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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】ドア開閉システム
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/77 20150101AFI20230414BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20230414BHJP
   E05F 15/79 20150101ALI20230414BHJP
【FI】
E05F15/77
E05B49/00 J
E05F15/79
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020020173
(22)【出願日】2020-02-07
(65)【公開番号】P2021123987
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000155067
【氏名又は名称】ミネベアアクセスソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】上村 具範
(72)【発明者】
【氏名】藪下 和樹
(72)【発明者】
【氏名】今泉 剛
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-132131(JP,A)
【文献】特表2015-512005(JP,A)
【文献】実開平06-035560(JP,U)
【文献】特開平06-173509(JP,A)
【文献】特開2013-064246(JP,A)
【文献】特開2002-070422(JP,A)
【文献】特開2017-008707(JP,A)
【文献】特開2000-257336(JP,A)
【文献】特開2021-031978(JP,A)
【文献】特開2003-307078(JP,A)
【文献】実開昭63-140488(JP,U)
【文献】米国特許第05987818(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/77
E05B 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアの開閉を要求する無線信号を送信する携帯機器と、
前記無線信号に表された要求に基づいて前記ドアに設置されている施解錠機構を操作することにより前記ドアを施錠状態または解錠状態に移行させるとともに、前記無線信号に応じた前記ドアの開閉を指示する開閉指示信号を出力する施解錠装置と、
前記ドアが解錠状態である場合、前記開閉指示信号に応じて、前記ドアを開状態または閉状態に移行させる開閉制御信号を出力する開閉制御装置と、
前記ドアに設置され、前記開閉制御信号に応じて前記ドアを開状態または閉状態に移行させる開閉装置と、
を備え
前記施解錠装置は、
前記ドアを閉めることを要求する前記無線信号を受信した場合、
前記ドアの閉状態への移行を指示する開閉指示信号を前記開閉制御装置に出力し、
前記ドアの解錠状態への移行を指示する施解錠指示信号に応じて、前記施解錠機構を解錠状態に操作し、
前記施解錠機構により前記ドアの解錠状態への移行が完了した後に、前記施解錠機構により前記ドアの解錠状態への移行が完了したことを表す解錠完了通知を前記開閉制御装置に出力し、
前記ドアが閉状態となったことを表すドア閉完了通知が入力された後に、前記施解錠機構を施錠状態に操作し、
前記開閉制御装置は、
前記開閉指示信号に応じて、前記ドアが開状態であるか閉状態であるかを判定し、
前記ドアが閉状態である場合には、前記ドア閉完了通知を前記施解錠装置に出力し、
前記ドアが開状態である場合には、前記ドアが施錠状態であるか解錠状態であるかを表す施解錠状態情報を前記施解錠装置から入手し、
前記施解錠状態情報が前記ドアが解錠状態であることを表す場合には、前記ドアを閉状態に移行させる前記開閉制御信号を出力し、
前記施解錠状態情報が前記ドアが施錠状態であることを表す場合には、前記施解錠指示信号を前記施解錠装置に出力し、前記施解錠装置により前記解錠完了通知が出力された後に、前記ドアを閉状態に移行させる前記開閉制御信号を出力し、
前記ドアが閉状態となった後に、前記ドア閉完了通知を前記施解錠装置に出力する、
ドア開閉システム。
【請求項2】
前記施解錠装置は、
前記ドアを閉めることを要求する前記無線信号を受信した場合、
前記ドアが施錠状態である場合には、前記ドアが施錠状態であることを通知手段に通知させる、
請求項に記載のドア開閉システム。
【請求項3】
ドアの開閉を要求する無線信号を送信する携帯機器と、
前記無線信号に表された要求に基づいて前記ドアに設置されている施解錠機構を操作することにより前記ドアを施錠状態または解錠状態に移行させるとともに、前記無線信号に応じた前記ドアの開閉を指示する開閉指示信号を出力する施解錠装置と、
前記ドアが解錠状態である場合、前記開閉指示信号に応じて、前記ドアを開状態または閉状態に移行させる開閉制御信号を出力する開閉制御装置と、
前記ドアに設置され、前記開閉制御信号に応じて前記ドアを開状態または閉状態に移行させる開閉装置と、
を備え、
前記開閉制御装置は、
前記無線信号を受信した場合、
前記ドアが施錠状態であるか解錠状態であるかを表す施解錠状態情報を前記施解錠装置から入手し、
入手した前記施解錠状態情報が表す前記ドアの状態に基づいて前記開閉制御信号を出力する、
ドア開閉システム。
【請求項4】
前記開閉制御装置は、
前記無線信号が前記ドアを閉める要求である場合、
前記施解錠状態情報が前記ドアが解錠状態であることを表す場合には、前記ドアを閉状態に移行させる前記開閉制御信号を出力し、
前記施解錠状態情報が前記ドアが施錠状態であることを表す場合には、前記施解錠状態情報により前記ドアが解錠状態であることが確認された後に、前記ドアを閉状態に移行させる前記開閉制御信号を出力し、
前記ドアが閉状態となった後に、前記ドアの施錠状態への移行を指示する施解錠指示信号を前記施解錠装置に出力し、
前記施解錠装置は、
前記施解錠指示信号に応じて、前記施解錠機構を施錠状態に操作する、
請求項に記載のドア開閉システム。
【請求項5】
前記開閉制御装置は、
前記ドアを閉めることを要求する前記無線信号を受信した場合、
前記施解錠状態情報が前記ドアが施錠状態であることを表す場合には、前記ドアが施錠状態であることを通知手段に通知させる、
請求項または請求項に記載のドア開閉システム。
【請求項6】
前記施解錠装置を複数備え、
前記開閉制御装置は、それぞれの前記施解錠装置により前記ドアの同じ状態への移行を指示する前記開閉指示信号が出力された場合、前記ドアをそれぞれの前記開閉指示信号が表す状態に移行させる前記開閉制御信号を出力する、
請求項1または請求項に記載のドア開閉システム。
【請求項7】
前記施解錠装置を複数備え、
前記開閉制御装置は、それぞれの前記施解錠装置から入手した全ての前記施解錠状態情報が前記ドアが解錠状態であることを表す場合、前記ドアを前記無線信号の要求に応じた状態に移行させる前記開閉制御信号を出力する、
請求項から請求項のうちいずれか1項に記載のドア開閉システム。
【請求項8】
前記施解錠装置と前記開閉制御装置とは、無線通信によりそれぞれの信号のやり取りをする、
請求項1から請求項のうちいずれか1項に記載のドア開閉システム。
【請求項9】
前記施解錠装置と前記開閉制御装置とは、前記無線信号を受信したときから第1の所定時間が経過した後にそれぞれの信号のやり取りをする、
請求項に記載のドア開閉システム。
【請求項10】
前記施解錠装置を複数備える場合、
一方の前記施解錠装置は、他方の前記施解錠装置における前記開閉制御装置との間の無線通信の期間に重複しないように、さらに第2の所定時間が経過した後にそれぞれの信号のやり取りをする、
請求項に記載のドア開閉システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア開閉システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯機を操作することにより送信された無線信号を受信し、受信した無線信号に応じてドアの錠を施錠または解錠するとともに、ドアの開閉を自動で行う自動ドア装置に関する技術が開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平1-192979号公報
【文献】特開2003-307078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の自動ドア装置では、開閉を開始する段階におけるドアの錠の状態が、前回制御した状態から変化していないことを前提としている。このため、従来の自動ドア装置では、前回制御したときからドアの錠の状態が変更されてしまった場合などにおいて起こり得る問題に関しての十分な検討がなされていない。
【0005】
例えば、解錠状態となっている場合には、ドアを施錠するためのデットボルトがドア内に退避された状態になっているが、仮に、住人によって意図的に、または意図せずに、ドアが閉められる前に施錠状態に変更されてしまった場合には、デットボルトがドアから突出した状態となってしまう。この状態においてドアを閉める制御を行うと、突出しているデットボルトがドア枠に衝突し、ドアを閉めることができなくなってしまう。そして、住人がこのことを確認せずに建物を離れてしまった場合には、ドアが施錠されていない状態のまま放置されてしまうことになる。
【0006】
本発明は、上記の課題認識に基づいてなされたものであり、より確実にドアを施錠することができるドア開閉システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るドア開閉システムは、以下の構成を採用した。
この発明の第1の態様に係るドア開閉システムは、携帯機器と、施解錠装置と、開閉制御装置と、開閉装置と、を備える。携帯機器は、ドアの開閉を要求する無線信号を送信する。施解錠装置は、前記無線信号に表された要求に基づいて前記ドアに設置されている施解錠機構を操作することにより前記ドアを施錠状態または解錠状態に移行させるとともに、前記無線信号に応じた前記ドアの開閉を指示する開閉指示信号を出力する。開閉制御装置は、前記ドアが解錠状態である場合、前記開閉指示信号に応じて、前記ドアを開状態または閉状態に移行させる開閉制御信号を出力する。開閉装置は、前記ドアに設置され、前記開閉制御信号に応じて前記ドアを開状態または閉状態に移行させる。前記施解錠装置は、前記ドアを閉めることを要求する前記無線信号を受信した場合、前記ドアの閉状態への移行を指示する開閉指示信号を前記開閉制御装置に出力し、前記ドアの解錠状態への移行を指示する施解錠指示信号に応じて、前記施解錠機構を解錠状態に操作し、前記施解錠機構により前記ドアの解錠状態への移行が完了した後に、前記施解錠機構により前記ドアの解錠状態への移行が完了したことを表す解錠完了通知を前記開閉制御装置に出力し、前記ドアが閉状態となったことを表すドア閉完了通知が入力された後に、前記施解錠機構を施錠状態に操作する。前記開閉制御装置は、前記開閉指示信号に応じて、前記ドアが開状態であるか閉状態であるかを判定し、前記ドアが閉状態である場合には、前記ドア閉完了通知を前記施解錠装置に出力し、前記ドアが開状態である場合には、前記ドアが施錠状態であるか解錠状態であるかを表す施解錠状態情報を前記施解錠装置から入手し、前記施解錠状態情報が前記ドアが解錠状態であることを表す場合には、前記ドアを閉状態に移行させる前記開閉制御信号を出力し、前記施解錠状態情報が前記ドアが施錠状態であることを表す場合には、前記施解錠指示信号を前記施解錠装置に出力し、前記施解錠装置により前記解錠完了通知が出力された後に、前記ドアを閉状態に移行させる前記開閉制御信号を出力し、前記ドアが閉状態となった後に、前記ドア閉完了通知を前記施解錠装置に出力する。
【0010】
この発明の第の態様に係るドア開閉システムは、上記第1の態様において、前記施解錠装置は、前記ドアを閉めることを要求する前記無線信号を受信した場合、前記ドアが施錠状態である場合には、前記ドアが施錠状態であることを通知手段に通知させてもよい。
【0011】
この発明の第の態様に係るドア開閉システムは、携帯機器と、施解錠装置と、開閉制御装置と、開閉装置と、を備える。携帯機器は、ドアの開閉を要求する無線信号を送信する。施解錠装置は、前記無線信号に表された要求に基づいて前記ドアに設置されている施解錠機構を操作することにより前記ドアを施錠状態または解錠状態に移行させるとともに、前記無線信号に応じた前記ドアの開閉を指示する開閉指示信号を出力する。開閉制御装置は、前記ドアが解錠状態である場合、前記開閉指示信号に応じて、前記ドアを開状態または閉状態に移行させる開閉制御信号を出力する。開閉装置は、前記ドアに設置され、前記開閉制御信号に応じて前記ドアを開状態または閉状態に移行させる。前記開閉制御装置は、前記無線信号を受信した場合、前記ドアが施錠状態であるか解錠状態であるかを表す施解錠状態情報を前記施解錠装置から入手し、入手した前記施解錠状態情報が表す前記ドアの状態に基づいて前記開閉制御信号を出力する。
