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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1343 20060101AFI20230414BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
G02F1/1343
G02F1/1333
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019164577
(22)【出願日】2019-09-10
(65)【公開番号】P2021043299
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】小島 徹也
(72)【発明者】
【氏名】沖田 光隆
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-163816(JP,A)
【文献】特開2009-145366(JP,A)
【文献】特開2009-237228(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0139544(US,A1)
【文献】特開2017-122827(JP,A)
【文献】特開2002-169179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1343
G02F 1/1333
G02F 1/136-1/1368
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を有する液晶パネルと、
前記液晶パネルの背面側に配置された撮像素子と、
を含み、
前記液晶パネルは、平面視において前記撮像素子と重なる撮像領域及び該撮像領域以外の領域を有し、
前記撮像領域には、複数の線状電極が互いに離隔して配置され、
平面視において、前記複数の線状電極のうち、第1対の線状電極は、第1間隔で離隔し、第2対の線状電極は、前記第1間隔とは異なる第2間隔で離隔し、
前記第1対の線状電極と前記第2対の線状電極とが不規則に配置されている、表示装置。
【請求項2】
前記第1対の線状電極の間に加わる第1電圧は、前記第2対の線状電極の間に加わる第2電圧とは異なる電圧である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1間隔は、前記第2間隔よりも広く、
前記第1電圧は、前記第2電圧よりも大きい、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
平面視において、前記複数の線状電極のうち、第3対の線状電極は、前記第1間隔及び前記第2間隔とは異なる第3間隔で離隔する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第3対の線状電極の間に加わる第3電圧は、前記第1対の線状電極の間に加わる第1電圧及び前記第2対の線状電極の間に加わる第2電圧とは異なる電圧である、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第3間隔は、前記第2間隔よりも狭く、
前記第3電圧は、前記第2電圧よりも小さい、請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記撮像領域の液晶層は、前記複数の線状電極における各電極間に形成される電界により配向が制御される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記複数の画素は、前記撮像領域以外の領域に設けられている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記複数の画素は、他の複数の線状電極で構成される画素電極及び平面視において前記画素電極に絶縁層を介して重なる共通電極を有し、
前記撮像領域以外の領域の液晶層は、前記画素電極と前記共通電極との間に形成される電界により配向が制御される、請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1対の線状電極及び前記第2対の線状電極は、一方の電極に加わる電圧と他方の電極に加わる電圧の極性が異なる、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、撮像素子を有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン等の携帯情報端末のほとんどは、写真を撮影したり動画を撮影したりするための撮像素子を備えている。通常、撮像素子には、アウトカメラと呼ばれる背面側(表示画面とは反対側)に設けられた撮像素子と、インカメラと呼ばれる表示画面側に設けられた撮像素子がある。アウトカメラは、風景写真又は第三者を撮影するときに使用される。他方、インカメラは、自分を被写体にする場合に使用される。インカメラ用の撮像素子は、表示画面側に配置されるため、通常は、表示領域を避けて配置される。したがって、インカメラ用の撮像素子が設けられた領域を表示領域として利用することはできず、表示画面を拡大するにあたって制限があった。
