では、機械力などの外力をかけずに硬質物品を洗浄した後、必要により、擦り洗いを行ってもよい。
更に、本発明の洗浄方法は、泡状の前記液体洗浄剤組成物を硬質物品に塗布してそのまま放置するため、硬質物品に前記組成物を長く留めることができる。
【0077】
本発明の洗浄方法は、前記液体洗浄剤組成物を接触させた硬質物品を、水で濯ぐ工程、好ましくは前記液体洗浄剤組成物を接触させた硬質物品を、放置後、水で濯ぐ工程を含む。
【0078】
<泡塗布用液体洗浄剤組成物>
本発明は、(a)成分を0.1質量%以上15質量%以下、(b)成分を酵素たんぱく質として1ppm以上500ppm以下、並びに(c)成分及び(d)成分の少なくとも一方を含有し、(a)成分の含有量と(c)成分及び(d)成分の含有量との質量比である(a)/〔(c)+(d)〕が0.1以上10以下である、泡塗布用液体洗浄剤組成物に関する。本発明の洗浄方法で述べた本発明の液体洗浄剤組成物は、本発明の泡塗布用液体洗浄剤組成物であってよい。
【0079】
本発明の泡塗布用液体洗浄剤組成物における(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分の具体例及び好ましい例などは、本発明の液体洗浄剤組成物と同じである。本発明の液体洗浄剤組成物で述べた事項は、本発明の泡塗布用液体洗浄剤組成物に適用することができる。
【0080】
本発明の泡塗布用液体洗浄剤組成物は、好ましくは泡比容が2mL/g以上の泡の状態で用いられる。
本発明の泡塗布用液体洗浄剤組成物は、好ましくは硬質物品用、より好ましくは食器及び/又は台所周りの硬質物品用である。
【0081】
前述の通り、本発明は、(c)成分及び/又は(d)成分による酵素効果の向上に関する技術である。よって、本発明は、(a)成分を0.1質量%以上15質量%以下、及び(b)成分を酵素たんぱく質として1ppm以上1000ppm以下含有する液体洗浄剤組成物を、希釈せずに液体油を含有する汚れに接触させて洗浄する際に、(c)成分及び(d)成分の少なくとも一方を、(a)成分の含有量と(c)成分及び(d)成分の含有量との質量比である(a)/〔(c)+(d)〕が0.1以上10以下の比率で、前記液体洗浄剤組成物に含有させる、酵素効果の向上方法を提供する。この向上方法には、本発明の液体洗浄剤組成物及び洗浄方法で述べた事項を適宜適用することができる。各成分の具体例や好ましい態様なども本発明の液体洗浄剤組成物及び洗浄方法と同じである。
【実施例】
【0082】
表1~5の液体洗浄剤組成物を調製し、以下の方法で洗浄力、保存安定性及び泡比容を評価した。結果を表1~5に示す。なお、表中の配合成分は以下のものである。
【0083】
<配合成分>
〔(a1)成分〕
・スルホコハク酸ジ-2-エチルヘキシルナトリウム:製品名「エアロールCT-1L」、東邦化学工業(株)製
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:富士フイルム和光純薬株式会社製、試薬
・第二級アルカンスルホン酸のナトリウム塩:炭素数14~17の第二級アルカンスルホン酸のナトリウム塩、Hostapur SAS 60、CLARIANT社製
・ドデシル硫酸ナトリウム:富士フイルム和光純薬株式会社製、試薬
〔(a2)成分〕
・アルキルポリグルコシド:製品名「プランタケア2000UP」、BASF SE社製、アルキル基の炭素数8~16、グルコースの縮合度1~2
〔(a3)成分〕
・ラウリルジメチルヒドロキシスルホベタイン:製品名「アンヒトール20HD」、花王株式会社製
・ラウリルジメチルアミンオキサイド:製品名「アンヒトール20N」、花王株式会社製
【0084】
〔(b)成分〕
・リパーゼ:製品名「Lipex Prime 100L」、Novozymes社製
