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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】医療装置及び医療装置セット
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20230414BHJP
   A61M 25/09 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
A61B8/12
A61M25/09
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019176141
(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公開番号】P2021052823
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(72)【発明者】
【氏名】井口 陽
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/162492(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0236017(US,A1)
【文献】特開平05-285143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
A61M 25/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内に挿入される医療用の長尺体が接続され、前記長尺体から受信する電気信号を処理する医療装置であって、
前記長尺体を接続可能な接続部と、
前記接続部に接続されている前記長尺体の回動を検出可能な回動検出部と、を備え、
前記接続部は、接続されている前記長尺体の回動により従動して回動する従動回動体を備え、
前記回動検出部は、前記接続部の前記従動回動体の回動を検出可能である、医療装置。
【請求項2】
前記長尺体から受信する前記電気信号、及び、前記回動検出部が検出する回動情報、を処理する制御部を更に備える、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記長尺体は、超音波を送受信可能な振動子を備えるガイドワイヤを備える、請求項1又は2に記載の医療装置。
【請求項4】
前記振動子は、前記ガイドワイヤの長手方向に沿って複数配置されている、請求項3に記載の医療装置。
【請求項5】
前記回動検出部は、
前記従動回転体の回動に従動し、周縁部に複数の窓部が形成されている円盤部と、
前記円盤部を挟んで対向して配置されている発光部及び受光部と、を備える、請求項1から4のいずれか1つに記載の医療装置。
【請求項6】
請求項1からのいずれか1つに記載の医療装置と、
前記接続部に接続可能な前記長尺体と、を備える医療装置セット。
【請求項7】
生体内に挿入される医療用の長尺体と、
前記長尺体が接続され、前記長尺体から受信する電気信号を処理する医療装置と、
前記長尺体を支持し、前記長尺体の外周面から前記長尺体を回動駆動する駆動装置と、を備え、
前記医療装置は、
前記長尺体を接続可能な接続部と、
前記接続部に接続されている前記長尺体の回動を検出可能な回動検出部と、を備え、
前記接続部は、接続されている前記長尺体の回動により従動して回動する従動回動体を備え、
前記回動検出部は、前記接続部の前記従動回動体の回動を検出可能である、医療装置セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は医療装置及び医療装置セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ガイドワイヤ、カテーテルなどの医療器具を血管内に挿入して行う手技が知られている。この種の手技では、ガイドワイヤが予め血管内に挿通され、このガイドワイヤに沿って、カテーテルなどの各種の医療器具が病変部などの手技の対象位置まで導入されることが一般的である。
【0003】
特許文献1には、ガイドワイヤに沿って血管内に導入される画像診断用カテーテルが記載されている。特許文献1に記載の画像診断用カテーテルにより、血管内の超音波画像を取得できる。そのため、医師等の医療従事者は、病変部などの手技の対象位置の状態について画像診断を行うことができる。医療従事者が、特許文献1の画像診断用カテーテルを用いて手技前に画像診断を行う場合、超音波画像の取得後に、特許文献1の画像診断用カテーテルは生体外に抜去される。その後、例えばバルーンカテーテルなどの他の医療器具が、ガイドワイヤに沿って対象位置まで導入され、所定の手技が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-056142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
