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特許7262398発光ダイオード及びその製造方法、アレイ基板並びに表示パネル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】発光ダイオード及びその製造方法、アレイ基板並びに表示パネル
(51)【国際特許分類】
   H10K 59/13 20230101AFI20230414BHJP
   H10K 59/131 20230101ALI20230414BHJP
   H10K 50/81 20230101ALI20230414BHJP
   H10K 50/822 20230101ALI20230414BHJP
   H10K 50/826 20230101ALI20230414BHJP
   H10K 50/828 20230101ALI20230414BHJP
   H10K 50/844 20230101ALI20230414BHJP
   H10K 71/00 20230101ALI20230414BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20230414BHJP
   H10K 102/10 20230101ALN20230414BHJP
   H10K 102/20 20230101ALN20230414BHJP
【FI】
H10K59/13
H10K59/131
H10K50/81
H10K50/822
H10K50/826
H10K50/828
H10K50/844
H10K71/00
G09F9/30 365
G09F9/30 338
G09F9/30 339
H10K102:10
H10K102:20
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019560724
(86)(22)【出願日】2018-11-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-04
(86)【国際出願番号】 CN2018113393
(87)【国際公開番号】W WO2020087435
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】シャオリャン・ディン
(72)【発明者】
【氏名】シュエ・ドン
(72)【発明者】
【氏名】ハイシェン・ワン
(72)【発明者】
【氏名】インミン・リュウ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ・リュウ
(72)【発明者】
【氏名】シュエヨウ・カオ
【審査官】酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-531261(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0249119(US,A1)
【文献】特開2016-118672(JP,A)
【文献】特開2010-230999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 59/00
H10K 50/00
H10K 71/00
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の透明電極層と、
前記第1の透明電極層上に位置する発光層と、
前記発光層の前記第1の透明電極層から離れた表面に位置し、透過孔を備える反射電極層と、
前記透過孔を覆い及び/又は充填する第2の透明電極層とを備える発光ダイオードであって
前記透過孔は、前記発光層から射出される光を伝播させて、前記第2の透明電極層を透過させるように構成されており、
前記発光ダイオードは、
前記第2の透明電極層の前記第1の透明電極層から離れた側に位置し、前記透過孔から伝播される光の強度の変化を感知するように構成された感光センサと、
前記反射電極層の前記第1の透明電極層から離れた側に位置し、前記感光センサへ光を反射するように構成された光反射素子とをさらに備え、
前記光反射素子の前記第1の透明電極層上の正射影は、前記透過孔の前記第1の透明電極層上の正射影と少なくとも部分的に重なっている、発光ダイオード。
【請求項2】
前記透過孔は、前記反射電極層を貫通する、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項3】
前記透過孔は、前記反射電極層を貫通する複数のサブ孔を備える、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項4】
前記透過孔は、前記反射電極層内の溝内に位置する、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項5】