【0012】
この発明の第の態様に係るドア開閉システムは、上記第の態様において、前記開閉制御装置は、前記無線信号が前記ドアを閉める要求である場合、前記施解錠状態情報が前記ドアが解錠状態であることを表す場合には、前記ドアを閉状態に移行させる前記開閉制御信号を出力し、前記施解錠状態情報が前記ドアが施錠状態であることを表す場合には、前記施解錠状態情報により前記ドアが解錠状態であることが確認された後に、前記ドアを閉状態に移行させる前記開閉制御信号を出力し、前記ドアが閉状態となった後に、前記ドアの施錠状態への移行を指示する施解錠指示信号を前記施解錠装置に出力し、前記施解錠装置は、前記施解錠指示信号に応じて、前記施解錠機構を施錠状態に操作してもよい。
【0013】
この発明の第の態様に係るドア開閉システムは、上記第の態様または第の態様において、前記開閉制御装置は、前記ドアを閉めることを要求する前記無線信号を受信した場合、前記施解錠状態情報が前記ドアが施錠状態であることを表す場合には、前記ドアが施錠状態であることを通知手段に通知させてもよい。
【0014】
この発明の第の態様に係るドア開閉システムは、上記第1の態様またはの態様において、前記施解錠装置を複数備え、前記開閉制御装置は、それぞれの前記施解錠装置により前記ドアの同じ状態への移行を指示する前記開閉指示信号が出力された場合、前記ドアをそれぞれの前記開閉指示信号が表す状態に移行させる前記開閉制御信号を出力してもよい。
【0015】
この発明の第の態様に係るドア開閉システムは、上記第の態様から第の態様のうちいずれか一態様において、前記施解錠装置を複数備え、前記開閉制御装置は、それぞれの前記施解錠装置から入手した全ての前記施解錠状態情報が前記ドアが解錠状態であることを表す場合、前記ドアを前記無線信号の要求に応じた状態に移行させる前記開閉制御信号を出力してもよい。
【0016】
この発明の第の態様に係るドア開閉システムは、上記第1の態様から第の態様のうちいずれか一態様において、前記施解錠装置と前記開閉制御装置とは、無線通信によりそれぞれの信号のやり取りをしてもよい。
【0017】
この発明の第の態様に係るドア開閉システムは、上記第の態様において、前記施解錠装置と前記開閉制御装置とは、前記無線信号を受信したときから第1の所定時間が経過した後にそれぞれの信号のやり取りをしてもよい。
【0018】
この発明の第10の態様に係るドア開閉システムは、上記第の態様において、前記施解錠装置を複数備える場合、一方の前記施解錠装置は、他方の前記施解錠装置における前記開閉制御装置との間の無線通信の期間に重複しないように、さらに第2の所定時間が経過した後にそれぞれの信号のやり取りをしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るドア開閉システムによれば、より確実にドアを施錠することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1の実施形態のドア開閉システムの構成および各構成要素の配置の一例を示す図である。
図2】第1の実施形態のドア開閉システムを構成する各構成要素の概略構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態のドア開閉システムにおいてドアを開状態にさせる動作の流れの一例を示すシーケンス図である。
図4】第1の実施形態のドア開閉システムにおいてドアを閉状態にさせる動作の流れの一例を示すシーケンス図である。
図5】第2の実施形態のドア開閉システムを構成する各構成要素の概略構成を示すブロック図である。
図6】第2の実施形態のドア開閉システムにおいてドアを開状態にさせる動作の流れの一例を示すシーケンス図である。
図7】第2の実施形態のドア開閉システムにおいてドアを閉状態にさせる動作の流れの一例を示すシーケンス図である。
図8】第3の実施形態のドア開閉システムを構成する各構成要素の概略構成を示すブロック図である。
図9】第4の実施形態のドア開閉システムを構成する各構成要素の概略構成を示すブロック図である。
図10】第4の実施形態のドア開閉システムにおいてドアを開状態にさせる場合に各構成要素が通信するタイミングの一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態のドア開閉システムは、ドアの施解錠(施錠や解錠)、さらにはドアの開閉を自動で行うシステムである。以下の説明においては、本実施形態のドア開閉システムが、例えば、家屋の玄関ドア(以下、単に、「ドア」という)に適用されたものとする。
【0022】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態のドア開閉システムの構成および各構成要素の配置の一例を示す図である。図1に示したドア開閉システム1は、例えば、携帯キーリモコン(Portable key remote controller)100と、ドア施解錠装置200と、ドア開閉制御装置300と、ドア開閉装置400と、を備える。ドア開閉システム1は、携帯キーリモコン100により送信された無線信号に応じて、ドアDの施解錠および開閉を行う。例えば、施錠(ロック)された状態(以下、「施錠状態」という)のドアDを開ける場合、ドア開閉システム1では、まず、ドアDを解錠(アンロック)された状態(以下、「解錠状態」という)に移行させた後にドアDを開ける。例えば、ドアDを閉める場合、ドア開閉システム1では、まず、ドアDが解錠状態であるか否かを確認し、ドアDが解錠状態となった場合にドアDを閉め、その後ドアDを施錠状態に移行させる。図1に示したドア開閉システム1の構成要素の配置はあくまで一例であり、それぞれの構成要素は、適切な位置に配置されればよい。
【0023】
携帯キーリモコン100は、ドアDから離れた位置でドアDの開閉を要求する際に操作される電子鍵(電子キー)である。携帯キーリモコン100は、例えば、家屋の住人など、ドア開閉システム1を利用するユーザーにより携帯される。携帯キーリモコン100は、ドアDを開ける要求をする際に操作(押下)されるドア開釦OBと、ドアDを閉める要求をする際に操作(押下)されるドア閉釦CBと、後述する無線信号の送信器とを備える。携帯キーリモコン100は、ドア開釦OBやドア閉釦CBが押下されたことを表す無線信号、つまり、ユーザーによるドアDの開閉の要求を表す無線信号を、ドア施解錠装置200に送信する。携帯キーリモコン100は、特許請求の範囲における「携帯機器」の一例である。
【0024】
ドア施解錠装置200は、携帯キーリモコン100により送信された無線信号に表されたドアDの開閉の要求に基づいてドアDの扉部分(以下、単に「ドアD」ともいう)に設置されている施解錠機構を操作することにより、ドアDを施錠状態または解錠状態に移行させる。施解錠機構は、例えば、サムターンSやデットボルトDBを備え、ドアDの施錠状態または解錠状態にする機構である。ドアDでは、例えば、ラッチ(不図示)などの係止機構が、少なくともドアDを閉めた状態ではドアD内に収められている状態となっていてもよい。ドア施解錠装置200は、施解錠機構が備えるサムターンSを操作可能な位置(例えば、サムターンSを覆う位置)に取り付けられる。サムターンSは、例えば、ドアDの室内側に配置され、回動(例えば、図1における左右方向に90°回転)されることによりデットボルトDBを進退(例えば、図1における左右方向に所定の距離だけ移動)させるツマミである。デットボルトDBは、例えば、ドアDの側面側の内部に配置され、サムターンSにより進退させられることによって突出状態または退避状態にされる部材、いわゆる、かんぬき部分の部材である。デットボルトDBは、サムターンSの回動によって退避状態にされると、ドアD内に収まり、ドアDの扉部分を開閉させることができる状態となる。一方、デットボルトDBは、ドアDが閉めた状態(閉状態)のときにサムターンSの回動によって突出状態にされると、突出した部分がドアDの枠(ドア枠(不図示))に設けられた受座に係合され、ドアDの扉部分を開けることができない状態となる。以下の説明においては、デットボルトDBの退避状態をドアDの解錠状態ともいい、デットボルトDBの突出状態をドアDの施錠状態ともいう。ただし、ドアDを開けた状態(開状態)においてもデットボルトDBは突出状態にされることもあるため、デットボルトDBが突出状態になっていることは、必ずしもドアDを施錠(ロック)して扉部分を開けることができない状態であるとは限らない。ドア施解錠装置200は、携帯キーリモコン100により送信された無線信号に表されたドアDの開閉の要求に基づいて、ドアDの開状態または閉状態への移行を指示する開閉指示信号を、ドア開閉制御装置300に出力する。ドア開閉システム1における携帯キーリモコン100とドア施解錠装置200との間の通信は、既存の通信技術によって行うことができるため、詳細な説明は省略する。ドア施解錠装置200は、特許請求の範囲における「施解錠装置」の一例である。
【0025】
ドア開閉制御装置300は、ドア施解錠装置200により出力された開閉指示信号に応じて、例えば、ドアDの扉部分に設置されているドア開閉装置400を制御することにより、ドアDを開状態または閉状態に移行させる。言い換えれば、ドア開閉制御装置300は、ドア開閉装置400を制御することにより、ドアDを、携帯キーリモコン100により送信された無線信号に表された(ユーザーにより要求された)状態に移行させる。ドア開閉制御装置300は、例えば、ドアDの室内側の任意の位置に取り付けられる。ドア開閉制御装置300は、ドア開閉装置400に組み込まれて、ドア開閉装置400と同じ位置に取り付けられてもよい。ドア開閉制御装置300は、ドア施解錠装置200により操作された施解錠機構の状態(施錠状態または解錠状態)に応じて、ドアDを開状態または閉状態に移行させるための開閉制御信号を、ドア開閉装置400に出力する。ドア開閉制御装置300は、特許請求の範囲における「開閉制御装置」の一例である。
【0026】
ドア開閉装置400は、ドアDの扉部分を開閉させるための装置、いわゆる、ドアクローザーである。ドア開閉装置400は、例えば、ドアDの室内側において扉の蝶番(ヒンジ)側の上部の位置に取り付けられる。ドア開閉装置400は、ドア開閉制御装置300により出力された開閉制御信号に応じてアーム400Aを動作させることにより、自動でドアDを開状態または閉状態に移行させる。ドア開閉装置400は、特許請求の範囲における「開閉装置」の一例である。
【0027】
次に、ドア開閉システム1を構成するそれぞれの構成要素の構成について説明する。図2は、第1の実施形態のドア開閉システム1を構成する各構成要素の概略構成を示すブロック図である。携帯キーリモコン100は、例えば、ドア開釦OBと、ドア閉釦CBと、送信部101と、を備える。ドア施解錠装置200は、例えば、受信部201と、施解錠制御部202と、施解錠操作機構203と、通信部204と、を備える。ドア開閉制御装置300は、例えば、通信部301と、開閉制御部302と、を備える。ドア開閉装置400は、例えば、ドア開閉操作機構401を備える。
【0028】
携帯キーリモコン100が備える送信部101や、ドア施解錠装置200が備える受信部201、施解錠制御部202、通信部204、ドア開閉制御装置300が備える通信部301、開閉制御部302などの構成要素は、それぞれ、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより各種機能が実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。これらの構成要素の機能のうち一部または全部は、専用のLSIによって実現されてもよい。プログラムは、フラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよい。
【0029】
まず、携帯キーリモコン100の構成について説明する。ドア開釦OBおよびドア閉釦CBは、例えば、ユーザーがドアDの開閉を要求する際に押下する釦である。ドア開釦OBは、ユーザーにより押下されると、ドアDを開ける要求がされたことを送信部101に通知する。ドア閉釦CBは、ユーザーにより押下されると、ドアDを閉める要求がされたことを送信部101に通知する。
【0030】
送信部101は、ドア開釦OBおよびドア閉釦CBからの通知に従って、ユーザーからのドアDの開閉を要求する無線信号を送信する。送信部101は、例えば、ZigBee(登録商標)や、RF4CE(Radio Frequency for Consumer Electronics)など、RF(Radio Frequency:無線)リモコンに適用される近距離無線通信の送信器やアンテナ(不図示)を備える。近距離無線通信は、例えば、Wi-FiやBluetooth(登録商標)などであってもよい。送信部101は、無線信号をドア施解錠装置200が備える受信部201に送信する。送信部101が受信部201に送信する無線信号には、例えば、ドア施解錠装置200が携帯キーリモコン100を認証するための認証信号が含まれている。ドア開閉システム1における携帯キーリモコン100の認証は、送信部101と受信部201との間の近距離無線通信における既存の技術によって行うことができるため、詳細な説明は省略する。