【0003】
他方、表示装置の背面側にカメラを配置し、表示装置に対面する被写体を撮像する試みがなされている。例えば、特許文献1には、透過型液晶パネルの背面側にカメラユニットを配置したディスプレイ装置が開示されている。特許文献1のディスプレイ装置は、通常は、カメラユニット前方の領域に画像表示を行い、撮影の際には、カメラユニット前方の領域に黒表示を行って撮像処理を行う。これにより、特許文献1のディスプレイ装置は、表示装置の背面側に配置したカメラユニットを用いて、表示装置に対面する被写体を撮像することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-163816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたディスプレイ装置のように、液晶パネルの背面側にカメラユニットを配置する構造では、撮像対象の像が液晶パネルを通過してカメラユニットに入射する。このとき、液晶パネルに入射した光が、複数の画素によって回折してしまい、撮像画像が劣化するという問題があった。具体的には、RGB各色に対応する各サブ画素において、RGB各色が入射する際に回折が起こり、撮像対象の像の周囲にゴースト(具体的には干渉縞)が発生してしまうという問題があった。
【0006】
本発明の一実施形態の課題の一つは、液晶パネルを介して撮像を行う表示装置において、撮像画像におけるゴーストの発生を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態における表示装置は、複数の画素を有する液晶パネルと、前記液晶パネルの背面側に配置された撮像素子と、を含み、前記液晶パネルは、平面視において前記撮像素子と重なる撮像領域及び該撮像領域以外の領域を有し、前記撮像領域には、複数の線状電極が互いに離隔して配置され、平面視において、前記複数の線状電極のうち、第1対の線状電極は、第1間隔で離隔し、第2対の線状電極は、前記第1間隔とは異なる第2間隔で離隔し、前記第1対の線状電極と前記第2対の線状電極とが不規則に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の表示装置の外観を示す平面図である。
図2】第1実施形態の液晶パネルの構成を示す平面図である。
図3】第1実施形態の液晶パネルにおける画素の構成を示す断面図である。
図4】第1実施形態の表示装置における回路構成の概略を説明するための図である。
図5】第1実施形態の表示装置における撮像領域付近の構成を示す断面図である。
図6】第1実施形態の液晶パネルにおける撮像領域の構成を模式的に示す平面図である。
図7】第2実施形態の液晶パネルにおける撮像領域の構成を模式的に示す平面図である。
図8】第3実施形態の液晶パネルにおける撮像領域の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図面において、既出の図面に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0010】
本明細書および特許請求の範囲において、「表面側」とは、表示装置における表示画面を構成する側を指し、「裏面側」とは、表面側とは反対の側を指す。また、断面視における「上」及び「下」とは、撮像素子を基準とした相対的な位置関係を指す。例えば、本明細書では、撮像素子から液晶パネルに向かう方向を「上」と言い、その逆の方向を「下」と定義する。また、本明細書および特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0011】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る表示装置100について説明する。本実施形態において、表示装置100は、液晶パネルを備えた携帯端末である。
【0012】
図1は、第1実施形態の表示装置100の外観を示す平面図である。図1に示すように、本実施形態の表示装置100は、筐体110、表示画面120、及び撮像ユニット130を含む。筐体110は、後述する液晶パネル200及び液晶パネル200を駆動したり携帯端末の制御をしたりするための回路群を収納する。表示画面120は、画像表示を行うためのインターフェースである。表示画面120は、筐体110に収納された液晶パネル200の表面である。液晶パネル200の表面がカバーガラス等を介して視認されることにより表示画面120として機能する。撮像ユニット130は、後述する撮像素子132と該撮像素子132で検出した入射光を画像として結像するための制御部(図示せず)とを含む。