前記第2の透明電極層は、前記透過孔内に位置する、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項6】
前記透過孔内に透明導電材料をさらに備え、前記第2の透明電極層は、前記透明導電材料及び前記透過孔を覆う、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項7】
前記第2の透明電極層は、前記透過孔を覆い、さらに伸びて前記反射電極層の少なくとも一部を覆う、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項8】
画素領域の表面に平行な平面における前記透過孔の断面の面積は、前記画素領域の面積0.5%10%である、請求項1~7のいずれか一項に記載の発光ダイオード。
【請求項9】
複数の画素領域の各々における前記透過孔の相対位置は実質的に同一である、請求項8に記載の発光ダイオード。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の発光ダイオードと、前記発光ダイオードを駆動する薄膜トランジスタとを備える、アレイ基板。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載の発光ダイオードを備える、表示パネル。
【請求項12】
第1の基板と、
第2の基板とをさらに備え、
前記第1の透明電極層と、前記発光層と、前記反射電極層と、前記第2の透明電極層とは、前記第1の基板と、前記第2の基板との間に位置し、
前記感光センサは、前記第2の基板の前記第1の基板に面する側に位置する、請求項11に記載の表示パネル。
【請求項13】
前記感光センサの前記第2の基板から離れた側に第3の基板又は保護層をさらに備える、請求項12に記載の表示パネル。
【請求項14】
前記感光センサに結合されて、前記感光センサからの信号を検知するための検出器をさらに備え、前記信号は、前記発光層からの光の強度の変化に基づくものである、請求項11~13のいずれか一項に記載の表示パネル。
【請求項15】
前記検出器によって検出された信号に基づいて前記発光層を補償するように構成された回路をさらに備える、請求項14に記載の表示パネル。
【請求項16】
第1の透明電極層を形成することと、
前記第1の透明電極層上に発光層を形成することと、
前記発光層上に反射電極層を形成することと、
前記反射電極層内に透過孔を形成することと、
第2の透明電極層を形成して前記透過孔を覆い及び/又は充填することとを含み、
前記透過孔は、前記発光層から射出される光を伝播させて、前記第2の透明電極層を透過させるように構成されている、発光ダイオードの製造方法であって、
前記第2の透明電極層の前記第1の透明電極層から離れた側に、前記透過孔から伝播される光の強度の変化を感知するように構成された感光センサを形成することと、
前記反射電極層の前記第1の透明電極層から離れた側に、前記感光センサへ光を反射するように構成された光反射素子を形成し、前記光反射素子の前記第1の透明電極層上の正射影が、前記透過孔の前記第1の透明電極層上の正射影と少なくとも部分的に重なるようにすることとをさらに含む発光ダイオードの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示技術に関し、より具体的には、発光ダイオード及びその製造方法、アレイ基板並びに表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)装置等の他の表示装置と比べ、有機発光ダイオード(OLED)表示装置は、バックライトを必要としない自己発光型の装置である。OLEDディスプレイ装置は、応答が速く、視野角がより広く、輝度が高く、発色がより鮮明で、より薄くかつ軽量であるという利点を有し、ディスプレイ分野において広範な用途を見出している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は発光ダイオードに関する。この発光ダイオードは、透過孔を有する反射電極層を備えてもよい。第2の透明電極層を形成して透過孔を覆い又は充填している。発光ダイオードの画素領域からの光は透過孔を通過し、第2の透明電極層を透過して感光センサに達することができる。感光センサは、各画素領域から射出される光の強度をリアルタイムで感知できる。
【0004】
そこで、本開示の一例は発光ダイオードである。発光ダイオードは、第1の透明電極層と、第1の透明電極層上に位置する発光層と、発光層の第1の透明電極層から離れた表面に位置する反射電極層とを備え、反射電極層は、透過孔を覆い及び/又は充填する透過孔及び第2の透明電極層とを備える。透過孔は、発光層から射出される光を伝播させて、第2の透明電極層を透過させるように構成されていてもよい。