医療従事者は、特許文献1に記載の画像診断用カテーテルを用いる場合、特許文献1に記載の画像診断用カテーテルを生体外に抜去した後で、例えばバルーンカテーテルなどの他の医療器具を血管内に挿通する。医療現場では、ガイドワイヤ、画像診断用カテーテル、バルーンカテーテルなどの医療用の長尺体の入れ替え作業を無くし、手技を簡素化することが望まれている。
【0006】
本開示は、医療用の長尺体を生体内に挿入して行う各種手技を簡素化し得る医療装置及び医療装置セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様としての医療装置は、生体内に挿入される医療用の長尺体が接続され、前記長尺体から受信する電気信号を処理する医療装置であって、前記長尺体を接続可能な接続部と、前記接続部に接続されている前記長尺体の回動を検出可能な回動検出部と、を備え、前記接続部は、接続されている前記長尺体の回動により従動して回動する従動回動体を備え、前記回動検出部は、前記接続部の前記従動回動体の回動を検出可能である。
【0008】
本開示の1つの実施形態としての医療装置は、前記長尺体から受信する前記電気信号、及び、前記回動検出部が検出する回動情報、を処理する制御部を更に備える。
【0009】
本開示の1つの実施形態として、前記長尺体は、超音波を送受信可能な振動子を備えるガイドワイヤを備える。
【0010】
本開示の1つの実施形態として、前記振動子は、前記ガイドワイヤの長手方向に沿って複数配置されている。
【0011】
本開示の第2の態様としての医療装置セットは、上記医療装置と、前記接続部に接続可能な前記長尺体と、を備える。
【0012】
本開示の1つの実施形態としての医療装置セットは、前記長尺体を支持し、前記長尺体の外周面から前記長尺体を回動駆動する駆動装置を更に備える。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、医療用の長尺体を生体内に挿入して行う各種手技を簡素化し得る医療装置及び医療装置セットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態としての医療装置セットを示す概要図である。
図2図1に示す医療装置セットの構成を示す構成図である。
図3図1に示す長尺体の遠位端側の端部近傍を示す図である。
図4図1に示す医療装置における回動検出部の一構成例を示す図である。
図5図1に示す駆動装置の一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示に係る医療装置及び医療装置セットの実施形態について図面を参照して説明する。各図において共通する部材・部位には同一の符号を付している。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態としての医療装置セット100を示す概要図である。図2は、医療装置セット100の構成を示す構成図である。図1図2に示すように、本実施形態の医療装置セット100は、医療用の長尺体1(以下、単に「長尺体1」と記載する。)と、医療装置101と、駆動装置102と、表示装置103と、を備える。詳細は後述するが、本実施形態の医療装置セット100は、生体内に挿入される長尺体1を用いて生体内の断層画像を取得可能な画像診断装置セットである。
【0017】
長尺体1は、例えば血管内に挿入されて使用される。また、長尺体1は、中空部を区画する管状の中空体であってもよく、中空部を区画しない中実体であってもよい。長尺体1としては、例えば、各種カテーテル、ガイドワイヤ等が挙げられる。
【0018】
図3は、本実施形態の長尺体1の遠位端側の端部近傍を示す図である。図3に示すように、本実施形態の長尺体1は、超音波を送受信可能な振動子11を備えるガイドワイヤ1aである。より具体的に、ガイドワイヤ1aは、管状の本体部10と、この本体部10の側壁に取り付けられている複数の振動子11と、コネクタ部12と、信号線13と、を備える。
【0019】
図3に示すように、本実施形態の本体部10の遠位端部は、遠位端部よりも近位端側の部分に対して屈曲している。但し、本体部10の構成は、この構成に限られず、遠位端部が屈曲していない構成であってもよい。本体部10の近位端部には、後述するコネクタ部12が取り付けられている。
【0020】
本体部10の材料としては、例えば、Ni-Ti系合金等の超弾性合金、ステンレス鋼やコバルト系合金を用いることができる。
【0021】
本体部10の中空部には、振動子11と医療装置101とを電気的に接続する信号線13が配置されている。
【0022】