【0031】
次に、ドア施解錠装置200の構成について説明する。受信部201は、送信部101により送信された無線信号を受信する。受信部201は、送信部101との間で近距離無線通信を行うための受信器やアンテナ(不図示)を備える。受信部201は、受信した無線信号に示されたユーザーからの要求内容(ドアDを開ける要求またはドアDを閉める要求)を表す要求信号(以下、「開閉要求信号」という)を、施解錠制御部202に出力する。受信部201は、送信部101により送信された無線信号に含まれる認証信号を認証し、認証がされた無線信号に示されたユーザーからの要求内容を表す開閉要求信号を、施解錠制御部202に出力する。
【0032】
施解錠制御部202は、受信部201により出力された開閉要求信号に基づいて、施解錠操作機構203を制御する。より具体的には、受信部201により出力された開閉要求信号が、ドアDを開ける要求であることを表している場合、施解錠制御部202は、ドアDを解錠状態にさせる方向にサムターンSを回動させるための施解錠制御信号(以下、「解錠制御信号」という)を施解錠操作機構203に出力する。受信部201により出力された開閉要求信号が、ドアDを閉める要求であることを表している場合、施解錠制御部202は、ドアDを施錠状態にさせるための施解錠制御信号(以下、「施錠制御信号」という)を施解錠操作機構203に出力する。
【0033】
施解錠制御部202は、受信部201により出力された開閉要求信号に基づいて、ドアDの開閉を指示する開閉指示信号を通信部204に出力してドア開閉制御装置300に伝送させる。より具体的には、受信部201により出力された開閉要求信号が、ドアDを開ける要求であることを表している場合、施解錠制御部202は、ドアDを開状態に移行させる指示をするための開閉指示信号を通信部204に出力してドア開閉制御装置300に伝送させる。受信部201により出力された開閉要求信号が、ドアDを閉める要求であることを表している場合、施解錠制御部202は、ドアDを閉状態に移行させる指示をするための開閉指示信号を通信部204に出力してドア開閉制御装置300に伝送させる。施解錠制御部202は、出力した施解錠制御信号に基づいてドアDの現在の状態が施錠状態であるか解錠状態であるかを判定し、この判定結果に基づいた開閉指示信号を通信部204に出力する。
【0034】
施解錠操作機構203は、施解錠制御部202により出力された施解錠制御信号に応じてサムターンSを回動させることにより、デットボルトDBを突出状態または退避状態にさせる機構である。施解錠操作機構203は、例えば、サムターンSを固定するための固定機構と、施解錠制御信号に応じて固定機構を回動させることによりサムターンSを回動させるためのモータやアクチュエータなどの駆動部を備える。施解錠操作機構203は、現在のサムターンSの状態、つまり、デットボルトDBが突出状態であるか退避状態であるかを表すサムターン状態信号を、施解錠制御部202に出力する。これにより、施解錠制御部202は、施解錠制御信号の代わりに、サムターン状態信号に基づいてドアDが施錠状態であるか解錠状態であるかを判定(検出)することができる。デットボルトDBが突出状態であるか退避状態であるかは、例えば、デットボルトDBの進退を検出するスイッチなどにより判定することができる。この場合、サムターン状態信号は、スイッチの状態(例えば、スイッチのオン/オフ)を表す信号である。
【0035】
通信部204は、ドア開閉制御装置300が備える通信部301との間で信号の授受を行う。通信部204は、施解錠制御部202により出力された開閉指示信号を通信部301に伝送する。通信部204は、通信部301により伝送された後述するドア閉完了通知を受け取り、受け取った後述するドア閉完了通知が表す通知内容を施解錠制御部202に出力する。通信部204は、施解錠制御部202により出力された開閉指示信号をそのまま通信部301に伝送してもよいし、通信部301との間で定められた形式の信号に変換して伝送してもよい。通信部204は、通信部301から受け取った後述するドア閉完了通知をそのまま施解錠制御部202に出力してもよいし、施解錠制御部202が扱う形式の信号や情報に変換して出力してもよい。
【0036】
次に、ドア開閉制御装置300の構成について説明する。通信部301は、ドア施解錠装置200が備える通信部204との間で信号の授受を行う。通信部301は、通信部204により伝送された開閉指示信号を受け取り、受け取った開閉指示信号が表す指示内容を開閉制御部302に出力する。より具体的には、通信部301は、開閉指示信号がドアDを開状態に移行させる指示であるか、ドアDを閉状態に移行させる指示であるかを表す指示内容を開閉制御部302に出力する。通信部301は、開閉制御部302により出力された後述するドア閉完了通知を通信部204に伝送する。通信部301は、通信部204から受け取った開閉指示信号をそのまま開閉制御部302に出力してもよいし、開閉制御部302が扱う形式の信号や情報に変換して出力してもよい。通信部301は、開閉制御部302により出力された後述するドア閉完了通知をそのまま通信部204に伝送してもよいし、通信部204との間で定められた形式の信号に変換して伝送してもよい。
【0037】
開閉制御部302は、通信部301により出力された開閉指示信号が表す指示内容に基づいて、ドア開閉装置400を制御する。より具体的には、通信部301により出力された開閉指示信号が表す指示内容が、ドアDを開状態に移行させる指示であることを表している場合、開閉制御部302は、ドアDを開状態に移行させるための開閉制御信号をドア開閉装置400に出力する。通信部301により出力された開閉指示信号が表す指示内容が、ドアDを閉状態に移行させる指示であることを表している場合、開閉制御部302は、ドアDを閉状態に移行させるための開閉制御信号をドア開閉装置400に出力する。開閉制御部302は、ドアDを閉状態に移行させるための開閉制御信号をドア開閉装置400に出力した場合、例えば、ドア開閉装置400によりドアDが閉状態になるまでに要する時間が経過した後に、ドア閉完了通知を通信部301に出力する。これにより、通信部301は、開閉制御部302により出力されたドア閉完了通知を通信部204に伝送する。
【0038】
次に、ドア開閉装置400の構成について説明する。ドア開閉操作機構401は、ドア開閉制御装置300が備える開閉制御部302により出力された開閉制御信号に応じてアーム400Aを動作させることにより、ドアDを開状態または閉状態にさせる機構である。ドア開閉操作機構401は、例えば、開閉制御信号に応じてアーム400Aの本体側の軸を回動してアーム400Aを伸縮させことによりドアDを開状態または閉状態に移行させるためのモータやアクチュエータなどの駆動部や、伸縮されたアーム400Aの状態を維持させることによりドアDの開状態や閉状態を維持させるためのバネなどの保持機構などを備える。ドア開閉操作機構401は、ドアDの開閉状態、つまり、ドアDが開状態であるか閉状態であるかを表すドア状態信号を、開閉制御部302に出力する。これにより、開閉制御部302は、ドアDを閉状態に移行させるための開閉制御信号をドア開閉装置400に出力したときからの経過時間の代わりに、ドア状態信号に基づいてドアDが開状態であるか閉状態であるかを判定(検出)して、ドア閉完了通知を通信部301に出力することができる。ドアDが開状態であるか閉状態であるかは、例えば、アーム400Aの伸縮角度や、アーム400Aの本体側の軸の回転量が所定値以上であるか否かを検出するスイッチなどにより判定することができる。この場合、ドア状態信号は、スイッチの状態(例えば、スイッチのオン/オフ)を表す信号である。
【0039】
このような構成によって、ドア開閉システム1では、携帯キーリモコン100を操作することによりユーザーが要求した状態(開状態または閉状態)に、ドアDの扉部分を移行させる。
【0040】
次に、ドア開閉システム1における動作について説明する。まず、ドア開閉システム1においてドアDを開状態に移行させる場合の動作(処理)について説明する。図3は、第1の実施形態のドア開閉システム1においてドアDを開状態にさせる動作の流れの一例を示すシーケンス図である。図3には、閉状態であるドアDを開状態に移行させる場合における携帯キーリモコン100、ドア施解錠装置200、ドア開閉制御装置300、およびドア開閉装置400のそれぞれの動作の一例を示している。以下の説明においては、ドア施解錠装置200が、すでに携帯キーリモコン100を認証しているものとする。
【0041】
ドア開閉システム1が備えるそれぞれの構成要素は、現在の状態(閉状態)を維持しながら、対応する構成要素からの要求や指示があるのを待機している状態である。この状態において携帯キーリモコン100を携帯しているユーザーがドア開釦OBを押下する(ステップS100)と、ドア開釦OBは、ドアDを開ける要求がされたことを送信部101に通知する。この通知により送信部101は、ドアDの開状態への移行を要求する無線信号(以下、「ドア開要求信号」という)をドア施解錠装置200に送信する(ステップS101)。
【0042】
ドア施解錠装置200では、受信部201が、送信部101により送信される無線信号の受信を待機している(ステップS102)。この状態で受信部201は、送信部101により送信された無線信号(ドア開要求信号)を受信すると、受信したドア開要求信号が表すドアDを開ける要求内容であることを表す開閉要求信号を、施解錠制御部202に出力する。施解錠制御部202は、受信部201により出力された開閉要求信号に基づいて、ドアDを解錠状態にさせる、つまり、デットボルトDBを退避状態にさせるためにサムターンSを回動させるための施解錠制御信号(解錠制御信号)を施解錠操作機構203に出力する。施解錠操作機構203は、施解錠制御部202により出力された解錠制御信号に応じてドアDを解錠状態にさせる(ステップS103)。その後、施解錠制御部202は、ドアDを開状態に移行させる指示をするための開閉指示信号(以下、「ドア開指示信号」という)を通信部204に出力して、ドア開閉制御装置300に伝送させる(ステップS104)。
【0043】
ドア開閉制御装置300では、通信部301が、通信部204により伝送される開閉指示信号の受け取りを待機している(ステップS105)。この状態で通信部301は、通信部204により伝送された開閉指示信号(ドア開指示信号)を受け取ると、受け取ったドア開指示信号が表すドアDを開ける指示内容を、開閉制御部302に出力する。開閉制御部302は、通信部301により出力された指示内容に基づいて、ドアDを開状態に移行させる、つまり、ドアDを開けて開放させるための開閉制御信号(以下、「ドア開制御信号」という)をドア開閉装置400に出力する(ステップS106)。
【0044】
ドア開閉装置400は、ドア開閉制御装置300(より具体的には、開閉制御部302)により出力された開閉制御信号(ドア開制御信号)に応じてアーム400Aを動作させ、ドアDを開ける(ステップS107)。
【0045】
このような動作(処理)によって、ドア開閉システム1は、携帯キーリモコン100を操作することによりユーザーが要求した開状態に、ドアDの扉部分を移行させる。
【0046】
その後、開閉制御部302は、図3に示したように、ドアDの開状態への移行が完了したことを表す通知(以下、「ドア開完了通知」という)をドア施解錠装置200に出力してもよい。この場合、開閉制御部302は、ドアDの開状態への移行が完了したか否か、つまり、ドアDが開放された状態となったか否かを判定する(ステップS108)。このステップS108における判定は、例えば、ドア開制御信号をドア開閉装置400に出力したときからの経過時間が、ドア開閉装置400によりドアDが開状態になるまでに要する時間が経過したことにより判定してもよいし、ドア開閉操作機構401により出力されたドア状態信号に基づいて判定(検出)してもよい。ステップS108において、ドアDが開状態となったと判定した場合、開閉制御部302は、ドア開完了通知を通信部301に出力して、ドア施解錠装置200に伝送させる(ステップS109)。
【0047】
次に、ドア開閉システム1においてドアDを閉状態に移行させる場合の動作(処理)について説明する。図4は、第1の実施形態のドア開閉システム1においてドアDを閉状態にさせる動作の流れの一例を示すシーケンス図である。図4には、開状態であるドアDを閉状態に移行させる場合における携帯キーリモコン100、ドア施解錠装置200、ドア開閉制御装置300、およびドア開閉装置400のそれぞれの動作の一例を示している。以下の説明においても、ドア施解錠装置200が、すでに携帯キーリモコン100を認証しているものとする。
【0048】
ドア開閉システム1が備えるそれぞれの構成要素は、現在の状態(開状態)を維持しながら、対応する構成要素からの要求や指示があるのを待機している状態である。この状態において携帯キーリモコン100を携帯しているユーザーがドア閉釦CBを押下する(ステップS200)と、ドア閉釦CBは、ドアDを閉める要求がされたことを送信部101に通知する。この通知により送信部101は、ドアDの閉状態への移行を要求する無線信号(以下、「ドア閉要求信号」という)をドア施解錠装置200に送信する(ステップS201)。