【0005】
本開示のもう1つの例はアレイ基板である。このアレイ基板は、本開示の一実施形態における発光ダイオードと、発光ダイオードを駆動する薄膜トランジスタ(TFT)とを備えてもよい。
【0006】
本開示のもう1つの例は表示パネルである。この表示パネルは、本開示の一実施形態における発光ダイオードを備えてもよい。
【0007】
本開示のもう1つの例は発光ダイオードの製造方法である。この発光ダイオードの製造方法は、第1の透明電極層を形成することと、第1の透明電極層上に発光層を形成することと、発光層上に反射電極層を形成することと、反射電極層内に透過孔を形成することと、第2の透明電極層を形成して透過孔を覆い及び/又は充填することとを含んでもよい。透過孔は、発光層から射出される光を伝播させて第2の透明電極層を透過させるように構成されている。
【0008】
本明細書に付した特許請求の範囲において、本発明の主題を具体的に示し明確に請求した。本発明の上述した内容及びその他の目的、特徴並びに利点は、添付の図面とあわせ、以下の詳しい説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のいくつかの実施形態における発光ダイオードの構造を示す模式図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態における発光ダイオードの構造を示す模式図である。
図3】本発明のいくつかの実施形態における発光ダイオードの構造を示す模式図である。
図4】本発明のいくつかの実施形態における発光ダイオードの複数の画素領域各々における透過孔の相対位置を示す模式図である。
図5】本発明のいくつかの実施形態における発光ダイオードの構造を示す模式図である。
図6】本発明のいくつかの実施形態における発光ダイオードの複数の画素領域各々における透過孔の相対位置を示す模式図である。
図7】本発明のいくつかの実施形態における発光ダイオードの構造を示す模式図である。
図8】本発明のいくつかの実施形態における発光ダイオードの構造を示す模式図である。
図9】本発明のいくつかの実施形態における感光センサの構造を示す模式図である。
図10】本発明のいくつかの実施形態における発光ダイオードの製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
当業者が本開示の技術案を理解しやすいように、添付の図面および実施形態を参照しつつ、本開示についてさらに詳細に説明する。本開示の説明全体を通じて図1~10を参照する。図面を参照する際、同様の構造および要素は、全体を通じて同様の参照番号で示す。
【0011】
大型有機発光ダイオード(OLED)パネルでは、電子補償構造及び方法がしばしば用いられる。しかし、これらの構造及び方法は、OLED内の薄膜トランジスタ(TFT)の特性に起因する異常な表示しか補償できず、OLED内の発光層の材料の老化に起因する異常な表示を補償することはできない。
【0012】
そこで、本開示のいくつかの実施形態における発光ダイオードの概略的な構造を図1に示す。いくつかの実施形態において、図1に示すように、発光ダイオード10は、第1の透明電極層200と、第1の透明電極層200に形成された発光層500と、発光層500の第1の透明電極層200から離れた表面に形成される反射電極層300と、を備えている。反射電極層は、透過孔600を備えている。発光ダイオード10は、透過孔600を覆い及び/又は充填する第2の透明電極層400をさらに備えている。透過孔600は、発光層500から射出される光を伝播させて、第2の透明電極層400を透過させるように構成されている。つまり、発光層500から射出される光は透過孔600を通過した後、第2の透明電極層400に達し、次いで第2の透明電極層400を透過している。
【0013】
いくつかの実施形態において、図1に点線で囲んだように、反射電極層300内に透過孔600が形成されている。いくつかの実施形態において、透過孔600は反射電極層300を部分的に貫通している。いくつかの実施形態において、透過孔600は反射電極層300を完全に貫通している。
【0014】
いくつかの実施形態において、発光ダイオードは、反射電極層300と発光層500との間に位置する電子輸送層(ETL)及び電子注入層(EIL)、並びに第1の透明電極層200と発光層500との間に位置する正孔輸送層(HTL)及び正孔注入層(HIL)等のその他の層(図示せず)を含んでもよい。いくつかの実施形態において、透過孔600は、反射電極層300を貫通し、発光層500と物理的に接触している。いくつかの実施形態において、透過孔600は、反射電極層300を貫通し、EIL等の最も近い層と物理的に接触している。
【0015】
