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特許7262431熱容量推定システム、冷媒サイクル装置および熱容量推定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】熱容量推定システム、冷媒サイクル装置および熱容量推定方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/41 20180101AFI20230414BHJP
   F24F 11/65 20180101ALI20230414BHJP
   F25B 47/02 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
F24F11/41 200
F24F11/65
F25B47/02 550B
F25B47/02 550K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020163764
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022056004
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2021-09-22
【審判番号】
【審判請求日】2022-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】山口 正喜
【合議体】
【審判長】西村 泰英
【審判官】菅家 裕輔
【審判官】間中 耕治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/008744(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/131088(WO,A1)
【文献】特開2017-125628(JP,A)
【文献】特開2017-125666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00 - 49/04
F24F 1/00 - 13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(11)および熱源側熱交換器(13)を有する室外ユニット(10)と、利用側熱交換器(31)を有する室内ユニット(30)とが連絡配管(GP,LP)を介して接続される冷媒サイクル装置(100)の所定部分の熱容量を推定する熱容量推定システムであって、
前記圧縮機から吐出される冷媒を前記熱源側熱交換器に供給して前記熱源側熱交換器を除霜するデフロスト運転の開始時点から、前記圧縮機と前記利用側熱交換器とを接続する前記連絡配管であるガス連絡配管(GP)の温度、または、前記ガス連絡配管内の冷媒の過熱度が所定値に低下する時点、もしくは、前記温度または前記過熱度の所定時間内の低下量の絶対値が所定値を超える時点までにおける、前記利用側熱交換器および前記ガス連絡配管の保有熱量を算出する算出部(61)と、
前記算出部によって算出された前記利用側熱交換器および前記ガス連絡配管の保有熱量に基づいて、前記ガス連絡配管の熱容量を推定する第1推定部(71)と、
前記第1推定部によって推定された前記ガス連絡配管の熱容量に基づいて、前記ガス連絡配管の寸法を推定して、前記冷媒サイクル装置の余剰冷媒量を推定する第3推定部(73)と、
第1決定部(81)と、
を備え、
前記室内ユニットは、デフロスト運転中に前記利用側熱交換器に供給される冷媒の量を調整するための室内電動弁(32)をさらに有し、
前記第1決定部は、前記第3推定部によって推定された前記余剰冷媒量に基づいて、デフロスト運転中において前記室内電動弁の開度を第1開度から第2開度に低下させる時刻を決定する、
熱容量推定システム(200)。
【請求項2】
前記利用側熱交換器の熱容量を取得する取得部(62)と、
前記取得部によって取得された前記利用側熱交換器の熱容量に基づいて、前記利用側熱交換器の保有熱量を推定する第2推定部(72)と、
をさらに備え、
前記第1推定部は、前記算出部によって算出された前記利用側熱交換器および前記ガス連絡配管の保有熱量、および、前記第2推定部によって推定された前記利用側熱交換器の保有熱量に基づいて、前記ガス連絡配管の熱容量を推定する、
請求項1に記載の熱容量推定システム。
【請求項3】
前記冷媒サイクル装置は、複数の前記室外ユニットを有し、
前記第1推定部によって推定された前記ガス連絡配管の熱容量に基づいて、デフロスト運転の方式を決定する第2決定部(82)をさらに備え、
前記デフロスト運転の方式は、
前記利用側熱交換器および前記ガス連絡配管の熱量を使用する第1方式、または、
複数の前記室外ユニットの間で、各前記室外ユニットの熱交換器を、交互に放熱器または吸熱器として使用する第2方式、である、
請求項1又は2に記載の熱容量推定システム。
【請求項4】
圧縮機(11)および熱源側熱交換器(13)を有する室外ユニット(10)と、利用側熱交換器(31)を有する室内ユニット(30)とが連絡配管(GP,LP)を介して接続される冷媒サイクル装置(100)であって、
前記圧縮機から吐出される冷媒を前記熱源側熱交換器に供給して前記熱源側熱交換器を除霜するデフロスト運転の開始時点から、前記圧縮機と前記利用側熱交換器とを接続する前記連絡配管であるガス連絡配管(GP)の温度、または、前記ガス連絡配管内の冷媒の過熱度が所定値に低下する時点、もしくは、前記温度または前記過熱度の所定時間内の低下量の絶対値が所定値を超える時点までにおける、前記利用側熱交換器および前記ガス連絡配管の保有熱量を算出する算出部(61)と、
前記算出部によって算出された前記利用側熱交換器および前記ガス連絡配管の保有熱量に基づいて、前記ガス連絡配管の熱容量を推定する第1推定部(71)と、
前記第1推定部によって推定された前記ガス連絡配管の熱容量に基づいて、前記ガス連絡配管の寸法を推定して、前記冷媒サイクル装置の余剰冷媒量を推定する第3推定部(73)と、
第1決定部(81)と、
を備え、
前記室内ユニットは、デフロスト運転中に前記利用側熱交換器に供給される冷媒の量を調整するための室内電動弁(32)をさらに有し、
前記第1決定部は、前記第3推定部によって推定された前記余剰冷媒量に基づいて、デフロスト運転中において前記室内電動弁の開度を第1開度から第2開度に低下させる時刻を決定する、
冷媒サイクル装置。
【請求項5】
圧縮機(11)および熱源側熱交換器(13)を有する室外ユニット(10)と、利用側熱交換器(31)を有する室内ユニット(30)とが連絡配管(GP,LP)を介して接続される冷媒サイクル装置(100)の所定部分の熱容量を推定する熱容量推定方法であって、
前記圧縮機から吐出される冷媒を前記熱源側熱交換器に供給して前記熱源側熱交換器を除霜するデフロスト運転の開始時点から、前記圧縮機と前記利用側熱交換器とを接続する前記連絡配管であるガス連絡配管(GP)の温度、または、前記ガス連絡配管内の冷媒の過熱度が所定値に低下する時点、もしくは、前記温度または前記過熱度の所定時間内の低下量の絶対値が所定値を超える時点までにおける、前記利用側熱交換器および前記ガス連絡配管の保有熱量を算出するステップと、
