(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-13
(45)【発行日】2023-04-21
(54)【発明の名称】抗CD47抗体及びその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20230414BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20230414BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20230414BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230414BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230414BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20230414BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20230414BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230414BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20230414BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230414BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230414BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230414BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20230414BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230414BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20230414BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20230414BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230414BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20230414BHJP
G01N 33/531 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C07K16/46
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
A61P35/00
A61P29/00
A61P31/04
A61P9/10
A61P9/00
A61P3/00
A61P37/02
A61K39/395 N
A61K39/395 T
G01N33/53 D
G01N33/531 A
(21)【出願番号】P 2020505360
(86)(22)【出願日】2018-07-30
(86)【国際出願番号】 US2018044384
(87)【国際公開番号】W WO2019027903
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-05-06
(32)【優先日】2017-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520032206
【氏名又は名称】フェインズ セラピューティクス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ミンガン
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ,フイ
(72)【発明者】
【氏名】オークス,ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】ジア,ハイチュン
【審査官】幸田 俊希
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/121771(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/053423(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/049251(WO,A2)
【文献】国際公開第2016/109415(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/081423(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106084052(CN,A)
【文献】特表2016-507555(JP,A)
【文献】特表2015-536351(JP,A)
【文献】特表2015-508072(JP,A)
【文献】特表2011-519345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00
C07K 16/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ、配列番号201、202、203、204、205、及び206のポリペプチド配列を有する重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、HCDR3、軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、及びLCDR3を含み、CD47に特異的に結合する、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項2】
ヒトCD47に特異的に結合する、請求項1記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項3】
配列番号199のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号200のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む、請求項1又は2記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項4】
キメラであるか、及び/又は
ヒト化されたものである、請求項1~3のいずれか1項記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項5】
CD47のシグナル調節タンパク質アルファ(SIRPα)への結合を阻止すること、癌細胞のマクロファージ媒介食作用を誘導すること、及び/又は赤血球細胞への最小限から検出不能な結合と共に、癌細胞に結合することが可能な、請求項1~4のいずれか1項記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項記載のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片を含む、二重特異性抗体。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項記載のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片をコードする単離された核酸。
【請求項8】
請求項7記載の単離された核酸を含むベクター。
【請求項9】
請求項8記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか1項記載の単離されたモノクローナル抗体若しくはその抗原結合断片又は請求項6記載の二重特異性抗体と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項11】
それを必要とする対象において、CD47のシグナル調節タンパク質アルファ(SIRPα)への結合を阻止するか、並びに/又は、癌、炎症性疾患、感染性疾患、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、代謝性疾患、放射線誘発傷害、及び自己免疫疾患から成る群より選択される疾患及び/若しくは状態を処置するための、請求項10記載の医薬組成物。
【請求項12】
対象のCD47のレベルを決定する方法であって、
a. 対象由来の試料を請求項1~5のいずれか1項記載の抗体又はその抗原結合断片と接触させるステップ、及び
b. 対象のCD47のレベルを決定するステップ
を含む、前記方法。
【請求項13】
試料が、組織試料又は血液試料であり、組織試料は癌組織試料であってよい、請求項12記載の方法。
【請求項14】
請求項1~5のいずれか1項記載のモノクローナル抗体若しくはその抗原結合断片又は請求項6記載の二重特異性抗体を生産する方法であって、前記モノクローナル抗体若しくはその抗原結合断片又は前記二重特異性抗体を産生する条件下で、前記モノクローナル抗体若しくはその抗原結合断片又は前記二重特異性抗体をコードする核酸を含む細胞を培養するステップ、及びその細胞又は培養物から前記モノクローナル抗体若しくはその抗原結合断片又は前記二重特異性抗体を回収するステップを含む、前記方法。
【請求項15】
請求項1~5のいずれか1項記載のモノクローナル抗体若しくはその抗原結合断片又は請求項6記載の二重特異性抗体を含む医薬組成物を生産する方法であって、前記モノクローナル抗体若しくはその抗原結合断片又は前記二重特異性抗体を、薬学的に許容される担体と配合して、医薬組成物を得るステップを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2017年8月2日に出願された米国仮出願第62/540,118号及び2018年4月13日に出願された米国仮出願第62/657,094号に対する優先権を主張する。各開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
この発明は、モノクローナル抗CD47抗体、該抗体をコードする核酸及び発現ベクター、該ベクターを含有する組換え細胞、並びに該抗体を含む組成物に関する。該抗体を作製する方法、並びにがん、炎症性疾患、感染性疾患、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、代謝性疾患、放射線誘発傷害、及び/又は自己免疫疾患を含む疾患を処置するために抗体を使用する方法も提供される。
【0003】
電子的に提出した配列表への言及
この出願は、ファイル名が「689204.2WO Sequence Listing」、作成日が2018年7月5日の、95kbのサイズを有するASCIIフォーマットの配列表として、EFS-Webにより電子的に提出される配列表を含む。EFS-Webにより提出される配列表は本明細書の一部であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
がん細胞は、免疫系由来のものを含む、宿主による攻撃を回避する様々なキャニング能力(canning capability)を進化させることができる。がん細胞は、細胞表面に、正常なヒト細胞のような天然の外観を採用するか又は免疫細胞によって捕捉される際に免疫攻撃を妨害する。後者のメカニズムは、免疫抑制因子CTLA-4、PD-1及びPD-L1を標的とする治療用モノクローナル抗体の驚くべき成功によって確固として立証されている。これらの抗体は、免疫チェックポイントを不活性化させ、T細胞ががん細胞に対する有効な攻撃を組織化することを可能にし、一部の患者において持続的有効性をもたらす。これらの抗体の早期の成功は、がん免疫療法(immuno-oncology)の分野を再活性化し、ヒト免疫系を結集してがんと闘わせるさらなる治療薬の研究開発を鼓舞した。
【0005】
ヒト免疫系は、獲得免疫及び自然免疫からなる。臨床診療における又は製剤開発における現行のチェックポイント遮断薬及び腫瘍微小環境モジュレーターは、獲得免疫を標的とする。チェックポイント遮断薬及び腫瘍微小環境モジュレーターは、ヘルパーT細胞及びキラーT細胞を消耗から救うか、免疫抑制調節性T細胞を枯渇させるか、又は免疫抑制性腫瘍微小環境の形成を阻止することによって、T細胞を結集する。さらに最近では、新たに得られたエビデンスにより、腫瘍細胞は自然免疫も抑制することが示され、このような抑制を緩和することにより、がんを処置する際のin vitro及びin vivoでの優れた治療可能性が実証された。
【0006】
自然免疫は、病原体の侵入に対する防御の最前線である。自然免疫は、防御メカニズム及び抗原を貪食する白血球から構成される。とりわけ、食作用によって、マクロファージが、機能不全の加齢宿主細胞及び感染宿主細胞を除去する。腫瘍細胞はまた、正常細胞の表面にも偏在的に発現されるマーカーである、分化抗原群47(CD47)(インテグリン会合タンパク質としても知られる)を過剰発現することによって、マクロファージの攻撃を避ける。注目すべきことに、CD47を特異的に阻止する抗体の存在下で、マクロファージは、食作用アッセイにおいて、in vitroで腫瘍細胞を攻撃し、異種移植片モデルにおいて、in vivoで腫瘍を根絶する。現在、CD47を標的とするいくつかの治療剤が、薬物開発の臨床段階に入っている。
【0007】
インテグリン会合タンパク質として最初に同定されたCD47は、レセプターリガンドであり、多くのタンパク質と相互作用する。CD47は、最も特徴付けられた分泌されたリガンドのうちの1つであるトロンボスポンジン-1(TSP1)に対する受容体である。一方、CD47は、マクロファージの表面に発現される阻害性受容体である、シグナル調節タンパク質アルファ(SIRPα)に対するリガンドである。マクロファージががん細胞を摂食するのを防止するのは、後者の結合である。
【0008】
すべてのがん免疫治療についてそうであるように、CD47を阻止することにより、正常細胞への意図しない免疫攻撃が誘導され、用量制限毒性を引き起こす場合がある。実際に、CD47阻止抗体であるB6H12は、おそらく、赤血球細胞上のCD47に結合することによって、赤血球凝集を引き起こす。注目すべきことに、この抗体は、TSP1とSIRPαの両方のCD47への結合を阻止する。しかしながら、B6H12によるTSP1との相互作用の阻止が、赤血球凝集の原因であるか否かははっきりしない。さらに、マクロファージは、その表面のCD47分子が全身投与された抗CD47抗体によってマスクされる場合、正常細胞を攻撃する場合があると提唱される。したがって、腫瘍細胞への特異性が増加し、正常細胞への毒性が低下した抗CD47抗体を開発することが非常に重要である。
【発明の概要】
【0009】
一般的な一態様では、本発明は、CD47に結合する単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。
【0010】
(1)それぞれ、配列番号177、46、47、178、112、及び179;
(2)それぞれ、配列番号51、52、53、117、118、及び119;
(3)それぞれ、配列番号54、55、56、120、121、及び122;
(4)それぞれ、配列番号57、58、59、123、124、及び125;
(5)それぞれ、配列番号60、61、62、126、127、及び128;
(6)それぞれ、配列番号180、181、182、129、130、及び131;
(7)それぞれ、配列番号72、73、74、138、139、及び140;
(8)それぞれ、配列番号78、79、80、144、145、及び146;
(9)それぞれ、配列番号81、82、83、147、148、及び149;
(10)それぞれ、配列番号84、85、86、150、151、及び152;
(11)それぞれ、配列番号87、88、89、153、154、及び155;
(12)それぞれ、配列番号90、91、92、156、157、及び158;
(13)それぞれ、配列番号93、94、95、159、160、及び161;
(14)それぞれ、配列番号96、97、98、162、163、及び164;
(15)それぞれ、配列番号99、100、101、165、166、及び167;
(16)それぞれ、配列番号102、103、104、168、169、及び170;
(17)それぞれ、配列番号105、106、107、171、172、及び173;
(18)それぞれ、配列番号108、109、110、174、175、及び176;又は
(19)それぞれ、配列番号201、202、203、204、205、及び206;
のポリペプチド配列を有する重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、HCDR3、軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、及びLCDR3を含み、CD47、好ましくはヒトCD47に特異的に結合する、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片が提供される。配列番号177は、アミノ酸配列GYTFTX1YYで表され、ここで、X1は、D又はAから選択されるアミノ酸である。配列番号178は、アミノ酸配列X1NVGTYで表され、ここで、X1は、D又はEから選択されるアミノ酸である。配列番号179は、アミノ酸配列GQX1YSYPLTで表され、ここで、X1は、S又はTから選択されるアミノ酸である。配列番号180は、アミノ酸配列GYTFTSX1Wで表され、ここで、X1は、S又はYから選択されるアミノ酸である。配列番号181は、アミノ酸配列IDPSDSEX1で表され、ここで、X1は、T又はAから選択されるアミノ酸である。配列番号182は、アミノ酸配列X1RWGYYGKSAX2DYで表され、ここで、X1は、A又はSから選択されるアミノ酸であり、X2は、I又はMから選択されるアミノ酸である。
【0011】
ある特定の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又は抗原結合断片は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、若しくは43と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、又は配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、若しくは44と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0012】
ある特定の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又は抗原結合断片は:
(a)配列番号1のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号2のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(b)配列番号3のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号4のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(c)配列番号5のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号6のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(d)配列番号7のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号8のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(e)配列番号9のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号10のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(f)配列番号11のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号12のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(g)配列番号13のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号14のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(h)配列番号15のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号16のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(i)配列番号17のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号18のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(j)配列番号19のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号20のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(k)配列番号21のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号22のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(l)配列番号23のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号24のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(m)配列番号25のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号26のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(n)配列番号27のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号28のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(o)配列番号29のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号30のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(p)配列番号31のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号32のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(q)配列番号33のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号34のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(r)配列番号35のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号36のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(s)配列番号37のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号38のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(t)配列番号39のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号40のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(u)配列番号41のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号42のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;又は