図3に示すように、振動子11は、本体部10の側壁のうち、遠位端側の端部の位置に取り付けられている。また、図3に示すように、振動子11は、長尺体1の長手方向Aとしてのガイドワイヤ1aの長手方向(本実施形態では本体部10の中心軸方向と同じ方向であり、以下、単に「長手方向A」と記載する。)に沿って複数配置されている。各振動子11は、本体部10の径方向外側に向かって超音波を送信することができる。また、各振動子11は、送信して生体組織に反射された超音波を受信することができる。長手方向Aに隣接する2つの振動子11間の距離は、それぞれの振動子11で実行される超音波の送受信が干渉されない限り、特に限定されない。
【0023】
本実施形態では複数の振動子11が長手方向Aに配置されているが、1つの振動子11のみが配置される構成であってもよい。但し、複数の振動子11が長手方向Aに配置されている構成とすることが好ましい。このようにすることで、複数の振動子11は、ガイドワイヤ1aを長手方向Aに沿って移動させることなく、複数の振動子11が配置されている長手方向Aの全域において、超音波の送受信を行うことができる。本実施形態の振動子11は、本体部10が中心軸周りの周方向B(長尺体1の中心軸周りの周方向と同じ。以下、単に「周方向B」と記載する。)に回動することで、本体部10と共に周方向Bに回動する。つまり、本実施形態のガイドワイヤ1aは、長手方向Aに沿って移動させることなく、周方向Bに回動するだけで、複数の振動子11が配置されている長手方向Aの全域、及び、周方向Bの全域、において、超音波の送受信を行うことができる。
【0024】
また、図3に示すように、複数の振動子11は、長手方向Aに沿って一列に並ぶように配置されていることが好ましい。換言すれば、複数の振動子11は、周方向Bにおいて同位置に配置されることが好ましい。このようにすることで、各振動子11が送受信する超音波情報から生成される周方向Bの各位置におけるラインデータについて、複数の振動子11間で周方向Bの位置合わせ補正をしなくてよい。ラインデータとは、回動中心位置(本実施形態では本体部10の中心軸線)から径方向外側に向かう線上でのデータを意味する。
【0025】
振動子11は、例えば、基板上に微小セルが配置された電子式の超音波振動子とすることができる。微小セルは、例えば、電極間に印加される静電気力によって振動する振動膜を含む。電子式の超音波振動子は、例えば圧電素子を用いた振動子のような機械式の超音波振動子と比較して、小型化できる。そのため、本実施形態のような細線状のガイドワイヤ1aの側壁に取り付けられる振動子11としては、電子式の超音波振動子とすることが好ましい。
【0026】
コネクタ部12は、本体部10の近位端部に取り付けられている。コネクタ部12は、医療装置101の接続部31に接続可能に構成される。コネクタ部12は、接続部31に接続されている状態で、ガイドワイヤ1aの信号線13を、医療装置101に電気的に接続する。これにより、ガイドワイヤ1aの振動子11は、コネクタ部12及び信号線13を介して、医療装置101と電気的に接続される。
【0027】
信号線13は、上述したように、本体部10内に位置している。信号線13の構成は、振動子11とコネクタ部12とを電気的に接続し、電気信号を送受信可能な構成であれば特に限定されない。
【0028】
医療装置101は、長尺体1が接続され、長尺体1から電気信号を受信可能である。具体的に、本実施形態の医療装置101は、長尺体1としてのガイドワイヤ1aから、振動子11が送受信する超音波情報に対応する電気信号を受信することができる。例えば、ガイドワイヤ1aを血管内で回動させながら、各振動子11で超音波の送受信を行う場合、本実施形態の医療装置101は、各振動子11から受信した電気信号に基づき、ラインデータを生成することができる。本実施形態の医療装置101は、生成したラインデータの補完処理等を経て、振動子11が送受信する超音波に基づく血管の断層画像を生成することができる。
【0029】
図1図2に示すように、本実施形態の医療装置101は、接続部31と、回動検出部32と、操作部33と、記憶部34と、通信部35と、制御部36と、を備える。
【0030】
接続部31には、長尺体1が接続される。具体的に、本実施形態の接続部31には、ガイドワイヤ1aのコネクタ部12が接続可能である。医療装置101は、コネクタ部12が接続部31に接続されることで、振動子11が送受信する超音波情報に対応する電気信号を取得できる。
【0031】
接続部31は、接続されている長尺体1としてのガイドワイヤ1aの回動により従動して回動する従動回動体31aを備える。つまり、ガイドワイヤ1aを本体部10の中心軸周りに自転させると、従動回動体31aも追従して、本体部10の中心軸周りを回動する。従動回動体31aは、例えば、接続部31に接続されるコネクタ部12を挟持することで係止し、コネクタ部12と共回りするようにすることができる。但し、従動回動体31aは、長尺体1の回動に追従して回動できればよく、その構成は特に限定されない。