算出された前記利用側熱交換器および前記ガス連絡配管の保有熱量に基づいて、前記ガス連絡配管の熱容量を推定するステップと、
推定された前記ガス連絡配管の熱容量に基づいて、前記ガス連絡配管の寸法を推定して、前記冷媒サイクル装置の余剰冷媒量を推定するステップと、
を備え、
前記室内ユニットは、デフロスト運転中に前記利用側熱交換器に供給される冷媒の量を調整するための室内電動弁(32)をさらに有し、
推定された前記余剰冷媒量に基づいて、デフロスト運転中において前記室内電動弁の開度を第1開度から第2開度に低下させる時刻を決定するステップをさらに備える、
熱容量推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
冷媒サイクル装置の所定部分の熱容量を推定する熱容量推定システム、冷媒サイクル装置の所定部分の熱容量を推定する熱容量推定方法、および、冷媒サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1(特開2003-302131号公報)に記載のように、室外ユニットと室内ユニットとを接続する連絡配管、および、室内ユニットの熱交換器の蓄熱を利用して、室外ユニットの熱交換器を除霜するデフロスト運転を行う冷媒サイクル装置が用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
デフロスト運転を行う冷媒サイクル装置は、例えば、連絡配管および室内ユニットの熱交換器の蓄熱がなくなったことを検知すると、室内ユニットの電動弁を閉じてデフロスト運転を終了させる制御を行う。この場合、冷媒サイクル装置の構成によっては、デフロスト運転に要する時間が長くなることがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の熱容量推定システムは、冷媒サイクル装置の所定部分の熱容量を推定する。冷媒サイクル装置は、圧縮機および熱源側熱交換器を有する室外ユニットと、利用側熱交換器を有する室内ユニットとが連絡配管を介して接続される装置である。熱容量推定システムは、算出部と、第1推定部とを備える。算出部は、デフロスト運転の開始時点から、ガス連絡配管の温度、または、ガス連絡配管内の冷媒の過熱度が所定値に低下する時点、もしくは、ガス連絡配管の温度、または、ガス連絡配管内の冷媒の過熱度の所定時間内の低下量の絶対値が所定値を超える時点までにおける、利用側熱交換器およびガス連絡配管の保有熱量を算出する。デフロスト運転は、圧縮機から吐出される冷媒を熱源側熱交換器に供給して熱源側熱交換器を除霜する運転である。ガス連絡配管は、圧縮機と利用側熱交換器とを接続する連絡配管である。第1推定部は、算出部によって算出された利用側熱交換器およびガス連絡配管の保有熱量に基づいて、所定部分の熱容量を推定する。所定部分は、ガス連絡配管を含む。
【0005】
第1観点の熱容量推定システムは、冷媒サイクル装置の所定部分の熱容量を推定することで、冷媒サイクル装置の余剰冷媒量を推定し、デフロスト運転に要する時間を短縮することができる。
【0006】
第2観点の熱容量推定システムは、第1観点の熱容量推定システムであって、取得部と、第2推定部とをさらに備える。取得部は、利用側熱交換器の熱容量を取得する。第2推定部は、取得部によって取得された利用側熱交換器の熱容量に基づいて、利用側熱交換器の保有熱量を推定する。第1推定部は、算出部によって算出された利用側熱交換器およびガス連絡配管の保有熱量、および、第2推定部によって推定された利用側熱交換器の保有熱量に基づいて、ガス連絡配管の熱容量を推定する。
【0007】
第2観点の熱容量推定システムは、冷媒サイクル装置のガス連絡配管の熱容量を推定することで、冷媒サイクル装置の余剰冷媒量を推定し、デフロスト運転に要する時間を短縮することができる。
【0008】
第3観点の熱容量推定システムは、第2観点の熱容量推定システムであって、第3推定部をさらに備える。第3推定部は、第1推定部によって推定されたガス連絡配管の熱容量に基づいて、冷媒サイクル装置の余剰冷媒量を推定する。
【0009】
第3観点の熱容量推定システムは、冷媒サイクル装置の余剰冷媒量を推定することで、デフロスト運転に要する時間を短縮することができる。
【0010】
第4観点の熱容量推定システムは、第2観点の熱容量推定システムであって、第1決定部をさらに備える。第1決定部は、第1推定部によって推定されたガス連絡配管の熱容量に基づいて、デフロスト運転中における室内電動弁の開度、および、その開度を維持する時間の少なくとも1つを決定する。室内ユニットは、デフロスト運転中に利用側熱交換器に供給される冷媒の量を調整するための室内電動弁をさらに有する。
【0011】
第4観点の熱容量推定システムは、冷媒サイクル装置のガス連絡配管の熱容量を推定することで、デフロスト運転時における室内電動弁の開度を制御して、デフロスト運転に要する時間を短縮することができる。
【0012】
第5観点の熱容量推定システムは、第3観点の熱容量推定システムであって、第1決定部をさらに備える。第1決定部は、第3推定部によって推定された余剰冷媒量に基づいて、デフロスト運転中における室内電動弁の開度、および、その開度を維持する時間の少なくとも1つを決定する。室内ユニットは、デフロスト運転中に利用側熱交換器に供給される冷媒の量を調整するための室内電動弁をさらに有する。
【0013】
第5観点の熱容量推定システムは、冷媒サイクル装置の余剰冷媒量を推定することで、デフロスト運転時における室内電動弁の開度を制御して、デフロスト運転に要する時間を短縮することができる。
【0014】
第6観点の熱容量推定システムは、第2観点または第5観点の熱容量推定システムであって、冷媒サイクル装置は、複数の室外ユニットを有し、第2決定部をさらに備える。第2決定部は、第1推定部によって推定されたガス連絡配管の熱容量に基づいて、デフロスト運転の方式を決定する。デフロスト運転の方式は、利用側熱交換器およびガス連絡配管の熱量を使用する第1方式、または、複数の室外ユニットの間で、各室外ユニットの熱交換器を、交互に放熱器または吸熱器として使用する第2方式、である。
【0015】
第6観点の熱容量推定システムは、冷媒サイクル装置のガス連絡配管の熱容量を推定することで、適切なデフロスト運転の方式を決定して、デフロスト運転に要する時間を短縮することができる。
【0016】
第7観点の冷媒サイクル装置は、圧縮機および熱源側熱交換器を有する室外ユニットと、利用側熱交換器を有する室内ユニットとが連絡配管を介して接続される装置である。冷媒サイクル装置は、算出部と、第1推定部とを備える。算出部は、デフロスト運転の開始時点から、ガス連絡配管の温度、または、ガス連絡配管内の冷媒の過熱度が所定値に低下する時点、もしくは、ガス連絡配管の温度、または、ガス連絡配管内の冷媒の過熱度の所定時間内の低下量の絶対値が所定値を超える時点までにおける、利用側熱交換器およびガス連絡配管の保有熱量を算出する。デフロスト運転は、圧縮機から吐出される冷媒を熱源側熱交換器に供給して熱源側熱交換器を除霜する運転である。ガス連絡配管は、圧縮機と利用側熱交換器とを接続する連絡配管である。第1推定部は、算出部によって算出された利用側熱交換器およびガス連絡配管の保有熱量に基づいて、所定部分の熱容量を推定する。所定部分は、ガス連絡配管を含む。