(v)配列番号43のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号44のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域
を含む。
【0013】
ある特定の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、キメラである。
【0014】
ある特定の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、ヒトのものであるか又はヒト化されたものである。ある特定の実施形態では、ヒト化されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、
a. 配列番号183のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号191のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
b. 配列番号183のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号192のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
c. 配列番号183のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号193のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
d. 配列番号184のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号190のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
e. 配列番号184のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号192のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
f. 配列番号184のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号193のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
g. 配列番号185のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号190のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
h. 配列番号185のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号191のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
i. 配列番号185のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号193のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
j. 配列番号185のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号198のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
k. 配列番号187のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号194のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
l. 配列番号188のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号194のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
m. 配列番号188のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号196のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
n. 配列番号188のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号197のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;又は
o. 配列番号199のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号200のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
を含む。
【0015】
ある特定の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、CD47の、トロンボスポンジン-1(TSP1)への及び/又はシグナル調節タンパク質アルファ(SIRPα)への結合を阻止することが可能である。
【0016】
ある特定の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、がん細胞のマクロファージ媒介食作用を誘導することが可能である。
【0017】
ある特定の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、赤血球細胞への検出不能な結合を最小限にしてがん細胞に結合することが可能である。
【0018】
本発明のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片をコードする単離された核酸も提供される。
【0019】
本発明のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片をコードする単離された核酸を含むベクターも提供される。
【0020】
本発明のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片をコードする単離された核酸を含むベクターを含む宿主細胞も提供される。
【0021】
ある特定の実施形態では、本発明の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。
【0022】
それを必要とする対象において、CD47のトロンボスポンジン-1(TSP1)への結合、及び/又はCD47のシグナル調節タンパク質アルファ(SIRPα)への結合を阻止する方法であって、本発明の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法も提供される。
【0023】
それを必要とする対象において、がんを処置する方法であって、本発明の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法も提供される。がんは、任意の液状がん(liquid cancer)又は固形がんであってもよく、例えば、以下に限定されないが、肺がん、胃がん、結腸がん、肝細胞癌、腎細胞癌、膀胱尿路上皮癌、転移性黒色腫、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、頭頚部がん、膵臓がん、神経膠腫、神経膠芽腫、及び他の固形腫瘍、並びに非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫(MM)、急性骨髄性白血病(AML)、及び他の液状腫瘍から選択され得る。
【0024】
それを必要とする対象において、炎症性疾患を処置する方法であって、本発明の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法も提供される。
【0025】
それを必要とする対象において、感染性疾患を処置する方法であって、本発明の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法も提供される。
【0026】
それを必要とする対象において、アテローム性動脈硬化症を処置する方法であって、本発明の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法も提供される。
【0027】
それを必要とする対象において、心血管疾患を処置する方法であって、本発明の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法も提供される。
【0028】
それを必要とする対象において、代謝性疾患を処置する方法であって、本発明の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法も提供される。
【0029】
それを必要とする対象において、放射線誘発傷害を処置する方法であって、本発明の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法も提供される。
【0030】
それを必要とする対象において、自己免疫疾患を処置する方法であって、本発明の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法も提供される。
【0031】
対象のCD47のレベルを決定する方法も提供される。この方法は、(a)対象から試料を得るステップ;(b)試料を本発明の抗体又はその抗原結合断片と接触させるステップ;及び(c)対象のCD47のレベルを決定するステップを含む。ある特定の実施形態では、試料は、組織試料又は血液試料である。組織試料は、例えば、がんの組織試料であってもよい。血液試料は、例えば、がん細胞を含んでもよい。
【0032】
本発明のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片を生産する方法であって、モノクローナル抗体又は抗原結合断片を産生する条件下で、モノクローナル抗体又は抗原結合断片をコードする核酸を含む細胞を培養するステップ、及び細胞又は培養物から抗体又は抗原結合断片を回収するステップを含む方法も提供される。
【0033】
本発明のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片を含む医薬組成物を生産する方法であって、モノクローナル抗体又は抗原結合断片を薬学的に許容される担体と配合して、医薬組成物を得るステップを含む方法も提供される。
【0034】
前述の概要、及び本出願の好ましい実施形態についての以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読まれるとより理解されるであろう。しかしながら、本出願は、図面に示されるまさにその実施形態に限定されないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、FACS分析による、抗CD47 mAbのRAJI細胞への結合を示すグラフである。対照群「CTL Mu2°Ab」及び「CTL Hu2°Ab」は、一次抗体で処置しなかったが、それぞれ、AlexaFluor488-コンジュゲート抗マウス及び抗ヒトIgG二次Ab(抗体)で処置した。
【
図2A-B】
図2A~2Pは、ELISAによって分析される、CD47(ECD)-HISとSIRPα-huFcの間の相互作用を阻止する抗CD47 mAbの活性を示すグラフである。曲線を作成し、IC
50値をPrism GraphPad、v7を用いて計算した。
図2Aは、抗CD47 mAb 15G23Aの活性のグラフを示す。
図2Bは、抗CD47 mAb 17C6Aの活性のグラフを示す。
図2Cは、抗CD47 mAb 13B18Aの活性のグラフを示す。
図2Dは、抗CD47 mAb 4M8Aの活性のグラフを示す。
図2Eは、抗CD47 mAb 14D18Aの活性のグラフを示す。
図2Fは、抗CD47 mAb 11G2Aの活性のグラフを示す。
図2Gは、抗CD47 mAb 13C4Aの活性のグラフを示す。
図2Hは、抗CD47 mAb 5D24Aの活性のグラフを示す。
図2Iは、抗CD47 mAb 9O23Aの活性のグラフを示す。
図2Jは、抗CD47 mAb 17N8Aの活性のグラフを示す。
図2Kは、抗CD47 mAb 14P6Aの活性のグラフを示す。
図2Lは、抗CD47 mAb 19L14Aの活性のグラフを示す。
図2Mは、抗CD47 mAb 14O18Aの活性のグラフを示す。
図2Nは、抗CD47 mAb 1J7Aの活性のグラフを示す。
図2Oは、抗CD47 mAb 16M17Aの活性のグラフを示す。
図2Pは、抗CD47 mAb 18M19A(ヒトIgG4重鎖及びカッパ軽鎖を有するキメラ)の活性のグラフを示す。
【
図3A】
図3A~3Bは、ドナーに由来する新鮮な血液を使用する赤血球凝集アッセイにおける抗CD47 mAbの評価を示す図である。精製緩衝液、B6H12、及びPBSを対照として使用した。抗体の濃度をパネルの上に示す。
図3Aは、抗CD47 mAbである14P6A、11F6A、18M19A、19L14A、3O5A、10I23A、14N13A、14O18A、13C4A、16M17A、及び17O12Aに関する赤血球凝集アッセイの結果を示す。
図3Bは、抗CD47 mAbである12B18A、4M8A、13B18A、11G2A、5D24A、14D18A、17C6A、17N8A、9O23A、15G23A、及び1J7A並びに対照であるPBS及びB6H12に関する赤血球凝集アッセイの結果を示す。
【
図4A】
図4A~4Cは、抗CD47 mAb 13B18A-huIgG1で処置されたマウスのin vivo抗腫瘍活性、体重、及び血清曝露を示すグラフである。
図4Aは、RAJI異種移植片モデルにおける13B18A-huIgG1のin vivo抗腫瘍活性を示し、陽性対照としてリツキシマブを使用した。
図4Bは、研究中の様々な群における動物の体重データを示す。
図4Cは、最終投与の2日後のmAb処置群における13B18A-huIgG1の血清曝露を示す。
【
図5A】
図5A及び5Bは、ELISAによって分析される、ヒトCD47(ECD)-HISとhuSIRPα-muFcの間の相互作用を阻止する際のヒト化抗CD47 mAb H3L9 (
図5A)及びH5L5(
図5B)の活性を示すグラフである。
【
図6】
図6は、ヒト化mAb H3L9、H5L5及びH8L10を用いた赤血球凝集アッセイの結果を示す図である。陽性対照として、マウスmAb 15G23Aを使用した。
【
図7】
図7A~7Bは、ヒト化mAb H3L9、H5L5及びH8L10を用いた赤血球細胞(RBC)(
図7A)及びRAJI細胞(
図7B)結合アッセイの結果を示すグラフである。
【
図8】
図8は、huSIRPα-muFcのRAJI細胞への結合を阻止する際のヒト化抗CD47 mAb H3L9、H5L5及びH8L10の活性を示すグラフである。「二次Abのみ」及び「mAbなし/二次Abなし対照」は陰性対照である。
【
図9】
図9は、RAJI細胞のマクロファージ媒介食作用を誘導する際のヒト化抗CD47 mAb H3L9、H5L5及びH8L10の活性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
様々な刊行物、文献及び特許が背景技術及び本明細書の全体を通して引用又は記載され、これらの参照文献のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に含まれている文書、作用、材料、デバイス、物品などについての議論は、本発明に関する背景を提供することを目的とする。このような議論は、これらの事項のいずれか又はすべてが、開示されるか又は特許請求される任意の発明に関して先行技術の一部を形成することを認めるものではない。
【0037】
別途定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、この発明が関与する技術分野の当業者に通常理解されるものと同じ意味を有する。そうでなければ、本明細書で使用されるある特定の用語は、本明細書に示す意味を有する。
【0038】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、別途この文脈で明確に示されていない限り、複数の対象を含む。
【0039】
別途記載されていない限り、任意の数値、例えば、本明細書に記載の濃度又は濃度範囲は、すべての例で、用語「約」で修飾されているものと理解されるべきである。よって、数値は、通常は、記載された値の±10%を含む。例えば、1mg/mLの濃度は、0.9mg/mLから1.1mg/mLを含む。同様に、1%~10%(w/v)の濃度範囲は、0.9%(w/v)から11%(w/v)までを含む。本明細書で使用する場合、数値範囲の使用は、文脈が別途明確に示していない限り、そのような範囲内の整数及びその値の分数を含む、可能性のあるすべての下位範囲、その範囲内のすべての個々の数値を明確に含む。
【0040】
別途示されていない限り、一連の要素に先行する用語「少なくとも」は、その連続したあらゆる要素を指すものと理解されるべきである。当業者であれば、単なる慣用の実験を使用して、本明細書に記載の本発明の具体的実施形態の多くの均等物を認識するか、又は確認することができるであろう。このような均等物は、本発明に包含されることが意図される。
【0041】
本明細書で使用する場合、用語「含む(comprises)」、「含むこと(comprising)」、「含む(includes)」、「含むこと(including)」、「有する(has)」、「有すること(having)」、「含有する(contains)」若しくは「含有すること(containing)」、又はその任意の他の変形は、記載された整数又は整数の群の包含を意味するが、任意の他の整数又は整数の群の除外を意味するものではなく、非排他的又はオープンエンドであることを意図するものである。例えば、要素の列挙を含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品、又は装置は、これらの要素のみに必ずしも限定されるものではなく、明示的に列挙されていないか又はこのような組成物、混合物、プロセス、方法、物品、若しくは装置に固有の他の要素を含み得る。さらに、明示的にその逆が述べられていない限り、「又は(or)」は、包括的な又はを指し、排他的な又はを指すものではない。例えば、条件A又はBは、以下のうちのいずれか1つを満たす:Aが真であり(又は存在し)Bが偽である(又は存在しない);Aが偽であり(又は存在しない)Bが真である(又は存在する);及びAとBの両方が真である(又は存在する)。
【0042】
本明細書で使用する場合、複数の記載された要素間の接続的用語「及び/又は」は、個々の選択肢及び組み合わせた選択肢の両方を包含するものと理解される。例えば、2つの要素が「及び/又は」により接続される場合、第1の選択肢は、第2の要素なしでの第1の要素の適用性を指す。第2の選択肢は、第1の要素なしでの第2の要素の適用性を指す。第3の選択肢は、第1及び第2の要素の一緒の適用性を指す。これらの選択肢のいずれか1つは、その意味の範囲内にあると理解され、したがって、本明細書で使用される用語「及び/又は」の要件を満たす。この選択肢の1つ以上の同時適用も、この意味に含まれると理解され、したがって、用語「及び/又は」の要件を満たす。
【0043】
本明細書で使用する場合、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して使用される用語「からなる(consists of)」、又はその変形、例えば、「からなる(consist of)」若しくは「からなる(consisting of)」は、任意の記載された整数又は整数の群の包含を示すが、さらなる整数又は整数の群を特定の方法、構造、又は組成物に追加することはできない。
【0044】
本明細書で使用する場合、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して使用される、用語「から本質的になる(consists essentially of)」、又はその変形、例えば、「から本質的になる(consist essentially of)」若しくは「から本質的になる(consisting essentially of)」は、任意の記載された整数又は整数の群の包含、及び特定の方法、構造又は組成物の基本的な又は新規な特性を実質的に変えない任意の記載された整数又は整数の群の任意選択の包含を示す。M.P.E.P.§2111.03を参照のこと。
【0045】
本明細書で使用する場合、「対象」は、任意の動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。用語「哺乳動物」は、本明細書で使用する場合、任意の哺乳動物を包含する。哺乳動物の例としては、これらに限定されないが、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、サル、ヒトなど、より好ましくはヒトが挙げられる。