【0049】
ドア施解錠装置200では、受信部201が、送信部101により送信される無線信号の受信を待機している(ステップS202)。この状態で受信部201は、送信部101により送信された無線信号(ドア閉要求信号)を受信すると、受信したドア閉要求信号が表すドアDを閉める要求内容であることを表す開閉要求信号を、施解錠制御部202に出力する。施解錠制御部202は、受信部201により出力された開閉要求信号に基づいて、現在のドアDの状態を閉状態に移行させるのに支障がない解錠状態であるか否かを判定する。より具体的には、施解錠制御部202は、現在のデットボルトDBの状態がドアD内に退避され、ドアを閉めたときにドアDのドア枠に衝突することがない退避状態であるか否かを判定する(ステップS203)。このステップS203における判定は、例えば、ドアDを解錠状態にさせる解錠制御信号を出力した履歴によりデットボルトDBが退避状態であると判定してもよい。しかし、例えば、ユーザーによって意図的に、または意図せずに、サムターンSが回動され、ドアDが施錠状態、つまり、デットボルトDBが突出状態に変更されてしまっていることも考えられる。このため、施解錠制御部202は、施解錠操作機構203により出力された現在のサムターンSの状態(デットボルトDBが突出状態であるか退避状態であるか)を表すサムターン状態信号に基づいて、デットボルトDBが退避状態であるか否かをより確実に判定(検出)する。
【0050】
ステップS203において、デットボルトDBが退避状態ではないと判定した場合、施解錠制御部202は、デットボルトDBが突出状態である、つまり、ドアDが施錠状態であることをユーザーに通知する(ステップS204)。この通知は、例えば、ドア施解錠装置200が備える不図示の通知手段を用いて行う。通知手段(不図示)としては、例えば、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)などのように光によって通知をするものや、ブザーなどのように音によって通知をするものなどが考えられる。そして、施解錠制御部202は、処理をステップS203に戻して、デットボルトDBが退避状態になるまでユーザーへの通知を繰り返す。
【0051】
一方、ステップS203において、デットボルトDBが退避状態であると判定した場合、施解錠制御部202は、ドアDを閉状態に移行させる指示をするための開閉指示信号(以下、「ドア閉指示信号」という)を通信部204に出力して、ドア開閉制御装置300に伝送させる(ステップS205)。
【0052】
ドア開閉制御装置300では、通信部301が、通信部204により伝送される開閉指示信号の受け取りを待機している(ステップS206)。この状態で通信部301は、通信部204により伝送された開閉指示信号(ドア閉指示信号)を受け取ると、受け取ったドア閉指示信号が表すドアDを閉める指示内容を、開閉制御部302に出力する。開閉制御部302は、通信部301により出力された指示内容に基づいて、ドアDを閉状態に移行させる、つまり、ドアDを閉じて閉鎖させるための開閉制御信号(以下、「ドア閉制御信号」という)をドア開閉装置400に出力する(ステップS207)。
【0053】
ドア開閉装置400は、ドア開閉制御装置300(より具体的には、開閉制御部302)により出力された開閉制御信号(ドア閉制御信号)に応じてアーム400Aを動作させ、ドアDを閉める(ステップS208)。
【0054】
その後、開閉制御部302は、ドアDの閉状態への移行が完了したか否か、つまり、ドアDが閉鎖された状態となったか否かを判定する(ステップS209)。このステップS209における判定は、例えば、ドア閉制御信号をドア開閉装置400に出力したときからの経過時間が、ドア開閉装置400によりドアDが閉状態になるまでに要する時間が経過したことにより判定してもよいし、ドア開閉操作機構401により出力されたドア状態信号に基づいて判定(検出)してもよい。ステップS209において、ドアDが閉状態となったと判定した場合、開閉制御部302は、ドア閉完了通知を通信部301に出力して、ドア施解錠装置200に伝送させる(ステップS210)。一方、ステップS209において、ドアDが閉状態となっていないと判定した場合、開閉制御部302は、ドアDが閉状態にならないことをユーザーに通知してもよい。開閉制御部302がドア閉の不可能をユーザーに通知する場合の一例としては、例えば、荷物によってドアDを閉めることができない状態になったことにより、ドア閉制御信号をドア開閉装置400に出力したときからの経過時間が、ドア開閉装置400によりドアDが閉状態になるまでに要する所定時間が経過しても、ドア開閉操作機構401からドアDが閉状態であるかを表すドア状態信号が出力されてこない場合などが考えられる。この通知は、例えば、ドア開閉制御装置300が備える不図示の通知手段を用いて行ってもよい。ドア開閉制御装置300が備える通知手段(不図示)としては、例えば、LEDなどのように光によって通知をするものや、ブザーなどのように音によって通知をするものなどが考えられる。
【0055】
ドア施解錠装置200では、通信部204が通信部301により伝送されたドア閉完了通知を受け取り、受け取ったドア閉完了通知が表す通知内容(ドアDの閉状態への移行が完了したことを表す内容)を、施解錠制御部202に出力する。施解錠制御部202は、通信部204により出力された通知内容に基づいて、ドアDを施錠状態にさせる、つまり、デットボルトDBを突出状態にさせるためにサムターンSを回動させるための施解錠制御信号(施錠制御信号)を施解錠操作機構203に出力する。施解錠操作機構203は、施解錠制御部202により出力された施錠制御信号に応じてドアDを施錠状態にさせる(ステップS211)。
【0056】
このような動作(処理)によって、ドア開閉システム1は、携帯キーリモコン100を操作することによりユーザーが要求した閉状態に、ドアDの扉部分を移行させる。
【0057】
上記に述べたとおり、第1の実施形態のドア開閉システム1によれば、ユーザーが携帯キーリモコン100を操作することによりドアDから離れた位置から送信された無線信号をドア施解錠装置200が受信する。そして、第1の実施形態のドア開閉システム1では、ドア施解錠装置200が主、いわゆる、マスターとなって、ユーザーにより要求された状態にドアDの状態を移行させる。これにより、第1の実施形態のドア開閉システム1が適用された家屋(建物)のユーザーは、手動による錠(施解錠機構)の施解錠やドアDの開閉を行わずに、容易に家屋(建物)への出入りをすることができる。
【0058】
第1の実施形態のドア開閉システム1においては、ドアDを閉状態にさせる動作(処理)として、図4に示したドアDを閉状態にさせる動作の流れを説明した。より具体的には、ドア施解錠装置200が携帯キーリモコン100により送信されたドア閉要求信号を受信したときに、デットボルトDBが退避状態であるか否かを判定(ステップS203)し、デットボルトDBが退避状態であると判定した場合に、ドア閉指示信号をドア開閉制御装置300に出力する(ステップS205)動作の流れを説明した。しかし、ドア開閉システム1においてドアDを閉状態にさせる動作(処理)は、図4に示した動作(処理)の順番に限定されない。例えば、ドア施解錠装置200が携帯キーリモコン100により送信されたドア閉要求信号を受信した場合、デットボルトDBが退避状態であるか否かの判定(ステップS203)の前に、受信したドア閉要求信号に応じたドア閉指示信号をドア開閉制御装置300に出力してもよい。言い換えれば、ドア施解錠装置200は、まず、携帯キーリモコン100により送信されたドア閉要求信号をドア開閉制御装置300に出力(転送)するようにしてもよい。
【0059】
例えば、この場合、ドア開閉制御装置300は、ドア施解錠装置200によりドア閉指示信号が出力されると、まず、ドア開閉操作機構401により出力されたドア状態信号に基づいてドアDが開状態であるか閉状態であるかを判定(検出)する。そして、ドア状態信号がドアDが閉状態であることを表している場合、ドア開閉制御装置300は、ドアDを閉状態に移行させるためのドア閉制御信号をドア開閉装置400に出力せずに、ドア閉完了通知をドア施解錠装置200に出力する。一方、ドア状態信号がドアDが開状態であることを表している場合、ドア開閉制御装置300は、デットボルトDBが突出状態であるか退避状態であるかを表す後述する施解錠状態情報をドア施解錠装置200に要求する。そして、ドア開閉制御装置300は、この要求に応じてドア施解錠装置200により出力された後述する施解錠状態情報に基づいてデットボルトDBの情報を確認する。そして、デットボルトDBが退避状態であることを確認した場合、ドア開閉制御装置300は、ドアDを閉状態に移行させるためのドア閉制御信号をドア開閉装置400に出力し、ドア開閉装置400によりドアDの閉状態への移行が完了した後に、ドア閉完了通知をドア施解錠装置200に出力する。一方、デットボルトDBが突出状態であることを確認した場合、ドア開閉制御装置300は、ドアDを解錠状態に移行させる指示をするための後述する施解錠指示信号をドア施解錠装置200に出力してドアDを解錠状態に移行させ、ドア施解錠装置200により後述する解錠完了通知を受け取った後に、ドアDを閉状態に移行させるためのドア閉制御信号をドア開閉装置400に出力する。その後、ドア開閉制御装置300は、ドア開閉装置400によりドアDの閉状態への移行が完了した後に、ドア閉完了通知をドア施解錠装置200に出力する。ドア施解錠装置200は、ドア閉完了通知に応じて、ドアDを施錠状態にさせる。このような動作(処理)にすると、ドア開閉制御装置300は、ドアDがすでに閉状態である場合には、すぐにドア閉完了通知をドア施解錠装置200に出力して、ドアDを施錠状態にさせることができる。また、ドア開閉制御装置300は、ドアDが開状態であるが、デットボルトDBが退避状態であることが確認された場合には、ドア施解錠装置200がドアDを解錠状態に移行させるのを待たずに、ドアDを閉状態に移行させるためのドア閉制御信号をドア開閉装置400に出力することができる。
【0060】
また、例えば、ドア施解錠装置200が携帯キーリモコン100により送信されたドア閉要求信号をドア開閉制御装置300に出力(転送)する場合、ドア施解錠装置200によりドア閉指示信号が出力されると、ドア開閉制御装置300は、ドア状態信号に基づいてドアDが開状態であるか閉状態であるかを判定(検出)する前に、デットボルトDBが突出状態であるか退避状態であるかを表す後述する施解錠状態情報をドア施解錠装置200に要求してもよい。この場合、ドア開閉制御装置300は、ドア施解錠装置200により出力された後述する施解錠状態情報に基づいてデットボルトDBの情報を確認した後に、ドア状態信号に基づいてドアDが開状態であるか閉状態であるかを判定(検出)する。そして、ドア開閉制御装置300は、デットボルトDBが退避状態であることが確認された場合において、ドアDが閉状態である場合には、ドア閉完了通知をドア施解錠装置200に出力する。一方、ドア開閉制御装置300は、デットボルトDBが退避状態であることが確認された場合において、ドアDが開状態である場合には、ドアDを解錠状態に移行させる指示をするための後述する施解錠指示信号をドア施解錠装置200に出力せずに、ドアDを閉状態に移行させるためのドア閉制御信号をドア開閉装置400に出力する。その後、ドア開閉制御装置300は、ドア開閉装置400によりドアDの閉状態への移行が完了した後に、ドア閉完了通知をドア施解錠装置200に出力する。一方、ドア開閉制御装置300は、デットボルトDBが突出状態であることが確認された場合において、ドアDが開状態である場合には、ドアDを解錠状態に移行させる指示をするための後述する施解錠指示信号をドア施解錠装置200に出力してドアDを解錠状態に移行させ、ドア施解錠装置200により後述する解錠完了通知を受け取った後に、ドアDを閉状態に移行させるためのドア閉制御信号をドア開閉装置400に出力する。その後、ドア開閉制御装置300は、ドア開閉装置400によりドアDの閉状態への移行が完了した後に、ドア閉完了通知をドア施解錠装置200に出力する。ドア施解錠装置200は、ドア閉完了通知に応じて、ドアDを施錠状態にさせる。このような動作(処理)にすると、ドア開閉制御装置300は、デットボルトDBがすでに退避状態であることが確認された場合には、ドア施解錠装置200がドアDを解錠状態に移行させるのを待たずに、ドアDを閉状態に移行させるためのドア閉制御信号をドア開閉装置400に出力することができる。
【0061】
これらの例のようなドアDを閉状態にさせる動作(処理)は、図4に示した動作(処理)とは逆に、ドア開閉制御装置300が主(マスター)となった動作(処理)であるということができる。
【0062】