【0017】
第7観点の冷媒サイクル装置は、冷媒サイクル装置の所定部分の熱容量を推定することで、余剰冷媒量を推定し、デフロスト運転に要する時間を短縮することができる。
【0018】
第8観点の熱容量推定方法は、冷媒サイクル装置の所定部分の熱容量を推定する方法である。冷媒サイクル装置は、圧縮機および熱源側熱交換器を有する室外ユニットと、利用側熱交換器を有する室内ユニットとが連絡配管を介して接続される装置である。熱容量推定方法は、算出ステップと、推定ステップとを備える。算出ステップでは、デフロスト運転の開始時点から、ガス連絡配管の温度、または、ガス連絡配管内の冷媒の過熱度が所定値に低下する時点、もしくは、ガス連絡配管の温度、または、ガス連絡配管内の冷媒の過熱度の所定時間内の低下量の絶対値が所定値を超える時点までにおける、利用側熱交換器およびガス連絡配管の保有熱量を算出する。デフロスト運転は、圧縮機から吐出される冷媒を熱源側熱交換器に供給して熱源側熱交換器を除霜する運転である。ガス連絡配管は、圧縮機と利用側熱交換器とを接続する連絡配管である。推定ステップでは、算出ステップで算出された利用側熱交換器およびガス連絡配管の保有熱量に基づいて、所定部分の熱容量を推定する。所定部分は、ガス連絡配管を含む。
【0019】
第8観点の熱容量推定方法は、冷媒サイクル装置の所定部分の熱容量を推定することで、冷媒サイクル装置の余剰冷媒量を推定し、デフロスト運転に要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】熱容量推定システム200の概略構成図である。
図2】デフロスト運転の実行時のタイムチャートである。
図3】デフロスト運転開始前の圧力―エンタルピー線図である。
図4】デフロスト運転実行時の圧力―エンタルピー線図である。
図5】コントロールユニット60のブロック図である。
図6】室内電動弁32の開度変更制御のフローチャートである。
図7】変形例Aにおける、コントロールユニット60のブロック図である。
図8】変形例Hにおける、熱容量推定システム200の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示の実施形態に係る熱容量推定システム200について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
(1)熱容量推定システム200の構成
熱容量推定システム200は、冷媒サイクル装置100を用いて、家屋、ビル、工場または公共施設等の建物内に含まれる対象空間において冷房および暖房等の空気調和を実現するように構成されている。熱容量推定システム200は、冷媒サイクル装置100を含む。
【0023】
冷媒サイクル装置100は、冷媒が循環する冷媒回路RCを含む。冷媒サイクル装置100は、冷媒回路RCにおいて冷媒を循環させて蒸気圧縮方式の冷凍サイクルを行うことにより、対象空間の冷房または暖房を行う。冷媒回路RCには、R410A、R32またはアンモニア等の冷媒が封入されている。
【0024】
冷媒サイクル装置100は、主として、熱源ユニットとしての1台の室外ユニット10と、利用ユニットとしての複数台(図1では3台)の室内ユニット30(30a,30b,30c)と、複数台(図1では3台)のリモコン50と、コントロールユニット60とを備えている。冷媒サイクル装置100の冷媒回路RCは、室外ユニット10と各室内ユニット30とがガス連絡配管GPおよび液連絡配管LPによって接続されることで構成されている。言い換えると、冷媒サイクル装置100は、同一冷媒系統に複数の室内ユニット30が接続された、マルチタイプ(マルチテナント)の空気調和装置である。
【0025】
(1-1)室外ユニット10
室外ユニット10は、室外(対象空間外)に配置される室外機である。室外ユニット10は、主として、複数の冷媒配管(第1配管P1~第5配管P5)と、圧縮機11と、四路切換弁12と、熱源側熱交換器13と、室外ファン15と、室外ユニット制御部17と、アキュームレータ19と、温度センサ40とを有している。
【0026】
第1配管P1は、ガス連絡配管GPと、四路切換弁12とを接続する冷媒配管である。第2配管P2は、四路切換弁12と、圧縮機11の吸入ポート(図示省略)とを接続する吸入配管である。第3配管P3は、圧縮機11の吐出ポート(図示省略)と、四路切換弁12とを接続する吐出配管である。第4配管P4は、四路切換弁12と、熱源側熱交換器13のガス側とを接続する冷媒配管である。第5配管P5は、熱源側熱交換器13の液側と、液連絡配管LPとを接続する冷媒配管である。
【0027】
圧縮機11は、低圧のガス冷媒を吸入して、高圧のガス冷媒を吐出する機構である。圧縮機11は、圧縮機モータ11aが内蔵された密閉式の構造を有している。圧縮機11では、圧縮機ケーシング(図示省略)内に収容されたロータリ式またはスクロール式等の圧縮要素(図示省略)が、圧縮機モータ11aを駆動源として駆動される。圧縮機モータ11aは、運転中、インバータ制御され、状況に応じて回転数が調整される。圧縮機11は、駆動時に、吸入ポートから冷媒を吸入し、圧縮し、吐出ポートから吐出する。
【0028】
四路切換弁12は、冷媒回路RCにおいて冷媒の流れる方向を切り換えるための弁である。四路切換弁12は、第1配管P1、第2配管P2、第3配管P3および第4配管P4と個別に接続されている。四路切換弁12は、冷房運転時には、第1配管P1と第2配管P2とが接続されると共に、第3配管P3と第4配管P4とが接続されるように、流路を切り換える(図1の四路切換弁12の実線を参照)。四路切換弁12は、暖房運転時には、第1配管P1と第3配管P3とが接続されると共に、第2配管P2と第4配管P4とが接続されるように、流路を切り換える(図1の四路切換弁12の破線を参照)。
【0029】
熱源側熱交換器13は、冷房運転時には冷媒の凝縮器または放熱器として機能し、暖房運転時には冷媒の蒸発器または吸熱器として機能する熱交換器である。熱源側熱交換器13は、冷媒が流れる伝熱管(図示省略)と、伝熱面積を増大させるための伝熱フィン(図示省略)とを含む。熱源側熱交換器13は、運転時において、伝熱管内の冷媒と、室外ファン15によって生成される空気流とが熱交換可能なように配置されている。
【0030】
室外ファン15は、例えばプロペラファンである。室外ファン15は、室外ファンモータ15aの出力軸に接続されており、室外ファンモータ15aに連動して駆動する。室外ファン15は、駆動すると、外部から室外ユニット10内に流入し熱源側熱交換器13を通過してから室外ユニット10外へ流出する空気流を生成する。
【0031】
室外ユニット制御部17は、CPUおよびメモリ等から構成されるマイクロコンピュータである。室外ユニット制御部17は、室外ユニット10の各アクチュエータの動作を制御する。室外ユニット制御部17は、各室内ユニット30の室内ユニット制御部34と、通信線(図示省略)を介して接続されており、相互に信号の送受信を行う。
【0032】