【0046】
用語「右」、「左」、「下」、及び「上」は、言及される図面の方向を示す。
【0047】
好ましい発明の構成要素の寸法又は特徴に言及する場合に本明細書で使用する用語「約(about)」、「およそ(approximately)」、「全般的に(generally)」、「実質的に(substantially)」などの用語は、記載された寸法/特徴が、厳密な境界又はパラメータではなく、当業者に理解されるように、機能的に同じか又は同様のそれらの軽微な変化を除外するものではないことも理解されるべきである。少なくとも、数値パラメータを含むこのような言及は、当技術分野で許容される数学的及び工業的原理(例えば、丸め誤差、測定誤差又は他の系統誤差、製作公差など)を使用した場合に少なくとも最下位桁を変化させないばらつきを含む。
【0048】
2つ以上の核酸又はポリペプチド配列(例えば、抗CD47抗体、CD47ポリペプチド、及びそれらをコードするポリヌクレオチド)の文脈における、用語「同一の」又は「同一性」パーセントは、以下の配列比較アルゴリズムのうちの1つを使用するか又は目視検査によって測定して最大一致となるように比較及びアライメントされた場合に、同じであるか、又は同じであるアミノ酸残基若しくはヌクレオチドを特定のパーセンテージで、2つ以上の配列又は部分配列を指す。
【0049】
配列比較では、通常は、1つの配列が、試験配列が比較される参照配列として機能する。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列及び参照配列がコンピュータに入力され、必要に応じて部分配列座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメータが指定される。次いで、配列比較アルゴリズムによって、指定されたプログラムパラメータに基づいて、参照配列と比較した試験配列に関する配列同一性パーセントが計算される。
【0050】
比較のために最適な配列アラインメントは、例えば、Smith及びWaterman、Adv. Appl. Math. 2:482(1981)のローカルホモロジーアルゴリズムによって、Needleman及びWunsch、J. Mol. Biol. 48:443(1970)のホモロジーアラインメントアルゴリズムによって、Pearson及びLipman、Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 85:2444(1988)の類似性検索法によって、これらのアルゴリズム(Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、575 Science Dr., Madison、WIのGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA)のコンピュータ上での実行によって、又は目視検査(全般的には、Current Protocols in Molecular Biology、F.M. Ausubelら編、Current Protocols、Greene Publishing Associates, Inc.とJohn Wiley & Sons, Inc.の合弁事業、(1995補遺)(Ausubel)を参照のこと)によって行うことができる。
【0051】
配列同一性パーセント及び配列類似性を決定するのに好適なアルゴリズム例は、Altschulら(1990)J. Mol. Biol. 215:403~410頁及びAltschulら(1997)Nucleic Acids Res. 25:3389~3402頁にそれぞれ記載される、BLAST及びBLAST2.0アルゴリズムである。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、米国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)を通じて公的に利用可能である。このアルゴリズムはまず、データベース配列中の同じ長さのワードと整列させた場合、ある正の値の閾値スコアTと一致するか又はそれを満たすかのいずれかである、クエリー配列中の長さWの短いワードを特定することによって、高スコア配列対(HSP)を特定することを伴う。Tは、隣接ワードスコア閾値と呼ばれる(Altschulら、上掲)。これらの初期隣接ワードヒットは、それらを含有するより長いHSPを見出すための検索を開始するためのシードとして作用する。次いで、このワードヒットは、累積アラインメントスコアが増加し得る限り、各配列に沿って両方向に伸長される。
【0052】
累積スコアは、ヌクレオチド配列については、パラメータM(一致する残基の対に関するリワードスコア;常に0より大きい)及びN(ミスマッチの残基に関するペナルティスコア;常に0より小さい)を使用して計算される。アミノ酸配列については、スコアリングマトリックスを使用して、累積スコアを計算する。累積アラインメントスコアがその最大達成値から量X下降するか;累積スコアが1つ以上の負のスコアリングの残基アラインメントの蓄積のために、0以下になるか;又はいずれかの配列の末端に達するかした場合、それぞれの方向でのワードヒットの伸長が停止される。BLASTアルゴリズムパラメータW、T及びXは、アラインメントの感度及び速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列について)は、ワード長(W)を11、10の期待値(E)を10、M=5、N=-4、及び両鎖の比較をデフォルトとして使用する。アミノ酸配列については、BLASTPプログラムは、ワード長(W)を3、期待値(E)を10、及びBLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff及びHenikoff、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915頁(1989)を参照のこと)をデフォルトとして使用する。
【0053】
配列同一性パーセントを計算することに加えて、BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列間の類似性の統計分析も実施する(例えば、Karlin及びAltschul、Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 90:5873~5787頁(1993)を参照のこと)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの尺度は、2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列間の一致が偶然に生じる確率の指標を提供する最小和確率(P(N))である。例えば、試験核酸と参照核酸との比較における最小和確率が約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満である場合、その核酸は参照配列と類似すると考えられる。
【0054】
2つの核酸配列又はポリペプチドが実質的に同一であることのさらなる指標は、第1の核酸によってコードされるポリペプチドが、以下に記載されるように、第2の核酸によってコードされるポリペプチドと免疫学的に交差反応性であることである。よって、ポリペプチドは、典型的には、例えば、2つのペプチドが保存的置換によってのみ異なる場合に、第2のポリペプチドと実質的に同一である。2つの核酸配列が実質的に同一であることの別の指標は、2つの分子が、ストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズするということである。
【0055】
本明細書で使用する場合、用語「阻害する(inhibit)」、「阻害すること(inhibiting)」、及び「阻害(inhibition)」は、活性、応答、状態、疾患又は他の生物学的パラメータを低下させることを意味する。これは、以下に限定されないが、活性、応答、状態、又は疾患の完全な除去を含み得る。これは、例えば、天然又は対照のレベルと比較した、活性、応答、状態、又は疾患の10%の低下も含む。よって、低下は、天然又は対照のレベルと比較した10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%、又はその間の任意の量の低下であり得る。非限定例として、本発明の抗体は、CD47タンパク質の活性を阻害し得る。CD47タンパク質の活性は、天然CD47タンパク質の活性に対して低下又は除去され得る。
【0056】
抗体
本発明は、全般的に、単離された抗CD47抗体、これらの抗体をコードする核酸及び発現ベクター、このベクターを含有する組換え細胞、並びにこれらの抗体を含む組成物に関する。該抗体を作製する方法、並びに該抗体を使用してがん、炎症性疾患、自己免疫疾患、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、代謝性疾患、放射線誘発傷害、及び/又は感染性疾患を含む疾患を処置する方法も提供される。本発明の抗体は、以下に限定されないが、CD47への高親和性結合、CD47への高い特異性、CD47のトロンボスポンジン-1(TSP1)への結合を阻止する能力及び/又は不能力、CD47のシグナル調節タンパク質アルファ(SIRPα)への結合を阻止する能力、疾患又は障害(以下に限定されないが、がん及びアテローム性動脈硬化症を含む)と関連したCD47発現細胞の食作用を誘導する能力、並びに単独又は他の抗がん治療と組み合わせて投与した場合の動物モデル及び対象における腫瘍成長を阻害する能力、並びに赤血球凝集を誘導する不能力を含む1つ以上の望ましい機能的特性を有する。
【0057】
全般的態様では、本発明は、CD47に結合する、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。
【0058】
本明細書で使用する場合、用語「抗体」は、広義の意味で使用され、免疫グロブリン又は抗体分子を含み、モノクローナル若しくはポリクローナルである、ヒトの、ヒト化された、複合体の及びキメラの抗体及び抗体断片を含む。一般的に、抗体は、特定の抗原への結合特異性を示すタンパク質又はペプチド鎖である。抗体構造は周知である。免疫グロブリンは、重鎖定常ドメインアミノ酸配列に応じて5つの主要なクラス(すなわち、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgM)に割り当てることができる。IgA及びIgGは、アイソタイプIgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4にさらに細分類される。したがって、本発明の抗体は、5つの主要なクラス又は対応するサブクラスのいずれかのものであり得る。好ましくは、本発明の抗体は、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4である。脊椎動物種の抗体軽鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、2つの明確に異なるタイプ、すなわち、カッパ及びラムダのうちの一方に割り当てることができる。したがって、本発明の抗体は、カッパ又はラムダ軽鎖定常ドメインを含有し得る、特定の実施形態によれば、本発明の抗体は、ラット又はヒト抗体由来の重鎖及び/又は軽鎖定常領域を含む。重鎖及び軽鎖定常ドメインに加えて、抗体は、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域から構成される抗原結合領域を含み、その軽鎖可変領域及び重鎖可変領域のそれぞれが3つのドメイン(すなわち、相補性決定領域1~3;CDR1、CDR2、及びCDR3)を含む。軽鎖可変領域ドメインは、代わりに、LCDR1、LCDR2、及びLCRD3と称され、重鎖可変領域のドメインは、代わりに、HCDR1、HCRD2、及びHCDR3と称される。
【0059】
本明細書で使用する場合、用語「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す(例えば、CD47に特異的に結合する単離された抗体は、CD47に結合しない抗体を実質的に含まない)。さらに、単離された抗体は、他の細胞材料及び/又は化学物質を実質的に含まない。
【0060】
本明細書で使用する場合、用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指す、すなわち、その集団に含む個々の抗体は、わずかな量で存在し得る天然に存在する可能性のある突然変異を除いて、同一である。本発明のモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、ファージディスプレイ技法、単一リンパ球遺伝子クローニング技法によって、又は組換えDNA法によって作製することができる。例えば、モノクローナル抗体は、ヒト重鎖導入遺伝子及び軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有するトランスジェニック非ヒト動物、例えば、トランスジェニックマウス又はラットから得られるB細胞を含むハイブリドーマによって産生させることができる。
【0061】
本明細書で使用する場合、用語「抗原結合断片」は、例えば、ダイアボディ、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv断片、ジスルフィド安定化Fv断片(dsFv)、(dsFv)2、二重特異的dsFv(dsFv-dsFv')、ジスルフィド安定化ダイアボディ(dsダイアボディ)、単鎖抗体分子(scFv)、単一ドメイン抗体(sdab)scFv二量体(二価のダイアボディ)、1つ以上のCDRを含む抗体の一部から形成された多重特異性抗体、ラクダ化単一ドメイン抗体、ナノボディ、ドメイン抗体、二価ドメイン抗体、又は抗原に結合するが完全な抗体構造を含まない任意の他の抗体断片などの抗体断片を指す。抗原結合断片は、親抗体又は親抗体断片が結合するのと同じ抗原に結合することが可能である。特定の実施形態によれば、抗原結合断片は、軽鎖可変領域、軽鎖定常領域、及び重鎖のFdセグメントを含む。他の特定の実施形態によれば、抗原結合断片は、Fab及びF(ab')を含む。
【0062】
本明細書で使用する場合、用語「単鎖抗体」は、約15~約20アミノ酸の短いペプチドによって連結した重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、この分野の従来の単鎖抗体を指す。本明細書で使用する場合、用語「単一ドメイン抗体」は、重鎖可変領域及び重鎖定常領域を含むか又は重鎖可変領域のみを含む、この分野の従来の単一ドメイン抗体を指す。
【0063】
本明細書で使用する場合、用語「ヒト抗体」は、ヒトによって産生される抗体又は当技術分野で公知の任意の技法を使用して作製されるヒトによって産生される抗体に対応するアミノ酸配列を有する抗体を指す。ヒト抗体のこの定義は、インタクトな若しくは完全長の抗体、その断片、並びに/又は少なくとも1つのヒト重鎖及び/若しくは軽鎖ポリペプチドを含む抗体を含む。
【0064】
本明細書で使用する場合、用語「ヒト化抗体」は、抗体の抗原結合特性は保持されるが、ヒトの身体におけるその抗原性は低下するように、ヒト抗体のものに対する配列相同性を増加させるよう改変されている、非ヒト抗体を指す。
【0065】
本明細書で使用する場合、用語「キメラ抗体」は、免疫グロブリン分子のアミノ酸配列が2つ以上の生物種に由来する抗体を指す。軽鎖と重鎖の両方の可変領域が、所望の特異性、親和性、及び能力を有する哺乳動物のうちの1種(例えば、マウス、ラット、ウサギなど)に由来する抗体の可変領域に対応する場合が多く、一方、定常領域が、その種における免疫応答の誘発を回避するために、哺乳動物の別の種(通常、ヒト)に由来する抗体の配列に対応する。
【0066】
本明細書で使用する場合、用語「多重特異性抗体」は、複数の免疫グロブリン可変ドメイン配列を含む抗体を指し、この複数のうち第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列は、第1のエピトープに対する結合特異性を有し、この複数のうち第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列は、第2のエピトープに対する結合特異性を有する。一実施形態では、第1及び第2のエピトープは、同じ抗原上、例えば、同じタンパク質(又は多量体タンパク質の同じサブユニット)上にある。一実施形態では、第1及び第2のエピトープは、重複しているか又は実質的に重複している。一実施形態では、第1及び第2のエピトープは、重複していないか又は実質的に重複していない。一実施形態では、第1及び第2のエピトープは、異なる抗原上、例えば、異なるタンパク質(又は多量体タンパク質の異なるサブユニット)上にある。一実施形態では、多重特異性抗体は、第3、第4、又は第5の免疫グロブリン可変ドメインを含む。一実施形態では、多重特異性抗体は、二重特異性抗体分子、三重特異性抗体、又は四重特異性抗体分子である。
【0067】
本明細書で使用する場合、用語「二重特異性抗体」は、たった2つのエピトープ又は2つの抗原に結合する多重特異性抗体を指す。二重特異性抗体は、第1のエピトープに対する結合特異性を有する第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列と、第2のエピトープに対する結合特異性を有する第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列とによって特徴付けられる。一実施形態では、第1及び第2のエピトープは、同じ抗原上、例えば、同じタンパク質(又は多量体タンパク質の同じサブユニット)上にある。一実施形態では、第1及び第2のエピトープは、重複しているか又は実質的に重複している。一実施形態では、第1及び第2のエピトープは、異なる抗原上、例えば、異なるタンパク質(又は多量体タンパク質の異なるサブユニット)上にある。一実施形態では、二重特異性抗体は、第1のエピトープに対する結合特異性を有する重鎖可変ドメイン配列及び軽鎖可変ドメイン配列と、第2のエピトープに対する結合特異性を有する重鎖可変ドメイン配列及び軽鎖可変ドメイン配列とを含む。一実施形態では、二重特異性抗体は、第1のエピトープに対する結合特異性を有する半抗体、又はその断片、及び第2のエピトープに対する結合特異性を有する半抗体、又はその断片を含む。一実施形態では、二重特異性抗体は、第1のエピトープに対する結合特異性を有するscFv、又はその断片、及び第2のエピトープに対する結合特異性を有するscFv、又はその断片を含む。ある実施形態では、第1のエピトープは、CD47上に位置し、第2のエピトープは、PD-1、PD-L1、LAG-3、TIM-3、CTLA-4、EGFR、HER-2、CD19、CD20、CD33、CD73、アペリン、DLL3、クローディン18.2、TIP-1、葉酸受容体アルファ、CD3及び/又は他の腫瘍関連免疫サプレッサー若しくは表面抗原上に位置する。
【0068】
本明細書で使用する場合、用語「CD47」は、細胞移動、接着、及びT細胞機能を含む複数の細胞プロセスに関与することが示されている免疫グロブリンスーパーファミリーに属する複数回膜貫通受容体(multi-spanning transmembrane receptor)を指す。インテグリン関連タンパク質(IAP)、卵巣がん抗原(OA3)、Rh関連抗原、及びMER6としても知られるCD47は、ヒト卵巣がん上の腫瘍抗原として元々同定され、その後、血液腫瘍と固形腫瘍の両方を含む複数のヒト腫瘍型で発現されることが示された。CD47と、マクロファージ上で発現される阻害タンパク質であるシグナル調節タンパク質アルファ(SIRPα)との間の相互作用は、CD47発現細胞の食作用を阻止する。CD47は、実質的にすべての非悪性細胞上において低レベルでさらに発現される。用語「ヒトCD47」は、ヒトに由来するCD47を指す。ヒトCD47の例示的アミノ酸配列は、GenBankアクセッション番号NP_001768.1(配列番号207)に示される。
【0069】
本明細書で使用する場合、「CD47に特異的に結合する」抗体は、1×10-7M以下、好ましくは1×10-8M以下、より好ましくは5×10-9M以下、1×10-9M以下、5×10-10M以下、又は1×10-10M以下のKDで、CD47、好ましくはヒトCD47に結合する抗体を指す。用語「KD」は、解離定数を指し、Kaに対するKdの比率(すなわち、Kd/Ka)から得られ、モル濃度(M)として表される。抗体に対するKD値は、本開示に鑑みて、当技術分野における方法を使用して決定することができる。例えば、抗体のKDは、表面プラズモン共鳴を使用して、例えば、バイオセンサーシステム、例えば、Biacore(登録商標)システムを使用して、又はバイオレイヤー干渉法、例えば、Octet RED96システムを使用して、決定することができる。
【0070】
抗体のKD値が小さいほど、抗体が標的抗原に結合する親和性は高くなる。
【0071】
特定の態様によれば、本発明は:
(1)それぞれ、配列番号177、46、47、178、112、及び179;
(2)それぞれ、配列番号51、52、53、117、118、及び119;
(3)それぞれ、配列番号54、55、56、120、121、及び122;
(4)それぞれ、配列番号57、58、59、123、124、及び125;
(5)それぞれ、配列番号60、61、62、126、127、及び128;
(6)それぞれ、配列番号180、181、182、129、130、及び131;
(7)それぞれ、配列番号72、73、74、138、139、及び140;
(8)それぞれ、配列番号78、79、80、144、145、及び146;
(9)それぞれ、配列番号81、82、83、147、148、及び149;
(10)それぞれ、配列番号84、85、86、150、151、及び152;
(11)それぞれ、配列番号87、88、89、153、154、及び155;
(12)それぞれ、配列番号90、91、92、156、157、及び158;
(13)それぞれ、配列番号93、94、95、159、160、及び161;
(14)それぞれ、配列番号96、97、98、162、163、及び164;
(15)それぞれ、配列番号99、100、101、165、166、及び167;
(16)それぞれ、配列番号102、103、104、168、169、及び170;
(17)それぞれ、配列番号105、106、107、171、172、及び173;
(18)それぞれ、配列番号108、109、110、174、175、及び176;又は
(19)それぞれ、配列番号201、202、203、204、205、及び206;