【0032】
回動検出部32は、接続部31に接続されている長尺体1の回動を検出することができる。具体的に、回動検出部32は、接続部31の従動回動体31aの回動を検出することができる。つまり、回動検出部32は、従動回動体31aの回動を検出することで、接続部31に接続されている長尺体1の回動を検出することができる。このような回動検出部32を備えることで、長尺体1を回動させるための回動駆動部の有無によらず、長尺体1の回動を検出できる。したがって、医療装置101の接続部31に接続されている長尺体1が、医療装置101以外の駆動装置102から回動させるための駆動を得る場合であっても、医療装置101により、長尺体1の回動を検出できる。換言すれば、長尺体1としてガイドワイヤ1aを用いる場合であっても、医療装置101以外に駆動装置102を利用すれば、特許文献1に記載されているような画像診断用カテーテルとの入れ替えを行わずに、血管断層画像を取得することができる。すなわち、接続部31の従動回動体31aの回動を検出する回動検出部32を備える医療装置101とすることで、長尺体1を生体内に挿入して行う各種手技を簡素化し得る。
【0033】
図4は、回動検出部32の一構成例を示す図である。図4に示すように、回動検出部32は、例えば、従動回動体31aと一体化されている円盤部32aと、円盤部32aを挟んで対向して配置されている発光部32b及び受光部32cと、を含む光学式のエンコーダにより構成される。円盤部32aの周縁部には複数の窓部40が形成されている。複数の窓部40は、円盤部32aの周方向全域に亘って、円盤部32aの周方向に沿って所定の間隔を隔てて配置されている。円盤部32aの周方向に隣接する2つの窓部40間の距離は、周方向の位置によって異なっていてもてよい。また、複数の窓部40の形状のうち一部の窓部40の形状を他と異ならせてもよい。このようにすることで、円盤部32aの周方向位置を検出できる。発光部32bから発光される光は、円盤部32aの窓部40を通じて受光部32cで受光される場合と、円盤部32aの窓部40以外で遮蔽されて受光部32cで受光されない場合と、がある。更に、複数の窓部40の形状や離間距離を調整することで、受光部32cが光を受光する時間間隔を変動させることができる。そのため、図4に示す回動検出部32は、受光部32cによる受光の有無及び時間間隔の変化に基づき、円盤部32aの回動情報を検出することができる。円盤部32aの回動情報とは、円盤部32aの回動の有無、その回転角、等である。図4に示す回動検出部32は、円盤部32aの回動情報を検出することで、従動回動体31aの回動情報を検出することができる。
【0034】
図4に示す円盤部32aは、従動回動体31aと一体で形成されているが、従動回動体31aの回動に従動する構成であれば、その構成は特に限定されない。また、図4に示す回動検出部32は、例えば発光素子としての発光ダイオード等を利用した発光部32bと、例えば受光素子としてのフォトトランジスタ等を利用した受光部32cと、を含む光学式のエンコーダであるが、従動回動体31aの回動を検出できれば、磁気式のエンコーダ等であってもよい。
【0035】
回動検出部32により検出された従動回動体31aの回動情報は、後述する制御部36に入力され、処理される。
【0036】
操作部33は、ユーザーである医師等の医療従事者により操作される。操作部33を通じて行われた各種設定値等の操作情報は、後述する制御部36に入力され、処理される。操作部33は、例えば、キーボード、タッチパネル等により構成可能である。
【0037】
記憶部34は、後述する制御部36による処理結果を記憶する。また、記憶部34は、制御部36が実行する各種プログラムを記憶していてもよい。記憶部34は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等により構成可能である。
【0038】
通信部35は、有線又は無線により、表示装置103と通信可能である。通信部35は、表示装置103以外の外部装置と通信可能であってもよい。通信部35を通じた通信は、制御部36により制御される。
【0039】
制御部36は、接続部31、回動検出部32、操作部33及び記憶部34から入力される各種情報を処理する。具体的に、制御部36は、接続部31に接続されている状態の長尺体1から受信する電気信号、及び、回動検出部32が検出する回動情報、を処理することができる。より具体的に、本実施形態の制御部36には、接続部31に接続されている状態の長尺体1としてのガイドワイヤ1aから、振動子11が送受信する超音波情報に対応する電気信号が入力される。また、制御部36には、回動検出部32が検出する従動回動体31aの回動情報が入力される。制御部36は、入力されるこれら情報に基づき、各振動子11の周方向Bの各位置でのラインデータを生成する。更に、制御部36は、生成したラインデータの補完処理等を経て、断層画像を生成することができる。つまり、長尺体1としてのガイドワイヤ1aが血管内で回動され、振動子11により超音波の送受信が行われる場合、制御部36は、接続部31に接続されている状態のガイドワイヤ1aから受信する各振動子11の超音波情報に対応する電気信号、及び、回動検出部32が検出する回動情報、に基づき、血管の断層画像を生成することができる。