さらに、図4に示したドアDを閉状態にさせる動作の流れでは、ドア開閉制御装置300からのドア閉完了通知を受け取ると、ドア施解錠装置200がすぐにドアDを施錠状態にさせる、いわゆる、オートロックの場合の一連の動作(処理)の一例について説明した。しかし、ドア開閉システム1においてドアDを閉状態にさせる際の動作(処理)は、上述した一連の動作(処理)に限定されない。例えば、ドア施解錠装置200がドア閉完了通知を受け取った後、ドア施解錠装置200が備える上述した不図示の通知手段や、携帯キーリモコン100が備える不図示の通知手段を用いてドアDが閉状態になったことをユーザーに通知し、ユーザーにより再度ドア閉釦CBが押下された場合に、つまり、二回目のドア閉釦CBの押下に応じて、ドアDを施錠状態にさせるようにしてもよい。このような動作(処理)にすると、毎回ドアDが自動で施錠状態にされてしまうのを回避することができ、例えば、家屋に複数人が出入りする場合や、外出する準備のために家屋に複数回出入りする場合などにおいて、利便性を向上させることができる。ここで、携帯キーリモコン100が備える通知手段(不図示)としては、例えば、LEDなどのように光によって通知をするものや、ブザーなどのように音によって通知をするもの、バイブレータなどのように振動によって通知をするものなどが考えられる。携帯キーリモコン100が備える不図示の通知手段を用いてドアDが閉状態になったことをユーザーに通知する場合は、携帯キーリモコン100とドア施解錠装置200との間の近距離無線通信は、双方向の通信とする。この双方向の近距離無線通信は、既存の技術によって行うことができるため、詳細な説明は省略する。
【0063】
第1の実施形態のドア開閉システム1においては、図4において説明したドアDを閉状態にさせる動作の流れのような、ドア閉完了通知に応じてドアDを施錠状態にさせるオートロックのモードと、上述したドア閉完了通知に応じてドアDを閉状態にし、二回目のドア閉釦CBの押下(例えば、二回目のドア閉完了通知)によってドアDを施錠状態にさせるモード(以下、「2段施錠モード」という)とを切り替えられるようにしてもよい。
【0064】
さらに第1の実施形態のドア開閉システム1では、例えば、図4を用いて説明したドアDを閉状態にさせる動作の流れのステップS204においてドアDが施錠状態であることをユーザーに通知した際に、上述した2段施錠モードの考え方を用いてもよい。より具体的には、ドア施解錠装置200は、ステップS204においてドアDが施錠状態であることを通知したときに、ユーザーにより再度ドア閉釦CBが押下された場合には、自動でデットボルトDBを退避状態にして、その後の動作をするようにしてもよい。これにより、ドア開閉システム1では、ドアDが施錠状態であることを通知した際に、ユーザーが手動で錠(施解錠機構)を解錠状態にすることなく、ドアDを施錠状態にまで移行させることができる。
【0065】
(第2の実施形態)
第1の実施形態のドア開閉システム1では、携帯キーリモコン100により送信された無線信号をドア施解錠装置200が主(マスター)となって受信し、ドア施解錠装置200と、ドア開閉制御装置300と、ドア開閉装置400とによって、ユーザーにより要求された状態にドアDの状態を移行させる構成を説明した。しかし、携帯キーリモコン100により送信された無線信号は、例えば、ドア開閉制御装置300が受信する構成、言い換えれば、ドア開閉制御装置300が主(マスター)となって受信する構成にすることもできる。以下、この場合の構成について説明する。
【0066】
図5は、第2の実施形態のドア開閉システムを構成する各構成要素の概略構成を示すブロック図である。図5に示したドア開閉システム2は、例えば、携帯キーリモコン100と、ドア施解錠装置210と、ドア開閉制御装置310と、ドア開閉装置400と、を備える。ドア開閉システム2では、第1の実施形態のドア開閉システム1におけるドア施解錠装置200がドア施解錠装置210に代わり、ドア開閉制御装置300がドア開閉制御装置310に代わっている。ドア開閉システム2が備えるその他の構成要素は、第1の実施形態のドア開閉システム1が備える構成要素と同様の構成要素である。従って、以下の説明においては、ドア開閉システム2が備える構成要素において、第1の実施形態のドア開閉システム1の構成要素と同様の構成要素には、同一の符号を付与し、それぞれの構成要素に関する詳細な説明を省略する。さらに、ドア開閉システム2が備えるそれぞれの構成要素の配置は、図1に示した第1の実施形態のドア開閉システム1が備えるそれぞれの構成要素の配置と同様に考えることによって容易に理解することができる。従って、ドア開閉システム2が備えるそれぞれの構成要素の配置に関する詳細な説明も省略する。ドア施解錠装置210も、特許請求の範囲における「施解錠装置」の一例であり、ドア開閉制御装置310も、特許請求の範囲における「開閉制御装置」の一例である。
【0067】
ドア施解錠装置210は、例えば、通信部211と、施解錠制御部212と、施解錠操作機構203と、を備える。ドア開閉制御装置310は、例えば、受信部311と、開閉制御部312と、通信部313と、を備える。
【0068】
ドア施解錠装置210が備える通信部211、施解錠制御部212、ドア開閉制御装置310が備える受信部311、開閉制御部312、通信部313などの構成要素は、それぞれ、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより各種機能が実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。これらの構成要素の機能のうち一部または全部は、専用のLSIによって実現されてもよい。プログラムは、フラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよい。
【0069】
携帯キーリモコン100が備える送信部101は、ドア開釦OBおよびドア閉釦CBからの通知に従って、ユーザーからのドアDの開閉を要求する無線信号を、ドア開閉制御装置310が備える受信部311に送信する。
【0070】
受信部311は、第1の実施形態のドア開閉システム1においてドア施解錠装置200が備える受信部201と同様に、送信部101により送信された無線信号(ドア開要求信号やドア閉要求信号)を受信する。受信部311は、受信した無線信号に含まれる認証信号を認証し、認証がされた無線信号に示されたユーザーからの要求内容を表す開閉要求信号を、開閉制御部312に出力する。
【0071】
開閉制御部312は、受信部311により出力された開閉要求信号に基づいて、ドア開閉装置400を制御する。開閉制御部312は、ドア開閉装置400を制御する際に、まず、デットボルトDBが突出状態であるか退避状態であるかの情報、つまり、ドアDにおける現在のサムターンSの状態を表す情報(以下、「施解錠状態情報」という)を入手して、入手した施解錠状態情報に基づいて、ドアDの現在の状態が施錠状態であるか解錠状態であるかを確認する。より具体的には、開閉制御部312は、施解錠状態情報を要求する要求信号(以下、「施解錠状態要求信号」という)を通信部313に出力して、ドア施解錠装置210に伝送させる。そして、開閉制御部312は、施解錠状態要求信号に応じてドア施解錠装置210により伝送され、通信部313が受け取った施解錠状態情報に表されたサムターンSの状態に基づいて、ドアDの現在の状態が施錠状態であるか解錠状態であるかを確認する。
【0072】
開閉制御部312は、受信部311により出力された開閉要求信号と、確認したドアDの現在の状態に基づいて、ドア施解錠装置210によるドアDの施解錠の指示や、ドア開閉装置400の制御をする。より具体的には、受信部311により出力された開閉要求信号がドアDを開ける要求であることを表しており、確認したドアDの現在の状態が解錠状態である場合、開閉制御部312は、ドアDを開状態に移行させるための開閉制御信号(ドア開制御信号)をドア開閉装置400に出力する。受信部311により出力された開閉要求信号がドアDを開ける要求であることを表しているが、確認したドアDの現在の状態が施錠状態である場合、開閉制御部312は、ドアDを解錠状態に移行させる指示をするための施解錠指示信号を通信部313に出力してドア施解錠装置210に伝送させる。その後、開閉制御部312は、ドアDの解錠状態への移行が完了したことを表すドア施解錠装置210からの後述する解錠完了通知を受け取った後に、ドアDを開状態に移行させるためのドア開制御信号をドア開閉装置400に出力する。
【0073】
受信部311により出力された開閉要求信号がドアDを閉める要求であることを表しており、確認したドアDの現在の状態が解錠状態である場合、開閉制御部312は、ドアDを閉状態に移行させるための開閉制御信号(ドア閉制御信号)をドア開閉装置400に出力する。受信部311により出力された開閉要求信号がドアDを閉める要求であることを表しているが、確認したドアDの現在の状態が施錠状態である場合、開閉制御部312は、再度施解錠状態情報を入手してドアDの現在の状態を確認し、ドアDの現在の状態が解錠状態であることが確認された後に、ドアDを閉状態に移行させるためのドア閉制御信号をドア開閉装置400に出力する。その後、開閉制御部312は、ドアDを施錠状態に移行させる指示をするための施解錠指示信号を通信部313に出力してドア施解錠装置210に伝送させる。
【0074】
通信部313は、ドア施解錠装置210が備える通信部211との間で信号の授受を行う。通信部313は、開閉制御部312により出力された施解錠状態要求信号を通信部211に伝送する。通信部313は、施解錠状態要求信号に応じて通信部211により伝送された施解錠状態情報を受け取り、受け取った施解錠状態情報を開閉制御部312に出力する。通信部313は、開閉制御部312により出力された施解錠指示信号を通信部211に伝送する。通信部313は、通信部211により伝送された後述する解錠完了通知を受け取り、受け取った後述する解錠完了通知が表す通知内容を開閉制御部312に出力する。通信部313は、開閉制御部312により出力された施解錠状態要求信号や施解錠指示信号をそのまま通信部211に伝送してもよいし、通信部211の間で定められた形式の信号に変換して伝送してもよい。通信部313は、通信部211から受け取った施解錠状態情報や後述する解錠完了通知をそのまま開閉制御部312に出力してもよいし、開閉制御部312が扱う形式の信号や情報に変換して出力してもよい。
【0075】
通信部211は、ドア開閉制御装置310が備える通信部313との間で信号の授受を行う。通信部211は、通信部313により伝送された施解錠状態要求信号や施解錠指示信号を受け取り、受け取った施解錠状態要求信号や施解錠指示信号が表す指示内容を施解錠制御部212に出力する。より具体的には、通信部211は、施解錠状態要求信号を施解錠制御部212に出力する。通信部211は、施解錠指示信号がドアDを解錠状態に移行させる指示であるか、ドアDを施錠状態に移行させる指示であるかを表す指示内容を施解錠制御部212に出力する。通信部211は、施解錠制御部212により出力された施解錠状態情報や後述する解錠完了通知を通信部313に伝送する。通信部211は、通信部313から受け取った施解錠状態要求信号や施解錠指示信号をそのまま施解錠制御部212に出力してもよいし、施解錠制御部212が扱う形式の信号や情報に変換して出力してもよい。通信部211は、施解錠制御部212により出力された施解錠状態情報や解錠完了通知をそのまま通信部313に伝送してもよいし、通信部313との間で定められた形式の信号に変換して伝送してもよい。
【0076】
施解錠制御部212は、通信部211により出力された施解錠状態要求信号に応じて、施解錠操作機構203により出力されたサムターン状態信号に基づいた施解錠状態情報を通信部211に出力し、通信部313に伝送させる。施解錠制御部212は、通信部211により出力された施解錠指示信号に応じて施解錠操作機構203を制御する。より具体的には、通信部211により出力された施解錠指示信号が表す指示内容が、ドアDを解錠状態に移行させる指示であることを表している場合、施解錠制御部212は、ドアDを解錠状態にさせるための施解錠制御信号(解錠制御信号)を施解錠操作機構203に出力する。通信部211により出力された施解錠指示信号が表す指示内容が、ドアDを施錠状態に移行させる指示であることを表している場合、施解錠制御部212は、ドアDを施錠状態にさせるための施解錠制御信号(施錠制御信号)を施解錠操作機構203に出力する。施解錠制御部212は、解錠制御信号を施解錠操作機構203に出力した場合、例えば、施解錠操作機構203によりサムターンSが回動されてデットボルトDBが退避状態になる、つまり、ドアDが解錠状態になるまでに要する時間が経過した後に、解錠完了通知を通信部211に出力する。これにより、通信部211は、施解錠制御部212により出力された解錠完了通知を通信部313に伝送する。
【0077】
このような構成によって、ドア開閉システム2では、携帯キーリモコン100を操作することにより送信された無線信号(ユーザーからのドアDの開閉の要求)をドア開閉制御装置310が受信して、ドア開閉制御装置310、ドア施解錠装置210、ドア開閉装置400が、ドアDの扉部分をユーザーが要求した状態(開状態または閉状態)に移行させる。
【0078】
次に、ドア開閉システム2における動作について説明する。まず、ドア開閉システム2においてドアDを開状態に移行させる場合の動作(処理)について説明する。図6は、第2の実施形態のドア開閉システム2においてドアDを開状態にさせる動作の流れの一例を示すシーケンス図である。図6には、閉状態であるドアDを開状態に移行させる場合における携帯キーリモコン100、ドア開閉制御装置310、ドア施解錠装置210、およびドア開閉装置400のそれぞれの動作の一例を示している。以下の説明においては、ドア開閉制御装置310が、すでに携帯キーリモコン100を認証しているものとする。