いくつかの実施形態において、図4に示すように、各画素領域は1つの透過孔600を有している。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの画素領域が複数の透過孔600を有している。いくつかの実施形態において、いくつかの画素領域は各々1つの透過孔を有し、いくつかの画素領域は各々複数の透過孔を有している。
【0016】
透過孔の機能の1つは、発光層500から射出される光を第2の透明電極層400に伝播することである。反射電極層300に透過孔が貫通する程度又は深さに関して制限はない。透過孔の深さは、反射電極層の厚みの50%、65%、75%、85%、90%、99%又は100%であってよい。例えば、透過孔600は反射電極層300を100%貫通してもよい。いくつかの実施形態において、透過孔600は、反射電極層300の発光層に面するか又は発光層から離れた表面から、反射電極層の厚みの約99%、90%~98%、85%~89%、75%~84%、65%~74%又は50%~64%の深さまで、反射電極層300を貫通してもよい。透過孔が反射電極層300を貫通しない場合、透過孔は、反射電極層の発光層に面するか又は発光層から離れた表面に開口を有することができる。複数の画素領域におけるすべての透過孔は、反射電極層300の内部において、各々同一又は異なる深さを有してもよい。いくつかの実施形態において、図6に示すように、透過孔600は、反射電極層300を貫通する複数のサブ孔601を備えている。いくつかの実施形態において、サブ孔601は反射電極層300を部分的に貫通している。いくつかの実施形態において、サブ孔601は反射電極層300を完全に貫通している。
【0017】
いくつかの実施形態において、図6に示すように、反射電極層300は複数のサブ孔601を備え、少なくとも1つの画素領域が複数のサブ孔601を有してもよい。いくつかの実施形態において、いくつかの画素領域は各々1つの透過孔600を有し、いくつかの画素領域は各々複数のサブ孔601を有している。いくつかの実施形態において、各画素領域は複数のサブ孔601を有している。いくつかの実施形態において、いくつかの画素領域は各々1つの透過孔600を有し、いくつかの画素領域は各々複数のサブ孔601を有し、いくつかの画素領域は各々複数の透過孔600を有している。
【0018】
透過孔600及びサブ孔601の機能の1つは、発光層500から射出される光を第2の透明電極層400に伝播することである。サブ孔が反射電極層を貫通する程度に関して制限はない。例えば、サブ孔601は反射電極層300を100%貫通してもよい。いくつかの実施形態において、サブ孔の深さは、反射電極層の厚みの約50%、65%、75%、85%、90%、95%、98%又は100%であってよい。すべてのサブ孔は、反射電極層の内部において、各々同一又は異なる深さを有してもよい。
【0019】
いくつかの実施形態において、透過孔は、反射電極層300の発光層に面するか又は発光層から離れた表面に形成された溝であってもよい。言い換えれば、溝は反射電極層300を貫通せず、溝の底から反射電極層300の対向面まで一定の距離がある。反射電極層300の対向面は、反射電極層のその上に溝が形成された表面と対向する表面である。この距離は、透過孔の機能を実現できる十分小さいものでなければならない。いくつかの実施形態において、溝は反射電極層300を貫通している。
【0020】
いくつかの実施形態において、図1に点線で囲んだように、第2の透明電極層400は透過孔600の内部に充填され、さらに透過孔600の外部にまで伸びて反射電極層300の少なくとも一部を覆っている。いくつかの実施形態において、第2の透明電極層400は、透過孔600を除く連続層であり、第2の透明電極層400は反射電極層300と形状が一致している。いくつかの実施形態において、第2の透明電極層400の透過孔600の内部に位置する部分は、反射電極層300の側面に接触している。いくつかの実施形態において、第2の透明電極層400は、透過孔600の内部のみに位置し、反射電極層300の側面に接触している。いくつかの実施形態において、発光ダイオードは、透過孔の内部に位置する透明導電材料をさらに備え、第2の透明電極層400は透明導電材料に接触している。例えば、透明導電材料は透過孔600を完全に充填してもよい。いくつかの実施形態において、透明導電材料は、透過孔600の深さの99%、90%~98%、85%~89%、75%~84%、65%~74%、又は50%~64%の高さまで透過孔600を充填することができる。透明導電材料で透過孔を充填すると、第2の透明電極層400を透明導電材料上に形成することができる。
【0021】