【0040】
本実施形態のガイドワイヤ1aは、上述したように、長手方向Aに沿って配置されている複数の振動子11を備える(図3参照)。そのため、制御部36は、各振動子11の長手方向Aの位置での断層画像をそれぞれ生成することができる。
【0041】
制御部36は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)等のプロセッサから構成される処理部を備える。処理部は、記憶部34に記憶されているプログラムを実行し、医療装置101の各部を作動させる。また、本実施形態の制御部36は、接続部31に接続される長尺体1としてのガイドワイヤ1aの振動子11の超音波の送信を制御することができる。更に、本実施形態の制御部36は、後述する駆動装置102及び表示装置103を制御することができる。また、制御部36は、上述した記憶部34に加えて又は代えて、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の記憶部を備えてもよい。
【0042】
本実施形態の医療装置101は、上述の接続部31、回動検出部32、操作部33、記憶部34、通信部35及び制御部36を備える構成であるが、液晶パネルなどの表示部など、別の部位を含む構成であってもよい。本実施形態の医療装置101は、接続される長尺体1を回転駆動する駆動部を備えないが、上述した従動回動体31aを備える接続部31を有する構成であれば、駆動部を有する構成としてもよい。
【0043】
駆動装置102は、長尺体1を支持し、長尺体1の外周面から長尺体1を回動駆動する。図5は、駆動装置102の一構成例を示す図である。図5に示す駆動装置102は、医療装置101の接続部31に接続されている長尺体1のうち、医療装置101の外部に延在している部分を支持し、そこから長尺体1を回転駆動する。
【0044】
図5に示す駆動装置102は、駆動源50aと、駆動源50aにより駆動されて長尺体1を進退移動させる進退機構50bと、駆動源50aにより駆動されて長尺体1を回動させる回動機構50cと、を備える。
【0045】
駆動源50aは、例えば電気モータにより構成されるが、進退機構50b及び回動機構50cを駆動させることができれば特に限定されない。
【0046】
進退機構50bは、支持本体51と、第1回動体群52と、第2回動体群53と、を備える。
【0047】
支持本体51は、長尺体1を支持する。また、支持本体51には、例えば、ガイディングカテーテルなど、長尺体1を病変部まで案内する太管55が予め取り付けられていてもよい。図5では、太管55の近位端部に設けられているコネクタ55aが、支持本体51に取り付けられている。そして、支持本体51に支持されている長尺体1は、コネクタ55aから太管55内を通じて、生体内の病変部まで導入される。
【0048】
第1回動体群52は複数の回動体52aから構成される。第1回動体群52を構成する複数の回動体52aは、支持本体51に対して回動可能に取り付けられている。回動体52aは、駆動源50aの駆動力により、支持本体51に対して回動する。より具体的に、回動体52aは、長尺体1を支持する支持本体51の支持面51aに対して直交する方向に延在する回動軸周りを回動する。第1回動体群52の複数の回動体52aは、支持本体51の支持面51aに支持されている長尺体1を相互間で挟み込みながら回動することで、長尺体1を長手方向Aに進退させることができる。
【0049】
第2回動体群53は、第1回動体群52と同様であるが、支持本体51に対して取り付けられている位置が異なる。第1回動体群52とは別に、第2回動体群53を備えることで、2つの別の長尺体1を同時にセットできる。そのため、これら2つの長尺体1を入れ替える作業をすることなく、2つの長尺体1を交互に進退移動させることが可能となる。第2回動体群53は複数の回動体53aから構成される。第2回動体群53の構成は、上述した第1回動体群52と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0050】
図5に示す進退機構50bは、第1回動体群52及び第2回動体群53を備えるが、第1回動体群52のみを備える構成であってもよい。
【0051】