【0079】
ドア開閉システム2が備えるそれぞれの構成要素も、第1の実施形態のドア開閉システム1が備えるそれぞれの構成要素と同様に、現在の状態(閉状態)を維持しながら、対応する構成要素からの要求や指示があるのを待機している状態である。この状態において携帯キーリモコン100を携帯しているユーザーがドア開釦OBを押下する(ステップS300)と、ドア開釦OBは、ドアDを開ける要求がされたことを送信部101に通知する。この通知により送信部101は、ドアDの開状態への移行を要求するドア開要求信号をドア開閉制御装置310に送信する(ステップS301)。
【0080】
ドア開閉制御装置310では、受信部311が、送信部101により送信される無線信号(ここでは、ドア開要求信号)の受信を待機している(ステップS302)。この状態で受信部311は、送信部101により送信されたドア開要求信号を受信すると、受信したドア開要求信号が表すドアDを開ける要求内容であることを表す要求信号を、開閉制御部312に出力する。開閉制御部312は、受信部311により出力された要求信号に基づいて、施解錠状態要求信号を通信部313に出力し、ドア施解錠装置210に伝送させる(ステップS303)。
【0081】
ドア施解錠装置210では、通信部211が、通信部313により伝送された施解錠状態要求信号を受け取り、受け取った施解錠状態要求信号を施解錠制御部212に出力する。これにより、施解錠制御部212は、通信部211により出力された施解錠状態要求信号に応じて、施解錠操作機構203により出力されたサムターン状態信号に基づいた施解錠状態情報を通信部211に出力し、通信部313に伝送させる(ステップS304)。
【0082】
ドア開閉制御装置310では、通信部313が、通信部211により伝送された施解錠状態情報を受け取り、受け取った施解錠状態情報を開閉制御部312に出力する。開閉制御部312は、通信部313により出力された施解錠状態情報に基づいて、現在のドアDの状態が、デットボルトDBが突出状態であるか否かを確認する(ステップS305)。ステップS305において、デットボルトDBが突出状態ではないことを確認した場合、開閉制御部312は、処理をステップS310に進める。一方、ステップS305において、デットボルトDBが突出状態であることを確認した場合、開閉制御部312は、ドアDを解錠状態に移行させる指示をするための施解錠指示信号(以下、「解錠指示信号」という)を通信部313に出力してドア施解錠装置210に伝送させる(ステップS306)。
【0083】
ドア施解錠装置210では、通信部211が、受信部311により送信される施解錠指示信号の伝送を待機している(ステップS307)。この状態で通信部211は、通信部313により伝送された施解錠指示信号(解錠指示信号)を受け取ると、受け取った解錠指示信号が表すドアDを解錠状態に移行させる指示内容を、施解錠制御部212に出力する。施解錠制御部212は、通信部211により出力された指示内容に基づいて、ドアDを解錠状態に移行させるための解錠制御信号を施解錠操作機構203に出力する。施解錠操作機構203は、施解錠制御部212により出力された解錠制御信号に応じてドアDを解錠状態にさせる(ステップS308)。その後、施解錠制御部212は、施解錠操作機構203によってドアDが解錠状態になったときに解錠完了通知を通信部211に出力して、通信部313に伝送させる(ステップS309)。ドア開閉制御装置310では、通信部313が、通信部211により伝送された解錠完了通知を受け取り、受け取った解錠完了通知が表す通知内容(ドアDの解錠状態への移行が完了したことを表す内容)を、開閉制御部312に出力する。
【0084】
開閉制御部312は、ステップS305において、デットボルトDBが突出状態ではないことを確認した場合、または通信部313により解錠完了通知の通知内容が出力された場合、ドアDを開状態に移行させるための開閉制御信号(ドア開制御信号)をドア開閉装置400に出力する(ステップS310)。
【0085】
ドア開閉装置400は、ドア開閉制御装置310(より具体的には、開閉制御部312)により出力された開閉制御信号(ドア開制御信号)に応じてアーム400Aを動作させ、ドアDを開ける(ステップS311)。
【0086】
このような動作(処理)によって、ドア開閉システム2は、携帯キーリモコン100により送信された無線信号(ドア開要求信号)をドア開閉制御装置310が受信して、ドアDの扉部分をユーザーが要求した開状態に移行させる。
【0087】
次に、ドア開閉システム2においてドアDを閉状態に移行させる場合の動作(処理)について説明する。図7は、第2の実施形態のドア開閉システム2においてドアを閉状態にさせる動作の流れの一例を示すシーケンス図である。図7には、開状態であるドアDを閉状態に移行させる場合における携帯キーリモコン100、ドア開閉制御装置310、ドア施解錠装置210、およびドア開閉装置400のそれぞれの動作の一例を示している。以下の説明においても、ドア施解錠装置210が、すでに携帯キーリモコン100を認証しているものとする。
【0088】
ドア開閉システム2が備えるそれぞれの構成要素も、第1の実施形態のドア開閉システム1が備えるそれぞれの構成要素と同様に、現在の状態(開状態)を維持しながら、対応する構成要素からの要求や指示があるのを待機している状態である。この状態において携帯キーリモコン100を携帯しているユーザーがドア閉釦CBを押下する(ステップS400)と、ドア閉釦CBは、ドアDを閉める要求がされたことを送信部101に通知する。この通知により送信部101は、ドアDの閉状態への移行を要求するドア閉要求信号をドア開閉制御装置310に送信する(ステップS401)。
【0089】
ドア開閉制御装置310では、受信部311が、送信部101により送信される無線信号(ここでは、ドア閉要求信号)の受信を待機している(ステップS402)。この状態で受信部311は、送信部101により送信されたドア閉要求信号を受信すると、受信したドア閉要求信号が表すドアDを閉める要求内容であることを表す要求信号を、開閉制御部312に出力する。開閉制御部312は、受信部311により出力された要求信号に基づいて、施解錠状態要求信号を通信部313に出力し、ドア施解錠装置210に伝送させる(ステップS403)。
【0090】
ドア施解錠装置210では、通信部211が、通信部313により伝送された施解錠状態要求信号を受け取り、受け取った施解錠状態要求信号を施解錠制御部212に出力する。これにより、施解錠制御部212は、通信部211により出力された施解錠状態要求信号に応じて、施解錠操作機構203により出力されたサムターン状態信号に基づいた施解錠状態情報を通信部211に出力し、通信部313に伝送させる(ステップS404)。
【0091】
ドア開閉制御装置310では、通信部313が、通信部211により伝送された施解錠状態情報を受け取り、受け取った施解錠状態情報を開閉制御部312に出力する。開閉制御部312は、通信部313により出力された施解錠状態情報に基づいて、現在、デットボルトDBが退避状態であるか否かを確認する(ステップS405)。ステップS405において、デットボルトDBが退避状態であることを確認した場合、開閉制御部312は、処理をステップS407に進める。一方、ステップS405において、デットボルトDBが退避状態ではないことを確認した場合、開閉制御部312は、デットボルトDBが突出状態である、つまり、ドアDが施錠状態であることをユーザーに通知する(ステップS406)。この通知は、第1の実施形態のドア開閉システム1と同様の考え方で、施解錠制御部212が備える不図示の通知手段(LEDやブザーなど)、携帯キーリモコン100が備える不図示の通知手段(LEDや、ブザー、バイブレータなど)を用いて行う。携帯キーリモコン100が備える不図示の通知手段を用いてドアDが施錠状態であることをユーザーに通知する場合は、第1の実施形態のドア開閉システム1と同様の考え方で、携帯キーリモコン100とドア開閉制御装置310との間の近距離無線通信は、双方向の通信とする。そして、開閉制御部312は、処理をステップS403に戻して、デットボルトDBが退避状態になるまで、施解錠状態情報の入手および確認と、ユーザーへの通知を繰り返す。
【0092】
開閉制御部312は、ステップS405において、デットボルトDBが退避状態であることを確認した場合、ドアDを閉状態に移行させるための開閉制御信号(ドア閉制御信号)をドア開閉装置400に出力する(ステップS407)。
【0093】
ドア開閉装置400は、ドア開閉制御装置310(より具体的には、開閉制御部312)により出力された開閉制御信号(ドア閉制御信号)に応じてアーム400Aを動作させ、ドアDを閉める(ステップS408)。
【0094】
その後、開閉制御部312は、ドアDの閉状態への移行が完了したか否かを判定する(ステップS409)。このステップS409における判定方法は、第1の実施形態のドア開閉システム1と同様である。つまり、開閉制御部312は、ドア閉制御信号をドア開閉装置400に出力したときからの経過時間に基づいて判定してもよいし、ドア開閉操作機構401により出力されたドア状態信号に基づいて判定(検出)してもよい。ステップS409において、ドアDが閉状態となったと判定した場合、開閉制御部312は、ドアDを施錠状態に移行させる指示をするための施解錠指示信号(以下、「施錠指示信号」という)を通信部313に出力してドア施解錠装置210に伝送させる(ステップS410)。一方、ステップS409において、ドアDが閉状態となっていないと判定した場合、開閉制御部312は、ドアDが閉状態にならないことをユーザーに通知してもよい。
【0095】
ドア施解錠装置210では、通信部211が、受信部311により送信される施解錠指示信号の伝送を待機している(ステップS411)。この状態で通信部211は、通信部313により伝送された施解錠指示信号(施錠指示信号)を受け取ると、受け取った施錠指示信号が表すドアDを施錠状態に移行させる指示内容を、施解錠制御部212に出力する。施解錠制御部212は、通信部211により出力された指示内容に基づいて、ドアDを施錠状態に移行させるための解錠制御信号を施解錠操作機構203に出力する。施解錠操作機構203は、施解錠制御部212により出力された解錠制御信号に応じてドアDを施錠状態にさせる(ステップS412)。
【0096】
このような動作(処理)によって、ドア開閉システム2は、携帯キーリモコン100により送信された無線信号(ドア閉要求信号)をドア開閉制御装置310が受信して、ドアDの扉部分をユーザーが要求した閉状態に移行させる。
【0097】
上記に述べたとおり、第2の実施形態のドア開閉システム2によれば、ユーザーが携帯キーリモコン100を操作することによりドアDから離れた位置から送信された無線信号をドア開閉制御装置310が受信する。そして、第2の実施形態のドア開閉システム2では、ドア開閉制御装置310が主(マスター)となって、ユーザーにより要求された状態にドアDの状態を移行させる。これにより、第2の実施形態のドア開閉システム2でも、第1の実施形態のドア開閉システム1と同様に、第2の実施形態のドア開閉システム2が適用された家屋(建物)のユーザーは、手動による錠(施解錠機構)の施解錠やドアDの開閉を行わずに、容易に家屋(建物)への出入りをすることができる。
【0098】
第2の実施形態のドア開閉システム2においても、第1の実施形態のドア開閉システム1と同様に、ドアDを閉状態にさせる動作(処理)として、図7に示したドアDを閉状態にさせる動作の流れを用いてドア施解錠装置210がすぐにドアDを施錠状態にさせるオートロックの場合の動作(処理)の一例について説明した。しかし、ドア開閉システム2においても、第1の実施形態のドア開閉システム1と同様に、一回目のドア閉釦CBの押下に応じてドアDを閉状態にまで移行させ、二回目のドア閉釦CBの押下に応じてドアDを施錠状態にさせるようにしてもよい。このような動作(処理)にすると、第2の実施形態のドア開閉システム2においても、第1の実施形態のドア開閉システム1と同様に、例えば、家屋に複数人が出入りする場合や、外出する準備のために家屋に複数回出入りする場合などにおいて、利便性を向上させることができる。
【0099】
(第3の実施形態)
第1の実施形態のドア開閉システム1および第2の実施形態のドア開閉システム2では、ドア施解錠装置200やドア施解錠装置210が一つである場合の構成を説明した。しかし、近年では、家屋の玄関ドアにおいても、複数の錠(例えば、二つの錠)が設置されているドアもある。以下、この場合におけるドア開閉システムの構成について説明する。
【0100】