アキュームレータ19は、第2配管P2に取り付けられる。アキュームレータ19は、冷媒回路RCを流れる気液混合冷媒を、ガス冷媒と液冷媒とに分離し、ガス冷媒のみを圧縮機11の吸入ポートに送る。ガス冷媒と分離された液冷媒は、アキュームレータ19に貯留される。アキュームレータ19に所定の許容量を超える液冷媒が貯留されると、液冷媒の一部が、アキュームレータ19から溢れて第2配管P2に排出される。これにより、液冷媒が圧縮機11の吸入ポートに送られて、圧縮機11が液冷媒を吸入する現象である液バックが発生するおそれがある。
【0033】
温度センサ40は、第2配管P2に取り付けられる。温度センサ40は、アキュームレータ19と四路切換弁12との間において、アキュームレータ19の近傍に取り付けられる。温度センサ40は、アキュームレータ19に流入する冷媒の温度を測定するために配置される。
【0034】
(1-2)室内ユニット30
室内ユニット30(30a,30b,30c)は、対象空間に配置される室内機である。室内ユニット30は、室外ユニット10と共に冷媒回路RCを構成している。室内ユニット30は、主として、利用側熱交換器31と、室内電動弁32(32a,32b,32c)と、室内ファン33と、室内ユニット制御部34とを有している。
【0035】
利用側熱交換器31は、冷房運転時には冷媒の蒸発器または吸熱器として機能し、暖房運転時には冷媒の凝縮器または放熱器として機能する熱交換器である。利用側熱交換器31は、例えばクロスフィンチューブ熱交換器である。利用側熱交換器31の液側は、室内電動弁32(32a,32b,32c)と冷媒配管を介して接続されている。利用側熱交換器31のガス側は、ガス連絡配管GPと冷媒配管を介して接続されている。ガス連絡配管GPの一端は、室外ユニット10の第1配管P1と接続されている。ガス連絡配管GPの他端は、室内ユニット30の数に応じて分岐して、各室内ユニット30の冷媒配管を介して、各室内ユニット30の利用側熱交換器31と個別に接続されている。利用側熱交換器31は、冷媒が流れる伝熱管を有する。利用側熱交換器31は、運転時において、伝熱管(図示省略)内の冷媒と、室内ファン33によって生成される空気流とが熱交換可能なように配置されている。
【0036】
室内電動弁32(32a,32b,32c)は、開度調整が可能な電子膨張弁である。室内電動弁32は、運転時において、状況に応じて開度が適宜調整され、開度に応じて冷媒を減圧する。各室内ユニット30は、1つの室内電動弁32を有している。具体的には、室内ユニット30aは、室内電動弁32aを有し、室内ユニット30bは、室内電動弁32bを有し、室内ユニット30cは、室内電動弁32cを有している。室内電動弁32a,32b,32cは、それぞれ、対応する室内ユニット30a,30b,30cの運転状況に応じて開度が適宜調整される。
【0037】
室内電動弁32は、利用側熱交換器31の液側と冷媒配管を介して接続され、液連絡配管LPと冷媒配管を介して接続されている。液連絡配管LPの一端は、室外ユニット10の第5配管P5と接続されている。液連絡配管LPの他端は、室内ユニット30の数に応じて分岐して、各室内ユニット30の冷媒配管を介して、各室内ユニット30の室内電動弁32と個別に接続されている。
【0038】
室内ファン33は、例えばターボファン、シロッコファン、クロスフローファンまたはプロペラファン等の送風機である。室内ファン33は、室内ファンモータ33aの出力軸に接続されている。室内ファン33は、室内ファンモータ33aに連動して駆動する。室内ファン33は、駆動すると、室内ユニット30内に吸い込まれて利用側熱交換器31を通過した後に対象空間へと吹き出される空気流を生成する。
【0039】
室内ユニット制御部34は、CPUおよびメモリ等から構成されるマイクロコンピュータである。室内ユニット制御部34は、室内ユニット30の各アクチュエータの動作を制御する。各室内ユニット制御部34は、室外ユニット制御部17と、通信線を介して接続されており、相互に信号の送受信を行う。室内ユニット制御部34は、リモコン50と無線通信を行う。
【0040】
室内ユニット30の室内ユニット制御部34は、当該室内ユニット30の室内電動弁32と通信線(図示省略)を介して接続されており、当該室内電動弁32の開度を調整することができる。
【0041】
(1-3)リモコン50
リモコン50は、CPUおよびメモリ等から構成されるマイクロコンピュータを含むリモコン制御部(図示省略)と、冷媒サイクル装置100へ各種コマンドを入力するための入力キーを含むリモコン入力部(図示省略)とを有するデバイスである。
【0042】
冷媒サイクル装置100は、室内ユニット30と同数のリモコン50を有している。リモコン50は、いずれかの室内ユニット30と一対一で対応づけられている。リモコン50は、対応する室内ユニット30の室内ユニット制御部34と、赤外線および電波等を用いて無線通信を行う。リモコン50は、ユーザおよび管理者等によってリモコン入力部へコマンドが入力されると、入力されたコマンドに応じて、所定の信号を室内ユニット制御部34に送信する。
【0043】
(1-4)コントロールユニット60
冷媒サイクル装置100では、室外ユニット10の室外ユニット制御部17と、各室内ユニット30(30a,30b,30c)の室内ユニット制御部34とが通信線を介して接続されることで、コントロールユニット60が構成されている。コントロールユニット60は、冷媒サイクル装置100の動作を制御する。コントロールユニット60は、制御対象である、冷媒サイクル装置100の各構成要素と、有線または無線により接続されている。
【0044】
(2)冷媒サイクル装置100の運転
いずれかのリモコン50に運転開始コマンドが入力され、コントロールユニット60によって冷房運転または暖房運転に係る制御が実行されると、四路切換弁12が所定の状態に切り換えられ、圧縮機11および室外ファン15が起動する。その後、運転開始コマンドが入力されたリモコン50に対応する室内ユニット30が運転状態(室内ファン33が稼動している状態)となる。冷媒サイクル装置100は、冷房運転、暖房運転およびデフロスト運転を実行することができる。
【0045】
(2-1)冷房運転
冷房運転時には、四路切換弁12が冷房サイクル状態(図1の四路切換弁12の実線で示された状態)に切り換えられる。この状態で冷媒サイクル装置100の各アクチュエータが起動すると、冷媒が、第2配管P2を介して圧縮機11に吸入され、圧縮される。圧縮機11から吐出された冷媒は、第3配管P3、四路切換弁12、および第4配管P4を通過して熱源側熱交換器13に流入する。
【0046】
熱源側熱交換器13に流入した冷媒は、室外ファン15が生成する空気流と熱交換して放熱(凝縮)する。熱源側熱交換器13から流出した冷媒は、第5配管P5および液連絡配管LPを通過して、各室内ユニット30に流入する。
【0047】
室内ユニット30に流入した冷媒は、室内電動弁32に流入する。室内電動弁32に流入した冷媒は、室内電動弁32の開度に応じて減圧される。室内電動弁32から流出した冷媒は、利用側熱交換器31に流入し、室内ファン33によって生成される空気流と熱交換して吸熱(蒸発)する。利用側熱交換器31から流出した冷媒は、ガス連絡配管GPを通過して室外ユニット10に流入する。
【0048】
室外ユニット10に流入した冷媒は、第1配管P1、四路切換弁12、および第2配管P2を通過して、再び圧縮機11に吸入されて圧縮される。