いくつかの実施形態において、図1に示すように、発光ダイオードは、複数の画素領域、及び隣接する画素領域の間の複数の画素間領域をそれぞれ定義する画素定義層103をさらに備えている。図4に示すように、各矩形は画素領域を表し、複数の画素領域の各々は透過孔を1つ有している。いくつかの実施形態において、複数の画素領域のうちの少なくとも1つは透過孔を有している。いくつかの実施形態において、画素領域における透過孔の面積は、対応する画素領域の面積の約0.5%~10%、又は約1%~9%、又は約2%~8%、又は約3%~7%、又は約4%~6%、又は約5%である。複数の画素領域の各々における透過孔の面積は、同一であっても異なってもよい。透過孔の面積とは、反射電極層の表面に平行な平面における透過孔の断面の面積をいう。
【0022】
いくつかの実施形態において、図4に示すように、複数の画素領域の各々における透過孔の相対位置は実質的に同一である。透過孔は、画素領域のどの位置に位置してもよく、画素領域の面積と比べて透過孔の面積はあまりに小さいため、透過孔の位置に関して制限はない。いくつかの実施形態において、複数の画素領域の各々における透過孔の相対位置は同一である。
【0023】
いくつかの実施形態において、図4に示すように、各画素領域は透過孔を有し、つまり、反射電極層は複数の透過孔を有し、各透過孔は1つの画素領域に位置する。
【0024】
各透過孔は各画素領域のごく小さい面積を占めるにすぎないため、各画素領域における透過孔の位置又は相対位置に対し特に要件はない。いくつかの実施形態において、図4に示すように、複数の画素領域の各々における透過孔600の相対位置は同一である。つまり、複数の画素領域における透過孔は、すべて第1の方向又は第2の方向に直線に沿って配置されている。いくつかの実施形態において、複数の画素領域の各々における透過孔600の相対位置は実質的に同一である。つまり、複数の画素領域における透過孔の中心は、すべて第1の方向又は第2の方向に実質的に直線に沿って配置されている。本明細書において「実質的に」とは、直線が各透過孔の少なくとも一部を通過することを意味する。
【0025】
いくつかの実施形態において、第1の方向は行方向であり、第2の方向は列方向である。いくつかの実施形態において、図4に示すように、画素領域は第1の方向及び第2の方向に沿ってアレイ状に配置されている。各画素領域は透過孔を有し、対応する画素領域内に位置する各透過孔の相対位置は、同一であるか又は実質的に同一である。
【0026】
いくつかの実施形態において、図1に示すように、発光ダイオードは感光センサ700を備え、感光センサ700は、反射電極層300内の透過孔600から伝播される光の強度の変化を感知するように構成されている。透過孔があるため、発光層500から射出される光は透過孔600を通過した後、第2の透明電極層400を透過して感光センサ700に達する。透過孔の寸法又は大きさは、感光センサの感光性及び/又は検出精度要件と関連する。透過孔の形状に関して制限はなく、例えば、反射電極層に垂直な平面における透過孔の断面は矩形又は台形であってよい。
【0027】
いくつかの実施形態において、図1に示すように、感光センサ700は、第2の透明電極層400の第1の透明電極層200から離れた側に形成されている。感光センサの第1の透明電極層200上の正射影は、透過孔600の第1の透明電極層200上の正射影と少なくとも部分的に重なっている。いくつかの実施形態において、図1に示すように、発光ダイオードは、第2の透明電極層400の反射電極層300から離れた側に平坦化層102をさらに備えている。感光センサ700は、平坦化層102の第2の透明電極層400から離れた表面に形成されている。いくつかの実施形態において、図1に示すように、感光センサ700は、平坦化層102に形成された溝に形成されている。いくつかの実施形態において、感光センサの第1の透明電極層200上の正射影は、透過孔600の第1の透明電極層200上の正射影と完全に重なっている。
【0028】
透過孔から伝播される光の強度の変化を感光センサが感知できる限り、感光センサと透過孔との位置関係は制限されない。いくつかの実施形態において、感光センサの第1の透明電極層200上の正射影は、透過孔600の第1の透明電極層200上の正射影と重ならない。いくつかの実施形態において、図7に示すように、感光センサは、平坦化層の反射電極層300に面する側、又は平坦化層102と反射電極層300との間の任意の位置に位置することができる。発光ダイオードは、光反射素子800をさらに備えている。光反射素子800は、光を感光センサへ反射する機能を有する層、パターン、粒子であってよい。光反射素子800は、感光センサ700へ光を反射するように構成されている。いくつかの実施形態において、図7に示すように、光反射素子800の第1の透明電極層200上の正射影は、透過孔600の第1の透明電極層200上の正射影と少なくとも部分的に重なっている。いくつかの実施形態において、光反射素子800の第1の透明電極層200上の正射影は、透過孔600の第1の透明電極層200上の正射影と完全に重なっている。