図8は、第3の実施形態のドア開閉システムを構成する各構成要素の概略構成を示すブロック図である。図8に示したドア開閉システム3は、例えば、携帯キーリモコン100と、ドア施解錠装置200-1と、ドア施解錠装置200-2と、ドア開閉制御装置300と、ドア開閉装置400と、を備える。ドア開閉システム3の構成は、第1の実施形態のドア開閉システム1を構成するドア施解錠装置200を二つ備えた場合の構成の一例である。図8では、それぞれのドア施解錠装置200が備える構成要素を区別するため、ドア施解錠装置200の符号に続いて付与した「-」とそれに続く数字を、それぞれの構成要素の符号にも同様に付与している。ドア開閉システム3が備える構成要素は、第1の実施形態のドア開閉システム1の構成要素と同様の構成要素である。従って、以下の説明においては、ドア開閉システム3が備える構成要素に第1の実施形態のドア開閉システム1の構成要素と同一の符号を付与し、それぞれの構成要素に関する詳細な説明を省略する。
【0101】
ドア開閉システム3が備えるドア施解錠装置200-1は、例えば、第1の実施形態のドア開閉システム1が備えるドア施解錠装置200と同様に、ドアDにおけるメインの錠(施解錠機構)のサムターンS(以下、「サムターンS-1」という)の位置に取り付けられる。ドア施解錠装置200-2は、例えば、ドアDにおいてサムターンS-1の下方に設置されたサブの錠(施解錠機構)のサムターンS(以下、「サムターンS-2」という)の位置に取り付けられる。
【0102】
ドア開閉システム3の構成の場合、ドア施解錠装置200-1とドア施解錠装置200-2とのそれぞれが、携帯キーリモコン100により送信された同じ無線信号(ドア開要求信号やドア閉要求信号)を受信する。これにより、ドア施解錠装置200-1とドア施解錠装置200-2とのそれぞれは、無線信号に表されたユーザーからのドアDの開閉の要求に基づいて、それぞれが対応する施解錠機構を操作して対応するサムターンSを回動させ、ドアDを施錠状態または解錠状態に移行させる。そして、ドア施解錠装置200-1とドア施解錠装置200-2とのそれぞれは、受信した無線信号に表されたドアDの開閉の要求に基づいて、ドアDの開状態または閉状態への移行を指示する開閉指示信号(ドア開指示信号またはドア閉指示信号)を、一つのドア開閉制御装置300に出力する。
【0103】
ドア開閉システム3では、ドア開閉制御装置300が、ドア施解錠装置200-1とドア施解錠装置200-2とのそれぞれからドアDを同じ状態に移行させる開閉指示信号を受け取った場合に、ドアDを受け取った開閉指示信号により指示された状態(開状態または閉状態)に移行させる。より具体的には、ドア開閉制御装置300は、ドア施解錠装置200-1とドア施解錠装置200-2とのそれぞれからのドア開指示信号を受け取った場合に、ドアDを開状態に移行させるためのドア開制御信号をドア開閉装置400に出力し、ドア施解錠装置200-1とドア施解錠装置200-2とのそれぞれからのドア閉指示信号を受け取った場合に、ドアDを閉状態に移行させるためのドア閉制御信号をドア開閉装置400に出力する。そして、ドア開閉制御装置300は、ドア閉指示信号に応じてドアDの閉状態への移行が完了した後、ドア施解錠装置200-1とドア施解錠装置200-2とのそれぞれにドア閉完了通知を出力する。これにより、ドア施解錠装置200-1とドア施解錠装置200-2とのそれぞれは、ドアDを施錠状態にさせる。
【0104】
上記に述べたとおり、第3の実施形態のドア開閉システム3によれば、ユーザーが携帯キーリモコン100を操作することによりドアDから離れた位置から送信された無線信号を、複数のドア施解錠装置200のそれぞれが受信する。そして、第3の実施形態のドア開閉システム3では、ドア開閉制御装置300が、それぞれのドア施解錠装置200からドアDを同じ状態に移行させる開閉指示信号を受け取った場合に、ドアDの扉部分をユーザーが要求した状態(開状態または閉状態)に移行させる。これにより、第3の実施形態のドア開閉システム3は、数の錠(例えば、二つの錠)が設置されているドアDに対しても適用することができる。そして、第3の実施形態のドア開閉システム3でも、第1の実施形態のドア開閉システム1と同様に、第3の実施形態のドア開閉システム3が適用された家屋(建物)のユーザーは、手動による錠(施解錠機構)の施解錠やドアDの開閉を行わずに、容易に家屋(建物)への出入りをすることができる。第3の実施形態のドア開閉システム3における動作は、図3および図4を用いて説明した第1の実施形態のドア開閉システム1の動作から容易に理解することができる。より具体的には、第3の実施形態のドア開閉システム3では、ドア開閉制御装置300が、複数のドア施解錠装置200からドアDを同じ状態に移行させる開閉指示信号を受け取った後に、以降の動作をするのみである。従って、第3の実施形態のドア開閉システム3においてドアDを開状態や閉状態に移行させる場合の動作(処理)に関する詳細な説明は省略する。
【0105】
第3の実施形態のドア開閉システム3においては、第1の実施形態のドア開閉システム1が備えるドア施解錠装置200を複数備える構成について説明した。第2の実施形態のドア開閉システム2が備えるドア施解錠装置210を複数備える場合の構成や動作(処理)も、上述した第3の実施形態のドア開閉システム3の構成や動作(処理)と同様に考えることによって容易に理解することができる。より具体的には、第2の実施形態のドア開閉システム2が備えるドア施解錠装置210を複数備える構成では、ドア開閉制御装置310が、それぞれのドア施解錠装置210から入手した施解錠状態情報に基づいて確認した現在のドアDの状態(デットボルトDBの状態)が全て同じ状態である場合に、以降の動作をするのみである。例えば、ドア開閉制御装置310は、それぞれのドア施解錠装置210から入手した施解錠状態情報が全て解錠状態であることを表している場合に、ドアDを開状態や閉状態に移行させる。従って、第2の実施形態のドア開閉システム2が備えるドア施解錠装置210を複数備える場合の構成や動作(処理)に関する詳細な説明は省略する。
【0106】
(第4の実施形態)
第1の実施形態のドア開閉システム1、第2の実施形態のドア開閉システム2、および第3の実施形態のドア開閉システム3では、ドア施解錠装置200とドア開閉制御装置300、またはドア開閉制御装置310とドア施解錠装置210とのそれぞれが有線によってそれぞれの信号をやり取りする場合の構成を説明した。しかし、近年では、ドア開閉装置においても無線化が進んでいる。以下、ドア施解錠装置200とドア開閉制御装置300とが、それぞれの信号を無線通信によってやり取りするドア開閉システムの構成について説明する。
【0107】
図9は、第4の実施形態のドア開閉システムを構成する各構成要素の概略構成を示すブロック図である。図9に示したドア開閉システム4は、例えば、携帯キーリモコン100と、ドア施解錠装置220-1と、ドア施解錠装置220-2と、ドア開閉制御装置320と、ドア開閉装置400と、を備える。ドア開閉システム4では、第1の実施形態のドア開閉システム1におけるドア施解錠装置200がドア施解錠装置220に代わり、ドア開閉制御装置300がドア開閉制御装置320に代わっている。ドア施解錠装置220は、例えば、受信部201と、施解錠制御部202と、施解錠操作機構203と、通信部224と、を備える。ドア開閉制御装置320は、例えば、通信部321と、開閉制御部302と、を備える。
【0108】
ドア開閉システム4は、第3の実施形態のドア開閉システム3と同様に、ドア施解錠装置220を二つ備えた場合の構成の一例である。図9でも、第3の実施形態のドア開閉システム3と同様に、それぞれのドア施解錠装置220が備える構成要素を区別するため、ドア施解錠装置220の符号に続いて付与した「-」とそれに続く数字を、それぞれの構成要素の符号にも同様に付与している。ドア開閉システム4が備えるその他の構成要素は、第1の実施形態のドア開閉システム1が備える構成要素と同様の構成要素である。従って、以下の説明においては、ドア開閉システム4が備える構成要素において、第1の実施形態のドア開閉システム1の構成要素と同様の構成要素には、同一の符号を付与し、それぞれの構成要素に関する詳細な説明を省略する。さらに、ドア開閉システム4が備えるそれぞれの構成要素の配置は、図8に示した第3の実施形態のドア開閉システム3が備えるそれぞれの構成要素の配置と同様に考えることによって容易に理解することができる。従って、ドア開閉システム4が備えるそれぞれの構成要素の配置に関する詳細な説明も省略する。ドア施解錠装置220も、特許請求の範囲における「施解錠装置」の一例であり、ドア開閉制御装置320も、特許請求の範囲における「開閉制御装置」の一例である。
【0109】
通信部224は、第1の実施形態のドア開閉システム1におけるドア施解錠装置200が備える通信部204における信号の授受の方法が無線通信に代わったものである。通信部321は、第1の実施形態のドア開閉システム1におけるドア開閉制御装置300が備える通信部301における信号の授受の方法が無線通信に代わったものである。つまり、ドア開閉システム4では、ドア施解錠装置220とドア開閉制御装置320との間の信号(開閉指示信号やドア閉完了通知)の受け渡しを、通信部224と通信部321との間の無線通信によって行う。通信部224と通信部321との間の無線通信の方式は、送信部101と受信部201との間で行う近距離無線通信と同様の方式である。このため、通信部224と通信部321とのそれぞれは、近距離無線通信を行うための送受信器やアンテナ(不図示)を備える。通信部224のアンテナ(不図示)は、受信部201のアンテナ(不図示)と共用であってもよい。
【0110】
ドア開閉システム4における動作は、図3および図4を用いて説明した第1の実施形態のドア開閉システム1の動作と、第3の実施形態のドア開閉システム3の動作の考え方から容易に理解することができる。従って、ドア開閉システム4においてドアDを開状態や閉状態に移行させる場合の動作(処理)に関する詳細な説明は省略する。ただし、ドア開閉システム4では、それぞれのドア施解錠装置220とドア開閉制御装置320とが、携帯キーリモコン100とそれぞれのドア施解錠装置220との間の近距離無線通信と同様の無線通信によってそれぞれの信号のやり取りをする。つまり、ドア開閉システム4では、携帯キーリモコン100とそれぞれのドア施解錠装置220との間の無線信号の送受信に加えて、それぞれのドア施解錠装置220とドア開閉制御装置320との間でも無線信号の送受信が行われる。このため、ドア開閉システム4では、それぞれの無線信号の混信が懸念される。
【0111】
ここで、ドア開閉システム4においてそれぞれの無線信号の混信を回避する方法について説明する。ドア開閉システム4における無線信号の混信を回避する方法は、ドアDを開状態に移行させるときも、閉状態に移行させるときも、同様に考えることができる。以下では、ドアDを開状態に移行させる場合を一例として、それぞれの無線信号の混信を回避する方法について説明する。図10は、第4の実施形態のドア開閉システム4においてドアを開状態にさせる場合に各構成要素が通信するタイミングの一例を模式的に示す図である。
【0112】
ドア施解錠装置220-1とドア施解錠装置220-2とのそれぞれは、現在の状態(閉状態)を維持しながら、対応する携帯キーリモコン100から無線信号(ドア開要求信号)が送信されてくるのを待機している状態である。ドア開閉制御装置320は、ドア施解錠装置220-1とドア施解錠装置220-2とのそれぞれから開閉指示信号(ドア開指示信号)が送信されてくるのを待機している状態である。
【0113】
この状態においてユーザーが携帯キーリモコン100のドア開釦OBを押下すると、携帯キーリモコン100は、時刻t0からドア開要求信号をそれぞれのドア施解錠装置220に送信する。このとき、携帯キーリモコン100は、それぞれのドア施解錠装置220がより確実に送信したドア開要求信号を受信することができるように、所定期間の間、ドア開要求信号を送信する。図10には、携帯キーリモコン100が、時刻t0~時刻t3までの間、ドア開要求信号を送信する場合の一例を示している。
【0114】
ドア施解錠装置220-1とドア施解錠装置220-2とのそれぞれは、携帯キーリモコン100により送信されたドア開要求信号を受信すると、受信したドア開要求信号に基づいて対応するサムターンSを回動させ、ドアDを解錠させる動作(解錠動作:図3のステップS102およびステップS103参照)を実行する。図10には、ドア施解錠装置220-1とドア施解錠装置220-2とのそれぞれが、時刻t1のときに携帯キーリモコン100により送信されたドア開要求信号を受信して解錠動作の実行を開始し、時刻t2においてドアDの解錠動作が完了した場合の一例を示している。
【0115】
ドア開閉システム4では、解錠動作が完了した後にそれぞれのドア施解錠装置220がドア開閉制御装置320に送信する無線信号(ドア開指示信号)が、携帯キーリモコン100が送信している無線信号(ドア開要求信号)に混信してしまうことがないように、それぞれのドア施解錠装置220による無線信号の送信待ち時間を予め設定している。この所定の送信待ち時間は、例えば、ドア開要求信号を受信した時間(図10では、時刻t1)から、携帯キーリモコン100がドア開要求信号を送信する期間に所定の余裕時間(図10では、余裕時間Te1)を加えた時間(図10では、時刻t4までの時間)である。このため、ドア施解錠装置220-1とドア施解錠装置220-2とのそれぞれは、時刻t2においてドアDの解錠動作が完了した後、時刻t4までドア開指示信号の送信を待つ。従って、図10においては、それぞれのドア施解錠装置220がドア開要求信号を受信した時刻t1から解錠動作の実行を開始している場合を示したが、時刻t4までに完了すれば、それぞれのドア施解錠装置220はいずれの時刻から解錠動作の実行を開始してもよい。所定の送信待ち時間は、特許請求の範囲における「第1の所定時間」の一例である。