【0049】
(2-2)暖房運転
暖房運転時には、四路切換弁12が暖房サイクル状態(図1の四路切換弁12の破線で示された状態)に切り換えられる。この状態で冷媒サイクル装置100の各アクチュエータが起動すると、冷媒が、第2配管P2を介して圧縮機11に吸入され、圧縮される。圧縮機11から吐出された冷媒は、第3配管P3、四路切換弁12、第1配管P1およびガス連絡配管GPを通過して各室内ユニット30に流入する。
【0050】
室内ユニット30に流入した冷媒は、利用側熱交換器31に流入し、室内ファン33が生成する空気流と熱交換して放熱(凝縮)する。利用側熱交換器31から流出した冷媒は、室内電動弁32に流入し、室内電動弁32の開度に応じて減圧される。室内電動弁32から流出した冷媒は、液連絡配管LPを通過して室外ユニット10に流入する。
【0051】
室外ユニット10に流入した冷媒は、第5配管P5を通過して熱源側熱交換器13に流入する。熱源側熱交換器13に流入した冷媒は、室外ファン15によって生成される空気流と熱交換して吸熱(蒸発)する。熱源側熱交換器13から流出した冷媒は、第4配管P4、四路切換弁12、および第2配管P2を通過して、再び圧縮機11に吸入されて圧縮される。
【0052】
(2-3)デフロスト運転
デフロスト運転とは、暖房運転時に熱源側熱交換器13に発生した霜を除去するための運転である。暖房運転時において、室外ファン15によって生成される空気流は、熱源側熱交換器13を通過する際に冷却される。そのため、暖房運転時において、外気の湿度が高い場合、熱源側熱交換器13の熱交換部分(伝熱管および伝熱フィン)には、外気に含まれる水蒸気から生成される霜が付着する傾向にある。熱源側熱交換器13の熱交換部分の表面が霜で覆われると、熱源側熱交換器13の熱交換能力が低下して、冷媒サイクル装置100の運転能力が低下するおそれがある。そのため、デフロスト運転は、冷媒サイクル装置100の運転能力の低下を抑制するために必要に応じて行われる。デフロスト運転は、いずれかのリモコン50にデフロスト運転開始コマンドが入力されることによって実行される。デフロスト運転は、暖房運転の連続実行時間が所定の値を超えた場合に自動的に実行されてもよい。次に、図2を参照しながら、コントロールユニット60によるデフロスト運転の制御について説明する。図3は、デフロスト運転開始前の暖房運転時における圧力―エンタルピー線図である。図4は、デフロスト運転実行時にガス連絡配管GPの出口が湿り状態となった時の圧力―エンタルピー線図である。
【0053】
コントロールユニット60は、四路切換弁12を暖房サイクル状態から冷房サイクル状態に切り替えて、熱源側熱交換器13のデフロスト運転を開始する(図2の時刻t1)。デフロスト運転の開始時における室内電動弁32の開度は、第1開度である。第1開度は、リスクレベルに応じて設定されてもよい。リスクレベルとは、例えば、室外ユニット10の吸入配管(第1配管P1)に液冷媒が流入する可能性、および、室内ユニット30の利用側熱交換器31でドレン水が発生することによる水漏れが発生する可能性である。コントロールユニット60は、リスクレベルが高いほど第1開度を小さく設定してもよい。
【0054】
デフロスト運転では、デフロスト運転開始前の暖房運転の実行中に利用側熱交換器31およびガス連絡配管GPに蓄積された熱を利用して、熱源側熱交換器13に付着した霜が除去される。デフロスト運転の開始のために四路切換弁12を時刻t1(図2)で切り替えると、利用側熱交換器31およびガス連絡配管GP内の冷媒は、第1配管P1および四路切換弁12を通過して、第2配管P2に取り付けられるアキュームレータ19に流入する。そのため、図2に示されるように、デフロスト運転の開始後、温度センサ40によって測定されるアキュームレータ入口温度は、利用側熱交換器31およびガス連絡配管GPの蓄熱によって上昇する(図2の時刻t2)。デフロスト運転の実行中、熱源側熱交換器13は、冷媒の凝縮器または放熱器として機能し、利用側熱交換器31は、冷媒の蒸発器または吸熱器として機能する。
【0055】
デフロスト運転では、利用側熱交換器31およびガス連絡配管GP内の冷媒が圧縮機11に吸入され、圧縮機11から吐出される冷媒が熱源側熱交換器13に供給される。これにより、デフロスト運転の開始時点から所定の時点までの間、熱源側熱交換器13に付着した霜は、利用側熱交換器31およびガス連絡配管GPの蓄熱によって融解して除去される。図2に示されるように、利用側熱交換器31の蓄熱が使用されることで、利用側熱交換器31の温度は低下する。利用側熱交換器31およびガス連絡配管GPの蓄熱が熱源側熱交換器13に供給されることで、熱源側熱交換器13の温度は上昇する。
【0056】
デフロスト運転の開始後、利用側熱交換器31およびガス連絡配管GPの蓄熱がなくなると、アキュームレータ入口温度が低下する(図2の時刻t3)。この時、ガス連絡配管GPの出口が湿り状態になる。図3および図4では、ガス連絡配管GPの出口(ガス連絡配管GPと第1配管P1との接続部)における冷媒の状態が点Qで示されている。ガス連絡配管GPの出口が湿り状態になると、図4に示されるように、ガス連絡配管GPの出口において気液二相状態の冷媒が流れる。この場合、液バックが発生するおそれがあるので、時刻t3において、室内電動弁32の開度を第1開度から所定の第2開度まで低下させる。
【0057】
その後、熱源側熱交換器13に付着した霜が除去されると、アキュームレータ入口温度も上昇し始める。これにより、デフロスト運転が終了する(図2の時刻t4)。デフロスト運転を実行している期間(図2の期間t1~t4)であって、利用側熱交換器31およびガス連絡配管GPの蓄熱がなくなった後の期間(図2の期間t3~t4)では、室内電動弁32の開度は、第2開度に維持される。コントロールユニット60は、第2開度、および、第2開度が維持される時間を、後述の方法により決定する。
【0058】
コントロールユニット60は、デフロスト運転が完了した後、四路切換弁12を冷房サイクル状態から暖房サイクル状態に切り替える。これにより、冷媒サイクル装置100の暖房運転が再開される。
【0059】
(3)コントロールユニット60の動作
熱容量推定システム200は、冷媒サイクル装置100の所定部分の熱容量を推定する。所定部分は、ガス連絡配管GPを含む。本実施形態では、所定部分は、ガス連絡配管GPからなる。コントロールユニット60は、デフロスト運転を行っている間、各室内ユニット30の室内電動弁32の開度を変更する開度変更制御を行う。次に、コントロールユニット60による所定部分の熱容量の推定、および、室内電動弁32の開度変更制御について説明する。
【0060】
コントロールユニット60は、図5に示されるように、主として、算出部61と、取得部62と、第1推定部71と、第2推定部72と、第3推定部73と、第1決定部81とを有する。これらの要素は、コントロールユニット60のハードウェア(CPUおよびメモリ等)とソフトウェアとが協同した手段および方法によって特有の情報の演算を実現することで、コントロールユニット60の各機能を実行する。コントロールユニット60の各機能は、室外ユニット制御部17および室内ユニット制御部34の少なくとも1つによって実現される。コントロールユニット60は、図6のフローチャートに従って、これらの制御を実行する。