回動機構50cは、駆動源50aにより駆動されて長尺体1を長尺体1の中心軸周りに回動させる。具体的に、回動機構50cは、進退機構50bの支持本体51に支持され、第1回動体群52により進退移動すること可能な長尺体1を、長手方向Aに沿う長尺体1の中心軸の周りに回動させることができる。図5に示す回動機構50cは、進退機構50bの支持本体51に対して回動可能な回動体54を備える。この回動体54は、駆動源50aの駆動力により、支持本体51に対して回動する。回動体54は、例えば、長尺体1の外周面を径方向外側から挟持した状態で、長尺体1の中心軸周りに回動する。これにより、回動体54の回動に伴い、回動体54に挟持されている長尺体1も中心軸周りに回動する。つまり、回動体54は、長尺体1と共に長尺体1の中心軸周りを回動する共回り回転体である。但し、回動体54は、長尺体1の中心軸周りに長尺体1と共に回動する構成であればよく、挟持以外の方法で回動体54が長尺体1を保持していてもよい。また、図5に示す回動機構50cの回動体54は、進退機構50bの支持本体51に支持されているが、別の部材に支持されていてもよい。
【0052】
図5に示す駆動装置102の駆動源50a、進退機構50b及び回動機構50cは、医療装置101の制御部36により制御することができる。但し、駆動装置102が、医療装置101の制御部36とは別に、駆動源50a、進退機構50b及び回動機構50cを制御する制御部を備えていてもよい。
【0053】
本実施形態の医療装置セット100では、図5に示すような駆動装置102を備えるが、例えば長尺体1を人力で回動させる等してもよく、駆動装置102はなくてもよい。但し、駆動装置102を設けることで、長尺体1を中心軸周りに一定速度で回動させることができ、取得される断層画像の精度を高めることができる。
【0054】
また、図5に示す駆動装置102は、駆動源50a、進退機構50b及び回動機構50cを備えるが、長尺体1の外周面から長尺体1を中心軸周りに回動駆動できればよく、進退機構50bは無くてもよい。但し、駆動装置102が進退機構50bを備える構成とし、駆動源50aによる進退機構50bの駆動を遠隔操作できる構成とすれば、長尺体1の生体内での進退移動を遠隔操作できる。このようにすることで、患者の近くで手技を行う医療従事者の放射線被曝を抑制できる。駆動源50aによる進退機構50bの遠隔での駆動制御は、例えば、上述した医療装置101を利用して行うことが可能である。
【0055】
表示装置103は、医療装置101により生成されるラインデータ、断層画像などの情報を表示することができる。表示装置103は、医療装置101と有線又は無線により通信可能である。医療装置101の制御部36は、生成されるラインデータ、断層画像などの情報を、通信部35を通じて表示装置103に送信することができる。表示装置103は、受信したラインデータ、断層画像などの情報を液晶パネルなどの表示部に表示する。
【0056】
本実施形態の医療装置セット100では、医療装置101とは別に表示装置103を設けているが、医療装置101に表示部を設け、医療装置101の表示部に、ラインデータ、断層画像などの情報を表示してもよい。
【0057】
また、本実施形態の医療装置セット100では、医療装置101により生成されるラインデータ、断層画像などの情報を表示装置103のみに送信しているが、例えば、サーバなどの別の外部装置に対して送信するような構成であってもよい。
【0058】
更に、上述した本実施形態の医療装置セット100では、医療装置101の制御部36において、ラインデータ及び断層画像が生成されるが、医療装置101とは別の外部装置によりラインデータ及び断層画像を生成してもよい。つまり、医療装置101は、接続部31に接続されている状態の長尺体1から受信する電気信号、及び、回動検出部32が検出する回動情報、を取得できればよい。
【0059】
本開示に係る医療装置及び医療装置セットは、上述した実施形態に示す具体的な構成に限られず、特許請求の範囲に記載の発明の要旨を逸脱しない限り、種々の変形・変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本開示は、医療装置及び医療装置セットに関する。
【符号の説明】
【0061】
1:長尺体
1a:ガイドワイヤ
10:本体部
11:振動子
12:コネクタ部
13:信号線
31:接続部
31a:従動回動体
32:回動検出部
32a:円盤部
32b:発光部
32c:受光部
33:操作部
34:記憶部
35:通信部
36:制御部
40:窓部
50a:駆動源
50b:進退機構
50c:回動機構
51:支持本体
51a:支持面
52:第1回動体群
52a:第1回動体群の回動体
53:第2回動体群
53a:第2回動体群の回動体
54:回動体
55:太管
55a:コネクタ
100:医療装置セット
101:医療装置
102:駆動装置
103:表示装置
A:長尺体の長手方向
B:長尺体の周方向
図1
図2
図3
図4
図5