【0085】
〔(c)成分〕
・塩化ナトリウム:富士フイルム和光純薬株式会社製
・亜硫酸ナトリウム:富士フイルム和光純薬株式会社製
・塩化カルシウム:富士フイルム和光純薬株式会社製
【0086】
〔(d)成分〕
・酢酸ナトリウム:富士フイルム和光純薬株式会社製
・酒石酸ナトリウム:富士フイルム和光純薬株式会社製
・クエン酸ナトリウム:クエン酸三ナトリウム無水和物、富士フイルム和光純薬株式会社製
【0087】
〔(e)成分〕
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル:日本乳化剤株式会社製
【0088】
<評価方法>
(1)洗浄力の評価
75mm(横)×100mm(縦)×1mm(厚み)のポリプロピレン試験片の質量を4桁天秤で測定した(x)。前記ポリプロピレン試験片の片面に、菜種油の塗付量が0.08~0.12gとなるように均一に塗布したものを作成し、汚れピースとした。同汚れピースの質量を4桁天秤で測定した(y)。
液体洗浄剤組成物をトリガー式スプレー容器(キュキュットクリア泡スプレー、花王(株)製)に充填し、汚れピースに5回スプレーした。組成物は泡状で吐出した。組成物の吐出量は合計で約3gであった。
吐出した泡と汚れピースを1分間接触させた後、15秒間水道水で流水すすぎを行った。この時、汚れピースの汚れを付着させた部分は全て泡と接触させた。この条件では、本発明品ないし実施例の液体洗浄剤組成物は、泡比容が2.6~48.7mL/gの泡の状態で接触されていた。なお、ここでの泡比容は、以下の方法で測定した泡比容(直後)を、接触した泡の泡比容とみなした。また、流水すすぎの条件は、水道水の温度は25℃、流速は約4L/min、蛇口の開口部の直径は約15mmであった。開口部から5cm垂直下に位置する汚れピースに落下してくる水道水に対して汚れピースを45°になるように持ち、その角度を固定したまま汚れピースの汚れを付着させていない上端部分で流水を受け、汚れピース上を流れる水道水で洗浄部分片面全体をすすいだ。すすぎ終了後、汚れピースを乾燥させた後、4桁天秤で質量を測定した(z)。以下の式で洗浄率を求めた。洗浄率の数値は大きい方が好ましい。
洗浄率(%)={(y)-(z)}/{(y)-(x)}×100
【0089】
(2)保存安定性の評価
液体洗浄剤組成物を作製した後、5℃に保管した。透明溶解している状態で保持した日数を記録した。目視観察により、分離、白濁等の外観に明らかな変化した時点で、透明溶解している状態を保持できないもの(保存安定性が不合格となるもの)と判断した。この評価では、前記日数が20日以上を合格とし、表に〇と表記し、前記未満の場合は不合格とし、表に×と表記した。
【0090】
(3)泡比容の評価
液体洗浄剤組成物を、トリガー式スプレー容器(キュキュットクリア泡スプレー、花王(株)製)に充填し、200mLメスシリンダー(内径40mm)内に3~10回スプレーした。スプレー後の200mLメスシリンダー質量を、4桁天秤を用いて測定し、スプレー前のメスシリンダーの質量との差を、泡塗布量(g)とした(a)。吐出直後及び吐出1分後のメスシリンダー内の泡の容量(mL)を目視で読み取った。吐出直後の泡の容量(mL)を(b)、吐出1分後の泡の容量(mL)を(b’)とした。以下の式で泡比容を算出した。泡比容が大きいほど、泡吐出性に優れる。
泡比容(mL/g)=〔(b)又は(b’)〕/(a)
この評価では、泡比容が10mL/g以上が良好であり、表に〇と表記した。また、泡比容が2ml/g以上10ml/g未満を合格とし、表に△と表記した。また、泡比容が2ml/g未満の場合は不合格とし、表に×と表記した。
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】