【0061】
算出部61は、デフロスト運転の開始時点(図2の時刻t1)から、ガス連絡配管GPの温度が所定値に低下する時点(図2の時刻t3)までにおける、利用側熱交換器31およびガス連絡配管GPからなる部分の保有熱量(利用側熱交換器31およびガス連絡配管GPの保有熱量)を算出する(図6のステップS1)。算出部61は、ガス連絡配管GPの温度として、温度センサ40によって測定されるアキュームレータ入口温度を用いる。所定値とは、デフロスト運転の開始後、ガス連絡配管GPの出口が湿り状態になった時の温度である。所定値は、利用側熱交換器31およびガス連絡配管GPの蓄熱がなくなった時の温度に相当する。所定値は、図3および図4に示されるような圧力―エンタルピー線図から予め設定されてもよい。算出部61は、デフロスト運転の開始時点から、ガス連絡配管GPの出口が湿り状態になる時点までの使用熱量を積算することで、利用側熱交換器31およびガス連絡配管GPの保有熱量を算出する。使用熱量とは、所定の時刻において、利用側熱交換器31およびガス連絡配管GPによって、冷媒の蒸発(吸熱)のために使用される熱量である。使用熱量は、図3に示されるエンタルピー差H1、または、図4に示されるエンタルピー差H2に、冷媒循環量を乗じた値に相当する。エンタルピー差H1,H2は、利用側熱交換器31の入口付近のエンタルピーと、利用側熱交換器31の出口付近のエンタルピーとの差に相当する。冷媒循環量は、所定の期間内に利用側熱交換器31を通過する冷媒の流量である。算出部61が算出した保有熱量は、デフロスト運転が開始する時刻t1から、ガス連絡配管GPの温度が所定値に低下する時刻t3までにおける、利用側熱交換器31およびガス連絡配管GPからなる部分の熱量の低下の積算値に相当する。算出部61は、デフロスト運転が開始する時刻t1から、ガス連絡配管GPの温度が所定値に低下する時刻t3までの各時刻の使用熱量を積算して保有熱量を算出する。
【0062】
取得部62は、利用側熱交換器31の熱容量を取得する(図6のステップS2)。取得部62は、コントロールユニット60の記憶装置(メモリ、ハードディスクドライブおよびソリッドステートドライブ等)に記憶されているデータベースから、各利用側熱交換器31の熱容量を取得する。
【0063】
第2推定部72は、取得部62によって取得された利用側熱交換器31の熱容量に基づいて、利用側熱交換器31の保有熱量を推定する(図6のステップS3)。具体的には、第2推定部72は、デフロスト運転が開始する時刻t1における利用側熱交換器31の温度から、ガス連絡配管GPの温度が所定値に低下する時刻t3における利用側熱交換器31の温度を引いた第1温度低下値を算出する。次に、第2推定部72は、算出した第1温度低下値に、利用側熱交換器31の熱容量を乗じた値を、利用側熱交換器31の保有熱量として推定する。
【0064】
第1推定部71は、算出部61によって算出された利用側熱交換器31およびガス連絡配管GPの保有熱量、および、第2推定部72によって推定された利用側熱交換器31の保有熱量に基づいて、ガス連絡配管GPの熱容量を推定する(図6のステップS4)。具体的には、第1推定部71は、利用側熱交換器31およびガス連絡配管GPの保有熱量から、利用側熱交換器31の保有熱量を差し引いて、ガス連絡配管GPの保有熱量を算出する。次に、第1推定部71は、デフロスト運転が開始する時刻t1におけるガス連絡配管GPの温度から、ガス連絡配管GPの温度が所定値に低下する時刻t3におけるガス連絡配管GPの温度を引いた第2温度低下値を算出する。次に、第1推定部71は、ガス連絡配管GPの保有熱量を、算出した第2温度低下値で除した値を、ガス連絡配管GPの熱容量として推定する。
【0065】
第3推定部73は、第1推定部71によって推定されたガス連絡配管GPの熱容量に基づいて、冷媒サイクル装置100の余剰冷媒量を推定する。余剰冷媒量は、アキュームレータ19の容量に対して、冷媒サイクル装置100に充填される冷媒の量(充填冷媒量)が多いか少ないかを表すパラメータである。
【0066】
最初に、第3推定部73は、第1推定部71によって推定されたガス連絡配管GPの熱容量(J/K)を、ガス連絡配管GPの材質の比熱(J/(kg・K))で割って、ガス連絡配管GPの総重量(kg)を算出する(図6のステップS5)。ガス連絡配管GPの材質(例えば、銅)の比熱は、コントロールユニット60の記憶装置に予め記憶されている。
【0067】
次に、第3推定部73は、ガス連絡配管GPの総重量の算出値、および、ガス連絡配管GPの据付条件に基づいて、ガス連絡配管GPの寸法を推定する(図6のステップS6)。ガス連絡配管GPの寸法は、ガス連絡配管GPの長さおよび径である。具体的には、第3推定部73は、冷媒サイクル装置100の取り付け工事の時に追加で充填された冷媒の量である追加充填冷媒量が最も多くなるようなガス連絡配管GPのレイアウトに基づいて、ガス連絡配管GPの寸法を推定する。第3推定部73は、ガス連絡配管GPの総重量の算出値のみに基づいて、ガス連絡配管GPの寸法を推定してもよい。
【0068】
次に、第3推定部73は、ガス連絡配管GPの寸法の推定値に基づいて、冷媒サイクル装置100の追加充填冷媒量を算出する(図6のステップS7)。例えば、第3推定部73は、ガス連絡配管GPの寸法に基づいてガス連絡配管GPの体積を算出し、ガス連絡配管GPの体積の算出値の所定の割合を追加充填冷媒量として算出してもよい。
【0069】
次に、第3推定部73は、追加充填冷媒量の算出値に基づいて、冷媒サイクル装置100の余剰冷媒量を推定する(図6のステップS8)。例えば、第3推定部73は、追加充填冷媒量の算出値に、冷媒サイクル装置100の冷媒の許容過充填量の少なくとも一部を加えることで、余剰冷媒量を算出してもよい。
【0070】
第1決定部81は、第3推定部73によって推定された余剰冷媒量に基づいて、デフロスト運転中における室内電動弁32の開度、および、その開度を維持する時間(図2の期間t3~t4)の少なくとも1つを決定する(図6のステップS9)。室内電動弁32の開度とは、デフロスト運転の実行中に維持される上述の「第2開度」である。本実施形態では、第1決定部81は、第2開度、および、第2開度が維持される時間の両方を決定する。
【0071】
このように、第3推定部73は、ガス連絡配管GPの熱容量に基づいて余剰冷媒量を推定する。そのため、第1決定部81は、第1推定部71によって推定されたガス連絡配管GPの熱容量に少なくとも基づいて、デフロスト運転中における室内電動弁32の開度、および、その開度を維持する時間の少なくとも1つを決定する。
【0072】
(4)効果
本実施形態の熱容量推定システム200は、冷媒サイクル装置100のガス連絡配管GPの熱容量を推定して、冷媒サイクル装置100の余剰冷媒量を推定する。熱容量推定システム200は、余剰冷媒量の推定値に基づいて、デフロスト運転中における室内電動弁32の開度、および、その開度を維持する時間の少なくとも1つを決定する。
【0073】