のポリペプチド配列を有する重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、HCDR3、軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、及びLCDR3を含み、CD47、好ましくはヒトCD47に特異的に結合する、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。
【0072】
配列番号177は、アミノ酸配列GYTFTX1YYで表され、ここで、X1は、D又はAから選択されるアミノ酸である。
【0073】
配列番号178は、アミノ酸配列X1NVGTYで表され、ここで、X1は、D又はEから選択されるアミノ酸である。
【0074】
配列番号179は、アミノ酸配列GQX1YSYPLTで表され、ここで、X1は、S又はTから選択されるアミノ酸である。
【0075】
配列番号180は、アミノ酸配列GYTFTSX1Wで表され、ここで、X1は、S又はYから選択されるアミノ酸である。
【0076】
配列番号181は、アミノ酸配列IDPSDSEX1で表され、ここで、X1は、T又はAから選択されるアミノ酸である。
【0077】
配列番号182は、アミノ酸配列X1RWGYYGKSAX2DYで表され、ここで、X1は、A又はSから選択されるアミノ酸であり、X2は、I又はMから選択されるアミノ酸である。
【0078】
別の特定の態様によれば、本発明は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、若しくは43のうちの1つと少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、又は配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、若しくは44のうちの1つと少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。好ましい一実施形態によれば、本発明の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、又は43と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、又は44と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0079】
別の特定の態様によれば、本発明は、
a. 配列番号1のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号2のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
b. 配列番号3のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号4のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
c. 配列番号5のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号6のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
d. 配列番号7のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号8のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
e. 配列番号9のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号10のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
f. 配列番号11のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号12のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
g. 配列番号13のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号14のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
h. 配列番号15のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号16のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
i. 配列番号17のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号18のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
j. 配列番号19のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号20のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
k. 配列番号21のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号22のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
l. 配列番号23のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号24のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
m. 配列番号25のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号26のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
n. 配列番号27のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号28のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
o. 配列番号29のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号30のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
p. 配列番号31のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号32のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
q. 配列番号33のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号34のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
r. 配列番号35のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号36のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
s. 配列番号37のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号38のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
t. 配列番号39のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号40のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
u. 配列番号41のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号42のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;又は
v. 配列番号43のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号44のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域
を含む、本発明の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。
【0080】
一実施形態では、本発明は、それぞれ、配列番号45、46、47、111、112、及び113のポリペプチド配列を有するHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。別の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号2と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号2のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0081】
一実施形態では、本発明は、それぞれ、配列番号48、49、50、114、115、及び116のポリペプチド配列を有するHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。別の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号3と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号4と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号3のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号4のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0082】
一実施形態では、本発明は、それぞれ、配列番号51、52、53、117、118、及び119のポリペプチド配列を有するHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。別の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号5と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号6と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号5のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号6のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0083】
一実施形態では、本発明は、それぞれ、配列番号54、55、56、120、121、及び122のポリペプチド配列を有するHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。別の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号7と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号8と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号7のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号8のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0084】
一実施形態では、本発明は、それぞれ、配列番号57、58、59、123、124、及び125のポリペプチド配列を有するHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。別の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号9と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号10と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号9のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号10のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0085】
一実施形態では、本発明は、それぞれ、配列番号60、61、62、126、127、及び128のポリペプチド配列を有するHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。別の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号11と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号12と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号11のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号12のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0086】
一実施形態では、本発明は、それぞれ、配列番号63、64、65、129、130、及び131のポリペプチド配列を有するHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。別の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号13と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号14と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号13のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号14のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0087】
一実施形態では、本発明は、それぞれ、配列番号66、67、68、132、133、及び134のポリペプチド配列を有するHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。別の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号15と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号16と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号15のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号16のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0088】
一実施形態では、本発明は、それぞれ、配列番号69、70、71、135、136、及び137のポリペプチド配列を有するHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。別の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号17と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号18と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号17のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号18のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0089】
一実施形態では、本発明は、それぞれ、配列番号72、73、74、138、139、及び140のポリペプチド配列を有するHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。別の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号19と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号20と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号19のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号20のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0090】
一実施形態では、本発明は、それぞれ、配列番号75、76、77、141、142、及び143のポリペプチド配列を有するHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。別の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号21と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号22と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号21のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号22のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0091】
一実施形態では、本発明は、それぞれ、配列番号78、79、80、144、145、及び146のポリペプチド配列を有するHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。別の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号23と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号24と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号23のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号24のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0092】
一実施形態では、本発明は、それぞれ、配列番号81、82、83、147、148、及び149のポリペプチド配列を有するHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。別の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号25と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号26と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号25のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号26のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0093】
一実施形態では、本発明は、それぞれ、配列番号84、85、86、150、151、及び152のポリペプチド配列を有するHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。別の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号27と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号28と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号27のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号28のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0094】
一実施形態では、本発明は、それぞれ、配列番号87、88、89、153、154、及び155のポリペプチド配列を有するHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。別の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号29と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号30と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号29のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号30のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0095】
一実施形態では、本発明は、それぞれ、配列番号90、91、92、156、157、及び158のポリペプチド配列を有するHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。別の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号31と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号32と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号31のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号32のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0096】