【0013】
撮像ユニット130は、筐体110の内部に収納され、液晶パネル200の裏面側に配置される。すなわち、ユーザの視点を基準とした場合、撮像ユニット130は、表示画面120の裏側に配置されるため、ユーザから視認することはできない。なお、本明細書において、平面視における液晶パネル200のうち、撮像ユニット130の撮像素子132が配置される部分に重なる領域を「撮像領域130A」と呼ぶ。本実施形態の表示装置100では、撮像領域130Aは、撮像領域130A以外の領域(すなわち、表示領域130B)とは異なり、画像表示が行われない。
【0014】
図2は、第1実施形態の液晶パネル200の構成を示す平面図である。ただし、説明の便宜上、図2においては、液晶パネル200のうち回路基板200Aについて図示を行い、後述する液晶層200B及び対向基板200Cについては図示を省略している。
【0015】
図2に示すように、液晶パネル200の回路基板200Aの表面側には、表示回路210、走査信号線駆動回路220、並びに端子部230が設けられている。回路基板200Aは、透光性を有する支持基板上に、薄膜トランジスタ等のスイッチング素子を複数配置した基板である。回路基板200Aは、アクティブマトリクス基板と呼ばれる場合もある。回路基板200Aを構成する支持基板としては、ガラス基板又は可撓性を有する樹脂基板を用いることができる。
【0016】
表示回路210は、画像を表示する複数の画素212を制御するための回路である。具体的には、表示回路210は、行方向に延びる複数の走査信号線214及び列方向に延びる複数の映像信号線216を含み、複数の走査信号線214及び複数の映像信号線216の交点のそれぞれに、薄膜トランジスタ等のスイッチング素子を含む画素212を有する。本実施形態において、個々の画素212は、R(赤)、G(緑)及びB(青)のいずれかの色に対応するサブ画素である。したがって、実際には、RGBの各色に対応する3つの画素212を含む1つの画素(メイン画素)を単位としてカラー表示を行う構成となっている。なお、表示回路210が設けられる領域は、複数の画素212が設けられる領域とほぼ一致する。すなわち、平面視における液晶パネル200において、表示回路210が設けられた領域は、図1に示した表示領域130Bに対応する。ここで、各画素212の概略の構成について図3を用いて説明する。
【0017】
図3は、第1実施形態の液晶パネル200における画素212の構成を示す断面図である。図3においては、支持基板301の上に、RGB各色に対応する3つの画素212が設けられている。具体的には、支持基板301の上には、赤色に対応する画素(以下「R画素212R」という。)、緑色に対応する画素(以下「G画素212G」という。)、及び青色に対応する画素(以下「B画素212B」という。)が設けられている。ここでは、R画素212Rについて説明を行い、G画素212G及びB画素212Bについては、R画素212Rと相違する部分に着目して説明する。
【0018】
R画素212Rは、スイッチング素子として薄膜トランジスタ302を含む。薄膜トランジスタ302を覆う平坦化膜303の上には、共通電極304が配置される。共通電極304の上には、絶縁層305を介して画素電極306が配置される。画素電極306は、平坦化膜303及び絶縁層305に設けられた開口部を介して薄膜トランジスタ302と電気的に接続されている。本実施形態において、共通電極304及び画素電極306は、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の金属酸化物を材料とする透明導電膜で構成されている。
【0019】
本実施形態では、画素電極306のうち、共通電極304の上に配置された部分が櫛歯状に加工されている。すなわち、図3では、画素電極306が複数設けられているように示されているが、実際には、平面視における画素電極306は、櫛のようなパターン形状を有する。具体的には、平面視における画素電極306は、隣接して配置された複数の線状電極306Aが、それぞれの端部で相互に接続された形状を有する。
【0020】
共通電極304と画素電極306との間に電圧が与えられると、両者の間に横方向の電界(フリンジ電界と呼ばれる。)が形成される。本実施形態では、フリンジ電界を用いて液晶層307に含まれる液晶分子(図示せず)の配向を制御する。このような液晶分子の制御方式は、FFS(Fringe Field Switching)方式とも呼ばれる。
【0021】
また、画素電極306の上には、液晶層307を介して赤色に対応するカラーフィルタ(以下「Rフィルタ308R」という。)が配置される。Rフィルタ308Rは、対向基板310に設けられている。同様に、G画素212Gには、緑色に対応するカラーフィルタ(以下「Gフィルタ308G」という。)が配置される。B画素212Bには、青色に対応するカラーフィルタ(以下「Bフィルタ308B」という。)が配置される。Rフィルタ308R、Gフィルタ308G及びBフィルタ308Bの間には、それぞれ遮光膜309が設けられている。