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態は、ボトムエミッション型ダイオード等の発光ダイオードのための補償デバイスを提供している。ボトムエミッション型ダイオードにおける反射電極層は透過孔を備えている。ボトムエミッション型ダイオードは、透過孔を覆い及び/又は充填する第2の透明電極層をさらに備えてもよい。ボトムエミッション型ダイオードの画素領域からの光は透過孔を通過し、第2の透明電極層を透過して感光センサに達することができる。感光センサは、各画素領域から射出される光の強度をリアルタイムで感知することができる。光の強度の変化に基づく信号を収集した後、各画素の発光強度を検知又は確定することができる。光の強度が低いか又は信号が変化した場合、検出された信号に基づいてボトムエミッション型ダイオードの光を補償することができる。このため、信号及び/又は光の強度の変化に基づいて、光学補償をリアルタイムで実現できる。これは、電子補償と比べて発光ダイオードの光を直接補償する方法である。この補償デバイスは、発光層の材料の老化に起因する光の強度の変化に対する補償をリアルタイムで実現できる。
【0030】
本開示のもう1つの例はアレイ基板を提供する。アレイ基板は、上記の任意の実施形態における発光ダイオードを備える。いくつかの実施形態において、アレイ基板は、発光ダイオードを駆動するTFTをさらに備えている。いくつかの実施形態において、図1~3及び7に示すように、TFTは、ゲート電極203と、ソース電極201と、ドレイン電極202と、ゲート絶縁層204と、活性層205とを備える。アレイ基板は、シールド層108、バッファ層107、層間誘電層106、樹脂層104、パッシベーション層105およびカラーフィルタ層603等の機能層をさらに備えてもよい。ドレイン電極202は、第1の透明電極層200と電気的に結合されている。いくつかの実施形態において、アレイ基板はOLEDアレイ基板であってもよい。
【0031】
いくつかの実施形態において、第1の透明電極層200はアノード層であってもよく、反射電極層300はカソード層であってもよい。アノード層は、ドレイン電極202と電気的に結合されている。
【0032】
本開示のもう1つの例は表示パネル20を提供する。表示パネル20は、本開示の任意の上記実施形態における発光ダイオードを備えている。いくつかの実施形態において、表示パネル20は、本開示の一実施形態におけるアレイ基板を備えている。
【0033】
いくつかの実施形態において、図1及び図7に示すように、感光センサ700は、発光ダイオード10の一部である。
【0034】
いくつかの実施形態において、感光センサ700は、表示パネル20の一部として配置することができる。いくつかの実施形態において、図2及び3に示すように、表示パネル20は、第1の基板100と、第2の基板101と、感光センサ700とを備えている。感光センサ700は、反射電極層300内の透過孔600から伝播される光の強度の変化を感知するように構成されている。第1の透明電極層200と、発光層500と、反射電極層300と、第2の透明電極層400とは、第1の基板100と、第2の基板101との間に配置されている。いくつかの実施形態において、図2に示すように、感光センサ700は第2の基板101の第1の基板100から離れた側に位置し、感光センサ700の第1の透明電極層200上の正射影は、透過孔600の第1の透明電極層200上の正射影と少なくとも部分的に重なっている。いくつかの実施形態において、図2に示すように、表示パネルは、感光センサ700の第2の基板101から離れた側に第3の基板302をさらに備えている。感光センサ700は、第2の基板101と第3の基板302との間に形成されている。いくつかの実施形態において、感光センサ700の第1の透明電極層200上の正射影は、透過孔600の第1の透明電極層200上の正射影と完全に重なっている。製造工程において、感光センサは、第3の基板302上に形成されてもよい。第3の基板及び感光センサは発光ダイオードに付置されて表示パネル又は装置を形成している。
【0035】
いくつかの実施形態において、図3に示すように、感光センサ700は、第2の基板101の第1の基板100から離れた側に位置し、感光センサ700の第1の透明電極層200上の正射影は、透過孔600の第1の透明電極層200上の正射影と少なくとも部分的に重なっている。いくつかの実施形態において、図3に示すように、発光ダイオードは、感光センサ700の第2の基板101から離れた側に、感光センサ700を覆う保護層301をさらに備えている。感光センサ700は、第2の基板101と保護層301との間に形成されている。いくつかの実施形態において、感光センサ700の第1の透明電極層200上の正射影は、透過孔600の第1の透明電極層200上の正射影と完全に重なっている。製造工程において、発光ダイオード上に感光センサを形成した後、感光センサを覆うように保護層を形成して、表示パネル又は装置を形成してもよい。