一実施形態では、本発明は、それぞれ、配列番号93、94、95、159、160、及び161のポリペプチド配列を有するHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。別の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号33と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号34と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号33のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号34のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0097】
一実施形態では、本発明は、それぞれ、配列番号96、97、98、162、163、及び164のポリペプチド配列を有するHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。別の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号35と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号36と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号35のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号36のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0098】
一実施形態では、本発明は、それぞれ、配列番号99、100、101、165、166、及び167のポリペプチド配列を有するHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。別の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号37と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号38と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号37のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号38のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0099】
一実施形態では、本発明は、それぞれ、配列番号102、103、104、168、169、及び170のポリペプチド配列を有するHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。別の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号39と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号40と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号39のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号40のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0100】
一実施形態では、本発明は、それぞれ、配列番号105、106、107、171、172、及び173のポリペプチド配列を有するHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。別の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号41と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号42と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号41のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号42のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0101】
一実施形態では、本発明は、それぞれ、配列番号108、109、110、174、175、及び176のポリペプチド配列を有するHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。別の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号43と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号44と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号43のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号44のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0102】
一実施形態では、本発明は、それぞれ、配列番号201、202、203、204、205、及び206のポリペプチド配列を有するHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。別の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号199と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号200と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一であるポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号199のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号200のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0103】
別の特定の態様によれば、本発明は、キメラである、本発明の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。
【0104】
別の特定の態様によれば、本発明は、ヒトの又はヒト化された、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。
【0105】
別の特定の態様によれば、本発明は:
a.配列番号183のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号191のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
b.配列番号183のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号192のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
c.配列番号183のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号193のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
d.配列番号184のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号190のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域
e.配列番号184のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号192のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
f.配列番号184のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号193のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
g.配列番号185のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号190のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
h.配列番号185のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号191のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
i.配列番号185のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号193のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
j.配列番号185のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号198のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
k.配列番号187のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号194のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
l.配列番号188のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号194のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
m.配列番号188のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号196のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
n.配列番号188のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号197のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;又は
o.配列番号199のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号200のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
を含む、単離されヒト化されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。
【0106】
別の特定の態様によれば、本発明は、CD47のトロンボスポンジン-1(TSP1)及び/又はシグナル調節タンパク質アルファ(SIRPα)への結合を阻止することが可能な、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。
【0107】
別の特定の態様によれば、本発明は、がん細胞のマクロファージ媒介食作用を誘導することが可能な、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。
【0108】
別の特定の態様によれば、赤血球細胞への検出不能な結合を最小限にしてがん細胞に結合することが可能な、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。本発明の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片によるがん細胞の結合は、当技術分野で公知の方法を使用して決定することができる。
【0109】
別の一般的態様では、本発明は、本発明のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片をコードする、単離された核酸に関する。タンパク質のコード配列を、タンパク質のアミノ酸配列を変化させることなく、変化させる(例えば、置換、欠失、挿入など)ことができることは当業者によって認識されるであろう。したがって、本発明のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片をコードする核酸配列は、タンパク質のアミノ酸配列を変化させることなく変更され得ることは、当業者によって理解されるであろう。
【0110】
別の一般的態様では、本発明は、本発明のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片をコードする単離された核酸を含むベクターに関する。本開示を鑑みて、当業者に公知の任意のベクター、例えば、プラスミド、コスミド、ファージベクター又はウイルスベクターを使用することができる。一部の実施形態では、ベクターは、組換え発現ベクター、例えば、プラスミドである。ベクターは、発現ベクターの従来の機能を確立するための任意の要素、例えば、プロモーター、リボソーム結合エレメント、ターミネーター、エンハンサー、選択マーカー、及び複製起点を含むことができる。プロモーターは、構成性、誘導性又は抑制性プロモーターであってもよい。核酸を細胞に送達することが可能な多くの発現ベクターが、当技術分野で公知であり、本明細書において、細胞における抗体又はその抗原結合断片の生産に使用することができる。本発明の実施形態によれば、従来のクローニング技法又は人工遺伝子合成を使用して組換え発現ベクターを生成することができる。
【0111】
別の一般的態様では、本発明は、本発明のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片をコードする単離された核酸を含む宿主細胞に関する。本開示に鑑みて、当業者に公知の任意の宿主細胞を、本発明の抗体又はその抗原結合断片の組換え発現に使用することができる。一部の実施形態では、宿主細胞は、大腸菌(E. coli)TG1若しくはBL21細胞(例えば、scFv又はFab抗体の発現用)、CHO-DG44若しくはCHO-K1細胞又はHEK293細胞(例えば、完全長IgG抗体の発現用)である。特定の実施形態によれば、従来の方法、例えば、化学的トランスフェクション、熱ショック、又はエレクトロポレーションによって、組換え発現ベクターは宿主細胞に形質転換され、組換え核酸が有効に発現されるように組換え発現ベクターが宿主細胞のゲノムに安定して組み込まれる。
【0112】
別の一般的態様では、本発明は、本発明のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片を生産する方法であって、本発明のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片を産生する条件下で、モノクローナル抗体又はその抗原結合断片をコードする核酸を含む細胞を培養するステップ、及び細胞又は細胞培養物から(例えば、上清から)、抗体又はその抗原結合断片を回収するステップを含む方法に関する。当技術分野で公知であり、本明細書に記載される従来の技法に従って、発現された抗体又はその抗原結合断片を細胞から採取し、精製することができる。
【0113】
医薬組成物
別の一般的態様では、本発明は、本発明の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。用語「医薬組成物」は、本明細書で使用する場合、本発明の抗体を薬学的に許容される担体と一緒に含む生成物を意味する。本発明の抗体及びこれらを含む組成物は、本明細書で言及した治療適用のための医薬の製造においても有用である。
【0114】
本明細書で使用する場合、用語「担体」は、任意の賦形剤、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定剤、相溶剤、油、脂質、ベシクルを含む脂質、マイクロスフェア、リポソーム封入、又は医薬製剤において使用するための当技術分野で周知の他の材料を指す。担体、賦形剤又は希釈剤の特徴は、特定の適用のための投与経路に依存することが理解されよう。本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容される担体」は、本発明による組成物の有効性又は本発明による組成物の生物学的活性を妨げない非毒性材料を指す。特定の実施形態によれば、本開示に鑑みて、抗体医薬組成物において使用するのに好適な任意の薬学的に許容される担体を、本発明において使用することができる。
【0115】
薬学的に活性な成分の薬学的に許容される担体との製剤化は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy(例えば、第21版(2005)、その後の任意の版)にあるように、当技術分野で公知である。追加の成分の非限定例として、緩衝剤、希釈剤、溶媒、張性調節剤、防腐剤、安定剤、及びキレート剤が挙げられる。1つ以上の薬学的に許容される担体が、本発明の医薬組成物の製剤化において使用され得る。
【0116】
本発明の一実施形態では、医薬組成物は、液体製剤である。液体製剤の好ましい例は、水性製剤、すなわち、水を含む製剤である。液体製剤は、溶液、懸濁液、エマルション、マイクロエマルション、ゲルなどを含み得る。水性製剤は、典型的には、少なくとも50%w/wの水、又は少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、又は少なくとも95%w/wの水を含む。
【0117】
一実施形態では、医薬組成物は、例えば、注射デバイス(例えば、シリンジ又は輸液ポンプ)を介して注射することができる注射剤として製剤化され得る。注射は、例えば、皮下、筋肉内、腹腔内、硝子体内、又は静脈内に送達されてもよい。
【0118】
別の実施形態では、医薬組成物は、固体製剤、例えば、凍結乾燥又は噴霧乾燥組成物であり、これはそのまま使用してもよく、又は、医師若しくは患者が使用前に溶媒、及び/若しくは希釈剤を添加して使用してもよい。固体剤形としては、錠剤、例えば、圧縮錠剤、及び/又はコーティングされた錠剤、並びにカプセル(例えば、ハード又はソフトゼラチンカプセル)を挙げることができる。医薬組成物はまた、例えば、サッシェ、糖衣錠、粉末、顆粒、トローチ剤、又は再構築用の粉末の形態であってもよい。
【0119】
剤形は、即時放出(この場合、水溶性又は分散性担体を含んでもよい)であってもよく、又は、遅延放出、持続放出、若しくは修正放出(この場合、胃腸管又は皮下における剤形の溶解速度を調節する非水溶性ポリマーを含んでもよい)であってもよい。
【0120】
他の実施形態では、医薬組成物は、鼻腔内、頬内、又は舌下送達されてもよい。
【0121】
水性製剤のpHは、pH3~pH10の間であり得る。本発明の一実施形態では、製剤のpHは、約7.0~約9.5である。本発明の別の実施形態では、製剤のpHは、約3.0~約7.0である。
【0122】
本発明の別の実施形態では、医薬組成物は、緩衝剤を含む。緩衝剤の非限定例として、アルギニン、アスパラギン酸、ビシン、クエン酸塩、リン酸水素二ナトリウム、フマル酸、グリシン、グリシルグリシン、ヒスチジン、リシン、マレイン酸、リンゴ酸、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、コハク酸塩、酒石酸、トリシン、及びトリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、並びにこれらの混合物が挙げられる。緩衝剤は、個々に又は全体で、約0.01mg/ml~約50mg/ml、例えば、約0.1mg/ml~約20mg/mlの濃度で存在してもよい。これらの具体的な緩衝剤の各々を含む医薬組成物は、本発明の代替的な実施形態を構成する。
【0123】
本発明の別の実施形態では、医薬組成物は、防腐剤を含む。防腐剤の非限定例として、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、ブロノポール、ブチル4-ヒドロキシベンゾエート、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロヘキシジン、クロルフェネシン、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、エチル4-ヒドロキシベンゾエート、イミド尿素、メチル4-ヒドロキシベンゾエート、フェノール、2-フェノキシエタノール、2-フェニルエタノール、プロピル4-ヒドロキシベンゾエート、デヒドロ酢酸ナトリウム、チメロサール、及びこれらの混合物が挙げられる。防腐剤は、個々に又は全体で、約0.01mg/ml~約50mg/ml、例えば、約0.1mg/ml~約20mg/mlの濃度で存在してもよい。これらの具体的な防腐剤の各々を含む医薬組成物は、本発明の代替的な実施形態を構成する。
【0124】
本発明の別の実施形態では、医薬組成物は、等張剤を含む。本実施形態の非限定例として、塩(例えば、塩化ナトリウム)、アミノ酸(例えば、グリシン、ヒスチジン、アルギニン、リシン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、及びトレオニン)、アルジトール(例えば、グリセロール、1,2-プロパンジオールプロピレングリコール)、1,3-プロパンジオール、及び1,3-ブタンジオール)、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400)、及びこれらの混合物が挙げられる。等張剤の別の例としては、糖が挙げられる。糖の非限定例は、単糖類、二糖類、若しくは多糖類、又は水溶性グルカンであってもよく、例えば、フルクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、ラクトース、ショ糖、トレハロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、アルファ及びベータ-HPCD、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、並びにカルボキシメチルセルロースナトリウムが挙げられる。等張剤の別の例は糖アルコールであり、用語「糖アルコール」は、少なくとも1つの-OH基を有するC(4~8)炭化水素として定義される。糖アルコールの非限定例として、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、ガラクチトール、ズルシトール、キシリトール、及びアラビトールが挙げられる。この段落に列挙した各等張剤を含む医薬組成物は、本発明の代替的な実施形態を構成する。等張剤は、個々に又は合計で、約0.01mg/ml~約50mg/ml、例えば、約0.1mg/ml~約20mg/mlの濃度で存在してもよい。これらの具体的な等張剤の各々を含む医薬組成物は、本発明の代替の実施形態を構成する。