【0022】
以上のように、R画素212R、G画素212G及びB画素212Bには、それぞれRフィルタ308R、Gフィルタ308G及びBフィルタ308Bが設けられている。そのため、液晶パネル200の裏面側に配置されたバックライトユニット260(図4参照)からの光は、Rフィルタ308R、Gフィルタ308G及びBフィルタ308BによってRGBの各色の光に分離される。
【0023】
図2に戻って説明を続ける。走査信号線駆動回路220は、走査信号線214に連結され、走査信号線214に対して走査信号を伝達する。具体的には、走査信号は、画素212に含まれる薄膜トランジスタ(図示せず)のゲートに与えられ、薄膜トランジスタのスイッチング制御に用いられる。本実施形態では、複数の画素212と同様に、走査信号線駆動回路220も薄膜トランジスタを用いて形成されているが、ICチップ等で代用することも可能である。なお、本実施形態では、回路基板200Aに2つの走査信号線駆動回路220を含んでいるが、いずれか片方だけでもよい。
【0024】
端子部230は、図示を省略しているが、走査信号線駆動回路220及び複数の映像信号線216に接続された複数の端子の集合体である。端子部230は、表示回路210の外側に配置される。外部から供給される映像信号及び制御信号は、端子部230を介して表示回路210又は走査信号線駆動回路220に供給される。
【0025】
液晶パネル200は、端子部230を介してフレキシブルプリント回路基板240に接続される。フレキシブルプリント回路基板240は、液晶パネル200の回路基板200Aと外部の制御回路(図示せず)とを接続するためのインターフェース基板である。本実施形態では、フレキシブルプリント回路基板240に対して表示制御回路250が実装されている。表示制御回路250は、走査信号線駆動回路220に送信する各種の制御信号及び映像信号線216に送信する映像信号を処理する信号処理回路である。本実施形態では、表示制御回路250は、ICチップの形態でフレキシブルプリント回路基板240に実装される。
【0026】
フレキシブルプリント回路基板240は、樹脂材料で構成される可撓性基板の上に配線が印刷された回路基板であるため、折り曲げることが可能である。本実施形態では、フレキシブルプリント回路基板240を一点鎖線242で折り曲げ、フレキシブルプリント回路基板240と回路基板200Aの裏面側(表示回路210などが形成されていない側)とが重なるようにすることができる。これにより、液晶パネル200及びフレキシブルプリント回路基板240をコンパクトに筐体110の内部に収納することができる。
【0027】
図4は、第1実施形態の表示装置100における回路構成の概略を説明するための図である。前述のとおり、走査信号線駆動回路220に伝達される各種の制御信号は、表示制御回路250によって処理される。表示制御回路250は、スタートパルス等の制御信号を生成する場合もあるし、外部のシステム制御回路270から取得した制御信号に所定の信号処理を施す場合もある。また、表示制御回路250は、システム制御回路270から取得した映像信号に所定の信号処理を施すこともできる。
【0028】
システム制御回路270は、表示制御回路250、バックライトユニット260、及び撮像ユニット130を統括して制御する。バックライトユニット260は、液晶パネル200の光源269(図5参照)及び該バックライト制御回路(図示せず)を含む。
【0029】
本実施形態では、システム制御回路270が、撮像ユニット130の動作、表示回路210の動作、及びバックライトユニット260の動作の同期をとっている。これにより、例えば、撮像ユニット130を使用しないときには、表示領域130Bの全体に画像を表示し、撮像ユニット130を使用するときには、撮像領域130Aに位置する液晶層が光を透過する状態となるように表示回路210を制御することができる。ただし、この例に限らず、システム制御回路270は、表示領域130Bに画像を表示しつつ、撮像領域130Aに位置する液晶層が常に光を透過する状態となるように表示回路210を制御することも可能である。さらに、システム制御回路270は、表示領域130Bに画像を表示しつつ、撮像領域130Aに位置する液晶層が、撮像ユニット130の動作に連動して光を透過する(具体的には、撮像ユニット130が起動した際に光を透過する)状態となるように表示回路210を制御することも可能である。システム制御回路270による具体的な制御については後述する。
【0030】
図5は、第1実施形態の表示装置100における撮像領域130A付近の構成を示す断面図である。具体的には、図5は、図1に示す撮像領域130Aを含む線で切断した断面図に相当する。液晶パネル200は、回路基板200A、液晶層200B及び対向基板200Cを含む。液晶パネル200の上には、カバーガラス280が設けられている。なお、図示は省略しているが、液晶パネル200の上面及び下面には、偏光板等の光学フィルムが配置されている。