これにより、熱容量推定システム200は、冷媒サイクル装置100のガス連絡配管GPの長さに応じて、デフロスト運転時における室内電動弁32の開度変更制御を適切に行うことができる。ガス連絡配管GPが長いほど、冷媒サイクル装置100の配置時における冷媒の追加充填冷媒量が多く、余剰冷媒量も多い。そのため、ガス連絡配管GPが長い場合、デフロスト運転時にガス連絡配管GPが湿り状態となると、液冷媒の一部が、アキュームレータ19から溢れて圧縮機11の吸入ポートに送られやすい。この場合、液バックの発生を抑制するために、デフロスト運転時において、室内電動弁32の開度を第1開度から第2開度に低下させる時刻(図2の時刻t3)を早くする必要がある。一方、ガス連絡配管GPが短い場合、余剰冷媒量も少ないので、室内電動弁32の開度を第1開度から第2開度に低下させる時刻(図2の時刻t3)を遅くしてもよい。同様に、ガス連絡配管GPの径が大きいほど、余剰冷媒量が多いので、室内電動弁32の開度を第1開度から第2開度に低下させる時刻(図2の時刻t3)を早くする必要がある。
【0074】
熱容量推定システム200は、冷媒サイクル装置100のガス連絡配管GPの熱容量の推定値から、ガス連絡配管GPの寸法(長さおよび径)を推定して、冷媒サイクル装置100の余剰冷媒量を推定することができる。これにより、熱容量推定システム200は、ガス連絡配管GPの寸法(長さおよび径)に応じて、デフロスト運転中において室内電動弁32の開度を第1開度から第2開度に低下させる時刻を適切に決定することができる。従って、熱容量推定システム200は、効率的なデフロスト運転を実行することができ、デフロスト運転に要する時間を短縮することができる。
【0075】
(5)変形例
以下に実施形態の変形例を示す。各変形例の内容の一部または全部は、互いに矛盾しない範囲で他の変形例の内容と組み合わされてもよい。
【0076】
(5-1)変形例A
冷媒サイクル装置100が複数の室外ユニット10を有する場合、図7に示されるように、コントロールユニット60は、第1決定部81と共に第2決定部82をさらに備えてもよい。または、コントロールユニット60は、第1決定部81の代わりに第2決定部82を備えてもよい。第2決定部82は、第1推定部71によって推定されたガス連絡配管GPの熱容量に基づいて、デフロスト運転の方式を決定する。デフロスト運転の方式は、例えば、逆サイクルデフロスト運転、および、交互デフロスト運転である。
【0077】
逆サイクルデフロスト運転は、実施形態の冷媒サイクル装置100が実行するデフロスト運転である。逆サイクルデフロスト運転では、暖房運転時に蓄積された、利用側熱交換器31およびガス連絡配管GPの保有熱量を使用して、デフロスト運転を行う。交互デフロスト運転では、複数の室外ユニット10の間で、各室外ユニット10の熱源側熱交換器13を、交互に放熱器または吸熱器として使用して、デフロスト運転を行う。
【0078】
冷媒サイクル装置100は、逆サイクルデフロスト運転および交互デフロスト運転のうち、より優位な方のデフロスト運転を実行する。デフロスト運転の優位性は、例えば、デフロスト運転に要する時間、デフロスト運転終了時に熱源側熱交換器13に付着している霜の量、デフロスト運転終了後の暖房運転再開時の立ち上がりに要する時間、および、暖房運転再開時の利用側熱交換器31の温度によって判断される。立ち上がりに要する時間とは、暖房運転再開後に、利用側熱交換器31の温度が所定値に到達するまでに要する時間である。
【0079】
冷媒サイクル装置100が複数の室外ユニット10を有する場合、逆サイクルデフロスト運転および交互デフロスト運転のどちらが優位であるかは、冷媒サイクル装置100の構成によって決まる場合がある。例えば、室内ユニット30の台数が多いほど、または、ガス連絡配管GPの寸法(長さおよび径)が大きいほど、ガス連絡配管GPの熱容量が高くなるので、利用側熱交換器31およびガス連絡配管GPの保有熱量が多くなる。利用側熱交換器31およびガス連絡配管GPの保有熱量が多い場合、交互デフロスト運転よりも逆サイクルデフロスト運転の方が効率的である傾向がある。
【0080】
そのため、室内ユニット30の台数が多く、かつ、ガス連絡配管GPが長い冷媒サイクル装置100では、交互デフロスト運転よりも逆サイクルデフロスト運転の方が効率的である可能性が高い。一方、室内ユニット30の台数が少なく、かつ、ガス連絡配管GPが短い冷媒サイクル装置100では、逆サイクルデフロスト運転よりも交互デフロスト運転の方が効率的である可能性が高い。
【0081】
本変形例では、第2決定部82は、ガス連絡配管GPの熱容量の推定値から、ガス連絡配管GPの寸法(長さおよび径)を推定することで、逆サイクルデフロスト運転および交互デフロスト運転のうち、より効率的な方のデフロスト運転を決定して実行することができる。例えば、第2決定部82は、ガス連絡配管GPの長さの推定値が500mを超える場合は逆サイクルデフロスト運転を実行すると決定し、500m以下の場合は交互デフロスト運転を実行すると決定してもよい。また、第2決定部82は、ガス連絡配管GPの長さの推定値の他に、暖房運転後における利用側熱交換器31およびガス連絡配管GPの保有熱量に影響を与えるパラメータにさらに基づいて、デフロスト運転の方式を決定してもよい。そのようなパラメータは、例えば、冷媒の種類、ガス連絡配管GPの材質、室外ユニット10の台数、および、室外ユニット10の機種の少なくとも1つである。
【0082】
本変形例の熱容量推定システム200は、利用側熱交換器31およびガス連絡配管GPの保有熱量の観点から適切なデフロスト運転方法を選択することができる。
【0083】
(5-2)変形例B
実施形態では、コントロールユニット60の算出部61は、デフロスト運転の開始時点(図2の時刻t1)から、ガス連絡配管GPの温度が所定値に低下する時点(図2の時刻t3)までにおける、利用側熱交換器31およびガス連絡配管GPの保有熱量を算出する。ガス連絡配管GPの温度が所定値に低下する時点は、デフロスト運転の開始後において、利用側熱交換器31およびガス連絡配管GPの蓄熱がなくなった時点に相当する。しかし、算出部61は、ガス連絡配管GPの温度が所定値に低下する時点の代わりに、ガス連絡配管GP内の冷媒の過熱度が所定値に低下する時点を用いてもよい。また、算出部61は、ガス連絡配管GPの温度が所定値に低下する時点の代わりに、ガス連絡配管GPの温度の所定時間内の低下量の絶対値が所定値を超える時点、または、ガス連絡配管GP内の冷媒の過熱度の所定時間内の低下量の絶対値が所定値を超える時点を用いてもよい。さらに、算出部61は、利用側熱交換器31およびガス連絡配管GPの蓄熱がなくなった時点を、ガス連絡配管GPの温度、または、ガス連絡配管GP内の冷媒の過熱度が所定時間内に低下する速さに基づいて決定してもよい。
【0084】
(5-3)変形例C
コントロールユニット60の算出部61は、圧縮機11の回転数、および、圧縮機11に吸入される冷媒の密度の少なくとも1つに基づいて、利用側熱交換器31を流れる冷媒の流量を算出してもよい。例えば、算出部61は、圧縮機11の容積と、圧縮機11の回転数と、圧縮機11に吸入される冷媒の密度と、圧縮機11の体積効率との積を、所定の期間内に利用側熱交換器31を流れる冷媒の流量(冷媒循環量)として算出してもよい。
【0085】
(5-4)変形例D