【0125】
本発明の別の実施形態では、医薬組成物は、キレート剤を含む。キレート剤の非限定例として、クエン酸、アスパラギン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)の塩、及びこれらの混合物が挙げられる。キレート剤は、個々に又は全体で、約0.01mg/ml~約50mg/ml、例えば、約0.1mg/ml~約20mg/mlの濃度で存在してもよい。これらの具体的なキレート剤の各々を含む医薬組成物は、本発明の代替的な実施形態を構成する。
【0126】
本発明の別の実施形態では、医薬組成物は、安定剤を含む。安定剤の非限定例として、1つ以上の凝集阻害剤、1つ以上の酸化阻害剤、1つ以上の界面活性剤、及び/又は1つ以上のプロテアーゼ阻害剤が挙げられる。
【0127】
本発明の別の実施形態では、医薬組成物は、安定剤を含み、前記安定剤は、カルボキシ/ヒドロキシセルロース及びその誘導体(例えば、HPC、HPC-SL、HPC-L及びHPMC)、シクロデキストリン、2-メチルチオエタノール、ポリエチレングリコール(例えば、PEG3350)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、塩(例えば、塩化ナトリウム)、硫黄含有物質、例えば、モノチオグリセロール)、又はチオグリコール酸である。安定剤は、個々に又は全体で、約0.01mg/ml~約50mg/ml、例えば、約0.1mg/ml~約20mg/mlの濃度で存在してもよい。これらの具体的な安定剤の各々を含む医薬組成物は、本発明の代替的な実施形態を構成する。
【0128】
本発明のさらなる実施形態では、医薬組成物は、1つ以上の界面活性剤、好ましくは界面活性剤、少なくとも1つの界面活性剤、又は2つの異なる界面活性剤を含む。用語「界面活性剤」は、水溶性(親水性)部分と、脂溶性(親油性)部分とから構成される任意の分子又はイオンを指す。界面活性剤は、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び/又は双極性イオン界面活性剤からなる群から選択することができる。界面活性剤は、個々に又は全体で、約0.1mg/ml~約20mg/mlの濃度で存在してもよい。これらの具体的な界面活性剤の各々を含む医薬組成物は、本発明の代替的な実施形態を構成する。
【0129】
本発明のさらなる実施形態では、医薬組成物は、1つ以上のプロテアーゼ阻害剤、例えば、EDTA、及び/又は塩酸(HCl)ベンズアミジンなどを含む。プロテアーゼ阻害剤は、個々に又は全体で、約0.1mg/ml~約20mg/mmlの濃度で存在してもよい。これらの具体的なプロテアーゼ阻害剤の各々を含む医薬組成物は、本発明の代替的な実施形態を構成する。
【0130】
別の一般的態様では、本発明は、本発明のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片を含む医薬組成物を生産する方法であって、モノクローナル抗体又はその抗原結合断片を薬学的に許容される担体と配合して、医薬組成物を得るステップを含む方法に関する。
【0131】
使用方法
別の一般的態様では、本発明は、CD47のトロンボスポンジン-1(TSP1)への結合を阻止する方法、又はCD47のシグナル調節タンパク質アルファ(SIRPα)への結合を阻止する方法であって、本発明の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法に関する。
【0132】
CD47に結合する抗体及びその抗原結合断片の機能的活性は、当技術分野で公知の方法及び本明細書に記載される方法によって特徴付けることができる。CD47に結合する抗体及びその抗原結合断片を特徴付けるための方法として、以下に限定されないが、Biacore、ELISA、及びOctetRed分析を含む親和性及び特異性アッセイ;TSP1及び/又はSIRPαへのCD47の結合の阻止を検出するための受容体リガンド結合アッセイ;CD47発現細胞が、蛍光標識され、マクロファージと共にインキュベートされて、マクロファージによるCD47発現細胞の食作用に関するSIRPαへのCD47の結合を阻止する作用を検出する食作用アッセイ;赤血球細胞に対する抗CD47の作用を検出する赤血球凝集アッセイ、並びに内皮細胞における下流のeNOS/NO/cGMPシグナル伝達に対するTSP1-CD47相互作用を阻止する作用を検出する細胞ベースのアッセイが挙げられる。特定の実施形態によれば、CD47に結合する抗体及びその抗原結合断片を特徴付けるための方法として、後述するものが挙げられる。
【0133】
別の一般的態様では、本発明は、それを必要とする対象において、がんを処置する方法であって、本発明の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法に関する。がんは、任意の液性がん又は固形がんであってもよく、例えば、それは、以下に限定されないが、肺がん、胃がん、結腸がん、肝細胞癌、腎細胞癌、膀胱尿路上皮癌、転移性黒色腫、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、頭頚部がん、膵臓がん、神経膠腫、神経膠芽腫、及び他の固形腫瘍、並びに非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫(MM)、急性骨髄性白血病(AML)、及び他の液状腫瘍から選択され得る。
【0134】
別の一般的態様では、本発明は、それを必要とする対象において、炎症性疾患を処置する方法であって、本発明の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法に関する。
【0135】
別の一般的態様では、本発明は、それを必要とする対象において、感染性疾患を処置する方法であって、本発明の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法に関する。
【0136】
別の一般的態様では、本発明は、それを必要とする対象において、アテローム性動脈硬化症を処置する方法であって、本発明の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法に関する。
【0137】
別の一般的態様では、本発明は、それを必要とする対象において、心血管疾患を処置する方法であって、本発明の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法に関する。
【0138】
別の一般的態様では、本発明は、それを必要とする対象において、代謝性疾患を処置する方法であって、本発明の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法に関する。
【0139】
別の一般的態様では、本発明は、それを必要とする対象における放射線誘発傷害の方法であって、本発明の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法に関する。
【0140】
別の一般的態様では、本方法は、それを必要とする対象において、自己免疫疾患を処置する方法であって、本発明の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法に関する。
【0141】
本発明の実施形態によれば、医薬組成物は、治療有効量の抗CD47抗体又はその抗原結合断片を含む。本明細書で使用する場合、用語「治療有効量」は、対象において、所望の生物学的又は医学的応答を誘発する、有効成分又は構成成分の量を指す。治療有効量は、記載された目的に関連して、経験的且つ慣用方法で決定することができる。
【0142】
抗CD47抗体又はその抗原結合断片に関連して本明細書で使用する場合、治療有効量は、それを必要とする対象において、免疫応答をモジュレートする抗CD47抗体又はその抗原結合断片の量を意味する。また、抗CD47抗体又はその抗原結合断片に関連して本明細書で使用する場合、治療有効量は、疾患、障害、若しくは状態の処置をもたらし、疾患、障害、若しくは状態を予防するか若しくはその進行を遅延させるか、又は疾患、障害、若しくは状態に伴う症状を低減するか若しくは完全に緩和する、抗CD47抗体又はその抗原結合断片の量を意味する。
【0143】
特定の実施形態によれば、処置される疾患、障害又は状態は、がん、好ましくは肺がん、胃がん、結腸がん、肝細胞癌、腎細胞癌、膀胱尿路上皮癌、転移性黒色腫、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、頭頚部がん、膵臓がん、神経膠腫、神経膠芽腫、及び他の固形腫瘍、並びに非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫(MM)、急性骨髄性白血病(AML)、及び他の液状腫瘍からなる群から選択されるがんである。他の特定の実施形態によれば、処置される疾患、障害又は状態は、炎症性疾患、感染性疾患、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、代謝性疾患、放射線誘発傷害、免疫疾患、及び/又は自己免疫疾患である。
【0144】
特定の実施形態によれば、治療有効量は、以下の効果のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれを超えるものを達成するのに十分な治療の量を指す:(i)処置される疾患、障害若しくは状態、又はそれに伴う症状の重症度を低減又は改善すること、(ii)処置される疾患、障害若しくは状態、又はそれに伴う症状の期間を短縮すること、(iii)処置される疾患、障害若しくは状態、又はそれに伴う症状の進行を予防すること、(iv)処置される疾患、障害若しくは状態、又はそれに伴う症状の退縮を生じること、(v)処置される疾患、障害若しくは状態、又はそれに伴う症状の進展又は発症を予防すること、(vi)処置される疾患、障害若しくは状態、又はそれに伴う症状の再発を予防すること、(vii)処置される疾患、障害、若しくは状態、又はそれに伴う症状を有する対象の入院を減少させること、(viii)処置される疾患、障害若しくは状態、又はそれに伴う症状を有する対象の入院期間を短縮させること、(ix)処置される疾患、障害若しくは状態、又はそれに伴う症状を有する対象の生存率を高めること、(xi)対象における、処置される疾患、障害若しくは状態、又はそれに伴う症状を阻害若しくは低減すること、並びに/あるいは(xii)別の治療の予防的又は治療効果を強化又は改善すること。
【0145】
治療有効量又は治療有効投与量は、様々な因子、例えば、処置される疾患、障害又は状態、投与の手段、標的部位、対象の生理学的状態(例えば、年齢、体重、健康を含む)、対象がヒトであるか又は動物であるか、投与される他の医薬、及び処置が予防的であるか又は治療的であるかに応じて変動し得る。処置投与量は、安全性及び有効性を最適化するよう最適に用量設定される。
【0146】
特定の実施形態によれば、本明細書に記載の組成物は、対象への意図した投与経路に好適となるように製剤化される。例えば、本明細書に記載の組成物は、静脈内、皮下、又は筋肉内投与に好適となるよう製剤化することができる。
【0147】
本明細書で使用する場合、用語「処置する(treat)」、「処置すること(treating)」、及び「処置(treatment)」はいずれも、がん、免疫疾患、障害若しくは状態、自己免疫疾患、障害若しくは状態、又は炎症性疾患、障害若しくは状態、感染性疾患、障害若しくは状態、アテローム性動脈硬化症、障害若しくは状態、心血管疾患、障害若しくは状態、代謝性疾患、障害若しくは状態、放射線誘発傷害、障害若しくは状態に関連した少なくとも1つの測定可能な物理的パラメータの改善又は好転を指すことを意図し、これは対象において必ずしも認識されるとは限らないが、対象において認識可能な場合もある。用語「処置する(treat)」、「処置すること(treating)」、及び「処置(treatment)」はまた、疾患、障害、又は状態の退縮を生じること、その進行を予防すること、又は少なくともその進行を遅らせることを指してもよい。特定の実施形態では、「処置する(treat)」、「処置すること(treating)」、及び「処置(treatment)」は、疾患、障害、又は状態に伴う1つ以上の症状の緩和、進展若しくは発症の予防、又はその期間の短縮を指す。特定の実施形態では、「処置する(treat)」、「処置すること(treating)」、及び「処置(treatment)」は、疾患、障害、又は状態の再発の予防を指す。特定の実施形態では、「処置する(treat)」、「処置すること(treating)」、及び「処置(treatment)」は、疾患、障害、又は状態を有する対象の生存率の向上を指す。特定の実施形態では、「処置する(treat)」、「処置すること(treating)」、及び「処置(treatment)」は、対象における疾患、障害、又は状態の消失を指す。
【0148】
特定の実施形態によれば、がん、免疫疾患、障害若しくは状態、自己免疫疾患、障害若しくは状態、炎症性疾患、障害若しくは状態、感染性疾患、障害若しくは状態、アテローム性動脈硬化症、障害若しくは状態、心血管疾患、障害若しくは状態、代謝性疾患、障害若しくは状態、放射線誘発傷害、障害若しくは状態の処置において使用される組成物は、別の処置と組み合わせて使用することができる。がんの処置では、組成物は、以下に限定されないが、化学療法、抗CD20mAb、抗CTLA-4抗体、抗LAG-3mAb、抗EGFRmAb、抗HER-2mAb、抗CD19mAb、抗CD33mAb、抗CD73mAb、抗CD47 mAb、抗DLL-3mAb、抗アペリンmAb、抗TIP-1mAb、抗CLDN18.2mAb、抗FOLR1mAb、抗PD-L1抗体、抗PD-1抗体、PD-1/PD-L1療法、又は他のがん免疫療法薬(immuno-oncology drug)、標的療法、抗血管新生剤、放射線療法、又は他の抗がん薬を含む別の処置と組み合わせて使用され得る。抗CD47抗体を使用して、PD-1、PD-L1、LAG3、TIM-3、CTLA-4、EGFR、HER-2、CD19、CD20、CD33、CD73、アペリン、DLL3、クローディン18.2、TIP-1、CD3、葉酸受容体アルファ及び/又はCD47と特異的腫瘍関連抗原の両方を発現するがん/腫瘍を処置するための他の腫瘍表面抗原に対するパートナーmAbとの二重特異的抗原を構築することができる。
【0149】
本明細書で使用する場合、対象への2つ以上の治療の施行の文脈における、用語「組み合わせて」は、2つ以上の治療の使用を指す。用語「組み合わせて」の使用は、治療が対象に施行される順序を限定するものではない。例えば、第1の治療(例えば、本明細書に記載の組成物)を、対象への第2の治療の施行前に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、16時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、又は12週間前に)、施行と同時に、又は施行後に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、16時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、又は12週間後に)施行することができる。
【0150】
別の一般的態様では、本発明は、対象のCD47のレベルを決定する方法に関する。本方法は、(a)対象から試料を得るステップ、(b)試料を本発明の抗体又はその抗原結合断片と接触させるステップ、及び(c)対象のCD47のレベルを決定するステップを含む。
【0151】
本明細書で使用する場合、「試料」は、対象から単離された生体試料を指し、以下に限定されないが、全血、血清、血漿、血液細胞、内皮細胞、組織生検(例えば、がん組織、肝組織など)、リンパ液、腹水液、間質液、骨髄、脳脊髄液、唾液、粘液、痰、汗、尿、又は任意の他の分泌物、排せつ物、又は他の体液を挙げることができる。「血液試料」は、全血又は血液細胞、血清、及び血漿を含むその任意の画分を指す。「血液試料」は、例えば、がん細胞を含み得る。
【0152】
ある特定の実施形態では、対象のCD47のレベルは、以下に限定されないが、ウエスタンブロットアッセイ、ELISAアッセイ、FACSアッセイ、及び/又は免疫組織化学(IHC)から選択されるアッセイを利用して決定することができる。相対的なタンパク質レベルは、ウエスタンブロット分析、FACSアッセイ、及び免疫組織化学(IHC)を利用することによって決定することができ、絶対的なタンパク質レベルは、ELISAアッセイを利用して決定することができる。CD47の相対的レベルを決定する場合、CD47のレベルは、少なくとも2つの試料間、例えば、同じ対象由来の異なる時点における試料間、同じ対象の異なる組織由来の試料間、及び/又は異なる対象由来の試料間で決定することができる。あるいは、CD47の絶対的レベルを、例えばELISAアッセイによって決定する場合、試料中のCD47の絶対的レベルは、試料を試験する前に、ELISAアッセイについての標準を作成することによって決定することができる。当業者であれば、本発明の抗体又はその抗原結合断片を利用して、対象由来の試料中のCD47のレベルを決定するために、どの分析技法を利用するかを理解するであろう。
【0153】
対象由来の試料中のCD47のレベルを決定する方法を利用することによって、疾患における異常な(上昇した、低減した、又は不十分な)CD47のレベルの診断を導き、適切な治療上の決定をすることができる。このような疾患は、これらに限定されないが、がん、好ましくは肺がん、胃がん、結腸がん、肝細胞癌、腎細胞癌、膀胱尿路上皮癌、転移性黒色腫、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、頭頚部がん、膵臓がん、神経膠腫、神経膠芽腫、及び他の固形腫瘍、並びに非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫(MM)、急性骨髄性白血病(AML)、及び他の液状腫瘍からなる群から選択されるがん、炎症性疾患、感染性疾患、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、代謝性疾患、放射線誘発傷害、免疫疾患、並びに/又は自己免疫疾患から選択され得る。
【0154】
実施形態
本発明は、以下の非限定的実施形態も提供する。
【0155】
実施形態1は、
(1)それぞれ、配列番号177、46、47、178、112、及び179;
(2)それぞれ、配列番号51、52、53、117、118、及び119;
(3)それぞれ、配列番号54、55、56、120、121、及び122;
(4)それぞれ、配列番号57、58、59、123、124、及び125;
(5)それぞれ、配列番号60、61、62、126、127、及び128;
(6)それぞれ、配列番号180、181、182、129、130、及び131;
(7)それぞれ、配列番号72、73、74、138、139、及び140;
(8)それぞれ、配列番号78、79、80、144、145、及び146;
(9)それぞれ、配列番号81、82、83、147、148、及び149;
(10)それぞれ、配列番号84、85、86、150、151、及び152;
(11)それぞれ、配列番号87、88、89、153、154、及び155;
(12)それぞれ、配列番号90、91、92、156、157、及び158;
(13)それぞれ、配列番号93、94、95、159、160、及び161;
(14)それぞれ、配列番号96、97、98、162、163、及び164;
(15)それぞれ、配列番号99、100、101、165、166、及び167;
(16)それぞれ、配列番号102、103、104、168、169、及び170;
(17)それぞれ、配列番号105、106、107、171、172、及び173;
(18)それぞれ、配列番号108、109、110、174、175、及び176;又は
(19)それぞれ、配列番号201、202、203、204、205、及び206;
のポリペプチド配列を有する重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、HCDR3、軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、及びLCDR3を含み、CD47、好ましくはヒトCD47に特異的に結合する、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片である。
【0156】
実施形態2は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、若しくは43と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、又は配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、若しくは44と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む、実施形態1の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片である。
【0157】
実施形態3は、