【0036】
透過孔から伝播される光の強度の変化を感光センサが感知できる限り、感光センサと透過孔との位置関係は制限されない。いくつかの実施形態において、感光センサの第1の透明電極層200上の正射影は、透過孔600の第1の透明電極層200上の正射影と重ならない。例えば、図8に示すように、感光センサは透過孔と直接対応する位置以外の任意の位置にあってよい。発光ダイオードは、光反射素子800をさらに備えてもよい。光反射素子800は、光を感光センサへ反射する機能を有する層、パターン、粒子であってよい。光反射素子800は、感光センサ700へ光を反射するように構成されている。いくつかの実施形態において、図8に示すように、光反射素子800の第1の透明電極層200上の正射影は、透過孔600の第1の透明電極層200上の正射影と少なくとも部分的に重なっている。いくつかの実施形態において、光反射素子800の第1の透明電極層200上の正射影は、透過孔600の第1の透明電極層200上の正射影と完全に重なっている。感光センサ700は、光反射素子800に面する、光を受光するための感知面を有する。
【0037】
いくつかの実施形態において、図2に示すように、表示パネルは、感光センサ700に結合された、感光センサ700からの信号を検知するための検出器を備えている。この信号は、発光層の光の強度の変化に基づくものである。
【0038】
いくつかの実施形態において、表示パネルは、検出器によって検出された信号に基づいて発光層を補償する回路を備えている。
【0039】
本開示のもう1つの例は表示装置を提供する。この表示装置は、本開示の任意の上記実施形態における発光ダイオードを備える。いくつかの実施形態において、表示装置は、本開示の一実施形態におけるアレイ基板を備えている。いくつかの実施形態において、表示装置は、本開示の一実施形態における表示パネルを備えている。表示装置は、電子ペーパーディスプレイ、携帯電話、タブレットコンピュータ、テレビセット、ディスプレイ、ノートブックコンピュータ、デジタルフォトフレーム、ナビゲーション装置等の表示機能を有する任意の製品又は部品であってよい。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態は、本発明の一実施形態におけるボトムエミッション型ダイオード等の発光ダイオードを有する表示装置、表示パネル及びアレイ基板用の補償デバイスを開示している。ボトムエミッション型ダイオードにおける反射電極層は透過孔を備えている。第2の透明電極層を形成して透過孔を覆い又は充填している。ボトムエミッション型ダイオードの画素領域からの光は透過孔を通過し、第2の透明電極層を透過して感光センサに達することができる。感光センサは、各画素領域から射出される光の強度をリアルタイムで感知することができる。光の強度の変化に基づく信号を収集した後、各画素から射出される光の強度を検知又は確定することができる。光の強度が低いか又は信号が変化すると、ボトムエミッション型ダイオードの光が補償される。信号及び/又は光の強度の変化に基づいて、光学補償をリアルタイムで実現できる。これは、電子補償と比べて発光ダイオードの光を直接補償する方法である。この補償デバイスは、発光層の材料の老化に対する補償をリアルタイムで実現できる。
【0041】
本開示のもう1つの例は発光ダイオードの製造方法を提供する。図10に示すように、当該製造方法は、以下の102~110のステップを含む。
【0042】
ステップ102は、第1の透明電極層を形成することを含み、
ステップ104は、第1の透明電極層上に発光層を形成することを含み、
ステップ106は、発光層上に反射電極層を形成することを含み、
ステップ108は、反射電極層内に透過孔を形成することを含み、
ステップ110は、第2の透明電極層を形成して透過孔を覆い又は充填することを含む。
【0043】
透過孔は、発光層から射出される光を伝播させて、第2の透明電極層を透過させるように構成されている。
【0044】
いくつかの実施形態において、反射電極層内の透過孔は、低温ドライエッチング等の、反射電極層のビアホールをエッチングすることを含む方法により形成されてもよい。いくつかの実施形態において、ステップ106及びステップ108は、例えば、発光層上に透過孔を有する反射電極層を印刷することによって1つの処理で実行してもよい。
【0045】
いくつかの実施形態において、透過孔はボトムエミッション型ダイオードのカソード層内に形成されている。カソード層は、アルミニウム(Al)からなり、厚みは約150nmである。いくつかの実施形態において、ステップ106は、発光層上にAl層を形成し、Al層をエッチングしてAl層を貫通するビアホールを形成することを含む。ステップ110において、ITO層はビアホールを覆い及び/又は充填するように形成されている。