【0031】
液晶パネル200の下面には、遮光性を有する接着フィルム290を用いてバックライトユニット260が配置される。図5に示すように、接着フィルム290は、撮像領域130Aに対応する位置に開口部を有する。したがって、撮像ユニット130による撮像処理の妨げとはならない。
【0032】
バックライトユニット260は、モールド部材261、反射シート262、第1導光板263、拡散シート264、第1プリズムシート265、第2プリズムシート266、遮光壁267、第2導光板268、、光源269及びバックライト制御回路(図示せず)を含む。ただし、ここに挙げた構成部材はいずれも一例であり、バックライトユニット260の構成は、図5の構成に限られるものではない。
【0033】
本実施形態のバックライトユニット260は、表示回路210のほぼ全域(すなわち、表示領域のほぼ全域)にわたって設けられた第1導光板263と、撮像領域130Aに対応して局所的に設けられた第2導光板268とを有する。第1導光板263の側面には、図示しない光源が設けられている。また、第2導光板268の側面には、光源269が設けられている。第1導光板263の側面に配置された光源及び第2導光板268の側面に配置された光源269は、いずれもLED光源であり、互いに独立に制御することができる。
【0034】
図5に示すように、第1導光板263と第2導光板268との間には、遮光壁267が配置されている。そのため、第1導光板263の内部を伝達する光は、撮像領域130Aに影響を与えない。したがって、表示装置100は、撮像領域130Aのみを局所的に暗くすることが可能である。例えば、通常の画像表示の際は、第1導光板263及び第2導光板268の両方に光を入射して、表示領域130Bの全域に画像を表示させるとともに撮像領域130Aも明るくする。他方、撮像素子132を用いて撮像を行う際は、光源269を消灯するとともに第1導光板263のみに光を入射して、表示画面120のうち撮像領域130Aを局所的に暗くして撮像可能な状態とすることができる。
【0035】
ところで、撮像を行う際、撮像素子132の動作に同期させて光源269を消灯することにより撮像領域130Aを暗くすることができるが、それに合わせて撮像領域130Aの内側に位置する液晶層を透過状態(光を透過する状態)に遷移させなければならない。すなわち、表示画面120の前方に位置する被写体からの光が撮像素子132に入射する状態とすることが必要である。本実施形態では、撮像領域130Aに対して、表示領域130Bとは別に、複数の線状電極を設けて液晶層を制御している。
【0036】
図6は、第1実施形態の表示装置100における撮像領域130Aの構成を模式的に示す平面図である。図6に示されるように、撮像領域130Aには、複数の線状電極30a~30kが互いに離隔して配置されている。複数の線状電極30a~30kの線幅は、例えば2μmとすることができるが、これに限られるものではない。複数の線状電極30a~30kは、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の金属酸化物を材料とする透明導電膜で構成することができる。ただし、この例に限らず、例えばアルミニウム、銀、銅などの金属材料を用いた導電膜で構成してもよい。本実施形態では、図3に示された共通電極304の形成と同じ透明導電膜で線状電極30a、30c、30e、30g、30i及び30kを形成する。また、画素電極306の形成と同じ透明導電膜で線状電極30b、30d、30f、30h及び30jを形成する。
【0037】
本実施形態において、線状電極30a、30c、30e、30g、30i及び30kには、正の電源電圧(+V)が供給され、線状電極30b、30d、30f、30h及び30jには、負の電源電圧(-V)が供給される構成となっている。ただし、本実施形態では、いわゆるフレーム反転方式を採用するため、正の電源電圧が供給される線状電極と負の電源電圧が供給される線状電極とがフレーム(画像表示の単位)ごとに逆になる。
【0038】
本実施形態では、各線状電極30a~30kの間に±Vボルトの電圧差(E)を形成することにより、各線状電極30a~30kの間に横方向の電界を形成する。そして、形成された横方向の電界を用いて、撮像領域130Aにおける液晶層200Bの配向を制御する。これにより、撮像領域130Aにおける液晶層200Bを光シャッターとして用いることができる。横方向の電界を用いた液晶層の配向制御方式は、一般的に、IPS(In-Plane-Switching)方式と呼ばれる。本実施形態では、撮像領域130Aにおける液晶層200Bを光シャッターとして用いるため、撮像時には、液晶層200Bが光を透過するように配向する。
【0039】