【0116】
所定の送信待ち時間が経過すると、それぞれのドア施解錠装置220は、無線信号(ドア開指示信号)のドア開閉制御装置320への送信を開始する。ただし、ドア開閉システム4では、二つのドア施解錠装置220を備えている。このため、ドア開閉システム4では、それぞれのドア施解錠装置220がドア開閉制御装置320に送信する無線信号(ドア開指示信号)が互いに混信してしまうことがないように、一方のドア施解錠装置220に対して無線信号の送信をさらに待つための送信待ち時間(以下、「混信回避待ち時間」という)を予め設定している。この所定の混信回避待ち時間は、例えば、一方のドア施解錠装置220とドア開閉制御装置320との間で行う無線通信の期間(図10では、時刻t4~時刻t5までの時間)に所定の余裕時間(図10では、余裕時間Te2)を加えた時間(図10では、時刻t4~時刻t6までの時間)である。所定の混信回避待ち時間は、特許請求の範囲における「第2の所定時間」の一例である。
【0117】
ドア開閉システム4では、ドア施解錠装置220-2に、混信回避待ち時間を設定している。このため、ドア開閉システム4では、図10に示したように、時刻t4からドア施解錠装置220-1がドア開指示信号をドア開閉制御装置320に送信し、時刻t6からドア施解錠装置220-2がドア開指示信号をドア開閉制御装置320に送信している。
【0118】
ドア開閉制御装置320は、それぞれのドア施解錠装置220により送信されたドア開指示信号を受信すると、受信したドア開指示信号に応じてドアDを開状態に移行させるための開閉制御信号(ドア開制御信号)をドア開閉装置400に出力する。ただし、ドア開閉システム4では、二つのドア施解錠装置220を備えているため、ドア開閉制御装置320は、ドア施解錠装置220-1とドア施解錠装置220-2とのそれぞれからドア開指示信号を受け取った場合に、ドアDを開状態に移行させる。このため、ドア開閉制御装置320は、図10に示したように、時刻t4からドア施解錠装置220-1により送信されたドア開指示信号を受信した後、ドアDを開状態に移行させる動作(ドア開動作:図3のステップS105~ステップS108参照)の実行を待機し、ドア施解錠装置220-2からドア開指示信号が送信されてくるのを待つ。その後、ドア開閉制御装置320は、図10に示したように、時刻t6からドア施解錠装置220-2により送信されたドア開指示信号を受信した後、ドア開動作の実行を開始する。
【0119】
図10には、ドア施解錠装置220-2により送信されたドア開指示信号を受信してからドア開動作の実行を開始し、ドア開動作が完了した後に、ドア開完了通知をそれぞれのドア施解錠装置220に送信する場合の一例を示している。ここで、ドア開閉制御装置320によるドア開完了通知の送信も、それぞれのドア施解錠装置220とドア開閉制御装置320との間の無線通信である。しかし、ドア開閉システム4では、ドア開閉制御装置320により送信された無線信号(ドア開完了通知)を、それぞれのドア施解錠装置220が同時期に受信することができる。
【0120】
上記に述べたとおり、第4の実施形態のドア開閉システム4によれば、ユーザーが携帯キーリモコン100を操作することによりドアDから離れた位置から送信された無線信号を、複数のドア施解錠装置220のそれぞれが受信する。そして、第4の実施形態のドア開閉システム4では、ドア開閉制御装置320が、それぞれのドア施解錠装置220からドアDを同じ状態に移行させる開閉指示信号を受け取った場合に、ドアDの扉部分をユーザーが要求した状態(開状態または閉状態)に移行させる。これにより、第4の実施形態のドア開閉システム4は、第3の実施形態のドア開閉システム3と同様に、複数の錠(例えば、二つの錠)が設置されているドアDに対しても適用することができる。さらに、第4の実施形態のドア開閉システム4では、それぞれのドア施解錠装置220とドア開閉制御装置320とが、携帯キーリモコン100とそれぞれのドア施解錠装置220との間の近距離無線通信と同様の無線通信によってそれぞれの信号のやり取りを行う。このとき、第4の実施形態のドア開閉システム4では、それぞれのドア施解錠装置220がドア開閉制御装置320に無線信号を送信するタイミングをずらすことにより、無線信号を送信する際に懸念されるそれぞれの無線信号の混信を回避することができる。これにより、第4の実施形態のドア開閉システム4は、それぞれのドア施解錠装置220とドア開閉制御装置320との間の配線の無線化を実現し、新たに建設する家屋(建物)のドアDのみならず、すでに建設されて設置されている家屋(建物)のドアDに対しても、容易に適用することができる。そして、第4の実施形態のドア開閉システム4でも、第3の実施形態のドア開閉システム3と同様に、第4の実施形態のドア開閉システム4が適用された家屋(建物)のユーザーは、手動による錠(施解錠機構)の施解錠やドアDの開閉を行わずに、容易に家屋(建物)への出入りをすることができる。
【0121】
第4の実施形態のドア開閉システム4において説明したそれぞれの無線信号の混信を回避する方法の考え方は、例えば、第2の実施形態のドア開閉システム2においてドア施解錠装置210を複数備える構成とし、それぞれのドア施解錠装置210とドア開閉制御装置310とがそれぞれの信号を無線通信によってやり取りする場合においても同様である。つまり、図10に示した無線信号を送信するタイミングをずらす考え方と同様に考えることによって、複数のドア施解錠装置210とドア開閉制御装置310とが無線通信によってそれぞれの信号をやり取りする構成のドア開閉システム2でも、それぞれの無線信号の混信を回避する方法は容易に理解することができる。例えば、ドア開閉制御装置310が、デットボルトDBが突出状態であるか否かを確認する場合、ドア開閉制御装置310によるそれぞれのドア施解錠装置210への施解錠状態要求信号の送信(図3のステップS303)を、携帯キーリモコン100によるそれぞれのドア施解錠装置220へのドア開要求信号の送信(時刻t0~時刻t3)に置き換える。さらに、それぞれのドア施解錠装置210による施解錠状態要求信号に応じた施解錠状態情報の送信(図3のステップS304)を、それぞれのドア施解錠装置220によるドア開閉制御装置320へのドア開指示信号の送信(時刻t1~時刻t6)に置き換える。このように考えることにより、ドア開閉制御装置310により送信された施解錠状態要求信号をそれぞれのドア施解錠装置210が同時期に受信し、受信した施解錠状態要求信号に応じてそれぞれのドア施解錠装置210により送信される施解錠状態情報の無線信号の混信が回避されることを容易に理解することができる。ドア施解錠装置210とドア開閉制御装置310とが無線通信によってそれぞれの信号をやり取りする構成のドア開閉システム2では、それぞれのドア施解錠装置210によるドア開閉制御装置310への解錠完了通知の送信(図3のステップS309)も、施解錠状態情報の送信と同様に置き換えることにより、施解錠状態情報の無線信号の混信が回避されることを容易に理解することができる。従って、複数のドア施解錠装置210とドア開閉制御装置310とが無線通信によってそれぞれの信号をやり取りする構成のドア開閉システム2においてそれぞれの無線信号の混信を回避する方法に関する詳細な説明は省略する。
【0122】
以上説明した各実施形態のドア開閉システムによれば、ドアの開閉を要求する無線信号(ドア開要求信号やドア閉要求信号)を送信する携帯キーリモコン(例えば、携帯キーリモコン100)と、無線信号に表された要求に基づいてドアに設置されている施解錠機構(錠)を操作することによりドアを施錠状態または解錠状態に移行させるとともに、無線信号に応じたドアの開閉を指示する開閉指示信号(ドア開指示信号やドア閉指示信号)を出力する施解錠装置(例えば、ドア施解錠装置200)と、ドアが解錠状態である場合、開閉指示信号に応じて、ドアを開状態または閉状態に移行させる開閉制御信号(ドア開制御信号やドア閉制御信号)を出力する開閉制御装置(例えば、ドア開閉制御装置300)と、ドアに設置され、開閉制御信号に応じてドアを開状態または閉状態に移行させるドア開閉装置(例えば、ドア開閉装置400)と、を備える。そして、各実施形態のドア開閉システムでは、少なくともドアを閉状態に移行させる前に、ドアが施錠状態であるか解錠状態であるか(つまり、デットボルトが突出状態であるか退避状態であるか)を確認し、ドアが施錠状態である場合には通知を行い、ドアが解錠状態であることが確認された場合に、ドアを閉状態に移行させる。これにより、各実施形態のドア開閉システムでは、ドア開閉システムが適用された家屋(建物)のユーザーが手動による錠(施解錠機構)の施解錠やドアの開閉を行わずに、容易に家屋(建物)への出入りをすることができるとともに、ドアを施錠する際に、より確実に施錠状態にする(ドアを閉状態、デットボルトを突出状態にする)ことができる。このことにより、各実施形態のドア開閉システムが適用された家屋(建物)では、ユーザーがドアの施錠状態を確認せずに家屋(建物)を離れてしまった場合に想定される、ドアが施錠されていない状態のまま放置されてしまうというような事態を、未然に防ぐことができる。言い換えれば、各実施形態のドア開閉システムが適用された家屋(建物)では、ユーザーが出かける際に安心して家屋(建物)から離れることができる。
【0123】
上述した各実施形態のドア開閉システムでは、ドア施解錠装置がドアの室内側に配置されている場合を説明した。しかし、各実施形態のドア開閉システムにおいてドア施解錠装置を配置する位置は、ドアの室内側に限定されない。ドア施解錠装置は、例えば、ドアの室外側に配置されてもよい。この場合のドア開閉システムにおいても、上述した各実施形態のドア開閉システムと同様の効果を得ることができる。
【0124】
上述した各実施形態のドア開閉システムでは、ドアが備える不図示のラッチなどの係止機構が常にドア内に収められている状態であるものとして説明した。しかし、ドアの係止機構も、各実施形態のドア開閉システムにおいて操作する構成にしてもよい。例えば、第1の実施形態のドア開閉システム1では、ドアDの係止機構を操作するための係止操作機構をドア施解錠装置200に備え、この係止操作機構が、施解錠制御部202により出力された係止制御信号に応じて、ドアDに付勢されているラッチを回動させる構成が考えられる。この構成のドア開閉システム1においてドアDを開状態に移行させる動作(処理)は、図3のステップS103の後(ドアDを解錠状態にさせた後)に、施解錠制御部202が係止制御信号を係止操作機構に出力してラッチを退避状態に移行させてから、ステップS104においてドアDを開状態に移行させるドア開指示信号をドア開閉制御装置300に出力(伝送)する動作(処理)となる。一方、この構成のドア開閉システム1においてドアDを閉状態に移行させる動作(処理)は、図4を用いて説明した動作(処理)と同様である。これは、ラッチは、バネなどによって突出状態に付勢されているため、例えば、ドアノブやドアレバーを操作して退避状態にしていないときには常に突出状態になっており、ドアDが閉められて枠内に収まるときには一旦退避状態になり、最終的にドアDが閉じられたときに再び突出状態となるからである。第2の実施形態のドア開閉システム2、第3の実施形態のドア開閉システム3、および第4の実施形態のドア開閉システム4においてドアDの係止機構を操作する場合の構成や動作(処理)は、上述した第1の実施形態のドア開閉システム1における構成や動作(処理)と同様に考えることによって容易に理解することができるため、詳細な説明は省略する。
【0125】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形および置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0126】
1,2,3,4・・・ドア開閉システム
100・・・携帯キーリモコン
OB・・・ドア開釦
CB・・・ドア閉釦
101・・・送信部
200,200-1,200-2,210,220,220-1,220-2・・・ドア施解錠装置
201,201-1,201-2・・・受信部
202,202-1,202-2,212・・・施解錠制御部
203,203-1,203-2,・・・施解錠操作機構
204,204-1,204-2,224,224-1,224-2・・・通信部
211・・・通信部
300,310,320・・・ドア開閉制御装置
301,321・・・通信部
302,312・・・開閉制御部
311・・・受信部
313・・・通信部
400・・・ドア開閉装置
400A・・・アーム
401・・・ドア開閉操作機構
D・・・ドア
S・・・サムターン
DB・・・デットボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10