(a)配列番号1のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号2のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(b)配列番号3のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号4のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(c)配列番号5のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号6のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(d)配列番号7のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号8のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(e)配列番号9のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号10のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(f)配列番号11のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号12のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(g)配列番号13のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号14のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(h)配列番号15のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号16のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(i)配列番号17のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号18のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(j)配列番号19のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号20のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(k)配列番号21のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号22のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(l)配列番号23のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号24のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(m)配列番号25のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号26のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(n)配列番号27のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号28のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(o)配列番号29のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号30のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(p)配列番号31のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号32のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(q)配列番号33のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号34のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(r)配列番号35のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号36のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(s)配列番号37のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号38のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(t)配列番号39のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号40のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(u)配列番号41のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号42のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;又は
(v)配列番号43のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号44のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域
を含む、実施形態1又は2の単離されたモノクローナル抗体又は抗原結合断片である。
【0158】
実施形態4は、CD47とトロンボスポンジン-1(TSP1)の相互作用及び/又はCD47とSIRPαの相互作用を阻害する、実施形態1~3のいずれか1つの単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片である。
【0159】
実施形態5は、キメラである、実施形態1~4のいずれか1つの単離されたモノクローナル抗体又は抗原結合断片である。
【0160】
実施形態6は、ヒトの又はヒト化されたものである、実施形態1~5のいずれか1つの単離されたモノクローナル抗体又は抗原結合断片である。
【0161】
実施形態7は:
a.配列番号183のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号191のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
b.配列番号183のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号192のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
c.配列番号183のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号193のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;又は
d.配列番号184のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号190のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域
e.配列番号184のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号192のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
f.配列番号184のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号193のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
g.配列番号185のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号190のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
h.配列番号185のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号191のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
i.配列番号185のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号193のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
j.配列番号185のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号198のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
k.配列番号187のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号194のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
l.配列番号188のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号194のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
m.配列番号188のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号196のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
n.配列番号188のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号197のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;又は
o.配列番号199のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号200のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
を含む、実施形態6の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片である。
【0162】
実施形態8は、CD47の、トロンボスポンジン-1(TSP1)への結合及び/又はシグナル調節タンパク質アルファ(SIRPα)への結合を阻止することが可能な、実施形態1~7のいずれか1つの単離されたモノクローナル抗体又は抗原結合断片である。
【0163】
実施形態9は、がん細胞のマクロファージ媒介食作用を誘導することが可能な、実施形態1~7のいずれか1つの単離されたモノクローナル抗体又は抗原結合断片である。
【0164】
実施形態10は、赤血球細胞への検出不能な結合を最小限にしてがん細胞に結合することが可能な、実施形態1~7のいずれか1つの単離されたモノクローナル抗体又は抗原結合断片である。
【0165】
実施形態11は、実施形態1~10のいずれか1つのモノクローナル抗体又は抗原結合断片をコードする、単離された核酸である。
【0166】
実施形態12は、実施形態11の単離された核酸を含むベクターである。
【0167】
実施形態13は、実施形態12のベクターを含む宿主細胞である。
【0168】
実施形態14は、実施形態1~10のいずれか1つの単離されたモノクローナル抗体又は抗原結合断片及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物である。
【0169】
実施形態15は、それを必要とする対象において、CD47のトロンボスポンジン-1(TSP1)への結合を阻止する方法であって、実施形態14の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法である。
【0170】
実施形態16は、それを必要とする対象において、CD47のシグナル調節タンパク質アルファ(SIRPα)への結合を阻止する方法であって、実施形態14の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法である。
【0171】
実施形態17は、それを必要とする対象において、がんを処置する方法であって、実施形態14の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法である。
【0172】
実施形態18は、それを必要とする対象において、炎症性疾患を処置する方法であって、実施形態14の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法である。
【0173】
実施形態19は、それを必要とする対象において、感染性疾患を処置する方法であって、実施形態14の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法である。
【0174】
実施形態20は、それを必要とする対象において、アテローム性動脈硬化症を処置する方法であって、実施形態14の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法である。
【0175】
実施形態21は、それを必要とする対象において、心血管疾患を処置する方法であって、実施形態14の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法である。
【0176】
実施形態22は、それを必要とする対象において、代謝性疾患を処置する方法であって、実施形態14の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法である。
【0177】
実施形態23は、それを必要とする対象において、放射線誘発傷害を処置する方法であって、実施形態14の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法である。
【0178】
実施形態24は、それを必要とする対象において、自己免疫疾患を処置する方法であって、実施形態14の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法である。
【0179】
実施形態25は、対象のCD47のレベルを決定する方法であって、(a)対象から試料を得るステップ、(b)試料を実施形態1~10のいずれか1つの抗体又は抗原結合断片と接触させるステップ、及び(c)対象のCD47のレベルを決定するステップを含む方法である。
【0180】
実施形態26は、試料が、組織試料である、実施形態25の方法である。
【0181】
実施形態27は、組織試料が、がん組織試料である、実施形態26の方法である。
【0182】
実施形態28は、試料が、血液試料である、実施形態25の方法である。
【0183】
実施形態29は、実施形態1~10のいずれか1つのモノクローナル抗体又は抗原結合断片を生産する方法であって、モノクローナル抗体又は抗原結合断片を産生する条件下で、モノクローナル抗体又は抗原結合断片をコードする核酸を含む細胞を培養するステップ、及び細胞又は培養物から抗体又は抗原結合断片を回収するステップを含む、方法である。
【0184】
実施形態30は、実施形態1~10のいずれか1つのモノクローナル抗体又は抗原結合断片を含む医薬組成物を生産する方法であって、モノクローナル抗体又は抗原結合断片を薬学的に許容される担体と配合して、医薬組成物を得るステップを含む、方法である。
【実施例】
【0185】
[実施例1]
抗CD47モノクローナル抗体の特定
抗CD47モノクローナル抗体(mAb)を、組換えヒト及びカニクイザルCD47-HISで免疫化したマウスから生成した。簡潔には、免疫化後に、血清中の抗体力価をhuCD47-HIS及びcyCD47-HISをコーティングしたプレートを使用してELISAによって見積もった。B細胞を採取し、黒色腫細胞株と融合させて、ハイブリドーマを作製した。ハイブリドーマを20×384ウェルプレート中にプレーティングし、各ウェルからの上清を、ヒトCD47とカニクイザルCD47の両方に対するそれらの結合についてELISAによってスクリーニングした。400個のハイブリドーマを増殖させて、FACSによってRAJI細胞への結合、CD47/SIRPα相互作用の阻止、Octetに関して組換えhuCD47に対する結合速度論に関してさらに分析し、ヒト血液との赤血球凝集活性に関して試験した。次いで、上位の陽性ハイブリドーマを、384ウェルプレートにおいてウェル当たり1細胞で親ハイブリドーマをプレーティングすることによってクローニングし、クローン上清をhuCD47への結合に関してELISAによってスクリーニングした。クローンのハイブリドーマ由来の重鎖及び軽鎖可変領域を、5'RACEによって増幅させ、シークエンシングした。スケールアップ培養からのこれらのクローンの上清を使用して、さらなる特徴付けのためにプロテインAに関して抗体を精製した。
【0186】
抗CD47モノクローナル抗体についての重鎖及び軽鎖可変領域の配列を、それぞれ、表1及び2に提供し、抗CD47モノクローナル抗体についてのCDR領域を表3及び4に提供する。抗CD47モノクローナル抗体についてのCDR領域は、IMGT法を利用して決定した。
【0187】
【0188】
【0189】
【0190】
【0191】
[実施例2]
FACSを使用したCD47 mAbのRAJI細胞への結合の検出
抗CD47 mAbを、細胞表面のCD47に結合するそれらの能力に関して、フローサイトメトリーによって分析した。ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)中で培養したRAJI(ATCC番号CCL-86)細胞(20,000個の細胞)を、精製mAb(1μg/ml)HBSS溶液又はHBSSのみのいずれかと共にインキュベートした。AlexaFluor488コンジュゲート抗マウスIgG二次Abを使用して、RAJI細胞上のマウス抗CD47 mAbの存在を、FACS(IntelliCyt iQue(登録商標)Screener; Albuquerque、NM)によって測定した。抗CD47 mAbのFACS結合分析の結果を
図1に提供する。
【0192】
[実施例3]
CD47/SIRPα相互作用を阻止するそれらの能力に関するCD47 mAbの評価
SIRPα/CD47相互作用の阻止におけるハイブリドーマ上清又は精製抗CD47 mAbの活性を、ELISAアッセイによって測定した。組換えヒトCD47(ECD)-HIS(1μg/ml)を384ウェルELISAプレートに固定した。組換えhuSIRPα-huFc-ビオチン(最終濃度0.5μg/ml)の結合を、三連で、漸増量のマウス抗CD47 mAbの存在下で評価した。結合したSIRPαを、HRPコンジュゲートストレプトアビジン二次抗体(Thermo Fisher Scientific; Waltham、MA)を使用して決定した。0.1%のTween-20を補充したPBSを使用した洗浄ステップを、CD47、ブロッキング溶液、SIRPαタンパク質、二次抗体、及び検出試薬の添加後に実施した。ELISAアッセイの結果を
図2A~2Oにおいて提供する。18M19Aキメラ(IgG4及びカッパ(kapa)骨格上で)抗体に関して(
図2P)、阻止活性を96ウェルELISAプレートで測定した。組換えヒトCD47(ECD)-HIS(1μg/mL)をプレートに固定した。組換えhuSIRPα-muFc(最終濃度0.5μg/mL)を、二連で、漸増量のヒト抗CD47 mAbの存在下で測定した。結合したSIRPαを、HRPコンジュゲート抗muFc二次抗体(Jackson ImmunoResearch; West Grove、PA)を使用して測定した。プレートを上述のように洗浄した。検出は、TMB検出基質(Thermo Fisher Scientific; Waltham、MA)を用いて実施した。ELISAアッセイの結果を
図2Pに提供する。
【0193】
[実施例4]
赤血球凝集の誘導に関する抗CD47 mAbの効力の評価
抗CD47 mAbの赤血球凝集能力を評価するために、2倍連続希釈した精製mAbを、96ウェルの透明丸底プレート中に添加し、PBS中2.5%のヒト赤血球細胞(huRBC)懸濁液(最終濃度0.25%のRBC)と共に、室温で1時間インキュベートした。赤血球凝集の欠如は、丸底プレートの中央の点状のドットの存在によって証明した。赤血球凝集の証明は、ウェルを横切る均一な色の存在によって実証した。赤血球凝集アッセイの結果を
図3A~3Bに提供する。
【0194】
[実施例5]
RAJI細胞異種移植片モデルにおけるキメラ13B18Aのin vivo有効性の評価
13B18A抗体のキメラバージョン(13B18A-huIgG1)を、13B18Aの可変領域(VH及びVL)を、それぞれ、ヒトIgG1重鎖及びカッパ軽鎖の定常領域へと融合させることによって構築した。得られた抗体を、CHOの安定したプールにおいて安定して発現させ、プロテインA親和性カラムで精製した。13B18A-huIgG1の有効性を試験するために、RAJI細胞を、各NOD/SCIDマウス(メス、n=10/群)の右脇腹に皮下注射した。平均腫瘍サイズが100mm
3に達した際に、マウスを所定用量の試験物で処置した。6日目から27日目まで、1週間に3回静脈内投与し、カリパスを使用して、二次元で、同じ日に腫瘍体積を測定した。薬物動態(PK)解析のために、最終投与の48時間後に血清を回収し、組換えヒトCD47(ECD)-HISでコーティングしたELISAプレートに結合したヒトFcを検出することによって、13B18A-huIgG1の血清レベルを測定した。公知の濃度の13B18A-huIgG1の標準物質でスパイクした血清を使用して、標準曲線を構築した。0.1%のTween-20を補充したPBSで洗浄した後、結合した抗体を、HRPコンジュゲート抗huFc二次抗体(Jackson ImmunoResearch、West Grove、PA)、続いて、TMB検出基質(Thermo Fisher Scientific; Waltham、MA)によって検出した。腫瘍成長曲線を
図4Aに示す。体重のデータを
図4Bに示す。薬物動態(PK)データを
図4Cに示す。
【0195】
[実施例6]
抗CD47 mAbのヒト化
マウス抗CD47 mAb 13B18A、14P6A及び17C6Aをヒト化して、ヒト患者に使用した場合の免疫原性の潜在力を低減させた。重鎖及び軽鎖(VH及びVL)の可変領域の配列を、Protein Data Bank(PDB)データベースのヒト抗体配列と比較し、相同性モデルを構築した。マウスmAbの重鎖と軽鎖の両方のCDRを、抗原結合に必要であると思われる固有の構造を維持する可能性が最も高いヒトフレームワークへと移植した。必要な場合は、ヒト残基からマウス残基への逆突然変異又は他の突然変異を設計した。ヒト化VH及びVL領域の配列をそれぞれ表5及び表6に示す。ヒト化VH及びVL領域をそれぞれヒトIgG4重鎖及びカッパ軽鎖の定常領域と融合させた。mAb配列に対応する構築物を、293E細胞における一過性トランスフェクションのために使用し、精製したmAbを、ELISAを使用して、SIRPα/CD47相互作用を阻止するそれらの能力に関して分析した。結果を吸光度として示し、ここで、より高い吸光度は、より高いレベルのSIRPα/CD47相互作用を示す。ヒト化mAbに関するIC
50値を表7に提供する。ヒト化mAb H3L9及びH5L5に関するIC
50曲線を
図5A~5Bに示す。赤血球凝集アッセイに関する結果を
図6に提供する。ヒト化mAb H8L10に関するCDR領域を表8に提供する。
【0196】
【0197】
【0198】
【0199】
【0200】
[実施例7]
赤血球細胞(RBC)及びRAJI細胞結合アッセイ