本発明者らの知見によれば、液晶層200Bが透過状態に遷移した場合、複数の線状電極30a~30kが等間隔で配置されていると、撮像領域130Aを通過する光が回折を起こし、撮像対象の像の周囲にゴーストが発生してしまう。そこで、本実施形態では、図6に示されるように、複数の線状電極30a~30kの間隔を意図的に不規則に分布させ、ゴーストの発生を低減している。ここでいう「間隔」とは、各線状電極の中心線の間隔を指す。本明細書中では、この間隔を「透過ピッチ」と呼ぶ場合がある。
【0040】
例えば、図6において、線状電極30aと線状電極30bとの間隔を第1間隔(P1)、線状電極30bと線状電極30cとの間隔を第2間隔(P2)、線状電極30dと線状電極30eとの間隔を第3間隔(P3)とする。図6に示されるように、間隔P1、間隔P2及び間隔P3は、互いに異なる間隔であり、それらの間には、P1<P2<P3の関係がある。例えば、第1間隔P1を5μm、第2間隔P2を10μm、第3間隔P3を20μmとすることができる。ただし、第1間隔P1、第2間隔P2及び第3間隔P3の具体的な数値は、この例に限られるものではない。
【0041】
本実施形態では、互いに異なる複数の間隔(透過ピッチ)が、撮像領域130A内に不規則に分布している。つまり、撮像領域130A内において、第1間隔P1、第2間隔P2及び第3間隔P3が不規則に並ぶ構成となっている。本実施形態では、第1間隔で離隔する一対の線状電極を「第1対の線状電極」、第2間隔で離隔する一対の線状電極を「第2対の線状電極」、第3間隔で離隔する一対の線状電極を「第3対の線状電極」と呼ぶ場合がある。これらの表現を用いれば、本実施形態に示す例は、第1対の線状電極、第2対の線状電極及び第3対の線状電極が、撮像領域130A内に、不規則に配置されているとも言える。なお、本実施形態では、第1間隔P1、第2間隔P2及び第3間隔P3の3つの間隔を設けた例を示したが、2つ以上の間隔を設けていればよく、3つに限定されるものではない。
【0042】
以上のように、本実施形態の表示装置100は、液晶パネル200の撮像領域130Aに、複数の線状電極30a~30kを備える。そして、複数の線状電極30a~30kにおいて、隣接する一対の線状電極の間に横方向の電界を形成することにより、液晶層220Bを光シャッターとして用いる。このとき、一対の線状電極の間隔として、複数の大きさの間隔P1~P3を設けている。複数の間隔P1~P3は、撮像領域130A内において、不規則に分布している。このような構成とすることにより、本実施形態の表示装置100は、撮像画像におけるゴーストの発生を低減することができる。
【0043】
(第2実施形態)
第1実施形態では、複数の線状電極30a~30kに対して交互に+Vボルト及び-Vボルトの電圧を加える例を示した。しかしながら、複数の線状電極30a~30kは、異なる複数の間隔P1~P3で互いに離隔するため、一対の線状電極間に同じ電圧差を供給した場合に、形成される電界の強度に差異が生じる。電界強度の差異は、液晶層220Bの配向にも影響を与え、透過ピッチごとに光の透過率が変わってしまう場合がある。したがって、第1実施形態の表示装置100では、撮像領域130Aにおけるゴーストの発生は低減できるものの、透過ピッチの違いによる光の透過率の差異が、輝度ムラとして視認される可能性がある。
【0044】
本実施形態は、第1実施形態の表示装置100をさらに改善したものである。すなわち、本実施形態の表示装置100aは、複数の線状電極30a~30kに対して、それぞれ異なる電圧を供給し、各線状電極間における電圧差を略一定にする。すなわち、本実施形態の表示装置100aでは、複数の線状電極30a~30kの各線状電極間に形成される電界強度を略一定にすることにより、光の透過率を揃え、撮像領域130A内における輝度分布を改善している。ここで「略一定」とは、完全に一致する場合だけでなく、±3V(好ましくは±1V)の範囲で相違する場合も含む。なお、本実施形態では、第1実施形態と異なる点に着目して説明を行う。したがって、第1実施形態と同じ構成については、同じ符号で示すことにより説明を省略する場合がある。
【0045】
図7は、第2実施形態の表示装置100aにおける撮像領域130Aの構成を模式的に示す平面図である。本実施形態の表示装置100aは、第1実施形態と同様に、撮像領域130Aに、互いに異なる間隔P1~P3で、複数の線状電極30a~30kが配置されている。ただし、本実施形態では、複数の線状電極30a~30kに対して、それぞれ、正の電源電圧(+V1~+V6)及び負の電源電圧(-V7~-V11)が供給される構成となっている。
【0046】
この場合、正の電源電圧が供給される複数の線状電極30a、30c、30e、30g、30i及び30kは、それぞれ独立に正の電源電圧が供給されてもよいし、いくつかの線状電極に供給する正の電源電圧を共通のものとしてもよい。また、負の電源電圧が供給される複数の線状電極30b、30d、30f、30h及び30jは、それぞれ独立に負の電源電圧が供給されてもよいし、いくつかの線状電極に供給する負の電源電圧を共通のものとしてもよい。