【0046】
いくつかの実施形態において、ステップ108は、反射電極層を貫通する透過孔を形成することを含む。
【0047】
いくつかの実施形態において、ステップ108は、反射電極層を貫通する複数のサブ孔を形成して透過孔を形成することを含む。
【0048】
いくつかの実施形態において、ステップ108は、反射電極層に溝を形成して透過孔を形成することを含む。
【0049】
いくつかの実施形態において、図10に示すように、発光ダイオードの製造方法はステップ112をさらに含む。
【0050】
ステップ112は、第2の透明電極層の第1の透明電極層から離れた側に感光センサを形成することを含み、感光センサは、透過孔から伝播される光の強度の変化を感知するように構成される。
【0051】
本開示の別の例は、表示パネルにおける発光ダイオードの光を補償する方法を提供する。この補償方法は、ステップ200~206を含む。
【0052】
ステップ200は、透過孔及び第2の透明電極層を透過する光をセンサにより感知することを含む。
【0053】
ステップ202は、センサからの信号を検出することを含む。
【0054】
ステップ204は、センサの信号に基づいて補償値を算出することを含む。
【0055】
ステップ206は、補償値に基づいて発光ダイオードの光を補償することを含む。
【0056】
いくつかの実施形態において、この補償方法は、すべての画素から射出される光がガンマ曲線に一致するように、CCD(電荷結合素子)により画素画像を調整することを含んでもよい。いくつかの実施形態において、この補償方法は、センサの値を0~255のグレースケール値に対応させるように感光センサを調整し、そのグレースケール値を記憶することを含んでもよい。センサの値は、センサからの信号に基づいている。集積回路(IC)を用いてこの値を記憶することができる。いくつかの実施形態において、発光ダイオードをターンオン及び/又はターンオフしている間にこの補償方法を実行してもよい。例えば、発光ダイオードをターンオンしている間に、いくつかの固定グレースケール値及び/又はいくつかの固定グレースケール値に対応するいくつかの固定表示輝度値がランダムに選択される。センサは、光を検出しセンサの値を生成した後、生成されたセンサの値を記憶された値と比較することができる。比較結果にしたがって、発光ダイオードに入力されたデータ信号を調整することができる。OLEDが老化するとガンマ曲線がシフトする。比較の結果、輝度が強すぎることが分かった場合、輝度を下げることができる。すると、センサは、画像の表示中に発光ダイオードの光を再び検出し、再び比較を行った後、再び相応の補償を行う。補償の全プロセスは、リアルタイムで調整が実現され、ガンマ曲線のシフトを許容範囲内に確保することができる。
【0057】
図5に示すように、発光ダイオードはいずれもボトムエミッション型である。感光センサ700は、第3の基板302上に形成されている。第2の基板の発光層から離れた側に第3の基板302及び感光センサ700が付置されている。各サブ画素は、光を感知するための感光センサを有する。いくつかの実施形態において、特定の間隔をおいて感光センサを配置することができる。一実施形態において、3つのサブ画素ごとに感光センサを有している。感光センサは、3つのサブ画素のうちのいずれかの上に配置することができる。感光センサは、このサブ画素からの光を検知し、検出した光を、3つのサブ画素を含む画素の代表として用いることができる。
【0058】
感光センサの構造は制限されない。いくつかの実施形態において、図9に示すように、感光センサは、PIN接合及びTFTを備えている。PIN接合は、電源端子VSSに結合される第1端と、TFTの第1の電極に結合される第2端とを有している。TFTの第2の電極は、PIN接合からの信号を読み出し線に伝播してさらなる処理に用いるために、読み出し線に結合される。
【0059】
本明細書では本開示の原理及び実施形態について述べた。本開示の実施形態に関する説明は、本開示の方法及びその主な構想を理解するのを助けるためのものにすぎない。また、当業者にとって、本開示は本開示の範囲に関連し、技術実施形態は技術特徴の特定の組み合わせに限定されず、本発明の構想から逸脱しない限り、技術特徴又は技術特徴と均等な特徴を組み合わせて構成されるその他の技術実施形態も網羅する。例えば、本開示で上述した特徴(しかし、これらに限らない)を同様の特徴と置き換えて技術実施形態を得ることができる。
【符号の説明】
【0060】
10 発光ダイオード
200 第1の透明電極層
300 反射電極層
400 第2の透明電極層
500 発光層
600 透過孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10