抗CD47 mAb H3L9、H5L5及びH8L10を、細胞表面のCD47に結合するそれらの能力に関して、フローサイトメトリーによって分析した。精製したmAbを、FACS緩衝液(0.1%のBSAと0.05%のアジ化ナトリウムを含有するハンクス平衡塩類溶液(HBSS))中に連続希釈した(1:3)。精製mAbの最上位の濃度は、190μg/mlであった。赤血球細胞又はRAJI細胞(ATCC番号CCL-86)(14,000個の細胞)を、600RPM(62×g)で5分間の遠心分離によってU底プレート中でペレット化した。細胞を、FACS緩衝液中20μLの精製抗体中に再懸濁させ、室温で30分間インキュベートした。インキュベーション後、FACS緩衝液で細胞を3回洗浄した。PE/Cy7コンジュゲート抗ヒトIgG(Biolegend、カタログ番号409316)二次Abを使用して、赤血球細胞及びRAJI細胞上の抗CD47 mAbの存在を、FACS(Attune NxT Flow Cytometer; Carlsbad、CA)によって測定した。抗CD47 mAbのFACS結合分析の結果を
図7A~7Bに提供する。
【0201】
[実施例8]
細胞ベースのSIRPα結合アッセイ
RAJI細胞をRPMI+10% FBS中で培養した。最終濃度30nMのヒトSIRPα(ECD)-mFc(huSIRPα-muFc)タンパク質(マウスFcに融合したヒトSIRPαECD)を、30、90及び300nMの精製したヒト化抗CD47 mAbと共にインキュベートした。次いで、その混合物を、96ウェルの丸底プレート中の14,000個のRAJI細胞に添加し、混合して、ニューテーター上で、室温で30分間インキュベートした。次いで、細胞を600rpmで5分間遠心分離し、FACS緩衝液(0.1% BSAと0.05% アジ化ナトリウムを補充したHBSS)で3回洗浄した。次いで細胞を、FITCコンジュゲートロバ抗マウスFcポリクローナル抗体(Jackson ImmunoResearch、カタログ715-095-150)と共に、ニューテーター上で、室温で15分間インキュベートし、FACS緩衝液で3回洗浄し、次いで、FACS緩衝液中に再懸濁した。次いで、細胞をAttune NxT機器に通し、Attune NxTソフトウェアによってデータを分析した。huSIRPα-muFcのRAJI細胞への結合の阻止におけるヒト化抗CD47 mAb H3L9、H5L5及びH8L10の結果を
図8に示す。
【0202】
[実施例9]
マクロファージ媒介食作用アッセイ
ヒトの単球を50ng/ml GM-CSF(Shenandoah、カタログ100-08-20ug)を含有するAIM-V培地(Thermo Fisher、カタログ12055091)中で6日間誘導した。次いで、マクロファージを、100ng/mlのINFガンマ(Shenandoah、カタログ100-77-100ug)でさらに2日間分極化させた。M1マクロファージを、CD14+、CD80+、CD163-及びCD206+集団として定義した。組織培養プレートから分離させた後、マクロファージを10%のFBSを含有するRPMI-1640で1回、次いで、氷冷したHBSSで2回洗浄した。細胞数をAIM-V培地中で1mL当たり2×10
6個の細胞まで調整した。25μLの試験mAbと25μLのマクロファージ細胞懸濁液(50,000個の細胞)を、96ウェルプレートの各ウェル中で、CFSE(Thermo Fisher、カタログ34570)で標識した50μLのRAJI細胞(100,000個の細胞)に添加し、37℃で2時間インキュベートした。mAbの最終濃度は10ug/mlであった。共培養後、細胞混合物を、PE-Cy7コンジュゲート抗ヒトCD14 mAb(Biolegend、カタログ367111)で染色した。染色後、フローサイトメトリーによって細胞を分析した。PE-Cy7陽性マクロファージの集団中のCFSE及びPE-Cy7両陽性マクロファージのパーセンテージを食作用として表す。RAJI細胞のマクロファージ媒介食作用の誘導におけるヒト化抗CD47 mAb H3L9、H5L5及びH8L10の結果を
図9に示す。
【0203】
上記の実施形態に、その広義の発明概念を逸脱することなく、変更がなされ得ることは当業者であれば認識するであろう。したがって、この発明は、開示された特定の実施形態に限定されないが、本明細書によって定義した本発明の趣旨及び範囲内の改変を包含することを意図することが理解される。
以下、本発明の実施形態を示す。
[1](1)それぞれ、配列番号177、46、47、178、112、及び179;
(2)それぞれ、配列番号51、52、53、117、118、及び119;
(3)それぞれ、配列番号54、55、56、120、121、及び122;
(4)それぞれ、配列番号57、58、59、123、124、及び125;
(5)それぞれ、配列番号60、61、62、126、127、及び128;
(6)それぞれ、配列番号180、181、182、129、130、及び131;
(7)それぞれ、配列番号72、73、74、138、139、及び140;
(8)それぞれ、配列番号78、79、80、144、145、及び146;
(9)それぞれ、配列番号81、82、83、147、148、及び149;
(10)それぞれ、配列番号84、85、86、150、151、及び152;
(11)それぞれ、配列番号87、88、89、153、154、及び155;
(12)それぞれ、配列番号90、91、92、156、157、及び158;
(13)それぞれ、配列番号93、94、95、159、160、及び161;
(14)それぞれ、配列番号96、97、98、162、163、及び164;
(15)それぞれ、配列番号99、100、101、165、166、及び167;
(16)それぞれ、配列番号102、103、104、168、169、及び170;
(17)それぞれ、配列番号105、106、107、171、172、及び173;
(18)それぞれ、配列番号108、109、110、174、175、及び176;又は
(19)それぞれ、配列番号201、202、203、204、205、及び206;
のポリペプチド配列を有する重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、HCDR3、軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、及びLCDR3を含み、CD47、好ましくはヒトCD47に特異的に結合する、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
[2]配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、若しくは43と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、又は配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、若しくは44と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む、[1]に記載の単離されたモノクローナル抗体又は抗原結合断片。
[3]a. 配列番号1のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号2のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
b. 配列番号3のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号4のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
c. 配列番号5のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号6のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
d. 配列番号7のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号8のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
e. 配列番号9のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号10のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
f. 配列番号11のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号12のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
g. 配列番号13のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号14のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
h. 配列番号15のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号16のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
i. 配列番号17のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号18のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
j. 配列番号19のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号20のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
k. 配列番号21のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号22のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
l. 配列番号23のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号24のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
m. 配列番号25のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号26のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
n. 配列番号27のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号28のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
o. 配列番号29のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号30のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
p. 配列番号31のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号32のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
q. 配列番号33のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号34のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
r. 配列番号35のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号36のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
s. 配列番号37のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号38のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
t. 配列番号39のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号40のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
u. 配列番号41のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号42のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;又は
v. 配列番号43のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号44のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域
を含む、[1]又は[2]に記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
[4]CD47とトロンボスポンジン-1(TSP-1)の相互作用及び/又はCD47とSIRPαの相互作用を阻害する、[1]~[3]のいずれか一に記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
[5]キメラである、[1]~[4]のいずれか一に記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
[6]ヒトの又はヒト化されたものである、[1]~[5]のいずれか一に記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
[7]a. 配列番号183のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号191のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
b. 配列番号183のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号192のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
c. 配列番号183のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号193のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
d. 配列番号184のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号190のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
e. 配列番号184のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号192のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
f. 配列番号184のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号193のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
g. 配列番号185のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号190のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
h. 配列番号185のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号191のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
i. 配列番号185のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号193のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
j. 配列番号185のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号198のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
k. 配列番号187のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号194のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
l. 配列番号188のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号194のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
m. 配列番号188のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号196のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
n. 配列番号188のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号197のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;又は
o. 配列番号199のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号200のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域
を含む、[6]に記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
[8]CD47の、トロンボスポンジン-1(TSP-1)への結合及び/又はシグナル調節タンパク質アルファ(SIRPα)への結合を阻止することが可能な、[1]~[7]のいずれか一に記載の単離されたモノクローナル抗体又は抗原結合断片。
[9]がん細胞のマクロファージ媒介食作用を誘導することが可能な、[1]~[7]のいずれか一に記載の単離されたモノクローナル抗体又は抗原結合断片。
[10]赤血球細胞への最小限から検出不能な結合と共に、がん細胞に結合することが可能な、[1]~[7]のいずれか一に記載の単離されたモノクローナル抗体又は抗原結合断片。
[11][1]~[10]のいずれか一に記載のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片をコードする単離された核酸。
[12][11]に記載の単離された核酸を含むベクター。
[13][12]に記載のベクターを含む宿主細胞。
[14][1]~[10]のいずれか一に記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
[15]それを必要とする対象において、CD47のトロンボスポンジン-1(TSP1)への結合を阻止する方法であって、[14]に記載の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法。
[16]それを必要とする対象において、CD47のシグナル調節タンパク質アルファ(SIRPα)への結合を阻止する方法であって、[14]に記載の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法。
[17]それを必要とする対象において、がんを処置する方法であって、[14]に記載の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法。
[18]それを必要とする対象において、炎症性疾患を処置する方法であって、[14]に記載の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法。
[19]それを必要とする対象において、感染性疾患を処置する方法であって、[14]に記載の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法。
[20]それを必要とする対象において、アテローム性動脈硬化症を処置する方法であって、[14]に記載の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法。
[21]それを必要とする対象において、心血管疾患を処置する方法であって、[14]に記載の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法。
[22]それを必要とする対象において、代謝性疾患を処置する方法であって、[14]に記載の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法。
[23]それを必要とする対象において、放射線誘発傷害を処置する方法であって、[14]に記載の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法。
[24]それを必要とする対象において、自己免疫疾患を処置する方法であって、[14]に記載の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法。
[25]対象のCD47のレベルを決定する方法であって、
a. 対象から試料を得るステップ、
b. 試料を[1]~[10]のいずれか一に記載の抗体又はその抗原結合断片と接触させるステップ、及び
c. 対象のCD47のレベルを決定するステップ
を含む方法。
[26]試料が、組織試料である、[25]に記載の方法。
[27]組織試料が、がん組織試料である、[26]に記載の方法。
[28]試料が、血液試料である、[25]に記載の方法。
[29][1]~[10]のいずれか一に記載のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片を生産する方法であって、モノクローナル抗体又はその抗原結合断片を産生する条件下で、モノクローナル抗体又はその抗原結合断片をコードする核酸を含む細胞を培養するステップ、及び細胞又は培養物から抗体又はその抗原結合断片を回収するステップを含む、方法。
[30][1]~[10]のいずれか一に記載のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片を含む医薬組成物を生産する方法であって、モノクローナル抗体又はその抗原結合断片を、薬学的に許容される担体と配合して、医薬組成物を得るステップを含む、方法。
【配列表】