コントロールユニット60の算出部61は、ガス連絡配管GPを流れる冷媒の温度および圧力、および、液連絡配管LPを流れる冷媒の温度および圧力に基づいて、利用側熱交換器31におけるエンタルピー差を算出してもよい。
【0086】
(5-5)変形例E
コントロールユニット60の算出部61は、利用側熱交換器31の周囲の温度、および、利用側熱交換器31内の圧力に基づいて、利用側熱交換器31およびガス連絡配管GPの保有熱量を算出してもよい。利用側熱交換器31の周囲の温度は、室内ユニット30が配置される空間の温度であってもよい。
【0087】
(5-6)変形例F
コントロールユニット60の第1決定部81は、ガス連絡配管GPの熱容量、および、余剰冷媒量の両方に基づいて、デフロスト運転中における室内電動弁32の開度(第2開度)、および、その開度を維持する時間の少なくとも1つを決定してもよい。
【0088】
(5-7)変形例G
温度センサ40は、デフロスト運転の実行中に利用側熱交換器31およびガス連絡配管GPの蓄熱がなくなったことを検知するために用いられる。実施形態では、温度センサ40は、第2配管P2に取り付けられ、アキュームレータ入口温度を測定する。
【0089】
温度センサ40は、第1配管P1またはガス連絡配管GPに取り付けられてもよい。温度センサ40がガス連絡配管GPに取り付けられる場合、温度センサ40は、ガス連絡配管GPと第1配管P1との接続部の近傍に取り付けられることが好ましい。
【0090】
温度センサ40は、アキュームレータ19と圧縮機11との間において、第2配管P2に取り付けられてもよい。この場合、温度センサ40は、圧縮機11の吸入ポートの近傍に取り付けられてもよい。
【0091】
(5-8)変形例H
実施形態では、デフロスト運転の実行中に利用側熱交換器31およびガス連絡配管GPの蓄熱がなくなったことを検知するために、温度センサ40が用いられる。しかし、蓄熱がなくなったことを検知するために、温度センサ40以外の装置を用いてもよく、または、温度センサ40と他の装置とを組み合わせて用いてもよい。例えば、温度センサ40の代わりに、または、温度センサ40と共に、第1配管P1、第2配管P2およびガス連絡配管GPの少なくとも1つの温度を非接触で計測するセンサが用いられてもよい。複数のセンサを組み合わせることにより、デフロスト運転の実行中に利用側熱交換器31およびガス連絡配管GPの蓄熱がなくなったことを高精度に検知することができる。
【0092】
(5-9)変形例I
実施形態では、第1推定部71は、算出部61によって算出された利用側熱交換器31およびガス連絡配管GPの保有熱量に基づいて、所定部分の熱容量を推定する(図6のステップS3)。所定部分とは、ガス連絡配管GPからなる。しかし、所定部分は、ガス連絡配管GPの他に、冷媒回路RCに含まれる他の部分をさらに含んでもよい。
【0093】
具体的には、所定部分は、暖房運転中に熱が蓄積される可能性がある部分をさらに含んでもよい。例えば、所定部分は、ガス連絡配管GPの他に、利用側熱交換器31、利用側熱交換器31とガス連絡配管GPとを接続する配管、および、第1配管P1の少なくとも1つをさらに含んでもよい。
【0094】
本変形例では、実施形態と同様に、第1推定部71は、所定部分の熱容量を推定し、ガス連絡配管GPの熱容量を推定する。具体的には、第1推定部71は、所定部分の熱容量から、ガス連絡配管GP以外の部分の熱容量を差し引いて、ガス連絡配管GPの熱容量を算出する。ガス連絡配管GP以外の部分の熱容量は、例えば、利用側熱交換器31の熱容量、利用側熱交換器31とガス連絡配管GPとを接続する配管の熱容量、および、第1配管P1の熱容量である。これらの熱容量は、コントロールユニット60の記憶装置に記憶され、取得部62によって取得される。
【0095】
(5-10)変形例J
実施形態では、第1決定部81は、ガス連絡配管GPの熱容量に基づいて、デフロスト運転中における室内電動弁32の開度(第2開度)、および、その開度を維持する時間の少なくとも1つを決定する。第1決定部81は、室内電動弁32の開度、および、その開度を維持する時間の少なくとも1つを、複数の室内ユニット30のそれぞれに対して個別に決定してもよい。この場合、第1決定部81は、例えば、各室内ユニット30の利用側熱交換器31の容量、および、各室内ユニット30内の冷媒配管等の寸法等に基づいて、これらのパラメータを複数の室内ユニット30のそれぞれに対して決定してもよい。
【0096】
(5-11)変形例K
実施形態では、第1推定部71は、算出部61によって算出された利用側熱交換器31およびガス連絡配管GPの保有熱量、および、第2推定部72によって推定された利用側熱交換器31の保有熱量に基づいて、ガス連絡配管GPの熱容量を推定する。しかし、利用側熱交換器31の保有熱量は、例えば、利用側熱交換器31に取り付けられた温度センサの測定値から推定されるか、または、コントロールユニット60の記憶装置に予め記憶されてもよい。
【0097】
(5-12)変形例L
熱容量推定システム200において、室外ユニット10は、図1に示されていない他の構成要素をさらに有してもよい。図8に示されるように、室外ユニット10は、オイルセパレータ14、室外電動弁16およびレシーバ18をさらに有してもよい。
【0098】
オイルセパレータ14は、第3配管P3に取り付けられる。オイルセパレータ14は、圧縮機11から吐出された高圧のガス冷媒から、冷媒の中に混入している潤滑油を除去する。
【0099】
室外電動弁16は、第5配管P5に取り付けられる。室外電動弁16は、開度調整が可能な電子膨張弁である。室外電動弁16は、冷媒サイクル装置100の運転時において、状況に応じて開度が適宜調整され、開度に応じて冷媒を減圧する。
【0100】
レシーバ18は、第5配管P5に取り付けられる。レシーバ18は、室外電動弁16と液連絡配管LPとの間に取り付けられる。レシーバ18は、冷媒サイクル装置100の運転状況に応じて、熱源側熱交換器13および利用側熱交換器31内の冷媒量の変化を吸収するために、冷媒を一時的に貯留する。レシーバ18は、冷媒回路RCを循環する冷媒に含まれる水分および異物を除去するための機構を有してもよい。
【0101】
実施形態および変形例A~Gにおいて説明した内容は、図8に示される冷媒サイクル装置100においても適用可能である。
【0102】
―むすび―
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0103】
10 :室外ユニット
11 :圧縮機
13 :熱源側熱交換器
19 :アキュームレータ
30 :室内ユニット
31 :利用側熱交換器
32 :室内電動弁
60 :コントロールユニット
61 :算出部
62 :取得部
71 :第1推定部
72 :第2推定部
73 :第3推定部
81 :第1決定部
82 :第2決定部
GP :ガス連絡配管(連絡配管)
LP :液連絡配管(連絡配管)
100 :冷媒サイクル装置
200 :熱容量推定システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0104】
【文献】特開2003-302131号公報
図1
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図5
図6
図7
図8