【0047】
いずれにしても、本実施形態では、第1間隔P1で離隔する第1対の線状電極間における電圧差(E1)、第2間隔P2で離隔する第2対の線状電極間における電圧差(E2)及び第3間隔P3で離隔する第3対の線状電極間における電圧差(E3)が略一定となるように制御する。これにより、本実施形態の表示装置100aは、複数の線状電極30a~30kの間に形成される電界強度が略一定となり、撮像領域130A内における輝度ムラを低減することができる。
【0048】
なお、複数の線状電極30a~30kに対してそれぞれ異なる電圧を供給するためには、異なる電圧を供給する複数の電源供給線を設けてもよい。しかしながら、複数の電源を用意することはコストアップを招くため、例えば、配線抵抗等を利用して1つの電圧を、複数の他の電圧に変換して各線状電極30a~30kに供給することも可能である。具体的には、電源電圧を供給する配線の幅や長さを適宜調整し、最終的に必要とする電圧が線状電極に供給されるようにすればよい。
【0049】
(第3実施形態)
第1実施形態及び第2実施形態では、撮像領域130Aには光シャッターとして機能するように複数の線状電極30a~30kを設け、表示領域130Bには複数の画素212として機能するように共通電極304及び画素電極306(具体的には、線状電極306A)を設けている。しかしながら、これらの例に限らず、撮像領域130Aも、表示領域130Bと同様に、複数の画素を設けて画像を表示できるようにしてもよい。
【0050】
例えば、図6及び図7に示した複数の線状電極30a~30kのうち、正の電源電圧に接続された線状電極(例えば、線状電極30a、30c、30e、30g、30i及び30kなど)を画素電極とし、負の電源電圧に接続された線状電極(例えば、線状電極30b、30d、30f、30h及び30jなど)を共通電極として画素構造を構成することもできる。この場合、図3に示した画素構造と同様に、薄膜トランジスタ302、Rフィルタ308R、Gフィルタ308G、Bフィルタ308B及び遮光膜309などの要素を設ければよい。
【0051】
また、例えば、撮像領域130Aに、図3に示した画素構造を有する複数の画素を設ける場合、画素電極306として機能する複数の線状電極306Aに、第1実施形態で説明した構成を適用すればよい。すなわち、複数の線状電極306Aが、互いに異なる複数の間隔で並ぶように構成し、それらの複数の間隔が撮像領域130A内に不規則に分布するように構成すればよい。
【0052】
図8は、第3実施形態の液晶パネル200aにおける画素の構成を示す断面図である。図8に示される例では、複数の線状電極306Aを等間隔に置くのではなく、不規則に配置する。これにより、撮像時に外部から入射した光が、複数の線状電極30Aによって回折する現象を低減することができる。
【0053】
以上のように、本実施形態によれば、撮像を行わないときは、撮像領域130A及び表示領域130Bを用いて画像表示を行うことができる。また、撮像を行うときは、第1実施形態で説明したように、撮像領域130Aのバックライトを消灯して、液晶層220Bを透過状態に制御すればよい。
【0054】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。各実施形態の表示装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0055】
また、上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0056】
100、100a…表示装置、110…筐体、120…表示画面、130…撮像ユニット、130A…撮像領域、132…撮像素子、200、200a…液晶パネル、200A…回路基板、200B…液晶層、200C…対向基板、210…表示回路、212…画素、212B…B画素、212G…G画素、212R…R画素、214…走査信号線、216…映像信号線、220…走査信号線駆動回路、230…端子部、240…フレキシブルプリント回路基板、250…表示制御回路、260…バックライトユニット、261…モールド部材、262…反射シート、263…第1導光板、264…拡散シート、265…第1プリズムシート、266…第2プリズムシート、267…遮光壁、268…第2導光板、269…光源、270…システム制御回路、280…カバーガラス、290…接着フィルム、301…支持基板、302…薄膜トランジスタ、303…平坦化膜、304…共通電極、305…絶縁層、306…画素電極、306A…線状電極、307…液晶層、308B…Bフィルタ、308G…Gフィルタ、308R…Rフィルタ、309…遮光膜、310…対向基板、線状電極…30a~30k
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8